13    リモート・ホストでの作業

この章では,次の作業を可能にするコマンドの使用方法について説明します。

注意

すべてのリモート・ログインは,リモート・ホスト上のセキュリティ機能の影響を受けます。 リモート・ホストにログインできない場合は,システム管理者に問い合わせてください。

これらのコマンドを使用する前に,正確なホスト名や,リモート・ホストへのアクセスが現在可能であるかどうかを調べる必要があります。 第 10 章で説明している fingerwhorwhoruptime,および ping コマンドを使用して,これらの情報を取得してください。

13.1    rlogin を使用したリモート・ホストへのログイン

rlogin を使用して,リモート・ホストにログインできます。 コマンドの構文は次のとおりです。

rlogin [-luser ] host_name

-l オプションを使用すると,自分のローカル・ユーザ名以外のリモート・ユーザ名を指定できます。 host_name 変数には,リモート・ホストを指定します。

次に,ローカル・ホストと同じログイン名があるリモート・ホスト boston にログインする手順を示します。

  1. リモート・ホスト名を指定して,rlogin コマンドを入力する。

    次に例を示します。

    % rlogin boston
    Password:
     
    

  2. パスワードを入力する。

    システム・プロンプトが表示されると,リモート・ホストにログインできたので,コマンドを入力することができます。

  3. 接続をクローズしてローカル・ホストに戻るには,Ctrl/D を押す。

ローカル・ホストとはログイン名が異なるリモート・ホスト上にアカウントがある場合は,次の手順に示すように,-l オプションを使用して,リモート・ホストにログインしなければなりません。

  1. リモート・ログイン名とリモート・ホスト名を指定して,rlogin -l コマンドを入力する。

    次に例を示します。

    % rlogin -l celtic boston
    Password:
     
    

  2. ログイン名 celtic 用のパスワードを入力する。

    システム・プロンプトが表示されると,リモート・ホストにログインできたので,コマンドを入力することができます。

  3. 接続をクローズしてローカル・ホストに戻るには,Ctrl/D を押す。

次の場合には,rlogin はパスワードの入力を求めません。

rlogin についての詳細は, rlogin(1) リファレンス・ページを参照してください。

13.2    rsh を使用したリモート・ホスト上でのコマンドの実行

rsh コマンドを使用すると,ログインしなくても,UNIX ベースのリモート・ホスト上で 1 つのコマンドを実行することができます。 複数のコマンドを続けて実行する必要がある場合は,rlogin または telnet を使用して,リモート・ホストにログインしなければなりません。

rsh コマンドの構文は次のとおりです。

rsh [-l user] host_name command

-l オプションを使用すると,ログイン名 user がローカル・ホストとは異なるリモート・ホストにログインすることができます。 -l オプションを指定しなければ,rsh は,ローカル・ホストとリモート・ホストのログイン名が同じであるとみなします。 host_name 変数には,リモート・ホスト名を指定します。 command 変数には,実行するコマンドを指定します。

注意

リモートで実行するコマンドを指定しない場合,rsh はリモート・ホストへのログイン情報の入力を求めます。

rsh を使用するには,次に示す条件のどちらかがあてはまらなければなりません。

次の例では,rsh は,リモート・ホスト上のファイルをローカル・ホスト上のファイルに追加します。 ホスト remhost2 上のリモート・ファイル remfile2 は,ローカル・ファイル locfile に追加されます。

% rsh remhost2 cat remfile2 >> locfile
 

13.3    telnet を使用したリモート・ホストへのログイン

telnet コマンドを使用して,リモート・ホストにログインすることができます。 telnet コマンドは Telnet プロトコルをインプリメントしています。

telnet を使用すると,次の処理を行うことができます。

telnet コマンドの構文は次のとおりです。

telnet [ host_name [ port ] ]

host_name 変数には,リモート・ホストを指定します。 ホスト名を省略した場合は,Telnet ユーティリティの起動後に,open サブコマンドを使用して,接続を確立することができます。例 13-1 に,telnet コマンドを使用してリモート・ホスト star にログインし,telnet サブコマンドの status を使用し,接続を終了する手順を示します。

port を指定しない場合,Telnet プロトコルは,省略時のポートで Telnet サーバと接続しようとします。

例 13-1:  telnet コマンドの使用

% telnet star [1]
Trying 16.69.224.1... [2]
Connected to star.milkyway.galaxy.com. [3]
Escape character is '^]'.
(star.milkyway.galaxy.com) (ttyra) [4]
login: username [4] [5]
Password: [6] [7]
% ^] [8]
telnet> status [8] [9]
Connected to star.milkyway.galaxy.com. [10]
Operating in single character mode
Catching signals locally
Remote character echo
Local flow control
Escape character is '^]'.
 [11]
% ^D [12]
Connection closed by foreign host. [13]
% telnet star [1] [14]
Trying 16.69.224.1...
Connected to star.milkyway.galaxy.com.
Escape character is '^]'.
(star.milkyway.galaxy.com) (ttyra)
login: username
Password:
% ^] [8]
telnet> q [15]
Connection closed. [16]

  1. host_namestor を指定して telnet コマンドを入力しています。 省略時のポートが使用されます。 [例に戻る]

  2. telnet ユーティリティは,接続使用としているアドレスを認識しています。 [例に戻る]

  3. telnet ユーティリティは接続を完了し,接続したホストを認識しています。 [例に戻る]

  4. リモート・ホスト・システムは自分自身を認識しており,ユーザ・ログインのためのプロンプトを表示しています。 [例に戻る]

  5. そのホスト・システムにおけるユーザ名が入力されています。 [例に戻る]

  6. リモート・システムは,ユーザ・パスワードのためのプロンプトを表示しています。 [例に戻る]

  7. そのホスト・システムにおけるユーザ・パスワードを入力しています。 セキュリティ上の理由で,入力したパスワードは画面には表示されません。 [例に戻る]

  8. 省略時のエスケープ・シーケンス Ctrl/] が押され,telnet サブコマンド・プロンプト telnet> が表示されています。 [例に戻る]

  9. プロンプトに対して status サブコマンドが入力されています。 [例に戻る]

  10. 何行かの状態情報が表示されています。 表示される内容はシステムの構成によって異なります。 [例に戻る]

  11. Return キーを押すとリモート・ホスト・プロンプトが表示されます。 [例に戻る]

  12. ホストのプロンプトに Ctrl/D を入力し,Telnet セッションを終了させています。 [例に戻る]

  13. リモート・ホストによって接続がクローズされています。 [例に戻る]

  14. 接続とログインが繰り返されています。 [例に戻る]

  15. telnet> サブコマンド・プロンプトに q サブコマンドが入力され,Telnet セッションが終了しています。 Ctrl/D を使用することもできます。 [例に戻る]

  16. ローカルの telnet ユーティリティは接続をクローズしています。 [例に戻る]

引数を指定しないで telnet コマンドを入力すると,telnet> プロンプトで示される telnet サブコマンド・モードにアクセスすることができます。

telnet サブコマンドについては,表 13-1 で説明します。 サブコマンドを入力する前には,エスケープ・シーケンス Ctrl/] を入力しなければなりません。 このシーケンスは,telnet プログラムに対して,続いて入力する情報がテキストでないことを知らせます。 エスケープ・シーケンスを入力しなければ,telnet はサブコマンドをテキストとして解釈します。

各サブコマンドは,コマンドを一意に識別できるだけの英字を入力するだけでかまいません。 たとえば,quit コマンドについては,q を入力するだけで十分です。 telnet サブコマンドの全リストについては, telnet(1) リファレンス・ページを参照してください。

表 13-1:  telnet サブコマンド

サブコマンド 説明
? [subcommand] ヘルプ情報を表示する。 サブコマンドを指定すると,そのサブコマンドについての情報が表示される。
close telnet 接続をクローズして,telnet コマンド・モードへ戻る。
display [argument] 引数を指定しなければ,すべての設定値および切り替え値を表示する。 指定した場合は,引数に対応する値だけをリストする。
open host [port] 指定したホストへの接続をオープンする。 ホスト指定は,ホスト名またはドット表記 10 進数形式のインターネット・アドレスのどちらでもよい。 ポートが指定されなければ,telnet は,省略時のポートで telnet のサーバに接続しようとする。
quit 接続をクローズし,telnet プログラムを終了する。 コマンド・モードで Ctrl/D を押しても,接続をクローズして,終了することができる。
status 現在のモードや現在接続されているリモート・ホストを含めて,telnet の状態を示す。
z SHELL 環境変数で指定するローカル・ホスト上のシェルをオープンする。 Ctrl/D を押してシェルを終了すると,telnet はリモートのセッションに戻る。