本書では,HP TruCluster Server システムの日常の運用に関連する作業について説明します。クォーラムおよびボートの管理とクラスタ・ファイル・システム (CFS) について説明するとともに,デバイス要求ディスパッチャの管理方法とクラスタ内のネットワーク・サービスの構成方法についても説明します。さらに,クラスタ管理のためのヒントも提供します。
対象読者
本書は,TruCluster Server クラスタを構成および管理するユーザを対象としています。本書では,読者が経験を積んだ UNIX 管理者であり,ハードウェア,オペレーティング・システム,およびネットワークの構成と保守について十分な知識があることを前提としています。
新しい機能と変更された機能
本書 (および関連するマニュアル) でバージョン 5.1A のリリースから変更された点は次のとおりです。
バージョン 5.1A の『クラスタ LAN インターコネクト』は,TruCluster Server ドキュメント・セットから削除され,このマニュアルの必要な情報は,本書,『クラスタ概要』,『クラスタ・ハードウェア構成ガイド』,および 『クラスタ・インストレーション・ガイド』に組み込まれています。
3.14 節では,ルーティング・オプション設定について説明しています。バージョン 5.1B からは,gated
,routed
,または静的ルーティングが使えるようになります。ogated
は使えなくなりました。gated
が省略時の設定です。
5.8 節では,警告欄が変更され,メンバ削除後の期待ボートを調整する必要性を説明しています。
5.10 節では,クラスタを別の IP サブネットへ移動する方法を説明しています。
6.1 節が新しく追加され,ネットワーク・インタフェースを変更したときの
ifaccess.conf
ファイルの更新について説明しています。
7.4 節が更新され,BIND クライアントと BIND サーバとの違いが明確にされました。
7.6.4 項では,Automount から AutoFS へ移行する方法について説明しています。
8.5 節では,新しい
caa_balance
コマンドによってアプリケーション・リソースを均等に分散する方法を説明しています。
9.3.3 項では,新しい CFS 負荷分散 (cfsd
) 機能を使用して,クラスタのファイル・システムを監視,解析および調整する方法を説明しています。
9.3.4 項では,分散ファイル・システムの
mount -o
コマンドの使い方を説明しています。
9.3.5 項では,一貫したファイル・システムのメタデータを保つために,クローン作成の前に新しい
freezefs
コマンドでドメインをフリーズする方法を説明しています。
第 10 章では,HP Tru64 UNIX と TruCluster Server の LSM 処理の相違点だけを説明しています。LSM 情報が容易に探し出せるように,すべての LSM に関する情報は Tru64 UNIX 『Logical Storage Manager』に集められています。
11.1.3 項では,メンバをシャットダウンすると,クォーラムを失うことになるのかどうか,もしそうであれば,残りのクラスタ・メンバをシャットダウンするのかどうか,を決定する
ENVMON_SHUTDOWN_SCRIPT
スクリプトを使う方法を説明しています。
11.1.9.3 項では,サービスされているドメインを
cfsmgr
コマンドの新しい
-U
オプションを使って強制的にアンマウントする方法を説明しています。
付録 D では,LAN インターコネクトを使用するクラスタの管理方法を説明しています。
第 1 章 | スタンドアロンの Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアの管理と TruCluster Server の管理との違いについて説明します。 |
第 2 章 | クラスタ管理用のグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) とコマンド行ツールについて説明します。 |
第 3 章 | ネットワーク・アプリケーションから単一システムとしてクラスタを参照するためのクラスタ別名サブシステムの使用方法について説明します。 |
第 4 章 | クラスタの可用性を維持するために,クォーラムおよびボートを管理する方法について説明します。 |
第 5 章 | クラスタ・メンバの構成,管理,および削除方法について説明します。 |
第 6 章 | クラスタ内のメンバおよびクライアント・ネットワークの構成および管理方法について説明します。 |
第 7 章 | クラスタ内のメール,プリント,およびその他のサービスの構成方法について説明します。 高可用性ネットワーク・サービスの提供方法についても説明します。 |
第 8 章 | 高可用性アプリケーションの管理に関連する日常の作業について説明します。 |
第 9 章 | クラスタ・ファイル・システムとデバイス要求ディスパッチャの管理方法について説明します。ストレージ・デバイスの追加および削除方法と,ディスク・サーバの負荷分散方法についても説明します。 |
第 10 章 | クラスタ内での LSM (Logical Storage Manager) ソフトウェアの使用に関する重要な相違点について説明します。 |
第 11 章 | TruCluster Server に起こりやすい問題の調査および解決方法について説明します。 |
付録 A | TruCluster Server システムに固有のイベントを一覧に示します。 |
付録 B | TruCluster Server で提供されている構成変数を一覧に示します。 |
付録 C | クラスタ・メンバの削除ログ
/cluster/admin/clu_delete_member.log
の例を示します。 |
付録 D | LAN のクラスタ管理について説明します。 |
クラスタの構成,インストール,および管理作業には,TruCluster Server 関連の次のマニュアルも参考になります。
『TruCluster Server QuickSpecs』 -- TruCluster Server バージョン 5.1B 製品についてのわかりやすい説明が記載されています。
『QuickSpecs』の最新版は,次の URL から入手することができます。 http://tru64unix.compaq.com/docs/pub_page/spds.html.
『クラスタ概要』 -- TruCluster Server システムの効果的な管理に必要な概念について説明しています。このマニュアルはクラスタのインストール前に参照してください。
『クラスタ・リリース・ノート』 -- TruCluster Server ソフトウェア製品の新しい機能,制限事項,およびその他の重要な情報を記載しています。
『クラスタ・ハードウェア構成ガイド』 -- クラスタのメンバとして追加するプロセッサの構成方法と,クラスタの共用ストレージの構成方法について説明しています。
『クラスタ・インストレーション・ガイド』 -- クラスタに参加するシステムに TruCluster Server ソフトウェアをインストールする方法について説明しています。
『クラスタ高可用性アプリケーション・ガイド』 -- アプリケーションを高可用性アプリケーションにする方法について説明しています。分散ロック・マネージャ (DLM) で提供されているアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API),クラスタ別名,および Memory Channel サブシステムについも説明しています。
TruCluster Server に関するドキュメントの最新版は,次の URL から入手することができます。
http://www.tru64unix.compaq.com/docs/pub_page/cluster_list.html
TruCluster Server システムの管理と Tru64 UNIX バージョン 5.1B システムの管理は良く似ています。 そのため,Tru64 UNIX バージョン 5.1B オペレーティング・システム関連の次のマニュアルも参考になります。
『リリース・ノート』
『システム管理ガイド』
『ネットワーク管理ガイド:接続編』
『ネットワーク管理ガイド:サービス編』
『Logical Storage Manager』
『AdvFS 管理ガイド』
『システムの構成とチューニング』
『セキュリティ管理ガイド』
『プログラミング・ガイド』
『Sharing Software on a Local Area Network』
Advanced Printing Software 『リリース・ノート』
ストレージの管理には,次のマニュアルが参考になります。
POLYCENTER Advanced File System Utilities 『Reference Manual』
POLYCENTER Advanced File System Utilities 『Release Notes』
POLYCENTER Advanced File System Utilities 『Installation Guide』
本書では次の表記法を使用します。
#
番号記号は root としてログインした場合のシステム・プロンプトを表します。
%
cat
対話式の例における太字(ボールド体)は,ユーザが入力する文字を示します。
イタリック体 (斜体) は,変数値,プレースホルダ,および関数の引数名を示します。
垂直の反復記号は,実際には存在する例の一部が省略されていることを示します。
cat
(1)リファレンス・ページの参照には,該当するセクション番号をカッコ内に示します。
たとえば,
cat
(1)cat
コマンドについての情報が,
リファレンス・ページのセクション1に記載されていることを示します。
四角で囲まれたキー名はユーザがそのキーを押すことを示します。