システム管理者の重要な作業の 1 つに,損失または破壊したファイルの回復作業のサポートがあります。 この作業を効果的に行うには,ファイルを頻繁にかつ定期的にバックアップするための手順を設定しておく必要があります。 この章では,常駐のコマンドおよびユーティリティを使用してファイルやディレクトリをバックアップ (アーカイブ) およびリストアする方法について説明します。
重大な障害が発生した場合に,オペレーティング・システム全体およびユーザ・ファイルを正常な動作に復旧させるための手順を,障害復旧計画としてあらかじめ設計し,運用できるようにしておくことが大切です。 障害復旧計画は,サイトの運用形態やビジネスの必要条件によって大きく異なりますので,この章では説明していません。 ただし,バックアップは,このような計画を立てる際の重要な要素です。
この章では,以下の項目について説明します。
バックアップ作成時の手順とオプションの概要 (9.1 節)
バックアップ作成時の主な作業 (9.2 節)
バックアップ・スケジュールの設定方法 (9.3 節)
バックアップの作成方法 (9.4 節)
読んでおく必要のある他の参考資料,作成しておくシステム・ファイル,関連するユーティリティ,および事前に行うべき作業など,バックアップの準備に必要な情報 (9.5 節)
バックアップを実行する
dump
コマンドの使用方法 (9.6 節)
バックアップからデータを復元する
restore
コマンドの使用方法 (9.7 節)
ファイル・システム全体でなく,個々のファイルやディレクトリのアーカイブが可能なコマンドの使用方法 (9.8 節)
ファイルやディレクトリをアーカイブするためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースである,dxarchiver
の使用方法 (9.9 節)
ルート・ファイル・システム,および障害復旧の際に役立つ重要なシステム・ファイルの,ブート可能なバックアップである,ブート可能テープの作成方法 (9.10 節)
この章では,UFS ファイル・システムを使用しているシステムの基本的なバックアップ操作について説明します。 使用しているシステムが次のいずれかの条件に該当する場合は,他のバックアップおよびリストア・ユーティリティも使用する必要があります。
AdvFS (Advanced File System) ファイル・システムを単独で使用しているか,システムに接続されているディスクの一部で AdvFS ドメインを使用している場合は,『AdvFS 管理ガイド』を参照してください。 AdvFS ファイル・システムを使用すると,ドメインのクローニングなどの,より多くのバックアップ機能を利用できます。 UFS ファイル・システムの欠点の 1 つに,バックアップ中の UFS ファイル・システムへのアクセスを防がなければならないことがあります。 バックアップ処理中にファイルにアクセスすると,そのファイルに行った変更がバックアップに記録されないことがあります。 UFS ファイル・システムのバックアップを厳密に行うには,ディスクをオフラインにするか,システムをシャットダウンしてシングルユーザ・モードにしなければなりません。 システムをシャットダウンするスケジュールを設定できない場合は,AdvFS ファイル・システムを使用してください。
LSM (Logical Storage Manager) を使用している場合は,『Logical Storage Manager』を参照してください。 ボリュームのミラーリングなどの LSM の機能を使用すると,UFS でのバックアップ上の制限のうちの一部が解消できます。 たとえば,別のディスク上にファイル・システムのミラーリングを行うと,UFS ファイル・システムの正確なスナップショットを即座に得ることができます。 その後,いつでもミラーを中断し,アーカイブを作成することができます。 このとき,システムの運用の一時停止は,短くてすみます。 LSM を使用するとディスク・スペースのスペアが必要になるため,ディスクの数が少ない小規模なシステムには適していません。
ルート・ボリュームをバックアップして別のシステムへリストアする場合は,構成のクローニングが使用できます。 この機能は,『インストレーション・ガイド -- 上級ユーザ編』で説明されています。 構成のクローニングを使用すると,障害時に別のプロセッサ上にカスタマイズ済みのオペレーティング・システムを再作成したり,1 つまたは複数のシステムに環境を再作成することができます。
この章では,ベース・オペレーティング・システムをインストールしたときに提供されるバックアップ・ユーティリティおよびアーカイブ・ユーティリティについてだけ説明します。
「Associated Products」CD-ROM には,追加のバックアップ・アプリケーション (さらにライセンスが必要な可能性があります) が入っていることがあります。 詳細は,『インストレーション・ガイド』を参照してください。 サードパーティ製品の使用方法については,バックアップ・アプリケーションに付属のドキュメントを参照してください。
バックアップとリストア操作の主な作業は,以下のとおりです。
データ回復と障害復旧の計画の作成
以下の手順で構成される,データのバックアップ
バックアップ・スケジュールの選択
pax
,tar
,cpio
コマンド,または対応するグラフィカル・ユーザ・インタフェースである
dxarchiver
を使用した,小さいアーカイブの作成
dump
ユーティリティによる,UFS のフル・バックアップの実行
増分バックアップの実行
リモート・バックアップの実行
バックアップ・ツールの使用
特に以下のデータのリストア
小さいアーカイブからのファイルのリストア
ダンプからのファイル・システムのリストア
新しいパーティションでのダンプしたファイル・システムのリストア
ファイルのリストア
ファイルの対話式リストア
リモート・リストアの実行
ブート可能テープからのスタンドアロン・システムのリストア
基本バックアップでは,dump
および
restore
コマンドを使用できます。
サポートされているすべてのコマンド・オプションについての詳細は,
dump
(8)
バックアップと復元の手法で重要なこととして,データの損失を防止することがあります。 データの損失につながる可能性のある状況の発生を予防する上で有用な,システムをモニタするツールが各種あります。 たとえば,システムによっては環境のモニタリングをサポートしています。 また,周辺機器のテストや試験を行なうツールもあります。 また,イベントやエラーのロギング・システムもあり,バックアップ障害のような優先イベントに対してシステムをモニタするように構成できます。 自身のシステムやサイトに,イベント報告の手法をセットアップする方法については,Event Manager の使用方法について説明している第 13 章を参照してください。 Event Manager は,バックアップが成功したことの報告にも使えるので,スケージュールどおりにバックアップが行われたことを確認できます。
システムのすべてのファイル,ユーザ・ファイル,およびシステム・ファイルが失われないようにする必要があります。 システム・ソフトウェアを含めて,システム全体をバックアップしておく必要があります。 多くのシステム・ファイルは静的です。 つまり,一度インストールされると,変更されることはありません。 したがって,データ・ファイルほどには頻繁にバックアップする必要がありません。 増分バックアップも可能です。 これは,データが短時間に大きく変化する場合に検討する必要があります。
各ファイル・システムのバックアップは 1 つのプロセスとして実行されます。
バックアップ・プロセスを簡単にするには,定期的にバックアップするファイル・システムに動的なファイルを置き,必要に応じてバックアップするファイル・システムには静的な (システムまたはプログラム) ファイルを置くように,ファイル・システム構成を設定します。
しかし,必要に応じてバックアップを行うファイル・システムの中に,動的なファイルが混ざっていることがあります。
この場合,動的なファイルを定期的にバックアップするには,定期的にバックアップするファイル・システムに動的なファイルをコピーしてから,バックアップを実行する必要があります。
こうすることによって,ファイル・システム全体をバックアップすることなく,動的なファイルをバックアップできます。
シェル・スクリプトを記述してこの処理を自動化することもできます。
また,cron
コマンドを使用してスケージュールを自動化することができます。
詳細は,
cron
(8)9.3 バックアップ・スケジュールの選択
各ファイル・システムのバックアップの間隔を決定する場合,ユーザの時間やデータが失われた場合の影響の大きさと,バックアップに要する時間を比較検討する必要があります。 最低限保存しておくべき情報量が決まると,最低限のバックアップ間隔が決まります。 ほとんどのシステムではバックアップは毎日行いますが,他の間隔も選択できます。
増分バックアップの場合は,バックアップのたびにファイル・システムの全ファイルをバックアップする必要はありません。
前回のバックアップ以降変更されたファイルのみをバックアップします。
dump
コマンドと
restore
コマンドを使用して,最高で 9 レベルの増分バックアップが実行可能です。
たとえば,レベル 0 のダンプは全体のファイル・システムをバックアップし,レベル 1 のダンプは,前回行ったレベル 0 のダンプ以降変更されたファイルをバックアップし,レベル 7 のダンプは,前回の下位レベルでのダンプ以降変更されたファイルをバックアップします。
ファイル・バックアップのスケジュールに増分バックアップを組み込むには,バックアップに要する時間およびテープ容量と,システム故障の際にシステムをリストアする時間とを比較検討する必要があります。 たとえば,連続する 10 日間のバックアップのバックアップ・レベルは次のようにスケジューリングすることができます。
[0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
]
最初の日に,全体のファイル・システム (レベル 0) を保存します。 2 日目に最初のバックアップ以降の変更内容を保存し,シーケンスを再開する 11 日目まで,その方式で継続します。 こうすることによって,最初の日以外は,バックアップに費す時間と保存するデータ量を,少なくすることができます。 しかし,10 日目にシステム障害が発生して,システム全体をリストアしなければならないとすると,10 本のテープすべてをリストアする必要があります。
ほとんどのシステムは,一般的なハノイの塔方式の変形バックアップ・スケジュールに従っています。 定期的にバックアップを取るファイル・システムすべてを,レベル 0 で月に 1 回テープにダンプします。 そして週に 1 回,レベル 1 のダンプを行い,それ以外の日は次のようなダンプ・レベルでバックアップを行います。
[...3 2 5 4 7 6 9 8 9 9 ...
]
平日にバックアップを日に 1 回だけ行う場合,毎月のバックアップ・スケジュールは次のようになります。
[0 1 3 2 5 4 1 3 2 5 4 ...
]
このスケジュールは少し複雑ですが,システム故障が 1 ヶ月のうちいつ発生してファイルが破壊されても,最高 4 本のテープをリストアするだけですみます。
もちろん,毎日レベル 0 のダンプをすれば,いつでも 1 本のテープをリストアするだけですみますが,バックアップごとに大量の時間とテープの記憶領域を必要とします。
ハノイの塔方式のスケジュールでは,ほとんどの日で,バックアップに必要な時間とテープの記憶領域が,非常に小さくなります。
9.4 バックアップの方法
データのバックアップには,必要性やローカル・システムの構成に応じて,次のようにいくつかの選択肢があります。
次のようなコマンド行インタフェースを端末から実行することができます。
dump
,rdump
,restore
,および
rrestore
tar
,pax
,および
cpio
これらのコマンドは,ファイルのアーカイブを高速に作成したり,cron
スケジューラで実行するスクリプトを作成するのに使用します。
ブート可能テープ機能
bttape
は,SysMan Menu アプリケーションであり,コマンド行,SysMan Menu または CDE から呼び出すことができます。
呼び出し方に応じて,コマンド行インタフェース,またはウィンドウ環境に適したグラフィカル・ユーザ・インタフェースで実行されます (詳細は第 1 章を参照)。
使用するコマンドは,btcreate
および
btextract
です。
ブート可能テープ機能を使用して,回復用のブート可能テープの作成,および重要なシステム・データとカスタマイズしたシステム・ファイルのバックアップを行います。 この機能は,任意の端末,および多数のウィンドウ環境から使用できるため,リモート操作に適しています。
CDE のフォルダ「アプリケーション・マネージャ - システム管理」から,「ストレージ管理」フォルダを開き「ブート・テープ」アイコンをクリックします。
これにより,bttape
ユーティリティのグラフィカル・ユーザ・インタフェースが呼び出されます。
CDE で,フロント・パネルから [アプリケーション・マネージャ] ポップアップ・メニューを開き,「デスクトップツール」フォルダを開いて,次のユーティリティを使用します。
プロジェクトまたはユーザ・アカウントをアーカイブする場合など,ファイルやフォルダを高速アーカイブするときには,「保管」を使用します。 関連するインタフェースとして「保管リストの内容」および「保管ファイルの展開」があり,これらのアーカイブを管理することができます。 これらは,いずれも最小限のオプションを備えた簡単なグラフィカル・インタフェースです。
CDE の「アプリケーション・マネージャ - システム管理」フォルダから,「日常管理」フォルダを開いてアーカイバ・ユーティリティを使用します。 アーカイバは,コマンド行ツールに対するグラフィカル・ユーザ・インタフェースであり,圧縮などのアーカイブのタイプやオプションが選択できるようになっています。 このインタフェースでは,ドラッグ・アンド・ドロップ操作でファイル・システム全体またはディレクトリ (フォルダ) をバックアップできます。
ツールによっては,スーパユーザ (root) として実行すると,追加のオプションが利用できるものがあります。
9.5 バックアップ実行の準備
以降の項では,バックアップの準備に必要な情報について説明します。 また,バックアップの準備に役立つユーティリティのリスト,および事前に行う作業についても説明します。
第 6 章では,UFS ファイル・システムについて説明しています。
『ハードウェア管理ガイド』では,ディスクおよびテープ・デバイスの使用方法と,バックアップするディスクおよびテープ・デバイスの決定方法について説明しています。
定期的なバックアップのスケジューリングについては,第 3 章の
cron
コマンドの説明も参照してください。
バックアップを実行する際に必要なその他の情報は,以降の項に記載されています。
9.5.1 関連ドキュメント
バックアップ・ユーティリティの使用に関する追加ドキュメントが,マニュアル,リファレンス・ページ,および
オンライン・ヘルプ
にあります。
9.5.1.1 マニュアル
以下のマニュアルは,アーカイブ・サービスについての役に立つ情報を含んでいます。
AdvFS ファイル・システムおよび LSM ストレージ管理の機能については,『AdvFS 管理ガイド』および『Logical Storage Manager』で説明しています。
使用している周辺機器 (たとえば,テープ・デバイス) のオーナーズ・マニュアルには重要な情報が含まれています。 このようなマニュアルには,デバイスの記憶容量,メディア・タイプ,圧縮密度,および一般的な操作手順が記載されています。
各ユーティリティには,起動方法とオプションを説明したリファレンス・ページがあります。
以下のリファレンス・ページには,ファイル・システムをテープへダンプし,それをディスクへリストアする基本的なユーティティについての情報があります。
dump
(8)rdump
(8)
vdump
(8)
restore
(8)rrestore
(8)
以下のリファレンス・ページには,アーカイブ・ファイルを作成したり操作するための基本的なユーティリティに関する情報があります。
tar
(1)
pax
(1)
cpio
(1)
以下のリファレンス・ページには,ブート可能テープ・インタフェースに関する情報があります。
btcreate
(8)
btextract
(8)
bttape
(8)
以下のリファレンス・ページには,特定の日時に実行するバックアップ・スクリプトのための
cron
エントリの作成に関する情報があります。
cron
(8)
crontab
(1)
mcutil
(1)9.5.1.3 オンライン・ヘルプ
アーカイバおよびブート可能テープのグラフィカル・ユーザ・インタフェースには,オンライン・ヘルプがあり,ユーザのオプションを説明するとともに,各ウィンドウのデータ・フィールドに入力するデータを定義しています。
9.5.2 システム・ファイル
指定したファイル・システムや作成したアーカイブ・ファイルの他に,次のファイルがバックアップの作成時に使用または作成されます。
dump
コマンドおよび
restore
コマンドは,次のファイルを作成または使用します。
/etc/dumpdates
バックアップされたファイル・システムのリスト,各ファイル・システムがバックアップされた日付,およびバックアップ・レベルが記録されています。
/tmp/rstdir*
省略時のテープに格納されているディレクトリをリストします。
/tmp/rstmode*
格納されているディレクトリの所有者,パーミッション・モード,タイムスタンプを記録します。
./restoresymtab
増分リストアまたは
rrestore
操作中に必要な情報を保持します。
ブート可能テープ機能は,次のファイルを作成または使用します。
/var/adm/btcreate.log
btcreate
プロセスのログ。
/usr/lib/sabt/sbin/custom_install.sh
ミニルートに追加するファイルを指定する。
/usr/lib/sabt/etc/addlist
ブート可能テープ上に作成されるミニルート・ファイル・システムに追加するファイルおよびディレクトリを指定する,データ・ファイル。
/usr/lib/sabt/etc/fslist
バックアップするファイル・システムを指定する,データ・ファイル。
/usr/run/bttape.pid
複数の
btcreate
ユーティリティが同時に起動されないようにする,ロック・ファイル。
バックアップを実行するとき,次のユーティリティが便利です。
SysMan Station を使用すると,システム上の使用可能なストレージ・デバイスをグラフィカルに表示できます。 このインタフェースを使用すると,ディスクおよびテープ・デバイスを識別してそれらのデバイス名を調べるのに便利です。
CDE の「アプリケーション・マネージャ -- デスクトップツール」フォルダには,「ディスクの使用状況」ツールがあります。
このツールは,du
コマンドを実行してディスク使用量のデータを返します。
/usr/users
などのディレクトリのサイズをブロック単位で調べるには,「フォルダのサイズ」オプションを使用してください。
コマンド行ユーティリティの
du
および
df
は,それと同じデータを返します。
CDE の「アプリケーション・マネージャ -- 日常管理」フォルダには,「システム情報」インタフェースがあります。 このツールは,ファイル使用量など,システム・リソースをグラフィカルに表示します。 事前に設定されたファイル使用量の制限値を超えたときに警告を表示するように,このモニタを設定することができます。 第 1 章の説明にあるように,SysMan Station を使用して,ファイル・システムをモニタすることもできます。
Event Manager は,ファイル・システムの制限を監視して問題を警告したり,自動的にファイル・システムのバックアップとクリーンアップを開始することができます。
dsfmgr
および
hwmgr
コマンド行インタフェースの dsfmgr および hwmgr により,デバイス名やディスクのパーティション・サイズなどのデバイス情報をシステムに照会することができます。
Disk Configuration GUI を使用しても,同様の情報を得ることができます。
この GUI は,CDE の「アプリケーション・マネージャ - システム設定」フォルダまたは SysMan Menu から呼び出すことができます。
このインタフェースでは,サイズの情報を M バイト,バイトおよびブロック単位で表示します。
disklabel コマンドを使用すると,コマンド行インタフェースでディスクを構成することができます。
9.5.4 事前に行う作業
次に示す事前に行う作業は,すべてのバックアップ方法に共通のものです。
インタフェースの使用方法およびコマンドの参考資料を確認する。 この参考資料はシステムのダウン時でも利用可能である必要があります。 シングルユーザ・モードで回復操作をたびたび行う必要がありますが,このモードではリファレンス・ページが利用できない可能性があります。
必要な製品またはユーティリティがすべてインストールされ構成済み (必要な場合) であることを確認する。 これを最も簡単に確認するには,ツールの呼び出し方法について説明してあるリファレンス・ページを参照し,入力なしの状態でコマンド行インタフェースを呼び出すか,またはグラフィカル・ユーザ・インタフェースを起動してテストを実行します。
テープ・ハードウェアがインストールされ構成済みであることを確認する。
確認するには,/usr/field/tapex
テープ・エクササイザを使用します。他のテスト機能についてハードウェア・マニュアルを参照してください。
9.5.3 項でリストしたハードウェア情報ツールも参照してください。
バックアップするディレクトリのサイズを調べる。 たとえば,次のコマンドを使用して調べることができます。
# df /usr Filesystem 512-blocks Used Available Capacity Mounted on /devices/disk/dsk0g 1498886 688192 660804 52% /usr # du -s -x /usr/users 1835 /usr/users
9.5.3 項でリストしたグラフィカル・ツールまたはコマンド行ツールを使用して調べることもできます。
正規のメディアを必要な数だけ用意して,バックアップするファイルを格納するのに十分な記憶容量があることを確認する。 この確認は,ディスク,または WORM ドライブや光磁気ディスク・ドライブなどの他の書き込み可能メディアへアーカイブする場合にも必要です。
アーカイブするファイルまたはディレクトリを確認し,アーカイブに適切な名前を付ける。 異なるディレクトリを 1 つのボリュームにまとめてからアーカイブする場合には,一時的に作業用のディスク・スペースが必要になる場合があります。 ただし,コマンド行を使って,アーカイブに直接まとめることもできます。 または,既存のアーカイブにディレクトリを追加することによってもできます。 使用するバックアップ・ユーティリティのマニュアルを参照してください。 ツールによっては,省略時のファイル名とロケーションが提供されるものがあります。 たとえば,ブート可能テープ・インタフェースでは次のファイル名がプロンプト表示されます。 省略時のファイル名を使用するか,または別のファイル名を入力します。
/usr/lib/sabt/etc/fslist
ミニルートに追加するファイルおよびディレクトリを指定するデータ・ファイル
/usr/lib/sabt/etc/addlist
バックアップするファイル・システムを指定するデータ・ファイル
アーカイバには次のファイルが必要です。
1 つ以上のソース・ファイルまたはディレクトリ。
CDE では,ディレクトリはフォルダとして識別されるので,/usr/lib/sabt/sbin
のような長いパス名を入力する代わりに,「File View」ウィンドウから「アーカイバ」ウィンドウにディレクトリをドラッグ・アンド・ドロップすることができます。
デスティネーション・ファイル。
ディスク上の tar ファイル
/usr/backups
,またはテープ・デバイスのデバイス名
/dev/tape/tape0_d0
。
なお,アーカイブ・ファイル名には拡張子 (接尾語) は不要です。
必要なデバイス情報を得るには,9.5.3 項
にリストされているユーティリティを使用すると便利です。
特に,システムに 2 つ以上のテープ・デバイスが接続されている場合に便利です。
アーカイブをリストア (アンパック) する場合には,アーカイブ名 (/usr/archives/userfiles_990802.Z
や,テープ・アーカイブの場合は
/dev/tape/tape0_d0
など) を指定する必要があります。
アクセスするデバイスのデバイス名と,関連するデバイス特殊ファイル。 以下に有効なデバイス名とデバイス特殊ファイルの例を示します。
デバイス名 | デバイス特殊ファイル | 説明 |
dsk0a |
/dev/disk/dsk0a |
ディスク番号 0 のパーティション A |
disk1b |
/dev/rdisk/dsk1b |
raw ディスク 1 のパーティション b |
tape0c |
/dev/tape/tape0c |
省略時設定の密度の巻き戻しをするテープ・デバイス (圧縮付き) |
tape0_d0 |
/dev/ntape/tape0_d0 |
巻き戻しをしないテープ・デバイス 0。 _d0 接尾語は,密度を指定します。 |
デバイス名は,/dev
ディレクトリの下のサブ・ディレクトリ
/disk
,/rdisk
,/tape
,または
/ntape
にあります。
9.5.3 項
にリストされているグラフィカル・ツールまたはコマンド行ツールを使って,デバイス名に合致したデバイスを探すこともできます。
注意
テープ・デバイスは,種々の記録密度および圧縮オプションを備えている場合が多いので,1 つのアーカイブに,より多くの情報を記録することができます。 テープ記録密度のオプション,およびデバイス名によって記録密度を指定する方法については,
を参照してください。 tz
(7)
フル・バックアップでは,システムのシャットダウンが必要になることがあります。
システムのバックアップは,システムがマルチユーザ・モードになっていてもシングルユーザ・モードになっていても可能です。
ただし,現在変更が行われているファイル・システムでバックアップを行うと,バックアップ・データが壊れる可能性があります。
dump
コマンドは,バックアップするファイルの i ノードを検査します。
i ノードには,テーブル・エントリおよび他の統計情報などのデータが含まれています。
dump
コマンドを使用してファイル・システム内のファイルをバックアップする場合は,各ファイルに i ノードが添付されます。
ファイルの i ノードが記録された後,ファイルのバックアップを行わないうちにシステムまたはユーザがそのファイルを変更した場合は,バックアップ・データが壊れる可能性があります。
システムのシャットダウン,ファイル・システムのアンマウント,ファイル・システムの完全性の確認などは,次の手順で行ってください。
SysMan Menu の [一般的なタスク] オプション,または
/usr/sbin/shutdown
コマンドを使ってシステムをシャットダウンします。
たとえば,システムを 5 分以内にシャットダウンし,ユーザに対して警告メッセージを定期的に送りたい場合は,次のように入力します。
# /usr/sbin/shutdown +5 'System going down to perform backups'
システムのシャットダウンの詳細については,第 2 章 を参照してください。
次のように
umount
コマンドを
-a
オプションを付けて実行し,バックアップするファイル・システムをアンマウントします。
# /sbin/umount -a
ルート・ファイル・システムはマウントされたままです。
fsck
コマンドを使用して,ファイル・システムの完全性を確認します。
たとえば,次のコマンドを使って c パーティション (ディスク全体) のファイル・システムを検査します。
# /sbin/fsck -o /dev/disk/dsk0c
dump
コマンドは,指定されたすべてのファイル・システムや,指定の日付以降に変更のあった個々のファイルおよびディレクトリを,ファイル,パイプ,磁気テープ,ディスク,またはディスケットにコピーします。
AdvFS ファイル・システムのコピーについての詳細は,『AdvFS 管理ガイド』を参照してください。
dump
コマンドを使用するには,スーパユーザの特権を持っていなければなりません。
注意
ファイル・システムを正しくバックアップするには,ファイル・システムがアクティブでないときにバックアップを行う必要があります。 ファイル・システムをアンマウントした後,ファイル・システムの一貫性を確認することをお勧めします。 また,システムをシングルユーザ・モードにしてからバックアップの作業を開始することも,1 つの方法です。 だだし,AdvFS ファイル・システムの場合はこれはあてはまりません。
すべてのシステム・ソフトウェアを含むシステム全体の各ファイル・システムのフル・バックアップを実行するスケジュールを設定してください。
システムのフル・バックアップの従来のスケジュールは,レベル 0 ダンプをハノイの塔方式を使用して 1 ヶ月に 1 回実行するというものです。
しかし,記憶媒体の信頼性に応じてスケジュールを設定することができます。
たとえば,磁気テープの信頼性は約 2 年です。
ファイル・システムをバックアップするには,dump
コマンドを使用します。
ブロック・サイズ,テープ記録密度,およびテープ長などのテープ・デバイスの特性を指定するために使用するコマンド・オプションについては,
dump
(8)dump
コマンドを使うときは,絶対パス名でファイル・システムを指定します。
dump
コマンドはファイル・システムを一度に 1 つしかバックアップできませんが,数個の
dump
プロセスを同時に使用して,複数のテープ・デバイスにファイルを書き込むことができます。
以下に,dump
コマンドでよく使用されるオプションを説明します。
ダンプ・レベルを整数 (0〜9) で指定します。
ダンプ・レベル 0 では,指定されたファイル・システムのフル・ダンプが行われます。
他のダンプ・レベルではすべて,増分バックアップが行われます。
つまり,下位のダンプ・レベルで行った前回のダンプ以降変更されたファイルのみがバックアップされます。
/etc/dumpdates
ファイルには,各ファイル・システムに対する
dump
コマンドの使用記録がダンプ・レベルとともに収められています。
dump
コマンドに
-u
オプションを付けると,dumpdates
ファイルが更新されます。
省略時のデバイス
/dev/tape/tape0_d0
ではなく,dump_file
で指定されたデバイスにダンプを書き込みます。
dump_file
にダッシュ (-
) を指定すると,dump
コマンドは標準出力に書き込みを行います。
バックアップ時に,/etc/dumpdates
ファイル内の,ファイル・システムに対するダンプ時間とダンプ・レベルを更新します。
このファイルは,増分バックアップの際にダンプ・レベルを調べるために使用されます。
必要であれば,/etc/dumpdates
ファイルを編集して,レコードやフィールドを変更することができます。
詳細については,
dump
(8)
ファイル・システム全体を省略時のバックアップ・デバイスにバックアップするには,マシンの各ファイル・システムに対して
dump
コマンドを使用します。
dump -0u
コマンド・オプションは,レベル 0 でダンプを実行し,/etc/dumpdates
ファイル内の各ファイル・システムのバックアップ時刻と日付を更新します。
これにより,次回のフル・バックアップつまりレベル 0 ダンプまでのすべての増分バックアップの基準となる始点が作成されます。
各ファイル・システムは,別々にバックアップしなければなりません。
たとえば,ルート (/
),/usr
,および
/projects
ファイル・システムのパーティションに対してレベル 0 のダンプを実行したい場合,次の手順に従ってください。
ルート・ファイル・システムをバックアップするには,以下の手順を実行します。
テープをテープ・ドライブにロードします。
次のコマンドを実行します。
# dump -0u /
バックアップ終了後,テープをテープ・ドライブから取り出します。
/usr
ファイル・システムをバックアップするには,以下の手順を実行します。
新しいテープをテープ・ドライブにロードします。
次のコマンドを実行します。
# dump -0u /usr
バックアップ終了後,テープをテープ・ドライブから取り出します。
/projects
ファイル・システムをバックアップするには,以下の手順を実行します。
新しいテープをテープ・ドライブにロードします。
次のコマンドを実行します。
# dump -0u /projects
バックアップ終了後,テープをテープ・ドライブから取り出します。
各ファイル・システムを個別のテープにバックアップすることも,出力デバイスとして
/dev/ntape/tape0_d0
を指定することによって,巻戻しをしないで 1 本のテープに複数のファイル・システムをバックアップすることもできます。
次の例では,ルート (/
),/usr
,および
/projects
ファイル・システムを 1 本のテープにバックアップします。
# dump -0uf /dev/ntape/tape0_d0 / # dump -0uf /dev/ntape/tape0_d0 /usr # dump -0uf /dev/ntape/tape0_d0 /projects
上記の例では,テープとダンプ・ファイルの相互参照,特に単一のダンプ・ファイルがメディアにまたがっている場合には,さらにメディア管理が必要です。
この種のバックアップ・メディアへのラベル付けにも注意してください。
9.6.2 増分バックアップの実行
バックアップ・スケジュールの一環として,定期的なバックアップが容易にできるように定期的なバックアップのプロセスを確立します。 バックアップとそのダンプ・レベルのログを取り,作成したテープの内容をリストする機構を組み込みます。 システムが壊れる可能性もあるため,この情報はローカル・コンピュータ・システムに保持しない方がよいでしょう。
増分バックアップをするためのプロセスが確立すると,その後のバックアップ作業は簡単になります。
次のバックアップ・スケジュールを使用して,/usr
の毎日のバックアップを行うとします。
0 1 9 9 9 1 9 9 9 9 ...
月曜日に次のコマンドを使用して,レベル 0 ダンプを実行します。
# dump -0u /usr
火曜日に次のコマンドを使用して,レベル 1 ダンプを実行します。
# dump -1u /usr
レベル 1 ダンプは,月曜日以降に変更された全ファイルをバックアップします。 水曜日から金曜日までは,次のコマンドを入力してレベル 9 のダンプを実行し,常に,火曜日のレベル 1 ダンプ以後変更された全ファイルをバックアップします。
# dump -9u /usr
省略時のテープ・デバイスではなく,/dev/tape/tape1_d0
というテープ・デバイスに同じレベル 9 のダンプを実行するには,次の例に示すように
-f
オプションを使用します。
# dump -9uf /dev/tape/tape1_d0 /usr
-f
オプションに対する引数には,ダンプを実行しているシステムのローカルなテープ・デバイスを指定します。
9.6.3 リモート・バックアップの実行
ネットワーク化されたシステム環境では,バックアップを取るために使用できるローカルのテープ・ドライブを持たないマシンもあります。
この場合,rdump
コマンドを使用して,リモートに配置されたテープ・デバイスにバックアップを取ることができます。
rdump
コマンドは
dump
コマンドとほとんど同じですが,マシン名およびそれに接続されているバックアップ・デバイスを指定するための
-f
オプションを必要とする点が異なります。
rdump
コマンドのオプションについては,
dump
(8)
rdump
コマンドは,ローカル・マシンの
/etc/dumpdates
ファイルを
dump
コマンドと同じ方法で更新します。
rdump
コマンドは,リモート・マシン上でリモート・サーバ
/usr/sbin/rmt
を起動して,記憶媒体をアクセスします
このサーバ・プロセスは透過的です。
詳細は,
rmt
(8)
bhost2 に接続されているテープ・ドライブ
/dev/rmt0h
に bhost1 から
/projects
ファイル・システムをバックアップするには,bhost1 で次のコマンドを入力してください。
アクセスするには,bhost1 の名前が bhost2 の
/.rhosts
ファイルに定義されていなければななりません。
# rdump -0uf bhost2:/dev/tape/tape0_d0 /projects
シェル・スクリプトを使用してバックアップ・プロセスを自動化することができます。
このシェル・スクリプトは,システムの変更によって
dump
コマンドがエラーを起こす可能性が少ない深夜に
cron
デーモンによって実行します。
バックアップ・シェル・スクリプトは,次のような処理に使用します。
ダンプ・レベルの決定
ダンプのシステムへの通知
テープ内容のリストの作成
オペレータに対する終了の通知
あらかじめテープ・ドライブにテープをロードしておきます。
指定した時刻に,cron
デーモンによってバックアップ・シェル・スクリプトが実行されます。
シェル・プロシージャが終了したら,バックアップ・テープを取り外し,保管してください。
バックアップ・シェル・スクリプトは,ダンプが少量で,1 本のテープに収まる場合に最も効率よく使用できます。
dump
コマンドに
-N
オプションおよび非巻戻し型のデバイスを指定して,各ダンプの完了時に自動的にテープがオフラインにならないようにする必要があります。
dump
コマンドがテープの終端に達すると,そのテープがオフラインになるため,誰かがテープを交換する必要があります。
9.7 データのリストア
バックアップ・テープからのファイルの取り出しが必要なことがあります。 また,ファイル・システム全体のリストアが必要になることもあります。 効率的なバックアップ手順を設定すると,ファイルまたはファイル・システム全体のリストアが簡単になります。
重大な問題が発生した場合には,システム全体をリストアする必要が生じます。 リストアをする前に,システムの問題の原因を調べてください。
問題の原因が判明した後,最初のブート・テープからシステムを再インストールする方法があります。 システムに付属のインストレーション・ガイドを参照してください。
システムを起動したら,システムをシステム・クラッシュの直前の状態に復元してください。
AdvFS ファイル・システムを使用している場合は
vrestore
コマンドを使用します。
AdvFS ファイル・システムのリストアについての詳細は『AdvFS 管理ガイド』を参照してください。
UFS ファイル・システムをバックアップするのに
vdump
コマンドを使用した場合は,リストアするのに
vrestore
コマンドも使用することができます。
ただし,dump
コマンドを使用した場合,ファイルの回復には
restore
コマンドを使わなければなりません。
dump
コマンドは,一度に 1 つのファイル・システムしか保存しないため,リストアしたいファイル・システムそれぞれについて
vrestore
コマンドを実行しなければなりません。
コマンド構文については,
restore
(8)9.7.1 ファイル・システムのリストア
ここでは,ディスク障害またはその他のデータ損失の後などに行う,ファイル・システムのリストアについて一般的な方法を説明します。 個々のファイルのリストアについては9.7.2 項を参照してください。
ファイル・システムをリストアするには,新しくファイル・システムを作成し,以下のコマンドを使ってダンプ・ファイルからファイル・システムをリストアします。
newfs
新規に UFS ファイル・システムを作成する。
詳細は,
newfs
(8)
mount
ファイル・システムをマウントし,一般に使用できるようにする。
詳細は,
mount
(8)
cd
現在の作業ディレクトリを変更する。
詳細は,
cd
(1)
restore
バックアップ媒体からディスクへアーカイブ・ファイルをリストアする。
詳細は,
restore
(8)
AdvFS のリストアについては『AdvFS 管理ガイド』を参照してください。
ディスクにラベルがない場合は,disklabel
コマンドを使用してラベルを書き込んだ後,新しいファイル・システムを作成する必要があります。
詳細は,
disklabel
(8)
カスタマイズしたパーティション・テーブル設定でラベルを書き込むと,ディスク全体に影響する場合がありますので注意してください。 次のコマンドで省略時のディスク・パーティション・テーブルを書き込みます。
# /sbin/disklabel -rw dsk1
disklabel
コマンドの編集オプションを呼び出して,カスタマイズしたパーティション・テーブル設定を使用します。
詳細については,第 6 章を参照してください。
ディスク設定インタフェースを使用することもできます。
詳細は,
diskconfig
(8)
次の例は,/usr/projects
というファイル・システムをテープからリストアするためのコマンドを示しています。
# disklabel -rw dsk1 # newfs /dev/rdisk/dsk1c # mount /dev/rdisk/dsk1c /usr/projects # cd /usr/projects # restore -Yrf /dev/tape/tape0_d0
データ・ファイルが失われた場合,ユーザはシステム管理者に対してファイルをリストアするよう依頼します。 ファイルの以前のバージョンをリストアするように依頼することもあります。 UFS ファイル・システムをリストアする場合,ファイル・リストアの理由にかかわらず,必要なバージョンのファイルの入っているテープを確認する必要があります。 ファイルの損失時期および最後の変更時間を確認し,バックアップ・ログを調べることによって,どのテープに必要なファイルの最新バージョンが入っているかが分かります。
-t
オプションを付けて
restore
コマンドを実行し,選択したテープに必要なファイルがあるかどうかを調べます。
-t
オプションは,テープに作成されたファイルとディレクトリのリストを作成します。
たとえば,特定のバックアップ・テープにある
/usr
ファイル・システムの
working
サブディレクトリの内容をリストするには,テープをロードして次のコマンドを入力します。
# restore -t ./working
バックアップ・テープ全体の内容のリストを作成するには,バックアップ・テープをロードして次のコマンドを入力します。
# restore -t
バックアップ・テープ作成後に,それぞれのリストを作成しておいてください。 これによって,バックアップの正常終了が確認され,そのテープにどのようなファイルが存在するか検索できます。
ファイルの位置が判明した後,そのファイル用に新しいディレクトリを作成してください。 ファイルを既存のディレクトリにリストアしようとする場合に,ファイルがすでに存在していると,既存のファイルはリストアされるファイルで上書きされます。
たとえば,working/old.file
ファイルを
/usr
ファイル・システム・バックアップ・テープから現在のディレクトリにリストアするには,バックアップ・テープをロードして次のコマンドを入力します。
# restore -x ./working/old.file
同じテープから
working
サブディレクトリの全内容をリストアするには,次のコマンドを入力します。
# restore -x ./working
ダンプ用メディアに複数のダンプ・イメージがある場合,必要なファイルが何番目のダンプ・イメージに存在するかを知っていなければなりません。 メディアの最初のダンプ・イメージの内容を調べるには,テープをロードして,次のコマンドを入力します。
# restore -ts 1
-s
オプションの後に番号
1
を付けると,最初のダンプ・イメージが指定されます。
たとえば,バックアップ・テープの 3 番目のダンプ・イメージである
/usr
ファイル・システムの
working/old.file
ファイルを,現在のディレクトリへリストアするには,バックアップ・テープをロードして,次のコマンドを入力します。
# restore -xs 3 ./working/old.file
複数のファイルを簡単にリストアするためには,restore
コマンドに
-i
オプションを付けて実行します。
このオプションは,restore
セッションを対話式で開始させます。
対話式モードには,シェル・コマンドと類似したコマンドがあります。
対話式
restore
セッションを開始するには,次のコマンドを入力します。
# restore -i
次のプロンプトが表示されます。
restore >
対話式リストア・モードでは,次のコマンド行オプションが利用可能です。
ls
[
directory
]現在のディレクトリまたは指定されたディレクトリのファイルをリストします。 ディレクトリには後ろに / (スラッシュ) が付きます。 読み取りが指定されているエントリには,先頭にアスタリスク (*) が付きます。
cd
[
directory
]現在のディレクトリを
directory
引数で指定されたディレクトリに変更します。
pwd
現在のディレクトリのパス名をリストします。
add
[
files
]現在のディレクトリのファイルまたは
files
引数に指定されたファイルを,テープから復元するファイルのリストに追加します。
add
コマンドで「読み取るように」指定すると,ファイルにアスタリスク (*
) のマークが付きます。
このアスタリスクは,ls
コマンドでファイルをリストすると表示されます。
delete
[
files
]テープから復元されるファイルのリストから,現在のディレクトリの全ファイルまたは
files
引数で指定されたファイルを削除します。
extract
現在の作業ディレクトリに,「読み取るように」指定されているファイルをテープからリストアします。
extract
コマンドは,マウントする論理ボリューム (通常は 1) を尋ねるプロンプトと,ドット(.) つまり現在のディレクトリのアクセス・モードを設定するかどうかを尋ねるプロンプトを表示します。
root
ディレクトリ全体をリストアする場合,yes
と答えます。
setmodes
読み取りファイル・リストに追加された全ディレクトリについて,所有者,アクセス・モード,およびファイル作成時刻を設定します。
ファイルはテープからまったく復元されません。
restore
コマンドが中断した場合に,このコマンドを使用してファイルを整理します。
verbose
詳細報告 (verbose) モードに切り替えます。
詳細報告モードでは,各ファイル名が標準出力にプリントされます。
省略時の設定では,詳細報告モードはオフになっています。
restore
コマンドに
-v
オプションを付けることと同じです。
help
対話式コマンドの一覧をリストします。
?
対話式コマンドの一覧をリストします。
what
テープ・ヘッダ情報をリストします。
quit
対話式リストア・セッションを終了します。
xit
対話式リストア・セッションを終了します。
xit
コマンドは,quit
コマンドと同じです。
バックアップ・テープからファイル
./working/file1
および
./working/file2
を対話形式でリストアするには,テープをロードして次のコマンドを入力してください。
# restore -i
対話式モードに入ったら,抽出したいファイルのリストに必要なファイルを追加し,リストアします。
ディレクトリを
working
に変更します。
たとえば,次のように入力します。
restore > cd working
プロンプトに対して次のようにファイル名を入力します。
restore > add file1
次のように 2 番目のファイルの名前を入力します。
restore > add file2
次のコマンドを使用して,ファイルを抽出します。
restore > extract
マウントする論理ボリュームの入力を求められます。
次の例のように,通常このプロンプトには
1
と答えます。
You have not read any tapes yet. Unless you know which volume your file(s) are on you can start with the last volume and work towards the first. Specify next volume #: 1
次に,リストア時にドット (.) つまり現在のディレクトリのアクセス・モードを設定するかどうかを聞いてきます。
例では
n
と答えています。
set owner/mode for '.'? [yn] n
ファイルが抽出された後,次のコマンドを入力して対話式セッションを終了させます。
restore > quit
上記の手順を実行すると,ファイル
file1
および
file2
が現在のディレクトリに存在します。
上記の手順を
restore
コマンドの
-F
オプションが読み取るコマンド・ファイルに記述して自動化することができます。
たとえば,次の,restore_file
というコマンド・ファイルは,前述の例で示したリストア操作を実行します。
cd working add file1 add file2 extract 1 n quit
このシェル・スクリプトを読み取って実行させるには,次のコマンドを入力します。
# restore -iF restore_file
このコマンドの実行結果は,前の対話式リストア・セッションのものと同じです。
9.7.4 ファイルのリモート・リストア
rrestore
コマンドを使用してリモート・テープ・デバイスからローカル・ディレクトリにファイルをリストアします。
rrestore
コマンドでリモート・マシン名およびそのバックアップ・デバイスを指定するには,-f
オプションが必要です。
詳細は
rmt
(8)rrestore
コマンドのオプションについての説明は9.7 節を参照してください。
バックアップ・デバイスが接続されているリモート・システムの名前と,そのリモート・システムのバックアップ・デバイスの名前を system:device の形式で指定します。
バックアップ・デバイス
/dev/rmt0h
が接続されている system2 にマウントされているバックアップ・テープから
./working/file1
ファイルを system1 にあるローカル・ディレクトリにリストアするには,system1 で次のコマンドを入力します。
system1 から system2 にアクセスできるようにするには,system1 の名前が system2 の
/.rhosts
ファイルになければならないことに注意してください。
# rrestore -xf system2:/dev/tape/tape0_d0 ./working/file1
rrestore
コマンドは,リモート・システム上でリモート・サーバ
/usr/sbin/rmt
を起動して記憶媒体にアクセスします。
9.7.5 システム (ルート) ディスクの回復または複製
以前のバージョンのオペレーティング・システムでは,SCSI バスのターゲットに従い,ドライブの物理的な位置をベースにデバイス名が割り当てられていました。 Version 5.0 以降では,デバイス名は論理的に割り当てられ,データベースに格納されています。 デバイス名とデバイスのバス・アドレスには,何も関連がありません。
ルート・ファイル・システムを正しくリストアしたり,ルート・ディスクを容量がより大きいディスクへ移動するには,デバイス・データベースを回復し,場合によってはアップデートしなければなりません。 デバイスをテープ・バックアップ・メディアからリストアする場合は,デバイス (テープ・デバイスなど) をデバイス・データベースにインストールしなければならないこともあります。
システムをリブートしてリストアしている際に,次のメッセージが表示されることがあります。
Unable to save existing hardware configuration. New configuration will be used
このメッセージは,デバイス・データベースが回復不可能なため,リストアしなければならないことを示します。
次の手順は,ルート・ディスクの回復または複製 (クローニング) を行う一般的な方法です。 次のシナリオが考えられます。
ディスクおよびルート・パーティションに損傷はないが,異なるディスク (より大きい容量の異なるモデルの場合もある) と交換したい場合。
ルート・パーティションが置かれているディスク・ドライブに損傷があり,次の処理を行わなければならない場合。
新しいディスク・ドライブ (タイプおよび容量が異なる場合もある) をインストールする。
すでにインストールされ使用可能な,代替ディスク・ドライブを選択する。
ルート・ファイル・システム (/
) と,場合によっては
/usr
ファイル・システムか
/var
ファイル・システムが壊れているが,これらのファイル・システムが置かれているディスク・ドライブが完全に機能している場合。
注意
この手順では,ネットワーク・バックアップからの回復方法は特に示していません。 また,AdvFS ファイル・システムの回復についても特に示していません。 詳細は,『AdvFS 管理ガイド』を参照してください。
次の項については,情報をご存知の場合は読まなくても構いません。
9.7.5.1 項で説明されている回復の準備方法
9.7.5.2 項で説明されている回復の要件
9.7.5.3 項で説明されている回復 (または複製) 手順
9.7.5.3 項で説明されている代替手順
システムのセットアップ方法や,システムに対する知識に応じて,次の処理が必要です。
ルート・ディスク・ドライブの交換。 この手順は,オリジナルのルート・ディスクが使用できない場合,新しい交換用のディスクがインストールされているか,すでにシステムにインストールされている代替ディスクの使用を決定していることを前提とします。 ドライブのオーナーズ・マニュアルの説明どおりに,ドライブをインストールします。 オペレーティング・システムが,自動的にドライブを検出します。
この手順では,新しいドライブまたは代替ドライブを識別するのに役立つステップがあります。
システムのファームウェアが最新版か確認します。 この情報とダウンロード・キットは,次の URL の 「Firmware Updates」 Web ページで入手できます。
http://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware
(http://www.hp.com の Web サイトに行き,「Support」オプションを選択して,この情報を検索することもできます。)
コンソール・コマンドについての情報の入手。
一部のタスクを実行するために,システム・コンソール・プロンプト (>>>
) から Alpha System Reference Manual (SRM) コンソール・コマンドを使用します。
これらのコマンドの説明は,AlphaServer system のオーナーズ・マニュアルにあります。
印刷されたドキュメントがない場合は,システムに付属の CD-ROM に収められている印刷可能ファイルを探してください。 CD-ROM が利用できない場合は,次の URL の「Alpha Systems Technology」にこのドキュメントがあります。
http://www.compaq.com/alphaserver/technology/index.html
この手順の指示は,新しいプロセッサに共通のものです。 システムが古い場合は,オーナーズ・マニュアルと,ご使用のオペレーティング・システムのバージョンの『インストレーション・ガイド』を参照して,実際のコマンドと手順を調べてください。
システムの状態は,表 9-1
のとおりでなければなりません。
表 9-1: 回復の準備
要件 | 説明 |
最近のフル・バックアップ | ルート・ボリューム上にあるオペレーティング・システムのすべてのファイル・セットのフル・バックアップが必要。
このバックアップには,ルート (/ ),/usr ,および
/var
が含まれる。 |
システム構成 | この手順は, |
Logical Storage Manager | Logical Storage manager (LSM) を使用している場合,ルート・ボリュームの回復について,『Logical Storage Manager』を参照。 |
ユーザ・インタフェース | この手順では,コンソールにログインする必要がある。 |
システムの可用性への影響 | クラスタ・システム以外では,ルート・ディスクの損失により,システムのシャットダウンおよびリブートが必ず 1 回以上必要になる。 この手順は,できるだけ早く完全に操作できる状態に戻すのに役立つ。 ディスクの複製や回復に必要な時間は,ディスクのサイズによって異なる。 |
特権 | システムのストレージ・アレイやバックアップ・デバイスに物理的にアクセスできる,root ユーザでなければならない。 |
ルート・ディスクのリストアを実行するには,次のリソースが必要です。 システムの構成を熟知している場合,または回復を行うのに必要なすべての情報が記録されている回復計画がある場合には,この項を読む必要はありません。 次の項目が必要になる可能性があります。
オペレーティング・システムの配布メディア
インストレーション・シェルを使用して,ルート・ディスクをリストアします。
インストレーション・シェルはオペレーティング・システムの簡易バージョンで,mount
などのコマンドを実行できます。
このシェルは,配布キットの一部として,オペレーティング・システム・ソフトウェアと一緒にパッケージされています。
ローカル・サイトには,ネットワークからシステムをブートできる RIS (Remote Installation Service) サーバが用意されていることがあります。 RIS サービスが CD-ROM メディアの代わりに利用できる場合は,サイト固有の手順に従ってください。 また,『インストレーション・ガイド』を参照してください。
CD-ROM ドライブ名またはネットワーク・デバイス名
ルート・ボリュームをリストアするには,CD-ROM ドライブかネットワーク・デバイスからシステムをブートします。 必要であればオーナーズ・マニュアルを参照して,ご使用のシステムに合ったコマンドを見つけます。 通常,コンソール・プロンプトで CD-ROM デバイス名を次のようにして調べます。
>>> show device | grep -E 'RR|CD' dka400.4.0.5.0 DKA400 RRD47 1206
通常,ネットワーク・デバイス名は,次のようにして調べます。
>>> show config | more
前述のコマンドを入力すると,完全なシステム構成が,一度に 1 ページずつ表示されます。
「Slot Option
」という見出しのセクションまでスクロール・ダウンし,ネットワーク・デバイスを見つけます。
ネットワーク・デバイスは通常,ew
*
または
ei
*
(*
は英字) という名前です。
例を次に示します。
11 DE500-BA Network Con ewa0.0.0.0.11.0 08-00-99-1Z-67-BB
RIS サーバからのシステムのブートについては,『インストレーション・ガイド -- 上級ユーザ編』を参照してください。 SRM (System Reference Manual) コンソール・デバイスの命名規則の詳細は,システムのオーナーズ情報を参照してください。
ブート・デバイス名
省略時のブート・デバイス名は,次の方法で調べます。
>>> show bootdef_dev bootdef_dev dka0.0.0.5.0
この例では,省略時のブート・デバイスは
dka0
です。
注意
Fibre Channel を使用している場合,ブート・デバイス名は,ストレージ・デバイスの構成中に定義した名前です。
現在のルート・デバイスが使用可能で,同じデバイスにリストアしている場合,このデバイス名を後でリストア手順中に使用します。 新しいディスクをインストールしたり,代替ディスクを使用する場合,ディスク名を指定しなければなりません。 代替ディスクは,リストア手順中に b/t/l をブート・デバイス名に変換して調べます。
バックアップ・メディアとリストア・デバイス
オリジナルのルート・ディスク上のファイル・システムによっては,ルート (/
),/usr
,および
/var
ファイル・システムの最新のフル・バックアップ・テープが必要となることがあります。
より大きな容量のディスクを使用することによって利用可能なディスク・スペースを増やすなどのために,ディスクの複製 (クローニング) を行っている場合は,ソース・ディスクをターゲット・ディスクに直接バックアップすることができます。
ターゲット・ディスクのディスク・ラベル
オリジナルのドライブが使用できる場合,ルート・ファイル・システムを同じドライブにリストアできます。 このドライブが損傷している場合は,代替ドライブを選択するか,新しいドライブを設置しなければなりません。 代替ドライブまたは新しいドライブには,リストア後のファイル・システムを保持できるだけの十分なストレージ容量があり,リストア後のファイル・システムを保持できるパーティションが作成されていなければなりません。
オリジナルのルート・ドライブにカスタム・パーティションがある場合,カスタム・ディスク・ラベルをリストアするか,少なくともリストア後のファイル・システムを保存できる大きさのパーティション (できれば,このファイル・システムの将来の拡張も考慮して) を選択するようにしてください。 オリジナルのディスクに格納されたデータよって,以下に示すパーティションを計画する必要があります。
ルート (/
) ファイル・システムを保持するための,256MB の
a
パーティション。
ルート・ドライブ上にある
/usr
ファイル・システムをリストアする必要がある場合,少なくともリストア後のファイル・システムを収めることができる大きさのパーティションも 1 つ必要です
(必要に応じて,拡張要件を検討してください)。
ルート・ドライブ上にある
/var
ファイル・システムをリストアする必要がある場合,少なくともリストア後のファイル・システムを収めることができる大きさのパーティションも 1 つ必要です (このファイル・システムがオリジナルのルート・ドライブ上で
/usr
に含まれている場合を除く)。
1 次スワップ・パーティションか 3 次スワップ・パーティションがオリジナルのルート・ドライブに存在していた場合,これらのパーティションを代わりのドライブ上に再作成する必要があります。
必要に応じて,他のファイル・システムもリストアできます。
また,他のファイル・システムを別のデバイスにリストアし,リストアの完了後に
/etc/fstab
ファイルをアップデートしてマウントし直すこともできます。
カスタム・パーティションのディスク・ラベルの作成についての詳細は,
disklabel
(8)
この手順の各ステップには,システムのオリジナルの構成によって異なるものがあります。 ご使用の構成に合わない場合は,そのステップを省略して構いません。 省略可能なステップには,[構成に依存] というマークが付いています。
この手順では,行先が明記されていないかぎり,必ず次のステップへと進みます。
次のいずれかの方法で,オペレーティング・システムの配布メディアからシステムをブートします。
リストアしたいバージョンのオペレーティング・システムが入っている配布 CD-ROM を挿入し,以前に調べた CD-ROM リーダのデバイス名を指定してオペレーティング・システムをブートします。 たとえば,次のコマンドを入力します。
>>> boot dka400
ローカル RIS サーバからブートします。 たとえば,次のコマンドを入力します。
>>> boot ewa0
[構成に依存] すでに文字セル・インストレーション・プロシージャを使用している場合は,ステップ 3 に進みます。 使用していない場合は,次の作業を実行します。
システムにグラフィック・コンソールがある場合,インストレーションは省略時の設定でグラフィック・モードになります。 インストレーション・プロシージャが「Installation Welcome」というタイトルのダイアログ・ボックスが表示されるまで待ちます。
[ファイル] メニューをプルダウンし,[終了] を選択して,文字セル・モードを起動します。
バックアップ・デバイスとターゲット・ディスク (リストア後のルート・ディスク) のステータスを,次のコマンドを使用して確認します。
# hwmgr view devices
hwmgr
コマンドは,次の例のように,現在システムが認識しているすべてのデバイスのリストを表示します。
HWID: Device Name Mfg Model Location ------------------------------------------------------------------------ 4: /dev/kevm 28: /dev/disk/floppy0c 3.5in floppy fdi0-unit-0 31: /dev/disk/dsk0c DEC RZ26L (C) DEC bus-0-targ-0-lun-0 32: /dev/disk/dsk1c DEC RZ26 (C) DEC bus-0-targ-1-lun-0 33: /dev/disk/dsk2c COMPAQ HB00931B93 bus-0-targ-3-lun-0 34: /dev/disk/cdrom0c DEC RRD45 (C) DEC bus-0-targ-4-lun-0 35: /dev/disk/dsk3c COMPAQ HB00931B93 bus-0-targ-5-lun-0 37: DEC TLZ06 (C)DEC bus-0-targ-6-lun-0
次のデータを探し,書き留めておきます。
ターゲット・ディスクのデバイス名。
代わりの新しいディスクを取り付けた場合は特に重要です。
このデバイス名前は,「Device Name
」欄の下のエントリ (/dev/disk/dsk2
など) です。
パーティションのサフィックス (c
) は無視します。
新しく設置したターゲット・ディスクのエントリがない場合は,進むことができません。 システムをシャットダウンし,ディスクの物理的な取り付け状況を確認してから,回復手順を再度実行してください。
バックアップ・デバイスのデバイス名。
デバイス名は,「Device Name
」欄に表示されます。
たとえば,省略時のテープ・デバイス
TLZ06
からルート・ディスクをリストアしている場合,「Device Name
」欄には,/dev/ntape/tape0
というデバイス特殊ファイル名が表示されます。
バックアップ・デバイスの「Device Name
」欄には,前述の例で示すように,デバイス特殊ファイル名が表示されないことがあります。
この場合,ステップ
4に進んでテープ・デバイスをインストールします。
次のコマンドを使用して,バックアップ・デバイスをインストールします。
# dn_setup -install_tape
インストールされたこととデバイス名 (たとえば
tape0_d0
) を確認するには,ステップ
3
の
hwmgr
コマンドを繰り返します。
[構成に依存] オリジナルのファイル・システム・フォーマットが分からない場合は,次の手順で,フォーマットと,読み取り可能なバックアップ・テープであることを確認します。
バックアップ (ダンプ) メディアをデバイスにロードします。
ステップ
4
で調べたバックアップ・デバイス名を指定して,restore
コマンドを対話型モードで起動します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# restore -i -f /dev/ntape/tape0_d0
バックアップの状態が良い場合は,対話型リストアのプロンプトが表示されます。
what
コマンドを入力してヘッダを表示し,情報を書き留めます。
a
パーティションを指定し,ブート可能デバイスとしてドライブにラベルを付けます。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# disklabel -wr /dev/disk/dsk2a
次のようにして UFS ターゲット・ファイル・システムを作成します。
リストアする必要のある各ファイル・システムに対して,新しいルート・ドライブ上にファイル・システムを作成しなければなりません。
たとえば,a
パーティションと
g
パーティションに新しいルートと
/usr
ファイル・システムを作成するには,次のようなコマンドを使用します。
# newfs /dev/disk/dsk2a # newfs /dev/disk/dsk2g
代わりのディスクを,ファイル・システムのタイプに応じて,一時マウント・ポイント
/mnt
にマウントします。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# mount /dev/disk/dsk2a /mnt
vrestore
コマンドまたは
restore
コマンドを使用して,ファイルをリストアします。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# cd /mnt # vrestore -x device
次のコマンドを使用して,システムをシャットダウンし停止します。
# shutdown -h now
リストアされたルート・ドライブをブート・デバイスとして指定して,シングルユーザ・モードでシステムをブートします。 たとえば,次のコマンドを入力します。
>>> boot dka2 -flags s
代替ドライブを使用している場合,または新しいドライブをインストールした場合は,システム・デバイス名を適切なブート・デバイス名に変換しなければならないことがあります。
新しいデバイスのデバイス・データベース・エントリは,hwmgr
コマンドを使用して,ステップ
3
で調べました。
エントリの例を,次に示します。
33: /dev/disk/dsk2c COMPAQ HB00931B93 bus-0-targ-3-lun-0
デバイスを表示するには,次のコマンドを使用します。
>>> show device
b/t/l
の値 (この場合 0.3.0) を代替デバイスまたは新しいデバイスにマッピングし,dka300
などのブート・デバイス名を確認します。
ブートが成功した場合,次のスクリプトを実行して,デバイス・データベースをアップデートします。
# /sbin/mountroot
dsfmgr
コマンドがデバイス・データベースをアップデートしようとした際に,いくつかのエラーまたは警告のメッセージが表示されることがあります。
このメッセージは無視してください。
[構成に依存] root 用に新しいドライブをインストールした場合や,代替デバイスを指定した場合,デバイスの名前を変更しなければなりません。 ステップ 3 で調べたデバイス名情報を使用して,デバイスの名前を次のように変更します。
古いルート・ディスクを削除し,新しいデバイスと交換した場合は,-m
オプションを指定して
dsfmgr
コマンドを実行し,デバイス名を移動します。
たとえば,次のコマンドを実行します。
# dsfmgr -m dsk20 0
古いルート・ディスクがシステムに接続されたままの場合は,-e
オプションを指定して
dsfmgr
コマンドを実行し,デバイス名を交換します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# dsfmgr -e dsk20 0
vrestore
コマンドの対話型モードを使用して,バックアップ・メディアをリストア・デバイスにロードし,デバイスのディレクトリをリストアします。
このステップにより,カスタム・デバイス・ドライバを含む,すべての適切なデバイスが再作成されるようになります。
次のコマンドで,既存のディレクトリを削除します。
# rm -rf /cluster/members/member0/dev*
dump
コマンドを使用した場合は,次のようにしてディレクトリをリストアします。
# restore -i -f /dev/ntape/tape0_d0 restore > add /cluster/members/member0/dev restore > add /cluster/members/member0/devices restore > extract
dsfmgr
コマンドを次のように使用して,デバイス・データベースとデバイス特殊ファイル名を確認します。
# dsfmgr -v
この手順はこれで終わりです。
必要なファイル・システムすべて (/usr
および必要であれば
/var
を含む) のリストアが終わっていれば,次のようにして,システムをシャットットダウンし,ブート・デバイスを再定義し,システムをマルチユーザ・モードでリブートできます。
# shutdown -h now >>> set bootdef_dev dka300 >>> boot
ブート処理でデバイスに関連するエラー・メッセージが表示されていなければ,成功したことを確認できます。
この手順が成功していないと思われる場合は,配布メディアからオペレーティング・システムを再インストールし,カスタマイズされた環境を再作成する方法しかありません。
9.7.5.4 その他のルート・ディスク複製方法の使用
ルート・ディスクのリストアまたは複製の他の方法は,このような障害を想定してシステムを構成しているかどうかにより異なります。 次の方法が利用できます。
LSM や AdvFS を使用している場合に利用できる,ミラーリングのように,ルート・ディスクを複製する方法。 詳細は,『AdvFS 管理ガイド』および『Logical Storage Manager』を参照してください。
回復可能なルート・ボリュームのセットアップについては,『Logical Storage Manager』を参照してください。
ブート可能テープによる,通常のバックアップ・テープよりも高速の,カスタム・システムのリストア方法。 この機能は,一部の構成でだけ利用可能です。 詳細については,第 9 章を参照してください。
カスタム・システム・ファイルのバックアップ。
このバックアップは,オペレーティング・システムを再インストールしなければならない場合の回復に役立ちます。
以前のインストレーションに対してアップデート・インストレーション機能 (updateinstall
) を使用した場合は,カスタム・システム・ファイルのアーカイブを作成できます。
詳細については,『インストレーション・ガイド』を参照してください。
9.7.6 /usr および /var ファイル・システムのリストア
/usr
ファイル・システムをリストアする前に,9.7.5 項で示すようにルート・ファイル・システムをリストアする必要がある可能性があります。
/var
ディレクトリが,/usr
以外のファイル・システムにある場合,/var
ファイル・システムのリストアにはこの項の手順を繰り返してください。
この項の手順では,/usr
ファイル・システムの最新ダンプ・ファイルへアクセスすることを前提としています。
次の手順では,作業を行うのにテキスト・ベース (つまり,文字セル) のインタフェースを使って,ファイルのレベル 0 ダンプからリストアする方法を示します。
disklabel
コマンドを使い,必要に応じてディスクにラベルを付けるには,次のコマンドを入力します。
# disklabel -rw /dev/disk/dsk0
注意
この手順で
disklabel
コマンドに指定されているオプションでは,省略時のディスク・パーティション・テーブルがディスクに書き込まれます。 リストア中のディスクがカスタマイズされたパーティション・テーブルを持っている場合は,disklabel
コマンドの編集オプションを呼び出します。 または,以前のファイル・ラベルからパーティション・テーブルをリストアします。 詳細は,第 6 章 およびを参照してください。 disklabel
(8)
newfs
コマンドを使用して,新しいファイル・システムを作成します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# newfs /dev/rdisk/dsk1c
mkdir
コマンドを使い,必要に応じてマウント・ポイントを作成します。
たとえば,次のコマンドを入力します。
# mkdir /usr
mount コマンドを使い,ファイル・システムをマウントします。 たとえば,前の手順で作成したファイル・システムをマウントするには,次のコマンドを入力します。
# mount /dev/disk/dsk1c /usr
ファイル・システムをリストアします。
ローカル・ファイル・システムからダンプ・ファイルをリストアする場合
リストア・ディレクトリに移動してダンプ・ファイルが入っているメディアを挿入し,restore
コマンドを入力します。
テープの場合には,次のコマンドを入力します。
# cd /mnt # restore -Yrf /dev/tape/tape0_d0
リモート・システムからダンプ・ファイルをリストアする場合
リストア・ディレクトリに移動して,rsh
コマンドを入力します。
次のコマンド・オプションを指定します。
ダンプ・ファイルのあるリモート・システムのホスト名
リモート・システムにあるダンプ・ファイルの絶対パス名
テープからのデータの読み取りに必要なブロック・サイズ
テープに書き込んだときに使用したものと同じブロック・サイズでダンプ・ファイルを読み取ります。 省略時のダンプ・レコード・サイズは 10K バイトです。
たとえば,省略時のブロック・サイズを使用して書き込まれた
remotesystem
というリモート・システムからダンプ・ファイルを TLZ06 にリストアするには,次のコマンドを入力します。
# cd /mnt # rsh remotesystem "dd if=/dev/tape/tape0_d0 bs=10k" \ | restore -Yrf -
9.8 コマンド行ユーティリティ tar,pax,および cpio の使用
コマンド行ユーティリティ
tar
,pax
,および
cpio
を使用すると,コマンド行からアーカイブを高速に作成したり,ファイルをバックアップするためのスクリプトを記述することができます。
難点は,長いコマンド文字列を入力しなければならないので,大容量のファイルやディレクトリをバックアップしたりリストアする場合に,このインタフェースでは簡単にいかないことです。
これらのユーティリティは,ファイルの小さなアーカイブを作成し,プログラムや,プログラムのソース,および関連ドキュメントなどを小さなアーカイブ・ファイルにして他のユーザに配布する場合に使用されます。
次の例では,コマンド行ユーティティ
tar
,pax
,および
cpio
を使ってアーカイブ・ファイルを作成したり,リストアする方法について,典型的な例を示します。
tar を使用したアーカイブの作成
tar
コマンドは,ディスクやテープなどの 1 台 のデバイス上に,複数ファイルを保存したりリストアします。
tar
を使ってテープ・ドライブ
/dev/tape/tape12_d0
にアーカイブを作成するには,次のようなコマンドを入力します。
# tar cvfb /dev/tape12 -e ./.netscape -C /usr/glenn
作成されたアーカイブには,./.netscape
ファイルを除き,/usr/glenn
ディレクトリの下のすべてのファイルとディレクトリが含まれます。
詳細については,
tar
(1)pax を使用したアーカイブの作成
pax
コマンドは,アーカイブ・ファイルのメンバの抽出,書き込み,およびリストを行います。
また,pax
コマンドは,ファイルおよびディレクトリの階層をコピーします。
pax
コマンドを使って現在のディレクトリのアーカイブを
/dev/tape/tape0_d0
デバイスに作成するには,次のように入力します。
# pax -w -f /dev/tape/tape0
次のコマンドは,a.pax
アーカイブを読み取り,ディレクトリ
/usr
内のすべてのファイルを抽出して現在のディレクトリ内に置きます。
# pax -r -s ',^//*usr//*,,' -f a.pax
詳細については,
pax
(1)cpio を使用したアーカイブの作成
cpio
コマンドは,アーカイブ・ストレージとファイル・システム間でファイルをコピーします。
このコマンドは,従来の形式の
cpio
アーカイブのデータを保存したりリストアするのに使用します。
cpio
コマンドを使ってテープ・デバイス
/dev/tape/tape12_d0
にアーカイブを作成するには,次のように入力します。
# cpio -ov < file-list -O/dev/tape12_d0
詳細については,
cpio
(1)9.9 dxarchiver の使用
アーカイバ (dxarchiver
) は,9.8 節
で説明したコマンド行ユーティリティのためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) です。
このインタフェースは,次のような場合に使用します。
複数ファイルを 1 つの指定されたアーカイブ・ファイルに格納する,またはテープやディスケットなどの出力デバイスへ出力する場合
受取ったアーカイブ・ファイルを解凍する場合や,新しく作成したファイルを圧縮する場合
アーカイブ・ファイル,またはテープやディスケットなどのデバイスから,格納されているファイルを取り出す場合
Archiver GUI は CDE アプリケーションなので,長いコマンドを入力することなく,ファイルおよびディレクトリ (フォルダ) をドラッグ・アンド・ドロップ操作で,アーカイブ・セットにまとめることができます。
以下の作業を行なうにあたって,あらかじめ9.5.4 項に示す情報を収集します。 また,オーナーズ・マニュアルに従って,ターゲット・デバイスにテープやその他のメディアをロードまたはアンロードしておきます。 アーカイブを作成するには,以下の手順を行ないます。
端末からコマンド行を使用して
/usr/bin/X11/dxarchiver
GUI を呼び出します。
または CDE の「システム管理」アプリケーション・グループを開いて,次に「日常管理」サブ・グループを開き,「アーカイバ」アイコンをクリックします。
アーカイブ・タイプを
tar
,cpio
,pax
の中から選択します。
グラフィカル・ユーザ・インタフェースからは利用できないコマンド行オプションがあります。
アーカイブ・オプションを選択します。
追加は,既存のアーカイブに対してのみ行うことができます。
また,作成時に圧縮してあるアーカイブは,さらに圧縮することはできません。
ディレクトリの格納方法として,絶対パス名または相対パス名のどちらかを指定します。
なお,絶対パス名は完全パスで,/usr/users
のようにルート・ディレクトリから始まります。
相対パス名は,たとえばドット (.
) または
users/chan
のように,現在のディレクトリから始まります。
これらのファイルの今後の復元の際,オリジナルのアーカイブ処理中に相対パスを指定していた場合のみ,これらのファイルを一時的なロケーションに書き込むことができます。 絶対パスを指定していた場合は,ファイルは元のロケーションに書き込まれます。 名前を変えていない場合は,知らないうちに既存のファイルに重ね書きされます。
アーカイブするソース,ファイルおよびディレクトリを指定します。
指定するには,パス名を入力するか,あるいは「ファイル・マネージャ」ビューを開いてファイルとディレクトリ (CDE フォルダ) を「アーカイバ」ウィンドウ内の「ソースの内容」ボックスにドラッグします。
パス名を入力した場合は,OK
を選択してコンテナにそれらを追加します。
必要なファイルをすべて指定した後,[アーカイブ...] オプションを選択すると,「アーカイバ: アーカイブ」ウィンドウが表示されます。
デスティネーション・パスを次のように入力します。
省略時のテープ・デバイスの場合は,/dev/tape/tape0_d0
と入力します。
ディスク・アーカイブの場合は,/usr/backup/myback_991803
と入力します。
ファイル名に拡張子は不要です。
アーカイバが
.Z
のような識別子を追加します。
[了解] を選択すると,「デスティネーションの内容」ボックスの下にデスティネーションが表示されます。
「アーカイブの作成」をクリックします。 「Archiver working」というタイトルの付いたウィンドウが表示され,緑のボタンが点滅して,アーカイブが書き込み中であることを示します。 アーカイブ中のファイルは,「デスティネーションの内容」に表示されます。
アーカイブが完了したら,オプションでファイル・リストのコピーを出力できるので,テープと一緒に記録を保管しておくことができます。
[取消] を選択してアーカイバのメイン・ウィンドウに戻ります。 アーカイブ・ファイルの名前を入力し,「内容の一覧...」オプションを使用してアーカイブが正しく書き込まれていることを確認できます。 テープまたはアーカイブ・ファイルが読み込まれ,内容が「内容の一覧」ウィンドウに表示されます。
アーカイブを復元するには,ディスクのようなターゲット・デバイス上に,デスティネーションを指定する必要があります。 ディスク・パーティション全体に,損失したファイル・システムを復元する場合以外は,既存のディレクトリに重ね書きするのでなく,一時的なロケーションを使用しても構いません。 その後,個々のファイルやディレクトリを必要に応じてリストアすることができます。 次のように,アーカイブから選択したファイルだけをリストアすることもできます。
端末からコマンド行で
/usr/bin/X11/dxarchiver
GUI を呼び出すか,または CDE の「システム管理」アプリケーション・グループを開きます。
次に,「日常管理」サブ・グループを開いて「アーカイバ」アイコンをクリックします。
[内容の一覧...] を選択し,個々のファイルおよびディレクトリを選択します。 テープまたはアーカイブ・ファイルが読み込まれ,内容が「内容の一覧」ウィンドウに表示されます。 次のように個々のファイルまたはディレクトリを選択します。
「アーカイバ: 内容の一覧」ウィンドウで,ファイルまたはディレクトリを選択してそれを強調表示します。
別のファイルまたはディレクトリを,Ctrl キーを押しながらクリックして選択します。
必要なファイルをすべて選択し終わったら,「アーカイバ: 内容の一覧」ウィンドウの [了解] ボタンをクリックします。 アーカイバのメイン・ウィンドウ内の「ソースの内容」ボックスに選択したファイルが表示されます。 選択を変更したい場合には,[編集] メニューを使います。 たとえば,「ソースの内容」内のエントリを強調表示して [編集] メニューから [選択したソースをクリア] を選択すると,そのエントリが削除されます。
[展開...] オプションを選択して,「アーカイバ: 展開」ウィンドウを表示します。
デスティネーション・ディレクトリを入力します。
このディレクトリは,ファイルが重ね書きされてもよければ,アーカイブと同じにできます。
または,その代わりに一時的なロケーションのパスを入力します。
このパスは既に存在するディレクトリである必要があります。
存在しないディレクトリを使用する場合は,端末ウィンドウを開いて
mkdir
コマンドを使ってディレクトリを作成するか,あるいは CDE の「ファイル・マネージャ」の「新規フォルダ」オプションを使ってフォルダを作成します。
選択したデスティネーションは,「デスティネーションの内容」ボックスの下に表示されます。
[内容の展開] を選択して抽出を開始します。 「Archiver Working」というタイトルが付いたウィンドウが表示され,緑のボタンが点滅してアーカイブが抽出中であることを示します。 復元中のファイルは,「デスティネーションの内容」に表示されます。
アーカイブの復元が完了したら,オプションでファイル・リストのコピーを出力できるので,記録として保管しておくことができます。
[取消] を選択してアーカイバのメイン・ウィンドウに戻ります。 終了前に,「ファイル・マネージャ」または端末のウィンドウを使用して,ファイルが正しく復元されファイルの内容が壊れていないことを確認します。
注意
テープまたは他のメディアからアーカイブを削除する場合は,その前にこの手順を実行することをお勧めします。
デバイスのオーナーズ・マニュアルの説明に従って,テープまたは他のメディアを取り外し,安全な場所に保管するか,あるいはサイトのバックアップ・ポリシと手順に従います。
9.10 スタンドアロン・システム・カーネルのテープ上での作成
テープにブート可能スタンドアロン・システム (SAS) カーネルを作成できます。 SAS カーネルには組み込みのメモリ・ファイル・システム (mfs) があり,これには,システム・イメージのリストアに必要な最小限のコマンド・ファイル,およびディレクトリが含まれています。 これはミニルート・ファイル・システムと呼ばれます。 テープには,復元システム上で必要なデータまたはプログラム用のファイル・システムを追加することもできます。
SAS カーネルを作成するには,SysMan Menu の [ブータブル・テープの作成] オプションまたは
btcreate
コマンド行ユーティリティを使用する必要があります。
カーネルを作成すると,btextract
ユーティリティを使用して,カスタマイズしたイメージをリストアすることができます。
btcreate
ユーティリティは,同時に 1 つだけ呼び出すことができます。
/usr/run/bttape.pid
ロック・ファイルにより,このユーティリティが同時に複数起動されるのを防ぎます。
以降の各項では,bttape
インタフェースの概要,SysMan Menu タスク,btcreate
および
btextract
コマンド行ユーティリティについて説明します。
9.10.1 テープ・デバイスの必要条件
QIC テープ・ドライブを使用してブート可能テープを作成する場合は,320M バイト以上の高密度テープ以外は使用しないでください。 固定 512 ブロックの QIC-24,QIC-120,および QIC-150 フォーマットのテープは使用できません。 ブート可能テープ用には,QIC-320 および QIC-525 などの可変ブロック・サイズのテープを使用してください。 適切に構成されていない QIC テープ・ドライブを使用して,ブート可能テープを作成すると,I/O エラー,書き込みエラー,またはアクセス許可違反エラーが発生します。 したがって,次のいずれかの処置を必ず行ってください。
インストレーション時にドライブを構成する。
インストレーション後にドライブがシステムに接続された場合は,カーネルを再構築する。
btcreate
コマンドを使って作成された QIC テープは,ブート時に次のようなエラー・メッセージを表示して失敗することがあります。
failed to send Read to mka... Be sure that the tape is write protected before booting.
複数のテープにわたるファイル・システムでブート可能テープを作成している場合,/sbin/dump
コマンドは,テープを交換する必要がある旨のメッセージを表示します。
テープを適切に交換しないと,テープを交換するまで警告メッセージが定期的に繰り返し表示されます。
テープ・デバイスに対する open 呼び出しの動作は変更されました。 書き込み保護テープをオープンする際に,書き込みモードは使用できなくなりました。 そのようなテープをオープンしようとしても,次のメッセージが表示されて失敗します。
EACCES (permission denied)
テープを読むだけのときに
O_RDWR
許可でテープ・デバイスをオープンするように,アプリケーションが作成されている場合は,オープンが失敗します。
O_RDONLY
許可でデバイスをオープンするようにアプリケーションを変更します。
アプリケーションが変更できない場合には,次のコマンドを使用して,open 呼び出しの動作を以前の状態にしてください。
# sysconfig -r cam_tape open_behaviour=0
ブート可能 SAS カーネルを UFS または AdvFS ファイル・システムにのみ構築するには,btcreate
ユーティリティを使用する必要があります。
以降の項では,テープに SAS カーネルを作成するために必要な情報の概要について説明します。
btcreate
コマンドには,非対話式および対話式ユーザ・インタフェースの両方が用意されています。
どちらのインタフェースを使用する場合にも,スーパユーザ (root) の特権が必要です。
9.10.2.1 情報の収集
btcreate
コマンドを使うための準備として,次の情報が必要です。
/usr/sys/conf
ディレクトリにあるカーネル構成ファイルの名前。
省略時設定の名前は大文字で表したシステム (HOST) の名前と同じです。
ミニルート・ファイル・システムを格納するディスク・パーティションの名前 (たとえば,dsk2e
)。
必要なディスク・スペースのサイズは,最低 38000 ブロック (1 ブロック= 512 バイト) です。
このディスク・パーティションは,btcreate
の実行中にはマウント状態にしないでください。
SAS カーネルおよびファイル・システムを格納するテープ・デバイス名(たとえば
/dev/tape/tape0_d0
)
デバイス名,マウント・ポイント,およびテープ・デバイスにバックアップを取る各ファイル・システムのタイプ (UFS または AdvFS)。 次の例は,有効な UFS および AdvFS のエントリを示しています。
UFS:
/dev/dsk1a / ufs /dev/dsk1g /usr ufs /dev/vol/rootdg/rootvol /ufs
AdvFS:
root_domain#root / advfs usr_domain#usr /usr advfs
注意
ファイル・システムのバックアップ用には,スワップ・パーティションを選択しないでください。
LSM ボリュームに格納されている UFS ファイル・システムの場合,ブート可能テープの作成時に
vdump
ユーティリティと
vrestore
ユーティリティが使用されます。
addlist_file ファイル。 これは,ミニルート・ファイル・システムに含めるファイルまたはディレクトリの一覧を示します。
fslist_file ファイル。 これは,バックアップを取るファイル・システムを指定します。
/usr/lib/sabt/sbin/custom_install.sh
スクリプト。
これは,リストアしたシステム・イメージをカスタマイズするときに使用します。
ミニルート・ファイル・システムで提供されている唯一のシェルが Bourne シェルなので,ファイルは Bourne シェル 言語 (sh1
) を使って記述します。
btcreate
コマンドは,custom_install.sh
ファイルをテープにコピーして,それをミニルート・ファイル・システムの
sbin
ディレクトリに格納します。
btextract
コマンドは,終了する前に
custom_install.sh
スクリプトを起動します。
次の追加機能は,ブート可能テープのレイアウトを計画するのに便利です。
-d
オプションを使用すると,btcreate
が一時ファイルを作成するロケーションを指定できます。
ロケーションを指定しないと,156000 ブロック (1 ブロック = 512 バイト) のディスク・スペースが
/usr
ファイル・システムに必要になります。
カスタム
disklabel
スクリプトを使用してディスクにラベルを付けることができます。
このスクリプトは,次の必要条件を満たさなければなりません。
/usr/lib/sabt/etc
ディレクトリに置くこと
名前は,custom_disklabel_file
とすること。
カスタム
disklabel
スクリプトが存在しない場合は,btextract
コマンドは通常の方法でディスクにラベルを付けます。
詳細については,
disklabel
(8)
SAS カーネルを作成するため,btcreate
コマンドは
/usr/sys/conf/YOUR_SYSTEM_NAME
構成ファイルを
/usr/sys/conf/YOUR_SYSTEM_NAME.BOOTABLE
にコピーして,次のように変更します。
config vmunix root on md pseudo-device memd 38000
この変更により,38000 ブロックのメモリ・ファイル・システムが構成されます。 メモリ・ファイル・システムとミニルート・ファイル・システムが格納されるディスク・パーティションは,同じサイズです。
構成ファイルを変更した後,btcreate
コマンドは
doconfig
コマンドを実行して,ブート可能カーネルを
/usr/sys/bin
ディレクトリに移動します。
コマンド構文およびオプションについては,
btcreate
(8)9.10.3 btextract ユーティリティの使用
btextract
コマンドは,btextract
ユーティリティを使用して作成された SAS カーネルが入っているテープから,ファイル・システムをリストアするシェル・スクリプトです。
ユーザは,システムの省略時設定のリストアまたはアドバンスト・リストアのいずれかを実行できます。
省略時設定のリストアの際に,カスタマイズされたシステムを同一のハードウェア・プラットフォーム・タイプの複数システム上に複製するように選択することができます。
リストア操作に使用するディスク・パーティションを指定することはできません。
代わりに,btcreate
セッションの間に収集したディスク・パーティション情報を使用して,btextract
コマンドがファイル・システムをリストアします。
このとき既存のパーティション情報はすべて上書きされます。
アドバンスト・リストアを実行する場合は,使用するディスク・パーティションをオプションで指定できます。
ただし,カスタマイズしたシステムは,同一ハードウェア・プラットフォーム・タイプのシステム上でのみ複製できます。
btextract
コマンドを使用するには,システムを停止状態にして,システムを初期化した後,次のようにテープからブートします。
>>> init >>> show dev >>> boot -fl "nc" MKA500
この例では,show dev
コマンドが
BOOTDEV
のデバイス名を表示します。
MKA500
が
BOOTDEV
です。
初期ブートが完了すると,シェルは
btextract
ユーティリティを起動します。
btcreate
セッション中に
/usr/lib/sabt/sbin/custom_install.sh
スクリプトを作成した場合には,btextract
コマンドは,終了する前に
custom_install.sh
スクリプトを呼び出します。
custom_prerestore
応答ファイルを作成して回復手順を自動化することもできます。
詳細については,
btcreate
(8)
btextract
コマンドが作業を完了した後は,シャットダウンして,次のように,リストアしたディスクからシステムをリブートしなければなりません。
# shutdown -h now >>> boot DKA100
この例では,DKA100
が
BOOTDEV
です。
詳細および例については,
btextract
(8)9.10.4 SysMan Menu の [ブータブル・テープの作成] オプションの使用
ブート可能テープの基本的な作成手順を以下に示します。 ここでは,9.10.2.1 項 で説明されている,必要なデバイス・データの収集が完了し,格納用のテープが用意できていることを前提にしています。
SysMan Menu から [ブータブル・テープの作成] タスクを起動するか,プロンプトで次のコマンドを入力します。
# sysman boot_tape
「ブータブル・テープの作成: hostname」ウィンドウが表示されます。 次のようにして,フィールドへの入力またはオプションの選択を行ないます。
「カーネル名」フィールドには,ホストの省略時設定のカーネル名が表示されます。 これは通常,ローカル・ホストの名前と同じですが,保存されるカーネルに対して,任意の名前を入力できます。
「Miniroot ファイル・システム」フィールドには次のオプションがあります。
ミニルートをメモリ・ファイル・システム (mfs) または [ディスク・パーティション] として作成するオプション。 使用したいオプションを選択します。
dsk0b
などのディスク・パーティション名を指定するオプション。
[ディスク・パーティション/mfs の指定...] で指定します。
これにより,ディスク・パーティション名を入力するダイアログ・ボックスがオープンします。
「テープ・デバイス」フィールドには,省略時設定のテープ・デバイス名 (通常
tape0_d1
) が表示されます。
これは SAS カーネルが格納されるデバイスの名前ですが,他のサポートされているデバイスを指定することもできます。
「Miniroot ファイル・システムのカスタマイズ」フィールドには,addlist
ファイルの省略時設定のファイル・ロケーションが表示されます。
これは,コマンドやユーティリティなどの追加ファイルのリストが入っているデータ・ファイルです。
mfs のデータ容量は,360K バイト未満でなければなりません。
このリストは,省略時では
/usr/lib/sabt/etc/addlist
ファイルに格納されていますが,別のロケーションを指定することもできます。
新しく追加ファイルを作成する,あるいは既存の追加ファイルを変更するには,以下の手順に従ってください。
[Miniroot Append File の作成または修正] を選択して「作成/修正」ウィンドウをオープンします。
[追加] を選択して,「追加/修正」ウィンドウをオープンします。
ローカル・ホストに置きたいファイルのロケーションを指定します。
たとえば,kill
コマンドを追加するには,/sbin/kill
と入力します。
次にそのファイルを置くミニルート・ファイル・システム上のロケーションを,/sbin
のように指定します。
[了解] を選択して「作成/修正」ウィンドウに戻ります。
「ファイルの内容:」ボックスには,追加されるファイルがリストされます。 [了解] を選択して「ブータブル・テープの作成」のメイン・ウィンドウに戻ります。
「ファイル・システムの選択」オプションでは,/usr
のようなファイル・システム,または
root_domain#root
のような AdvFS ドメインのバックアップが可能です。
バックアップを取るファイルのリストは,/usr/lib/sabt/etc/fslist
に格納されていますが,別の名前を指定することもできます。
以下のようにしてファイル・システムを追加します。
[ファイル・システム・バックアップ・ファイルの作成/修正...] を選択して,「作成/修正」ウィンドウをオープンします。
[追加] を選択して「追加/修正」ウィンドウをオープンします。
ローカル・ホストにマウントされているディスク・パーティションを,/dev/disk/dsk0g
のように指定します。
次にマウント・ポイントを
/usr
のように指定します。
[了解] を選択して「作成/修正」ウィンドウに戻ります。
バックアップを取るファイル・システムが,「ファイルの内容:」ボックスにリストされます。 [了解] を選択して「ブータブル・テープの作成」のメイン・ウィンドウに戻ります。
必要なフィールドへの入力が完了すると,テープ作成の準備完了です。 「ブータブル・テープの作成」のメイン・ウィンドウで [了解] を選択して先に進みます。 作業の開始を示すメッセージ・ウィンドウがオープンします。 テープの作成には,使用するデバイスの速度によって 20 分またはそれ以上かかることがあります。
作業が完了できない場合には,メッセージが表示され,エラー・ログが
/var/adm/btcreate.log
にあることを知らせます。
テープに正常に書き込まれると,正常終了とログ・ファイル
/var/adm/btcreate.log
のローケーションを確認するメッセージが表示されます。
btextract
(8)
ブート可能 SAS カーネルをリストアする際は,9.10.3 項
の手順および
btextract
(8)