Tru64 UNIX はさまざまな文字,記号などのフォント [脚注 1] をデータ・ベースに登録して用意しています。 データ・ベースに登録されているフォントの1つ1つには番号が割り当てられ,ユーザは直接または間接にこの番号を指定することで各フォントを端末上に表示したりプリンタを使って印刷することができます。 このようなフォントに対して,ユーザが独自に作成するフォントをユーザ定義文字(User Defined Characters)と呼びます。 ユーザ定義文字を利用すると,もともと用意されているフォントには含まれていない漢字やトレード・マークなどを作成,表示することができます。
Tru64 UNIX
は,ユーザ定義文字を作成する
cedit
ユーティリティと,作成したフォントをフォント・ロード用のファイルに変換する
cgen
ユーティリティの2つの機能を提供し,ユーザ定義文字の作成,登録,表示を実現しています。
1.2 ユーザ定義文字の作成から表示まで
ユーザ定義文字を作成し,端末に表示またはプリンタで印刷するまでの過程は次のとおり大きく4つに分けることができます。
cedit
を起動してフォントを作成。
cgen
を起動して,作成したフォントをフォント・ロード用のファイルに変換し,登録。
端末またはプリンタにフォントをロード。
実際に表示,印刷。
1.3 節 以降にそれぞれの作業を順を追って説明します。
注意
DEC 2000 モデル 300 用キーボードPCXAJ-AAには,この章に記述されている操作キーのうち [Select] ,[Remove] ,[Insert Here] ,[PF1] ,[PF2] ,[PF3] および [PF4] がありません。 表 1-1 の PCXAJ-AAキーボード用の対応キーを使用してください。
PCXAJ-AA以外のキーボード | PCXAJ-AAキーボード |
[Select] または [ s ] | [ s ] |
[Remove] | [Delete] |
[Insert Here] | [Insert] |
[PF1] または [ g ] | [ g ] |
[PF2] または [ h ] | [ h ] |
[PF3] または [ * ] | [ * ] |
[PF4] または [ + ] | [ + ] |
ここでは,ユーザ定義文字を作成するフォント編集エディタ
cedit
の操作方法について簡単に説明します。
詳しくは
cedit
(1)
リファレンス・ページを参照してください。
1.3.1 cedit の起動
cedit
(1)
を起動するには,コマンドラインで次のように入力します。
% cedit
cedit
が起動すると
図 1-1
のような画面が表示されます。
図 1-1: cedit 起動
このような画面の状態をメニュー・モードといいます。
1.3.2 メニュー・モード
メニュー・モードはユーザ定義文字の文字属性の設定,参照,変更を行うモードです。 実際に フォントの編集を行う前にはメニュー・モードで必ず文字属性の設定を行う必要があります。
図 1-1の画面最上部に表示されているメニュー項目を選択し,次のような設定を行うことができます。
File
現在の文字の変更を保管または取り消し,cedit
を中止または終了します。
Edit
これから編集を行う文字の文字属性を設定します。 Font メニュー項目を選択すると,フォント編集モードが起動されます。
Delete
すでに定義した文字の属性を削除します。
Show
以前に定義されたフォント以外の文字属性の状態と値を表示します。
Command
特定のフォント・サイズのフォント・レコードを比較したり,参照文字属性データベースから現在のデータベースへ文字レコード数をコピーします。 また現在のコードセットおよび言語に対してデータベース上で利用可能なすべての文字を表示します。
Options
現在のコードセットまたは言語を変更したり,ユーザ・インタフェースを英語から日本語などのロケール言語に変更します。 使用可能なロケール言語ユーザ・インタフェースは, UDCマネージャの起動時のロケールの設定によって決まります。 このロケール言語ユーザ・インタフェースは,現在のコードセットまたは言語を変更しても,途中で変えることはできません。
Help
オンライン・ヘルプ・メッセージを提供します。
目的のメニュー項目に矢印キーを使い反転表示をあわせて [Space] を入力するか,下線で示されているホット・キー (Command に移動する場合のホット・キーは [ C ] ) を入力するとそれぞれのメニューの設定内容が表示されます。
また,メニュー項目のうち強調表示されていない (下線付きの文字が表示されていない) ものは現在設定の必要がないか設定が不可能なメニュー項目です。 その項目に位置カーソルを動かすことはできません。
[Help]
キーを押すと各メニュー項目の簡単なオンライン・ヘルプが表示できます。
1.3.3 フォント作成のための設定
ここでは,端末表示用の新規ユーザ定義文字を作成する場合を例に,メニュー・モードの設定について説明します。
ユーザ定義文字のフォントを作成する場合画面最上位に表示されているメニュー項目の中から
Edit
を選択します。
画面上の
Edit
に矢印キーを使いカーソルをあわせ,[Return]
または
[Space]
を入力するか,ホット・キー
[
E ]
を入力すると
図 1-2
のように設定内容が表示されます。
図 1-2: Edit
ここでまず新規文字作成か既存文字の再編集かの選択を行います。
図 1-2
のように
Character
が反転表示している状態で
[Return]
または
[Space]
を入力すると,画面は
図 1-3
のようになります。
図 1-3: Character
ここで,新規文字作成の場合 New Character を選択します。
次に,画面最下位の部分に,
編集されるコード=
という表示が出るので,編集する文字コード番号を16進数で入力してください。
ここで指定することのできる文字コードは
表 1-2
のとおりです。
表 1-2: ユーザ定義文字用コード領域(16進数)
deckanji/sdeckanji | eucJP | SJIS |
A121〜AA7E | F5A1〜FEFE | F040〜F4FC |
AB21〜B47E | 8FF5A1〜8FFEFE | F540〜F9FC |
B521〜BA7E | 8FEEA1〜8FF3FE | FA40〜FCFC |
BB21〜BB7E | 8FF4A1〜8FF4FE | |
BC21〜FE7E |
Character の文字コードを指定し [Return] を入力すると,画面は 図 1-2 にもどります。
文字コードについての詳細は,『日本語機能ガイドブック』および
udc
(5)
リファレンス・ページを参照してください。
次に
Font
のサイズ指定を行います。
Character
の時と同じ要領で
Font
を選択すると画面は
図 1-4
のようになります。
図 1-4: Font の選択
Tru64 UNIX では,normal 16x18,normal 24x24,normal 32x32,normal 40x40 の4種類のフォント・サイズを用意しています。 端末表示用を選択する場合,normal 24x24 を反転表示させて [Space] を入力します。
以上で新規ユーザ定義文字を作成するための設定は終了です。
Font
の設定が終わると
図 1-5
のような外字エディタが起動し,実際にフォントをデザインする作業が開始できます。
図 1-5: 外字エディタ
参照エリア
エディタの左上部の参照コード:と題された領域は,他のフォントや現在編集中のフォントを実際に端末に表示される実サイズで表示する部分です。 ここに実サイズのフォントを表示させ,デザインやバランスを参考にします。
編集エリア
エディタの右手側のメイン・ウィンドウは,フォントを作成したり編集するための編集用ウィンドウです。 ウィンドウ内の1つのドットは1つのピクセルを表し,これをキーパッドを使って ON/OFF することでフォントを作成していきます。
エディタの左下部の 編集モード: と題された領域は編集作業に関連する変数の設定を行う部分です。それぞれの変数の内容は次のとおりです。
Cursor:
カーソルの動きとピクセルの状態の対応を決定
ON −カーソルの下のピクセルを ON に設定。
OFF − カーソルの下のピクセルを OFF に設定。
ON/OFF ー カーソルの下のピクセルを ON から OFF に,またその逆に設定。
MOVE − カーソルの移動でピクセルの状態が変化しないように設定。
Paste:
貼り付け(Paste)実行時の重なり部分の設定
OVERLAY− もとのフォント・イメージまたは貼り付けをするフォント・イメージのうちどちらかのピクセルが ON だったら,その ピクセルを ON に設定。
OVERWRITE − 貼り付けをするフォント・パターンのピクセルが ON のピクセルだけを ON に設定。
Type:
フォントの境界線の有無を設定
BODY − 境界線なし
LETTER − 境界線あり
Wrap:
カーソルの移動制御を設定
ON − カーソルが端を越すと反対の端に移動
OFF − カーソルが端を越すことはできない
外字エディタにはさまざまな編集機能がありますが,実際に編集を行う1つ1つのキー操作についてのヘルプ情報が提供されているので,編集を行いながらキー操作の説明を画面から得ることができます。
Help を起動するには外字エディタが立ち上がっている状態で
[Help]
を入力します。
画面は
図 1-6
のようになります。
図 1-6: Help
ここで参照したいキーを直接入力すると, そのキーについての説明が画面に表示されます。
1.3.6 フォントの編集操作
この節では,実際にフォントを編集するメイン・ウィンドウの編集機能について説明します。
1.3.6.1 カーソルの移動
メイン・ウィンドウ内のカーソルを移動させる方法は3種類あります。
編集モード の Cursor 変数を MOVE にしてキーパッド・キーで移動。
キーパッドの [PF3] または [ * ] を一回入力するごとに,画面左下の 編集モード: に示される Cursor 変数が
ON -> OFF -> ON/OFF -> MOVE
の順番で設定されます。カーソルの移動時には
MOVE
に設定してキーパッド・キーで行います。
各キーパッド・キーとカーソル移動の対応は
図 1-7
のとおりです。
図 1-7: カーソル移動の対応
ゴールド・キー [PF1] または [ g ] とキーパッドキーを使い絶対位置に移動。
[PF1]
または
[
g ]
を入力後キーパッド・キーを入力すると,キーに対応して
図 1-8
のようにカーソルが移動します。
図 1-8: 絶対位置への移動
この方法でカーソルを移動する場合,Cursor 変数の設定は関係ありません。
矢印キー を使いカーソルを移動。
矢印キーを使ってもカーソルを移動することができます。この場合斜め方向への移動はできませんが,Cursor 変数の設定は関係ありません。
フォント・エディタの起動時には
図 1-9
のように全てののピクセルは
OFF
になっています。
このピクセルの1つ1つをキーパッド・キーを使い
ON
にする
(ぬりつぶす)ことでフォントの編集をしていきます。
図 1-9: OFF の状態
ここで,
[PF3]
または
[
* ]
を何回か入力し画面左下のCursor変数を
ON
にします。
この状態で,キーパッド・キーの
[
6 ]
を何回か入力し,カーソルを移動させると,
図 1-10
のように,カーソルが移動した部分のピクセルが ON になります。
図 1-10: ON の状態
同様にCursor変数を
OFF
に設定するとカーソルが移動した部分が OFF に,
ON/OFF
に設定するとカーソルが移動した部分のピクセルが ON の場合 OFF に, OFF の場合 ON になります。
1.3.6.3 領域指定/取消し(Select)
領域指定を行ってから編集をすると,大きな範囲に円を描いたり,領域削除をすることができます。
始点を決めて
[Select]
または
[
s ]
を押すと,領域指定の開始されます。
領域指定を開始すると,
図 1-11
のように始点が四角で囲まれます。
図 1-11: 領域指定開始
ここでカーソルを移動をすると,
図 1-12
のように指定された領域が反転表示されます。
図 1-12: 領域指定
領域指定中にもう一度
[Select]
または
[
s ]
を押すと指定は取り消され,反転表示が消えます。
1.3.6.4 直線
メイン・ウィンドウに直線を描く場合,まず直線の始点になる点で
[Select]
または
[
s ]
を入力し領域指定を開始します (図 1-13)。
次に指定領域を直線の終点にする点まで広げます (図 1-14)。
ここで Cursor 変数を ON に設定し (以下,図形などを描く時には必ず Cursor 変数を ON にしてからコマンドを入力してください)
[
l ](エル)を入力すると,
図 1-15
のように領域指定の始点と現在の位置を結ぶ直線を描くことができます。
図 1-13: 領域指定開始
領域指定中(図 1-16)に
[
r ]
または
[
R ]
を入力すると領域指定の始点と現在の位置を頂点と
する長方形を描くことができます。
[
r ]
を押した場合は,
図 1-17
のように長方形の輪郭が描かれ,
[
R ]
を押した場合は
図 1-18
のようにべたぬりの長方形が描かれます。
図 1-16: 領域指定
領域指定中(図 1-19)に
[
c ]
または
[
C ]
を入力すると
図 1-20
のように領域指定の始点を中心として,始点と現在の位置を半径とする円を描くことができます。
図 1-19: 領域指定
領域指定中(図 1-21)に
[
e ]
または
[
E ]
を押すことにより,領域指定の始点と現在の位置を対角線とする長方形に内接する楕円を描くことができます。
[
e ]
を押した場合は,
図 1-22
のように楕円の輪郭が描かれ,
[
E ]
を押した場合は
図 1-23
のようにべたぬりの楕円が描かれます。
図 1-21: 領域指定
[
f ]
または
[
F ]
を押すと,
図 1-24
から
図 1-25
のように現在の位置を含む ON 状態のピクセルあるいは編集枠によって囲まれた OFF 状態の領域をすべて ON 状態にします。
図 1-24: カーソルをぬりつぶす範囲内に移動
[
t ]
または
[
T ]
を入力すると
図 1-26
から
図 1-27
のように編集対象領域の全てのピクセルの ON/OFF が反転します。
図 1-26: 反転前
作成したフォントを
図 1-28
に示す4本の対称軸に対して対称移動させることができます。
[脚注 2]
図 1-28: ミラーリング軸
フォントの編集作業中に [ x ] または [ X ] を入力すると, 図 1-28 の X 軸に相当する直線を軸にフォントが対称移動します。 同様に [ y ] または [ Y ] を入力すると Y 軸に相当する直線を軸に, [ / ] を入力すると,右斜めの直線を軸に, [ \ ] を入力すると左斜めの直線を軸にそれぞれ対称移動します。
たとえば,
図 1-29
の状態で
/
を入力すると画面は
図 1-30
のようになります。
図 1-29: ミラーリング前
現在編集しているフォント(
図 1-31
)のある部分を削除する場合には
[Remove]
(PCXAJ-AAキーボードの場合は
[Delete]
)を使います。
削除する部分を領域指定し(
図 1-32
)
[Remove]
(
[Delete]
)を押すと
図 1-33
のように領域指定始点から現在の位置までをブロック単位に削除します。
図 1-31: もとのフォント
図 1-33: [Remove] ( [Delete] ) を入力
[Insert Here] (PCXAJ-AAキーボードの場合は [Insert] ) を押すと,以前の操作で削除された領域が貼付されます。 貼付は現在の位置を起点として画面右下方向へ行われます。
図 1-34
のように,貼付する領域の左上の部分にカーソルを合わせ,
[Insert Here]
(
[Insert]
)
を入力すると
図 1-35
のように以前の操作で削除された円が貼付されます。
図 1-34: カーソル移動1
削除された領域は新しい領域が削除されないかぎりバッファの中に保管されるので
図 1-36
のようにカーソルを移動し
[Insert Here]
(
[Insert]
)を入力すると,
図 1-37
のように
図 1-35
で貼付されたのと同じ領域が貼付されます。
図 1-36: カーソル移動2
フォントの作成中や完成したあと,実際にはどのように表示されるのか見ることができます。フォントを表示するには,キーパッドの
[.
](ピリオド)を使います。
図 1-38
の状態でキーパッドの
[.
]
を押すと画面左上にある実物大表示領域にフォントが表示され
図 1-39
のようになります。
これを見ながら,全体のパランスの修正をすることができます。
図 1-38: フォント編集
編集中のフォントを取り消すには,次の2つの方法があります。
ゴールド・キー [PF1] または [ g ] に続いて [,] を入力すると編集中のフォントで ON になっている部分が全て OFF になり,コードはそのままで新たに作成を始めることができます。 フォントの作成をもう一度最初からやり直したいときには,この機能を使ってください。
[PF1] または [ g ] を押してから [Enter] を押すと
フォントに行なわれた変更をとりやめますか [y]?
という表示がでます。ここで [Return] を入力すると,メニュー・モードにもどりフォントのサイズ指定からやりなおすことができます。 入力したあとに間違いに気付いたときや,何らかの理由でコードを変更しなければならないときに使います。
保管機能は,編集を行ったフォント・イメージを保管(セーブ)して外字エディタを終了する機能です。
キーパッド・キーの
[Enter]
を押すと,外字エディタを終了しメニュー・モードに戻ります。
フォントの保管はフォントの作成を1つ終了するごとに実行してください。
1.3.9 参照
画面左上の 参照コード: に別のフォントを表示したいときには,参照機能(Refer)を使います。 ゴールド・キー [PF1] または [ g ] を入力した後,キーパッドの [. ] を入力すると
参照コードのフォントのコードセット(deckanji)の値 =
という表示がでます。ここに,参照するコードを入力してください。
1.3.10 利用
他のフォントをベースにしてフォントを作成するときには,利用機能を使います。 キーパッド・キーの [ 0 ] を押すと
使用されるフォントのコードセット(deckanji)の値 =
という表示が出ます。 ここに利用コードを入力すると,実物大表示域とメイン・ウィンドウに該当フォントが表示されます。
1.3.11 cedit の終了
cedit
を終了するには,次のいずれかの方法を使ってください。
中止(Quit)
中止機能はファイルへの書き込みをしません。編集結果を保存する必要がなく,cedit
を終了したいときには,メニュー・モードで
[Ctrl/c]
を入力するか,メニュー項目の File の中から,
Quit
を選択します。
終了(Exit)
cedit
を終了する場合は,メニュー項目の File の中から
Exit
を選択します。
編集結果をファイルに反映させたいときは,必ず Exit を使って終了してください。
システム・プロンプトに戻ります。
ファイルをセーブして
cedit
を終了(Exit)すると,一般ユーザの場合
~/.udc
に,スーパ・ユーザの場合
/var/i18n/udc
に,作成したフォント・ファイルが登録されます。
>
cedit
(1)を使って作成したフォントを端末に表示またはプリンタで印刷するには,
まず
cgen
(1)
を起動して,フォント・ファイルをオンデマンド・ローディング用のファイルまたはプリロード用のファイルに変換する必要があります。
詳しくは,
cgen
(1)を参照してください。
1.4.1 オンデマンド・ローディング機能
オンデマンド・ローディング機能(ODL機能)は,cedit
で作成したフォントを必要に応じて端末またはプリンタにフォントをロードする機能です。
作成したフォント・ファイルをオンデマンド・ローディング用ファイルに変換するには,次のように
cgen -odl
コマンドを実行します。
% cgen -odl
このコマンドは,ODL 用データ・ベースを,一般ユーザの場合
~/.odl
スーパ・ユーザの場合
/var/i18n/odl
に作成し,~/.udc
または
/var/i18n/udc
に保管されたデータを,次のような ODL 用ファイルに変換します。
odl-code-locale_name.dir odl-code-locale_name.pag odl-font-normal-font_size.dir odl/odl-font-normal-font_size.pag
たとえば,locale が ja_JP.deckanji の場合,次のような ODL ファイルに変換されます。
% ls ~/.odl odl-code-ja_JP.deckanji.dir odl-font-normal-24x24.dir odl-code-ja_JP.deckanji.pag odl-font-normal-24x24.pag
このフォントを ODL 機能で使用するには,以下のように
stty
コマンドを実行してください。
% stty odl
このコマンドを実行すると ODL 機能が ON になり,ユーザ定義文字領域の文字コードが指定されると tty ドライバは,ODL 用データ・ベースを参照し,フォントを端末またはプリンタにロードするようになります。
一度 ODL 用ファイルを作ると,次から
stty odl
を実行すると作成した文字ががロードされます。
tty ドライバの ODL 機能は
表 1-3
のとおりです。
表 1-3: stty コマンド ODL 機能のオプション
コマンド | 説明 |
stty odl | ODL 機能 ON |
stty -odl | ODL 機能 OFF |
stty odlreset | ODL 機能,ODL バッファのリセット |
stty odlall | ODL サービスの属性を表示 |
stty odldb | ODL データベースのパスを設定 |
stty odltype | ODL バッファの置き換えストラテジのタイプを設定 |
stty odlsize | ODL バッファの最大サイズを設定 |
ユーザ定義文字をプリンタにロードすることができるのは,/var/i18n/odl
に登録されているフォントです。
一般ユーザの
~/.odl
に登録されているフォントをプリンタで印刷する場合には,/var/i18n/odl
に再登録をしてください。
また,ユーザ定義文字を ODL 機能を使ってプリンタにロードする場合,/etc/printcap
に
yc, ys, yf
フィールドが正しく設定されていないと機能しません。
『日本語機能ガイドブック』
を参照してプリンタの設定を正しく行ってからロードしてください。
以下は LN05 プリンタにプリンタ・コード ja_JP.sdeckanji でフォント・サイズ 40x40 のユーザ定義文字を出力する場合の
/etc/printcap
のサンプルです。
ln05|lp0:\ :af=/usr/adm/lpacct:\ :br#9600:\ :ct=dev:\ :fc#0177777:\ :fs#023:\ :lf=/usr/adm/lperr:\ :lp=/dev/tty00:\ :mx#0:\ :of=/usr/lbin/ln05jaof:\ :pl#66:\ :pw#80:\ :sd=/usr/spool/lpd:\ :xc#0177777:\ :xf=/usr/lbin/xf:\ :xs#044000:\ :yc=ja_JP.sdeckanji:\ :yf=normal-40x40:\ :ys#256:\ :yt=fifo:
プリロード機能は,cedit
で作成したフォント・ファイルを,端末およびプリンタに一括ローディングを行う機能です。
プリロード用ファイルに変換するには,次のように
cgen -pre
コマンドを実行します。
% cgen -pre
このコマンドは,プリロード用データベースを,一般ユーザの場合は
~/.font
に,スーパ・ユーザの場合は
/var/i18n/font
に作成し,~/.udc
または
/var/i18n/udc
以下に保管されたデータを,次のようなプリロード用ファイルに変換します。
preload-現在のロケール-normal-font_size
プリロード用のファイルをロードするには
cat
コマンドを使います。
端末にロード
% cat ~/.font/preload-ja_JP.deckanji-normal-24x24
プリンタにロード
% cat /var/i18n/font/preload-ja_JP.deckanji-normal-40x40 > tty00
ここでロードされたフォントは電源を落とすまで有効です。
1.5 ユーザ定義文字の表示
端末またはプリンタにロードされたユーザ定義文字は,コード番号を持った普通のフォントとみなすことができます。
1.5.1 ユーザ定義文字の端末への出力
ユーザ定義文字を端末に表示させる方法は,かな漢字変換の記号変換の方法と同じです。 ユーザ定義文字のコード番号を指定し,適用している kkseq file の symbol に設定されたキーを入力するとフォントが表示されます。
記号変換については,『STREAMS tty におけるかな漢字変換』
を参照してください。
1.5.2 ユーザ定義文字のプリンタへの出力
ユーザ定義文字をプリンタを使い印刷する方法は,テキスト・ファイルを印刷する方法と同じです。
lpr
コマンドでユーザ定義文字が含まれたテキスト・ファイルをプリンタに出力すると,ユーザ定義文字が印刷されます。
しかし作成したフォントと,出力先のプリンタのフォント・サイズが違う場合,次の手順でフォント・サイズの変換を行う必要があります。
cedit を起動
メニュー項目の中から Commands を選択
Scale を選択
No Confirm を選択
Font Size のうち作成したフォントのフォント・サイズを選択
Font Size のうちプリンタのフォント・サイズを選択
フォント・サイズの変更が終了したら,
cgen -odl
または
cgen -pre
を実行し ODL 機能またはプリロード機能でプリンタにフォント・ファイルをロードします。
ユーザ定義文字が含まれているテキスト・ファイル test をプリンタ ln05 で印刷する場合コマンドは次のようになります。
% lpr -Pln05 test
cedit
には,日本語 ULTRIX で提供しているユーザ定義文字作成ユーティリティ,fedit
を使い作成したフォント・ファイルを
Tru64 UNIX 用のフォント・ファイルに変換する機能があります。
日本語 ULTRIX で作成したフォント・ファイルを
Tru64 UNIX
で使用する UDC データ・ベースに登録するには,次のように
-c
オプションと,fedit
で作成したファイル名(例ではsample)を指定して
cedit
を起動します。
% cedit -c sample
コマンドを実行すると次のように表示されます。
変換された文字属性レコードの総数 = 1 処理を継続する場合は <Return> キーを押してください ...
ここで
[Return]
を入力すると,sample の内容が UDC データ・ベースに登録されて,cedit
が立ち上がります。
1.7 コマンド一覧表
表 1-4
にコマンド一覧が記載されています。コマンドの機能が確かでないときに参照してください。
表 1-4: cedit のコマンド一覧
編集機能 | キー割り当て | 説明 |
HELP | [Help] , [PF2] , [ h ] | 編集機能についてのヘルプ |
GOLD | [PF1] | GOLD状態の切り替え |
GOLD | [ g ] | GOLD状態の切り替え |
CURSOR-MODE | [PF3] | カーソル・モードの切り替え |
CURSOR-MODE | [ * ] | カーソル・モードの切り替え |
PASTE-MODE | [PF4] | ペースト・モードの切り替え |
PASTE-MODE | [ + ] | ペースト・モードの切り替え |
TYPE-MODE | [ - ] | タイプ・モードの切り替え |
WRAP-MODE | [ , ] | ラップ・モードの切り替え |
U&L | [KP7] | カーソル・モードによって,左上に移動 |
UP | [KP8] | カーソル・モードによって,上に移動 |
U&R | [KP9] | カーソル・モードによって,右上に移動 |
LEFT | [KP4] | カーソル・モードによって,左に移動 |
RIGHT | [KP6] | カーソル・モードによって,右に移動 |
D&L | [KP1] | カーソル・モードによって,左下に移動 |
DOWN | [KP2] | カーソル・モードによって,下に移動 |
D&R | [KP3] | カーソル・モードによって,右下に移動 |
USE | [KP0] | USEバッファのフォント・パターンの表示 |
DISPLAY | [ . ] | フォント・パターンを実サイズで表示 |
TOGGLE | [KP5] | カーソル下のピクセルのON/OFF状態の切り替え |
EXIT | [Enter] | 変更の保存してにエディタを終了 |
QUIT | [PF1]&ensp[Enter] | 変更を保存せずにエディタを中止 |
QUIT | [ g ]&ensp[Enter] | 変更を保存せずにエディタを中止 |
CLEAR | [PF1]&ensp[KP ,] | Editウィンドウ内のフォント・パターンのクリア |
CLEAR | [ g ]&ensp[KP ,] | Editウィンドウ内のフォント・パターンのクリア |
REFER | [PF1]&ensp[KP .] | Referウィンドウ内のフォント・パターンの表示 |
REFER | [ g ]&ensp[KP .] | Referウィンドウ内のフォント・パターンの表示 |
RETUSE | [PF1]&ensp[KP0] | USEバッファからEditバッファへの復帰 |
RETUSE | [ g ]&ensp[KP0] | USEバッファからEditバッファへの復帰 |
ULCORNER | [PF1]&ensp[KP7] | 左上コーナーへジャンプ |
ULCORNER | [ g ]&ensp[KP7] | 左上コーナーへジャンプ |
TOP | [PF1]&ensp[KP8] | 最上部にジャンプ |
TOP | [ g ]&ensp[KP8] | 最上部にジャンプ |
URCORNER | [PF1]&ensp[KP9] | 右上コーナーへジャンプ |
URCORNER | [ g ]&ensp[KP9] | 右上コーナーへジャンプ |
LSIDE | [PF1]&ensp[KP4] | 左端へジャンプ |
LSIDE | [ g ]&ensp[KP4] | 左端へジャンプ |
CENTER | [PF1]&ensp[KP5] | 中央へジャンプ |
CENTER | [ g ]&ensp[KP5] | 中央へジャンプ |
RSIDE | [PF1]&ensp[KP6] | 右端へジャンプ |
RSIDE | [ g ]&ensp[KP6] | 右端へジャンプ |
LLCORNER | [PF1]&ensp[KP1] | 左下コーナーへジャンプ |
LLCORNER | [ g ]&ensp[KP1] | 左下コーナーへジャンプ |
BOTTOM | [PF1]&ensp[KP2] | 最下部へジャンプ |
BOTTOM | [ g ]&ensp[KP2] | 最下部へジャンプ |
LRCORNER | [PF1]&ensp[KP3] | 右下コーナーへジャンプ |
LRCORNER | [ g ]&ensp[KP3] | 右下コーナーへジャンプ |
SELECT | [Select] | 選択領域のスタート/キャンセルの切り替え |
SELECT | [ s ] | 選択領域のスタート/キャンセルの切り替え |
PASTE | [Insert Here] | ペースト・バッファの内容の挿入 [脚注 3] |
PASTE | [Insert] | ペースト・バッファの内容の挿入 |
CUT | [Remove] | 選択領域をカットしバッファにペースト |
CUT | [Delete] | 選択領域をカットしバッファにペースト |
COPY | [PF1]&ensp[Remove] | 選択領域をコピーしバッファにペースト |
COPY | [ g ]&ensp[Delete] | 選択領域をコピーしバッファにペースト |
UP-ARROW | [Up] | 上方へ移動 |
UP-ARROW | [Up] | 上方へ移動 |
DOWN-ARROW | [Down] | 下方へ移動 |
LEFT-ARROW | [Left] | 上方へ移動 |
RIGHT-ARROW | [Right] | 下方へ移動 |
SHIFT-UP | [PF1][Up] | 1行上へシフト |
SHIFT-UP | [ g ]&ensp[Up] | 1行上へシフト |
SHIFT-DOWN | [PF1] [Down] | 1行下へシフト |
SHIFT-DOWN | [ g ]&ensp[Down] | 1行下へシフト |
SHIFT-LEFT | [PF1]&ensp[Left] | 1カラム左へシフト |
SHIFT-LEFT | [ g ]&ensp[Left] | 1カラム左へシフト |
SHIFT-RIGHT | [PF1]&ensp[Right] | 1カラム右へシフト |
SHIFT-RIGHT | [ g ]&ensp[Right] | 1カラム右へシフト |
SHIFT-RIGHT | [ g ]&ensp[Right] | 1カラム右へシフト |
LINE | [ l ] , [ L ] | 選択された2点間を接続する線を描く |
CIRCLE | [ c ] , [ C ] | 選択点を中心とする円を描く |
O-RECTANGLE | [ r ] | 選択領域に長方形を描く |
S-RECTANGLE | [ R ] | 選択領域にぬりつぶしの長方形を描く |
O-ELLIPSE | [ e ] | 選択領域に楕円を描く |
S-ELLIPSE | [ E ] | 選択領域にぬりつぶしの楕円を描く |
MIRROR-X | [ x ] , [ X ] | X軸を中心線として,パターンをミラーリング |
MIRROR-Y | [ y ] , [ Y ] | Y軸を中心線として,パターンをミラーリング |
MIRROR-45 | [ / ] | 45度の角度を中心線として,パターンをミラーリング |
MIRROR-135 | [ \ ] | 135度の角度を中心線として,パターンをミラーリング |
FILL | [ f ] , [ F ] | カーソル・モードによって,領域を塗り潰す |
INVERT | [ t ] , [ T ] | 全ピクセルのピクセル状態を反転 |
UNDO | [ u ] , [ U ] | 直前の機能の取り消し |
REDRAW | [Ctrl/L] | 画面の再描画 |
SUSPEND | [Ctrl/Z] | プログラムの中断 |
MENU | [Do] | メニュー・サブシステムの起動 |