2    LSM ボリュームとディスク・グループの計画

アプリケーションやファイル・システムで LSM ボリュームを使用する前に LSM の構成を計画すると,LSM を効率的に使用できます。 LSM を構成するには,次の事項を決定します。

この章では,LSM ボリュームおよびディスク・グループの計画に役立つ情報を示し,ワークシートを添付します。 ワークシートは,コピーして使用してください。

2.1    LSM ボリュームの計画

LSM ボリュームの計画時に,LSM ボリュームの属性を決定します。 LSM ボリュームには,以下の属性があります。

表 2-1 は,各プレックス・レイアウト・タイプの利点と欠点を示します。 また,あるプレックス・タイプが他のプレックス・タイプよりも性能が良かったり,コスト面で優れているケースについてもリストします。 性能を最適化するには,作業負荷に合わせてシステムをチューニングする必要があります。 どのレイアウトを選択するかは,個々のシステムの構成や,必要とされるデータ可用性および信頼性,アプリケーションの要件に依存します。

表 2-1:  各プレックス・レイアウト・タイプの利点と欠点

プレックス・タイプ 利点と用途 欠点
連結

このタイプを使用しなければ無駄になってしまうはずの,複数のディスク上のスペースを使用できます。

連結プレックスはミラー化でき,データの冗長性を持たせて,可用性を高めることができます。

頻繁には使用されないデータまたはあまり変更されないデータを含むボリュームや,単一のディスクに収まる小規模なボリュームに適しています。

性能がばらつくことがあります (複数のアプリケーションで 1 つのディスクを使用するホット・スポット)。

ミラー化した場合,2 〜 32 倍のディスク・スペースが必要となります。

ストライプ

データを分散でき,入出力負荷を多数のディスクに均等に分散できます。

次の場合に適しています。

  • 単一のディスクに収まらない大規模なボリューム。

  • 読み取り要求サイズが大きいアプリケーション。

  • 頻繁に変更されるデータを含むボリューム (書き込みが多い)。

    この場合は,RAID5 よりもストライプが適しています。 これは,RAID5 を使用すると,パリティを算出してボリューム・データとともに書き込む処理のオーバヘッドがあるためです。

ストライプ・プレックスはミラー化でき,データの冗長性を持たせて,可用性を高めることができます。

ミラー化した場合,2 〜 32 倍のディスク・スペースが必要となります。

RAID 5

ストライピングによる入出力分散の利点があります。

ミラー化したストライプ・プレックスのボリュームよりも使用するディスクが少ないが,パリティによって冗長性を確保します。

書き込みよりも読み取りの比率が高いボリュームに適しています。

パリティの計算が必要なため,入出力ストライプ・サイズによっては,ストライプ・プレックスのボリュームよりも性能が悪くなります。

RAID5 プレックスには,少なくとも 3 つのディスクと,ログ・プレックス用の別のディスクが必要です。

RAID5 プレックス・タイプは,クラスタではサポートされていません。

volassist コマンドを使用して LSM ボリュームを作成すると (推奨の,簡単な方法です),LSM は必要な計算をすべて行い,適切なサイズのボリュームとログ・プレックスを作成します。

2.1.1 項2.1.2 項では,ダーティ・リージョン・ログと RAID5 ログのスペースの要件を示します。 2.1.3 項2.1.4 項2.1.5 項,および2.2 節のワークシートを使用すると,必要なスペースを概算し,希望するボリュームに十分なスペースを割り当てられるだけの大きさがあるディスク・グループを作成できます。

2.1.1    ダーティ・リージョン・ログの計画

LSM は,スタンドアロン・システムとクラスタについて,1 GBのボリューム・サイズに対し,省略時の設定としておよそ 65 ブロックの DRL ログ・サブディスクを構成します。 これにより,関連付けられたミラー・ボリュームは,クラスタとスタンドアロン・システムのどちらでも使用できます。 クラスタでは,ボリュームへの入出力を行う各メンバは,それぞれがプライベート・ログを保持し,そのメンバからボリュームに対して行った変更を記録します。 ボリュームの DRL ログ・プレックスは,各メンバのプライベート・ログを集めたもので,スタンドアロン・システムの場合より大きくなります。

LSM をスタンドアロン・システムだけで使用する場合は,1 GB のボリューム・サイズに対し,およそ 2 ブロックの,最小の DRL ログ・サブディスクを使用することができます。 しかし,小さな DRL サイズを持ったミラー・ボリュームを作成すると,その後,そのスタンドアロン・システムを使用してクラスタを作成したり,ストレージを既存のクラスタに移動して,そのミラー・ボリュームをクラスタで使用すると,そのボリューム上の DRL ログは使用不能になります。 その場合でも,ボリューム自体は使用可能です。

表 2-2 には,各種のボリューム・サイズに対する概算の省略時の DRL サイズを示しています。

表 2-2:  省略時の DRL ログのサイズ (概算)

ボリューム・サイズ (GB 単位) DRL サイズ (ブロック数)
<=1 65
2 130
3 130
4 195
60 〜 61 2015
62 〜 63 2080
1021 33215
1022 〜 1023 33280
1024 33345

省略時のログ・サイズを使用することをお勧めします。 ログはボリュームのリージョンに対応したビットマップです (各ビットが数セクタに対応します)。 ログ・サイズを増やしたり減らしたりすると,この最小単位が変わってしまいます。

最高の性能を実現するために,各ボリュームの DRL プレックスは,別のボリューム用のログ・プレックスとは異なるディスクに置く必要があります。 ダーティ・ビットは実際の書き込みが行われる前に設定されるため,多くのミラー・ボリュームの DRL プレックス用に同じディスクを使用すると,ディスクの動作が遅くなり,性能が低下します。 ただし,HSG80 RAID Array のようなハードウェアを使用している場合は,キャッシュによってディスク競合が管理されるため競合が少なくなります。

また,そのディスクが故障すると,そのボリュームのログが失われます。 故障したディスクを交換する前にシステムがクラッシュすると,システムの再起動時にこれらのボリュームに対する完全なプレックス再同期化が必要になります。 ただし,これは性能上のリスクであって,データが失われるわけではありません。

2.1.2    RAID 5 ログの計画

LSM は RAID5 ボリューム用の省略時のログ・サイズを,ミラー・ボリュームとは異なるアルゴリズムで計算します。 この RAID5 ログは,完全なストライプ幅のデータとパリティのコピーを数回分格納するのに十分な大きさになります。 volassist コマンドを使用して RAID5 ボリュームを作成するときに,RAID5 ログ・サイズが計算され,作成するボリュームに最適なサイズが決定されます。

省略時の RAID 5 ログ・サイズの計算式は,次のとおりです。

[10 × (カラム数 × ストライプ幅)]

たとえば,次のようになります。

RAID5 プレックスを使用するボリュームは,クラスタではサポートされません。 このため,RAID5 ログ・サイズはスタンドアロン・システムだけに適用されます。

最高の性能を実現するために,RAID5 ログ・プレックスは独自のディスクに存在する必要があります。 データ・プレックスへの書き込みが行われる前にログが書き込まれるため,複数のログ・プレックスに対して (複数のボリュームに対して) 同じディスクを使用すると,ディスクの動作が遅くなり,性能が低下します。 また,そのディスクが故障すると,そのボリュームのログが失われます。 故障したディスクを交換する前にシステムがクラッシュすると,システムの再起動時にこれらのボリュームに対する完全なパリティとデータの再同期化が必要になります。 これは,性能上のリスクがある上,データを失う可能性もあります。

2.1.3    連結プレックスを使用する LSM ボリュームのワークシート

連結プレックスを使用する LSM ボリュームの計画には,次のワークシートを使用します。

図 2-1:  連結プレックスのある LSM ボリュームのワークシート

属性 省略時の値 選択した値
ボリューム名 省略時の値なし  
ボリューム・サイズ 省略時の値なし  
データ・プレックスの数 1  
DRL プレックスのサイズ (ミラー・ボリュームの場合)

ボリューム・サイズ 1 GB について 65 ブロック (省略時の値),またはボリューム・サイズ 1 GB について 2 ブロック (スタンドアロン・システムの場合のみ)

 
DRL プレックスの数 1  
ディスク・グループ名 rootdg  
使用タイプ fsgen  
必要なトータル・スペース (ボリューム・サイズ × プレックス数) + (DRL サイズ × ログ数)  

2.1.4    ストライプ・プレックスを使用する LSM ボリュームのワークシート

ストライプ・プレックスを使用する LSM ボリュームの計画には,次のワークシートを使用します。

図 2-2:  ストライプ・プレックスのある LSM ボリュームのワークシート

属性 省略時の値 選択した値
ボリューム名 省略時の値なし  
ボリューム・サイズ 省略時の値なし  
データ・ユニットのサイズ (ストライプ幅) 64K バイト  
カラム数 少なくとも 2 (ディスク・グループ内のディスクの数とボリューム・サイズによる)  
データ・プレックスの数 1  
DRL プレックスのサイズ (ミラー・ボリュームの場合)

ボリューム・サイズ 1 GB について 65 ブロック (省略時の値),またはボリューム・サイズ 1 GB について 2 ブロック (スタンドアロン・システムの場合のみ)

 
DRL プレックスの数 1  
ディスク・グループ名 rootdg  
使用タイプ fsgen  
必要なトータル・スペース (ボリューム・サイズ × プレックス数) + (DRL サイズ × ログ数)  

2.1.5    RAID 5 プレックスを使用する LSM ボリュームのワークシート

RAID5 プレックスを使用する LSM ボリュームを計画するには,次のワークシートを使用します。

注意

RAID5 ボリュームはクラスタではサポートされません。

図 2-3:  RAID 5 プレックスのある LSM ボリュームのワークシート

属性 省略時の値 選択した値
ボリューム名 省略時の値なし  
ボリューム・サイズ 省略時の値なし  
データ・ユニットのサイズ (ストライプ幅) 16K バイト  
カラム数 (NCOL) 3 〜 8 (ディスク・グループのディスク数と,ボリューム・サイズによる) (最低 3)
ログ・プレックスのサイズ 10 × (NCOL × データ・ユニット・サイズ)  
ログ数 (NLOGS) 1  
ディスク・グループ名 rootdg  
使用タイプ raid5 であることが必要 raid5
必要なトータル・スペース (ボリューム・サイズ × NCOL ÷ (NCOL-1)) + (ログ・プレックス・サイズ × NLOGS)  

2.2    ディスク・グループの計画

LSM を使用するシステムまたはクラスタには,rootdg と呼ばれる必須のディスク・グループが 1 つあります。 ストレージの管理を補助するため,あるいはストレージ (LSM ボリューム) を異なるシステムに移動するのをサポートするために,追加のディスク・グループを作成できます。 以下の項で,rootdg およびその他のディスク・グループに対する推奨事項と制限事項を説明します。

2.2.1    ディスクの数と使用のガイドライン

各ディスク・グループ (rootdg を含む) は 2 つ以上のスライス LSM ディスク,またはシンプル LSM ディスクを持つ必要があります。 ディスク・グループの構成データベースのコピーを複数確保するためです。 スライス・ディスクとシンプル・ディスクだけが,プライベート・リージョンを持ちます。 ここに,ディスク・グループの構成データベースのコピーが格納されます。 特に指定しなければ,LSM は構成データベースのアクティブ・コピーを少なくとも 4 つ,各ディスク・グループに維持します。 これらは冗長性を確保するために,複数のディスク (そして,該当する場合は,複数のバス) に分散されます。 すべてのコピーは別のディスクに存在する必要があります。 ディスク・グループは,nopriv ディスクだけとすることはできません。

rootdg ディスク・グループは,すべてのディスク・グループに関する情報を,構成データベースの中に格納しています。 LSM オブジェクトが作成,変更,あるいは削除されるたびに,ディスク・グループと rootdg の構成データベースはアップデートされます。 各 LSM オブジェクト (ディスク,サブディスク,プレックス,およびボリューム) には,1 つのレコードが必要です。 そして,1 セクタ (512 バイト) には,2 レコードが格納されます。

性能を改善するために,rootdg 内のディスク数は 10 個以下に保ってください。 可能であれば,rootdg の用途は,以下のものに限定してください。

10 個を超えるディスクを LSM 制御下に置く場合は,追加のディスク・グループを作成してください。 または,ディスク・グループを異なるシステムかクラスタに移動します。

各ディスク・グループで,ディスク・グループの冗長 (ミラーまたは RAID5) ボリュームの各々に対し,1 つ以上のホット・スペア・ディスクを構成します。 各ホット・スペア・ディスクは,ボリューム内の最大のディスクと同じ大きさがある必要があります。

2.2.2    接続性と可用性のガイドライン

ディスク・グループでは,性能と可用性を向上させるために,ストレージ・デバイスを異なるバス上に配置する必要があります。

クラスタでは,LSM を完全な共用ストレージでだけ使用するのが理想的です。 ディスク・グループ内のすべてのディスクに直接接続されたクラスタ・メンバの数が多いほど,クラスタでのストレージの可用性は向上します。 ディスク・グループ内のすべてのディスクが,すべてのクラスタ・メンバに接続されている場合,可用性が最大になります。

drdmgr および hwmgr コマンドを実行すると,どのクラスタがどのディスクに対してサービスを行っているかについての情報を得ることができます。 sms コマンドを使用して,SysMan Station のグラフィカル・インタフェースを起動し,[Views] メニューから [Hardware] を選択すれば,アクティブ・メンバ,バス,ストレージ・デバイス,およびそれらの接続状況などを含む,クラスタ・ハードウェア構成をグラフィカルに表示できます。

クラスタでは,各ディスク・グループ内のディスクは,すべてのクラスタ・メンバからアクセスできる必要があります。 これにより,すべてのクラスタ・メンバが他のメンバの状態とは無関係に LSM ボリュームにアクセスできるようになります。 LSM ボリュームは,次のいずれかの条件が満たされていると,接続性は同じです。

プライベート・ディスク・グループ (すべてのディスクが単一クラスタ・メンバのプライベート・バスに接続されているディスク・グループ) はサポートされていますが,メンバが使用不能になると,クラスタはそのディスク・グループへアクセスできなくなります。 プライベート・ディスク・グループが適しているのは,そのディスク・グループを物理的に接続しているクラスタ・メンバだけがそのディスク・グループにアクセスする場合だけです。

ローカル・ディスクと共用ディスクを組み合わせてディスク・グループを構成することは避けてください。 また,ディスクが複数のメンバのプライベート・バスに分散しているディスク・グループを構成することは避けてください。 このようなディスク・グループは推奨できません。 ディスク・グループのすべてのディスクに直接アクセスできるメンバが 1 つもないからです。

rootdg 内のディスクが共用されているということは重要です。 しかし,これがすべての場合に実現できるわけではありません。 たとえば,メンバのスワップ・デバイスを LSM ボリュームとしてカプセル化でき,すべてのスワップ・ボリュームを,rootdg に所属させる必要がありますが,そのデバイスは対応するメンバにとってプライベートになります。 共用ディスクとプライベート・ディスクを混在させたボリュームや,異なるメンバに接続されたプライベート・ディスクを取り混ぜて使用するボリュームは作成しないでください。

2.2.3 項 には,ディスク・グループを計画するときに使用する未記入のワークシートが含まれています。 そのページに直接記入するのではなく,コピーをとっても構いません。 そうすることで,LSM を実行している各システムの記入済みワークシートを,参照できるように保管しておくことができます。 また,LSM 構成はいつでも変更できるため,変更を記録するために,未記入のワークシートをコピーしておくことができます。

ワークシートには,ディスク・グループの目的を示すすべての情報を記入します。 たとえば,財務アプリケーションが使用するボリュームを 1 つ以上持つための,finance_dg というディスク・グループを作成できます。 また他に,データベースが使用するボリュームを持つ,db1 というディスク・グループを作成できます。 ディスク・グループ名の選択は慎重に行ってください。 アクティブ・ボリュームが含まれるようになると,名前を簡単には変更できないためです。

ボリューム,プレックス,およびホット・スペア・ディスク情報の下には,ディスク・グループのすべてのボリュームの名前,そのプレックス・タイプ,どのディスクがどのプレックスに属しているか,およびホット・スペア・ディスクを記入します。 ホット・スペア・ディスクについての詳細は,3.5 節を参照してください。

ワークシートに記入した情報のほかに,volprint コマンドの出力結果をプリントし,保管することもできます。 このコマンドは,各ボリュームが使用するサブディスクやすべての LSM オブジェクトのサイズなどの詳細情報を表示します。 詳細については,5.4.1 項volprint(8) を参照してください。

表 2-3 は,ディスク・グループ計画のワークシートの記入例です。 この例は,クラスタではなく,スタンドアロン・システムの例です。

表 2-3:  スタンドアロン・システム用のディスク・グループのワークシートの記入例

ディスク・グループ名: rootdg-- ルート・ファイル・システムおよびシステム・ディスク
ディスク・グループ情報 バス/LUN ディスク・サイズ ボリューム,プレックス,およびホット・スペア・ディスク情報

dsk0

dsk1

dsk6

1

1

2

4 GB (すべて)

ボリューム: rootvolswapvolvol-dsk0g (パーティション dsk0g の /usr および /var ファイル・システム用)

rootvol-01(dsk0a)

rootvol-02 (dsk6a)

swapvol-01 (dsk0b)

swapvol-02 (dsk6b)

vol-dsk0g-01 (dsk0g)

vol-dsk0g-02 (dsk6g)

dsk7 2 4 GB ホット・スペア・ディスク
ディスク・グループ名: data_dg -- データベース (冗長性が必要)。 ミラー・ストライプ・プレックスと DRL があるボリュームを含む。
ディスク・グループ情報 バス/LUN ディスク・サイズ ボリューム,プレックス,およびホット・スペア・ディスク情報

dsk2

dsk3

dsk8

dsk9

dsk12

1

1

2

2

3

18 GB (すべて)

ボリューム: db_vol

プレックス: db_vol-01 (dsk2,dsk3)

プレックス: db_vol-02 (dsk8,dsk9)

プレックス: db_vol-03 (DRL プレックス,dsk12)

dsk13

dsk20

3

4

18 GB (すべて) ホット・スペア・ディスク (それぞれ異なるバス上にある)
ディスク・グループ名: finance_dg -- 財務アプリケーション (高可用性が必要)。 RAID 5 プレックスがあるボリュームも含む (読み取り専用アプリケーション)。
ディスク・グループ情報 バス/LUN ディスク・サイズ ボリューム,プレックス,およびホット・スペア・ディスク情報

dsk4

dsk10

dsk14

dsk18

dsk24

1

2

3

4

5

9 GB (すべて)

ボリューム: fin_vol

プレックス: fin_vol-01 (カラム 1 -- dsk4)

プレックス: fin_vol-01 (カラム 2 -- dsk10)

プレックス: fin_vol-01 (カラム 3 -- dsk14)

プレックス: fin_vol-01 (カラム 4 -- dsk18)

プレックス: fin_vol-02 (ログ・プレックス -- dsk24)

dsk5

dsk11

dsk15

dsk19

dsk25

1

2

3

4

5

9 GB (すべて) ホット・スペア・ディスク (各バスに 1 つ)

2.2.3    ディスク・グループ計画用ワークシート

下記のワークシートをコピーして,rootdg ディスク・グループを含む,それぞれのディスク・グループの計画に使用してください。

表 2-4:  ディスク・グループ用ワークシート

ディスク・グループ名:
ディスク・グループ情報 バス/LUN ディスク・サイズ ボリューム,プレックス,およびホット・スペア・ディスク情報
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       

2.3    未使用ストレージ・デバイスの識別

未使用ストレージ・デバイスとは,LSM が初期化を行って,LSM ディスクとすることができる,未使用のディスク,パーティション,およびハードウェア RAID ディスクです。 また,LSM 用に初期化したが,ディスク・グループに割り当てていない,未使用の LSM ディスクも未使用ストレージ・デバイスです。

以降の項では,未使用のディスク,パーティション,および LSM ディスクの識別方法について説明します。 未使用ハードウェア RAID ディスクの識別については,ハードウェア RAID のドキュメントを参照してください。

未使用のストレージ・デバイスの識別には,次の方法を使用できます。

2.3.1    Disk Configuration GUI を使用した,未使用ディスクの識別

Disk Configuration GUI を使用して未使用ディスクを識別するには,次のいずれかの方法を使用して,Disk Configuration インタフェースを起動します。

Disk Configuration GUI についての詳細は,オンライン・ヘルプを参照してください。

2.3.2    オペレーティング・システムのコマンドを使用した,未使用ディスクの識別

次のオペレーティング・システム・コマンドを使用して,未使用ディスクを識別できます。

  1. システム上のすべてのディスクをリストします。

    # ls /dev/disk/dsk*c
    

    次のような情報が表示されます。

    /dev/disk/dsk0c   /dev/disk/dsk26c  /dev/disk/dsk42c  /dev/disk/dsk59c
    /dev/disk/dsk10c  /dev/disk/dsk27c  /dev/disk/dsk43c  /dev/disk/dsk5c
    /dev/disk/dsk11c  /dev/disk/dsk28c  /dev/disk/dsk44c  /dev/disk/dsk60c
    /dev/disk/dsk12c  /dev/disk/dsk29c  /dev/disk/dsk45c  /dev/disk/dsk61c
    /dev/disk/dsk13c  /dev/disk/dsk2c   /dev/disk/dsk46c  /dev/disk/dsk62c
    /dev/disk/dsk14c  /dev/disk/dsk30c  /dev/disk/dsk47c  /dev/disk/dsk63c
    /dev/disk/dsk15c  /dev/disk/dsk31c  /dev/disk/dsk48c  /dev/disk/dsk64c
    /dev/disk/dsk16c  /dev/disk/dsk32c  /dev/disk/dsk49c  /dev/disk/dsk65c
    /dev/disk/dsk17c  /dev/disk/dsk33c  /dev/disk/dsk4c   /dev/disk/dsk66c
    /dev/disk/dsk18c  /dev/disk/dsk34c  /dev/disk/dsk50c  /dev/disk/dsk67c
    /dev/disk/dsk19c  /dev/disk/dsk35c  /dev/disk/dsk51c  /dev/disk/dsk68c
    /dev/disk/dsk1c   /dev/disk/dsk36c  /dev/disk/dsk52c  /dev/disk/dsk6c
    /dev/disk/dsk20c  /dev/disk/dsk37c  /dev/disk/dsk53c  /dev/disk/dsk7c
    /dev/disk/dsk21c  /dev/disk/dsk38c  /dev/disk/dsk54c  /dev/disk/dsk8c
    /dev/disk/dsk22c  /dev/disk/dsk39c  /dev/disk/dsk55c  /dev/disk/dsk9c
    /dev/disk/dsk23c  /dev/disk/dsk3c   /dev/disk/dsk56c
    /dev/disk/dsk24c  /dev/disk/dsk40c  /dev/disk/dsk57c
    /dev/disk/dsk25c  /dev/disk/dsk41c  /dev/disk/dsk58c
    

  2. ディスクやパーティションが未使用であることを確認するには,ls /dev/disk/dsk*c コマンドの出力からディスクを選択し,そのディスクの名前を指定して disklabel コマンドを入力します。

    # disklabel dsk20c | grep -p '8 part'
    

    次のような情報が表示されます。

    8 partitions:
    #            size       offset    fstype  fsize  bsize   cpg  # ~Cyl values
      a:       131072            0    unused      0      0        #      0 - 25*
      b:       262144       131072    unused      0      0        #     25*- 77*
      c:     35556389            0    unused      0      0        #      0 - 6999*
      d:            0            0    unused      0      0        #      0 - 0
      e:            0            0    unused      0      0        #      0 - 0
      f:            0            0    unused      0      0        #      0 - 0
      g:     17581586       393216    unused      0      0        #     77*- 3538*
      h:     17581587     17974802    unused      0      0        #   3538*- 6999*
     
    

    詳細については, disklabel(8) を参照してください。

  3. AdvFS を使用している場合,すべてのドメインで使用しているディスクを表示します。

    # ls /etc/fdmns/*/*
    

    クラスタの場合,メンバのブート・ディスクやクォーラム・ディスクのパーティションは,(未使用であっても) 使用しないでください。

  4. クラスタでクォーラム・ディスクを識別するには,次のコマンドを実行します。

    # clu_quorum
    

  5. UFS を使用している場合は,マウントされているファイルセットをすべて表示します。

    # mount
    

drdmgr および hwmgr コマンドを実行すると,どのクラスタがどのディスクに対してサービスを行っているかについての情報を取得できます。 sms コマンドを使用して,SysMan Station のグラフィカル・インタフェースを起動し,[Views] メニューから [Hardware] を選択すれば,アクティブ・メンバ,バス,ストレージ・デバイス,およびそれらの接続状況などを含む,クラスタ・ハードウェア構成をグラフィカルに表示できます。

2.3.3    LSM の voldisk コマンドを使用した,未使用ディスクの識別

LSM の起動時に,LSM はオペレーティング・システム・ソフトウェアからディスク・デバイス・アドレスのリストを入手し,ディスク・ラベルをチェックして,どのデバイスが LSM 用に初期化され,どのデバイスが LSM 用ではないかを調べます。

LSM がシステム上で実行されている場合,voldisk コマンドを使用すると,認識されているすべてのディスクのリストを表示したり,特定のディスクの詳細情報を表示できます。

  1. ディスクのリストを参照するには,次のコマンドを入力します。

    # voldisk list
     
    

    DEVICE [1]TYPE [2]  DISK [3] GROUP [4]  STATUS [5]
    dsk0         sliced     -            -            unknown 
    dsk1         sliced     -            -            unknown 
    dsk2         sliced     dsk2         rootdg       online  
    dsk3         sliced     dsk3         rootdg       online  
    dsk4         sliced     dsk4         rootdg       online  
    dsk5         sliced     dsk5         rootdg       online  
    dsk6         sliced     dsk6         dg1          online  
    dsk7         sliced     -            -            online  
    dsk8         sliced     dsk8         dg1          online  
    dsk9         sliced     -            -            online  
    dsk10        sliced     -            -            online  
    dsk11        sliced     -            -            online  
    dsk12        sliced     -            -            online  
    dsk13        sliced     -            -            unknown 
    dsk14        sliced     -            -            unknown
    

    出力情報について,次にリストします。

    1. ディスク・アクセス名を示します。 [例に戻る]

    2. LSM ディスク・タイプ (slicedsimple,または nopriv) を示します。 ダッシュ (-) は,そのデバイスが LSM の制御下になく,LSM ディスク・タイプがないことを示します。 [例に戻る]

    3. LSM ディスク・メディア名を指定します。 ダッシュ (-) は,そのデバイスがディスク・グループに割り当てられておらず,LSM ディスク・メディア名がないことを示します。 [例に戻る]

    4. デバイスが属するディスク・グループを指定します。 ダッシュ (-) は,そのデバイスがディスク・グループに割り当てられていないことを示します。 [例に戻る]

    5. LSM に関する,ディスクの状態を示します。

      • unknown -- ディスクが LSM の制御下にありません。

      • online -- ディスクが LSM の制御下にあります。 DISK 欄と GROUP 欄にダッシュがあれば,ディスクはディスク・グループに属さないため,未使用の LSM ディスクです。

      • offline -- ディスクがアクセスできません。 理由は,ディスクが故障しているか,または意図的にオフラインにされているかのいずれかです。

      • online aliased -- ディスクは,ハードウェア・クローン・ディスクです。

      • error -- ディスクは検出されましたが,入出力エラーが発生しています。

      • failed was -- LSM ディスク・メディア名は存在しますが,DEVICE に関連付けられていません。 このメディア名に関連付けられた最後のデバイスを表示します。

      [例に戻る]

  2. LSM ディスクの詳細を表示するには,次のコマンドを入力します。

    # voldisk list disk
    

    次に例を示します。

    # voldisk list dsk5
    

    Device:    dsk5
    devicetag: dsk5
    type:      sliced  [1]
    hostid:    hostname
    disk:      name=dsk5 id=942260116.1188.hostname  [2]
    group:     name=dg1 id=951155418.1233.hostname  [3]
    flags:     online ready autoimport imported
    pubpaths:  block=/dev/disk/dsk5g char=/dev/rdisk/dsk5g
    privpaths: block=/dev/disk/dsk5h char=/dev/rdisk/dsk5h
    version:   n.n
    iosize:    min=512 (bytes) max=2048 (blocks)
    public:    slice=6 offset=16 len=2046748   [4]
    private:   slice=7 offset=0 len=4096
    update:    time=952956192 seqno=0.11
    headers:   0 248
    configs:   count=1 len=2993
    logs:      count=1 len=453
    Defined regions:
     config   priv     17-   247[   231]: copy=01 offset=000000 enabled
     config   priv    249-  3010[  2762]: copy=01 offset=000231 enabled
     log      priv   3011-  3463[   453]: copy=01 offset=000000 enabled
    

    1. LSM ディスク・タイプを識別します。 [例に戻る]

    2. name= フィールドには,ディスク・メディア名が入っています。 [例に戻る]

    3. ディスク・グループを識別します。 [例に戻る]

    4. len= フィールドには,LSM ディスク内の使用可能な領域がブロック数で示されます。 Tru64 UNIX システムの場合,1 ブロックは 512 バイトです。 [例に戻る]

詳細については, voldisk(8) を参照してください。