Software Product Description _____________________________________________________________________________ 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 仕様書の包含する範囲 この文書は,日本語DEC FMSのソフトウェア機能仕様を述べたものです。 1 日本語DEC FMSの概要 日本語DEC FMS for OpenVMS AXPは,会話型アプリケーションのための画面フォーム管 理システムです。このソフトウェアは,日本語OpenVMS AXPシステムで稼動し,ユー ザ・インタフェースとして端末の画面を使用します。日本語DEC FMSは,アプリケーシ ョン・プラグラマに開発ツールとランタイム・システムを提供します。これらのツー ルを使用して,ユーザ・インタフェースのためのフォームを作成したり,保守したり することができます。また,ランタイム・システムを使用して,アプリケーションの インタフェースを実行時に,表示したり,管理したりすることができます。 日本語DEC FMS for OpenVMS AXPは,日本語VAX FMSで作成した既存のアプリケーションを日本語OpenVMS VAXシステムから日 本語OpenVMS AXPシステムへ移植するために役立ちます(ただし,日本語VAX FMSは日本語DECformsへ移行しました)。日本語DECformsは,画面フォームを使用 するユーザ・インタフェースを必要とするすべてのアプリケーションを開発するため に使用できる製品です。 日本語DEC FMSを使って定義したフォームにより,プログラマは,端末がもつ次の機能 を利用できるようになります。 o 反転表示,高輝度,点滅,下線の,個々の文字属性 o 横倍角,縦倍角,スクロールの行属性 o 80または132カラム行および反転表示といった画面幅属性 DIGITAL 1993年6月 AE-PYUFA-TE 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 o 線を描くためのVT100 "スペシャル・グラフィックス文字セット"をはじめとする代 替文字セット 日本語DEC FMSフォーム・データ構造は,実行時にフォーム・ドライバにより使われ, フォームを表示したり,端末オペレータにより入力されたデータにアクセスして検査 するのに用いられます。フォームは,会話型編集プログラム(JFMS/EDIT)によって会 話形式で生成や修正を行うことができますし,あるいはフォーム言語でソース形式で 記述,定義してから,フォーム言語翻訳プログラム(JFMS/TRANSLATE)を用いてフォー ム・データ構造に変換することができます(80カラム54行および132カラム63行よりも 長いフォームは,フォーム言語翻訳プログラムでのみ生成および修正することが可能 です)。 フォームは通常,ディスク上のフォーム・ライブラリ・ファイル中に常駐し,実行時 にアプリケーション・プログラムにより必要に応じて検索されます。この仕組みによ り,フォーム・データ構造とアプリケーション・プログラム間には高度な独立性が生 まれます。フォームは,アプリケーション・プログラムを再翻訳あるいは再リンクせ ずに,修正することができます。また,オブジェクト・モジュールに変換し,アプリ ケーション・プログラムにリンクして,メモリ常駐のフォームを生成することも可能 ですし,アプリケーション・プログラムによりメモリに動的にロードすることも可能 です。 日本語DEC FMSアプリケーションは,FMSフォーム・ドライバを使ってフォームと関連 するデータ・フィールドの表示,データのフィールドへの入出力を制御します。端末 からのデータ入力および端末へのデータ表示はすべて,ASCII文字列として渡されま す。 日本語DEC FMSフォーム内の各フィールドについてのデータは,フォーム・ドライバに より検査されます。"フィールド検査ピクチャ"を作るのにフィールド検査文字が使用 されます。プログラムの実行中,フィールドへの文字の入出力は,ピクチャと比較さ れ,それらの文字が有効かどうかを判定します。ほとんどの場合,フィールド・ピク チャは,数個の異なるフィールド検査文字を含むことができ,また数個の異なるフィ ールド・マーカ文字を含むこともできます。表示されるフォームの読みやすさを高め るのに使われるフィールド・マーカ文字は,アプリケーション・プログラムからは見 えないようになっています。 個々のフィールドには,次の属性を割り当てることができます。 o フィールド名 o デフォルト値 2 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 o ヘルプ・テキスト o 自動タブ o 文字クリア o 表示のみ o 固定10進数 o インデックス o 左揃え o 右揃え o 全桁入力 o エコーなし o 入力必須 o スーパーバイザ・オンリー o 大文字 o ユーザ定義ルーチンおよび付随するデータ・パラメータ o ゼロ挿入 o ゼロ抑制 各々のフィールドに割り当てられる属性は,フォームが生成される際にその有効性に ついてチェックされます。属性の組み合わせによっては,正当でないものもありま す。各フォームには,フォーム全体に適用される属性があります。これらの属性に は,次のものがあります。 o フォーム名 o 付随するヘルプ・フォーム名 o 画面バックグラウンド(通常画面,反転画面,または指定なし) o 画面横幅(80桁,132桁,または指定なし) o フォームを表示する時にクリアする画面領域 o 文字セット 3 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 o ユーザ定義ルーチンおよび付随するデータ・パラメータ o 処理中のフィールドを実行時に強調表示したい場合に使用するビデオ属性 o フィールドにアクセスする順序 o ネームド・データ 2 日本語DEC FMSユーティリティ 2.1 会話型フォーム・エディタ JFMS/EDITコマンドは,フォームの開発者が画面フォームを生成したり修正したりする のに使われる,会話型編集プログラムを呼び出します。この会話型編集プログラムに よるフォームの生成は,段階的に行われます。レイアウト段階では,フォームの視覚 的外見,バックグラウンド・テキスト,フィールドに有効な入力となるのはどのよう な種類の文字かを指定するのに使われます。フォームを画面にレイアウトする間,48 のファンクション・キーとキーの組み合わせを利用できます。これらのキーは,カー ソル移動,削除とアンデリート,カットとペースト,ボックス描画,ビデオ属性割り 当て,中央揃え,HELP表示といった機能を行います。また,次の段階では,フォーム およびフィールド属性の割り当て,ネームド・データの入力,フィールドにアクセス する順序の割り当てを行います。ネームド・データやすべてのフォーム,フィールド 属性,およびユーザ定義ルーチンなどは,質問に答えることにより指定されます。フ ィールド属性やフィールド順序を割り当てる段階では,どのフィールドが参照されて いるのかを表示するのに高輝度表示が使われます。最後に,試験段階では,開発者は 編集中に,エンド・ユーザがフォームと会話するのと全く同じように,フォームと会 話することができます。 2.2 フォーム言語翻訳プログラム フォーム言語翻訳プログラムは,フォームを定義するもう1つの手段を提供します。フ ォーム言語は自由形式でキーワード指向の宣言型言語で,テキスト・エディタまたは プログラムによるソース形式の記述を生成したり修正する手段を与えます。 JFMS/TRANSLATEコマンドは,(テキスト・ファイルに含まれる)ソース形式の記述をフ ォーム・データ構造に変換するのに使われます。生成されたデータ構造は,日本語FMS 会話型エディタにより生成されたものと同等です。修正あるいは文書化のために,既 存のフォーム・データ構造をJFMS/DESCRIPTION/FULLコマンドを使ってフォーム言語ソ ース・コードに戻すことも可能です。 4 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 2.3 その他のフォーム・アプリケーション開発機能 日本語DEC FMSには他にも機能があり,アプリケーション・プログラムの開発プロセス を補助します。これらの機能は,次のコマンドで呼び出されます。 o JFMS/LIBRARY フォーム・ライブラリの生成・保持を行います。 o JFMS/DESCRIPTION 次の基本タイプのフォーム記述を抽出します。 - /BRIEF フォーム,そのフィールド,ネームド・データ, ユーザ定義ルーチンについて の情報の要約。 - /FULL フォーム言語翻訳プログラムへの入力に使える フォーム言語文からなるテキス ト・ファイル。 - /DECLARATIONS 画面上のフィールドの名前,長さ,順序を反映したCOBOLのデータ部や, DATATRIEVEのドメイン定義を生成するために使えるデータ部コード。 - /DISPLAY_IMAGE 画面イメージ形式(エスケープ・シーケンスあり), ライン・プリンタ形式(エ スケープ・シーケンスなし), LN03/LN03-PLUS形式のいずれかで印字可能なフ ォーム・イメージ。 VT100/200ビデオ属性をそのままLN03および LN03-PLUSレ ーザ・プリンタに印字させるには, 別売りのVT100/200スクリーン・フォン ト・カートリッジ・セットが 必要となるので,ご注意ください。 フォームの 印字についての詳細は,後述の項を参照してください。 - JFMS/DIRECTORY ライブラリまたはフォーム・ファイル内のフォーム・ディレクトリ一覧を 抽出 します。 - JFMS/OBJECT アプリケーション・プログラムとリンクした時に, 仮想メモリ上でフォームに アクセスできるようにする 1つまたは複数の組織データ構造からなる目的モジ ュールを生成します。 5 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 o JFMS/VECTOR アプリケーション・プログラムとリンクされる, ユーザ定義ルーチン群を指すア ドレスの表からなる目的モジュールを生成します。 o JFMS/TEST アプリケーションの開発者が, アプリケーション・プログラムが動作した場合と 同じフォームの表示, フィールドへのデータ入力,ヘルプの表示などができるよ うに, フォーム・テスト機能を呼び出します。 2.4 日本語DEC FMSフォーム・ドライバ フォーム・ドライバは,日本語DEC FMSの実行時コンポーネントで,端末,ユーザ,ア プリケーション・プログラムの相互作用を制御するためにアプリケーション・プログ ラムにより呼ばれる,AST再入可能共有可能サブルーチンで構成されています。フォー ム・ドライバには,複数の作業領域(各々に単一フォーム・データ構造がある)を管理 する機能があります。複数のフォームを,1つの端末画面に表示させることができま す。 フォーム・ドライバ・サブルーチンは,端末の入出力,フォームの表示,画面の操 作,基本的な入力の検査およびフォーマット化,ユーザ定義ルーチンの呼び出し,端 末オペレータのヘルプ要請への応答などを行います。入出力は,一時に1つのフィール ドか,フォーム全体で行うことができます。 フォーム・ドライバには,アプリケーションと人間のインタフェースをなめらかにす るための幾つかの機能があります。タイムアウト機能により,アプリケーション・プ ログラムは,オペレータが規定の時間に次の文字を入力しなかったら,実行を継続す ることができます。フィールド・ビデオ属性,カーソル位置,挿入/重ね書きモード は,アプリケーション・プログラム内のフォーム・ドライバの呼び出しにより動的に 変えることができます。フォーム・ドライバにより制御されるフィールド高輝度表示 は,各フィールドのビデオ属性を,カーソルがフィールドに入るに従って変化させ, オペレータがフィールドから出る時に元の状態に戻します。 フォーム・ドライバは,日本語DEC FMSを使用するアプリケーションが実行時サポート のみを必要とするシステムについて,単独に購入することができます。 6 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 2.5 ネームド・データ フォーム・ドライバは,ネームド・データにより,パラメータ駆動アプリケーション の生成をサポートします。ネームド・データは,フォーム・データ構造の一部として 格納したり,実行時にアプリケーション・プログラム内の呼び出しにより検索するこ とのできる,フォーム定数です。ネームド・データにより,アプリケーション・プロ グラムの必要とする情報(例えば,フォーム・リンケージ,オペレータ・メッセージ, その他の人間言語情報,ユーザ・サブルーチン用データ検査基準など)を,アプリケー ション・プログラムからは独立して定義,格納,修正できます。 2.6 ユーザ定義ルーチン ユーザ定義ルーチン(UAR)は,DIGITALのサポートするOpenVMSプログラミング言語でユ ーザが作成するプロシージャです。UARは,フォーム・データ構造の作成中にフォーム とフィールドに対応づけられ,次の条件下でフォーム・ドライバにより自動的に呼び 出されます。 o あるフィールドについての処理が終了した時 o 端末オペレータのヘルプ要請の処理の前後 o 端末オペレータがファンクション・キーを押した時 o 画面リフレッシュ処理が要請された時 フォーム・ドライバは,プログラム制御を,定義されている状況下でのユーザ定義ル ーチンに渡します。ユーザ定義ルーチンでは,(フォームの一部として定義された)80 文字からなるパラメータ文字列が(フォーム・ドライバの呼び出しにより)利用でき, これを使って処理情報および現在のフォーム・ドライバの文脈を与えることができま す。 2.7 日本語DEC FMSサンプル・アプリケーション・プログラム サンプル・アプリケーション・プログラムは,サポートされている日本語DEC FMSデモ ンストレーション・プログラムです。サンプル・アプリケーション・プログラムは, 提供キットに含まれており,日本語DEC FMSが適切にインストレーションされたか確認 するために使われます。日本語DEC FMSのマニュアルには,サンプル・アプリケーショ ン・プログラムの例が載っています。(文書化されているプログラミング言語の各々毎 に)サンプル・プログラムおよびフォーム記述がマニュアルおよび提供キットに含まれ 7 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 ています。サンプル・アプリケーション・プログラムは,ユーザが随意に必要なシス テムにインストールすることができます。 3 印刷フォーム フォーム・イメージは,アプリケーション・プログラムがFDV$PRINT_SCREENを使っ てフォーム・ドライバを呼び出す,もしくはオペレータがFMS DCLコマンド,JFMS /DESCRIPTION/DISPLAY_IMAGEを使うことで,ファイルに生成,書き込みができ,それ を印刷に用いることができます。次のイメージを生成することが可能です。 ライン・プリンタ・イメージ ビデオ属性は無視されるか,または標準ライン・プリンタにより印字可能なフォーマ ットに変換されます。線作画グラフィック文字は,標準ASCII文字に変換され,代替文 字セット内のその他の文字はすべて,無変換のままとなります。 画面イメージ すべてのエスケープ・シーケンスおよび制御文字は,現在の端末と同種類の端末に表 示された場合に,画面のそのままのイメージが表示されるようにするためにそのまま 含まれます。このイメージは,現在の端末と同じ制御シーケンスを理解するプリンタ にのみ,正しく出力できます。 LN03およびLN03 PLUSレーザ・プリンタ・イメージ 画面イメージは,LN03およびLN03 PLUSレーザ・プリンタで印刷可能なので,エスケー プ・シーケンスはそのまま含まれます。これらのプリンタの常駐フォントは,ASCII, DECサプルメンタル,DEC VT100線作画文字セットの半角文字のみを含んでいるフォー ムの印字をサポートします。VT100およびVT200互換の端末の文字,線,画面属性(点滅 を除く)をすべて含んでいる日本語DEC FMSフォームを印刷するには,別売のVT100/200 スクリーン・フォント・カートリッジ・セットを,LN03あるいはLN03 PLUSレーザ・プ リンタに組み込む必要があります。このフォント・カートリッジ・セットは,次の注 文番号を指定することで注文できます。 LN03X-DA (VT100/200スクリーン・フォント・カートリッジ・セット) このセットは2つのフォント・カートリッジからなり,VT100,VT200,VT300互換の端 末で利用可能な,文字,線,画面属性のほとんどを再生するのに必要なフォントのす べてが含まれています。これらのフォントは,標準クーリエ・フォントの拡張で,次 のものが含まれます。 o ASCII文字セット 8 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 o DECサプルメンタル文字セット o DEC VT100線作画文字セット o DECオーバープリント・網かけ文字セット (反転ビデオ効果) フォント・サイズには次のものがあります。 o 縦倍角,横倍角(倍角) o 縦シングル,横倍角(横倍角) o 縦シングル,横シングル(シングル) (オーバープリントのみ)* * LN03およびLN03 PLUS常駐フォントは,他の3つの文字セットについて縦シング ル,横シングルの大きさを提供します。 また,次の形式が可能です。 o ポートレート(80カラム) o ランドスケープ(132カラム) 高輝度および下線も,LN03およびLN03 PLUSによりサポートされていますが,点滅はサ ポートされていません。 4 リリース・ノート 日本語DEC FMSリリース・ノートが,マシン・リーダブルな形で提供メディアに入って います。VMSINSTALプロシージャを使って,リリース・ノートを,端末で表示したり, 日本語DEC FMSをインストールする前に印刷させたりすることができ,インストレーシ ョン後はオンラインで利用することができます。 5 必要なハードウェア 『システム・サポート付加情報(SSA 47.61.00-x』を参照してください。 9 日本語DEC FMS Version 2.4 for OpenVMS AXP ソフトウェア仕様書 SPD 47.61.00 6 必要なソフトウェア o 日本語OpenVMS AXPオペレーティング・システム 本製品に必須のソフトウェア製品と,その適用バージョンについては,『システム・ サポート付加情報(SSA 47.61.00-x』を参照してください。 7 注文情報 最寄りの日本DECの各支店/営業所にお問い合わせください。 8 ソフトウェア・ライセンス 本ソフトウェアは日本DEC標準販売約款中のライセンス規定に基づいて提供されます。 日本DECのライセンス条件とその方針についての詳細は,最寄りの日本DECの各支店/営 業所にお問い合わせください。 9 ライセンス管理機能 本ソフトウェアはOpenVMSライセンス管理機能(LMF)をサポートしています。ライセン ス単位は,CPUの性能に応じて割り当てられます。 ライセンス管理機能についての詳細は,『OpenVMS AXP Operating System Software Product Description(SPD 41.87.xx)』またはOpenVMS AXP Operating Systemのドキュ メント・セットの中の『License Management Utility Manual』を参照してください。 10 ソフトウェア製品サービス 日本DECでは,様々なサービス・オプションを提供しています。詳細については,最寄 りの日本DEC各支店/営業所にお問い合わせください。 11 保証 本ソフトウェアについては,日本DEC所定のソフトウェア保証基準に定められた保証が 提供されます。 10