Software Product Description _____________________________________________________________________________ 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 仕様書の包含する範囲 この文書は、日本語DSM for DEC OSF/1 AXPのソフトウェア機能仕様を述べたもので す。 日本語DSM for DEC OSF/1 AXPは、英語版DSM for DEC OSF/1 AXPを母体として作成さ れている製品です。日本語版と英語版との相違を示す箇所を除き、本文中では、日本 語DSM for DEC OSF/1 AXPを"DSM for DEC OSF/1 AXP"、日本語DSM for OpenVMSを"DSM for OpenVMS"、漢字DSM-11を"DSM-11"、日本語DECwindowsを"DECwindows"、日本語 ULTRIXを"ULTRIX"、日本語ULTRIX worksystemを"ULTRIX worksystem"と記述します。 1 DSM for DEC OSF/1 AXPの概要 DSM for DEC OSF/1 AXP(DEC標準MUMPS)は、DEC OSF/1 AXPオペレーティング・システ ム上で動くMUMPS(X11.1-1990)のANSI標準仕様です。DSM for DEC OSF/1 AXPは、イン タプリタ型の高級言語でかつ、データベース管理機能を持ったシステムです。DSM for DEC OSF/1 AXPソフトウェアは、DECのAlpha AXPプロセッサで使用するものです。ここ ではDSM for DEC OSF/1 AXPをDSMまたはDSM for DEC OSF/1と呼んでいます。DSMソフ トウェアは、ANSI MUMPS仕様のスーパーセットをサポートします。 DSMはまた、Xウィンドウへのインターフェイスも含んでいます。Xウィンドウとは、ア プリケーション・プログラマが精巧で複雑な図形のユーザ・インターフェイスを作成 するためのものです。 1.1 DSM言語 DSM言語は、可変長の文字列データの柔軟な処理と、高性能のデータベース・システム とを組み合わせ、対話型のデータベース・アプリケーション・システムの実行や維持 をさらに容易にしています。 DIGITAL 1994年 4月 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 DSM言語は、ANSI標準MUMPS仕様に加え、次の拡張機能を含みます。 o ローカル変数およびグローバル変数の最大文字列長は、512文字。 o サブスクリプト付きの、ローカル変数およびグローバル変数の最大長は、245文 字。 o ルーチン行の最大長は、512文字。 o DSMルーチンをロード・保存・修正するためのコマンド。 o 端末、順編成ファイル、磁気テープ・デバイス、TCP/IP通信のためのI/O処理のサ ポート。 o MUMPSルーチン・ソース・コードの保護機能。 o DSMアプリケーションの開発・維持を助けるシンボリック・デバッガの提供。この デバッガによって、プログラマがブレイクポイントやウオッチポイントを設定する こと、およびコール・スタックの現在の状態を表示することができます。 o DSMアプリケーションによる、階層的エラー処理ルーチンの構築を可能にするエラ ー処理機能。 o MUMPS以外のプログラミング言語で作成されている関数およびプロシジャに対する MUMPS言語のインターフェイスを提供する外部呼び出し関数の提供。MUMPS標準仕様 の外部呼び出し関数のシンタックスがサポートされています。 ユーザ作成の外部ルーチンのサポートに加えて、DSMソフトウェアは、選択されたDEC OSF/1機能への組み込みインターフェイスも含みます。 2 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 DSM言語には、稼動時の効率を高めるために、稼動時に翻訳される中間的コードを生成 するプリコンパイラがあります。ユーザには意識されない透過的な、DSMソフトウェア は、プリコンパイル処理中に、後に続く稼動時の実行を最適化します。たとえば、プ リコンパイルはコメントを取り除き、シンタックスをチェックして、ラベル・リファ レンスを最適化し、数字定数を内部的表現に変換します。 1.2 MUMPS ANSI 1993 Type A言語拡張 DSMには、次のType A言語拡張が含まれています。 o 二項演算子 EXPONENTIATION(**) o 二項演算子SORTS AFTER (]]) o 二項演算子PATTERN MATCHのための論理演算子OR o MERGEコマンド o QUITコマンド間接指定 o MUMPS WRITE、READ、OPEN、USEコマンドとともに使用する、柔軟なデバイス制御ニ ーモニック・スペースの定義および管理 o $GET関数の第2引数 o $NAME関数 o $QLENGTH関数 o $QSUBSCRIPT関数 o $REVERSE関数 o $ZDEVTYPE特殊変数 o システム構造化変数(^$GLOBAL, ^$JOB, ^$LOCK, ^$ROUTINE) 1.3 グローバル変数 DSM言語では、DSMアプリケーションの複数のユーザによって、同時にアクセスされ る、グローバル変数(または、単にグローバル)と呼ばれる階層的な配列へのシンボリ ック・リファレンスが使用できます。DSMソフトウェアは、多岐に広がる木構造を用い て、グローバル変数が効率良く構築されます。DSMは、DSMボリューム・セットと呼ば れるデータ構造上に、グローバル変数およびDSMルーチンを格納します。各ボリュー 3 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 ム・セットは、最大8個までの論理ボリュームにから構成されています。DSMボリュー ム・セットのボリュームが、DEC OSF/1のファイルです。1つのDSM稼動時環境で、最大 16個までのボリューム・セットを、同時に使用できます。 1.4 インクリメンタル・バックアップと復元 DSMでは、DSMデータベースに使用されるインクリメンタル・バックアップ・ユーティ リティ(^BACKUP)を提供しています。^BACKUPユーティリティは、最後の全体のバック アップ以降に変更されたブロックだけを、バックアップします。変更されたブロック は、通常、DSMデータベースのわずかな部分であるので、^BACKUPユーティリティは、 バックアップに要求される時間および、必要なバックアップ格納領域の量を大幅に減 少します。 ^BACKUPユーティリティは、複数の段階のバックアップを実行します。最初の段階で は、データベースの読み込みや書き出し操作の発生を制限なく許可します。最後の段 階では、最終的な整合性のチェック・ポイントを構築するために、短時間のあいだ一 時的にデータベース操作を禁止します。 インクリメンタル・バックアップの復元は、^BACKUPユーティリティを用いて、完全に 復元された、主データベースへインクリメンタル・バックアップ・ファイルを適用す ることにより行われます。^BACKUPユーティリティによりサポートされるバックアップ 媒体は、DEC OSF/1順編成ディスク・ファイルです。 DSMボリューム・セット・ファイルの、データベース全体のバックアップは、DEC OSF/1 tarおよびdumpユーティリティを用いて行われます。 1.5 DSM for OpenVMSとDSM for DEC OSF/1 AXP、DSM-11との互換性 DSM for DEC OSF/1は、DSM for OpenVMS、DSM for ULTRIX、DSM-11とのアプリケーシ ョン・プログラミング言語の互換性を提供します。DSM for DEC OSF/1には、次の互換 性システム機能が含まれています。 o 磁気テープの操作 固定長または可変長のレコードにフォーマット化されているテープを作成するため に、互換性のあるテープI/OパラメータおよびWRITE*制御操作がサポートされていま す。テープは、ラベル付き、またはラベルなし、どれの形式を使っても作成できま す。また、ASCII文字セットとEBCDIC文字セットがサポートされています。DSM磁気テ ープ処理子がどのようにしてEBCDICをASCIIへ、またASCIIをEBCDICへ変換するのかを 4 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 ユーザがカスタマイズできるように、変更可能なEBCDIC翻訳テーブルが含まれていま す。 o 外部呼び出し関数の機能 外部呼び出し機能は、ANSI MUMPS標準外部呼び出しのシンタックスをサポートしてい ます。外部インターフェイスを説明するために使用される外部呼び出しテーブルは、 DSM for OpenVMSとDSM for DEC OSF/1 AXPのテーブル・フォーマットのシンタックス と一致しており、呼び出し機構とデータ型の機能的サブセットを提供します。 5 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 o 管理およびプログラミングのためのユーティリティ DSM for DEC OSF/1は、DSM for OpenVMSおよびDSM-11で利用できる、システム管理用 およびプログラミング用のユーティリティの多くを提供しています。ユーティリティ の名前や機能は、DSM for OpenVMSで使用されているものと一致しています。これによ り、プログラマやDSM環境マネージャに互換性のあることが分かり易くなっています。 o システム環境と操作 DSM for DEC OSF/1は、DSM for OpenVMS型およびDSM for DEC OSF/1 AXP型の操作とシ ステム管理を使用しています。これにより、複数のDSM環境の初期化が可能です。各環 境は、特定のDEC OSF/1ユーザ・アカウントへと初期化・関連づけされます。DSM環境 マネージャは、1つの環境内で、1つのDSMコンフィグレーションを定義、制御します。 コンフィグレーション定義は、有効なDSM機能と、そのコンフィグレーションへログ インしたユーザがアクセスできる対応データベース情報を記述します。こうした作業 を完了するユーティリティおよびプロシジャは、DSM for OpenVMSおよびDSM for DEC OSF/1 AXPのユーティリティと機能的に互換性があります。 o データベース定義と管理 DSM for DEC OSF/1は、グローバル・データをボリューム・セット、ボリューム、UCI へと格納および編成する場合に、DSM for OpenVMS、DSM for DEC OSF/1 AXP、DSM-11 と同じ方法を使用します。ボリューム・セットを作成、管理するためのユーティリテ ィは、DSMの操作手順と類似しています。各DSMプロダクトのグローバルおよびルーチ ンの転送を可能にするための、ユーティリティが提供されています。 o DSM-11互換モード DSMコンフィグレーション定義 (^CONFIG)により、DSM環境マネージャがDSM-11互換性 モードを有効にできます。DSM-11との互換性は、次の範囲で有効です。 - デバイス番号 - MUMPS OPEN、USEのコマンドの引数シンタックス - エラー処理 - エラー・メッセージのフォーマット - BREAKコマンドの処理 DSM-11互換モードは、デフォルトでは禁止されています。 6 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 1.6 分散型データ処理 DSMアプリケーションは、ローカルまたはリモート・システムでも、グローバルへアク セスできます。DSMソフトウェアは、DSM特有の分散型データ処理(DDP)プロトコルを通 じて、グローバルへのリモート・アクセスを提供します。DSMソフトウェアは、次と互 換性を持つような方法で、この高性能のプロトコルをイーサネット上に実現します。 o DSM Version 6.2 for OpenVMS o (DSM-11) Version 4.1 これにより、ユーザは、Alpha AXPプロセッサおよびDECstationかDECsystemのプロセ ッサ、PDP-11プロセッサ、VAXプロセッサ、ローカル・エリア・ネットワークのパーソ ナル・コンピュータとの任意の組み合せで構成されるDSMネットワークを構築できま す。DDP自動コンフィグレーション機能は、新しいシステムがオンラインまたはオフラ インする際に、DDPネットワークのメンバのソフトウェア・テーブルを自動的に更新し ます。 分散グローバル・アクセスは、拡張DSMグローバル・シンタックスを通じて明示的に行 う、もしくは、グローバル変換を用いて、DSMアプリケーションには意識されずに行う ことができます。DSM環境マネージャは、複数のシステムにわたって、1つ以上のグロ ーバルの複製をオプションで指定できます。 1.7 TCP/IP TCP/IPプロトコルを用いると、DSMアプリケーションは、マルチベンダTCPネットワー ク間で、プロセス間通信を可能にするポートを開くことができます。TCP/IP通信チャ ネルを構築し、リモート・クライアントやサーバ・プロセスへデータを送信するため に、MUMPS OPEN、USE、READ、WRITEコマンドが使用されます。I/Oシンタックスは、 DSM for OpenVMSおよびDSM for DEC OSF/1 AXPによって提供されているものと互換性 があります。 7 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 1.8 アフタ・イメージ・ジャーナリング DSMソフトウェアは、データベースを修正する全操作(グローバル変数のSETおよび KILL)の二次的格納に関する記録を提供するジャーナリング機能を提供します。ジャ ーナリングは、グローバル単位で行うことも、DSM環境全体に対して行うこともでき ます。データベース破壊が起こった場合、デジャーナリング機能を用いると、フル・ バックアップとジャーナル・ファイルから、現データベースを復元することができま す。 1.9 ビフォア・イメージ・ジャーナリング DSMソフトウェアは、修正が行われる前のデータベース・ブロックの物理イメージを記 録するジャーナル機能を提供します。この機能は、CPU障害時に、データベースの整合 性を保証します。物理ビフォア・イメージ・ジャーナルは、ごく少数のブロックしか 含んでおらず、障害時に進行中であったいかなる操作でも、素早くロールバックでき ます。保護される操作は、データベース・ブロック分割を引き起こすグローバルSET、 データベース・ブロック併合を引き起こすグローバルKILLです。 1.10 アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)・ルーチン DSMは、ユーザ作成の外部呼び出しルーチンから、インタプリタをコールバックする APIルーチンを提供しています。DSMローカル・シンボル・テーブルへアクセスするた めや、MUMPSコードを実行するために、APIルーチンを使用できます。次の機能が利用 できます。 o ローカル・シンボル・テーブル・アクセス (SET、KILL) o MUMPSコマンドおよびルーチンの実行(XECUTE) APIルーチンを使用するにはまず、ユーザ作成の外部ルーチンを呼び出さなければなり ません。その後、この外部ルーチンが、APIルーチンをコールバックします。 8 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 1.11 ユーティリティ DSMは、DSMプログラミング言語で作成されている、アプリケーション・レベルおよび システム・レベルのユーティリティを提供します。アプリケーション・レベルのユー ティリティは、DSMプログラマがアプリケーション・ソフトウェアおよびデータの開 発、維持を助けます。たとえば、DSMルーチンおよびグローバルを変更、表示するユー ティリティが、その一例です。 システム・レベルのユーティリティは、DSMアプリケーション環境の管理を許します。 DSM環境マネージャは、DSMボリューム・セットの作成、拡張、同時に使用できるDSMジ ョブおよびディスク・バッファの数などの、DSMコンフィグレーション・パラメータを 指定できます。また、DSMコマンド・ラインの省略時の設定の定義、DDPリンクの構築, ジャーナルの制御を行えます。 1.12 X Windowインタフェースfor DSM DSMは、XウィンドウおよびMotifシステムと、MUMPS言語との完全な結合を提供しま す。この結合は、XLIBおよびXTOOLKIT、XMOTIF、XMOTIF Resource Managerのプログラ ム・ライブラリに対応してMUMPSインターフェイスを提供する、4つの個別の外部呼び 出しパッケージとして実現されています。この結合は、MDC Type A仕様に準拠してい ます。 さらに、X Windowのデータ構造を割り当て・修正するための追加のパッケージが提供 されます。これらのパッケージにより、MUMPSプログラマが、Xウィンドウ・ルーチン を用いた精巧で複雑な図形のユーザ・インターフェイスを作成できます。 MUMPSプログラムの例は、インターフェイスについての完全な説明とともに提供されて います。 2 ソフトウェア・ライセンス 本ソフトウェアは日本DEC標準契約条項中のライセンス規定に基づいて提供されます。 日本DECのライセンス条件とその方針についての詳細は、最寄りの日本DECの各支店/営 業所にお問い合わせください。 9 日本語DSM Version 1.0 for DEC OSF/1 AXP SPD 47.60.00 ソフトウェア仕様書 2.1 ライセンス管理ファシリティ このプロダクトは、DEC OSF/1ライセンス管理機能(LMF)をサポートします。このプロ ダクトのライセンス単位は、Unlimited System Useすなわち制限のないシステム利用 を基準に割り当てられています。 DEC OSF/1のライセンス管理機能の詳細については、該当のDEC OSF/1オペレーティン グ・システムのソフトウェア機能仕様書、またはマニュアルを参照してください。 3 ソフトウェア・プロダクト・サービス 弊社からの多種多様なサービス・オプションが利用できます。詳細については、最寄 りのDECオフィスにお問い合せください。 4 ソフトウェア保証 このソフトウェア・プロダクトの保証は、このSPDのSoftware Warranty Addendum (ソ フトウェア保証補遺)で定義されているとおりに、プロダクトのライセンスの購入とと もに、弊社から提供されています。 [R] MUMPSは、マサチューセッツ総合病院の登録商標です。 [R] Motifは、ディジタル認可のOpen Software Foundation, Inc.の商標です。 [TM] OSF/1は、Open Software Foundation, Inc.の商標です。 [TM] Alpha AXP、AXP、DEC、DECstation、DECsystem、DSM、OpenVMS、PDP-11、 ULTRIX、VAX、VMS、AXPロゴ、DIGITALロゴは、弊社の商標です。 10