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ここに示す図は,Fibre Channel を使用する典型的な複数サイト・クラスタを表しています。この図では,サイト間ストレージ・インターコネクトで障害が発生したときに,手作業で一方のサイトを回復するのに必要な操作を示しています。現在の Fibre Channel のサポートでは,どちらのサイトも MSCP サーバを使用して DGA デバイスへのパスを再確立することはできません。
シャドウイング・ドライバが接続関連障害からシャドウ・セットを自動的に回復するのを防止するには,障害が発生する前に次の 3 つの操作を実行しなければなりません。
$ SET DEVICE /MEMBER_TIMEOUT= x ddcu: |
このコマンドは,シャドウ・セット・メンバに対して通常使用される SHADOW_MBR_TMO の値を無効にします。x の値を 259200 にすると,72 時間の待ち時間になります。
シャドウ・セットのマウント確認のタイムアウトの設定を長くするには,次のコマンドを使用します。
$ SET DEVICE /MVTIMEOUT = y DSAnnnn |
このコマンドの y の値は,常に
$ SET DEVICE/MEMBER_TIMEOUT= x ddcu:の x の値より大きくなければなりません。
$ SET DEVICE /MVTIMEOUT = yコマンドは,シャドウ・セットに対して通常使用される MVTIMEOUT の値を無効にします。y の値を 262800 に設定すると,73 時間の待ち時間になります。
次の図では,シャドウ・セット DSA42 は $1$DGA1000 と $1$DGA2000 で構成されています。
<><><><><><><><><><><> LAN <><><><><><><><><><><> Site A Site B | | F.C. SWITCH <><><><> XYZZY <><><><> F.C. SWITCH | | HSG80 <><> HSG80 HSG80 <><> HSG80 | | $1$DGA1000 --------- DSA42 --------- $1$DGA2000 |
この図では,サイト A またはサイト B にあるシステムは,Fibre Channel 接続を介して,両方のサイトのすべてのデバイスに直接アクセスできます。 XYZZY は 2 つのサイトの間の理論的なポイントです。このポイントで Fibre Channel 接続が切断された場合,各サイトはエラーを起こさずに DSA42 の異なる "ローカル" メンバにアクセスできます。この例では,サイト A をシャドウ・セットへのアクセスを維持するために選択された唯一のサイトとします。
サイト A でシャドウ・セットを回復するには,次の操作が必要です。
サイト A:
$ DISMOUNT /FORCE_REMOVAL= $1$DGA2000: |
コマンドが完了した後,シャドウ・セットはサイト A でのみ使用できるようになります。
サイト B:
$ SET DEVICE /ABORT_VIRTUAL_UNIT DSA42: |
コマンドが完了した後,シャドウ・セットの状態は MntVerifyTimeoutになります。
次のコマンドを実行して,シャドウ・セットを解放します。
$ DISMOUNT/ABORT DSA42: |
影響を受けたすべての複数サイト・シャドウ・セットに対してこれらの操作を実行しなければなりません。
4.13.3 シャドウ・セットの構造を単純にするための INITIALIZE/SHADOW/ERASE の使用
DCL の INITIALIZE コマンドに /SHADOW 修飾子が新たに追加されました。将来のシャドウ・セットの複数のメンバを初期化するために INITIALIZE/SHADOW コマンドを使用すると,後でシャドウ・セットを作成するときに完全なコピー操作を実行する必要がなくなります。
将来のシャドウ・セットの複数のメンバを初期化する場合には, INITIALIZE/SHADOW コマンドに /ERASE 修飾子も できるだけ指定 してください。/SHADOW 修飾子は,シャドウ・セットを後で作成するときに完全なコピー操作を実行しなくてもよいようにしますが,/ERASE 修飾子は完全なマージ操作を実行するのに必要な時間を削減します。
/ERASE 修飾子を指定しなかったときに,シャドウ・セットのマージ操作が必要になった場合 (シャドウ・セットがマウントされているシステムで障害が発生したため),マージ操作が完了するまでの時間が長くなります。
/SHADOW 修飾子と /ERASE 修飾子を指定した INITIALIZE コマンドは,次の操作を実行します。
この方法で初期化したデバイスを最大 3 つ,新しいホスト・ベースのシャドウ・セットのメンバとしてマウントできます。
詳細については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。
この章では,Compaq OpenVMS オペレーティング・システムの本バージョンで追加された,アプリケーション・プログラミングおよびシステム・プログラミングに関連する新機能について説明します。
5.1 3D グラフィックのサポート
Alpha ベースのシステムで,PowerStorm 300 (PBXGD-AD) および PowerStorm 350 (PBXGD-AE) グラフィック・カードがサポートされるようになりました。 OpenGL 3Dグラフィック API は OpenVMS ベース・オペレーティング・システムの一部として提供されるようになりました。PowerStorm 300 および PowerStorm 350 グラフィック・カードでサポートされる OpenGL はバージョン 1.1 です。
PowerStorm 300 または PowerStorm 350 向けに提供される OpenGL バージョン 1.1 は,以前のグラフィック・カード用の Open3D レイヤード製品と共存できるように設計されています。OpenVMS に添付されているイメージは,DECW$OPENGLSHR_V11 および DECW$OPENGLUSHR_V11 という名前です。_V11 というサフィックスは, OpenGL バージョン 1.1 のイメージを表しており,Open3D に添付されている OpenGL バージョン 1.0 のイメージ (DECW$OPENGLSHR および DECW$OPENGLUSHR) とを区別するために使用されています。
OpenGL V1.0 の機能だけを使用するアプリケーションは,Open3D イメージまたは新しいバージョン 1.1 イメージのどちらにリンクしてもかまいません。 OpenGL バージョン 1.1 の機能を使用するアプリケーションは,明示的にバージョン 1.1 のイメージにリンクしなければなりません。
PowerStorm 300 および PowerStorm 350 に対する OpenGL のサポートの詳細については,『PowerStorm 300/350 Installation Guide』およびグラフィック・カードに添付されている『Release Notes』を参照してください。
3D グラフィックを広範囲にわたって使用する場合,特にシングル・システムで複数の PowerStorm 300 および PowerStorm P350 を使用する環境では,グラフィック・カードに添付されている PowerStorm 300/350 OpenVMS Graphics Support Release Notes Version 1.1 および Compaq PowerStorm 300/350 Graphics Controllers Installation Guide に指定されている SYSGEN パラメータとアカウント・クォータの設定に関するガイドラインを厳密に守ってください。Release Notes は,標準版の OpenVMS Documentation CD-ROM の以下のディレクトリにも格納されています。
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3X-DAPBA-FA (HE155) および 3X-DAPCA-FA (HE622) は,ハイ・パフォーマンスの PCI-to-ATM 機能を提供する Alpha ベースのシステム用の PCI ベースの ATM LAN アダプタです。 3X-DAPBA-FA アダプタは,155 Mbps のファイバ接続機能を提供します。3X-DAPCA-FA アダプタは 622 Mbps のファイバ接続機能を提供します。
これらのアダプタのデータリンク・ドライバは,新しい OpenVMS ATM 環境で動作します。新しい OpenVMS ATM 環境は従来の ATM サポートと完全な互換性を維持しており,両方の ATM 環境を 1 台のシステム上で構成できます。また, LANCP 管理インタフェースは,どちらの ATM 環境でも同じです。
3X-DAPBA-FA PCI HE155 ATM および 3X-DAPCA-FA PCI HE622 ATM LAN アダプタの詳細については,次の URL を参照してください。
http://www.compaq.com/alphaserver/products/options |
5.3 Compaq COBOL 実行時ライブラリの拡張機能
Alpha と VAX の両方の COBOL RTL で,次の 5 つの組み込み関数が新たに追加されました。これらの関数では,4 桁の年がサポートされます。
YEAR-TO-YYYY
DATE-TO-YYYYMMDD
DAY-TO-YYYYDDD
TEST-DATE-YYYYMMDD
TEST-DAY-YYYYDDD
Alpha の COBOL RTL では,ファイルにリダイレクトする場合の DISPLAY 文のパフォーマンスと,/MATH=CIT3 および /MATH=CIT4 修飾子を使用してコンパイルしたプログラムのパフォーマンスが向上しています。
この RTL で ON SIZE ERROR を処理する方式が変更され, Compaq COBOL for OpenVMS VAX での処理方式との互換性が向上しました。
5.4 Compaq C 実行時ライブラリの拡張機能
ここでは,OpenVMS バージョン 7.3 での Compaq C RTL の拡張機能について説明します。詳細については, Compaq C バージョン 6.3 以降に添付されている
Compaq C RTL Reference Manual を参照してください。
5.4.1 strptime 関数は XPG5 準拠になった
strptime 関数は, X/Open CAE Specification System Interfaces and Headers Issue 5 (一般に XPG5 と呼ばれる) に準拠するように変更されました。 XPG5 準拠になった結果,世紀が指定されていないときに,その世紀に含まれる 2 桁の年に対して, strptime関数が "%y" ディレクティブを処理する方法が変更されました。
世紀が指定されていない場合,XPG5 では,69〜99 の範囲の "%y" ディレクティブの値は 20 世紀の年 (1969〜1999 年) を参照し, 00〜68 の範囲の値は 21 世紀の年 (2000〜2068 年) を参照することが要求されています。基本的に,"%y" ディレクティブの場合, strptimeは "ピボット" 関数になり, 69 はピボット年になっています。
このように変更される前は, strptime関数は,世紀が指定されていない 2 桁の年を 20 世紀の年として解釈していました。
OpenVMS バージョン 7.3 では,XPG5 準拠の strptimeが Compaq C RTL でデフォルトの strptime関数になりました。しかし,以前のピボット機能を持たない XPG4 準拠の strptime関数も,互換性を維持するために残されています。
ピボット機能は DECC$XPG4_STRPTIME 論理名によって制御されます。
strptimeの非ピボット・バージョンを使用するには,次のいずれかの操作を行います。
または
5.4.2 ディレクトリ・レベルのネストの上限 (8) が拡大された (Alpha)
Compaq C RTL I/O サブシステムでは,ODS-5 デバイスでディレクトリ・レベルのネストの上限 (8) が取り除かれました。この機能強化は,
access,
mkdir,
opendir,
rmdir,
statなどの Compaq C RTL 関数に影響します。
5.4.3 拡張ファイル指定のサポートの向上 (Alpha)
ここでは,拡張ファイル指定に対して Compaq C RTL でサポートされる機能の向上について説明します。
5.4.3.1 Compaq C RTL はファイル名の大文字と小文字を区別する
Compaq C 実行時ライブラリ DECC$SHR に対してリンクされたプログラムでは,ODS レベル 5 ディスクでファイル名の大文字と小文字の区別を保持できるようになりました。この機能は,ファイル名の作成やファイル名の報告で適用されます。デフォルト設定では,この機能は無効に設定されています。この機能を有効にするには,次のコマンドを入力します。
$ DEFINE DECC$EFS_CASE_PRESERVE ENABLE |
ファイル名がすべて大文字の場合,UNIX 形式で名前を報告するときに名前を小文字に変換するには,次のコマンドを使用します。
$ DEFINE DECC$EFS_CASE_SPECIAL ENABLE |
ファイル名がすべて大文字の場合を除き, DEFINE DECC$EFS_CASE_SPECIAL ENABLE は大文字と小文字の区別を保持します。
論理名の設定を無効にするコマンドは次のとおりです。
$ DEFINE DECC$EFS_CASE_PRESERVE DISABLE $ DEFINE DECC$EFS_CASE_SPECIAL DISABLE |
DECC$EFS_CASE_SPECIAL 論理名が DISABLE に設定されていない場合,この論理名の設定は DECC$EFS_CASE_PRESERVE 論理名の設定より優先します。
DECC$EFS_CASE_PRESERVE 論理名と DECC$EFS_CASE_SPECIAL 論理名は,ファイルごとにチェックされるわけではなく,イメージを起動するたびに 1 回だけチェックされます。
5.4.3.2 大部分の C RTL 関数は引数として長い Long OpenVMS ファイル名を受け付けるようになった (Alpha)
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,一部の基本的な Compaq C RTL I/O 関数 ( creat, stat,およびオープンな関数ファミリに含まれる関数) で, ODS-5 デバイスに対して OpenVMS 形式の長いファイル名を受け付けることができるように,機能が強化されました。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では, chdir,および exec 関数ファミリに含まれる関数を除き,他のすべての Compaq C RTL 関数の機能が強化され, ODS-5 デバイスに対して OpenVMS 形式の長いファイル名を受け付けることができるように変更されました。
完全なファイル指定の受け付けおよび報告を行うすべての C RTL 関数は,メディア・フォーマットに対して定義されている規則に従って,最大 4095 バイトまでのファイル指定を処理します。OpenVMS 形式のファイル指定の場合,特別な制限はありません。バッファが小さすぎるために,完全なファイル指定を報告できない場合は,関数は名前の省略形を報告しようとします。
UNIX 形式のファイル名には次の制限があります。
5.4.4 Compaq C RTL で Argv 引数の大文字と小文字が正確に区別される (Alpha)
C および C++ プログラムに渡された引用符で囲まれていないコマンド・ライン引数 (argv 引数) は,以前のバージョンでは小文字に変換されていましたが,バージョン 7.3 では大文字と小文字の区別を保持できるようになりました。
デフォルト設定では,この機能は無効に設定されています。
大文字と小文字の区別を保持する機能を有効にするには,論理名 DECC$ARGV_PARSE_STYLE を "ENABLE" として定義し,プログラムを実行しているプロセスでプロセス・レベルの DCL 解析スタイル・フラグを "EXTENDED" に設定します。
$ DEFINE DECC$ARGV_PARSE_STYLE ENABLE $ SET PROCESS/PARSE_STYLE=EXTENDED |
この機能を有効にすると,argv[0] に返されるイメージ名でも大文字と小文字の区別が保持されるようになります。
この機能を無効にするには,次のいずれかのコマンドを使用します。
$ SET PROCESS/PARSE_STYLE=TRADITIONAL |
または
$ DEFINE/SYSTEM DECC$ARGV_PARSE_STYLE DISABLE |
または
$ DEASSIGN DECC$ARGV_PARSE_STYLE |
DECC$ARGV_PARSE_STYLE 論理名の値で,大文字と小文字は区別されません。
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