DMAPI は,CAE (Common Applications Environment) 規格の 1 つであり,データ管理アプリケーションと基になるオペレーティング・システムのインタフェースとなります。 データ管理アプリケーションの 1 つには,DMAPI 機能を使ってデータを 3 次ストレージとの間で移動したり,ファイル情報を追跡する,階層型ストレージ・マネージャ (HSM) があります。
DMAPI 機能を使用するには,AdvFS Utilities のライセンスが必要です。
サポートされるデータ管理操作については,
dmapi
(3)
あるファイルが DMAPI 対応かどうかは,showfsets
コマンドを使用して調べます。
ファイルセットを DMAPI 対応にするには,chfsets
コマンドを実行します。
これには,root ユーザの特権が必要です。
DMAPI 対応のファイルセットは次のような点で制約されます。
DMAPI 対応のファイルセットは,そのドメインの唯一のファイルセットでなければなりません。 DMAPI 対応のファイルセットのあるドメインでは,そのファイルセットのクローンを作成したり,別のファイルセットを追加することはできません。
root,usr,および var として指定したファイルセットは,DMAPI を使用できません。
また,DMAPI 対応のファイルセットは
/
,/usr
,および
/var
にマウントできません。
DMAPI は,DVN4 ドメインだけをサポートします。
DMAPI 対応のファイルセットを管理できるのは,1 つのアプリケーションだけです。 複数のアプリケーションによる 1 つのファイルセットへの操作は,サポートされていません。
DMAPI 機能を有効にする前に,ファイルセットをアンマウントしておく必要があります。
DMAPI 対応のファイルセットは,DMAPI をサポートしないバージョンの Tru64 UNIX にはマウントできません。 これを行なうと,データが破壊される恐れがあります。
Tru64 UINX では,既存のファイルセットあるいはインポートしたファイルセットが DMAPI 対応の場合,他のシステムからのファイルセットのインポートをサポートしていません。
DMAPI 対応のファイルセットは,vdump
コマンドを使用してダンプできません。
データ管理アプリケーションのベンダが推奨するバックアップ手法を使用してください。
DMAPI 対応のファイルセットでは,クォータはサポートされません。
DMAPI 対応のファイルセット上の失われたデータは,salvage
コマンドではリストアできません。
salvage
ユーティリティは 1 次ストレージにしか機能しません。
DMAPI 対応のファイルセットに対してこのコマンドを実行すると,DMAPI アプリケーションによって非常駐となった,いくつかのデータが失われる可能性があります。
DMAPI アプリケーションのベンダが用意している手順に従ってください。
defragment
,
balance
,
migrate
, および
/sbin/advfs/verify
などのストレージ管理ユーティリティは,DMAPI 対応のファイルセット上でも機能しますが,これらのユーティリティを使用した結果は,DMAPI を使用しない場合よりも,ストレージ管理の効率が低下する場合があります。
現在の DMAPI の実装では,非同期イベント・ポスティングはいくつかのまれなケースを除いて信頼のおけるものです。 詳細については,CAE DMAPI 標準の Event Types を参照してください。
DMAPI 対応のファイルセット上ではメモリ・マッピングはサポートされません。
vfilepg
コマンドは,ページがスパースであった場合,異常終了します。
DMAPI によって 3 次のストレージに移されたページは,1 次ストレージ側ではスパースとして見えます。
そこで
vfilepg
コマンドは DMAPI 対応のファイルセット上では正しく動作しない可能性があります。
新しくドメインとファイルセットを作成し,そのファイルセットで DMAPI 機能を有効にするには,次の手順を行ないます。
新しいドメインとファイルセットを作成します。
chfsets
に
-o dmapi
オプションを指定して,DMAPI 機能を有効にします。
showfsets
コマンドを使用して,ファイルセットのステータスをチェックします。
たとえば,ファイルセット
sales_fset
をドメイン
receipt_dmn
に作成するには次のコマンドを入力します。
# mkfdmn /dev/disk/dsk1c receipt_dmn # mkfset receipt_dmn sales_fset # chfsets -o dmapi receipt_dmn sales_fset # showfsets receipt_dmn
既存のファイルセットで DMAPI 機能を有効にするには,次の手順を実行します。
ドメインに 1 つのファイルセットのみが存在するようにします。 複数存在する場合は次の操作を行ないます。
vdump
コマンドを使用して,そのファイルセットをダンプします。
新しいドメインとファイルセットを作成します。 新しいドメインなので,そのファイルセットには元のファイルセットと同じ名前をつけることができます。
vrestore
コマンドを使用して,ファイルセットを新しいドメインにリストアします。
必要ならばファイルセットをアンマウントします。
chfsets
コマンドを使用して,DMAPI を有効にします。
showfsets
コマンドを使用して,ファイルセットのステータスをチェックします。
ファイルセットの DMAPI を無効にするには次の操作を行ないます。
ファイルセットをアンマウントします。
chfsets
コマンドを
-o nodmapi
オプションを指定して呼び出します。
showfsets
コマンドを使用して,ファイルセットのステータスをチェックします。
DMAPI を無効にできるのは,データ管理アプリケーションがファイルセットの修正を始めていない場合だけなので注意してください。 データが破壊される可能性をなくすために,修正が開始されたら DMAPI を無効にできません。
そのファイルで,DMAPI 管理領域が有効になっているかチェックするには,次のように
showfile
コマンドを入力します。
# showfile /mnt/file1 Id Vol PgSZ Pages XtntType Segs SegSZ I/O Perf File 6.8006 1 16 4 simple ** ** async 100% file1 DMAPI regions present on this file.