この章では,Tru64 UNIX バージョン 5.1B で AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションを使用する TruCluster Server バージョン 5.1B の構成について説明します。この章では以下の項目について説明します。
AlphaServer GS80,GS160,GS320 の TruCluster Server 構成のハードウェア・パーティションを使用する場合の概要 (8.1 節)
クラスタで,AlphaServer GS80,GS160,GS320 のハードウェア・パーティションを使うためのハードウェア要件 (8.2 節)
単一パーティションの AlphaServer GS80,GS160,GS320 を TruCluster Server 構成の複数ハードウェア・パーティションに再構成する方法 (8.3 節)
AlphaServer GS80,GS160,GS320 システム構成の確認方法 (8.4 節)
AlphaServer GS80,GS160,GS320 ファームウェアのアップデート方法 (8.5 節)
AlphaServer GS80/160/320 システムには,コンピュータ・リソースの個々のサブセットを定義する機能があります。それぞれのサブセットでオペレーティング・システムを実行することができます。
Tru64 UNIX バージョン 5.1B オペレーティング・システムでは,ハードウェア・パーティションをサポートしています。パーティションは QBB (Quad Building Block) で定義されます。QBB にあるすべての CPU,メモリ,I/O リソースがハードウェア・パーティションの一部になります。複数のハードウェア・パーティションにわたる構成要素を分割することはできません。また,ハードウェア・パーティション間でリソースを共用することはできません。1 つのパーティションには複数の QBB を含めることができます。
TruCluster Server バージョン 5.1B 製品は,AlphaServer GS80/160/320 ハードウェア・パーティションをクラスタ・メンバ・システムとして使用することができます。クラスタはシステムのパーティション全体,または AlphaServer GS80/160/320 パーティション全体および他の AlphaServer システムを含むように構成することもできます。AlphaServer GS80/160/320 ハードウェア・パーティションを別のスタンドアロン・システムとして使用することもできます。
AlphaServer GS80/160/320 システムは,同じスイッチ技術,同じ CPU とメモリ,同じ I/O ライザ (riser)・モジュール,および電源モジュールを使用します。GS160 および GS320 システムでは,1 つのキャビネットで最大 2 つのシステム・ボックス (それぞれに 2 つの QBB) にオブジェクトを収納できます。GS320 にはシステム・ボックス用に 2 つのキャビネットが必要です。
GS80 は 1 つのドロワ (drawer) の中に QBB 用のシステム・モジュールを持つラック・システムです。8 プロセッサの GS80 では,CPU,メモリ,および I/O ライザ・モジュール用に 2 つのドロワを使用します。
すべてのシステムは,I/O 用に同じタイプの PCI ドロワを使用します。これらは GS160/GS320 電源キャビネット,または GS80 RETMA キャビネットに格納されています。別の PCI ドロワは,拡張キャビネットにマウントします。
8.2 クラスタ内のハードウェア・パーティションのハードウェア要件
AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションの TruCluster Server ハードウェア要件は,クラスタの他のシステムと同じです。要件には以下のものがあります。
共用ストレージに接続するサポート対象のホスト・バス・アダプタ。パラレル SCSI の場合は KZPBA,Fibre Channel の場合は DS-KGPSA-CA または DS-KGPSA-DA となります。
1 つ以上のネットワーク接続。
クラスタ・インターコネクト。プライベート LAN または Memory Channel インタフェースが使用できます。AlphaServer GS80/160/320 システムでは MC2 製品のみをサポートします。
クラスタ内で使用する AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションそれぞれに,少なくとも 1 つの CPU および 1 つのメモリ・モジュールを持つ QBB が,1 つ以上必要です。さらに,以下のものが必要です。
パーティション内に少なくとも 1 つのローカル I/O ライザ・モジュールが必要です。図 8-1 に,I/O ライザ・モジュールを持つ AlphaServer GS160 QBB の一部を示します。ここでは BN39B ケーブルがポート 0 に接続されています。
パーティション内の少なくとも 1 つの I/O ライザが 1 次 PCI ドロワに接続されて,オペレーティング・システムのブート・ディスクおよびコンソール端末を使用できるようにする必要があります。たとえば,図 8-1
に示すローカル I/O ライザのポート 0 でのケーブル部分は,図 2-1
および図 8-3
で示すように,I/O ライザ 0 (0-R
) コネクタに接続する必要があります。
1 次 PCI ドロワには,システム・リファレンス・マニュアル (SRM) ファームウェアおよびシステム制御マネージャ (SCM) ファームウェアの両方を提供する,標準 I/O モジュールが含まれます。パーティションに別の I/O ライザを追加する場合には,拡張 PCI ドロワに接続します。
図 8-1: QBB の I/O ライザ・モジュール
注意
1 つの QBB につき I/O ライザ・モジュールを 2 つまで持つことができますが,パーティションでモジュールを分割することはできません。
QBB I/O ライザ (ローカル) は,BN39B ケーブルにより PCI I/O ライザ (リモート) に接続されます。これらのケーブルは,MC2 ハードウェアと同じケーブルを使用します。BN39B ケーブルが,QBB I/O ライザから Memory Channel ではなく,PCI ドロワの
0-R
(I/O ライザ 0) または1-R
(I/O ライザ 1) コネクタに接続されていることを確認してください。I/O ライザ 0 (ローカル I/O ライザのポート 0 および 1) を,マスタ SCM (システム制御マネージャ) となる 1 次 PCI ドロワに接続することをお勧めします。
BA54A-AA PCI ドロワ (図 8-2 および図 8-3 の PCI ドロワ下部) は,1 次 PCI ドロワです。PCI ドロワのスロット・レイアウトについては,図 2-1 を参照してください。 1 次 PCI ドロワには,以下のものが含まれます。
スロット 0-0/1 にシステム制御マネージャ (SCM) ファームウェアおよび標準リファレンス・モジュール (SRM) ファームウェア用の EEPROM を持つ標準 I/O モジュール。PCI ドロワに AC 電源を入れると,PCI 電源の Vaux 出力によって SCM に電源が供給されます。
マスタ SCM では,以下の目的でコンソール・シリアル・バス (CSB) を使用します。
システム電源制御
システムの監視および構成
システムの停止およびリセット
ファームウェアのアップデート
オペレーティング・システム・ディスク
2 つのリモート I/O ライザ・モジュール (QBB ローカル I/O ライザ・モジュールへの接続用)
2 つの PCI バックプレーン: 各 PCI バックプレーン (図 2-1) には,2 つの PCI バスがあります。PCI バス 0 には 3 つのスロット,PCI 1 には 4 つのスロットがあります。1 次 PCI ドロワの PCI バス 0 スロット 0-0/1 は標準 I/O モジュール用です。
CD-ROM
2 つの電源 (冗長電源を供給)
コンソール・シリアル・バス (CSB) インタフェース・モジュール: コンソール・シリアル・バスは,マイクロプロセッサのネットワークに使用され,マスタ SCM がマスタ/スレーブ関係を制御します。各ノードはそれぞれのサブシステムを制御および監視するようにプログラムされ,マスタ SCM からのコマンドやマスタ SCM からのポーリングに応答します。
CSB ネットワークは,以下のノードから構成されます。
1 〜 8 の SCM。オペレータ制御パネル (OCP) に接続されている 1 次 PCI ドロワで,最も数字の小さいノード ID (通常は 0) が付いたものが,初期起動時の省略時のマスタ SCM となります。その他の SCM はスレーブです。1 つのスレーブ SCM を,マスタのスタンバイとして指定することができます。スタンバイに指定したスレーブ SCM のある 1 次 PCI ドロワも,OCP に接続する必要があります。OCP には,この目的のために 2 つのコネクタがあります。スタンバイ SCM では,マスタ SCM よりも数字の大きいノード ID (通常は 1 に設定) であることが必要です。マスタ SCM およびスタンバイ SCM は,
scm_csb_master_eligible
SCM 環境変数を設定する必要があります。
注意
マスタ SCM およびスタンバイ SCM がある 1 次 PCI ドロワを電源キャビネットに格納することをお勧めします。これらの両方を OCP に接続する必要があります。
ローカル端末/COM1 ポート (標準 I/O モジュール): ケーブルを,標準 I/O モジュール上のローカル端末ポートから,各パーティションのターミナル・サーバに接続します。ターミナル・サーバは,各コンソールのターミナル・エミュレータ・ウィンドウを提供する,システム管理コンソール (PC) に接続されます。
モデム・ポート (標準 I/O モジュール)
2 つのユニバーサル・シリアル・バス (USB) ポート (標準 I/O モジュール)
キーボード・ポート
マウス・ポート
オペレータ制御パネル (OCP) ポート
パラレル・ポート
通信ポート (COM2)
BA54A-BA PCI ドロワは,拡張 PCI ドロワ (図 8-2 および 図 8-3 の上部 PCI ドロワ) で,以下のものが含まれます。
2 つの I/O ライザ・モジュール (QBB I/O ライザ・モジュールへの接続用)
2 つの電源 (冗長電源を供給)
2 つの PCI バックプレーン。各 PCI バックプレーンには,2 つの PCI バスがあり,それぞれ 7 スロットが使用できます。
コンソール・シリアル・バス (CSB) インタフェース・モジュール
図 8-2
に,拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの前面図を示します。1 次 PCI ドロワが下になります。これは,CD-ROM やキーボード,マウスのポート,COM2 ポートとパラレル・ポート,および OCP への接続があるのですぐに見分けることができます。図 8-3
には,両方の PCI ドロワの背面図を示します。背面からは PCI ドロワの種類が区別しづらくなっていますが,スロット 1 で判断できます。1 次 PCI ドロワには,スロット 1 に標準 I/O モジュールがあり,このモジュールからコンソール・ポートとモデム・ポート,および USB へ接続されています。
図 8-2: 拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの前面図
図 8-3: 拡張 PCI ドロワおよび 1 次 PCI ドロワの背面図
8.3 分割した GS80,GS160,または GS320 システムの TruCluster 構成
AlphaServer GS80/160/320 システムは,TruCluster Server 構成のメンバとすることができます。また,パーティションが8.2 節で説明するハードウェア要件を満たす場合には,AlphaServer GS80/160/320 のハードウェア・パーティションをメンバ・システムとすることができます。
次の項では,単一パーティションの AlphaServer GS80/160/320 システムを,TruCluster Server 構成で複数のハードウェア・パーティションとして構成する方法について説明します。ここでは,TruCluster Server 構成で 2 つのメンバ・システムとして使用する,新しくインストールしたシステムを例に挙げて説明します。
8.3.1 単一パーティションの AlphaServer GS80/160/320 をクラスタ内で 2 つのパーティションに再分割する方法
この項で説明する新しい AlphaServer GS80/160/320 は,ハードウェアがインストールされ,システム管理コンソールが最初のパーティション用に接続されて,最初のパーティション用にターミナル・エミュレータ・ウィンドウが開かれたのち,システムの電源が入れられ,単一パーティションとしてテスト済と仮定しています。またこの項では,各パーティションにどの QBB を使用するかが確定されているとします。手順では,GS80 システムの最大数である 2 つのハードウェア・パーティションで説明しますが,ハードウェアの容量と配置,および SCM 環境変数値を変更することにより,(サポートされるシステムによって) パーティション数が異なっても同じように処理できます。
注意
各パーティションを別のシステムとして表示してください。
最初の電源投入時に,システムが単一パーティションとして起動することを確認してください。キー・スイッチをオンにしないでください。AC 回路ブレーカのみ電源を投入します。SCM
set hp_count 0
コマンドを使用して,システムが単一パーティションとして起動していることを確認します。キー・スイッチをオンにして,システムへ電源を供給します。
AlphaServer GS80/160/320 システムを,TruCluster Server のメンバ・システムとして使用する 2 つのパーティションに再分割するには,次の手順に従います。
必要であれば,各ハードウェア・パーティション (パーティション 0 より後) に対して 1 次 PCI ドロワを設置します。必要に応じて,拡張 PCI ドロワを設置し,追加の PCI スロットを用意します。最初のパーティション用に 1 次 PCI ドロワがあることを確認します。
注意
マスタ SCM およびスタンバイ SCM (スタンバイ SCM がある場合) を含む 1 次 PCI ドロワを,GS160 または GS320 の電源キャビネット,または GS80 の場合は RETMA キャビネットに設置することをお勧めします。いずれの場合も OCP に接続する必要があります。
ご使用の TruCluster Server 構成に合わせて,各パーティションの 1 次 (または拡張) PCI ドロワに以下のハードウェアを設置し,ケーブルをすべて接続します。できるだけ対称的に構成して,トラブルシューティングおよび再構成の作業を行いやすくしてください。
TruCluster Server 構成の各システムにプライベート LAN または Memory Channel インターコネクトのクラスタ・インターコネクトが必要。
KZPBA (パラレル SCSI) または KGPSA (Fibre Channel) のホスト・バス・アダプタに接続される共用ストレージ。
ネットワーク・コントローラ。
パーティションの QBB にあるローカル I/O ライザ (図 8-1) と,1 次 PCI ドロワおよび拡張 PCI ドロワ (図 2-1
および図 8-3) にあるリモート I/O ライザを,BN39B ケーブルで接続します。GS80 RETMA キャビネットの PCI ドロワには BN39B-01 ケーブル (1 m ; 3.3 フィート) を使用します。PCI ドロワが GS160 または GS320 電源キャビネットにある場合は BN39B-04 (4 m ; 13.1 フィート) を,拡張キャビネットにある場合は BN39B-10 ケーブル (10 m ; 32.8 フィート) を使用します。ケーブル接続が,Memory Channel モジュールではなく,PCI ドロワの
0-R
および
1-R
(リモート I/O ライザ) 接続されていること確認してください。
注意
I/O ライザ 0 (ローカル I/O ライザ・ポート 0 および 1) は,マスタ SCM (システム制御マネージャ) となる 1 次 PCI ドロワに接続することをお勧めします。
同じパーティションにある QBB ならば,1 つの PCI ドロワに複数の QBB を接続することができます。
システム・イベントは,I/O ライザ 0 経由でシステムに報告されるため,PCI ドロワにあるリモート I/O ライザ 0 はすべて接続する必要があります。
1 つのハードウェア・パーティションにつき 2 つ以上の PCI ドロワが必要な場合は,そのパーティションに 1 つ以上の QBB が必要となります。各 QBB では 2 つの PCI ドロワ (ローカル I/O ライザおよび PCI ドロワの間で 2 本のケーブル) をサポートします。
各 PCI ドロワの背面で,CSB ノード ID モジュールにある押しボタン式のカウンタ・スイッチを使って,PCI ドロワのノード ID を設定します (図 8-3 を参照)。マスタ SCM 用の 1 次 PCI ドロワのノード ID を 0 に設定します。スタンバイ SCM (該当する場合) 用の 1 次 PCI ドロワのノード ID を 1 に設定します。以降の PCI ドロワには,PCI ドロワのノード ID を 1 ずつ大きい番号にしていきます。
マスタ SCM を含む 1 次 PCI ドロワが OCP に接続されていることを確認します。スタンバイ SCM (該当する場合) を使った 1 次 PCI ドロワを OCP に接続します。
H8585-AA コネクタを,新しいパーティションの標準 I/O モジュールにあるターミナル・ポートに接続します。H8585-AA コネクタとターミナル・サーバの間を BN25G-07 ケーブルで接続し,コンソール・ターミナル接続をシステム管理コンソールへ提供します。
システム管理コンソールのターミナル・エミュレータを使って,そのパーティション用に新しいターミナル・ウィンドウを作成します。
各 QBB の AC 回路ブレーカの電源を投入します。これにより,コンソール・シリアル・バス (CSB) および SCM へ電源が供給されます。OCP キー・スイッチをオンにしないでください。システムの分割に,冗長な電源投入シーケンスは必要ありません。
注意
OCP キー・スイッチが
On
またはSecure
の位置にある場合,システムにより電源投入シーケンスが実行されてしまいます。この場合は,電源投入シーケンスが終了したときに,
power off
SCM コマンドを使ってシステムの電源を切断し,その後にシステムを分割してください。
auto_quit_scm
SCM 環境変数が設定されている場合 (つまり1
の場合),電源投入シーケンスの最後に,制御が SRM コンソール・ファームウェアに渡されます。エスケープ・シーケンス ([Esc] [Esc] scm) を使って,SCM ファームウェアへ制御を渡してください。auto_quit_scm
SCM 環境変数が設定されていない場合 (つまり0
の場合),SCM は制御を継続します。パーティションを指定せずに,マスタ SCM で
power off
コマンドを実行した場合,電源がシステム全体で切断されます。パーティションの電源を切断するには,power off -par n
を使用します。ここでは,n がパーティション番号となります。スレーブ SCM は,そのパーティションに対する電源のみ制御することができます。
電源投入時の自己診断 (POST) が完了し,システムの電源が切断されたら,マスタ SCM を使って,パーティションを定義するための SCM 環境変数を設定します。
hp_count
SCM 環境変数は,ハードウェア・パーティションの数を定義します。
hp_qbb_maskn
SCM 環境変数は,ビット位置によってどの QBB がパーティション
n
部分になるかを定義します。例 8-1
に,各パーティションに 2 つの QBB が含まれる,2 つのパーティションの設定方法を示します。パーティション 0 には QBB 0 および 1,パーティション 1 には QBB 2 および 3 が含まれます。
show nvr
SCM コマンドを使用して,SCM 環境変数を表示します。
例 8-1: SCM 環境変数を使ったハードウェア・パーティションの定義
SCM_E0> set hp_count 2 [1] SCM_E0> set hp_qbb_mask0 3 [2] SCM_E0> set hp_qbb_mask1 c [3] SCM_E0> show nvr [4] com1_print_en 1 hp_count 2 [5] hp_qbb_mask0 3 [5] hp_qbb_mask1 c [5] hp_qbb_mask2 0 hp_qbb_mask3 0 hp_qbb_mask4 0 hp_qbb_mask5 0 hp_qbb_mask6 0 hp_qbb_mask7 0 srom_mask ff f xsrom_mask ff ff ff ff ff ff ff ff ff 1 0 0 primary_cpu ff primary_qbb0 ff auto_quit_scm 1 [6] fault_to_sys 0 dimm_read_dis 0 scm_csb_master_eligible 1 [7] perf_mon 20 scm_force_fsl 0 ocp_text as gs160 auto_fault_restart 1 scm_sizing_time c
ハードウェア・パーティションの数を 2 に設定します。 [例に戻る]
ハードウェア・パーティション 0 用に QBB 0 と QBB 1 を選択するため,マスク (0011
) のビット 0 および 1 を設定します。
[例に戻る]
ハードウェア・パーティション 1 用に QBB 2 と QBB 3 を選択するため,マスク (1100
) のビット 2 および 3 を設定します。
[例に戻る]
ハードウェア・パーティション変数が正しく設定されているかどうかを確認するため,SCM 環境変数 (不揮発性 RAM) を表示します。 [例に戻る]
ハードウェア・パーティション環境変数が正しいかどうかを確認します。 [例に戻る]
電源投入シーケンスの最後で SRM コンソール・ファームウェアに制御が渡されることを示します。SCM コマンドを実行したい場合,エスケープ・シーケンス (Esc Esc scm) を使って,SCM ファームウェアに制御を渡します。電源投入シーケンスの最後で SCM の制御を続ける場合は,
auto_quit_scm
SCM 環境変数に 0 を設定します。
[例に戻る]
この 1 次 PCI ドロワにある SCM は,その後,継続する電源投入シーケンスのマスタ SCM として選択できることを示します。マスタ SCM として選択するためには,SCM が OCP に接続され,CSB ノード ID の数字が最も小さく,
scm_csb_master_eligible
SCM 環境変数が設定されている必要があります。
[例に戻る]
1 台の 1 次 PCI ドロワをマスタ SCM となるように選択します。必要であれば,
scm_csb_master_eligible
環境変数を設定することにより,別の 1 次 PCI ドロワをスタンバイ SCM に選択します。マスタ SCM およびスタンバイ SCM は OCP に接続する必要があります。マスタ SCM は,最も数字の小さいノード ID となるようにしてください。
show csb
SCM コマンドから入手したノード ID アドレスを使用します (例 8-4)。複数の 1 次 PCI ドロワが使用できる場合,最も数字の小さいノード ID を持つ 1 次 PCI ドロワの SCM がマスタとして選択されます。他の SCM は,マスタ SCM で障害が発生した場合にスタンバイ状態となります。
ノード ID スイッチが 0 に設定されている場合,CSB ノード ID は 10 となります (例 8-4)。ノード ID スイッチが 1 に設定されている場合は,CSB ノード ID が 11 となります。
たとえば,以下のコマンドにより,ノード ID 10 および 11 (スイッチが 0 と 1 に設定) の 1 次 PCI ドロワの SCM は,コンソール・シリアル・バス (CSB) のマスタ (およびスタンバイ) となります。
SCM_E0> set scm_csb_master_eligible 10,11
注意
マスタ SCM が OCP に接続されていない場合,システムはハングします。
スタンバイ SCM で,マスタ SCM の設定と一致するように
hp_count
および
hp_qbb_maskn
SCM 環境変数を設定します。
SCM_E0> set hp_count 2 SCM_E0> set hp_qbb_mask0 3 SCM_E0> set hp_qbb_mask1 c
オン/オフ・スイッチを
On
または
Secure
の位置に切り替え,マスタ SCM を使って各パーティションの電源を入れます。電源投入シーケンスが完了したら,例 8-2
で示すように,制御を SRM コンソール・ファームウェアに渡します。
例 8-2: パーティションの電源投入
SCM_E0> power on -par 0 [1]
.
.
.
SCM_E0> power on -par 1 [2]
.
.
.
SCM_E0> quit [3]
パーティション 0 の電源を入れます。 [例に戻る]
パーティション 1 の電源を入れます。 [例に戻る]
SCM ファームウェアから SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します。 [例に戻る]
注意
auto_quit_scm
SCM 環境変数が設定されている場合,電源投入シーケンスの最後で制御が自動的に SRM コンソール・ファームウェアへ渡されます。
AlphaServer システムのファームウェア用リリース・ノートの最新版を用意します (8.5 節)。現在のファームウェア・リビジョンを,リリース・ノートに記載されている必要なリビジョン (例 8-4) と比較します。必要に応じて,ファームウェアをアップデートしてください (8.5 節)。
SRM コンソール・ファームウェアには,ISP1020/1040 ベースの PCI オプション・ファームウェアが含まれています。このオプション・ファームウェアには,KZPBA 対応のファームウェアも含まれています。SRM コンソール・ファームウェアをアップデートする場合,KZPBA ファームウェアをアップデートすることができます。電源リセット時,SRM コンソールにより,コンソール・システムのフラッシュ ROM から Qlogic ISP1020/1040 ベースの PCI オプションすべてに対するファームウェアが NVRAM に読み込まれます。これには,KZPBA PCI-to-Ultra SCSI アダプタ対応ファームウェアも含まれます。
クラスタ・インターコネクトで Memory Channel を使用する場合,Memory Channel 診断コマンド
mc_diag
および
mc_cable
を実行し,Memory Channel アダプタが操作できることを確認します (5.6 節)。
各パーティションのターミナル・エミュレータで,SRM コンソール・ファームウェアにアクセスし,必要に応じて以下のことを実行します。
必要であれば,KZPBA SCSI ID を設定して,すべての共用ストレージにアクセスできることを確認します。
Tru64 UNIX オペレーティング・システムをインストールします (Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド』を参照)。
TruCluster Server ソフトウェアをインストールします (TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』を参照)。
Fibre Channel ストレージを使用している場合は,「第 7 章,Fibre Channel ストレージの使用」の手順に従ってください。
必要に応じて,高可用性アプリケーションまたはサービスを設定します。
8.4 AlphaServer GS80/160/320 システム構成の確認
AlphaServer GS80/160/320 システムで,慣れない再構成を行わなければならないことがあります。システムの再構成を始める前に,以下について確認してください。
システムにあるパーティションの数
各パーティションにある QBB
各パーティションで使用する PCI ドロワ
各 QBB に接続されている PCI ドロワ
コンソール・シリアル・バス (CSB) アドレス
show nvr
(例 8-1),show system
(例 8-3),および
show csb
(例 8-4) などのシステム制御マネージャ (SCM) のコマンドを使って,必要な情報を確認します。
SRM プロンプトの状態で,エスケープ・シーケンス (Esc Esc scm) を使用して,SCM ファームウェアに制御を渡します。
例 8-3
に,AlphaServer GS160 システムに対する
show system
SCM コマンドの表示結果を示します。
例 8-3: AlphaServer GS160 システム情報の表示
SCM_E0> show system System Primary QBB0 : 2 System Primary CPU : 0 on QBB2 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] Par hrd/sft CPU Mem IOR3 IOR2 IOR1 IOR0 GP QBB Dir PS Temp QBB# 3210 3210 (pci_box.rio) Mod BP Mod 321 (コC) (0) 0/30 PPPP --PP --.- --.- P0.1 P0.0 P P P -PP 27.0 (0) 1/31 PPPP --PP --.- --.- --.- --.- P P P -PP 26.0 (1) 2/32 PPPP --PP --.- --.- P1.1 P1.0 P P P PP- 26.0 (1) 3/33 PPPP --PP --.- --.- --.- --.- P P P PP- 27.0 HSwitch Type Cables 7 6 5 4 3 2 1 0 Temp(コC) HPM40 8-port - - - - P P P P 29.0 [11] [12] [13] [14][15] [16] PCI Rise1-1 Rise1-0 Rise0-1 Rise0-0 RIO PS Temp Cab 7 6 5 4 3 2 1 7 6 5 4 3 2 1 1 0 21 (コC) 10 L L L M - M - M L L L L L S * * PP 30.5 11 L L L M - M - M L L L L L S * * PP 30.0
ハードウェア・パーティション番号。この例では,2 つのハードウェア・パーティションがあります (0 および 1)。 [例に戻る]
QBB 番号およびコンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。QBB 0 および 1 (CSB ノード ID 30 および 31) はパーティション 0 にあります。QBB 2 および 3 (CSB ノード ID 32 および 33) はパーティション 1 にあります。 [例に戻る]
電源が投入され,自己診断にパスした状態を示す CPU モジュールの状態があります (P
)。ダッシュ (-) は空のスロットを示します。F
は自己診断に失敗したことを示します。この例では,各 QBB に 4 つの CPU モジュールがあり,各モジュールが自己診断にパスしたことを示しています。
[例に戻る]
電源が投入され,自己診断にパスした状態を示すメモリ・モジュールの状態があります (P
)。ダッシュ (-) は空のスロットを示します。F
は自己診断に失敗したことを示します。この例では,各 QBB に 2 つのメモリ・モジュールがあり,各モジュールが自己診断にパスしたことを示しています。
[例に戻る]
QBB I/O ライザにプラグインされた PCI ドロワ I/O ライザの状態を,Xm.n
の形式で表します。X
は,"P
","p
","F
",またはダッシュ (-) です。QBB ローカル I/O ライザは,IOR0
(ポート 0),IOR1
(ポート 1),IOR2
(ポート 2),および
IOR3
(ポート 3) です。P
(大文字) は,電源が入った状態で自己診断にパスしたことを示します。p
(小文字) は,電源が入っていない状態で自己診断にパスしたことを示します。そして,F
は自己診断に失敗したことを示します。
各 QBB の
m.n
番号は,ローカル I/O ライザが接続されている PCI ドロワ (m
=
0
〜
f
) および PCI ドロワの I/O ライザ (n
=
0, 1)
) を示します。たとえば,QBB0 ポート 0 (IOR0) は PCI ドロワ 0,I/O ライザ 0 (P0.0
) に接続され,QBB0 ポート 1 (IOR1) は PCI ドロワ 0,I/O ライザ 1 (P0.1
) に接続されています。
m.n
にダッシュ (-) がある場合,I/O ライザ・モジュールはインストールされていません。画面には,--.-
が 2 つ続けて表示 (--.- --.-
) されていますが,これはローカル I/O ライザ・モジュールに 2 ポートあるためです。
ここでは,Px.x
という表示もありますが,これは I/O ライザ・モジュールがインストールされ,電源が入った状態で自己診断にパスしているが,ケーブルがポートに接続されていないことを示します。たとえば
Px.x P2.0
の場合,ローカル I/O ライザはインストールされていますが,ケーブルは 1 本しか接続されていません。
[例に戻る]
自己診断にパスしたグローバル・ポート・モジュールの状態。 [例に戻る]
自己診断にパスした QBB バックプレーンの電源システム・マネージャ (PSM) の状態。 [例に戻る]
自己診断にパスした QBB ディレクトリ・モジュールの状態。 [例に戻る]
QBB の電源状態。各 QBB には,2 つの電源があります。ダッシュ (-) の場合は,その位置に電源がないことを示します。 [例に戻る]
QBB バックプレーンの温度 (℃)。 [例に戻る]
階層スイッチ (H スイッチ) の種類,状態,温度,および H スイッチに接続された QBB のレポート。この例では,QBB 0,1,2,および 3 が H スイッチに接続されています。 [例に戻る]
PCI ドロワのコンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。この例では,1 台目の PCI ドロワのノード ID が 10,2 台目の PCI ドロワのノード ID が 11 となります。この場合,ノード ID スイッチは 0 および 1 に設定されていることに注意してください。 [例に戻る]
PCI ドロワにある 4 つの PCI バスそれぞれの状態。S
は,標準 I/O モジュールであることを示します。スロットにある他のモジュールは,電力消費によって識別されます。
L
: 低電力消費
M
: 中電力消費
H
: 高電力消費
ダッシュ (-): そのスロットには,モジュールがありません。
この例で
M
となっている PCI モジュールは,電力が Memory Channel および Fibre Channel-to-PCI ホスト・バス・アダプタで消費されます。
[例に戻る]
PCI ドロワの I/O ライザ・モジュールがあるかどうかを示します。アスタリスク (*) であれば,モジュールがあります。 [例に戻る]
PCI ドロワの電源の状態は次のとおりです。
P
(大文字) は,電源が入った状態で,自己診断にパスしたことを示します。
p
(小文字) は,自己診断にパスした後,電源が切断されたことを示します。
F
(大文字) は,電源が入った状態で,自己診断に失敗したことを示します。
f
(小文字) は,自己診断に失敗した後,電源が切断されたことを示します。
アスタリスク (*) は,SCM が電源を検出したが,電源を入れていないことを示します。
PCI ドロワの温度 (℃)。 [例に戻る]
例 8-4
に,AlphaServer GS160 システムに対する
show csb
SCM コマンドの表示結果を示します。
例 8-4: コンソール・シリアル・バス (CSB) 情報の表示
SCM_E0> show csb [1] [2] [3] [4] [5] [6] CSB Type Firmware Revision FSL Revision Power State 10 PBM T05.4 (03.24/01:14) T4.2 (09.08) ON 11 PBM T05.4 (03.24/01:14) T4.2 (09.08) ON 30 PSM T05.4 (03.24/01:09) T4.0 (07.06) ON SrvSw: NORMAL 30 XSROM T05.4 (03.24/02:10) C0 CPU0/SROM V5.0-7 ON C1 CPU1/SROM V5.0-7 ON C2 CPU2/SROM V5.0-7 ON C3 CPU3/SROM V5.0-7 ON C0 IOR0 ON C1 IOR1 ON 31 PSM T05.4 (03.24/01:09) T4.0 (07.06) ON SrvSw: NORMAL 31 XSROM T05.4 (03.24/02:10) C4 CPU0/SROM V5.0-7 ON C5 CPU1/SROM V5.0-7 ON C6 CPU2/SROM V5.0-7 ON C7 CPU3/SROM V5.0-7 ON 32 PSM T05.4 (03.24/01:09) T4.0 (07.06) ON SrvSw: NORMAL 32 XSROM T05.4 (03.24/02:10) C8 CPU0/SROM V5.0-7 ON C9 CPU1/SROM V5.0-7 ON CA CPU2/SROM V5.0-7 ON CB CPU3/SROM V5.0-7 ON C8 IOR0 ON C9 IOR1 ON 33 PSM T05.4 (03.24/01:09) T4.0 (07.06) ON SrvSw: NORMAL 33 XSROM T05.4 (03.24/02:10) CC CPU0/SROM V5.0-7 ON CD CPU1/SROM V5.0-7 ON CE CPU2/SROM V5.0-7 ON CF CPU3/SROM V5.0-7 ON 40 HPM T05.4 (03.24/01:18) X4.1 (08.18) ON E0 SCM MASTER T05.4 (03.24/01:21) T4.2 (09.08) ON E1 SCM SLAVE T05.4 (03.24/01:21) T4.2 (09.08) ON Ineligible
コンソール・シリアル・バス (CSB) ノード ID。または,QBB の場合は QBB の CPU 番号。CSB ノード・アドレスは,次の範囲となります。
10 〜 1f: PCI バックプレーン・マネージャ (PBM) -- CSB ノード ID は PCI ドロワのノード ID 設定に基づきます。
e0 〜 e7: システム制御マネージャ (SCM) -- CSB ノード ID は PCI ドロワのノード ID 設定に基づきます。
30 〜 37: 電源システム・マネージャ (PSM) -- ハード QBB ID (QBB 0 - 7) に基づきます。
40: 階層スイッチ電源マネージャ (HPM)
C0 〜 CF: PSM は,SCM
show csb
コマンドの応答で,CPU および I/O ライザがコンソール・シリアル・バス (CSB) 上になくても,CPU および I/O ライザの CSB ノード・アドレスを提供します。これにより,たとえば
power off -cpu c4
のように,SCM コマンドを特定の CPU に指定することができます。PSM は SCM コマンドに応答して,CPU の電源を入れたり,電源を切ったりします。
CSB ノードの種類。
PBM (PCI バックプレーン・マネージャ)
PSM (電源システム・マネージャ)
HPM (階層スイッチ電源マネージャ)
SCM MASTER (SCM マスタ): この 1 次 PCI ドロワにはマスタ SCM があります。
SCM SLAVE (SCM スレーブ): この 1 次 PCI ドロワにある SCM はスレーブであり,マスタのバックアップとして指定されていません。
CPUn/SROM: 各 CPU モジュールには,電源投入シーケンスの一部として実行される SROM ファームウェアがあります。
XSROM: SROM ファームウェアの実行後,各 CPU が PSM モジュールにあるこの拡張 SROM ファームウェアを実行します。
ファームウェア・リビジョンおよびコンパイル日。 [例に戻る]
フェイルセーフ・ローダ (FSL) ファームウェアのリビジョン。CSB の各マイクロプロセッサは,フラッシュ ROM に通常のファームウェア・イメージと,バックアップ ROM にフェイルセーフ・ローダ (FSL) イメージの両方を備えています。フェイルセーフ・ローダ (FSL) ファームウェアは,システムのリセット時に実行されます。通常のファームウェア・イメージに対するチェックサムを実行し,制御を通常のファームウェア・イメージに渡します。 [例に戻る]
CSB 上の各 CPU,I/O ライザ,および各ノードに対する電源の状態。 [例に戻る]
電源が正常 (NORMAL
) であるか,または QBB の電源が切断されていてサービスを受けられること (SERVICE
) を示します。
スレーブ SCM の
Ineligible
表示は,スレーブ SCM がマスタ SCM のバックアップではないことを示します。
[例に戻る]
AlphaServer GS80/160/320 ファームウェア,SCSI ホスト・バス・アダプタまたは Fibre Channel アダプタのファームウェアは,適切にアップデートする必要があります。ファームウェアのアップデートが必要かどうかを確認するには,ファームウェアの現バージョンと,「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM の最新版を比較します。 システムのファームウェア・リリース・ノートに,ファームウェアの現バージョンのリストが記載されています。
ファームウェア・リリース・ノートの 2 つの入手方法については,4.2 節を参照してください。
次の項に,ファームウェアのアップデート方法の概要を説明します。
8.5.1 AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアのアップデート
「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM をブートすることにより,LFU (Loadable Firmware Update) ユーティリティを使って AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアをアップデートすることができます。
LFU を使用すると,以下のファームウェアがアップデートできます。
標準 I/O モジュールのシステム・リファレンス・マニュアル (SRM) フラッシュ ROM
以下のコンソール・シリアル・バス (CSB) マイクロプロセッサ用フラッシュ ROM
SCM: 各 1 次 PCI ドロワの標準 I/O モジュールに 1 つ
電源システム・マネージャ (PSM): 各 QBB の PSM モジュールに 1 つ
PCI バックプレーン・マネージャ (PBM): 各 PCI バックプレーンに 1 つ
階層スイッチ電源マネージャ (HPM): H スイッチに 1 つ
PCI ホスト・バス・アダプタの EEPROM
LFU ユーティリティを使って AlphaServer GS80/160/320 ファームウェアをアップデートするには,次の手順に従います。
各パーティションのコンソールで,オペレーティング・システムをシャットダウンします。
マスタ SCM で,システムの電源を切断します。
SCM_E0> power off
必要であれば,個々のパーティションの電源を切断することができます。すべてのパーティションの電源を切断したことを確認します。
SCM_E0> power off -par 0 SCM_E0> power off -par 1
SCM 環境変数を表示するには,show nvr
SCM コマンドを使用します。ハードウェア・パーティション構成の記録として,
hp_count
および
hp_qbb_maskn
環境変数を記録します。
hp_qbb_maskn
環境変数は変更しませんが,この変数を記録しておいてください。
SCM_E0> show nvr COM1_PRINT_EN 1 HP_COUNT 2 HP_QBB_MASK0 3 HP_QBB_MASK1 c HP_QBB_MASK2 0 HP_QBB_MASK3 0 HP_QBB_MASK4 0 HP_QBB_MASK5 0 HP_QBB_MASK6 0 HP_QBB_MASK7 0
.
.
.
すべてのハードウェア・パーティションを削除します。
SCM_E0> set hp_count 0
注意
hp_qbb_maskn
環境変数を 0 にする必要はありません。hp_count
のみです。
システムに電源を投入し,SRM コンソール・ファームウェアが実行できるようにします。電源投入初期化シーケンスの間,SRM コードがパーティションの 1 次 QBB にあるメモリにコピーされます。SRM コードは,標準 I/O モジュールの SRM EEPROM ではなく,メモリで実行されます。
SCM_E0> power on
SCM から SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します (
auto_quit_scm
SCM 環境変数が設定されていない場合)。
SCM_E0> quit P00>>>
そのドライブに「AlphaServer Firmware Update」CD-ROM を挿入して,ブートします。
P00>>> boot dqa0
ブート・シーケンスで,ファームウェアのアップデート処理の概要が表示されます。テキストをスクロールするには Return キーを,テキストをスキップするには Ctrl/C キーを押します。
アップデート処理の概要が表示された後,省略時のブート・ファイル名が表示されます。ブート・ファイル名が正しければ,Bootfile:
プロンプトで Return キーを押します。異なる場合は,正しいブート・ファイル名を入力します。
次の例に示すような LFU のヘルプ・メッセージが表示されます。
*****Loadable Firmware Update Utility***** ------------------------------------------------------------- Function Description ------------------------------------------------------------- Display Displays the system's configuration table. Exit Done exit LFU (reset). List Lists the device, revision, firmware name and update revision Readme Lists important release information. Update Replaces current firmware with loadable data image. Verify Compares loadable and hardware images. ? or Help Scrolls this function table.
list
コマンドでは,その
device
列にアップデート可能なデバイスが示されます。また,ファームウェアの現バージョンと,CD-ROM のアップデート・リビジョンも表示されます。
update
コマンドを使用して,すべてのファームウェアまたは,次の例のように指定したデバイス (SRM コンソール・ファームウェア) をアップデートすることができます。
UPD> update srm
警告
ファームウェアのアップデートは中断しないでください。中断すると,ファームウェア・モジュールにあるフラッシュ・イメージが破損することがあります。
QBB のファームウェアを完全にアップデートする場合,アップデートするデバイスがない PCI で 5 分,アップデートするデバイスが多い PCI では 30 分を超えます。使用する PCI アダプタの数に比例して所要時間が長くなります。
ファームウェアのアップデート後,verify
コマンドを使ってファームウェアのアップデートを確認し,SCM に制御を渡してシステムをリセットします。
P00>>> [Esc][Esc] scm SCM_E0> reset
ハードウェア・パーティションを元の構成に戻します。
SCM_E0> set hp_count 2
マスタ SCM で,システムの電源を投入します。
SCM_E0> power on
マスタ SCM で,SRM コンソール・ファームウェアに制御を渡します。次に,各パーティションのコンソールで SRM を使用し,オペレーティング・システムをブートします。