6    ATM

ATM (非同期転送モード) ネットワークには,次のような機能があります。

ATM ネットワークにより,特にローカル・エリア・ネットワークで実行されるアプリケーションで必要とされる高速で短い待ち時間 (交換方式の全二重ネットワーク基盤) が実現されます。

この章では,次の項目について説明しています。

ATM 用のデバイス・ドライバおよびカーネル・モジュールの作成方法については,『Asynchronous Transfer Mode』を参照してください。 問題解決のための情報は,10.6 節を参照してください。

6.1    ATM 環境

ATM ネットワークは,次の要素から構成されています。

オペレーティング・システムの ATM 環境では,次の構成が可能です。

以下の各項では,これらの構成のそれぞれについて,およびそれぞれの構成におけるシステムの役割について説明します。

6.1.1    Classical IP 環境

Classical IP 環境は,RFC 1577 で説明されているように,ユニキャスト IP トラフィックを ATM ネットワークで伝送する手段を提供します。 この環境では,相互に通信できるホストは LIS (Logical IP Subnetwork) として分類されます。 1 つのATM ネットワークには,複数の LIS が含まれることがあります。 1 つの LIS では,すべてのホストおよびルータについて,次の必要条件があります。

図 6-1 は,2 つの LIS を持つ ATM ネットワークを示しています。 ホスト A および B は LIS 1 のメンバであり,ホスト C,ホスト D,および ホスト E は,LIS 2 のメンバです。 この図では,ホスト A とルータ間およびホスト E とルータ間の仮想回路 (VC) も示しています。 これらのホストは同じスイッチに接続されているため,相互通信を実行する VC を確立しているように見えますが,別の LIS 内のメンバとの通信はすべてルータを経由しなければならないため,VC を確立することはできません。

図 6-1:  ATM ネットワークでの Classical IP

6.1.2    LAN Emulation 環境

LANE (LAN Emulation) 環境では,ATM Forum で定義されているように,複数のホストがエミュレート LAN (ELAN) と呼ばれる 1 つのエンティティにグループ化されます。 LANE 環境には,次のような特徴があります。

さらに,LANE インタフェース (elan) が,NetRAIN によってサポートされています。 詳細については, nr(7) を参照してください。

図 6-2 は,2 つのエミュレート LAN を含む ATM ネットワークを示しています。 ホスト A およびホスト B は,ELAN 上の LEC (LAN Emulation Clients) です。 ホスト C,ホスト D,およびホスト E は,ELAN 2 上の LEC です。 LECS (LAN Emulation Configuration Server),LES (LAN Emulation Server),および BUS (Broadcast and Utility Server) のサーバ機能は通常 ATM スイッチ上に常駐しますが,2 つの異なるシステムとして表現されます。

図 6-2:  ATM ネットワークでのエミュレート LAN

6.1.3    IP スイッチング

注意

IP スイッチングをサポートしているのは,旧バージョンとの互換性を維持するためだけであり,将来のリリースではサポートされなくなる予定です。 新しいアプリケーションの開発では,この機能は使用しないでください。

IP スイッチング環境は,1 つの IP スイッチに接続された 1 つ以上のホストから構成されます。 各ホストは,それぞれの物理接続が異なるサブネットとなるポイント・ツー・ポイント物理接続によって IP スイッチに接続されます。 ホストと IP スイッチ間の通信は,動的に作成された PVC 上で実行されます。

IP スイッチは,IP ルーティングや IP トラフィックのクラス分けの機能を実行する IP コントローラ・ソフトウェアが追加された,典型的な ATM スイッチです。 この環境では,1 つのホストから別のホストに転送される,同一のプロトコル・タイプおよびサービスのタイプを持ち,パケット・ヘッダに示されているその他の特性が同一である一連のパケットは,フロー と呼ばれます。 長く遅延されているフローを IP コントローラが検出すると,ATM スイッチに対して適切なハードウェア接続を確立し,IP コントローラを迂回して ATM セルをデスティネーションに直接転送します。 これにより,そのスイッチおよびネットワーク全体のスループットが向上します。

このオペレーティング・システムの IP スイッチングの実装は,Ipsilon Networks 社の参照モデルに基づいており,次のような特性があります。

ATM での IP スイッチングには,次のような制限事項があります。

図 6-3 は,IP スイッチ,IP スイッチ・ゲートウェイ,いくつかのホスト,および従来型の LAN ネットワークを持つ,単純な ATM ネットワークを示しています。 ホスト A (16.1.1.5),ホスト B (16.1.1.2),および IP スイッチ・ゲートウェイ (16.1.1.10) は,それぞれ異なるサブネット上 (16.1.1.4/30,16.1.1.0/30,16.1.1.8/30) にあります。 IP スイッチ・ゲートウェイはルーティング・プロトコルを実行し,他のサブネットへのルートを従来型の LAN 上のホストに通知します。

図 6-3:  ATM ネットワークでの IP スイッチング

IP スイッチング・サブネットワークで推奨されるネットワーク・マスク長は,30 ビットです。 このようにすると,各ホスト・アドレスに対し,サブネットワーク・アドレスに 1 ビット,ブロードキャスト・アドレスに 1 ビットの合計 2 ビットを使用することができます。 サイズの大きなネットマスクを使用することにより,接続されるホストが少ないサブネットワーク上の IP アドレス空間を節約することができます。

6.2    ATM の計画

この節では,ATM ソフトウェアを構成する前に完了する必要のある作業について説明します。

6.2.1    ATM サブセットがインストールされていることの確認

次のコマンドを入力して,ATM サブセットがインストールされていることを確認します。

# setld -i | grep ATM

すべてのサブセットがインストールされていない場合には,setld コマンドを使用してそれらのサブセットをインストールします。 サブセットのインストレーションについての詳細は, setld(8) または 『インストレーション・ガイド』を参照してください。

注意

OSFATMBINOBJECT サブセットをインストールする必要はありません。

6.2.2    ATM のカーネルへの構成

ATM サブセットをインストールした後,次のコマンドを実行して,必要な ATM サポートがカーネル内にあることを確認します。

# sysconfig -q atm

atm: が表示されない場合は,スーパユーザとしてログインし,次の手順を実行します。

  1. doconfig コマンドを実行して,新しいカーネルを作成します。 カーネルの再作成についてよくわからない場合には,『システム管理ガイド』を参照してください。

  2. プロンプトが表示されたら,表 6-1 で説明されているカーネル・オプションを 1 つ以上選択します。

    注意

    ATM ハードウェアがすでにインストールされている場合は,options ATM が必須オプションとして自動的に選択されます。

  3. 次のコマンドを実行し,新しいカーネルを使用してシステムをリブートします。

    # shutdown -r now
    

    このコマンドにより,システムは直ちにシャットダウンされ,自動的にリブートされます。

表 6-1:  ATM カーネル・オプション

オプション 目的

options ATM

基本 ATM サポート (必須)

options UNI3X

LANE または Classical IP による ATM Forum シグナリング

options ATMILMI3X

ATM Forum ILMI (Integrated Layer Management) サポート

options ATMIP

Classical IP サービス

options LANE

ATM Forum LANE (LAN Emulation)

options ATMIFMP

IP スイッチング

6.2.3    構成の準備

ATM サポートがカーネル内にあることを確認できれば,ATM を構成できます。 ATM を構成するには,ATM アダプタと,次の 1 つ以上のインタフェースを構成する必要があります。

必要な情報は,設定して使用しようとしている環境によって異なります。

6.2.3.1    アダプタに関する情報

図 6-4 は,ATM セットアップ・ワークシートです。 以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。 本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。

図 6-4:  ATM 設定ワークシート

アダプタ名

ATM ネットワーク・インタフェースのデバイス名。 lta ネットワーク・インタフェースなど。

ROM ESI

システムおよびローカル・スイッチに登録しようとしているアダプタの,ROM エンド・システム識別子 (ESI) アドレス。 すべてのアダプタの ROM ESI アドレスを登録するには,このフィールドを空白のままにしておきます。

スイッチによって割り当てられたアドレス・プレフィックスの数によっては,1 つまたはそれ以上の ATMアドレスを作成することができます。 ドライバは最高 64 の ROM ESI アドレスを管理することができますが,一般的にアダプタの ROM ESI アドレスはごくわずかです。

追加 ESI

システムおよびローカル・スイッチに登録しようとしている追加の ESI アドレス。 1 つの ESI アドレスには,12 桁の 16 進数が含まれています。

ネットワーク・レイヤ

SONET (Synchronous Optical Network) をアダプタで使用可能にする場合は,「SONET」をチェックします。 SDH (Synchronous Digital Hierarchy) モードを,SONET および SDH 物理インタフェースの両方をサポートする ATM アダプタで使用可能にする場合は,「SDH」をチェックします。

フロー制御

アダプタでのベンダ固有のフロー制御を使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 アダプタは,このタイプのフロー制御をサポートしていなければなりません。 Compaq のアダプタおよびスイッチは,FLOWmaster ベンダ・フロー制御をサポートしています。

ILMI

ILMI (Integrated Layer Management Interface) をアダプタで使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 Classical IP を交換仮想回線 (SVC) で使用するには,ILMI を使用可能にしておかなければなりません。

シクナリング

アダプタでのシグナリングを使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。 Classical IP を SVC で使用する場合は,SVC を使用可能にしておかなければなりません。

VC アカウンティング (シグナリングのみ)

仮想回路 (VC) リリースのロギングを使用可能にする場合は,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合は,「No」をチェックします。

UNI バージョン (シグナリングのみ)

アダプタで使用するシグナリングのバージョン。 UNI (User-Network Interface) V3.0 を使用する場合は,「3.0」をチェックします。 UNI V3.1 を使用する場合は,「3.1」をチェックします。 省略時の値は 3.0 です。

6.2.3.2    Classical IP に関する情報

図 6-5 は,ATM Classical IP ワークシートです。 以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。 本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷してください。

図 6-5:  ATM クラシカル IP ワークシート

ATM アドレス

/etc/atmhosts ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の ATM ARP サーバの ATM アドレス。

ホスト名

/etc/atmhosts ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の ATM ARP サーバの名前。

別名

/etc/atmhosts ファイルに追加する,ATM ARP サーバの別名。

LIS 番号

論理 IP サブネット (LIS) のインタフェース番号。 1 つの ATM ドライバに複数の LIS インタフェースを作成することができます。

ARP

システムが ARP サーバとして機能するようにする場合は,「サーバ」をチェックします。 それ以外の場合には,「クライアント」をチェックします。

ATM アドレス (ARP クライアントのみ)

ATM ARP サーバの ATM アドレスであり,/etc/atmhosts ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の AESA (ATM End System Address)。 また,ARP サーバは,ATM ネットワークに接続されていなければなりません。

注意

ATM Forum では,NSAP スタイルのアドレスを AESA と呼んでいます。

IP アドレス (ARP クライアントのみ)

ATM ARP サーバ・マシンの IP アドレス。

VCI (PVC のみ)

PVC の仮想チャネル識別子 (VCI)。

VPI (PVC のみ)

PVC の仮想パス識別子 (VPI)。

リモート・クラシカル IP (PVC のみ)

リモート・ホストがクラシカル IP を RFC 1577 の定義に従ってサポートしている場合には,「Yes」をチェックします。 それ以外の場合には,「No」をチェックします。

リモート IP アドレス (PVC のみ)

リモート・ホストがクラシカル IP をサポートしていない場合には,そのリモート・ホストの IP アドレスを入力します。

6.2.3.3    LAN エミュレーションに関する情報

図 6-6 は,ATM LAN Emulation ワークシートです。 以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。 本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。

図 6-6:  ATM LAN エミュレーション・ワークシート

ATM アドレス

/etc/atmhosts ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の LES (LAN Emulation Server) の ATM アドレス。

ホスト名

/etc/atmhosts ファイルに追加する,ATM ネットワーク上の LES の名前。

別名

/etc/atmhosts ファイルに追加する LES の別名があれば,その名前。

ELAN 番号

LEC (LAN Emulation Client) インタフェース・ユニット番号。

ELAN 名

結合するエミュレート LAN の名前。 これはオプションです。 エミュレート LAN 名は,すでに ATM スイッチ上で構成されたものでなければなりません。 エミュレート LAN 名が ATM スイッチ上で構成されない場合には,LEC は省略時のエミュレート LAN を結合します。

モード

省略時の LECS (LAN Emulation Configuration Server) に接続する場合は,「省略時の LECS」をチェックします。 LEC は,ILMI MIB 要求を使用して LECS に接続し,LECS アドレスを取得します。 この要求に失敗すると,LEC は周知の LECS のアドレスを使用します。 特定の LECS に接続する場合は,「指定 LECS」をチェックします。 いずれの場合でも,LEC は LECS に接続して LEC アドレスを取得します。

LES に直接接続する場合は,「LES」をチェックします。

LECS 名

LECS の ATM アドレスであり,/etc/atmhosts ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の ATM AESA アドレス。 特定の LECS に接続するには,その LECS のアドレスを入力します。 最高 4 つまで指定することができます。

LES 名

LES の ATM アドレスであり,/etc/atmhosts ファイルに表示されるホスト名または別名,あるいはセレクタ・バイト付きの 40 桁の ATM AESA アドレス。 LEC が LES に直接接続して,構成フェーズを迂回するようにする場合は,その LES アドレスを入力します。

MTU サイズ

最大伝送単位 (MTU) のサイズ。 サポートされている MTU サイズは,1516,4544,9234,および 18190 です。 仮想 LAN 名を使用して指定されている場合には,そのエミュレート LAN はすでに ATM スイッチ上に構成され,指定された MTU サイズをサポートできるようになっていなければなりません。 指定された MTU サイズに対応して構成されていない場合には,その要求は無視されます。

6.2.3.4    IP スイッチングに関する情報

図 6-7 は,ATM IP スイッチング・ワークシートです。 以下の各項では,このワークシートに記録する必要のある情報について説明します。 本書をオンラインで参照している場合は,印刷機能を使用して,このワークシートのコピーを印刷することができます。

図 6-7:  ATM IP スイッチング・ワークシート

ホスト名

/etc/hosts ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの名前。

インターネット・アドレス

/etc/hosts ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの IP アドレス。

別名

/etc/hosts ファイルに追加する,サブネットワーク上のホストの別名があれば,その名前。

アダプタ名

ネットワーク・インタフェースのデバイス名。 lta ネットワーク・インタフェースなど。

ips 番号

IP スイッチング (ips)・インタフェース番号。 複数のアダプタを使用している場合には,それぞれのアダプタに,個別のインタフェース番号が割り当てられます。

SNAP VCI

IFMP (Ipsilon Flow Management Protocol) が省略時の SNAP (Subnetwork Attachment Point) VCI として使用する仮想チャネル識別子 (VCI) 番号です。 省略時の VCI は 15 です。 この番号は,IFMP がデスティネーション・ホスト上で使用する VCI 番号,またはポイント・ツー・ポイント・インタフェースに関連付けられたスイッチに一致しなければなりません。

ルーティング

内部ルーティング・テーブルを使用する方式です。 gated デーモンを使用する場合には,「gated」をチェックします。 routed デーモンを使用する場合には,「routed」をチェックします。 スタティック・ルートを使用する場合には,「静的経路」をチェックします。

デスティネーション (静的経路のみ)

デスティネーション・サブネットワークの IP アドレス。

ゲートウェイ (静的経路のみ)

IP スイッチ上の IP コントローラの IP アドレス。

ネットマスク (静的経路のみ)

デスティネーション・サブネットワークのネットマスク。

6.3    ATM の構成

必要な ATM の計画が完了し,正しい ATM ハードウェアをインストールした後,ATM ソフトウェアを構成することができます。 CDE (Common Desktop Environment) のアプリケーション・マネージャから ATM 設定アプリケーションを使用して,ATM を構成します。 次の項目を構成することができます。

ATM 設定アプリケーションを使用する方法の詳細については,1.2.1 項で指定されているように SysMan Menu アプリケーションを起動し,6.3.1 項を参照してください。

オプションとして,atmsetup -old コマンドを実行すると,以前のリリースで利用可能だった atmsetup スクリプトを使用できます。 詳細は,オンライン・ヘルプおよび atmsetup(8) を参照してください。

6.3.1    ATM アダプタの構成

ATM 論理インタフェースを使用する前に,アダプタを構成しておかなければなりません。 ATM アダプタを構成するには,次の手順に従ってください。

  1. SysMan Menu から [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。

    代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。

    # /usr/sbin/sysman atm
    

    または,次のように入力します。

    # atmsetup
    

    ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。

  2. 「未設定のアダプタ」フィールドからアダプタを 1 つ選択します。

  3. [設定] を選択します。 「アダプタの設定/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. このアダプタについて,すべての ROM ESI (Endpoint System Identifier) を登録しない場合には,[ROM ESI の登録] を選択します。 省略時の設定では,アダプタのすべての ROM ESI アドレスが登録されます。

  5. このアダプタに追加の ESI (ソフト ESI と呼ばれます) を登録するには,[ソフト ESI の登録] を選択します。

  6. このアダプタに送信 CBR (Constant Bit Rate) またはぺーシング・オプションを設定するには,[CBR/ペーシング・オプションの設定] を選択します。 「CBR/ペーシング・オプションの設定」ダイアログ・ボックスが表示されます。 設定が終了したら,[了解] を選択してダイアログ・ボックスをクローズして変更を保存します。

  7. このアダプタがサポートするネットワーク物理層のタイプとして,SONET または SDH を指定します。

  8. このアダプタでフロー制御 (FLOWmaster) を使用可能にするかどうかを指定します。

  9. このアダプタで ILMI (Integrated Local Management Interface) を使用可能にするかどうかを指定します。

  10. このアダプタでシグナリングを使用可能にするかどうかを指定します。

  11. すべての仮想回路 (VC) リリースのロギングを使用可能にするかどうかを指定します。

  12. UNI (User-Network Interface) のバージョンを選択します。

  13. 構成内容を確認後 [了解] を選択して,「アダプタの設定/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。 以上で,ATM 論理インタフェースを構成できるようになります。

アダプタの構成を変更することもできます。 詳細は,オンライン・ヘルプおよび atmsetup(8) を参照してください。

6.3.2    Classical IP の構成

Classical IP を構成する前に,ATM アダプタを構成しておかなければなりません。 ホストに Classical IP を構成するには,次の手順を実行します。

  1. ATM スイッチ上で PVC マッピングを作成します (PVC のみ)。

  2. atmhosts ファイルにサーバを追加します。

  3. hosts データベースへホストを追加します。

  4. ATM 設定アプリケーションを実行します。

  5. Classical IP 論理インタフェースを構成します。

  6. スタティック・ルートを追加します (SVC のみ)。

  7. PVC の設定を確認します (PVC のみ)。

以下の各項では,これらの各手順について説明します。

6.3.2.1    ATM スイッチへの PVC マッピングの作成

ATM スイッチが必要な環境で PVC を使用する場合には,ATM スイッチに PVC マッピングを作成する必要があります。 マッピングの作成方法は,使用する ATM スイッチのタイプによって異なります。 詳細は,使用している ATM スイッチのドキュメントを参照してください。

6.3.2.2    atmhosts ファイルへのサーバの追加

/etc/atmhosts ファイルを編集して,ATM ARP サーバのアドレスを ATM ネットワークに追加することができます。 /etc/atmhosts ファイルには,ATM ホスト名から ATM ハードウェア・アドレスへのマッピング情報が含まれています。 このファイルには,ATM ネットワーク上の特定のサービスのための,ATM ESI および AESA も含まれています。 このファイルにエントリを追加すると,アドレスまたはサービスを,長い 16 進数の文字列ではなく,名前で指定できるようになります。

/etc/atmhosts ファイルのエントリは,次のいずれかです。

アドレス指定は /etc/hosts ファイルの IP アドレス指定に似ており,その形式は次のとおりです。

atm_addr hostname [ alias ... ]

atm_addr パラメータは,ESI または AESA から構成することができます。

次の表は,アドレス・タイプ,およびそれぞれのタイプで必要とされる 16 進数のアドレスの桁数を示しています。

アドレス・タイプ アドレスの桁数
ESI 12 桁の 16 進数
AESA 38 桁の 16 進数
セレクタ・バイト付きの AESA 40 桁の 16 進数

hostname パラメータには,プリント可能な文字であれば何でも使用することができます。

次の例は,/etc/atmhosts ファイルのエントリを示しています。

08002b2fe740                            myhost.esi  [1]
47840f01020300002122313208002b2fe740    myhost   [2]
47840f01020300002122313208002b2fe7403a  myhost.ip  [3]

  1. myhost をスイッチで登録するときに使用する ESI を指定します。 [例に戻る]

  2. myhost の AESA を指定します。 これはネットワーク・プレフィックスおよび ESI であり,ネットワークが認識できるアドレスです。 [例に戻る]

  3. RFC 1577「Classical IP and ARP over ATMの本オペレーティング・システムでの実装のための,myhost 上のサービスのセレクタ・バイト付きの AESA を指定します。 [例に戻る]

注意

省略時の設定では,atmhosts ファイルには PVC のエントリが含まれています。 このエントリは,削除したり変更したりしないでください。

6.3.2.3    hosts データベースへのホストの追加

ホストが接続する LIS (Logical IP Subnet) 上に存在するすべての ATM ホストに対応する IP アドレスを hosts データベースに追加します。 ローカル・ホストおよび ATM ARP サーバの IP アドレスを確認してください。 環境によっては,ホスト名およびアドレスは,ローカルな /etc/hosts ファイル,あるいは DNS または NIS で配布されるファイルのいずれかに置くことができます。

これらの IP アドレスは,/etc/hosts ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts ファイルに入力することができます。 詳細は,2.3.7 項を参照してください。

6.3.2.4    ATM 設定アプリケーションの実行

Classical IP をシステム上に構成するには,次の手順に従ってください。

  1. SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。

    代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。

    # /usr/sbin/sysman atm
    

    または,次のように入力します。

    # atmsetup
    

    ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。

  2. [追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. [Classical IP] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「Classical IP インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. Classical IP 論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。

  5. 省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。

  6. システムが ARP クライアントまたは ARP サーバとして動作するかどうかを指定します。

  7. システムが ARP クライアントになる場合には,ARP サーバの ATM アドレスまたは別名を入力します。 次に,ARP サーバの IP アドレスを入力します。

  8. 論理インタフェースの PVC を指定する場合には,[PVC] を選択します。 「PVC の追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。 次の手順を実行します。

    1. 仮想回路の仮想パス識別子 (VPI) を入力します。

    2. 仮想回路の仮想チャネル識別子 (VCI) を入力します。

    3. リモート・ホストのエンティティが RFC 1577 で定義されているように Classical IP をサポートするかどうかを指定します。

    4. リモート・ホストが Classical IP をサポートしていない場合は,リモート・ホストの IP アドレスを入力します。

    5. 構成内容を確認後 [了解] を選択して,「PVC の追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。

  9. [了解] を選択して,「Classical IP インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。

  10. ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。

    システムに ATM インタフェースが存在している場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。

アダプタの構成を変更することもできます。 詳細は,オンライン・ヘルプおよび atmsetup(8) を参照してください。

6.3.2.5    Classical IP 論理インタフェースの構成

ATM 設定アプリケーションを実行し,(アプリケーション内から,またはシステムをリブートして) ATM 構成要素を起動すれば,Classical IP (lis) インタフェースを構成できます。 lis インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。

6.3.2.6    スタティック・ルートの追加 (SVC のみ)

ネットワーク・トポロジおよびネットワーク内の論理 IP サブネットワーク (LIS) の数および構成によって,別の LIS サブネット上にあるホストに接続するには,他のホストへのスタティック・ルートを追加しなければならない場合があります。 ルーティング・テーブルにスタティック・ルートを追加する方法については,2.3.6 項を参照してください。

6.3.2.7    PVC の構成の確認 (PVC のみ)

PVC が構成された後,atmarp -a コマンドを実行して,構成を確認します。 PVC が構成されていれば,次のような出力が表示されます。

# atmarp -a
Number of entries : 1
 
IP Address :   atm66 (16.142.128.66)
ATM Address :  PVC
Flags :        Complete Permanent 
VCs :          vpi    vci    VC Type
               ---    ---    -------
               0      999    PVC

6.3.3    LAN エミュレーションの構成

ホストに LAN エミュレーションを構成するには,次の手順を実行します。

  1. atmhosts ファイルにサーバを追加します。

  2. hosts データベースへホストを追加します。

  3. ATM 設定アプリケーションを実行します。

  4. LAN Emulation 論理インタフェースを構成します。

以下の各項では,これらの手順について説明します。

6.3.3.1    atmhosts ファイルへのサーバの追加

/etc/atmhosts ファイルを編集するのは,LES (LAN Emulation Server) アドレスを指定するか,LECS (LAN Emulation Configuration Server) アドレスを自分の ATM ネットワークで指定する場合に限られます。 /etc/atmhosts ファイルには,ATM ホスト名から ATM ハードウェア・アドレスへのマッピングが含まれています。 このファイルには,ATM ネットワーク上の特定のサービスの ATM ESI および AESA も含まれています。

/etc/atmhosts ファイルの編集方法についての詳細は,6.3.2.2 項を参照してください。

6.3.3.2    hosts データベースへのホストの追加

ホストが接続する任意のエミュレート LAN (ELAN) 上に存在するすべての ATM ホストの IP アドレスを hosts データベースに追加します。 ローカル・ホストの IP アドレスを確認します。 環境によっては,ホスト名およびアドレスは,ローカルな /etc/hosts ファイル内,あるいは DNS または NIS で配布されるファイルのいずれかに置くことができます。

これらの IP アドレスは,/etc/hosts ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts ファイルに入力することができます。 詳細は,2.3.7 項を参照してください。

6.3.3.3    ATM 設定アプリケーションの実行

システムに LAN Emulation を構成するには,次の手順に従ってください。

  1. SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。

    代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。

    # /usr/sbin/sysman atm
    

    または,次のように入力します。

    # atmsetup
    

    ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。

  2. [追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. [LAN Emulation] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「LAN Emulation インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. LAN エミュレーション論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。

  5. 省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。

  6. 特定のエミュレート LAN を結合するには,結合するエミュレート LAN の名前を入力します。

  7. システムがエミュレート LAN に登録されるモードを選択します。 特定の LECS (LAN Emulation Configuration Server) (2 番目の選択肢) に接続する場合には,LECS 名または別名も入力します。 LES (LAN Emulation Server) に直接接続する場合 (3 番目の選択肢) にも,LES 名または別名を入力します。

  8. 省略時の MTU サイズである 1516 以外のサイズを指定するには,別の MTU サイズを選択します。

  9. [了解] を選択して,「LAN Emulation インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。

  10. ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。

    システムに ATM インタフェースが存在する場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。

注意

ELAN を ATM スイッチに結合できるのは,それぞれのアダプタで 1 度だけです。 同じ ELAN を同じアダプタに何度も結合してはいけません。 同じ ELAN を同じスイッチに結合するには,別のアダプタをインストールして,そこから ELAN を結合しなければなりません。

アダプタの構成を変更することもできます。 詳細は,オンライン・ヘルプおよび atmsetup(8) を参照してください。

6.3.3.4    LAN エミュレーション論理インタフェースの構成

ATM 設定を実行し,ATM 構成要素を (アプリケーション内部からまたはシステムをブートすることによって) 起動した後,LAN Emulation (elan) インタフェースを構成します。 elan インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。

6.3.4    IP スイッチングの構成

ホストに IP スイッチングを構成するには,次の手順を実行します。

  1. hosts ファイルに IP アドレスを追加します。

  2. IP スイッチング論理インタフェース作成するために,ATM 設定アプリケーションを実行します。

  3. スイッチング論理インタフェースを構成します。

  4. ルーティング・テーブルへルートを追加します。

以下の各項では,これらの手順について説明します。

6.3.4.1    hosts ファイルへの IP アドレスの追加

/etc/hosts ファイルを編集して,ホストが接続するそれぞれの IP スイッチング・サブネットワークの IP アドレスを追加します。 それぞれのサブネットについて,ポイント・ツー・ポイント・リンクの両端 (ホスト側と IP コントローラ側) に対する IP アドレスのペア,サブネットの IP アドレス,およびサブネットのブロードキャスト・アドレスを追加します。 たとえば,図 6-3 の構成の /etc/hosts ファイルは,次のとおりです。

# IP Switching subnet A
16.1.1.4   networka-net
16.1.1.5   hosta.corp.com              hosta             atm5
16.1.1.6   ipsctrlhosta.corp.com       ipsctrlhosta      atm6
16.1.1.7   networka-broadcast
# IP Switching subnet B
16.1.1.0   networkb-net
16.1.1.1   ipsctrlhostb.corp.com       ipsctrlhostb      atm1
16.1.1.2   hostb.corp.com              hostb             atm2
16.1.1.3   networkb-broadcast
# IP Switching subnet C
16.1.1.8   networkc-net
16.1.1.9   ipsctrlhostc.corp.com       ipsctrlhostc      atm9
16.1.1.10  ipgwy.corp.com              ipgwy             atm10
16.1.1.11  networkc-broadcast

これらの IP アドレスは,/etc/hosts ファイルを直接編集するか,CDE のアプリケーション・マネージャの SysMan Menu アプリケーションを実行することによって,/etc/hosts ファイルに入力することができます。 詳細は,2.3.7 項を参照してください。

6.3.4.2    ATM 設定アプリケーションの実行

システムに IP スイッチングを構成するには,次の手順に従ってください。

  1. SysMan Menu の [ネットワーク] --> [基本ネットワーク・サービス] --> [ATM (Asynchronous Transfer Mode) の設定] を選択して,ATM 設定メイン・ウィンドウを表示します。

    代わりに,次のコマンドをコマンド行から入力することもできます。

    # /usr/sbin/sysman atm
    

    または,次のように入力します。

    # atmsetup
    

    ATM 設定メイン・ウィンドウには,未構成アダプタ,構成されたアダプタ,および構成された論理インタフェースが表示されます。

  2. [追加] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. [IP スイッチング] を選択します。 「インタフェースの追加」ダイアログ・ボックスがクローズされます。 「IP スイッチング・インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. IP Switching 論理インタフェースを追加するアダプタを選択します。

  5. 省略時の論理インタフェース番号を使用しない場合には,別の番号を入力します。

  6. 仮想チャネル識別子 (VCI) を省略時の設定から変更するには,[オプション] を選択します。 「IP スイッチング・オプションの修正」ダイアログ・ボックスが表示されます。 次の手順を実行してください。

    1. 目的の SNAP VCI の値が 15 (省略時の値) 以外であれば,それを入力します。

      注意

      この SNAP VCI の値は,ポイント・ツー・ポイント・インタフェースに関連付けられているスイッチで,IFMP が使用する VCI の値と一致していなければなりません。

    2. 接続を送信し,受信するために使用する VCI の範囲を入力します。

    3. [了解] を選択して変更を保存し,「IP スイッチング・オプションの修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。

  7. [了解] を選択して,「IP スイッチング・インタフェースの追加/修正」ダイアログ・ボックスをクローズします。

  8. ATM 設定メイン・ウィンドウで [了解] を選択し,変更を保存します。 システムに ATM インタフェースが存在しない場合には,「Start ATM Now」ダイアログ・ボックスが表示されます。 ATM サブシステムを起動するには,[了解] を選択します。 それ以外の場合には,[いいえ] を選択します。 [いいえ] を選択した場合には,システムをリブートして,ATM サブシステムを起動しなければなりません。

    システムに ATM インタフェースが存在する場合には,「Reboot Required」ダイアログ・ボックスが表示されます。 [了解] を選択し,メッセージに肯定応答します。 ATM サブシステムを起動するには,システムをリブートしなければなりません。

アダプタの構成を変更することもできます。 詳細は,オンライン・ヘルプおよび atmsetup(8) を参照してください。

6.3.4.3    IP スイッチング論理インタフェースの構成

ATM 設定アプリケーションを実行し,ATM 構成要素を (アプリケーション内部からまたはシステムをブートすることによって) 起動した後,IP スイッチング (ips) インタフェースを構成します。 ips インタフェースを構成する方法については,2.3.1 項を参照してください。

6.3.4.4    ルートの追加

ネットワーク・トポロジおよびホスト上のインタフェースの数によっては,システムに複数のインタフェースがあり,省略時のルートが別のネットワーク上の別のゲートウェイである場合に,他のホストへのルートを追加しなければならないことがあります。 次の手順のいずれかを実行します。

6.4    ATM 環境の管理

ATM 環境の管理では,次の構成要素の管理を行います。

以下の各項では,これらの構成要素の管理方法について説明します。

6.4.1    ATM ネットワークと,ATM ネットワークに関する情報の表示

ATM ネットワークを管理し,ATM ネットワークに関する情報を表示するには,atmconfig コマンドを使用します。 このコマンドは,基本 ATM モジュールおよびデバイス・ドライバだけを制御し,特定の収束化モジュールやシグナリング・プロトコルについては制御しません。 atmconfig コマンドを使用すると,次の操作を実行することができます。

詳細は, atmconfig(8) を参照してください。

6.4.2    シグナリング・モジュール

エンド・システムで ATM UNI シグナリングを管理するには,atmsig コマンドを使用します。 atmsig コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。

シグナリング・モジュールは,常に,指定されたインタフェースに関連付けられており,ドライバ名によって識別することができます。 インタフェースが無効である場合には,シグナリング・モジュールも無効です。 インタフェースを再びオンラインにするときには,シグナリング・モジュールを有効にしなければなりません。

詳細は, atmsig(8) を参照してください。

6.4.3    Classical IP 環境

エンド・システムで Classical IP を管理するには,atmarp コマンドを使用します。 atmarp コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。

詳細は, atmarp(8) を参照してください。

6.4.4    LAN Emulation 環境

LAN Emulation 環境の管理には,次のような作業が含まれています。

以下の各項では,これらの作業について説明します。

6.4.4.1    LAN Emulation Client の管理

LEC を管理するには,atmelan コマンドを使用します。 atmelan コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。

詳細は, atmelan(8) を参照してください。

6.4.4.2    LE-ARP テーブルの表示

それぞれの elan インタフェースに対する LE-ARP テーブルを表示するには,learp コマンドを使用します。 エミュレート LAN のアドレス・マッピングが表示されます。 それぞれのエントリは,MAC (Media Access Control) アドレス,状態,ATM アドレス,およびフラグから構成されます。 詳細は, learp(8) を参照してください。

6.4.5    IP スイッチング

エンド・システムの IP スイッチングを管理するには,atmifmp コマンドを使用します。 atmifmp コマンドを使用すると,次の作業を実行することができます。

詳細は, atmifmp(8) を参照してください。

6.4.6    ATM サブシステムのメッセージ

ATM サブシステムは,/var/adm/syslog.dated/date/kern.log ファイルに状態メッセージとエラー・メッセージを記録します。 このメッセージ・ファイルの内容は,SysMan Menu ユーティリティのイベント・ビューアで見ることができます。 イベント・ビューアについての詳細は,11.9 節 を参照してください。

省略時の設定では,ATM サブシステムはサブシステム初期化メッセージ,重要な状態変更,および重大なエラー状況を記録します。 ATM サブシステムが表示するメッセージのレベルを,すべての構成要素にわたって一括して上げるには,次のコマンドを使用します。

# sysconfig -r atm global_msg_level=2

メッセージ・レベルは,サブシステムの構成要素ごとに上げることもできます。 たとえば,LANE のメッセージ・レベルを上げて,セッション初期化情報を参照できるようにするには,次のコマンドを使用します。

# sysconfig -r lane lane_msg_level=2

詳細は, sys_attrs_atm(5) を参照してください。