F    mailx コマンドの使用

mailx プログラムにはたくさんのコマンドがあり,その一部については,付録 D および付録 E で説明しました。 表 F-1 で説明するコマンドは,mailx 環境をより効果的に使用するためのものです。 このほか, mailx(1) リファレンス・ページには,特別な場合にのみ有効なコマンドのリストがあります。

表 F-1:  mailx プログラムのコマンド

コマンド 説明
= 現在のメッセージ番号をエコーする。
# メール・スクリプト・ファイルにコメントを書く場合に使用する。
!command ユーザが入力するシェル・コマンドを実行する。
-[n] 直前のメッセージまたは n 個前のメッセージを選択して表示する。 たとえば,-4 は,4 つ前のメッセージを指定する。 メールボックスにあるメッセージ数より前に戻ろうとすると,エラー・メッセージが表示される。
?help ヘルプ情報が表示される。
alias alias alias alias alias name... groupg 引数を指定しなければ,現在の別名をリストする。 引数を 1 つ指定すると,その別名だけを表示する。 2 つ以上の引数を指定すると,最初の引数に指定した別名で,2 番目以降の引数をそのメンバとして,別名を作成する。 group コマンドは,alias コマンドと同じである。
alternates [alt_list] alt_listにリストしたアドレスによってユーザを参照するように mailx に通知する。 alt_list を指定しない場合は,代替名の現在のリストを表示する。

chdir path cd path

cd シェル・コマンドを実行した場合と同様に,現在のディレクトリを指定されたパス名に変更する。 ただし,chdir で指定したディレクトリは,ユーザが mailx 環境下にいる間だけ有効。
   
copy [msg_list] fileco [msg_list] filec [msg_list] file 現在のメッセージまたは指定されたメッセージをファイルにコピーする。 file が存在する場合,メッセージは追加される。 このコマンドは,save と同様に機能するが,コピー・メッセージにマークを付けて,mailx セッションを終了する際に削除することはしない。
Copy [msg_list]C [msg_list] msg_list にある最初のメッセージの作成者から名前を取ったファイルに,指定されたメッセージを保存する。 ただし,メッセージに保存のマーク付けはされない。 この点を除けば,Save コマンドと同じ。
delete [msg_list]d [msg_list] 現在のメッセージまたは指定されたメッセージを削除する。 undelete コマンドを使用すると,誤って削除したメッセージを回復できる。
discard [field_list] ignore サブコマンドと同じ機能。
dpdt 現在のメッセージを削除して,次にアクティブなメッセージを表示する。
echo string 指定の文字列をエコーする。 シェルの echo コマンドと同じ。
edit [msg_list]e [msg_list] EDITOR で指定されたエディタを起動して,msg_list をエディタへロードする。 行われた変更は,メール・セッションを終了する際,msg_list に保存される。

exit
ex

システム・メールボックスを更新しないで,mailx を終了する。
file [file]fi [file]folder [file]fo [file] メール・ファイルまたはメール・フォルダを選択する。 ファイルを指定しなければ,現在のパスとファイル名,および現在のファイルにあるメッセージ数を表示する。 ファイルまたはフォルダを指定した場合には,現在のメール・ファイルに加えた変更が表示され,指定したファイルが読み込まれる。
folders フォルダ・ディレクトリ内のフォルダ名をリストする。
followup messagefo message メッセージに応答し,そのメッセージの送信者から名前を取ったファイルに,その応答を保存する。 record オプションが設定されている場合,その設定は上書きされる。
Followup [msg_list]F [msg_list] msg_list の最初のメッセージに応答し,そのメッセージを msg_list にある各メッセージの作成者に送信する。 表題は最初のメッセージから取られ,応答は,最初のメッセージの作成者から名前を取ったファイルに保存される。
from [login] f [login] アクティブなメッセージのヘッダを表示する。 ログイン名を指定すると,指定されたログイン名から送信されたすべてのアクティブなメッセージが表示される。
headers [n] h [n] アクティブなメッセージのヘッダをリストする。screen 変数の値が,表示するヘッダ数として使用される。 screen 変数の説明については,付録 D を参照。 メッセージが 1 画面に収まらない場合には,z コマンドを使用して,前方または後方に 1 画面ずつスクロールできる。 メッセージ番号を指定した場合,headers コマンドは,指定されたメッセージを1画面の範囲内で表示する。
hold [msg_list]ho [msg_list]preserve [msg_list]pre [msg_list] 現在のメッセージまたは指定されたメッセージを mbox ファイルに転送しないで,ユーザのシステム・メールボックスに保存する。
if conditioni conditionelseeendifen mailx サブコマンドを条件付きで実行するための構文。 condition が真の場合,if の後に記述されているサブコマンドが実行される。 condition が偽の場合は,else の後に記述されているサブコマンドが実行される。 else は必須ではないが,endif は必須。 condition は,メールを送信する場合の send,またはメールを受信する場合の receive のどちらか。
ignore [field...] print コマンドまたは type コマンドを使用する際に,mailx が,ヘッダの指定されたフィールドを省いてメッセージを表示するようにする。 このコマンドは,付録 D で説明している ignore 変数とは異なる。 引数を指定しないで ignore コマンドを入力すると,現在省略されているフィールドのリストが表示される。
listl 使用可能な mailx サブコマンドのリストを表示する。
local ローカル・ホストの他の名称をリストする。
mail user_namem user_name 指定されたユーザにメッセージを送信する。
mbox [msg_list] 現在のメッセージまたは指定されたメッセージが mbox に転送されるようにマークを付ける。 .mailrc ファイルで hold 変数を設定している場合に有効。
more [msg_list] PAGER で定義したページャ・プログラムを使用して,msg_list のメッセージを表示する。 page サブコマンドと同機能。
More [msg_list] more サブコマンドと同機能であるが,省略されているヘッダ・フィールドも表示する。 more および ignore サブコマンドを参照。
new [msg_list]New [msg_list] msg_list の各メッセージに,まだ参照されていないものとしてマークを付ける。 unread および Unread サブコマンドと同機能。
page [msg_list] PAGER で定義したページャ・プログラムを使用して,msg_list のメッセージを表示する。 more サブコマンドと同機能。
Page [msg_list] page と同機能であるが,省略されているヘッダ・フィールドも表示する。 More サブコマンドと同機能。
pipe [msg_list] [shell_command ] pi [msg_list] [shell_command ] | [msg_list] [shell_command] msg_listshell_command にパイプする。 メッセージは,読み込むものとして処理される。 引数が指定されない場合は,現在のメッセージが,cmd に指定されたコマンドへパイプされる。 page オプションが設定されていると,各メッセージの後に改ページ文字が挿入される。
next n + [Return] 次のメッセージを表示する。
Print [message]P [message]Type [message]T [message] ignore コマンドによって指定されたヘッダ・フィールドもすべて含めて,現在のメッセージまたは指定されたメッセージを表示する。
print [message]p [message]type [message]t [message] ignore コマンドで指定されたヘッダ・フィールドを省略して,現在のメッセージまたは指定されたメッセージを表示する。
quit q mailx プログラムを終了して,システム・メールボックスを更新する。 hold 変数を設定していない場合は,削除,保存,または保持されなかったメッセージはすべて,mbox ファイルに転送される。 hold 変数を設定している場合は,これらのメッセージはすべてシステム・メールボックスに残され,既読としてマーク付けされる。 メッセージを保存しないでセッションを終了するには,exit サブコマンドを使用する。
ReplyRRespond メッセージに応答する。 そのメッセージがユーザ・グループ宛に送信された場合,Reply および Respond コマンドによる応答は,そのメッセージの発信者だけに送信される。
replyrrespond メッセージに応答する。 そのメッセージがユーザ・グループ宛に送信された場合,reply コマンドおよび respond コマンドによる応答は,そのメッセージを受信したすべてのユーザに送信される。
retain [field_list] print サブコマンドまたは type サブコマンドでメッセージを表示する際に保持されるヘッダのリストに,field_list で指定したヘッダ・フィールドを追加する。 type および print を使用すると,保持されないフィールドを含め,メッセージ全体が表示される。 引数を指定しないで retain を実行すると,現在保持されているフィールドがリストされる。
save [msg_list] files [msg_list]file 現在のメッセージまたは指定されたメッセージをファイルに保存する。 指定されたファイルの内容が削除されないように,メッセージは,そのファイルに追加される。
Save [msg_list]S [msg_list] 指定されたメッセージを,最初のメッセージの作成者から名前を取ったファイルに保存する。 ファイル名は,作成者の名前からネットワーク・アドレス部分を取り除いたものになる。
set [variable]se [variable] 変数を指定しないで入力すると,設定しているオプションがすべて表示される。 変数を指定すると,そのオプションが設定される。 使用可能な変数については,付録 D を参照。
shellsh 対話式でシェルを呼び出す。
source fileso file ファイル (通常は .mailrc) からメール・コマンドを読み取る。
size [msg_list]si [msg_list] msg_list のメッセージの行数および文字数を表示する。
top [msg_list]to [msg_list] 現在のメッセージまたは指定された各メッセージの最初の数行を表示する。 表示される行数は,toplines 変数で指定される。 省略時の値は 5。
touch [msg_list] msg_list のメッセージを,まだ読んでいない場合にも,mailx プログラムを終了すると,システム・メールボックスからユーザ個人の mbox に転送されるようにマーク付けする。 それらのメッセージは,未読として mbox に保存される。 touch コマンドを使用すると,msg_list の最後のメッセージが,現在のメッセージになる。
unalias alias_list 指定された別名を削除する。
undelete msg_listu msg_list 指定されたメッセージの削除を取り消す。
unread [msg_list]Unread [msg_list]U [msg_list] msg_list の各メッセージを未読としてマーク付けする。 new および New サブコマンドと同機能。
unset [variable]uns [variable] オプションの設定を取り消す (解除する)。 たとえば,.mailrc ファイルに set hold コマンドが記述されている場合,unset コマンドを使用して,現在の mailx セッションの間,hold 変数を無効できる。
versionve mailx コマンドのバージョン・バナーを表示する。
visualv VISUAL メール変数で指定されたエディタを起動して,現在のメッセージを編集する。
write[msg_list] filew [msg_list]file 現在のメッセージまたは指定されたメッセージを,指定したファイルに保存する。 save コマンドと同機能であるが,write は,各メッセージの本文のみを保存する。 ヘッダは削除される。
z[+]z[-] メッセージを前方または後方に 1 画面分ずつスクロールする。 screen 変数で 1 画面に表示するメッセージ数の指定が可能 (付録 D を参照)。 前方に 1 画面分スクロールする場合は,z または z+ を入力し,後方にスクロールする場合は,z- を入力する。