F    インストレーション・ログ・ファイル

インストレーション・ログ・ファイルには,フル,アップデート,クローンの各インストレーションでの画面出力や進捗状況が記録されます。 また,問題が起きた場合のトラブルシューティングに役立つ情報を得ることができます。 この付録では,次の内容について説明します。

F.1    ログイン・メッセージ・ファイル

インストレーション中に作成されたインストレーション・ログ・ファイルの一覧が,ログインするたびに画面に表示されます。 例 F-1 に,/etc/motd ファイルの例を示します。 /etc/motd ファイルには,ユーザがログインするたびに表示される「ログイン・メッセージ」が入っています。 インストレーション・ログ・ファイルは,/var/adm/smlogs ディレクトリにあります。

例 F-1:  ログ・ファイルの位置を示す /etc/motd ファイルの例

Tru64 UNIX V5.1B  (Rev. nnn); Fri Aug 23 11:44:35 EST 2002
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The following files contain a record of the Update Installation session.
 
        /var/adm/smlogs/it.log             - log for it(8) utility
        /var/adm/smlogs/update.log         - update installation log file
        /var/adm/smlogs/upd_custom_files   - log of unprotected customized
                                             system files found during the
                                             update installation.
        /var/adm/smlogs/upd_obsolete_files - log of obsolete system files
                                             found during the update
                                             installation.
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The installation software has successfully installed your system.
There are logfiles that contain a record of your installation.
These are:
        /var/adm/smlogs/install.cdf     - configuration description file
        /var/adm/smlogs/install.log     - general log file
        /var/adm/smlogs/install.FS.log  - file system creation logs
        /var/adm/smlogs/setld.log       - log for the setld(8) utility
        /var/adm/smlogs/fverify.log     - verification log file
 
 

F.2    インストレーション・ログ・ファイルの調査

インストレーション・ログ・ファイルには,インストレーション処理の間に発生した問題についての役立つ情報が記録されています。 インストレーションが完了した後,これらのファイルを調べて,エラーがないか確認する必要があります。 ログ・ファイルはすべて,/var/adm/smlogs ディレクトリ内にあります。

F.3    フル・インストレーション・ログ・ファイル

この節では,以下のフル・インストレーション・ログ・ファイルについて説明します。

F.3.1    install.FS.log ファイル

install.FS.log ファイルには,フル・インストレーション中に実行されたファイル・システム作成のログが記録されます。 フル・インストレーションの開始を確認してから,ファイル・システムの作成が完了するまでの間に発生したエラーは,ここに記録されます。 このファイルは,フル・インストレーションでのみ使用されます。

F.3.2    install.log ファイル

install.log ファイルには,フル・インストレーションでファイル・システムが作成された時点から,システムが最初にリブートされる時点までの画面表示がすべて記録されます。 このファイルに含まれる情報には,ファイル・システムの作成,ロードされたオペレーティング・システム・サブセット,システムを初めてリブートするために必要なファイルの構成があります。 RIS (Remote Installation Services) を使用してフル・インストレーションを実行している場合,このファイルにはワールドワイド言語サポート・サブセットのロードや構成のログも含まれます (該当する場合)。 このファイルは,フル・インストレーションでのみ使用されます。

F.3.3    it.log ファイル

it.log ファイルには,汎用カーネルでシステムがリブートされた時点から,新しく構築された最適化カーネルでシステムが最後にリブートされる時点までの画面表示がすべて記録されます。 このファイルに含まれる情報には,オペレーティング・システム・ソフトウェアの構成や,最適化カーネルの構築があります。 CD-ROM を使用してインストレーションを実行している場合,このファイルにはワールドワイド言語サポートのロードや構成も含まれます (該当する場合)。 このファイルは,フル・インストレーションおよびアップデート・インストレーションで使用されます。

F.3.4    setld.log ファイル

setld.log ファイルには,すべてのソフトウェア・サブセット管理動作が記録されます。 ソフトウェア・サブセットのロードや削除で問題が発生した場合は,このファイルにエラー・ログが記録されます。 このファイルは setld コマンドによって更新され,setld コマンドが使用されるたびに情報が追加されます (setld -i 操作の場合を除く)。

F.3.5    fverify.log ファイル

fverify.log ファイルは /usr/lbin/fverify ユーティリティによって更新され,ソフトウェア・サブセットがロードされるたびに変更されます。 サブセットがロードされるたびに,setld コマンドが fverify ユーティリティを実行し,サブセット内のファイルがすべて正しくロードされたことを確認します。 正しくインストールされていないファイルがあった場合は,そのファイルが検査をパスしなかった理由がここに記録されます。

F.3.6    install.cdf ファイル

install.cdf ファイルには,フル・インストレーションの際に,インストレーションの開始時点から,インストレーションの開始を確認するまでの間の情報が記録されます。 install.cdf ファイルは,インストレーションのクローニング (『インストレーション・ガイド -- 上級ユーザ編』を参照) を実行するために使用されます。 このファイルは,フル・インストレーションでのみ使用されます。

F.4    アップデート・インストレーション・ログ・ファイル

この節では,以下のアップデート・インストレーション・ログ・ファイルについて説明します。

F.4.1    update.log ファイル

update.log ファイルには,installupdate コマンドが呼び出されてから,新しいオペレーティング・システムでシステムが初めてリブートされるまでの画面表示が記録されます。 このログ・ファイルはアップデート・インストレーション処理でのみ使用されます。 また,アップデート・インストレーション中にエラーがあったかどうかを判断するために調べる必要があります。

F.4.2    upd_custom_files ファイル

upd_custom_files ファイルには,アップデート・インストレーション中に .PreUPD 拡張子で保存されたすべてのファイルのリストが入っています。 .PreUPD 拡張子で保存されたファイルは,新しいオペレーティング・システムで出荷されたバージョンのファイルと自動的にはマージできないユーザ・カスタマイズを含むファイルです。 .PreUPD ファイルは,新しいファイルに手作業でカスタマイズをマージする際の参考として使用できます。 upd_custom_files はアップデート・インストレーション・プロシージャが作成し,アップデート・インストレーション・クリーンアップ (/usr/sbin/updadmin) ユーティリティが使用します。 このファイルは,変更しないでください。

F.4.3    upd_PreMRG_files ファイル

upd_PreMRG_files ファイルには,アップデート・インストレーション中に .PreMRG 拡張子で保存されたすべてのファイルのリストが入っています。 .PreMRG 拡張子で保存されたファイルは,アップデート・プロシージャが新しいオペレーティング・システムで出荷されたバージョンのファイルと自動的にマージしようとしてできなかったユーザ・カスタマイズを含むファイルです。 .PreMRG ファイルは,新しいファイルに手作業でカスタマイズをマージする際の参考として使用できます。 このファイルはアップデート・インストレーション・プロシージャが作成し,アップデート・インストレーション・クリーンアップ (/usr/sbin/updadmin) ユーティリティが使用します。 このファイルは,変更しないでください。

F.4.4    upd_mergefail_files ファイル

upd_mergefail_files ファイルには,アップデート・インストレーション中に自動的にはマージできなかった,すべての保護されているシステム・ファイルのリストが入っています。 マージが失敗したため,アップデート・インストレーションはカスタマイズ・ファイルを .PreMRG 拡張子で保存してから,新しいオペレーティング・システムで出荷されたバージョンをカスタマイズされたファイルと置き換えます。 upd_mergefail_files ファイル内の各ファイルについて,.PreMRG ファイル内のカスタマイズを,手作業で新しいファイルにマージします。 カスタマイズのマージを行わないと,システムの性能に影響するような重要なカスタマイズが失われることがあります。 このファイルは,アップデート・インストレーション・プロシージャが作成します。

F.4.5    upd_obsolete_files ファイル

アップデート・インストレーションを行うと,廃止されたファイルおよびディレクトリはシステムから自動的に削除されるので,upd_obsolete_files ファイルは空にしておかなければなりません。 ただし,ユーザまたはレイヤード・プロダクトが作成したファイルがある場合,このファイルには旧ディレクトリのリストが含まれています。 アップデート・インストレーションでは,廃止されていないファイルを含むディレクトリは削除しません。