以下の項では,Version 5.1B-4 キットのインストール時に注意すべき点について説明します。
3-1-1 Insight Management Agents キットに関する注意事項 |
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以下のインストール時の注意事項は Insight Management Agents に関するものです。Version 5.1B-4 のインストール後に発生する可能性のある,Insight Management Agents に関係する問題については,3-4-4 項 「Insight Manager コンポーネントのコア・ダンプ」 を参照してください。
3-1-1-2 Insight Management Agents キットが V5.1B-4 のインストールの妨げになる場合の対処
HP Insight Management Agents Version 3.1 以上を実行している場合,またはこのキット・バージョンを以前にインストールしている場合,一定の状況下で Version 5.1B-4 をインストールできない場合があります。
以下にその状況を示します。
システムに,Version 5.1B-4 よりも古いキットと Insight Management Agents キットが含まれている。
この場合,アップグレード時に次のエラー・メッセージが表示されます。
Patch 26020.00 - SP04 OSFCLINET540 (SSRT3653 SSRT2384 SSRT2275 ...)
./sbin/init.d/snmpd: its origin can not be identified.
This patch will not be installed. |
システムに Patch Kit 2,Patch Kit 3,または Patch Kit 4 が含まれており,Insight Management Agents キットがかつてインストールされていたが,削除されている。
この場合,Version 5.1B-4 にアップグレードすると,次のエラー・メッセージが表示されます。
Patch 26020.00 - SP04 OSFCLINET540 (SSRT3653 SSRT2384 SSRT2275...)
./etc/pmgrd_iorate.config: does not exist on your system,
however, it is in the inventory of installed subsets.
This patch will not be installed. |
この問題を解決するには,dupatch のベースライン処理を実行してから Version 5.1B-4 をインストールします。以下に手順を示します。
/sbin/init.d/snmpd スクリプトのバックアップ・コピーを取ります。たとえば,次のコマンドを実行します。
# cp /sbin/init.d/snmpd /tmp |
ファイルのバックアップを取る方法の代わりに,手動でファイルを修正して対処する方法については,手順 7 に示してあります。
Version 5.1B-4 の dupatch ユーティリティを実行して,オプション 5 の「Patch Baseline Analysis/Adjustment」を選択します。手順の詳細については,『パッチ・キット・インストレーション・ガイド』を参照してください。
ベースライン処理のフェーズ 5 の後,次の質問に y と答えます。
Do you want to enable the installation of any of these patches? [y/n]: y |
フェーズ 5 では,システムの現在の状態でインストレーション適用性テストをパスしなかったパッチが報告されます。
システム・ファイルの変更が原因でパッチ 26020.00 のインストールができない場合は,dupatch ユーティリティが各パッチに含まれているファイルについての既知の情報を報告し,インストレーションを実行するかどうかを尋ねます。
yes と応答すると,dupatch は,出所不明ファイルが原因でインストールされなかったパッチをインストールできるようになります。
Version 5.1B-4 をインストールします。
Version 5.1B-4 がインストールされた状態でシステムが稼働したら,次のようにして snmpd および insightd デーモンを停止します。
# /sbin/init.d/snmpd stop
# /sbin/init.d/insightd stop |
次のようにして,/sbin/init.d/snmpd スクリプトと,手順 1 でコピーしたスクリプトを置き換えます。
# cp /tmp/snmpd /sbin/init.d/snmpd |
次のようにして,snmpd および insightd デーモンを開始します。
# /sbin/init.d/snmpd start
# /sbin/init.d/insightd start |
手順 1 で /sbin/init.d/snmpd ファイルのバックアップを取らなかった場合は,Version 5.1B-4 をインストールして (手順 4),snmpd および insightd デーモンを停止した後 (手順 5),次のようにしてファイルを変更してください (XXX は,CPQ360 などのリビジョン番号を表します)。
CPQMIBS=/usr/sbin/cpq_mibs という行を,次のように編集します。
CPQMIBS=/var/opt/CPQIMXXX/bin/cpq_mibs |
PMGRD=/usr/sbin/pmgrd という行を,次のように編集します。
PMGRD=/var/opt/CPQIMXXX/bin/pmgrd |
$PMGRD > /dev/console 2>&1 & という行を,次のように編集します。
$PMGRD `$RCMGR get PMGRD_FLAGS` > /dev/console 2>&1 & |
3-1-1-3 V5.1B-4 をインストールにより最新の snmpd ファイルが上書きされる問題の対処
Insight Management キットの新しいバージョンをインストールすると,snmpd スクリプト内の cpq_mibs および pmgrd サブエージェントのパスが変更されます。
一方,Version 5.1B-4 をインストールすることにより,Insight Management Agents キットのベース・バージョンで提供されている元のバージョンで snmpd スクリプトが置き換えられます。
この結果,Insight Manager を使用すると,置き換えられた snmpd スクリプトが原因で問題が生じることがあるため,スクリプトを最新バージョンに戻しておく必要があります。
これを行うには,snmpd スクリプトのバックアップ・ファイルを作成して,V5.1B-4 をインストールした後でバックアップしておいたバージョンを復元します (「Insight Management Agents キットが V5.1B-4 のインストールの妨げになる場合の対処」で説明されている解決方法の手順 1 を参照)。
V5.1B-4 をインストールする前に snmpd ファイルのバックアップを取っていなかった場合は,「Insight Management Agents キットが V5.1B-4 のインストールの妨げになる場合の対処」の説明に従って,インストール後にファイルを変更してください。
3-1-2 キットのインストール前に sendmail を停止する |
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このキットをインストールする前に sendmail 電子メーラ・デーモンを停止してください。
これを行わないと,キュー待ちの電子メールが失われる場合があります。失われた電子メールは回復できません。
デーモンを停止するには,次のコマンドを入力します。
# /sbin/init.d/sendmail stop |
3-1-3 キットのインストール後に BIND システム上で実行すべきコマンド |
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BIND サーバとして構成されているシステムにこのキットをインストールした後,次のコマンドを実行してください。
# rcmgr set BIND_SERVERARGS "-c /etc/namedb/named.conf" |
BIND サーバとして構成されているクラスタ上では,次のコマンドを実行してください。
# rcmgr -c set BIND_SERVERARGS "-c /etc/namedb/named.conf" |
新しい named デーモンが有効になるように,named デーモンを停止して,再起動してください。
スタンドアロンのシステムの場合 :
# /sbin/init.d/named stop
# /sbin/init.d/named start |
クラスタの場合 :
# /sbin/init.d/named cluster_stop
# /sbin/init.d/named start |
構成ファイルが Bind 9 と互換性を持つことを確認するために,次のコマンドを実行します。
# named-checkconf /etc/namedb/named.conf
# named-checkzone example.com /etc/namedb/hosts.db |
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 | 注記: BIND 9 では,CNAME エントリは引用符を受け付けなくなりました。たとえば,"hosts-1" IN CNAME A は,hosts-1 IN CNAME A に変更する必要があります。 |
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BIND 9 については,1-1-3 項 「BIND Version 9.2.5 へのアップデート」を参照してください。
3-1-4 inetd デーモンの再起動が必要 |
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本リリースではインターネット・サービス・デーモンが変更されているため,キットのインストールまたは削除後に,inetd を停止して再起動する必要があります。
これは,コマンド行または sysman アプリケーションを使用して行えます。コマンド行の場合,次のコマンドを入力します。
# /sbin/init.d/inetd stop
# /sbin/init.d/inetd start |
この操作を行わないと,旧バージョンの inetd が実行されます。
3-1-5 キットのインストールによって構成ファイルの復元が失敗する |
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キットのインストール後は,このパッチのインストール前に保存された構成ファイル (config.cdf) を復元すると,checksum エラーのため失敗します。
ただし,sysman コマンドを使用することで,この操作を強制的に行うことができます。
# sysman -clone -apply -force config.cdf |
詳細については,Version 5.1B の『Technical Updates』の「Corrections to Manuals」の項にある Correction to Configuration Cloning Restrictions という注意事項を参照してください。
以下のリンクから上記テクニカル・アップデート情報にアクセスできます。
http://h30097.www3.hp.com/docs/updates/V51B/html/index.html
3-1-6 キットのインストール後に ipsec コマンドを実行する |
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システム上で IP セキュリティ (ipsec) を実行している場合,このキットをインストールした後に次のコマンドを実行して,安全ではない接続が存在しているかどうかを判断してください。
潜在的な問題がある場合,警告メッセージが表示されます。
3-1-7 printconfg を使用している場合 lprsetup.dat ファイルをアップデートする |
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/usr/sbin/printconfig アプリケーションを使用してプリンタ・キューを構成する場合は,次のコマンドを root として実行して,/etc/lprsetup.dat ファイルをアップデートしてください。
# /usr/sbin/lprsetup -c update |
3-1-8 AdvFS ドメインの違いがバージョンのアップグレードに影響する可能性 |
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V5.1A および初期の V5.1B の AdvFS ドメインと,後期の V5.1B の AdvFS ドメインの構造の違いによって,Version 5.1B-4 へのアップグレード時に問題が発生する場合があります。
この潜在的な問題は,Version 4 ドメインの各ボリューム上に存在する,RBMT という名前のメタデータ・ファイルが原因で発生します。
RBMT は通常 1 ページの長さしかありませんが,複数のファイルを持つ巨大なボリュームまたはドメインの場合は 1 ページよりも長くなる場合があります。
V5.1A または初期の V5.1B バージョンで RBMT ファイルが 1 ページよりも長く,V5.1B-4 へのシステム・アップグレードの後さらに長くなった場合,RBMT ファイルが原因でこのドメインをアクティブ化させるコマンドが失敗する場合があります。
これには,影響を受けたドメインのファイルセットのマウント操作も含まれます。
V5.1B-4 へのシステム・アップグレードの後,ドメイン内のすべてのファイルセットがアンマウントされた後で問題が発生する可能性があります(ファイルセットがマウントされ続けている限りこの問題は発生しません)。
この問題は,次のように fixfdmn ユーティリティを使用して解決することができます。
# /sbin/advfs/fixfdmn domain_name
fixfdmn: Checking the RBMT.
fixfdmn: Clearing the log on volume /dev/disk/dsk10c.
fixfdmn: Checking the BMT mcell data.
fixfdmn: Checking the deferred delete list.
fixfdmn: Checking the root tag file.
fixfdmn: Checking the tag file(s).
fixfdmn: Checking the mcell nodes.
fixfdmn: Checking the BMT chains.
fixfdmn: Checking the frag file group headers.
fixfdmn: Checking for frag overlaps.
fixfdmn: Checking for BMT mcell orphans.
fixfdmn: Checking for file overlaps.
fixfdmn: Checking the directories.
fixfdmn: Checking the frag file(s).
fixfdmn: Checking the quota files.
fixfdmn: Checking the SBM.
fixfdmn: Completed.
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このコマンドは,問題の発生を防ぐために RBMT が長くなる前に事前に使用することも,問題が発生した後に使用することもできます。
以下のようなドメインでは問題は発生しません。
Version 5.1B-4 で作成されたドメイン
RBMT ファイルの長さが 1 ページよりも長くないドメイン
ドメインに関する情報は,showfile コマンドおよび showdmn コマンドで確認できます。
ドメインを構成するボリュームに関する情報は,showdmn コマンドを使用します。
たとえば,次のように入力します。
# /sbin/showfdmn domain_name
Id Date Created LogPgs Version Domain Name
447350cd.000eba90 Tue May 23 11:13:33 2006 512 4 domain_name
Vol 512-Blks Free % Used Cmode Rblks Wblks Vol Name
1L 71132000 71121632 0% on 256 256 /dev/disk/dsk4c |
RBMT ファイルが 2 ページ以上のページを含むかどうかを判断するには,showfile コマンドを使用します。
これを行うには,問題のドメインから任意のマウント済みファイルセットを選択し,ファイルセットのマウント・ポイントを探して以下のようなコマンドを入力します (.tags/M-6 はボリューム 1 を表しています。
後続のボリュームは 6 の倍数ごとに増加するため,ボリューム 2 は .tags/M-12,ボリューム 3 は .tags/M-18 を使用することとなります)。
# /usr/sbin/showfile mountpoint/.tags/M-6
Id Vol PgSz Pages XtntType Segs SegSz I/O Perf File
fffffffa.0000 1 16 1 simple ** ** ftx 100% M-6 |
これらのコマンドの使用に関する詳細については,fixfdmn(8),showfile(8),および showfile(8) のリファレンス・ページを参照してください。
3-1-9 キットのインストレーション後にエラーが表示される場合の対処 |
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Version 5.1B-4 をインストールした後に,次のような問題が生じることがあります。
CDSA (Common Data Security Architecture),IPsec (IP Security Protocol),または SSO (Single Sign-On) が動作しない。
ブート中に次のエラー・メッセージが表示される。
CSSM_ModuleLoad: CSSM error 4107 |
このような問題に直面した場合は,次のコマンドが実行されていることを確認してください。
# /usr/sbin/cdsa/mod_install -f -i -s \
/usr/lib/cdsa/libt64csp.so -d /usr/lib/cdsa/ |
3-1-10 リブート中に表示されるが無視できるメッセージ |
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Version 5.1B-4 をインストールした後,初めてシステムをリブートすると,次のエラー・メッセージが表示されることがあります。
AllowCshrcSourcingWithSubsystems is not valid
ForcePTTYAllocation is not valid
IdentityFile is not valid
AuthorizationFile is not valid |
このメッセージは,Version 5.1B-4 に含まれている新しいバージョンの SSH が原因です。これらのメッセージは問題につながるものではなく,無視して構いません。