3    フロント・パネルの使用方法

フロント・パネルは,ワークスペースの下部に水平に表示されます。これには,アプリケーションの起動,デスクトップ・セッションでのタスクの管理,またはワークスペースの変更に使用するコントロール (またはツール) が表示されます。各コントロールは,その用途を示すアイコンで表されています。

この章では,省略時の設定で使用できるフロント・パネル上のコントロールについて説明し,さらにサブパネルとワークスペースの使用方法について説明します。

この章では,次の事項について説明します。

3.1    フロント・パネルの概観

省略時の設定では,フロント・パネルに,デスクトップ・セッションの管理に使用できるいくつかのコントロールが提供されます。クロックなどのコントロールは表示専用で,アクションを実行しません。メールなどのコントロールは,アクションを実行します。つまり,メールを使用してメッセージの送受信ができます。

図 3-1 に,省略時の CDE フロント・パネルを示します。

図 3-1:  CDE フロント・パネルのコントロール

表 3-1に,使用できるフロント・パネルのコントロールを示します。各ツールの使用方法についての詳しい説明は,『Common Desktop Environment: ユーザーズ・ガイド』 を参照してください。

表 3-1:  フロント・パネルのコントロール

アプリケーション 使用
クロック 時刻をアナログ形式で表示します。このコントロールをクリックしても,アクションは実行されません。
カレンダ 現在の月と日を表示します。このアプリケーションを使用して,アポイントメントおよび予定のスケジューリング,覚え書きの設定,他のカレンダのブラウズ,およびグループ・アポイントメントのスケジューリングを行います。アポイントメント・ファイルをカレンダ・コントロールにドロップすると,カレンダ・データベースにそのアポイントメントが追加されます。
ファイル・マネージャ ディレクトリ (フォルダ) とファイルを表示します。ディレクトリをファイル・マネージャ・コントロールにドロップすると,そのディレクトリがオープンされます。
テキスト・エディタ 文書またはメモを作成するためのテキスト・エディタ・ウィンドウをオープンします。ファイルをテキスト・エディタのアイコンにドロップすると,そのファイルがテキスト・エディタ・ウィンドウにオープンされます。
メール メール・アプリケーションを起動します。このアプリケーションを使用して,メール・メッセージの送受信,保存,および転送を行います。ファイルをメール・コントロールにドロップすると,ドロップ・インしたファイルがアタッチメントとして,新規メッセージ・ウィンドウに表示されます。
ロック セッションを無期限に一時停止します。セッションを一時停止すると,ワークステーションのディスプレイがロックされますが,アプリケーションは引き続き実行されます。セッションを再開するには,パスワードを入力します。
ワークスペース・スイッチ ワークスペースを変更します。このスイッチを使用して,別の作業領域に移動します。省略時の設定では,ワークスペースは 4 つあります。
ビジー・ライト アクションが実行中であることを示します。たとえば,アプリケーションを起動すると,ビジー・ライトが点滅します。アプリケーションの呼び出しが完了すると,ビジー・ライトは点滅しなくなります。このアイコンをクリックしても,アクションは実行されません。
Exit セッションのログアウト処理を開始します。
プリンタ 省略時のプリンタの状態を表示します。ファイルをプリンタ・アイコンにドロップすると,そのファイルが省略時設定のプリンタにプリントされます。
スタイル・マネージャ スタイル・マネージャ・アプリケーションをオープンします。このアプリケーションを使用して,環境の特性を変更します。
アプリケーション・マネージャ システム上で使用できるアプリケーションおよびその他のツールを置く場所となるアプリケーション・マネージャを起動します。
SysMan Station SysMan Station を開始します。SysMan Station は,ユーザがシステム・コンポーネントをビジュアルに選択し,それらのコンポーネントに適用できる SysMan アプリケーションを実行するグラフィカル・システム・マップです。これは,root としてログインした場合にのみ使用できます。図 3-2 に,SysMan Station コントロールを含む CDE フロント・パネルの一部を示します。
ヘルプ・マネージャ 使用可能な最上位レベルのオンライン・ヘルプ情報を表示します。マスタ・ヘルプ・ボリューム・ファイル (*.sdl) をヘルプ・マネージャにドロップすると,ヘルプ・ビューア・ウィンドウがオープンされ,そのボリュームの内容が表示されます。
ごみ箱 ごみ箱アプリケーションをオープンします。このアプリケーションを使用して,ファイルを削除します。ファイルをごみ箱コントロールにドロップすると,そのファイルは discard ディレクトリに送られます。

図 3-2 に,CDE フロント・パネルにある SysMan Station コントロールを示します。これは,root としてログインした場合にのみ使用できます。

図 3-2:  CDE フロント・パネルの SysMan Station コントロール

3.2    フロント・パネルのメニューおよびワークスペースの使用方法

いくつかのフロント・パネルのコントロールの上には矢印 がついていて,サブパネルが使用できることを示しています。サブパネルは,デスクトップ・セッションの管理に使用できる,他のコントロールへのアクセスを提供するメニューです。省略時のサブパネルのメニューについての詳細は,3.2.1 項を参照してください。

フロント・パネルにあるすべてのコントロールには,ポップアップ・メニューがあります。ポップアップ・メニューには,コントロールをポイントして,マウス・ボタン 3 をクリックすることによりアクセスできます。通常,ポップアップ・メニューには,サブパネルの追加または削除に使用できるコントロール,あるいはオンライン・ヘルプ・ボリュームを見るためのコントロールが入っています。アクションを実行するテキスト・エディタなどのコントロールでも,メニューからのアクションの開始に使用できるポップアップ・メニュー・コントロールが提供されます。メニューの使用に関する一般情報については,表 2-2 を参照してください。

ワークスペース・メニューを使用して,ワークスペースを管理できます。ワークスペース・メニューは,ポップアップ・メニューで,ウィンドウやフロント・パネルなどの管理に使用できます。ワークスペース・メニューについての詳細は,3.2.2.1 項を参照してください。

CDE Window List を使用すると,複数のワークスペースでオープンしている多数のウィンドウの中からアプリケーション・ウィンドウを検索することができます。3.2.2.2 項で,CDE Window List の使用方法について説明します。

この節では,次の事項について説明します。

3.2.1    サブパネル・メニューの使用方法

サブパネル・メニューを使用して,フロント・パネルの他のツール,またはコントロールにアクセスできます。また,フロント・パネルの各サブパネルには「アイコンのインストール」コントロールが提供されており,他のツールをサブパネルに追加するために使用できます。

省略時の設定では,フロント・パネルからサブパネルを使用できるのは,個人アプリケーション,個人プリンタ,およびヘルプ・マネージャの 3 つです。サブパネルをオープンするには,コントロール・アイコン上部の矢印の部分をマウス・ボタン 1 でクリックします。root としてログインしている場合には,フロント・パネルの SysMan Station コントロールの上にある SysMan Applications サブパネルにもアクセスすることができます。

次の各項では,省略時の設定のサブパネルについて説明します。サブパネルの使用方法およびカスタマイズについては,『Common Desktop Environment: ユーザーズ・ガイド』 を参照してください。

3.2.1.1    個人アプリケーションのサブパネル

個人アプリケーションのサブパネルには,使用頻度の高いアプリケーションが入っています。これは,フロント・パネルにあるテキスト・エディタ・コントロールの上に配置されています。図 3-3 に,個人アプリケーションのサブパネルを示します。

図 3-3:  CDE 個人アプリケーションのサブパネル

このサブパネルでは,次のメニュー項目が使用できます。

3.2.1.2    個人プリンタのサブパネル

個人プリンタのサブパネルには,省略時設定のプリンタがリストされます。これは,フロント・パネルのプリンタ・コントロールの上に配置されています。図 3-4 に,個人プリンタのサブパネルを示します。

図 3-4:  CDE 個人プリンタのサブパネル

メニュー項目には,次のものがあります。

3.2.1.3    ヘルプのサブパネル

ヘルプ・マネージャのサブパネルには,他に使用できるヘルプ・ボリュームがリストされます。これは,フロント・パネルのヘルプ・マネージャのコントロールの上に配置されています。図 3-5 に,ヘルプ・マネージャのサブパネルを示します。

図 3-5:  CDE ヘルプ・マネージャのサブパネル

メニュー項目には,次のものがあります。

3.2.1.4    SysMan Applications サブパネル

SysMan Applications サブパネルには,System Management Applications がリストされます。これは,フロント・パネルの SysMan Station コントロールの上にあります。フロント・パネル上の SysMan Applications サブパネルと SysMan Station コントロールはどちらも,root としてログインしている場合にのみ使用できます。

図 3-6 に,SysMan Applications サブパネルを示します。

図 3-6:  SysMan Applications サブパネル

メニュー項目には,次のものがあります。

3.2.2    ワークスペースの使用方法

ワークスペースは,作業をカテゴリ別に分けて処理するための手段を提供します。フロント・パネル上のワークスペース・スイッチを使用することにより,作業するワークスペースを切り替えることができます。省略時の設定では,ワークスペース・スイッチとして,「ワークスペース 1」〜「ワークスペース 4」の 4 つのボタンが用意されています。ワークスペース・ボタンをクリックすることにより,ワークスペース間を移動することができます。図 3-7 に,ワークスペース・スイッチを示します。

図 3-7:  CDE フロント・パネルのワークスペース・スイッチ

各ワークスペースには,フロント・パネルが提供されます。これにより,アプリケーションを検索したり,各ワークスペースを必要に応じてカスタマイズすることができます。また,ワークスペースの名前を変更することもできます。 ワークスペースの名前を変更するには,次の手順に従ってください。

  1. 変更したいワークスペースのボタンをクリックします。選択したワークスペースが表示されます。

  2. ワークスペース・ボタンを再びクリックします。これにより,ボタンが,入力テキスト・フィールドに変更されます。

  3. 新しい名前をそのテキスト・フィールドでタイプして,リターン・キーを押します。

ワークスペース・ボタンのポップアップ・メニューを使用して,ワークスペースの名前の変更,ワークスペースの追加,ワークスペースの削除を行うことができます。ワークスペース・ボタンのポップアップ・メニューを使用するには,次の手順に従ってください。

  1. 変更したいワークスペースのボタンをポイントして,マウス・ボタン 3 を押します。図 3-8 のようなポップアップ・メニューが表示されます。

    図 3-8:  ワークスペース・ボタンのポップアップ・メニュー

  2. ポップアップ・メニューから,目的のオプションを選択します。

ワークスペースを追加すると,そのワークスペースには「新規」というラベルが表示されます。上記のどちらの方法を使用しても,ワークスペース名を変更できます。

ウィンドウを含んでいるワークスペースを削除すると,それらのウィンドウはすぐ次のワークスペースに移動されます。削除するワークスペースが最後のワークスペースで,ウィンドウが含まれている場合は,そのワークスペースを削除すると,すべてのウィンドウが最初のワークスペース (省略時の設定では「ワークスペース 1」と表示されている) に移動します。

3.2.2.1    ワークスぺース・メニューの使用方法

CDE では,ワークスペース・メニューを提供しています。ワークスペース・メニューは,各ワークスペースを管理するための項目が入っているポップアップ・メニューです。ワークスペース・メニューをオープンするには,スクリーン上の任意のブランク領域をポイントして,マウス・ボタン 3 をクリックします。図 3-9 に,CDE ワークスペース・メニューを示します。

図 3-9:  CDE ワークスペース・メニュー

ワークスーペース・メニューを使用して,次の処理を実行できます。

項目を追加または削除することにより,ワークスペース・メニューをカスタマイズできます。詳細については,『Common Desktop Environment: ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

3.2.2.2    CDE Window List の使用

CDE では,すべてのワークスペースにあるアプリケーション・ウィンドウを検索する際に役立つウィンドウ・リストを提供しています。次のいずれかの方法で,CDE Window List をオープンします。

図 3-10 に,CDE Window List を示します。

図 3-10:  CDE Window List

CDE Window List を使用すると,複数のワークスペースでオープンしている多数のウィンドウの中からアプリケーション・ウィンドウを迅速に検索することができます。CDE Window List を使用すると,次のような処理を行うことができます。

CDE Window List の使用方法についての詳細は,オンライン・ヘルプ・ボリュームを参照してください。オンライン・ヘルプ・ボリュームにアクセスするには,CDE Window List を起動して,「ヘルプ」ボタンをクリックします。