Software Product Description _____________________________________________________________________________ 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 1 概要 日本語DEC OPS5は,高性能な前向き推論のルールベース・アプリケーションを構築す るための開発環境(コンパイラ,ランタイム・ライブラリ,DECwindows Motif [R]ベー スのプログラム/デバッグ環境)です。 ルール(プロダクション)は左辺部(Left Hand Side,LHS)と呼ばれる条件部と右辺部 (Right Hand Side,RHS)と呼ばれる実行部からなる"if-then"ステートメントとして 定義されます。ルールは実世界の概念あるいは実体を表現するメモリー上のオブジェ クトを操作します。これらのオブジェクトはワーキング・メモリー・オブジェクト (Working Memory Objects)と呼ばれ,属性とそれらに割り当てられた値の組み合せに よって構成されています。 認知動作サイクルの度にOPS5はどのルールのLHS条件がワーキング・メモリー・オブジ ェクトの現在の状態を満たしているかを決めるために全てのアクティブなルールのLHS を調べます。そしてその中のどのルールの実行部が実行されるべきなのかを決めるた めに競合解消(Conflict Resolution)を行います。実行(Action)は,ワーキング・メモ リー・オブジェクトの状態を変更することができます。このサイクルは満たされるル ールがなくなるまで,あるいはルールによって意図的に実行が停止されるまで繰り返 されます。 ルールベース型プログラミング言語と従来型プログラミング言語の最大の相違点は, ルールが逐次的な順番で実行されるのではなく,実行の順番がその時々のワーキン グ・メモリの状態に応じて決まるという点です。 日本語DEC OPS5は商用レベルの高性能なルール・ベース・システムの構築に最適なツ ールです。DEC OPS5で開発されたシステムの主な適応分野には以下のようなものがあ ります。 o 構成(Configuration) o 選択(Selection) DIGITAL 1994年6月 AE-PS0NB-TE 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 o 診断(Diagnosis) o プロセスの監視と制御 o スケジューリング o 計画(Planning) o 決定支援 o 高速プロトタイピング 以上のような問題を含んだアプリケーションは,石油化学,保険,金融,交通,航 空,教育,行政など様々な業種に見受けられます。 日本語DEC OPS5はカーネギメロン大学計算機学科のCharles L. Forgy教授による"OPS5 User's Manual"に記述されているOPS5言語を発展させたものです。 日本語DEC OPS5 for OpenVMSは日本語VAX OPS5の機能ををさらに増強させた製品群の 第一弾です。 さらに,日本語DEC OPS5 for OpenVMSには日本語VAX OPS5 V3.0以前のユーザのため に,アッパー・コンパチブルの移行手段が提供されています。 また,RISC/ULTRIX上で動く日本語DEC OPS5もソース互換な形で提供されます。詳細に ついては日本語DEC OPS5 for RISC (SPD 27.Y2.01)を参照して下さい。 日本語DEC OPS5で書かれたアプリケーションからは他の言語で記述されたルーチンを 呼び出すことができます。これらのルーチンはまた,日本語DEC OPS5ランタイム・ル ーチンをコール・バックすることができます。また任意の言語で記述されたメイン・ プログラムから日本語DEC OPS5のアプリケーションを呼び出すこともできます。 特色 o 呼び出し時の引数の自動型変換 o 条件要素記述時の選言命題の利用 o DECwindows MotifサポートのOPS5開発環境(OpenVMS VAXのみ) o NAS準拠の新しいランタイム・ライブラリ・ルーチン群(データ型変換関数を含む) o DEC Rdb for OpenVMSへの組み込みのSQLインタフェースによる容易なデータベース アクセス 2 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 o オブジェクト・クラス間の単一継承関係 o 属性のデフォルト値 o 多値属性とそのマッチングのための新しい述語 o ユニークなオブジェクト識別子 o WMHISTORY,PPCLASS二つの新しいデバッグ・コマンド o COPYアクション o CONCAT関数 日本語DEC OPS5 for OpenVMSは,コンパイラと実行時システム,開発環境の三つの構 成要素から成り立っています。 コンパイラ 日本語DEC OPS5はコンパイル言語としてインプリメントされたことにより非常に高い パフォーマンスが得られました。また"Rete Match"アルゴリズムという技術の採用に よりルールやデータの相互依存関係を非常に効果的な内部表現に置き換えています。 "Rete Network"は実行時の無駄で冗長なテストの必要性を最小限に押さえ,パターン マッチ(検索)のスピードを大幅に向上させています。日本語DEC OPS5コンパイラはこ の "Rete Network"をVAXのインストラクション(命令)に変換し,VAX/OpenVMSの標準オ ブジェクト・ファイルに変換しています。 デフォルトでは日本語DEC OPS5は自動的に実行イメージを生成しますが,ユーザの指 定によって複数のOPS5のファイルをモジュールにわけてコンパイルしてあとから他言 語で記述されたオジュジェクト・モジュールと合わせてリンクするようなこともでき ます。 この機能によって大規模なアプリケーションにおいて日本語DEC OPS5で記述されたプ ログラムをその一部分として他の言語で開発された構成要素とともに統合することが 容易に行えます。 これらの実装技術により日本語DEC OPS5はインタプリタ型やLISPベースの他の前向き 推論ルールベース言語よりも優れたパフォーマンスと高い統合性を実現しました。 日本語DEC OPS5は,実行時に呼び出すことのできるインクリメンタル・コンパイラを 提供しています。これは日本語DEC OPS5のアプリケーション開発におけるプロトタイ プ作成やデバッグ,テストに非常に有効な機能です。 3 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 SQLインタフェース 日本語DEC OPS5は,組み込みのSQL(Structured Query Language)インタフェースを提供しています。これによってDEC Rdb for OpenVMSデータベースから作業記憶の中へデータを読みこんだり,作業記憶のデー タをデータベースに書き込む作業が簡単に行えます。このSQLインタフェースには, fetch, insert, update等の操作を可能とする組み込みのRHSアクションから成り立っ ています。操作はオブジェクトのクラス名とデータベースのテーブル名を1対1に対 応づけて,各オブジェクトを各組(Tuples)に割り当てるような方法の他,柔軟に対応 付けを決める方法がサポートされています。 日本語DEC OPS5 SQLインタフェースのインストールはオプションですが,インストー ルにはDEC Rdb for OpenVMSが必要となります。 実行時システム 日本語DEC OPS5実行時システムは認知動作サイクルによってプログラム中の全てのル ールをつぎつぎと確認しながらルールベース推論のメカニズムを実現しています。 認知動作サイクルは次のステップで成立しています。 1. 認知(Recognize)−ルールのLHSを満足する全ての要素を見つけるために作業記憶の 現在の内容を調べる。 2. 競合解消(Conflict Resolution)−満たされたLHSをもつルールの中から一つを選択 する。満たされたLHSがない場合には,停止する。 3. 実行(Act)−選択されたルールのRHSを実行する。 4. ステップ1に戻る。 日本語DEC OPS5実行時システムはユーザがプログラムの実行を制御したり,デバッグ を行うためのコマンド・インタプリタを提供しています。これには次のコマンドも含 まれています。 o BUILDコマンド:実行中のプログラムに対してstartup, production, catcherなど をインクリメンタルにコンパイルする。 o RESTARTコマンド:実行環境をリセットしてstartupを再実行する。 日本語DEC OPS5実行時システムは他言語からコールすることのできるサービス・ルー チンも提供しています。 4 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 開発環境 日本語DEC OPS5には,DECwindows Motifベースの開発環境がオプションとして提供さ れています。開発環境には,日本語DEC OPS5のプログラムを作成,実行,デバッグ, 修正するために必要なステップが統合されています。ユーザはソースコードを作成, 又は修正し,プログラム全体を再コンパイル,再リンクする必要なしに新しいプログ ラムをテスト,デバッグ,修正することができます。 DECwindows Motifベースの開発環境は,OpenVMS VAX上で使用することができます。 開発環境の特徴 o ユーザ用にカスタマイズ可能なオプション付の標準DECwindows Motifインタフェー ス o 統合されたテキスト・エディタ(QuickEdit,又はVAXTPUベースのJEVE,又はユーザ 指定のエディタ) o 複数のトレース用ウィンドウ o モジュールとOpenVMSのファイルとの1対1の対応 o テンポラリ/パーマネントのソース・コード・データベース付シングル・ユーザ・ システム o 目的別/状況別のオンライン・ヘルプ o DECwindows Motifをサポートする任意のビットマップ・ディスプレイを使用可(カ ラーディスプレイ上でも正しく動作しますが,カラーを特別な用途に使用すること はありません)。 o スタンドアローンのVAXstation上でも,DECwindows Motifクライアント/サーバー モードでも実行可能(日本語DEC OPS5は日本語OpenVMS上で実行され,グラフィック スは,DECwindows Motifディスプレイに表示されます)。 日本語DEC OPS5開発環境のインストールはオプションとなります。ビットマップ・デ ィスプレイのデバイスがない方や,DECwindows Motifのない方は,通常のキャラクタ 端末上で,各種のDCLコマンドを使ってエディット,コンパイル,デバッグや実行を行 うことでアプリケーションの開発が行えます。 5 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 2 必要なハードウェア プロセッサ及びハードウェア構成については『システム・サポート付加情報(SSA 27.Y1.01-A)』に記載されています。 3 必要なソフトウェア 端末ベースのシステム(DECwindows Motifインタフェースなし): 3.0.1 日本語OpenVMS AXPシステムの場合 o 日本語OpenVMS AXPオペレーティング・システム 3.0.2 日本語OpenVMS VAXシステムの場合 o 日本語OpenVMS VAXオペレーティング・システム DECwindows Motifの稼動しているワークステーション 3.0.3 日本語OpenVMS VAXシステムの場合 o 日本語OpenVMS VAXオペレーティング・システム o 日本語VMS DECwindows Motif 本製品に必須の,あるいはオプションとして使用できるソフトウェア製品とその適用 バージョン,及びVMS DECwindowsに関する情報については『システム・サポート付加 情報(SSA 27.Y1.01-A)』を参照して下さい。 4 注文情報 日本語DEC OPS5開発環境/OpenVMS: ソフトウェア・ライセンス: Personal Use (OpenVMS AXP and OpenVMS VAX): QL-913JA-2B Traditional (OpenVMS AXP): QL-0JJJ*-** Traditional (OpenVMS VAX): QL-913J*-** 提供媒体: QA-913AA-** 6 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 ドキュメント: QA-913JA-GZ サービス: QT-913J*-** *は不定の欄を示します。入手できるライセンス,サービス及びメディアについて の詳細は,該当する価格表を御参照下さい。 5 ソフトウェア・ライセンス 日本語DEC OPS5のライセンスを受けたものは以下の条件を満たす限り日本語DEC OPS5 を用いて開発したアプリケーション・ソフトウェアを再生産/配布することができま す。(1)ライセンスを受けたものの標準ソフトウェア・ライセンス規約に従っている こと。(2)プログラムにライセンスを受けたもののcopyrightが明記されていること。 (3)(1)及び(2)の条件が満たされないならばプログラムにDigitalのCOPYRIGHTが明記さ れていること。 本ソフトウェアは日本DEC標準販売約款中のライセンス規定に基づいて提供されます。 日本DECのライセンス条件とその方針についての詳細は,最寄りの日本DECの各支店/営 業所にお問い合わせください。 ライセンス管理情報: 本製品はOpenVMSライセンス管理機能によりライセンスが管理されています。 本製品のライセンス形態は,無制限ユーザ・システム利用権と,パーソナル・ユース の二つです。 パーソナル・ユースのライセンスは各々指定する一個人に製品の利用を許可するもの です。 ライセンス管理機能についての詳細は『VMS Operating System Software Product Description (SPD 25.01.xx)』またはVMSオペレーティング・システムのドキュメン ト・セットの中の『License Management Utility Manual』を参照してください。 6 ソフトウェア製品サービス 日本DECでは,様々なサービス・オプションを提供しています。詳細については,最寄 りの日本DEC各支店/営業所にお問い合わせください。 7 日本語DEC OPS5 for OpenVMS, Version 4.0A SPD 27.Y1.01 ソフトェア仕様書 7 保証 本SPDの「ソフトウェア保証に関する追記」に記された製品ライセンスを購入して頂く ことにより,このソフトウェア製品に対する保証が日本DECより行なわれます。 [R] OSF/1とMotifは,米国Open Software Foundation, Inc.社の登録商標です。 [TM] DIGITALロゴ, Alpha AXP, AXP, CI, DEC, DECwindows, Digital, MicroVAX, OpenVMS, TK, VAX, VAXcluster, VAXft, VAXserver, VAXstation, DEC OPS5, Rdb/VMS,及びVMSは米国Digital Equipment Corporation社の商標です。 8