この章では,次の項目について説明します。
UNIX シェルの説明 (3.1 節)
フル・インストレーション処理での UNIX シェルの起動方法 (3.2 節)
UNIX シェル環境から実行できるタスクの種類 (3.3 節)
以下の目的のための UNIX シェルの使い方
スワップ領域の作成 (3.4 節)
ファイル・システムのマウント (3.5 節)
テープ・バックアップからの UNIX ファイル・システム (UFS) あるいは AdvFS (Advanced File System) のリストア (3.6 節)
破損したディスクから新しいディスクへのシステム・イメージのリストアと,古いデバイス名の新しいデバイス名への割り当て (3.7 節)
disklabel
コマンドによるディスク・パーティション・サイズの変更 (3.8 節)
UNIX シェル環境からフル・インストレーション・プロシージャへ戻る方法 (3.9 節)
UNIX シェル・オプションは,フル・インストレーション中に標準の UNIX コマンドを使用するための手段です。
UNIX シェル・オプションの主な目的は,フル・インストレーションの前および最中に,ディスクおよびファイル・システムの保守のための手段を提供することです。
UNIX シェルでは,/
(root) ファイル・システムの破損などの重大な問題からの回復を支援し,一般的なファイル・システムおよびディスクの保守作業を実行できるように,すべての UNIX コマンドにアクセスすることができます。
一般には,インストレーション中に UNIX シェルにアクセスする必要はありませんが,必要な場合にアクセスが可能になるように,このオプションが用意されています。
ベース・オペレーティング・システムの配布メディア (CD-ROM あるいは RIS) には,システムにソフトウェアをインストールしたときと同じ状態にレイアウトされたファイル・システムが含まれており,直接アクセスできる
/
,/usr
,および
/var
が含まれています。
この配布メディアには,圧縮されたソフトウェア・サブセットおよび圧縮されていないソフトウェア・サブセットが混在して含まれています。
このフォーマットにより,オペレーティング・システムがまだ完全に機能しない状態であっても,すべての Tru64 UNIX コマンドおよびユーティリティを使用することができます。
マウントされた配布メディアは,実質的には完全なオペレーティング・システム環境と考えることができます。
UNIX シェル・オプションは,インストレーション・メディアを障害回復のためのツールとして使用することを可能にしています。
UNIX シェルにおけるシステム管理作業は,UNIX オペレーティング・システムに精通している場合に限り,行うようにしてください。
3.2 UNIX シェルの起動
インストレーション・プロシージャからの UNIX シェルの起動は,グラフィカル・インタフェースまたはテキスト・ベース・インタフェースのいずれを使用しているかによって異なります。 UNIX シェル・オプションを起動する際,システムは,スーパユーザ特権のあるシングルユーザ・モードで Bourne シェルを使用します。 シェルおよび特権についての詳細は,『Tru64 UNIX ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
フル・インストレーションを開始するために配布メディアからシステムをブートすると,グラフィカル表示機能を備えたシステムでは,言語選択メニューで言語を選択した後に「Installation Welcome」ウィンドウが表示されます。 UNIX シェルを起動するには,ダイアログ・ボックス上部の [ファイル] メニューから [端末ウィンドウ] メニューを選択します。
グラフィカル表示機能を持たないシステムの場合,テキスト・ベース・インストレーション・インタフェースから UNIX シェルを起動する方法は 2 通りあります。 1 つ目の方法は,テキスト・ベース・インタフェースの最初のスクリーンからメニュー・オプション 3 を 選択する方法です。 2 つ目の方法は,Ctrl/c を押す方法です (ただし,ソフトウェア・サブセットのロード中は除く)。
注意
UNIX シェルを起動するとテキスト・ベース・インタフェースで選択したインストレーション項目は失われます。 テキスト・ベース・インストレーションを再起動して再び選択操作を行なう手順は以下のとおりです。
# cd / # restart
インストレーション環境における UNIX シェルでは,オペレーティング・システムのほとんどの機能を使用できます。
インストレーション環境における UNIX シェルの使用と通常のオペレーティング・システム環境の違いは,UNIX シェルはスワップ・デバイスなしで動作し,メモリ・ファイル・システム (MFS) 内に非常に限られた空きディスク容量があれば動作するという点です。
この 2 つの要因により,スワップの作成が必要となるような大量のメモリを必要とするタスクや,大量のディスク容量 (/tmp
領域など) を必要とするタスクは,UNIX シェル環境では障害を起こす可能性が高くなります。
注意
/
(ルート) ファイル・システムは CD-ROM あるいは RIS サーバに置かれており,インストレーション配布メディアがブートされた後,読み取り専用モードでマウントされます。/var
,/dev
,および/devices
のメモリ・ファイル・システム (MFS) は,読み書きモードでマウントされます。/var
,/dev
,および/devices
内のファイルに対して行われた変更は,インストレーションを halt してコンソール・プロンプト (>>>
) に戻った時点で失われ保管されません。
UNIX シェルで実行できる作業の例としては,以下のようなものがあります。 このうちの一部の作業について,この章で説明します。
UNIX ファイル・システム (UFS) に対しては
newfs
コマンドを使用することにより,また,Advanced File Systems (AdvFS) に対しては
mkfdmn
および
mkfset
コマンドを使用することにより,新しいファイル・システムを作成する。
restore
コマンド (UFS の場合) または
vrestore
コマンド (AdvFS の場合) を使用して,ファイル・システムをリストアする。
グラフィック機能のないシステムで,disklabel
コマンドを使用してディスク・パーティション・テーブルを変更する。
グラフィック機能を備えたシステムでは,「File System Layout」ウィンドウの [パーティションの編集...] ボタンをクリックするか,またはシェル・プロンプトで
/usr/sbin/diskconfig
ユーティリティを起動して,グラフィカル・ディスク構成ユーティリティを使用します。
mount
コマンドでディスクおよびファイル・システムをマウントする。
fsck
コマンドで UFS ファイル・システムを修正する。
ed
テキスト・エディタでファイルの内容を表示する。
省略時の設定では,EDITOR
環境変数が
ed
に設定されています。
vi
テキスト・エディタを使用できるようにするためには,次のようにします。
curses 機能をサポートするコンソール・ファームウェアがインストールされている古いシステムの場合
# TERM=vt100 [脚注 3] # export TERM
PC のようなグラフィック機能を使用している新しいシステムの場合
# TERM=pccons # export TERM
スワップ領域を必要とするような作業を実行する場合は,UNIX シェルでスワッピングをオンにすることができます。 UNIX シェル環境でスワップ領域を使用できるようにする場合,上書きしてしまわないように,保護しておきたいデータを含むパーティションを使用しないように注意してください。 このような問題を避けるためには,以前スワップ領域として使用していたディスク・パーティションを使用します。
UNIX シェルでスワッピングをオンにするには次のようにします。
スワップ領域に使用するデバイス (デバイス名およびパーティション) を決めます。 保護しておきたいデータの領域を選択しないように注意してください。
注意
以前スワップ領域として使われていたディスク・パーティションは,ディスクラベルに
swap
というラベルがついています。 このパーティションは問題なく使用できます。
/dev/disk
ディレクトリに移動します。
# cd /dev/disk
スワップ・デバイスをオンにします。
この例では,スワップ・デバイスは
dsk0b
です。
# swapon dsk0b
次のコマンドで,スワップ領域がオンになっていることを確認します。
# swapon -s
注意
スワップ領域が有効になった後は,UNIX シェルからインストレーションを再スタートするための
restart
コマンドは使用できません。 インストレーションを再スタートするためには,システムを停止させ,配布メディアからブートし直します。
UNIX シェルは,既存のファイル・システムに関する保守操作を実行するために使用されます。
たとえば,/
ファイル・システム上のカーネル (vmunix
)が破損したとき,カーネルのバックアップ・コピーがある場合には,/
ファイル・システムをマウントして,破損したカーネルを置換することができます。
/
ファイル・システムに対してLSM ボリュームを使用している場合は,LSM の開始方法について『インストレーション・ガイド』を参照してください。
/dev/disk/dsk0a
にある既存のルート・ファイル・システムを別のマウント・ポイントにマウントするには,次のコマンドを実行してください。
/var
にマウント・ポイントを作成します。
# mkdir /var/mnt
ファイル・システムをマウントします。
UNIX ファイル・システム (UFS) の場合は,次のように入力します。
# fsck -y /dev/disk/dsk0a # mount /dev/disk/dsk0a /var/mnt
Advanced File Systems (AdvFS) の場合は,次のように入力します。
# mkdir -p /etc/fdmns/root_domain # cd /etc/fdmns/root_domain # ln -s /dev/disk/dsk0a dsk0a # mount root_domain#root /var/mnt
既存の
/
ファイル・システムは,/var/mnt
でアクセスおよび変更することができます。
3.6 バックアップからのファイル・システムのリストア
UNIX シェルは破損した
/
ファイル・システムのリストアには最適ですが,/
以外のファイル・システムのリストアにも使用できます。
ファイル・システムのリストアは,完全なオペレーティング・システム環境から行うことをお勧めします。
/var
あるいは
/usr
のリストアが必要なために,そのような環境が使用できない場合は,既存のあるいはリストアした
/
ファイル・システムを使用して,システムをシングルユーザ・モードにブートします。
これにより,インストレーション環境で利用できる書き込み可能ディスク・スペースよりも多くのスペースを確保することができます。
スワップ領域は,3.4 節
に示す手順で UNIX シェルで有効にできます。
3.6.1 項
に UFS ファイル・システムのリストア方法を,3.6.2 項
に AdvFS ファイル・システムのリストア方法を示します。
どちらの手順も,同じディスクにファイル・システムをリストアすることを前提としています。
3.6.1 テープ・バックアップからの UNIX ファイル・システム (UFS) のリストア
次の手順に従って,UNIX ファイル・システムを,元と同じディスクにリストアします。 リストアを行おうとしているパーティションのサイズは,ダンプ・ファイルのサイズより大きくなければなりません。
注意
以下の手順では,システムが配布メディアから起動されていることと,[ファイル] メニューからインストレーション処理を終了して UNIX シェルへ戻っていることを前提としています。
破損したファイル・システムが置かれているディスクのラベルを読み取り,ディスクのタイプを判断します。
# disklabel -r /dev/rdisk/dskna | more
ディスク・タイプは「disk:
」フィールドの隣に表示されます。
ディスク・タイプをここに記録してください:
____________
ディスクにディスク・ラベルがない場合は,3.8 節 に進んでディスク・ラベルを作成します。
次のコマンド構文を使用して,新しい
/
(ルート) ファイル・システムを作成します。
newfs
device_name disk_type
device_name
パラメータには,影響を受けるディスクの完全なパス名を指定します。
/
(ルート) ファイル・システムは,a
パーティションになければなりません。
たとえば,RZ58 タイプのディスクの
a
パーティションに新しいファイル・システムを作成するには,次のようなコマンドを入力します。
# newfs /dev/disk/dsk0a rz58
/var
にマウント・ポイントを作成して,ファイル・システムをマウントします。
# mkdir /var/mnt
UNIX シェルから書き込み可能なディレクトリは
/var
または
/tmp
に限られるので,このうちいずれかにマウント・ポイントを作成します。
次のコマンド構文で,破損したファイル・システムをマウントします。
mount
device_name mount_point
device_name パラメータにはディスク・デバイスの完全なデバイス・パス名を指定します。 たとえば,前の手順で作成したファイル・システムをマウントするには,次のコマンドを入力します。
# mount /dev/disk/dsk0a /var/mnt
テープ・デバイスの電源がオンで,システムに接続されていることを確認します。
注意
システムの初期化時にテープ・デバイスの電源がオンでなかった場合,システムからそのデバイスが見えないことがあります。 このような場合は,システムをシャットダウンして,テープ・デバイスの電源をオンにし,システムをリブートしてください。
テープ・デバイス特殊ファイルが存在するかどうかを調べます。 次のコマンドを使用して,システム上のすべてのデバイスについての情報を取得します。
# hwmgr -view device
このコマンドで
/dev/tape/tape0
のようなデバイス名が出力されなかった場合は,手順
7
の説明に従って,テープ・デバイス特殊ファイルを作成します。
テープ・デバイスが存在する場合は,手順
9
に進みます。
テープ・デバイス用のデバイス特殊ファイルを作成します。
# /sbin/dn_setup -install_tape
+tape0
のようなメッセージで,この操作で作成されたデバイス名が表示されます。
プラス記号は,デバイスが追加されたことを示します。
hwmgr
コマンドを再度使用して,テープ・デバイスの完全パス名を表示します。
このデバイス名は手順
9
で使用します。
# hwmgr -view device
ルート・ファイル・システムをリストアします。
ローカル・ファイル・システムからダンプ・ファイルをリストアしている場合,/var/mnt
ディレクトリに移動し,ダンプ・ファイルを含むメディアを挿入し,以下の構文で
restore
コマンドを入力します。
restore
-rf tape_device
tape_device パラメータには,ダンプ・データを含むテープ・デバイスの完全パス名を指定します。 たとえば,次のコマンドを入力します。
# cd /var/mnt # restore -rf /dev/tape/tape_device
システムをシャットダウンして停止させます。
# shutdown -h now
リストアしたディスクからシステムをリブートします (リストアしたディスクに対応するコンソール・デバイス名が分からない場合は,show dev
コマンドを使用します)。
# show dev # boot console_device_name
3.6.2 テープ・バックアップからの AdvFS のリストア
次の手順に従って,AdvFSファイル・システムを,元と同じディスクにリストアします。
注意
以下の手順では,システムが配布メディアから起動されていることと,インストレーション処理を終了して UNIX シェルへ戻っていることを前提としています。
破損したファイル・システムが置かれているディスクのディスク・ラベルを読み取り,ディスク・ラベルが有効であることを確認します。
# /usr/sbin/disklabel -r /dev/rdisk/dskna | more
ディスクにディスク・ラベルがない場合は,3.8 節 に進んでディスク・ラベルを作成します。
次のコマンド構文を使用して,新しい
/
ファイル・ドメインを作成します。
mkfdmn
-orF device_name domain
device_name
パラメータには,使用しているシステムにあるディスク・デバイスの完全なデバイス・パス名を指定します。
たとえば,dsk0
の
a
パーティションに新しいファイル・システムを作成するには,次のコマンドを入力します。
# mkfdmn -orF /dev/disk/dsk0a root_domain
root_domain
ファイルに
root
ファイルセットを作成します。
次のコマンドを使用してください。
# mkfset domain fileset
domain
パラメータには,ファイルセットを作成するドメインの名前を指定します。
たとえば,root_domain
ファイル・ドメインに
root
ファイルセットを作成するには,次のコマンドを入力します。
# mkfset root_domain root
/var
または
/tmp
にマウント・ポイントを作成し,ファイルセットをマウントする準備をします。
# mkdir /var/mnt
マウント・ポイントは,UNIX シェルから書き込み可能なディレクトリである
/var
または
/tmp
ディレクトリの下に作成することをお勧めします。
root
ファイルセットをマウントします。
次のコマンド構文を使用してください。
mount
domain#fileset mount_point
domain#fileset
パラメータには,root
ファイル・ドメインおよび
root
ファイルセットを指定します。
たとえば,前のステップで作成したファイルセットをマウントするには,次のコマンドを入力します。
# mount root_domain#root /var/mnt
ファイル・ドメインとファイルセットがマウントされていることを確認します。
# showfdmn root_domain # showfsets root_domain
テープ・デバイスの電源がオンで,システムに接続されていることを確認します。
注意
システムの初期化時にテープ・デバイスの電源がオンでなかった場合,システムからそのデバイスが見えないことがあります。 このような場合は,システムをシャットダウンして,テープ・デバイスの電源をオンにし,システムをリブートしてください。
テープ・デバイス特殊ファイルが存在するかどうかを調べます。 次のコマンドを使用して,システム上のすべてのデバイスについての情報を取得します。
# hwmgr -view device
このコマンドで
/dev/tape/tape0_d0
のようなデバイスが出力されなかった場合は,手順
9
の説明に従って,テープ・デバイス特殊ファイルを作成します。
このようなデバイスが出力された場合は,手順
11
に進みます。
テープ・デバイス用のデバイス特殊ファイルを作成します。
# /sbin/dn_setup -install_tape
+tape0
のようなメッセージで,この操作で作成されたデバイス名がリストされます。
プラス記号は,デバイスが追加されたことを示します。
すべてのテープ・デバイス特殊ファイルが作成されたら,手順
11
に進んで,破損した
/
ファイル・システムの回復作業を続けます。
hwmgr
コマンドを再度使用して,テープ・デバイスの完全パス名を表示します。
このデバイス名はステップ
11
で使用します。
# hwmgr -view device
vrestore
コマンドを使用して,ファイルセットをリストアします。
ローカル・ファイル・システムからファイルをリストアするには,/var/mnt
ディレクトリに変更し,ダンプ・ファイルを格納しているメディアを挿入して,vrestore
コマンドを次の構文で入力します。
vrestore
-vxf tape_device_name
tape_device_name パラメータには,10 で取得した,ダンプ・データが入っているテープ・デバイスのパス名を指定します。
# cd /var/mnt # vrestore -vxf /dev/tape/tape_device_name
注意
UFS フォーマットのダンプ・テープを AdvFS にリストアしたり (たとえば,UFS の
/
ファイル・システムをAdvFSに変換する場合),UFS 上にvdump
テープを作成することができます。 使用するリストア・コマンドは,テープのフォーマット (dump
またはvdump
) によって異なります。vdump
コマンドで行われた AdvFS ダンプのリストアにはvrestore
を使用し,dump
コマンドで行われた UFS ダンプのリストアにはrestore
を使用します。 ターゲット・ファイル・システムのタイプにかかわらず,対応するリストア・コマンドを使用します。
/etc/fstab
ファイルおよび
/etc/fdmns
ディレクトリの内容を確認します。
UNIXシェルで
mkfdmn
コマンドを使用して
/
ファイル・システムに追加した
/etc/fdmns/root_domain
は,システムをリブートすると削除されます。
システムをシャットダウンして停止させます。
# shutdown -h now
リストアしたディスクからシステムをリブートします (リストアしたディスクに対応するコンソール・デバイス名が分からない場合は,show dev
コマンドを使用します)。
# show dev # boot console_device_name
UNIX シェルを使用して,他のファイル・システムをリストアすることができますが,ファイル・システムのリストアは,できるだけ完全なオペレーティング・システム環境から実行するようにしてください。
/var
または
/usr
のいずれかのリストアが必要なために,そのような環境が利用できない場合は,既存の
/
ファイル・システムまたはリストアした
/
ファイル・システムを使用して,システムをシングルユーザ・モードにブートする必要があります。
シングルユーザ・モードでは,より多くのディスク・スペースが利用可能になり,次のコマンドを発行すると,スワップ領域を利用可能にすることができます。
# swapon -a
3.7 破損したディスクから新しいディスクへのルート・ファイル・システム・イメージのリストア
この手順は,保存されているルート・ファイル・システム・イメージを不良または破損したディスクから新しいディスクへリストアし,次に新しいディスクの名前を古いシステム・ディスクの名前に変更する方法について説明します。
新しいシステム・ディスクを導入する処理は,/etc/fstab
ファイルのアップデートだけでは済みません。
これは,インストレーション・カーネルが,保存されているシステム・イメージ上で割り当てられているデバイス名とは異なるデバイス名を,システム上のデバイスに割り当てることがあるためです。
この結果,リストアされたシステム・イメージが,イメージのリストアに使用されたカーネルと合わなくなり,両者の間の対応がわからなくなります。
注意
次の手順は,3.6 節の説明に従って,新しいディスクへルート・ファイルのシステム・イメージをリストアしていることを前提としています。
システムを停止します。
# shutdown -h now
システム上のコンソール・ディスク・デバイス名を調べます。
通常,コンソール・デバイス名はコマンド出力の中央の欄に表示されます。
コンソール・デバイス名は
DKA100
,DKC0
などのような名前になっています。
>>> show dev
破損したディスクのコンソール・デバイス名をここに記録してください: ____________
新しいディスクのコンソール・デバイス名をここに記録してください: ____________
リストアしたイメージが格納されている新しいディスクのコンソール・デバイス名 (ステップ 2 で取得した名前) を使用して,システムをシングルユーザ・モードでブートします。
>>> boot -fl s console_device_name
シングルユーザ・モードで,/
ファイル・システムを書き込み可能でマウントします。
# /sbin/mountroot
このプロセスは,新しく見つかったディスクのデバイス・エントリを作成します。 次のようなメッセージで終わる処理メッセージが表示されます。
dskNa dskNb dskNc ...
上記の例の N は,初めて認識された新しいディスクに割り当てられた番号です。 このディスクは,リストアされたディスクです。 ただし,複数のディスクが出力された場合は,システム・ディスクの保存を最後に行った後に複数のディスクを追加しています。
新しいディスクの名前をここに記録してください: _____________
手順 5 に進んで,損傷のある古いディスクのディスク名を調べます。
古いブート・ディスクの名前を調べます。
# /sbin/consvar -g bootdef_dev
このコマンドの出力は,次のようになります。
bootdef_dev = dskN
上記のコマンド出力で,dskN
は
old_disk_name
です。
古いディスクの名前をここに記録してください: _____________
古いディスク名と新しいディスク名を交換します。
# dsfmgr -e new_disk_name old_disk_name
このコマンド行では,new_disk_name には 4で得たディスク名を指定し,old_disk_name には手順 5 で古いディスク名を指定します。
注意
破損した古いディスクが削除され,アクティブでない場合は,メッセージが表示されます。 この場合は,移動フラグ (
-m
) を代りに使用します。# dsfmgr -m new_disk_name old_disk_name
ブート・デバイスを設定し直します。
# /sbin/consvar -s bootdef_dev new_disk_name
必要に応じて他の保守作業を行うか,作業が完了していれば次のコマンドでシステムをマルチユーザ・モードにします。
# init 3
3.8 disklabel コマンドによるディスク・パーティション・サイズの変更
テキスト・ベース・インストレーション・インタフェースを使用している場合,disklabel
コマンドを使用してドライブ ID あるいはディスク・パーティションを変更し,破損したラベルやブートストラップを置き換えることができます。
詳細については,
disklabel
(8)
既存のディスク・パーティションのレイアウトを確認するには,disklabel
コマンドを次のフォーマットで入力します。
変数
n
には,ディスクのユニット番号を指定してください。
たとえば,ディスクの既存のディスク・パーティション・レイアウトを確認するには,次のコマンドを入力します。
# disklabel -r /dev/rdisk/dskn
次の例では,rz26l
ディスクを使用します。
この例では,b
パーティションのサイズを小さくし,a
パーティションのサイズを
/
(ルート) ファイル・システムを保持する最低の大きさである 128 MB まで大きくしています。
ディスク・パーティションのサイズ変更は以下の手順で行います。
dsk0
のディスクラベルを調べます。
# disklabel -r dsk0
EDITOR 環境変数に
ed
エディタを設定します。
# EDITOR=ed # export EDITOR
注意
VGA モニタを使用しており,
vi
エディタを使用したい場合は,まず,次の変数を設定する必要があります。# TERM=vt100 # export TERM # EDITOR=vi # export EDITOR
この後,例に示すコマンドの代りに,対応する
vi
コマンドを使用してディスク・ラベルの変更を行います。 以下の例ではed
を使用します。
dsk0
のディスク・ラベルをテンポラリ・ファイルにコピーします。
# disklabel -r dsk0 > /tmp/old_disklabel
実際のディスク・ラベルにエラーが含まれるのを防ぐために,ディスク・ラベルのコピーの方を編集します。
# ed /tmp/old_disklabel
ディスク・ラベルを再度表示して,変更を確認します。
1,$p
b
パーティションを探します。
/b:
次のような情報が表示されます。
b: 262144 131072 unused 1024 8192 # (Cyl. 164*- 492*)
b
パーティションのサイズを 262144 セクタから 131072 セクタに変更します。
s/262144/131072/p
これにより,b
パーティションの大きさが 128 MB から 64 MB に変更されます。
変更された情報が表示されます。
b: 131072 131072 unused 1024 8192 # (Cyl. 164*- 402)
シリンダ情報を変更する必要はありません。 ファイルを保存して終了すると,自動的にシリンダ情報が変更されます。
b
パーティションのオフセットを 131072 セクタから 262144 セクタへ変更します。
s/131073/262144/2p
これにより,262144 の位置から始まるよう
b
パーティションのオフセットが変更されます。
b: 131072 262144 unused 1024 8192 # (Cyl. 164*- 402)
シリンダ情報を変更する必要はありません。 ファイルを保存して終了すると,自動的にシリンダ情報が変更されます。
a
パーティションを探します。
/a:
次のような情報が表示されます。
a: 131072 0 unused 0 0 # (Cyl. 0 -164*)
b
パーティションのサイズは 131072 セクタ減っているので,a
パーティションのサイズは 131072 セクタ増えるはずです。
a
パーティションのサイズを 131072 セクタから 262144 セクタ変更します。
s/131072/262144/p
これにより,a
パーティションのサイズが 64 MB から 128 MB に増えます。
変更内容を確認するために,ディスク・ラベルを再度表示します。
1,$p
編集内容を保管しエディタを終了します。
wq
新しいディスク・ラベルをディスクに適用します。
# disklabel -R dsk0 /tmp/old_label
新たにカスタマイズされたディスク・ラベルを表示します。
# disklabel -r dsk0
シェルを終了しフル・インストレーションを再スタートします。
3.9 UNIX シェルからインストレーション・プロシージャに戻る
UNIX シェルからフル・インストレーションに戻る手順は,テキスト・ベースのインタフェースを使用しているか,またはグラフィカル・インタフェースを使用しているかによって異なります。
3.9.1 テキスト・ベースのインタフェース
テキスト・ベースのインタフェース,または「Summary」ウィンドウの [Quit] ボタンで UNIX シェルに入った場合,UNIX シェルからフル・インストレーション・インタフェースを再起動するには,次のコマンドを入力します。
# cd / # restart
グラフィックス機能を持つシステム・コンソールを使用しているとき,グラフィカル・ユーザ・インタフェースの代わりにテキスト・ベースのインタフェースでインストレーション・プロシージャを再起動する場合は,次のコマンドを入力します。
# cd / # restart nogui
UNIX シェルへ移った時点で,それまでに選択したインストレーション項目は失われます。
フル・インストレーションを再スタートする場合は,選択をはじめからやり直す必要があります。
3.9.2 グラフィカル・インタフェース
グラフィカル・フル・インストレーション・インタフェースの [ファイル] メニューから UNIX シェルに入った場合,フル・インストレーション・ウィンドウをクリックすることにより,いつでもフル・インストレーションを再開することができます。
シェル・ウィンドウを終了する必要はありませんが,シェル・ウィンドウを終了したい場合には,シェル・ウィンドウ内の
#
プロンプトに
exit
と入力します。
サマリ・ウィンドウの [中止] ボタンで UNIX シェルに入った場合は,3.9.1 項 の手順に従ってフル・インストレーションを再スタートしてください。