用語集

この用語集には,マニュアルで使用する用語,頭字語,および略語の定義を示します。

定義

DPA プロトコル (DPA protocol)

クライアント / サーバ間の情報交換で使用される,ISO DPA 標準の通信方式です。

ISO DPA

ISO (国際標準化機構) の Document Printing Application Standard 10175 で定義されているドキュメント印刷標準です。

LPD クライアント (LPD Client)

LPD プロトコルによって通信を行うクライアントです。

LPD プロトコル (LPD protocol)

バークレー・バージョンの UNIX オペレーティング・システムが使用する,プリント・システム用のライン・プリンタ・デーモン・プロトコルです。RFC 1179 に記述されています。

POSIX

移植性の高いオペレーティング・システム・インタフェースの標準化を目的とした IEEE 標準群です。本書では,POSIX は印刷についてのオペレーティング・システム・インタフェース標準を指します。

アクセス制御リスト (ACL: Access Control List)

一定のエンティティ (ユーザ,オペレータ,管理者およびサーバなど) が,操作や機能を実行することを許可されているかどうかを表すエンティティのリストです。

オブジェクト (Object)

名前付きの物理エンティティまたは論理エンティティについての,情報提供と記述のために使用される属性の集合です。プリント・システム分散システムでは,オブジェクトは ISO DPA 標準に準拠します。

オペレータ (Operator)

POSIX および X/OPEN で定義されるユーザのクラスの 1 つで,セキュリティによって制御されます。オペレータは,ジョブおよびプリンタの一時停止や再開,およびプリンタの使用可能/使用不能設定の切り換えのような日常的な操作を行うことができます。

管理者 (Administrator)

セキュリティによって制御されるユーザのクラスの 1 つです。管理者はポリシーを設定し,プリンタやサーバのような永続的なプリント・システム・オブジェクトの作成,変更,および削除を行うことができます。オペレータおよびエンド・ユーザも参照してください。

キュー (Queue)

論理プリンタと物理プリンタを区分化するスプーラ・オブジェクトです。通常,1 つのプリンタは単一のキューにのみ存在するので,キューは複数のプリンタを別個のセットに区分化するものと言えます。省略時のプリント・システム・スプーラ構成は,単一キュー構成です。1 つのキューの中では,1 つの論理プリンタを,そのキューの 1 つ以上の物理プリンタに関連付けることができます。省略時には,すべての物理プリンタに関連付けられます。

加えて,キューはそのキューの論理プリンタに対して実行されたジョブに順序を付けます。このように付けられた順序を選択順序といいます。この順序付けのためのアルゴリズムは構成可能です (FIFO,最短ジョブを優先)。

許可 (Authorization)

(認証された,または認証されていない) エンティティが特定の操作を行えるかどうかを,アクセス・ポリシーから判定するプロセスです。

サーバ (Server)

同一のコンピュータ上で,またはネットワーク経由で,1 つ以上のクライアントに代わって,印刷機能を管理するソフトウェア・コンポーネントです。プリント・システムにおいて,この用語は,通常,スプーラまたはスーパバイザのいずれか一方のプリント・サーバを指し,両方を指すことはありません。正確には,スプーラは,それに直接アクセスする多様な API,CLI,および GUI クライアントに対するプリント・サーバです。ただし,スーパバイザがスプーラに対するプリント・サーバである場合は,スプーラがスーパバイザのクライアントにもなります。

出力デバイス (Output device)

プリンタです。イメージやドキュメントをレンダリングする機能を持つ物理デバイスまたはハードウェアであり,マーキング・エンジンです。同義語に,「物理デバイス」があります。

スプーラ (Spooler)

クラス・サーバの ISO DPA および POSIX オブジェクト。サーバ・オブジェクトを特殊化したものです。プリント・クライアントからプリント・システム操作を受け取って,適切なプリンタ・スーパバイザでプリント・ジョブをスケジューリングする名前付きサーバです。一般的なスプーラはマルチスレッドで,複数の印刷操作を同時に処理する機能を持ちます。

スーパバイザ (Supervisor)

クラス・サーバの ISO DPA および POSIX オブジェクト。サーバ・オブジェクトを特殊化したものです。プリント・ジョブの印刷用に特定のプリンタを制御する静的プロセス,またはソフトウェアです。スーパバイザは,ジョブ要求の解釈について全面的な責任を負います。これには,ファイル内容の解釈,およびプリント要求パラメータによって提供される指示とファイルの内容との調整が含まれます。スーパバイザは,フォント,フォーム,その他の電子的リソースのプリンタへのロード,およびファイルのプリンタへの転送をはじめとして,ジョブの印刷を完全に制御します。

セキュリティ・サービス (Security service)

サーバによってネットワーク環境全体に提供されるサービスで,他のネットワーク・サービスに対するクライアント・アクセスの制御に使用します。アクセスは認証と許可の 2 段階のプロセスによって行われます。認証とはクライアントの識別情報を保証することであり,許可とはクライアントがサービスにアクセスするための許可を持っていることを確認することです。

属性 (Attribute)

オブジェクトのプロパティまたは特性です。特定のオブジェクトに関連する情報項目で,タイプ指示子と 1 つ以上の値からなります。

通知 (Notification)

サーバにサービスを要求したクライアントに対し,サーバから返される結果およびエラー・レポートです。一般に,通知を実現するために必要なメカニズムは,システム・インフラストラクチャによって提供されます。ほとんどのシステム環境では,通知のための簡便な手段として電子メールを使用することができます。

認証 (Authentication)

要求を行ったユーザを,ユーザのセキュリティ証明 (credential) のチェックと認定により識別して,確認するプロセスです。

ネーム・サービス (Name service)

サーバによって,1 つのネットワーク環境中に提供される機能のセットです。これにより,クライアント・アプリケーションはユーザ定義またはシステム定義のオブジェクトにアクセスできます。

物理デバイス (Physical device)

出力デバイスと同義です。

物理プリンタ (Physical printer)

クラス・プリンタの ISO DPA および POSIX ソフトウェア・オブジェクト。レーザー・プリンタ・ハードウェアやレンダリング・システムのような,出力デバイスを表す名前付きプリンタ・オブジェクトです。物理プリンタと出力デバイスの両方を同時に意味することもあります。

ユーザ (User)

POSIX および X/OPEN で定義されるユーザのクラスの 1 つで,セキュリティによって制御されます。プリント・ジョブを実行し,ステータスを取得する (特権のない) ユーザです。

ローカライズ (Localization)

ソフトウェアを特定の言語または地域に適合させるプロセスです。ローカライズでは,国際化される製品を現地の必要条件に合わせるために,必要な翻訳を行い,フォーマットを定義し,テーブルやその他のデータを提供します。

ロケール (Locale)

ネイティブ言語環境の明示的なモデルと定義です。プログラムのロケールは,そのコードセット,日付/時刻フォーマット,通貨フォーマット,小数点フォーマット,および照合順序を定義します。

論理プリンタ (Logical printer)

1 つ以上の物理プリンタ・オブジェクトをグループ化するために使用する,クラス・プリンタの名前付きオブジェクトです。論理プリンタは,負荷分散のために,または物理プリンタ・オブジェクトによって指定される属性とは別の省略時の属性を指定するために使用します。