5    LSM オブジェクトの管理

この章では,LSM コマンドを使用して LSM オブジェクトを管理する方法について説明します。 LSM コマンドについての詳細は,コマンド名に対応するリファレンス・ページを参照してください。 たとえば,volassist コマンドに関する情報を参照するには,次のコマンドを実行してください。

# man volassist

5.1    LSM ディスクの管理

以降の項では,LSM コマンドを使用して LSM ディスクを管理する方法について説明します。

5.1.1    LSM ディスク情報の表示

LSM ディスクの詳細情報を表示するには,次のコマンドを入力します。

# voldisk list disk

次の例は,dsk12 という LSM ディスクの情報です。

Device:    dsk12
devicetag: dsk12
type:      sliced
hostid:    hostname.com
disk:      name=dsk12 id=1012859934.2400.potamus.zk3.dec.com
group:     name=dg2 id=1012859945.2405.potamus.zk3.dec.com
flags:     online ready autoimport imported
pubpaths:  block=/dev/disk/dsk12g char=/dev/rdisk/dsk12g
privpaths: block=/dev/disk/dsk12h char=/dev/rdisk/dsk12h
version:   2.1
iosize:    min=512 (bytes) max=2048 (blocks)
public:    slice=6 offset=16 len=2046748
private:   slice=7 offset=0 len=4096
update:    time=1012859947 seqno=0.1
headers:   0 248
configs:   count=1 len=2993
logs:      count=1 len=453
Defined regions:
 config   priv     17-   247[   231]: copy=01 offset=000000 enabled
 config   priv    249-  3010[  2762]: copy=01 offset=000231 enabled
 log      priv   3011-  3463[   453]: copy=01 offset=000000 enabled

5.1.2    LSM ディスクの名前変更

LSM ディスクの初期化時には,そのディスクにディスク・メディア名を割り当てることも,省略時のディスク・メディア名 (ディスク・アクセス名と同じ名前) を使用することもできます。

注意

1 つのディスク・グループ内の各ディスクの名前は,一意でなければなりません。 混乱を避けるため,別のディスク・グループであっても同じ名前のディスクがないようにしても構いません。 たとえば,rootdg ディスク・グループと別のディスク・グループの両方に disk03 というディスク・メディア名のディスクが存在できます。 多くの LSM コマンドは,特に指定しなければ,rootdg ディスク・グループに対して操作を行います。 このため,複数のディスク・グループに同じ名前のディスクがあると,誤ったディスクに対して操作を行う可能性があります。

voldisk list コマンドは,システム上の,すべてのディスク・グループ内のすべての LSM ディスクのリストを表示します。

LSM ディスクの名前を変更するには,次のコマンドを入力します。

# voledit rename old_disk_media_name new_disk_media_name

たとえば,disk03 という LSM ディスクの名前を disk01 に変更するには,次のコマンドを入力します。

# voledit rename disk03 disk01

5.1.3    LSM ディスクのオフライン化

ディスクをオフライン化すると,次の事項が可能です。

ディスクをオフライン化すると,そのデバイス・ファイルがクローズされます。 使用中の LSM ディスクは,オフライン化できません。

LSM ディスクをオフライン化するには,次の手順に従います。

  1. LSM ディスクをディスク・グループから削除します。

    # voldg [-g disk_group] rmdisk disk
    

  2. LSM ディスクをオフライン化します。

    # voldisk offline disk
    

5.1.4    LSM ディスクのオンライン化

オフライン化した LSM ディスクにまたアクセスできるようにするには,ディスクをオンライン化しなければなりません。 LSM ディスクは空きディスク・プールに置かれ,再度 LSM にアクセスできる状態になります。 LSM ボリュームを使用できるようにするには,LSM ディスクをオンライン化した後,そのディスクをディスク・グループに追加しなければなりません。 以前このディスクがディスク・グループに属していた場合は,同じディスク・グループに追加できます。

LSM ディスクをオンライン化するには,次のコマンドを入力します。

# voldisk online disk

LSM ディスクのディスク・グループへの追加については,5.2.2 項を参照してください。

5.1.5    LSM ディスクからのデータの移動

十分な空きスペースがあれば,LSM ボリューム・データを,同じディスク・グループ内の他の LSM ディスクに移動 (退避) できます。 ターゲットの LSM ディスクを指定しなければ,LSM はディスク・グループ内の,十分な空きスペースがある,利用可能な LSM ディスクを使用します。

次のような状況のときに,LSM ディスクのデータを移動します。

データをディスクから移動するには,次のコマンドのいずれかを使用します。

注意

LSM ディスクの内容を,同じボリュームのデータを持つ別の LSM ディスクへ移動しないでください。 移動した結果のレイアウトでは,ミラー・プレックスや RAID5 プレックスを使用しているボリュームの冗長性を維持できない可能性があります。

LSM ディスクからすべてのデータ (たとえば,複数の LSM ボリューム) を移動するには,次のコマンドを使用します。

# volevac [-g disk_group] source_disk target_disk [target_disk...]

たとえば,次のように使用します。

ボリュームを LSM ディスクから移動するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] move volume [\]!source_disk \
[target_disk...]

たとえば,rootdg 内の 3 つのボリュームが dsk1 上の領域を使用しているとします。

# volprint -s | grep dsk1

sd dsk1-04      rootvol-04   ENABLED  65       FPA      -        -       -
sd dsk1-01      vol_1-03     ENABLED  65       LOG      -        -       -
sd dsk1-02      vol_2-03     ENABLED  65       LOG      -        -       -
 
.
.
.

次のコマンドによって,dsk1 から,ボリューム vol_1 および vol_2 が移動します (! 記号を C シェルが正しく解釈するように,クォート記法 \ を使用します)。

# volassist move vol_1 \!dsk1
# volassist move vol_2 \!dsk1

操作後次のコマンドによって,dsk1 を使用しているボリュームは,rootvol だけであることを確認します。

# volprint | grep dsk1-
 

sd dsk1-04   rootvol-04  ENABLED  65     FPA     -       -      -

次のコマンドによって,ボリューム vol_1 および vol_2 で使用しているディスクを表示します。

# volprint vol_1 vol_2

Disk group: rootdg
 
TY NAME         ASSOC        KSTATE   LENGTH   PLOFFS   STATE    TUTIL0  PUTIL0
v  vol_1        fsgen        ENABLED  262144   -        ACTIVE   -       -
pl vol_1-01     vol_1        ENABLED  262144   -        ACTIVE   -       -
sd dsk0-01      vol_1-01     ENABLED  262144   0        -        -       -
pl vol_1-03     vol_1        ENABLED  LOGONLY  -        ACTIVE   -       -
sd dsk4-01      vol_1-03     DETACHED 65       LOG      RECOVER  -       -
 
v  vol_2        fsgen        ENABLED  262144   -        ACTIVE   -       -
pl vol_2-01     vol_2        ENABLED  262144   -        ACTIVE   -       -
sd dsk3-01      vol_2-01     ENABLED  262144   0        -        -       -
pl vol_2-03     vol_2        ENABLED  LOGONLY  -        ACTIVE   -       -
sd dsk6-01      vol_2-03     ENABLED  65       LOG      -        -       -
 

5.1.6    ホット・スペアリングで再配置された LSM オブジェクトの移動

ホット・スペアリング機能によって,故障したディスクからホット・スペア・ディスクに LSM オブジェクトが移動したとき,新しい場所には同じ性能がなかったり,以前存在していたときとデータ・レイアウトが異なる場合があります。 ホット・スペアリングが行われた後,再配置された LSM オブジェクトを別のディスクに移動させることもできます。 これにより,性能を改善したり,ホット・スペアのディスク・スペースを将来のホット・スペアリングのために解放したり,LSM 構成を元の状態に復元することができます。

注意

以下の手順を実行するには,ホット・スペア・ディスクを交換するために,初期化された新しいディスクが必要です。 LSM で使用するためにディスクを追加する方法は,4.1 節を参照してください。 故障したディスクを交換する方法は,6.4.5 項を参照してください。

以下の手順で,LSM がデータを移動するホット・スペア・ディスクは,再配置ディスクと呼ばれます。 データを移動するために選択したディスクは,ターゲット・ディスクと呼ばれます。 再配置ディスクとターゲット・ディスクには,ディスク・メディア名を使用してください。

ホット・スペアリングによって再配置された LSM オブジェクトを移動するには,以下の手順を実行します。

  1. 再配置される前の LSM オブジェクトの特性を記録します。

    この情報は,volwatch デーモンがルート・アカウントに送信した障害に関するメール通知の中にあります。 たとえば,次のような内容のメール通知を探してください。

    To: root
    Subject: Logical Storage Manager failures on host teal
     
    Attempting to relocate subdisk disk02-03 from plex home-02.
    Dev_offset 0 length 1164 dm_name disk02 da_name dsk2.
    The available plex home-01 will be used to recover the data.
    

  2. 再配置された LSM オブジェクトの新しい場所 (再配置ディスク) を記録します。

    この情報は,volwatch デーモンがルート・アカウントに送信した障害に関するメール通知の中にあります。 たとえば,次のような内容のメール通知を探してください。

    To: root
    Subject: Attempting LSM relocation on host teal
     
    Volume home Subdisk disk02-03 relocated to disk05-01,
    but not yet recovered.
    

  3. 同じディスク・グループ内で適切なターゲット・ディスクを選択し,ターゲット・ディスクがまだ同じボリュームで使用されていないことを確認します。

    たとえば,前のステップのメール・メッセージ例で示したように,ボリューム home で使用されているディスクにデータを再配置しないようにしてください。 ディスク・グループ内の未使用領域を探す方法は,5.2.1 項を参照してください。

  4. オブジェクトを再配置ディスクからターゲット・ディスクに移動します。

    # volevac [-g disk_group] dm_relocation_disk dm_target_disk
    

5.1.7    LSM 制御からのディスクの削除

必要がなくなった場合,ディスクを LSM 制御から削除することができます。

ディスク・グループから LSM ディスクを削除する方法は,5.2.3 項を参照してください。 ディスク・グループをデポートする方法は,5.2.4 項を参照してください。

LSM ディスクをLSM 制御から削除するには,以下の手順を実行します。

  1. ディスクのディスク・メディア名ディスク・アクセス名を表示します。

    # voldisk list
    

    次の情報が表示されます (一部略してあります)。

    DEVICE       TYPE      DISK         GROUP        STATUS
     
    .
    .
    .
    dsk25 sliced - - unknown dsk26 sliced newdisk rootdg online dsk27 sliced dsk27 rootdg online

  2. ディスク・グループからディスク・メディア名を削除します。

    # voldg [-g disk_group] rmdisk disk
    

    たとえば,ディスク・グループ rootdg から,ディスク・メディア名が newdisk のディスク dsk26 を削除するには,次のコマンドを入力します。

    # voldg rmdisk newdisk
    

    LSM ディスクをディスク・グループから削除すると,ディスク・メディア名はなくなります。 ディスク・アクセス名は,ディスクを LSM の制御から削除するまで保持されます。 voldisk list コマンドを使用すると,dsk26 がどのディスク・グループにも属さず,状態が online であり,LSM の制御下にあることが示されます。

    DEVICE       TYPE      DISK         GROUP        STATUS
     
    .
    .
    .
    dsk25 sliced - - unknown dsk26 sliced - - online dsk27 sliced dsk27 rootdg online

  3. ディスク・アクセス名を LSM 制御から削除します。

    # voldisk rm disk
    

    たとえば,ディスク dsk26 を削除するには,次のコマンドを入力します。

    # voldisk rm dsk26
    

すべてのディスク・パーティション・ラベルは,unused に変更されます。 ディスクを他の目的に使用するには,disklabel コマンドを使用して,再初期化します。 詳細は, disklabel(8) を参照してください。

5.2    ディスク・グループの管理

以降の項では,LSM コマンドを使用してディスク・グループを管理する方法について説明します。

5.2.1    ディスク・グループ情報の表示

5.2.2    LSM ディスクのディスク・グループへの追加

未割り当ての LSM ディスクは,任意のディスク・グループに追加できます。 未割り当てのディスクを表示するには,voldisk list コマンドを使用します。 LSM ディスクは,出力中で,DISK および GROUP の欄に,online およびダッシュ (-) が示されているディスクです。

1つ以上の LSM ディスクを既存のディスク・グループに追加するには,次のコマンドを使用します。

# voldg -g disk_group adddisk disk [disk...]

たとえば,ディスク dsk10 をディスク・グループ dg1 に追加するには,次のコマンドを入力します。

# voldg -g dg1 adddisk dsk10

LSM で使用するためにディスクを初期化してディスク・グループへ追加するか,初期化したディスクを利用して新しいディスク・グループを 1 ステップで初期化するには,voldiskadd スクリプトを使用します (4.2.1 項)。

5.2.3    ディスクのディスク・グループからの削除

ディスク・グループから LSM ディスクを削除することができます。 ただし,以下のディスクは削除できません。

ディスク・グループから LSM ディスクを削除するには,以下の手順を実行します。

  1. すべてのサブディスクを表示して,LSM ディスクが使用中でないことを確認します。

    # volprint -st
    

    Disk group: rootdg
     
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    sd dsk1-01      klavol-01    dsk1     0        1408     0/0       dsk1     ENA
    sd dsk2-02      klavol-03    dsk2     0        65       LOG       dsk2     ENA
    sd dsk2-01      klavol-01    dsk2     65       1408     1/0       dsk2     ENA
    sd dsk3-01      klavol-01    dsk3     0        1408     2/0       dsk3     ENA
    sd dsk4-01      klavol-02    dsk4     0        1408     0/0       dsk4     ENA
    sd dsk5-01      klavol-02    dsk5     0        1408     1/0       dsk5     ENA
    sd dsk6-01      klavol-02    dsk6     0        1408     2/0       dsk6     ENA
     
    

    DISK 欄内のディスクは,現在 LSM ボリュームで使用中です。 このため,これらのディスクをディスク・グループから削除することはできません。

  2. LSM ディスクをディスク・グループから削除します。

    # voldg -g disk_group rmdisk disk
    

    たとえば,LSM ディスク dsk8rootdg ディスク・グループから削除するには,次のコマンドを入力します。

    # voldg rmdisk dsk8
    

ディスクは,まだ LSM 制御下のままです。 以下の目的で,使用できます。

5.2.4    ディスク・グループのデポート

ディスク・グループをデポートすると,ボリュームはアクセス不可能になります。 ディスク・グループをデポートするのは,以下の目的のためです。

rootdg ディスク・グループはデポートできません。

注意

voldisk list コマンドを使用すると,デポートされたディスク・グループ内のディスクは,使用可能 (状態は online) と表示されます。 ただし,デポートされたディスク・グループ内のディスクを削除したり,再利用すると,データが失われる可能性があります。

ディスク・グループをデポートするには,以下の手順を実行します。

  1. 可能な場合は,ボリュームを停止します。

    # volume -g disk_group stopall
    

  2. ディスク・グループをデポートします。

    使用する前にディスク・グループをインポートする (5.2.5 項) 必要があります。

    ディスク・グループが不要になった場合は,以下の目的で使用できます。

5.2.5    ディスク・グループのインポート

ディスク・グループをインポートすると,ディスク・グループとそのボリュームがアクセス可能になります。 デポートするときにディスク・グループに対応するディスクを使用していた場合,そのディスク・グループはインポートできません。

ディスク・グループをインポートし,そのボリュームを再起動するには,以下の手順を実行します。

  1. ディスク・グループをインポートします。

    # voldg import disk_group
    

  2. ディスク・グループ内のすべてのボリュームを起動するには,次のコマンドを入力します。

    # volume -g disk_group startall
    

5.2.6    ディスク・グループ名の変更

ディスク・グループ名を変更するには,デポートして,インポートします。 使用中のディスク・グループは名前を変更できません。 ディスク・グループをデポートするときは,ディスク・グループ内のすべてのボリュームに対するすべての操作を停止しなければならず,ディスク・グループをデポートしている間は,ディスク・グループ内のボリュームはアクセス不可能になります。

ディスク・グループ名を変更するには,ボリュームへのサービスを中断する必要があるため,この作業は,計画されたシャットダウンや保守の期間に行う必要があります。 新しいディスク・グループ名は注意深く選択し,覚えやすく,使用しやすいものにしてください。 ディスク・グループ名を変更すると,/etc/fstab ファイルがアップデートされます。

注意

rootdg ディスク・グループは名前を変更できません。

ディスク・グループ名を変更するには,以下の手順を実行します。

  1. ディスク・グループをデポートし,それに新しい名前を割り当てます (5.2.4 項)。

  2. 新しい名前を使用して,ディスク・グループをインポートします (5.2.5 項)。

5.2.7    クローン・ディスク・グループの作成

volclonedg コマンドを使用すると,ハードウェア・クローンのディスクを使用して,ディスク・グループのコピーを作成できます。 このコマンドは,スタンドアロン・システムとクラスタの両方で利用可能です。

注意

ディスク・グループをクローニングするには,ディスク・グループ内のすべてのディスクのハードウェア・クローンを,前もって作成しておく必要があります。 ディスク・グループに nopriv ディスクを含めることはできません。

volclonedg コマンドは,LSM オブジェクトの構成が親ディスク・グループと同じ,新しいディスク・グループを作成します。 これは,volsave コマンドと volrestore コマンドを使用して,親ディスク・グループの構成を保存して,クローン・ディスク・グループに同じ構成を作成することによって行われます。 LSM は,必要に応じてミラー・ボリュームの復旧を行って,クローン・ディスク・グループ内のすべてのボリュームを起動します。 詳細は, volclonedg(8) を参照してください。

ディスク・グループをクローニングするには,以下の手順を実行します。

  1. クローニングするディスク・グループ内のディスクを表示します。

    # voldisk -g disk_group list
    

    DEVICE       TYPE      DISK         GROUP        STATUS
    dsk10        sliced    dsk10        dg1          online
    dsk11        sliced    dsk11        dg1          online
    dsk12        sliced    dsk12        dg1          online
    dsk13        sliced    dsk13        dg1          online
    

    注意

    ディスク・グループに nopriv ディスクが含まれる場合,ディスク・グループのクローニングを行う前に,新しいスライス・ディスクまたはシンプル・ディスクをディスク・グループに追加して,データを nopriv ディスクから新しいディスクに移動し (たとえば,volevac コマンドを使用して),nopriv ディスクをディスク・グループから削除します。

  2. ディスクのハードウェア・クローンを作成します。 詳細は,ハードウェアのドキュメントを参照してください。

  3. hwmgr コマンドを実行し,新しいディスク情報で,システムまたはクラスタをアップデートします。 詳細は, hwmgr(8) を参照してください。

  4. LSM がクローン・ディスクにアクセスし,表示できることを確認します。

    # voldisk list
    

    クローン・ディスクの状態は,online aliased と表示されます。

    以下に示す出力で,オリジナル・ディスクは,dsk10dsk11dsk12,および dsk13 です。 ハードウェア・ディスク・クローンは,dsk14dsk15dsk16,および dsk17 です。

    DEVICE       TYPE      DISK         GROUP        STATUS
    dsk0         sliced    dsk0         rootdg       online
    dsk1         sliced    dsk1         rootdg       online
    dsk2         sliced    dsk2         rootdg       online spare
    dsk3         sliced    dsk3         rootdg       online spare
    dsk4         sliced    dsk4         rootdg       online
    dsk5         sliced    dsk5         rootdg       online spare
    dsk6         sliced    dsk6         rootdg       online
    dsk7         sliced    dsk7         rootdg       online
    dsk8         sliced    dsk8         rootdg       online
    dsk9         sliced    dsk9         rootdg       online
    dsk10        sliced    dsk10        dg1          online
    dsk11        sliced    dsk11        dg1          online
    dsk12        sliced    dsk12        dg1          online
    dsk13        sliced    dsk13        dg1          online
    dsk14        sliced    -            -            online aliased
    dsk15        sliced    -            -            online aliased
    dsk16        sliced    -            -            online aliased
    dsk17        sliced    -            -            online aliased
    

  5. ディスク・グループ dg1 をクローニングするために,ディスク・クローンの名前を使用します。 必要に応じて,省略時の名前以外 (ここでは,dg1_clone) を割り当てます。

    # volclonedg -g dg1 [-N name] dsk14 dsk15 dsk16 dsk17
    

    LSM はクローン・ディスク・グループを作成し,ボリュームを起動します。

親ディスク・グループから別のシステム上にクローン・ディスク・グループを作成する例など,詳細は, volclonedg(8) を参照してください。

5.3    LSM 構成データベースの管理

この節では,LSM 構成データベースの管理方法について説明します。

5.3.1    LSM 構成データベースのバックアップ

volsave ユーティリティを使用すると,LSM 構成のコピーが定期的に作成されます。 ディスク・グループ構成を紛失した場合には,volrestore コマンドを使用すると,LSM 構成を再作成できます。

保存されている構成データベース (記述セットとも呼ばれます) は,LSM 構成内のオブジェクト (LSM ディスク,サブディスク,プレックス,およびボリューム) と,各オブジェクトがどのディスク・グループに属しているかを示す記録です。

LSM 構成を変更するたびに,そのバックアップ・コピーは古いものとなります。 一般のバックアップと同じように,現在の情報を正確に表している場合だけ役に立ちます。 LSM オブジェクトの数,特性,または名前を変更した場合は,LSM 構成データベースのバックアップを作成してください。 次のリストに,構成データベースのバックアップが無効になる変更をいくつか示します。

注意

構成データベースのバックアップでは,ボリューム内のデータは保存されません。

ボリューム・データのバックアップについては,5.4.2 項を参照してください。

volsave コマンドは,ルート,/usr,あるいは /var ファイル・システムやスワップ領域として使用しているボリュームに関連する情報は保存しません。

ブート・ディスク障害の特性によっては,システム・パーティションが LSM 制御下にない状態に戻すため,バックアップまたはインストレーション・メディアからシステム・パーティションを復元する必要があります。 この状態から,ブート・ディスク・パーティションを LSM ボリュームにカプセル化し,それらのボリュームにミラー・プレックスを追加する手順を再実行してください。

LSM 制御下のブート・ディスク障害からの回復についての詳細は,6.4.6 項を参照してください。

省略時の設定では,LSM は構成データベース全体を,/usr/var/lsm/db/LSM.date.hostname というタイムスタンプ付きのディレクトリに保存します。 バックアップ用に別のディレクトリを指定することもできますが,そのディレクトリが存在していてはいけません。

バックアップ・ディレクトリには,次のファイルとディレクトリが作成されます。

LSM 構成データベースをバックアップするには,次の手順に従います。

  1. 次のコマンドを入力します。 オプションで省略時の指定以外の,LSM 構成データベースを格納するディレクトリ位置を指定できます。

    # volsave [-d directory]
    

  2. テープまたは他のリムーバブル・メディアに,バックアップを保存します。

volsave コマンドは,複数のバージョンの構成データベースを保存します。 新しいバックアップはそれぞれ,次の例のように,日付とタイムスタンプ付きで /usr/var/lsm/db ディレクトリに保存されます。

dr-xr-x---   3 root     system      8192 May  5 09:36 LSM.20000505093612.hostname
dr-xr-x---   3 root     system      8192 May 10 10:53 LSM.20000510105256.hostname

5.3.2    バックアップからの LSM 構成データベースの復元

volrestore コマンドを使用すると,volsave コマンドで保存した (5.3.1 項) LSM 構成データベースを復元できます。

特定のディスク・グループやボリュームの構成データベースを復元することも,構成全体 (ブート・ディスクに対応付けられているものを除く,すべてのディスク・グループおよびボリューム) を復元することもできます。 複数のバージョンの構成データベースを保存してある場合は (volsave コマンドを実行するたびに,新しい構成データベースが保存されます),復元する構成を 1 つ選択できます。 選択しなかった場合,LSM は最新のバージョンを復元します。

注意

構成データベースを復元しても,LSM ボリューム内のデータは復元されません。 ボリュームの復元については,5.4.3 項を参照してください。

volrestore コマンドでは,ルート (/),/usr,および /var ファイル・システムや,スタンドアロン・システムのプライマリ・スワップ領域に対応付けられたボリュームを復元することはできません。 これらのパーティションのボリュームが壊れた場合は,LSM ボリュームを使用するようにシステム・パーティションをカプセル化し直さなければなりません。

バックアップされている LSM 構成データベースを復元するには,次の手順に従います。

  1. 必要に応じて,すべての利用可能なデータベース・バックアップのリストを表示します。

    # ls /usr/var/lsm/db
    

    構成データベースを別のディレクトリに保存してある場合は,そのディレクトリを指定します。

  2. 選択した構成データベースを復元します。

  3. 復元された LSM ボリュームを開始します。

    # volume -g disk_group startall
    

    ボリュームが開始されない場合は,プレックスの状態を手動で編集しなければならないことがあります。 6.5.2.2 項を参照してください。

  4. 必要であれば,バックアップからボリューム・データを復元します。 詳細については,5.4.3 項を参照してください。

5.3.3    構成データベースのコピーのサイズおよび数の変更

LSM は,各ディスク・グループ内の別々の物理ディスク上に,構成データベースのコピーを保持します。 ディスク・グループが構成データベース内のスペースを使い尽くした場合,LSM は次のようなメッセージを表示します。

volmake: No more space in disk group configuration

この現象は,次のような場合に発生します。

構成データベースのディスク・スペースが足りなくなった場合,構成データベースのコピーを 2 つ持っているディスクがあれば,その各ディスクからコピーを 1 つ削除することができます(5.3.3.1 項)。 ただし,構成データベースの冗長性を保てるだけのコピーが残るようにしてください。 たとえば,ディスク・グループ内にコピーが全部で 4 つあり,2 つが同じディスク上にある場合は,そのディスク上からコピーを 1 つ削除します。 そして,コピーがない,別のディスク上でコピーを使用可能にします。

構成データベースのすべてのコピーが同じサイズで,どのディスクにも複数のコピーがない場合は,ディスクのプライベート・リージョンが小さすぎることを示しています。 たとえば,省略時のプライベート・リージョンが小さい,古いバージョンの LSM を実行しているシステム上でディスクが初期化された場合などがこれにあたります。 この問題を解決するには,LSM に新しいディスクを追加し省略時のプライベート・リージョン・サイズを大きくし,ディスク・グループに新しいディスクを追加して,残りのディスク上の構成データベースのコピーを削除します(5.3.3.2 項)。

5.3.3.1    LSM ディスク上の構成データベースのコピーの削除

LSM ディスク上の構成データベースのコピーを削除するには,次のコマンドを実行します。

  1. ディスク・グループの構成データベースの情報を表示します。

    # voldg list disk_group
    

    Group:   rootdg
    dgid:   783105689.1025.lsm
    import-id: 0.1
    flags:
    config:  seqno=0.1112 permlen=173 free=166 templen=6 loglen=26
    config disk dsk13 copy 1 len=173 state=clean online
    config disk dsk13 copy 2 len=173 state=clean online
    config disk dsk11g copy 1 len=347 state=clean online
    config disk dsk10g copy 1 len=347 state=clean online
    log disk dsk11g copy 1 len=52
    log disk dsk13 copy 1 len=26
    log disk dsk13 copy 2 len=26
    log disk dsk10g copy 1 len=52
    

  2. 構成データベースの複数のコピーがあるディスクを探します。

    この例では,dsk13 に 2 つの構成データベースのコピーがあります。 このため,そのディスク・グループで使用できるメモリ上の構成スペースの統計が半分になり,制約事項となっています。

  3. コピーが 2 つあるディスク上のコピーを削除します。

    # voldisk moddb disk nconfig=n
    

    たとえば,ディスク dsk13 上の構成コピーを 2 つから 1 つに減らすには,次のコマンドを実行します。

    # voldisk moddb dsk13 nconfig=1
    

  4. 新しい構成を表示します。

    # voldg list disk_group
    

  5. 必要ならば,ディスク・グループの適切なコピーの数を保つために,別のディスクにコピーを追加します。

    1. ディスク・グループのすべてのディスクを表示します。

      # voldisk -g disk_group list
      

    2. voldisk list コマンドの出力結果にリストされているディスクと,voldg list コマンドの出力結果にリストされているディスクを比べ,ディスク・グループ内のディスクのうち,構成データベースのコピーがないものを見つけます。

    3. ディスク・アクセス名を使用して,構成データベースのコピーのないディスク上でそのコピーを使用可能にします。

      # voldisk moddb disk_access_name nconfig=1
      

5.3.3.2    プライベート・リージョンが小さい LSM ディスク上の構成データベースの削除

プライベート・リージョンが小さい LSM ディスク上の構成データベースを削除するには,次のコマンドを実行します。

  1. ディスク・グループの構成データベースの情報を表示します。

    # voldg list disk_group
    

    Group:     rootdg
    dgid:      921610896.1026.hostname
    import-id: 0.1  flags:
    copies:    nconfig=default nlog=default
    config:    seqno=0.1081 permlen=347 free=341 templen=3 loglen=52
    config disk dsk7 copy 1 len=347 state=clean online
    config disk dsk8 copy 1 len=2993 state=clean online
    config disk dsk9 copy 1 len=2993 state=clean online
    config disk dsk10 copy 1 len=2993 state=clean online
    log disk dsk7 copy 1 len=52
    log disk dsk8 copy 1 len=453
    log disk dsk9 copy 1 len=453
    log disk dsk10 copy 1 len=453
    

    ディスク dsk7 のプライベート・リージョンは,config disklog disk で始まるそれぞれの行の len= に示されているように,他のディスクのプライベート・リージョンよりも小さくなっています。 したがって,構成データベースやログのコピーを格納するスペースが小さくなっています。 これにより,ディスク・グループの,追加のレコードを格納するための容量が制限されます。 これは,最小のプライベート・リージョンでグループが制限されるためです。

  2. プライベート・リージョンが最も小さいディスク上から,すべての構成データベースのコピーを削除するには,次のコマンドを入力します。

    # voldisk moddb disk nconfig=0
    

    たとえば,プライベート・リージョンが最も小さいディスク dsk7 上のコピーを削除するには,次のコマンドを実行します。

    # voldisk moddb dsk7 nconfig=0
    

  3. 新しい構成を表示します。

    # voldg list disk_group
    

  4. 必要ならば,ディスク・グループの適切なコピーの数を保つために,別のディスクにコピーを追加します。

    1. ディスク・グループのすべてのディスクを表示します。

      # voldisk -g disk_group list
      

    2. voldisk list コマンドの出力結果にリストされているディスクと,voldg list コマンドの出力結果にリストされているディスクを比べ,ディスク・グループ内のディスクのうち,構成データベースのコピーがないものを見つけます。

    3. ディスク・アクセス名を使用して,構成データベースのコピーのないディスク上でコピーを使用可能にします。

      # voldisk moddb disk_access_name nconfig=1
      

5.4    LSM ボリュームの管理

以降の項では,LSM コマンドを使用して LSM ボリュームを管理する方法について説明します。 LSM ボリュームの作成については,第 4 章を参照してください。

5.4.1    LSM ボリューム情報の表示

volprint コマンドは,LSM ディスク,サブディスク,プレックス,およびボリュームなどの,LSM オブジェクトについての情報を表示します。

LSM ボリュームのオブジェクトの階層全体を表示するには,次のコマンドを入力します。

# volprint [-g disk_group] -ht volume

Disk group: rootdg   [1]
 
V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  data01       fsgen        ENABLED  ACTIVE   512000   SELECT    -   [2]
pl data01-01    data01       ENABLED  ACTIVE   512256   STRIPE    3/128    RW   [3]
sd dsk2-01      data01-01    dsk2     0        170752   0/0       dsk2     ENA  [4]
sd dsk5-01      data01-01    dsk5     0        170752   1/0       dsk5     ENA
sd dsk6-01      data01-01    dsk6     0        170752   2/0       dsk6     ENA
pl data01-02    data01       ENABLED  ACTIVE   512256   STRIPE    3/128    RW
sd dsk7-01      data01-02    dsk7     0        170752   0/0       dsk7     ENA
sd dsk8-01      data01-02    dsk8     65       170752   1/0       dsk8     ENA
sd dsk9-01      data01-02    dsk9     0        170752   2/0       dsk9     ENA
pl data01-03    data01       ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
sd dsk8-02      data01-03    dsk8     0        65       LOG       dsk8     ENA
 

この例は,ミラー化された,3 カラムのストライプ・プレックスがあるボリュームの出力を示しています。

  1. ディスク・グループ名。 [例に戻る]

  2. ボリューム情報。 ボリューム名 (data01),使用タイプ (fsgen),状態 (ENABLED ACTIVE),およびサイズ (51200 ブロック,すなわち 250 MB) が表示されています。 [例に戻る]

  3. プレックス情報。 データ・プレックスが 2 つ (data01-01data01-02) と,DRL プレックスが 1 つ (data01-03) あります。 [例に戻る]

  4. 各プレックスのサブディスク情報。 [例に戻る]

LSM ボリュームのリストを表示するには,次のコマンドを入力します。

# volprint [-g disk_group] -vt

Disk group: rootdg
 
V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
 
v  rootvol      root         ENABLED  ACTIVE   524288   ROUND     -
v  swapvol      swap         ENABLED  ACTIVE   520192   ROUND     -
v  vol-dsk24c   fsgen        ENABLED  ACTIVE   17773524 SELECT    -
v  vol-dsk25g   fsgen        ENABLED  ACTIVE   2296428  SELECT    -
v  vol-dsk25h   fsgen        ENABLED  ACTIVE   765476   SELECT    -
v  vol-01       fsgen        ENABLED  ACTIVE   768000   ROUND     -
v  vstripe      fsgen        ENABLED  ACTIVE   256000   SELECT    vstripe-01
 

5.4.2    LSM ボリュームのバックアップ

システム管理者の一般的な作業の 1 つに,紛失したファイルや壊れたファイルの回復を手助けすることがあります。 この作業を効率的に行うには,頻繁に定期的な LSM ボリュームおよび LSM 構成データベースのバックアップ処理を行わなければなりません。 重大な障害 (たとえば,同じボリューム内の複数のディスクで障害が発生したり,ディスク・グループ用のアクティブな構成レコードを含むディスクに障害が発生した場合) の後にボリュームを復元する必要がある場合は,バックアップされたデータの他に,保存されている構成データベースも必要です。

LSM 構成データベースのバックアップについては,5.3.1 項を参照してください。

Tru64 UNIX システムでのバックアップと復元のオプションについての詳細は,『システム管理ガイド』を参照してください。 AdvFS を使用している場合は,『AdvFS 管理ガイド』も参照してください。

LSM コマンドでは,ボリューム・データの実際のバックアップは作成しませんが,ボリューム・データをバックアップで使用できるようにする方法を何通りか提供します。 多くの場合,ファイル・システムをアンマウントしたり,システムをシングルユーザ・モード (バックアップが完了する前にユーザがファイル・システムに書き込むことによる,バックアップ・データの破壊を防止する) に変更する必要はありません。

LSM ボリューム・データのバックアップを作成するために,以下のコマンドを使用できます。

RAID 5 ボリューム,またはミラー化できなかったりミラー化を選択していない単一連結プレックスまたはストライプ・プレックスを使用しているボリュームをバックアップする方法は,5.4.2.5 項を参照してください。

5.4.2.1    高速プレックス接続機能の概要

ミラー LSM ボリュームでは,高速プレックス接続機能を使用して,バックアップ用に使用できるボリューム・データの一時的なコピーが作成できます。 一時的なボリュームをバックアップで使用するため,オリジナル・ボリュームは実行が継続され,使用可能な状態を維持できます。

高速プレックス接続機能は,スタンドアロン・システムまたはクラスタ上のミラー・ボリューム (rootvolcluster_rootvol,カプセル化されたスタンドアロン・システム・パーティションとクラスタ単位のファイル・システム・ドメイン用のその他のボリュームを含む) で使用できます。 高速プレックス接続機能は,スワップ領域として使用されているミラー・ボリュームでは使用できません。

volassist コマンドには,高速プレックス接続機能を使用してバックアップ・ボリュームの作成と削除を行うための 2 つのキーワード snapfast および snapback があります。

図 5-1 に,高速プレックス接続操作前の 3 ウェイ・ミラー・ボリュームを示します。

図 5-1:  高速プレックス接続操作前のボリューム

完全な高速プレックス接続操作は,以下のフェーズに分かれています。

  1. volassist snapfast コマンドを実行すると,LSM はボリューム (プライマリ・ボリューム) に,少なくとも 2 つの完全な,読み書き可能なプレックスがあるかどうかを調べて,そのうち 1 つのプレックスを高速プレックス接続 (FPA) サポートの候補として選択します。 このプレックスが移行プレックスになります。 SNAPDONE (前の snapstart 操作の結果) 状態のプレックスがある場合,LSM はそれを移行プレックスとして使用します。

    ボリュームにプレックスが 1 つしかない場合は,コマンドは失敗します。 ボリュームにプレックスが 2 つしかない場合は,操作を行うとボリュームのプレックスが 1 つになってミラー化が行えなくなるため,force (-f) オプションを使用する必要があるというメッセージを表示して,コマンドは終了します。

    LSM は FPA サブディスクを作成し,それをプライマリ・ボリュームの FPA プレックス (plex-05) に接続します (図 5-2)。

    図 5-2:  volassist snapfast コマンドの処理: フェーズ 1

  2. LSM は移行プレックス用の FPA サブディスクを作成し,これを移行プレックスに FPA ログとして接続します。 そして,LSM はこの移行プレックスをプライマリ・ボリュームから切り離し,セカンダリ・ボリュームを作成します (図 5-3)。

    図 5-3:  volassist snapfast コマンドの処理: フェーズ 2

    LSM はディスク・グループ内の使用可能なディスク・スペースを,両方の FPA ログ用に使用します。 他に使用可能な適切な領域がない場合のみ,ホット・スペアとマークされているディスクを使用します。 LSM は予約済み (reserved) または揮発性 (volatile) とマークされているディスク・スペースは使用しません (これらの属性の説明は, voledit(8)voldisk(8) を参照してください)。

    両方のボリュームに書き込みが行われると,それぞれの FPA ログには変更されたリージョンが記録されます (図 5-4)。 移行プレックスに接続された FPA ログ・サブディスクは,セカンダリ・ボリュームへの変更を記録します (バックアップできるようにセカンダリ・ボリュームをマウントしたときの入出力操作など)。

    図 5-4:  プライマリおよびセカンダリの LSM ボリュームに対する書き込みの発生

  3. セカンダリ・ボリュームをバックアップします。

  4. バックアップが完了したら,移行プレックスを volassist snapback コマンドを使用してプライマリ・ボリュームに再接続します。

  5. LSM は FPA ログ・サブディスクをセカンダリ・ボリュームから削除し,プライマリ・ボリュームの FPA ログ・サブディスクとマージします (図 5-5)。

    図 5-5:  volassist snapback コマンドの処理: フェーズ 1

  6. LSM は移行プレックスをプライマリ・ボリュームに再接続し,セカンダリ・ボリュームに他にデータ・プレックスがなければ,それを削除します。 そしてマージした FPA ログに記録されているリージョンに従って,移行プレックスをプライマリ・ボリュームに再同期化させる処理を開始します (図 5-6)。

    図 5-6:  volassist snapback コマンドの処理: フェーズ 2

    セカンダリ・ボリュームに対して行われた書き込みは無視されます。 プライマリ・ボリュームの対応するリージョンが,戻される移行プレックスに書き込まれます。 また,ボリューム全体を再同期化する代わりに,その間に変更されたプライマリ・ボリュームのリージョンだけが,戻される移行プレックスに書き込まれます。 これによって,ボリュームの再同期化にかかる時間が大幅に短縮され,性能への影響が減少します。

    移行プレックスがなかった期間と,その間にプライマリ・ボリュームがアクティブであった量にもよりますが,各ボリュームのログでマークされているリージョンだけを再同期化する方が,ボリューム全体を再同期化するよりも高速です。

5.4.2.2    高速プレックス接続機能を使用したバックアップ・ボリュームの作成 (volassist snapfast と volassist snapback)

ミラー・ボリュームの 1 つのプレックスから一時的なバックアップ・ボリュームを作成するために,高速プレックス接続機能を使用することができます。 この機能は,ミラー分割とも呼ばれますが,正確にはミラーの切り離しです。 作業を開始する前に,ボリュームには少なくとも 2 つの完全な,使用可能なプレックスが必要です。 ボリュームに 2 つしかプレックスがない場合,1 つのプレックスが切り離されている間はミラー化されません。 この場合,プレックスを切り離すために,強制 (-f) オプションを使用する必要があります。

注意

特別な使用タイプ root を持つ rootvol のバックアップ・ボリュームを作成するときに高速プレックス接続機能を使用すると,LSM は,使用タイプ gen のバックアップ・ボリュームを作成します。 rootvol ボリュームしか,使用タイプ root を持てないからです。 volprint コマンドでは,rootvol のバックアップ・ボリュームに異なる使用タイプが表示されることがあります。 使用タイプはバックアップ操作には影響を与えません。

高速プレックス接続機能では,移行プレックス用のプレックスは指定できません。 使用するプレックスを制御するには,以下の手順を実行します。

高速プレックス接続機能を使用してボリュームをバックアップするには,以下の手順を実行します。

  1. バックアップしようとしているボリュームに,2 つ以上の完全に使用可能なプレックスがあることを確認します。 たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volprint -vht 3wayvol
    

    Disk group: rootdg
     
    V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
    PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    v  3wayvol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   1024     SELECT    -
    pl 3wayvol-01   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk0-01      3wayvol-01   dsk0     0        1024     0         dsk0     ENA
    pl 3wayvol-02   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk2-01      3wayvol-02   dsk2     0        1024     0         dsk2     ENA
    pl 3wayvol-03   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk7-02      3wayvol-03   dsk7     128      1024     0         dsk7     ENA
    pl 3wayvol-04   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
    sd dsk1-01      3wayvol-04   dsk1     0        65       LOG       dsk1     ENA
     
    

  2. 次のコマンドを入力して,プライマリ・ボリュームの高速プレックス接続ロギングを有効にし,必要なら強制 (-f) オプションを使用して 1 つのプレックスを切り離して,適当な名前を指定してセカンダリ・ボリュームを作成します。

    # volassist [-f] snapfast primary_vol secondary_vol
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volassist -f snapfast 3wayvol 3wayvol_bk
    

    LSM はプライマリ・ボリュームの 1 つのプレックスからセカンダリ・ボリュームを作成します。 ボリュームは次のようになります。

    v  3wayvol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   1024     SELECT    -
    pl 3wayvol-01   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk0-01      3wayvol-01   dsk0     0        1024     0         dsk0     ENA
    pl 3wayvol-02   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk2-01      3wayvol-02   dsk2     0        1024     0         dsk2     ENA
    pl 3wayvol-04   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
    sd dsk1-01      3wayvol-04   dsk1     0        65       LOG       dsk1     ENA
    pl 3wayvol-05   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   FPAONLY  CONCAT    -        RW
    sd dsk4-05      3wayvol-05   dsk4     524546   65       FPA       dsk4     ENA
     
    v  3wayvol_bk   fsgen        ENABLED  ACTIVE   1024     ROUND     -
    pl 3wayvol-03   3wayvol_bk   ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk0-03      3wayvol-03   dsk0     1152     65       FPA       dsk0     ENA
    sd dsk7-02      3wayvol-03   dsk7     128      1024     0         dsk7     ENA
     
    

  3. いずれかのバックアップ方式を使用して,セカンダリ・ボリュームをバックアップします。 詳細は,5.4.2.6 項を参照してください。

  4. バックアップが完了したら,次のように,移行プレックスをプライマリ・ボリュームに再接続します。

    # volassist snapback 3wayvol_bk 3wayvol
    

    セカンダリ・ボリュームにこれ以外のプレックスがなければ,このボリュームは完全に削除されます。

    FPA ログ・プレックスは,次に示すように,将来の snapfast 操作に備えてプライマリ・ボリュームに接続されたままになります。

    # volprint
    

    v  3wayvol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   1024     SELECT    -
    pl 3wayvol-01   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk0-01      3wayvol-01   dsk0     0        1024     0         dsk0     ENA
    pl 3wayvol-02   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk2-01      3wayvol-02   dsk2     0        1024     0         dsk2     ENA
    pl 3wayvol-03   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   1024     CONCAT    -        RW
    sd dsk7-02      3wayvol-03   dsk7     128      1024     0         dsk7     ENA
    pl 3wayvol-04   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
    sd dsk1-01      3wayvol-04   dsk1     0        65       LOG       dsk1     ENA
    pl 3wayvol-05   3wayvol      ENABLED  ACTIVE   FPAONLY  CONCAT    -        RW
    sd dsk4-05      3wayvol-05   dsk4     524546   65       FPA       dsk4     ENA
     
    

5.4.2.3    新しいプレックスの接続によるバックアップ・ボリュームの作成 (volassist snapstart と volassist snapshot)

以下の手順は,プレックスをボリュームに追加 (ボリュームのミラー化) してから,新しいプレックスを切り離し,バックアップ用の別のボリュームを作成する方法を説明しています。 プレックスの切り離しは,ミラー分割とも呼ばれます。 ここでは,新しいミラーを作成して切り離します。

このバックアップ方法では,ディスク・グループ内の使用可能なディスク・スペースを,ボリュームと同サイズの新しいプレックス用に使用します。 また,新しいプレックスを切り離してバックアップ・ボリュームを作成する前に,新しいプレックスをボリュームに完全に同期化させる時間が必要です。 しかし,このバックアップ方式ではプレックスをボリュームから切り離す必要がなくなるため,ミラー・ボリュームの冗長性を維持できます。

十分なディスク・スペースがない場合,またはボリュームをミラー化する必要がない場合は,5.4.2.5 項を参照してください。

新しいプレックスを追加してから切り離すことによって LSM ボリュームをバックアップするには,以下の手順を実行します。

  1. LSM ボリュームのサイズと,そのボリュームが使用しているディスクのサイズを表示します。

    # volprint -v [-g disk_group] volume
    

  2. ディスク・グループ内に,LSM ボリュームにプレックスを追加するのに十分な空きスペースがあることを確認します。

    # voldg [-g disk_group] free
    

    空きスペースの量は,少なくともボリュームのサイズに等しい必要があります。 また空きスペースは,バックアップしようとしているボリュームで使用されているディスク以外に存在している必要があります。

  3. 新しいプレックスをボリュームに追加します。 必要に応じて,使用するディスクを指定することもできます。

    # volassist snapstart volume [disk...]
    

    このステップによって完全な同期化が開始されます。 この操作には,ボリュームのサイズによっては数分以上かかることがあります。

  4. 新しいプレックスから,一時的なボリュームを作成します (キーワード snapshot を指定すると,新しいボリュームを作成するために,ステップ 4 で作成したプレックスが使用されます)。

    # volassist snapshot volume temp_volume
    

    以下の例では,ボリューム vol3 用に,一時的なボリューム vol3_backup を作成します。

    # volassist snapshot vol3 vol3_backup
    

  5. 一時的なボリュームを起動します。

    # volume start temp_volume
    

  6. いずれかのバックアップ方式を使用して,一時的なボリュームをバックアップします。 詳細は,5.4.2.6 項を参照してください。

  7. バックアップが完了したら,以下の手順のいずれかを実行します。

5.4.2.4    既存のプレックスの切り離しによるバックアップ・ボリュームの作成

この手順は,低レベル LSM コマンドの使用経験があり,前述の方法を使用しない特別な理由がある管理者だけにお勧めします。

使用可能なプレックスが 2 つしかないボリュームの場合,この手順によってプレックスを切り離している間,オリジナル・ボリュームはミラー化されません。

低レベル・コマンドを使用して既存のプレックスの 1 つから LSM ボリュームをバックアップするには,以下の手順を実行します。

  1. ボリュームの完全で使用可能なプレックスの 1 つの対応付けを解除します。 これによりプレックスには,対応付けを解除した時点の LSM ボリュームのイメージが残ります。

    # volplex dis plex
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volplex dis data-02
    

  2. 対応付けを解除したプレックスを使用して,一時的な LSM ボリュームを作成します。

    # volmake -U fsgen vol temp_volume plex=plex
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volmake -U fsgen vol data_temp plex=data-02
    

  3. 一時的なボリュームを起動します。

    # volume start temp_volume
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volume start data_temp
    

  4. いずれかのバックアップ方式を使用して,一時的なボリュームをバックアップします。 詳細は,5.4.2.6 項を参照してください。

  5. バックアップが完了したら,一時的なボリュームを停止し,削除します。

    # volume stop temp_volume
    # voledit -r rm temp_volume
    

  6. 対応付けを解除したプレックスをオリジナル・ボリュームに再接続します。

    # volplex att volume plex
    

    LSM は,対応付けを解除したプレックスを再接続するときに,自動的にプレックスを再同期化します。 この操作は,ボリュームのサイズによっては長い時間かかります。 この処理をバックグラウンドで実行すると,再同期化が完了するまで待たずに,すぐにシステムの制御が戻ってきます。

5.4.2.5    冗長性のないボリュームまたは RAID 5 ボリュームのバックアップ

ボリュームが RAID 5 プレックス・レイアウトを使用しているか,単一のストライプ・データ・プレックスまたは連結データ・プレックスのボリュームにミラーを追加できない場合は,バックアップしている間,すべてのアプリケーションがボリュームを使用しないようにするか,ボリュームが使用中でもバックアップを行うようにする必要があります。

バックアップしている間もボリュームを使用したままにすると,バックアップが完了する前にボリューム・データが変更される可能性があり,バックアップ・データがボリュームの内容の完全なコピーではなくなります。 以下の手順では,バックアップ中のデータ破壊のリスクを避けるために,ボリュームを停止しています。

冗長性のないボリュームまたは RAID 5 ボリュームをバックアップするには,以下の手順を実行します。

  1. 必要に応じて,都合の良い時間を選んで,ファイルを保存し,ボリュームをバックアップしている間は,バックアップするボリューム,あるいはそのボリュームを使用するアプリケーションやファイル・システムを使用しないようにユーザに通知します。

  2. ボリュームを停止します。

    # volume stop volume
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volume stop r5_vol
    

  3. いずれかのバックアップ方式を使用して,ボリュームをバックアップします。 詳細は,5.4.2.6 項を参照してください。

  4. バックアップが完了したら,ボリュームを再起動します。

    # volume start volume
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volume start r5_vol
    

  5. ユーザにボリュームが使用可能になったことを通知します (該当する場合)。

5.4.2.6    バックアップの実行

LSM ボリュームのバックアップには,以下のいずれかの方法が使用できます。

5.4.2.7    特別な場合: AdvFS ドメイン内の LSM ボリュームのバックアップ

AdvFS ドメインは,複数デバイス上のストレージ (複数 LSM ボリュームを含む) を使用できるため,ドメイン,ファイルセット,および AdvFS メタデータの状態を同時に取得することが,バックアップでは重要です。

注意

作業を始める前に,『AdvFS 管理ガイド』のバックアップと復元についての説明を読んでください。

以下の手順には,バックアップ LSM ボリュームを作成し終わるまでメタデータを一貫性のある状態で維持するために,一時的にドメインを凍結する操作が含まれています。 ドメインが凍結されている時間を最小にするには,必要に応じて 5.4.2.2 項5.4.2.3 項5.4.2.4 項 および 5.4.2.5 項 を参照し,各バックアップ・ボリュームを作成するために何を行わなくではならないか判断してください。 ディスク・グループ内の空きスペースの検出やボリュームへのミラーの追加など,前もって実行できる作業があります。

複数の LSM ミラー・ボリュームを使用している AdvFS ドメインをバックアップするには,以下の手順を実行します。

  1. ドメインを凍結します (省略時の凍結時間は,60 秒です)。 ドメインの任意のマウント・ポイントを凍結すると,ドメイン全体が凍結されます。

    # /usr/sbin/freezefs /mount_point
    

  2. ドメイン内の各 LSM ボリュームに対して,適切な手順を使用して,バックアップ・ボリュームを作成します。

  3. 凍結時間が経過していない場合は,ドメインを凍結解除します。

    # /usr/sbin/thawfs /mount_point
    

  4. 新しいドメイン・ディレクトリを作成し,新しく作成した LSM バックアップ・ボリュームを一時的なドメインにリンクします。

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # mkdir /etc/fdmns/my_dom_BK
    # ln -s /dev/vol/rootdg/vol_1_backup /etc/fdmns/my_dom_BK
    # ln -s /dev/vol/rootdg/vol_2_backup /etc/fdmns/my_dom_BK
    

    LSM ボリューム上のドメインの作成には,mkfdmn コマンドは使用しないでください。 使用すると,バックアップ LSM ボリュームが初期化され,ボリューム内の既存データが破壊されます。

  5. ルート・ディレクトリの階層に,一時的なバックアップ・ディレクトリを作成します。

    # mkdir /backup
    

  6. バックアップするドメイン内のファイルセットを表示します。

    # showfsets /etc/fdmns/my_dom
    

    my_files
            Id           : 3caa0e34.000ef531.1.8001
            Files        :      0,  SLim=      0,  HLim=     0
            Blocks (512) :      0,  SLim=      0,  HLim=     0
            Quota Status : user=off group=off
            Object Safety: off
            Fragging     : on
            DMAPI        : off
    

  7. 新しいドメイン内のファイルセットを一時的なバックアップ・マウント・ポイントに,二重にマウントします。

    # mount -o dual temp_domain#parent_fileset /backup
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # mount -o dual my_dom_BK#my_files /backup
    

  8. 一時的なドメインでバックアップを行います。

    # vdump [options] [backup_device] /backup
    

  9. バックアップが完了したら,一時的なドメインをアンマウントし,LSM ボリュームを停止させて削除します。

    # umount /backup
    # volume stop backup_volume...
    # voledit -fr rm backup_volume...
    

以下の例では,処理の全体を示しています。

# volprint -vht vol_1 vol_2
Disk group: rootdg
 
V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  vol_1        fsgen        ENABLED  ACTIVE   262144   SELECT    -
pl vol_1-01     vol_1        ENABLED  ACTIVE   262144   CONCAT    -        RW
sd dsk0-01      vol_1-01     dsk0     0        262144   0         dsk0     ENA
pl vol_1-02     vol_1        ENABLED  ACTIVE   262144   CONCAT    -        RW
sd dsk2-01      vol_1-02     dsk2     0        262144   0         dsk2     ENA
pl vol_1-03     vol_1        ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
sd dsk1-01      vol_1-03     dsk1     0        65       LOG       dsk1     ENA
 
v  vol_2        fsgen        ENABLED  ACTIVE   262144   SELECT    -
pl vol_2-01     vol_2        ENABLED  ACTIVE   262144   CONCAT    -        RW
sd dsk3-01      vol_2-01     dsk3     0        262144   0         dsk3     ENA
pl vol_2-02     vol_2        ENABLED  ACTIVE   262144   CONCAT    -        RW
sd dsk5-01      vol_2-02     dsk5     0        262144   0         dsk5     ENA
pl vol_2-03     vol_2        ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
sd dsk1-02      vol_2-03     dsk1     65       65       LOG       dsk1     ENA
 
# /usr/sbin/freezefs /data_1
# volassist -f snapfast vol_1 vol_1_backup
# volassist -f snapfast vol_2 vol_2_backup
# /usr/sbin/thawfs /ka
# cd /etc/fdmns
# mkdir data_dmn_bk
# ln -s /dev/vol/rootdg/vol_1_backup /etc/fdmns/data_dmn_bk
# ln -s /dev/vol/rootdg/vol_2_backup /etc/fdmns/data_dmn_bk
# mkdir /backup
# showfsets ka_dom
data_files1
        Id           : 3cadbee2.000aca16.1.8001
        Files        :        5,  SLim=        0,  HLim=        0
        Blocks (512) :    29340,  SLim=        0,  HLim=        0
        Quota Status : user=off group=off
        Object Safety: off
        Fragging     : on
        DMAPI        : off
 
# mount -o dual data_dmn_bk#data_files1 /backup
# vdump [options] [backup_device] /backup

5.4.3    バックアップからの LSM ボリュームの復元

LSM を復元する方法は,ボリュームの用途,ボリュームが構成されてアクティブな状態になっているかどうか,ボリューム・データのバックアップに使用した方法によって異なります。

dump コマンドで作成したバックアップから UFS ファイル・システムのボリュームを復元するには,次のコマンドを実行します。

# restore -Yf backup_volume

注意

オリジナル・ボリュームとバックアップ・ボリュームをマウントしておく必要があります。

構成データベースのバックアップ・コピーがある場合には,ボリュームが無くなっていても,ボリュームとその内容を復元できます (5.3.1 項を参照)。

無くなっているボリュームを復元するには,以下の手順を実行します。

  1. ボリュームを再作成します。

    # volrestore [-g disk_group] -v volume
    

    このコマンドによって,volsave コマンドで構成を保存したときに使用していたディスクと同じディスクに,ボリュームの構造が再作成されます。 この段階では,ディスク上のデータは正しくありません。

  2. ファイル・システムを再作成します。

    # newfs /dev/rvol/disk_group/volume
    

  3. ファイル・システムをマウントします。

    # mount /dev/vol/disk_group/volume /mount_point
    

  4. 再作成したファイル・システムにディレクトリを変更します。

    # cd /mount_point
    

  5. ボリューム・データを復元します。

    # restore -Yrf backup_volume
    

詳細は, restore(8), rrestore(8),および vrestore(8) を参照してください。

5.4.4    LSM ボリュームの起動

LSM はシステム・ブート時に,すべての起動可能なボリュームを自動的に起動します。 以下の LSM ボリュームは手作業で起動できます。

LSM ボリュームを起動するには,次のコマンドを入力します。

# volume [-g disk_group] start volume

ディスク・グループ内のすべてのボリュームを起動する (たとえば,ディスク・グループのインポート後) には,次のコマンドを入力します。

# volume -g disk_group startall

5.4.5    LSM ボリュームの停止

LSM はシステム・シャットダウン時に LSM ボリュームを自動的に停止します。 LSM ボリュームが不要になったときには,停止させた後に削除できます。 ファイル・システムで使用中の LSM ボリュームは停止できません。

LSM ボリュームを停止させるには,次のコマンドを実行します。

  1. ファイル・システムでの LSM ボリュームの使用を停止します (該当する場合)。

  2. LSM ボリュームを停止させます。

    # volume [-g disk_group] stop volume
    

    たとえば,ディスク・グループ dg1 の LSM ボリューム vol01 を停止させるには,次のコマンドを入力します。

    # volume -g dg1 stop vol01
    

    ディスク・グループのすべてのボリュームを停止させるには,次のコマンドを入力します。

    # volume -g disk_group stopall
    

5.4.6    LSM ボリュームの削除

LSM ボリュームを削除すると,そのボリューム内のデータは破棄されます。 LSM ボリューム内のデータが不要になった場合,またはデータを他の場所にバックアップした場合にのみ,LSM ボリュームを削除してください。 LSM ボリュームが削除されると,そのボリュームが占有していたスペースは,空きスペース・プールに戻されます。

注意

以下の手順でも,UFS ファイル・システムのカプセル化を解除できます。

LSM ボリュームを削除するには,以下の手順を実行します。

  1. ファイル・システムでの LSM ボリュームの使用を停止します (該当する場合)。

  2. 必要なシステム・ファイルを,以下のように編集します。

    これらの変更は,システムを再起動した後に有効になります。

    詳細は,『システム管理ガイド』と swapon(8) を参照してください。

  3. LSM ボリュームを停止させます。

    # volume [-g disk_group] stop volume
    

  4. LSM ボリュームを削除します。

    # voledit -r rm volume
    

    このステップによって,プレックスとサブディスク,それにボリューム自体が削除されます。

  5. カプセル化された UFS ファイル・システムがボリュームに含まれている場合,/etc/fstab ファイルを編集して,ボリューム名をディスク名に変更します。 たとえば,/dev/vol/rootdg/vol-dsk4g/dev/dsk4g に変更します。

5.4.6.1    AdvFS ドメインのカプセル化解除

AdvFS ドメインでの LSM ボリュームの使用を停止し,物理ディスクまたはディスク・パーティションを直接使用するように変更できます。 これをドメインのカプセル化解除といいます。

AdvFS ドメインのストレージをカプセル化解除するには,ドメインを最初にカプセル化したときに LSM によって作成されたスクリプトを使用できます。 このスクリプトには,LSM コマンドと一般的なオペレーティング・システム・コマンドの両方が含まれ,LSM ボリュームの削除,ディスクの LSM 制御からの解放,および /etc/fdmns ディレクトリ内のリンクのアップデートに必要なステップを実行します。

ドメイン内の各ディスクまたはストレージ・デバイスについて,1 つのスクリプトが保存されます。 ディスク・アクセス名を基にした次の形式の名前のサブディレクトリに保存されます。

/etc/vol/reconfig.d/disk.d/dsknp.encapdone/recover.sh

ドメインのストレージをカプセル化解除する場合は,正しいスクリプトを使用していることを確認してください。

注意

AdvFS ドメインのストレージをカプセル化解除する場合は,ファイルセットをアンマウントする必要があります。

AdvFS ドメインのカプセル化を解除するには,以下の手順を実行します。

  1. ドメイン内の LSM ボリュームの名前を調べます (通常はディスク名から派生した名前です)。

    # showfdmn domain
    

    たとえば,次のように表示されます。

                   Id              Date Created  LogPgs  Version  Domain Name
    3a65b2a9.0004cb3f  Wed Jan 17 09:56:41 2001     512        4  dom_1
     
    Vol   512-Blks        Free  % Used  Cmode  Rblks  Wblks  Vol Name
     1L    8380080     8371248      0%     on    256    256  /dev/vol/tempdg/vol-dsk26c
     
    

  2. ドメイン内のすべてのファイルセットを表示し,アンマウントします。 たとえば,ドメイン dom_1 内のファイルセットをアンマウントするには,次のコマンドを実行します。

    # mount
    root_domain#root on / type advfs (rw)
    /proc on /proc type procfs (rw)
    usr_domain#usr on /usr type advfs (rw)
    var_domain#var on /var type advfs (rw)
    mhs:/work on /work type nfs (v3, rw, udp, hard, intr)
    dom_1#junk on /junk type advfs (rw)
    dom_1#stuff on /stuff type advfs (rw)
    # umount /junk /stuff
    

  3. LSM ボリュームを停止させます。

    # volume stop volume
    

  4. 適切なカプセル化解除スクリプトがあるかどうかを調べます。

    # ls /etc/vol/reconfig.d/disk.d/
    dsk23c.encapdone  dsk24c.encapdone  dsk26c.encapdone  dsk27g.encapdone
    

  5. 適切なカプセル化解除スクリプトを実行します。 たとえば,ディスク dsk26c 上のドメイン dom_1 用のスクリプトを実行するには,次のコマンドを実行します。

    # sh /etc/vol/reconfig.d/disk.d/dsk26c.encapdone/recover.sh
    

  6. このスクリプトが利用できない場合は,以下の手順を実行します。

    1. ディレクトリをドメイン・ディレクトリに変更します。

      # cd /etc/fdmns/domain
      

    2. ボリュームへのリンクを削除します。

      # rm disk_group.volume
      

    3. リンクをディスク・デバイス・ファイルに置き換えます。

      # ln -s /dev/disk/dsknp
      

    4. LSM ボリュームを削除します。

      # voledit [g disk_group] -r rm volume
      

    5. ディスク・グループからディスク・メディア名を削除します。

      # voldg -g disk_group rmdisk dm_name
      

    6. LSM からディスク・アクセス名を削除します。

      # voldisk rm da_name
      

  7. ファイルセットをドメインにマウントし直します。

    # mount dom_1#junk /junk
    # mount dom_1#stuff /stuff
    

ドメインは使用可能になります。 ドメインに対する入出力操作は,LSM ボリュームの代わりに,ディスク・デバイス・パスを通じて行われるようになります。 これを確認するには,showfdmn コマンドを再度実行します。

# showfdmn dom_1

               Id              Date Created  LogPgs  Version  Domain Name
3a65b2a9.0004cb3f  Wed Jan 17 09:56:41 2001     512        4  dom_1
 
  Vol   512-Blks        Free  % Used  Cmode  Rblks  Wblks  Vol Name
   1L    8380080     8371248      0%     on    256    256  /dev/disk/dsk26c
 

5.4.7    LSM ボリュームでの高速プレックス接続機能の無効化

ボリューム上の FPA ロギングを使用しなくなった場合は,この機能を該当ボリュームで無効にすることができます。 FPA ロギングの機能を無効にしても,プライマリ・ボリュームから FPA ログは削除されません。 必要に応じて,後で再び FPA 機能を有効にできます。

ボリュームが FPA ログ・プレックスにアクティブにロギングを行っているとき (セカンダリ・ボリュームが存在する場合) に FPA 機能を無効にすると,ロギングが停止します。 その後,移行プレックスをプライマリ・プレックスに戻す (volassist snapback コマンドを使用) と,プレックスでは完全な再同期化が行われます。

ボリュームの FPA 機能を無効にするには,次のコマンドを入力します。

# volume set fpa=off volume

FPA ログ・プレックスを削除する方法は,5.5.6 項を参照してください。

5.4.8    LSM ボリューム名の変更

LSM ボリューム名は変更できます。 新しい LSM ボリューム名は,ディスク・グループ内で一意である必要があります。 LSM ボリュームがファイル・システムとして使用されるか,AdvFS ドメインの一部として使用される場合,/etc/fstab ファイルと /etc/fdmns ディレクトリ・エントリもアップデートする必要があります。

LSM ボリューム名を変更するには,次のコマンドを入力します。

# voledit rename old_volume new_volume

注意

システムを再起動する前に /etc ディレクトリ内の関連ファイルをアップデートしないと,それ以降,以前のボリューム名を使用するコマンドは失敗します。

5.4.9    LSM ボリュームの拡大

ボリューム・サイズの拡大は,拡大する量か,拡大後のサイズのいずれかで指定できます。 たとえば,プライマリ・スワップ領域ボリュームのサイズを拡大できます。 その際,ログ・プレックスのサイズは変更されません。

注意

AdvFS ファイル・システムで使用されるボリュームを拡大した後は,mount -o extend コマンドを使用して,LSM ボリュームに領域が追加されるようにドメインをアップデートします。 ドメインのサイズを大きくする方法は,『AdvFS 管理ガイド』と mount(8) を参照してください。

AdvFS 以外のファイル・システムでボリュームを使用している場合は,そのファイル・システムに必要なステップを実行し,増やした領域をそのファイル・システムで利用できるようにします。 詳細は,『システム管理ガイド 』, extendfs(8),および mount(8) を参照してください。

ファイル・システム以外のアプリケーションでボリュームを使用している場合,拡張操作を完了した後に,アプリケーションに必要な変更を行ってください。

5.4.9.1    拡大幅を指定しての LSM ボリュームの拡大

アクティブに FPA ログ・プレックスにロギングしているプライマリ・ボリュームまたはセカンダリ・ボリュームを拡張するには,-f オプションを指定します。

注意

アクティブな FPA ログを持つプライマリ・ボリュームまたはセカンダリ・ボリュームを拡大すると,その FPA ログは使用不能になります。 この場合,プライマリ・ボリュームに移行プレックスを再接続したときには,どのボリュームを拡大した場合でも,FPA ログが全く存在しなかったかのように,完全な再同期化が行われます。

-b オプションを使用すると,操作をバックグラウンドで実行させることができます。 これは,指定する growby の幅が大きく,ボリュームがミラー・プレックスまたは RAID5 プレックスを使用している場合は便利です。 これは,拡大操作の結果,再同期化が行われるためです。

ボリュームを指定した量だけ拡大するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] [-f] [-b] growby volume length_change

たとえば,ボリュームを 100K バイト拡大するには,次のコマンドを入力します。

# volassist -g dg1 growby myVol 100k

ボリュームは,growby 操作の前後で,次のようになります。

# volprint -g dg1 -vht dataVol

V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  dataVol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   400      SELECT    dataVol-01
pl dataVol-01   dataVol      ENABLED  ACTIVE   512      STRIPE    2/128    RW
sd dsk4-01      dataVol-01   dsk4     0        256      0/0       dsk4     ENA
sd dsk5-01      dataVol-01   dsk5     0        256      1/0       dsk5     ENA
 

# volassist -g dg1 growby dataVol 100k
# volprint -vht -g dg1 dataVol

V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  dataVol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   600      SELECT    dataVol-01
pl dataVol-01   dataVol      ENABLED  ACTIVE   768      STRIPE    2/128    RW
sd dsk4-01      dataVol-01   dsk4     0        384      0/0       dsk4     ENA
sd dsk5-01      dataVol-01   dsk5     0        384      1/0       dsk5     ENA
 

この場合,LSM は同じディスク上の連続領域を使用してサブディスクを拡大できました。 ボリューム内のサブディスクがディスクの公用リージョンの最後にマップされている場合,LSM はディスク・グループ内の利用可能な領域を使用し,新しいサブディスクを作成して,ボリュームのプレックスに対応させます。

5.4.9.2    指定したサイズへの LSM ボリュームの拡大

アクティブに FPA ログ・プレックスにロギングしているプライマリ・ボリュームまたはセカンダリ・ボリュームを拡張するには,-f オプションを指定します。

注意

アクティブな FPA ログを持つプライマリ・ボリュームまたはセカンダリ・ボリュームを拡大すると,FPA ログが使用不能になります。 この場合,プライマリ・ボリュームに移行プレックスを再接続したときには,どのボリュームが拡大された場合でも,FPA ログが全く存在しなかったかのように,完全な再同期化が行われます。

-b オプションを使用すると,操作をバックグラウンドで実行させることができます。 これは,指定する growto が大きく,ボリュームがミラー・プレックスまたは RAID5 プレックスを使用している場合は便利です。 これは,拡大操作の結果,再同期化が行われるためです。

ボリュームを特定のサイズに拡大するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] [-f] [-b] growto volume new_length

たとえば,ボリュームを 1MB から 2MB に拡大するには,次のコマンドを入力します。

# volassist -g dg1 growto vol_A 2m

ボリュームは,growto 操作の前後で,次のようになります。

# volprint -vht -g dg1 vol_A

V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  vol_A        fsgen        ENABLED  ACTIVE   2048     SELECT    vol_A-01
pl vol_A-01     vol_A        ENABLED  ACTIVE   2048     STRIPE    2/128    RW
sd dsk6-01      vol_A-01     dsk6     0        1024     0/0       dsk6     ENA
sd dsk7-01      vol_A-01     dsk7     0        1024     1/0       dsk7     ENA
 

# volassist -g dg1 growto vol_A 2m
# volprint -vht -g dg1 vol_A

V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  vol_A        fsgen        ENABLED  ACTIVE   4096     SELECT    vol_A-01
pl vol_A-01     vol_A        ENABLED  ACTIVE   4096     STRIPE    2/128    RW
sd dsk6-01      vol_A-01     dsk6     0        2048     0/0       dsk6     ENA
sd dsk7-01      vol_A-01     dsk7     0        2048     1/0       dsk7     ENA
 

この場合,LSM は同じディスク上の連続領域を使用してサブディスクを拡大できました。 ボリューム内のサブディスクがディスクの公用リージョンの最後にすでにマップされている場合,LSM はディスク・グループ内の利用可能な領域を使用し,新しいサブディスクを作成して,ボリュームのプレックスに対応させます。 別の方法として,LSM が新しいサブディスクを作成するために使用するディスクを指定することもできます。

以下の例は,LSM が使用するディスクを指定した場合を示しています。

# volassist -g dg1 growto dataVol 100k dsk9 dsk10
# volprint -vht -g dg1 dataVol

V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
 
v  dataVol      fsgen        ENABLED  ACTIVE   800      SELECT    dataVol-01
pl dataVol-01   dataVol      ENABLED  ACTIVE   1024     STRIPE    2/128    RW
sd dsk4-01      dataVol-01   dsk4     0        384      0/0       dsk4     ENA
sd dsk9-01      dataVol-01   dsk9     0        128      0/384     dsk9     ENA
sd dsk5-01      dataVol-01   dsk5     0        384      1/0       dsk5     ENA
sd dsk10-01     dataVol-01   dsk10    0        128      1/384     dsk10    ENA
 

LSM は,dsk9 上に作成したサブディスクを最初のカラム (カラム 0) の最後に追加し,dsk10 上に作成したサブディスクを 2 番目のカラム (カラム 1) の最後に追加しています。

5.4.10    LSM ボリュームの縮小

ボリューム・サイズの縮小は,縮小する量か,縮小後のサイズのいずれかで指定できます。 ログ・プレックスのサイズは変更されません。

注意

詳細は,『システム管理ガイド』を参照してください。

ファイル・システム以外のアプリケーションでボリュームを使用している場合,LSM ボリュームの縮小操作を行う前に,アプリケーションに必要な変更を行ってください。

注意

アクティブな FPA ログを持つプライマリ・ボリュームまたはセカンダリ・ボリュームを縮小すると,FPA ログが使用不能になります。 この場合,プライマリ・ボリュームに移行プレックスを再接続したときには,どのボリュームが縮小された場合でも,FPA ログが全く存在しなかったかのように,完全な再同期化が行われます。

5.4.10.1    縮小幅を指定しての LSM ボリュームの縮小

ボリュームを指定した量だけ縮小するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] -f shrinkby volume length_change

たとえば,ボリュームを 100K バイト縮小するには,次のコマンドを入力します。

# volassist -g dg1 -f shrinkby dataVol 100k

5.4.10.2    指定したサイズへの LSM ボリュームの縮小

ボリュームを特定のサイズに縮小するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] -f shrinkto volume new_length

たとえば,ボリュームを 2MB から 1MB に縮小するには,次のコマンドを入力します。

# volassist -g dg1 -f shrinkto vol_A 1m

5.4.11    LSM ボリュームのパーミッション,ユーザ,およびグループの属性の変更

省略時の設定では,LSM ボリューム用のデバイス特殊ファイルは,所有者にだけ読み書きを許すパーミッションで作成されます。 raw 入出力操作を行うデータベースその他のアプリケーションでは,異なる設定のパーミッション,ユーザ,およびグループの属性が必要になる場合があります。

注意

LSM ボリュームのパーミッション,ユーザ,およびグループの属性の変更には,chmodchown,または chgrp コマンドの代わりに,LSM コマンドを使用します。 LSM コマンドを使用すると,これらの属性の設定が,LSM オブジェクトのすべての設定を記録している LSM データベースに保存されます。

Tru64 UNIX のユーザ,グループ,およびパーミッションの属性を変更するには,次のコマンドを入力します。

# voledit [-g disk_group] set \
user=username group=groupname mode=permission volume

次の例では,ディスク・グループ rootdg の LSM ボリューム vol01 のユーザ,グループ,およびパーミッションの属性を変更しています。

# voledit set user=new_user group=admin mode=0600 vol01

5.5    プレックスの管理

以降の項では,LSM コマンドを使用してプレックスを管理する方法について説明します。

5.5.1    プレックス情報の表示

すべてのプレックスの一般的な情報を表示するには,次のコマンドを入力します。

# volprint -pt

Disk group: rootdg
 
PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
 
pl ka1-01       ka1          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl ka2-01       ka2          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl ka3-01       ka3          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl ka4-01       ka4          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl rootvol-01   rootvol      ENABLED  ACTIVE   524288   CONCAT    -        RW
pl swapvol-01   swapvol      ENABLED  ACTIVE   520192   CONCAT    -        RW
pl tst-01       tst          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl tst-02       tst          ENABLED  ACTIVE   2097152  CONCAT    -        RW
pl tst-03       tst          ENABLED  ACTIVE   LOGONLY  CONCAT    -        RW
pl vol-dsk25g-01 vol-dsk25g  ENABLED  ACTIVE   2296428  CONCAT    -        RW
pl vol-dsk25h-01 vol-dsk25h  ENABLED  ACTIVE   765476   CONCAT    -        RW
 

特定のプレックスについて詳細情報を表示するには,次のコマンドを入力します。

# volprint -lp plex 
 

Disk group: rootdg
 
Plex:     tst-01
info:     len=2097152
type:     layout=CONCAT
state:    state=ACTIVE kernel=ENABLED io=read-write
assoc:    vol=tst sd=dsk0-01
flags:    complete

5.5.2    データ・プレックスの追加 (LSM ボリュームのミラーリング)

データ・プレックスをボリュームに追加して,ボリュームのデータをミラー化することができます。 ミラーを作成するのにボリュームがすでに使用しているディスクは使用できません。 1 つのボリュームの最大プレックス数は,データ・プレックスとログ・プレックスを任意に組合わせて,32 個です。

LSM が使用するディスクを指定してプレックスを追加する操作は,LSM ボリュームを性能の良いディスクに移動する方法の 1 つです。 また,一時的にプレックスを追加して,オリジナル・プレックスのディスクを修理したり,交換したりできます。

プレックスをボリュームに追加すると,ボリューム・データは新しいプレックスにコピーされます。 この処理には,ボリュームのサイズによって,数分から数時間かかります。

注意

スタンドアロン・システムのブート・ディスクとプライマリ・スワップ領域 (rootvolswapvol) 用のボリュームをミラー化するには,volrootmir コマンドを使用する必要があります (3.4.1 項)。 volrootmir コマンドは,システムがルート・ファイル・システム・ボリュームのいずれのミラーからもブートできるようにする特殊な操作を行います。

データ・プレックスを追加するには,次のコマンドを実行します。

# volassist mirror volume [disk]

注意

データ・プレックスを追加しても,そのボリュームには DRL プレックスは追加されません。 ミラー・プレックスを持つボリュームには,スワップ領域以外は,DRL プレックスが必要です。 DRL プレックスをボリュームに追加する方法は,5.5.3 項を参照してください。

5.5.3    ログ・プレックスの追加

ミラー化データ・プレックスまたは RAID5 データ・プレックスのあるボリュームに,ログ・プレックス (DRL プレックスまたは RAID5 ログ・プレックス) を追加できます。 LSM はボリュームのサイズに適したサイズのログを自動的に作成します (省略時の設定では,ボリューム・サイズ 1GB につき,65 ブロック)。

注意

DRL プレックスは,rootvol (スタンドアロン・システム),cluster_rootvol (クラスタ・システム),および任意のスワップ・ボリューム (スタンドアロン・システムとクラスタ・システム) ではサポートされません。

性能を向上し,ディスク障害時のデータとログの紛失のリスクを避けるために,ボリュームのデータ・プレックス (可能であれば,他のボリュームのログをまだサポートしていないディスク) 上にログ・プレックスを作成します。

ディスク・グループ内の任意の領域を使用して,ボリュームにログ・プレックスを追加するには,次のコマンドを入力します。

# volassist [-g disk_group] addlog volume [disk]

ディスクを指定してボリュームにログを追加するには,次のコマンドを実行します。

  1. そのディスクが同じボリュームで使用されていないことを確認します。

    # volprint -vht volume
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volprint -vht genvol
    

    Disk group: rootdg
     
    TY NAME         ASSOC        KSTATE   LENGTH   PLOFFS   STATE    TUTIL0  PUTIL0
    v  genvol       gen          ENABLED  204800   -        ACTIVE   -       -
    pl genvol-01    genvol       ENABLED  204800   -        ACTIVE   -       -
    sd dsk19-02     genvol-01    ENABLED  204800   0        -        -       -
    pl genvol-02    genvol       ENABLED  204800   -        ACTIVE   -       -
    sd dsk5-01      genvol-02    ENABLED  204800   0        -        -       -
     
    

    上記の出力では,ボリューム genvol は,ディスク dsk19 および dsk5 上の領域をデータ・プレックス用に使用しています。

  2. 必要に応じて (ただし推奨します),そのディスクがすでに他のボリュームのログ・プレックスをサポートしていないことを確認します。

    # volprint -ht | grep disk
    

    たとえば,次のコマンドを実行します。

    # volprint -ht | grep dsk5
    

    sd dsk5-03      fsvol-03     dsk5     322912   245760   0         dsk5     ENA
    sd dsk5-01      genvol-01    dsk5     118112   204800   0         dsk5     ENA
    sd dsk5-02      vol_r5-01    dsk5     32768    85344    4/0       dsk5     ENA
     
    

    上記の出力では,dsk5 上の領域はボリューム fsvolgenvol,および vol_r5 で使用されていますが,これらのボリュームのログ用には使用されていません。 しかし,dsk5 はすでに多用されているため,新しいログ・プレックスの候補に適しているとはいえません。

  3. 適切なディスクを指定して,ボリュームにログ・プレックスを追加するには,次のコマンドを使用します。

    # volassist [-g disk_group] addlog volume disk
    

    たとえば,rootdg ディスク・グループ内の別のボリュームで使用されていないディスク dsk11 上のボリューム genvol にログ・プレックスを追加するには,次のコマンドを入力します。

    # volassist addlog genvol dsk11
    

5.5.4    FPA プレックスの追加

ボリュームに複数のダーティ・リージョン・ログ (DRL) を追加できるのと同様に,ミラー・ボリュームに 1 つ以上の高速プレックス接続 (FPA) ログを追加して,FPA ログに冗長性を持たせることができます。

FPA ロギングは,スタンドアロン・システムとクラスタの任意のミラー・ボリューム (rootvolcluster_rootvol を含む) でサポートされますが,スワップ領域に使用されているボリュームではサポートされません。

注意

移行プレックスがボリュームから切り離されている間 (セカンダリ・ボリュームに接続されている間) は,ボリュームに FPA ログを追加できません。

ボリュームに DRL ログがある場合,FPA ログの長さは DRL ログの長さと同じになります。 ボリュームに DRL ログがない場合は,最初の FPA ログをミラー・ボリュームに追加するときに,ログの長さを loglen=length 属性で,FPA ログの個数を nfpalog=count 属性で指定できます。 また,使用できるディスクと使用できないディスクを指定することもできます。 ストレージを除外するには,! プレフィックスを使用します (C シェルでは,\!)。

必要に応じて FPA ログ・プレックスの個数や使用するディスクを指定して,ボリュームに FPA ログ・プレックスを追加するには,次のコマンドを入力します。

# volassist addfpa volume [nfpalog=count] [disk...]

たとえば,ディスク dsk5 および dsk6 上の 2 つの FPA ログ・プレックスをボリューム dvol_01 に追加するには,次のコマンドを入力します。

# volassist addfpa dvol_1 [nfpalog=2] dsk5 dsk6

ボリュームは次のようになります。

Disk group: rootdg
 
TY NAME         ASSOC        KSTATE   LENGTH   PLOFFS   STATE    TUTIL0  PUTIL0
v  dvol_1       fsgen        ENABLED  245760   -        ACTIVE   -       -
pl dvol_1-01    dvol_1       ENABLED  245760   -        ACTIVE   -       -
sd dsk1-01      dvol_1-01    ENABLED  245760   0        -        -       -
pl dvol_1-02    dvol_1       ENABLED  245760   -        ACTIVE   -       -
sd dsk2-01      dvol_1-02    ENABLED  245760   0        -        -       -
pl dvol_1-03    dvol_1       ENABLED  LOGONLY  -        ACTIVE   -       -
sd dsk1-02      dvol_1-03    ENABLED  65       LOG      -        -       -
pl dvol_1-04    dvol_1       ENABLED  FPAONLY  -        ACTIVE   -       -
sd dsk5-01      dvol_1-04    ENABLED  65       FPA      -        -       -
pl dvol_1-05    dvol_1       ENABLED  FPAONLY  -        ACTIVE   -       -
sd dsk6-01      dvol_1-05    ENABLED  65       FPA      -        -       -
 

volassist snapfast コマンドを使用してバックアップ・ボリュームを作成した場合は (5.4.2.2 項),LSM はプライマリ・ボリュームに対する変更を,そのボリュームに対応するすべての FPA ログに記録します。

5.5.5    プレックスの切り離し

プレックスを切り離しても,プレックスのボリュームへの対応付けは保持されたままです。 プレックスは,一時的な操作のために切り離し,その後,同じボリュームへ再接続することができます。

注意

ミラー・ボリュームから 1 つのデータ・プレックスを残して他のすべてのデータ・プレックスを切り離すと,そのボリュームのデータには冗長性がなくなります。

次の点に注意してください。

プレックスをボリュームから切り離すには,次のコマンドを入力します。

# volplex [-f] det plex

プライマリ・ボリュームから,ボリュームの最後の完全で有効なデータ・プレックス,または FPA ログ・プレックスを切り離すには,強制 (-f) オプションを指定します。

5.5.6    プレックスの対応付けの解除

プレックスの対応付けを解除すると,ボリュームとの関係が削除されます。 ボリュームからプレックスの対応付けを解除して,ボリュームのミラー化を解除できます (データ・プレックスを 1 つだけ残してすべて削除)。 または,プレックスを完全に削除し,解放されたディスク・スペースを別の目的で使用するために,ボリュームのミラーまたはログの個数を減らすことができます。 そのために,1 つのコマンドで,対応付けの解除と,プレックスおよびそのコンポーネントの再帰的な削除が行えます。 また,プレックスの対応付けを解除し,たとえばボリュームをバックアップするための,別のボリュームを作成するためにそのプレックスを使用することができます。

注意

ミラー・ボリュームをバックアップするために推奨される方法は,volassist snapfast コマンド (FPA ロギングを使用),または volassist snapshot コマンドを使用する方法です。 詳細は,5.4.2 項を参照してください。

次の点に注意してください。

注意

ミラー・ボリュームから 1 つのデータ・プレックスを残して他のすべてのデータ・プレックスの対応を解除すると,そのボリュームのデータには冗長性がなくなります。

ボリュームから最後のデータ・プレックスを削除する (ボリュームを完全に削除する) には,5.4.6 項を参照してください。

ボリュームからプレックスの対応を解除するには,次のコマンドを入力します。

# volplex [-f] dis plex

プライマリ・ボリュームから,ボリュームの最後の完全で有効なデータ・プレックス,または FPA ログ・プレックスの対応付けを解除するには,強制 (-f) オプションを指定します。

ボリュームからプレックスの対応付けを解除して再帰的にプレックスを削除するには,次のコマンドを入力します。

# volplex [-f] -o rm dis plex

再帰的にプレックスの対応付けを解除すると,プレックスとそのサブディスクの両方が削除されます。 ディスクは LSM 制御下のままです。

5.5.7    プレックスの再接続

データ・プレックスやログ・プレックスを,ボリュームから切り離したり,対応付けを解除した (しかし,再帰的に削除はしない) 場合は,ボリュームに再接続できます。 切り離したプレックスは,元のボリュームにのみ,再接続できます。

切り離したデータ・プレックスやログ・プレックスをボリュームに再接続するには,次のコマンドを入力します。

# volrecover volume

対応付けを解除したデータ・プレックスやログ・プレックスをボリュームに再接続するには,次のコマンドを入力します。

# volplex att volume plex

5.5.8    LSM ボリュームのプレックス・レイアウトの変更

1 つ以上の連結プレックスまたはストライプ・プレックスを使用しているボリュームでは,プレックス・レイアウトを連結とストライプの間で切り替えることができます。 たとえば,性能を改善するために,連結プレックスをストライプ・プレックスにすることができます。

必要な手順には,ボリュームへのプレックスの追加と,その後のオリジナル・プレックスのボリュームとの対応付けの解除が含まれます。

5.5.8.1    プレックス・レイアウトの連結からストライプへの変更

ボリュームのプレックス・レイアウトを連結からストライプに変更するには,以下の手順を実行します。

  1. プレックス・レイアウトを変更するボリュームのサイズを表示します。

    # volprint [-g diskgroup] -ht volume
    

    Disk group: rootdg
     
    V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
    PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    v  volC         fsgen        ENABLED  ACTIVE   204800   SELECT    -
    pl volC-01      volC         ENABLED  ACTIVE   204800   CONCAT    -        RW
    sd dsk2-01      volC-01      dsk2     0        204800   0         dsk2     ENA
     
    

    この例では,ボリューム volC には,204800 セクタ (100 MB) の連結データ・プレックスが 1 つあります。

  2. ボリュームをミラー化するのに十分な領域が同じディスク・グループにあることを確認します。

    # voldg [-g disk_group] free
    

  3. 必要な特性を持った新しいプレックスを,ボリュームに追加します。

    たとえば,ボリューム volC をストライプ・ボリュームに変換し,カラム数と,必要に応じて LSM が使用するディスクも指定して,ストライプ・プレックスをそのボリュームに追加するには,次のコマンドを実行します。

    # volassist -g dg1 mirror volC layout=stripe \
    ncolumn=2 [disk...]
    

    ボリュームは以下のようになります。 元の連結プレックスと新しいストライプ・プレックスがあります。

    # volprint -g dg1 -ht volC
    

    Disk group: dg1
     
    V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
    PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    v  volC         fsgen        ENABLED  ACTIVE   204800   SELECT    volC-02
    pl volC-01      volC         ENABLED  ACTIVE   204800   CONCAT    -        RW
    sd dsk2-01      volC-01      dsk2     0        204800   0         dsk2     ENA
    pl volC-02      volC         ENABLED  ACTIVE   204800   STRIPE    2/128    RW
    sd dsk3-01      volC-02      dsk3     0        102400   0/0       dsk3     ENA
    sd dsk5-01      volC-02      dsk5     0        102400   1/0       dsk5     ENA
     
    

  4. ボリュームから元のプレックスを削除し対応を解除します。

    # volplex [-g diskgroup] -o rm dis old_plex
    

    たとえば,元の連結プレックス volC-01volC から削除するには,次のコマンドを入力します。

    # volplex -g dg1 -o rm dis volC-01
    

ボリュームにプレックスが 1 つだけあり,volassist mirror コマンドで別のプレックスを追加した場合,新しいプレックスは現在のプレックスと同じレイアウトになります (ディスク・グループの空き領域とその他の制約に従います)。

ボリュームに元のレイアウト・タイプのプレックスがまだある場合,新しいレイアウトで新しいプレックスを追加し,元のプレックスを削除するプロセスを,すべてのプレックスのレイアウトが新しくなるまで繰り返します。

ダーティ・リージョン・ログ (5.5.3 項) がボリュームにない場合,これも追加することができます。

5.5.8.2    プレックス・レイアウトのストライプから連結への変更

ボリュームのプレックス・レイアウトをストライプから連結に変更するには,以下の手順を実行します。

  1. プレックス・レイアウトを変更するボリュームのサイズを表示します。

    # volprint [-g disk_group] -ht volume
    

    Disk group: dg1
     
    V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
    PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    v  volS         fsgen        ENABLED  ACTIVE   204800   SELECT    volS-01
    pl volS-01      volS         ENABLED  ACTIVE   204800   STRIPE    4/128    RW
    sd dsk10-01     volS-01      dsk10    0        51200    0/0       dsk10    ENA
    sd dsk11-01     volS-01      dsk11    0        51200    1/0       dsk11    ENA
    sd dsk12-01     volS-01      dsk12    0        51200    2/0       dsk12    ENA
    sd dsk14-01     volS-01      dsk14    0        51200    3/0       dsk14    ENA
     
    

    この例では,ボリューム volS には,204800 セクタ (100 MB) のストライプ・データ・プレックスが 1 つあります。

  2. ボリュームをミラー化するのに十分な領域が同じディスク・グループにあることを確認します。

    # voldg [-g disk_group] free
    

  3. 必要な特性を持った新しいプレックスを,ボリュームに追加します。

    たとえば,ボリューム volS を連結ボリュームに変換し,必要に応じて LSM が使用するディスクも指定して,連結ミラーをそのボリュームに追加するには,次のコマンドを実行します。

    # volassist -g dg1 mirror volS layout=nostripe [disk...]
    

    ボリュームは以下のようになります。 元のストライプ・プレックスと新しい連結プレックスがあります。

    # volprint -g dg1 -ht volS
    

    Disk group: dg1
     
    V  NAME         USETYPE      KSTATE   STATE    LENGTH   READPOL   PREFPLEX
    PL NAME         VOLUME       KSTATE   STATE    LENGTH   LAYOUT    NCOL/WID MODE
    SD NAME         PLEX         DISK     DISKOFFS LENGTH   [COL/]OFF DEVICE   MODE
     
    v  volS         fsgen        ENABLED  ACTIVE   204800   SELECT    volS-01
    pl volS-01      volS         ENABLED  ACTIVE   204800   STRIPE    4/128    RW
    sd dsk10-01     volS-01      dsk10    0        51200    0/0       dsk10    ENA
    sd dsk11-01     volS-01      dsk11    0        51200    1/0       dsk11    ENA
    sd dsk12-01     volS-01      dsk12    0        51200    2/0       dsk12    ENA
    sd dsk14-01     volS-01      dsk14    0        51200    3/0       dsk14    ENA
    pl volS-02      volS         ENABLED  ACTIVE   204800   CONCAT    -        RW
    sd dsk19-01     volS-02      dsk19    0        204800   0         dsk19    ENA
     
    

  4. ボリュームから元のプレックスを削除し対応を解除します。

    # volplex [-g disk_group] -o rm dis old_plex
    

    たとえば,元のストライプ・プレックス volS-01volS から削除するには,次のコマンドを入力します。

    # volplex -g dg1 -o rm dis volS-01
    

ボリュームにプレックスが 1 つだけあり,volassist mirror コマンドで別のプレックスを追加した場合,新しいプレックスは現在のプレックスと同じレイアウトになります (ディスク・グループの空き領域とその他の制約に従います)。

ボリュームに元のレイアウト・タイプのプレックスがまだある場合,新しいレイアウトで新しいプレックスを追加し,元のプレックスを削除するプロセスを,すべてのプレックスのレイアウトが新しくなるまで繰り返します。

ダーティ・リージョン・ログ (5.5.3 項) がボリュームにない場合,これも追加することができます。

5.6    サブディスクの管理

以降の項では,LSM コマンドを使用してサブディスクを管理する方法について説明します。

5.6.1    サブディスク情報の表示

5.6.2    サブディスクの結合

複数のサブディスクを結合して,1 つの大きなサブディスクにすることができます。 複数のサブディスクが,同じプレックスに属し,同じディスク内の隣接する領域にある場合だけ結合できます。 ストライプ・プレックスのあるボリュームでは,サブディスクは同じカラム内になければなりません。 結合されたサブディスクは,新しいサブディスク名にすることも,結合されたサブディスクのどちらかの名前のままにすることもできます。

サブディスクを結合するには,次のコマンドを入力します。

# volsd join subdisk1 subdisk2 new_subdisk

5.6.3    サブディスクの分割

1 つのサブディスクを分割して,2 つの小さいサブディスクにすることができます。 分割が完了すると,小さいサブディスク内のデータを,別のディスクに移動することができます。 この処理は,ボリュームの再編成や,性能の改善に役立ちます。 新しい,小さいサブディスクは,オリジナルのサブディスクが存在していたディスクの同じリージョン内の隣接するリージョンになります。

1 番目のサブディスクのサイズを指定しなければなりません。 2 番目のサブディスクは,オリジナルのサブディスクの残りのスペースになります。

分割するサブディスクに対応付けられたプレックスがある場合,分割後のサブディスクはどちらも,同じプレックスに対応付けられます。 ログ・サブディスクを分割することはできません。

5.6.4    別のディスクへのサブディスクの移動

サブディスク内のデータを別のディスクに移動して,性能を改善することができます。 オリジナルのサブディスク内のデータが使用していたディスク・スペースは,空きスペース・プールに戻されます。

サブディスク内のデータを移動する前に,次の条件を満たしていることを確認してください。

サブディスク上のデータを別のサブディスクに移動するには,次のコマンドを入力します。

  1. 移動したいサブディスクのサイズを表示します。

    # volprint subdisk
    

    たとえば,次のように入力します

    # volprint -l dsk20-01
    

    Disk group: dg1
     
    Subdisk:  dsk20-01
    info:     disk=dsk20 offset=0 len=204800
    assoc:    vol=volS plex=volS-01 (offset=0)
    flags:    enabled
    device:   device=dsk20 path=/dev/disk/dsk20g diskdev=81/1350
    

  2. 別のディスクに同じサイズの新しいサブディスクを作成します。

    # volmake [-g diskgroup] sd subdisk_name disk len=length
    

    たとえば,次のように入力します。

    # volmake -g dg1 sd dsk11-01 dsk11 len=204800
    

  3. 古いサブディスクのデータを新しいサブディスクに移動します。

    # volsd mv source_subdisk target_subdisk
    

    たとえば,次のように入力します。

    # volsd -g dg1 mv dsk20-01 dsk11-01
    

    この結果,古いサブディスクがいずれのボリュームとも対応付けられずに残されます。 必要でない場合は,このサブディスクを削除することができます (5.6.5 項)。 サブディスクを削除すると,そのスペースが空きプールに戻されます。

5.6.5    サブディスクの削除

LSM ボリュームに対応付けられていないサブディスクや,LSM ボリュームが必要としていないサブディスクを削除できます。 サブディスクを削除すると,そのディスク・スペースはディスク・グループ内の空きスペース・プールに戻されます。 サブディスクを削除するには,プレックスやボリュームからサブディスクの対応付けを解除してから,削除しなければなりません。

サブディスクを削除するには,次の手順に従います。

  1. サブディスクの情報を表示して,ボリュームとプレックスの対応付けを調べます。

    # volprint -l subdisk
    

  2. 次のいずれかの操作を行って,サブディスクを削除します。