まえがき

本書では,HP Tru64 UNIX オペレーティング・システムの基本的なコマンドとシェルの使用方法について紹介します。 本書では,他のネットワーク・ユーザと通信する方法についても紹介します。

本書の対象読者

本書は,UNIX 互換オペレーティング・システムについて詳しい知識がないユーザを対象に書かれています。 本書では Tru64 UNIX オペレーティング・システムに関する重要な概念について説明し,実際に操作しながら理解できるような構成になっています。

本書では,コマンド行からのコマンドの入力および実行について説明します。 これらの機能の多くは,グラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) を使用して実行することもできます。 また GUI では,ここで説明する以外の機能も実行することができます。 詳細は,ウィンドウ・マネージャあるいは個々のアプリケーションのヘルプを参照するか,またはシステム管理者にお問い合わせください。

新しい機能および変更された機能

本リリースでは 付録 G が追加されています。 ここでは,アクセス制御リスト (ACL) を使って,特定のユーザおよびグループのユーザに対してファイルおよびディレクトリのアクセス許可を与える方法について説明しています。

本書の構成

本書の構成は以下のとおりです。

第 1 章 システムへのログインおよびログアウトの方法,コマンドの入力方法,パスワードの設定方法,オンライン・ヘルプの使用方法を紹介します。
第 2 章 ファイルとディレクトリから構成されるファイル・システムの概要を紹介します。 この章では,vi テキスト・エディタについても紹介します。 このプログラムを使用して,ファイルを作成し,修正することができます。
第 3 章 ファイルの管理方法について説明します。 ファイルをリスト,表示,コピー,移動,リンク,削除する方法を理解することができます。
第 4 章 ディレクトリの管理方法について説明します。 この章では,ファイルを作成,変更,表示,コピー,名称変更,削除する方法を理解することができます。
第 5 章 適切な許可を設定することによって,ファイルとディレクトリへのアクセスを制御する方法を説明します。 さらにこの章では,標準パスワードとグループ・セキュリティの問題,およびその他のセキュリティ上の考慮事項の概要についても説明します。
第 6 章 Tru64 UNIX オペレーティング・システムがどのようにプロセスを作成し追跡するかを説明します。 プロセスの入力,出力,およびエラー情報をリダイレクトする方法,プロセスを同時に実行する方法,プロセス情報を表示する方法,プロセスを取り消す方法を説明します。
第 7 章 Tru64 UNIX オペレーティング・システムで利用できる C,Bourne,Korn,および POSIX シェル に共通する機能について紹介します。 シェルの変更,コマンド入力エイドの使用,ユーザのシェル環境の特徴 (ログイン・スクリプト,環境変数およびシェル変数) の理解,変数の設定とクリア,ログアウト・スクリプトの作成,基本的なシェル・プロシージャの作成と実行方法を理解することもできます。
第 8 章 C,Bourne,Korn,および POSIX シェルについて,それらの機能を比較しながら,詳細な参照情報を提供します。 各プログラムのコマンドと環境変数について詳しく説明し,ログイン・スクリプトの設定方法を紹介します。
第 9 章 System V インタフェース定義 (SVID) に準拠するコマンド,サブルーチンおよびシステム・コールを使用するために必要な環境設定について説明します。
第 10 章 ネットワーク上の他のユーザやリモート・ホストの情報を取得する方法を紹介します。
第 11 章 他のユーザにメッセージを送信する方法を紹介します。
第 12 章 リモート・ホストへファイルをコピーする方法,または,リモート・ホスト間でファイルをコピーする方法を紹介します。
第 13 章 リモート・ホストへログインする方法,または,リモート・ホストでコマンドを実行する方法を紹介します。
第 14 章 ローカル・ホストとリモート・ホストの両方で同時に通信タスクを実行するための UNIX 間コピー・プログラム (UUCP) を紹介します。
付録 A vi テキスト・エディタの基本的な機能の使用方法を説明します。
付録 B ed テキスト・エディタの使用方法を説明します。 ここでは ed についての詳細な情報を提供しています。 このエディタはすべてのシステムに含まれており,また他のエディタが使用できないような深刻な状況においても,ed は使用できます。
付録 C 国際化機能について説明しています。 国際化機能を使用すると,言語,慣習,および地理的位置に合った方法でデータ処理およびシステムとの対話ができます。
付録 D mailx セッションをカスタマイズするために .mailrc ファイルで使用できる変数の一覧を示します。
付録 E mailx セッション内から特定のタスクを実行するために使用できるエスケープ・コマンドの一覧を示します。
付録 F mailx を使用して,メッセージの送信,読み取り,削除,保存を行うコマンドの一覧を示します。
付録 G アクセス制御リスト (ACL) の使用方法について説明しています。

関連資料

次の Tru64 UNIX ドキュメントがドキュメント CD-ROM に含まれています。 また,別売のハードコピー版を購入することもできます。

Tru64 UNIX のマニュアルは,次の URL から入手することもできます。

http://h50146.www5.hp.com/products/software/oe/tru64unix/manual/

ここにある参考文献は,個々のトピックの分かりやすい解説書として使用できるだけでなく,UNIX コマンドの理解にも役立ちます。

本書で使用する表記法

本書では次の表記法を使用しています。

%
$

パーセント記号は,C シェルのシステム・プロンプトを表します。ドル記号は, Bourne シェル,Korn シェル,および POSIX シェルの場合の システム・プロンプトを表します。

#

番号記号は root としてログインした場合のシステム・プロンプトを表します。

% cat

対話式の例における太字(ボールド体)は,ユーザが入力する文字を示します。

file

イタリック体 (斜体) は,変数値,プレースホルダ,および関数の引数名を示します。

[ | ]
{ | }

構文定義では,大カッコはオプションの項目を示し,中カッコは必須項目を示します。 大カッコまたは中カッコの中の項目を縦線で区切っている場合は, そこに併記されている項目の中から1つの項目を選択することを示します。

colored text

構文定義では,リテラル要素(コマンド名など文字通り入力する要素)は緑色で表示され,変数値,数式/論理式記号,関数の引数名は赤色で表示されます。 構文説明以外の場所では,色付きのテキストは使用しません。

. . .

構文定義では,水平の反復記号は,前の項目を1回以上繰り返して使用できることを示します。

cat(1)

リファレンス・ページの参照には,該当するセクション番号をカッコ内に示します。 たとえば, cat(1) は,cat コマンドについての情報が, リファレンス・ページのセクション1に記載されていることを示します。

[Ctrl/x]

この記号は,スラッシュの前に指定されているキーを押しながら, スラッシュの後のキーまたはマウス・ボタンを押すことを示します。 例中では,このようなキーの組み合わせは, 四角あるいは大カッコで囲まれて示されます(たとえば,[Ctrl/C] )。