HP Software Product Description _____________________________________________________________________________ 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 1 概要 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,業界標準のTCP/IPプロトコル体系とインター ネット・サービスを日本語OpenVMSシステムに実装したソフトウェア製品です。カーネ ル・ソフトウェアは,Tru64 UNIXから移植されています。この製品は,BSD (Berkeley Software Distribution)バージョン4.3および4.4をベースとし,弊社による機能の拡 張が行われたものです。 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,OpenVMSとUNIX[R]あるいはMicrosoft[R] Windows[R]などのTCP/IPをサポートする他のオペレーティング・システムとの間の相 互運用性を提供します。業界標準のプロトコルをベースとした機能,アプリケーショ ン,およびIPマルチキャスティング,動的負荷分散,リモート・ログイン,ネットワ ーク・ファイル・アクセス,リモート端末アクセス,リモート印刷,電子メール,ア プリケーション開発,リモート・クライアント・ブート,ドメイン・ネーム・システ ム(DNS),ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)などのネットワーク・サービスの 包括的な集まりは,種類の異なるネットワーク間でのコミュニケーションおよびファ イル共有を可能とします。 日本語TCP/IP Services for OpenVMSはIPv4ネットワーク,IPv6ネットワーク,ならび に混在環境で動作します。また,高可用性,SMPシステムでの性能のスケーラビリテ ィ,リモート・セッションにおけるセキュアな認証およびデータ転送,ネットワー ク・アプリケーション,ならびに電子メールを提供します。 注意: 日本語TCP/IP Services Version 5.5は日本語OpenVMS Alphaシステムのみをサ ポートします。 2 ソフトウェア・ライセンス 日本語TCP/IP Services for OpenVMSでは,Alphaシステム用に以下のライセンスが用 意されています。 _____________________________________________________________________________ ライセン スの種類_____説明____________________________________________________________ サーバ 製品の全ての機能を提供します。 2005年7月 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 _____________________________________________________________________________ ライセン スの種類_____説明____________________________________________________________ クライア サーバ・ライセンスの一部の機能を提供します。クライアント・ラ ント イセンスにはBIND,BOOTP,DHCP,failSAFE IP,TFTP,NFS server, PC-NFS,およびロード・ブローカが含まれていません。 クライア サーバ・ライセンスの一部の機能を提供します。クライアント・ライセ ント・ア ンスをすでに購入されているユーザが全てのサーバ機能を必要とする場 ップグレ 合に購入いただけます。 ード_________________________________________________________________________ 3 ネットワーク・インタフェース層のサポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,各物理ネットワーク・コントローラで複数の ネットワーク・インタフェースをサポートするため,日本語OpenVMSシステムでは,次 に示すような,種類の異なるネットワーク上にあるどのホスト・コンピュータにも接 続することができます。 o IPv4およびIPv6用のEthernet o IPv4およびIPv6用の光ファイバ分散データ・インタフェース(FDDI) o IPv4用のトークン・リング o IPv4用の非同期転送モード(ATM) 個々のホスト・コンピュータは,シリアル回線インターネット・プロトコル(SLIPまた はCSLIP)やポイント・ツー・ポイント・プロトコル(PPP)を使用して,シリアル回線経 由で他のホストやネットワークに接続することもできます。 4 インターネット層のサポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,インターネットを利用したデータの移動に, それぞれ固有の役割を果たす次のインターネット層プロトコルをサポートしていま す。 o インターネット・プロトコル(IP) - IPv4およびIPv6用にコネクションレスのパケ ット伝送サービスを提供します。 o インターネット制御メッセージ・プロトコル(ICMP) - IPv4およびIPv6用に診断機 能を提供し,エラーや制御メッセージを処理します。 o アドレス解決プロトコル(ARP) - IPv4用のIPアドレスを物理ハードウェア・アドレ スに動的にマッピングします。 o 近隣探索(Neighbor Discovery) -同じリンク内の近隣を探索し,動的にルータを検 出して,すべてのIPアドレスをIPv6用の物理ハードウェア・アドレスに動的にマッ ピングし,アクティブな近隣へのパスに関する情報の保守を行います。 2 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 o TCPおよびUDPのためのPath MTU -ネットワーク間のデータ転送に最も効率的な手段 を判断します。 o クラスレス・インタードメイン・ルーティング(CIDR) -経路選択テーブルのサイズ を減らして,IPアドレス空間をより効率的に使用できるようにします。 o 経路選択プロトコルと経路選択デーモン-ゲートウェイ間で,ホストおよび直接接 続しているネットワークに関する現在の経路選択情報を交換できるようにします。 サポートするプロトコルは次のとおりです。 - IPv4用のRouting Information Protocol (RIP) Version 1 (RFC 1058)とRIP Version 2 (RFC 1388),およびIPv6用のRIPng (RFC 2080) - IPv4用のOpen Shortest Path First (OSPF) Version 2 (RFC 1583) - IPv4用のExterior Gateway Protocol (EGP) (RFC 904) - IPv4用のBorder Gateway Protocol (BGP) (RFC 1163,RFC 1267) - IPv4用のRouter Discovery (RFC 1256) - 経路選択デーモンは,新規経路の追加,既存経路の削除と修正のためにカーネ ルと通信します。次の経路選択デーモンをサポートします。 * IPv4用ROUTED * IPv4用GATED [1] * IPv6用ip6rtrd 高可用性 新機能: o failSAFE IPのIPv6サポート failSAFE IPサービスは,NICに冗長性を持たせることで,IPアドレスの高可用性を提 供します。failSAFE IPはクラスタに対応しており,スタンバイ用のIPアドレスを,同 一ノード内だけでなくクラスタ全体に対して設定することができます。failSAFE IP は,NICの故障,ケーブルの破損,スイッチのポートの故障,およびノードのシャット ダウンなどの障害からシステムを守ります。 5 トランスポート層のサポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,2つのホスト(ローカルまたはリモート)間の コネクション指向とコネクションレスのデータ転送を提供するために,TCPとUDPの両 方のプロトコルをサポートしています。これらのプロトコルは,アプリケーション層 とインターネット層を橋渡しするブリッジを構成します。 _______________________ [1] 拡張ゲートウェイ経路選択デーモン(GATED)は,GateDユニキャスト・バージョ ン4.0.6をベースに,高度な経路選択オプションを実装しています。 3 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 o トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCP)は,データ受け渡しの保証 (確認応答)を要求されるアプリケーションに,コネクション指向で,順序制御され た高信頼なデータ転送を提供します。 o ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)は,データ受け渡しの確認を必要としな いアプリケーションにコネクションレスの高速データ転送を提供します。 TCP Extensions for High Performance (RFC 1323)およびIETF Wireless TCP Standardsは,低帯域幅で高遅延のワイヤレスおよび周辺ネットワーク上での輻輳を防 止します。標準のワイヤレスTCPセットには,TCP Extensions for High Performance (RFC 1323),SACK (RFC 2018),Path MTU Discovery for IPv4 (RFC 1191)およびIPv6 (RFC 1981)が含まれています。 6 アプリケーション層のサポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,アプリケーション層の各種プロトコルをサポ ートし,日本語OpenVMSユーザに次の機能を提供します。 o リモート・システム上でのソフトウェアの実行 o ローカルとリモート・システム間のデータ・ファイル転送 o ディスク記憶領域やプリンタなど,リモート・システムのリソースの共有-ユーザ のローカル・システムに接続しているのとまったく同じように操作できます。 o 電子メールの送受信-ローカルでの送受信と,世界規模のインターネット経由での 送受信が可能です。 o インターネット上のすべてのユーザに対する,一貫性と信頼性のある効率的なネッ トワーク・サービスの提供 リモート・コンピューティング 日本語OpenVMSユーザは,TELNETを使用してネットワークのリモート・ホストにログイ ンすることができます。TELNETには次の機能があります。 o 同時に複数のセッションを確立可能 o IBM 3270モデルのターミナル・エミュレーション(TN3270) o OpenVMSとUNIXの両形式のインタフェースのサポート o ウィンドウのサイズ変更機能(行と列)と位置オプションのサポート o Kerberos認証 日本語OpenVMSユーザは,Rコマンドと呼ばれるUNIXの標準的なリモート・コマンドを 使用して,リモート・インターネット・ホスト(UNIXまたはOpenVMSシステム)上のアカ ウントで作業することができます。日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,RLOGIN, RSH,REXEC,およびRMT/RCDコマンドをサポートしています。 さらに,セキュア・シェル(SSH)コマンドは,セキュアな接続を行うために認証とデー タの暗号化を行い,リモート・サーバにログインしリモート・コマンドを実行します。 4 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 FINGERユーティリティを使用して,ローカルまたはリモート・システムにログインし ているユーザの情報を得ることもできます。この情報には,ユーザ名,アカウント 名,およびユーザが実行中のプログラムが含まれます。 X Display Manager Control Protocol (XDMCP)により,ディスプレイ装置はログイ ン・サーバに対してログイン画面の表示を要求することができます。 ファイル転送 日本語OpenVMSユーザは,次の構成要素を使用して,ローカルとリモート・システム間 でデータ・ファイルを転送することができます。 o ファイル転送プロトコル(FTP)は,ホスト間でファイルおよびディレクトリの作 成,削除およびコピーを行います。FTPはOpenVMSのODS-5ディスクのExtended File Specifications (長いファイル名,深いディレクトリ階層,および拡張文字セッ ト)をサポートします。 o 単純ファイル転送プロトコル(TFTP)は,UDPプロトコルを使用し,認証なしでファ イルを転送します。通常,これは,ディスクレス・システムのブートストラップ・ プロセス中に使用されます。 o リモート・コピー(rcp)コマンドは,ローカル・ホストとリモート・ホスト間また は2つのリモート・ホスト間でファイルのコピーを行います。 o セキュア・コピー(SCP)およびセキュア・ファイル転送(SFTP)コマンドは認証とデ ータの暗号化を行い,安全なファイル転送操作を行います。 リソース共有 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,ライン・プリンタ/ライン・プリンタ・デー モン(LPR/LPD)と,TELNETプリント・シンビオント(TELNETSYM)を通して,ネットワー ク印刷機能を提供します。 o LPDは,ローカルとリモートのプリント・キューを通じて,UNIXとOpenVMSクライア ント・ホストにリモート・プリント・サービスを提供します。システム管理者によ りプリント・キューの設定が行われた後,OpenVMSクライアント・ユーザはDCLコマ ンドのPRINTを入力し,UNIXクライアント・ユーザはlprコマンドを入力します。 LPDは,クラスタ単位で使用可能なようにコンフィギュレーションを行う と,OpenVMSホスト上にあるLPD制御によるプリント・キューに対して,負荷分 散および自動フェイルオーバを提供することができます。 o TELNETSYMは,LPR/LPDではできないOpenVMS標準の印刷機能を利用できるリモー ト・プリント・サービスを提供します。 5 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 ネットワーク・ファイル・システム ネットワーク・ファイル・システム(NFS)サーバ・ソフトウェアを使用すると,NFSク ライアント・ユーザは,リモート・ファイル・サービスに透過的にアクセスすること ができるようになります。NFSがローカルとリモート・システム間のオペレーティン グ・システム,ハードウェア,アーキテクチャの違いを吸収するため,ファイルやデ ィレクトリは,リモート・システムからアクセスしても,ローカル・システムにいる のとほとんど見分けがつきません。PC-NFSデーモンは,PC-NFSクライアントに対して 認証サービスを提供します。 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,NFSサーバでNFSバージョン2およびバージョ ン3のサポートを提供しています。NFSクライアントはバージョン2に制限されていま す。NFSバージョン3の主な利点は最大ファイル・サイズの増加です。OpenVMSファイ ル・システムでは1テラバイトまでのファイルがサポートされ,コンテナ・ファイル・ システムでは4ギガバイトまでのファイルがサポートされます。 性能の向上は,処理するファイル・サイズの改善と,ファイルが実際にディスクに書 き込まれる前に,NFSサーバが書き込み操作の受信確認を行うことができるという書き 込みパフォーマンスの強化によるものです。その後,コミット・メッセージに対する サーバの応答によって,データがディスクに書き込まれたことが確認されます。 NFSサーバは,TCPおよびUDPの両方を経由した通信をサポートします。ワイド・エリ ア・リンクを経由したファイル・アクセスには,UDPよりNFS over TCPが適していま す。NFSクライアントはUDPだけに制限されています。 NFSサーバおよびクライアントは,OpenVMS Extended File Specificationsをサポート しており,これには,ODS-5ファイル構造上での長いファイル名,深いディレクトリ階 層,および拡張文字セットが含まれます。 メール・サービス 新機能: o セキュアIMAP (SSLサポート) o セキュアPOP (SSLサポート) 日本語OpenVMSユーザは,簡易メール転送プロトコル(SMTP)を使用して,ローカルとリ モート・ホスト間で電子メールを送受信することができます。日本語TCP/IP Services for OpenVMSに実装されているSMTPは,日本語OpenVMSのMail機能を使用します。これ により,SMTPホストのアドレスが自動的にsmith@widgets.com形式で認識されます。 SMTPでは,SFF (Send From File)および発信別名指定のサポートを提供しています。 次のメール・システムはSMTPとともに動作して,クライアントに対して信頼できるサ ーバ・ベースのメール・リポジトリを提供します。 o Post Office Protocol (POP)サーバ o IMAP Mailサーバ 注意: セキュアIMAPおよびセキュアPOPはHP SSL for OpenVMSソフトウェアを必要と します。 6 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 ネットワーク・サービス 新機能: o NTPバージョン4.2 o NTPのIPv6サポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSに用意された次の管理構成要素を利用すること で,ネットワーク管理者やシステム管理者は,システムの中断を最小限に押さえ,一 貫した,高信頼性,高効率のサービスをユーザに提供することができます。 o 簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)バージョン2は,ネットワーク上の管理ス テーションから日本語OpenVMSシステムを管理できるようにするマスタ・エージェ ントとサブエージェントです。このバージョンでは,HP Tru64 UNIX SNMPv2に実装 されたバージョンと同じ機能が含まれる他,いくつかの機能が改善されています。 SNMPはIPv4のみをサポートします。 o ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)バージョン4は,TCP/IPネットワーク上の ホスト間で時間を同期させて調整する方法を提供します。NTPは,TCP/IPネットワ ーク上のOpenVMSホストに対して信頼のおける正確な時刻を提供します。 o Berkely Internet Name Domain (BIND)は,各ホストがインターネット上の他の すべてのホストのアドレスを知らなくても済むように,ホスト情報を配布,管 理する分散データベース・システムです。BIND 9サーバは,Internet Software Consortium (ISC) BIND 9.2.1の実装に基づき,動的な更新およびBINDサーバ・ク ラスタ・フェイルオーバを含んでいます。BINDサーバ・クラスタ・フェイルオーバ は,複数のBINDマスタ・サーバが同じデータベースを共有できるようにして,いず れかのサーバが使用不能になった場合に冗長性とフェイルオーバ・メカニズムを提 供します。 BINDサーバは,ICSのBIND 9.2.1の実装をベースにしており,IPv4とIPv6をサポートし ます。 BINDリゾルバは,BIND 8.1.2の実装をベースにしています。BINDリゾルバは,IPv4経 由の通信をサポートしますが,IPv6アドレス(AAAAレコード)の問い合せに対応しま す。 o ロード・ブローカは,クラスタの負荷分散,ラウンド・ロビン(総当たり)のスケジ ューリング,および自動フェイルオーバ機能を提供します。 o Metricサーバは,ローカル・ホスト上のDNS負荷を計算して報告します。これに は,CPUレーティング,計算間隔,デバッグ・レベルのために定義可能な論理名の 動的コンフィギュレーションに加えて,複数のIPアドレスに渡る着信トラフィック の負荷分散を可能にするマルチホーム・システムのサポートがあります。 o ポートマップ機能は,システム管理者が各サービスのポート番号をクライアント・ アプリケーションに事前に設定しなくて済むように,ポートを自動的に割り当てま す。 7 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 o Auxiliary (補助)サーバ・プロセスは,UNIXのインターネット・デーモン(inetd) を日本語TCP/IP Services for OpenVMS用に実装したサーバ・プロセスです。 Auxiliaryサーバは,アプリケーションのプログラミングを大幅に簡素化し,同時 サーバ・プロセスを減らすことによりオーバーヘッドを管理します。また,サービ ス要求の認証を通じてシステム・セキュリティを提供し,イベントとエラーのログ 収集機能もサポートします。 o Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP)は,ブートストラップ・プロトコル (BOOTP)のスーパーセットです。DHCPは,BOOTPの機能(ブートストラップ要求への 応答)に加え,IPアドレス,サブネット・マスク,および省略時のゲートウェイな どを含む堅牢なコンフィギュレーション・サービスを提供します。DHCPサーバは BOOTPクライアントをサポートするように設定することができます。BOOTPがDHCPな しで有効にされている場合,DHCPの機能は使用できません。 o DHCPクライアントが登録名でコンフィギュレーションできるようにする機能を使用 して,DHCPは動的にBINDを更新します。DHCPは,BINDデータベースを更新するとき に,この名前を使用してアドレスを割り当てます。さらに,本リリースでは,DHCP クライアントおよびサーバの両方を提供することにより,IPアドレス空間のコンフ ィギュレーションおよび保守に対して集中型アプローチを提供しています。DHCPサ ーバを使用すると,システム管理者はOpenVMSホストからIPアドレスを動的に割り 当てることができます。 セキュリティ 新機能: o SSH2バージョン3.2 o SSHのIPv6サポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSはセキュアなログイン,リモート・コマンド実 行,およびファイル転送を提供するセキュア・シェル(SSH)クライアントおよびサーバ を含みます。 7 パフォーマンスとスケーラビリティ 対称型マルチプロセッシング(SMP)システム上でのパフォーマンスが向上するよう, TCP/IPカーネルが変更されました。 この全く新しく設計されたTCP/IPカーネルは,ユーザ間のCPUの競合を取り除くことに より,SMPシステム上でのパフォーマンスが向上しました。新しいカーネルは,メイン の内部データベースをロックするためにダイナミック・スピンロックを使用します。 ロックが必要な処理は全てひとつのTCP/IP専用CPUに送られます。これにより,他の CPUのユーザとの間のCPU競合を解消します。本質的に,ネットワークI/Oは一連の非同 期でトランザクション・ベースの処理となります。 8 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 8 管理制御プログラム 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,おなじみのOpenVMSのDCLコマンド構文に基づ いた,使いやすい汎用ネットワーク管理ツールである管理制御プログラムを提供しま す。システム管理者は,これらのコマンドを使用して,製品の構成要素をローカルに 設定,監視することができます。 自由度の高いコンフィギュレーション・プロセスには,対話形式のコンフィギュレー ション手順が組み込まれています。 個々のサービスのために提供されているスタートアップ・ファイルとシャットダウ ン・ファイルを使用すると,システム管理者は,他のTCP/IP Servicesソフトウェアの 操作を妨げることなく,個々のサービスの停止または起動を行うことができます。 DCLまたはUNIXの管理コマンドで,ネットワーク接続とTCP/IP Servicesソフトウェア のコンフィギュレーションと管理のための方法を選択することができます。 9 UNIXのネットワーク管理ユーティリティ 新機能: o IPv4およびIPv6用のTCPDUMPバージョン3.8.3 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,UNIXネットワーク・サブシステムの管理およ びトラブルシューティングに慣れたシステム管理者のために,UNIXのネットワーク管 理ユーティリティを用意しています。サポートしているユーティリティには,次のも のがあります。 o arp o finger o ifconfig o netstat o ping o ripquery o route o sysconfig o sysconfigdb o tcptrace o traceroute o tcpdump サブシステムは,sysconfigtabデータベース内に構成することができます。 ただし,UNIXの一部のフラグとパラメータはサポートされていない場合があります。 9 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 10 エラー・メッセージのドキュメント 日本語TCP/IP Services for OpenVMSでは,TCP/IPの機能および構成要素に関するエラ ー・メッセージのためのオンライン・ヘルプが提供されています。この情報は,日本 語OpenVMS Help Messageユーティリティ(MSGHLP)の一部として含まれています。 11 アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API) 新機能: o IPv4およびIPv6用のlibpcap 日本語TCP/IP Services for OpenVMSには,カスタマイズされたアプリケーションを開 発するプログラマ用に次のAPIが用意されています。 o Berkeleyソケットおよびソケット・ライブラリ- C言語で書かれたアプリケーショ ンがUNIXと同様の方法でTCP,UDP,およびraw IPにアクセスできるようにします。 ライブラリには,次のサポートが含まれています。 - IPv6用のIPv4およびIPv6の基本ソケット・インタフェース拡張 (RFC 2553およ びIETFのアップデート) - IPv6用の拡張ソケットAPI (RFC 2292およびIETFのアップデート) o $QIOインタフェース- OpenVMSシステム・サービスをソケット通信用に拡張し,サ ポート対象のプログラミング言語で作成されたアプリケーションに対してTCP, UDP,およびIPへのアクセスを提供します。 o SRI $QIOインタフェース-旧式の非互換SRI $QIOインタフェースを$QIOインタフェ ースに変換します。 o ONC RPC -ネットワーク・プロトコルに精通していないプログラマのために業界標 準の移植可能なAPIを提供します。ソケットを使用しないでアプリケーションを開 発できる効率的な方法です。 o 拡張簡易ネットワーク管理プロトコル(eSNMP) - SNMPサブエージェント構築用のル ーチンを提供します。 12 PATHWORKS,Advanced Server,およびDECnet over TCP/IP 日本語TCP/IP Services for OpenVMSは,Advanced ServerとTCP/IPとの緊密な統合を さらに進めるために,PATHWORKS IP (PWIP)ドライバとPWIP補助制御プロセス(PWIP_ ACP)をサポートしています。 PWIPドライバにより,Advanced Server for OpenVMSまたはPATHWORKSのどちらかと 日本語TCP/IP Services for OpenVMSソフトウェアを実行しているOpenVMSシステム と,PATHWORKS 32クライアント・ソフトウェアを実行しているパーソナル・コンピ ュータ間の通信が可能になります。また,DECnet-Plus for OpenVMSに付属している DECnet-over-TCP/IP機能も使用できるようになります(詳細については,DECnet-Plus for OpenVMSのドキュメントを参照してください)。 10 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 13 インストールと設定 日本語TCP/IP Services for OpenVMSのインストールには,POLYCENTERソフトウェア・ インストレーション・ユーティリティを使用します。メニュー形式の簡単な設定手順 により,すべての構成要素とサービスを一括してインストールすることも,必要な構 成要素を選択してインストールすることもできます。 14 必要なハードウェア サポート対象CPU 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5は,『日本語OpenVMSオペレーティ ング・システムVersion 8.2ソフトウェア仕様書 (SPD 25.C4.xx)』に記載されている Alphaシステムをサポートします。 必要なネットワーク・コントローラ 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5は,『日本語OpenVMSオペレーティ ング・システムVersion 8.2ソフトウェア仕様書 (SPD 25.C4.xx)』に記載されている ネットワーク・デバイスをサポートします。 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5は,DECnet-Plus for OpenVMSなど の他の弊社ネットワーク製品とEthernetインタフェースを共有することができます。 必要なメモリ容量 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5が必要とする最低メモリ容量 は,日本語OpenVMS Alphaバージョン8.2が必要とするメモリ量と同じです。『日 本語OpenVMSオペレーティング・システムVersion 8.2ソフトウェア仕様書 (SPD 25.C4.xx)』を参照して下さい。 必要なディスク容量 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5をクライアントおよびサーバ・ラ イセンスのもとで使用するために必要なディスク容量はおよそ170,000ブロックです。 実際のサイズは,システムの環境,コンフィギュレーションの内容,選択するソフト ウェア・オプションにより異なる場合があります。 15 クラスタ・サポート 日本語TCP/IP Services for OpenVMSバージョン5.5は,正規にライセンスされた OpenVMSクラスタ環境へのインストールをサポートします。 11 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 16 必要なソフトウェア ソフトウェア・サポート契約を結ぶためには,日本語TCP/IP Services for OpenVMSバ ージョン5.5は以下の日本語OpenVMSオペレーティング・システムを必要とします。 o 日本語OpenVMS Alphaバージョン8.2 クライアント・アクセスには,NFSバージョン2.0またはバージョン3.0に規定されたプ ロトコルとTCP/IPのRequest for Comments (RFC)に定義されたすべてのTCP/IPアプリ ケーション・プロトコルをサポートするシステムが必要です。 XDMCPを実行するシステムの場合:日本語DECwindows Motif for OpenVMSバージョン 1.2-5 (以降) 17 提供メディア 日本語TCP/IP Services for OpenVMS製品は以下に含まれて提供されます。 o OpenVMS Alphaソフトウェア製品ライブラリCD-ROM o 日本語OpenVMS Alpha V8.2オペレーティングシステムCD-ROM 18 注文情報 TCP/IP Services for OpenVMS Alphaサーバ ソフトウェア・ライセンス:QL-0LXA*-** TCP/IP Services for OpenVMS Alphaクライアント ソフトウェア・ライセンス:QL-0M2A*-** TCP/IP Services for OpenVMS Alphaクライアント・アップグレード ソフトウェア・ライセンス:QL-0PHA*-** アスタリスク(*)の部分の値は変化します。提供されているライセンス,サービス,メ ディアについての詳細は,該当する価格表を参照してください。この注文情報は,リ リース時点で有効な情報です。最新の注文情報については,弊社の最寄の支店/営業所 にお問い合わせください。 19 ソフトウェア・ライセンス 本ソフトウェアは,弊社の標準販売約款中のライセンス規定に基づいて提供されま す。HPのライセンス条件とその方針についての詳細は,弊社の最寄の支店/営業所にお 問い合わせください。 12 日本語HP TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.5 SPD 28.B4.12 ソフトウェア仕様書 20 ライセンス管理機能のサポート 本製品は,OpenVMSライセンス管理機能(LMF)に対応しています。 ライセンス管理機能についての詳細は,『日本語OpenVMSオペレーティング・システム Version 8.2ソフトウェア仕様書 (SPD 25.C4.xx)』またはOpenVMSのマニュアルを参照 してください。 21 保証 本製品には,弊社の所定のソフトウェア保証基準に定められた90日間の保証が付きま す。 22 ソフトウェア製品サービス 弊社からさまざなサービス・オプションが提供されています。サービス・オプション についての詳細は,弊社の最寄の支店/営業所にお問い合わせください。 このSPDに記載されている製品情報は,製品のリリース時点で有効な情報です。最新の 製品情報については,弊社の最寄の支店/営業所にお問い合わせください。(c) 2005 Hewlett-Packard Development Company, L.P. 本書に記載されているすべての製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。 本書に記載されている事項は,予告なく変更されることがありますので,あらかじめ ご承知おきください。万一,本書の記述に誤りがあった場合でも,HPは一切その責任 を負いかねます。 13