pdq コマンドを使用して,論理プリンタに対して実行したジョブのリストを要求することができます。そのプリンタに関連付けられたキューに登録し,現在も存在している 1 つまたはすべてのジョブがこの情報の対象となります。返されたジョブのリストは,ジョブが印刷をスケジューリングされた順序で表示されます。
pdq はレポートを標準出力に書き込む。
プリンタが指定されていない場合,pdq は PDPRINTER 環境変数で指定されたプリンタ上のジョブをリストする。
エンド・ユーザの場合は,自分が所有するジョブのみ表示可能です。
たとえば,省略時の論理プリンタに関連付けられているキューにある自分のジョブをすべてリストするには,次のように pdq コマンドを使用します。
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pdq
論理プリンタ bulldog に関連付けられたキューにある自分のジョブをすべてリストするには,次のように入力します。
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pdq -p bulldog
pdq コマンドを使用して状態情報を要求すると,次のジョブ属性が表示されます。
ジョブ識別子 (サーバ名およびサーバによって生成された番号)
ジョブ名
現在のジョブの状態
キューの中で自分のジョブの前にあるジョブの数
要求した論理プリンタ
割り当てられた物理プリンタ
pdq コマンドによって返される情報の中に,ジョブの現在の状態があります。次の表に,ジョブがとりうる状態を説明します。
表 4-1: ジョブの状態
状態 | 説明 |
completed (完了) | ジョブが印刷を完了したか,取り消された。 |
held (保留) | job-hold 属性が no に設定されるまで,ジョブは保留されている。 |
paused (一時停止) | pdpause コマンドによって,ジョブが一時停止されている。 |
pending (処理待ち) | ジョブはスケジューリングされるのを待っている。 |
printing (印刷中) | ジョブは現在印刷中である。 |
processing (処理中) | ジョブが印刷のためにスケジューリングされ,物理プリンタに接続されるのを待っている。 |
retained (保持) | ジョブが印刷を完了したか,失敗した。ジョブ,その属性,およびデータは指定された時間が経過するまで保持される。保持期間内は,このプリント・ジョブを再実行することができる。 |
terminating (後処理中) | ジョブが取り消された。スーパバイザが物理プリンタとの接続を終了しようとしている。 |
ジョブの属性についての詳細なリストを表示するには,pdq コマンドに
-r verbose
オプションを付けて使用します。たとえば,論理プリンタ
bulldog,スプーラ
dogear_spl
のジョブ 123 に関連付けられているジョブ属性の詳細セットを表示するには,次のように入力します。
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pdq -p bulldog -r verbose dogear_spl:123
ドキュメント属性を含むジョブの属性のリストを表示するには,pdls コマンドを使用して,-x scope=1
を指定します。たとえば,ジョブ 123 に関連付けられているジョブ属性およびドキュメント属性の詳細セットを表示するには,次のように入力します。
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pdls -c job -r verbose -x "scope=1" dogear_spl:123
verbose
を指定した場合にも表示されない属性も含め,ジョブの属性をすべて要求するには,-r all
オプションを使用します。-s line
オプションを使用すると,出力をウィンドウの幅で折り返す読みにくい表示ではなく,1 行に 1 つの属性を表示できます。
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pdls -c job -r all -s line dogear_spl:123
何らかの理由でジョブが正しく印刷されなかった場合は,pdls コマンドを使用して特定の属性を要求することにより,詳細な情報を検索することができます。ジョブ・エラーに関係するジョブ属性は,current-job-state,job-state-reasons,および job-state-message です。
たとえば,省略時のサーバ上のジョブ 1547 についてのジョブ・エラー情報を要求するには,次のようなコマンドを入力します。
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pdls -c job \ -r "job-id current-job-state job-state-reasons job-state-message" 1547
プリンタ・デバイスに問題があると疑われる場合は,特定の物理プリンタ属性を要求することにより,詳細な情報を取得できることがあります。まず,ジョブにどの物理プリンタが割り当てられたかを調べます。上の例では,次のコマンドで,ジョブが物理プリンタに割り当てられたか,また,割り当てられた場合はどれに割り当てられたかがわかります。
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pdls -c job -r printers-assigned 1547
たとえば,bulldog2_pp のようにプリンタ名が表示されたら,次のように pdls コマンドを使用して,その物理プリンタについての情報を要求します。
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pdls -c printer -r "printer-state printer-problem-message" bulldog2_pp
printers-assigned
属性の値に対して名前が返されなかった場合,ジョブはまだ印刷のためにスケジューリングされていません。状態が
pending
の場合,現在の物理プリンタのセットでは対応できないジョブ属性またはドキュメント属性が存在する可能性があります。管理者の協力を得て,必要なプリンタ属性がすべてサポートされ,使用できる状態にあることを確認する必要があるでしょう。適切な物理プリンタが利用可能になれば,ジョブは印刷されるはずです。
4.2 ジョブの変更
印刷がまだ開始されていないジョブのジョブ属性およびドキュメント属性を変更するには,pdmod コマンドを使用します。
pdmod コマンドには,次のガイドラインが適用されます。
ジョブ属性の変更は,次のように行います。
ジョブ識別子を使用し,ドキュメント識別子は使用しない。
コマンドには,ジョブ属性のみを指定する。
ドキュメント属性の変更は,次のように行います。
ドキュメント識別子を含める。これは,ジョブ中のドキュメント数の合計以下の数である。
コマンドには,ドキュメント属性のみを指定する。
ジョブ属性およびドキュメント属性を変更するには,次のように行います。
変更しようとする特定のドキュメントの,ジョブ識別子とドキュメント識別子を含める。
変更する特定のジョブ属性およびドキュメント属性を含める。
次の例に,pdmod コマンドを使用して,省略時のサーバにあるジョブおよびドキュメントを変更する方法を示します。
dogear_spl にあるジョブ 112 について,部数を 4 に変更するには,次のように入力します。
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pdmod -n 4 dogear_spl:112
省略時のスプーラにあるジョブ 113 について,ジョブの保持期間を 60 分に変更するには,次のように入力します。
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pdmod -x "job-retention-period=60" 113
省略時のスプーラにあるジョブ 127 の,最初のドキュメントの省略時の用紙を変更するには,次のように入力します。
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pdmod -x "default-medium=a" 127.1
処理待ち,または保留中のプリント・ジョブを一時停止するには,pdpause コマンドを使用します。印刷がすでに開始されたジョブは一時停止することができません。ジョブを一時停止すると,そのジョブは印刷のために物理プリンタに送信されなくなります。
pdpause コマンドには,次のガイドラインが適用されます。
一時停止できるのは,自分自身のジョブだけである。
ジョブの中の特定のドキュメントを一時停止することはできず,ジョブ全体が一時停止される。
一時停止するジョブのジョブ識別子を指定する。サーバが省略時のサーバである場合は,ジョブ番号だけを指定すればよい。
印刷が始まった後は,ジョブを一時停止できない。
次に,pdpause コマンドの例を示します。
省略時の論理プリンタで印刷を待っている,ジョブ 1023 を一時停止するには,次のように入力します。
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pdpause 1023
dogear_spl にあるジョブ 1153 を一時停止するには,次のように入力します。
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pdpause dogear_spl:1153
pdpause コマンドで一時停止されたジョブを再開するには,pdresume コマンドを使用します。これにより,ジョブはスケジューリングおよび印刷が可能になります。
pdresume コマンドには,次のガイドラインが適用されます。
このコマンドは,pdpause コマンドによって一時停止されたジョブにのみ使用できる。
再開できるのは,一時停止した自分自身のジョブのみである。
再開するジョブのジョブ識別子を指定する必要がある。サーバが省略時のサーバである場合は,ジョブ番号だけを指定すればよい。
次に,pdresume コマンドの例を示します。
省略時のプリンタに対して実行した後に一時停止されたジョブ 123 を再開するには,次のように入力します。
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pdresume 123
dogear_spl にあるジョブ 1153 を再開するには,次のように入力します。
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pdresume dogear_spl:1153
同じスプーラ上の別のプリンタにジョブを再送信するには,pdresubmit コマンドを使用します。
pdpause コマンドには,次のガイドラインが適用されます。
再実行できるのは,自分自身のジョブだけである。
再実行するジョブは,現在,pending (処理待ち),held (保留),paused (一時停止),または retained (保持) の状態のものに限る。
状態が printing (印刷中),processing (処理中),preprocessing (前処理中),または completed (完了) である場合は,そのジョブを再実行できない。
新しい (出力先の) プリンタは,ジョブを最初に送信したプリンタと同じサーバ上のものでなければならない。
再実行するジョブのジョブ識別子を指定する必要がある。サーバが省略時のサーバである場合は,ジョブ番号を指定すればよい。
次に,pdresubmit コマンドの例を示します。
省略時のサーバ上のジョブ 2000 および 2001 を,論理プリンタ pawprint に対して再実行するには,次のように入力します。
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pdresubmit pawprint 2000 2001
プリント・ジョブを削除する (取り消す) には,pdrm コマンドを使用します。
pdrm コマンドには,次のガイドラインが適用されます。
取り消せるのは,自分自身のジョブだけである。
コマンド行に -r retention_period オプションが指定されている場合,または job-retention-period 属性が正の値を持つ場合,取り消されたジョブは retained (保持) の状態になる。それ以外の場合は,completed (完了) 状態になり,ドキュメント・データが削除される。
ジョブに保持期間を設定した場合,指定した保持期間内であれば,pdresubmit コマンドを使用してジョブを再実行できる。
取り消すジョブのジョブ識別子を指定する必要がある。サーバが省略時のサーバである場合は,ジョブ番号を指定すればよい。
次に,pdrm コマンドの例を示します。
省略時のサーバ上のジョブ 2000 を取り消して削除するには,次のように入力します。
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pdrm 2000
サーバ dogear_spl 上のジョブ 2001 を取り消して,ドキュメント・データを 1 時間保持する場合は,次のように入力します。
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pdrm -r 60 dogear_spl:2001