ATM (非同期転送モード) ネットワークには,次のような機能があります。
セル・スイッチングによる 25 M/bps 〜 622 M/bps,あるいはそれ以上の伝送スピード
豊富な高品質のサービス
個々の接続についてリソースが予約された,コネクション型相互接続。 これらの接続は,2 つのアプリケーション間の対話,または多くのアプリケーションおよびプロトコル間の多くの対話が多重化されている接続に適しています。
ATM ネットワークにより,特にローカル・エリア・ネットワークで実行されるアプリケーションで必要とされる高速で短い待ち時間 (交換方式の全二重ネットワーク基盤) が実現されます。
この章では,次の項目について説明しています。
ATM 用のデバイス・ドライバおよびカーネル・モジュールの作成方法については,『Asynchronous Transfer Mode』を参照してください。
問題解決のための情報は,10.6 節を参照してください。
6.1 ATM 環境
スイッチ
仮想チャネル識別子 (VCI) および仮想パス識別子 (VPI) のリストを保持しており,1 つのエンド・システムを別のシステムに接続し,ATM セルをセル内に含まれる VCI/VPI 情報に基づいて,1 つのエンド・システムから別のシステムへの転送すなわち交換 (スイッチ) を行う特別なシステム。
エンド・システム
スイッチに物理的に接続されていて,スイッチを経由して他のエンド・システムと通信するシステム。
オペレーティング・システムの ATM 環境では,次の構成が可能です。
CLIP (Classical Internet Protocol)
LANE (Local Area Network Emulation)
IP スイッチング
以下の各項では,これらの構成のそれぞれについて,およびそれぞれの構成におけるシステムの役割について説明します。
6.1.1 Classical IP 環境
Classical IP 環境は,RFC 1577 で説明されているように,ユニキャスト IP トラフィックを ATM ネットワークで伝送する手段を提供します。 この環境では,相互に通信できるホストは LIS (Logical IP Subnetwork) として分類されます。 1 つのATM ネットワークには,複数の LIS が含まれることがあります。 1 つの LIS では,すべてのホストおよびルータについて,次の必要条件があります。
同じ IP ネットワーク番号や IP サブネットワーク番号とマスクを持っていること。
ATM ネットワークに直接接続されていること。
LIS 以外のメンバにはルータを経由してアクセスすること。
交換仮想回線 (SVC) では,ARP (Address Resolution Protocol) を使用して,IP プロトコル・アドレスから ATM ハードウェア・アドレスを取得すること。 SVC およびパーマネント仮想サーキット (PVC) では,逆 ARP を使用して ATM ハードウェア・アドレスから IP プロトコル・アドレスを取得すること。
同一 LIS 内の他のメンバと通信できること (メッシュ・トポロジ)。
図 6-1
は,2 つの LIS を持つ ATM ネットワークを示しています。
ホスト A および B は LIS 1 のメンバであり,ホスト C,ホスト D,および ホスト E は,LIS 2 のメンバです。
この図では,ホスト A とルータ間およびホスト E とルータ間の仮想回路 (VC) も示しています。
これらのホストは同じスイッチに接続されているため,相互通信を実行する VC を確立しているように見えますが,別の LIS 内のメンバとの通信はすべてルータを経由しなければならないため,VC を確立することはできません。
図 6-1: ATM ネットワークでの Classical IP
LANE (LAN Emulation) 環境では,ATM Forum で定義されているように,複数のホストがエミュレート LAN (ELAN) と呼ばれる 1 つのエンティティにグループ化されます。 LANE 環境には,次のような特徴があります。
48 ビットのメディア・アクセス制御 (MAC) アドレスでホストを識別します。
Classical IP 環境とは異なり,ポイント・ツー・ポイント接続またはマルチキャスト・サーバのいずれかを通じて,マルチキャストおよびブロードキャスト・サービスをサポートします。
IEEE ブロードキャスト LAN を使用する任意のプロトコルをサポートします。
さらに,LANE インタフェース (elan
) が,NetRAIN によってサポートされています。
詳細については,
nr
(7)
図 6-2
は,2 つのエミュレート LAN を含む ATM ネットワークを示しています。
ホスト A およびホスト B は,ELAN 上の LEC (LAN Emulation Clients) です。
ホスト C,ホスト D,およびホスト E は,ELAN 2 上の LEC です。
LECS (LAN Emulation Configuration Server),LES (LAN Emulation Server),および BUS (Broadcast and Utility Server) のサーバ機能は通常 ATM スイッチ上に常駐しますが,2 つの異なるシステムとして表現されます。
図 6-2: ATM ネットワークでのエミュレート LAN
注意
IP スイッチングをサポートしているのは,旧バージョンとの互換性を維持するためだけであり,将来のリリースではサポートされなくなる予定です。 新しいアプリケーションの開発では,この機能は使用しないでください。
IP スイッチング環境は,1 つの IP スイッチに接続された 1 つ以上のホストから構成されます。 各ホストは,それぞれの物理接続が異なるサブネットとなるポイント・ツー・ポイント物理接続によって IP スイッチに接続されます。 ホストと IP スイッチ間の通信は,動的に作成された PVC 上で実行されます。
IP スイッチは,IP ルーティングや IP トラフィックのクラス分けの機能を実行する IP コントローラ・ソフトウェアが追加された,典型的な ATM スイッチです。 この環境では,1 つのホストから別のホストに転送される,同一のプロトコル・タイプおよびサービスのタイプを持ち,パケット・ヘッダに示されているその他の特性が同一である一連のパケットは,フロー と呼ばれます。 長く遅延されているフローを IP コントローラが検出すると,ATM スイッチに対して適切なハードウェア接続を確立し,IP コントローラを迂回して ATM セルをデスティネーションに直接転送します。 これにより,そのスイッチおよびネットワーク全体のスループットが向上します。
このオペレーティング・システムの IP スイッチングの実装は,Ipsilon Networks 社の参照モデルに基づいており,次のような特性があります。
IP だけをサポートします。
マルチキャスト・サービスおよびブロードキャスト・サービスをサポートします。
システムが ARP サーバまたはマルチキャスト・サーバとして機能する必要がありません。
IFMP (Ipsilon Flow Management Protocol) を使用して,制御情報を IP スイッチと交換します。
ATM Forum シグナリング (options UNI3X
) がシステム上に構成されている必要がありません。
必要とされる構成手順が Classical IP および LAN Emulation より少なくて済みます。
ATM での IP スイッチングには,次のような制限事項があります。
1 つのホスト当たり 1 つの IP スイッチング・インタフェース (ips
) だけがサポートされています。
IP スイッチング用のドライバを使用した場合,そのドライバでは他の ATM プロトコルは使用できません。
tcpdump
および
packetfilter
ユーティリティは,ips
インタフェースではサポートされていません。
図 6-3
は,IP スイッチ,IP スイッチ・ゲートウェイ,いくつかのホスト,および従来型の LAN ネットワークを持つ,単純な ATM ネットワークを示しています。
ホスト A (16.1.1.5),ホスト B (16.1.1.2),および IP スイッチ・ゲートウェイ (16.1.1.10) は,それぞれ異なるサブネット上 (16.1.1.4/30,16.1.1.0/30,16.1.1.8/30) にあります。
IP スイッチ・ゲートウェイはルーティング・プロトコルを実行し,他のサブネットへのルートを従来型の LAN 上のホストに通知します。
図 6-3: ATM ネットワークでの IP スイッチング
IP スイッチング・サブネットワークで推奨されるネットワーク・マスク長は,30 ビットです。
このようにすると,各ホスト・アドレスに対し,サブネットワーク・アドレスに 1 ビット,ブロードキャスト・アドレスに 1 ビットの合計 2 ビットを使用することができます。
サイズの大きなネットマスクを使用することにより,接続されるホストが少ないサブネットワーク上の IP アドレス空間を節約することができます。
6.2 ATM の計画
この節では,ATM ソフトウェアを構成する前に完了する必要のある作業について説明します。
6.2.1 ATM サブセットがインストールされていることの確認
次のコマンドを入力して,ATM サブセットがインストールされていることを確認します。
# setld -i | grep ATM
すべてのサブセットがインストールされていない場合には,setld
コマンドを使用してそれらのサブセットをインストールします。
サブセットのインストレーションについての詳細は,
setld
(8)
注意
OSFATMBINOBJECT
サブセットをインストールする必要はありません。
ATM サブセットをインストールした後,次のコマンドを実行して,必要な ATM サポートがカーネル内にあることを確認します。
# sysconfig -q atm
atm:
が表示されない場合は,スーパユーザとしてログインし,次の手順を実行します。
doconfig
コマンドを実行して,新しいカーネルを作成します。
カーネルの再作成についてよくわからない場合には,『システム管理ガイド』を参照してください。
プロンプトが表示されたら,表 6-1 で説明されているカーネル・オプションを 1 つ以上選択します。
注意
ATM ハードウェアがすでにインストールされている場合は,
options ATM
が必須オプションとして自動的に選択されます。
次のコマンドを実行し,新しいカーネルを使用してシステムをリブートします。
# shutdown -r now
このコマンドにより,システムは直ちにシャットダウンされ,自動的にリブートされます。
オプション | 目的 |
options ATM
|
基本 ATM サポート (必須) |
options UNI3X
|
LANE または Classical IP による ATM Forum シグナリング |
options ATMILMI3X
|
ATM Forum ILMI (Integrated Layer Management) サポート |
options ATMIP
|
Classical IP サービス |
options LANE
|
ATM Forum LANE (LAN Emulation) |
options ATMIFMP
|
IP スイッチング |
ATM サポートがカーネル内にあることを確認できれば,ATM を構成できます。 ATM を構成するには,ATM アダプタと,次の 1 つ以上のインタフェースを構成する必要があります。
Classical IP 論理インタフェース
LAN Emulation 論理インタフェース
IP スイッチング論理インタフェース
必要な情報は,設定して使用しようとしている環境によって異なります。
6.2.3.1 アダプタに関する情報
図 6-4
は,ATM セットアップ・ワークシートです。
以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。
本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。
図 6-4: ATM 設定ワークシート
ATM ネットワーク・インタフェースのデバイス名。
lta
ネットワーク・インタフェースなど。
システムおよびローカル・スイッチに登録しようとしているアダプタの,ROM エンド・システム識別子 (ESI) アドレス。 すべてのアダプタの ROM ESI アドレスを登録するには,このフィールドを空白のままにしておきます。
スイッチによって割り当てられたアドレス・プレフィックスの数によっては,1 つまたはそれ以上の ATMアドレスを作成することができます。 ドライバは最高 64 の ROM ESI アドレスを管理することができますが,一般的にアダプタの ROM ESI アドレスはごくわずかです。
システムおよびローカル・スイッチに登録しようとしている追加の ESI アドレス。 1 つの ESI アドレスには,12 桁の 16 進数が含まれています。
SONET (Synchronous Optical Network) をアダプタで使用可能にする場合は,「SONET」をチェックします。 SDH (Synchronous Digital Hierarchy) モードを,SONET および SDH 物理インタフェースの両方をサポートする ATM アダプタで使用可能にする場合は,「SDH」をチェックします。
アダプタでのベンダ固有のフロー制御を使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 アダプタは,このタイプのフロー制御をサポートしていなければなりません。 Compaq のアダプタおよびスイッチは,FLOWmaster ベンダ・フロー制御をサポートしています。
ILMI (Integrated Layer Management Interface) をアダプタで使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 Classical IP を交換仮想回線 (SVC) で使用するには,ILMI を使用可能にしておかなければなりません。
アダプタでのシグナリングを使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 Classical IP を SVC で使用する場合は,SVC を使用可能にしておかなければなりません。
仮想回路 (VC) リリースのロギングを使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合は,「No」をチェックします。
アダプタで使用するシグナリングのバージョン。 UNI (User-Network Interface) V3.0 を使用する場合は,「3.0」をチェックします。 UNI V3.1 を使用する場合は,「3.1」をチェックします。 省略時の値は 3.0 です。
図 6-5
は,ATM Classical IP ワークシートです。
以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。
本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷してください。
図 6-5: ATM クラシカル IP ワークシート
/etc/atmhosts
ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の ATM ARP サーバの ATM アドレス。
/etc/atmhosts
ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の ATM ARP サーバの名前。
/etc/atmhosts
ファイルに追加する,ATM ARP サーバの別名。
論理 IP サブネット (LIS) のインタフェース番号。 1 つの ATM ドライバに複数の LIS インタフェースを作成することができます。
システムが ARP サーバとして機能するようにする場合は,「サーバ」をチェックします。 それ以外の場合には,「クライアント」をチェックします。
ATM ARP サーバの ATM アドレスであり,/etc/atmhosts
ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の AESA (ATM End System Address)。
また,ARP サーバは,ATM ネットワークに接続されていなければなりません。
注意
ATM Forum では,NSAP スタイルのアドレスを AESA と呼んでいます。
ATM ARP サーバ・マシンの IP アドレス。
PVC の仮想チャネル識別子 (VCI)。
PVC の仮想パス識別子 (VPI)。
リモート・ホストがクラシカル IP を RFC 1577 の定義に従ってサポートしている場合には,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。
リモート・ホストがクラシカル IP をサポートしていない場合には,そのリモート・ホストの IP アドレスを入力します。
図 6-6
は,ATM LAN Emulation ワークシートです。
以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。
本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。
図 6-6: ATM LAN エミュレーション・ワークシート
/etc/atmhosts
ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の LES (LAN Emulation Server) の ATM アドレス。
/etc/atmhosts
ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の LES の名前。
/etc/atmhosts
ファイルに追加する LES の別名があれば,その名前。
LEC (LAN Emulation Client) インタフェース・ユニット番号。
結合するエミュレート LAN の名前。 これはオプションです。 エミュレート LAN 名は,すでに ATM スイッチ上で構成されたものでなければなりません。 エミュレート LAN 名が ATM スイッチ上で構成されない場合には,LEC は省略時のエミュレート LAN を結合します。
省略時の LECS (LAN Emulation Configuration Server) に接続する場合は,「省略時の LECS」をチェックします。 LEC は,ILMI MIB 要求を使用して LECS に接続し,LECS アドレスを取得します。 この要求に失敗すると,LEC は周知の LECS のアドレスを使用します。 特定の LECS に接続する場合は,「指定 LECS」をチェックします。 いずれの場合でも,LEC は LECS に接続して LEC アドレスを取得します。
LES に直接接続する場合は,「LES」をチェックします。
LECS の ATM アドレスであり,/etc/atmhosts
ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の ATM AESA アドレス。
特定の LECS に接続するには,その LECS のアドレスを入力します。
最高 4 つまで指定することができます。
LES の ATM アドレスであり,/etc/atmhosts
ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の ATM AESA アドレス。
LEC が LES に直接接続して,構成フェーズを迂回するようにする場合は,その LES アドレスを入力します。
最大伝送単位 (MTU) のサイズ。 サポートされている MTU サイズは,1516,4544,9234,および 18190 です。 仮想 LAN 名を使用して指定されている場合には,そのエミュレート LAN はすでに ATM スイッチ上に構成され,指定された MTU サイズをサポートできるようになっていなければなりません。 指定された MTU サイズに対応して構成されていない場合には,その要求は無視されます。
図 6-7
は,ATM IP スイッチング・ワークシートです。
以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。
本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。
図 6-7: ATM IP スイッチング・ワークシート
/etc/hosts
ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの名前。
/etc/hosts
ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの IP アドレス。
/etc/hosts
ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの別名があれば,その名前。
ネットワーク・インタフェースのデバイス名。
lta
ネットワーク・インタフェースなど。
IP スイッチング (ips
)・インタフェース番号。
複数のアダプタを使用している場合には,それぞれのアダプタに,個別のインタフェース番号が割り当てられます。
IFMP (Ipsilon Flow Management Protocol) が省略時の SNAP (Subnetwork Attachment Point) VCI として使用する仮想チャネル識別子 (VCI) 番号です。 省略時の VCI は 15 です。 この番号は,IFMP がデスティネーション・ホスト上で使用する VCI 番号,またはポイント・ツー・ポイント・インタフェースに関連付けられたスイッチに一致しなければなりません。
内部ルーティング・テーブルを使用する方式です。
gated
デーモンを使用する場合には,「gated」をチェックします。
routed
デーモンを使用する場合には,「routed」をチェックします。
スタティック・ルートを使用する場合には,「静的経路」をチェックします。
デスティネーション・サブネットワークの IP アドレス。
IP スイッチ上の IP コントローラの IP アドレス。
デスティネーション・サブネットワークのネットマスク。
必要な ATM の計画が完了し,正しい ATM ハードウェアをインストールした後,ATM ソフトウェアを構成することができます。 CDE (Common Desktop Environment) のアプリケーション・マネージャから ATM 設定アプリケーションを使用して,ATM を構成します。 次の項目を構成することができます。
ATM アダプタ
Classical IP
LAN Emulation
IP スイッチング
ATM 設定アプリケーションを使用する方法の詳細については,1.2.1 項で指定されているように SysMan Menu アプリケーションを起動し,6.3.1 項を参照してください。
オプションとして,atmsetup -old
コマンドを実行すると,以前のリリースで利用可能だった
atmsetup
スクリプトを使用できます。
詳細は,オンライン・ヘルプおよび
atmsetup
(8)6.3.1 ATM アダプタの構成
ATM 論理インタフェースを使用する前に,アダプタを構成しておかなければなりません。 ATM アダプタを構成するには,次の手順に従ってください。
SysMan Menu から [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。
代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。
# /usr/sbin/sysman atm
または,次のように入力します。
# atmsetup
ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。
「未設定のアダプタ」フィールドからアダプタを 1 つ選択します。
[設定] を選択します。 「アダプタの設定/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。
このアダプタについて,すべての ROM ESI (Endpoint System Identifier) を登録しない場合には,[ROM ESI の登録] を選択します。 省略時の設定では,アダプタのすべての ROM ESI アドレスが登録されます。
このアダプタに追加の ESI (ソフト ESI と呼ばれます) を登録するには,[ソフト ESI の登録] を選択します。
このアダプタに送信 CBR (Constant Bit Rate) またはぺーシング・オプションを設定するには,[CBR/ペーシング・オプションの設定] を選択します。 「CBR/ペーシング・オプションの設定」ダイアログ・ボックスが表示されます。 設定が終了したら,[了解] を選択してダイアログ・ボックスをクローズして変更を保存します。
このアダプタがサポートするネットワーク物理層のタイプとして,SONET または SDH を指定します。
このアダプタでフロー制御 (FLOWmaster) を使用可能にするかどうかを指定します。
このアダプタで ILMI (Integrated Local Management Interface) を使用可能にするかどうかを指定します。
このアダプタでシグナリングを使用可能にするかどうかを指定します。
すべての仮想回路 (VC) リリースのロギングを使用可能にするかどうかを指定します。
UNI (User-Network Interface) のバージョンを選択します。
構成内容を確認後 [了解] を選択して,「アダプタの設定/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。 以上で,ATM 論理インタフェースを構成できるようになります。
アダプタの構成を変更することもできます。
詳細は,オンライン・ヘルプおよび
atmsetup
(8)6.3.2 Classical IP の構成
Classical IP を構成する前に,ATM アダプタを構成しておかなければなりません。 ホストに Classical IP を構成するには,次の手順を実行します。
ATM スイッチ上で PVC マッピングを作成します (PVC のみ)。
atmhosts
ファイルにサーバを追加します。
hosts
データベースへホストを追加します。
ATM 設定アプリケーションを実行します。
Classical IP 論理インタフェースを構成します。
スタティック・ルートを追加します (SVC のみ)。
PVC の設定を確認します (PVC のみ)。
以下の各項では,これらの各手順について説明します。
6.3.2.1 ATM スイッチへの PVC マッピングの作成
ATM スイッチが必要な環境で PVC を使用する場合には,ATM スイッチに PVC マッピングを作成する必要があります。
マッピングの作成方法は,使用する ATM スイッチのタイプによって異なります。
詳細は,使用している ATM スイッチのドキュメントを参照してください。
6.3.2.2 atmhosts ファイルへのサーバの追加
/etc/atmhosts
ファイルを編集して,ATM ARP サーバのアドレスを ATM ネットワークに追加することができます。
/etc/atmhosts
ファイルには,ATM ホスト名から ATM ハードウェア・アドレスへのマッピング情報が含まれています。
このファイルには,ATM ネットワーク上の特定のサービスのための,ATM ESI および AESA も含まれています。
このファイルにエントリを追加すると,アドレスまたはサービスを,長い 16 進数の文字列ではなく,名前で指定できるようになります。
/etc/atmhosts
ファイルのエントリは,次のいずれかです。
最初の文字がシャープ記号 (#) で始まるコメント行
アドレス指定
アドレス指定は
/etc/hosts
ファイルの IP アドレス指定に似ており,その形式は次のとおりです。
atm_addr hostname [ alias ... ]
atm_addr パラメータは,ESI または AESA から構成することができます。
次の表は,アドレス・タイプ,およびそれぞれのタイプで必要とされる 16 進数のアドレスの桁数を示しています。
アドレス・タイプ | アドレスの桁数 |
ESI | 12 桁の 16 進数 |
AESA | 38 桁の 16 進数 |
セレクタ・バイト付きの AESA | 40 桁の 16 進数 |
hostname パラメータには,プリント可能な文字であれば何でも使用することができます。
次の例は,/etc/atmhosts
ファイルのエントリを示しています。
08002b2fe740 myhost.esi [1] 47840f01020300002122313208002b2fe740 myhost [2] 47840f01020300002122313208002b2fe7403a myhost.ip [3]
myhost
をスイッチで登録するときに使用する ESI を指定します。
[例に戻る]
myhost
の AESA を指定します。
これはネットワーク・プレフィックスおよび ESI であり,ネットワークが認識できるアドレスです。
[例に戻る]
RFC 1577「Classical IP and ARP over ATM」の本オペレーティング・システムでの実装のための,myhost
上のサービスのセレクタ・バイト付きの AESA を指定します。
[例に戻る]
注意
省略時の設定では,
atmhosts
ファイルには PVC のエントリが含まれています。 このエントリは,削除したり変更したりしないでください。
ホストが接続する LIS (Logical IP Subnet) 上に存在するすべての ATM ホストに対応する IP アドレスを
hosts
データベースに追加します。
ローカル・ホストおよび ATM ARP サーバの IP アドレスを確認してください。
環境によっては,ホスト名およびアドレスは,ローカルな
/etc/hosts
ファイル,あるいは DNS または NIS で配布されるファイルのいずれかに置くことができます。
これらの IP アドレスは,/etc/hosts
ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts
ファイルに入力することができます。
詳細は,2.3.7 項を参照してください。
6.3.2.4 ATM 設定アプリケーションの実行
Classical IP をシステム上に構成するには,次の手順に従ってください。
SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。
代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。
# /usr/sbin/sysman atm
または,次のように入力します。
# atmsetup
ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。
[追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。
[Classical IP] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「Classical IP インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。
Classical IP 論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。
省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。
システムが ARP クライアントまたは ARP サーバとして動作するかどうかを指定します。
システムが ARP クライアントになる場合には,ARP サーバの ATM アドレスまたは別名を入力します。 次に,ARP サーバの IP アドレスを入力します。
論理インタフェースの PVC を指定する場合には,[PVC] を選択します。 「PVC の追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。 次の手順を実行します。
仮想回路の仮想パス識別子 (VPI) を入力します。
仮想回路の仮想チャネル識別子 (VCI) を入力します。
リモート・ホストのエンティティが RFC 1577 で定義されているように Classical IP をサポートするかどうかを指定します。
リモート・ホストが Classical IP をサポートしていない場合は,リモート・ホストの IP アドレスを入力します。
構成内容を確認後 [了解] を選択して,「PVC の追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。
[了解] を選択して,「Classical IP インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。
ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。
システムに ATM インタフェースが存在している場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。
アダプタの構成を変更することもできます。
詳細は,オンライン・ヘルプおよび
atmsetup
(8)6.3.2.5 Classical IP 論理インタフェースの構成
ATM 設定アプリケーションを実行し,(アプリケーション内から,またはシステムをリブートして) ATM 構成要素を起動すれば,Classical IP (lis
) インタフェースを構成できます。
lis
インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。
6.3.2.6 スタティック・ルートの追加 (SVC のみ)
ネットワーク・トポロジおよびネットワーク内の論理 IP サブネットワーク (LIS) の数および構成によって,別の LIS サブネット上にあるホストに接続するには,他のホストへのスタティック・ルートを追加しなければならない場合があります。
ルーティング・テーブルにスタティック・ルートを追加する方法については,2.3.6 項を参照してください。
6.3.2.7 PVC の構成の確認 (PVC のみ)
PVC が構成された後,atmarp -a
コマンドを実行して,構成を確認します。
PVC が構成されていれば,次のような出力が表示されます。
# atmarp -a Number of entries : 1 IP Address : atm66 (16.142.128.66) ATM Address : PVC Flags : Complete Permanent VCs : vpi vci VC Type --- --- ------- 0 999 PVC
ホストに LAN エミュレーションを構成するには,次の手順を実行します。
atmhosts
ファイルにサーバを追加します。
hosts
データベースへホストを追加します。
ATM 設定アプリケーションを実行します。
LAN Emulation 論理インタフェースを構成します。
以下の各項では,これらの手順について説明します。
6.3.3.1 atmhosts ファイルへのサーバの追加
/etc/atmhosts
ファイルを編集するのは,LES (LAN Emulation Server) アドレスを指定するか,LECS (LAN Emulation Configuration Server) アドレスを自分の ATM ネットワークで指定する場合に限られます。
/etc/atmhosts
ファイルには,ATM ホスト名から ATM ハードウェア・アドレスへのマッピングが含まれています。
このファイルには,ATM ネットワーク上の特定のサービスの ATM ESI および AESA も含まれています。
/etc/atmhosts
ファイルの編集方法についての詳細は,6.3.2.2 項を参照してください。
6.3.3.2 hosts データベースへのホストの追加
ホストが接続する任意のエミュレート LAN (ELAN) 上に存在するすべての ATM ホストの IP アドレスを
hosts
データベースに追加します。
ローカル・ホストの IP アドレスを確認します。
環境によっては,ホスト名およびアドレスは,ローカルな
/etc/hosts
ファイル内,あるいは DNS または NIS で配布されるファイルのいずれかに置くことができます。
これらの IP アドレスは,/etc/hosts
ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts
ファイルに入力することができます。
詳細は,2.3.7 項を参照してください。
6.3.3.3 ATM 設定アプリケーションの実行
システムに LAN Emulation を構成するには,次の手順に従ってください。
SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。
代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。
# /usr/sbin/sysman atm
または,次のように入力します。
# atmsetup
ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。
[追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。
[LAN Emulation] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「LAN Emulation インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。
LAN エミュレーション論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。
省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。
特定のエミュレート LAN を結合するには,結合するエミュレート LAN の名前を入力します。
システムがエミュレート LAN に登録されるモードを選択します。 特定の LECS (LAN Emulation Configuration Server) (2 番目の選択肢) に接続する場合には,LECS 名または別名も入力します。 LES (LAN Emulation Server) に直接接続する場合 (3 番目の選択肢) にも,LES 名または別名を入力します。
省略時の MTU サイズである 1516 以外のサイズを指定するには,別の MTU サイズを選択します。
[了解] を選択して,「LAN Emulation インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。
ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。
システムに ATM インタフェースが存在する場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。
注意
ELAN を ATM スイッチに結合できるのは,それぞれのアダプタで 1 度だけです。 同じ ELAN を同じアダプタに何度も結合してはいけません。 同じ ELAN を同じスイッチに結合するには,別のアダプタをインストールして,そこから ELAN を結合しなければなりません。
アダプタの構成を変更することもできます。
詳細は,オンライン・ヘルプおよび
atmsetup
(8)6.3.3.4 LAN エミュレーション論理インタフェースの構成
ATM 設定を実行し,ATM 構成要素を (アプリケーション内部からまたはシステムをブートすることによって) 起動した後,LAN Emulation (elan
) インタフェースを構成します。
elan
インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。
6.3.4 IP スイッチングの構成
ホストに IP スイッチングを構成するには,次の手順を実行します。
hosts
ファイルに IP アドレスを追加します。
IP スイッチング論理インタフェース作成するために,ATM 設定アプリケーションを実行します。
スイッチング論理インタフェースを構成します。
ルーティング・テーブルへルートを追加します。
以下の各項では,これらの手順について説明します。
6.3.4.1 hosts ファイルへの IP アドレスの追加
/etc/hosts
ファイルを編集して,ホストが接続するそれぞれの IP スイッチング・サブネットワークの IP アドレスを追加します。
それぞれのサブネットについて,ポイント・ツー・ポイント・リンクの両端 (ホスト側と IP コントローラ側) に対する IP アドレスのペア,サブネットの IP アドレス,およびサブネットのブロードキャスト・アドレスを追加します。
たとえば,図 6-3
の構成の
/etc/hosts
ファイルは,次のとおりです。
# IP Switching subnet A 16.1.1.4 networka-net 16.1.1.5 hosta.corp.com hosta atm5 16.1.1.6 ipsctrlhosta.corp.com ipsctrlhosta atm6 16.1.1.7 networka-broadcast # IP Switching subnet B 16.1.1.0 networkb-net 16.1.1.1 ipsctrlhostb.corp.com ipsctrlhostb atm1 16.1.1.2 hostb.corp.com hostb atm2 16.1.1.3 networkb-broadcast # IP Switching subnet C 16.1.1.8 networkc-net 16.1.1.9 ipsctrlhostc.corp.com ipsctrlhostc atm9 16.1.1.10 ipgwy.corp.com ipgwy atm10 16.1.1.11 networkc-broadcast
これらの IP アドレスは,/etc/hosts
ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts
ファイルに入力することができます。
詳細は,2.3.7 項を参照してください。
6.3.4.2 ATM 設定アプリケーションの実行
システムに IP スイッチングを構成するには,次の手順に従ってください。
SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。
代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。
# /usr/sbin/sysman atm
または,次のように入力します。
# atmsetup
ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。
[追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。
[IP スイッチング] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「IP スイッチング・インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。
IP Switching 論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。
省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。
仮想チャネル識別子 (VCI) を省略時の設定から変更するには,[オプション] を選択します。 「IP スイッチング・オプションの修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。 次の手順を実行してください。
目的の SNAP VCI の値が 15 (省略時の値) 以外であれば,それを入力します。
注意
この SNAP VCI の値は,ポイント・ツー・ポイント・インタフェースに関連付けられているスイッチで,IFMP が使用する VCI の値と一致していなければなりません。
接続を送信し,受信するために使用する VCI の範囲を入力します。
[了解] を選択して変更を保存し,「IP スイッチング・オプションの修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。
[了解] を選択して,「IP スイッチング・インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。
ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。
システムに ATM インタフェースが存在する場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。
アダプタの構成を変更することもできます。
詳細は,オンライン・ヘルプおよび
atmsetup
(8)6.3.4.3 IP スイッチング論理インタフェースの構成
ATM 設定アプリケーションを実行し,ATM 構成要素を (アプリケーション内部からまたはシステムをブートすることによって) 起動した後,IP スイッチング (ips
) インタフェースを構成します。
ips
インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。
6.3.4.4 ルートの追加
ネットワーク・トポロジおよびホスト上のインタフェースの数によっては,システムに複数のインタフェースがあり,省略時のルートが別のネットワーク上の別のゲートウェイである場合に,他のホストへのルートを追加しなければならないことがあります。 次の手順のいずれかを実行します。
gated
デーモンまたは
routed
デーモンを起動し,システムのルーティング・テーブルを自動的に更新します。
デスティネーション・ネットワークのルーティング・テーブルにスタティック・ルートを追加します。 SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [スタティック・ルートの設定 (/etc/routes)] を選択します。 「スタティック・ルートの設定 (/etc/routes)」ダイアログ・ボックスが表示されます。 デスティネーション・サブネットワークの IP アドレス,および IP スイッチ上の IP コントローラのアドレスを指定する必要があります。 たとえば,図 6-3 のホスト A で IP スイッチングを構成している場合に,16.1.1 ネットワーク上のすべてのトラフィックを IP スイッチを経由してルーティングするには,デスティネーション・アドレスとして 16.1.1/24 を CIDR (Classless Inter-Domain Routing) 形式で指定し,16.1.1.6 をゲートウェイ・アドレスとして指定します。
システムが通信する必要のある,それぞれの追加のネットワークについてのエントリを追加します。 詳細は,2.3.6 項を参照してください。
ATM 環境の管理では,次の構成要素の管理を行います。
以下の各項では,これらの構成要素の管理方法について説明します。
6.4.1 ATM ネットワークと,ATM ネットワークに関する情報の表示
ATM ネットワークを管理し,ATM ネットワークに関する情報を表示するには,atmconfig
コマンドを使用します。
このコマンドは,基本 ATM モジュールおよびデバイス・ドライバだけを制御し,特定の収束化モジュールやシグナリング・プロトコルについては制御しません。
atmconfig
コマンドを使用すると,次の操作を実行することができます。
デバイス・ドライバの有効化および無効化
PVC の作成および削除
SVC の削除
ESI の作成および削除
現在アクティブな VC およびドライバの状態表示
構成バッチ・ファイルの処理
詳細は,
atmconfig
(8)6.4.2 シグナリング・モジュール
エンド・システムで ATM UNI シグナリングを管理するには,atmsig
コマンドを使用します。
atmsig
コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。
シグナリング・モジュールに関する状態情報の表示
ILMI およびシグナリングの有効化および無効化
Q.SAAL および Q.93B (2931) の各種タイマ値および統計値の読み取りおよび変更
シグナリング・モジュールは,常に,指定されたインタフェースに関連付けられており,ドライバ名によって識別することができます。 インタフェースが無効である場合には,シグナリング・モジュールも無効です。 インタフェースを再びオンラインにするときには,シグナリング・モジュールを有効にしなければなりません。
詳細は,
atmsig
(8)6.4.3 Classical IP 環境
エンド・システムで Classical IP を管理するには,atmarp
コマンドを使用します。
atmarp
コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。
論理 IP サブネット (LIS) インタフェースの作成
ATM ARP テーブルのエントリの作成および削除
ATM ARP テーブルのエントリの表示
エントリのパーマネント・フラグの切り替え
ローカル・ホストの ATM 構成状態の表示
VC および Classical IP をサポートしないリモート IP エントリの間の関連付けの作成および削除
詳細は,
atmarp
(8)6.4.4 LAN Emulation 環境
LAN Emulation 環境の管理には,次のような作業が含まれています。
LEC (LAN Emulation Client) の管理
LE-ARP (LAN Emulation Address Resolution Protocol) の表示
以下の各項では,これらの作業について説明します。
6.4.4.1 LAN Emulation Client の管理
LEC を管理するには,atmelan
コマンドを使用します。
atmelan
コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。
LEC のネットワーク・インタフェースとしての作成および構成
カウンタ,パラメータ,およびそれぞれの LEC の状態の表示
詳細は,
atmelan
(8)6.4.4.2 LE-ARP テーブルの表示
それぞれの
elan
インタフェースに対する LE-ARP テーブルを表示するには,learp
コマンドを使用します。
エミュレート LAN のアドレス・マッピングが表示されます。
それぞれのエントリは,MAC (Media Access Control) アドレス,状態,ATM アドレス,およびフラグから構成されます。
詳細は,
learp
(8)6.4.5 IP スイッチング
エンド・システムの IP スイッチングを管理するには,atmifmp
コマンドを使用します。
atmifmp
コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。
IP スイッチングの有効化および無効化
IP スイッチングの構成の表示
IP スイッチングの統計値の表示またはクリア
IP スイッチングのフロー情報の表示
詳細は,
atmifmp
(8)6.4.6 ATM サブシステムのメッセージ
ATM サブシステムは,/var/adm/syslog.dated/date/kern.log
ファイルに状態メッセージとエラー・メッセージを記録します。
このメッセージ・ファイルの内容は,SysMan Menu ユーティリティのイベント・ビューアで見ることができます。
イベント・ビューアについての詳細は,11.9 節
を参照してください。
省略時の設定では,ATM サブシステムはサブシステム初期化メッセージ,重要な状態変更,および重大なエラー状況を記録します。 ATM サブシステムが表示するメッセージのレベルを,すべての構成要素にわたって一括して上げるには,次のコマンドを使用します。
# sysconfig -r atm global_msg_level=2
メッセージ・レベルは,サブシステムの構成要素ごとに上げることもできます。 たとえば,LANE のメッセージ・レベルを上げて,セッション初期化情報を参照できるようにするには,次のコマンドを使用します。
# sysconfig -r lane lane_msg_level=2
詳細は,
sys_attrs_atm
(5)