1    基本操作

この章では,Tru64 UNIX オペレーティング・システムを使用するための基本的な操作について説明します。 この章を読む前に,お使いのシステムのハードウェア構成を理解しておいてください。

UNIX オペレーティング・システムあるいはその他のオペレーティング・システムの操作についてよくご存知のユーザは,この章には簡単に目を通すだけでもよいでしょう。 本書では,コマンド行からオペレーティング・システムを使用する方法について説明します。 本オペレーティング・システムでは,多数のグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) 機能が提供されています。 これらの機能については,別のマニュアルで説明しています。

この章では次の操作について説明します。

Tru64 UNIX オペレーティング・システムの性能を十分に活用するためには,テキスト編集プログラムを使用した,ファイルの作成および修正方法を理解しておく必要があります。 テキスト・エディタの概要については第 2 章を参照してください。 また,vi および ed テキスト・エディタについては,それぞれ 付録 A および 付録 B を参照してください。 テキスト・エディタの使用方法をマスターすれば,オペレーティング・システムを操作するために必要な基本的なスキルを身につけたことになります。

注意

システムでオプションのエンハンスト・セキュリティを実行している場合は,ログインおよびパスワードの手順が本書で説明している手順と異なることがあります。 エンハンスト・セキュリティについての詳細は,システム管理者にお問い合わせいただくかあるいは 『セキュリティ管理ガイド』を参照してください。

1.1    ログイン

Tru64 UNIX オペレーティング・システムを使用するためには,オペレーティング・システムがインストールされ起動されている状態で,まずシステムにログインしなければなりません。 システムにログインすることにより,そのユーザは有効なシステム・ユーザとして識別され,そのユーザのための作業環境が生成されます。

ログインするためには,システム管理者からユーザ名とパスワードを取得しておく必要があります。 通常,ユーザ名にはユーザの姓またはイニシャルを使用します。 システムはユーザ名によって,そのユーザが権限を与えられたユーザであると識別します。 パスワードには,ユーザには覚えやすく他の人には推測しにくい文字列を使用します。 システムはパスワードによってユーザの身元を確認します。

ユーザ名とパスワードは,システムへのアクセスを可能にする電子的なキーと考えることもできます。 ログイン・プロセスでユーザ名とパスワードを入力すると,そのユーザは権限を与えられたユーザであると認識されます。

パスワードは,他のユーザによるデータの無断使用を防止するために用意されており,システム・ セキュリティ上非常に重要なものです。 パスワードについての詳細は,1.5.2 項を参照してください。

ログイン・プロセスにおける最初の処理は,ログイン・プロンプトを表示することです。 システムが起動していて,ワークステーションがオンになっている場合は,次のログイン・プロンプトが画面に表示されます。

login:
 

システムによっては,Return キーを 2,3 回押さなければログイン・プロンプトが表示されないものもあります。

ログイン・プロンプトの画面は使用しているシステムによって多少異なるかもしれません。 たとえば,ログイン・プロンプトのほかに,システム名とオペレーティング・システムのバージョン番号が表示される場合もあります。

システムにログインするには,次の操作を実行します。

  1. ログイン・プロンプトに対してユーザ名を入力する。

    入力を間違えた場合は,削除キーまたはバックスペース・キーを使用して,誤りを訂正してください。

    たとえば,ユーザ名が larry の場合は,次のように入力します。

    login: larry
     
    

    次にパスワード・プロンプトが表示されます。

    login: larry
    Password:
     
    

  2. パスワード・プロンプトに対してパスワードを入力する。

    セキュリティ上の理由から,入力したパスワードは画面には表示されません。

    パスワードを間違えた場合は,その場で Return キーを押してください。 パスワードが間違っている場合,システムは警告メッセージを表示して,もう一度ユーザ名とパスワードの入力を求めます。 システムによっては,パスワードの入力中に削除キーやバックスペース・キーを使用して,間違いを修正することができます。

    ユーザ名とパスワードを正しく入力すると,システムはシェル・プロンプトを表示します。 通常,シェル・プロンプトにはドル記号 ($) またはパーセント記号 (%) が使用されます。 使用するシステムによっては,上記以外のシェル・プロンプトが使用される場合もあります。

ユーザ名およびパスワードを正しく入力したあと,システムは次のような情報を出力します。

ログインが成功するとシェル・プロンプトが表示され,ユーザはシステムに処理を実行させることができます。 シェル・プロンプトは,シェルが実行状態にあるというユーザへの合図です。 シェルは,ユーザが入力するコマンドを解釈し,ユーザが要求したプログラムを実行して,その結果を画面に送るためのプログラムです。 コマンドとシェル・プロンプトについての詳細は,1.3 節および第 7 章を参照してください。

ログインすると,ユーザは自動的にログイン・ディレクトリに入ります。 このディレクトリは,ユーザのホーム・ディレクトリとも呼ばれます。 ログイン・ディレクトリについては第 2 章を参照してください。

注意

ログインした状態でシステムの前を離れないようにしてください。 誰かがターミナルを使用してあなたの ID でプログラムを実行し,被害を受ける可能性があります。

シェル・プロンプトが表示されない場合,ユーザはログインに成功していません。 たとえば,ユーザ名かパスワードが正しく入力されていない可能性があります。 再度ログインを試みてください。 ユーザ名とパスワードを正しく入力してもログインできない場合は,システム管理者に問い合わせてください。 システムによっては,セキュリティ上の理由から,何回か連続して入力間違いをすると,システムがすべてのログイン試行を拒否します。 ログインしようとして拒否された場合は,セキュリティ上の理由から,次のようなメッセージが表示されるだけです。

Login incorrect

注意

システムの設定によっては,ユーザにパスワードの入力を要求しない場合もあれば,システム管理者がすべての新規ユーザに対して共通のパスワードを設定している場合もあります。 このような場合には,セキュリティを確保にするために,ユーザ自身のパスワードを設定してください。 パスワードの設定および変更方法については,1.5 節を参照してください。

多くのシステムでは,ユーザがログインするとウェルカム・メッセージを表示します。 典型的なログイン画面の例を次に示します。例 1-1は,実際に表示される画面ですが,システムによって異なる場合があります。

例 1-1:  典型的なログイン画面

Welcome to the Operating System [1]
Fri Dec 7 09:48:25 EDT 19nn       [2]
 
Messages from the administrator   [3]
 
You have mail                        [4]
$
 

上記のウェルカム・メッセージには次の情報が含まれています。

  1. 挨拶の言葉 [例に戻る]

  2. 前回のログイン日時

    ログインするときはいつもこの情報に注意し,表示されている時間にログインした覚えがない場合はシステム管理者に報告してください。 この場合,誰かが不正にシステムに入り込んだ可能性があります。 [例に戻る]

  3. 管理者からのメッセージ

    システム管理者は,各ユーザがログインするたびに受け取るメッセージを設定していることがあります。 これらのメッセージには,システムのアップデート計画や,オペレーションのスケジュール,あるいはその他の一般的な情報が含まれています。 これらのメッセージは今日のメッセージ (message of the day) と呼ばれ,/etc/motd ファイルに格納されています。 このファイルを表示することにより,いつでもこれらのメッセージを参照することができます。 [例に戻る]

  4. 未読のメール・メッセージの有無

    メールは,電子メールを送受信するためのプログラムです。 未読のメール・メッセージがある場合,システムは "You have mail." というメッセージを表示します。 メール・メッセージがなければ,このメッセージは表示されません。 [例に戻る]

1.1.1    ログインの制限

特定の端末に対して認証ユーザ・リストが作成されていることがあります。 このリストにユーザ名が記述されていると,その端末ではログインすることができません。 この場合,システムは次のようなメッセージを表示します。

Not authorized for terminal access--see System Administrator
 

所定の回数ログインに失敗すると,その端末は使用できなくなります。 このセキュリティ機能は,特定の端末からのログインの失敗の回数に上限を設けることにより,不正なログインからシステムを保護します。

システム管理者が端末を明示的にロックすることもできます。 端末が無効あるいはロックされている場合,次のようなメッセージが表示されます。

Terminal is disabled -- see Account Administrator
 

ログインの失敗が所定の回数繰り返された場合,アカウントを無効にすることもできます。 端を無効にする機能と同じように,このセキュリティ機能は,ログインの失敗の回数に上限を設けることにより,不正なログインからシステムを保護します。 システム管理者が設定した有効期限を過ぎた場合にパスワードが自動的に無効になるように設定されている場合もあります。

アカウントがシステム管理者により明示的に無効にされている場合もあります。 この場合,次のようなメッセージが表示されます。

Account is disabled -- see Account Administrator
 

ログイン時にこれらのいずれかのメッセージが表示された場合は,システム管理者にお問い合わせください。 端末あるいはアカウントが無効にされている場合,再度ログインできるようにするためには,システム管理者による設定が必要になります。

1.2    ログアウト

必要な作業を終了したら,システムからログアウトしてください。 システムからログアウトすることによって,それまで使用していた作業環境は誰も使用できなくなります。 オペレーティング・システムは他のユーザがログインするまで,実行可能状態で待機します。

ログアウトするには,次の操作を実行します。

  1. シェル・プロンプトが表示されていることを確認する。

  2. Ctrl/D を押す。

    Ctrl/D が機能しない場合は,exit コマンドを入力します。

上記の操作を行うとシステムはログイン・プロンプトまたはログイン画面を表示します。 システムによっては,ログアウトしたことを示すメッセージを表示する場合もあります。

この時点で,別のユーザがログインすることができます。

1.3    コマンドの使用

オペレーティング・システム・コマンドは,Tru64 UNIX オペレーティング・システムでタスクを実行するためのプログラムです。 Tru64 UNIX オペレーティング・システムでは多くのコマンドが用意されており,以降の章および関連するリファレンス・ページに説明があります。

コマンドの入力は対話処理です。 ユーザがコマンドを入力すると,シェルがそのコマンドを解釈して,適切な応答をします。 つまり,システムはプログラムを実行するか,またはエラー・メッセージを表示します。

シェルはユーザが入力したコマンドをすべて読み取り,ユーザが何を要求しているかをオペレーティング・システムに伝えます。 つまり,シェルはコマンド・インタプリタです。

シェルは次の手順でコマンド・インタプリタとして機能します。

  1. シェルはシェル・プロンプトを表示し,コマンドが入力されるまで待機します。

  2. ユーザがコマンドを入力すると,シェルはそれを分析して,要求されたプログラムを検索します。

  3. シェルはそのプログラムを実行するようにシステムに要求するか,あるいはエラー・メッセージを返します。

  4. プログラムの実行が完了するとシェルに制御が戻り,シェルは再びシェル・プロンプトを表示します。

図 1-1 は,ユーザ,シェル,およびオペレーティング・システムの関係を示しています。 シェルはコマンドを解釈するためにユーザと対話し,コマンドの実行を要求するためにオペレーティング・システムと対話します。

図 1-1:  シェルによるユーザおよびオペレーティング・システムとの対話

Tru64 UNIX オペレーティング・システムは C シェル,および Bourne,Korn,および POSIX シェル の 4 種類のシェルをサポートします。 ユーザが最初にログインした際に使用するシェルは,システム管理者が設定します。 シェルについての詳細は,第 7 章を参照してください。

オペレーティング・システムを使用する場合,通常は,コマンド行のシェル・プロンプトの後にコマンドを入力します。 たとえば,現在の日付と時刻を表示するには,次のように入力します。

$ date
 

コマンドの入力中にタイプ・ミスをした場合は,削除キーまたはバックスペース・キーを使用して,間違ってタイプした文字を消し,再度タイプしてください。

コマンド名の後に入力する文字列を引数と呼びます。 引数は,コマンドがその処理を完了するために必要なデータを指定します。 たとえば man コマンドはオペレーティング・システムで使用できるコマンドについての情報を提供します。 man コマンドを使用して date コマンドについての詳細な情報を表示したい場合は,次のように入力します。

$ man date
 

コマンドには,コマンドの動作を明示的に指定するためのオプションが用意されています。 オプションはフラグとも呼ばれ,コマンド名のすぐ後にタイプします。 大部分のコマンドには数個のフラグが用意されています。 コマンドにフラグを指定する場合,引数はコマンド行のフラグの後にタイプします。

たとえば,man コマンドに -f フラグを付けると,指定したコマンドに関する説明を 1 行で表示します。 date コマンドの説明を 1 行で表示するためには,次のように入力します。

$ man -f date
 

コマンド実行中は実行しているコマンド (プログラム) に制御が移っているため,システムはシェル・プロンプトを表示しません。 コマンドが処理を完了すると,システムはシェル・プロンプトを表示します。 この時点でユーザは次のコマンドを入力することができます。

システムで用意されているコマンド以外に,自分専用のコマンドを作成することもできます。 新たなコマンドの作成方法については,7.10.1 項を参照してください。

1.4    コマンド実行の中止

コマンドを入力した後,そのコマンドの実行を中断したい場合は,Ctrl/C を入力してください。 Ctrl/C を入力すると,コマンドは処理を中止し,システムはシェル・プロンプトを表示します。 この時点で,別のコマンドを入力することができます。

コマンドの実行を中止した場合の結果はコマンドによって異なります。 実行中のコマンドを中止した場合の結果を見たい場合は,たとえばディレクトリ内のファイルをリストする ls -l コマンドや,画面にファイルを表示する cat filename コマンドを実行した後,Ctrl/C を入力してみてください。

1.5    パスワードの設定

ユーザ名は公開情報であり一般に変更しません。 それに対してパスワードは非公開の情報です。

多くの場合,システム・アカウントを作成する際に,システム管理者が新規ユーザに共通のパスワードを設定します。 システムによっては,この新規ユーザのパスワードは, 1 回のログインに対してのみ有効で,システムにアクセスして独自のパスワードを設定するために使用します。 システムに慣れたら,パスワードを変更して自分のアカウントを権限のないアクセスから保護してください。 また,権限のないアクセスからデータを保護するため,パスワードは定期的に変更してください。

パスワードの設定には passwd コマンドを使用します。 アカウントにパスワードが設定されていない場合には,passwdコマンドを使用してパスワードを設定します。 passwdコマンドについては,1.5.4 項を参照してください。 システムがネットワークに接続されている場合には,yppasswd コマンドを使用してパスワードの設定または変更を行います。 使用しているシステムにおける個々の手順については,システム管理者に問い合わせてください。

パスワードがどのように作成,発行,変更,無効化されるかを決定するために,システム管理者は次のようないくつかのオプションを選択できます。

ユーザによるパスワードの変更が認められていない場合,passwd コマンドを実行すると次のようなメッセージが表示されます。

Password request denied.
Reason: you do not have any password changing options.

この場合,システム管理者に連絡してパスワードの変更を依頼してください。

1.5.1    パスワードの期限

トラステッド・システムでは各パスワードに対して最短変更時間,有効期限,および存続期間を設定します。 最短変更時間が経過するまでパスワードは変更できません。 これにより,新しいパスワードを覚えなくていいように,パスワードの変更直後にパスワードを元に戻すことはできなくなります。 パスワードをあまりにも早く変更しようとすると,システムは次のメッセージで応答します。

Password cannot be changed.
Reason: minimum time between changes has not elapsed.

パスワードは有効期限になるまで有効です。 パスワードの有効期限が切れると,システムに再度ログインするためにはパスワードを変更しなければなりません。 パスワードの有効期限が近づくと,ログイン時にメッセージが表示されます。 そのメッセージが表示されたら,パスワードを変更する必要があります。 ログインしていないときにパスワードの有効期限が切れると,次のログイン時にログイン処理の一環としてパスワードを変更できます。

存続期間を超過した場合,アカウントは無効になります。 無効状態のアカウントにログインしようとすると,システムはメッセージを表示します。 この場合,システム管理者にアカウントを再度有効にするように頼まなければなりません。 また,次のログイン時にパスワードを変更しなければなりません。

1.5.2    パスワードに関するガイドライン

識別 (ユーザ名) および認証 (パスワード) の手順は,不正なアクセスからシステムを守るための最も重要なセキュリティ・ツールの 1 つです。 ログインが認められていないユーザがシステムにアクセスするためには,パスワードを不正に知って,端末に直接アクセスするか,ネットワークを介してリモート・アクセスする必要があるからです。

そのようなユーザにログインを許すと,そのユーザは密かにデータを盗みシステムを破壊できます。 アクセスを受けたアカウントのシステム上での権限が高いほど,侵入者がシステムに与えるダメージが大きくなります。

侵入者の動作はあなたのアカウントに対して反映され,責任は自分で負わなければならないことを覚えておいてください。 アカウントが危険にさらされないように保護するのは,ユーザの義務です。 以下に示すガイドラインに従って,自分のパスワードを保護してください。

1.5.3    ユーザによるパスワードの決定

パスワードの変更が認められている場合,ユーザがパスワードを自由に選択できるか,,あるいはシステムがパスワードを生成するかがアカウントに設定されています。 どちらに設定されているかによって,passwd を実行したときにシステムが起動するダイアログが決まります。 まず,システムは現在のパスワードを入力するように要求します。

Old password:

古いパスワードを入力します。 正しく入力すると,システムはパスワード変更の日時を表示します。

Last successful password change for user:
date and time
 
Last unsuccessful password change for user: date and time
 
 

これらの日時を必ず確認してください。 最後にパスワードを変更した日時を正確に記憶していない場合には,少なくとも時間が妥当かどうかだけでも確認してください。

システム管理者は,アカウントのパスワード・タイプを,以下の中からユーザに選ばせることができます。

次の例は,可能なオプションがすべて認められているときの入力要求を示します。

Do you want (choose one option only):
     1  pronounceable passwords generated for you
     2  a string of characters generated for you
     3  a string of letters generated for you
     4  to pick your password
 
 
Select ONE item by number:

「ユーザが決めたパスワード」を選択した場合,入力ミスを防ぐために,システムは新しいパスワードを 2 回入力するように要求します。

1.5.3.1    システムが生成するパスワードの選択

次の例は,システムが生成する発音可能なパスワードに関するダイアログを示します。

Generating random pronounceable password for user.
 
The password, along with the hyphenated version, is shown.
 
Hit <RETURN> or <ENTER> until you like the choice.
 
When you have chosen the password you want, type it in.
 
Note: Type your interupt character or "quit" to abort at any time.
 
 
Password: saglemot     Hyphenation: sag-le-mot
 
Enter password:
 
 

ハイフンで区切られたパスワードはパスワードをより容易に記憶できるように,パスワードの発音を手助けするために表示されています。 このハイフンは入力しません。 最初のパスワードが気に入らない場合,Return を押して別のパスワードを表示します。 気に入ったパスワードが生成されたら,それを入力します。

パスワードを変更しないことにした場合,quitを入力するか,または中断文字 (通常は Ctrl/C) を使用します。 システムは次のメッセージを表示します。

Password cannot be changed.  Reason: user stopped program.
 

また,システムは,最後にパスワードの変更に失敗した日時もアップデートします。

他のシステム生成パスワード・タイプを選択したときのダイアログも同様です。

1.5.3.2    ユーザ選択パスワード

パスワードの選定の際には,次のガイドラインを参考にしてください。

多くのシステムでは,パスワードは,頻繁にであれ稀にであれ,いつでも変更することができます。 ただし,システム・セキュリティを保護するため,パスワードを変更できる頻度,設定したパスワードの有効期間,あるいは変更の内容についてシステム管理者が制限を設けることがあります。 パスワードに対する代表的な制限としては,次のようなものがあります。

パスワードの制限についての詳細は,システム管理者に問い合わせてください。 システムにインストールされてるか有効になっているセキュリティおよびアクセス制御にはいくつかのレベルがあります。 アクセス制御についての詳しい説明は『セキュリティ管理ガイド』を参照してください。

1.5.4    パスワード設定の手順

パスワードを設定または変更するための手順は次のとおりです。

  1. passwd コマンドを入力する。

    $ passwd
     
    

    passwd コマンドを入力すると,システムは次のようなメッセージを表示して,旧パスワードを入力するよう求めます。

    Changing password for username
    Old password:
     
    

    旧パスワードが設定されていない場合,システムはこのプロンプトを表示しません。 その場合は手順 EXPLICIT_ANCHOR に進んでください。

  2. 旧パスワードを入力する。

    セキュリティ上の理由から,パスワードをタイプしても画面には表示されません。

    旧パスワードを確認すると,システムは新しいパスワードの入力を促すプロンプトを表示します。

    New password:
     
    

  3. このプロンプトの後に新しいパスワードを入力する。

    入力した新しいパスワードは画面には表示されません。

    最後に,新しいパスワードの確認のために,システムは新しいパスワードの再入力を促すプロンプトを表示します。

    Retype new password:
     
    

  4. 再度新しいパスワードを入力する。

    このとき,新しいパスワードは画面には表示されません。 シェル・プロンプトが再び画面に表示されると,新しいパスワードが有効になります。

パスワードを変更しようとしたときに新しいパスワードが適切でない場合,そのパスワードの具体的な問題点およびそのシステムに設定されている制限に関するメッセージが表示されます。 表示されるメッセージおよび詳しさのレベルは,システムで有効になっているセキュリティおよびアクセス制御メカニズムによって決まります。

注意

パスワードを設定すると,ログイン時には常にそのパスワードが必要になりますので,設定したパスワードは正しく記憶するようにしてください。 万一設定したパスワードを忘れた場合は,システム管理者にご相談ください。

1.6    ヘルプの利用

本書では,コマンド行からのコマンドの入力および実行方法について説明します。 グラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) を使用している場合は,ウィンドウ・マネージャのヘルプを参照するか,またはシステム管理者に問い合わせてください。

作業に必要な基本的なオペレーティング・システム・コマンドのほとんどについては,本書で説明しています。 本書で説明しているコマンドおよびその他のコマンドの詳細については,リファレンス・ページを参照してください。 リファレンス・ページは次の 3 種類の形態で提供されています。

注意

日本語リファレンス・ページについてはオンラインでのみ提供しています。

どの形式のリファレンス・ページがシステムにインストールされているかは,システム管理者に問い合わせてください。 ハードコピーあるいは HTML 形式のリファレンス・ページを利用できない場合は,次のいずれかのコマンドを使用して,コマンドに関する情報をオンラインで入手することができます。

次の各項でこれらの機能について説明します。

1.6.1    オンライン・リファレンス・ページの表示と印刷 (man コマンド)

オンライン・リファレンス・ページは,オペレーティング・システムで使用できるコマンドについての詳細な情報を提供します。 リファレンス・ページを参照するためには,man コマンドを使用します。例 1-2では,date コマンドのリファレンス・ページを参照しています。 実際の表示内容はご使用のシステムによって異なる場合があります。

例 1-2:  date コマンドのリファレンス・ページ

$ man date
date(1)                                                               date(1)
 
NAME
 
  date - Displays or sets the date
 
SYNOPSIS
 
  Without Superuser Authority - Displays the Date
 
  date [-u] [+field_descriptor ...]
 
  With Superuser Authority - Sets the Date
 
  date [-nu] [MMddhhmm.ssyy | alternate_date_format] [+field_descriptor ...]
 
  Using XPG4-UNIX - Sets or Displays the Date
 
  date [-u] mmddHHMM[yy]
 
  date [-u] [+field_descriptor ...]
 
  Using the Century Field Provided by HP - Sets the Date
 
  date mmddHHMM[[cc]yy][.ss]
  date [[cc]yy]mmddHHMM[.ss]
  date mmddHHMM[.ss[[cc]yy]]
 
STANDARDS
 
  Interfaces documented on this reference page conform to industry standards
 
  as follows:
 
  date:  XPG4, XPG4-UNIX
 
  Refer to the standards(5) reference page for more information about indus-
  try standards and associated tags.
--More--(6%)
 

ページの最下行に表示される --More--(6%) は,リファレンス・ページの 6% が現在表示されていることを示しています。 次の画面を表示させるには,スペース・バーを押してください。 次の 1 行を表示させるには Return キーを押します。 また,リファレンス・ページの表示を終了してシェル・プロンプトに戻るためには q と入力してください。

リファレンス・ページを印刷する場合は,次のコマンド構文を使用します。

man manpage | lpr -Pprinter_name

たとえば,date コマンドのリファレンス・ページを特定のプリンタに出力する場合は,次のように入力します。

$ man date | lpr -Pprinter_name

このコマンドを実行すると,date コマンドのリファレンス・ページがプリント・キュー printer_name に登録されます。 lpr コマンドについての詳細は,3.3 節を参照してください。

コマンドについての説明を 1 行で表示させるには,man -f コマンドを使用します。 たとえば who コマンドの簡単な説明を表示させるには,次のように入力します。

$ man -f who
who (1)    - Identifies users currently logged in
$
 

man コマンドとそのオプションに関する詳細な情報が必要な場合は,次のように入力すると,完全なリファレンス・ページを表示させることができます。

$ man man
 

1.6.2    キーワードを使用したコマンドの検索

apropos コマンドと man -k コマンドは,コマンド名を忘れた場合に役立つツールです。

注意

apropos コマンドおよび man -k コマンドは,whatis データベースにアクセスします。 このデータベースは,システム管理者がオペレーティング・システムをインストールしたときに省略時の whatis データベースをロードしている場合,または,catman コマンドを使用して whatis データベースを作成している場合にのみ利用可能です。

apropos コマンドと man -k コマンドはまったく同じように機能します。 いずれのコマンドも,コマンドに関する記述をキーワードとして指定すると,それらのキーワードを含むすべてのリファレンス・ページをリストします。

次の例に示すように,キーワードが 2 ワード以上の場合は,キーワードを一重引用符 (' ') または二重引用符 (" ") で囲みます。 キーワードが 1 ワードの場合には,引用符で囲む必要はありません。

たとえば,システムにログインしているユーザを表示するためのコマンド名を思い出せない場合には,次のいずれかのコマンドを入力すると,ログインしているユーザ名の表示に関するすべてのリファレンス・ページの名前と説明が表示されます。

$ apropos "logged in"
 

あるいは

$ man -k 'logged in'
 

上記のコマンドを入力するとシステムは次のような表示を出力します。

rusers (1) - Displays a list of users who are logged in to a remote machine
rwho (1)   - Shows which users are logged in to hosts on the local network.
who (1)    - Identifies users currently logged in

注意

上記の例でカッコで囲まれた番号は,リファレンス・ページのセクション番号を示します。 リファレンス・ページ・ファイルの構造についての説明は, man(1) リファレンス・ページを参照してください。

上記の出力から,rwhorusers および who コマンドを使用することによりシステムにログインしているユーザを表示できることがわかります。 man コマンドを使用すると,これらのコマンドの使用方法を調べることができます。