B    Storage Administrator GUI の理解とカスタマイズ

この付録では,Storage Administrator の実行状態を追跡する方法,Storage Administrator のダイアログ・ボックスの使用方法,オブジェクトとオブジェクトのプロパティの表示方法,Storage Administrator GUI の操作を効率的に実行するショートカットの使用方法について説明します。 Storage Administrator で LSM または AdvFS のオブジェクトに対して個々のタスクを実行する方法についての詳細は,付録 A を参照してください。

B.1    Storage Administrator の実行状態の追跡

Storage Administrator には,次の 3 つのログ・ファイルがあります。

省略時の設定では,ログ保守シェル・スクリプト /usr/lib/java/applications/lsmsa/logMaintenance を 1 週間に 1 回実行し,各ログ・ファイルを圧縮して保存します。 圧縮ファイルは,logfilename.gz.X というファイルに保存されます。 ここで,X はバージョン番号です。 前の週に保存されたファイルのサフィックスは,翌週に 1 つ増加され(X+1となり),logfilename.gz.1 が新しく作成されます。 ファイルは 10 週間保存されます。 ルートの crontabファイルを編集して,保存するファイルの数を変更することができます。

B.1.1    コマンド・ログ・ファイルの概要

コマンド・ログ・ファイルには,Storage Administrator の各タスクの説明と,タスクを実行したユーザ名,タスクの状態,開始時間と終了時間,およびタスクの実行に使用したコマンドなどの情報が収められています。 省略時のコマンド・ログは,/var/lsmsa/logs/command です。

次の例は,ボリュームの作成に成功したときの,コマンドのログ・エントリを示しています。

Create Volume
Description: Create Volume
User: root
Started: Fri Mar 09 12:07:22 PDT 2001
Finished: Fri Mar 09 12:07:24 PDT 2001
 
State: Successful
Executed Commands:
 
/usr/sbin/volassist
-g rootdg make vol04 4m layout=striped stripeunit=128 ncolumn=2

次の例は,ボリュームの作成に失敗したときの,コマンドのログ・エントリを示しています。

Create Volume FAILED!
Description: Create 
VolumeUser: root
Started: Fri Mar 09 12:07:50 PDT 2001
Finished: Fri Mar 09 12:07:51 PDT 2001
State: Failed
 
Executed Commands:
/usr/sbin/volassist
-g rootdg   make vol05 8g layout=striped stripeunit=12 ncolumn=2
 
Failed Command: /usr/sbin/volassist
-g rootdg   make vol05 8g  layout=striped stripeunit=128 ncolumn=2
 
Error Message: lsmsa:volassist: ERROR: Cannot allocate space
for  16777216 block volume

B.1.2    アクセス・ログ・ファイルの概要

Storage Administrator へのアクセスを監視するには,アクセス・ログ・ファイルの内容を調べます。 省略時のアクセス・ログ・ファイルは,/var/lsmsa/logs/access です。

次の例は,アクセス・ログファイルのエントリです。

Mon Apr 02 12:07:22 PDT 2001: user rssn login succeeded
 
Mon Apr 02 12:22:24 PDT 2001; user jehg login failed with error
*User password invalid*
 

アクセスに失敗したときのエントリは,セキュリティ上の理由から,複数のログがとられている場合があります。

B.1.3    サーバ・ログ・ファイルの概要

サーバ・ログ・ファイルは,LSM のスタートアップ情報とサーバのエラーを追跡します。 省略時のサーバ・ログ・ファイルは,/var/lsmsa/logs/server.logです。

次の例は,サーバ・ログ・ファイルのエントリです。

Starting Compaq Storage Administrator RMI Registry
Starting Compaq Storage Administrator Command Server
Starting Compaq Storage Administrator Server
Fri Mar 16 11:22:21 PST 2001
security enabled
rebinding ....
rebound
 
 //servername:2410/vrts.remote.vrtsServer

B.2    ダイアログ・ボックスの操作

Storage Administrator が表示するダイアログ・ボックスで,図 B-1に示されている各情報を指定します。 ダイアログ・ボックスには,選択ボタンや情報を入力するフィールドが表示されます。 ダイアログ・ボックスの一部のフィールドには,省略時の値が入力されています。 この値は変更することができます。 指定できない項目は,淡色表示されています。

図 B-1:  一般的な Storage Administrator ダイアログ・ボックス

ダイアログ・ボックスを使用するには,該当する項目を選択するか,フィールドに必要な情報を入力してから,次のいずれかのボタンをクリックして,タスクを起動,または取り消します。

B.2.1    ダイアログ・ボックスでオブジェクトを指定

Storage Administrator のほとんどのダイアログ・ボックスには,1 つまたは複数のオブジェクト名フィールドが含まれています。 タスクを選択する前にオブジェクトを選択すると,表示されるダイアログ・ボックスには,選択したオブジェクト名が示されています。 オブジェクト名フィールドが空の場合は,次のいずれかの方法でオブジェクトを指定できます。

B.2.2    ダイアログ・ボックスでオブジェクト・サイズを指定

次の表に,入力フィールド,または表示サイズに指定するオブジェクト・サイズの指定方法を示します。

単位 入力
セクタ s
K バイト k
M バイト m
G バイト g

省略時の設定では,入力サイズを指定しない場合,または GUI をカスタマイズして省略時の値を変更していない場合には,入力フィールドのサイズとしてセクタが使用されます。 GUI のカスタマイズについては,B.3.4 項を参照してください。 また,特に指定がない場合には,サイズは K バイトで表示されます。

B.3    オブジェクトとオブジェクトのプロパティの表示

LSM の操作についての情報を表示し,その操作を実行するには,いくつかのウィンドウとダイアログ・ボックスを使用できます。

B.3.1    メイン・ウィンドウの概要

LSM の構成は,オブジェクト・ツリーとオブジェクト・テーブルで追跡できます。 Storage Administrator は,システムのオブジェクトを絶えず監視し,必要に応じて表示を変更します。 オブジェクト・ツリーとオブジェクト・テーブルのオブジェクトは,次の方法で表示することができます。

B.3.2    「Volume Layout Details」の表示

ボリュームのレイアウト詳細を表示するには,メイン・ウィンドウのオブジェクト・テーブルでボリュームを強調表示して,[Volumes] メニューから [Show Layout] を選択します。

「Volume Layout Details」ウィンドウに,図 B-2に示すような,選択したボリュームのレイアウト,構成要素,プロパティがグラフィカルに表示されます。

図 B-2:  「Volume Layout Details」ウィンドウ

このウィンドウでオブジェクトを選択したり,オブジェクトのタスクを実行することができます。 「Volume Layout Details」ウィンドウでは動的な変更を行わないため,ウィンドウに表示されているオブジェクトは,ボリュームのプロパティが変更されても自動的に更新されません。 「Volume Layout Details」ウィンドウの表示は,[View] メニューで変更します。

オブジェクトを右クリックすると,そのコンテキスト依存のポップアップ・メニューが表示されます。

B.3.3    「Object Properties」ダイアログ・ボックスの概要

オブジェクトのプロパティを表示するには,オブジェクト・テーブルでオブジェクトをクリックしてから,オブジェクトのメニューから [Properties] を選択します。 選択したオブジェクトに他のオブジェクトが含まれていない場合は,そのオブジェクトをダブルクリックすると,その「Object Properties」ダイアログ・ボックスが表示されます。

「Object Properties」ダイアログ・ボックスには,図 B-3 に示すような,選択したオブジェクトに固有の詳細な情報が表示されます。

図 B-3:  「Volume Properties」ダイアログ・ボックス

このダイアログ・ボックスで,一部のプロパティを変更することができます。 一連のタブ付きページに,オブジェクトと関連するオブジェクトについての情報が表示されます。 タブのラベルとページの内容は,選択したオブジェクトの種類によって異なります。 「Properties」ダイアログ・ボックスのフィールドの詳しい説明を表示するには,[Help] をクリックしてください。

B.3.4    ユーザの「Preferences」ダイアログ・ボックスの概要

Storage Administrator のメイン・ウィンドウや,その他のウィンドウに表示される項目の表示形式を変更することができます。 「Preferences」ダイアログ・ボックス (図 B-4) 内の一連のタブ付きページには,Storage Administrator の表示属性ごとに使用環境を設定するオプションが表示されます。 Storage Administrator の設定を現在のセッションに限定してカスタマイズしたり,その設定を以降のセッションでも使用きるように保存することができます。

「Preferences」ダイアログ・ボックスを表示するには,ツールバーで [Prefs] をクリックします。

図 B-4:  「Preferences」ダイアログ・ボックス

使用環境を変更するには,「Preferences」ダイアログ・ボックスで該当する項目を選択してから,[Ok] をクリックします。 この操作により,「Preferences」ダイアログ・ボックスのすべてのタブの設定を反映して使用環境が変更されます。 すべての使用環境を元の設定にリセットする場合は,[Reset] をクリックしてから [Ok] をクリックします。

使用環境を変更すると,変更を加えたページのタブにアスタリスクが表示されます。 このアスタリスクは,[Ok],[Apply],[Reset] のいずれかをクリックすると消えます。 [Apply] または [Reset] をクリックすると,Storage Administrator のメイン・ウィンドウ内のヘルプバーの状態エリアにもアスタリスクが表示されます。

使用環境を保存しない場合は,現在のセッションにのみ変更が適用されます。 設定を保存するには,次のいずれかの操作を実行します。

以前に保存した設定を再ロードするには,[Options] メニューから [Load Preferences] を選択します。

Storage Administrator は,クライアントが実行されているシステム上のユーザのホーム・ディレクトリにある .lsmsa/SApreference.prfファイルにユーザ設定を保存します。 使用環境の自動保存が有効になっている場合は,ユーザが Storage Administrator のセッションを終了するときに,すべての使用環境の設定が保存されます。

B.3.4.1    一般の使用環境

「General」タブでは,次の使用環境を設定します。

B.3.4.2    メイン・ウィンドウの使用環境

「Main Window」タブでは,次の使用環境を設定します。

B.3.4.3    フォントの使用環境

「Font」タブでは,次に示すフォントのフォント・サイズ,ファミリ,スタイルを設定します。

B.3.4.4    色の使用環境

「Color」タブでは,色の使用環境を設定します。 色を変更するには,表示されている色の中から使用する色をクリックするか,[Red],[Green],[Blue],[Brightness] の各スライダを動かします。

次の色を設定できます。

B.3.4.5    ジオメトリの使用環境

「Geometry」タブでは,次に示すウィンドウの幅と高さをピクセル単位で設定します。

これらのいずれかのウィンドウのサイズをスプリッタを使用して変更すると,「Preferences」ダイアログ・ボックスを次にオープンしたとき,そのウィンドウのジオメトリ設定に,新しいサイズが表示されます。

B.3.4.6    ツリー/テーブルの使用環境

「Tree/Table」タブは,オブジェクト・ツリーとオブジェクト・テーブルの次の使用環境を設定します。

B.3.4.7    ツールバーの使用環境

「Toolbar」タブでは,次の使用環境を設定します。

B.3.4.8    レイアウト詳細の使用環境

「Layout Details」タブでは,「Volume Layout Details」ウィンドウの次の使用環境を設定します。

B.3.5    「Alert Monitor」ウィンドウの概要

「Alert Monitor」ウィンドウ (図 B-5) には,障害が発生したオブジェクトや,その他のエラーが発生したオブジェクトに関する情報が表示されます。 各オブジェクトは,障害またはエラーの説明と一緒に表示されます。 オブジェクトに障害が発生し,警告が発生すると,「Alert」アイコンがメイン・ウィンドウのステータス・バーに表示されます。 また,警告アイコンは,オブジェクト・テーブル内のオブジェクトのアイコンをオーバーレイします。

図 B-5:  「Alert Monitor」ウィンドウ

「Alert Monitor」ウィンドウを表示するには,次のいずれかを実行します。

警告が発生したオブジェクトのプロパティを表示するには,オブジェクトを選択して,[Alert] メニューから [Object Properties] を選択します。 オブジェクトを右クリックして,ポップアップ・メニューから [Properties] を選択するか,またはオブジェクトをダブルクリックして,オブジェクトの「Properties」ダイアログ・ボックスにアクセスすることもできます。

B.3.6    「Object Table Copy」ウィンドウの概要

システムのさまざまな箇所を同時に表示する場合は,オブジェクト・テーブルのコピーを使用します。 このウィンドウは動的なので,システムを更新すると,その変更内容がすべてのウィンドウに反映されます。 ウィンドウのコピーを表示するには,ツールバーから [Table] ボタンをクリックするか,[Windows] メニューから [Copy Object Table] を選択します。

B.3.7    「Object Search」ウィンドウの概要

「Object Search」ウィンドウは,システムを検索して,指定された検索基準に一致するオブジェクトを探します。 「Object Search」ウィンドウ (図 B-6) 内の一連のタブ付きページには,特定のタイプのオブジェクトを検索するためのオプションが表示されます。 検索するオブジェクトのタイプを選択するには,適切なタブのラベルをクリックします。 この検索は,選択したタイプのオブジェクトだけを対象とします。

「Object Search」ウィンドウを表示するには,ツールバーの [Search] をクリックするか,[Window] メニューから [Search] を選択します。

図 B-6:  「Object Search」ウィンドウ

検索基準を指定するには,ドロップダウン・メニューで修飾子を選択してから,検索する値または除外する値を入力します。 たとえば,「Volumes」タブでは,「Name Does Not Contain qualifier」を選択し,文字列 "swap" を入力できます。 これにより,"swap" という単語が含まれるすべてのボリューム名が,検索結果から除外されます。 複数のフィールドに基準を入力した場合,すべての基準に一致 (論理 AND) した項目だけが検索結果として表示されます。

「Object Search」ウィンドウの下半分のテーブルには,検索基準に一致するオブジェクトとそのプロパティが表示されます。 検索結果が表示されない場合は,ウィンドウの下端をドラッグしてウィンドウの表示を拡大します。 「Object Search」ウィンドウに表示されるオブジェクトは監視され,現在の検索基準に合わなくなると,ウィンドウから削除されます。

「Object Search」ウィンドウのメニューは,メイン・ウィンドウのメニューに似ています。 [Window] メニューは,他のウィンドウをオープンしたり,現在の検索結果テーブルのコピーを表示します。 コンテキスト依存の [Selected] メニューは,テーブル内で選択されたオブジェクトのタスクまたはプロパティにアクセスします。 オブジェクトを右クリックすると,コンテキスト依存のポップアップ・メニューにアクセスできます。 「Object Search」ウィンドウをクローズするには,[Console] メニューから [Close] を選択します。

B.3.8    「Task Request Monitor」ウィンドウの概要

「Task Request Monitor」ウィンドウ (図 B-7) は,現在のセッション (およびシステムで実行中のその他のセッション) で,Storage Administrator が実行した LSM のタスクおよびその他のタスクを表示します。

「Task Request Monitor」ウィンドウを表示するには,Storage Administrator のメイン・ウィンドウの [Task] を選択するか,[Window] メニューから [Tasks] を選択します。

図 B-7:  「Task Request Monitor」ウィンドウ

各タスクは,タスクを実行したユーザ,タスクの状態,開始時刻,および終了時刻などのプロパティとともにリストされます。

「Properties」ウィンドウを表示すると,タスクの実行に使用された下位レベルのコマンドや,失敗したタスクに関連するエラー・メッセージを参照できます。 「Task Properties」ウィンドウを表示するには,タスクを選択し,[Tasks] メニューから [Properties] を選択します。 「Tasks Properties」ウィンドウの「Executed Commands」フィールドのコマンドは,コマンド行やスクリプト・ファイルにコピーすることができます。

終了したタスクを削除してウィンドウをクローズするには,[Console] メニューから [Remove Finished Tasks] を選択します。

B.4    Storage Administrator GUI のショートカット

ショートカットを使用すると,GUI の操作をより効率的に行うことができます。

B.4.1    オブジェクトのソート

テーブルのカラムでオブジェクトをソートするには,カラム見出しをクリックします。 カラム見出しを再びクリックすると,オブジェクトのソート順序が逆になります。 このソート順序は,他のユーザ使用環境と一緒に保存できません。

ソートが可能なのは,オブジェクト・テーブル,コマンド・ランチャ,「Object Search」ウィンドウ,および「Task Request Monitor」ウィンドウ内のエントリです。

B.4.2    警告のクリア

ステータス・バーに表示された「Alert」アイコンを確認して,これをクリアするには,[Options] メニューから [Clear Alert Status] を選択します。

B.4.3    キーボード・ショートカットの使用

メニュー・コマンドの代りに,表 B-1表 B-2 のキーボード・ショートカットを使用できます。

表 B-1 のショートカットは,Storage Administrator のウィンドウの任意の場所で動作します。

表 B-1:  キーボード・ショートカット

キーストローク 動作
Ctrl Shift V ボリュームを作成します。
Ctrl G ディスク・グループを作成します。
Ctrl F ファイル・システムを作成します。
Ctrl Z 選択されたオブジェクトのサイズを変更します。
Ctrl N 選択されたオブジェクトの名前を変更します。
Ctrl Shift R 選択されたオブジェクトを削除します。
Ctrl P 選択されたオブジェクトのプロパティを表示します。
Ctrl L 選択されたボリュームのレイアウトを表示します (グラフィカル表示)。

表 B-2 のショートカットは,メイン・ウィンドウでのみ使用できます。

表 B-2:  メイン・ウィンドウのキーボード・ショートカット

キーストローク 動作
Ctrl R 「Task Request Monitor」ウィンドウをオープンします。
Ctrl A 「Alert Monitor」ウィンドウをオープンします。
Ctrl S 「Object Search」ウィンドウをオープンします。
Ctrl C ウィンドウをクローズします。

B.4.4    ツールバーとコマンド・ランチャのドッキング

ツールバーをメイン・ウィンドウから離すには,ツールバー・ハンドル (ツールバーの隣の細いバー) 上にポインタを置き,ツールバーをウィンドウの外までドラッグします。 また,ツールバー・ハンドルを使って,ツールバーをメイン・ウィンドウの下部,横,上部に移動することができます。

コマンド・ランチャとメイン・ウィンドウは離したり,結合したりできます。 省略時の設定では,これらは結合されており,コマンド・ランチャは表示されません。