C    システム・ファイルの変更

TruCluster Server バージョン 5.1B ソフトウェアをインストールすると,次のシステム構成ファイルとインストール関連ファイルが作成または変更されます。

/.rhosts

このファイルが存在しない場合は,clu_create が作成します。 clu_create コマンドを実行すると,クラスタ別名に関連付けられている完全修飾ホスト名が追加されます。clu_create または clu_add_member コマンドを実行すると,各クラスタ・インターコネクト・インタフェースに関連付けられている IP 名 (LAN インターコネクトが複数の場合は複数の IP 名) が追加されます。

/cluster/admin/.membern.cfg

これらのファイルは,インストール構成ファイルであり,メンバごとに 1 つずつあります。このファイルは clu_create または clu_add_member によって作成および追加されます。各ファイルには,そのメンバに対して clu_create または clu_add_member を実行したときの選択内容を示した,名前と値のペアがリストされます。

これらのファイルは,clu_create および clu_add_member によって保守されます。このファイルは編集しないでください。

/cluster/admin/.member.list

このテキスト・ファイルは,割り当てられているクラスタ・メンバ ID を追跡するために,clu_create および clu_add_member が使用します。

このファイルは clu_create および clu_add_member によって保守されます。このファイルは編集しないでください。

/cluster/admin/clu_check_config.log

このログ・ファイルは,clu_check_config によって保守されます。

/cluster/admin/clu_create.log

このログ・ファイルは,clu_create によって保守されます。clu_create を実行するたびに,このファイルにセッションのログが追加されます。

/cluster/admin/clu_add_member.log

clu_add_member によって保守されるログ・ファイル。clu_add_member を実行するたびに,このファイルにセッションのログが追加されます。

/cluster/admin/clu_upgrade

clu_upgrade は,完了したアップグレードのログ・ファイルをこのディレクトリに保存します。

/cluster/admin/clu_upgrade.log

このログ・ファイルは,clu_upgrade によって保守されます。clu_upgrade は,ローリング・アップグレードが完了すると,このログ・ファイルを /cluster/admin/clu_upgrade/history/release_version ディレクトリに移動します。

/etc/fdmns

clu_create コマンドは,クラスタ単位のルート (/),/usr/var,およびオプションの i18n の各ファイル・システム,および第 1 クラスタ・メンバ用のドメイン・ディレクトリを作成します。clu_add_member コマンドは,追加された各メンバ用のドメイン・ディレクトリを作成します。

/etc/gated.conf

Tru64 UNIX システム上で gated を構成した場合は,このファイルが第 1 メンバにコピーされ,残りのメンバにも継承されます。gated が構成されていない場合は,インストレーション・スクリプトによって各メンバ用のものが作成されます。クラスタ内では,/etc/gated.conf は,/cluster/members/{memb}/etc/gated.conf をターゲット・ファイルとする CDSL です。

注意

aliasd デーモンにより,それぞれのクラスタ・メンバ用に /etc/gated.conf.membern が 1 つずつ作成されます。このデーモンは,メンバの /cluster/members/{memb}/etc/gated.conf ファイルではなく,このファイルを gated の構成ファイルとして使用して,gated を起動します。

/etc/hosts

clu_create および clu_add_member コマンドを実行すると,各メンバのクラスタ・インターコネクト・インタフェースに関連付けられている IP アドレスおよびインタフェース名 (LAN インターコネクトが複数あれば複数のアドレスおよび名前) が追加されます。clu_create コマンドの場合は,省略時のクラスタ別名に対する IP アドレス,完全修飾ホスト名,および未修飾ホスト名も追加されます。

/etc/ifaccess.conf

clu_create および clu_add_member は,クラスタ・メンバ上にあるすべての非クラスタ・インターコネクト・ネットワーク・インタフェースのための deny エントリを追加します。deny エントリは,クラスタ外部から入ってくる IP パケットが,それらのインタフェースを介してクラスタ・インターコネクトに送信されないようにします。

/etc/inittab

clu_createclu_add_member はどちらも,cms (クラスタ・マウント・サービス) 用の sysconfig コマンド行を追加します。

/etc/rc.config

このファイルは,clu_create により,Tru64 UNIX を実行しているシステムから第 1 クラスタ・メンバにコピーされます。その他のすべてのメンバについては,clu_add_member によって .new..rc.config から作成されます。インストール時に設定される構成変数のリストは,表 C-1 に示します。

/etc/sysconfigtab

インストール・スクリプトは,sysconfigtab 属性をいくつか初期化します。スクリプトによって情報の入力を求められる属性と,暗黙的に値が設定される属性があります (インストレーション・プロシージャが初期化する構成変数についての詳細は,表 C-2 を参照してください)。

/etc/sysconfigtab.cluster

clu_create および clu_add_member コマンドは,cluster_expected_votes の値を設定します。

表 C-3 に,インストレーション・プロシージャによって初期化される構成変数のリストを示しています。

/sys/conf/HOSTNAME.list

このファイルは,インストレーション・プロシージャによって doconfig プログラムが呼び出される前に,クラスタ・ソフトウェアをカーネルに登録します。HOSTNAME は,システムのホスト名です。

/sys/HOSTNAME/vmunix

新しいカーネルは,/sys/HOSTNAME/vmunix に構築され,その中に置かれます。HOSTNAME は,インストール時に指定した構成ファイルの名前です。clu_create および clu_add_member コマンドは,各メンバの vmunix ファイルを,そのメンバのブート・パーティションにコピーします。

表 C-1 に,clu_create または clu_add_member が作成または変更する /etc/rc.config 変数を示します。

表 C-1:  /etc/rc.config の変数

変数 コメント
BASE_VERSION TruCluster Server がインストールされている Tru64 UNIX オペレーティング・システムのバージョン。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
CLU_BOOT_FILESYSTEM このメンバのブート・ディスクのドメインおよびファイル・セット。clu_create および clu_add_member の両方で設定される。
CLU_NEW_MEMBER インストール時には 1 に設定される。メンバを初めてクラスタにブートした後に 0 に設定される。
CLU_VERSION インストールされた TruCluster Server 製品のバージョン番号。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
CLUSTER_NET システムの仮想クラスタ・インターコネクト・インタフェースの IP 名。インストール時に CLUSTER_NETエントリが追加され,その値には,ユーザが指定したインタフェース名が設定される。
GATED Tru64 UNIX システム上で GATED および ROUTED のいずれも yes に設定されていない場合,GATEDclu_create により yes に設定される。clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
GATED_FLAGS clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
HOSTNAME メンバを追加した場合に,ユーザが指定した値に設定される。
IFCONFIG_n クラスタの仮想インターコネクト・インタフェースの IP アドレスとネットマスク。インストレーション・プロシージャが,IFCONFIG_n エントリを追加する。
IMC_AUTO_INIT 1 に設定すると,システムのブート時に必ず libimc が自動的に初期化される。この初期化時には,約 4.5 MB がライブラリ用に予約される。初期化時における省略時の値は 0 で,ライブラリは初期化されない。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
IMC_MAX_ALLOC クラスタ内での libimc による使用のために割り当てる Memory Channel アドレス空間の最大総容量を,MB 単位で指定する。この変数の値がクラスタのメンバ間で異なる場合は,指定した最大値が使用される。インストール時の省略時の値は 10。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
IMC_MAX_RECV libimc が Memory Channel アドレス空間の読み込みのためにマップできる物理メモリの最大総容量を,MB 単位で指定する。この上限はノードによって異なる。インストール時の省略時の値は 10。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member で現在のメンバの値に設定される。
MAX_NETDEVS 設定されていないと,clu_add_member によって 24 に設定される。
NETDEV_n システムの仮想クラスタ・インターコネクト・インタフェースのネットワーク・デバイス名 (ics0)。インストレーション・プロシージャにより NETDEV_n エントリが追加される。LAN インターコネクトで既存の NetRAIN セットを指定すると,インストレーション・プロシージャは,そのセットに関連付けられている NETDEV_n エントリを使用する。
NRCONFIG_n NetRAIN インタフェース・セットのインタフェース。メンバが LAN インターコネクトに対して既存の NetRAIN セットを使用する場合は,clu_create によってクリアされる。クラスタ用の NetRAIN は /etc/rc.config ではなく /etc/sysconfigtab で定義されている。
NRDEV_n NetRAIN インタフェース名。メンバが LAN インターコネクトに対して既存の NetRAIN セットを使用する場合は,clu_create によってクリアされる。クラスタ用の NetRAIN は /etc/rc.config ではなく /etc/sysconfigtab で定義されている。
NR_DEVICESn NetRAIN デバイスの数。メンバが LAN インターコネクトに対して既存の NetRAIN セットを使用する場合は,clu_create によってクリアされる。クラスタ用の NetRAIN は /etc/rc.config ではなく /etc/sysconfigtab で定義されている。
NUM_NETCONFIG 構成されたネットワーク・デバイスの数。クラスタ・インターコネクトに対して既存の NetRAIN セットを指定しなければ,NUM_NETCONFIG の値は,clu_create コマンドにより増分される。clu_add_member コマンドは NUM_NETCONFIG の値を 1 に設定する。
PAGERAW clu_add_member によって 1 に設定される。
ROUTER 現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在の値に設定される。
TCR_INSTALL この値が TCR であれば,インストールが成功したことを示す。この値が BAD であれば,インストールが成功しなかったことを示す。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
TCR_PACKAGE TCR に設定される。現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
XLOGIN 現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
XNTPD_CONF 現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。現在のメンバに対して設定されない場合,YES に設定される。
XNTPD_OPTS 現在のメンバに対して設定される場合,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。現在のメンバに対して設定されない場合,-g に設定される。
XNTP_SERVn クラスタのメンバはすべてお互いにピアとして構成される。各メンバの ntp.conf ファイルには fudge コマンドが置かれ,構成されるサーバが 3 台より少ない場合は,サーバ 127.127.1.0 が各メンバの rc.config ファイルに追加される。

表 C-2 に,clu_create または clu_add_member が作成または変更する /etc/sysconfigtab 変数を示します。

表 C-2:  /etc/sysconfigtab の属性

サブシステム 属性 コメント
clubase cluster_interconnect クラスタのノード間通信に使用するインターコネクトの種類。LAN インターコネクトを使用する場合は,clu_create および clu_add_member コマンドにより,この属性が tcp に設定される。Memory Channel を使用する場合は mct に設定される。
  cluster_name 未修飾のクラスタ名。clu_create および clu_add_member の両方により設定される。
  cluster_expected_votes クラスタ・メンバが保持するすべてのボートの合計数に,(構成されていれば) クォーラム・ディスクに割り当てられたボート数を加算したもの。
  cluster_node_inter_name このメンバのクラスタ・インターコネクト・インタフェースに関連付けられている IP 名。たとえば,polishham-ics0。インストレーション・プロシージャにより,この情報を入力するプロンプトが表示される。
  cluster_node_name このメンバの未修飾ホスト名。
  cluster_node_votes 1 つのノードがクォーラムに占める固定ボート数。ゼロ以外の値を与えられたノードは,投票メンバとみなされる。
  cluster_qdisk_major クォーラム・ディスク上の h パーティションの主デバイス番号。
  cluster_qdisk_minor クォーラム・ディスク上の h パーティションの副デバイス番号。
  cluster_qdisk_votes クォーラム・ディスクがクォーラムに占める固定ボート数。
  cluster_seqdisk_major メンバのブート・ディスク上にある h パーティションの主デバイス番号。
  cluster_seqdisk_minor メンバのブート・ディスク上にある h パーティションの副デバイス番号。
drd drd_nopr_list デバイス要求ディスパッチャ・サブシステムが持続的な予約を実行しないデバイスに対するハードウェア ID リストの最初のエントリ。現在のメンバに対して設定される場合は,clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
generic act_vers_high クラスタ内での変更の同期をとるため,アップグレード時に使用されるバージョン番号。変更しないこと。
  act_vers_low クラスタ内での変更の同期をとるため,アップグレード時に使用されるバージョン番号。変更しないこと。
  memberid このメンバのクラスタ・メンバ ID (memberid)。 各メンバには固有の memberid (1 - 63) を付けなければならない。インストレーション・プロシージャにより,この属性の値を入力するプロンプトが表示される。
  msgbuf_size 16384 より小さい場合は,clu_create によって 16384 に設定される。clu_add_member によって現在のメンバの値に設定される。
  new_vers_high クラスタ内での変更の同期をとるため,アップグレード時に使用されるバージョン番号。変更しないこと。
  new_vers_low クラスタ内での変更の同期をとるため,アップグレード時に使用されるバージョン番号。変更しないこと。
  rolls_ver_lookup clu_create および clu_add_member によって,0 に設定される。ローリング・アップグレードまたはパッチ中にタグ付きファイルを使用するメンバについては,clu_upgrade コマンドによって 1 に設定される。メンバがロールされると clu_upgrade によって 0 に再設定される。 変更しないこと。
ics_ll_tcp ics_tcp_inetaddr0 clu_createclu_add_member によって物理クラスタ・インターコネクト・デバイスの IP アドレス (10.1.0.1 など) に設定される (LAN インターコネクトのみ)。
  ics_tcp_netmask0 クラスタ・インターコネクトのサブネット・マスク。clu_createclu_add_member によって 255.255.255.0 に設定される (LAN インターコネクトのみ)。
  ics_tcp_adapter0 物理クラスタ・インターコネクト・デバイス名 (tu0nr0 など)。clu_create および clu_add_member によって設定される (LAN インターコネクトのみ)。
  ics_tcp_nr0 ics_tcp_adapter0 属性が NetRAIN セットを示している場合,この属性は,そのセットを構成するネットワーク・アダプタのデバイス名を示す配列になる (LAN インターコネクトのみ)。
lsm lsm_rootdev_is_volume clu_create および clu_add_member によって 0 に設定される。
sec acl_mode 設定する場合は,現在のシステムまたはメンバの値に設定する。設定しない場合は,disable を設定する。clu_create および clu_add_member によって設定される。
vm swapdevice このメンバのスワップ・デバイス。インストレーション・プロシージャにより,このメンバのブート・ディスクとしてユーザが指定したデバイスの b パーティションが,この属性の値として使用される。
  vm_page_free_reserved 値が 20 未満の場合,clu_create および clu_add_member によって 20 に設定される。
  vm_page_free_min 値が 30 未満の場合,clu_create および clu_add_member によって 30 に設定される。

表 C-3 に,clu_create または clu_add_member が作成または変更する /etc/sysconfigtab.cluster 変数を示します。

表 C-3:  /etc/sysconfigtab.cluster の属性

サブシステム 属性 コメント
clubase cluster_expected_votes クラスタ・メンバが保持するすべてのボートの合計数に,(構成されていれば) クォーラム・ディスクに割り当てられたボート数を加算したもの。clu_create および clu_add_member により設定される。