3    カーネル・サブシステム属性の表示と変更

オペレーティング・システムには,カーネルの基本機能や拡張機能を実現するさまざまなサブシステムが含まれています。 カーネル・サブシステム属性は,サブシステムの動作を制御したり,サブシステムの統計情報を維持するカーネル変数を設定するために使用されます。 属性には,ブート時に省略時の値が設定されます。 一部の属性の省略時の値がご使用のシステムで適切でない場合は,最適な性能を得るためにこれらの値を変更する必要があります。

カーネル・サブシステム属性の表示や変更を行うには,以下の手順に従ってください。

  1. オペレーティング・システムでの属性のサポート状況を調べる (3.1 節)

  2. 属性値を表示する (3.2 節)

  3. 属性値を変更する (3.3 節)

3.1    オペレーティング・システムでサポートする属性

使用しているオペレーティング・システムで,特定のカーネル・サブシステム属性がサポートされているかどうかを調べるには,以下のいずれかの方法を使用します。

詳細は, sysconfig(8) および dbx(1) を参照してください。

3.2    属性値の表示

カーネル・サブシステム属性の現在の値やその他の説明情報を表示するには,さまざまな方法があります。 以下の方法のいずれかを使用します。

以下に,属性を表示する代わりに,dbx p (print) コマンドを使用してカーネル変数の現在値を表示する例を示します。 たとえば,次のようになります。

# dbx -k /vmunix 
dbx version 5.1
Type 'help' for help. 
 
(dbx) p ipport_userreserved 
5000  
(dbx)

詳細は, dxkerneltuner(8)sysconfig(8) ,および dbx(1) を参照してください。

3.3    属性値の変更

属性値を変更する方法はいくつかあります。 使用する方法は,使用しているオペレーティング・システムのバージョンによって異なります。 また,属性の現在の (稼働中の) 値を変更するのか,または属性の永久値を変更するのかによっても異なります。 属性値を変更するためには,root としてログインしなければなりません。

以下の項で,現在値と永久値を変更する方法を説明します。

3.3.1    現在値

属性によっては,現在の (稼働中の) 値を変更できるものがあります。 これにより,属性値を変更することでシステム性能が改善できるかどうかを,システムをブートし直すことなく確認することができます。 すべての属性が,システムの稼働中にチューニングできるわけではありません。 また,一時的に変更した内容は,システムをリブートすると失われます。 ある属性が,システムの稼働中に変更できるかどうかを調べるには,sysconfig -Q コマンドを使用してください。

現在の (稼働中の) 値を変更するには,以下の方法のいずれかを使用します。

以下に,属性を変更する代わりに,dbx assign コマンドを使用してカーネル変数の現在値を変更する例を示します。 ただし,dbx assign コマンドによって変更した内容は,システムをリブートすると失われます。 次のコマンド構文を使用します。

dbx assign attribute=value
 

たとえば,次のようになります。


# dbx -k /vmunix 
dbx version 5.1 
Type 'help' for help. 
 
(dbx) assign ipport_userreserved=60000 
60000 
(dbx)

詳細は, dxkerneltuner(8)sysconfig(8),および dbx(1) を参照してください。

3.3.2    永久値

属性の永久値 (ブート時の値) を変更するには,sysconfigtab ファイルに,サブシステム名,属性名,および属性の値を記述する必要があります。 ただし,sysconfigtab ファイルの変更は,手作業では行わないでください。 このファイルを変更するには,以下のいずれかの方法を使用します。

また,dbx patch コマンドを使って変数の値を変更したり,ディスク上の /vmunix イメージの値を変更することもできます。

詳細は, dxkerneltuner(8)sysconfig(8) ,および sysconfigdb(8) を参照してください。 システム構成ファイルの変更についての詳細は,『システム管理ガイド』を参照してください。