1    ASU ソフトウェアのインストール

Advanced Server for UNIX (ASU) ソフトウェアは,Tru64 UNIX と Windows 環境を統合する Tru64 UNIX のレイヤード・アプリケーションです。ASU ソフトウェアは,Tru64 UNIX オペレーティング・システムが稼働するシステム上に,Windows NT Server 4.0 のサービス,セキュリティ,および機能性を実現します。ASU ソフトウェアを実行している Tru64 UNIX システムは,他の Windows システムおよび Windows システムのユーザからは Windows NT Server のように見え,Windows NT および Windows 2000 のドメインに加わることができます。

Windows のネイティブのコマンドとユーティリティを使用することにより,ASU ソフトウェアを管理したり,UNIX ベースのファイル・システムやプリンタを Windows ユーザが共有として利用できるようにすることができます。Windows ユーザは,ソフトウェアを変更しなくても,共有に接続できます。一度接続すると,共有に関連付けられている Tru64 UNIX のディレクトリやプリンタが,Windows ユーザのローカルのコンピューティング環境に対する透過的な拡張のように見えます。

この章では,ASU ソフトウェアをインストールまたはアップグレードする方法と ASU 環境について説明します。

1.1    インストール前の作業

ASU ソフトウェアをインストールする前に次の作業を行う必要があります。

1.1.1    ASU の関連ドキュメントの参照

ASU の日本語ドキュメントは,Tru64 UNIX の「日本語追加機能」CD-ROM に収められており,web ブラウザを使ってオンラインで表示できる HTML (hypertext markup language) フォーマットおよび PDF (Portable Document Format) の両方で提供されています。また,ハードコピーのマニュアルを別途お買い求めいただくこともできます。なお,英語版のドキュメントは,「Tru64 UNIX Associated Products Volume 2 」CD-ROM に入っています。この CD-ROM 上にある ASU のドキュメントにアクセスするには,Web ブラウザで ASU ドキュメント・ライブラリ・ファイル /Advanced_Server/doc/html/LIBRARY.HTM をオープンします。

ASU の関連ドキュメントには,本書の他に次のものがあります。

1.1.2    ASU のソフトウェアおよびハードウェア要件

ASU ソフトウェアをインストールするシステムでは,Tru64 UNIX オペレーティング・システムのバージョン 5.1A 以降が稼働している必要があります。

ASU ソフトウェアを各国語サポート用に構成する場合は,システムに Unicode サポートがインストールされていることを確認してください。ASU ソフトウェアを各国語サポート用に構成する方法についての詳細は 1.10 節を参照してください。

Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアのバージョンをアップグレードする必要がある場合は,Tru64 UNIX の『インストレーション・ガイド』を参照してください。

/usr/net ディレクトリのあるファイル・システムには,最低限 7 MB の空きディスク容量があることを推奨します。

1.1.3    ユーザ・アカウントの認証方法の決定

省略時の設定では,ユーザが ASU 共有へアクセスできるようになる前に,ASU サーバと Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアがユーザの名前とパスワードを認証しなければなりません。したがって,Windows ユーザは,ASU サーバがユーザ認証に使用するドメイン・ユーザ・アカウントと,Tru64 UNIX オペレーティング・システムがユーザ認証に使用する Tru64 UNIX ユーザ・アカウントを持つ必要があります。

省略時の設定では,ユーザがドメイン・ユーザ・アカウントを作成すると,ASU サーバは,同じ名前の Tru64 UNIX ユーザ・アカウントがない場合,Tru64 UNIX ユーザ・アカウントをローカルの /etc/passwd ファイルに自動的に作成します。Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアは,ローカルのユーザ・アカウント情報を使用して認証を行います。ただし,認証要求が Windows 2000 Server または Windows NT Server 4.0 に割り当てられるように Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアを構成することができます。Windows 2000 Server または Windows NT Server 4.0 は,そのユーザ・アカウント情報を使用して,Tru64 UNIX システムの代わりにユーザの認証を行います。これは,Windows 2000 Server または Windows NT Server 4.0 上に保存したユーザ・アカウント情報があり,Tru64 UNIX システム上にユーザ・アカウント・データベースを作成したくない場合に便利です。

1.1.3.1    Windows 2000 Server 認証

Windows 2000 Server を使用してユーザの認証を行うように Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアを構成するには,Windows 2000 Server および,ASU サーバを実行している Tru64 UNIX システム上に,Windows 2000 シングル サインオン (SSO) 2.0 以降のソフトウェアをインストールする必要があります。ASU サーバを実行している Tru64 UNIX システムでは,ASU サーバを起動する前に UseActiveDirectory レジストリ・エントリを有効にする必要があります。

SSO ソフトウェアについての詳細は,『セキュリティ管理ガイド』を参照してください。

レジストリ・エントリについての詳細は第 2 章を,UseActiveDirectory レジストリ・エントリについての詳細はB.1.9 項を参照してください。

1.1.3.2    Windows NT Server 4.0 認証

Windows NT 4.0 Server を使用してユーザを認証するように Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアを構成するには,Tru64 UNIX オペレーティング・システム・ソフトウェアを実行しているシステムに ASU SIA ソフトウェアをインストールして構成する必要があります。ASU SIA ソフトウェアは ASU ソフトウェアのサブセットで提供され,ASU サーバおよびトランスポートもインストールされている必要があります。このオプションは,Tru64 UNIX バージョン 5.0 以降のオペレーティング・システム・ソフトウェアが稼働していて,エンハンスト・セキュリティを使用していないシステムでのみ利用可能です。

ASU SIA ソフトウェアについての詳細は,表 1-2 を参照してください。Windows NT Server 4.0 認証の使用方法についての詳細は,3.6 節を参照してください。

1.1.4    ASU 管理インタフェースの概要

ASU ソフトウェアを管理する場合は,次のいずれかの方法を使用します。

注意

Windows 2000 ドメインで ASU Server を構成する予定がある場合には,Windows 2000 インタフェースを使用して ASU サーバを管理する必要があります。

ASU コマンド,net コマンド,および Tru64 UNIX コマンドと GUI の ASU オプションは,ASU サーバがインストールされている Tru64 UNIX システム上でのみ利用可能です。

1.1.4.1    ASU コマンド

ASU コマンドは,ASU サーバおよびドメインに関する情報を表示したり,それらの管理およびトラブルシューティングを行うために使用できる Tru64 UNIX 形式のコマンドです。ASU ソフトウェアを実行しているシステム上で Tru64 UNIX コマンド・プロンプトに対し,ASU コマンドを小文字で入力します。ASU コマンドについての詳細は,付録 E を参照してください。

1.1.4.2    net コマンド

net コマンドは Windows 対応コマンドであり,共有,ドメイン・ユーザ・アカウント,グループの作成,ならびに ASU サーバ,ドメイン,共有,ドメイン・ユーザ・アカウント,グループに関する情報の表示およびそれらの管理を行うことができます。

このコマンドを入力するときは,net の後にキーワードとオプションを指定します。ASU ソフトウェアを実行しているシステム上では,Tru64 UNIX コマンド・プロンプトに対して,次の形式で net コマンドを小文字で入力します。

# net keyword [/option]

net コマンドについての詳細は,付録 D を参照してください。

1.1.4.3    Tru64 UNIX のコマンドおよび GUI

Tru64 UNIX のユーザ・コマンドとファイル・システム・コマンドおよび GUI では,共有およびドメイン・ユーザ・アカウントの作成および管理に使用できる追加の ASU 関連オプションを提供しています。Tru64 UNIX コマンドおよび GUI を使用した ASU サーバの管理についての詳細は,『システム管理ガイド』を参照してください。

1.1.4.4    Windows GUI

次の Windows ベースの GUI を使って,ASU サーバおよびドメインを管理することができます。

Windows NT Server 4.0 および Windows 2000 Server で提供されるバージョンの Windows GUI を使用して,ASU サーバを管理することができます。別のタイプの Windows オペレーティング・システム・ソフトウェアを実行しているシステムについては,1.3 節で説明しているように,ASUADMnnn サブセットをインストールしたのち,1.8 節の説明にしたがって GUI をインストールする必要があります。

1.2    ASU ソフトウェアのアップグレード

Tru64 UNIX の setld コマンドを使用すると,ASU サブセットをアンインストールし,その後,新しい ASU サブセットを再インストールすることができます。

注意

ASU ソフトウェアの以前のバージョンを ASU バージョン 5.1 以降にアップグレードすると,SAM データベース,ACL データベース,および ASU 共有ファイルが新しい形式に変換されます。これらの形式は,ASU ソフトウェアの以前のバージョンと互換性がありません。ASU バージョン 5.1 以降のソフトウェアをアンインストールして,ASU ソフトウェアの以前のバージョンを再インストールする場合には,共有を再作成するか,または SAM データベース,ACL データベース,および ASU 共有ファイルのバックアップ・コピーをリストアして,バックアップ以降に行った変更を再度適用しなければなりません。リストアする ASU ファイルは,次のとおりです。

/usr/net/servers/lanman/domains/*
/usr/net/servers/lanman/datafiles/*
/usr/net/servers/lanman/sharefile

ASU ソフトウェアをアップグレードするには,次の手順に従ってください。

  1. root として,インストールされている ASU サブセットを表示します。たとえば,C ロケールで次のように入力します。

    # /usr/sbin/setld -i |grep ASU |grep -v not |grep installed

  2. アンインストールする各サブセット名を指定して /usr/sbin/setld -d コマンドを入力します。

    # /usr/sbin/setld -d ASUBASE501 ASUTRAN501 ASUMANPAGE501

    ASU サブセットをアンインストールするとき,プロンプトが表示されて,現在の ASU 構成ファイル,ユーザ・アカウントおよび共有データベースを保存するかどうか問い合わせがあります。以前の ASU 構成を再使用したい場合は,これらのファイルとデータベースを保存してください。

    PDC 上のこれらのファイルとデータベースを保存しない場合は,次の処理が行われます。

    BDC 上のこれらのファイルとデータベースを保存しない場合は,次の処理が行われます。

    ASU 共有はシステムから削除されますが,それらに関連付けられていた Tru64 UNIX のディレクトリには影響ありません。

  3. setld コマンドを使用して,新しい ASU サブセットをインストールします。詳細については,1.3 節を参照してください。

1.3    ASU ソフトウェアのインストール

ASU ソフトウェアをインストールする場合は,Tru64 UNIX の setld コマンドを使用して,ASU サブセットをインストールします。

ASU サブセットは,必須サブセットとオプション・サブセットに分けられています。必須サブセットがインストールされていない場合,ASU ソフトウェアは正しく動作しません。オプション・サブセットは,ASU サーバ管理のための情報とツールを提供します。

表 1-1 に ASU 必須サブセットを示します。また,表 1-2 に ASU オプション・サブセットを示します。サブセット名の nnn 変数は ASU のバージョン番号を表しています。現在のバージョン番号については,『Advanced Server for UNIX リリース・ノート』を参照してください。

表 1-1:  ASU 必須サブセット

サブセット名 提供機能
ASUBASEnnn ASU サーバ機能
ASUTRANnnn ASU サーバがネットワーク通信で使用する NetBEUI および NetBIOS over TCP/IP トランスポート

表 1-2:  ASU オプション・サブセット

サブセット名 提供機能
ASUADMnnn Nexus ツールの英語版。Nexus ツールは,Microsoft Windows ベースのインタフェースであり,ASU サーバを管理するために使用される。
ASUADMJPnnn Nexus ツールの日本語版。Nexus ツールは,Microsoft Windows ベースのインタフェースであり,ASU サーバを管理するために使用される。
ASUMANPAGEnnn ASU コマンドについて説明する英語版リファレンス・ページ。
ASUMANJPnnn ASU コマンドについて説明する日本語版リファレンス・ページ。
ASUSIAnnn Tru64 UNIX で Windows NT Sever 4.0 を使用して認証ができるようにする Tru64 UNIX のセキュリティ・メカニズム。このサブセットは,Tru64 UNIX バージョン 5.0 以降のオペレーティング・システムが稼働していて,エンハンスト・セキュリティを使用していないシステム上でのみ使用可能。

ASU サブセットをインストールするには,例を参照しながら,次の手順に従ってください。

  1. root ユーザとして,「Tru64 UNIX Associated Products Volume 2」CD-ROM を挿入し,読み取り専用モードでマウントします。Tru64 UNIX バージョン 5.0 以降を実行しているシステムでは,次のように入力します。

    # mount -r /dev/disk/device_name /mnt

    Tru64 UNIX バージョン 4.X を実行しているシステムでは,次のように入力します。

    # mount -r /dev/device_name /mnt

    device_name には,CD-ROM ドライブ名を指定します。

  2. 次の setld コマンドを入力して,画面の指示に従います。

    # setld -l /mnt/Advanced_Server/kit .

    ASU サブセットのインストール中に,状況を知らせるメッセージが表示されます。

  3. インストールが完了したら,「Tru64 UNIX Associated Products Volume 2」CD-ROM をアンマウントします。

ASU サブセットのインストレーション・プロシージャの例については,付録 A を参照してください。

1.4    インストール後の作業

ASU サブセットのインストールが終了すると,asusetup ユーティリティを実行する必要があります。asusetup ユーティリティは,次の処理を行います。

asusetup ユーティリティを実行するには,次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/asusetup

Ctrl/C を押して asusetup を終了した場合には,ASU の構成は不完全となり,asusetup ユーティリティを再実行する必要があります。

以降の各項で,asusetup プロシージャについて詳しく説明します。

asusetup ユーティリティで生成される出力の例については,付録 A を参照してください。

TruCluster クラスタ内で ASU ソフトウェアを構成している場合には,第 6 章を参照してください。

1.4.1    ASU ネットワーク情報の構成

asusetup ユーティリティは,次のような情報を表示して,ASU サーバが使用する省略時のネットワーク・コントローラ,およびワイド・エリア・ネットワーク (WAN) 内で NetBIOS 名を TCP/IP アドレスに解決するために ASU サーバが使用する方法を示します。

Controllers: TCP/IP  = tu0
             NetBEUI = tu0
 
Use DNS:      yes
Sub Domains:  asu.company.com
Use lmhosts:  yes
lmhosts file: /usr/net/servers/lanman/datafiles/lmhosts
Use NBNS:     no
Primary NBNS address:
Secondary NBNS address:
 
Would you like to use this network information?[y/n]?

省略時の値を使用するときは y を入力します。n を入力すると,次のように,各項目ごとに値を入力する必要があります。

1.4.2    ASU サーバ情報の提供

asusetup ユーティリティでは,ASU サーバ情報の省略時の値を示す次のような出力を表示します。

Server Name: 
 
Domain Name: 
 
Domain Role: Primary
 
Name of Domain's Primary: 
 
Enter Password for Administrator: 
 
Would you like to use this general server information [y/n]?

省略時の値を使用するときは y を入力します。n を入力すると,各項目ごとに値を入力する必要があります。

1.4.3    リッスン名の構成

asusetup ユーティリティは,ASU サーバの省略時のリッスン名を示す次のような出力を表示します。

The ASU server currently listens for, and responds to,
messages sent to these network names:
	listenname      : server1
	ExtraListenNames:
	                  (none)
 
You can define Extra Listen Names for the server to listen for
via the Registry parameter ExtraListenNames.
 
Do you want to modify the ExtraListenNames entry [y/n]?
 
 

リッスン名は,ASU サーバに割り当てられた一意の名前であり,ASU サーバはネットワーク上でそれに応答します。ユーザは,ASU サーバに接続する際に,割り当てられた任意のリッスン名を使用することができます。たとえば,ASU サーバに server1 というリッスン名と,server2 および server3 という追加のリッスン名が割り当てられている場合,ユーザは,その共有に接続する際に,¥¥server1,¥¥server2,または ¥¥server3 を指定することができます。

省略時の値を使用するには,n を入力します。y を入力すると,ASU サーバに対して別のリッスン名を入力するか,または ASU サーバに割り当てられたリッスン名を削除するように要求するプロンプトが表示されます。

ExtraListenNames レジストリ・エントリを変更することにより,追加のリッスン名を構成することもできます。詳細については,B.1.4 項を参照してください。

1.4.4    ASU サーバの起動

asusetup ユーティリティは,ASU サーバを起動するかどうかを問い合わせます。

ただし,ASU サーバで次の操作を行う予定がある場合には,ASU サーバを起動しないでください。

ASU サーバを起動するには,プロンプトに対して yes と入力します。no と応答すると,asusetup ユーティリティが終了します。

後で ASU サーバを起動する場合は,次のように入力します。

# net start server

1.4.5    ASU ソフトウェアのインストールの確認

ASU サーバを起動すると,asusetup ユーティリティは,ASU インストレーション検証プロシージャ (IVP) を実行して,ASU ソフトウェアが正しくインストールされたかどうかを確認するようにプロンプトを表示します。

IVP の実行中は,画面に状態メッセージが表示されます。

ASU IVP で障害が報告された場合は,1.2 節の説明に従って ASU ソフトウェアを再インストールしてください。

依然として ASU IVP から障害が報告される場合は,第 8 章を参照するか,サポート窓口までご連絡ください。

ASU IVP は,次のコマンドを入力することにより,いつでも実行することができます。

# asuivp

asuivp コマンドについての詳細は, asuivp(8) を参照してください。

1.4.6    ASU ソフトウェアの再構成

ASU のネットワークおよび一般値を再設定する場合は,asusetup コマンドを再入力するか,表 1-3 に示す ASU のコマンドを使用します。

警告

PDC をメンバ・サーバとして構成し直すと,ドメイン・ユーザ・アカウント・データベースが削除されます。メンバ・サーバを BDC または PDC として構成し直すと,ローカル・ユーザ・アカウント・データベースが削除されます。

表 1-3:  ASU サーバ・ベースのコマンド

ASU の設定 ASU コマンド
サーバ名

# /usr/sbin/setservername

ASU レジストリ内の ComputerName エントリ,または lanman.ini ファイル内の listenname パラメータを直接編集してはならない。setservername コマンドで,SAM データベース,ASU レジストリ,および lanman.ini ファイルが正しく更新される。

ドメイン # /usr/sbin/joindomain
ドメイン名 # /usr/sbin/setdomainname
管理パスワード # net password
ASU サーバの役割 # /usr/sbin/promote
トランスポート・コントローラ

# /usr/sbin/ctlrsetup

変更を有効にするには,トランスポートを再起動する必要がある。

これらのコマンドについての詳細は,付録 E または関連するコマンド・リファレンス・ページを参照してください。

1.5    ASU のディレクトリ

ASU のインストレーションで,/usr/net/servers/lanman ディレクトリが作成されます。このディレクトリの下にあるサブディレクトリに,ASU 関連のファイルおよびサブディレクトリが置かれます。

1.6    ASU サービス

ASU サーバを起動すると,次のサービスが自動的に起動します。

実行中の ASU サービスを表示するには,次のコマンドを入力します。

# net start

次のような情報が表示されて,どの ASU サービスが実行中であるかが示されます。

These Advanced Server for UNIX Systems services are       
started:
BROWSER       EVENTLOG       NETLOGON
ALERTER        SERVER
The command completed successfully.

1.7    ASU プロセス

次のような ASU プロセスがあります。

ASU サーバを起動すると,ASU に関連するプロセスが起動します。起動している ASU プロセスを表示するには,次のコマンドを入力します。

# ps -ef | grep lmx

次のような情報が表示されて,どの ASU プロセスが実行中であるかが示されます。

root 17726   1     0  12:03:36   0:00    lmx.alerter
root 17713   17461 0  12:03:32   0:00    lmx.srv -s 1
root 17722   17874 0  12:03:35   0:00    lmx.srv -s 2
root 17726   1     0  12:03:36   0:01    lmx.dmn
root 17728   1     0  12:03:36   0:01    lmx.browser
root 17744   1     0  12:03:28   0:00    lmx.ctrl

1.8    Windows ベースのインタフェースのインストール

Windows NT Server 4.0 および Windows 2000 Server では,ASU サーバの管理に使用できる管理インタフェースを提供しています。別のタイプの Windows オペレーティング・システムを実行しているシステムから ASU サーバを管理するには,Windows ベースのインタフェースが提供されている ASU をそのシステムにインストールする必要があります。

1.8.1    Windows NT 上での管理インタフェースのインストールまたは実行

次の手順に従い,Windows NT が稼働しているシステム上で,Windows ベースの管理インタフェースをインストールまたは実行します。

  1. Tru64 UNIX システムに,Client-based Advanced Server Administration Tools サブセットがインストールされていることを確認します。たとえば,C ロケールで次のように入力します。

    # setld -i |grep ASUADM |grep -v not |grep installed

    ASUADMnnn が表示された場合には,そのサブセットがインストールされています。そうでない場合は,ASUADMnnn サブセットをインストールする必要があります。ASU サブセットのインストールについては,1.3 節を参照してください。

  2. ネットワーク・ドライブを astools ディスク共有に接続します。

  3. Windows NT のバージョンに対応するフォルダを選択します。たとえば,Windows NT 4.0 の場合は winnt.40 フォルダを選択します。

  4. 次の処理を実行できます。

1.8.2    Windows 95 または Windows 98 システムでの管理インタフェースのインストール

次の手順に従って,Windows 95 または Windows 98 オペレーティング・システムが稼働しているシステム上に Windows ベースの管理インタフェースをインストールします。

  1. Tru64 UNIX システムに,Client-based Advanced Server Administration Tools サブセットがインストールされていることを確認します。たとえば,C ロケールで次のように入力します。

    # setld -i |grep ASUADM |grep -v not |grep installed

    ASUADMnnn が表示された場合には,そのサブセットがインストールされています。そうでない場合には,ASUADMnnn サブセットをインストールする必要があります。ASU サブセットのインストールについては,1.3 節を参照してください。

  2. ネットワーク・ドライブを astools ディスク共有に接続します。

  3. [コントロール パネル] から [アプリケーションの追加と削除] アイコンを選択します。

  4. [Windows ファイル] タブを選択します。

  5. [ディスク使用] ボタンをクリックします。[参照] ボタンをクリックし,ステップ 2 で接続した astools ディレクトリとの接続を指定するドライブをクリックします。

  6. Win95 ディレクトリを展開します。

  7. srvtools.inf ファイルを選択し,[ファイルを開く] ウィンドウおよび [フロッピーディスクからインストール] ウィンドウの [OK] ボタンをクリックします。

  8. Windows NT Server Tools エントリの横のボックスと [ディスク使用] ウィンドウの [インストール] ボタンをクリックして,インタフェースをインストールします。

  9. ファイルがコピーされたら,[OK] ボタンをクリックします。

  10. サーバー マネージャ・インタフェースを実行する場合は,autoexec.bat ファイルを編集して,パスに srvtools を含め,システムを再ブートします。たとえば,ドライブ C からブートする場合は,PATH 文に srvtools を追加するか,PATH 文がない場合は次の行を入力します。

    SET PATH=%PATH%;C:¥srvtools

管理インタフェースのインストール:

Windows 95 システムから ASU を管理する場合の制限事項:

1.9    ASU ライセンス

ASU ライセンスは,ASDU-CONNECT と呼ばれる PAK (Product Authorization Key) 形式で提供されています。ASDU-CONNECT PAK は,Tru64 UNIX の LMF (License Manager Facility) にロードします。

Windows システムのユーザが,ASU 共有をブラウズまたは初めてアクセスする際に,1 つの ASDU-CONNECT が使用されます。このライセンスにより,ユーザは,アクセス許可のある共有をアクセスしたり,ブラウズしたりすることができます。Windows システムは,ユーザがブラウジングを止め,その共有へのすべての接続が終了するまでライセンスを保持し,接続終了時にそのライセンスは再割り当て可能になります。1 つの Windows システムは,ユーザがブラウズしたり接続したりする ASU サーバから取得する 1 つの ASDU-CONNECT ライセンスを使用します。

ASDU-CONNECT PAK には,ライセンス数 10,25,50,100,250,500,および 1,000 のものが用意されています。ユーザ数に合わせて ASDU-CONNECT PAK を購入してください。たとえば,275 人の Windows ユーザが共有にアクセスすると考えられる場合は,25 ライセンスの PAK と 250 ライセンスの PAK を購入してください。

ASU ソフトウェアでは,無料の組み込みライセンスを 2 ライセンス提供しています。このライセンスは LMF にロードする必要はなく,LMF コマンドで表示されません。

利用可能な ASDU-CONNECT ライセンスの数をリスト表示するには,次のコマンドを入力します。

# asustat -L

ライセンスを保有しているクライアント名を表示するには,次のコマンドを入力します。

# asustat -c

システム・イベント・ログを表示して,クライアントにライセンスが発行されたかまたは拒否されたかを見るには,次のコマンドを入力します。

# elfread -d system | more

これらのコマンドについての詳細は, asustat(8) および elfread(8) を参照してください。

1.10    各国語サポートの構成

英語以外の言語を使用するように ASU ソフトウェアを構成することができます。このように構成するには,次の手順に従ってください。

  1. 1.3 節で説明したとおりに ASU ソフトウェアをインストールおよび構成します。このとき,asusetup ユーティリティが起動するように要求するまでは,ASU ソフトウェアを起動しないでください。

  2. テキスト・エディタを使用して,lanman.ini ファイル内の [ lmxserver ] セクションにある lang パラメータを設定します。lang パラメータが存在しない場合は,[ lmxserver ] セクションの下に lang パラメータを追加してください。

    lang パラメータには,ASU サーバが通信に使用する文字セットとロケールを設定します。たとえば, Windows システムで Windows のフランス語版を実行している場合には,lang パラメータに fr_FR.ISO8859-1 を設定します。fr_FR.ISO8859-1 は,Tru64 UNIX のフランス語ロケールであり,たとえば,次のように設定します。

    [ lmxserver ]
    lang=fr_FR.ISO8859-1
    

    ASU サーバは,l10n_intro リファレンス・ページにリスト表示されている Tru64 UNIX ロケールのうち日本語 SJIS および中国語 (Traditional) を除くすべてのロケールをサポートしています。サポートされているロケールについての詳細は, l10n_intro(5) を参照してください。

  3. ロケールに対応する Unicode サポートをインストールします。

    Unicode サポートには,ASU サーバが,Windows システムと Tru64 UNIX の文字セット間で名前を変換するために使用するコードセット・コンバータが含まれています。Unicode サポートは,Tru64 UNIX Worldwide サブセットの中にあります。コードセット・サブセットのインストールについては,Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド -- 上級ユーザ編』 の WLS インストレーション・プロシージャに関する記述を参照してください。

  4. 次のコマンドを入力して,ASU サーバを起動します。

    # net start server