8    旧式のハードウェアの管理

この章では,次のような特定の旧式のハードウェア・デバイスまたはオプションの追加および構成の手順について説明します。

8.1    PCMCIA (PC カード) のサポート

オーナーズ・マニュアルおよびオペレーティング・システムの各リリースの『QuickSpecs』に記載されているとおり,一部のプロセッサでは,PCMCIA (PC カード) が使用できます。動作が確認されているカードは少数ですが,標準規格に準拠するカードであれば動作する可能性があります。

PCMCIA カードの構成に必要な手順は,次のとおりです。

  1. ハードウェアとオペレーティング・システムが,PCMCIA (PC カード) をサポートしていることを確認します。他に必要な構成手順がないか,アダプタのベンダやカードのベンダからの情報を参照してください。不明な点があれば,各ベンダにお問い合わせください。

  2. バス・タイプ (ISA または EISA) を調べます。この手順により,使用しているコンソールの構成方法が決まります。

  3. アダプタを取り付けて,適切なコンソール・コマンドを使用して構成します。

  4. カスタム・カーネルを構成し,デバイス特殊ファイルを作成します。オペレーティング・システムの初期のインストレーションおよび構成時にアダプタが取り付けられていて,カードが挿入されている場合は,この手順が不要なこともあります。この場合は,オペレーティング・システムがカードを検出し,カーネル構成エントリとデバイス特殊ファイルを作成します。カーネルの構成については『システム管理ガイド』を参照し,デバイス特殊ファイルについては 1.5 節を参照してください。

  5. /etc/remote ファイルをアップデートします。

  6. 必要に応じて,カードの挿入およびイジェクトを行います。

カードの構成についての情報や,特定のリリースでの制約事項については, pcmcia(7) を参照してください。モデム接続については, modem(7) および『ネットワーク管理ガイド:接続編』を参照してください。

8.2    CalComp グラフィックス・タブレット

オーナーズ・マニュアルおよび Tru64 UNIX オペレーティング・システムの各リリースの『QuickSpecs』に記載されているとおり,一部のプロセッサでは,CalComp DrawingBoard III タブレットが使用できます。XserverXinput 拡張をサポートしている他の入力デバイスも,同様の構成で動作します。このタブレットのソフトウェアをシステムにインストールする際には,システム・マウスをエミュレートするようにタブレットを構成できます。

タブレットを構成する手順は,次のとおりです。

  1. /usr/var/X11/Xserver.conf ファイルに次のような行があることを確認します。

    input <
    <_dec_xi_db3  lib_dec_xi_db3.so  XiDb3Init /dev/tty00:1:12:12:16:\
    1:8:1000:1:1 >
    >
    

    指定されている tty は,タブレットが接続されているシリアル・ポート (COMM) です。

  2. 次の構文を使って,このファイルの最後の行に,タブレットの設定を指定します。

    device:mode:tabletWidth:tabletHeight:numbtns:corePointer:mouseScale:\
    resolution:Xincrement:Yincrement
    

    データ・フィールドの説明については, calcomp(7) を参照してください。

  3. タブレットをシステムに接続し,電源を入れます。

  4. Xinput 拡張がタブレットを認識するように,次のコマンドを入力して Xserver を再スタートします。

    # /usr/sbin/shutdown -r +5 \
    "Turning on support for the Calcomp Drawingboard III tablet" 
    

    再スタートが完了すると,タブレットは Xserver 内に構成され,使用できるようになっています。

詳細および使用上の制約事項については, calcomp(7) を参照してください。

8.3    CI および HSC ハードウェアのサポート

CI (コンピュータ・インターコネクト) バスは,プロセッサと HSC (階層性記憶域制御装置) をコンピュータ・ルーム環境で接続する高速デュアルパス・バスです。HSC は組み込みのインテリジェント大容量記憶域制御装置の I/O サブシステムで,CI バスに接続された複数のホスト・ノードからディスクとテープにアクセスできるようにします。

注意

Tru64 UNIX の実装には以下の制約があります。

Tru64 UNIX は,CI ポート・アダプタおよび HSC 用のシステム通信アーキテクチャ (SCA) をサポートします。SCA はポートおよびクラス・ドライバをサポートし,TMSCP (tms) と MSCP (ra) デバイスの処理方法を標準化します。SCA は各機能を別々のアーキテクチャ層に分散し,ある層でのソフトウェアの変更が他の層に与える影響を最小限に抑えます。

8.3.1    ハードウェアの設定,制限事項,およびリビジョン・レベル

ハードウェアの物理的なコンポーネントと設定については HSC ハードウェア・マニュアルを,また,プロセッサおよびサポートされるデバイスについては該当するハードウェア・マニュアルを参照してください。CI アダプタ付きのプロセッサのみが HSC 構成をサポートします。

HSC ハードウェアを設定する場合には,HSC パラメータの取得または設定,リモート・システム間の接続の監視,ディスクまたはテープの状態の確認などを行うコマンドを実行するために,HSC に端末を接続します。

CI バス上の最大ホスト数は 16 です。CI バス上のホスト番号は 0 〜 15 の番号でなければなりません。

注意

特に重要なパラメータは,システム ID およびシステム名です。スター・カプラ上のいずれのシステム ID またはノード名も重複してはなりません。

8.3.2    ソフトウェアのインストレーションおよび制約

インストール用ソフトウェアはシステムのコンポーネントの確認と構成に役立ちます。使用するプロセッサを対象とするインストレーションの基本的な手順をよく理解した上で,インストレーションを開始してください。

Tru64 UNIX ソフトウェアのインストール時にアクセス可能な MSCP (ra) ディスク・デバイスは,それぞれのユニット・プラグ番号によって,次のように明確に識別されなければなりません。

8.3.3    構成ファイルのエントリ

インストレーション・ソフトウェアにより,HSC のコンポーネントは必ずカーネル内に構成されます。また,/usr/sys/conf/NAME システム構成ファイルに記述されます。NAME には大文字でシステムを指定します。

システム管理ガイド』に,CI あるいは HSC 構成に対応する次のエントリについての説明があります。

8.3.4    HSC 制御装置および HSC ディスクのブート

Tru64 UNIX ソフトウェアは,DEC 7000 プロセッサおよび DEC 10000 プロセッサ上での HSC ディスクのブートをサポートします。 HSC 制御装置が故障した場合は,HSC 制御装置に接続されているディスクにはアクセスできません。このようなディスクにアクセスすると,アクセスしたシステムは HSC のリブートが完了するまで中断したままになります。HSC ディスクをブートする方法についての詳細は,プロセッサ・ハードウェア付属のマニュアルを参照してください。

8.3.5    複数のホスト間でのディスク/テープ・ユニットの共用

HSC は複数のホスト間で共用することができますが,複数の Tru64 UNIX システムが同じパーティションに同時に書き込むことを防止するためのソフトウェア・インターロック・メカニズムは備えていません。そのため,次の制限事項があります。

CI バス上のホスト間のディスク・ユニット所有権を調整する必要があります。たとえば,各ホストにディスク・ユニット番号を範囲指定して割り当てます。ディスク・アクセスを排他的ホスト・システムに制限するように HSC 制御装置に指示することもできます。この設定により,CI バス上の他のホストが誤ってディスクにアクセスするのを防ぐことができます。詳細については, radisk(8) を参照してください。特に -e オプションおよび -n オプションを参照してください。

HSC 制御装置に接続されるテープ・ドライブは共用することができます。この機能によってテープ・ドライブの使用範囲を拡大することができます。アクセス・メカニズムにより,同時アクセスではなくシリアルなドライブの共用が可能になります。