9    テープ・ドライブを使用する共用バスの構成

この章では,TruCluster Server 製品の共用バスでさまざまなテープ・デバイスを使用するための準備について説明します。以下に,共用バスに使用するテープ・ドライブについて説明します。

注意

9.1 節および9.2 節では,注文番号 DS-TL891-NE/NG,DS-TL891-NT,DS-TL892-UA,DS-TL890-NE/NG で販売されている,TL890/TL891 ミニライブラリ・ファミリのマニュアルを紹介しています。

6-3 型式の注文番号の TL881 は,クラスタ構成に適合しています。TL891 ラックマウント・ベース・ユニットは,6-3 型式の注文番号で既に販売されています。TL881 と TL891 の違いは,使用するテープ・ドライブの種類だけです。これらは両方とも,以前に DS-TL890-NE と呼ばれていた拡張ユニットと,データ・ユニットと呼ばれる新しいモジュールで動作します。

9.6 節では,TL881 と TL891 について説明しています。これらは,共通の構成要素で構成され,6-3 の注文番号で販売されています。

TL89x ミニライブラリ・ファミリが両方の注文番号のセットで販売されている限り,そのマニュアルでは,ミニライブラリの両方の構成方法が説明されています。

9.1    共用 SCSI で使用する TL891 DLT ミニライブラリ(注文番号 2-5-2 で販売)の準備

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バスに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,共用ストレージをテープ・ライブラリと同じ SCSI バスに配置しないようにもお勧めします。

TL891 ミニライブラリでは,1 つの TZ89N-AV ディファレンシャル・テープ・ドライブとロボット・コントローラを使用して,10 カートリッジ・マガジン内のカートリッジにアクセスします。TL891 は,追加の DS-TL892-UA アップグレード・キット付きの 2 テープ・ドライブにアップグレードできます。

TL891 ミニライブラリには,2 種類の型式が用意されています。

各テープ・ドライブおよびロボット・コントローラには別個の SCSI ID を割り当てます。

ミニライブラリの背面には高密度 68 ピン SCSI コネクタが 6 個,各ドライブには SCSI コネクタが 2 個,ロボット・コントローラにも 2 個あります。TL891 では,30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパ・ケーブル (TL891 パッケージに付属) を使用して,ロボット・コントローラとテープ・ドライブを同じ SCSI バス上に配置します。2 テープ・ドライブにアップグレードするときには,2 つ目のドライブを同じ SCSI バス (DS-TL892-UA アップグレード・キットに付属の 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパ・ケーブルを使用),または 2 つ目のドライブ自体の SCSI バスに接続することができます。

以降の各項では,TL891 の準備の詳細について説明します。

9.1.1    TL891 の SCSI ID の設定

TL891 ミニライブラリの前面にある制御パネルは,電源投入時自己診断 (POST) の状態表示,メッセージの表示,およびミニライブラリ機能のセットアップに使用できます。

ミニライブラリに初めて電源を供給すると,一連の POST 診断が実行されます。 POST の実行中,制御パネルには,ミニライブラリのモデル番号,現在の日付/時刻,ファームウェア・リビジョン,および各テストの状態が表示されます。

POST 診断の完了後,次の省略時の画面が表示されます。

DLT0 Idle
DLT1 Idle
Loader Idle
0> _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ <9

省略時の画面の 1 行目と 2 行目は 2 つのドライブ (もしあれば) の状態を示します。 3 行目はライブラリ・ロボットの状態を示します。4 行目はマガジンのマップで,カートリッジ・スロットを表す 0〜9 の数字が表示されます。この行に表示される矩形は,マガジン内の対応するスロットにカートリッジが存在することを示します。

たとえば,この 4 行目 ( 0> X X _ _ _ _ _ _ _ <9,ただし X は矩形を表す) は,スロット 0 と 1 にカートリッジがインストールされていることを示しています。

注意

テープ・ドライブの SCSI ID を機械式に設定するスイッチはありません。SCSI ID の省略時の設定は 5 です。ミニライブラリでは,どのデバイスがミニライブラリの存在を認識するよりも前に,電子式の SCSI ID を非常に高速に設定するため,機械式の SCSI ID がなくても SCSI バスに何の問題も生じません。

SCSI ID を設定するには,次の手順に従います。

  1. 省略時の画面で [Enter] ボタンを押してメニュー・モードに入ります。[Main Menu] が表示されます。

    注意

    メニュー・モードに入ると [Ready] ランプが消えて,モジュールがオフラインであることを示します。メニュー・モードを終了し,[Ready] ランプが再点灯するまで,ホストからのメディア・チェンジャ・コマンドはすべて "SCSI not ready" 状態を返します。

  2. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択します。次に [Enter] ボタンを押すと,[Configure] サブメニューが表示されます。

    注意

    制御パネルの上向きおよび下向き矢印にはオートリピート機能があります。いずれかのボタンを 0.5 秒を超えて押し続けると,そのボタンを 1 秒あたり約 4 回押すのと同じ操作になります。ボタンを放すとオートリピートは無効になります。

  3. 下向き矢印ボタンを押して [Set SCSI] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  4. SCSI バス ID を変更したいテープ・ドライブ (DLT0 Bus ID: または DLT1 Bus ID:),またはライブラリ・ロボット (LIB Bus ID:) を選択します。 省略時の SCSI ID は次のとおりです。

    上向きまたは下向き矢印ボタンを使って,SCSI ID を変更したい項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  5. 上向きまたは下向き矢印ボタンを使ってスクロールし,使用できる SCSI ID 設定を探します。使用したい SCSI ID が表示されたら,[Enter] ボタンを押します。

  6. 必要に応じて手順 4 と 5 を繰り返し,他の SCSI バス ID を設定します。

  7. 省略時のメニューが表示されるまで,[Esc] ボタンを繰り返し押します。

9.1.2    TL891 ミニライブラリのケーブル接続

TL891 の背面には高密度 68 ピン SCSI コネクタが 6 個あります。左端の 2 つのコネクタは,ライブラリ・ロボット・コントローラ用です。真ん中の 2 つはテープ・ドライブ 1 用,右端の 2 つはテープ・ドライブ 2 用 (ただし,TL892 アップグレードがインストール済みの場合) です。

注意

テープ・ドライブの SCSI コネクタには,DLT1 (テープ・ドライブ 1) および DLT2 (テープ・ドライブ 2) というラベルが付いていますが,制御パネルではドライブを DLT0 (テープ・ドライブ 1) および DLT1 (テープ・ドライブ 2) と指定します。

TL891 DLT ミニライブラリの省略時の設定では,ロボット・コントローラとテープ・ドライブ 1 を同じ SCSI バス上に配置します。ユニットには 30 cm (11.8 インチ) の SCSI ジャンパ・ケーブルが付属しています。このケーブルを左から 2 番目と 3 番目のコネクタに差し込んでください。ミニライブラリが 2 つのドライブを持つようにアップグレードされている場合は,2 つ目のドライブを,30 cm (11.8 インチ) の別の SCSI バス・ジャンパ・ケーブルを使って同じ SCSI バス上に配置するか,そのドライブ自体の SCSI バスに接続します。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バス上に 3 台以上の TZ89 テープ・ドライブを接続しないようにお勧めします。

TL891 の内部ケーブルが長すぎるため,トライリンク/H879-AA の組み合わせによる外部終端は利用できません。したがって,TL891 を共用バス上の最後のデバイスにする必要があります。このデバイスを共用バスから削除するには,その前に,バス上の処理を生成するアプリケーションをすべて停止する必要があります。

このような理由で,テープ・デバイスは独立した共用バス上に配置し,その SCSI バスには他のストレージ・デバイスを接続しないようにお勧めします。

ケーブル接続は,ドライブが 1 個か 2 個かで異なります。2 ドライブ構成の場合は,各ドライブが別々の SCSI バス上にあるかどうかでも異なります。

注意

ライブラリ・ロボット・コントローラは,テープ・ドライブ 1 と同じ SCSI バス上にあるものとします。

ライブラリ・ロボットおよび 1 つのドライブを単一の共用 SCSI バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. BN21K,BN21L または 328215-00X ケーブルで,バス上の最後のトライリンク・コネクタと TL891 の背面の左端のコネクタを接続します。

  2. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  3. H879-AA ターミネータを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) にインストールします。

ドライブ・ロボットおよび 2 つのドライブを単一の共用 SCSI バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. BN21K,BN21L または 328215-00X ケーブルで,バス上の最後のトライリンク・コネクタと TL892 の背面の左端のコネクタを接続します。

  2. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  3. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) と左側の DLT2 コネクタ (左から 5 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  4. H879-AA ターミネータを右側の DLT2 コネクタ (右端のコネクタ) にインストールします。

ドライブ・ロボットおよび 1 つのドライブを 1 つの共用 SCSI バスに接続し,2 つ目のドライブを 2 つ目の共用バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. BN21K,BN21L または 328215-00X ケーブルで,1 つ目の共用バス上の最後のトライリンク・コネクタと TL892 の背面の左端のコネクタを接続します。

  2. BN21K,BN21L または 328215-00X ケーブルで,2 つ目の共用バス上の最後のトライリンク・コネクタと左側の DLT2 コネクタ (左から 5 番目のコネクタ) を接続します。

  3. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  4. H879-AA ターミネータを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) にインストールし,もう 1 つの H879-AA ターミネータを右側の DLT2 コネクタ (右端のコネクタ) にインストールします。

図 9-1 に,2 つの共用バスに接続された TL891 を使用する,TruCluster Server クラスタの例を示します。

図 9-1:  2 つの共用バスに接続された TL891 を使用する TruCluster Server クラスタ

表 9-1 に,図 9-1 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-1:  図 9-1 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 34]
2 BN37A ケーブル [脚注 35]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 36]

9.2    TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニットの準備

ここでは,共用バス上で TL891 DLT ミニライブラリとともに使用する TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニットの準備について説明します。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バスに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,共用ストレージをテープ・ライブラリと同じ SCSI バスに配置しないようにもお勧めします。

9.2.1    TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニット・ハードウェア

DS-TL890-NE/NG 拡張ユニットは,SW500,SW800,または RETMA キャビネット内で TL891 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニットの上にインストールします。この拡張ユニットは,個々のモジュールにあるロボットを単一の調和したライブラリ・ロボット・システムに統合します。TL890 は,メディアの制御,システムに存在するすべてのメディアの目録の保守,およびすべてのメディアの移動の制御を行います。テープ・カートリッジは,システムのロボット制御パス・スルー・メカニズムによって,拡張ユニットと任意のベース・モジュール間で自由に移動できます。パス・スルー・メカニズムは,拡張ユニットおよび各ベース・モジュールの背面に装着されます。

最初のモジュールに TL891 ベース・モジュールを追加するたびに,DS-TL800-AA パス・スルー拡張メカニズムを使用して,パス・スルー・メカニズムを 17.78 cm (7 インチ) (各モジュールの高さ) ずつ延ばしていく必要があります。十分な空間がある場合は,ベース・モジュールとベース・モジュールの間に 17.78 cm (7 インチ) の隙間を残しておくこともできますが,その場合は,追加のパス・スルー拡張メカニズムを使用しなければなりません。

ハードウェアのインストール手順の詳細については,『DLT MiniLibrary (TL890) Expansion Unit User's Guide』を参照してください。

本書の以降の部分では,TL890 拡張ユニットと TL891 ミニライブラリ・モジュールの組み合わせのことを DLT ミニライブラリと呼びます。

9.2.2    共用バスで使用する DLT ミニライブラリの準備

以降の各項では,DLT ミニライブラリの準備の詳細について説明しますが,拡張ユニット,ベース・モジュール,およびパス・スルーとモータ・メカニズムはインストール済みであることを前提にしています。

9.2.2.1    DLT ミニライブラリのケーブル接続

DLT ミニライブラリ・システムを動作可能にするには,以下の接続作業が必要です。

図 9-2 に,2 つの TL891 DLT ミニライブラリおよび TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニットを使用する,ミニライブラリ構成を示します。TL890 ライブラリ・ロボットが 1 つの共用バス上にあり,各 TL891 内の 2 台の TZ89 テープ・ドライブが別々の共用バス上にあります。この図には,パス・スルー・メカニズム,およびライブラリ・ロボット・モータへのケーブルは示されていません。

図 9-2:  複数の共用バスに接続された TL890 および TL891 DLT ミニライブラリ

表 9-2 に,図 9-2 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-2:  図 9-2 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 37]
2 BN37A ケーブル [脚注 38]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 39]

9.2.2.2    ベース・モジュールのスレーブ構成

TL891 ベース・モジュールはスタンドアロン・システム構成として出荷されます。これらのモジュールを TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニットと組み合わせて使用する場合,拡張ユニットから各ベース・モジュールのロボットを制御する必要があります。したがって,ベース・モジュールは拡張ユニットのスレーブとして構成する必要があります。

ハードウェアおよびケーブルのインストール後,ミニライブラリ・システムの拡張ユニットの電源を初めて投入する前に,システムの各ベース・モジュールをスレーブとして再構成する必要があります。ベース・モジュールをスレーブとして再構成しなければ,ミニライブラリ・システムの電源を投入したときに,拡張ユニットがベース・モジュール・ロボットの制御権を取得できません。

TL891 ベース・モジュールを TL890 DLT ミニライブラリ拡張ユニットのスレーブとして再構成するには,システムの各ベース・モジュールで以下の手順を実行します。

  1. 再構成する TL891 ベース・モジュールの電源スイッチを入れます。

    注意

    拡張ユニットの電源は入れないでください。すべてのベース・モジュールをスレーブとして再構成する作業が完了するまで,拡張ユニットの電源は切っておく必要があります。

    一連の電源投入時自己診断が実行された後,次の省略時の画面がベース・モジュールの制御パネルに表示されます。

    DLT0 Idle
    DLT1 Idle
    Loader Idle
    0> _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ <9
     
    

    省略時の画面には,テープ・ドライブの状態,ローダ,およびこのベース・モジュールに存在するカートリッジの数が表示されます。下線の部分に矩形が表示された場合,その位置にカートリッジが存在することを示します。

  2. [Enter] ボタンを押してメニュー・モードに入ります。[Main Menu] が表示されます。

  3. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択します。次に [Enter] ボタンを押します。

    注意

    制御パネルの上向きおよび下向き矢印にはオートリピート機能があります。いずれかのボタンを 0.5 秒を超えて押し続けると,そのボタンを 1 秒あたり約 4 回押すのと同じ操作になります。ボタンを放すとオートリピートは無効になります。

  4. 下向き矢印ボタンを押して [Set Special Config] メニューを選択し,[Enter] ボタンを押します。

  5. 下向き矢印ボタンを繰り返し押して [Alternate Config] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  6. 下向き矢印ボタンを押して,[alternate configuration] を [default (Standalone)] から [Slave] に変更します。[Enter] ボタンを押します。

  7. 選択値の点滅が止み,制御パネルに「リブートするまで変更は有効にならない」旨が表示されたら,[Enter] ボタンを押します。

  8. [Special Configuration] メニューが再表示されたら,電源スイッチを切り,再び電源を入れます。これでベース・モジュールは,TL890 拡張ユニットのスレーブとして再構成されました。

  9. TL890 拡張ユニットのスレーブとなる各 TL891 ベース・モジュールで上記の手順を繰り返します。

9.2.2.3    DLT ミニライブラリの電源投入

DLT ミニライブラリの電源を入れるとき,TL890 拡張ユニットの電源投入は,TL891 ベース・モジュールの電源投入と同時,またはその後に行う必要があります。拡張ユニットの電源を先に入れると,モジュールの目録が不正確になり,システムおよびホストから全部または一部のモジュールの内容にアクセスできなくなる可能性があります。

拡張ユニットは,起動した後,拡張ユニット・インタフェース経由で各ベース・モジュールと通信して,ベース・モジュールの数,テープ・ドライブ,および各ベース・モジュールに存在するカートリッジに関する目録を作成します。このようにしてミニライブラリの構成を決定した後,拡張ユニットは各ベース・モジュールと通信し,そのベース・モジュールに対してどのカートリッジ・グループが割り当てられているかを通知します。カートリッジ・スロットは,拡張ユニットによって次のようにナンバリングされます。

拡張モジュールと各ベース・モジュール間の初期化時の通信がすべて完了すると,各ベース・モジュールには,再マップされたカートリッジ目録に従って,そのカートリッジ番号が表示されます。

たとえば,中央のベース・モジュールの省略時の画面には,次のように表示されます。

DLT2 Idle
DLT3 Idle
Loader Idle
26> _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ <35
 

9.2.2.4    TL890/TL891 の SCSI ID の設定

ベース・モジュールをスレーブとして再構成し終えても,各ベース・モジュールの制御パネルにはテープ・ドライブの状態とエラー情報が表示されたままです。制御機能はすべて拡張ユニットの制御パネルから実行します。これには,各テープ・ドライブの SCSI ID の設定も含まれます。

TL890/TL891 ハードウェアで構成されたミニライブラリ内のテープ・ドライブの SCSI ID を設定するには,次の手順に従います。

  1. ミニライブラリの電源を投入します。拡張ユニットの電源投入は,必ずベース・モジュールの電源投入後,またはそれと同時に行ってください。

  2. 電源投入時自己診断 (POST) が終了し,拡張ユニットおよび各ベース・モジュールに省略時の画面が表示されるまで待ちます。

  3. 拡張ユニットの制御パネルで [Enter] ボタンを押し,[Main Menu] を表示します。

  4. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択し,次に [Enter] ボタンを押して [Configure] サブメニューを表示します。

  5. 下向き矢印ボタンを押して [Set SCSI] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  6. 上向きまたは下向き矢印ボタンを押して,SCSI バス ID を変更するテープ・ドライブ (DLT0 Bus ID:,DLT1 Bus ID:,DLT2 Bus ID: など),またはライブラリ・ロボット (Library Bus ID:) を選択します。各ベース・モジュールに 2 つのテープ・ドライブがあるとすると,上のベース・モジュールには DLT0 と DLT1 が,その下のベース・モジュールには DLT2 と DLT3 が,一番下のベース・モジュールには DLT4 と DLT5 がそれぞれ格納されます。拡張ユニットによって再構成された後の省略時の SCSI ID は次のとおりです。

  7. SCSI ID を変更する項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  8. 上向きおよび下向き矢印を使って目的の SCSI ID を選択します。[Enter] ボタンを押して新しい選択値を保存します。

  9. [Esc] ボタンを 1 回押して [Set SCSI] サブメニューに戻り,別のテープ・ドライブまたはライブラリ・ロボットを選択した後,手順 6〜8 を繰り返して SCSI ID を設定します。

  10. 他の項目を構成したい場合は,[Esc] ボタンを押して [Configure] サブメニューを表示し,構成する項目を選択します。構成する項目ごとにこの手順を繰り返してください。

  11. 構成する項目がなくなったら,[Esc] ボタンを押して,省略時の画面を表示してください。

9.3    共用 SCSI バスで使用する TL894 DLT 自動テープ・ライブラリの準備

ここでは,TruCluster Server クラスタの共用バスで使用する TL894 DLT 自動テープ・ライブラリ (DS-TL894-BA) の準備について説明します。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バス・セグメントに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,ストレージは,テープ・ドライブが接続されていない共用バス上に配置するようにお勧めします。

TL894 ミッドレンジ自動 DLT ライブラリには,ロボット・コントローラと 4 つのディファレンシャル TZ89 テープ・ドライブが格納されています。

以降の各項では,TL894 の準備の詳細について説明します。

9.3.1    TL894 ロボット・コントローラの必須ファームウェア

ロボット・ファームウェア・バージョン S2.40 が,TruCluster Server クラスタでサポートされる最小のファームウェア・リビジョンです。ロボット・ファームウェアのアップグレードについては,『TL81X/TL894 Automated Tape Library for DLT Cartridges Diagnostic Software User's Manual』の「Flash Download」の節を参照してください。

9.3.2    TL894 ロボット・コントローラおよびテープ・ドライブの SCSI ID の設定

ロボット・コントローラおよび各テープ・ドライブには SCSI ID を設定する必要があります (ただし,省略時の設定では不十分な場合)。表 9-3 に省略時の SCSI ID を示します。

表 9-3:  TL894 の省略時の SCSI ID 設定

SCSI デバイス SCSI アドレス
ロボット・コントローラ 0
テープ・ドライブ 0 2
テープ・ドライブ 1 3
テープ・ドライブ 2 4
テープ・ドライブ 3 5

TL894 のロボット・コントローラの SCSI ID を設定するには,次の手順に従います。

  1. 制御パネルの [STANDBY] ボタンを押して放し,SDA (状態表示領域) に System Off-line と表示されることを確認します。

  2. [SELECT] ボタンを押して放し,メニュー・モードに入ります。

  3. SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:
    Configuration:
    

  4. [SELECT] ボタンを押して放し,[Configuration] メニューを選択します。

  5. SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  Configuration
    Inquiry
    

  6. 上向きまたは下向き矢印ボタンを押して放しながら [SCSI Address] サブメニューを見つけ,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu: Configuration
    SCSI Address ..
    

  7. [SELECT] ボタンを押して放し,[SCSI Address] サブメニューを選択して,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  Configuration
    Robotics
    

  8. [SELECT] ボタンを押して放し,[Robotics] サブメニューを選択して,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  SCSI Address
    SCSI ID 0
    

  9. 上向きおよび下向き矢印ボタンを使って,ロボット・コントローラの SCSI ID を選択します。

  10. 目的の SCSI ID が 2 行目に表示されたら,[SELECT] ボタンを押して放します。

  11. 上向きまたは下向き矢印ボタンを押して放しながら,コマンドの出力表示をクリアします。

  12. 上向きまたは下向き矢印ボタンと [SELECT] ボタンを同時に押して放し,SDA に System On-line または System Off-line と表示されることを確認します。

各テープ・ドライブの SCSI ID を表 9-3 と異なる値に設定するには,次の手順に従います。

  1. 制御パネルの [STANDBY] ボタンを押して放し,SDA (状態表示領域) に System Off-line と表示されることを確認します。

  2. [SELECT] ボタンを押して放し,メニュー・モードに入ります。

  3. SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:
    Configuration:
    

  4. [SELECT] ボタンを押して放し,[Configuration] メニューを選択します。

  5. SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  Configuration
    SCSI Address
    

  6. [SELECT] ボタンをもう一度押して放し,[SCSI Address] を選択して,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  SCSI Address
    Robotics
    

  7. 下向き矢印ボタンを使って [Robotics] サブメニューをスキップし,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  SCSI Address
    Drive 0
    

  8. 上向きおよび下向き矢印ボタンを使って,設定または変更するドライブ番号を選択します。

  9. 目的のドライブ番号が 2 行目に表示されたら,[SELECT] ボタンを押して放し,SDA に次のように表示されることを確認します。

    Menu:  Drive 0
    SCSI ID 0
    

  10. 上向きおよび下向き矢印ボタンを使って,選択されたドライブの SCSI ID を選択します。

  11. 目的の SCSI ID が 2 行目に表示されたら,[SELECT] ボタンを押して放します。

  12. 他のすべてのテープ・ドライブの SCSI ID を設定または変更するには,手順 8〜11 を繰り返します。

  13. 上向きまたは下向き矢印ボタンを押して放し,コマンドの出力表示をクリアします。

  14. 上向きまたは下向き矢印ボタンと [SELECT] ボタンを同時に押して放し,SDA に System On-line または System Off-line と表示されることを確認します。

9.3.3    TL894 テープ・ライブラリの内部ケーブル接続

TL894 テープ・ライブラリの省略時の内部ケーブル接続構成では,ロボット・コントローラおよび上のドライブ (ドライブ 0) が SCSI バス・ポート 1 に接続されます。以下,ドライブ 1 は SCSI バス・ポート 2 に,ドライブ 2 は SCSI バス・ポート 3 に,ドライブ 3 は SCSI バス・ポート 4 にそれぞれ接続されます。SCSI バスの端で終端を設定するため,各ドライブにターミネータ (注文番号 0415619) が接続されます。

この構成を 4 バス構成といい,図 9-3 に示します。 この構成では,SCSI バス・ドライブ 0 およびロボット・コントローラを除く各テープ・ドライブに,別個の SCSI バス上の SCSI アドレスが必要です。ロボット・コントローラおよびドライブ 0 は,それらの属する SCSI バス上の 2 つの SCSI ID を使用します。

図 9-3:  TL894 テープ・ライブラリの 4 バス構成

2 バス構成のテープ・ドライブおよびロボット・コントローラの再構成は,SCSI ジャンパ・ケーブル (注文番号 6210567) を使用して行うことができます。このジャンパ・ケーブルは,各 TL894 ユニットに付属しているアクセサリ・キットに含まれています。1 つのドライブからターミネータを取り外し,もう 1 つのドライブから内部 SCSI ケーブルを取り外すと,デイジー・チェイン接続ができます。これら 2 つのドライブを SCSI ジャンパ・ケーブルを使って接続し,同じ SCSI バス上に配置してください。

注意

これらのテープ・ライブラリのどの SCSI バスにも 3 台以上の TZ89 テープ・ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,ストレージは,テープ・ドライブが接続されていない共用バス上に配置するようにお勧めします。

したがって,TL894 テープ・ライブラリを再構成して,1 バス構成にすることはお勧めしません。

TL81X/TL894 Automated Tape Library for DLT Cartridges Facilities Planning and Installation Guide』の付録 B には,さまざまなバス構成が図示されています。これらの図では,構成の変更は,両方のドライブからターミネータを取り外し,SCSI バス・ジャンパ・ケーブルをターミネータが取り外された空きドライブ・コネクタにインストールしたのち,HD68 SCSI バス・ターミネータをキャビネット外面にある SCSI バス・ポート・コネクタにインストールすることによって行われています。

このような方法による再構成は間違ってはいませんが,SCSI バス長が 1.5 m (4.9 フィート) ずつ長くなります。これは,SCSI バス長を抑えなければならない事情がある場合には問題になり得ます。

9.3.4    TL894 テープ・ライブラリの共用 SCSI バスへの接続

TL894 テープ・ライブラリには,SCSI バスごとに最大 3 m (9.8 フィート) の内部 SCSI ケーブル接続があります。この内部 SCSI ケーブル長があるために,トライリンク・コネクタまたは Y ケーブルを使って,ライブラリの外部で SCSI バスを終端することはできません (共用 SCSI バスの他のデバイスでは可能)。各 SCSI バスは,テープ・ライブラリ内部で終端を設定する必要があり,これは,インストール済み SCSI ターミネータを使用してテープ・ドライブ自体で行われます。したがって,TL894 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタでは,テープ・ライブラリを必ず共用バスの端に配置する必要があります。

TL894 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタでは,メンバ・システムと StorageWorks 筐体つまり RAID サブシステムはトライリンク・コネクタまたは Y ケーブルを使用するので,それらを共用バスから隔離することができます。ただし,テープ・ローダを共用バスから削除するには,アプリケーションをシャットダウンすることが必要です。

図 9-4 に,TL894 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタの例を示します。この構成では,テープ・ライブラリは,テープ・ドライブ 0 からテープ・ドライブ 1,およびテープ・ドライブ 2 からテープ・ドライブ 3 のジャンパ接続による 2 バス・モードで接続されています (9.3.3 項および 図 9-3 を参照)。2 つの SCSI バスは省略時の SCSI ID をそのまま使用し,インストール済みターミネータ (注文番号 0415619) によってドライブ 1 および 3 で終端が設定されています。

TL894 を共用バスに追加するには,共用バスの最後のデバイスの次に来るメンバ・システムまたはストレージ・デバイスを選択します。BN21K または BN21L ケーブルで,そのデバイス上の Y ケーブルと,該当するテープ・ライブラリ・ポート間を接続します。

図 9-4 では,1 つのバスがポート 1 (ロボット・コントローラおよびテープ・ドライブ 0 と 1) に接続され,もう一方のバスがポート 3 (テープ・ドライブ 2 と 3) に接続されています。テープ・ドライブ 1 および 3 に必ずターミネータを装着してください。

図 9-4:  2 バス・モードで TL894 を使用する共用 SCSI バス

表 9-4 に,図 9-4 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-4:  図 9-4 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 40]
2 BN37A ケーブル [脚注 41]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 42]

9.4    共用 SCSI バスで使用する TL895 DLT 自動テープ・ライブラリの準備

ここでは,TL895 ディジタル・リニア・テープ (DLT) 自動テープ・ライブラリを共用 SCSI バスで使用するための準備について説明します。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バス・セグメントに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,ストレージは,テープ・ドライブが接続されていない共用バス上に配置するようにお勧めします。これにより,テープ・ローダが接続されている SCSI バスに影響を与えるアプリケーションを容易に停止させることができるようになります。

TL895 自動ディジタル・リニア・テープ・ライブラリは,2 つまたは 5 つの TZ89N-AV テープ・ドライブおよび 100 個のテープ・カートリッジ・ボックス (固定ストレージ・アレイ (FSA) の 96 個のストレージ・ボックス,および 4 個のロード・ポート・ボックス) からなります。ストレージ・ボックスには,CompacTape III,CompacTape IIIXT,または CompacTape IV カートリッジが格納されます。このライブラリの最大記憶容量は,各 35 GB の CompacTape IV カートリッジが 100 個で 3500 GB (非圧縮時) となります。

表 9-5 に,TL895 DLT 自動テープ・ライブラリの注文番号を示します。

表 9-5:  TL895 DLT 自動テープ・ライブラリの注文番号

ドライブ数 6-3 注文番号 2-5-2 注文番号
2 349350-B22 DS-TL895-H2
3 349350-B23 --
4 349350-B24 --
5 349350-B25 DS-TL895-BA
6 349350-B26 --
7 349350-B27 --
1 349351-B21 DS-TL89X-UA [脚注 43]

TL895 の詳細については,次のマニュアルを参照してください。

テープ・ドライブの数を 5 から 6 または 7 へアップグレードする方法についての詳細は,『TL895 Drive Upgrade Instructions』を参照してください。

注意

ライブラリのプリント基板にある回転式スイッチ群を使って,ライブラリとテープ・ドライブの SCSI ID を設定します。これらのスイッチで設定した SCSI ID は,電源投入後の最初の 20〜30 秒間有効です。その後,電子回路がアクティブになり,SCSI ID の電子的な設定が可能になります。

物理的な SCSI ID は,ライブラリ電子回路で設定される SCSI ID と一致する必要があります。回転式スイッチおよび制御パネルで設定した SCSI ID が,どの SCSI バス・コントローラの SCSI ID とも競合しないことを確認してください。

以降の各項では,共用バスで使用する TL895 の準備の詳細について説明します。

9.4.1    TL895 ロボット・コントローラの必須ファームウェア

バージョン N2.40 のロボット・ファームウェアが,TruCluster Server クラスタでサポートされる最小のファームウェア・リビジョンです。ロボット・ファームウェアのアップグレードについては,『TL895 DLT Tape Library Diagnostic Software User's Manual』の「Flash Download」の節を参照してください。

9.4.2    TL895 テープ・ライブラリの SCSI ID の設定

ライブラリおよび各テープ・ドライブには SCSI ID を設定する必要があります (ただし,省略時の設定では不十分な場合)。表 9-6 に,TL895 の省略時の SCSI ID を示します。

表 9-6:  TL895 の省略時の SCSI ID 設定

SCSI デバイス SCSI ID
ライブラリ 0
ドライブ 0 1
ドライブ 1 2
ドライブ 2 3
ドライブ 3 4
ドライブ 4 5
ドライブ 5 1
ドライブ 6 2

SCSI ID は,回転式スイッチを使って機械的に,さらに制御パネルから電子的に設定する必要があります。スイッチで SCSI ID を設定した後,ライブラリの電源を入れて,SCSI ID を電子的に設定します。

TL895 ライブラリおよびテープ・ドライブの SCSI ID を電子的に設定するには,次の手順に従います。

  1. 制御パネルの [Operator] タブを押します。

  2. [Enter Password] 画面で,オペレータ・パスワードを入力します。省略時のオペレータ・パスワードは 1234 です。ロック・アイコンが解除され,オペレータ・レベルのセキュリティにパスしたことを示す「O」が表示されます。

  3. [Operator] 画面で,[Configure Library] ボタンを押します。[Configure Library] 画面に現在のライブラリ構成が表示されます。

    注意

    [Configure Library] 画面で,ライブラリのモデル番号,ストレージ・ボックスの数,ドライブの数,ライブラリの SCSI ID,およびテープ・ドライブの SCSI ID を設定できます。

  4. 構成を変更する場合は,[Configure] ボタンを押します。

  5. 構成する項目が強調表示されるまで [Select] ボタンを押します。デバイスの場合は,矢印ボタンを使ってデバイス・リストをスクロールし,目的のデバイス (ライブラリまたはドライブ) を選択します。ライブラリまたは目的のドライブの選択後,[Select] ボタンを使って SCSI ID を強調表示します。

  6. 矢印ボタンを使って設定値リストをスクロールし,目的の設定値を表示します。

  7. 目的の設定値を選択したら,[Change] ボタンを押して,その値をライブラリ構成の一部として保存します。

  8. ライブラリ構成の他の設定を引き続き変更する場合は,手順 5〜7 を繰り返します。

  9. 以下の操作で,ライブラリをユーザ・レベルのセキュリティに戻します。

    1. 制御パネルの垂直バーにあるロック・アイコンを押します。

    2. [Password] 画面で,[User] ボタンを押します。

      新しいセキュリティ・レベルが設定されたことを通知する画面が表示されます。

    3. [OK] ボタンを押します。施錠されたロック・アイコンが表示され,制御パネルがユーザ・レベルに戻ったことを示す「U」が表示されます。

  10. テープ・ライブラリの電源を切断・再投入して,新しい SCSI ID を有効にします。

9.4.3    TL895 テープ・ライブラリの内部ケーブル接続

TL895 テープ・ライブラリの省略時の内部ケーブル接続構成では,ライブラリ・ロボット・コントローラおよび上のドライブ (ドライブ 0) が SCSI バス・ポート 1 に接続されます。以下同様に,ドライブ 1 は SCSI バス・ポート 2 に,ドライブ 2 は SCSI バス・ポート 3 に,と接続されます。SCSI バスの端のテープ・ドライブで終端を設定するため,各ドライブにターミネータ (注文番号 0415619) が接続されます。

この構成では,テープ・ドライブ 0 およびロボット・コントローラを除く各テープ・ドライブに,別個の SCSI バス上の SCSI ID が必要です。ロボット・コントローラおよびテープ・ドライブ 0 は,それらの属する SCSI バス上の 2 つの SCSI ID を使用します。

テープ・ライブラリに付属の SCSI バス・ジャンパ (注文番号 6210567) を使用して,1 つの SCSI バスに複数のテープ・ドライブを接続できるように,テープ・ドライブおよびロボット・コントローラを再構成することができます。

注意

1 つの SCSI バス・セグメントに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,ストレージは,テープ・ドライブが接続されていない共用 SCSI バスに配置するようにお勧めします。

TL895 の SCSI バスを再構成するには,次の手順に従います。

  1. デイジー・チェイン接続する一方のドライブから SCSI バス・ケーブルを取り外します。

  2. デイジー・チェイン接続するもう一方のドライブからターミネータを取り外します。

  3. SCSI バスの最後のドライブになるドライブにターミネータがインストールされていることを確認します。

  4. デイジー・チェイン接続する 2 つのドライブの空きコネクタに SCSI バス・ジャンパ・ケーブル (注文番号 6210567) をインストールします。

図 9-5 に,テープ・ドライブ 1,3,5 をそれぞれテープ・ドライブ 2,4,6 にデイジー・チェイン接続した TL895 の例を示します。

図 9-5:  TL895 テープ・ライブラリの内部ケーブル接続

9.4.4    TL895 のアップグレード

TL985 DLT 自動テープ・ライブラリでは,複数の DS-TL89X-UA アップグレード・キットを使用して,テープ・ドライブを 7 台にアップグレードできます。このアップグレード・キットには,付属のマニュアルのほか,TZ89N-AV テープ・ドライブ 1 台,SCSI バス・ターミネータ 1 個,および SCSI バス・ジャンパ (注文番号 6210567) 1 本が含まれており,1 つの SCSI バス上に複数のドライブを配置したり,他の関連ハードウェアを接続できるようになっています。

ドライブの物理的なインストールを行う前に,ライブラリのプリント基板にある SCSI ID 回転式スイッチ群を,後で電子的に設定する SCSI ID と同じ値に設定してください。この電子的な SCSI ID は,ドライブのインストール完了後,制御パネルの [Configure] メニューを使って設定します (9.4.2 項を参照)。

具体的なアップグレード手順については,本書では説明しません。『TL895 Drive Upgrade Instructions』を参照してください。

9.4.5    TL895 テープ・ライブラリの共用 SCSI バスへの接続

TL895 テープ・ライブラリには,SCSI バスごとに最大 3 m (9.8 フィート) の内部 SCSI ケーブル接続があります。この内部 SCSI ケーブル長があるために,共用 SCSI バスの他のデバイスでは可能な,トライリンク・コネクタまたは Y ケーブルによる SCSI バスの終端がライブラリの外部ではできません。各 SCSI バスは,テープ・ライブラリ内部で終端を設定する必要があり,これは,インストール済み SCSI ターミネータを使用してテープ・ドライブ自体で行われます。したがって,TL895 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタでは,テープ・ライブラリを必ず共用バスの端に配置する必要があります。

TL895 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタでは,メンバ・システムと StorageWorks 筐体つまり RAID サブシステムはトライリンク・コネクタまたは Y ケーブルを使用するので,それらを共用バスから隔離することができます。ただし,TL895 を共用 SCSI バスから削除することはできないため,テープ・ローダを共用バスから削除するには,事前に,TL895 に装着されたいずれかの共用バスを使用するすべてのアプリケーションを停止する必要があります。

TL895 テープ・ライブラリを共用バスに追加するには,共用バスの最後のデバイスの次に来るメンバ・システムまたはストレージ・デバイスを選択します。BN21K,BN21L,BN31G または 328215-00X ケーブルで,そのデバイス上のトライリンクまたは Y ケーブルと,該当するテープ・ライブラリ・ポート間を接続します。

9.5    共用 SCSI バスで使用する TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリの準備

ここでは,TL893 (DS-TL893-BA) および TL896 (DS-TL896-BA) 自動テープ・ライブラリ (ATL) を TruCluster Server クラスタの共用 SCSI バスで使用するための準備について説明します。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バスに 3 台以上の TZ89 ドライブを接続しないようにお勧めします。

TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリ (ATL) は,大容量のストレージと,ディジタル・リニア・テープ (DLT)・シリーズのテープ・ドライブへのロボット制御アクセスを実現できるように設計されています。これら 2 つのライブラリは,テープ・ドライブの数とテープ・カートリッジの最大容量を除けば,まったく同じです。

各テープ・ライブラリは,ロボット・コントローラおよび (正確なテープ目録をすばやく取得するための) バー・コード・リーダから構成されています。

ライブラリには 3 または 6 台の TZ89N-AV ドライブがあります。TL896 は,ドライブの数が多いため,テープ・カートリッジの記憶容量は小さくなります。

各テープ・ライブラリでは,ボックス・パックのバルク・ロードを利用します。各ボックス・パックには最大 11 個のカートリッジを格納できます。ボックス・パックは 8 辺の回転トレイ上に配列され,各辺には 2 または 3 個のボックス・パックを装着できます。3 台のドライブを持つライブラリには,1 辺がボックス・パック 3 個分の高さの回転トレイがあり,6 台のドライブを持つライブラリには,1 辺がボックス・パック 2 個分の高さの回転トレイがあります。つまり,最大総容量は,TL893 で 24 ボックス・パック (264 カートリッジ),TL896 で 16 ボックス・パック (176 カートリッジ) となります。

テープ・ライブラリの仕様は次のとおりです。

TL893 および TL896 の両方とも,キャビネットを追加する (TL893 には DS-TL893-AC,TL896 には DS-TL896-AC) ことによって拡張できます。キャビネットの追加方法については,『TL82X Cabinet-to-Cabinet Mounting Instructions』を参照してください。TruCluster Server では,最大 5 キャビネットまでサポートされています。

TruCluster Server では,すべてのキャビネット内のテープ・カートリッジが 1 つの論理ユニットにまとめられ,マルチユニット・マルチ LUN (MUML) 構成からマルチユニット・シングル LUN (MUSL) 構成へのアップグレードによって,最初のキャビネットから最後のキャビネットまで連続してナンバリングされます。ファームウェアのアップグレードについては,『TL82X/TL89X MUML to MUSL Upgrade Instructions』を参照してください。

これらのテープ・ライブラリは,以下の 2 つの機能を持つマルチユニット・コントローラ (MUC) を備えています。

以降の各項では,これらのテープ・ライブラリの準備の詳細について説明します。

9.5.1    ホスト・コンピュータとの通信

テープ・ライブラリとホスト・コンピュータ間では,SCSI と EIA/TIA-574 シリアル (9 ピン・コネクタ用 RS-232) の 2 種類の通信が可能です。マルチユニット・コントローラ (MUC) と組み合わせて使用すれば,どちらの方式でも 1 台のホスト・コンピュータから最大 5 つのユニットを制御できます。

TruCluster Server クラスタでは,ホスト・コンピュータと MUC 間のみで SCSI 通信をサポートします。SCSI 通信では,ホスト・コンピュータとテープ・ライブラリ間の制御シグナルとデータ・フローの両方で,同じ SCSI ケーブルを使用します。SCSI ケーブルは共用バスの構成要素です。

RS-232 ループバック・ケーブルは,ユニット 0 と,背面コネクタ・パネルにある入力 9 ピン・コネクタ間を接続するのに使用してください。このループバック・ケーブルにより,MUC がロボット・コントローラ電子回路に接続されます。

SCSI バスを選択するには,MUC スイッチ・パックのスイッチ 7 を下に設定する必要があります。

9.5.2    MUC スイッチの機能

マルチユニット・コントローラ (MUC) の背面のスイッチ・パック 1 は,MUC SCSI コネクタ群の下にあります。表 9-7 に,これらのスイッチの機能を示します。

表 9-7:  MUC スイッチの機能

スイッチ 機能
1,2,および 3 スイッチ 7 が下の場合,MUC の SCSI ID。 [脚注 44]
4 および 5 常に下。 テスト用に予約。
6 省略時には上。電源投入時のバス・リセットを無効にする。
7 ホスト選択。 SCSI は下,シリアルは上。 [脚注 44]
8 常に下。 テスト用に予約。

9.5.3    MUC の SCSI ID の設定

マルチユニット・コントローラ (MUC) の SCSI ID は,表 9-8 に示すようにスイッチ 1,2,3 を使って設定します。SCSI バスを選択し,スイッチ 1,2,3 で MUC の SCSI ID を設定できるようにするには,スイッチ 7 を下に設定する必要があります。

表 9-8:  MUC の SCSI ID の選択

MUC SCSI ID SW1 SW2 SW3
0
1
2 [脚注 45]
3
4
5
6
7

9.5.4    テープ・ドライブの SCSI ID

各テープ・ライブラリにはあらかじめ省略時の SCSI ID が設定されています。TL893 については表 9-9 を,TL896 については表 9-10 を参照してください。

テープ・ドライブの SCSI ID を変更する必要がある場合は,ドライブの背面にある押しボタン式の上下カウンタを使用します。

表 9-9:  TL893 の省略時の SCSI ID

SCSI ポート デバイス 省略時の SCSI ID
C MUC 2
ドライブ 2 (上) 5
B ドライブ 1 (中央) 4
A ドライブ 0 (下) 3

表 9-10:  TL896 の省略時の SCSI ID

SCSI ポート デバイス 省略時の SCSI ID
D MUC 2
ドライブ 5 (上) 5
E ドライブ 4 4
F ドライブ 3 3
A ドライブ 2 5
B ドライブ 1 4
C ドライブ 0 (下) 3

9.5.5    TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリの内部ケーブル接続

TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリ (ATL) の省略時の内部ケーブル接続構成は,次のとおりです。

9.5.6    TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリの共用 SCSI バスへの接続

TL893 および TL896 自動テープ・ライブラリ (ATL) には,SCSI バスごとに最大 3 m (9.8 フィート) の内部 SCSI ケーブル接続があります。この内部 SCSI ケーブル長があるために,共用 SCSI バスの他のデバイスでは可能な,トライリンク・コネクタまたは Y ケーブルによる SCSI バスの終端がライブラリの外部ではできません。各 SCSI バスは,テープ・ライブラリ内部で終端を設定する必要があり,これは,インストール済み SCSI ターミネータを使用してテープ・ドライブ自体で行われます。したがって,TL893 および TL896 テープ・ライブラリは共用バスの端に配置する必要があります。

TL893 または TL896 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタでは,メンバ・システムと StorageWorks 筐体つまり RAID サブシステムはトライリンク・コネクタまたは Y ケーブルを使用するので,それらを共用バスから隔離することができます。ただし,ディスク・ストレージと ATL が同じ共用バス上にある場合,テープ・ライブラリを共用バスから削除するには,アプリケーションをシャットダウンする必要があります。

TL893 または TL896 の各ユニットに付属のアクセサリ・キットに含まれているジャンパ・ケーブル (ATL 注文番号 0425017) を使用して,テープ・ドライブおよびロボット・コントローラを再構成し,他のバス構成にすることもできます。

1 つのドライブからターミネータを取り外し,もう 1 つのドライブから内部 SCSI ケーブルを取り外すと,デイジー・チェイン接続ができます。これら 2 つのドライブをジャンパ・ケーブルを使って接続し,同じ SCSI バス上に配置してください。

注意

これらのテープ・ライブラリのどの SCSI バスにも 3 台以上のドライブを接続しないようにお勧めします。

図 9-8 に,3 バス構成の TL896 テープ・ライブラリを使用する TruCluster Server クラスタの例を示します。この構成では,テープ・ドライブ 4 (ポート E) がテープ・ドライブ 5 に,テープ・ドライブ 2 (ポート A) がテープ・ドライブ 3 に,テープ・ドライブ 1 (ポート B) がテープ・ドライブ 0 に,それぞれジャンパ接続されています。

TL893 または TL896 テープ・ライブラリを共用バスに追加するには,共用 SCSI バスの最後のデバイスの次に来るメンバ・システムを選択します。テープ・ライブラリは常に共用バスの最後のデバイスでなければなりません。BN21K,BN21L,または BN31G ケーブルで,そのメンバ・システム上の SCSI バス・コントローラに接続された Y ケーブルと,該当するテープ・ライブラリ・ポート間を接続します。図 9-8 では,1 つの共用バスがポート B (テープ・ドライブ 0 と 1) に,もう 1 つの共用バスがポート A (テープ・ドライブ 2 と 3) に,3 番目の共用バスがポート E (テープ・ドライブ 4 と 5,および MUC) に,それぞれ接続されています。

図 9-8:  3 バス・モードで TL896 を使用する共用 SCSI バス

表 9-11 に,図 9-8 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-11:  図 9-8 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 46]
2 BN37A ケーブル [脚注 47]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 48]

9.6    共用バスで使用する TL881 および TL891 DLT ミニライブラリの準備

ここでは,Compaq StorageWorks TL881 および TL891 ディジタル・リニア・テープ (DLT)・ミニライブラリの概要,および TL881 または TL891 DLT ミニライブラリを共用バスで使用するためのハードウェア構成情報について説明します。

9.6.1    TL881 および TL891 DLT ミニライブラリの概要

TL881 または TL891 DLT ミニライブラリの詳細については,次のマニュアルを参照してください。

TL881 および TL891 ディジタル・リニア・テープ (DLT)・ミニライブラリは,スタンドアロンのテーブルトップ・ユニット,または拡張可能なラックマウント・ユニットとして出荷されます。

以降の各項では,これらのユニットの詳細について説明します。

9.6.1.1    TL881 および TL891 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデル

TL881 および TL891 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデルは,リムーバブル 10 カートリッジ・マガジンを備える 1 つのユニット,内蔵バー・コード・リーダ,および 1 台か 2 台の DLT 20/40 (TL881) または DLT 35/70 (TL891) ドライブで構成されています。

TL881 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデルは,Fast-Wide ディファレンシャルまたは Fast-Wide シングルエンドとして動作可能です。TruCluster Server 構成では,シングルエンド・モデルはサポートされません。

TL891 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデルは,Fast-Wide ディファレンシャルとしてのみ動作します。

9.6.1.2    TL881 および TL891 ミニライブラリ・ラックマウント構成要素

テープ・ドライブが格納された TL881 または TL891 のベース・ユニットは,独立したスタンドアロン装置として,または拡張ユニットおよび複数のデータ・ユニットと組み合わせて利用できます。

ラックマウント・マルチモジュール構成では,1 つの構成で最大 6 モジュールまで拡張できます。構成には,少なくとも,1 つの拡張ユニットと 1 つのベース・ユニットが必要です。TL881 および TL891 DLT ミニライブラリは,以下に示すさまざまな要素の組み合わせで構成することができます。

9.6.1.3    TL881 および TL891 ラックマウントのスケーラビリティ

TL881 および TL891 ミニライブラリのラックマウント・バージョンはスケーラブルなテープ・ライブラリ・システムで,性能,容量のいずれかが最大になるように,あるいはその両者のバランスを取るさまざまな組み合わせで構成することができます。

どちらのライブラリも DLT IV テープ・カートリッジを使用しますが,DLT III または DLT IIIxt テープ・カートリッジも使用できます。表 9-12 に,性能,容量のいずれかが最大になるようにセットアップされた構成の TL881/TL891 ミニライブラリの容量と性能を示します。

表 9-12:  TL881/TL891 ミニライブラリの性能および容量比較

      TL881 ミニライブラリ TL891 ミニライブラリ
最大構成対象: ベース・ユニット数 [脚注 49] [脚注 50] データ・ユニット数 [脚注 51] 転送速度 [脚注 52] 記憶容量 [脚注 53] 転送速度 [脚注 54] 記憶容量 [脚注 55]
性能 5 0 15 MB/秒 (54 GB/時) 1.32 TB (66 カートリッジ) 50 MB/秒 (180 GB/時) 2.31 TB (66 カートリッジ)
容量 1 4 3 MB/秒 (10.8 GB/時) 1.8 TB (90 カートリッジ) 10 MB/秒 (36 GB/時) 3.15 TB (90 カートリッジ)

ベース・ユニットとデータ・ユニットの組み合わせを変更することにより,性能と総容量をユーザのニーズに合わせて調整できます。

9.6.1.4    DLT ミニライブラリの注文番号

表 9-13 に,TL881/TL891 DLT ミニライブラリ・システムの注文番号を示します。実際に示されているのは,TL881 Fast-Wide ディファレンシャル構成要素の注文番号です。

表 9-13:  DLT ミニライブラリの注文番号

DLT ライブラリの構成要素 テープ・ドライブ数 テーブルトップ/ラックマウント 注文番号
TL881 DLT ライブラリ 1 テーブルトップ 128667-B21
TL881 DLT ライブラリ 2 テーブルトップ 128667-B22
TL881 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニット 1 ラックマウント 128669-B21
TL881 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニット 2 ラックマウント 128669-B22
TL881 用アドオン DLT 20/40 ドライブ 1 N/A 128671-B21
TL891 DLT ライブラリ 1 テーブルトップ 120875-B21
TL891 DLT ライブラリ 2 テーブルトップ 120875-B22
TL891 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニット 1 ラックマウント 120876-B21
TL891 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニット 2 ラックマウント 120876-B22
TL891 用アドオン DLT 35/70 ドライブ 1 N/A 120878-B21
ミニライブラリ拡張ユニット N/A ラックマウント 120877-B21
ミニライブラリ・データ・ユニット N/A ラックマウント 128670-B21

注意

TL881 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデルは,Fast-Wide ディファレンシャルまたは Fast-Wide シングルエンドとして動作可能です。クラスタ構成では,シングルエンド・モデルはサポートされません。TL891 DLT ミニライブラリ・テーブルトップ・モデルは,Fast-Wide ディファレンシャルとしてのみ動作します。

9.6.2    共用 SCSI バスで使用する TL881 または TL891 ミニライブラリの準備

ここでは,共用バスで使用する TL881 および TL891 DLT ミニライブラリの準備の詳細について説明します。

9.6.2.1    スタンドアロン共用 SCSI バスで使用するテーブルトップ・モデルまたはベース・ユニットの準備

TL881 または TL891 DLT ミニライブラリのテーブルトップ・モデルまたはラックマウント・ベース・ユニットは,スタンドアロンで使用できます。将来の拡張を考慮しているユーザの場合には,ラックマウント・ベース・ユニットを購入するとよいでしょう。

注意

システム性能を保つため,1 つの SCSI バスに 3 台以上のテープ・ドライブを接続しないようにお勧めします。同様に,共用ストレージをテープ・ライブラリと同じ SCSI バスに配置しないようにもお勧めします。

ここでは,共用バスで使用する TL881/TL891 DLT ミニライブラリのテーブルトップ・モデルまたはラックマウント・ベース・ユニットの準備について説明しています。

ハードウェア・インストール手順の詳細については,『TL881 MiniLibrary System User's Guide』または『TL891 MiniLibrary System User's Guide』を参照してください。

9.6.2.1.1    スタンドアロン・ミニライブラリ・テープ・ドライブの SCSI ID の設定

TL891 および TL892 ミニライブラリの前面にある制御パネルは,電源投入時自己診断 (POST) の状態表示,メッセージの表示,およびミニライブラリ機能のセットアップに使用できます。

ミニライブラリに初めて電源を供給すると,一連の POST 診断が実行されます。POST の実行中,制御パネルには,ミニライブラリのモデル番号,現在の日付/時刻,ファームウェア・リビジョン,および各テストの状態が表示されます。

POST 診断の完了後,次のような省略時の画面が表示されます。

DLT0 Idle
DLT1 Idle
Loader Idle
0> _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ <9

省略時の画面の 1 行目と 2 行目は 2 つ (もしあれば) のドライブの状態を示します。3 行目はライブラリ・ロボットの状態を示します。4 行目はマガジンのマップで,カートリッジ・スロットを表す 0〜9 の数字が表示されます。この行に表示される矩形は,マガジン内の対応するスロットにカートリッジが存在することを示します。

たとえば,この 4 行目 (0> X X _ _ _ _ _ _ _ _ <9,ただし X は矩形を表す) は,スロット 0 と 1 にカートリッジがインストールされていることを示しています。

注意

テープ・ドライブの SCSI ID を機械式に設定するスイッチはありません。SCSI ID の省略時の設定は 5 です。ミニライブラリでは,どのデバイスがミニライブラリの存在を認識するよりも前に,電子式の SCSI ID を非常に高速に設定するため,機械式の SCSI ID がなくても SCSI バスに何の問題も生じません。

SCSI ID を設定するには,次の手順に従います。

  1. 省略時の画面で [Enter] ボタンを押してメニュー・モードに入ります。[Main Menu] が表示されます。

    注意

    メニュー・モードに入ると [Ready] ランプが消え,モジュールがオフラインであることを示します。メニュー・モードを終了し,[Ready] ランプが再点灯するまで,ホストからのメディア・チェンジャ・コマンドはすべて "SCSI not ready" 状態を返します。

  2. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択します。次に [Enter] ボタンを押すと,[Configure] サブメニューが表示されます。

    注意

    制御パネルの上向きおよび下向き矢印にはオートリピート機能があります。いずれかのボタンを 0.5 秒を超えて押し続けると,そのボタンを 1 秒あたり約 4 回押すのと同じ操作になります。ボタンを放すとオートリピートは無効になります。

  3. 下向き矢印ボタンを押して [Set SCSI] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  4. SCSI バス ID を変更したいテープ・ドライブ (DLT0 Bus ID: または DLT1 Bus ID:),またはライブラリ・ロボット (LIB Bus ID:) を選択します。省略時の SCSI ID は次のとおりです。

    上向きまたは下向き矢印ボタンを使って,SCSI ID を変更する項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  5. 上向きまたは下向き矢印ボタンを使ってスクロールし,使用できる SCSI ID 設定を探します。使用したい SCSI ID が表示されたら,[Enter] ボタンを押します。

  6. 必要に応じて手順 4 と 5 を繰り返し,他の SCSI バス ID を設定します。

  7. 省略時のメニューが表示されるまで,[Esc] ボタンを繰り返し押します。

9.6.2.1.2    TL881 または TL891 DLT ミニライブラリのケーブル接続

TL881/TL891 DLT ミニライブラリのスタンドアロン・モデルまたはラックマウント・ベース・ユニットの背面には高密度 68 ピン SCSI コネクタが 6 個あります。左端の 2 つのコネクタは,ライブラリ・ロボット・コントローラ用です。真ん中の 2 つはテープ・ドライブ 1 用,右端の 2 つはテープ・ドライブ 2 用 (ただし,2 つ目のテープ・ドライブがインストールされている場合) です。

注意

テープ・ドライブの SCSI コネクタには,DLT1 (テープ・ドライブ 1) および DLT2 (テープ・ドライブ 2) というラベルが付いていますが,制御パネルではドライブを DLT0 (テープ・ドライブ 1) および DLT1 (テープ・ドライブ 2) と指定します。

TL881 または TL891 DLT ミニライブラリの省略時の設定では,ロボット・コントローラとテープ・ドライブ 1 を同じ SCSI バス上に配置します (図 9-9)。ユニットには 30 cm (11.8 インチ) の SCSI ジャンパ・ケーブルが付属しています。このケーブルを左から 2 番目と 3 番目のコネクタに差し込んでください。ミニライブラリにドライブが 2 個ある場合は,2 つ目のドライブを,30 cm (11.8 インチ) の別の SCSI バス・ジャンパ・ケーブルを使って同じ SCSI バス上に配置するか,そのドライブ自体の SCSI バスに接続します。

注意

TL881 および TL891 の内部ケーブルが長すぎるため,トライリンク/ターミネータの組み合わせによる外部終端は利用できません。したがって,TL881 または TL891 を共用バス上の最後のデバイスにする必要があります。これらのデバイスを共用バスから削除するには,その前に,バス上の処理を生成するアプリケーションをすべて停止する必要があります。

システム性能を保つため,1 つの SCSI バス上に 3 台以上のテープ・ドライブを接続しないようにお勧めします。

テープ・デバイスは独立した共用 SCSI バス上に配置し,その SCSI バスには他のストレージ・デバイスを接続しないようにお勧めします。

ケーブル接続は,ドライブが 1 個か 2 個かで異なります。2 ドライブ構成の場合は,各ドライブが別々の SCSI バス上にあるかどうかでも異なります。

注意

ライブラリ・ロボット・コントローラは,テープ・ドライブ 1 と同じ SCSI バス上にあるものとします。

ライブラリ・ロボットおよび 1 つのドライブを単一の共用 SCSI バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. 328215-00X,BN21K,または BN21L で,バス上の最後の Y ケーブルまたはトライリンク・コネクタと,ミニライブラリの背面の左端のコネクタを接続します。328215-004 は 20 m (65.6 フィート) ケーブルです。

  2. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  3. H879-AA などの HD68 ディファレンシャル・ターミネータを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) にインストールします。

ドライブ・ロボットおよび 2 つのドライブを単一の共用 SCSI バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. 328215-00X,BN21K,または BN21L で,バス上の最後のトライリンク・コネクタとミニライブラリの背面の左端のコネクタを接続します。

  2. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  3. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) と左側の DLT2 コネクタ (左から 5 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  4. HD68 ディファレンシャル (H879-AA)・ターミネータを右側の DLT2 コネクタ (右端のコネクタ) にインストールします。

ドライブ・ロボットおよび 1 つのドライブを 1 つの共用バスに接続し,2 つ目のドライブを 2 つ目の共用バスに接続するには,次の手順に従います。

  1. 328215-00X,BN21K,または BN21L で,1 つ目の共用バス上の最後のトライリンク・コネクタとミニライブラリの背面の左端のコネクタを接続します。

  2. 328215-00X,BN21K,または BN21L で,2 つ目の共用バス上の最後のトライリンク・コネクタと左側の DLT2 コネクタ (左から 5 番目のコネクタ) を接続します。

  3. 30 cm (11.8 インチ) の SCSI バス・ジャンパを右側のロボット・コネクタ (左から 2 番目のコネクタ) と左側の DLT1 コネクタ (左から 3 番目のコネクタ) 間にインストールします。

  4. HD68 ディファレンシャル (H879-AA)・ターミネータを右側の DLT1 コネクタ (左から 4 番目のコネクタ) にインストールし,もう 1 つの HD68 ディファレンシャル・ターミネータを右側の DLT2 コネクタ (右端のコネクタ) にインストールします。

図 9-9 に,2 つの共用バスに接続された TL891 スタンドアロン・ミニライブラリを使用する,TruCluster 構成の例を示します。

図 9-9:  TL891 のスタンドアロン・クラスタ構成

表 9-14 に,図 9-9 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-14:  図 9-9 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 56]
2 BN37A ケーブル [脚注 57]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 58]

9.6.2.2    共用 SCSI バスで使用する TL881 または TL891 のラックマウント・ミニライブラリの準備

TL881 または TL891 ミニライブラリのベース・ユニットを,拡張ユニット,データ・ユニット,および他のベース・ユニットと組み合わせたラックマウント構成で使用し,テープ・ドライブ,カートリッジ容量のいずれかまたは両方を構成に追加することができます。

拡張ユニットは,SW500,SW800,または RETMA キャビネット内で TL881/TL891 DLT ミニライブラリ・ベース・ユニットまたはデータ・ユニットの上にインストールします。

ハードウェア・インストール手順の詳細については,『TL881 MiniLibrary System User's Guide』または『TL891 MiniLibrary System User's Guide』を参照してください。

ここでは,共用バスで使用するラックマウント TL881/TL891 DLT ミニライブラリの準備について説明します。

ここでの説明は,拡張ユニット,ベース・モジュール,およびパス・スルーとモータ・メカニズムはインストール済みであることを前提にしています。

9.6.2.2.1    ラックマウント TL881 または TL891 DLT ミニライブラリのケーブル接続

DLT ミニライブラリ・システムを動作可能にするには,以下の接続作業が必要です。

図 9-10 に,拡張ユニット,ベース・ユニット,およびデータ・ユニットを使用する TL891 DLT ミニライブラリ構成を示します。ライブラリ・ロボット拡張ユニットが 1 つの共用バスにあり,ベース・ユニットの 2 台のテープ・ドライブが別々の共用バス上にあります。データ・ユニットにはテープ・ドライブがなく,テープ・カートリッジのみが格納されるので,共用 SCSI バスには接続されません。この図には,パス・スルー・メカニズム,およびライブラリ・ロボット・モータへのケーブルは示されていません。

ユニットのケーブル接続の詳細については,9.6.2.1.2 項を参照してください。拡張モジュール上のロボット制御を除いて,ラックマウント TL881 または TL891 DLT ミニライブラリのケーブル接続は,テーブルトップ・ユニットの場合と同じです。

図 9-10:  TL891 DLT ミニライブラリのラックマウント構成

表 9-15 に,図 9-10 のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。

表 9-15:  図 9-10 の構成に使用するハードウェア構成要素

図中の丸で囲んだ番号 説明
1 BN38C または BN38D ケーブル [脚注 59]
2 BN37A ケーブル [脚注 60]
3 H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ
4 H8863-AA VHDCI ターミネータ
5 BN21W-0B Y ケーブル
6 H879-AA ターミネータ
7 328215-00X,BN21K,BN21L,または BN31G ケーブル [脚注 61]

9.6.2.2.2    ベース・ユニットの拡張ユニットへのスレーブ構成

TL881/TL891 ベース・ユニットはスタンドアロン・システム構成として出荷されます。これらのユニットをミニライブラリ拡張ユニットと組み合わせて使用する場合,拡張ユニットから各ベース・ユニットのロボットを制御する必要があります。したがって,ベース・ユニットは拡張ユニットのスレーブとして構成する必要があります。

ハードウェアおよびケーブルのインストール後,ミニライブラリ・システムの拡張ユニットの電源を初めて投入する前に,システムの各ベース・ユニットをスレーブとして再構成する必要があります。ベース・ユニットをスレーブとして再構成しなければ,ミニライブラリ・システムの電源を投入したときに,拡張ユニットがベース・ユニット・ロボットの制御権を取得できません。

TL881/TL891 ベース・ユニットをミニライブラリ拡張ユニットのスレーブとして再構成するには,システムの各ベース・ユニットで以下の手順を実行します。

  1. 再構成する TL881/TL891 ベース・ユニットの電源スイッチを入れます。

    注意

    拡張ユニットの電源は入れないでください。すべてのベース・ユニットをスレーブとして再構成する作業が完了するまで,拡張ユニットの電源は切っておく必要があります。

    一連の自己診断が実行された後,次の省略時の画面がベース・モジュールの制御パネルに表示されます。

    DLT0 Idle
    DLT1 Idle
    Loader Idle
    0> _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ <9
    

    省略時の画面には,テープ・ドライブの状態,ローダ,およびこのベース・ユニットに存在するカートリッジの数が表示されます。下線の部分に矩形が表示された場合,その位置にカートリッジが存在することを示します。

  2. [Enter] ボタンを押してメニュー・モードに入ります。[Main Menu] が表示されます。

  3. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択します。次に [Enter] ボタンを押します。

    注意

    制御パネルの上向きおよび下向き矢印にはオートリピート機能があります。いずれかのボタンを 0.5 秒を超えて押し続けると,そのボタンを 1 秒あたり約 4 回押すのと同じ操作になります。ボタンを放すとオートリピートは無効になります。

  4. 下向き矢印ボタンを押して [Set Special Config] メニューを選択し,[Enter] ボタンを押します。

  5. 下向き矢印ボタンを繰り返し押して [Alternate Config] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  6. 下向き矢印ボタンを押して,[alternate configuration] を [default (Standalone)] から [Slave] に変更します。[Enter] ボタンを押します。

  7. 選択値の点滅が止み,制御パネルに「リブートするまで変更は有効にならない」旨が表示されたら,[Enter] ボタンを押します。

  8. [Special Configuration] メニューが再表示されたら,電源スイッチを切り,再び電源を入れます。これでベース・ユニットは,拡張ユニットのスレーブとして再構成されました。

  9. 拡張ユニットのスレーブとなる各 TL881/TL891 ベース・ユニットで上記の手順を繰り返します。

9.6.2.2.3    TL881/TL891 DLT ミニライブラリの電源投入

TL881 または TL891 DLT ミニライブラリの電源を入れるときは,拡張ユニットの電源投入を,ベース・ユニットおよびデータ・ユニットの電源投入と同時,またはその後に行う必要があります。拡張ユニットの電源を先に入れると,モジュールの目録が不正確になり,システムおよびホストから全部または一部のモジュールの内容にアクセスできなくなる可能性があります。

拡張ユニットは,起動した後,拡張ユニット・インタフェース経由で各ベース・ユニットおよびデータ・ユニットと通信し,ベース・ユニットの数,テープ・ドライブ,データ・ユニット,および各ベース・ユニットとデータ・ユニットに存在するカートリッジに関する目録を作成します。このようにしてミニライブラリの構成を決定した後,拡張ユニットは各ベース・ユニットおよびデータ・ユニットと通信し,それらのベース・ユニットまたはデータ・ユニットに対してどのカートリッジ・グループが割り当てられているかを通知します。

拡張モジュールと各ベース・ユニットおよびデータ・ユニット間の初期化時の通信がすべて完了すると,各ベース・ユニットおよびデータ・ユニットには,再マップされたカートリッジ目録に従って,そのカートリッジ番号が表示されます。

9.6.2.2.4    ラックマウント TL881/TL891 DLT ミニライブラリの SCSI ID の設定

ベース・ユニットをスレーブとして再構成し終えても,各ベース・ユニットの制御パネルにはテープ・ドライブの状態とエラー情報が表示されたままです。制御機能はすべて拡張ユニットの制御パネルから実行します。これには,各テープ・ドライブの SCSI ID の設定も含まれます。

TL881/TL891 DLT ミニライブラリ・ラックマウント構成のテープ・ドライブの SCSI ID を設定するには,次の手順に従います。

  1. ミニライブラリの電源を投入します。拡張ユニットの電源投入は,必ずベースおよびデータ・ユニットの電源投入後,またはそれと同時に行ってください。

  2. 電源投入時自己診断 (POST) が終了し,拡張ユニットおよび各ベース・ユニットとデータ・ユニットに省略時の画面が表示されるまで待ちます。

  3. 拡張ユニットの制御パネルで [Enter] ボタンを押し,[Main Menu] を表示します。

  4. 下向き矢印ボタンを押して [Configure Menu] 項目を選択し,次に [Enter] ボタンを押して [Configure] サブメニューを表示します。

  5. 下向き矢印ボタンを押して [Set SCSI] 項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  6. 上向きまたは下向き矢印ボタンを押して,SCSI バス ID を変更したいテープ・ドライブ (DLT0 Bus ID:,DLT1 Bus ID:,DLT2 Bus ID: など),またはライブラリ・ロボット (Library Bus ID:) を選択します。ベース・ユニットが 3 つある構成で,各ベース・ユニットに 2 つのテープ・ドライブがある場合,上のベース・ユニットには DLT0 と DLT1 が,その下のベース・ユニットには DLT2 と DLT3 が,一番下のベース・ユニットには DLT4 と DLT5 がそれぞれ格納されます。拡張ユニットによって再構成された後の省略時の SCSI ID は次のとおりです。

  7. SCSI ID を変更したい項目を選択し,[Enter] ボタンを押します。

  8. 上向きおよび下向き矢印を使って目的の SCSI ID を選択します。[Enter] ボタンを押して新しい選択値を保存します。

  9. [Esc] ボタンを 1 回押して [Set SCSI] サブメニューに戻り,別のテープ・ドライブまたはライブラリ・ロボットを選択した後,手順 6〜8 を繰り返して SCSI ID を設定します。

  10. 他の項目を構成したい場合は,[Esc] ボタンを押して [Configure] サブメニューを表示し,構成する項目を選択します。構成する項目ごとにこの手順を繰り返してください。

  11. 構成する項目がなくなったら,[Esc] ボタンを押して,省略時の画面を表示してください。

注意

SCSI ID を設定するのに電源を切断・再投入する必要はありません。

9.7    Compaq ESL9326D エンタープライズ・ライブラリ

この節では,ESL9326D エンタープライズ・ライブラリを TruCluster Server の共用 SCSI バスで使用するための概要とハードウェア構成情報について説明します。

9.7.1    一般的な概要

Compaq StorageWorks ESL9326D エンタープライズ・ライブラリは,Compaq ESL9000 シリーズ・テープ・ライブラリで最初のビルディング・ブロックです。

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリについての詳しい説明は,次の Compaq StorageWorks ESL9000 シリーズ・テープ・ライブラリのマニュアルを参照してください。

これらのテープ・デバイスは,KZPSA-BB および KZPBA ホスト・バス・アダプタによる共用 SCSI バス上での使用に適しています。ホスト・バス・アダプタがシステムでサポートされていることを,以下の URL のオプション・リストで確認してください。 http://www.compaq.com/alphaserver/products/options.html

9.7.2    ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの概要

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリは,6 から 16 台の Fast-Wide ディファレンシャル・テープ・ドライブを装備した,企業向けの自動デジタル・リニア・テープ (DLT) ライブラリです。このテープ・ライブラリでは,35/70 DLT (DS-TZ89N-AV) ディファレンシャル・テープ・ドライブが採用されています。SCSI バス・コネクタは高密度 68 ピンです。

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリは,固定されたストレージ・アレイの中 (背面の壁,左扉の内側,右扉の内側) に DLT カートリッジ 326 本を収容できます。DLT Tape IV カートリッジを非圧縮で使用した場合のストレージ容量は 11.4 TB です。DLT Tape IV カートリッジのほかに,DLT Tape III と DLT Tape IIIXT カートリッジも使用できます。

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリは,テープ・ドライブの数に基づいて 7 つの異なる注文番号から選択できます。

注文番号 テープ・ドライブの数
146205-B21 0
146205-B23 6
146205-B24 8
146205-B25 10
146205-B26 12
146205-B27 14
146205-B28 16

テープ・ライブラリは,注文番号 146209-B21 にアップグレードすることもできます。 146209-B21 では 35/70 DLT テープ・ドライブが 1 台追加されます。詳しい情報が必要な場合は,Compaq StorageWorks の『ESL9326 Tape Drive Upgrade Guide』を参照してください。

最大 5 台の ESL9000 シリーズ・テープ・ライブラリを,パス・スルー・メカニズム (注文番号 161268-B21) を用いて接続することができます。テープ・ライブラリを接続したときに,サポートされるテープ・ドライブ数は,ESL9326D の QuickSpecs で確認してください。また,パス・スルー・メカニズムについての詳細は,Compaq StorageWorks の『Pass-Through Mechanism Installation Guide』を参照してください。

9.7.3    共用 SCSI バスで使用するための ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの準備

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリには,ライブラリ・ロボット (ロボット・コントローラ) と 6 から 16 台の 35/70 DLT (DS-TZ89N-AV) Fast-Wide ディファレンシャル DLT テープ・ドライブが装備されています。

テープ・デバイスは,KZPSA-BB または KZPBA ホスト・バス・アダプタを使った共用バス上でだけ使用できます。

注意

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリでは,内部の各 SCSI バス上に 2 台の 35/70 DLT テープ・ドライブがケーブル接続されています。ロボット・コントローラはテープ・ドライブ 0 と 1 に接続されます。2 と 3,4 と 5,6 と 7 など,その他のテープ・ドライブのペアも内部で互いにケーブル接続されています。

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリでは,SCSI バスの不足に備えて,SCSI バス・ジャンパ・ケーブルが余分に付属しています。ジャンパ・ケーブルで SCSI バス同士を接続すると,同一の SCSI バス上に 4 台のテープ・ドライブを設置することが可能です。

ただし,1 つの共用バス上に接続する 35/70 DLT テープ・ドライブは,2 台までにすることをお勧めします。

また,テープ・ドライブの接続された共用バス上にストレージを接続しないこともお勧めします。

以降の各項で,ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの準備方法について,さらに詳しく説明します。

9.7.3.1    ESL9326D エンタープライズ・ライブラリのライブラリ・ロボットとテープ・ドライブに必要なファームウェア

TruCluster Server をサポートするファームウェアの最低バージョンは,ライブラリ・エレクトロニクス・ファームウェア V1.22 です。

35/70 DLT テープ・ドライブには,V97 またはそれ以降のファームウェアが必要です。ファームウェアは,V80 の状態から V97 にアップグレードする必要があります。

9.7.3.2    ライブラリ・ロボットとテープ・ドライブの SCSI ID

図 9-11 は,ライブラリ・ロボットとテープ・ドライブに設定されている省略時の SCSI ID を示しています。システム構成上の必要条件から省略時の SCSI ID の変更が必要な場合は,Compaq StorageWorks ESL9000 シリーズのテープ・ライブラリの『Reference Guide』の手順を参照してください。

9.7.3.3    ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの内部ケーブル接続

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリでは,省略時の設定で 1 つの内部 SCSI バス上に 2 台の 35/70 DLT テープ・ドライブがケーブル接続されています。

図 9-11 は,16 台のテープ・ドライブを装備した ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの省略時の内部ケーブル接続を示しています。テープ・ドライブのペアが内部で互いに接続され,1 本の SCSI バス上に 2 台のドライブが設置されています。ドライブ数が少ないモデルでも,内部はすべて同様にケーブル接続されています。存在しないドライブのターミネータは SCSI バルクヘッドに取り付けられていません。

図 9-11:  ESL9326D の内部ケーブル接続

注意

各内部ケーブルの最大長は 2.5 m (8.2 フィート) です。SCSI バス・ケーブルを注文する際は,SCSI バスごとに 2 本ずつある内部ケーブルの長さも考慮する必要があります。

ディファレンシャル SCSI バスのセグメントの最大長は 25 m (82 フィート) で,ESL9326D 内部の SCSI バス長は 5 m (16.4 フィート) です。したがって,外部 SCSI バス・ケーブルの長さは最大 20 m (65.6 フィート) に制限されます。

9.7.3.4    共用 SCSI バスへの ESL9326D エンタープライズ・ライブラリの接続

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリには,テープ・ドライブのペアごとに 5 m (16.4 フィート) の内部 SCSI ケーブルが使用されています。そのため,共用バス上の他のデバイスのように,トライリンク・コネクタや Y ケーブルを使用して,テープ・ライブラリの外部で SCSI バスを終端することはできません。各 SCSI バスは,SCSI バルクヘッド上の SCSI コネクタにターミネータを取り付けることによって,SCSI バスの最後で終端しなければなりません。したがって,TruCluster Server 構成では,ESL9326D エンタープライズ・ライブラリを必ず共用バスの終端に設置する必要があります。

注意

ディスク・ストレージ・デバイスは,テープ・ライブラリとは異なる共用 SCSI バス上に設置することをお勧めします。

328215-001 (5 m; 16.4 フィート),328215-002 (10 m; 32.8 フィート),328215-003 (15 m; 49.2 フィート),328215-004 (20 m; 65.6 フィート),BN21K (BN21L) ケーブルの中から適切な長さのケーブルを選択して,ESL9326D エンタープライズ・ライブラリを共用バスに接続します。共用バス全体では,ESL9326D 内部ケーブルを含めて 25 m (82 フィート) 以上のケーブルは使用しないでください。各 SCSI バスは,330563-001 (または H879-AA) HD-68 ターミネータで終端します。表 9-16 に示されている SCSI バルクヘッドの SCSI コネクタにケーブルとターミネータを接続して,共用バスを構成します。

表 9-16:  ESL9326D エンタープライズ・ライブラリにおける共用 SCSI バス・ケーブルとターミネータの接続

共用 SCSI バス上のテープ・ドライブ SCSI ケーブルを接続するコネクタ HD-68 ターミネータを取り付けるコネクタ
0,1,ライブラリ・ロボット [脚注 62] Q B
2,3 C D
4,5 E F
6,7 G H
8,9 I J
10,11 K L
12,13 M N
14,15 O P

注意

ESL9326D エンタープライズ・ライブラリには,テープ・ドライブのペア (1 つの SCSI バス) ごとに 1 個の 330563-001 HD68 ターミネータが付属しています。キットには,テープ・ドライブ 0 および 1 とライブラリ・ロボットの接続用に少なくとも 1 本の 330582-001 ジャンパ・ケーブルが同梱されています。

ホスト・バス・アダプタの不足から,1 つの SCSI バス上に 3 台以上のテープ・ドライブを接続しなければならない場合に備えて (ただし,この構成は推奨しない),7 台以上のテープ・ドライブが装備されたテープ・ライブラリには 330582-01 ジャンパ・ケーブルが余分に付属しています。