以降の各節で,本リリースの問題点と解決方法および制限事項について説明します。
2.1 一般的な問題点と制限事項
以降の各項で,一般的な ASU サーバの問題点と解決方法および制限事項について説明します。
2.1.1 省略時の共有のアクセス権の復元
C$
共有などのような省略時の共有が削除されて再作成された場合,ACL が正しくないことがあります。acladm -O
コマンドを入力して,省略時の ACL を復元する必要があります。
2.1.2 Windows XP ワークステーションからの ASU サーバのブラウズ
Windows XP ワークステーションの Network Neighborhood インタフェースを使用して ASU サーバをブラウズしている場合には,ASU サーバの追加のリッスン名 (ある場合) ではなく,一次名を選択する必要があります。ASU サーバの追加のリッスン名を選択すると,次のエラー・メッセージが Windows XP ワークステーションに表示されます。
¥¥node_name is not accessible, you might not have permission to use this network resource. Contact the administrator of the server to find out if you have access permissions. The network path was not found.
ASU サーバの追加のリッスン名は,asusetup
ユーティリティを使用するか,または
SYSTEM/CurrentControlSet/Services/AdvancedServer/Parameters/ExtraListenNames
レジストリ・エントリの値を設定することにより指定します。
2.1.3 ASU ドメイン・コントローラからの Windows XP ワークステーションへのログオン
ユーザは ASU ドメイン・コントローラから Windows XP ワークステーションへログオンできず,次のエラー・メッセージが Windows XP ワークステーションに表示されます。
Windows cannot connect to the domain, either because the domain controller is down or otherwise unavailable, or because your computer account was not found. Please try again later. If this message continues to appear, contact your system administrator for assistance.
この問題を解決するには,Windows XP ワークステーションで次の変更を行います。
ローカル グループ ポリシーを編集して Autoenrollment を無効にします。次の手順に従ってください。
[スタート] メニューから [ファイル名を指定して実行] をクリックして
gpedit.msc
を入力します。
Local Computer Policy\Computer Configuration\Windows
Settings\Security Settings\Public Key Policies\Autoenrollment Settings
を選択します。
[Autoenrollement Settings
] プロパティ・ウィンドウから [Do not enroll certificates automatically
] ボタンを選択して [OK] を選択します。
ローカル グループ ポリシー エディタを終了します。
次の手順に従って,レジストリ・エントリ
REQUIRESIGNORSEAL
を 0 に設定します。
[スタート] メニューから [ファイル名を指定して実行] をクリックして
regedt32
を入力します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Netlogon\Parameters\REQUIRESIGNORSEAL
を選択した後,プルダウン・メニューから [修正] を選択します。
[DWORD 値の編集] ウィンドウから,[値のデータ] フィールドに 0 を設定して [OK] を選択します。
Windows XP ワークステーションをリブートします。
注意
Windows XP ワークステーションが ASU ドメイン・コントローラに加わる場合, NetLogon system 5723 Error が ASU システム・イベント・ログに記録されることがあります。このイベントは無視してかまいません。詳細については,Microsoft Article Q310461 を参照してください。
2.1.4 Windows XP ワークステーション上での ASU サーバ名の識別
Windows XP ワークステーションでは,エクスプローラおよび Microsoft Word の [ファイル名を付けて保存] ウィンドウで,ASU ディスク共有は次のいずれかの方法で一覧表示されます。
$sharename on 'Advanced Server for Unix ($server)' on ($drive) users on 'Advanced Server for Unix (josb84)' on (Y:)
[ファイル名を付けて保存] ウィンドウの省略時のサイズのために,ASU サーバ名が切り捨てられた結果,同じ名前で,異なる ASU サーバ上にあるディスク共有を識別するのが困難になることがあります。
この問題を解決するには,SrvComment
レジストリ・パラメータの値を短い文字列に変更します。次の手順に従って,regconfig
レジストリ・エディタを使用し,SrvComment
レジストリ・パラメータの値を ASU に変更してください。行末のバックスラッシュ (\) は,そのコマンド行が次の行に続くことを示しています。コマンド全体を入力したら,Enter キーを押してください。
# regconfig SYSTEM/CurrentControlSet/Services/\ Lanmanserver/Parameters SrvComment REG_SZ "ASU"
次のコマンドを入力して,ASU サーバを再起動します。
# net stop server # net start server
2.1.5 ASDU Password ユーティリティの実行
Windows NT あるいは Windows 2000 Server または Professional が稼働しているシステムで ASDU Password ユーティリティを実行するには,SyncUnixPassword
レジストリ・エントリを無効 (省略時の設定) にする必要があります。
2.1.6 多くのリッスン名を持つ ASU サーバの起動
システムが 13 以上のリッスン名を持つ場合,net start server
コマンドで,ASU サーバの起動に失敗したというエラー・メッセージが返されることがあります。実際のところ,ASU サーバは最終的には起動しますが,すべてのリッスン名がポストされる前に,net start server
コマンドがタイムアウトになります。
2.1.7 NIS およびエンハンスト・セキュリティとパスワードの同期化
ASU サーバでは,ネットワーク情報サービス (NIS) およびエンハンスト・セキュリティの使用時に,パスワードの同期化 (SyncUnixPassword
が有効) をサポートしません。
2.1.8 Tru64 UNIX のグループおよびファイルの許可を無視する方法
ドメイン・ユーザが ASU 共有リソースにアクセスするとき,省略時の設定では,ASU サーバは Windows NT のアクセス権を確認した後に,Tru64 UNIX のユーザおよびグループの許可を確認します。ASU サーバが Tru64 UNIX のユーザおよびグループの許可を確認しないようにするには,IgnoreUnixPermissions
レジストリ値エントリを有効にします。ただし,UnixQuotas
レジストリ値エントリが有効になっていると,IgnoreUnixPermissions
レジストリ値エントリを有効にしても,ASU サーバは Tru64 UNIX のユーザおよびグループの許可を確認します。
2.1.9 大文字のファイル名とディレクトリ名
ASU 共有内のファイル名やディレクトリ名がすべて大文字で作成されていると,Windows エクスプローラで表示したときに最初の大文字しか見えません。
2.1.10 SIA サブセットとユーザ・パスワード
省略時の設定では,ドメイン・ユーザ・アカウントを作成すると,そのアカウントに対応する Tru64 UNIX ユーザ・アカウントのパスワード (通常,/etc/passwd
ファイルに置かれています) が
Nologin
に設定されます。このため,このアカウントのユーザは,管理者がパスワードを設定するまで Tru64 UNIX システムに対話形式でログインすることができません。ただし,SIA サブセットをインストールしてドメイン・ユーザ・アカウントを作成した場合には,そのアカウントのパスワードは
Nologin
に設定されますが,ユーザはドメインのユーザ名とパスワードを使って Tru64 UNIX システムに対話形式でログインすることができます。
2.1.11 NFS マウントされたデバイスでは rpc.lockd および rpc.statd デーモンが必要
ASU
UseNfsLocks
レジストリ値エントリが有効に設定され (1 に設定),ASU ソフトウェアを実行している Tru64 UNIX システムまたは NFS サーバ上で NFS ロックが有効に設定されていない (rpc.lockd
および
rpc.statd
デーモンが起動されていない) 場合に,NFS マウントされたデバイスにアクセスすると,ASU ソフトウェアが機能停止したり,データが失われたりするおそれがあります。省略時の設定では,UseNfsLocks
レジストリ値エントリは有効に設定されています。
2.1.12 ファイルおよびディレクトリの複製の問題
replicator
サービスは,次のような場合には,ファイルおよびディレクトリの複製を行いません。
ツリーの最上位レベルのディレクトリ名に,ASCII 以外の文字が含まれている。
最上位レベルのディレクトリ名には,ASCII 文字だけを使用できます。ただし,ツリー内のサブディレクトリおよびファイルの名前には,ASCII 以外の文字を使用することができます。
インポート・リストに複数のサーバを指定した。
repl.ini
ファイルに
integrity=tree
パラメータを設定した。
複製するファイルまたはディレクトリの名前が MS-DOS 8.3 命名規約に従っていない。
複製エクスポート・パスに小文字のデバイス名を指定した。
デバイス名は必ず
C:
になり,次の例のように,大文字で入力しなければなりません。
ExportPath = "C:¥usr¥net¥servers¥lanman¥shares¥asu¥repl¥export"
仮想メモリが不足したために,ブラウザ・プロセスを再起動しなければならない場合があります。
net start
コマンドを入力したときに
BROWSER
が表示されない場合は,次のコマンドを入力して,ブラウザ・プロセスを再起動する必要があります。
#
net start browser
2.1.14 ASU レジストリ破損の潜在的可能性
Tru64 UNIX システムが,たとえば停電などのために突然停止すると,ASU レジストリが破損することがあります。症状として,ASU サーバが起動できなくなります。
ASU レジストリの状態についての情報を表示するには,次のコマンドを入力します。
#
regcheck
-C
破損した ASU レジストリを修復するには,次のコマンドを入力します。
#
regcheck
-R
2.1.15 core ファイルへの保護の設定
/etc/sysconfigtab
ファイルの
proc
セクションで
enhanced-core-name
属性が 1 に設定されている場合,ASU サーバは core
ファイルに保護を設定することができません。属性値を変更する方法については,
sysconfig
(8)2.2 ASU および TruCluster Server の問題点と制限事項
以降の各項で,ASU および TruCluster Server の問題点と解決方法および制限事項について説明します。
2.2.1 ロッキング違反
2 つのクライアントが,TruCluster の異なるメンバ上の同じファイルをオープンし,プログラムが暗黙の書き込みロックに依存している場合には,予期しないエラーが報告されることがあります。
ASU サーバは,省略時の設定では,状態を返した後,書き込みを実行します。書き込みが失敗すると,次の入出力操作でエラーが報告されます。Trucluster では,メンバ間のロックも遅延型であるため,予期しない結果が生じる可能性があります。
明示的なロックを使用するようにプログラムを変更できない場合には,WriteBehind
レジストリ・エントリを無効にします。
次の手順に従って
regconfig
レジストリ・エディタを使用し,WriteBehind
レジストリ・エントリを無効にしてください。行末のバックスラッシュ (\) は,そのコマンド行が次の行に続くことを示しています。コマンド全体を入力したら,Enter キーを押してください。
# regconfig SYSTEM/CurrentControlSet/Services/AdvancedServer/\ FileServiceParameters WriteBehind REG_DWORD 0
次のコマンドを入力して,ASU サーバを再起動します。
# net stop server # net start server
2.2.2 TruCluster Server バージョン 5.x のエラー・メッセージ
次のコマンドを実行して,TruCluster Server バージョン 5.x のシングル・インスタンス・アプリケーションとして構成されている ASU サーバを起動すると,CAA request timeout!
(CAA 要求タイムアウト) というエラー・メッセージが表示されます。
#
caa_startup asu
-c
servername
このエラー・メッセージは無視してかまいません。ASU サーバは正常に起動されます。
2.2.3 TruCluster のローリング・アップグレード
ASU ソフトウェアおよび Tru64 UNIX バージョン 5.0A またはバージョン 5.1 のオペレーティング・システムを実行している TruCluster Server のメンバでローリング・アップグレードを実行するには,まず,ASU ソフトウェアをバージョン 5.0 ECO2 以降にアップグレードしたのち,Tru64 UNIX オペレーティング・システムのローリング・アップグレードを行います。
2.2.4 none モードへの再構成
ASU サーバをシングル・モードまたはマルチ・モードから none モードへ再構成している場合,transports.ini
ファイルにはまだ複数のメンバ用の構成データが含まれています。クラスタがリブートすると,各ブート・メンバは
transports.ini
ファイルで対応する情報を見つけ,ASU サーバは,トランスポートを複数のメンバで実行したまま,すべてのメンバで起動しようとします。
これを回避するには,エディタを使用して,transports.ini
ファイルから,1 つのメンバとそれに対応するコントローラ情報を除き,すべてのエントリを削除します。たとえば,次の出力は,ASU サーバを none モードに再構成した後の
transports.ini
ファイルからのものです。ASU サーバを server2 という名前のメンバでのみ実行したい場合は,member_01, controller_01, member_03, および controller_03 を参照するすべての行を削除し,member_02 および controller_02 を参照する行だけを残します。この例では,アスタリスク (*) で示す行を削除します。
[ member ] * member_01=server1.compaq.com,server1 member_02=server2.compaq.com,server2 * member_03=server3.compaq.com,server3 [ tcpip ] * controller_01=tu0 controller_02=tu0 * controller_03=tu0 [ netbeui ] * controller_01=tu0 controller_02=tu0 * controller_03=tu0
2.2.5 TruCluster クラスタへの ASU の再インストール
ASU ソフトウェアを TruCluster Server クラスタに再インストールする場合に,ASU トランスポートが正しく停止しないことがあります。
この問題を解決するには,ASUBASE または ASUTRAN サブセットを削除する前に,すべてのクラスタ・メンバ上の ASU サーバおよびトランスポートを停止する必要があります。
各クラスタ・メンバ上で次のコマンドを入力して,ASU サーバおよびトランスポートを停止します。
#
/usr/net/servers/lanman/scripts/asuase_stop
2.2.6 ASU サーバの再構成
asusetup
ユーティリティを使用して ASU サーバ PDC をマルチ・モードからシングル・モードに再構成する場合,次のエラー・メッセージが表示されることがあります。
ERROR: An account for this machine cannot be created.
このメッセージが表示された場合は,asusetup
ユーティリティを再実行してください。
2.3 ASU サーバおよび Windows 2000 の問題点と制限事項
以降の各項で,ASU サーバおよび Windows 2000 の問題点と解決方法および制限事項について説明します。
2.3.1 Windows 2000 用の ASU の複製データベース
Windows NT システムから Windows 2000 システムにアップグレードする前に,SAM データベースが ASU サーバから複製されている場合には,まず SAM データベースから Admin アカウントと Servers グループを削除する必要があります。
2.3.2 Windows 2000 ドメインでの ASU サーバの管理
Windows 2000 ドメインで ASU サーバを管理するには,ファイルの複製を除いて (2.3.3 項を参照),Windows 2000 インタフェースを使用する必要があります。
ASU サーバ上のサービスを Windows 2000 の管理コンソール (MMC) を使って管理すると,次のような情報メッセージが表示される場合がありますが,これは無視してかまいません。
Configuration Manager: The machine selected for remote communication is not available at this time.
Windows 2000 のドメインで ASU サーバを BDC として構成している場合,信頼の管理は,すべて Windows 2000 ドメイン・コントローラ上で行わなければなりません。ASU BDC 上で,信頼を管理するための
net
コマンドを実行すると,そのコマンドは失敗して,次のようなエラー・メッセージが表示されます。
#
net trust ntdomain password /allow /domain:w2kdomain
Access Denied
#
net trust ntdomain password /add
Error 87 Parameter is incorrect.
Windows 2000 の File Replication Service の大幅な変更により,Windows 2000 Microsoft 管理コンソール (MMC) または Windows 2000 上の
ASTOOLS
ディスク共有の
srvmgr
インタフェースを使用して,ASU のファイル複製を構成できません。
ASU のファイル複製を構成するには,Windows NT
srvmgr
インタフェース,または Windows NT 上の ASU
ASTOOLS
ディスク共有の
srvmgr
インタフェースが使用できます。
2.3.4 ASU プリンタ共有の管理で Windows 2000 エクスプローラがクラッシュする問題
Windows NT または Windows 2000 が提供するドライバを使用するように構成されていない ASU プリンタ共有を Windows NT または Windows 2000 から管理しようとすると,Windows 2000 エクスプローラがクラッシュします。
この問題を回避するには,ASU プリンタ共有を ASU
net share
コマンドで作成しないで,Windows NT または Windows 2000 から作成します。
2.3.5 ASU と Windows 2000 シングル サインオン V2.0 のマシン・アカウント名の競合
Tru64 UNIX システムで ASU バージョン 5.1A 以降と Windows 2000 シングル サインオン (SSO) V2.0 を実行する場合,ASU サーバ名はそのホスト名と同じにすることはできません。この問題は SSO V1.0 にも当てはまりますが,ASU バージョン 5.1A 以降と SSO V2.0 では,解決方法が異なります。
SSO ソフトウェアは,Tru64 UNIX システムのホスト名に一致する Active Directory にマシン・アカウントを作成します。ASU サーバもホスト名を ASU サーバ名として使用する場合 (省略時の設定どおり),SSO ソフトウェアで作成されたアカウントを上書きして,SSO の機能性に障害が生じます。この障害を回避するには,asusetup
コマンドを実行し,ホスト名と異なっていて,環境内のどのサーバ名とも競合しない ASU サーバ名を選択します。asusetup
コマンドで追加のリッスン名の入力を要求するプロンプトが表示された場合は,Tru64 UNIX ホスト名を入力します。これにより,ユーザは,ASU サーバ名としてホスト名を使用することにより,ドライブを共有にマップできるようになり,マシン・アカウントの競合は起こりません。
2.3.6 ASU と Windows 2000 シングル サインオン V1.0 のマシン・アカウント名の競合
Tru64 UNIX システムで ASU バージョン 5.1A 以降と Windows 2000 シングル サインオン (SSO) V1.0 を実行する場合,ASU サーバ名はそのホスト名と同じにすることはできません。
SSO ソフトウェアは,Tru64 UNIX システムのホスト名に一致する Active Directory にマシン・アカウントを作成します。ASU サーバもホスト名を ASU サーバ名として使用する場合 (省略時の設定どおり),SSO ソフトウェアで作成されたアカウントを上書きして,SSO の機能性に障害が生じます。
この問題を回避するには,SSO ソフトウェアを構成する際に,マシン・アカウント名として Tru64 UNIX システムのホスト名を使用しないでください。
2.4 ネットワーク上の問題点と制限事項
以降の各項で,ネットワーク上の問題点と解決方法および制限事項について説明します。
2.4.1 NetBEUI クライアントの接続が失われる問題
これは,802.2 サービス・クラスを実装したほとんどのクライアントで起きる問題です。NetBEUI クライアントでも,一部の高速 SMP サーバとのリンクが失われる場合があります。この問題は,順不同のパケットをクライアントに送れるサーバの登場により,さらに複雑さを増しています。
Abort, Fail, Retry?
というメッセージを受け取ったら,retry ボタンをクリックして,リンクを再度確立してみてください。それでも問題が解決しない場合には,リンクを強制終了して,クライアントとサーバで TCP/IP を使用するように構成を変更してください。
2.4.2 トランスポート起動エラー
ASU ソフトウェアをアップグレードした後に次のメッセージが表示された場合は,システムを再ブートしてください。
Open of knbtcp driver failed: Error in protocol
2.4.3 大規模なデータベースを持つ WINS サーバ
大規模な WINS 環境では,WINS サーバに名前を登録するのに長い時間を必要とする場合があります。ASU サーバは,この遅延を,WINS サーバとの接続が失われたものと思い込み,次のメッセージをシステム・ログ・ファイル (/var/adm/messages
) に書き込みます。
knb: Contact lost with WINS server nn.nn.nn.nn
メッセージに含まれる nn.nn.nn.nn は,WINS サーバの TCP/IP アドレスを示しています。
この問題が ASU サーバの動作に支障をきたすことはありませんが,名前解決に WINS だけを使用しているクライアントが ASU サーバに接続しようとすると,問題が起こります。ASU サーバは,ASU サーバ NetBIOS 名を WINS サーバに登録しようとします (省略時の設定では 4 分おき)。この試みは,すべての ASU サーバ名が登録されるか,または接続が失われるまで続きます (いずれにしても同じプロセスが繰り返されることになります)。
接続が失われる問題が定期的に発生する場合は,/etc/sysconfigtab
ファイルに格納された以下の WINS クライアント・パラメータを変更することもできます。ただし,省略時の値を変更することは推奨していません。
パラメータ | 機能 | 省略時の値 |
knbretrycontact |
TWINS サーバとの接続を次に試みるまでのタイムアウト (ミリ秒単位) |
240000 (4 分) |
knbquerytimeout |
名前照会を次に試みるまでのタイムアウト (ミリ秒単位)。このパラメータ値を変更すると,ブロードキャストと WINS を使用して行うすべての名前照会に影響する。 |
500 (0.5 秒) |
knbqueryretries |
再試行の回数 |
3 |
knbwinsquerymult |
WINS を使った照会に適用されるタイムアウトの乗数 |
4 照会のタイムアウトと乗数に省略時の値を適用すると,WINS を使った照会では,タイムアウトが 2 秒になる (0.5 秒 x 4)。 |
knbignorewinsavailable |
照会を行う際に WINS サーバとの接続を無視するかどうかの指定 |
True (1); WINS サーバとの接続が失われている場合でも,名前の照会は WINS サーバに送られる。 |
WINS クライアント・パラメータを変更するには,次の手順に従います。
次のコマンドを実行して ASU サーバを停止させます。
#
net stop server
変更するパラメータ用の
stanza
フォーマット属性ファイルを作成します。たとえば,knbretrycontact
パラメータ用の
stanza
フォーマット属性ファイルを作成し,WINS サーバへの接続を再試行するまでのタイムアウトを 300000 (5 分) に変更するときは,次のように入力します。
# cat > knbretrycontact.stanza knbtcp: knbretrycontact = 300000 ^D
次のコマンドを実行して,この属性を
/etc/sysconfigtab
ファイルにマージします。
#
sysconfigdb
-a
-f
knbretrycontact.stanza
knbtcp
sysconfigtab
ファイルに
knbretrycontact
パラメータがすでに存在する場合には,パラメータを追加する
-a
フラグではなく,パラメータを更新するための
-u
フラグを使用します。
次のコマンドを実行して ASU サーバを再起動します。
#
net start server
ここでは,コマンドに関する問題とその解決方法および制限事項について説明します。
2.5.1 dxaccounts コマンド
dxaccounts
コマンドを使用して,49 文字以上の記述を持つアカウントを変更することはできません。
組み込みの ASU
Guest
アカウントには,Built-in account for guest access to the computer/domain
という 49 文字以上の省略時の記述があります。ASU の
Guest
アカウントを変更するには,net user
コマンドまたはドメイン ユーザー マネージャ GUI を使用します。
2.5.2 net perms コマンド
net perms
コマンドは,ファイルまたはディレクトリの ACL に削除されたユーザまたはグループの ACE が含まれる場合,次のメッセージを表示します。
Error 13 has occurred. The data is invalid.
この問題を解決するには,acladm -U
コマンドを入力して,削除されたユーザまたはグループの ACE を除去します。
2.5.3 passwd コマンド
ASU SIA サブセットがインストールされたシステムでは,Tru64 UNIX
passwd
コマンドの動作は確実ではなく,ヒストリ機能は動作しません。ASU SIA サブセットがインストールされたシステムで ASU ユーザ・アカウントのパスワードを変更するには,net password
コマンドまたは Microsoft のユーザー マネージャを使用します。
2.5.4 promote コマンド
promote
コマンドを使用して PDC を降格したのちに,asusetup
コマンドを入力して構成を変更しないでください。そのようにすると,ASU サーバが未確定の状態のままになります。
promote
コマンドの使用方法についての詳細は,
promote
(8)2.5.5 アップグレード後に net コマンドが使用できない
ASU ソフトウェアのアップグレード時に,シェル・パスが変更されて,/usr/bin
パスが消失することがあります。その結果,net
コマンドが使用できなくなります。C シェルを使用している場合には,rehash
コマンドを使用して,パスを復元してください。
2.5.6 asustat -n コマンドが誤ったクライアント接続数を報告する
ASDU-MCS-CLIENT の PAK (Product Authorization Key) がインストールされているシステムでは,net session
コマンドが入力された後に,asustat -n
コマンドで表示されるクライアント接続の数が誤っています。
クライアント接続の正しい数を表示するには,asustat
-L
コマンドを使用してください。
2.5.7 BDC で adduser コマンドを使用できない
Tru64 UNIX バージョン 5.0 以降のオペレーティング・システムが稼働し,ASU の BDC として構成されているシステムでは,対応するドメイン・ユーザ・アカウントを持つ Tru64 UNIX ユーザ・アカウントを
adduser
コマンドで作成することはできません。アカウントを作成するには,/usr/bin/X11/dxaccounts
GUI を使用するか,または
useradd
コマンドを
-D
pc_synchronize=0
オプション付きで使用します。たとえば,ユーザ名が peter の Tru64 UNIX ユーザ・アカウントとドメイン・ユーザ・アカウントを,useradd
コマンドと省略時の値を使って作成するには,次のコマンドを入力します。
#
useradd
-D
pc_synchronize=0
#
useradd peter
useradd
コマンドについての詳細は,
useradd
(8)2.5.8 sjistoeuc および euctosjis コマンドで正しく変換されないファイルがある
sjistoeuc
および
euctosjis
コマンドでは,MS-DOS から UNIX フォーマットに変換する際に,日本語のユーザ定義文字が正しく変換されません。
変換したいファイルに日本語のユーザ定義文字が含まれる場合には,ud
および
iconv
コマンドを使用して変換するようにしてください。たとえば,ファイルを MS-DOS から UNIX フォーマットに変換し,文字のエンコーディングを SJIS から EUC に変換するには,次のコマンドを入力します。
# ud -u sjis.txt | iconv -f SJIS
-t eucJP >
euc.txt
ファイルを UNIX から MS-DOS フォーマットに変換し,文字のエンコーディングを EUC から SJIS に変換するには,次のように入力します。
# ud -d euc.txt | iconv -f eucJP
-t SJIS >
sjis.txt
2.5.9 asusetup コマンドは log コマンドとともに実行しない
asusetup
プロシージャからの出力のログを取りたい場合は,asusetup
コマンドと一緒に
log
コマンドを使用するのではなく,script
コマンドを使用してください。
2.5.10 net accounts /sync コマンドがドメイン・エントリ数を正しく計算できない
ドメインに多数の Windows NT ワークステーションが含まれている場合,net accounts /sync
コマンドはエントリの数を正しく計算できません。Microsoft 社はこの問題を修正するために,Windows NT 4.0 Service Pack 4 でホット・フィックス (Q182441) を発行しています。
2.6 ASU サーバおよび Windows 95 の問題点と制限事項
以降の各項で,Windows 95 システムから ASU サーバを管理する際に起こる問題とその解決方法および制限事項について説明します。
2.6.1 信頼関係の設定
Windows 3.x,Windows for Workgroups,または Windows 95 ソフトウェアが稼働しているシステム上で Windows クライアント・ベースの管理インタフェース (Nexus ツール) を使用して,ASU サーバと Windows NT サーバの間に信頼関係を設定することができます。ただし,これらのインタフェースでは,リモートの信頼される側のドメインにログインしたり,信頼関係を検証したりすることはできません。
Windows クライアント・ベースの管理ツールについての詳細は,『Advanced Server for UNIX インストレーション/管理ガイド』を参照してください。
2.6.2 Windows 95 からの ASU 共有ブラウジング時のエラー
Windows 95 ソフトウェアでは,スペルは同じであるが,一方が大文字でもう一方が小文字のファイル名またはディレクトリ名を持つ ASU 共有をブラウズすると,次のようなエラー・メッセージが表示されます。
Drive:¥directory is not accessible This folder was moved or removed.
ファイル名やディレクトリ名の大文字/小文字だけが異なっている場合は,名前を変更してください。
2.6.3 ドイツ語のウムラウトを含む共有名のアクセス権の管理
Windows 95 ソフトウェアが稼働しているシステム上で Windows エクスプローラを使用して,名前にドイツ語のウムラウトが含まれる共有上のリソースのアクセス権を管理することはできません。これらの共有のアクセス権を管理するには,Windows ネットワーク コンピュータのインタフェースを使用する必要があります。
Microsoft 社は Windows 95 ソフトウェアで Unicode をサポートしていないことを認めていますが,解決策を提供する予定はありません。
2.6.4 ASU 共有内のファイルおよびディレクトリの名称変更または削除
ASU ソフトウェアが,US の英語ロケール (en_US.ISO8859-1) またはイギリスの英語ロケール (en_GB.ISO8859-1) で構成されている場合,英語でない小文字を含む ASU 共有にあるファイルおよびディレクトリについて,Windows 95 ソフトウェアを実行しているシステム上の Windows エクスプローラで名前を変更したり削除したりすることはできません。
この問題を解決するには,lanman.ini
ファイルの
lmxserver
セクションにある
lang
および
msdoscodepage
パラメータを,次の表に従って設定してください。
ロケール | lang パラメータ | msdoscodpage パラメータ |
en_US.ISO8859.1 (U.S.の英語) | de_DE.ISO8859-1 | cp437 |
en_GB.ISO8859.1 (イギリスの英語) | de_DE.ISO8859-1 | cp850 |
以降の各項で,プリンタに関する問題と解決方法および制限事項について説明します。
2.7.1 プリンタ共有の追加
ASU レジストリが削除されているが,PRINT$
ディスク共有内のデバイス・ドライバ・サブディレクトリが削除されていない場合,ASU サーバではプリンタ共有を追加することができません。
この問題を解決するには,PRINT$
ディスク共有内のすべてのファイルを削除した後,ASU プリンタ共有を削除して再作成します。
2.7.2 Lexmark PostScript ドライバ
Optra S 4250 用の Windows 2000 Lexmark PostScript ドライバは,ASU サーバ上にインストールされません。
この問題を解決するには,ドライバをローカルにインストールします。
2.7.3 ASU プリンタ共有の削除
ASU プリンタ共有を削除するために,Tru64 UNIX の
lprsetup
コマンドを使用したり,/etc/printcap
ファイルを編集してはなりません。プリンタ共有を削除するには,clsetup
コマンドを使用するか,または次のように入力します。
#
net share
sharename
/delete
net
コマンドについての詳細は,『Advanced Server for UNIX インストレーション/管理ガイド』を参照してください。clsetup
コマンドについての詳細は
clsetup
(8)2.7.4 Windows 2000 ドライバの未サポート
Windows 2000 プリンタ・ドライバの中には,ASU サーバがサポートしていない Windows 2000 サーバの機能を使用するために,ASU サーバにインストールできないものがあります。
2.7.5 HP PCL ドライバの未サポート
Hewlett-Packard (HP) Windows NT および Windows 2000 PCL ドライバの中には,ASU サーバが提供していないデバイス・モード情報を ASU サーバから受信することを期待するドライバがあります。
PCL ドライバの代わりに HP PostScript ドライバを使用してください。
2.7.6 ASU のプリント・ジョブが CPU 時間の 100% を消費する
vmstat
コマンドからの情報に,印刷で CPU 時間の 100% が使用されていると示されている場合は,/usr/net/servers/lanman/spool/lmspoolmap.*
ファイルを削除してください。これらのファイルは,ASU サーバが必要時に作成します。
2.7.7 Internet Explorer から印刷する際のパフォーマンスの問題
Internet Explorer 4.0 を使用する Windows ユーザは,ASU
DisableUpLevelPrinting
値エントリが有効に設定されているシステム上のダウン・レベル・プリンタに印刷した後,ネットワーク・トラフィックが増加したことに気づくことがあります。省略時の設定では,このエントリは無効に設定されています。ネットワーク・トラフィックの増加は,Internet Explorer が印刷ジョブに関する情報を繰り返し要求することによる周期的なもので,これは,ユーザが Internet Explorer を停止するまで続きます。
この問題は,Microsoft 社により Internet Explorer Version 4.0 Service Pack 1 で修正されています。
2.7.8 ASU プリンタ・プロパティを表示できない
ASU プリンタ共有のために, Windows NT ディストリビューション・メディアを使用して,Windows NT クライアントからドライバをインストールすると,表示されるプリンタのプロパティは ASU プリンタのプロパティではなく,Windows NT ローカルのプロパティになります。
2.7.9 電子メールのプリンタ状態メッセージ
Windows 95 プリント・ドライバには,プリンタに状態メッセージを送信するように指示する命令が含まれているため,Windows 95 システムのユーザは,DIGITAL または Compaq プリントサーバでジョブを印刷すると,電子メールのメッセージを受信することがあります。
電子メールのメッセージを送信しないようにプリントサーバ・ソフトウェアを構成することもできます。