本書では,HP TruCluster Server の機能を使ってアプリケーションの高可用性を実現する方法と,アプリケーションを TruCluster Server 環境に移行する方法を説明します。
また本書では,TruCluster Server アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) を使って,分散ロック・マネージャ (DLM) や,クラスタ別名,Memory Channel などのクラスタ・テクノロジを利用する方法を説明します。
実際にアプリケーションを TruCluster Server 環境に移行する前には,TruCluster Server クラスタ・サブシステムを理解するために,『クラスタ概要』 をお読みください。
対象読者
本書は,高可用性アプリケーションを TruCluster Server 上で稼働させたり,アプリケーションを TruCluster Available Server や TruCluster Production Server から TruCluster Server 環境に移行したりするシステム管理者を対象としています。また,DLM の同期サービス,クラスタの別名機能,または Memory Channel の高性能な機能を必要とする分散型アプリケーションを作成する開発者を対象としています。
新しい機能と変更された機能
本書でバージョン 5.1A のリリースから変更された点は次のとおりです。
2.3.3 項では,CAA (Cluster Application Availability) が処理スクリプトに渡す環境変数と,そのスクリプトからプロファイル属性にアクセスする方法と,処理スクリプトが呼び出される理由を調べる方法について説明しています。
2.3.4 項では,CAA の処理スクリプトから出力をリダイレクトする方法について説明しています。
2.4 節では,カスタム属性を定義してアプリケーション・リソースのプロファイルを拡張する方法について説明しています。
2.14 節では,CAA を使用する新しいアプリケーション例を組み込むために更新しました。
第 3 章では,クラスタの別名を使用するアプリケーション例を組み込むために更新しました。
Part 1 | シングル・インスタンス・アプリケーションまたはマルチ・インスタンス・アプリケーションを TruCluster Server 上で起動して稼働させる方法を説明します。 |
第 1 章 | 一般的なクラスタ・アプリケーションのタイプについて説明します。 |
第 2 章 | TruCluster Server 上のシングル・インスタンス・アプリケーションの可用性を高めるために CAA (Cluster Application Availability) 機能を使う方法を説明します。 |
第 3 章 | TruCluster Server 上のマルチ・インスタンス・アプリケーションの可用性を高めるために省略時のクラスタ別名を使う方法を説明します。 |
Part 2 | アプリケーションを TruCluster Server 環境に移行する方法を説明します。 |
第 4 章 | アプリケーションを TruCluster Server に移行する前に考慮すべき,一般的な検討項目について説明します。 |
第 5 章 | ASE (Available Server Environment) スタイルのアプリケーションを TruCluster Server に移行する方法について説明します。 |
第 6 章 | 分散型アプリケーションを TruCluster Server に移行する方法について説明します。 |
Part 3 | API を使って TruCluster Server の技術を利用する方法について説明します。 |
第 7 章 | アプリケーションのソース・コードを変更してクラスタ環境で動作するようにする方法を説明します。 |
第 8 章 | クラスタ別名 API の機能を使う方法を説明します。 |
第 9 章 | DLM の機能を使う方法を説明します。 |
第 10 章 | Memory Channel API ライブラリを使う方法を説明します。 |
クラスタの構成,インストール,および管理作業については,次に示す TruCluster Server の各種マニュアルを参考にしてください。
TruCluster Server 『QuickSpecs』 -- TruCluster Server バージョン 5.1B について説明するとともに,製品の機能およびサポートするハードウェアに関する情報が記載されています。『QuickSpecs』の最新版は,次の URL から入手することができます。
TruCluster Server 『クラスタ概要』 -- TruCluster Server のテクノロジについて概要を説明しています。
TruCluster Server 『クラスタ・リリース・ノート』 -- 新機能,既知の問題,および回避方法を含めた,TruCluster Server バージョン 5.1B に関する重要な情報を記載しています。
TruCluster Server 『クラスタ・ハードウェア構成ガイド』 -- クラスタのメンバにするプロセッサのセットアップ方法と,クラスタの共用ストレージの構成方法について説明しています。
TruCluster Server 『クラスタ・インストレーション・ガイド』 -- TruCluster Server ソフトウェア製品のインストール方法について説明しています。
TruCluster Server 『クラスタ管理ガイド』 -- クラスタ特有の管理作業について説明しています。
TruCluster Server の最新ドキュメントは,次の URL から入手することができます。
http://www.tru64unix.compaq.com/docs/pub_page/cluster_list.html
これに加えて,弊社の HP Tru64TM UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアのドキュメント・セットにある次のマニュアルを利用できます。
Tru64 UNIX 『リリース・ノート』
Tru64 UNIX 『システム管理ガイド』
Tru64 UNIX 『ネットワーク管理ガイド:接続編』
Tru64 UNIX 『ネットワーク管理ガイド:サービス編』
Tru64 UNIX 『プログラミング・ガイド』
本書では,次の表記法を使用しています。
#
番号記号は root としてログインした場合のシステム・プロンプトを表します。
%
cat
対話式の例における太字(ボールド体)は,ユーザが入力する文字を示します。
イタリック体 (斜体) は,変数値,プレースホルダ,および関数の引数名を示します。
垂直の反復記号は,実際には存在する例の一部が省略されていることを示します。
cat
(1)リファレンス・ページの参照には,該当するセクション番号をカッコ内に示します。
たとえば,
cat
(1)cat
コマンドについての情報が,
リファレンス・ページのセクション1に記載されていることを示します。