_日本語MailWorks_for_UNIX___________________________ リリース・ノート 1996年12月 本書では,日本語MailWorks for UNIX[R] Version 2.0に関 する補足情報を説明します。本書には,日本語MailWorks での既知の問題と制限事項に関する情報が記載されていま す。また,その他のマニュアルに含まれていない最新の情 報についても記載されています。 改訂/更新情報: 更新ドキュメントです。 オペレーティング・システム: 日本語Digital UNIX V3.2C以降 ソフトウェア・バージョン: 日本語MailWorks for UNIX V2.0 ________________________________________________________________ 1996年12月 本書の著作権は日本ディジタル イクイップメント株式会社(日本 DEC)が保有しており,本書中の解説および図,表は日本DECの文書 による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再 版あるいは複製することを禁じます。 また,本書に記載されている事項は,予告なく変更されることが ありますので,あらかじめご承知おきください。万一,本書の記 述に誤りがあった場合でも,日本DECは一切その責任を負いかねま す。 本書で解説するソフトウェア(対象ソフトウェア)は,所定のライ センス契約が締結された場合に限り,その使用あるいは複製が許 可されます。 日本DECは,日本DECまたは日本DECの指定する会社から納入された 機器以外の機器で対象ソフトウェアを使用した場合,その性能あ るいは信頼性について一切責任を負いかねます。 (c) Digital Equipment Corporation Japan 1996. All Rights Reserved. 以下は米国Digital Equipment Corporationの商標です: Alpha AXP, AXP, DEC, DECnet, Digital, InfoBroker, MAILbus, MAILbus 400, DEC MAILworks, OpenVMS, TeamLinks, TeamRoute, AXPロゴ,およびDIGITALロゴ xloadimageプログラムに対して次の著作権および注記が適用され ます。xloadimageプログラムは,イメージ・ビューアとして日本 語MailWorksソフトウェアと共に提供されます。 Copyright (c) 1989, 1990 Jim Frost, Kirk L. Johnson, Mark Majhor, Massachusetts Institute of Technology Permission to use, copy, modify, distribute, and sell the xloadimage software and its documentation for any purpose is hereby granted without fee, provided that the above copyright notice appear in all copies and that both that copyright notice and this permission notice appear in supporting documentation. The authors make no representations about the suitability of this software for any purpose. It is provided "as is" without express or implied warranty. 以下は他社の商標です。 Motif,OSF,OSF/1,OSF/Motifは,米国Open Software Foundation社の商標です。MicrosoftおよびMS-DOSは,米国 Microsoft社の商標です。UNIXオペレーティング・システム は,X/Openカンパニーリミテッドがライセンスしている米国な らびに他の国における登録商標です。X Window Systemは,米国 Massachusetts Institute of Technologyの商標です。PostScript は,米国Adobe Systems社の商標です。Macintoshは,米国Apple Computer社の商標です。 本書は,日本語VAX DOCUMENT V 2.1を用いて作成しています。 _________________________________________________________________ 目次 1 追加または変更された機能 1.1 必要なソフトウェア........................... 1-1 1.2 Version 2.0で追加された機能と変更された機能.. 1-2 1.3 使用上の注意................................. 1-8 2 解決した問題 2.1 V2.0で解決された問題......................... 2-1 3 既知の問題と制限事項 3.1 DCEに関する制限事項.......................... 3-2 3.2 リモートのX.500データベースに関するDMW-addス クリプトの問題................................ 3-3 4 V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 4.1 インターネット・メール機能の強化............. 4-1 4.1.1 受信時の動作............................. 4-1 4.1.2 送信時の動作............................. 4-3 4.2 日本語Digital UNIXの電子メールとの互換性..... 4-4 4.3 修正された問題点............................. 4-4 4.4 制限事項..................................... 4-5 iii 5 Digital UNIXのパッチ 5.1 Digital UNIX V3.2-Cのパッチ.................. 5-1 5.2 Digital UNIXバージョン3.2-Dのパッチ.......... 5-2 6 InfoBrokerのパッチ 7 トラブルシューティング 7.1 非能率なディレクトリ検索..................... 7-1 7.2 Exchangeとの協調............................. 7-4 表 4-1 受信時に関連するパラメータ................ 4-1 4-2 受信時に認識するヘッダの値................ 4-2 4-3 送信時に関連するパラメータ................ 4-3 iv 1 _________________________________________________________________ 追加または変更された機能 本章では,日本語MailWorks for UNIX V2.0の新しい機能および変 更された機能について説明します。 _________________________________________________________________ 1.1 必要なソフトウェア 日本語MailWorks for UNIX V2.0では,次のソフトウェアを必要と します。 o 日本語Digital UNIX V3.2Cまたはそれ以降のバージョン 日本語MailWorks for UNIX V2.0がリリースされた時点で は,日本語MailWorksが依存するいくつかの構成要素が Digital UNIX V4.0上で動作しないため,Digital UNIX V4.0 環境での広範囲に渡るテストは実施されていません。日 本DECは,日本語MailWorks for UNIX V2.0とInfoBroker V2.1A-2はDigital UNIX V4.0環境でも正常に動作すると信じ ていますが,問題が発生しないことの保証はできかねます。 Digital UNIX V3.2 Revision Cまたはそれ以降が使用可能な 場合は,そちらを使用されることをおすすめします。 o X.400をリモート・マシン上で使用する場合は,最低でも MAILbus 400 MTA Baseを日本語MailWorksを実行するマシン にインストールする必要があります。MAILbus 400は,V1.4A またはそれ以降のものを使用してください。できれば,V2.0 の使用をおすすめします。 o 日本語MailWorksでは,InfoBroker V2.0またはそれ以降を インストールする必要があります。できれば,InfoBroker V2.1A-2のインストールをおすすめします。このバージョン は,日本語MailWorksの各製品パッケージに添付のCD-ROMに 収録されています。 さらに,InfoBrokerを使用するためには,X.500 V2.0または V3.0(サブセットDXDABASE200またはDXDABASE300)が必要で す。 追加または変更された機能 1-1 o 一部の日本語MailWorksプロセスはサイズが肥大化すること があるため,スワップ領域は十分に確保しておく必要があり ます。同時接続ユーザ数が数百にもなる大規模なインストー ルでは,mssプロセスのサイズはギガバイトにも達すること があります(ただし,これは仮想サイズで,実メモリ上にこ のサイズが必要ということではありません)。TeamLinks, cc:Mail,Microsoft Mailを使用する場合,mcsプロセスが 0.5ギガバイトもの仮想領域を占めることがあります。 必要なソフトウェアの詳細は,『日本語MailWorks for UNIXイン ストレーション・ガイド』を参照してください。 _________________________________________________________________ 1.2 Version 2.0で追加された機能と変更された機能 追加変更された機能のうち,MIMEやローカル配信など,いくつか の機能を有効にするには,MAILworksrcファイルに必要なパラメー タを追加しておく必要があります。 次に,Version 2.0で追加または変更された機能を示します。 o MIMEのサポート。日本語MailWorksサーバでは,MIME形式で エンコードされた着信メッセージをデコードしたり,これら のメッセージをデコードした形式で保存することができま す。この機能により,MIMEに対応していないクライアントで も,メッセージや添付文書を読むことができます。 日本語MailWorksサーバは,メールを送信するときに, MAILworksrcパラメータsendMimeがTRUEに設定されている と,SMTPメッセージをMIME形式にエンコードします。メッセ ージの送信先が混在型の配布先リスト(ローカル・ユーザ, SMTP受信者,およびX.400受信者)の場合は,SMTP受信者に送 られるコピーだけがMIMEエンコードされます。 日本語MailWorksは,メッセージの送信時,各添付文書の元 のファイル名を記憶しないため,MIMEエンコーディング中 に元のファイル名は転送されません。しかし,.dmw_mime_ send_mapファイルの該当するエントリに"name="句を挿入す ることにより,型どおりのファイル名をMIMEエンコーディン グ中に含めることはできます。たとえば,Microsoft Wordの 文書なら,MIMEエンコーディング中にname="dmw.doc"という パラメータが挿入されます。この機能は,添付文書タイプの 1-2 追加または変更された機能 識別にファイル名の拡張子を使用するMIMEクライアントと POP3クライアントでサポートされています。 分割されたメッセージの一部であると分かっている(type /subtype message/partialの使用)MIMEメッセージを受信 すると,日本語MailWorksは,このメッセージの構成要素を (/var/opt/DMWsf/partialディレクトリにある)サーバの作業 領域に保存します。日本語MailWorksは,すべての構成要素 が到着した時点で,これらの構成要素を完全なメッセージに 組み立て,受信者のinboxに送ります。構成要素のすべてが3 日以内に揃わなかったときは,到着した構成要素だけでメッ セージを組み立て,受信者のinboxに送ります。省略時のタ イムアウト期限の3日は,MAILworksrcのpartialAgeパラメー タの設定を変えることにより変更できます。このパラメータ は,タイム・アウト期限を日数で指定します。 このpartialAgeパラメータに関する記述は,『日本語 MailWorks for UNIXワークグループ/システム管理ガイド』 には載っていません。 複数パーツ形式でエンコードされた本体部を受信すると,そ の複数パーツ・メッセージのパーツは,普通なら空のまま転 送されるメッセージの本体部として保存されます。 Macintoshクライアントが添付文書付きのメールを送信する と,America Onlineは,multipart/appledouble形式の本体 部を生成します。つまり,添付文書のデータ・フォークとソ ース・フォークは,同封の転送メッセージに別々に格納さ れます。これにより,Macintosh以外のユーザも,たとえば Microsoft WordやPowerpointの文書を容易に利用できるよう になります。 o POP3のサポート。MailWorks POP3サーバが付属しており, POP3ベースのクライアント(EudoraやNetscape V2など)が受 信メールを取り出せるようになりました。POP3サービスで は,他のローカル・ユーザ,リモートのSMTPユーザ,または リモートのX.400ユーザから受信したメールを取り出すこと ができます。送信メールを依頼するときには,システムの標 準SMTPサービスがPOP3クライアントによって使われます。 o ローカル配信。メッセージの宛先がローカルの受信者で, その受信者がX.400アドレスまたはSMTPアドレスのいずれ かを使っている場合は,そのメッセージを日本語MailWorks サーバが直接配信できるようになりました。これまでは, sendmailやMAILbus 400を経由して配信されていました (注:ローカル・アカウント名を使っているローカル・ユ 追加または変更された機能 1-3 ーザ宛のメッセージはこれまでも直接配信されていまし た)。これにより,システムの処理性能が改善され,特に X.400アドレス指定を頻繁に使用する環境で顕著な効果 が得られます。この機能はオプションです(MAILworksrc のlocalSMTPAddressesとlocalX400Addressesパラメータを使 って制御できます)。すべてのメッセージをMTA経由で送信す るときは,これらのパラメータを削除します。 o MAILbus 400からメッセージを取り出すときのボトルネッ クが解消されました。前のバージョンの日本語MailWorksで は,MTAから取り出せるメッセージ数が毎秒1個に制限されて いましたが,本バージョンからは,取り出せるメッセージ数 は,MTAとの通信速度とプロセッサの速度によってのみ制限 されます。また,ローカル配信が可能になったことで,MTA を経由するメッセージ自体が減ることも予想されます。 o MAILbus 400との通信に使われるXAPIライブラリに関して, 本バージョンでは共用可能イメージ・バージョンを使用でき るようになりました。つまり,日本語MailWorksは,省略時 の接続タイプであるLOCALを使ってMTAと接続できるようにな りました。本バージョンではさまざまな改善が行われてい ますが,これも顕著な改善点の1つです。接続タイプの設定 は/var/mta/mta_api_server_addressで行います。前のバー ジョンとは違い,MTAが日本語MailWorksと同じシステム上に ある限り,このファイルの省略時の設定値を変更する必要は ありません。 o TeamLinks,cc:Mail,Microsoft Mailのユーザにとって,フ ォルダを開くときの速さが改善されました。改善の効果はど のフォルダでも見られますが,フォルダのサイズが大きい場 合や,巨大な添付文書の付いたメッセージを収めたフォルダ では,特に大きな効果が得られます。 o ユーザのメッセージ・ストアを一時的に使用禁止にできるよ うになりました。これは,バックアップを取ったり,メッセ ージ・ストアを移動する際に役立ちます。使用禁止にされた メッセージ・ストアには,ユーザが接続することも,着信し たメールを配信することもできません。メッセージ・スト アは個々のユーザごとに使用禁止にできるため,ユーザを 何組かに分け,各組ごとにメッセージ・ストアを使用禁止 にして,ディスクのバックアップを取ることができます。 メール・システム全体を停止する必要はありません。詳細 は,confddbのマン・ページを参照してください。 1-4 追加または変更された機能 o クライアント・アクセス・ライセンスと呼ばれる新しいサー バ・ライセンス方式が実装されました。前バージョンの日本 語MailWorksでは,キャパシティ・ライセンス(システムの規 模に応じてライセンスを購入する方式で,そのシステムが対 応できれば接続ユーザ数に制限はありません),同時使用ラ イセンス(同時に接続できる最大ユーザ数分のライセンスを 購入する方式),または個人使用ライセンス(購入するライセ ンスが特定のユーザ名と1対1で対応している方式)の中から 選ぶ必要がありました。 クライアント・アクセス・ライセンス方式では,システムに 作成するユーザ・アカウント数と同時に接続しうるユーザ数 の2本立てでライセンスを購入していただきます。バージョ ン2.0では,LMFチェックがすべて廃止され,代わって,随時 実行し,定義されたユーザ・アカウントの数を報告するユー ティリティ(DMW-count-subscribers)が提供されています。 このユーティリティを定期的に実行し,登録されたアカウン ト数と購入ライセンス数を比べてください。ユーザ数がライ センス数を越えている場合は,追加のクライアント・アクセ ス・ライセンスを購入してください。 o C2レベルのセキュリティを実装したシステム上で運用できる ようになりました。これは,任意のアクセスに対する制御機 能が強化されたということではなく,C2セキュリティ環境で も問題なく動作するようになったということです。プレリリ ース・バージョンでは,パスワードを再設定するときや,実 在しないユーザが接続を試みたときなどいくつか問題があり ましたが,本バージョンでは解決されています。C2をサポー トするには,MAILworksrcのenableC2パラメータをTRUEに設 定する必要があります。 o MAPIベースのクライアントに対するサポートも行われ,MAPI メッセージ・クラスが,メッセージの一部としてメッセー ジ・ストアに格納されるようになりました。また,メッセー ジがローカルに配信される場合や,SMTP経由で送信される場 合には,そのメッセージに付けて送れるようになりました。 o MAPIクライアントに対して,日本語MailWorks以外のメー ル・システムのアドレス・タイプを格納する機能が強化さ れ,さまざまなタイプのアドレスを持つドラフト・メッセー ジや送信済メッセージを日本語MailWorksのメッセージ・ス トアに格納できるようになりました。 追加または変更された機能 1-5 o confprefコマンドで,受信メールの転送先アドレスの表示や 設定を行うための(-redirection)オプションが使用できるよ うになりました。これにより,受信メールを別のメールボッ クスに自動的に転送する命令をコマンド行から出せるように なりました。 o 役に立つサンプルのシェル・スクリプトやプログラムを収録 した"unsupported"という名前のディレクトリが追加されま した。ただし,ディレクトリ名が示すように,これらのプロ グラムは「現在あるがままの形で」提供されるものであり, サポートは行われません。サンプル・プログラムの中には, システムの全加入者に対するグローバルな別名を作成するス クリプトや,バックグラウンドで動作し,20分ごとにシステ ムにログインしたユーザ数のログを取るスクリプトなどがあ ります。 o DMW-deleteスクリプトで,ユーザのUNIXアカウントを存続さ せるためのオプションと,ユーザのX.500ディレクトリ・エ ントリを存続させるためのオプションが使用できるようにな りました。 o インストールの段階でカーネル・チューニング・パラメータ をチェックできるようになったため,予定されている同時接 続ユーザ数に対しては,システムのチューニングで確実に対 処できるようになった。 o SMTPメッセージの送信時に,SMTP差出人の"From"アドレ スが,X.500ディレクトリ・エントリから取得したRFC-822 メールボックスの値(インターネット・アドレス)と置き 換えられるように設定できるようになりました。また, SMTPメッセージの送信時に,ローカル受信者のアドレスが X.500 RFC-822メールボックスの値と置き換えられるよう にすることもできます。いずれも,MAILworksrcのパラメー タ,lookupSMTPOriginatorとlookupSMTPRecipients(どちら も省略時の値はFALSE)で機能を制御できます。X.400メッセ ージのアドレスのマッピングに使われていたディレクトリ が,SMTPメッセージのアドレスのマッピングにも使われま す。 この機能を使用する場合,X.500のRFC-822属性が正確でなけ ればなりません。さもないと,混乱したアドレスが返される ことになります。また,InfoBrokerがX.500とローカル・デ ータ・ファイルの両方を使用するように構成されている場合 も,注意が必要です。検索の結果,ユーザごとに2つのエン トリが返されてしまいます。複数のエントリが見つかると, 1-6 追加または変更された機能 エラーが記録され,ユーザのアカウント名とシステム名を基 にアドレスが作成されます。 o 『日本語MailWorks for UNIXワークグループ/システム管理 ガイド』マニュアルの構成が見直され,全体に読みやすくな り,内容も充実しました。 o 製品全体を通じて,"MAILworks"が"MailWorks"に改められま した。そのため,"MAILworks"という名前を参照しているス クリプトはすべて変更する必要があります。 o 新しい日本語MailWorksパラメータ,searchMWUserNameが追 加されました。このパラメータがTRUEに設定されていると, TeamLinksのディレクトリの検索中に入力された「姓」の 値も「MAILworks User Name」フィールドの値と照合されま す。省略時の値はTRUEです。 o インストールの段階で,X.400を使用するかどうかを問い合 わせるようになりました。X.400を使用しない場合は,X.400 に関連するプロセス(x488gsendとx488grecv)は動作しませ ん。これにより,不要なエラー・メッセージがログ・ファイ ルに記録されるのを避け,インストレーションIVPにエラー が報告されるの避けることができます。 o X.400の128文字制限を越える長さのRFC-822 dda値が128文 字に切り詰められるようになりました。RFC-822 dda値は, X.400経由で送信されるSMTPアドレスで,X.500ディレクトリ を使ってはX.400アドレスにマップできないSMTPアドレスを エンコードするために使われます。 この切り詰め機能を解除するには,MAILworksrcの新しいパ ラメータtruncateDDAValueをFALSEに設定します。省略時設 定はTRUEです。 o MAPIドライバを使ってユーザ・パスワードの設定や再設定を 行える機能をサーバがサポートしました。この機能は,MAPI ドライバのV1.2から使用できます。MAPIドライバの詳細,制 限事項,および取扱方法については,MAPIドライバのマニュ アルを参照してください。 o X.400メールの処理速度が向上しました。x488gsendプロセス (X.400メッセージをMTAに依頼するプロセス)のマルチスレッ ド化により,アウトバウンドX.400メッセージのスループッ トが向上しています。 追加または変更された機能 1-7 複数のx488grecvプロセスを手動で起動できるようになった ため,インバウンド・メッセージのスループットが向上して います。現在のところ,この操作は手動でのみ行うことがで きます。また,起動したプロセスをstopMAILworksコマンド で停止させることはできません。将来のリリースでは,この 点の自動化をさらに進める予定です。 o trashTempFoldersリソース(MAILworksrcファイルに格納され ている)の省略時の値がTRUEに変更されました。省略時設定 で,Motifクライアントからの照会をサポートするために作 成された一時的フォルダが,メッセージ・ストアとの接続が 閉じられた時点で削除されるようになりました。 o replaceNULリソースの省略時の値が,""に変更されました。 これで,インバウンドX.400メッセージに関して,テキスト 本体部に埋め込まれたNULL文字がすべて削除されるようにな ります。これまでは,NULL文字が見つかると,そこから先の テキスト本体部が切り捨てられました。 o flushBodyPartsが,MAILworksrcファイルに定義済みの新し いパラメータとして追加されました。このパラメータをTRUE に設定すると,メッセージ・ストア・サーバは,できるだけ 早く本体部をメモリからフラッシュさせ,クライアントがフ ォルダの内容を表示したときに,多くの一時的ファイルが作 成されるのを防止します。 flushBodyPartsの省略時の値はTRUEです。 o confprefコマンドに新しいオプションが追加され,全ユーザ が使用する省略時のユーザ設定を共通の値に設定しやすくな りました。 _________________________________________________________________ 1.3 使用上の注意 日本語MailWorksユーザが混合型伝送メール(X.400とSMTPの両アド レスを含む受信者リスト宛のメール・メッセージ)を送信する場 合は,X400ServerAddressリソースをMAILworksrcファイルに追加 する必要があります。このリソースは,X.400アドレスを日本語 MailWorksサーバ用に定義したものです。X.400とSMTP(RFC-822) の両方の受信者宛に「reply-all」を送信したときにreply-all 機能を適切に動作させるには,この設定が必要です。X.400経 由で送られるメッセージ内のSMTPアドレスは,X.400アドレス の中にカプセル化されることがあります。X.400アドレスとして は,X400ServerAddressの値に,タイプがRFC-822で,値がSMTPア 1-8 追加または変更された機能 ドレス(必要に応じてprintable-string形式に変換されます)の領 域定義属性を付加したものが使われます。 X400ServerAddressアドレスは,MTAに定義されている日本語 MailWorksサーバ用のMTS O/Rアドレスと一致させる必要がありま す。 例 X400ServerAddress="/c=us/admd=admin/prmd=mynode" インバウンド・メッセージに対して,日本語MailWorksは,次の規 則を適用して,カプセル化されたアドレスをSMTPアドレスに変換 するかどうかを決定します。 o X400ServerAddressエントリがMAILworksrcファイルに定義さ れており,このエントリが受信者アドレスのサーバ部と一致 するときは,カプセル化されたアドレスがSMTPアドレスに変 換されます。 o X400ServerAddressエントリがNULL(X400ServerAddress="") になっているときは,日本語MailWorksによってカプセル化 されているかどうかに関係なく,すべてのRFC-822アドレス がSMTPアドレスに変換されます。 追加または変更された機能 1-9 2 _________________________________________________________________ 解決した問題 本章では,日本語MailWorks for UNIX V2.0で解決された問題につ いて説明します。 _________________________________________________________________ 2.1 V2.0で解決された問題 o いくつかのプロセスで起きたメモリ・リークがなくなりまし た。 o 一部のX.400アドレス・フィールド(organizationなど)内の 括弧がprintable string文字のフォールバックの並びに正し くマップされないという問題が解決されました。 o 個人名が姓と頭文字だけのX.400アドレスが,姓と名だけか らなる個人名と混同されるという問題が解決されました。こ れまでは,この問題のため,このようなアドレスに対する返 信がうまくいかず,Motifクライアント・ユーザは,個人名 が姓と頭文字だけのアドレスを入力できませんでした。 o MAILbus 400 MTAとの通信の際に起きた2つの問題,つまり, MTA上の一時的ファイルへの割り当てが解除されない問題 と,MTAとのOSI接続に関して,切断中にエラーが発生する と,接続が正しく解放されないという問題が解決されまし た。 o コンマを含む個人名に関係するいくつかの問題が解決され, 別のユーザに配信されたり,まったく配信されなかったりし たそのような個人名を持つユーザへの返信が正しいユーザに 配信されるようになりました。 o ドラフト・メッセージを保存すると失われていた配信通知へ の要求が,現在は保存されるようになりました。 o 通信エラーが起きたときのエラー処理が改善され,通信エラ ーが起きると,サーバが再試行したり,エラーを適切に報告 するようになりました。 解決した問題 2-1 o RFC-822領域定義属性の比較で,大文字と小文字が区別され なくなりました(文字列中の大文字と小文字は一致します)。 これにより,着信したX.400メッセージの封筒からローカル 受信者を識別する能力が改善されます。 o DMW-deleteスクリプトで,メッセージ・ストアを使用禁止に する機能が使えるようになりました。これは,メッセージ・ ストアがまだ活動しているのに(たとえば,ユーザがログイ ン中であるとか,そのユーザのアカウントに配信中のメール があるといったケースが考えられます),そのユーザを誤っ て削除してしまうという起こりうる問題を回避するのに役立 ちます。 o mschkの堅牢性が改善され,メッセージ・ストアの破損から 正常に回復できる範囲がさらに広がりました。 o TeamLinksクライアントが使用する場合を考慮して,日本語 MailWorksサーバは,領域定義属性だけで一般名を持たない X.400メッセージを受信したときに,短縮された送信者文字 列を生成するようになりました。 o これまでは,1行の文字数が1000文字を超えるSMTPメッセー ジ(Postscriptファイルでしばしば見られます)がsendmailに 渡されると,sendmailキューがスタックを起こしました。 本バージョンの日本語MailWorksは,1000文字を超える行 を見つけると,メッセージ中に行送り文字を挿入して問題 の発生を未然に防止します。行送りの挿入に当たっては, Postscriptの有効性を損なわないように配慮されています。 ソフトラップされた段落テキストに与える影響も最小限に抑 えられるようにしています(いずれにしても,スタックのメ ッセージよりも,行送り文字の煩わしさの方が問題は少ない でしょう)。 o 印刷可能文字列のマッピングの問題が解決されました。これ により,日本語MailWorksがX.400メッセージの送信を試みた ときに,MTAによって返される26番代のエラー(無効な構文) の発生回数が減ります(場合によってはなくなります)。 o X.400から受信したメッセージをSMTPを使って転送すると, メッセージに埋め込まれたX.400アドレスが破損するという 問題が修正されました。 o 転送されたSMTPメッセージがlsfdキューでスタック・エラー を起こし,X.400 APIエラー20を出して失敗するという問題 が解決されました。 2-2 解決した問題 o コマンド行のincコマンドに-nointeractiveオプションを指 定して,大きなメッセージのコレクションをインポートする と,たまたまハングすることがありました。 o X.400経由でメッセージを送信するときに,送信ユーザの個 人名にコンマが含まれていると,日本語MailWorksサーバが 個人名を配布リストとして扱うため,返信が誤った受信者に 送られるといった問題がありました。 o X.400 MTAに転送中のメッセージが失敗して,ログ・ファイ ルにエラーを記録する際に,スタック・トレースも記録する ようになりました。これは,開発チームが問題の原因を特定 するのに役立ちます。ここで記録されるスタック・トレース は,致命的なエラーを示すのが目的ではなく,診断に役立つ 情報を提供するのがねらいです。 o ノイズが多かったり,混雑しているネットワークでは,サー バが一回の読み出し操作で情報パケット全体を取り出せない 場合がありました。現在は,パッケージ全体が読み出される まで,再試行が繰り返されます。 o mcsサーバ経由でメッセージ・ストアを開いている途中で, メッセージ・ストアに何らかの破損が発生すると,メッセー ジ・ストアを正常に閉じられなくなるだけでなく,新たな損 傷を引き起こすことがありました。 o mschkがさらに堅牢になったため,破損したメッセージ・ス トアを完全に回復させるのに,mschkを2回起動する必要がな くなりました。 o X.400メッセージをMTAに転送できなかったときに,メッセー ジの依頼元であるPCの時計がサーバの時計よりも遅れている と,サーバは,その送信を再試行と勘違いし,配信不能通知 を生成しました。現在は,メッセージが配信されるまで再試 行を繰り返します。また,再試行の間隔は,PCの時計がサー バの時計よりも進んでいると通常より短くなり,逆に遅れて いると通常より長くなります。 PCの時計は,できるだけサーバの時間に合わせるようにして ください。再試行の間隔を選択するときに,時間を合わせる ように心がけるのもよい方法です。時間の比較は,PCが報告 するローカル時間を使って行われます。PCとサーバの時間帯 が異なる場合は,DeliveryTimeOutパラメータの値を適宜増 やします。 解決した問題 2-3 o 一部のX.400アドレス指定形式を使用したときに,配信要求 と受信通知がドラフト・メッセージに正しく保存されないと いう問題がありました。 o 現在のlsfdデーモンは,組み込まれるときに,そのキュー内 のすべてのメッセージを処理できる適切な権限が与えられま す。前のリリースでは,lsfdデーモンが一部のメッセージを 処理できないため,キューが「スタック・エラー」を起こす ことがありました。 o mcsサーバが,ネットワーク接続の中断があったときに適切 に対処できるようになりました。これで,mcsサーバが「ス ピン」を起こす原因の1つが解決されたことになります。 o mcsサーバのメモリ破損の問題(通常セグメント・フォー ルトを引き起こします)が解決されました。この問題は, TeamLinks for Macintoshユーザがoutboxに保存したメッセ ージを送信しようとしたことによって引き起こされました。 o X.121アドレスが,PCクライアントにとって適切に処理され るようになりました。 o ReplyRecipients(Reply-to-usersとも呼ばれます)が,イン バウンドX.400メッセージで正しく処理されるようになりま した。 o メッセージの発信者が要求していないのに,X.400の配信通 知または配信不能通知がサーバに届いた場合,配信通知は発 信者に送られずに,廃棄されるようになりました。 o メッセージの受信時に起こっていたメモリ・リークの問題が 解決されました。 o サーバがシャット・ダウンしたときに,メッセージ・スト ア・サーバでセグメント・フォールトの情報がログ・ファイ ルに書き込まれるという問題が解決されました(ただし,セ グメント・フォールトが起きるのは,サーバがメッセージ・ ストアの処理を終了した後であったため,ログ・ファイルの 内容にも関わらず,実質的な損害はありませんでした)。 o PCクライアントの検索操作で作成される空の一時的フォルダ が削除されるようになりました。 o incコマンドで,メッセージ・ファイルをインポートする際 の応答回数を減らすように,つまり新規フォルダの作成を要 求するプロンプトを表示させないように設定できるようにな りました。これは,このコマンドを使って多数のメッセージ 2-4 解決した問題 を日本語MailWorksメッセージ・ストアにインポートすると きに助かります。 o mschkがさらに堅牢になり,メッセージ・ストアで特殊な事 態に遭遇しても失敗しないようになりました。ただし,ごく まれにですが,mschkはメッセージ・ストアの問題を完全に 修正し終わる前に,動作を終了することがあります。mschk が「Compacting message store....」や「Completed.」のメ ッセージを表示したまま停止した場合は,mschkを再起動し て残りの問題を修正してください。 o 保存期限を指定されたメッセージを期限が来る前に開封した 場合,開封されずに削除されたという内容のメッセージが発 信者に送られることがよくありましたが,現在ではありませ ん。 解決した問題 2-5 3 _________________________________________________________________ 既知の問題と制限事項 日本語MailWorks V2.0には,次のような既知の問題と制限事項が あります。 o 日本語MailWorksとDistributed Computing Environment(DCE)との間の互換性の問題があります。詳 細は,第3.1節を参照してください。 o 日本語MailWorksとInfoBroker Serverが1つのシステムにイ ンストールされ,X.500がリモートのシステムにインストー ルされている構成で,DMW-addスクリプトでアカウントを作 成すると,DXIMが見つからないという内容のエラーが表示さ れます。詳細は,第3.2節を参照してください。 o TeamLinks for WindowsまたはTeamLinks for Macintoshで Outboxフォルダの設定を行っても,保存した設定は,現在の セッションを終了すると失われてしまいます。 o Inboxフォルダの設定を行うユーザ設定が機能しません。 o TeamLinks for Macintoshで,「MAIL」ファイル・キャビネ ット内のフォルダを選択して日付で並び替えるオプションを 変更すると,選択したフォルダだけでなく,そのファイル・ キャビネット内のすべてのフォルダに対して変更が適用され てしまいます。 o /usrファイル・システムがいっぱいになると,mcsのセグメ ント・フォールトを引き起こし,スレッドのスピンを招きま す。 o Netscapeバージョン2.0などの一部のPOP3クライアント で,サーバにメッセージを残すオプションを指定しても, MailWorks POP3サーバに対しては効果がありません。 o DMW-addスクリプトを使って新しいユーザ・アカウントを作 成すると,次の形式のエラーがmsslogに出力されます。 the file /usr/users/foo/foo.po could not be opened 新しいアカウントを作成するときに起きたエラーであれば, このメッセージは無視して構いません。 既知の問題と制限事項 3-1 o コマンド行インタフェース(またはコマンド行インタフェー スを使うスクリプト)を使ってメッセージ・ストアにアクセ スした後に,そのメッセージ・ストアを使用禁止にすると, コマンド行サーバをいったん停止して,再起動しないと,コ マンド行からはこのメッセージ・ストアにアクセスできなく なります。たとえば,月曜日にBobがコマンド行インタフェ ースを使ってメッセージを読み,その日の夜に予定している バックアップに備えてBobのメッセージ・ストアを使用禁止 にした場合,火曜日のBobは,コマンド行サーバを再起動し ないかぎり,コマンド行を使用できません。 メッセージ・ストアが使用禁止にされても,その前にコマン ド行サーバからのアクセスがなければ,この問題は発生しま せん。また,これは,コマンド行インタフェースだけの問題 であり,その他のクライアントには影響しません。 コマンド行サーバを停止するには,rootとしてログイン し,ps auxw | grep CLSコマンドを使ってサーバのプロセ ス番号を調べてから,kill コマンドを実 行します。サーバを再起動するには,rootとしてログイン し,/usr/opt/DMW/clbin/MAILworksCLSコマンドを実行しま す。 _________________________________________________________________ 3.1 DCEに関する制限事項 DCE V1.3には,InfoBroker Serverが使用する重要なX.500イメー ジを書き換えてしまうという既知の問題があります。このため, DCEをインストールすると,InfoBrokerが起動しなくなります。影 響を受けるファイルは/usr/lib/shlib/libdxdutil.soです。 日本語MailWorksでは,X.400メールの配信にInfoBroker Serverが 必要なため,DCE V1.3はサポートしていません。DCEのインストー ル後にこの問題が表面化した場合は,最新版のDCEにアップデート するか,パッチを使用することをおすすめします。詳細は,最寄 りの日本DEC各支店/営業所にお問い合わせください。 3-2 既知の問題と制限事項 _________________________________________________________________ 3.2 リモートのX.500データベースに関するDMW-addスクリプトの問題 日本語MailWorksとInfoBroker Serverが1つのシステムにインスト ールされ,X.500がリモートのシステムにインストールされている 構成で,DMW-addスクリプトでアカウントを作成すると,DXIMが見 つからないという内容のエラーが表示されます。 この問題を回避するには,次の手順を実行します。 1. DMW-addスクリプトを実行すると表示される次の質問に"N"と 答えます。 Does your site use X500 n 2. アカウントを作成した後に,/var/opt/DMW/DAXdatafileま たは/var/opt/DMW/admin内にある個々のユーザ・ファイ ル,username.daxのどちらかを,X.500管理ツールの実行を 許諾されているシステムに移動します。 3. X.500が動作しているシステムで,次のコマンドを実行しま す。filenameにはコピーしたファイル名が入ります。 # dxim -c dxim> do filename dxim> exit コマンドの入力例: dxim> do username.dax 既知の問題と制限事項 3-3 4 _________________________________________________________________ V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 本節では,日本語版で追加された新機能および制限事項について 記述します。 _________________________________________________________________ 4.1 インターネット・メール機能の強化 インターネット・メール機能が強化され,異なる漢字コードでエ ンコードされたメールを受信し,表示できるようになりました。 4.1.1 受信時の動作 o 関連するファイルおよびパラメータ 受信には,設定ファイル/usr/opt/DMW/MAILworksrc中の 以下のパラメータが関連します。また,/usr/lib/mail- codesetsも関連します。 表 4-1 受信時に関連するパラメータ ___________________________________________________________ パラメータ自身を 関連するパラメータ___取り得る値____________省略したときの値 defaultExchangeCode ISO-2022-JP, eucJP, なし EUC,sdeckanji, deckanji, SJIS, ShiftJIS, DEC-KANJI, US-ASCII, ISO-8859-1 LS_Disable TRUE, FALSE FALSE AutoKanjicodeDetect__TRUE,_FALSE___________FALSE___________ V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 4-1 o ヘッダの値 日本語MailWorks for UNIXでは,以下のヘッダについて受信 時に認識します。 表 4-2 受信時に認識するヘッダの値 ___________________________________________________________ ヘッダ_____________認識する値______________________________ Content-Type:の ISO-2022-JP, X-eucJP, X-EUC, X- charset sdeckanji, X-deckanji, X-SJIS, X- ShiftJIS, DEC-KANJI, US-ASCII, ISO- 8859-1 Content-Transfer- 7bit, quoted-printable, base64, 8bit, Encoding:__________binary__________________________________ o 受信時の動作-ボディ 日本語MailWorks for UNIXがインターネットからメッセ ージを受信した場合,まず,MIMEデコードを行います。ヘ ッダContent-Transfer-Encoding:が存在する場合,このヘ ッダで指定されている方式でデコードを行います。有効な 方式はquoted-printableとbase64です。7bit, 8bitあるい はbinaryの場合は何も行いません。また,このデコードは, ヘッダContent-Type:がtext/plainのtype/subtypeの組を持 つときのみ行われます。 受信時には以下の順番で,ボディで使われている漢字コード を決定します。 1. ヘッダContent-Type:のcharset=で指定されたコード 2. /usr/opt/DMW/MAILworksrc中のdefaultExchangeCodeパ ラメータ 3. /usr/lib/mail-codesets 4. 上記のいずれでも決定できない場合,/usr/opt/DMW /MAILworksrc中のAutoKanjicodeDetectパラメータ がTRUEであれば自動認識を行う。TRUE以外の場合, ISO-2022-JPとなる。 defaultExchangeCodeおよび/usr/lib/mail-codesetsで有効 なコードは,上記の表 4-1に示されたいずれかです。 4-2 V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 決定されたコードがSJISあるいはShiftJISの場合,シフト JISからsdeckanji(SuperDEC漢字:以降,SDKとします)へ の変換が行われます。US-ASCIIあるいはISO-8859-1の場合, 変換は行われません。それ以外の場合,JISからSDKへの変換 が行われます。また,LS_DisableがTRUEに設定されていると きは,Shift out (0/14)を無視して漢字コードを変換しま す。 o 受信時の動作-ヘッダ Subject:ヘッダなどの,ヘッダ中の漢字コードの扱いは以下 のようになっています。 1. /usr/opt/DMW/MailWorksrc中のAutoKanjicodeDetectが TRUEである場合,自動認識を行う。 2. それ以外の場合,ISO-2022-JPであるとしてJISからSDK への変換を行う。 4.1.2 送信時の動作 o 関連するファイルおよびパラメータ 送信時には,設定ファイル/usr/opt/DMW/MAILworksrc中 の以下のパラメータが関連します。また,/usr/lib/mail- codesetsも関連します。 表 4-3 送信時に関連するパラメータ ___________________________________________________________ パラメータ自身を 関連するパラメータ___取り得る値____________省略したときの値 defaultExchangeCode ISO-2022-JP, eucJP, なし EUC, sdeckanji, deckanji, SJIS, ShiftJIS, DEC-KANJI, _____________________US-ASCII,_ISO-8859-1__________________ o 送信時の動作 送信時には以下の順番で漢字コードを決定します。 1. /usr/opt/DMW/MAILworksrc中のdefaultExchangeCodeパ ラメータ V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 4-3 2. /usr/lib/mail-codesets 3. 上記二つで決定できない場合,ISO-2022-JPとなる。 defaultExchangeCodeおよび/usr/lib/mail-codesetsで有効 なコードは,上記の表 4-3に示されたいずれかです。この うち,SJISあるいはShiftJISを指定した場合,シフトJISへ の変換が行われます。また,ISO-2022-JPを指定した場合, ISO-2022-JPへの変換が行われます。それ以外のコードを指 定した場合,コード変換は行われず,SDKのまま送信される ことになります。 _________________________________________________________________ 4.2 日本語Digital UNIXの電子メールとの互換性 日本語Digital UNIXでは/usr/lib/mail-codesetsを参照してメ ール交換コードを決定しますが,日本語Digital UNIXで使用で きるものと,日本語MailWorks for UNIXで使用できるものには違 いがあります。日本語MailWorks for UNIXで使用できるものは, 表 4-1あるいは表 4-3に示されたものだけです。 _________________________________________________________________ 4.3 修正された問題点 o MotifクライアントおよびTeamLinksからの文字列の検索が正 しく行えるようになりました。従来は大文字と小文字を区別 していましたが,本バージョンからは大文字と小文字を同一 視します。また,漢字を含む文字列についても,正しく検索 できるようになりました。 o 宛先(To:, Cc:, Bcc:)にSMTPとローカル・メッセージ・スト アの両方を指定して送信した場合,ローカル・メッセージ・ ストアで受け取ったメッセージは,最後に余分な文字が入る ことがありました。本バージョンではこの問題が修正されま した。 4-4 V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 _________________________________________________________________ 4.4 制限事項 o internetから来たメッセージの受信時に以下の制限事項があ ります。 - 漢字コードの自動認識は完璧ではありません。特に,シ フトJISでエンコードされているメッセージで,偶数個 の連続した半角カタカナのみを含む行や,偶数個の連続 した半角カタカナおよびASCII文字のみを含む行の場合 は,誤ってSuperDEC漢字と認識してしまい,文字化けを 起こすことがあります。 - 漢字コードの自動認識は行単位で行っています。そのた め,一つのメッセージ中でも文字化けを起こす場合があ ります。 - 半角カタカナを含むメッセージをMicrosoft Exchangeク ライアントで作成し,インターネットメールMAPIサービ スプロバイダ(これはMicrosoft Plus!により提供され ます)経由で送信した場合,そのメッセージを日本語 MailWorks for UNIXで受信すると,その半角カタカナの 行以降が文字化けすることがあります。 - 日本語MailWorks for UNIXはContent-Type:ヘッダを参 照し,メッセージはそのヘッダに書いてある文字コード であるとして処理を行います。したがって,Content- Type:ヘッダで指定された文字コードが正しくない場 合,受信したメッセージを正常に表示できないことがあ ります。 - Netscape Navigator 2.02 Windows版から送信された長 いSubjectのメッセージを受信した場合,完全にヘッダ 部をMIMEデコードすることができずに,途中からMIMEエ ンコーディングされたままになります。 - 本バージョンで追加された,パラメー タdefaultExchangeCode, AutoKanjicodeDetect, LS_ Disableは,将来のバージョンで変更される可能性があ ります。 - Motifクライアントのプルダウン・メニューをtear-off すると,tear-offされたウィンドウのタイトルが漢字な どの文字を含む場合,文字化けをします。 - Motifクライアントでは,文字列のラップの動作が以前 のバージョンと異なる場合があります。 V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 4-5 o コマンド行インタフェース - 日本語MailWorks for UNIXでは,コマンド行インタフェ ースをサポートしていません。 4-6 V2.0日本語版で追加された日本語処理機能と制限事項 5 _________________________________________________________________ Digital UNIXのパッチ 日本語MailWorksの正常な動作を保証するには,以下の節で説明す るDigital UNIXのパッチを適用する必要があります。 Digital UNIXに必要なパッチの完全なリストは,最寄りの日本DEC 各支店/営業所にお問い合わせください。 _________________________________________________________________ 5.1 Digital UNIX V3.2-Cのパッチ o パッチID: OSF350-225 AdvFSファイル・システムを使用するマルチプロセッサ・シ ステム,特にrootとusrファイル・システムにもAdvFSを使用 しているシステムで,中程度以上のI/O負荷がシステムにか かると,インタラクティブなプロセスに断続的なフリーズが 起きるという問題を解決します。インタラクティブなプロセ スのフリーズは,数秒〜数十分間続きますが,何かの拍子に 正常に戻ります。この問題は,NFSクライアントやグラフィ ック・サブシステムを使っているマルチプロセッサ・システ ムでも起きます。 o パッチID: OSF350-108 逆リンクされているコード内またはdlopen()のlibc_r内で起 き,名前がパターンget*_rと一致する関数が呼び出されると いう問題を解決します。この問題を露呈したプログラムは, しばしばコアダンプし,この問題がget*_r関数のどれかで起 きたことを示すスタック・トレースを出力します。 Digital UNIXのパッチ 5-1 o パッチID: OSF350-105 DECthreadsにリンクしているアプリケーションが,オペレー ティング・システムのメモリ限界に達していないにもかかわ らず,使用可能な空きメモリがないかのような振る舞いをす るという問題を解決します。 o パッチID: OSF350-126 マルチスレッド・プロセスが,強制終了または停止されたと き,あるいは別の理由で非同期に停止または終了されたとき に起きる問題を解決します。プロセスは連続的な待機状態に 入り,通常ps出力に"U"が表示されます。 o パッチID: OSF350-133 strncat()の第2引数(ソース配列)が指し示すメモリ中の位 置からnバイト目(第3引数)までの間にヌル区切り文字がない と,strncat()関数がSEGVで失敗し,nバイト目の直後に続く メモリのマップが行われないという問題を解決します。 o パッチID: OSF350-151 SMPマシンが,多くのWebサーバ・デーモン(ns-httpdやhttpd など)を実行したときに起きる問題を解決します。すべての Webサーバ・デーモンが,同じヘッド・ソケットで入力ソケ ットを受け入れると,システムはパニックを起こします。 o パッチID: OSF350-168 呼び出し共有型のアプリケーションが,共有ライブラリ・プ ロシージャの負荷に加えて,メインの実行部に実装した別の プロシージャの負荷をかけたために起きた「セグメント・フ ォールト」の問題を解決します。 _________________________________________________________________ 5.2 Digital UNIXバージョン3.2-Dのパッチ Digital UNIX V3.2Dには,次のパッチが必要です。 o パッチID: OSF360-350108 逆リンクされているコード内またはdlopen()のlibc_r内で起 き,名前がパターンget*_rと一致する関数が呼び出されると いう問題を解決します。この問題を露呈したプログラムは, しばしばコアダンプし,この問題がget*_r関数のどれかで起 きたことを示すスタック・トレースを出力します。 5-2 Digital UNIXのパッチ o パッチID: OSF360-350133 strncat()の第2引数(ソース配列)が指し示すメモリ中の位 置からnバイト目(第3引数)までの間にヌル区切り文字がない と,strncat()関数がSEGVで失敗し,nバイト目の直後に続く メモリのマップが行われないという問題を解決します。 o パッチID:OSF360-350145 FDDIドライバをアップデートすると,次の点が改善されま す。 - fta_reinitializeの大規模なリワークを行い,停止後の インタフェースのスタックを解消します。 - 不正な入力パケット(CRC,不法な長さなど)の発信元ア ドレスと宛先アドレスを表示します。 - 一部のDECnetカウンタに見られるバンピングを抑え,最 大値で止まるようにします。 o パッチID: OSF360-350151 SMPマシンが,多くのWebサーバ・デーモン(ns-httpdやhttpd など)を実行したときに起きる問題を解決します。すべての Webサーバ・デーモンが,同じヘッド・ソケットで入力ソケ ットを受け入れると,システムはパニックを起こします。 o V3.2Dキットに添付されているsendmailには問題がありま す。このsendmailのパッチが公開されるまでは,V3.2Dキッ トでインストールしたsendmailとbinmailは削除し,代わり にV3.2Cキットに添付されているものを使用してください。 Digital UNIXのパッチ 5-3 6 _________________________________________________________________ InfoBrokerのパッチ 日本語MailWorksを正常に作動させるには,InfoBroker V2.0と V2.1のパッチをインストールしなければなりません。これらのパ ッチは必須です。このパッチで,X.500で日本語MailWorksクライ アントの検索を行ったときに,メモリが破壊されるという問題が なくなります。 パッチの入手方法は,最寄りの日本DEC各支店/営業所にお問い合 わせください。 InfoBrokerについてはV2.1A-2をインストールすることをおすすめ します。 InfoBrokerのパッチ 6-1 7 _________________________________________________________________ トラブルシューティング _________________________________________________________________ 7.1 非能率なディレクトリ検索 日本語MailWorks V1.5B以降では,非能率なディレクトリ検索を行 うと,警告のメッセージが表示されることがあります。 警告メッセージは,次の例のような形式 で,/var/opt/DMW/logs/msrlogファイルにログとして記録され ます。 Mon Feb 12 15:47:56 1996, Program: /usr/opt/DMW/bin/msr, User: root, Type: Err, Sev: Warning Version: 1.7-A, Version Date: Tue Oct 3 01:22:45 EDT 1995 Module: 12, Error: 34 Inefficient directory lookup performed because a directory entry is missing common name or personal name information. X.400 address for this entry is . このメッセージは単に警告を発するだけですが,非能率なディレ クトリ検索を行うと間違いなく表示されます。 ■背景 MAILbus 400 MTAからメッセージを受信した日本語MailWorksは, 正しいメッセージ・ストアに配信するために,どのローカルUNIX ユーザ宛に送られてきたメッセージなのかを確認する必要があり ます。この確認は,メッセージにある受信者のO/Rアドレスを参照 してX.500Directoryの対応するエントリを検索することで行いま す。 トラブルシューティング 7-1 日本語MailWorks for UNIXの旧バージョン(V1.5Bとそれ以前のバ ージョン)では,O/Rアドレス全体とmhs-or-addresses X.500属性 を照合することにより検索を行っていました。一致するエントリ が見つかると,次はdecMAILworksUserName属性を見ることになり ます。 X.500はmhs-or-addresses属性のインデックスを作成しないため, この検索には膨大な時間がかかりました。しかも,多くのエント リが,1人のユーザに適用されるすべてのO/Rアドレスを指定する 必要から(たとえば,スペルが違う複数の名前を表示したり,完全 な個人名情報や部分的な個人名情報を提供するといったように), 複数のmhs-or-addresses値を持っています。 日本語MailWorks V2.0からは,検索にmhs-or-addresses属性を 使わなくなくなりました。現在は,O/Rアドレスの一部である一 般名か個人名のどちらかが使われます。この属性を使ってエン トリの検索が行われます。X.500はこれらの属性(commonname, givenname,surname,initials,generation)のインデックスを 作成するため,検索は高速に行われます。しかし,これらの属 性の中に一致するものが見つからないと,日本語MailWorksは, mhs-or-addresses属性を使用する従来の方法で検索を行います。 この後者の方法で検索が行われると,警告メッセージがログに記 録されます。 ■解決法 X.500ディレクトリ内のユーザのエントリを修正することにより, 日本語MailWorksの処理性能を向上させることができます。 一般に,各ユーザ・エントリが持つmhs-or-addresses属性の値は1 つだけです。これがユーザの優先的なO/Rアドレスになります。ま た,エントリには,あり得る数の一般名と個人名属性をO/Rアドレ スに持たせます。 たとえば,Jim Thompsonという名前の日本語MailWorksのユーザ がいたとします。V1.5Bより前のバージョンでは,このユーザの X.500エントリは次の例のようになります。 7-2 トラブルシューティング dxim> show entry /C=CO/O=ORG/OU=OU1/CN="Jim Thompson" /C=CO/O=ORG/OU=OU1/CN="Jim Thompson" Object Class = Person = organizationalPerson = decMailUser X400 Mail Address = C=co; A=admd; P=prmd; O=org; OU1=ou1; CN=Jim Thompson = C=co; A=admd; P=prmd; O=org; G=Jim; S=Thompson; OU1=ou1 = C=co; A=admd; P=prmd; O=org; G=James; S=Thompson; OU1=ou1 rfc822Mailbox = jim@ou1.org.com MAILworks User Name = jim Preferred Mail Type = mhs-or-addresses Common Name = Jim Thompson Given Name = Jim Surname = Thompson ここに次のような宛先のメッセージが届いた場合を考えてみま す。 C=co; A=admd; P=prmd; O=org; G=James; S=Thompson; OU1=ou1, 旧バージョンの日本語MailWorksでは,mhs-or-addressesの値 の1つがこのアドレスと一致するエントリを探します。この処 理には非常に時間がかかります。また先のエントリに3番目の mhs-or-addresses属性がなくても,検索に失敗します。 V2.0のシステムで同じメッセージを受信した場合,日本語 MailWorksは,G=James; S=Thompson;という部分を取り出し, インデックス化されているこれらの属性を使ってエントリを検索 します。しかし,この例では,Surname属性はThompsonですが, Given Name属性がJamesになっていないため,この検索は失敗しま す。そのため日本語MailWorksは,前のバージョンで使われていた 方法に戻って検索を始め,非能率な検索の警告メッセージを生成 します。 この状況を打開するには,X.500エントリに別の個人名属性を追加 します。この例では,JamesのGiven Nameを追加し,さらにJames ThompsonのCommon Nameを追加すれば,次のようにアドレスが指定 されたメッセージにも対処することができます。 トラブルシューティング 7-3 C=co; A=admd; P=prmd; O=org; cn=James Thompson; OU1=ou1 次の属性を追加することも考えられます。 Surname = Thomson, Thomsen これで,複数のmhs-or-addresses属性を使用する必要はなくなり ました。最も適切な属性だけを残し,残りの属性は削除すること にします。大部分のメッセージは個人名をアドレスに使うと考え られるので,この例で残しておくべきmhs-or-addresses値は次の ものになります。 C=co; A=admd; P=prmd; O=org; G=Jim; S=Thompson; OU1=ou1 こうすれば,メッセージの送信者がX.500ディレクトリ(たとえ ばInfobroker)を使ってJim ThompsonのO/Rアドレスを探す場合で も,1つしかない優先O/Rアドレスを使えばよいことになります。 ■まとめ o 各エントリに使いたいO/Rアドレスを決める。 o その他のmhs-or-addresses値は削除する。 o ユーザ名に使われるさまざまなバリエーションを考慮して, commonname,givenname,surname,initials,generationの 値を追加する。 _________________________________________________________________ 7.2 Exchangeとの協調 Microsoft Exchangeサーバと日本語MailWorks for UNIXサーバ間 でメールの交換を行う場合,この2つのメール・システムを結ぶイ ンタフェースとして,SMTPとExchange Internet Mailコネクタを 使用することをおすすめします。 ExchangeのInternet Mailコネクタを構成するには,「メッセージ コンテントの情報」を選択して次のオプションを設定します。 o メッセージの送信にはMIMEを使うように設定します。 UUEncodeを指定するよりも,メッセージ転送が正確で, 添付文書のタイプも扱いやすくなります。 7-4 トラブルシューティング o 「相互運用性」で,「リッチテキスト形式で送信」オプショ ンを「ユーザー」または「しない」に設定します。 ここで「常に」を選択すると,Exchangeは,リッチ・テキス トのフォーマッティングを行うために常にTNEF添付文書を生 成します。これは,ExchangeクライアントとMAPIドライバを 組み合わせることで一部対処できますが,Exchange以外のク ライアントのユーザには混乱を招きます。しかも,あらゆる 添付文書が,日本語MailWorksサーバのユーザには読めない TNEFファイルにエンコードされてしまいます。 「ユーザー」または「しない」を選択した場合は,カバー・ メモのリッチ・テキスト・フォーマットはすべてなくなりま すが,統一のとれたメッセージの運用ができます。 トラブルシューティング 7-5