この章では以下の内容について説明します。
インストレーションについての全般的な情報 (3.1 節)
レイヤード・ソフトウェアについての注意事項 (3.2 節)
フル・インストレーション (3.3 節)
アップデート・インストレーション (3.4 節)
RIS インストレーション (3.5 節)
Tru64 UNIX Version 5.1B をインストールする前に,この章および各プロセッサごとの注意事項が記述されている
第 4 章
を必ずご一読ください。
これらの注意事項を読まずにインストール作業を行うと,重大なインストール障害が発生することがあります。
インストレーションを開始する前に,システムに付属のハードウェア・ドキュメントも参照してください。
3.1 インストレーションに関する全般的な注意事項
インストレーションに関する全般的な注意事項を以下に示します。
3.1.1 必要なディスク容量
シングル・ディスク・インストレーションに必要な最小ディスク容量は 1 GB です。 1 GB 未満のディスクにシングル・ディスク・インストレーションを実行することは可能ですが,容量の少ないディスクでは性能が低下する可能性があるためお勧めできません。 1 GB 未満のディスクにシングル・ディスク・インストレーションを実行しようとすると,警告メッセージが発行されます。
オペレーティング・システムのインストールに必要な最小のディスクの容量は 1 GB ですが,スワップ,パッチ,および記憶域に十分なスペースを確保するために,少なくとも 2 GB のディスク容量を用意することをお勧めします。
インストレーションに必要なディスク容量についての詳細は,
各サブセットのサブセット・サイズを示した
付録 D
を参照してください。
3.1.2 ファームウェアのリビジョン
インストレーション・キットに付属の「Alpha SystemsFirmware Update」CD-ROM には,ご使用のシステム用の適切なファームウェアが含まれています。 このファームウェア CD-ROM には,適切なファームウェアをインストールするのに必要となる情報が記述された『Release Notes Overview』も含まれています。
別の方法として,次の URL からこの情報を入手することもできます。
http://ftp.digital.com/pub/Digital/Alpha/firmware/readme.html
また,ファームウェア提供している次の FTP サーバからこの情報を入手することもできます。
ftp.digital.com/pub/Digital/Alpha/firmware
ほとんどのシステムでは,次のコマンドを入力することにより,システムの現在のファームウェア・リビジョンを確認することができます。
# consvar -v -l | grep "Firmware Rev"
システムでこのコマンドが実行できない場合は,次のコマンドを使用してください。
# uerf | grep "Firmware revision:" | tail -1
3.1.3 インストレーション後に /usr/tmp ディレクトリに残るファイル
オペレーティング・システムをインストールした後,いくつかの一時ファイルが
/usr/tmp
ディレクトリに残る場合があります。
これらのファイルは Tru64 UNIX のインストレーション・プロシージャで必要とするもので,stltmp
nnnn
というファイル名になっています。
インストレーションが完了したら,これらのファイルは削除してかまいません。 これらの一時ファイルは次のコマンドで削除できます。
# rm -r /usr/tmp/stltmp*
3.1.4 Linux ディスクラベルを持つディスクへの Tru64 UNIX のインストール
Linux システムで作成されたディスクラベルを持つディスクに Tru64 UNIX をインストールする際に発生する既知の問題があります。
この問題を回避するためには,Linux システムで BSD スタイルのディスクラベルを使用する必要があります。
Linux システムをブートして,fdisk
ユーティリティを実行してください。プロンプトが表示されたら
b
を入力します。
このコマンドにより,Tru64 UNIX が必要とするフォーマットでディスクラベルが書き換えられます。その後,BSD スタイルのラベルを持つこのディスクに Tru64 UNIX をインストールします。
別の方法として,dd
ユーティリティでディスクラベルをクリアする方法があります。コンソール・プロンプトで次のコマンドを入力します。
>>> dd if=/dev/zero of=rdsk -bs=1024 count=1024
いくつかのレイヤード・ソフトウェアのサブセットは,インストレーション時に,そのサブセットがすでにシステムにインストールされていないかどうかチェックします。
すでにシステムにインストールされている場合は,インストールできないようになっています。
この機能が原因で,必要なファイルがシステムに存在するにもかかわらず,サブセットがインストールされていないと
setld -i
コマンドが報告した後,ソフトウェア管理データベースでエラーを誘発することがあります。
この問題が発生した場合は,setld -d
コマンドを使用してサブセットを削除した後,setld -l
コマンドで再インストールしてください。
サブセットを削除したいが何らかの原因でそれができない場合は,touch
コマンドを使用した後で
setld -d
コマンドを実行してください。
たとえば,このような問題が
DFARTL388
サブセットで発生した場合,次のように対処します。
# touch /usr/.smdb./DFARTL388.lk # setld -d DFARTL388
この処理により,setld -l
コマンドでサブセットを再インストールできるようになります。
3.1.6 一時ファイルが原因で発生する setld のエラー
稼働中のシステムにサブセットをインストールしようとして setld ユーティリティを実行した場合に,次のようなメッセージが発生することがあります。
setld: Temp directory /var/tmp/stltmp2870 already in use setld: error in Dirs()
この場合は,/usr/tmp
ディレクトリの一時ファイル
stl*
を削除してください。
# rm -r /usr/tmp/stltmp*
アップデート・インストレーション実行後,または
OSFINET (Additional Networking Services)
サブセットをインストールした後に IMAP (Internet Message Access Protocol) および POP (Post Office Protocol) サーバを使用するためには,次の操作を実行する必要があります。
/etc/passwd
ファイル (ローカル,yp または NIS) に,IMAP および POP ユーザのためのエントリが含まれていることを確認します。
エントリが含まれていない場合は,次のように作成します。
pop:*:13:6:POP Mail Service Account:/: imap:*:14:6:IMAP Mail Service Account:/:
値 13 および 14 は,適切なユーザ ID に置き換えます。
詳細については,
passwd
(4)mail
グループのグループ ID に置き換えます。
group
(4)
root として次のコマンドを入力して, IMAP および POP のファイルおよびディレクトリに,正しい許可モード,所有者,およびグループを設定します。
# setld -c OSFINET520 MAILSERVERSETUP
システム・ブート時に次のようなエラー・メッセージが表示される場合がありますが,このメッセージは無視してください。このメッセージが表示されてもシステムは正しくブートされています。
failed configuring xpc subsystem failed configuring ev7_ocla subsystem Warning: subsystem xpc is neither new or old format, not configured Warning: subsystem ev7_ocla is neither new or old format, not configured
フル・インストレーションの後で最初にシステムをブートすると,sendmail
をスタートした後に,次の警告メッセージが表示されます。
warning: local host name (hostname) is not qualified; fix $j in config file.
これは,DNS (BIND) もメールも構成されていないため,システムに修飾名が設定されていないことを指摘しています。
ただし,sendmail
は,引き続き動作します。
3.1.10 ブート中のautopush メッセージの表示
/usr/sbin/autopush: Can't push requested modules on STREAM for entry 39 /usr/sbin/autopush: Device (6,-1) already configured
このメッセージは,無視してください。
3.1.11 I/O エラー・メッセージ
インストレーション・プロセスがすべてのサブセットのインストールを終了した後,次のようなエラー・メッセージが表示される場合があります。
I/O error (errno 5) for block ( xxx , xxx ) on device xxx , x
このメッセージは無視できます。
このメッセージが表示されてもインストレーションは正しく完了します。
3.1.12 無効な出力ファイル書き込みエラー・メッセージ
ソフトウェア・サブセットのインストレーション中に表示される
error writing output file
というメッセージは無視してください。
3.1.13 Persistent Reservation エラー
一定の条件もとで,Persistent Reservation エラーが発生することがあります。
この問題が発生した場合は,『ハードウェア管理ガイド』を参照してください。
3.2 レイヤード・ソフトウェアに関する注意事項
Tru64 UNIX のレイヤード・ソフトウェアには,以下の注意事項が適用されます。
3.2.1 Associated Products CD-ROM のマウント
オペレーティング・システムのバージョンが Version 4.* の場合は,次のような
mount
コマンドでマウントできます。
# mount -r -t cdfs -o rrip /dev/rz4c /mnt
(Version 4.0E およびそれ以降の場合は,-r -t cdfs -o rrip
オプションを省略できます。)
オペレーティング・システムのバージョンが Version 5.* の場合は,次のような
mount
コマンドでマウントできます。
# mount /dev/disk/cdrom0c /mnt
オペレーティング・システムのバージョンが Version 4.0D より古い場合は, コンパクト・ディスク・ファイル・システム (CDFS) サポートがカーネルに組み込まれていないことを示す次のようなエラー・メッセージを受けとる場合があります。
# mount -r -t cdfs -o rrip /dev/rz4c /mnt /dev/rz4c on /mnt: No valid filesystem exists on this partition
上記のようなエラーが表示されたら,次に示すオプションを指定してカーネルを再構築してください。
ISO 9660 Compact Disc File System (CDFS)
フル・インストレーションを実行する場合は,『インストレーション・ガイド』を参照してください。
3.3.1 インストレーション時にプログレス・バーが表示されない問題
CD-ROM を使用して英語 GUI でフル・インストレーションを実行した場合,インストール開始後に画面下のウィンドウに以下のようなエラーが出力され,プログレス・バー (進捗状況表示バー) が表示されない場合があります。
Loading installation process and scanning hardware. mkfifo:/var/tmp/pipe: File exists while executing "exec mknod $pipeName p" (procedure "GUI_Status_Create" line 160) invoked from within "GUI_Status_Create $maxticks .top.statusF.status {} $statuswidth $statusheight \ $pipepath" (file "/isl/guii/guii_status.tcl" line 164) The installation procedure will now load a total of 111 software subsets on your disk partitions. This total includes the following products:
この問題が発生してもインストレーションそのものには影響はありません。
インストレーションは正しく実行され,サブセットのインストールが完了したら,通常どおりシステムはリブートされます。
3.3.2 Java ベースの SysMan アプリケーションで文字が正しく表示されない問題
システム・インストレーション後,システムをリブートしないで SysMan Station (SMS) やその他の Java ベースの SysMan アプリケーションを起動した場合,ダイアログ・ボックスに表示される文字が正しく表示されないことがあります。この場合,システムをリブートしてからアプリケーションを起動し直してください。
3.4 アップデート・インストレーション
Tru64 UNIX Version 5.1B は Version 5.1 および 5.1A からのアップデート・インストレーションをサポートしています。
Tru64 UNIX オペレーティング・システムを Version 5.1B にアップデートするためには,installupdate
ユーティリティを使用するか,あるいは 『インストレーション・ガイド』 で説明する手順に従ってフル・インストレーションを実行します。
installupdate
プロシージャは,選択したディスクにインストレーションを実行するのに充分な容量があるかどうかをチェックします。
矛盾が発生した場合,installupdate
は,不必要なファイルを削除して必要な容量を確保するための手段をユーザに提供します。
詳細については,『インストレーション・ガイド』 を参照してください。
3.4.1 XP1000 システムで V5.1 から V5.1B への CD-ROM によるアップデート・インストレーションを行う場合に発生する問題
Tru64 UNIX V5.1 のワールドワイド言語サポート・サブセット (WLS) がインストールされた Professional Workstation XP1000 システムで,Tru64 UNIX V5.1B の CD-ROM を使用してアップデート・インストレーションを行うと,システム・クラッシュが発生します。
上記の条件に当てはまる場合は,以下のいずれかの方法でこの問題を回避してください。
次の手順で,一度システムをコンソール・モードに落し,シングルユーザ・モードにブートしてから,installupdate
コマンドを実行する。
システムを停止します。
# shutdown -h now
次に,システムをシングルユーザ・モードにブートします。
>>> boot -fl s Boot_Disk
コンソール変数 bootdef_dev にブート・ディスクが正しく設定されている場合は Boot_Disk にブート・ディスクを指定する必要はありません。
ローカル・ファイルシステムをマウントします。
# bcheckrc
installupdate
を実行してアップデート・インストレーションを開始します。
# installupdate /dev/disk/cdrom0c
/etc/inittab
の
kloadsrv
に関するエントリを以下のように編集し,システムをリブートした後,installupdate
コマンドを実行する。
変更前:
kls:s0123456789:respawn:/sbin/kloadsrv -f < /dev/console > /dev/console 2>&1
変更後:
kls:Ss:sysinit:/sbin/kloadsrv < /dev/console > /dev/console 2>&1
Tru64 UNIX V5.1 用 のパッチ (IPK) をインストールしてから
installupdate
コマンドを実行する。
3.4.2 V4.0G から V5.1 へのアップデート・インストーレション実行時の問題点
システムを V4.0GからV5.1 へアップデートした場合,アップデート前のV4.0Gの設定状況によっては,日本語カーネル・モジュールの一部 (IOSJPBIN510) が正しくインストールされない場合があります。この場合,日本語ロケールを使用している状態で
stty
コマンドを実行するとカーネルがクラッシュすることがあります。
V4.0G から V5.1 へのアップデート・インストレーションを実行した場合は,次に示すコマンドを実行して,アップデート後の V5.1 システムに IOSJPBIN510 がインストールされていることを確認してください。
# setld -i |grep IOSJPBIN510 IOSJPBIN510 not installed Japanese Standard Kernel Modules \ (Japanese Support - Kernel Build Environment)
IOSJPBIN510 サブセットがインストールされていない場合は,wwinstall
コマンドを使用して IOSJPBIN510 サブセットをインストールした後,カーネルの再構築を行ってください。
3.4.3 ISOZHSTTFONTP520 が正しくインストールされない問題
V5.0A から V5.1A へのアップデート・インストレーションを CD-ROM から実行した場合,選択したにも関わらず ISOZHSTTFONTP520 が正しくインストレーションされない場合があります。
この場合は,アップデート・インストレーション終了後,root (C ロケール) でログインして,setld
コマンドを使用してインストールし直してください。
3.4.4 OSFJAVA122520 が正しくインストールされない問題
V5.0A から V5.1A へのアップデート・インストレーションを実行した場合,選択したにも関わらず OSFJAVA122520 が正しくインストレーションされない場合があります。
この場合は,C ロケールで
setld
コマンドを使用してインストールし直してください。
3.5 RIS インストレーション
この節では,RIS インストレーションについての注意事項を説明します。
3.5.1 ブートリンクの制限事項
本リリースではブートリンク・カーネルの RIS インストレーションはサポートしていません。
ブートリンク・カーネルを使用した CD-ROM インストレーションはサポートしています。
3.5.2 タイム・ゾーンの制限
Tru64 UNIX Version 5.1 で,新しいタイム・ゾーンが追加されています。 このため,以前のバージョンのオペレーティング・システムを実行していたときに US-Eastern (米国東部) タイム・ゾーンで表示していたサーバでは,タイム・ゾーンが America-New York で表示されます。
バージョン 5.1 以降が稼働している RIS サーバから,古いバージョンのオペレーティング・システムをクライアントにインストールする場合は,インストレーション処理中にタイム・ゾーンが自動設定されない場合があります。 これは,新しいタイム・ゾーンが以前のバージョンのタイム・ゾーンと一致しないために発生します。 この場合は,インストレーション GUI でタイムゾーンを選択するか,あるいはインストレーション後に手動でタイム・ゾーンを設定する必要があります。