7    ウィンドウ・システム・ソフトウェアに関する注意事項

この章では,ウィンドウ環境に関する問題点と注意事項,および問題の解決策または対処方法について説明します。

この章では次の項目について説明します。

7.1    ハードウェアの注意事項と制限事項

この節では,本リリースにおけるグラフィック・ハードウェアの制限事項について説明します。

7.1.1    PowerStorm グラフィックスのサポート

以下の 3D グラフィック・アダプタ・ファミリのサポート・ソフトウェアは,「Associated Products Volume 2」CD-ROM に収められています。

ベース・オペレーティング・システムでは,これらのデバイスの VGA モードのみをサポートしています。

必要なドライバおよびその他の情報については,次の URL を参照してください。 http://www.support.compaq.com/open3d/

7.1.2    Qvision グラフィック表示エラー

Qvision グラフィック・ボードのさまざまなバージョンで,fillsolid による描画上の問題が発生し,画面の底辺に表示が 1 行残る場合があります。 この現象は,CDE のブランク・ロック・スクリーンを実行している場合に顕著です。 表示される行は,使用している Qvision ボードのバージョンによって色や輝度が変わります。

7.2    X サーバに関する注意事項

この節では,X サーバに関する注意事項について説明します。

7.2.1    CDE でのマルチ画面表示サポートの制限

本リリースでは,複数の画面での X サーバのサポートに制限があります。 マルチスクリーン環境が可能である一方で,いくつかの不整合が発生します。 たとえば,2 つ目の画面の色が正しくなかったり,アイコンが正しく表示されなかったり,また起動された画面上にアプリケーションが表示されなかったりします。 PanoramiX 拡張を使用すると,これらの制限のいくつかが緩和されます。

7.2.2    PanoramiX での pixmap カラー・エラー

PanoramiX 拡張使用時に,pixmap カラーの破損が見られます。 物理スクリーン 0 以外にクライアントが表示されている場合,背景の pixmap が破損することがあります。 この破損は,Netscape を使用して背景の pixmap とともにページをロードする際に多く発生します。

この問題を回避するためには,Netscape の「設定」メニューから「配色」ダイアログボックスを表示させ,「常にこの配色を使用して,ドキュメントを無視する」を選択します。

7.2.3    X Print Server 拡張ライブラリに関する制限事項

基本オペレーティング・システムのサブセットとして出荷された X Print Server を,拡張ライブラリと組み合わせて使用するプログラマは,ライブラリ呼び出しの XpCancelDoc() と XpCancelPage() が現在機能していないことに注意してください。 呼び出しても,何も実行されません。

7.3    CDE クライアントに関する注意事項

この節では,CDE クライアントの注意事項について説明します。

7.3.1    アクセスできないダイアログ・ボタン

低解像度グラフィックスを使用した場合,ダイアログ・ボックスの「了解」,「適用」,「取消」,「ヘルプ」などのボタンが表示されない場合があります。 この問題を回避するために,CDE および Motif アプリケーションに対しては,ユーザ・ホーム・ディレクトリの下にあるアプリケーション・リソース・ファイルで DXmfitToScreenPolicy リソースを as_needed に設定してください。 システム全体に対してこの設定を行いたい場合は,/usr/dt/config/$LANG/sys.resources ファイルでこの設定を行ってください。

SysMan Menu から起動されるアプリケーションなど,Motif ベースでない SysMan アプリケーションに対する回避方法については,5.2.9 項 を参照してください。

7.3.2    CDE ファイル・マネージャ dtfile のリモート起動

ファイル・マネージャ,アプリケーション・マネージャ,ごみ箱マネージャはそれぞれ,dtfile アプリケーションがサポートする異なるビューです。 環境変数 DISPLAY を設定したリモート・システムからの dtfile の起動は行わないようにしてください。 この制限事項は,dtfile がクライアント/サーバ・モデルを使用し Tooltalk メッセージング・システムと通信するために必要なものです。

これらのユーティリティの動作が期待するものと異なる場合は,ファイル・マネージャ,アプリケーション・マネージャ,ごみ箱マネージャに関係するすべてのウィンドウをクローズしてください。 その後 dtfile アプリケーションに関係するプロセスをすべて kill します。 各プロセスの pid は次のコマンドで取得できます。

# ps -aef | grep dtfile
 

7.3.3    XOpenDisplay 呼び出し時の障害

ユーザが CDE デスクトップにログインする際,いくつかのアプリケーションが再起動されない場合があります。 X サーバのプロセスが,新しい接続をオープンする要求をすべて処理できずに,XOpenDisplay 呼び出し時にそのうちのいくつかが失敗することもあります。 xterm のように,次のようなエラーを dxconsole ウィンドウに記録するアプリケーションもあります。

xterm error: can't open display :0
 

この問題を回避するには,$HOME/.Xdefaults ファイルに次のリソースを追加してください。

Dtsession*contManagement:   2
 

このリソースは,ログイン・フェーズ中に, CDE セッション・マネージャとウィンドウ・マネージャとのハンドシェーク・プロトコルを有効にし,新しいウィンドウの表示を制御します。 これにより,ログインが終了するまでにわずかに時間がかかることはありますが,すべてのアプリケーションが確実に再起動されます。

このリソースを /usr/dt/app-defaults/C/Dtsession ファイルに追加すると,すべてのユーザに対して自動的に変更を行うことができます。

7.3.4    CDE_SESSION へのログインに関する制限事項

CDE_SESSION へのログインは,ホスト名が 31 文字以下のマシンに 制限されています。 これは,CDE と X ライブラリが,ユーザのログイン許可を処理するためのシステム名を uname コマンドを使用して入手するために生ずる制限事項です。

7.3.5    CDE Tooltalk メッセージングの問題

$HOME/.TTauthority ファイルには,Tooltalk クライアントが読み取り,各メッセージとともに ttsession メッセージ・サーバへ送信するキーが含まれています。 ttsession メッセージ・サーバは,ユーザが CDE にログインしたときに,このキーとユーザの $HOME/.TTauthority ファイルに置かれているキーを比較します。 何らかの理由で $HOME/.TTauthority ファイルが破損すると,クライアントは有効なキーを ttsession メッセージ・サーバに送信できなくなります。 その結果,CDE は正常な動作ができなくなり,場合によっては全く起動しなくなることもあります。

/usr/dt/bin/ttauth list コマンドを使用すると,$HOME/.TTauthority ファイルの内容を調べることができます。 破損したファイルに null 値が含まれ,それが原因で ttsession メッセージ・サーバがファイルの読み取り中にコア・ダンプを生成することがあります。 ttsession メッセージ・サーバが起動できない場合,$HOME/.dt/errorlog ファイルには次のようなメッセージが記録されます。

dtsession: Unable to start message server - exiting.

この問題が発生したら,$HOME/.TTauthority ファイルを削除して,root ユーザになり,/sbin/init.d/xlogin stop コマンド,次に /sbin/init.d/xlogin start コマンドの順に実行して,CDE を再起動します。

CDE にログインし直すと,有効なキーを含む新しい $HOME/.TTauthority ファイルが作成されます。 ホーム・ディレクトリが他のユーザと共有されている場合,他のユーザも CDE を再起動して,ログアウトとログインを行う必要があります。

7.4    国際化機能に関する注意事項

この節では,ウィンドウ環境における国際化機能についての注意事項を説明します。

7.4.1    コンソール・モードでの日本語キーボードのサポート

Tru64 UNIX は,シングルユーザ・モードあるいはコンソール・モードでも,JIS および ANSI の 2 つのタイプの日本語キーボードをサポートします。

LK97W-AJ や LK41W-JJ などの JIS タイプの日本語キーボードを使用する場合は, 次のように, コンソール環境変数 language を 50 に設定します。

>>> set language 50
 

LK41W-AJ などの ANSI タイプの日本語キーボードを使用する場合は, 次の例のように, コンソール環境変数 language を 52 に設定します。

>>> set language 52
 

コンソールにおける日本語キーボードのサポートについては,『日本語機能ガイドブック』も参照してください。

7.4.2    省略時のキーボード設定でログインできない問題

システムにログインするためにユーザ名およびパスワード・フィールドに入力した文字がシステムで正しく処理されるよう,システムの省略時のキーボード設定は,ログイン時の入力キーに適したものでなければなりません。 システムの省略時のキーボード設定が適切でないと,ユーザは正しいと思っていても実際には正しい文字が入力されていないという状況が発生する可能性があります。 このような場合,ユーザはシステムにログインできません。 このような状況は,ある言語対応キーボードがシステムに接続されているが,省略時のキーボード設定は別の言語対応キーボードになっている場合などに発生します。 システムの省略時のキーボード設定は,コンソール・プロンプトで変更することができます。 あるいは,コンソール・レベルでは必要な言語が利用できない場合は,Xserver.conf ファイルを編集することにより,X サーバが使用するキーマップを変更することができます。 キーボード設定についての詳細は keyboard(5) を参照してください。