本書は,ネットワークのインタフェースとトランスポートを構成し,管理する方法,および Tru64 UNIX オペレーティング・システムが稼働しているシステムで発生するネットワーク関連の問題を解決する方法について説明します。
本書では,オペレーティング・システム・ソフトウェアおよび適切なネットワーキング・サブセットがインストールされていることを前提としています。
本書の対象読者
本書は,ネットワーク・サービスの構成と管理を担当しているシステム管理者およびネットワーク管理者を対象にしています。
管理者は,オペレーティング・システムの概念,コマンド,および構成について理解している必要があります。
また,伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル (TCP/IP) ネットワークの概念とネットワーク構成についての知識を持っていることも望まれます。
本書は,TCP/IP ネットワークについて説明するためのものではありません。
新しい機能および変更された機能
『ネットワーク管理ガイド:接続編』 の改訂内容は以下のとおりです。
IPv6 (Internet Protocol Version 6) の章では,次のような変更があります。 トンネル定義に関する新しい記述,エニーキャスト・アドレスに関する新しい項,自動トンネル,6to4 トンネル,構成済みトンネルを使用した IPv6 の導入に関する新しい項,構成ワークシートの変更,新しい 6to4 トンネル構成とそれに対応するワークシートの例,IPv6 ホストおよびルータを構成する手順の例の追加 (第 3 章)。
IPsec (Internet Protocol Security) と IPsec をシステムに構成する方法に関する章が追加されました (第 4 章)。
Mobile IPv6 と,コレスポンデント・ノードまたはルータ (またはその両方) としてシステムを構成する方法に関する章が追加されました (第 5 章)。
ポイント・ツー・ポイント接続に関する章に,拡張構成ワークシートと PPP (Point-to-Point Protocol) オプションに関する説明が追加されました。
問題解決に関する章に Mobile IPv6 (10.4.3 項) と IPsec (10.5 節) に関する説明が追加されました。
問題解決ツールに関する章に,ネットワーク・インタフェースに関する情報の表示に関する節が追加されました (11.1 節)。
IPsec メッセージを記載した付録が追加されました (付録 B)。
本書はいくつかの章から構成されており,各章でそれぞれ異なる接続やトランスポートの構成について説明します。 その他,補足情報を記載した付録もあります。
第 1 章 | ネットワーク管理について説明し,本書で取り上げる各種の構成要素を紹介します。 |
第 2 章 | IPv4 (Internet Protocol Version 4) ネットワークでのネットワーク接続の基本的な管理作業について説明します。 |
第 3 章 | IPv6 (Internet Protocol Version 6) ネットワークの管理作業について説明します。 |
第 4 章 | IPsec (Internet Protocol Security) の管理作業について説明します。 |
第 5 章 | Mobile IPv6 の管理作業について説明します。 |
第 6 章 | ATM (Asynchronous Transfer Mode) ネットワーク接続の管理作業について説明します。 |
第 7 章 | DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) の管理作業について説明します。 |
第 8 章 | ポイント・ツー・ポイント接続の管理作業について説明します。 |
第 9 章 | LAT (Local Area Transport) の管理作業について説明します。 |
第 10 章 | ネットワークの問題を診断する方法について説明します。 |
第 11 章 | 問題解決に役立つ各種の診断ツールについて説明します。 |
第 12 章 | 問題をコンパックに報告する方法と,その際に用意すべき情報について説明します。 |
付録 A | netstat コマンドを使用して,イーサネット,FDDI (Fiber Distributed Data Interface),およびトークン・リングのネットワーク・インタフェースを監視する方法について説明します。 |
付録 B | IPsec のエラー・メッセージとその原因について説明します。 |
Tru64 UNIX のネットワーク機能および通信機能についての詳細は,以下のドキュメントを参照してください。
『ネットワーク管理ガイド:サービス編』
本書で取り上げる接続とトランスポートを使用するネットワーク・サービスについての情報を記載したマニュアルです。 次に挙げるサービスとアプリケーションの構成と管理について説明しています。
DNS (Domain Name System)
NIS (Network Information Service)
NFS (Network File System)
UUCP (UNIX-to-UNIX Copy Program)
NTP (Network Time Protocol)
sendmail,POP (Post Office Protocol) および IMAP (Internet Message Access Protocol) を含むメール・システム
SNMP (Simple Network Management Protocol)
『Tru64 UNIX ユーザーズ・ガイド』
オペレーティング・システムのコマンドおよびシェルの基本的な使用方法について説明しています。
『JOIN Server Administrator's Guide』-- Join Systems 社
ネットワークで Dynamic Host Configuration Protocol をインプリメントする方法について詳しく説明しています。 このマニュアルは,Web ブラウザで次のファイルを開けば閲覧できます。
/usr/doc/join/TOC.html
RFC (Request for Comments) 文書
本書では随所で,RFC 文書 (RFC 1577 など) をネットワーク関連トピックの詳しい参照先としています。 RFC 文書では,インターネット標準,新しい研究概念,およびインターネットに関するメモなどが発表されています。 RFC の全文書と IETF (Internet Engineering Task Force) の詳細情報は,次の URL で閲覧できます。
Best Practice
Tru64 UNIX の Best Practices ドキュメントでは,ネットワークに関するいくつかの概念と作業,およびその他のトピックについて説明しています。 これらのドキュメントは,次の URL の Tru64 UNIX のドキュメント・サイトで閲覧できます。
公開鍵暗号化についての詳細は,『Applied Cryptography: Protocols, Algorithms, and Source Code in C』(second edition, John Wiley & Sons, Inc., 1996 by Bruce Schneier, ISBN 0-471-11709-9) を参照してください。
IPsec についての詳細は,『IPSec: The New Security Standard for the Internet, Intranets, and Virtual Private Networks』(Prentice Hall, 1999 by Naganand Doraswamy and Dan Harkins, ISBN 0-13-011898-02) を参照してください。
本書の表記法
本書は,次の表記法を使用します。
%
$
パーセント記号は,C シェルのシステム・プロンプトを表します。ドル記号は, Bourne シェル,Korn シェル,および POSIX シェルの場合の システム・プロンプトを表します。
#
番号記号は root としてログインした場合のシステム・プロンプトを表します。
%
cat
対話式の例における太字(ボールド体)は,ユーザが入力する文字を示します。
イタリック体 (斜体) は,変数値,プレースホルダ,および関数の引数名を示します。
構文定義では,大カッコはオプションの項目を示し,中カッコは必須項目を示します。 大カッコまたは中カッコの中の項目を縦線で区切っている場合は, そこに併記されている項目の中から1つの項目を選択することを示します。
colored
text
構文定義では,リテラル要素(コマンド名など文字通り入力する要素)は緑色で表示され,変数値,数式/論理式記号,関数の引数名は赤色で表示されます。 構文説明以外の場所では,色付きのテキストは使用しません。
構文定義では,水平の反復記号は,前の項目を1回以上繰り返して使用できることを示します。
cat
(1)リファレンス・ページの参照には,該当するセクション番号をカッコ内に示します。
たとえば,
cat
(1)cat
コマンドについての情報が,
リファレンス・ページのセクション1に記載されていることを示します。
四角で囲まれたキー名はユーザがそのキーを押すことを示します。
この記号は,スラッシュの前に指定されているキーを押しながら, スラッシュの後のキーまたはマウス・ボタンを押すことを示します。 例中では,このようなキーの組み合わせは, 四角あるいは大カッコで囲まれて示されます(たとえば,[Ctrl/C] )。