7    Fibre Channel ストレージの使用

この章では,Fibre Channel の概要,Fibre Channel の構成例,および Tru64 UNIX または TruCluster Server バージョン 5.1B におけるFibre Channel ハードウェアのインストールと構成情報について説明します。

この章では,次の項目について説明します。

具体的には,ストレージセットの構成例や,Tru64 UNIX ブート・ディスク,クラスタ単位のルート (/),/usr/var,クラスタのメンバ・ブートおよびクォーラム・ディスクとしてセットアップした Fibre Channel ストレージセットに対して /dev/disk/dskn の値を決定する方法や,Tru64 UNIX バージョン 5.1B および TruCluster Server バージョン 5.1B のインストールを簡単にするために bootdef_dev コンソールの環境変数を設定する方法について説明します。

注意

TruCluster Server バージョン 5.1B 構成では,Tru64 UNIX オペレーティング・システムを格納するために 1 台以上のディスクが必要です。Tru64 UNIX の格納には,最初のクラスタ・メンバ・システムのプライベート・ディスク,またはシステムからアクセス可能な共用バス上のディスクを使用する必要があります。

共用ディスクにベース・オペレーティング・システムをインストールするかどうかにかかわらず,Tru64 UNIX ディスクをブートする前には必ずクラスタをシャットダウンしてください。

TruCluster Server には,Memory Channel またはプライベート LAN を使ったクラスタ・インターコネクトが必要です。LAN インターコネクトについては,第 6 章を参照してください。

7.1    Fibre Channel の概要

Fibre Channel は,複数のプロトコルを同じ物理インタフェース経由でサポートします。Fibre Channel は,主としてプロトコルに依存しない伝送メディアであり,それが使用される目的や機能とは無関係です。

TruCluster Server では,Fibre Channel プロトコル (FCP) によって,Fibre Channel を SCSI の物理インタフェースとして使用します。

シリアル伝送方式の Fibre Channel は,以下のような点で SCSI のパラレル伝送方式の限界を克服しています。

Fibre Channel では,非常に高速な伝送クロック周波数を使用して,高速データ転送を実現しています。光ファイバ伝送線を使用することにより,高周波情報を送信するトランスミッタとレシーバ間の距離を最大 40 km (24.85 マイル)まで延ばせます。短い距離では銅線を使うこともできます。

7.1.1    Fibre Channel の基本用語

ここでは,Fibre Channel の基本用語を解説します。

AL_PA

アービトレイテッド・ループ物理アドレス (AL_PA) は,Fibre Channel ループのノードをアドレス指定するために使用されます。ノードはデータ送信可能になると,自分を識別する AL_PA を含むプリミティブ・シグナルを Fibre Channel に送出します。

アービトレイテッド・ループ

Fibre Channel のトポロジで,その中ではノードがループ状にリンクされていて,フレームはそのループに沿ってルーティングされます。ループ内のノードはすべて帯域幅を共用するため,ノードやケーブルが追加されると帯域幅は若干悪化します。

フレーム

データはすべて,フレームと呼ばれる情報パケットの形で転送されます。フレームは 2112 バイトに制限されています。2112 バイトを超える情報は,複数のフレームに分割されます。

ノード

フレームの転送元および転送先を表します。ノードは,コンピュータ・システム,RAID (redundant array of inexpensive disks) アレイ・コントローラ,またはディスク装置の場合があります。各ノードには 64 ビットの固有のノード名 (ワールドワイド名) があります。ノード名はノードの製造時にノードに組み込まれます。

N ポート

各ノードには,データの送受信に使用される Fibre Channel ポートが少なくとも 1 つ必要です。このノード・ポートを N ポートといいます。各ポートには 64 ビットの固有のポート名 (ワールドワイド名) が,製造時に割り当てられます。N ポートは別の N ポートにポイント・ツー・ポイントのトポロジで直接接続され,ファブリック・トポロジで F ポートに接続されます。

NL ポート

アービトレイテッド・ループ・トポロジでは,情報はループ状にルーティングされます。ループ上で動作するノード・ポートは,NL ポート (ノード・ループ・ポート) と呼ばれます。情報は,各 NL ポートでリピートされながら,最終的に転送先に到達します。各々のポートは,製造時に組み込まれた 64 ビットの一意のポート名 (ワールドワイド名) を持っています。

ファブリック

転送元のノード (トランスミッタ) から転送先のノード (レシーバ) までフレームをルーティングする,スイッチまたは相互接続されたスイッチ群のことです。

F ポート

ファブリック内のポート (ファブリック・ポート) です。各 F ポートには 64 ビットの固有のポート名が製造時に割り当てられます。ノード名とポート名を合わせてワールドワイド名になります。

FL ポート

ループ機能を備える F ポートを FL ポートといいます。

リンク

N ポートと他の N ポート間,または N ポートと F ポート間の物理的接続のことです。リンクは 2 つの接続,つまり情報を送信する接続と情報を受信する接続からなります。一方のノードの送信接続は,リンクの相手方のノードでは受信接続になります。リンクは,光ファイバ,同軸ケーブル,シールド・ツイスト・ペアのいずれかです。

E ポート・スイッチ間拡張ポート

ファブリック内の 2 つのスイッチ間の接続に使用される,スイッチの拡張ポート。

7.1.2    Fibre Channel のトポロジ

Fibre Channel では,以下の 3 種類の相互接続トポロジがサポートされます。

注意

アービトレイテッド・ループをファブリックと相互接続することは可能ですが,ハイブリッド構成は,現在ではサポートされていません。したがって,ハイブリッド構成については本書では説明していません。

7.1.2.1    ポイント・ツー・ポイント

ポイント・ツー・ポイント・トポロジは最も単純な Fibre Channel トポロジです。ポイント・ツー・ポイント・トポロジでは,N ポートが別の N ポートとシングル・リンクで接続されます。

一方の N ポートから送信されたすべてのフレームがもう一方の N ポートで受信されるため,フレームのルーティングは不要です。各フレームの受信順序は,送信順序と同じです。

図 7-1 に,ポイント・ツー・ポイント・トポロジの例を示します。

図 7-1:  ポイント・ツー・ポイント・トポロジ

7.1.2.2    ファブリック

ファブリック・トポロジにはポイント・ツー・ポイント・トポロジよりも高い接続性があり,最大 224 ポートまで接続することが可能です。

ファブリックは,フレーム・ヘッダにある転送先アドレスを調べ,転送先のノードにフレームをルーティングします。

ファブリックは単一のスイッチで構成することも,複数のスイッチを相互接続して構成することもできます (相互接続するスイッチは 3 つまでサポートされています)。各スイッチには 2 個以上のファブリック・ポート (F ポート) があり,それらはファブリック・スイッチング機能により内部的に接続され,フレームは 1 つの F ポートから別の F ポートへとスイッチ内でルーティングされます。2 つのスイッチ間の通信では,2 つの拡張ポート (E ポート) 間でルーティングが行われます。

N ポートが F ポートに接続されると,ファブリックは,その N ポートに Fibre Channel アドレスを割り当てます。さらにファブリックは,フレームが転送先に到達するまでに通るファブリック内のルートを選択します。

複数のスイッチから構成されているファブリックでは,フレームを確実に転送先に届けるために代替ルートを選択することが可能です。

図 7-2 に,ファブリック・トポロジの例を示します。

図 7-2:  ファブリック・トポロジ

7.1.2.3    アービトレイテッド・ループ・トポロジ

アービトレイテッド・ループ・トポロジでは,フレームは,ノード間のリンクによってセットアップされたループ上をルーティングされます。ハブは,ノードやケーブルが故障したり,ノードの電源が落とされたり,保守のためにノードが撤去されたりした場合に,ノードを迂回することでループの連続性を保ちます。ハブはプロトコルからは見えません。ハブは Fibre Channel アービトレイテッド・ループのアドレスを使用しないので,Fibre Channel アービトレイテッド・ループのポートではアドレス指定することはできません。

ノードは,ループの制御権を取得する (マスタになる) ために調停 (アービトレイト) します。ノードはマスタになると (ビットマスクのビットを設定することにより) 独自の AL_PA (Arbitrated Loop Physical Address) を選択します。AL_PA は,ループ上でそのノードをアドレス指定するために使用されます。AL_PA は動的で,ループが初期化されたり,ノードが追加・削除されたり,イベントによってループでのメンバシップが変化したりするたびに変化します。ノードはデータの送信ができるようになると,自らを識別する AL_PA を含む Fibre Channel プリミティブ・シグナルを送出します。

アービトレイテッド・ループ・トポロジでは,ノード・ポートは NL ポート (ノード・ループ・ポート) と呼ばれ,ファブリック・ポートは FL ポート (ファブリック・ループ・ポート) と呼ばれます。

図 7-3 に,アービトレイテッド・ループ・トポロジの例を示します。

図 7-3:  アービトレイテッド・ループ・トポロジ

7.2    Fibre Channel トポロジの比較

この節では,ファブリック・トポロジとアービトレイテッド・ループ・トポロジを比較し,選択基準について説明します。

ファブリック (スイッチ)・トポロジと比較すると,アービトレイテッド・ループ・トポロジは低コストですが性能は劣ります。アービトレイテッド・ループでは,高価なスイッチを,低コストで多くの場合ノンインテリジェントな管理対象外のハブに置き換えることで,Fibre Channel のコストを低減します。ハブは,物理的なループを論理的なスター構成に縮退させて動作します。ケーブル,必要なコネクタ,許容ケーブル長は,ファブリックと同等です。アービトレイテッド・ループは,理論上,ループ上に最大で 127 ノードをサポートします。アービトレイテッド・ループ・ノードは,自己構成型であり,Fibre Channel アドレス・スイッチが不要です。

アービトレイテッド・ループは,帯域幅を犠牲にしてコストを低減します。すなわち,ループ内のすべてのノードは帯域幅 (ループあたり,100 MB/秒) を共有し,ノードやケーブルが追加されるたびに,帯域幅は若干狭くなります。ループ上のノードは,他のノード間の通信を含むすべてのループ上の通信を監視します。ハブには,ループに対するノードの追加や削除などの変更を管理するポート迂回機能があります。たとえば,ポート迂回機能によって問題が検出されると,ハブは人手による介入なしに,ノードをループから切り離します。これによりノード障害,ケーブル外れ,ネットワーク再構成などに伴うダウンタイムがなくなり,データ可用性が維持されます。ただし,ノードの追加や削除,エラーなどによって,ループ上の通信は一時的に中断されます。

ファブリック・トポロジはこれに比べると高価ですが,接続性は強化され,高性能が達成されます。すなわち,スイッチはファブリックに対し,全二重 100 (200) MB/秒のポイント・ツー・ポイント接続機能を提供します。スイッチは,ファブリック上のノードが自分宛のデータしか監視しないため,性能を改善したり,スケーリング機能を使用できます。また,個々のノードは,ファブリック内では他ノードの再構成やエラー回復処理とは分離されています。スイッチは Fibre Channel ファブリックの全体構造に関する管理情報を持ちますが,これはアービトレイテッド・ループ用のハブにはない機能です。

表 7-1 に,ファブリック・トポロジとアービトレイテッド・ループ・トポロジの比較を示します。

表 7-1:  Fibre Channel のファブリック・トポロジとアービトレイテッド・ループ・トポロジの比較

アービトレイテッド・ループを使用する場合 ファブリックを使用する場合
メンバ数が 2 以下のクラスタ メンバ数が 3 以上のクラスタ
ソリューションの総コストが低く,扱いやすさが主目的のアプリケーション 再構成や修理による通信の一時中断が問題になる,複数ノードのクラスタ構成
アービトレイテッド・ループ構成に伴う帯域幅の共有が問題にならないアプリケーション アービトレイテッド・ループ構成に伴う帯域幅の共有が妥当でない,高帯域幅のアプリケーション
拡張や増強が予想されない構成 拡張が予想されるため,性能の増強が必要なクラスタ構成

7.3    TruCluster Server でサポートされる Fibre Channel 構成の例

この節では,TruCluster Server バージョン 5.1B でサポートされる構成の例を,透過フェイルオーバ・モードと多重バス・フェイルオーバ・モード別に図を用いて説明します。

7.3.1    透過フェイルオーバ・モードの Fibre Channel クラスタ構成

透過フェイルオーバ・モードには,次のような特長があります。

図 7-4 は,透過フェイルオーバ・モードによる標準的な Fibre Channel クラスタ構成を示しています。

図 7-4:  1 台のスイッチを使用した透過フェイルオーバ Fibre Channel 構成

透過フェイルオーバ・モードでは,両方のコントローラのポート 1 を経由してユニット D00 から D99 にアクセスします。ユニット D100 から D199 には,両方の HSG80 コントローラのポート 2 を経由してアクセスします。

透過フェイルオーバ・モードでは,NSPOF (no-single-point-of-failure: 単一機器の障害がシステム全体の障害とならない) 構成は実現できません。ホストからフェイルオーバを実行できないだけでなく,ホスト・バス・アダプタ,スイッチ,ハブ,またはケーブルに障害が発生した場合は,少なくとも一方のポートより先のユニットが使用できなくなります。

2 番目のバスにハードウェア (別の KGPSA,スイッチ,RA8000/ESA12000 および関連ケーブル) を追加すれば,LSM によってバス間のミラーリングが可能になります。ただし,LSM ではメンバのブート・パーティションやクォーラム・ディスクをミラーリングできないので,可用性は向上しますが,NSPOF 透過フェイルオーバ構成は実現できません。

図 7-5 に,デュアル冗長 HSG80 コントローラを持つ RA8000 または ESA12000 ストレージと,DS-SWXHB-07 Fibre Channel ハブの 2 ノード Fibre Channel クラスタを示します。

図 7-5:  1 つのストレージ・アレイを持つアービトレイテッド・ループ構成

7.3.2    多重バス・フェイルオーバ・モードの Fibre Channel クラスタ構成

多重バス・フェイルオーバ・モードには,次のような特長があります。

図 7-6図 7-7 は,異なる 2 つの推奨する多重バス NSPOF クラスタ構成を示しています。これらの構成の相違点は,スイッチと HSG80 コントローラ・ポート間の接続方法だけです。

これら 2 つの構成では性能上の違いはありません。図 7-6 に示す構成の方が,ケーブル接続が簡単です。これは,スイッチ (またはスイッチ・ゾーン) から両方のコントローラの同一サイドのポート (たとえば,両方のコントローラのポート 1) にケーブル接続するだけですむからです。

図 7-6:  多重バス NSPOF 構成 1

図 7-7:  多重バス NSPOF 構成 2

図 7-8 に示す構成は NSPOF 構成ですが,障害発生時に性能が劣化するため,このクラスタ構成は推奨できません。スイッチやケーブルの障害で別のスイッチへのフェイルオーバが発生すると,ストレージ・ユニットへのアクセスを別のコントローラへ移動しなければならず,これに時間がかかります。図 7-6図 7-7 に示す構成では,障害が発生しても,ストレージ・ユニットへのアクセスは同一コントローラの別のポートに切り替わるだけです。これはコントローラを切り替えるより高速であり,全体性能が向上します。

注意

図 7-8 に示すような構成の場合,スイッチから HSG80 へのケーブル接続を,図 7-6 または図 7-7 で示すような構成にマッチするように変更してください。

図 7-9 に示すような単一システム構成も推奨できません。

図 7-8:  推奨できない構成

図 7-9:  推奨できない別の構成

図 7-10 に,2 ノード Fibre Channel クラスタからなる,アービトレイテッド・ループの最大構成例を示します。これは,デュアル冗長 HSG80 コントローラを持つ RA8000 または ESA12000 ストレージ・アレイが 2 つと,2 つの DS-SWXHB-07 Fibre Channel ハブで構成されている NSPOF 構成です。

図 7-10:  アービトレイテッド・ループの最大構成

7.4    QuickLoop

QuickLoop は,ファブリック内の FC-AL (Fibre Channel アービトレイテッド・ループ) デバイスをサポートします。この論理的な PLFA (プライベート・ループ・ファブリック・アタッチ) は,ファブリックで相互接続される複数のプライベート・アービトレイテッド・ループ (ループレット) で構成されます。プライベート・ループ構成では,最大 2 つのスイッチのポートを論理的に接続します。

注意

QuickLoop は,Tru64 UNIX バージョン 5.1B 構成や TruCluster Server バージョン 5.1B 構成ではサポートされません。

7.5    ゾーニング

この節では,ゾーニングの概要について簡単に説明します。

ゾーンは,ファブリックに接続された Fibre Channel デバイスの論理的なサブセットです。ゾーニングによって,リソースを分割すれば,リソースの管理やアクセス・コントロールが可能になります。ハードウェア・リソースが有効活用できるので,1 台のスイッチで複数のクラスタや複数のオペレーティング・システムさえも運用することができます。ゾーニングではファブリックをゾーンに分けますが,個々のゾーンが本質的に仮想ファブリックになります。

ゾーニングは次の場合に使用します。

注意

最初のゾーニングは,ホスト・バス・アダプタとストレージをスイッチに接続する前に行う必要がありますが,ゾーニング構成が終了すれば,変更は動的に行うことができます。

7.5.1    スイッチ・ゾーニングと選択的ストレージ・プレゼンテーションの比較

HSG80 コントローラのスイッチ・ゾーニングと SSP (選択的ストレージ・プレゼンテーション) は,同じような機能を持っています。

スイッチ・ゾーニングでは,相互に通信可能なサーバ,およびストレージ・コントローラのホスト・ポートを制御します。SSP は,各々のストレージ・ユニットにアクセスするサーバを制御します。

スイッチ・ゾーニングは,ストレージ・システム・レベルでのアクセスを制御します。一方,SSP はストレージ・ユニット・レベルでのアクセスを制御します。

以下の構成では,スイッチ・ゾーニング,または SSP が必要です。

SSP は,ストレージへのアクセスを制御する好ましい方法です (ゾーニングは不要です)。

7.5.2    ゾーニングのタイプ

ゾーニングには,ソフトとハードの 2 つのタイプがあります。

ゾーン外にアクセスしないことを保証したい場合は,ハード・ゾーニングを使用するか,ソフト・ゾーニングに対応しているオペレーティング・システムを使用します。

表 7-2 に,Fibre Channel スイッチでサポートされているゾーニングのタイプを示します。

表 7-2:  スイッチでサポートされているゾーニングのタイプ

スイッチ・タイプ サポートされているゾーニングのタイプ
DS-DSGGA ソフト
DS-DSGGB ソフトとハード
DS-DSGGC ソフトとハード

7.5.3    ゾーニングの例

図 7-11 に,ゾーニングを使用した構成例を示します。この構成は 2 つの独立したゾーンからなり,各々のゾーンには独立したクラスタがあります。

図 7-11:  単純なゾーン構成

ゾーンの設定に関する説明は,スイッチに付属している SAN Switch Zoning のドキュメントを参照してください。

7.6    カスケード接続のスイッチ

複数のスイッチを相互接続して,スイッチ・ネットワークやカスケード接続スイッチを形成することができます。

カスケード接続スイッチの構成であって,SAN 接続されたノードへのデータ・パスを喪失しないスイッチを組み入れて,ネットワーク障害の発生に対処できるようにした構成を,メッシュ・ファブリックまたはメッシュ化ファブリックと呼びます。図 7-12 に,3 台のカスケード接続されたスイッチからなる,メッシュ化ファブリックを示します。ただし,これは NSPOF 構成ではありません。

図 7-12:  3 台のカスケード接続されたスイッチからなる,メッシュ化ファブリック

図 7-13 に,4 台のカスケード接続されたスイッチからなる,回復力のあるメッシュ接続のファブリックの例を示します。これは複数のデータ・パスで障害が発生しても耐えられる NSPOF 構成です。

図 7-13:  4 台のカスケード接続されたスイッチからなる,回復力のあるメッシュ化ファブリック

注意

ISL を失うと,通信は別のスイッチを介して別のコントローラの同一ポートにルーティングされます。これにより,ホップ数は最大 2 ですみます。

下記サイトの『Compaq StorageWorks Heterogeneous Open SAN Design Reference Guide 』で,SAN (storage array network) に関する情報を参照できます。


 
http://www5.compaq.com/products/storageworks/techdoc/san/AA-RMPNA-TE.html

 

7.7    Fibre Channel ディスクを使用するインストール手順

Fibre Channel ディスクを使用して,Tru64 UNIX バージョン 5.1B と TruCluster Server バージョン 5.1B をインストールするには,以下の手順に従ってください。Tru64 UNIX バージョン 5.1B だけをインストールする場合は,手順 1〜8 だけを実行してください。TruCluster Server バージョン 5.1B をインストールする場合には,すべての手順が必要です。実際のインストールにあたっては,Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド』,TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』やハードウェアのマニュアルなどを適宜参照してください。

  1. Fibre Channel スイッチまたはハブをインストールします (7.8.1 項 または7.8.2 項)。

  2. Fibre Channel ホスト・バス・アダプタをインストールします (7.8.3 項)。

  3. HSG80 RAID アレイ・コントローラをファブリックまたはループ構成に設定します (7.9.1 項)。

  4. HSG80 または Enterprise Virtual Array ディスクを,ベース・オペレーティング・システムとクラスタのインストールで使用できるように設定します。オペレーティング・システムとクラスタのインストールで使うストレージ・ユニットに識別子を付けることを忘れないでください (7.9.1.3.1 項7.9.1.3.2 項)。

  5. システムに電源が入っていなければ,Tru64 UNIX バージョン 5.1B をインストールするシステムの電源を入れます。クラスタのインストールでは,このシステムが最初のクラスタ・メンバとなります。

    コンソール WWID マネージャ (wwidmgr) ユーティリティを使って,Fibre Channel Tru64 UNIX バージョン 5.1B ディスクと,最初のクラスタ・メンバ・システムのブート・ディスクにデバイス・ユニット番号を設定します (7.10.1 項)。

  6. show wwid* および show n* コンソール・コマンドを使用して,現在アクセス可能なディスク・デバイスとデバイスへのパスを表示します (7.10.2 項)。

  7. Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド』 を参照して,CD-ROM からベース・オペレーティング・システムをインストールします。インストレーション・プロシージャでは,デバイス・ユニット番号を設定したディスクが認識されます。表示されたディスク一覧から Tru64 UNIX オペレーティング・システムをインストールするディスクを選択します (7.10.3 項)。

    新しいカーネルがマルチユーザ・モードでブートして,オペレーティング・システムのインストールが完了します。

    TruCluster Server ソフトウェアをインストールしない場合は, bootdef_dev コンソール環境変数をリセットしてブート・ディスクへのマルチ・ブート・パスを設定し (7.10.4 項),オペレーティング・システムをブートします。

  8. クラスタのインストールで使用する /dev/disk/dskn の値を決めます (7.10.5 項)。

  9. disklabel ユーティリティを使用して,クラスタの作成に使用したディスクにラベルを付けます (7.10.6 項)。

  10. TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』を参照して,TruCluster Server ソフトウェアのサブセットをインストールします。次に clu_create コマンドを実行して,最初のクラスタ・メンバを作成します。clu_create を使用してシステムをブートしないでください。システムをシャットダウンして,コンソール・プロンプトを表示させます (7.10.7 項)。

  11. bootdef_dev コンソール環境変数を再設定して,クラスタ・メンバ・ブート・ディスクへのマルチ・ブート・パスを設定します (7.10.4 項)。最初のクラスタ・メンバをブートします。

  12. クラスタ・インストレーション・ガイド』を参照して,後続のクラスタ・メンバ・システムを追加します (7.10.8 項)。最初のクラスタ・メンバに対して,次の手順を実行します。

7.8    Fibre Channel ハードウェアのインストールと構成

ここでは,Fibre Channel ストレージを使った,Tru64 UNIX または TruCluster Server 構成に必要な Fibre Channel ハードウェアのインストールについて説明します。

メンバ・システム,Fibre Channel スイッチ,ハブ,および HSG80 アレイ・コントローラ群が,使用予定の光ケーブルの長さで接続できることを確認してください。

注意

KGPSA とスイッチ (またはハブ) 間,またはスイッチ (またはハブ) と HSG80 アレイ・コントローラ間の光ケーブルの最大長は,短波マルチ・モード Fibre Channel ケーブルで 500 m (1640.4 フィート) です。カスケード接続されたスイッチ構成では,スイッチ間の最大長は,長波シングル・モード・ファイバで 10 km (6.2 マイル) です。

7.8.1    Fibre Channel スイッチのインストール

Fibre Channel スイッチをインストールしてセットアップします。スイッチに同梱のマニュアルを参照してください。

NSPOF (no-single-point-of-failure) 構成を計画している場合は,最少 2 個の Fibre Channel スイッチをインストールします。

すべてのスイッチには,10Base-T イーサネット (RJ45) ポートが 1 つあり,IP アドレスが設定されると,イーサネット接続によりスイッチを管理できるようになります。

スイッチ・ゾーニングのセットアップは,Fibre Channel ホスト・バス・アダプタとストレージ・ハードウェアをインストールし,関連するケーブルを接続してから行います。

7.8.2    DS-SWXHB-07 ハブのインストールとセットアップ

DS-SWXHB-07 ハブは,最大 7 個の 1.6025 ギガビット/秒のポートをサポートします。このポートは,DS-KGPSA-CA PCI-to-Fibre Channel ホスト・バス・アダプタ,または HSG80 アレイ・コントローラに接続できます。

DS-SWXHB-07 ハブは,DSGGA スイッチとは異なり,制御パネルや電源スイッチを持っていません。プラグを差し込むだけで電源が入ります。フロント・パネルに電源が入っていることを示す緑の電源インディケータがあります。

DS-SWXHB-07 ハブには,最大 7 個のプラグイン・インタフェース・コンバータを収容するスロットがあります。各々のインタフェース・コンバータは,2 個の 1 ギガビットの GBIC (Gigabit Interface Converter) モジュールをサポートします。GBIC モジュールは電気・光変換器であり,標準 SC コネクタの 50 ミクロンと 62.5 ミクロンのマルチモード・ファイバ (MMF) の両方をサポートします。TruCluster Server 製品では,50 ミクロン MMF 光ケーブルだけがサポートされています。

GBIC モジュールと MMF 光ケーブルは,ハブに付属していません。必要であれば,弊社のサービス担当にご連絡ください。

7.8.2.1    ハブのインストール

ハブは,メンバ・システム (DS-KGPSA PCI-to-Fibre Channel アダプタ付き) および HSG80 アレイ・コントローラから 500 m (1640.4 フィート) 以内に設置してください。

DS-SWXHB-07 ハブは平らで堅い床に置くか,DS-SWXHX-07 ラックマウント・キット (注文番号 242795-B21) を使って,48.7 cm (19 インチ) ラックに取り付けます (1 つのラックマウント・キットには,2 台のハブを取り付けることができます)。ハブは床を傷つけないように,脚にゴムのカバーがついています。

ハブの設置場所を決める際には,ハブ後部の GBIC コネクタが着脱可能なことを確認してください。すべてのケーブルはハブの後部に接続します。

注意

静電気によってモジュールや電子部品が損傷を受ける場合があります。モジュールを取り扱う場合は,接地された静電気防止用リスト・ストラップを着用し,接地された作業台で作業してください。

インストールには,少なくとも以下の作業が必要です。

  1. ハブを適切な床に設置するか,ラックに取り付けます。

  2. GBIC モジュールを 1 つ以上取り付けます。GBIC モジュールは,ハブの空いているポートに,カチッという音がするまでゆっくり差し込みます。GBIC モジュールには,誤挿入防止用のガイド・キーが組み込まれています。無理な力を加えないでください。

  3. 光ファイバ・ケーブルを接続します。この場合,MMF ケーブルの一方を,ハブに実装されている GBIC モジュールに接続します。アクティブ・ポートの接続はすべて MMF ケーブルを使用します。未使用ポートや,間違って実装した GBIC モジュールでも,ループをバイパスさせたままになるので,ループの運用に影響を与えることはありません。

  4. MMF ケーブルの反対側を DS-KGPSA-CA アダプタまたは HSG80 に接続します。

  5. 適切にアースに接続されているコンセントに,ハブの電源ケーブルを差し込みます。フロント・パネルの電源インディケータで電源が投入されたことを確認します。

詳細は,『Fibre Channel Storage Hub 7 Installation Guide』を参照してください。

7.8.2.2    ハブの状態の確認

DS-SWXHB-07 ハブは管理できない装置なので,LED インディケータの状態を見て,ハブの正常動作を確認します。LED インディケータは,ハブを DS-KGPSA-CA ホスト・アダプタと HSG80 コントローラに接続した後,特に便利に使えます。ただし,今は GBIC コネクタが正しく取り付けられていることを確認するために使用します。

光ケーブルを接続しないで電源を入れると,緑色と黄色の LED がともに点灯します。これは,ポートはアクティブですが,接続が無効であることを示しています。他の表示の意味を以下に説明します。

ハブのステータスを確認する場合,詳細は『Fibre Channel Storage Hub 7 Installation Guide』を参照してください。

7.8.3    Fibre Channel アダプタ・モジュールのインストールと構成

以降の各項では,Fibre Channel アダプタ (FCA) のインストールと構成について説明します。

7.8.3.1    Fibre Channel アダプタ・モジュールのインストール

KGPSA-BC,DS-KGPSA-CA または DS-KGPSA-DA (FCA2354) Fibre Channel アダプタ・モジュールをインストールするには,次の手順に従います。詳細については,次のマニュアルを参照してください。

注意

静電気によってモジュールや電子部品が損傷を受ける場合があります。モジュールを取り扱う際には,接地された静電気防止用リスト・ストラップと接地された作業面を使用することをお勧めします。

  1. 必要であれば,KGPSA-BC モジュールにマウント用ブラケットを取り付けます。マウント用ブラケットのタブを基板の部品面に配置し,基板のはんだ面からネジを挿入します。

  2. KGPSA-BC は,ギガビット・リンク・モジュール (GLM) が取り付けられた状態で出荷されています。GLM が取り付けられていない場合は,GLM イジェクタ・メカニズムを閉じます。次に,GLM アラインメント・ピン,アラインメント・タブ,およびコネクタ・ピンの位置を,穴,楕円形の開口部,および基板のソケットに合わせて,GLM をはめ込みます。

    DS-KGPSA-CA および DS-KGPSA-DA では GLM を使用せず,組み込みの光短波長マルチモード Fibre Channel インタフェースを使用します。

  3. 空いている 32 ビットまたは 64 ビット PCI スロットに Fibre Channel アダプタを装着します。

  4. Fibre Channel アダプタをファブリック (7.8.3.2 項) またはループ (7.8.3.3 項) で動作するように設定します。

  5. Fibre Channel アダプタのノードとポートのワールドワイド名を取得します(7.8.3.4 項)。

  6. 光ケーブルの SC コネクタを KGPSA-BC GLM または DS-KGPSA-CA の SC コネクタに挿入します。光ケーブルの LC コネクタを DS-KGPSA-DA の LC コネクタに挿入します。SC および LC コネクタは,差し込み方を間違えないようにキー方式になっています。差し込む際に無理に力を加えないでください。また,光ケーブルの先端を覆っている透明なプラスチックのカバーを忘れずに取り外しててください。

    注意

    ご使用の Fibre Channel アダプタおよびスイッチに応じて,Fibre Channel ケーブルは SC-SC,LC-SC,または LC-LC のいずれかを使います。

  7. Fibre Channel スイッチに実装されている短波長ギガビット・インタフェース変換モジュール (GBIC) に光ファイバ・ケーブルを接続します。

7.8.3.2    Fibre Channel アダプタをファブリックで動作させるための設定

Fibre channel ホスト・バス・アダプタ (FCA) は省略時にはファブリック・モードに設定されているため,特別な作業なしにファブリック構成で使用できます。ただし,別のシステムでループ・モードで使用されていた FCA を取り付ける場合は,不揮発性 RAM (NVRAM) を再フォーマットし,Fibre Channel ファブリック構成で動作するように設定する必要があります。

wwidmgr ユーティリティによって Fibre Channel ホスト・バス・アダプタの動作モードを調べ,必要に応じてモードを変更します (ループからファブリックへの変更など)。

注意

AS1200,AS4x00,AS8x00,GS60,GS60E,および GS140 の AlphaServer システムで wwidmgr ユーティリティを使用する場合は,コンソールを診断モードに設定する必要があります。コンソールを診断モードに設定するには,次のコマンドを入力します。

P00>>> set mode diag
Console is in diagnostic mode
P00>>>
 

コンソールが wwid マネージャ・モード (AS1200,AS4x00,AS8x00,GS60,GS60E,GS140 システムでは診断モード) の場合,システムを再初期化するまでブートできません。そのため,wwid マネージャでの作業が終了した後で,init コマンドを実行するか,またはシステム・リセットを使用して,システムの再初期化を行います。

システムをブートしようとして次のようなエラー・メッセージが表示された場合は,コンソールを初期化して WWID マネージャ・モードを終了してから,リブートします。

P00>>> boot
warning -- main memory zone is not free
P00>>> init
       
.
.
.
P00>>> boot  

システムを初期化して,ブートし,シャットダウンしてから wwidmgr ユーティリティを使用すれば,上記のエラーは防止できます。次のエラー・メッセージが表示された場合は,システムを初期化してから再度 wwidmgr ユーティリティを実行してください。

P00>>> wwidmgr -show adapter
wwidmgr available only prior to booting.
Reinit system and try again.
P00>>> init
       
.
.
.
P00>>> wwidmgr -show adapter
.
.
.

wwidmgr ユーティリティについての詳しい説明は,『Wwidmgr User's Manual』を参照してください。このマニュアルは,「Alpha Systems Firmware Update Utility」CD-ROM の DOC ディレクトリに格納されています。

ワールドワイド ID マネージャ (wwidmgr) ユーティリティを使って,すべての KGPSA の Fibre Channel アダプタのトポロジがファブリックに設定されていることを確認します (例 7-1例 7-2 参照)。

例 7-1:  KGPSA トポロジの確認

P00>>> wwidmgr -show adapter
Link is down.
item       adapter           WWN                Cur. Topo  Next Topo
pga0.0.0.3.1 - Nvram read failed
[ 0] pga0.0.0.2.0         2000-0000-c922-4aac    FABRIC     UNAVAIL
pgb0.0.0.4.0 - Nvram read failed
[ 1] pgb0.0.0.4.0         2000-0000-c924-4b7b    FABRIC     UNAVAIL
[9999] All of the above.
 

Link is down というメッセージは,使用不能なアダプタがあることを示しています。おそらくこれは,スイッチに接続されていないことが原因と考えられます。警告メッセージ「Nvram read failed」は,KGPSA の不揮発性ランダム・アクセス・メモリ (NVRAM) が初期化およびフォーマットされていないことを示しています。NVRAM がフォーマットされていないホスト・バス・アダプタでは,次のトポロジ (Next Topo) は常に UNAVAIL になります。これらのメッセージは両方とも重要なエラーではないので,ファブリック・モードでは無視されます。

例 7-1 の表示から,KGPSA ホスト・バス・アダプタは両方とも現在のトポロジとして省略時のファブリック・トポロジが設定されていることがわかります。ファブリックを使用していて,現在のトポロジが FABRIC の場合は,次のトポロジが Unavail であっても,NVRAM がフォーマットされていなくても (「Nvram read failed」),問題はありません。

Nvram read failed」の状況を修正し,次のトポロジをファブリックに設定するには,例 7-2 に示されているように,wwidmgr -set adapter コマンドを使います。このコマンドは NVRAM を初期化して,すべての KGPSA のモードをファブリックに設定します。

例 7-2:  NVRAM Read Failed メッセージの修正と KGPSA をファブリックで動作させるための設定

P00>>> wwidmgr -set adapter -item 9999 -topo fabric
Reformatting nvram
Reformatting nvram
P00>>> init
 

注意

前述のコマンドでは,修飾子は -topology ではなく,-topo です。 -topology を使用するとエラーになります。

何らかの理由で現在のトポロジが LOOP になっている場合は,ファブリック構成で動作するようにトポロジを FABRIC に変更する必要があります。現在のトポロジが LOOP の場合は,「Nvram read failed」のメッセージは表示されません。現在のトポロジを LOOP に変更した際に NVRAM がフォーマットされているためです。

次に,KGPSA の現在のトポロジが LOOP の場合を検討します。

P00>>> wwidmgr -show adapter
item       adapter           WWN                Cur. Topo  Next Topo
[ 0] pga0.0.0.2.0         2000-0000-c922-4aac    LOOP       LOOP   
[ 1] pgb0.0.0.4.0         2000-0000-c924-4b7b    LOOP       LOOP   
[9999] All of the above.
 

アダプタの現在のトポロジが LOOP の場合は,設定変更するアダプタの項目番号 (0,1 など) を指定して,個々のアダプタを FABRIC に設定します。9999 を指定してすべてのアダプタを設定する場合は,次のように入力します。

P00>>> wwidmgr -set adapter -item 9999 -topo fabric
 

再度アダプタの情報を表示して,次のコンソール初期化後のアダプタのトポロジを確認します。

P00>>> wwidmgr -show adapter
item       adapter           WWN                Cur. Topo  Next Topo
[ 0] pga0.0.0.2.0         2000-0000-c922-4aac    LOOP       FABRIC
[ 1] pgb0.0.0.4.0         2000-0000-c924-4b7b    LOOP       FABRIC
[9999] All of the above.
 

この表示は,KGPSA ホスト・バス・アダプタの現在のトポロジが両方とも LOOP で,次に初期化されると FABRIC に変わることを示しています。

P00>>> init
P00>>>  wwidmgr -show adapter
item    adapter                   WWN           Cur. Topo  Next Topo 
[ 0] pga0.0.0.2.0         2000-0000-c922-4aac    FABRIC     FABRIC
[ 1] pgb0.0.0.4.0         2000-0000-c924-4b7b    FABRIC     FABRIC
[9999] All of the above.
 

注意

コンソールは wwid マネージャ・モードのままとなり,システムが再初期化されるまでブートできません。wwid マネージャを使う必要がなくなったら,init コマンドまたはシステム・リセットにより,システムを再初期化します。

システムをブートしようとして,次のエラー・メッセージを受け取った場合は,コンソールを初期化して,いったん WWID マネージャ・モードを終了した後リブートしてください。

P00>>> boot
warning -- main memory zone is not free
P00>>> init
       
.
.
.
P00>>> boot  

オペレーティング・システムをシャットダウンして,wwidmgr ユーティリティを使おうとしたときに拒否されることがあります。次のエラー・メッセージを受け取った場合は,システムを初期化してから再度 wwidmgr コマンドを実行してください。

P00>>> wwidmgr -show adapter
wwidmgr available only prior to booting.
Reinit system and try again.
P00>>> init
       
.
.
.
P00>>> wwidmgr -show adapter
.
.
.

wwidmgr ユーティリティの詳細は,「Alpha Systems Firmware Update CD-ROM」の DOC ディレクトリにある『Wwidmgr User's Manual』を参照してください。

7.8.3.3    DS-KGPSA-CA アダプタをループで動作させるための設定

DS-KGPSA-CA アダプタをループ・モードで動作させない場合は,この項を飛ばしてもかまいません。

KGPSA-CA アダプタをループ・モードで動作させる前に,アダプタの link typeLOOP に設定してください。これは wwidmgr を使って行います。

ブートのサポートには,SRM コンソールのファームウェア・バージョン 5.8 以上が必要です。

SRM コンソールと一緒に入っている wwidmgr ユーティリティのバージョンは,KGPSA をアービトレイテッド・ループ・モードやファブリック・モードで使えるように設定することができます。特に,wwidmgr -set adapter コマンドによって,選択されたトポロジを KGPSA アダプタの不揮発性 RAM (NVRAM) に保存することができます。アダプタを別のシステムで使用しても,この設定は保持されます。

リンク・タイプ

ループ・モードの KGPSA が Fibre Channel スイッチに接続されると,その結果は予測不能になります。また,ファブリック・モードの KGPSA をループに接続した場合も,同様です。したがって,アダプタを使用する前にトポロジ設定を確認してください。

wwidmgr ユーティリティの説明は,「Alpha Systems Firmware」CD-ROM の DOC サブディレクトリに入っている『Wwidmgr User's Manual』にあります。

リンク・タイプを設定する手順を以下に要約します。詳細や追加例は『Wwidmgr User's Manual』を参照してください。

必要なコンソール・ファームウェアを使用できることを前提に,wwidmgr を使って,リンク・タイプを以下のように設定します。

  1. 構成を確認するためにシステムのアダプタを表示します。

    POO>>> wwidmgr -show adapter
     
    item       adapter           WWN                Cur. Topo   Next Topo
    kgpsaa0.0.0.4.6 - Nvram read failed.
    [ 0]    kgpsaa0.0.0.4.6    1000-0000-c920-05ab    FABRIC     UNAVAIL
    [9999] All of the above.
     
     
    

    警告メッセージの「Nvram read failed」は,KGPSA アダプタの NVRAM が,初期化およびフォーマットされていないことを示します。これは問題ではなく,アダプタの link type を設定すればこのメッセージは出ません。

  2. アダプタのリンク・タイプを以下の値に設定します。

    item 番号を使って,変更したいアダプタを示します。たとえば,アダプタ 0 (ゼロ) をループ設定する場合は,次のコマンドを使います。

    POO>>> wwidmgr -set adapter -item 0 -topo loop
     
    

    item 番号 9999 は,すべてのアダプタを示します。KGPSA アダプタをアービトレイテッド・ループとファームウェア・トポロジの両方に設定している場合,9999 を選択すると,すべてのアダプタはループ・モードに設定されます。

  3. アダプタの設定を確認します。

    POO>>> wwidmgr -show adapter
      item       adapter           WWN                Cur. Topo  Next Topo 
     [ 0]    kgpsaa0.0.0.4.6   1000-0000-c920-05ab     FABRIC     LOOP     
     
    

  4. 変更を行った後,コンソールの再初期化を行います。

    POO>>> init
    

  5. システムをブートします。emx ドライバ (バージョン 1.12 以上が必要) は,コンソールの設定を認識し,それに従ってリンクを設定すると,ブート時にメッセージを表示します。

  6. 2 ノード・クラスタ構成の場合,今までの手順を他のクラスタ・メンバにも実行します。

7.8.3.4    Fibre Channel アダプタ・ポートのワールドワイド名の取得

ワールドワイド名 (WWN) は,米国電気電子学会 (IEEE) によってサブシステムに割り当てられた一意の数字で,製造元によって出荷前に設定されています。サブシステムに割り当てられたワールドワイド名は変更できません。オペレーティング・システム上でターゲット ID のマッピングを検証する場合は,Fibre Channel 構成要素のワールドワイド名を取得して,記録してください。

Fibre Channel デバイスでは,ノード名とポート名に WWN (ワールドワイド名) が割り当てられています。どちらの WWN も 64 ビットの数字です。KGPSA モジュールのラベル名は,WWN の下 12 桁の 16 進数です。Fibre Channel に関連したコマンドには,ノードの WWN のみを表示するものがあります。

たとえば,コンソールの show config コマンド,show dev コマンド,および wwidmgr -show adapter コマンドは,Fibre Channel アダプタのノード名をワールドワイド名で表示します。 Fibre Channel アダプタのノードの WWN は,次のようにいくつかの方法で取得できます。

Enterprise Virtual Array のストレージを使っている場合は,ホスト (クラスタ・メンバ・システム) を追加する際,または追加の Fibre Channel アダプタをホストに追加する際に,ポートの WWN が必要になります。ノードのワールドワイド名 (ノードとポートの WWN が同じでない場合) を使用すると,コンソールは仮想ディスクにアクセスできなくなります。

次のように wwidmgr -show port コマンドを使って,Fibre Channel ホスト・バス・アダプタのポートのワールドワイド名を取得します。

P00>>> wwidmgr -show port
pga0.0.0.6.1 Link is down.
pgb0.0.0.4.0 Link is down.
[0] 1000-0000-c928-c26a
[1] 1000-0000-c928-c263
 

注意

wwidmgr -show port コマンドは,Fibre Channel ホスト・バス・アダプタを Fibre Channel スイッチに接続する前に使用してください。wwidmgr -show port コマンドを光ファイバ・ケーブルを取り付けた後で実行すると,コマンドが実行されたシステム上にあるものだけではなく,Fibre Cannel スイッチに接続されているすべての Fibre Channel ホスト・バス・アダプタが表示されます。

Fibre Channel アダプタのワールドワイド名は,今後の使用に備えて記録しておいてください。

7.9    Tru64 UNIX および TruCluster Server ソフトウェアのインストール用ストレージの準備

この節では,Tru64 UNIX バージョン 5.1B および TruCluster Server バージョン 5.1B の環境で動作させるストレージのセットアップ手順のうち最初の部分について説明します。

この節では次のトピックについて説明します。

残りの手順は,HSG80 と Enterprise Virtual Array で共通です。これらの手順については 7.10 節で説明しています。

7.9.1    Tru64 UNIX および TruCluster Server ソフトウェアのインストール用の HSG80 の準備

この項では,HSG80 コントローラを Tru64 UNIX バージョン 5.1B および TruCluster Server バージョン 5.1B の環境で動作させるためのセットアップ方法を説明します。ここではディスクのセットアップについては説明していません。Tru64 UNIX および TruCluster Server をインストールするためのディスクのセットアップについては,7.9.1.3 項で説明しています。

ここで説明する手順は,ファブリック構成とアービトレイテッド・ループ構成の両方に適用できます。ただし,アービトレイテッド・ループでは,ポート・トポロジと AL_PA 値について,特別の設定が必要です。アービトレイテッド・ループの設定を行う場合には,ポート・トポロジ設定の違いに注意して,以下の手順を実行してください。その後,7.9.1.1 項で追加情報を参照してください。

HSG80 のインストールの詳細は,『Compaq StorageWorks HSG80 Array Controller ACS Version 8.6 Maintenance and Service Guide』を参照してください。HSG80 コマンド行インタプリタ (CLI) コマンドの詳しい説明は,『Compaq StorageWorks HSG80 Array Controller ACS Version 8.6 CLI Reference Guide』または『Compaq StorageWorks HSG80 ACS Solution Software Version 8.6 for Compaq Tru64 UNIX』を参照してください。

HSG80 RAID アレイ・コントローラが Tru64 UNIX および TruCluster Server で動作するようにセットアップするには,次の手順に従います。

  1. HSG80 コントローラをまだ取り付けていない場合は,RA8000 または ESA12000 ストレージ・アレイに取り付けるか,または Model 2200 コントローラの筐体に取り付けます。

  2. 外部キャッシュ・バッテリ (ECB) を使用する場合は,それがコントローラ・キャッシュ・モジュールに接続されていることを確認します。

  3. まだ取り付けていない場合は,KGPSA とスイッチ (またはハブ) 間,およびスイッチ (またはハブ) と HSG80 間を光ファイバ・ケーブルで接続します。

  4. 該当する場合は,電源確認およびアドレッシング (PVA) ID を設定します。HSG80 コントローラを取り付けた筐体には PVA ID に 0 を割り当てます。拡張筐体を使用している場合は,PVA ID に 2 および 3 を設定します。

    注意

    PVA ID 1 は使用しないでください。

    PTL (Port-Target-LUN) アドレス指定では,PVA ID を使用して,ポート 1 〜 6 上にあるデバイスのターゲット ID を決定します (LUN は常に 0)。有効なターゲット ID は 0 〜 15 ですが,4 〜 7 は除きます。ターゲット ID 6 と 7 はコントローラ・ペアのために予約され,4 と 5 は使用されていません。

    PVA ID が 0 の筐体に収容されているデバイスには,ターゲット ID として 0 〜 3 が割り当てられます。同様に,PVA ID が 2 の筐体のデバイスにはターゲット ID 8 〜 11,PVA ID が 3 の筐体のデバイスにはターゲット ID 12 〜 15 が割り当てられます。筐体の PVA ID に 1 を設定すると,ターゲット ID が 4 〜 7 になり,コントローラのターゲット ID と重複します。

  5. プログラム・カード ESD のカバーを取り外し,コントローラのプログラム・カードを挿入します。ESD のカバーを元に戻します。

  6. ストレージ・シェルフにディスクを取り付けます。

  7. ストレージ筐体とディスク筐体を電源に接続して,電源を投入します。

    注意

    HSG80 で,KGPSA Fibre Channel ホスト・バス・アダプタに接続するには,次の要件を満たしている必要があります。

    • KGPSA が Fibre Channel スイッチにケーブルで接続されていること。

    • クラスタ・メンバ・システムは電源が投入され,初期化されて,コンソールにプロンプトが出力されていること。

    • HSG80 が Fibre Channel スイッチにケーブルで接続されていること。

    • Fibre Channel スイッチは電源が投入され,準備ができていること。

  8. 注文番号 17-04074-04 のケーブルで,上段のコントローラ A の保守ポートに,端末またはラップトップ・コンピュータを接続します。初めてコントローラを構成する場合は,ローカル接続が必要です。保守ポートは次の省略時の条件でシリアル通信をサポートします。

    注意

    CLI コマンドを入力するときは,コマンドが区別できればコマンド名を最後まで入力する必要はありません。

    this_controller および other_controller の CLI パラメータは,このマニュアルでは this および other と省略形で表記しています。

  9. 外部キャッシュ・バッテリの代わりに無停電電源装置 (UPS) を使用する場合は,電源投入後にコントローラがキャッシュ・バッテリの定期的なチェックを行わないように,次のコマンドを入力します。

    HSG80> set this CACHE_UPS
     
    

    注意

    一方のコントローラに対してコントローラ変数 CACHE_UPS を設定すると,他方のコントローラにも変数が設定されます。

  10. HSG80 のセットアップを進める前に,次の HSG80 CLI コマンドを実行して,HSG80 コントローラが既定の状態にあることを確認しておきます。

    HSG80> set this nomirrored_cache
                
    .
    .
    .
    HSG80>  

    nomirrored_cache スイッチが指定されると,コントローラは自動的に再起動します。ターミナルまたはラップトップ・コンピュータに表示される画面に対して,注意を払う必要はありません。HSG80 プロンプトが再び表示されるまで,1,2 分待ちます。

    HSG80> set nofailover
                
    .
    .
    .
    HSG80> configuration reset
    .
    .
    .

  11. 両方の HSG80 コントローラ上にあるリセット・ボタンを押して,HSG80 プロンプトが再表示されるまで待ちます。これには数分かかります。ハードウェアがリセットされた後で,HSG80 はコントローラの構成が正しく行われなかった旨のメッセージを表示する場合がありますが,このメッセージは無視します。

    注意

    コントローラが以前のデータを持っている場合には,「コントローラのキャッシュ状態が無効である」や,「特定のコマンドが入力できない」などのエラーがこの処理中に表示されることがあります。これを解決するには,次のコマンドを入力します。

    HSG80> clear_errors this invalid_cache destroy_unflushed_data
     
    

    フェイルオーバ・モードはまだ設定されていないので,このコマンドは他のコントローラには実行しないでください。

  12. HSG80 のワールドワイド名を取得します。これは通常 WWN といっているもので,コントローラ筐体上段のラベルにある WWID (nnnn-nnnn-nnnn-nnnn) とチェックサム (xx) です。

    HSG80 には製造段階でノードのワールドワイド名 (ノード ID) が割り当てられます。装置のノードのワールドワイド名 (およびチェックサム) は,コントローラ上部に貼り付けられたステッカーに記載されています。ワールドワイド名の一例は,5000-1FE1-0000-0D60 です。

    次のように WWN を設定します。

    HSG80> set this node_id = nnnn-nnnn-nnnn-nnnn xx
    Warning 4000: A restart of this controller is required before all the
                  parameters modified will take effect
           
    .
    .
    .

    コントローラのノード ID (WWN) を設定します。コントローラの再起動が必要となります。この操作手順の後半でコントローラを再起動させます。WWN (nnnn-nnnn-nnnn-nnnn) は 16 進表記で,大文字/小文字は区別されませんが,チェックサム (xx) は大文字/小文字が区別されます。

  13. Tru64 UNIX および TruCluster Server 上で HSG80 が正しく動作するように,コントローラに次の値を設定します。

    HSG80> set multibus copy = this  [1]
           
    .
    .
    .
    HSG80> clear cli [2]
    .
    .
    .
    HSG80> set this port_1_topology = fabric [3] HSG80> set this port_2_topology = fabric [3] HSG80> set other port_1_topology = fabric [3] HSG80> set other port_2_topology = fabric [3] HSG80> set this scsi_version = scsi-3 [4] Warning 4030: Any units that would appear as unit 0 to a host will not be available when in SCSI-3 mode Warning 4020: A restart of both this and the other controller is required before all the parameters modified will take effect HSG80> set this mirrored_cache [5]
    .
    .
    .
    HSG80> set this time=dd-mmm-yyyy:hh:mm:ss" [6] HSG80-1A>  

    1. コントローラ・ペアを多重バス・フェイルオーバ・モードに設定します。このコマンドは完了するのに 2 分ほどかかる場合があります。

      コマンドを実行して多重バス・フェイルオーバ・モードに設定し,他方のコントローラに構成情報をコピーすると,他方のコントローラを再起動できます。コントローラ上のコントローラ・リセット・ボタンを押せば,再起動時の警告音をオフにできます。CLI にはイベント・レポートが表示されます。この表示は clear cli コマンドで画面をクリアするまで続きます。 [例に戻る]

    2. イベント・レポートの表示を停止します。 [例に戻る]

    3. ホスト・ポートのスイッチ・トポロジをファブリックに設定します。 [例に戻る]

    4. 両方のコントローラでホスト・プロトコルが SCSI-3 となるよう指定します。

      SCSI_VERSION が SCSI-3 に設定されていると,コマンド・コンソール LUN (CCL) はすべての接続オフセットに対して LUN 0 になります。どの接続オフセットでもユニット 0 を割り当てないでください。そのユニットは CCL によって LUN 0 でマスクされ,使用できなくなるためです。

      SCSI_VERSION を SCSI-3 に設定するほうが便利です。CCL が固定されていると,(SCSI-2 のように) 変化する CCL より,固定されている CCL の方が管理が非常に簡単だからです。

      両方のコントローラを再起動する必要があります。次の手順で,set this mirrored_cache コマンドにより両方のコントローラを再起動します。したがって,ここでは再起動する必要はありません。 [例に戻る]

    5. コントローラ・ペアに対し,ミラー化キャッシュをセットアップします。このコマンドが実行されると,両方のコントローラが再起動します。このコマンドは完了するのに数分かかる場合があります。その後でコントローラが再起動します。HSG80 のプロンプトが再度表示されるまでお待ちください。 [例に戻る]

    6. 3 文字の mmm 要素は「月」の省略形です。hh 要素は時刻を 24 時制で表示するのに使います。日時の要素はすべて入力する必要があります。

      デュアル冗長構成の場合,このコマンドで両方のコントローラの時刻が設定されます。この値は即座に有効になります。日時は,バッテリの放電タイマの期限を設定する前に設定しなければなりません。 [例に戻る]

  14. 無停電電源装置 (UPS) を使用していない場合は,frutil ユーティリティを使ってバッテリの放電タイマを設定します。このユーティリティは両方のコントローラで実行する必要があります。

    このユーティリティは,外部キャッシュ・バッテリ (ECB) の交換手順を表示しますが,無視してください。キャッシュ・バッテリを交換するつもりかどうか尋ねられたら,Y と答えます。ユーティリティが指示を表示したら,Return キーを押します。

    HSG80-1A> run frutil 
     
    Field Replacement Utility - version V86F
    Do you intend to replace this controller's
    cache battery? Y/N [N] Y
    Completing outstanding battery work.  Please wait.
                        Slot Designations
                         (front view)
     
            +---+---+---+---+---+---+---+---+---+
            | E | E | F | F | F | E | E | O | E |
            | C | C | a | a | a | C | C | C | M |
            | B | B | n | n | n | B | B | P | U |
            |   |   |   |   |   |   |   |   |   |
            | B | B |   |   |   | A | A |   |   |
            +---+---+---+---+---+---+---+---+---+
     
    If the batteries were replaced while the cabinet was powered down,
    press Return.
    Otherwise, follow this procedure:
     
    WARNING:  Ensure that at least one battery is installed at all times 
              during this procedure.
     
    1. Insert the new battery in the unused slot next to the old battery.
    2. Remove the old battery. 
    3. Press Return.
     
    [Return]
     
    Updating this battery's expiration date and deep discharge history.
     
    Field Replacement Utility terminated.
     
    %CER--HSG80> --01-NOV-2001 13:41:57-- Cache battery is
    sufficiently charged
     
    

  15. 端末またはラップトップ・コンピュータの接続をコントローラ B に移動します。ステップ 14 を繰り返して,バッテリ放電タイマーの設定をコントローラ B に対して行います。

  16. 端末またはラップトップ・コンピュータの接続をコントローラ A に戻します。

  17. 保守端末から show this コマンドと show other コマンドを実行し,コントローラのソフトウェア・バージョンが ACS 8.6 以降であることを確認します。例 7-3 の "Software V86F-3" のように表示されます。コントローラのソフトウェアのアップグレード方法は,必要に応じて『Compaq StorageWorks HSG80 Array Controller ACS Version 8.6 Maintenance and Service Guide』を参照してください。

    例 7-3:  コントローラ・アレイのコントローラ・ソフトウェア・バージョンの確認

    HSG80-1A> show other
    Controller:
            HSG80 ZG13500977 Software V86F-3, Hardware  E16
            NODE_ID          = 5000-1FE1-0014-4C60
            ALLOCATION_CLASS = 0
            SCSI_VERSION     = SCSI-3
            Configured for MULTIBUS_FAILOVER with ZG13401647
                In dual-redundant configuration
        
    .
    .
    .

  18. 例 7-4 のように show connection コマンドを実行して,KGPSA Fibre Channel ホスト・バス・アダプタとの接続に使用される HSG80 接続名を確認します。デュアル冗長 HSG80 を装着した 2 メンバ NSPOF (no-single-point-of-failure) 構成を多重バス・フェイルオーバ・モードで使用する場合は,クラスタ内の KGPSA ごとに 2 つの接続経路があります。各 KGPSA は,Fibre Channel スイッチ経由で各コントローラの 1 つのポートに接続されます。

    例 7-4 では,! (感嘆符) は接続名の一部であることに注意してください。 HOST_ID は KGPSA ホスト名のワールドワイド名です。 ADAPTER_ID はポート名のワールドワイド名です。 ADAPTER_ID は,最上位ビットが異なる以外は, HOST_ID とまったく同じです。

    例 7-4:  HSG80 接続名の確認

    HSG80> show connection
    Connection                                                                Unit
       Name      Operating system    Controller  Port    Address    Status   Offset
     
    !NEWCON02         WINNT             OTHER      1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C927-2CD4         ADAPTER_ID=1000-0000-C927-2CD4
     
    !NEWCON03         WINNT             OTHER      1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C928-C26A         ADAPTER_ID=1000-0000-C928-C26A
     
    !NEWCON04         WINNT             OTHER      2               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C927-2CF3         ADAPTER_ID=1000-0000-C927-2CF3
     
    !NEWCON05         WINNT             OTHER      2               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C928-C263         ADAPTER_ID=1000-0000-C928-C263
     
    !NEWCON06         WINNT             THIS       1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C927-2CD4         ADAPTER_ID=1000-0000-C927-2CD4
     
    !NEWCON07         WINNT             THIS       1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C928-C26A         ADAPTER_ID=1000-0000-C928-C26A
     
    !NEWCON08         WINNT             THIS       2               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C927-2CF3         ADAPTER_ID=1000-0000-C927-2CF3
     
    !NEWCON09         WINNT             THIS       2               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C928-C263          ADAPTER_ID=1000-0000-C928-C263
     
    

    注意

    HSG80 CLI の RENAME コマンドを使用すれば,接続名を変更できます。 新しい接続名は 9 文字に制限されます。接続名には,コンマ (,) やバックスラッシュ (\) は使用できず,HSG80 (!NEWCON02) で使われている形式の名前も使えません。たとえば,メンバ・システム pepicelli に 2 枚の KGPSA Fibre Channel ホスト・バス・アダプタが装着され,KGPSA pga のポートのワールドワイド名が 1000-0000-C927-2CD4 であると仮定します。例 7-4 から,pga の接続名は !NEWCON02 および !NEWCON06 であることがわかります。この 2 つの接続の中で,!NEWCON02 がメンバ・システム pepicellipga に対する第 1 の接続となるように !NEWCON02 の名前を変更するには,次のように入力します。

    HSG80> rename !NEWCON02 pep_pga_1
     
    

    ステップ 10 で実行した configuration reset コマンドにより,HSG80 をケーブルで接続する前にあった接続はすべて消去されています。現在,存在している接続 (Fibre Channel スイッチ経由で HSG80 に接続した Fibre Channel ホスト・バス・アダプタ) だけが表示されます。

    注意

    光ファイバ・ケーブルが正しく接続されていない場合は,矛盾した接続情報が表示されます。

    実際の接続は,例 7-4 に示される接続と異なる場合があります。

  19. クラスタへの接続ごとに,オペレーティング・システムを次のように TRU64_UNIX に設定します。

    注意

    TRU64_UNIX に設定されていなければ,システムが正常にブートされない,実行時のエラーから復旧できない,ブート不能になるなどの障害が発生します。省略時のオペレーティング・システムは Windows NT ですが,NT は HSG80 コントローラとの通信に TRU64 UNIX とは異なる SCSI の方言を使用します。例 7-4 では WINNT と表示されています。

    ご使用の構成の接続名を必ず使ってください。その接続名は,ここで使用している接続名ではない場合があります。

    HSG80-1A> set !NEWCON02 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON03 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON04 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON05 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON06 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON07 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON08 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
    HSG80-1A> set !NEWCON09 operating_system = TRU64_UNIX   [1]
     
    HSG80-1A> show connection  [2]
    Connection                                                                Unit
       Name      Operating system    Controller  Port    Address    Status   Offset
     
    !NEWCON02      TRU64_UNIX           OTHER      1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C927-2CD4         ADAPTER_ID=1000-0000-C927-2CD4
     
    !NEWCON03      TRU64_UNIX           OTHER      1               offline        0
               HOST_ID=2000-0000-C928-C26A         ADAPTER_ID=1000-0000-C928-C26A
        
    .
    .
    .

    1. Fibre Channel ポートに接続されたホスト環境が TRU64_UNIX であることを指定します。すべての接続を TRU64_UNIX に変更する必要があります。 [例に戻る]

    2. すべての接続について,オペレーティング・システムが TRU64_UNIX に設定されていることを確認します。 [例に戻る]

  20. ソフトウェアをインストールするのために,HSG80 ディスクの構成を行います (7.9.1.3 項を参照)。

7.9.1.1    HSG80 アレイ・コントローラをアービトレイテッド・ループで使うためのセットアップ

7.9.1 項では,ファブリック構成とアービトレイテッド・ループ構成に共通な設定を説明しています。この項では,HSG80 コントローラをアービトレイテッド・ループ・トポロジで使う固有のセットアップを説明します。

HSG80 をアービトレイテッド・ループ・トポロジで使うための詳細は,『Compaq StorageWorks HSG80 Array Controller ACS Version 8.5 Configuration Guide』を参照してください。

TruCluster をアービトレイテッド・ループで動作させるために HSG80 をセットアップする場合は,7.9.1 項の手順 1 〜 12 に従ってください。その後,手順 11 で保守端末を使って,コントローラの値を以下のように設定します。

  1. PORT_x_TOPOLOGY の値を LOOP_HARD に設定します。下記に例を示します。

    HSG80> set multibus copy = this                       
    HSG80> clear cli                           
    HSG80> set this port_1_topology = offline  
    HSG80> set this port_2_topology = offline  
    HSG80> set other port_1_topology = offline 
    HSG80> set other port_2_topology = offline 
    HSG80> set this port_1_topology = LOOP_HARD   
    HSG80> set this port_2_topology = LOOP_HARD   
    HSG80> set other port_1_topology = LOOP_HARD  
    HSG80> set other port_2_topology = LOOP_HARD  
     
    

    PORT_x_TOPOLOGYLOOP_HARD という値によって,アービトレイテッド・ループ操作が可能になります。HSG80 コントローラは LOOP_SOFT というトポロジ設定もできますが,これは Tru64 UNIX ではサポートされていません。

  2. PORT_x_AL_PA に一意の値を設定します。PORT_x_AL_PA は,HSG80 ホスト・ポートの 16 進アービトレイテッド・ループ物理アドレス (AL_PA) を指定します。

    これが好ましいアドレスですが,HSG80 コントローラは,ループ初期化中に取得する任意の AL_PA を使用できます。ただし,指定するアドレスは有効で,他のポートで使われていないことが条件です。コントローラが指定のアドレスを取得できない場合 (たとえば,2 つのポートに同一アドレスが指定されている場合),そのコントローラはループに加わりません。

    特に,PORT_x_AL_PA を指定しなかった場合は,複数のポートが省略時のアドレスを使おうとするので,衝突の原因になります。

    有効な AL_PA アドレスは 0 〜 EF (16 進) の範囲ですが,この範囲であればすべて有効なわけでもありません。省略時の値は 69 (16 進) です。

    有効な AL_PA アドレスは,以下のとおりです。

               0x01, 0x02, 0x04, 0x08, 0x0F, 0x10, 0x17, 0x18, 0x1B, 0x1D,
               0x1E, 0x1F, 0x23, 0x25, 0x26, 0x27, 0x29, 0x2A, 0x2B, 0x2C,
               0x2D, 0x2E, 0x31, 0x32, 0x33, 0x34, 0x35, 0x36, 0x39, 0x3A,
               0x3C, 0x43, 0x45, 0x46, 0x47, 0x49, 0x4A, 0x4B, 0x4C, 0x4D,
               0x4E, 0x51, 0x52, 0x53, 0x54, 0x55, 0x56, 0x59, 0x5A, 0x5C,
               0x63, 0x65, 0x66, 0x67, 0x69, 0x6A, 0x6B, 0x6C, 0x6D, 0x6E,
               0x71, 0x72, 0x73, 0x74, 0x75, 0x76, 0x79, 0x7A, 0x7C, 0x80,
               0x81, 0x82, 0x84, 0x88, 0x8F, 0x90, 0x97, 0x98, 0x9B, 0x9D,
               0x9E, 0x9F, 0xA3, 0xA5, 0xA6, 0xA7, 0xA9, 0xAA, 0xAB, 0xAC,
               0xAD, 0xAE, 0xB1, 0xB2, 0xB3, 0xB4, 0xB5, 0xB6, 0xB9, 0xBA,
               0xBC, 0xC3, 0xC5, 0xC6, 0xC7, 0xC9, 0xCA, 0xCB, 0xCC, 0xCD,
               0xCE, 0xD1, 0xD2, 0xD3, 0xD4, 0xD5, 0xD6, 0xD9, 0xDA, 0xDC,
               0xE0, 0xE1, 0xE2, 0xE4, 0xE8, 0xEF
     
    

    多重バス・フェイルオーバ・モードでは,すべてのポートが同時にアクティブになれるため,各ポートは一意の AL_PA アドレスを持つ必要があります。

    透過フェイルオーバ・モードの規則では,両方のコントローラのポート 1 に同一の AL_PA アドレスを使い,両方のコントローラのポート 2 にも同一の AL_PA アドレスを使うことになっています。こうすることで,代替コントローラでスタンバイしているポートは,フェイルオーバ・イベントで同一の AL_PA アドレスを持つことができます。これらのポートは,同時にアクティブにならないので AL_PA アドレスは競合しません。ポート 1 に割り当てた AL_PA アドレスは,ポート 2 に割り当てた AL_PA アドレスと異なっていることを確認してください。これらは Fibre Channel ループでは,別のデバイスとして扱われるためです。

    多重バス・フェイルオーバ・モードの 2 台の HSG80 コントローラに PORT_x_AL_PA の値を設定する例を以下に示します。

    HSG80> set this PORT_1_AL_PA  = 01   
    HSG80> set this PORT_2_AL_PA  = 02   
    HSG80> set other PORT_1_AL_PA  = 04   
    HSG80> set other PORT_2_AL_PA  = 08   
     
    

    透過フェイルオーバ・モードの 2 台の HSG80 コントローラに PORT_x_AL_PA の値を設定する例を以下に示します。

    HSG80> set this PORT_1_AL_PA  = 01   
    HSG80> set this PORT_2_AL_PA  = 02   
    HSG80> set other PORT_1_AL_PA  = 01   
    HSG80> set other PORT_2_AL_PA  = 02   
     
    

ここまで終了したら,7.9.1 項の手順 12〜14 を実行してください。

7.9.1.2    HSG80 コントローラのワールドワイド名の取得

RA8000,ESA12000,または MA8000 ストレージ・システムには,製造時にノードのワールドワイド名が割り当てられています。ユニットのノードのワールドワイド名 (およびチェックサム) はコントローラ上部にあるラベルに記載されています。ワールドワイド名は,5000-1FE1-0000-0D60 のように末尾がゼロ (0) です。アレイ・コントローラ・ソフトウェア (ACS) の SHOW THIS_CONTROLLER コマンドを使用して参照することもできます。

HSG80 コントローラでは,コントローラのポート WWN (ワールドワイド名) は,次のようにノードのワールドワイド名から生成されます。

HSG80 コントローラの構成情報とワールドワイド名はコントローラ上の不揮発性 RAM (NVRAM) に格納されています。そのため,デュアル冗長コントローラ・ペアの一方を交換する方法は,両方のコントローラを交換する方法とは異なります。

7.9.1.3    ソフトウェアのインストールのための HSG80 ディスクの構成

この項では,Tru64 UNIX および TruCluster Server をインストールするためのストレージセットの定義方法を説明します。

ハードウェアの取り付けと構成が完了したら,Fibre Channel ディスクに Tru64 UNIX と TruCluster Server をインストールする前に,次の準備作業を行う必要があります。

HSG80 上にストレージセットとパーティションを作成するときに,各ストレージおよびパーティションのユニット番号を指定します。HSG80 コントローラで識別されたユニット番号と,AlphaServer コンソールが使用するデバイス名は同じである必要があります。つまり,AlphaServer コンソールは,ブートまたはダンプする前にデバイスが決定されていて,それらの各デバイスに有効な Fibre Channel 接続が行われている必要があります。

たとえば,HSG80 コントローラに接続されたストレージ・ユニット D1 からブートするには,AlphaServer コンソールでは,ストレージ・ユニットを識別する dga100.1001.0.1.0 のようなデバイス名が必要となります。さらに,dga100.1001.0.1.0 は有効な Fibre Channel 接続経由で到達可能でなければなりません。

この項では,次の作業の実行方法について説明します。この作業は,Tru64 UNIX オペレーティング・システムおよび TruCluster Server ソフトウェアのインストールを行う前に,完了する必要があります。Tru64 UNIX および TruCluster Server のインストールは,それを行うのに適した時点で指示されます。

  1. HSG80 ストレージセットおよびパーティションの構成 -- ストレージセットは,Fibre Channel ストレージ上で Tru64 UNIX および TruCluster Server 用に構成されます (7.9.1.3.1 項)。

  2. パーティションに対するストレージ・ユニットの作成と,各ストレージ・ユニットに対するユーザ定義識別子 (UDID) の設定-- Tru64 UNIX ではこの識別子を直接使用しませんが,後述の手順にある wwidmgr -quickset コマンドへの入力として UDID を使用します。UDID を使用すると作業が簡単になります。7.9.1.3.2 項を参照してください。

    注意

    次の 3 手順は,ハードウェアが HSG80 コントローラを使うか Enterprise Virtual Array を使うかにかかわらず,同じです。これらの手順は,Enterprise Virtual Array 用のディスク構成を説明した後で説明します。

  3. wwidmgr -quickset コマンドへの入力に UDID を使用したデバイス・ユニット番号の設定 -- デバイス・ユニット番号はデバイス名のサブセットです (show device コマンドで表示されます)。たとえば,デバイス名が dga100.1001.0.1.0 の場合,デバイス・ユニット番号は 100 (dga100) になります。Fibre Channel のワールドワイド名 (ワールドワイド ID または WWID とも呼ばれ,ノード名やポート名としても使用されます) は 64 ビットと非常に長いので,デバイス・ユニット番号として使用できません。したがって,Fibre Channel のワールドワイド名の別名となるデバイス・ユニット番号を設定します (7.10.1 項)。

  4. 使用可能な Fibre Channel ブート・デバイスの表示 -- デバイス・ユニット番号を設定する際, wwidn および Nn コンソール環境変数も設定します。これらの変数は,コンソールからどの Fibre Channel デバイスにアクセスするか,そしてどの HSG80 ポートを使ってデバイスにアクセスするかを示します。 wwidn 変数では,show dev コマンドで表示されるデバイス (ブート用またはダンプ用) も示します (7.10.2 項)。

  5. Tru64 UNIX ベース・オペレーティング・システムと TruCluster Server ソフトウェアをインストールします (7.10.3 項)。

7.9.1.3.1    HSG80 ストレージセットとパーティションの構成

ハードウェアの取り付けと構成が完了したら,次に,ソフトウェアをインストールするためのストレージセットを構成する必要があります。ベース・オペレーティング・システムとクラスタ・ソフトウェアをインストールするには,次のディスクとディスク・パーティションが必要です。

構成例では,ソフトウェアのインストールに,4 つの 36.4 GB ディスクを使用しています。信頼性を確保するために,2 つの 2 ディスク・ミラーセット (RAID レベル 1) を使用します。ミラーセットは適切なサイズのパーティションに分割します。片方のミラーセットはディスク 10000 および 30000 を使用します。もう一方のミラーセットはディスク 40000 および 60000 を使用します。

表 7-3 は,構成例で使用する HSG80 ユニット番号と /dev/disk/dskn およびデバイス名の対応関係を示しています。実際のインストールでは,付録 A に収録されている未記入の表 (表 A-1) を使用してください。

表 7-3:  HSG80 ディスク構成例

ファイル・システムまたはディスク HSG80 ユニット UDID デバイス名 dskn [脚注 28]
Tru64 UNIX ディスク D1 1001 dga1001.1001.0.3.1  
クラスタ /var D2 1002 N/A [脚注 28]  
クォーラム・ディスク D3 1003 N/A [脚注 29]  
メンバ 1 のブート・ディスク D4 1004 dga1004.1001.0.3.1  
メンバ 3 のブート・ディスク D5 1005 dga1005.1001.0.3.1 [脚注 30]  
メンバ 5 のブート・ディスク D6 1006 dga1006.1001.0.3.1 [脚注 30]  
メンバ 7 のブート・ディスク D7 1007 dga1007.1001.0.3.1 [脚注 30]  
クラスタ単位のルート (/) D8 1008 N/A [脚注 29]  
クラスタ単位の /usr D9 1009 N/A [脚注 29]  
メンバ 2 のブート・ディスク D10 1010 dga1010.1001.0.3.1 [脚注 30]  
メンバ 4 のブート・ディスク D11 1011 dga1011.1001.0.3.1 [脚注 30]  
メンバ 6 のブート・ディスク D12 1012 dga1012.1001.0.3.1 [脚注 30]  
メンバ 8 のブート・ディスク D13 1013 dga1013.1001.0.3.1  

ミラーセットの 1 つである OS1-MIR ミラーセットは,Tru64 UNIX ソフトウェア,クラスタ単位の /var ファイル・システム,クォーラム・ディスク,およびメンバ 1,3,5,7 のメンバ・システムのブート・ディスクに使用します。もう一方の OS2-MIR は,クラスタ単位のルート (/) とクラスタ単位の /usr ファイル・システム,およびメンバ 2,4,6,8 のメンバ・システムのブート・ディスクに使用します。

注意

構成例のクラスタは 2 メンバ・クラスタですが,そのクラスタに 8 メンバ・システムまで設定できます。

これらのディスクをオペレーティング・システムとクラスタのインストール用にセットアップするには,例 7-5 の手順を実行します。

例 7-5:  ミラーセットのセットアップ

HSG80> RUN CONFIG  [1]
Config Local Program Invoked
 
Config is building its tables and determining what devices exist
on the subsystem. Please be patient.
 
Cache battery is sufficiently charged
add disk DISK10000  1 0 0
add disk DISK10100  1 1 0
add disk DISK10200  1 2 0
add disk DISK20000  2 0 0
add disk DISK20100  2 1 0
add disk DISK20200  2 2 0
add disk DISK30000  3 0 0
add disk DISK30100  3 1 0
add disk DISK30200  3 2 0
add disk DISK40000  4 0 0
add disk DISK40100  4 1 0
add disk DISK40200  4 2 0
add disk DISK50000  5 0 0
add disk DISK50100  5 1 0
add disk DISK50200  5 2 0
add disk DISK60000  6 0 0
add disk DISK60100  6 1 0
add disk DISK60200  6 2 0
 
Config - Normal Termination
HSG80> locate all  [2]
HSG80> locate cancel  [3]
 
HSG80> ADD MIRRORSET OS1-MIR DISK10000 DISK30000  [4]
HSG80> ADD MIRRORSET OS2-MIR DISK40000 DISK60000  [4]
HSG80> INITIALIZE OS1-MIR  [5]
HSG80> INITIALIZE OS2-MIR  [5]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 16  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 27  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 1  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 14  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 14  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = 14   [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS1-MIR SIZE = LARGEST  [6]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = 16  [7]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = 28  [7]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = 14  [7]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = 14  [7]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = 14  [7]
HSG80> CREATE_PARTITION OS2-MIR SIZE = LARGEST  [7]
HSG80> SHOW OS1-MIR  [8]
Name          Storageset                     Uses             Used by
---------------------------------------------------------------------
 
OS1-MIR      mirrorset                       DISK10000 
                                             DISK30000        
        Switches:
          POLICY (for replacement) = BEST_PERFORMANCE
          COPY (priority) = NORMAL
          READ_SOURCE = LEAST_BUSY
          MEMBERSHIP = 2, 2 members present
        State:
          UNKNOWN -- State only available when configured as a unit
        Size:              71112778 blocks
        Partitions:
          Partition number        Size               Starting Block     Used by
          ---------------------------------------------------------------------
            1                 11377915 (   5825.49 MB)            0  [9]
            2                 19200251 (   9830.52 MB)     11377920  [10]
            3                   710907 (    363.98 MB)     30578176  [11]
            4                  9955579 (   5097.25 MB)     31289088  [12]
            5                  9955579 (   5097.25 MB)     41244672  [13]
            6                  9955579 (   5097.25 MB)     51200256  [14]
            7                  9956933 (   5097.94 MB)     61155840  [15]
 
HSG80> SHOW OS2-MIR  [16]
Name          Storageset                     Uses             Used by
------------------------------------------------------------------------------
 
OS2-MIR     mirrorset                        DISK60000        
                                             DISK40000        
        Switches:
          POLICY (for replacement) = BEST_PERFORMANCE
          COPY (priority) = NORMAL
          READ_SOURCE = LEAST_BUSY
          MEMBERSHIP = 2, 2 members present
        State:
          UNKNOWN -- State only available when configured as a unit
        Size:             71112778 blocks
        Partitions:
          Partition number        Size               Starting Block     Used by
          ---------------------------------------------------------------------
            1                 11377915 (   5825.49 MB)            0  [17]
            2                 19911419 (  10194.64 MB)     11377920  [18]
            3                  9955579 (   5097.25 MB)     31289344  [19]
            4                  9955579 (   5097.25 MB)     41244928  [20]
            5                  9955579 (   5097.25 MB)     51200512  [21]
            6                  9956677 (   5097.81 MB)     61156096  [22]
 

  1. デバイス側バス上のディスクを構成し,コントローラの構成にデバイスを追加します。config ユーティリティは終了まで 2 分以上かかる場合があります。add disk コマンドを使用して,構成にディスク・ドライブを手動で追加することも可能です。 [例に戻る]

  2. 構成したすべてのディスク上のデバイス障害 LED を 1 秒間に 1 回点滅させます。

    LED が点滅しないで点灯したままの場合は,デバイスが故障しており,交換する必要があります。 [例に戻る]

  3. locate all コマンドをキャンセルします。デバイス障害 LED が点灯したままの場合は,そのデバイスには障害があり,交換する必要があります。 [例に戻る]

  4. DISK10000 と DISK30000 を使用して OS1-MIR ミラーセットを作成し,同様にDISK40000 と DISK60000 を使用して OS2-MIR ミラーセットを作成します。 [例に戻る]

  5. OS1-MIR および OS2-MIR ミラーセットを初期化します。

    OS1-MIR ミラーセットは,メンバ 1,3,5,7 のブート・ディスクやTru64 UNIX ディスク,クラスタ単位の /var ファイル・システムおよびクォーラム・ディスクに使用します。OS2-MIR ミラーセットは,メンバ 2,4,6,8 のブート・ディスク,およびクラスタ単位のルート (/)とクラスタ単位の /usr の各ファイル・システムに使用します。 [例に戻る]

  6. ストレージセット内で各パーティションが使用する割合を指定して,OS1-MIR ミラーセットに適切なサイズのパーティションを作成します。 [例に戻る]

  7. ストレージセット内で各パーティションが使用する割合を指定して,OS2-MIR ミラーセットに適切なサイズのパーティションを作成します。 [例に戻る]

  8. OS1-MIR ミラーセットのパーティションを確認します。パーティションのサイズが希望どおりであることを確認します。最初の列がパーティション番号で,以後パーティション・サイズ,開始ブロックと続きます。 [例に戻る]

  9. Tru64 UNIX ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  10. クラスタ単位の /var ファイル・システム用パーティション。 [例に戻る]

  11. クォーラム・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  12. メンバ・システム 1 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  13. メンバ・システム 3 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  14. メンバ・システム 5 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  15. メンバ・システム 7 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  16. OS2-MIR ミラーセットのパーティションを確認します。パーティションのサイズが希望どおりであることを確認します。 [例に戻る]

  17. クラスタ単位のルート (/) 用パーティション。 [例に戻る]

  18. クラスタ単位の /usr ファイル・システム用パーティション。 [例に戻る]

  19. メンバ・システム 2 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  20. メンバ・システム 4 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  21. メンバ・システム 6 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

  22. メンバ・システム 8 のブート・ディスク用パーティション。 [例に戻る]

7.9.1.3.2    HSG80 ストレージセットへのユニットおよび識別子の追加

ストレージセットとパーティションを作成した後,各パーティションにユニット番号を割り当て,例 7-6 および 表 7-3 で示すように,固有の識別子を設定します。

注意

ストレージセットのパーティションはすべて,同一のコントローラに存在しなければなりません。ストレージセットのパーティションはすべて,ユニットでフェイルオーバするためです。

例 7-6 の手順には,次の項目が含まれます。

  1. 各ストレージ・ユニットにユニット番号を割り当て,ストレージ・ユニットへのアクセスをすべて使用不能にします。

    注意

    ユニット番号は,ストレージ・アレイ内で一意の番号でなければなりません。

  2. 各ストレージ・ユニットの識別子を設定します。

  3. ストレージ・ユニットに優先パスを設定します。

  4. ストレージ・ユニットへの選択されたアクセスを使用可能にします。

例 7-6:  HSG80 ストレージセットへのユニットと識別子の追加,およびクラスタ・メンバ・システムに対するアクセスの有効化

HSG80> ADD UNIT D1 OS1-MIR PARTITION = 1 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL  [1]
HSG80> ADD UNIT D2 OS1-MIR PARTITION = 2 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D3 OS1-MIR PARTITION = 3 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D4 OS1-MIR PARTITION = 4 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D5 OS1-MIR PARTITION = 5 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D6 OS1-MIR PARTITION = 6 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D7 OS1-MIR PARTITION = 7 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D8 OS2-MIR PARTITION = 1 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D9 OS2-MIR PARTITION = 2 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D10 OS2-MIR PARTITION = 3 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D11 OS2-MIR PARTITION = 4 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D12 OS2-MIR PARTITION = 5 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
HSG80> ADD UNIT D13 OS2-MIR PARTITION = 6 DISABLE_ACCESS_PATH=ALL
 
HSG80> SET D1 IDENTIFIER = 1001  [2]
HSG80> SET D2 IDENTIFIER = 1002
HSG80> SET D3 IDENTIFIER = 1003
HSG80> SET D4 IDENTIFIER = 1004
HSG80> SET D5 IDENTIFIER = 1005
HSG80> SET D6 IDENTIFIER = 1006
HSG80> SET D7 IDENTIFIER = 1007
HSG80> SET D8 IDENTIFIER = 1008
HSG80> SET D9 IDENTIFIER = 1009
HSG80> SET D10 IDENTIFIER = 1010
HSG80> SET D11 IDENTIFIER = 1011
HSG80> SET D12 IDENTIFIER = 1012
HSG80> SET D13 IDENTIFIER = 1013
HSG80> SET D1 PREFERRED_PATH = THIS  [3]
HSG80> SET D8 PREFERRED_PATH = OTHER [3]
HSG80> RESTART OTHER  [4]
HSG80> RESTART THIS  [4]
HSG80> set D1 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON02,!NEWCON03,!NEWCON04,!NEWCON05  [5]
HSG80> set D1 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON06,!NEWCON07,!NEWCON08,!NEWCON09
HSG80> set D2 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON02,!NEWCON03,!NEWCON04,!NEWCON05
HSG80> set D2 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON06,!NEWCON07,!NEWCON08,!NEWCON09
     
.
.
.
HSG80> set D13 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON02,!NEWCON03,!NEWCON04,!NEWCON05 HSG80> set D13 ENABLE_ACCESS_PATH = !NEWCON06,!NEWCON07,!NEWCON08,!NEWCON09   HSG80> show D1 [6] LUN Uses Used by ------------------------------------------------------------------------------   D1 OS1-MIR (partition) LUN ID: 6000-1FE1-0014-4C60-0009-1350-0977-0008 IDENTIFIER = 1 Switches: RUN NOWRITE_PROTECT READ_CACHE READAHEAD_CACHE WRITEBACK_CACHE MAX_READ_CACHED_TRANSFER_SIZE = 32 MAX_WRITE_CACHED_TRANSFER_SIZE = 32 Access: !NEWCON02,!NEWCON03,!NEWCON04,!NEWCON05 !NEWCON06,!NEWCON07,!NEWCON08,!NEWCON09 State: ONLINE to the other controller PREFERRED_PATH = THIS Size: 10667188 blocks Geometry (C/H/S): ( 2100 / 20 / 254 )
.
.
.
HSG80> show D8 [6] LUN Uses Used by ------------------------------------------------------------------------------   D8 OS2-MIR (partition) LUN ID: 6000-1FE1-0014-4C60-0009-1350-0977-000E IDENTIFIER = 8 Switches: RUN NOWRITE_PROTECT READ_CACHE READAHEAD_CACHE WRITEBACK_CACHE MAX_READ_CACHED_TRANSFER_SIZE = 32 MAX_WRITE_CACHED_TRANSFER_SIZE = 32 Access: !NEWCON02,!NEWCON03,!NEWCON04,!NEWCON05 !NEWCON06,!NEWCON07,!NEWCON08,!NEWCON09   State: ONLINE to the other controller PREFERRED_PATH = OTHER Size: 10667188 blocks Geometry (C/H/S): ( 2100 / 20 / 254 )      

  1. 各パーティションにユニット番号を割り当てます。ADD UNIT コマンドでユニットを作成するときには,すべてのホストからのアクセスが禁止されます。これによって,他のシステムやクラスタが作業中のクラスタと同じスイッチに接続されている場合には,選択的アクセスが可能です。 [例に戻る]

  2. 各ストレージ・ユニットに識別子を設定します。識別子には 1 〜 9999 までの任意の番号が使用可能です。

    ストレージ名は,識別子としてユニットのユニット番号を使用するなど,できるだけ一貫した簡単なものにしてください。たとえば,ユニット番号が D3 であれば,識別子に 3 を使用します。ただし,識別子は固有である必要があります。複数の RAID ストレージ・アレイがある場合は,識別子はすべてのストレージ・アレイにわたって固有でなければなりません。したがって,この場合,2 番目または 3 番目のストレージ・アレイ上で,ユニット番号 D3 に識別子 3 を使うことはできません。ただし,3 を含む識別子を使うことはできます。たとえば,2 番目のストレージ・アレイに 2003 使い,3 番目のストレージ・アレイには 3003 を使うということが可能です。

    選択した識別子は,wwidmgr -show wwid コマンドの実行時に,使用中の ID (UDID) として表示されます。また,WWID マネージャもデバイス・ユニット番号を設定する際に UDID を使用します。この識別子は,Tru64 UNIX インストール・ディスクを選択するために Tru64 UNIX インストール時にも表示されます。

    また,ハードウェア・マネージャによるデバイス表示コマンド (hwmgr -view devices) で /dev/disk/dskn の値を検索する場合にもこの識別子を使用します。

    注意

    すべての Fibre Channel ストレージセットに対して識別子を設定することをお勧めします。識別子は,ストレージセットを特定するための確実な方法です。識別子の番号は,ドメイン内 (すべてのストレージ・アレイにわたって) で一意にする必要があります。2 つ以上の HSG80 で同じ識別子を使用しないでください。

    [例に戻る]

  3. ユニット D1-D7 の優先パスをこのコントローラ (コントローラ A) に設定し,ユニット D8-D13 の優先パスをもう一方のコントローラ(コントローラ B) に設定します。

    コンテナのパーティションはすべて,同一のコントローラを経由するアドレスにしなければなりません。あるパーティションに優先パスを設定する場合,そのコンテナ上のすべてのパーティションは同じパスを継承します。 [例に戻る]

  4. 優先パスを有効にするため,コントローラを両方とも再起動します。まず,一方のコントローラを再起動しなければなりません。 [例に戻る]

  5. アクセスが必要なホストから各ユニットにアクセスできるようにします。初期設定ではすべてのホストからのアクセスが禁止されているので,ホストからそのユニットへのアクセスを可能にします。接続名を忘れてしまった場合は,例 7-4 に示すように HSG80 show connection コマンドを使用して,KGPSA ホスト・バス・アダプタとの接続に対する HSG80 の接続名を調べます。 [例に戻る]

  6. SHOW unit コマンド (unit は D1 〜 D13) を使用して,識別子の確認,各ユニットへすべてのシステムがアクセスできること,コントローラ A がユニット D1 〜 D7 を優先すること,およびコントローラ B がユニット D8 〜 D14 を優先することを確認します。 [例に戻る]

7.9.2    Tru64 UNIX および TruCluster Server インストールのための Enterprise Virtual Array の準備

Tru64 UNIX および TruCluster Server のインストールのために Enterprise Virtual Array 仮想ディスクを使用する場合は,この項をお読みください。

この項では,次のトピックについて説明します。

7.9.2.1    VCS ライセンス・キーの取得

HSV Element Manager が,両方の HSV110 コントローラで稼働する HSV110 VCS ソフトウェアにアクセスできるようにするには,VCS ライセンス・キーが必要です。 ライセンス・キーは HSV Element Manager に入力します。

VCS ライセンス・キーには,必須の基本ライセンス・キーと,オプションのスナップショット・ライセンス (スナップショット容量に基づく) の 2 種類があります。ライセンス・キーは購入された VCS ソフトウェアに基づきます。VCS の注文番号は,『Enterprise Virtual Array QuickSpecs』を参照してください。

VCS ライセンス・キーを取得するには,次の手順を実行します。

  1. Enterprise Virtual Array ストレージ・システムに同梱されているワールドワイド名 (WWN) のラベル・シートを取り出します。それには剥がせるようになった 3 枚の WWN のラベル (その内の 1 枚か 2 枚はストレージ・システムに添付されていることがあります) が含まれています。

  2. Compaq SANworks VCS キットおよびオプションの Compaq SANworks Snapshot for VCS から,各 Compaq SANworks VCS License Key Retrieval Instruction Sheet を取り出します。

    それらには認証 ID と,ライセンス・キー履行 Web サイトからライセンス・キーを取得するための説明が記載されています。

  3. その説明に従い,WWN と認証 ID を使ってライセンス・キーを取得します。

    注意

    Web にアクセスできない場合は,e メールまたはファックスにより手動でライセンス・キーを取得してください。手動での処理には 48 時間ほどかかります。

  4. ライセンス・キーを受け取ったら,後で使用するために保管しておきます。ライセンス・キーは HSV Element Manager に入力する必要があります。

    ライセンス・キーについての詳細は,『Enterprise Virtual Array Read Me First』および『Enterprise Virtual Array Initial Setup User Guide』を参照してください。

7.9.2.2    ストレージ・システムへのアクセスと初期化

この項では,Enterprise Virtual Array ストレージ・システムにアクセスして,ストレージ・システムを初期化するために,HSV Element Manager を準備する作業について説明します。

ストレージ・システムを構成する前に,ストレージ・システムを初期化するための次の作業を行います。

7.9.2.2.1    HSV Element Manager へのアクセス

HSV Element Manager へアクセスするには,次の手順を実行します。

  1. サポートしているブラウザを使って,SANworks Management Appliance Open SAN Manager (OSM) にアクセスします。ここには,ストレージを構成するのに使用する HSV Element Manager がインストールされています。

    http://SWMAhostID:2301 の URL を使います。ここで hostID は,SANworks Management Appliance シリアル番号の最後の 6 文字です。

    1. OSM ログインを開始するために,Compaq SANworks Management Appliance の開いたページで MB1 をクリックします。

    2. 名前とパスワードとして administrator を入力し,続いて [OK] を選択します。

      注意

      そのページの最後の行 ([パスワード] ペインの右側) で changed を選択すると,省略時のアドミニストレータのアカウント名とパスワードを変更できます。

    3. 図 7-14 に示す OSM ユーザ・インタフェースの左のナビゲーション・ペインで,リソース・ツリーがある場所へ移ります。[Resource Managers] を選択し,さらに [HSV Element Manager] を選択します。

      図 7-14:  [Open SAN Manager] ナビイゲーション・ペイン

    4. HSV Storage System Summary Page の [Launch] ボタンを選択して,図 7-15 のように HSV Element Manager を起動します。

図 7-15:  HSV Element Manager の起動

7.9.2.2.2    ストレージ・システムへのアクセスの確立

HSV110 コントローラにパスワードを設定する場合は,ストレージ・システムへのアクセスを確立しなければなりません。ストレージ・システムのパスワードを追加した管理エージェントだけがストレージ・システムにアクセスできます。

ストレージ・システムのパスワードが設定されている場合は,この管理エージェントを,Enterprise Virtual Array をコントロールできる管理エージェントに追加する必要があります。パスワードを設定するには,次の手順に従います。

  1. [HSV Element Manger] セッション・ペインでオプションを選択します。

  2. 図 7-16 に示すように,[HSV Management Agent Options] ペインで [Storage system access] の [Set] を選択します。

図 7-16:  オプションの選択ウィンドウ

  1. [Add] (ストレージの追加) を選択します。

  2. HSV110 ワールドワイド名をリストから選択するか,手動で HSV110 WWN を入力します。

  3. HSV110 に設定されたパスワードを入力します。

  4. [Add] を選択します。

詳細は,『Management Appliance Element Manager for Enterprise Only User Guide』を参照してください。

7.9.2.2.3    ライセンス・キーの入力

HSV Element Manager が Enterprise Virtual Array ストレージ・システムにアクセスできるようにするには,ライセンス・キーを入力しなければなりません。

ライセンス・キーを入力するには,次の手順に従います。

  1. [HSV Element Manager] セッション・ペインで [Options] を選択します。

  2. [HSV Management Agent Options] ペインで,[Licensing Options] の [Set] を選択します (図 7-16 を参照)。

  3. [Enter Lic Line] を選択します。

  4. ライセンス・キーをテキスト・ボックスに入力します。

  5. [Add a license] を選択します。

ライセンス・キーの入力に関する詳細は,『Management Appliance Element Manager for Enterprise Only User Guide』を参照してください。

7.9.2.2.4    ストレージ・システムの初期化

ストレージ・システムの初期化は,HSV110 コントローラを動作ペアとしてバインドするために必要です。初期化により,最初のディスク・グループ (default disk group) がセットアップされ,そのディスク・アレイの仮データ構造が確立されます。

ディスク・グループは,仮想ディスクが作成される一組のまたはプールされた物理ディスク・ドライブです。

ライセンス・キーを入力していない場合には,ストレージ・システムを初期化しようとするときに,入力するよう要求されます。

Enterprise Virtual Array ストレージ・システムを初期化するには,次の手順に従います。

  1. [Uninitialized Storage Systems] アイコンをナビゲーション・ペインで選択します。

  2. [Initialize] を選択します。

  3. 確認のポップアップ・ウィンドウで [OK] を選択します。

  4. Enterprise Virtual Array ストレージ・システムの名前を入力します。

  5. 省略時ディスク・グループのディスク数を指定します。

    警告

    省略時ディスク・グループとして少なくとも 8 ディスクを選択しなければなりません。

    「Initializing a Storage System (ストレージ・システムの初期化)」に関する HSV Element Manager のヘルプには,省略時のディスク・グループが持つ最少のディスク数を 4 と記載されていますが,これは正しくありません。また,「Initializing an HSV Storage System (HSV ストレージ・システムの初期化)」ポップアップ・ウィンドウも,ディスク数を 4 〜 20 の間から選択するよう指示しますが,これも正しくありません。

  6. [Finish] を選択します。

詳細は,『Management Appliance Element Manager for Enterprise Only User Guide』を参照してください。

7.9.2.3    ソフトウェアのインストール用仮想ディスクの構成

この項では,Tru64 UNIX および TruCluster Server ソフトウェアのインストール用仮想ディスクのセットアップに必要な手順を説明します。

グラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) またはスクリプト・ユーティリティ (Enterprise Virtual Array 用スクリプト・ユーティリティ V1.0) を使って,仮想ディスクを作成することができます。これは 7.12 節で説明しています。

GUI を使うと,仮想ディスクの構成は種々の方法で行うことができます。1 つの方法として,仮想ディスクを作成し,ホスト (クラスタ・メンバ・システム) を追加したのち,仮想ディスクをホストが使用できるようにするために変更する,という異なる 3 つの操作を連続して行うことができます。また別の方法としては,仮想ディスクを作成する前にホストを追加して,仮想ディスクを作成する際に仮想ディスクをホストが使用できるようにすることもできます。2 番目の方法は操作手順が少なくて済むので,ここでは,この方法を説明します。

仮想ディスクの構成例を表 7-4 に示します。表 7-4 に示される OS ユニット ID は,表 7-3 に示す HSG80 ディスク構成用の UDID に対応します。

8 クラスタ・メンバ・システム用の未記入の表を,付録 A に示します。

表 7-4:  Enterprise Virtual Array ディスク構成例

ファイル・システム 仮想ディスク名 [脚注 31] サイズ OS ユニット ID (UDID) デバイス名 dskn
Tru64 UNIX ディスク tru64-unix 2 GB 1001    
クラスタ単位の /var clu-var 24 GB [脚注 32] 1002    
クォーラム・ディスク clu-quorum 1 GB [脚注 33] 1003    
メンバ・システム 1 ブート・ディスク member1-boot 3 GB 1004    
メンバ・システム 3 ブート・ディスク member3-boot 3 GB 1005    
メンバ・システム 5 ブート・ディスク member5-boot 3 GB 1006    
メンバ・システム 7 ブート・ディスク member7-boot 3 GB 1007    
クラスタ単位のルート (/) clu-root 2 GB 1008    
クラスタ単位の /usr clu-usr 8 GB 1009    
メンバ・システム 2 ブート・ディスク member2-boot 3 GB 1010    
メンバ・システム 4 ブート・ディスク member4-boot 3 GB 1011    
メンバ・システム 6 ブート・ディスク member6-boot 3 GB 1012    
メンバ・システム 8 ブート・ディスク member8-boot 3 GB 1013    

HSV Element Manager を使って,Tru64 UNIX および TruCluster Server のインストール用に仮想ディスクをセットアップすることができます。使用するディスク名,サイズ,および OS ユニット ID は表 7-4 に示すようになります。

HSV Element Manager にアクセスしてから,ホストを追加し,省略時のディスク・グループに割り当てられたディスクを使用して仮想ディスクを作成します。仮想ディスク・フォルダ内にオペレーティング・システムとクラスタ仮想ディスクを格納するフォルダが 1 つ作成され,その他に作成される仮想ディスクとは分離されます。

7.9.2.4    グラフィカル・ユーザ・インタフェースによるホスト (メンバ・システム) の追加

仮想ディスクをホスト (メンバ・システム) から使用できるようにする前に,Fibre Channel アダプタからストレージ・システムへのパスを作成しなければなりません。ホストを追加するには,次の手順に従います。

  1. サポートされる Web ブラウザを使って,7.9.2.2.1 項で説明されているように HSV Element Manager にアクセスします。

  2. ナビゲーション・ペインで Enterprise Virtual Array の名前を選択します。

  3. 図 7-17 に示すように,ナビゲーション・ペインで [Hosts] フォルダを選択します。

    図 7-17:  ホスト・フォルダの選択

  4. 図 7-18 に示すように,[Host Folder Properties] ペインで [Add Host...] を選択します。

図 7-18:  [Host Folder Properties] ペイン

  1. 図 7-19 に示すように,[Add a Host] ペインで次の情報を入力します。

図 7-19:  ホスト情報の追加

  1. [Next Step] を選択します。

  2. 図 7-20 に示すように,[Add a Host] ペインのページ 2 で Fibre Channel アダプタの 1 つのポートのワールドワイド名を入力します。

    注意

    wwidmgr -show port コマンドを実行して取得されるポートのワールドワイド名 (WWN) を使用します。wwidmgr -show adapter コマンドまたはコンソール show dev コマンドを実行して取得されるホストの WWN は,それらがポートの WWN と同じでない限り,使用しないでください。

    オペレーティング・システムとして Tru64 UNIX を選択して,[Next Step] を選択します。

図 7-20:  ホスト追加のページ 2

  1. このホストに関連するコメントを追加します。次に [Finish] を選択して,ホストを追加します (図 7-21 を参照)。

図 7-21:  ホスト追加のページ 3

  1. 操作が完了したら,図 7-22 の [OK] を選択します。

    図 7-22:  操作の正常終了

  2. [Host Properties] ペインの情報が正しいことを確認します (図 7-23 を参照)。

図 7-23:  [Host Properties] ペイン

  1. [Add Port...] を選択して,別の Fibre Channel アダプタを追加します。

  2. 2 番目の Fibre Channel アダプタのポート WWN を [Add a Host Port] ペインに入力し,[Finish] を選択します (図 7-24 を参照)。

図 7-24:  別の Fibre Channel アダプタのホストへの追加

  1. [OK] を選択します。

  2. [Host Properties] ウィンドウの情報が正しいことを確認します (図 7-23 を参照)。両方の Fibre Channel アダプタの WWN が選択されます。

    注意

    追加の Fibre Channel アダプタがホストにある場合は,手順 11 〜 14 を繰り返してそれらを追加します。

  3. [Save Changes] を選択して,[OK] を選択します。

  4. 手順 3 〜 15 を繰り返して,追加のホストを追加します。

クラスタ・メンバ・システム (ホスト) を Enterprise Virtual Array 構成に追加したら,次の手順として仮想ディスクのフォルダを作成し,次に仮想ディスクを作成します。

7.9.2.5    仮想ディスク・フォルダと仮想ディスクの作成

フォルダとTru64 UNIX および TruCluster Server ソフトウェアのインストール用仮想ディスクを作成するには,次の手順に従います。

  1. 図 7-25 に示すように,ナビゲーション・ペインで [Virtual Disks] を選択します。

    図 7-25:  仮想ディスクの選択

  2. 図 7-26 に示すように,[Virtual Disk Folder Properties] ペインで [Create folder...] を選択します。

図 7-26:  フォルダまたは仮想ディスクの作成のための準備

  1. [Create a folder] ウィンドウ (図 7-27) で,フォルダに名前と,コメントもあれば指定します。[Final] を選択して,フォルダを作成します。

    注意

    図 7-27 の手順 3 では,「Click the Create Folder button to create your folder.」と指示されますが,[Create Folder] ボタンは存在しません。[Finish] ボタンを選択して,フォルダを作成します。

図 7-27:  仮想ディスクのフォルダの作成

  1. 図 7-22 のように,[Operation Was Successful.] と表示されたペインで [OK] を選択して,先へ進みます。

  2. 仮想ディスクを格納するためのフォルダをナビゲーション・ペインで選択します (図 7-28 を参照)。

    図 7-28:  仮想ディスクを格納するためのフォルダを選択

  3. 図 7-29 のように,[Virtual Disk Folder Properties] ペインで [Create VD Fam...] を選択します。

図 7-29:  仮想ディスク・フォルダのプロパティ

  1. 図 7-30 のように,[Create a Virtual Disk Family] ペインで次の項目ごとに必要な情報を指定します。

図 7-30:  仮想ディスクの作成

  1. [Create a Virtual Disk Family] ペインのページ 2 (図 7-31) で,LUN 番号を入力します。

図 7-31:  [Create a Virtual Disk Family] ペインのページ 2

  1. [Finish] を選択して,仮想ディスクを作成します。

  2. 図 7-32 で [OK] を選択します。

図 7-32:  仮想ディスクの作成終了

  1. ナビゲーション・ペインで,作成した仮想ディスクに対して [ACTIVE] を選択します (図 7-33 を参照)。

    図 7-33:  アクティブな仮想ディスクの選択

  2. 図 7-34 の [Virtual Disk Active Properties] ペインで,[Present...] を選択します。

図 7-34:  仮想ディスクを別のホストで使用する準備

  1. この仮想ディスクを別のホストで使用するには,図 7-35 の [Present Vertual Disk] ペインで,そのホストを選択します。次いで [Finish] を選択します。

図 7-35:  仮想ディスクを使用する別のホストの選択

  1. [OK] を選択します。

  2. 図 7-36 の [Virtual Disk Active Properties] ペインで項目を確認します。[Presentations] セクションでは,LUN エントリにメンバ・システムが表示されます。たとえば,member1 @ 1member2 & 1 のように表示されます。

図 7-36:  仮想ディスクのプロパティの確認

  1. 手順 12 〜 15 を繰り返して,この仮想ディスクを他のホストから使えるようにします。

  2. [Save Changes] を選択して,[OK] を選択します。

  3. 手順 5 〜 17 を繰り返して,残りの仮想ディスクを追加します。

7.10    インストールの準備とソフトウェアのインストール

この項では,Tru64 UNIX および TruCluster Server ソフトウェアのインストールで,引き続き実行する手順を説明します。

7.10.1    デバイス・ユニット番号の設定

デバイス・ユニット番号は,show device コンソール・ディスプレイなどに表示されるデバイス名のサブセットです。たとえば,dga1001.1001.0.7.0 というデバイス名では,デバイス・ユニット番号は 1001 (dga1001 のように) となります。コンソールはこのデバイス・ユニット番号を使用して,ストレージ・ユニットを識別します。デバイス・ユニット番号を設定すると,デバイスのワールドワイド名 (WWN) に別名を設定できます。デバイス・ユニット番号として 64 ビットの WWN は長すぎて使用できないので,代わりに別名を使用します。

この項では,wwidmgr -quickset コマンドの使用方法について説明します。このコマンドは,Tru64 UNIX バージョン 5.1B インストール・ディスクまたはクラスタ・メンバのシステム・ブート・ディスクとして使用する Fibre Channel ディスクにデバイス・ユニット番号を設定します。

Fibre Channel デバイスのデバイス・ユニット番号を設定するには,次の手順に従います。

  1. 表 7-3 または 表 7-4 から,Tru64 UNIX バージョン 5.1B のインストール・ディスクまたはクラスタ・メンバ・ブート・ディスクとして使用する仮想ディスクの UDID (OS ユニット ID) を取得します。OS ユニット ID (Enterprise Virtual Array) は,コンソール・ソフトウェア HSG80 および WWID マネージャ (wwidmgr) のユーザ定義識別子 (UDID) と呼ばれます。

    たとえば,表 7-3表 7-4 では,Tru64 UNIX ディスクの UDID は 1001 です。クラスタ・メンバ 1 のブート・ディスクの UDID は 1004,クラスタ・メンバ 2 のブート・ディスクは 1010 です。

  2. AlphaServer コンソールから wwidmgr -clear all コマンドを使用して,Fibre Channel のコンソール環境変数 wwid1wwid2wwid3wwid4N1N2N3,および N4 をクリアします。最初にすべての wwidn および Nn 環境変数をクリアする必要があります。

    通常,wwidmgr コマンドを使用する前に,コンソールの初期化が必要です。 初期化の例:

    P00>>> init
        
    .
    .
    .
    P00>>> wwidmgr -clear all P00>>> show wwid* wwid0 wwid1 wwid2 wwid3       P00>>> show n* N1 N2 N3 N4  

    注意

    コンソールは wwidn コンソール環境変数で指定されたデバイスを作るだけで, Nn コンソール環境変数で指定された HSG80 または HSV110 の N ポートからデバイスにアクセスします。これらのコンソール環境変数の設定には,wwidmgr -quickset または wwidmgr -set wwid コマンドを使用します。 wwidmgr -quickset コマンドの使用例については,次の手順で示します。

  3. wwidmgr コマンドの -quickset オプションを使用して,Tru64 UNIX バージョン 5.1B インストール・ディスクおよび最初のクラスタ・メンバのシステム・ブート・ディスクのデバイス・ユニット番号を設定します。

    wwidmgr コマンドの -quickset オプションを使用して,Tru64 UNIX インストール・ディスクと最初のクラスタ・メンバのシステム・ブート・ディスク用に WWN の別名として,UDID を基にデバイス・ユニット番号を定義します。wwidmgr -quickset コマンドはデバイス・ユニット番号を設定し,デバイス名とディスクへの接続経路 (到達可能性) を表示します。

    wwidmgr -quickset コマンドでは,ストレージ・ユニットへの各パスが独自のデバイス名となるため,1 つのデバイス・ユニット番号に対して複数のデバイス名が生成できます。

    Tru64 UNIX バージョン 5.1B インストール・ディスクおよび最初のクラスタ・メンバ・システム・ブート・ディスクのデバイス・ユニット番号を,次のように設定します。

    1. 例 7-7 に示すように,Tru64 UNIX バージョン 5.1B インストール・ディスクのデバイス・ユニット番号を 1001 (UDID と同じ) に設定します。

      例 7-7:  BOS インストール・ディスクのデバイス・ユニット番号の設定

      P00>>> wwidmgr -quickset -udid 1001
       
      Disk assignment and reachability after next initialization:
       
      6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-025f-0000
                                via adapter:         via fc nport:        connected:
      dga1001.1001.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de8c      No
      dga1001.1002.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de89      Yes
       
      dgb1001.1001.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de8d      No
      dgb1001.1002.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de88      Yes
       
      

      wwidmgr -quickset コマンドは,wwidmgr -show reachability コマンドを実行したときと同じ到達可能性を表示します。到達可能性の部分には次の情報が示されます。

      • アクセスするストレージ・ユニットの WWN。

      • ストレージ・ユニットの新しいデバイス名。

      • ストレージ・ユニットへ接続できる KGPSA アダプタ。

      • ストレージ・ユニットへのアクセスに使用されるコントローラ・ポート (N ポート) のポート WWN。

      • connected 列には,KGPSA を介してコントローラのポートにストレージ・ユニットが接続できるかどうかが示される。

    2. 例 7-8 のように,最初のクラスタ・メンバ・システム・ブート・ディスクのデバイス・ユニット番号を 1005 に設定します。

      例 7-8:  最初のクラスタ・メンバ・ブート・ディスクのデバイス・ユニット番号の設定

      P00>>> wwidmgr -quickset -udid 1005
       
      Disk assignment and reachability after next initialization:
       
      6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-025f-0000
                                via adapter:         via fc nport:        connected:
      dga1001.1001.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de8c      No
      dga1001.1002.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de89      Yes
       
      dgb1001.1001.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de8d      No
      dgb1001.1002.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de88      Yes
       
      6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-0277-0000
                                via adapter:         via fc nport:        connected:
      dga1005.1001.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de8c      No
      dga1005.1002.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de89      Yes
       
      dgb1005.1001.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de8d      No
      dgb1005.1002.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de88      Yes
       
      

    3. コンソール show dev コマンドでデバイス名を使用できるようにするため,WWID マネージャ (wwidmgr) を終了し,コンソールを初期化する必要があります。

      P00>>> init
          
      .
      .
      .

これで,Tru64 UNIX ディスクおよび最初のクラスタ・メンバのシステム・ブート・ディスクに,デバイス名が設定されました。

画面の到達可能性の部分を見るとわかるように,各ストレージセットには,KGPSA pga および KGPSA pgb のいずれからも 2 つのコントローラ・ポートを経由して到達できます。また,各 KGPSA とコントローラ・ポートとの接続用のデバイス・ユニット番号は,ストレージ・ユニットが現在その接続に到達できなくても,あらかじめ設定されています。

7.10.2    有効なブート・ディスクの表示

コンソールの show dev で表示される Fibre Channel デバイスは,wwidmgr -quickset コマンドを使って wwidn 環境変数に割り当てられているデバイスだけです。

到達可能性に表示されたどのデバイスも,ブート・デバイスとして使用できます。 bootdef_dev コンソール環境変数には,これらのデバイスならどれでも複数設定できます。また,クラスタ・インストール・スクリプトでは, bootdef_dev コンソール環境変数をこれらのデバイスの最大 4 つまで設定します。

ここで,show wwid* コンソール・コマンドを実行すると,2 つのブート・ディスクについて環境変数 wwidn が設定されていることがわかります。また,show n* コマンドからは,4 つのコントローラ N ポートを経由してユニットにアクセス可能であることがわかります。

P00>>> show wwid*
wwid0        1001 1 WWID:01000010:6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-025f-0000
wwid1        1005 1 WWID:01000010:6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-0277-0000
wwid2
wwid3               	                
P00>>>show n*
N1                  	50001fe30008de8c
N2                  	50001fe30008de89
N3                  	50001fe30008de8d
N4                  	50001fe30008de88
 

例 7-9 は,show dev コマンドでデバイス名を表示した例です。デバイス・ユニット番号は,wwidmgr -quickset コマンドによって事前に設定されています。これらのデバイスはブート・デバイスとして使用できます。

例 7-9:  Fibre Channel デバイス名の例

 P00>>> show dev
dga1001.1001.0.7.0         $1$DGA1001   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dga1001.1002.0.7.0         $1$DGA1001   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dgb1001.1001.0.8.1         $1$DGB1001   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dgb1001.1002.0.8.1         $1$DGB1001   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dga1005.1001.0.7.0         $1$DGA1005   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dga1005.1002.0.7.0         $1$DGA1005   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dgb1005.1001.0.8.1         $1$DGB1005   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dgb1005.1002.0.8.1         $1$DGB1005   COMPAQ HSV110 (C)COMPAQ  1010
dka500.5.0.2000.1          DKA500                        RRD47  1206
dkb0.0.0.2001.1            DKB0                       RZ1CD-CS  0306

.
.
.
pga0.0.0.7.0 PGA0 WWN 2000-0000-c928-2c95 pgb0.0.0.8.1 PGB0 WWN 2000-0000-c925-2c50
.
.
.

注意

show dev コンソール・コマンドで表示される Fibre Channel デバイスは, wwidn 環境変数に割り当てられたデバイスだけです。

これで Tru64 UNIX オペレーティング・システムおよび TruCluster Server ソフトウェアをインストールする準備が整いました。

7.10.3    ベース・オペレーティング・システムのインストール

まず,TruCluster Server の『クラスタ・インストレーション・ガイド』を通読してください。次に,Tru64 UNIX の『インストレーション・ガイド』を参考にして,CD-ROM からブートし,Tru64 UNIX バージョン 5.1B オペレーティング・システムを完全にインストールします。

インストール中に,次のようなオペレーティング・システムをインストール可能なディスク一覧が表示された場合は,Location 列の識別子を確認します。表 7-3 または 表 7-4 を使用して識別子を照合してください。

Select a disk for the root file system.  The
root file system will be placed on the "a" partition of the disk
you choose.
 
To visually locate a disk, enter "ping <disk>",
where <disk> is the device name (for example, dsk0) of the disk you
want to locate.  If that disk has a visible indicator light, it will
blink until you are ready to continue.
 
      Device      Size  Controller  Disk
      Name       in GB  Type        Model           Location
 1)    dsk0         4.0  SCSI        RZ1CD-CS        bus-1-targ-0-lun-0
 2)    dsk1         4.0  SCSI        RZ1CD-CS        bus-1-targ-1-lun-0
 3)    dsk2         4.0  SCSI        RZ1CD-CS        bus-1-targ-2-lun-0
 4)    dsk3         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-1
 5)    dsk4         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-2
 6)    dsk5         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-3
 7)    dsk6         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-4
 8)    dsk7         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-5
 9)    dsk8         8.5  SCSI        HSZ80           bus-2-targ-1-lun-6
10)    dsk9         2.0  SCSI        HSV110          IDENTIFIER=1001
11)    dsk13        3.0  SCSI        HSV110          IDENTIFIER=1005
 

Tru64 UNIX ディスクの識別子 は 1001 なので (表 7-3 または 表 7-4 を参照),それと一致する論理ディスクの /dev/disk/dskn 値 (dsk9) を記録します。

Tru64 UNIX の『インストレーション・ガイド』 の指示に従って,インストレーションを完了させます。

ベース・オペレーティング・システムのみをインストールし,TruCluster Server をインストールしない場合は,オペレーティング・システムをブートする前に, bootdef_dev コンソール環境変数をマルチ・パスに設定します (7.10.4 項を参照してください)。

7.10.4    bootdef_dev コンソール環境変数のリセット

クラスタ・ソフトウェアのインストール後,オペレーティング・システムをシャットダウンします。show device コマンドを使用して,ブート・デバイスに対する bootdef_dev コンソール環境変数が,1 つのパスだけでなく,マルチ・パスを選択するように設定されているかどうかを確認します。

ブート・デバイスに対して 1 つのパスだけを選択するように設定されていた場合は,次のようにマルチ・パスを選択するように設定してください。

  1. wwidmgr -show reachability コマンドの出力結果から,ブート・ディスクとなるストレージ・ユニットにアクセス可能なデバイス名の到達可能性をチェックします。

  2. ブート・ディスクをマルチ・パスとするように bootdef_dev コンソール環境変数を設定します。

    注意

    ここでは,到達可能性の connected 列で YesNo の両方が示されているデバイス名を選択します。通常,多重バス・フェイルオーバ・モードでは,1 つのストレージ・ユニットに対して 1 つのコントローラのみがアクティブになっていることに注意してください。そのため,コントローラがフェイルオーバした場合でも,そのユニットに到達できるかどうかを確認しておく必要があります。

    少なくとも 2 つのホスト・バス・アダプタのデバイス名を使用してください。

    たとえば,ホスト・バス・アダプタが故障した場合,またはコントローラがフェイルオーバした場合でも,接続されたブート・パスが存在するように複数のホスト・バス・アダプタとコントローラ・ポートのデバイス名を選択します。例 7-8 で示したように,メンバ・システム 1 のブート・ディスクの到達可能性を使用する場合,最初のクラスタ・メンバ・システムに対して bootdef_dev コンソール環境変数を設定する際,次のすべてのデバイス名を選択する必要があります。

    dga1001.1001.0.7.0
    dga1001.1002.0.7.0
    dgb1001.1001.0.8.1
    dgb1001.1002.0.8.1
     
    

    bootdef_dev コンソール環境変数がすべて切断状態のブート・パスで終了する場合, ffautoffnext のコンソール環境変数を使って,ブート・デバイスを強制的に not connected から connected の状態に変化させることができます。

    ffauto コンソール環境変数は,自動ブート (手動ブート以外) のときのみ有効です。 ffauto を有効にするには,set ffauto on コンソール・コマンドを使ってください ( ffauto の省略時の設定は off です)。これは不揮発性メモリに保存されるので,システムをリセットしたり電源を切断しても保持されています。

    自動ブートの間,コンソールは, bootdef_dev コンソール環境変数にリストされている,接続済みの各デバイスからブートを試みます。 ffautoon で, bootdef_dev にリストされている最後のデバイスに到達しても,ブートが正常終了しなかった場合,コンソールは再び, bootdef_dev コンソール環境変数にリストされている最初のデバイスからブートを試みます。このとき,接続されていないデバイスは connected に変更されるので,そのデバイスからのブートはうまくいきます。

    ffnext コンソール環境変数は,一時的な変数です。システムのリセット,電源の切断,リブートなどで消失します。この変数は not connected デバイスに対する次のコマンドを connected 状態に変化させるために使われます (set ffnext on)。コマンド実行後, ffnext 変数は自動的に off に設定されるので,以後は無効になります。

    ffauto コンソール環境変数と ffnext コンソール環境変数の使い方の詳細は,『Wwidmgr User's Manual』を参照してください。

  3. ベース・オペレーティング・システム 1 のブート・ディスクに対する bootdef_dev コンソール環境変数に,コンマで区切った複数のブート・パスのリストを設定します。このブート・パスには,到達可能性表示に現れるものを使用します (wwidmgr -show reachability)。 bootdef_dev 変数でデバイス名を使用するには,システムを次のように初期化する必要があります。

    P00>>> set bootdef_dev \
    dga1001.1001.0.7.0,dga1001.1002.0.7.0 \
    dgb1001.1001.0.8.1,dgb1001.1002.0.8.1
    POO>>> init
     
    

注意

コンソールのシステム・リファレンス・マニュアル (SRM) ソフトウェアでは, bootdef_dev コンソール環境変数に最小限 4 つのデバイス名を設定できることが保証されています。5 つのデバイス名を設定できる場合もありますが,保証されているのは 4 つまでです。

7.10.5    クラスタのインストールに使う /dev/disk/dskn の確認

TruCluster Server ソフトウェアをインストールする前に,各種の TruCluster Server ディスクに対して使用する /dev/disk/dskn を確認しなければなりません。

クラスタ・ディスクに使用する /dev/disk/dskn を確認するには,次の手順に従います。

  1. Tru64 UNIX バージョン 5.1B オペレーティング・システムをシングルユーザ・モードまたはマルチ・ユーザ・モードで起動している場合は,hwmgr -view devices コマンドを使用して,システム上のデバイスをすべて表示します。 IDENTIFIER 識別子を含む項目を検索するには,grep ユーティリティのコマンドをパイプ接続します。

    # hwmgr -view dev | grep IDENTIFIER
     HWID: Device Name          Mfg      Model            Location
     --------------------------------------------------------------------
       86: /dev/disk/dsk9c      COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1001
       87: /dev/disk/dsk10c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1002
       88: /dev/disk/dsk11c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1003
       89: /dev/disk/dsk12c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1004
       90: /dev/disk/dsk13c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1005
       91: /dev/disk/dsk14c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1006
       92: /dev/disk/dsk15c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1007
       93: /dev/disk/dsk16c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1008
       94: /dev/disk/dsk17c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1009
       95: /dev/disk/dsk18c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1010
       96: /dev/disk/dsk19c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1011
       97: /dev/disk/dsk20c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1012
       98: /dev/disk/dsk21c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1013
     
    

    UDID を設定しているディスクの数が多い場合は,UDID の値を引数として検索します。

    # hwmgr -view dev | grep IDENTIFIER | grep 1002
     HWID: Device Name          Mfg      Model            Location
     --------------------------------------------------------------------
       87: /dev/disk/dsk10c     COMPAQ   HSV110 (C)COMPAQ IDENTIFIER=1002
     
    

  2. クラスタをインストールする各ディスクの識別子を検索し,/dev/disk/dskn の値を表 A-1 に記録します。

    hwmgr -view dev | grep IDENTIFIER=1002 のように,grep コマンドを使用して特定の UDID を検索する場合は,UDID を変更してコマンドを繰り返し,すべてのクラスタ・ディスクの /dev/disk/dskn を調べます。/dev/disk/dskn の値は,クラスタ・ソフトウェアのインストール時に使用するため,すべて記録します。

クラスタ・ソフトウェアをインストールする前に,ディスクにラベルを付ける必要があります。

7.10.6    クラスタ作成に使用するディスクのラベル付け

clu_create コマンドを実行して最初のクラスタ・メンバを作成する前,または clu_add_member コマンドによって後続のクラスタ・メンバを追加する前には,クラスタ・ソフトウェアで使用するディスクにラベルを付ける必要があります。

Tru64 UNIX オペレーティング・システムをインストールしたシステム上でシステムをブートします (ブートしていない場合)。クラスタのインストールに使用する /dev/disk/dskn の値を調べます (表 7-3 または表 7-4 を参照)。

クラスタの作成に必要なすべてのディスクラベルを初期化します。この項の構成例では,dsk10 (/var),dsk11 (Quorum),dsk16 [クラスタ単位のルート (/)],および dsk17 (/usr) を使用します。たとえば,dsk16 に対するコマンドは次のとおりです。

# disklabel -z dsk16
  disklabel: Disk /dev/rdisk/dsk16c is unlabeled
#disklabel -rw dsk16 HSV110
 

7.10.7    TruCluster Server ソフトウェアのインストールおよび最初のクラスタ・メンバの作成

ディスクにラベルを付けた後,TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』 の手順を使用して,最初のクラスタ・メンバ (Tru64 UNIX をインストールしたシステム) に TruCluster Server ソフトウェアをインストールします。

クラスタ・インストレーション・ガイド』 の手順に従って,TruCluster Server ソフトウェアのサブセットをインストールし,続いて clu_create コマンドを使って最初のクラスタ・メンバを作成します。

7.10.8    クラスタへの別のシステムの追加

クラスタに別システムを追加するには,次の手順に従います。

  1. Tru64 UNIX オペレーティング・システムおよび TruCluster Server ソフトウェアをインストールしたシステム上で,システムをシングル・メンバ・クラスタとしてブートします。

  2. TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』の手順を参照して,clu_add_member で後続のクラスタ・メンバを追加します。

    クラスタに追加するシステムをブートする前に,新しく追加したクラスタ・メンバで次の手順を実行します。

    1. wwidmgr ユーティリティの -quickset オプションを使用して,例 7-10 で示すように,メンバ・システム・ブート・ディスクのデバイス・ユニット番号を設定します。たとえば,構成例のメンバ・システム 2 では,OS ユニット ID 1010 のストレージ・ユニットを使用します (表 7-4)。

      例 7-10:  追加のメンバ・システムのデバイス・ユニット番号の設定

      P00>>> wwidmgr -quickset -udid 1010
       
      Disk assignment and reachability after next initialization:
       
      6005-08b4-0001-00b2-0000-c000-029d-0000
                                via adapter:         via fc nport:        connected:
      dga1010.1001.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de8c      No
      dga1010.1002.0.7.0       pga0.0.0.7.0         5000-1fe3-0008-de89      Yes
       
      dgb1010.1001.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de8d      No
      dgb1010.1002.0.8.1       pgb0.0.0.8.1         5000-1fe3-0008-de88      Yes
       
      P00>>> init
       
      

    2. bootdef_dev コンソール環境変数に,メンバ・システム・ブート・ディスクに到達可能なパス (例 7-10connected 列が Yes の行) を 1 つ設定します。

      P00>>> set bootdef_dev dga1010.1002.0.7.0
       
      

    3. 新しく追加したクラスタ・メンバ・システムで genvmunix をブートします。それぞれインストールしたサブセットが構成され,新しいカーネルが構築およびインストールされます。

  3. 新しいクラスタ・メンバ・システムをクラスタにブートし,クラスタのインストールを完了します。

  4. 他のクラスタ・メンバに対して 2〜3 の手順を繰り返します。

7.11    透過フェイルオーバ・モードから多重バス・フェイルオーバ・モードへの HSG80 の変換

Tru64 UNIX バージョン 4.0F またはバージョン 4.0G と TruCluster Software Products バージョン 1.6 の組み合わせから Tru64 UNIX バージョン 5.1B と TruCluster Server バージョン 5.1B の組み合わせに移行した場合は,透過フェイルオーバ・モードから多重バス・フェイルオーバ・モードに変更することで,Tru64 UNIX バージョン 5.1B と多重バス・フェイルオーバ・モードによるマルチ・バスを利用して,NSPOF (No Single Point Of Failure) クラスタを構成できます。

または Tru64 UNIX バージョン 5.1B および TruCluster Server バージョン 5.1B で透過フェイルオーバ・モードを使用している場合,多重バス・フェイルオーバ・モードでは NSPOF 構成を実現できるので,透過フェイルオーバ・モードを超える可用性を得ることも可能です。

7.11.1    概要

フェイルオーバ・モードは,単純に SET MULTIBUS COPY=THIS という HSG80 CLI コマンドを実行するだけでは変更できません。理由は次のとおりです。

7.11.2    透過フェイルオーバ・モードから多重バス・フェイルオーバ・モードへの変更手順

ユニット・オフセットをリセットし,ストレージ・ユニットへのパスを変更することにより,透過フェイルオーバから多重バス・フェイルオーバにモードを変更するには,次の手順に従います。

  1. フェイルオーバ・モードを変更する HSG80 コントローラにアクセス可能なすべてのホスト・システムのオペレーティング・システムをシャットダウンします。

  2. HSG80 コントローラ上で,多重バス・フェイルオーバを設定します。それまでのフェイルオーバ・モードを解除してから多重バス・フェイルオーバ・モードを設定します。

    HSG80> SET NOFAILOVER
    HSG80> SET MULTIBUS_FAILOVER COPY=THIS
     
    

    注意

    構成情報が正しいことが分かっているコントローラを使用してください。

  3. この HSG80 がアービトレイテッド・ループ・トポロジで使われている場合 (ポート・トポロジが LOOP_HARD に設定されている場合),すべてのポートが同時にアクティブになっているため,各ポートには一意の AL_PA アドレスを設定する必要があります (透過フェイルオーバ・モードの規則では,両方のコントローラのポート 1 とポート 2 は,両方のコントローラで同じ AL_PA アドレスを設定することになっています)。

    次の例では,2 個の HSG80 コントローラのポートをオフラインに設定し,PORT_x_AL_PA の値を多重フェイルオーバ・モードに設定し,そのポートをオンラインにしています。

    HSG80> set this port_1_topology = offline  
    HSG80> set this port_2_topology = offline
    HSG80> set other port_1_topology = offline
    HSG80> set other port_2_topology = offline  
    HSG80> set this PORT_1_AL_PA  = 01   
    HSG80> set this PORT_2_AL_PA  = 02   
    HSG80> set other PORT_1_AL_PA  = 04   
    HSG80> set other PORT_2_AL_PA  = 08   
     
    

  4. SHOW CONNECTION コマンドを実行して,0 以外のオフセットを持つ接続を確認します。

    HSG80> SHOW CONNECTION
    Connection                                                                Unit
       Name      Operating system    Controller  Port    Address    Status   Offset
     
    !NEWCON49      TRU64_UNIX           THIS       2      230813   OL this     100
               HOST_ID=1000-0000-C920-DA01         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-DA01
     
    !NEWCON50      TRU64_UNIX           THIS       1      230813   OL this       0
               HOST_ID=1000-0000-C920-DA01         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-DA01
     
    !NEWCON51      TRU64_UNIX           THIS       2      230913   OL this     100
               HOST_ID=1000-0000-C920-EDEB         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-EDEB
     
    !NEWCON52      TRU64_UNIX           THIS       1      230913   OL this       0
               HOST_ID=1000-0000-C920-EDEB         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-EDEB
     
    !NEWCON53      TRU64_UNIX           OTHER      1      230913   OL other      0
               HOST_ID=1000-0000-C920-EDEB         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-EDEB
     
    !NEWCON54      TRU64_UNIX           OTHER      1      230813   OL other      0
               HOST_ID=1000-0000-C920-DA01         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-DA01
     
    !NEWCON55      TRU64_UNIX           OTHER      2      230913   OL other    100
               HOST_ID=1000-0000-C920-EDEB         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-EDEB
     
    !NEWCON56      TRU64_UNIX           OTHER      2      230813   OL other    100
               HOST_ID=1000-0000-C920-DA01         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-DA01
     
    !NEWCON57      TRU64_UNIX           THIS       2               offline     100
               HOST_ID=1000-0000-C921-09F7         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-09F7
     
    !NEWCON58      TRU64_UNIX           OTHER      1               offline       0
               HOST_ID=1000-0000-C921-09F7         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-09F7
     
    !NEWCON59      TRU64_UNIX           THIS       1               offline       0
               HOST_ID=1000-0000-C921-09F7         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-09F7
     
    !NEWCON60      TRU64_UNIX           OTHER      2               offline     100
               HOST_ID=1000-0000-C921-09F7         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-09F7
     
    !NEWCON61      TRU64_UNIX           THIS       2      210513   OL this     100
               HOST_ID=1000-0000-C921-086C         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-086C
     
    !NEWCON62      TRU64_UNIX           OTHER      1      210513   OL other      0
               HOST_ID=1000-0000-C921-086C         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-086C
     
    !NEWCON63      TRU64_UNIX           OTHER      1               offline       0
               HOST_ID=1000-0000-C921-0943         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-0943
     
    !NEWCON64      TRU64_UNIX           OTHER      1      210413   OL other      0
               HOST_ID=1000-0000-C920-EDA0         ADAPTER_ID=1000-0000-C920-EDA0
     
    !NEWCON65      TRU64_UNIX           OTHER      2      210513   OL other    100
               HOST_ID=1000-0000-C921-086C         ADAPTER_ID=1000-0000-C921-086C
          
    .
    .
    .

    0 以外のオフセットを持つ接続は次のとおりです。 !NEWCON49!NEWCON51!NEWCON55!NEWCON56!NEWCON57!NEWCON60!NEWCON61,および !NEWCON65

  5. 0 以外のユニット・オフセットを持つ接続のオフセットをすべて 0 に設定します。

    HSG80> SET !NEWCON49 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON51 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON55 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON56 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON57 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON60 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON61 UNIT_OFFSET = 0
    HSG80> SET !NEWCON65 UNIT_OFFSET = 0
     
    

  6. フェイルオーバ・モードを変更した HSG80 上のストレージ・ユニットにアクセスする各システムのコンソールで,次の手順を実行します。

    1. WWID マネージャ (wwidmgr) を使用して Fibre Channel 環境変数を表示し,システムから到達可能なユニットを確認します。wwidmgr モードでないコンソールでは,この情報を使用して Fibre Channel デバイスを検索します。

      P00>>> wwidmgr -show ev
      wwid0    133 1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d60-0009-8080-0434-002e
      wwid1    131 1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d60-0009-8080-0434-002f
      wwid2    132 1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d60-0009-8080-0434-0030
      wwid3
      N1       50001fe100000d64
      N2
      N3
      N4
       
      

      注意

      AS1200,AS4x00,AS8x00,GS60,GS60E,および GS140 の AlphaServer システムで wwidmgr ユーティリティを使用する場合は,コンソールを診断モードに設定する必要があります。コンソールを診断モードに設定するには,次のコマンドを入力します。

      P00>>> set mode diag
      Console is in diagnostic mode
      P00>>>
       
      

    2. wwidn 行ごとに,ストレージ・ユニットのユニット番号 (131,132,133) とワールドワイド名を記録します。ユニット番号は wwidn の次の列に表示されています。 Nn の値は,ストレージ・ユニットへのアクセスに使用される HSG80 のポートを示しています。

    3. wwidn および Nn 環境変数をクリアします。

      P00>>> wwidmgr -clear all
       
      

    4. コンソールを初期化します。

      P00>>> init
       
      

    5. wwidmgr -quickset コマンドを使用して,各システムのブート・ディスクであるストレージ・ユニットにデバイス情報とポートのパス情報を設定します。 各システムは,ベース・オペレーティング・システム・ディスクおよびメンバ・システム・ブート・ディスクからブートしなければなりません。したがって,この項の構成例では,クラスタ・メンバ 1 は UDID 131 (メンバ 1 のブート・ディスク) と 133 (Tru64 UNIX ディスク) のストレージ・ユニットにアクセスできる必要があります。また,クラスタ・メンバ 2 は UDID 132 (メンバ 2 のブート・ディスク) と 133 (Tru64 UNIX ディスク) のストレージ・ユニットにアクセスできる必要があります。クラスタ・メンバ 1 のデバイスとポートのパスを設定するには,次のように入力します。

      P00>>> wwidmgr -quickset -udid 131
            
      .
      .
      .
      P00>>> wwidmgr -quickset -udid 133
      .
      .
      .

    6. コンソールを初期化します。

      P00>>> init
       
      

    7. ストレージ・ユニットとポートのパス情報が設定されていることを確認してから,コンソールを再度初期化します。たとえば,クラスタ・メンバ 1 の場合は次のようになります。

      P00>>> wwidmgr -show ev
      wwid0    133 1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d60-0009-8080-0434-002e
      wwid1    131 1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d60-0009-8080-0434-002f
      wwid2
      wwid3
      N1       50001fe100000d64
      N2       50001fe100000d62
      N3       50001fe100000d63
      N4       50001fe100000d61
      P00>>> init
       
      

    8. メンバ・システム・ブート・デバイスに bootdef_dev 環境変数を設定します。適切なデバイスについて wwidmgr -quickset コマンドを使用し,表示された到達可能性のパスを bootdef_dev に設定します (7.10.4 項)。

    9. HSG80 上のデバイスにアクセスするすべてのシステムについて,a 〜 h の手順を繰り返します。

7.12    ストレージ・システム・スクリプト・ユーティリティの使用

大規模な,または複雑な構成に対しては,グラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) の代わりに,ストレージ・システム・スクリプト・ユーティリティ (SSSU つまりスクリプト・ユーティリティ) が使用できます。スクリプト・ユーティリティは,HSV Element Manager に対するキャラクタ・セル・インタフェースです。

オペレーティング・システム・ソリューション・キットには,オペレーティング・システムに応じて sssu または SSSU.EXE の名前でスクリプト・ユーティリティの実行形式ファイルが用意されています。

スクリプト・ユーティリティは,CD-ROM の SSSU ディレクトリから実行するか,ユーザのシステム (たとえば,/usr/local/bin など) にコピーして使用できます。このファイルを Tru64 UNIX システムで実行できるようにするため,必ず許可を変更してください。

注意

HSV110 コントローラへのパスワード・アクセスが有効である場合,スクリプト・ユーティリティを使用する前に,パスワード・アクセスを HSV110 Element Manager からセットアップする必要があります。スクリプト・ユーティリティを使ってパスワード・アクセスを設定することはできません。

7.12.1    スクリプト・ユーティリティの起動

スクリプト・ユーティリティを起動する方法は 2 つあります。

  1. コマンド行でコマンドを引数として指定する場合は,コマンドをエコーし,実行した後,スクリプト・ユーティリティが終了して,コマンド行に制御が戻ります。

    コマンド引数は二重引用符 (" ") で囲みます。

    スクリプト・ユーティリティでコマンド行引数を使う例を次に示します。

    # sssu "FILE /san/scripts/eva01-config.ssu"
        
    .
    .
    .

    注意

    ファイルには拡張子を付ける必要はありません。

  2. コマンド行の引数なしで起動した場合は,NoCellSelected> プロンプトが出力されて,コマンドの入力待ちになります。

    有用なコマンドを使用できるようにするには,HSV110 Element Manager を選択し (これにより,スクリプト・ユーティリティは HSV110 Element Manager と通信できるようになります),ストレージ・セル (使用したい HSV110 コントローラのセット) を追加する必要があります。

    セルを選択すると,例 7-11 に示すように,プロンプトがセルの名前に変わります。

    例 7-11:  HSV110 コントローラ・ペアにアクセスするためのスクリプト・ユーティリティの準備

    # sssu
     
    SSSU version 3.0 Build 92
    EMClientAPI Version 1.6, Build date: Sep 14 2001
     
    NoCellSelected> SELECT MANAGER swmaxxxxxx Username=XXXXX Password=XXXXX
    NoCellSelected> SELECT CELL Enterprise10
    Enterprise10> 
     
    

    注意

    HSV110 コントロール・ペアを初期化するのに HSV Element Manager GUI を使用していない場合は,ADD CELL コマンドで初期化できます。初期化されていないセルを選択して,そのセルを (セル名を付けて) 追加したのち,初期化されたセルを選択しなければなりません。たとえば,次のようになります。

    # sssu
     
    SSSU version 3.0 Build 92
    EMClientAPI Version 1.6, Build date: Sep 14 2001
     
    NoCellSelected> SELECT MANAGER swmaxxxxxx Username=XXXXX Password=XXXXX
    NoCellSelected> SHOW CELL
     
    Cells available on this Manager:
    Uninitialized Storage System
    NoCellSelected> SELECT CELL "Uninitialized Storage System"
    Uninitialized Storage System> ADD CELL Enterprise10
    Uninitialized Storage System> SELECT CELL Enterprise10
    Enterprise10>
     
    

7.12.2    スクリプト・ユーティリティによる既存構成の取り込み

GUI で Enterprise Virtual Array 構成をセットアップしたら,スクリプト・ユーティリティを使ってその構成を保存できます。CAPTURE CONFIGURATION コマンドは選択したセルにアクセスして,スクリプトを作成します。そのスクリプトは構成を (必要になった場合) 再作成するのに使用されます。

CAPTURE CONFIGURTION コマンドの省略時の出力設定は標準出力です。構成スクリプトの出力先をファイルにしたい場合は,ファイル名を指定します。必要な場合には,スクリプト・ユーティリティで作成されたスクリプトを使って,構成を再構築したり,もっと複雑な構成のために別のスクリプトを作成するモデルとして使うことができます。

現在の構成を取り込む方法を例 7-12 に示します。

例 7-12:  Enterprise Virtual Array 構成の取り込み

# sssu
 
SSSU version 3.0 Build 92
EMClientAPI Version 1.6, Build date: Sep 14 2001
 
NoCellSelected> SELECT MANAGER swmaxxxxxx Username=XXXXX Password=XXXXX
NoCellSelected> SELECT CELL Enterprise10
Enterprise10> CAPTURE CONFIGURATION /san/scripts/create-enterprise10.ssu
    CAPTURE CONFIGURATION may take awhile.  Do not modify configuration
    until command is complete.
 
........................
    Capture complete and successful
 

7.12.3    スクリプト・ユーティリティでのファイル・コマンドの使用

大規模な,または複雑な構成を作成する場合,または構成を再作成する必要がある場合は,スクリプト・ユーティリティで FILE コマンドを使用します。

FILE コマンドは,指定のファイルからコマンドを読み込みます。ファイルの最後または EXIT コマンドにより,コマンド・プロンプトに戻ります。

注意

オリジナル構成の一部が残っている場合は,CAPTURE CONFIGURATION コマンドにより作成されたファイルで HSV110 構成を再作成しないでください。その場合,スクリプトは実行を終了します。

例 7-13 に示すように,例 7-12 で取り込まれた構成を再作成することができます。

例 7-13:  スクリプト・ユーティリティのファイル・コマンドでスクリプト・ファイルを指定する

# sssu
 
SSSU version 3.0 Build 92
EMClientAPI Version 1.6, Build date: Sep 14 2001
 
NoCellSelected> file /san/scripts/create-enterprise10.ssu

.
.
.

7.12.4    スクリプト・ユーティリティで使用するスクリプト・ファイルの作成

スクリプト・ファイルの書き方を学ぶ最も簡単な方法は,GUI を使って構成を作成し,その構成を取り込んで,生成されたファイルをモデルとして利用することです。

Scripting Utility V1.0 for Enterprise Virtual Array Reference Guide』には,スクリプト・ユーティリティ・コマンドの説明があります。

注意

コマンドの実行は次のようにします。

7.9.2 項および 表 7-4 で説明する構成例用に,CAPTURE CONFIGURATION コマンドで作成したスクリプト・ファイルを例 7-14 に示します。

注意

各コマンドは一行でなければなりません。行継続文字やコメント文字は含まれません。

この例では,テキストをすべて示すためにスラッシュ (/) を行継続文字として使用しますが,行継続文字はサポートされません。

スクリプトを部分的に分けるために空白行を使うことができます。スクリプト・ファイルのコマンドが実行されるとき,空白行は NO-OP (ノーオペレーション) となります。

SET OPTIONS コマンドで ON_ERROR オプションを使用し,スクリプト・ユーティリティでスクリプト・エラーをどのように処理するかを決めます。HALT_ON_ERROR に設定すると,スクリプトがエラー状態になった場合,スクリプトの実行を停止しますが,スクリプト・ユーティリティは端末のキーが押されるまで終了しません。これにより,エラーを監視することができます。

スクリプト内でエラーが発生したら,スクリプトを新しいファイルにコピーします。コピーした新しいファイルを編集して,エラーを訂正します。オプションを設定するための最初のコマンドを除き,正しく実行されたコマンドをすべて削除し,マネージャを選択して,セルを選択します。マネージャとセルを選択しなければ,スクリプトは機能しません。新しいスクリプトを編集したら,スクリプト・ユーティリティを使って新しいスクリプト・ファイルを実行します。

注意

省略時の設定では,コマンドごとの実行の間に 10 秒間の遅延があります。大規模なスクリプトでは,これを合計すると長い時間になります。遅延時間を短く設定すると,時間の節約ができます。遅延時間が短かすぎるためにエラーが発生しても,HALT_ON_ERROR を設定してあればどこでエラーが発生したかを知ることができます。前述したようにスクリプトをコピーして,正常に実行されたコマンドを削除し,遅延時間を以前より長く再設定します。これらの変更を行ったのち,再度スクリプトを実行します。

例 7-14:  構成例を作成するスクリプト・ファイル

SET OPTIONS ON_ERROR=HALT_ON_ERROR COMMAND_DELAY=1
SELECT MANAGER swmaxxxx Username=xxxx Password=xxxx
SELECT CELL "enterprise10"
 
ADD FOLDER "\Virtual Disks\bos-cluster" COMMENT="Folder for the BOS and TCR /
software virtual disks."
 
ADD HOST "\Hosts\member1" OPERATING_SYSTEM=TRU64 WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-C925-3B7C /
IP=127.1.2.20
SET HOST "\Hosts\member1" ADD_WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-C925-1EA1
 
ADD HOST "\Hosts\member2" OPERATING_SYSTEM=TRU64 WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-C925-3B7D /
IP=127.1.2.21
SET HOST "\Hosts\member2" ADD_WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-C927-1EA2
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\tru64-unix" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=2 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1001 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 1 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\tru64-unix\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 1 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\tru64-unix\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-var" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=24 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1002 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 2 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-var\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 2 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-var\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-quorum" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=1 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1003 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 3 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-quorum\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 3 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-quorum\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member1-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1004 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 4 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member1-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 4 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member1-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member3-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1005 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 5 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member3-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 5 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member3-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member5-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1006 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 6 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member5-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 6 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member5-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member7-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1007 PREFERRED_PATH=PATH_A_BOTH
ADD LUN 7 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member7-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 7 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member7-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-root" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=2 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1008 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 8 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-root\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 8 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-root\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-usr" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=8 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1009 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 9 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-usr\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 9 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\clu-usr\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member2-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1010 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 10 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member2-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 10 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member2-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member4-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1011 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 11 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member4-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 11 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member4-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member6-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1012 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 12 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member6-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 12 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member6-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 
ADD STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member8-boot" GROUP="\Disk Groups\Default /
Disk Group" SIZE=3 REDUNDANCY=VRAID5 MIRRORED_WRITEBACK READ_CACHE /
NOWRITE_PROTECT OS_UNIT_ID=1013 PREFERRED_PATH=PATH_B_BOTH
ADD LUN 13 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member8-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member1"
ADD LUN 13 STORAGE="\Virtual Disks\bos-cluster\member8-boot\ACTIVE" HOST="\Hosts\member2"
 

7.12.5    エンタープライズ構成情報の削除のためのスクリプト・ユーティリティの使用

構成情報を削除または変更する必要がある場合は,GUI またはスクリプト・ユーティリティが使用できます。たとえば,KGPSA を交換する場合には,除去される KGPSA のポート WWN を削除して,新しい KGPSA のポート WWN を追加する必要があります。

正しいフォーマットに慣れていない場合は,SHOW コマンドを使用して,必要なフォーマットを確認します。

削除される KGPSA の WWN を削除するのに必要なスクリプト・ユーティリティ・コマンド,および新しい KGPSA のための WWN を追加するのに必要なスクリプト・ユーティリティ・コマンドを,例 7-15 に示します。

例 7-15:  交換した KGPSA の WWN を再設定するためのスクリプト・ユーティリティ

# sssu
 
SSSU version 3.0 Build 92
EMClientAPI Version 1.6, Build date: Sep 14 2001
 
NoCellSelected> SELECT MANAGER swmaxxxxxx Username=XXXXX Password=XXXXX
NoCellSelected> SELECT CELL Enterprise10
Enterprise10> SET HOST \Hosts\member2 DELETE_WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-c927-1ea2
Enterprise10> SET HOST \Hosts\member2 ADD_WORLD_WIDE_NAME=1000-0000-cbad-ef10
Enterprise10>
 

例 7-14 でセットアップされた構成全体を削除するスクリプト・ファイルの内容を,例 7-16 に示します。

例 7-16:  構成例を削除するスクリプト・ファイル

SET OPTIONS ON_ERROR=HALT_ON_ERROR
SELECT MANAGER swmaxxxx Username=xxxxx Password=xxxxx
SELECT CELL "top"
DELETE LUN \Hosts\member1\1
DELETE LUN \Hosts\member2\1
DELETE LUN \Hosts\member1\2
DELETE LUN \Hosts\member2\2
DELETE LUN \Hosts\member1\3
DELETE LUN \Hosts\member2\3
DELETE LUN \Hosts\member1\4
DELETE LUN \Hosts\member2\4
DELETE LUN \Hosts\member1\5
DELETE LUN \Hosts\member2\5
DELETE LUN \Hosts\member1\6
DELETE LUN \Hosts\member2\6
DELETE LUN \Hosts\member1\7
DELETE LUN \Hosts\member2\7
DELETE LUN \Hosts\member1\8
DELETE LUN \Hosts\member2\8
DELETE LUN \Hosts\member1\9
DELETE LUN \Hosts\member2\9
DELETE LUN \Hosts\member1\10
DELETE LUN \Hosts\member2\10
DELETE LUN \Hosts\member1\11
DELETE LUN \Hosts\member2\11
DELETE LUN \Hosts\member1\12
DELETE LUN \Hosts\member2\12
DELETE LUN \Hosts\member1\13
DELETE LUN \Hosts\member2\13
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\tru64-unix\ACTIVE" 
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-root\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-usr\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-var\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\clu-quorum\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member1-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member2-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member3-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member4-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member5-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member6-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member7-boot\ACTIVE"
DELETE STORAGE "\Virtual Disks\bos-cluster\member8-boot\ACTIVE"
DELETE HOST "\Hosts\member1"
DELETE HOST "\Hosts\member2"
DELETE FOLDER "\Virtual Disks\bos-cluster\"
 

7.13    emx マネージャによる Fibre Channel アダプタ情報の表示

emx マネージャ (emxmgr) は,TruCluster Software Product バージョン 1.6 用のユーティリティで,ワールドワイド名 (WWN) とターゲット ID のマッピングを変更および管理するために使用します。emx マネージャは Tru64 UNIX バージョン 5.1B に含まれていますが,Tru64 UNIX で WWN とターゲット ID のマッピングを管理する必要はありません。emx マネージャは,TruCluster Server バージョン 5.1B と組み合わせて次の用途に使用できます。

emxmgr ユーティリティについての詳しい説明は, emxmgr(8) を参照してください。

emxmgr ユーティリティの機能が hwmgr ユーティリティに追加されました (/sbin/hwmgr show fiberhwmgr_show(8) を参照するか,/sbin/hwmgr -help show を入力してください)。 emxmgr ユーティリティは,将来のリリースではオペレーティング・ソフトウェアから削除されます。

7.13.1    emxmgr ユーティリティによる Fibre Channel アダプタ情報の表示

TruCluster Server における emxmgr ユーティリティの基本的な使用目的は,Fibre Channel 情報を表示することです。

emxmgr -d コマンドを使用すると,システム上に存在する KGPSA Fibre Channel アダプタが表示されます。

# /usr/sbin/emxmgr -d
emx0 emx1 emx2
 

emxmgr -t コマンドを使用すると,指定したアダプタの Fibre Channel トポロジが表示されます。

# emxmgr -t emx1
 
emx1 state information:  [1]
  Link :  connection is UP                          
          Point to Point
          Fabric attached
          FC DID 0x210413
  Link is SCSI bus 3 (e.g. scsi3)
          SCSI target id 7
          portname is 1000-0000-C921-07C4 
          nodename is 2000-0000-C921-07C4           
  N_Port at FC DID 0x210013 - SCSI tgt id 5 :  [2]
    portname 5000-1FE1-0001-8932
    nodename 5000-1FE1-0001-8930
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in,   
  N_Port at FC DID 0x210113 - SCSI tgt id 1 :  [2]
    portname 5000-1FE1-0001-8931
    nodename 5000-1FE1-0001-8930
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x210213 - SCSI tgt id 2 :  [2]
    portname 5000-1FE1-0001-8941
    nodename 5000-1FE1-0001-8940
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x210313 - SCSI tgt id 4 :  [2]
    portname 5000-1FE1-0001-8942
    nodename 5000-1FE1-0001-8940
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x210513 - SCSI tgt id 6 :  [2]
    portname 1000-0000-C921-07F4
    nodename 2000-0000-C921-07F4
    Present, Logged in, FCP Initiator, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0xfffffc - SCSI tgt id -1 :  [3]
    portname 20FC-0060-6900-5A1B
    nodename 1000-0060-6900-5A1B
    Present, Logged in, Directory Server, 
  N_Port at FC DID 0xfffffe - SCSI tgt id -1 :  [3]
    portname 2004-0060-6900-5A1B
    nodename 1000-0060-6900-5A1B
    Present, Logged in, F_PORT, 
 

  1. emx1 のリンクの状態を示します。 接続はポイント・ツー・ポイント・ファブリック (スイッチ) 接続で,リンクが確立されています。アダプタは SCSI バス 3 上にあり,SCSI ID は 7 です。アダプタのポート名とノード名 (ワールドワイド名) が表示されています。Fibre Channel DID 番号は,N ポートで使用される Fibre Channel の物理アドレスを示します。 [例に戻る]

  2. 同一 SCSI バス上にある他のすべての Fibre Channel デバイスについて,SCSI ID,ポート名,ノード名,Fibre Channel の物理アドレス,および次の項目が一覧表示されています。

    [例に戻る]

  3. ターゲット ID -1 (または -2) は,Fibre Channel プロトコル,ディレクトリ・サーバ,および F ポートを使用した通信が行われないリモートの Fibre Channel デバイスを表します。 [例に戻る]

注意

emxmgr ユーティリティを対話形式で使用して上記の機能を実行できます。

7.13.2    アービトレイテッド・ループ・トポロジでの emxmgr ユーティリティの使用

以下の例は,アービトレイテッド・ループ・トポロジで emxmgr -t コマンドを実行した結果を示しています。

# emxmgr -t emx0
 
emx0 state information:
  Link :  connection is UP     
          FC-AL (Loop)  [1]
          FC DID 0x000001
  Link is SCSI bus 2 (e.g. scsi2)
          SCSI target id 7
          portname is 1000-0000-C920-5F0E 
          nodename is 1000-0000-C920-5F0E 
  N_Port at FC DID 0x000002 - SCSI tgt id 6 :
    portname 1000-0000-C920-043C
    nodename 1000-0000-C920-043C
    Present, Logged in, FCP Initiator, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x00006b - SCSI tgt id 2 :
    portname 2200-0020-3704-846F
    nodename 2000-0020-3704-846F
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in,
  N_Port at FC DID 0x00006c - SCSI tgt id 3 :
    portname 2200-0020-3704-A822
    nodename 2000-0020-3704-A822
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x00002d - SCSI tgt id 1 :
    portname 2200-0020-3703-146B
    nodename 2000-0020-3703-146B
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x00002e - SCSI tgt id 0 :
    portname 2200-0020-3703-137D
    nodename 2000-0020-3703-137D
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x00006e - SCSI tgt id 4 :
    portname 2200-0020-3700-55CB
    nodename 2000-0020-3700-55CB
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
 

  1. emx0 リンクの状態です。 接続は,Fibre Channel アービトレイテッド・ループ (FC-AL) 接続であり,リンクが確立しています。アダプタは,SCSI バス 2 にあり SCSI ID は 7 です。アダプタのポート名とノード名も表示されています。

    Fibre Channel の DID 番号は,N ポートで使われている Fibre Channel の物理アドレスです。 [例に戻る]

7.13.3    対話形式による emxmgr ユーティリティの使用

コマンド行オプションを指定せずに emxmgr ユーティリティを起動すると,対話モードで次の操作を実行できます。

これらの機能をコマンド行から実行する方法については,前項で説明されています。対話モードから適切なオプションを選択することにより,同じ出力結果が得られます (次に例を示しています)。

コマンド行オプションを指定せずに emxmgr ユーティリティを起動すると,最初に見つかった Fibre Channel アダプタが省略時のデバイスとして使用されます。別のアダプタに対して機能を実行する場合は,対象のアダプタを正しいアダプタに変更する必要があります。たとえば,emx0 が存在する場合に emxmgr ユーティリティを対話モードで起動すると,情報を表示するコマンドはすべて emx0 に関する情報を表示します。

注意

対話モードの emxmgr には幅広いヘルプ機能が用意されています。

オプション 2 と 3 の「View adapter's Target Id Mappings」(アダプタのターゲット ID マッピングの表示),および「Change Target ID Mappings」(ターゲット ID マッピングの変更) は,Tru64 UNIX バージョン 4.0F 製品のもので,Tru64 UNIX バージョン 5.1B 製品では使用できません。これらのオプションは使用しないでください。

対話モードで emxmgr を使用すると,次のようになります。

# emxmgr
 
Now issuing commands to : "emx0"
 
Select Option (against "emx0"):
 
  1.  View adapter's current Topology
  2.  View adapter's Target Id Mappings
  3.  Change Target ID Mappings
 
  d.  Display Attached Adapters
  a.  Change targeted adapter
  x.  Exit
 
  ----> 1
 
emx0 state information:
  Link :  connection is UP     
          Point to Point
          Fabric attached
          FC DID 0x011200
  Link is SCSI bus 4 (e.g. scsi4)
          SCSI target id -1
          portname is 1000-0000-C924-4B7B 
          nodename is 2000-0000-C924-4B7B 
  N_Port at FC DID 0x011100 - SCSI tgt id 1 :
    portname 5000-1FE1-0006-3F13
    nodename 5000-1FE1-0006-3F10
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x011300 - SCSI tgt id 3 :
    portname 5000-1FE1-0006-3F14
    nodename 5000-1FE1-0006-3F10
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x011400 - SCSI tgt id -2 :
    portname 1000-0000-C922-4AAC
    nodename 2000-0000-C922-4AAC
    Present, Logged in, FCP Initiator, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x011500 - SCSI tgt id 0 :
    portname 5000-1FE1-0006-3F11
    nodename 5000-1FE1-0006-3F10
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0x011700 - SCSI tgt id 2 :
    portname 5000-1FE1-0006-3F12
    nodename 5000-1FE1-0006-3F10
    Present, Logged in, FCP Target, FCP Logged in, 
  N_Port at FC DID 0xfffffc - SCSI tgt id -1 :
    portname 20FC-0060-6920-383D
    nodename 1000-0060-6920-383D
    Present, Logged in, Directory Server, 
  N_Port at FC DID 0xfffffe - SCSI tgt id -1 :
    portname 2002-0060-6920-383D
    nodename 1000-0060-6920-383D
    Present, Logged in, F_PORT, 
 
Select Option (against "emx0"):
 
  1.  View adapter's current Topology
  2.  View adapter's Target Id Mappings
  3.  Change Target ID Mappings
 
  d.  Display Attached Adapters
  a.  Change targeted adapter
  x.  Exit
 
  ----> x
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