構成のクローニングの概要 (7.1 節)
構成のクローニングの実行方法 (7.2 節)
config.cdf
ファイルのフォーマットと内容についての説明 (7.3 節)
config.cdf
ファイルの例 (7.3.1 項)
config.cdf
ファイルを生成するシステムに関する制限と,クローンの作成に適したシステムのタイプ (7.4 節)
CDF への構成情報の保存,CDF の編集,およびクローニング処理開始の手順 (7.5 節)
新しくインストールしたシステムを業務に使用し,他のシステムおよびユーザと通信できるようにするには,ネットワーク・サービス,ネーム・サービス,プリンタ,インターネット・サービス,電子メールの配信を構成する必要があります。 新しくインストールしたシステムでは,システム構成作業はクイック・セットアップ・アプリケーション,カスタム・セットアップ・チェックリスト,SysMan Menu のいずれかを用いて行います。 構成のクローニングが使用できるようになる前は,各システムで個別に構成作業を実行する必要がありました。
構成のクローニングを使用すると,すでに構成されたシステムから 1 つまたは複数のターゲット・システムに構成を複製できるため,個別の構成作業を実行しなくてすみます。
構成のクローニングは,ハードウェアや機能が類似したシステムに対して使用することをお勧めします。 構成のクローニングは,クラスやタイプが同じマシンのクローニングに適しています。 クローニングに適した状況であるかどうかの判断基準は,システムが同じタイプで,同じタイプのネットワーク・アダプタを同じ数だけ備えているかどうかです。 各システムを個別に構成する代わりに,1 つのシステムを構成し,クラスまたはタイプが同じ他のシステムにその構成を複製します。
また,現在の構成が壊れた場合や,以前の構成に戻したい場合など,システムの構成を復元するときにも,構成のクローニングが利用できます。
他のシステムのインストレーションおよび構成を完全に自動化するために,構成のクローニングをインストレーションのクローニングと併用して,ターゲット・システム自身でこれらの作業を実行しなくてもすむようにすることもできます。
インストレーションのクローニングには,システムをインストールしたときに自動的に作成される,別のファイル
install.cdf
が必要です。
インストレーションのクローニングについての詳細は,第 6 章
を参照してください。
7.2 実行方法
モデル・システムとして使用するシステムの構成が完了したら,sysman -clone -save
コマンドを使用して,システム構成データのスナップショットを構成記述ファイル (CDF) に保存します。
特に指定しなければ,このファイルは
config.cdf
という名前で
/var/adm/smlogs
ディレクトリに保存されます。
config.cdf
ファイルに保存された情報は,類似したシステムに同じ構成を複製するために使用されます。
config.cdf
ファイルを編集して任意の値 (チェックサム以外) を変更することができますが,ホスト固有の属性 (ホスト名や IP アドレス) の中には,複製したシステムがネットワーク上で一意に認識されるようにするために必ず編集しなければならないものもあります。
config.cdf
ファイルは,フル・インストレーション処理の際に自動的に他のシステムに適用することも,複製するシステムをインストールしてから構成するまでの間に手動で適用することもできます。
以下のリストにオプションを要約します。
システムを 1 つずつ手動で複製するには,config.cdf
ファイルを編集してホストおよびサイトに固有の属性を設定します。
そして,CDF をターゲット・システムへコピーし,sysman -clone -apply
コマンドを使用して,インストール済のターゲット・システムに CDF を手動で適用します。
フル・インストレーションで 1 つのシステムを複製するには,config.cdf
ファイルを編集してホストおよびサイト固有属性を設定し,表 7-1
に示すいずれかの位置に
config.cdf
ファイルを置きます。
複製したいシステムでフル・インストレーションを開始する際に,インストレーション・プロセスは
表 7-1
に示した順序で
config.cdf
ファイルを検索します。
表 7-1: config.cdf ファイルの検索順序
検索順序 | 位置 |
1 | ディスケット・ドライブ
floppy0
または
floppy1
のディスケット |
2 | RIS サーバ上の
/var/adm/ris/clients/sets/ profile_set
サブディレクトリ。
RIS クライアントを登録する際には,使用する
install.cdf
ファイルが存在する
profile_set
ディレクトリにターゲット・システムを登録する必要があります。 |
3 | クローンを作成するシステムの
/var/tmp
メモリ・ファイル・システム (MFS) |
4 | 配布メディア (ローカル CD-ROM または展開された RIS 領域) の
/isl
ディレクトリ |
フル・インストレーションで複数のシステムを複製するには,postload
スクリプトを記述し,そこで複製される各システムを定義し,ホストおよびサイトに固有の属性を
config.cdf
に設定します。
config.cdf
ファイルと
postload
スクリプトは,正しい位置に置くとフル・インストレーションで自動的に実行されます。
注意
構成のクローニングは,インストレーション時にのみ有効というわけではありません。 すでに稼働しているシステムに構成を適用する方法を,7.11.2 項 で説明しています。
詳細については,フル・インストレーション中にどのユーザ提供ファイルと CDF を呼び出すかについて示した,第 5 章の図 5-2
を参照してください。
7.3 構成 CDF のフォーマットと内容
config.cdf
は,各構成コンポーネントの情報から構成されています。
各コンポーネントには,いくつかのグループがあり,その中の 1 つ以上の属性と値のペアで構成データが定義されます。
属性とそれに対応する値は,等号 ( =
) で区切られています。
表 7-2
に,config.cdf
ファイルのコンポーネントを示します。
表 7-2: config.cdf ファイルのコンポーネント
コンポーネント名 | 説明 |
bindconfig | ドメイン・ネーム・サービス (DNS) の構成データが含まれています。 DNS クライアントのクローニングのみがサポートされます。 DNS サーバは複製できません。 |
internetServices | インターネットへの接続を管理するプロセスの開始と停止を行います。 |
メール・サーバの構成に関する情報が含まれています。 メール・クライアントのクローニングのみがサポートされます。 |
|
networkAdapters | 構成されているネットワーク・アダプタのタイプを定義します。 |
networkServices | システムがクラスタのメンバかどうかを指定します。 |
networkedSystems | 主に
|
networks | DARPA を含む既知のネットワークに関する情報からなる
|
nfs_export | システムがネットワークを介してローカル・ファイル・システムをエクスポートするように構成されているかどうかを定義します。 |
nfsconfig | NFS (Networked File Systems) のクライアントおよびサーバの設定を定義します。 |
nisconfig | NIS (Network Information Services) の構成情報が含まれます。 |
ntpconfig | NTP (Network Time Protocol) のサーバ情報が含まれます。 |
printcap |
|
remoteWhoServices |
|
routing | ルーティングの構成を定義します。 |
例 7-1に,config.cdf
ファイルの bindconfig コンポーネントを示します。
シャープ記号 ( # ) で始まる行はコメント行です。
config.cdf
ファイルのコンポーネントの最後にある情報は Group: componentid です。
ここには,検証のためにクローニング・プロセスが必要とする内部情報が含まれています。
注意
紙面の都合上,例には
config.cdf
ファイルの一部しか記載していません。config.cdf
ファイルの全体を参照するには,構成済みのシステムでsysman -clone -save
コマンドを用いて,構成情報を省略時の位置/var/adm/smlogs/config.cdf
に保存し,次にテキスト・エディタなどの使い慣れたツールでファイルを表示してください。
CHECKSUM=56823 # # CDF Created: Fri Aug 23 11:34:30 EST 2002 # # # Component: bindconfig # # # Group: bind # /bindconfig/bind: configured=YES bindtype=CLIENT # # Group: resolver # /bindconfig/resolver: change_hostname=NO domain=mydomain.com precedence=first # # Group: ns # /bindconfig/ns: cdf_record=00000001 ipaddress=16.29.221.1 hostname=libra.mydomain.com # # Group: search # /bindconfig/search: # # Group: componentid # /bindconfig/componentid: manufacturer=Hewlett-Packard Company product=Domain Name Service Configuration version=DNS-1.1.4.17 serialnumber=1.1.4.17 installation=19990203184929.000000-300 verify=7 # # CDF Created: Fri Aug 23 11:34:47 EST 2002 #
他のシステムへ複製するために,config.cdf
ファイルを生成したり選択する際には,以下の制限に従うことをお勧めします。
構成のクローニングはオペレーティング・システムの異なるリリース間ではサポートされていません。
Version 5.1Bを実行しているシステムに構成を複製する場合,使用する
config.cdf
ファイルは Version 5.1B をインストールして構成したモデル・システムで生成する必要があります。
ソフトウェア・パッチはクローニングされません。
パッチをインストールするとシリアル番号が変わるため,config.cdf
ファイルがターゲット・システムに適用された際に検証エラーになります。
このため,この制限事項があります。
config.cdf
ファイルを作成するときには,パッチされていないモデル・システムから作成しなければなりません。
モデル・システムにすでにパッチが適用されている場合は,代替手段として次の 2 つの方法があります (ただし,お勧めしません)。
パッチが適用されているシステムから
config.cdf
を作成します。
ターゲット・システムへ
config.cdf
ファイルを適用するときに
-f
オプションを使って,config.cdf
ファイルをターゲット・システムに強制的に適用します。
たとえば,ターゲット・システムで次のコマンドを入力します。
# sysman -clone -apply -f config.cdf
その後,他のシステムへのクローニングに使うために,クローニングで新しく作成されたターゲット・システムで別の
config.cdf
を作成します。
新しい
config.cdf
のチェックサムは正しいため,このファイルを使うと,残りのシステムへのクローニングが正常にできます。
注意
ターゲット・システムに CDF を強制的に適用する -f オプションは,主に内部デバッグのために使われます。 この
config.cdf
にはパッチされたモデル・システムの問題以外にも問題がある可能性があるため,CDF を強制的に適用すると,ターゲット・システム上で回復不可能な問題が発生することがあります。
次のバージョンがリリースされている場合は,アップデート・インストレーション手順を使って,パッチが適用されているモデル・システムを次のバージョンのオペレーティング・システムにアップデートします。 これにより,パッチの問題を回避します。
ソフトウェア・ライセンスは複製されません。
オリジナルのシステムにインストールして登録した製品の認証コード (PAK) は,ターゲット・システムには複製されません。
ソフトウェア・ライセンスをインストールして登録するには,クローン・システム上で License Manager アプリケーションまたは
lmfsetup
スクリプトを実行する必要があります。
複数のネットワーク・インタフェース (アダプタ) を持つシステムで作成された
config.cdf
ファイルは,ネットワーク・アダプタが 1 つしかないシステムの構成のクローニングには使用できません。
このようなクローニングを行う場合は,CDF から余分なアダプタの情報を注意深く削除してください。
そうしないと,CDF は検証に失敗します。
構成のクローニングは,類似したクラスのマシンのクローニングに最も適しています。 サーバ・クラス・システムから作成した CDF はサーバを複製するために使用し,ワークステーション・クラス・システムから作成した CDF は他のワークステーションを複製するために使用することをお勧めします。
ワークステーション・クラス・システムは,どのタイプであれサーバ用に構成されたマシンの CDF を用いて複製しないでください。 この CDF には,ワークステーションでは必要としないサーバのセットアップ情報がたくさん含まれているため,ネットワークに悪影響を与えることがあるためです。 たとえば,システムがサイトのプライマリ IP ルータとして構成されている場合は,他のシステムに複製しないでください。
構成のクローニングはクラスタ環境ではサポートされていません。 個々のクラスタ・メンバはディスクを共有しており,CDF には個々のメンバの情報ではなくクラスタ全体に関する情報が保存されるので,クラスタ・メンバの構成は保存しないでください。
以下のリストは,モデル・システムから 1 つまたは複数のターゲット・システムに構成を複製する際に必要な手順を要約したものです。
sysman -clone -save
コマンドを使用して,構成済みのモデル・システムから
config.cdf
ファイルにシステム構成情報を保存します (7.6 節)。
config.cdf
ファイルを変更して,ホスト固有属性を設定し,必要な場合はサイト固有属性も設定します (7.7 節)。
CDFを使って構成のクローニングを行う前に,CDF を検証します (7.8 節)。
フル・インストレーション時に複数システムの構成のクローニングをセットアップするには,オプションの
postload
スクリプトを作成し,ホスト固有情報を動的に設定します (7.9 節)。
ターゲット・システムへの適用方法または配布メディアの要件に応じて,config.cdf
ファイルを正しい位置にコピーします (7.10 節)。
フル・インストレーション・プロセスまたは
sysman -clone -apply
コマンドを使用して,ターゲット・システムに
config.cdf
ファイルを適用します (7.11 節)。
7.6 [ステップ 1]: 構成情報を構成 CDF に保存する
インストレーションのクローニングでは
install.cdf
ファイルは自動的に作成されますが,構成のクローニングでは,意識的に構成データを
config.cdf
ファイルに保存する必要があります。
この処理が自動化されていない理由は,人が介在しなければ,いつシステム構成が完了したか分からないためです。
構成データは,システムがインストールされた後ならいつでも,何度でも CDF ファイルに保存できます。
構成データを保存する場合,値が設定されていない属性は
config.cdf
ファイル内に定義されません。
1 つの
config.cdf
ファイルを使用して多数のシステムに構成を複製する場合は,1 つのシステムに対してインストレーションと構成を行ってモデル・システムとして使用します。
このようにすると,ホスト固有属性以外は,CDF に必要な編集はほとんどなくなります。
必要な構成を行ったシステム上で,次のようにフラグを指定した
sysman
コマンドを用いて,構成データを CDF に保存します。
sysman -clone -save
[filename]
このコマンドでは,別のパスおよびファイル名を指定しない限り,現在のシステム構成が
/var/adm/smlogs/config.cdf
ファイルに保存されます。
フル・インストレーション処理の際にシステム構成を複製する場合,インストレーション・プロセスは
config.cdf
という名前のファイルを検索することに注意してください。
他の名前の構成 CDF は認識されません。
また,sysman -clone -save
コマンドは,CDF を有効な状態で作成します。
CDF が有効かどうかは,config.cdf
ファイルの先頭にあるチェックサムによって確認されます。
CDF をターゲット・システムの複製に適用する際,不正な変更によってシステムが使用できない状態になるのを防ぐために,チェックサムによって
config.cdf
ファイルの正当性が判断されます。
このチェックサムは変更しないでください。
構成されているコンポーネントをすべてリストするには,次のようにsysman
コマンドを使用します。
sysman -clone -list
7.7 [ステップ 2]: 構成 CDF 内のホストおよびサイトに固有の属性を変更する
config.cdf
ファイルには,ホストおよびサイトに固有の属性が含まれています。
この属性は,各クローン・システムがネットワーク上で一意に識別されるようにするために,編集が必要です。
/var/adm/smlogs
ディレクトリにあるオリジナルの
config.cdf
ファイルは変更しないでください。
代わりに,このファイルをコピーして,コピーの方を変更してください。
オリジナルの CDF にはモデル・システムの構成に関する情報が含まれており,これが将来のトラブルシューティングやオリジナルの構成の復元に役立つことがあるので,オリジナルの CDF は
/var/adm/smlogs
ディレクトリに残しておいてください。
変更した
config.cdf
ファイルは,変更の記録としてバックアップを保存してください。
注意
ファイルの先頭にはチェックサムがあり,チェックのために使用されます。 この番号は変更しないでください。 変更すると,クローニング・プロセスが CDF の正当性を確認できなくなり,その後他のシステムのクローニングに使用できなくなる恐れがあるためです。
このファイルを編集する場合は,意味がわからない属性や値は変更しないでください。 ホストまたはサイトに固有の情報があり,それがターゲット・システムと互換性のないことがわかっている場合 (たとえばモデル・システムのホスト名など) は,変更を加えてください。 この章で説明している属性と値だけを変更することをお勧めします。
表 7-3には,クローン・システムがネットワーク上で一意に識別されるようにするために,構成を適用する前に変更する必要のある,ホスト固有の情報をリストしています。
複製されるシステムのハードウェアまたはプロセッサのタイプが,config.cdf
ファイルが生成されたシステムと正確に一致しない場合には,3 番目の属性を考慮してください。
表 7-3: config.cdf ファイル内のホスト固有の属性
ホスト固有の属性 | 説明 |
systemName= |
ネットワーク上で認識されるシステム名を設定します。
システムにはそれぞれ一意の名前を付けなければならないので,この属性は変更が必要です。
この属性は
interface
グループの
networkAdapters
コンポーネントにあり,他にどのようなコンポーネントが構成されているかに応じて,名前が他の属性にも指定されることがあります。
システム名は必ず検索してすべて変更するようにしてください。 |
networkAddress= |
ネットワーク上での認識に利用されるクライアント・システムに対する一意のインターネット・プロトコル (IP) アドレスを設定します。
この属性は
interface
グループの
networkAdapters
コンポーネントおよび
hostMappings
グループの
networkedSystems
コンポーネントにあります。 |
devName=
と
type= |
システムに実装されているネットワーク・アダプタを定義します。
この値は,複製されるシステム上のネットワーク・アダプタが
config.cdf
ファイル内に定義されているものと異なっている場合のみ変更します。
この属性に対して有効な値には,Tulip デバイスの
tu0 ,Lance デバイスの
ln0 ,FDDI デバイスの
fddi0 ,および
ee0
があります。
システムがまだオペレーティング・システムを実行していない場合に,複製されるシステムで使用できるネットワーク・アダプタを調べるには,コンソール・モードのプロンプト (>>>) で
show dev
および
show config
コマンドを実行します。
複製されるシステムでオペレーティング・システムが実行されている場合は,rcmgr mget | grep NET
コマンドを使用して,ネットワーク・アダプタ・デバイス (NETDEV_0) を調べます。 |
7.7.1 項
では,変更が必要なサイト固有の属性について説明します。
7.7.2 項
では,複数のレコードを持つコンポーネント・グループを変更するための
CDFMODE
属性の使い方について説明します。
7.7.1 [オプション]: 構成 CDF 内のサイト固有情報を変更する
config.cdf
ファイルには多くのネットワーク関連の属性が含まれています。
この属性は,複製するシステムごとに要件が異なる場合に,編集が必要になります。
たとえば,特殊なネットワーク構成が必要な特定の部署またはサイトのシステムをすべて複製することがあります。
このような場合,変更の検討が必要になる属性は,DNS サーバ,ネットマスク,ドメイン名,ネットワーク・ルーティングのタイプ,ネットワーク・タイム・プロトコル (NTP) のサーバ名,省略時のプリンタ,プリンタおよびメール・クライアント構成などです。
7.7.2 複数のレコードを持つコンポーネント・グループに対して CDFMODE 属性を使用する
CDFMODE
属性は,複数のレコードを持つコンポーネント・グループのみに適用されます。
CDFMODE
は,CDF 全体のコンポーネント・グループ内にあるすべての
cdf_record
ラベルに適用されるグローバルな属性です。
複数のレコードを含むコンポーネント・グループの例には,networkedSystems
コンポーネント内の
hostMappings
グループがあります。
このグループは,/etc/hosts
ファイル内のデータを表します。
構成 CDF では複数レコード・グループ内の各レコードを
cdf_record=
というラベルで開始し,グループ内に複数のレコードがあることを示します。
例 7-2
は,複数のレコードがあるホスト・グループの例です。
例 7-2: 複数のレコードがあるコンポーネント・グループの例
# Component: networkedSystems
#
# Group: hostEquivalencies
#
/networkedSystems/hostEquivalencies:
#
# Group: hostMappings
#
/networkedSystems/hostMappings:
cdf_record=00000001
networkAddress=127.0.0.1
systemName=localhost
cdf_record=00000002
aliases=aries
networkAddress=16.29.221.1
systemName=aries.mydomain.com
cdf_record=00000003
networkAddress=16.29.221.15
systemName=pluto
cdf_record=00000004
aliases=virgo
networkAddress=16.29.221.27
systemName=virgo.mydomain.com
#
#
表 7-4
に,CDFMODE
属性の有効な値を示します。
表 7-4: CDFMODE 属性の値
値 | 説明 |
MERGE |
コンポーネント/グループのデータを,ターゲット・システム上の既存のデータとマージします。
重複するデータは無視されます。
CDFMODE
が指定されていない場合,これが構成 CDF 全体に対する省略時の動作になります。 |
APPEND |
コンポーネントおよびグループのデータを,ターゲット・システム上の既存の構成データに追加します。 重複するデータは無視されません。 |
REPLACE |
ターゲット・システム上のコンポーネントおよびグループのデータを,構成 CDF 内のデータで置き換えます。 ターゲット・システムには存在するが CDF には存在しないデータは削除されます。 構成 CDF には存在するがターゲット・システムには存在しないデータは適用されます。 CDF とターゲット・システムの両方に存在するデータは,適切に変更されます。 |
CDFMODE
属性は,config.cdf
ファイル内のコンポーネントの外にも置くことができます。
注意
例 7-3 に示すように,
CDFMODE=
属性は行の最初のカラムから始まっていなければなりません。 スペースやタブを挿入してインデントしないでください。
CDFMODE
の値は,別の
CDFMODE=
文に到達するまで有効です。
例 7-3に,CDFMODE
属性の使い方を示します。
この例では,CDFMODE=REPLACE
が見つかるまでは,省略時の
MERGE
モードが有効です。
この指定により,/etc/hosts
ファイル全体が CDF の内容で置き換えられます。
その後,CDFMODE=MERGE
(省略時のモード) に到達し,残りの属性は複製されるシステムにマージされます。
例 7-3: CDF への CDFMODE 属性の挿入
CDFMODE=REPLACE
#
# Component: networkedSystems
#
# Group: hostEquivalencies
#
/networkedSystems/hostEquivalencies:
#
# Group: hostMappings
#
/networkedSystems/hostMappings:
cdf_record=00000001
networkAddress=127.0.0.1
systemName=localhost
cdf_record=00000002
aliases=host1
networkAddress=16.29.221.2
systemName=host1.mydomain.com
cdf_record=00000003
networkAddress=16.29.221.16
systemName=host2
cdf_record=00000004
aliases=host3
networkAddress=16.29.221.28
systemName=host3.mydomain.com
#
CDFMODE=MERGE
config.cdf
ファイルを変更したら,次のコマンドで内容を検証してください。
sysman -clone -validate
[filename]
ファイル名を省略すると,ファイル名は
/var/adm/smlogs/config.cdf
と見なされます。
このコマンドは,ファイルの先頭にあるチェックサムを用いて,変更によってファイルが他のシステムの複製に使用できなくなっていないか調べます。
検証処理では,エラーが発生したコンポーネント・グループの切り分けが行われ,メッセージが表示されます。
検証エラーが発生した場合は,未変更のオリジナルの
config.cdf
を使ってやり直してください。
7.9 [ステップ 4]: フル・インストレーションの際に複数のシステムを複製するスクリプトを作成する (オプション)
フル・インストレーションの際に
config.cdf
ファイルを用いて多数のシステムを一度に複製するには,ホスト固有の値に変数を設定した
config.cdf
ファイルを代表で 1 つ作成してください。
システムに適用する前に変数に値を手動で入力するか,スクリプトを作成してフル・インストレーションの際に呼び出し,config.cdf
ファイルがターゲット・システムに適用される前にそのファイル内の変数を動的に変更するようにします。
フル・インストレーション・プロセスは,フル・インストレーションの途中で,config.cdf
ファイルが置かれている場所で特定のスクリプトを検索します。
インストレーション・プロセスが適切なディレクトリ位置で
postload
という名前のスクリプトを見つけると,ソフトウェア・サブセットがロードされてからカーネルの構築が行われるまでの間に
postload
スクリプトが実行されます。
これは,config.cdf
ファイルが適用されるフェーズでもあります。
付録 B
にはこのような
postload
スクリプトの例を記載し,ホスト固有の値に対する変数の作り方を示します。
postload
ファイルと
config.cdf
ファイルは同じ場所になければなりません。
7.10.3 項では,インストレーション・プロセスが
postload
ファイルと
config.cdf
ファイルを検索する 4 つの場所を説明します。
7.10 [ステップ 5]: 構成 CDF を正しい位置にコピーする
config.cdf
ファイルの位置は,フル・インストレーションでシステム構成を複製する場合と,すでにインストールしてまだ構成していないシステムの構成を複製する場合で異なります。
config.cdf
ファイルを手動で単一のシステムに適用するか,システムに 1 つずつ適用する場合は,7.10.1 項
に示すように
config.cdf
ファイルをディスケットにコピーするか,7.10.2 項
に示すように一時的なネットワークをセットアップして,クローニングを行うシステムに
config.cdf
ファイルを移します。
フル・インストレーションの際にシステム構成を複製する場合は,7.10.3 項を参照して,検索対象としてサポートされている位置を調べてください。
これらの位置は,インストレーション・プロセスがユーザ提供スクリプトと
install.cdf
ファイルを検索する位置と同じです。
以下の手順で,config.cdf
ファイルをディスケットにコピーします。
ディスケットをフォーマットし,新しいディスク・ラベルを書き込み,新しいファイル・システムを作成します。
# fddisk -fmt /dev/rdisk/floppy0a # disklabel -wr floppy0 rx23 # newfs /dev/rdisk/floppy0c
マウント・ポイント
/mnt
にディスケットをマウントします。
# mount /dev/disk/floppy0 /mnt
構成データを
config.cdf
という名前でディスケットに保存します。
# sysman -clone -save /mnt/config.cdf
config.cdf
ファイルをディスケットにコピーしたら,複製するシステムのディスケット・ドライブにディスケットを挿入してマウントします。
config.cdf
ファイルを手動で適用してシステムを自動的に構成する方法については,7.11.2 項を参照してください。
7.10.2 構成 CDF をネットワークに接続されていないシステムにコピーする
構成を複製するシステムがインストールされていてまだ構成されておらずディスケット・ドライブがない場合,一時的にネットワークに接続する以外に,config.cdf
ファイルをコピーする方法はありません。
以下の手順で一時的なネットワークをセットアップし,次にファイル転送プロトコル (FTP) を用いて,複製するシステムに
config.cdf
ファイルをコピーします。
CDF をコピーする元のシステムの IP (Internet Protocol) アドレスを知っている必要があります。
すでにインストールされていてまだ構成されていないシステムで,次の手順を実行します。 両方のマシンで root の権限を持っているものとします。
クローニングを行うシステムで,次のコマンドを実行してネットワーク・アダプタと IP アドレスを調べます。
# ifconfig -a
マシンの IP アドレスを含む行を探して,どのネットワーク・インタフェースを構成すればよいか調べます。
一時的にネットワーク・アダプタをネットワークに接続します。
# ifconfig adapter_name IP_address
セットアップしたネットワーク接続をチェックして,システムが CDF の置かれているモデル・システムを認識することを確認します。
# /usr/sbin/ping -c2 model_system_name
config.cdf
ファイルの省略時の位置である次のディレクトリに移動します。
# cd /var/adm/smlogs
ファイル転送プロトコル (FTP) を用いて,config.cdf
ファイルが生成されたモデル・システムに接続します。
ドメイン・ネーム・サービス (DNS) は実行されていないので,モデル・システムのシステム名ではなく IP アドレスを指定してください。
# ftp model_system_IP_address
ユーザ
root
として FTP にログインし,root のパスワードを入力します。
config.cdf
ファイルのあるディレクトリに移動します。
この例では,ファイルは省略時の位置にあるものと仮定しています。
ftp> cd /var/adm/smlogs
config.cdf
ファイルをコピー (get) して,クローニングを行うシステムに転送します。
ftp> get config.cdf
接続をクローズして FTP を終了します。
ftp> bye
これで,config.cdf
ファイルは,クローニングを行うシステムの
/var/adm/smlogs
ディレクトリに置かれました。
7.11.2 項に進んで,config.cdf
ファイルを手動で適用してシステムを構成する方法を参照してください。
7.10.3 構成 CDF を配布メディアにコピーする
フル・インストレーションの際に構成を複製するには,オリジナルのモデル・システムの
config.cdf
ファイルを
表 7-5
に示す 4 箇所のいずれかにコピーします。
クローニングを行うシステム上でフル・インストレーションを開始すると,インストレーション・プロセスはこの表に示した順番で
config.cdf
ファイルを検索します。
config.cdf
ファイルはインストレーションのクローニングで使用されるユーザ提供ファイルおよび
install.cdf
ファイルと同じ場所に配置され検索されるので,コピー処理の実際のステップは,ここでは繰り返しません。
メディアの要件に基づいて,config.cdf
ファイルをどこに移動するかを決定し,下記のテーブルの 3 番目の欄に示す項に進んで,ファイルをコピーする手順を参照してください。
表 7-5: config.cdf ファイルを置く位置
検索順序 | 位置 | コピー手順の参照先 |
1 | ディスケット・ドライブ
floppy0
または
floppy1
のディスケット |
5.8.1 項 |
2 | RIS サーバ上の
/var/adm/ris/clients/sets
ディレクトリ内にある
profile_set
サブディレクトリ |
5.8.2 項 |
3 | クローンを作成するシステムの
/var/tmp
メモリ・ファイル・システム (MFS) |
5.8.3 項 |
4 | 配布メディア (ローカル CD-ROM または展開された RIS 領域) の
/isl
ディレクトリ |
5.8.4 項 |
config.cdf
ファイルを正しい位置にコピーしたら,7.11.1 項
に進んで CDF をターゲット・システムに適用してください。
7.11 [ステップ 6]: 構成 CDF をターゲット・システムに適用する
config.cdf
ファイルをターゲット・システムに適用する際,CDF に定義されていない属性はすべて,ターゲット・システムでは変更されないか未構成になります。
必要に応じて,config.cdf
ファイルを次のようにシステムに適用します。
構成クローニングを開始する正しい場所に CDF があると,フル・インストレーションでその CDF が適用されます (7.11.1 項)。
CDF をターゲット・システムに手動で適用して,構成クローニングを開始することができます (7.11.2 項)。
CDF を手動で適用して,構成が壊れたシステム上に構成を復元できます (7.11.3 項)。
7.11.1 フル・インストレーションの際に構成 CDF を適用する
フル・インストレーション・プロセスが
7.10.3 項
に示した場所のいずれかで
config.cdf
ファイルを見つけると,ファイル・システムが作成され,ソフトウェアがロードされ,新しくインストールされたシステム・ディスクからシステムがリブートされた後に,CDF が適用されます。
新しくインストールされたシステムは CDF に定義されたとおりに正確に構成されます。
7.11.2 稼働中のシステムに構成 CDF を適用する
ディスケット・ドライブに挿入されマウントされたディスケットに
config.cdf
ファイルをコピーするか,またはクローニングを行うシステムの
/var/adm/smlogs
ディレクトリにコピーした後,次の構文で
sysman
コマンドを使用して構成をシステムに適用します。
sysman -clone -apply
[filename]
フル・パスおよびファイル名を指定しない場合,sysman
コマンドは省略時の位置およびファイル名
/var/adm/smlogs/config.cdf
が指定されたものと見なします。
config.cdf
ファイルを
/var/adm/smlogs
以外に置くか,またはファイル名を
config.cdf
以外にした場合は,コマンド行でパスと正確なファイル名を指定する必要があります。
7.11.3 構成 CDF を使用してシステム構成を復元する
壊れたシステム構成を復元したり,単に
config.cdf
ファイルに保存された以前の構成に戻したい場合は,正しい
config.cdf
ファイルが
/var/adm/smlogs
ディレクトリにあることを確認して,次のコマンドを実行してください。
sysman -clone -apply
[filename]
構成 CDF が
/var/adm/smlogs/config.cdf
とは異なる位置に保存されている場合は,コマンド行でフル・パスを指定する必要があります。