ネットワーク・サービスの問題解決を支援するため,このオペレーティング・システムは,次の各タスクを実行するツールを備えています。
以下の節では,これらのタスクに関連するツールの使用方法について説明します。
ネットワークの接続とネットワーク・ハードウェアの診断に使用できるその他のツールについては,『ネットワーク管理ガイド:接続編』を参照してください。
10.1 UUCP リモート接続のテスト
UUCP リモート接続をテストすると,UUCP の問題の診断に役立つことがあります。 たとえば,転送要求のバックログがキューに残っている原因を突き止めるのに使用できます。
リモート接続をテストするには,次の手順に従ってください。
root でログインします。
cd
コマンドを使用して,/usr/lib/uucp
ディレクトリに移動します。
uutry
コマンドを使用して,リモート接続をテストします。
次の構文を使用してください。
uutry
system_name
system_name 変数には,交信するリモート・システム名を指定します。
デバッグ用出力を確認します。
トランザクションの状態は,最後の行に表示されます。
使用しているローカル・システムがリモート・システムとの接続の確立に成功すると,大量の情報が出力されます。
uutry
のシェル・スクリプトを中止するには,[Ctrl/c]を押します。
uutry
コマンドの特性は,次のとおりです。
/usr/lib/uucp
ディレクトリに格納されているシェル・スクリプトです。
デバッグ・モードでリモート・システムとの交信を試みます。
指定された時間間隔で自動的に
uucico
デーモンを起動するために,
UUCP スケジューラである
uusched
を使用している場合には,uutry
コマンドは
/usr/spool/uucp/.Status/system_name
に指定されている,再試行の間隔を無視します。
uutry
コマンドを頻繁に使用する場合には,.profile
ファイルの
PATH
エントリにこのコマンドのパス名を指定します。
デバッグ情報を
/tmp/system_name
ファイル (system_name
はローカル・システムの名前) に書き込み,tail -f
コマンドを呼び出してこのファイルの内容を表示します。
使用しているローカル・システムがリモート・システムと交信できない場合は,次の手順に従ってください。
ローカル・システムとリモート・システム間の物理的な接続を確認します。 両方のシステムについて,コンピュータの電源が入っていること,すべてのケーブルが正しく接続されていること,ポートが使用可能になっていること,およびモデム(使用している場合) が動作していることを確認します。 リモート・システムが同じサイトにない場合は,リモート・システムのシステム管理者にお問い合わせください。
両方のシステムについて,すべての構成ファイルの確認を行います。
ファイル
Devices
,Systems
,および
Permissions
のすべてのエントリが正しいことを確認します。
モデムを使用している場合は,ファイル
Dialers
および
Dialcodes
のすべてのエントリについて確認します。
TCP/IP 接続を使用している場合は,各構成ファイルに正しい TCP エントリが含まれていることを確認します。
また,inetd
デーモンによって
uucpd
デーモンがスタートされることを確認します。
/etc/inetd.conf
ファイルを編集して,uucp
エントリに相当する行の行頭にあるコメント文字(#)を削除します。
次に示すコマンドを使用して,inetd
デーモンを再起動します。
# /sbin/init.d/inetd start
uutry
コマンドによって得られたデバッグ用出力は,はっきり問題が解決できたことがわかるまで,保存しておいてください。
次に,host6 システムに対するリモート接続のテストが成功した例を示します。
# /usr/lib/uucp/uutry host6
.
.
.
Conversation Complete: Status SUCCEEDED
次に,host6 システムに対するリモート接続のテストが失敗した例を示します。
# /usr/lib/uucp/uutry host6
.
.
.
mchFind called (host6) conn (host6) getto ret -1 Call Failed: CAN'T ACCESS DEVICE exit code 101 Conversation Complete: Status FAILED
UUCP ファイル転送を監視すると,特にリモート UUCP 接続がすでに確立されている場合などに,UUCP に関するその他の問題を診断できます。
ファイル転送を監視するには,次の手順に従ってください。
uustat -q
コマンドを使用して,ローカル・システムのスプール・ディレクトリにあるファイルの状態を確認します。
uutry
system_name
コマンドを使用して,ローカル・システムがリモート・システムと交信できることを確認します。
デバッグ用出力によって,接続が失敗したことが示された場合は,10.1 節の手順に従ってリモート接続をテストします。
uucp -r
コマンドを使用して,転送するファイルを準備します。
-r
オプションを使用すると,uucp
ユーティリティは,uucico
デーモンをスタートさせないでファイルをキューに置きます。
uutry
コマンドを使用して,ファイル転送を開始します。
uutry
コマンドについての詳細は,
uutry
(1)
次に,test1 ファイルをシステム host6 に転送する例を示します。
# uucp -r test1 host6! ~/test1 # /usr/lib/uucp/uutry host6
カーネルとハードウェアのエラーを診断するには,エラー発生前に記録されたシステム・イベントを参照します。
カーネルとシステム・ハードウェアに関連するエラー・メッセージや,システムの状態,スタートアップ,および診断に関する情報メッセージなどの,システム・イベントによるメッセージは,エラー・ログ・ファイル (/var/adm/binary.errlog
) に記録されます。
このログ・ファイルはバイナリ形式のため,オペレーティング・システムには専用ユーティリティ (Compaq Analyze および DECevent) が用意されています。
これらのユーティリティは,バイナリ・ログ・ファイルを読み取り,データを変換して情報を表示します。
Compaq Analyze および DECevent についての詳細は,それぞれ
ca
(8)dia
(8)
省略時の設定では,これらのユーティリティをオペレーティング・システムで利用することはできません。 個別にインストールする必要があります。
Compaq Analyze は,Associated Product CD-ROM に収録されている一連の診断ユーティリティである WEBES (Web-Based Enterprise Services) キットの一部です。 WEBES キットについての詳細は,次の URL を参照してください。
http://www.compaq.com/support/svctools/webes
DECevent は,Associated Product CD-ROM に収録されているほか,Web サイトからダウンロードすることもできます。 DECevent キットについての詳細は,次の URL を参照してください。
http://www.compaq.com/support/svctools/decevent
DECevent と Compaq Analyze で変換したエラーをイベント・ビューアで表示する方法については,『システム管理ガイド』を参照してください。
また,これらのユーティリティを使用しないで表示する方法については,
uerf
(8)10.4 syslogd デーモンのメッセージ・ファイルの表示
IPv4 (Internet Protocol Version 4) や IPv6 (Internet Protocol Version 6) のアクセス制御の問題など,セッション層で発生した問題の診断には,syslogd
デーモンが役立ちます。
syslogd
デーモンは,システムのブート時と,システムがハングアップ・シグナルを受信したときに起動されます。
このデーモンは特に指定しなければ,これらのイベントのシステム・メッセージを,/var/adm/syslog.dated
ディレクトリ内のファイル群に (/etc/syslog.conf
ファイルの指定に応じて) 記録します。
システム・メッセージは,メッセージに含まれている優先順位コードに応じて,エラー状況や警告を示します。
システム・メッセージ・ファイルの内容はコマンド行から参照することもできますが,ファイルへのアクセスが簡単になることや,特定の問題を見つけやすくなることから,SysMan Menu ユーティリティの一部であるイベント・ビューアを使用して表示します。 イベント・ビューアを起動するには,1.2.1 項で説明されている手順に従って SysMan Menu を起動し,[Monitoring and Tuning-->View events] を選択します。 次のコマンドをコマンド行で実行してイベント・ビューアを起動することもできます。
# /usr/bin/sysman event_viewer
イベント・ビューアが表示されると,ログ・エントリのソートや,エントリのフィルタ(確かなイベント名,優先レベル,ポストしているホストまたは日付について),個々のエントリについてのさらに詳細な情報を得るのに使用することができます。
イベント管理とシステム・ログ・ファイルへのアクセス方法についての詳細は,
evm
(5)syslogd
(8)