8    GS80,GS160,GS320 のハードウェア・パーティションを使用する TruCluster Server 構成

この章では,Tru64 UNIX バージョン 5.1B で AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションを使用する TruCluster Server バージョン 5.1B の構成について説明します。この章では以下の項目について説明します。

8.1    ハード・パーティションの概要

AlphaServer GS80/160/320 システムには,コンピュータ・リソースの個々のサブセットを定義する機能があります。それぞれのサブセットでオペレーティング・システムを実行することができます。

Tru64 UNIX バージョン 5.1B オペレーティング・システムでは,ハードウェア・パーティションをサポートしています。パーティションは QBB (Quad Building Block) で定義されます。QBB にあるすべての CPU,メモリ,I/O リソースがハードウェア・パーティションの一部になります。複数のハードウェア・パーティションにわたる構成要素を分割することはできません。また,ハードウェア・パーティション間でリソースを共用することはできません。1 つのパーティションには複数の QBB を含めることができます。

TruCluster Server バージョン 5.1B 製品は,AlphaServer GS80/160/320 ハードウェア・パーティションをクラスタ・メンバ・システムとして使用することができます。クラスタはシステムのパーティション全体,または AlphaServer GS80/160/320 パーティション全体および他の AlphaServer システムを含むように構成することもできます。AlphaServer GS80/160/320 ハードウェア・パーティションを別のスタンドアロン・システムとして使用することもできます。

AlphaServer GS80/160/320 システムは,同じスイッチ技術,同じ CPU とメモリ,同じ I/O ライザ (riser)・モジュール,および電源モジュールを使用します。GS160 および GS320 システムでは,1 つのキャビネットで最大 2 つのシステム・ボックス (それぞれに 2 つの QBB) にオブジェクトを収納できます。GS320 にはシステム・ボックス用に 2 つのキャビネットが必要です。

GS80 は 1 つのドロワ (drawer) の中に QBB 用のシステム・モジュールを持つラック・システムです。8 プロセッサの GS80 では,CPU,メモリ,および I/O ライザ・モジュール用に 2 つのドロワを使用します。

すべてのシステムは,I/O 用に同じタイプの PCI ドロワを使用します。これらは GS160/GS320 電源キャビネット,または GS80 RETMA キャビネットに格納されています。別の PCI ドロワは,拡張キャビネットにマウントします。

8.2    クラスタ内のハードウェア・パーティションのハードウェア要件

AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションの TruCluster Server ハードウェア要件は,クラスタの他のシステムと同じです。要件には以下のものがあります。

クラスタ内で使用する AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションそれぞれに,少なくとも 1 つの CPU および 1 つのメモリ・モジュールを持つ QBB が,1 つ以上必要です。さらに,以下のものが必要です。

図 8-2 に,拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの前面図を示します。1 次 PCI ドロワが下になります。これは,CD-ROM やキーボード,マウスのポート,COM2 ポートとパラレル・ポート,および OCP への接続があるのですぐに見分けることができます。図 8-3 には,両方の PCI ドロワの背面図を示します。背面からは PCI ドロワの種類が区別しづらくなっていますが,スロット 1 で判断できます。1 次 PCI ドロワには,スロット 1 に標準 I/O モジュールがあり,このモジュールからコンソール・ポートとモデム・ポート,および USB へ接続されています。

図 8-2:  拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの前面図

図 8-3:  拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの背面図

8.3    分割した GS80,GS160,または GS320 システムの TruCluster 構成

AlphaServer GS80/160/320 システムは,TruCluster Server 構成のメンバとすることができます。また,パーティションが8.2 節で説明するハードウェア要件を満たす場合には,AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションをメンバ・システムとすることができます。

次の項では,単一パーティションの AlphaServer GS80/160/320 システムを,TruCluster Server 構成で複数のハードウェア・パーティションとして構成する方法について説明します。ここでは,TruCluster Server 構成で 2 つのメンバ・システムとして使用する,新しくインストールしたシステムを例に挙げて説明します。

8.3.1    単一パーティションの AlphaServer GS80/160/320 をクラスタ内で 2 つのパーティションに再分割する方法

この項で説明する新しい AlphaServer GS80/160/320 は,ハードウェアがインストールされ,システム管理コンソールが最初のパーティション用に接続されて,最初のパーティション用にターミナル・エミュレータ・ウィンドウが開かれたのち,システムの電源が入れられ,単一パーティションとしてテスト済と仮定しています。またこの項では,各パーティションにどの QBB を使用するかが確定されているとします。手順では,GS80 システムの最大数である 2 つのハードウェア・パーティションで説明しますが,ハードウェアの容量と配置,および SCM 環境変数値を変更することにより,(サポートされるシステムによって) パーティション数が異なっても同じように処理できます。

注意

各パーティションを別のシステムとして表示してください。

最初の電源投入時に,システムが単一パーティションとして起動することを確認してください。キー・スイッチをオンにしないでください。AC 回路ブレーカのみ電源を投入します。SCM set hp_count 0 コマンドを使用して,システムが単一パーティションとして起動していることを確認します。キー・スイッチをオンにして,システムへ電源を供給します。

AlphaServer GS80/160/320 システムを,TruCluster Server のメンバ・システムとして使用する 2 つのパーティションに再分割するには,次の手順に従います。

  1. 必要であれば,各ハードウェア・パーティション (パーティション 0 より後) に対して 1 次 PCI ドロワを設置します。必要に応じて,拡張 PCI ドロワを設置し,追加の PCI スロットを用意します。最初のパーティション用に 1 次 PCI ドロワがあることを確認します。

    注意

    マスタ SCM およびスタンバイ SCM (スタンバイ SCM がある場合) を含む 1 次 PCI ドロワを,GS160 または GS320 の電源キャビネット,または GS80 の場合は RETMA キャビネットに設置することをお勧めします。いずれの場合も OCP に接続する必要があります。

  2. ご使用の TruCluster Server 構成に合わせて,各パーティションの 1 次 (または拡張) PCI ドロワに以下のハードウェアを設置し,ケーブルをすべて接続します。できるだけ対称的に構成して,トラブルシューティングおよび再構成の作業を行いやすくしてください。

  3. パーティションの QBB にあるローカル I/O ライザ (図 8-1) と,1 次 PCI ドロワおよび拡張 PCI ドロワ (図 2-1 および図 8-3) にあるリモート I/O ライザを,BN39B ケーブルで接続します。GS80 RETMA キャビネットの PCI ドロワには BN39B-01 ケーブル (1 m ; 3.3 フィート) を使用します。PCI ドロワが GS160 または GS320 電源キャビネットにある場合は BN39B-04 (4 m ; 13.1 フィート) を,拡張キャビネットにある場合は BN39B-10 ケーブル (10 m ; 32.8 フィート) を使用します。ケーブル接続が,Memory Channel モジュールではなく,PCI ドロワの 0-R および 1-R (リモート I/O ライザ) 接続されていること確認してください。

    注意

    I/O ライザ 0 (ローカル I/O ライザ・ポート 0 および 1) は,マスタ SCM (システム制御マネージャ) となる 1 次 PCI ドロワに接続することをお勧めします。

    同じパーティションにある QBB ならば,1 つの PCI ドロワに複数の QBB を接続することができます。

    システム・イベントは,I/O ライザ 0 経由でシステムに報告されるため,PCI ドロワにあるリモート I/O ライザ 0 はすべて接続する必要があります。

    1 つのハードウェア・パーティションにつき 2 つ以上の PCI ドロワが必要な場合は,そのパーティションに 1 つ以上の QBB が必要となります。各 QBB では 2 つの PCI ドロワ (ローカル I/O ライザおよび PCI ドロワの間で 2 本のケーブル) をサポートします。

  4. 各 PCI ドロワの背面で,CSB ノード ID モジュールにある押しボタン式のカウンタ・スイッチを使って,PCI ドロワのノード ID を設定します (図 8-3 を参照)。マスタ SCM 用の 1 次 PCI ドロワのノード ID を 0 に設定します。スタンバイ SCM (該当する場合) 用の 1 次 PCI ドロワのノード ID を 1 に設定します。以降の PCI ドロワには,PCI ドロワのノード ID を 1 ずつ大きい番号にしていきます。

  5. マスタ SCM を含む 1 次 PCI ドロワが OCP に接続されていることを確認します。スタンバイ SCM (該当する場合) を使った 1 次 PCI ドロワを OCP に接続します。

  6. H8585-AA コネクタを,新しいパーティションの標準 I/O モジュールにあるターミナル・ポートに接続します。H8585-AA コネクタとターミナル・サーバの間を BN25G-07 ケーブルで接続し,コンソール・ターミナル接続をシステム管理コンソールへ提供します。

    システム管理コンソールのターミナル・エミュレータを使って,そのパーティション用に新しいターミナル・ウィンドウを作成します。

  7. 各 QBB の AC 回路ブレーカの電源を投入します。これにより,コンソール・シリアル・バス (CSB) および SCM へ電源が供給されます。OCP キー・スイッチをオンにしないでください。システムの分割に,冗長な電源投入シーケンスは必要ありません。

    注意

    OCP キー・スイッチが On または Secure の位置にある場合,システムにより電源投入シーケンスが実行されてしまいます。

    この場合は,電源投入シーケンスが終了したときに,power off SCM コマンドを使ってシステムの電源を切断し,その後にシステムを分割してください。

    auto_quit_scm SCM 環境変数が設定されている場合 (つまり 1 の場合),電源投入シーケンスの最後に,制御が SRM コンソール・ファームウェアに渡されます。エスケープ・シーケンス ([Esc] [Esc] scm) を使って,SCM ファームウェアへ制御を渡してください。 auto_quit_scm SCM 環境変数が設定されていない場合 (つまり 0 の場合),SCM は制御を継続します。

    パーティションを指定せずに,マスタ SCM で power off コマンドを実行した場合,電源がシステム全体で切断されます。パーティションの電源を切断するには,power off -par n を使用します。ここでは,n がパーティション番号となります。

    スレーブ SCM は,そのパーティションに対する電源のみ制御することができます。

  8. 電源投入時の自己診断 (POST) が完了し,システムの電源が切断されたら,マスタ SCM を使って,パーティションを定義するための SCM 環境変数を設定します。

    hp_count SCM 環境変数は,ハードウェア・パーティションの数を定義します。 hp_qbb_maskn SCM 環境変数は,ビット位置によってどの QBB がパーティション n 部分になるかを定義します。例 8-1 に,各パーティションに 2 つの QBB が含まれる,2 つのパーティションの設定方法を示します。パーティション 0 には QBB 0 および 1,パーティション 1 には QBB 2 および 3 が含まれます。

    show nvr SCM コマンドを使用して,SCM 環境変数を表示します。

    例 8-1:  SCM 環境変数を使ったハードウェア・パーティションの定義

    SCM_E0> set hp_count 2  [1]
    SCM_E0> set hp_qbb_mask0 3  [2]
    SCM_E0> set hp_qbb_mask1 c  [3]
    SCM_E0> show nvr  [4]
    com1_print_en               1 
    hp_count                    2  [5]
    hp_qbb_mask0                3  [5]
    hp_qbb_mask1                c  [5]
    hp_qbb_mask2                0 
    hp_qbb_mask3                0 
    hp_qbb_mask4                0 
    hp_qbb_mask5                0 
    hp_qbb_mask6                0 
    hp_qbb_mask7                0 
    srom_mask                   ff f 
    xsrom_mask                  ff ff ff ff ff ff ff ff ff 1 0 0 
    primary_cpu                 ff 
    primary_qbb0                ff 
    auto_quit_scm               1  [6]
    fault_to_sys                0 
    dimm_read_dis               0 
    scm_csb_master_eligible     1  [7]
    perf_mon                    20 
    scm_force_fsl               0 
    ocp_text                    as gs160
    auto_fault_restart          1 
    scm_sizing_time             c 
     
    

    1. ハードウェア・パーティションの数を 2 に設定します。 [例に戻る]

    2. ハードウェア・パーティション 0 用に QBB 0 と QBB 1 を選択するため,マスク (0011) のビット 0 および 1 を設定します。 [例に戻る]

    3. ハードウェア・パーティション 1 用に QBB 2 と QBB 3 を選択するため,マスク (1100) のビット 2 および 3 を設定します。 [例に戻る]

    4. ハードウェア・パーティション変数が正しく設定されているかどうかを確認するため,SCM 環境変数 (不揮発性 RAM) を表示します。 [例に戻る]

    5. ハードウェア・パーティション環境変数が正しいかどうかを確認します。 [例に戻る]

    6. 電源投入シーケンスの最後で SRM コンソール・ファームウェアに制御が渡されることを示します。SCM コマンドを実行したい場合,エスケープ・シーケンス (Esc Esc scm) を使って,SCM ファームウェアに制御を渡します。電源投入シーケンスの最後で SCM の制御を続ける場合は, auto_quit_scm SCM 環境変数に 0 を設定します。 [例に戻る]

    7. この 1 次 PCI ドロワにある SCM は,その後,継続する電源投入シーケンスのマスタ SCM として選択できることを示します。マスタ SCM として選択するためには,SCM が OCP に接続され,CSB ノード ID の数字が最も小さく, scm_csb_master_eligible SCM 環境変数が設定されている必要があります。 [例に戻る]

  9. 1 台の 1 次 PCI ドロワをマスタ SCM となるように選択します。必要であれば, scm_csb_master_eligible 環境変数を設定することにより,別の 1 次 PCI ドロワをスタンバイ SCM に選択します。マスタ SCM およびスタンバイ SCM は OCP に接続する必要があります。マスタ SCM は,最も数字の小さいノード ID となるようにしてください。

    show csb SCM コマンドから入手したノード ID アドレスを使用します (例 8-4)。複数の 1 次 PCI ドロワが使用できる場合,最も数字の小さいノード ID を持つ 1 次 PCI ドロワの SCM がマスタとして選択されます。他の SCM は,マスタ SCM で障害が発生した場合にスタンバイ状態となります。

    ノード ID スイッチが 0 に設定されている場合,CSB ノード ID は 10 となります (例 8-4)。ノード ID スイッチが 1 に設定されている場合は,CSB ノード ID が 11 となります。

    たとえば,以下のコマンドにより,ノード ID 10 および 11 (スイッチが 0 と 1 に設定) の 1 次 PCI ドロワの SCM は,コンソール・シリアル・バス (CSB) のマスタ (およびスタンバイ) となります。

    SCM_E0> set scm_csb_master_eligible 10,11
     
    

    注意

    マスタ SCM が OCP に接続されていない場合,システムはハングします。

  10. スタンバイ SCM で,マスタ SCM の設定と一致するように hp_count および hp_qbb_maskn SCM 環境変数を設定します。

    SCM_E0> set hp_count 2
    SCM_E0> set hp_qbb_mask0 3
    SCM_E0> set hp_qbb_mask1 c
     
    

  11. オン/オフ・スイッチを On または Secure の位置に切り替え,マスタ SCM を使って各パーティションの電源を入れます。電源投入シーケンスが完了したら,例 8-2 で示すように,制御を SRM コンソール・ファームウェアに渡します。

    例 8-2:  パーティションの電源投入

    SCM_E0> power on -par 0  [1]
    
    .
    .
    .
    SCM_E0> power on -par 1 [2]
    .
    .
    .
    SCM_E0> quit [3]  

    1. パーティション 0 の電源を入れます。 [例に戻る]

    2. パーティション 1 の電源を入れます。 [例に戻る]

    3. SCM ファームウェアから SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します。 [例に戻る]

    注意

    auto_quit_scm SCM 環境変数が設定されている場合,電源投入シーケンスの最後で制御が自動的に SRM コンソール・ファームウェアへ渡されます。

  12. AlphaServer システムのファームウェア用リリース・ノートの最新版を用意します (8.5 節)。現在のファームウェア・リビジョンを,リリース・ノートに記載されている必要なリビジョン (例 8-4) と比較します。必要に応じて,ファームウェアをアップデートしてください (8.5 節)。

    SRM コンソール・ファームウェアには,ISP1020/1040 ベースの PCI オプション・ファームウェアが含まれています。このオプション・ファームウェアには,KZPBA 対応のファームウェアも含まれています。SRM コンソール・ファームウェアをアップデートする場合,KZPBA ファームウェアをアップデートすることができます。電源リセット時,SRM コンソールにより,コンソール・システムのフラッシュ ROM から Qlogic ISP1020/1040 ベースの PCI オプションすべてに対するファームウェアが NVRAM に読み込まれます。これには,KZPBA PCI-to-Ultra SCSI アダプタ対応ファームウェアも含まれます。

  13. クラスタ・インターコネクトで Memory Channel を使用する場合,Memory Channel 診断コマンド mc_diag および mc_cable を実行し,Memory Channel アダプタが操作できることを確認します (5.6 節)。

  14. 各パーティションのターミナル・エミュレータで,SRM コンソール・ファームウェアにアクセスし,必要に応じて以下のことを実行します。

    1. 必要であれば,KZPBA SCSI ID を設定して,すべての共用ストレージにアクセスできることを確認します。

    2. Tru64 UNIX オペレーティング・システムをインストールします (Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド』を参照)。

    3. TruCluster Server ソフトウェアをインストールします (TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』を参照)。

  15. Fibre Channel ストレージを使用している場合は,「第 7 章,Fibre Channel ストレージの使用」の手順に従ってください。

  16. 必要に応じて,高可用性アプリケーションまたはサービスを設定します。

8.4    AlphaServer GS80/160/320 システム構成の確認

AlphaServer GS80/160/320 システムで,慣れない再構成を行わなければならないことがあります。システムの再構成を始める前に,以下について確認してください。

show nvr (例 8-1),show system (例 8-3),および show csb (例 8-4) などのシステム制御マネージャ (SCM) のコマンドを使って,必要な情報を確認します。

SRM プロンプトの状態で,エスケープ・シーケンス (Esc Esc scm) を使用して,SCM ファームウェアに制御を渡します。

例 8-3 に,AlphaServer GS160 システムに対する show system SCM コマンドの表示結果を示します。

例 8-3:  AlphaServer GS160 システム情報の表示

SCM_E0> show system
 
System Primary QBB0 : 2
System Primary CPU  : 0 on QBB2
 
[1]   [2]    [3]  [4]           [5]          [6] [7]  [8] [9] [10]
Par hrd/sft CPU  Mem   IOR3 IOR2 IOR1 IOR0  GP  QBB  Dir PS  Temp
     QBB#   3210 3210     (pci_box.rio)     Mod BP   Mod 321 (コC)
 
(0)  0/30   PPPP --PP  --.- --.- P0.1 P0.0   P   P    P  -PP  27.0
(0)  1/31   PPPP --PP  --.- --.- --.- --.-   P   P    P  -PP  26.0
(1)  2/32   PPPP --PP  --.- --.- P1.1 P1.0   P   P    P  PP-  26.0
(1)  3/33   PPPP --PP  --.- --.- --.- --.-   P   P    P  PP-  27.0
 
HSwitch  Type    Cables 7 6 5 4 3 2 1 0    Temp(コC)
 
HPM40    8-port         - - - - P P P P     29.0  [11]
 
[12]               [13]                 [14][15]  [16]
PCI Rise1-1  Rise1-0  Rise0-1  Rise0-0   RIO  PS  Temp
Cab 7 6 5 4   3 2 1   7 6 5 4   3 2 1    1 0  21  (コC)
 
10  L L L M   - M -   M L L L   L L S    * *  PP  30.5
11  L L L M   - M -   M L L L   L L S    * *  PP  30.0
 

  1. ハードウェア・パーティション番号。この例では,2 つのハードウェア・パーティションがあります (0 および 1)。 [例に戻る]

  2. QBB 番号およびコンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。QBB 0 および 1 (CSB ノード ID 30 および 31) はパーティション 0 にあります。QBB 2 および 3 (CSB ノード ID 32 および 33) はパーティション 1 にあります。 [例に戻る]

  3. 電源が投入され,自己診断にパスした状態を示す CPU モジュールの状態があります (P)。ダッシュ (-) は空のスロットを示します。F は自己診断に失敗したことを示します。この例では,各 QBB に 4 つの CPU モジュールがあり,各モジュールが自己診断にパスしたことを示しています。 [例に戻る]

  4. 電源が投入され,自己診断にパスした状態を示すメモリ・モジュールの状態があります (P)。ダッシュ (-) は空のスロットを示します。F は自己診断に失敗したことを示します。この例では,各 QBB に 2 つのメモリ・モジュールがあり,各モジュールが自己診断にパスしたことを示しています。 [例に戻る]

  5. QBB I/O ライザにプラグインされた PCI ドロワ I/O ライザの状態を,Xm.n の形式で表します。X は,"P","p","F",またはダッシュ (-) です。QBB ローカル I/O ライザは,IOR0 (ポート 0),IOR1 (ポート 1),IOR2 (ポート 2),および IOR3 (ポート 3) です。P (大文字) は,電源が入った状態で自己診断にパスしたことを示します。p (小文字) は,電源が入っていない状態で自己診断にパスしたことを示します。そして,F は自己診断に失敗したことを示します。

    各 QBB の m.n 番号は,ローカル I/O ライザが接続されている PCI ドロワ (m = 0f) および PCI ドロワの I/O ライザ (n = 0, 1) ) を示します。たとえば,QBB0 ポート 0 (IOR0) は PCI ドロワ 0,I/O ライザ 0 (P0.0) に接続され,QBB0 ポート 1 (IOR1) は PCI ドロワ 0,I/O ライザ 1 (P0.1) に接続されています。

    m.n にダッシュ (-) がある場合,I/O ライザ・モジュールはインストールされていません。画面には,--.- が 2 つ続けて表示 (--.- --.-) されていますが,これはローカル I/O ライザ・モジュールに 2 ポートあるためです。

    ここでは,Px.x という表示もありますが,これは I/O ライザ・モジュールがインストールされ,電源が入った状態で自己診断にパスしているが,ケーブルがポートに接続されていないことを示します。たとえば Px.x P2.0 の場合,ローカル I/O ライザはインストールされていますが,ケーブルは 1 本しか接続されていません。 [例に戻る]

  6. 自己診断にパスしたグローバル・ポート・モジュールの状態。 [例に戻る]

  7. 自己診断にパスした QBB バックプレーンの電源システム・マネージャ (PSM) の状態。 [例に戻る]

  8. 自己診断にパスした QBB ディレクトリ・モジュールの状態。 [例に戻る]

  9. QBB の電源状態。各 QBB には,2 つの電源があります。ダッシュ (-) の場合は,その位置に電源がないことを示します。 [例に戻る]

  10. QBB バックプレーンの温度 (℃)。 [例に戻る]

  11. 階層スイッチ (H スイッチ) の種類,状態,温度,および H スイッチに接続された QBB のレポート。この例では,QBB 0,1,2,および 3 が H スイッチに接続されています。 [例に戻る]

  12. PCI ドロワのコンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。この例では,1 台目の PCI ドロワのノード ID が 10,2 台目の PCI ドロワのノード ID が 11 となります。この場合,ノード ID スイッチは 0 および 1 に設定されていることに注意してください。 [例に戻る]

  13. PCI ドロワにある 4 つの PCI バスそれぞれの状態。S は,標準 I/O モジュールであることを示します。スロットにある他のモジュールは,電力消費によって識別されます。

    この例で M となっている PCI モジュールは,電力が Memory Channel および Fibre Channel-to-PCI ホスト・バス・アダプタで消費されます。 [例に戻る]

  14. PCI ドロワの I/O ライザ・モジュールがあるかどうかを示します。アスタリスク (*) であれば,モジュールがあります。 [例に戻る]

  15. PCI ドロワの電源の状態は次のとおりです。

    [例に戻る]

  16. PCI ドロワの温度 (℃)。 [例に戻る]

例 8-4 に,AlphaServer GS160 システムに対する show csb SCM コマンドの表示結果を示します。

例 8-4:  コンソール・シリアル・バス (CSB) 情報の表示

SCM_E0> show csb
 [1] [2]               [3]                  [4]         [5]          [6]
CSB Type         Firmware Revision      FSL Revision  Power State
10  PBM          T05.4   (03.24/01:14)  T4.2 (09.08)  ON           
11  PBM          T05.4   (03.24/01:14)  T4.2 (09.08)  ON           
30  PSM          T05.4   (03.24/01:09)  T4.0 (07.06)  ON           SrvSw: NORMAL
30    XSROM      T05.4   (03.24/02:10)
C0    CPU0/SROM  V5.0-7                                ON
C1    CPU1/SROM  V5.0-7                                ON
C2    CPU2/SROM  V5.0-7                                ON
C3    CPU3/SROM  V5.0-7                                ON
C0    IOR0                                             ON
C1    IOR1                                             ON
31  PSM          T05.4   (03.24/01:09)  T4.0 (07.06)  ON           SrvSw: NORMAL
31    XSROM      T05.4   (03.24/02:10)
C4    CPU0/SROM  V5.0-7                                ON
C5    CPU1/SROM  V5.0-7                                ON
C6    CPU2/SROM  V5.0-7                                ON
C7    CPU3/SROM  V5.0-7                                ON
32  PSM          T05.4   (03.24/01:09)  T4.0 (07.06)  ON           SrvSw: NORMAL
32    XSROM      T05.4   (03.24/02:10)
C8    CPU0/SROM  V5.0-7                                ON
C9    CPU1/SROM  V5.0-7                                ON
CA    CPU2/SROM  V5.0-7                                ON
CB    CPU3/SROM  V5.0-7                                ON
C8    IOR0                                             ON
C9    IOR1                                             ON
33  PSM          T05.4   (03.24/01:09)  T4.0 (07.06)  ON           SrvSw: NORMAL
33    XSROM      T05.4   (03.24/02:10)
CC    CPU0/SROM  V5.0-7                                ON
CD    CPU1/SROM  V5.0-7                                ON
CE    CPU2/SROM  V5.0-7                                ON
CF    CPU3/SROM  V5.0-7                                ON
40  HPM          T05.4   (03.24/01:18)  X4.1 (08.18)  ON           
E0  SCM MASTER   T05.4   (03.24/01:21)  T4.2 (09.08)  ON           
E1  SCM SLAVE    T05.4   (03.24/01:21)  T4.2 (09.08)  ON           Ineligible
 

  1. コンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。または,QBB の場合は QBB の CPU 番号。CSB ノード・アドレスは,次の範囲となります。

    [例に戻る]

  2. CSB ノードの種類。

    [例に戻る]

  3. ファームウェア・リビジョンおよびコンパイル日。 [例に戻る]

  4. フェイルセーフ・ローダ (FSL) ファームウェアのリビジョン。CSB の各マイクロプロセッサは,フラッシュ ROM に通常のファームウェア・イメージと,バックアップ ROM にフェイルセーフ・ローダ (FSL) イメージの両方を備えています。フェイルセーフ・ローダ (FSL) ファームウェアは,システムのリセット時に実行されます。通常のファームウェア・イメージに対するチェックサムを実行し,制御を通常のファームウェア・イメージに渡します。 [例に戻る]

  5. CSB 上の各 CPU,I/O ライザ,および各ノードに対する電源の状態。 [例に戻る]

  6. 電源が正常 (NORMAL) であるか,または QBB の電源が切断されていてサービスを受けられること (SERVICE) を示します。

    スレーブ SCM の Ineligible 表示は,スレーブ SCM がマスタ SCM のバックアップではないことを示します。 [例に戻る]

8.5    GS80/160/320 ファームウェアのアップデート

AlphaServer GS80/160/320 ファームウェア,SCSI ホスト・バス・アダプタまたは Fibre Channel アダプタのファームウェアは,適切にアップデートする必要があります。ファームウェアのアップデートが必要かどうかを確認するには,ファームウェアの現バージョンと,「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM の最新版を比較します。 システムのファームウェア・リリース・ノートに,ファームウェアの現バージョンのリストが記載されています。

ファームウェア・リリース・ノートの 2 つの入手方法については,4.2 節を参照してください。

次の項に,ファームウェアのアップデート方法の概要を説明します。

8.5.1    AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアのアップデート

「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM をブートすることにより,LFU (Loadable Firmware Update) ユーティリティを使って AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアをアップデートすることができます。

LFU を使用すると,以下のファームウェアがアップデートできます。

LFU ユーティリティを使って AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアをアップデートするには,次の手順に従います。

  1. 各パーティションのコンソールで,オペレーティング・システムをシャットダウンします。

  2. マスタ SCM で,システムの電源を切断します。

    SCM_E0> power off
     
    

    必要であれば,個々のパーティションの電源を切断することができます。すべてのパーティションの電源を切断したことを確認します。

    SCM_E0> power off -par 0
    SCM_E0> power off -par 1
     
    

  3. SCM 環境変数を表示するには,show nvr SCM コマンドを使用します。ハードウェア・パーティション構成の記録として, hp_count および hp_qbb_maskn 環境変数を記録します。 hp_qbb_maskn 環境変数は変更しませんが,この変数を記録しておいてください。

    SCM_E0> show nvr
    COM1_PRINT_EN		    1 
    HP_COUNT		    2
    HP_QBB_MASK0		    3
    HP_QBB_MASK1		    c
    HP_QBB_MASK2		    0 
    HP_QBB_MASK3		    0 
    HP_QBB_MASK4		    0 
    HP_QBB_MASK5		    0 
    HP_QBB_MASK6		    0 
    HP_QBB_MASK7		    0 
     
    .
    .
    .

  4. すべてのハードウェア・パーティションを削除します。

    SCM_E0> set hp_count 0
     
    

    注意

    hp_qbb_maskn 環境変数を 0 にする必要はありません。 hp_count のみです。

  5. システムに電源を投入し,SRM コンソール・ファームウェアが実行できるようにします。電源投入初期化シーケンスの間,SRM コードがパーティションの 1 次 QBB にあるメモリにコピーされます。SRM コードは,標準 I/O モジュールの SRM EEPROM ではなく,メモリで実行されます。

    SCM_E0> power on 
     
    

  6. SCM から SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します ( auto_quit_scm SCM 環境変数が設定されていない場合)。

    SCM_E0> quit
    P00>>>
     
    

  7. コンソールの show device コマンドを使用して,どのデバイスが CD-ROM であるかを確認します。

  8. そのドライブに「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM を挿入して,ブートします。

    P00>>> boot dqa0
     
    

    ブート・シーケンスで,ファームウェアのアップデート処理の概要が表示されます。テキストをスクロールするには Return キーを,テキストをスキップするには Ctrl/C キーを押します。

    アップデート処理の概要が表示された後,省略時のブート・ファイル名が表示されます。ブート・ファイル名が正しければ,Bootfile: プロンプトで Return キーを押します。異なる場合は,正しいブート・ファイル名を入力します。

    次の例に示すような LFU のヘルプ・メッセージが表示されます。

          *****Loadable Firmware Update Utility***** 
     
    -------------------------------------------------------------
    Function       Description
    -------------------------------------------------------------
    Display        Displays the system's configuration table.
    Exit           Done exit LFU (reset).
    List           Lists the device, revision, firmware name and
                   update revision
    Readme         Lists important release information.
    Update         Replaces current firmware with loadable data
                   image.
    Verify         Compares loadable and hardware images.
    ? or Help      Scrolls this function table.
     
    

    list コマンドでは,その device 列にアップデート可能なデバイスが示されます。また,ファームウェアの現バージョンと,CD-ROM のアップデート・リビジョンも表示されます。

    update コマンドを使用して,すべてのファームウェアまたは,次の例のように指定したデバイス (SRM コンソール・ファームウェア) をアップデートすることができます。

    UPD>  update srm
     
    

    警告

    ファームウェアのアップデートは中断しないでください。中断すると,ファームウェア・モジュールにあるフラッシュ・イメージが破損することがあります。

    QBB のファームウェアを完全にアップデートする場合,アップデートするデバイスがない PCI で 5 分,アップデートするデバイスが多い PCI では 30 分を超えます。使用する PCI アダプタの数に比例して所要時間が長くなります。

  9. ファームウェアのアップデート後,verify コマンドを使ってファームウェアのアップデートを確認し,SCM に制御を渡してシステムをリセットします。

    P00>>> [Esc][Esc] scm
    SCM_E0> reset 
     
    

  10. ハードウェア・パーティションを元の構成に戻します。

    SCM_E0> set hp_count 2
     
    

  11. マスタ SCM で,システムの電源を投入します。

    SCM_E0> power on
     
    

  12. マスタ SCM で,SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します。次に,各パーティションのコンソールで SRM を使用し,オペレーティング・システムをブートします。