ファイル・システムの構成を決定すると,これを構築する作業を行なうことができます。 この章では,次のトピックについて説明します。
AdvFS ファイル・システムのセットアップ (2.1 節)
ボリューム (2.2 節)
ドメイン (2.3 節)
ファイルセット (2.4 節)
AdvFS ルート・ファイル・システムの構成 (2.5 節)
削除したファイルを復元するためのシステムのセットアップ (2.6 節)
AdvFS ファイル・システムを稼働させるのに必要な最小限の構成は,1 つのドメインと 1 つのマウント済みファイルセットです。
アクティブ・ドメインを作成する手順は,以下のとおりです。
ドメインを作成し,ボリュームを割り当てる (2.3.3 項)。
ファイルセットを作成する (2.4.3 項)。
マウント・ポイント・ディレクトリを作成する (2.4.5 項)。
ファイルセットをマウントする (2.4.5 項)。
ドメインごとに 1 つまたは複数のファイルセットを作成できます。 ガイドラインについては,1.4.1 項 を参照してください。
AdvFS は,/etc/fstab
ファイルに完全に対応しており,システム・リブート時にファイルセットを自動的にマウントすることができます (2.4.1 項
を参照)。
この操作は,グラフィカル・インタフェース (付録 E) または SysMan Menu(付録 A) を使用して行なうこともできます。
AdvFS コマンドの一覧は,付録 B
を参照してください。
AdvFS の構成についての詳細は,『システムの構成とチューニング』を参照してください。
2.2 ボリューム
AdvFS ファイル・システムでは,raw ディスク・パーティション,ディスク全体,LSM (Logical Storage Manager) の集合ボリューム,あるいはハードウェア/ソフトウェア RAID (Redundant Array of Independent Disk) ストレージなどをボリュームとして設定することができます。
オプションの AdvFS Utilities を使用すれば,ボリュームを追加してマルチボリューム・ドメインを作成することができます。 マルチボリューム・ドメインは,ファイルセットで使用可能なストレージ容量を増加させるとともに,予防的なディスク管理を可能にします。 ボリュームの追加は,ドメイン作成直後でも,ファイルセットの作成およびマウント前でも可能です。 予防的なディスク管理を行うためには,新しいボリュームをドメインに追加し,既存のファイルを新しいボリュームへ移行し,それらのファイルを古いボリュームから削除します。
ボリュームをドメインに関連付ける方法については,2.3 節
を参照してください。
2.2.1 ボリューム属性
AdvFS ボリュームは,データの読み込み,キャッシュ,書き込み,および連結方法を決定する属性とともに構成できます。 ドメインの初期作成やボリュームの追加によって AdvFS ボリュームがドメインに組み込まれる際に,省略時のボリューム属性が設定されます。 これらの省略時の属性を変更すると,システム構成によっては性能が向上する場合があります。
現在のボリューム属性を表示または変更するには,SysMan Menu の「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティを使用するか (付録 A
参照),コマンド行で次のように
chvol
コマンドを実行します。
chvol
device_name domain_name
chvol
コマンドは,LSM のボリューム名の省略記法をサポー#トしています。
以下の 2 つは同じ意味になります。
# chvol dom1 testdg.vol1 # chvol dom1 /dev/vol/testdg/vol1
アクティブ・ドメインのボリュームの属性は,システムを停止することなく,いつでも変更することができます。
システム性能を改善するための属性の変更については,第 5 章および『システムの構成とチューニング』を参照してください。
2.3 ドメイン
ドメインとは,AdvFS ファイル・システムの物理ストレージ層のことです。 ドメインは,1 つあるいは複数のボリュームを物理ストレージのプールとして定義したものです。 このストレージはディレクトリ構造とは別に管理されるため (2.3.1 項),ボリュームを追加/削除することにより,ドメインの大きさを拡大/縮小することができます。 またファイルのパス名を変えずに,ドメイン内のボリューム間でファイルを移動できます。 ドメインの名前を変更しても,ドメイン ID に影響はありません。
ドメインには,重複しない名前を付ける必要があります。
ドメイン名には,スラッシュ (/),シャープ記号 (#),コロン (:),アスタリスク (*),疑問符 (?),タブ,改行,フォームフィード,キャリッジ・リターン,垂直タブ,および空白を含めることはできません。
2.3.1 /etc/fdmns ディレクトリ
/etc/fdmns
ディレクトリでは,作成するドメインごとにサブディレクトリを用意することにより,ドメインを定義します。
ドメイン名は,ディレクトリ・エントリとして定義されます。
ドメインを作成すると,そのディレクトリ・エントリが作成されます。
このサブディレクトリには,ドメイン内の各ボリュームへのシンボリック・リンクが含まれます。
このディレクトリは,標準の AdvFS コマンドを使用すると,AdvFS によって自動的に作成/管理されます。
ドメインでファイルセットをマウントするためには,有効な
/etc/fdmns
ディレクトリが必要になります。
ドメインを作成すると,/etc/fdmns
ディレクトリのドメイン・エントリからブロック・デバイスへのソフト・リンクが作成されます。
このディレクトリ内にリンクを作成するだけでは,ドメインは作成できません。
/etc/fdmns
ディレクトリは,定期的にバックアップを取ってください。
このディレクトリの内容が壊れた場合,またはディレクトリ自体を削除してしまった場合は,最も新しいバックアップからディレクトリをリストアしてください。
このディレクトリにダメージを受けると,そのドメインにはアクセスできなくなります。
これは,ドメインとファイルセットを含む物理ボリュームとの対応に関する情報が正しくなくなるためです。
ファイルセットには影響はありません。
AdvFS が正しく機能するためには,同じドメイン ID を持つドメイン内のボリュームの数が,メタデータ情報に保存されたボリュームの数と等しくなければなりません。
さらに,各ドメインは,/etc/fdmns
ディレクトリのエントリに定義します(2.3.1 項を参照)。
このディレクトリには,最新情報が定義されている必要があります。
つまり,ドメイン・エントリはその対応するボリュームを正しく参照していなければなりません。
/etc/fdmns
ディレクトリのボリュームへのリンクの数は,ボリュームの数に等しくなければなりません。
ダメージを受けたディレクトリを持つドメインからファイルセットをマウントしようとすると,次のようなメッセージが表示されます。
これはドメイン
accounts
についてのものです。
Volume count mismatch for domain accounts. accounts expects 2 volumes, /etc/fdmns/accounts has 1 links.
/etc/fdmns
ディレクトリの内容が破損したり,ドメインのボリュームが別のシステムに移された場合は,/sbin/advfs/advscan
ユーティリティを使用してボリュームを検索し,ディレクトリを再構築します (6.3.3 項を参照)。
2.3.2 ドメイン情報の表示
ドメインが使用状態である場合,つまり 1 つ以上のファイルセットがマウントされている場合には,showfdmn
コマンドを使用して,ドメインとそれに含まれるボリュームの詳しい情報を表示することができます。
showfdmn
domain_name
たとえば,domain_1
ドメインの情報を表示するには次のようにします。
# showfdmn domain_1 Id Date Created LogPgs Version Domain Name 2bb0c594.00008570 Fri Mar 22 12:33 2002 512 4 domain_1 Vol 512-Blks Free % Used Cmode Rblks Wblks Vol Name 1L 8325 79210 90% on 128 128 /dev/disk/dsk1c 2 832527 1684 98% on 128 128 /dev/disk/dsk2c -------------------- 1665054 80894 94%
ディスク使用状況とクォータ値を調べるには,3.4 節を参照してください。
2.3.3 ドメインの作成
AdvFS ファイル・システムの設定の最初のステップは,ドメインを作成し,そのドメインに初期ボリュームを割り当てることです。 ただし,ドメインは,マウント可能な完全なファイル・システムではありません。 AdvFS ファイル・システムをマウントするためには,ドメインに 1 つ以上のファイル・セットが含まれていることが必要です。 ファイルセットをマウントすることにより,ファイルにアクセスすることができるようになります (2.4 節を参照)。 ドメインとファイルセットの各種構成の長所短所については,1.4.1 項を参照してください。
UFS ファイル・システムを AdvFS に変換する方法,またはルート・ドメインを AdvFS として構成する方法は,付録 Cを参照してください。
単一のファイルセットでシングル・ボリューム・ドメインを作成することは,従来の UFS ファイル・システムを作成するのと同じことです。
図 2-1に示すようなアクティブなシングル・ボリューム・ファイル・システムを設定するには,SysMan Menu の「新しい AdvFS ドメインの作成」ユーティリティ (付録 A
参照) または AdvFS GUI (付録 E
参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
mkfdmn
コマンドを実行します。
mkfdmn
volume_name domain_name
図 2-1: シングル・ボリューム・ドメイン
あるパーティションにドメインを作成し,それが
/etc/fdmns
ディレクトリにエントリがあるパーティションとオーバラップする場合,つまり,そのパーティションがあるドメインと既に関連付けられていた場合,エラー・メッセージが表示されます。
このエラー・メッセージを無視することもできますし,mkfdmn
コマンドを
-F
オプションをつけて実行し,このテストをバイパスすることもできます。
ディスク・ラベルに使用中であることが表示されているボリュームに,ドメインを作成しようとしたときに,そのボリュームがマウントされているかまたは現在のスワップ・パーティションの場合,mkfdmn
コマンドは失敗します。
ボリュームがマウントされていない場合は,警告メッセージが表示されます。
この警告を無視し,そのドメインを作成することもできます。
たとえば,/dev/disk/dsk3g
が使用中で,ドメイン
usr_domain
を作成しようとした場合,次のメッセージが表示されます。
# mkfdmn /dev/disk/dsk3g usr_domain Warning: /dev/rdisk/dsk3g is marked in use for 4.2BSD. If you continue with the operation you can possibly destroy existing data. CONTINUE? [y/n] <y>
mkfdmn
コマンドは,LSM のボリューム名の省略記法をサポートしています。
以下の 2 つは同じ意味になります。
# mkfdmn dom1 testdg.vol1 # mkfdmn dom1 /dev/vol/testdg/vol1
Version 5.0 より前のオペレーティング・システムで作成されたドメインは,いずれもこれ以降のバージョンで認識されますが,自動的に新しい構造にアップグレードされることはありません。
DVN3 のファイルセットを Version 5.0 以降が動作しているシステムにマウントすることはできます。
Version 5.0 以降で作成された DVN4 ドメインのファイルセットを,Version 4 オペレーティング・システムが動作する環境にマウントすることはできません。
以前のバージョンのオペレーティング・システムを動作させ,DVN4 ファイルセットにアクセスする必要がある場合は,Version 5.0 以降のソフトウェアが動作するサーバからそれを NFS マウントします。
したがって,アプリケーションで旧バージョンとの互換性が必要な場合は,ドメインをアップグレードしないでください。
DVN4 ドメインではディスク構造が改善されており,2T バイトを超えるクォータ値をサポートし,何千ものファイルを含むディレクトリの性能が向上しています。
ディレクトリが 1 ページ (約 200 ファイル) を超えると,DVN4 のドメインには自動的にインデックスが作成されます。
これは 5000 を超えるファイルがあるディレクトリで特に有効的に機能します。
ディレクトリにインデックスが付いているかどうかを調べるには, Version 5.0 以降のオペレーティング・システムで作成されたすべてのドメインは DVN 4 です。
したがって,完全なインストレーションの場合,その過程で作成されたすべてのドメインは新しい構造を持つことになります。
Version 4 のオペレーティング・システムが動作するシステムからのアップデート・インストレーションの場合は,すべての既存のドメインは DVN 3 のままです。
したがって, アクティブな,DVN4 のシングル・ボリューム・ドメインを作成する手順は以下のとおりです。
保存しておきたいデータのあるボリュームには,
次の例では,DVN4 のシングル・ボリューム・ドメイン
ドメインはさまざまな種類のストレージでセットアップできます。
詳細については,1.5 節
を参照してください。
AdvFS Utilities を利用できる場合,ボリュームを追加することによってドメインのサイズを変更することができます。
クラスタ化されていないルート・ドメインの場合を除いて,シングル・ボリューム・ドメインは,マルチボリューム・ドメインに編成し直すことができます。
SysMan Menuの「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A),AdvFS GUI (付録 E),および2.3.4 項を参照してください。
Version 5 システムで DVN3 ドメインを作成することができます。
DVN3
ドメイン作成についての詳細は,
ドメインをアップグレードするには,Version 5.0以降のソフトウェアが動作しているシステムで新しいドメインを作成し,古いドメインから新しいドメインへすべての情報をコピーします。
ドメインの作成に精通していない場合,まず2.3.3 項を参照してください。
ドメインのアップグレードの手順は以下のとおりです。
古いドメインをアンマウントし,
たとえば,ファイルセット
次のいずれかの方法でドメインを拡大することができます。
ドメインに別のボリュームを追加する (AdvFS Utilities が必要)。
ドメイン内のボリュームをより容量の大きなストレージ・デバイスに置き換える。
ドメインが置かれているストレージの大きさを増やし,それをドメインに知らせる。
サイズを拡大/縮小してもディレクトリ構造には影響ありません。
ファイルへのすべてのパス名はそのままです。
また,処理中もファイル・システムを稼働させておくことができます。
クラスタ環境の場合を除いて,ルート・ドメインは 1 つのボリュームに制限されます。
ルート・ドメインのサイズを拡張する必要がある場合,ボリュームの状況によって,対応するストレージを拡張してそれをドメインに伝えるか,6.4.9 項の手順を行なってルートが置かれているデバイスを交換するかができます。
クォータが設定されている場合を除き,ドメインのすべてのファイルセットは利用可能なストレージにアクセスできます (クォータについては,第 3 章
を参照)。
新しく作成したドメインは,ディスク,ディスク・パーティション,または論理ボリュームなどの 1 つのボリュームからなります。
AdvFS Utilities を利用する場合,ドメインのサイズは 1 つ以上のボリュームを追加することによって拡張することができます。
図 2-2
に,ドメインにボリュームを追加する様子を示しています。
ボリュームを最初に追加した状態では,その中にデータは何も含まれません。
ボリュームを追加した後は,ファイルをドメインに追加することで情報がその中に保存されます。
また,vfast ユーティリティの実行 (5.8 節を参照),ファイルの移動 (5.12 節
を参照),およびドメインの負荷分散 (5.11 節を参照 ) によっても情報が保存されます。
ボリュームを追加するには,SysMan Menu の「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 E参照)を使用するか,コマンド行で次のように
たとえば,ドメイン
ボリュームの追加は,ドメイン作成直後でも,あるいは,ドメインで追加スペースが必要となった時点でも可能です。
また,ボリュームの追加は,ファイルセットがマウントされ使用中のアクティブなドメインに対しても行うことができます。
DVN3 ドメインのサイズを増やすより,新しいファイル構造 (2.3.3.4 項) にアップデートするほうが,性能が向上する場合があります。
クラスタ環境でない場合は,ルート・ドメインにボリュームを追加することはできません (『クラスタ管理ガイド』を参照)。
クラスタ構成で実行している場合は,ルート・ドメインに他のドメインと同じ要領でボリュームを追加できます。
クラスタを使用していない環境でルート・ドメインのサイズを拡張するには,6.4.9 項を参照してください。
ドメインにボリュームを追加するには,次の手順を行ないます。
新しいボリュームをドメインに追加します。
パーティションを追加し,それが
-F
オプションを使用するには細心の注意が必要です。
オーバラップ・チェックを無効にすると,広範囲のデータが失われることがあります
(
次の例では,1 つのディスクのボリューム
Advanced Utilities を利用できない環境でドメインのサイズを拡張するには,次の手順に従います。
より容量が大きいストレージ・デバイス上に新規ドメインを作成します。
既存ドメインとは異なるドメイン名を使用してください。
既存ドメインのファイルセットと同じ名前のファイルセットを作成します。
作成したファイルセットごとに,一時的なマウント・ポイントを作成します。
作成した一時マウント・ポイントに各ファイルセットをマウントします。
適切なユーティリティ ( 新旧の各ファイルセットをアンマウントします。
新しいドメインの名前を,必要に応じて旧ドメインの名前に変更します。
ドメインとファイルセットの名前を変更しない場合には, 新しい各ファイルセットを,旧ファイルセットのマウント・ポイントにマウントします。
この結果,ディレクトリ構造の一貫性が保持されます。
作成した一時マウント・ポイントのディレクトリはすべて削除します。
既存のボリュームのサイズを増やすことによって,利用可能なストレージの容量を拡大することができます。
たとえば,LSM とハードウェア RAID のコントローラは,ボリュームの動的なサイズ拡張をサポートします。
LSM またはハードウェア RAID のボリュームのサイズ拡張は,AdvFS とは独立して行なわれるので,ボリュームのサイズを変更したときには,それをドメインに知らせる必要があります。
これは, ファイルセットをまだマウントしていない場合は,次のように入力します。
ファイルセットをすでにマウントしている場合は,次のように入力します。
-o extend
オプションを使用すると,追加したすべてのストレージを,ドメインのすべてのファイルセットで使用できます。
ボリュームを拡張することによりドメインのサイズを拡大するという方向のみ可能です。
AdvFS はボリュームの縮小をサポートしません。
残りのボリュームに十分な空き容量がある場合は,ユーザの操作を中断せず,またドメイン内のファイルセットの論理構造に影響を与えずに,ドメインからボリュームを削除することができます。
ファイル・システムは,選択したボリュームの内容をドメイン内の他のボリュームへ自動的に移行します。
ドメインからボリュームを削除する前に,そのドメインのすべてのファイルセットをマウントする必要があります。
マウントされていないファイルセットがある状態でドメインからボリュームを削除しようとすると,エラーが発生します。
切り離そうとするボリュームからすべてのファイルを移すだけの十分な空き容量がそのドメインの他のボリュームにない場合には,可能な限りのファイルが他のボリュームへ移されます。
その後,十分なスペースがないことを示すメッセージが出力されます。
この場合,ドメインはダメージを受けません。
AdvFS コマンドでできるのは,ドメインのサイズを縮小することだけです。
ドメインが LSM ボリューム上にある場合,サイズを縮小するのに LSM の
ボリュームを削除するには,SysMan Menu の「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 E参照) を使用するか,コマンド行で次のように
たとえば,ドメイン
Ctrl/c
あるいは
状況によっては, ドメインのサイズを縮小する手順は以下のとおりです。
ボリュームを削除します。
バランシングや断片化の解消を行っているドメイン,または
次の例では,
ストライプ・セグメントを含む AdvFS ボリュームを削除する場合, ドメインの削除は,ドメイン内のすべてのファイルセットをアンマウントした後に可能になります。
ドメインを削除すると,ドメインを定義していた
ドメインを削除するには,GUI (付録 Eを参照) を使用するか,またはコマンド行ですべてのファイルセットとファイルセット・クローンをアンマウントした後,次のように
次に示すのは,ドメイン
マウントされたファイルセットがある状態でこのコマンドを使用すると,システムはエラー・メッセージを表示します。
AdvFS は,アクティブ状態のドメインは削除しません。
既存のドメインには,そのドメイン ID
を変更することなく,新しい名前を割り当てることができます。
ドメイン名を変更する場合,そのドメイン内のすべてのファイルセットに対する, すべてのファイルセットおよび関連するクローンをアンマウントします。
名前を変更したドメインのファイルセットをマウントします。
ドメイン名
この行を次のように編集します。
ファイルセットをマウントします。
ファイルセットは,ファイル・システムのディレクトリ階層のマウント可能部分を表しています。
ファイルセットと従来の UNIX ファイル・システムは,多くの点で共通しています。
すなわち,AdvFS ファイルセットはマウントできます。
また,ファイルセットにはファイルが含まれ,ファイルセットはクォータ値が設定可能な単位であり,またデータをバックアップするための単位にもなっています。
ドメイン内のファイルセットは,ドメイン内のボリューム上の利用可能なスペースを共用し,同じドメイン・トランザクション・ログ・ファイルを使用します。
各ファイルセットには,固有のディレクトリ構造,ルート・タグ・ディレクトリ,クォータ・ファイル,およびフラグ・ファイルがあります。
1 つのドメイン内の最適な AdvFS ファイルセット数は,主に,そのファイルセットを使用するアプリケーションの要件に依存します。
ドメインとファイルセットのさまざまな構成の長所短所については,1.4.1 項を参照してください。
ファイルセットはその物理ストレージとは独立して管理されるため,各ファイルセットを個別にバックアップできます (第 4 章)。
また,それぞれにクォータ値を割り当てることができます (第 3 章)。
複数の小さいファイルセットを使用すると,大きいファイルセット 1 つの場合よりも速くバックアップやリストアができます。
従来のファイル・システムとは異なり,AdvFS のディレクトリ階層はストレージから独立しています。
このため,ファイルセットの論理構造に影響を及ぼさずにファイル・レイアウトを変更できます。
ファイルセット名はドメイン内で一意でなければなりません。
ファイルセット名には,スラッシュ (/),シャープ記号 (#),コロン (:),アスタリスク (*),疑問符 (?),タブ,改行,フォームフィード,キャリッジ・リターン,垂直タブ,および空白を含めることはできません。
なお,ドメインが異なるファイルセットには,同じ名前をつけても構いません。
各ファイルセットには,ドメイン ID とファイルセット・タグで構成された一意の AdvFS では,
AdvFS ファイルセットは,ファイル・システムの種類として
ファイルセット・エントリには,ドメイン名,ファイルセット名,マウント・ポイント,ファイル・システム・タイプ,およびマウント・ポイント・オプションが含まれます。
ユーザおよびグループのクォータ(3.2 節参照)を設定する場合には,次に示すように,
たとえば,
たとえば,グループ・クォータだけを追加したい場合,ユーザ・クォータを指定しません。
この場合,ファイルセット・エントリは次のようになります。
たとえば,
この例では,グループ・クォータ・ファイルは移動されません。
どのシステム・ユーザも,マウントされているファイルセットおよびクローンに関する詳しい情報を表示することができます。
ドメインがアクティブな状態でない場合 (ファイルセットがマウントされていない場合) のみ,root ユーザ特権が必要です。
ファイルセット情報を調べるには,次のコマンドを入力します。
次の例ではドメイン
次の例ではドメイン
グラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用しても同様な情報が表示されます (付録 E
を参照)。
ドメインには,マウントされたファイルセットが少なくとも 1 つ含まれていなければなりません (2.3.3 項参照)。
1 つのドメインに複数のファイルセットを作成し,それらのファイルセット間でドメインに設定されたストレージ・プールを共用することも可能です。
どのファイルセットも,そのドメインで利用可能なストレージをすべて使用することができます。
各ファイルセットは,ドメイン内の他のファイルセットとは独立してマウントあるいはアンマウントすることができます。
ファイルセット・クォータを設定すれば,ファイルセットで利用できるストレージ・サイズを制限することが可能です (第 3 章を参照)。
割り当て済みスペースの 5 % 以上を浪費するファイルにはフラグ・ファイルを作成し,ディスク・スペースの浪費を抑制できます (5.2 節を参照)。
ファイルセットには,作成時に
ドメインにファイルセットを作成するには,SysMan Menuの「新しい AdvFS ファイルセットの作成」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
たとえば,ファイルセット
ファイルセットをマウントするには,マウント・ポイントとなるディレクトリを作成する必要があります (2.4.5 項を参照)。
ドメインについては,2.3.3 項を参照してください。
Version 5.0 以降の Tru64 UINX で作成されたドメイン (DVN4) のファイルセットは,大きなクォータ値をサポートし,非常に大きなディレクトリでの性能が良くなっています。
以前に作成されたドメイン (DVN3) のファイルセットでは,このような改善は行われていません。
ファイルセットを新しいバージョンにアップグレードするためには,ドメインをアップグレード (すなわち新たに再作成) して,ファイルセットをリストアする必要があります。
リストア後のファイルセットには新しいクォータが設定され,性能が向上します (2.3.3 項を参照)。
Version 5.0 以降の Tru64 UINX が稼働しているサーバから NFS マウントする場合を除いて,Version 5.0 より前の Tru64 UINX では,DVN4 のファイルセットをマウントすることはできません。
互換性の問題を回避するための情報は (6.4.6 項を参照してください。
従来の UNIX ファイル・システムの場合と同様に,AdvFS ファイルセットにアクセスするためにはマウントする必要があります。
マウント・ポイントが存在しない場合には,マウント・ポイントとなるディレクトリを作成します。
マウントするファイルセットは,その作成時のオペレーティング・システムに互換性がある必要があります (6.4.6 項を参照)。
ファイルセットをマウントするには,SysMan Menu の「一般的なファイルシステム・ユーティリティ - ファイルシステムのマウント」ユーティリティ (付録 Aを参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
たとえば,マウント・ポイント・ディレクトリを作成し,ドメイン
ファイルセットがリブート時に自動的にマウントされるようにするには, AdvFS は,ファイルセットをマウントする前に,ドメインのすべてのボリュームのすべてのデータにアクセスできることを確認します。
問題が検出されるとマウントに失敗するか,ファイルセットが読み取り専用でマウントされることがあります (6.3.2 項を参照)。
間違ったボリューム数でファイルセットをマウントしようとした場合は,マウント操作は失敗します。
詳細については,6.3.3.2 項
および
Version 5.0 以降の Tru64 UINX で作成したファイルセットを Version 4.0 あるいはそれ以前のバージョンの Tru64 UINX が稼働しているシステムにマウントしようとすると,エラー・メッセージが出力されます (6.4.6 項
を参照)。
マウント操作で一時的 ファイルセットをアンマウントすると,そのファイルセットはドメイン内に残りますが,アクセスできなくなります。
そのファイルセットをマウントすると,再度利用できるようになります。
AdvFS ファイルセットをアンマウントするには,SysMan Menuの「一般的なファイルシステム・ユーティリティ -- ファイルシステムのアンマウント」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
たとえば,2.4.5 項
でマウントしたドメイン
ファイルセットを削除すると,そのファイルセットを再度マウントすることはできません。
削除されたファイルセットは,ドメインから消えます。
ファイルセットを削除するには,あらかじめアンマウントし,そのファイルセットのクローンも削除しておく必要があります。
ファイルセットにゴミ箱ディレクトリ (2.6 節を参照) が設定されている場合は,このディレクトリも削除されます。
ファイルセットを削除するには,SysMan Menu の「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
たとえば,ドメイン
ドメインのすべてのファイルセットを削除する最も確実な方法は, アンマウントされたファイルセットの名前は,変更できます。
ファイルセット名は利用者が割り当てる属性の 1 つであり,その値はドメイン内で保持されます。
ファイルセット名を変更しても,この属性が変化するだけであり,ファイルセット ID は変更されません。
ファイルセット名を変更するには,まず対象のファイルセットをアンマウントし,クローンが存在する場合には,それもアンマウントします。
続いて,SysMan Menuの「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のコマンドを入力します。
ファイルセット名を変更したら, たとえば,
この行を次のように変更します。
ファイルセットをマウントします。
AdvFS のファイルセット・クローンの名前は変更できません。
既存のクローンを削除し,任意の名前で新しいクローンを作成する必要があります。
オプションの AdvFS Utilities を使用できる場合は,root ユーザでなくても AdvFS ファイルセット・クローンを使用してファイルをバックアップすることができます。
ファイルセット・クローンは,ファイルセット構造情報 (メタデータ) の読み取り専用スナップショットです。
ファイルセット・クローンを作成する場合,ユーティリティは,実際のデータではなくオリジナル・ファイルセットの構造だけをコピーします。
ファイルの内容が変更されると,ファイル・システムは変更前のオリジナルのデータを AdvFS ファイルセット・クローンにコピーします。
したがって,クローンを作成した時点でのシステムのコピーが,クローンが存在する限り保存されます。
(この処理を ファイルセット・クローンに含まれるのは変更されたデータのコピーだけなので,ファイルセット・クローンはオリジナルのファイルセットよりも小さいのが普通です。
図 2-3
に,オリジナル・ファイルセットとファイルセット・クローンの関係を図示します。
以下に示すように,ファイルセット・クローンを使用すると,データの可用性が向上します。
特定時点のシステムの保存
クローンは,( 不用意な削除や破損からのファイルの保護
アクセスや変更を予定している各ファイルセットは,クローンを作成しておくことをお勧めします。
ファイルセット・クローンをオンライン状態にしておくと,誤って削除したファイルや破損したファイルを,バックアップ・テープを使わずにリストアすることができます。
ファイルセット・クローンのクローンは作成できません。
クローンではデータ・キャッシングを使用できません。
テキスト・ファイルをエディタで編集すると,オリジナルのファイル全体がクローンにコピーされる場合があります。
これは,多くのエディタが,何が変更されたかには関係なくファイル全体を書き直すためです。
この場合,AdvFS ファイルセット・クローンのサイズは非常に大きくなる可能性があります。
この種の処理を AdvFS 側で変えることはできません。
クローン作成時に存在したファイルを削除した場合,(オリジナル・ファイルセットでは見えませんが) クローンにはそのまま残ります。
そのファイルはクローンにはコピーされず,実際の削除はクローンが削除されるまで行われません。
クローン内のファイルは,クローン作成時に存在したバージョンのファイルです。
その後の更新は失われます。
AdvFS ファイルセット・クローンのサイズは,クローンが存在する間に発生するアップデートの量に依存します。
ファイルセット・クローンはファイルがアップデートされると絶えず変更されるので,空きディスク・スペースに関する統計値を表示する
ドメインがディスク・スペースを使い果たすと,ファイル・システムは AdvFS ファイルセット・クローン内のファイルの整合性を維持できなくなります。
オリジナルのファイルセットは利用可能な状態ですが,ファイルセット・クローンは整合性を失い,使用されなくなります。
この場合,警告メッセージが,ユーザの端末とシステム・コンソールの両方に表示されます。
DMAPI を有効にしたファイルセットのクローンは作成できません。
システム・ディスクのクローンを作成し,他のシステムでブートする方法については,Best Practices ドキュメントを参照してください。
この方法は,AdvFS のファイルセット・クローンを作成する方法とは異なります。
AdvFS ファイルセットのクローン作成はユーザ側では意識されず,システム性能への影響もわずかに過ぎません。
クローンの作成には root 権限が必要です。
ファイルセット・クローンを作成するには,SysMan Menuの「AdvFS ドメインの管理」ユーティリティ (付録 A参照) または AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,あるいはコマンド行で次のように
たとえば, コマンド行で,バックアップのソースとしてクローンを使用する方法は,4.3.11 項
を参照してください。
AdvFS GUI でのクローン作成の方法はE.4.3 項
を参照してください。
クローンは,通常のファイルセットと同じ方法でマウント/アンマウントされます (2.4.5 項および
2.4.6 項を参照)。
クローンは,通常のファイルセットと同じ方法で削除します (2.4.7 項を参照)。
ファイルセット・クローンの名前は変更できません。
クローンに新しい名前を割り当てるには,古いクローンを削除して,そのファイルセットの新しいクローンを作成する必要があります。
この新しいクローンは,削除したファイルセット・クローンより後の時点のスナップショットであることに注意してください。
AdvFS をルート・ファイル・システムに構成すると,次のような利点があります。
クラッシュ後すぐに再起動できます。
1 組のツールを使用してすべてのローカル・ファイル・システムを管理できます。
ルート・ファイル・システムの保護のためにミラー化した AdvFS を使用できます。
これにより,メディア障害が発生してもルート・ファイル・システムが利用可能です。
AdvFS ルート・ファイル・システムには,次のような制限事項が存在します。
クラスタ環境で実行している場合 (『クラスタ管理ガイド』を参照) を除き,ルート・ドメインには,1 つのボリュームしか含めることができません。
また,ルート・ドメインにボリュームを追加することはできません。
ボリュームは,物理デバイスの先頭 ( ルート・ドメインで最初に作成するファイルセットは,ルート・ファイルセットでなければなりません。
ルート・ドメインおよびファイルセットにはどんな名前でも割り当てることができますが,
ルート・ドメインには,ルート・ファイルセットのみを含めてください。
基本オペレーティング・システムの初期インストール時にルート・ディレクトリを AdvFS ボリューム上に配置することも,あるいはインストール後に既存のルート・ファイル・システムを AdvFS に変換することもできます。
初期インストール時にルート・ディレクトリを AdvFS ファイル・システムでインストールする場合には,ルート・ディレクトリは特に指定しなければ
既存の UFS ルート・ファイル・システムを AdvFS へ変換する方法については,C.2 節を参照してください。
オペレーティング・システムの初期インストール時にルート・ファイル・システムとして AdvFS を使用する方については,『インストレーション・ガイド』を参照してください。
システムがシングルユーザ・モードにブートされる際に,ルート・ファイル・システムは自動的に読み取り専用でマウントされます。
ルート構成に変更を加える必要がある場合には,この手順を使用します。
たとえば, ルート・ドメインの名前は,他のドメインと同じ方法で変更できます (2.3.7 項を参照)。
ルート・ドメインの名前は, ルート・ファイルセット名の変更は,その他のファイルセットの名前を変更する手順と同様に行います (2.4.8 項を参照)。
ただし,複雑化する要因が 2 つあります。
ルート・ファイルセット名を変更するには,
このため,代わりのブート可能パーティションを使用して,変更しようとしているルート・ファイルセットを操作し,変更を行った後で,変更したファイルセットをルート・ファイルセットとしてリブートします。
ルート・ファイルセット名の変更手順は,以下のとおりです。
変更するもの以外のパーティションをブートします (UFS でも構いません)。
名前を変更しようとしているファイルセット用に,ブートしたパーティションの新しいエントリを
新しいディレクトリへ移動して,元のファイルセットを保持するデバイスへのシンボリック・リンクを作成します。
システムをシャットダウンします。
元の AdvFS システムでリブートします。
次の例では,ルート・ファイルセットの名前を
変更するもの以外のデバイスをブートします。
新しいディレクトリに移動して,
ファイルセット名を
変更したルート・ファイルセットをマウントして
この行を次のように変更します。
システムをシャットダウンします。
AdvFS システムをリブートします。
ルート・ドメインおよびファイルセットの名前を変更した後
オプションの AdvFS Utilities を使用できる環境では,各エンドユーザは必要に応じて,削除したファイルのコピーを保存するようにシステムを設定することが可能です。
すなわち,ファイルセット内の 1 つ以上のディレクトリに, ただし,ゴミ箱ディレクトリには欠点もあります。
バックアップ媒体を使用せずにファイルを復元できる反面,ファイル削除時のディスクへの書き込み処理が増えます。
ゴミ箱ディレクトリの設定には root 権限は不要ですが,次の点に留意する必要があります。
復元できるファイルは,最後に削除したバージョンだけです。
複数のディレクトリに同じゴミ箱ディレクトリを設定できますが,これらのディレクトリから同じ名前のファイルを削除すると,ゴミ箱には最後に削除したファイルだけが残ります。
ゴミ箱に移動されるのは,ファイル単位で削除したファイルだけです。
クォータのチェックでは,ゴミ箱内の削除済みファイルもカウントされます。
ゴミ箱ディレクトリから削除したファイルは復元できません。
表 2-1
は,ゴミ箱の設定と管理に使用するコマンドと,その機能を示しています。
たとえば,
ファイルを削除し,ゴミ箱の内容を確認する手順は次のとおりです。
ゴミ箱とディレクトリの関係設定を解除するには,次のコマンドを実行します。
showfile
コマンドを使用します。
同コマンドを
-i
オプション付きで実行すると,インデックスについての情報が表示されます。
詳細については,
showfile
(8)2.3.3.2 DVN4 のドメインの作成
/root
,/usr
,および
/var
もまた DVN 3 になります。
変換のユーティリティはありません。
データを DVN4 に移行する場合は,2.3.3.4 項を参照してください。
mkfdmn
コマンドを使用して,そのボリュームに関連するシングル・ボリューム・ドメインを作成します。
mkfset
コマンドを使用して,1 つ以上のファイルセットを作成します。
mkdir
コマンドを使用して,マウント・ポイントとなるディレクトリを作成します。
このディレクトリには,マウントするファイルセットと同じ名前を付けるのが慣例です。
たとえば,tmp
という名前のファイルセットをマウントするディレクトリには,/tmp
という名前を付けます。
mount
コマンドを使用して,各ファイルセットをマウントします。
注意
mkfdmn
コマンドは使用しないでください。
このコマンドを使用すると,そのボリュームのデータが壊れます。
誤って
mkfdmn
コマンドを使用した場合,壊れたボリュームが AdvFS ボリュームであれば,/sbin/advfs/salvage
ユーティリティを使用してデータの一部を復元できる場合もあります (6.2.6 項を参照)。
domain_2
を作成し,そのドメインに 2 つのファイルセット
fileset_a
および
fileset_b
を作成しています。
このドメインのボリュームは 1 つだけなので,それぞれのファイルセット上のファイルは,物理的には 1 つのボリューム上に存在します。
ドメイン名とファイルセット名の間のシャープ記号 (#) は構文の一部であり,コメントを示すものではありません。
# mkfdmn /dev/disk/dsk2c domain_2
# mkfset domain_2 fileset_a
# mkfset domain_2 fileset_b
# mkdir /fileset_a
# mkdir /fileset_b
# mount domain_2#fileset_a /fileset_a
# mount domain_2#fileset_b /fileset_b
2.3.3.3 DVN3 のドメインの作成
mkfdmn
コマンドに
-V3
オプションを指定して実行します。
これは旧バージョンとの互換性が必要な場合に便利です。
mkfdmn
(8)2.3.3.4 ドメインの DVN4 へのアップグレード
vdump
コマンドを使用して,ドメインのファイルセットのバックアップをテープに取ります。
セーブセット・エラーを防ぐために-x
オプションを使用することをお勧めします。
新しいドメインを作成した後にドメインのデータをリストアできない場合は,それらのすべてのデータを失うことになります。
rmfdmn
コマンドを使用して削除します。
mkfdmn
コマンドを使用して新しいドメインを作成します。
新しいドメインの DVN は 4 になります。
mkfdmn
コマンドを実行するときは,-x
と
-p
オプションを使用する必要はありません。
DVN4 ドメインでは,さらに BMT 割り当てを行なう必要はありません。
mkfset
コマンドを使用して新しいファイルセットを作成し,それらをマウントします。
vrestore
コマンドを使用して,ファイルセットを新しいドメインにリストアします。
fileset_p
と
fileset_m
のある
/dev/disk/dsk1c
上のドメイン
domain_p
を,同じ名前および同じボリュームでアップグレードするには,次のコマンドを実行します。
# vdump -0 -N -x 8 /fileset_p
# vdump -0 -N -x 8 /fileset_m
# umount /fileset_p
# umount /fileset_m
# rmfdmn domain_p
# mkfdmn /dev/disk/dsk1c domain_p
# mkfset domain_p fileset_p
# mkfset domain_p fileset_m
# mount domain_p#fileset_p /fileset_p
# mount domain_p#fileset_m /fileset_m
# vrestore -x -D /fileset_p
# mt fsf 1
# vrestore -x -D /fileset_m
2.3.4.1 ボリュームを追加することによるドメインのストレージの拡大
図 2-2: ドメインの拡大
addvol
を実行してください。
addvol
device_name domain_name
resources
にボリューム
dsk3c
を追加するには次のコマンドを入力します。
#
addvol /dev/disk/dsk3c resources
addvol
コマンドは,LSM のボリューム名の省略記法をサポートしています。
以下の 2 つは同じ意味になります。
# addvol dom1 testdg.vol1
# addvol dom1 /dev/vol/testdg/vol1
注意
addvol
コマンドを使用して,保存しておきたいデータのあるボリュームを追加しないでください。
このようにするとそのボリューム上のデータが壊れます。
誤って
addvol
コマンドを使用した場合には,/sbin/advfs/salvage
ユーティリティを使用してデータの一部を復元できる場合もあります (6.2.6 項を参照)。
showfdmn
コマンドを使用して,ドメインの内容と各ボリュームの現在のディスク容量を表示します。
この操作はオプションです。
/etc/fdmns
ディレクトリにエントリのあるパーティションとオーバラップすると,つまり,そのパーティションがあるドメインとすでに関連付けられていると,エラー・メッセージが表示されます。
このエラー・メッセージは無視することができますし,addvol
コマンドに
-F
オプションを使用して,このテストをバイパスすることもできます。
詳細については,
addvol
(8)
注意
addvol
(8)vfast
ユーティリティを実行しない場合 (5.8 節を参照),balance
ユーティリティを使用してボリューム間のファイルの分散を均等化することをお勧めします。
/dev/disk/dsk3c
を
domain_1
に追加しています。
# showfdmn domain_1
Id Date Created LogPgs Version Domain Name
2bb0c594.00008570 Fri Mar 22 12:33 2002 512 4 domain_1
Vol 512-Blks Free % Used Cmode Rblks Wblks Vol Name
1L 832527 79210 90% on 128 128 /dev/disk/dsk1c
2 832527 1684 98% on 128 128 /dev/disk/dsk2c
--------------------
1665054 80894 94%
# addvol /dev/disk/dsk3c domain_1
2.3.4.2 ボリュームを交換することによるドメインのストレージの拡大
vdump/vrestore,cpio,cp -R,tar
など) を使用して,マウントした各ファイルセットに既存デバイスから対応するファイルセットをコピーします。
/etc/fstab
ファイルを編集する必要はありません。
名前を変更した場合には,/etc/fstab
ファイルにも変更を反映してください。
2.3.4.3 既存のボリュームを拡張することによるドメインのストレージの拡大
mount
コマンドに
-o extend
オプションを指定して行ないます。
拡張のためにこのオプションを使用するのは,1 つのファイルセットのマウントに対してだけでよいです。
mount
-o extenddomain#fileset /mount_point
mount
-u
-o extenddomain#fileset /mount_point
注意
mount
コマンドの
-o extend
オプションでドメインの拡張を通知するように,ドメインにストレージの縮小を知らせる操作はありません。
注意
shrink
オプションは使用しないでください。
rmvol
コマンドを実行します。
rmvol
device_name domain_name
inventory
から
dsk3c
を削除する場合,次のコマンドを入力します。
#
rmvol /dev/disk/dsk3c inventory
rmvol
コマンドは,LSM のボリューム名の省略記法をサポートしています。
以下の 2 つは同じ意味になります。
# rmvol dom1 testdg.vol1
# rmvol dom1 /dev/vol/testdg/vol1
kill -term
コマンドを使用すると,ドメインにダメージを与えないで
rmvol
処理
(
rmvol
(8)kill -KILL
コマンドは使用しないでください。
rmvol
コマンドを
kill
コマンドで中断するとボリュームにアクセス (書き込み) できない状態になる可能性があります。
この状態に陥ったボリュームは,showfdmn
コマンドの出力で確認できます。
該当するボリュームには,"data unavailable" というメッセージが表示されます。
rmvol
コマンドの中断後,ボリュームへの書き込みができなくなった場合は,chvol
コマンドに
-A
オプションを使用してボリュームを再びアクティブにしてください。
showfdmn
コマンドで,ドメインの内容と,各ボリュームの現在のディスク容量を表示します。
この操作はオプションです。
vfast
ユーティリティを実行しない場合,balance
ユーティリティを使用してボリューム間でのファイル分散を均等化することをお勧めします。
この操作はオプションです。
vfast
を実行してバランシングや断片化の解消を行っているドメインから,ボリュームを削除することはできません。
domain_2
ドメインのディスク
/dev/disk/dsk2c
を削除しています。
# showfdmn domain_2
Id Date Created LogPgs Version Domain Name
2bb0c594.00008570 Fri Apr 26 10:23 2002 512 4 domain_2
Vol 512-Blks Free % Used Cmode Rblks Wblks Vol Name
1L 832527 386984 54% on 128 128 /dev/disk/dsk1c
2 832527 647681 22% on 128 128 /dev/disk/dsk2c
3 832527 568894 32% on 128 128 /dev/disk/dsk3c
----------------------
249758 1603559 36%
# rmvol /dev/disk/dsk2c domain_2
rmvol
ユーティリティは,そのセグメントを,同じファイルのストライプ・セグメントをまだ含んでいない他のボリュームへ移動します。
ドメイン内のすべてのボリュームに渡ってファイルがストライプ化されている場合,
ボリューム削除の際に確認が必要になります。
削除処理を続行する場合は,残りのボリューム上に 1 つ以上のストライプ・セグメントが置かれます。
ファイルのストライプ化についての詳細は,5.13 節
を参照してください。
2.3.6 ドメインの削除
/etc/fdmns
ディレクトリのエントリが削除され,ファイルセットがマウントできなくなります。
削除されたドメインに割り当てられていたボリュームは未使用として再表示され,再使用できるようになります。
rmfdmn
コマンドを使用してドメインを削除して,各ファイルセットを無効化することはできますが,ボリューム上のデータは変更されないためセキュリティ・ホールになる可能性があります。
/sbin/advfs/salvage
コマンド (6.2.6 項を参照) を使用してデータにアクセスできることがあるためです。
rmfset
コマンドを使用して,個々のファイルセットを削除する方が賢明です (2.4.7 項
を参照)。
rmfdmn
コマンドを入力します。
rmfdmn
domain_name
promotions
を削除する例です。
# rmfdmn promotions
rmfdmn: remove domain promotions? [y/n]y
rmfdmn: domain promotions removed
2.3.7 ドメイン名の変更
/etc/fstab
(2.4.1 項を参照) のエントリをアップデートする必要があります。
ドメイン名を変更するには,AdvFS GUI (付録 Eを参照) を使用するか,コマンド行で次の手順を実行します。
/etc/fdmns
ディレクトリで,古いドメイン名を新しいドメイン名に変更します。
# mv /etc/fdmns/old_domain_name /etc/fdmns/new_domain_name
/etc/fstab
ファイルを編集して,新しいドメイン名を入力し,古いドメイン名を削除します。
marketing
を
advertising
に変更する例を次に示します。
ここでは,ファイルセット
fset
が
/fset
にマウントされていると想定しています。
また,ファイルの編集には vi エディタを使用します。
# umount /fset
# mv /etc/fdmns/marketing /etc/fdmns/advertising
# vi /etc/fstab
/etc/fstab
ファイルで,次の行を探します。
marketing#fset /fset advfs rw,userquota,groupquota 0 2
advertising#fset /fset advfs rw,userquota,groupquota 0 2
# mount /fset
vdump
や
vrestore
コマンドは,複数のファイルセットに対して同時に実行できます。
domain#fileset
のように,ファイルセット名はドメイン名と関連付けることができます。
シャープ記号 (#
) はネーミング構文の一部であり,コメントを示すものではありません。
2.4.1 /etc/fstab ファイルでのファイルセットの指定
advfs
を指定して
/etc/fstab
ファイルに登録します
(
fstab
(4)/etc/fstab
ファイルに記述されている AdvFS ファイルセットは,システム・リブートのたびにマウントされます。
userquota
オプションと
groupquota
オプション,およびパス・フィールド番号もエントリに含めます。
コンマで区切ったオプションのリスト,つまり
rw
から
groupquota
の間にスペースを含めることはできません。
domain#fileset /mount_point advfs rw,userquota,groupquota 0 2
crdt
ファイルセットをリブート時にマウントするには,/etc/fstab
ファイルに次の行を追加します (ファイルセットのマウント・ポイントは既に存在するものと仮定します)。
acct_124#crdt /crdt advfs rw,userquota,groupquota 0 2
acct_124#crdt /crdt advfs rw,,groupquota 0 2
userquota
オプションと
groupquota
オプションは,クォータ関連のコマンドで処理できるマウント済みファイル・システムを示します。
クォータ関連コマンドの多くは,-a
(all) オプション付きで実行することによって,userquota
や
groupquota
が指定されたファイル・システムのみに処理対象を限定することが可能です。
quota.user
ファイルと
quota.group
ファイルをそのファイルセットのサブディレクトリに再配置することができます。
しかし,他のファイルセットに再配置したり,削除することはできません。
ファイルを再配置した場合,/etc/fstab
ファイルのエントリを更新し,userquota
と
groupquota
パラメータが再配置したファイルのパスと名前を含むようにする必要があります。
quota.user
ファイルをファイルセット
crdt
の
d4
サブディレクトリに再配置し,nq
に名前変更するには,/etc/fstab
の対応するエントリを次のように変更します。
acct_124#crdt /crdt advfs rw,userquota=/d4/nq,groupquota 0 2
2.4.2 ファイルセット情報の表示
showfsets
domain_name
zso_domain
の情報が表示されます。
このドメインには,4 つのファイルセットがあります。
# showfsets zso_domain
staff1_fs
Id : 2cb9d009.000419f4.1.8001
Files : 18554, SLim= 0, HLim= 0
Blocks(512) : 712230, SLim= 0, HLim= 0
Quota Status : user=on group=on
Object Safety: off
Fragging : on
DMAPI : off
guest_fs
Id : 2cb9d009.000419f4.2.8001
Files : 4765, SLim= 0, HLim= 0
Blocks(512) : 388698, SLim= 0, HLim= 0
Quota Status : user=on group=on
Object Safety: off
Fragging : on
DMAPI : off
staff2_fs
Id : 2cb9d009.000419f4.3.8001
Files : 12987, SLim= 0, HLim= 0
Blocks(512) : 842862, SLim= 0, HLim= 0
Quota Status : user=on group=on
Object Safety: off
Fragging: on
DMAPI : off
staff3_fs
Id : 2cb9d009.000419f4.4.8001
Files : 48202, SLim= 0, HLim= 0
Blocks(512) : 1341436, SLim= 0, HLim= 0
Quota Status : user=on group=on
Object Safety: off
Fragging : on
DMAPI : off
domain_2
が表示されます。
このドメインには,1 つのファイルセットと 1 つのファイルセット・クローンがあります。
# showfsets domain_2
test_fs
Id : 3003f44f.0008ac95.4.8001
Clone is : clone_test
Files : 7456, SLim= 0, HLim= 0
Blocks (512) : 388698, SLim= 0, HLim= 0
Quota Status : user=on group=on
Object Safety: off
Fragging : on
DMAPI : off
Clone_test
Id : 3003f44f.0008ac95.5.8001
Clone of : test_fs
Revision : 2
2.4.3 ファイルセットの作成
mkfset
コマンドで属性を設定できるほか,後でchfsets
コマンドを使用して設定済みの属性を変更することもできます (2.4.9 項を参照)。
mkfset
コマンドを実行します。
mkfset
domain_name fileset_name
coupons
をドメイン
advertising
に作成するには次のように入力します。
# mkfset advertising coupons
2.4.4 ファイルセットのアップグレード
2.4.5 ファイルセットのマウント
mount
コマンドを入力します。
mount
domain_name#fileset_name mount_point
advertising
のファイルセット
coupons
をマウントするには,次のように入力します。
# mkdir /coupons
# mount advertising#coupons /coupons
/etc/fstab
ファイルに
2.4.1 項
の説明に従って,エントリを作成します。
advscan
(8)2.4.6 ファイルセットのアンマウント
umount
コマンドを入力します。
umount
mount_point
advertising
のファイルセット
coupons
をアンマウントする場合,次のコマンドを入力します。
#
umount /coupons
2.4.7 ファイルセットの削除
rmfset
コマンドを入力します。
rmfset
domain_name fileset_name
domain_1
のファイルセット
tmp_1
を削除する場合は,次のように入力します。
# rmfset domain_1 tmp_1
rmfset: remove fileset tmp_1? [Y/N]y
rmfset
コマンドを使用することです。
このユーティリティを使用すると,ファイルセット内の全ファイルの,メタデータを指すポインタが消去されます。
したがって,このコマンドで削除したファイルセットは,/sbin/advfs/salvage
ユーティリティを使用しても復元することはできません (6.2.6 項を参照)。
ドメインのすべてのファイルセットを削除する効率的な方法は,rmfdmn
コマンドによるドメイン自体の削除です。
ただし,この方法では,一部のデータにアクセスされる可能性があるためセキュリティ・リスクが伴います。
rmfdmn
コマンドは,/etc/fdmns
ディレクトリのドメインの定義を削除し,ボリュームのラベルを書き換えますが,ボリューム内のデータはそのまま残ります。
2.4.8 ファイルセット名の変更
renamefset
domain_name old_fileset_name new_fileset_name
/etc/fstab
ファイルの対応するエントリを変更する必要があります (2.4.1 項を参照)。
この処理を行わないと,変更したファイルセットがシステム・ブート時にマウントされません。
/mount_point
にマウントされているドメイン
dmn_1
のファイルセット
sad
の名前を
happy
に変更する手順は次のとおりです。
この手順では,ファイルの編集に vi エディタを使用しています。
# umount /mount_point
# renamefset dmn_1 sad happy
# vi /etc/fstab
/etc/fstab
ファイル内で次の行を見つけます。
dmn_1#sad /mount_point advfs rw,userquota,groupquota 0 2
dmn_1#happy /mount_point advfs rw,userquota,groupquota 0 2
# mount /mount_point
注意
chfsets
コマンドを使用すると,ファイルセットの属性を変更できます。
-F
,-f
,-B
,および
-b
オプションでファイルセットのクォータを変更できるほか (3.3.2 項を参照),-o
オプションでフラグ・ファイルのオン/オフを切り替えることができます (5.2 節を参照)。
また,オブジェクト・セーフティのオン/オフ (6.4.11 項) やデータ管理 API (DMAPI) の有効/無効化 (付録 D)を切り替えることができます。
2.4.10 AdvFS ファイルセット・クローン
vdump
コマンドなどによる) バックアップ処理の代わりにはなりません。
しかし,ファイルが頻繁に変更されており,ある特定時点における情報を残しながらシステムのバックアップを取りたい場合,内部的な一貫性は保たれます。
データのスナップショットを作成するためにクローンを使用し,そのクローンを
vdump
コマンドのバックアップ・ソースとして使用します (詳細は
第 4 章
を参照)。
注意
df
コマンドは,ファイルセット・クローンのサイズを正確には反映しません。
注意
2.4.10.1 AdvFS ファイルセット・クローンの作成
clonefset
コマンドを入力します。
clonefset
domain_name fileset_name clone_name
transactions
ドメインの
day300
ファイルセットに対するクローン
clone_day300
を作成する場合は,次のコマンドを使用します。
#
clonefset transactions day300 clone_day300
2.4.10.2 AdvFS ファイルセット・クローンのマウントとアンマウント
2.4.10.3 AdvFS ファイルセット・クローンの削除
2.4.10.4 AdvFS ファイルセット・クローンの名前の変更
2.5 AdvFS ルート・ファイル・システムの構成
fsck
ユーティリティを実行する必要はありません。
addvol
コマンドと
rmvol
コマンドを除く AdvFS のすべての機能が,ルート・ファイル・システムを管理するために利用できます。
ただし,マルチボリュームのルート・ドメインが使用できるクラスタ構成では上記コマンドを使用できます。
a
または
c
パーティション) から開始しなければなりません。
/etc/fstab
ファイルに割り当てた名前を記述しなければなりません。
/usr
ファイルセットや
/var
ファイルセットを含めることはお勧めできません。
システムで使用できるストレージ・デバイスが 1 台だけの場合には,ルート・ドメインとそれ以外のドメインを,異なるパーティションに配置してください。
a
パーティション上に作成されます。
2.5.1 シングルユーザ・モードでのルート・ファイル・システムのマウント
mount
コマンドに
-u
オプションを使用すると,ルート・ファイルセットのマウント状態を read-only から read-write に変更することができます。
#
mount -u /
/etc/fstab
ファイルの変更が必要な場合に使用します。
詳細については
mount
(8)2.5.2 ルート・ドメイン名の変更
/etc/fdmns
ディレクトリ内のディレクトリ名として,また
/etc/fstab
ファイルのルート・エントリとして格納されています。
ルート・ドメインの名前を変更した場合,両方をアップデートする必要があります。
2.5.3 ルート・ファイルセット名の変更
renamefset
コマンドを実行するにはファイルセットがアンマウントされている必要がありますが,ユーザがルート・ファイルセットをアンマウントすることはできません。
/etc/fstab
ファイルの編集が必要です。
このためには,ルート・ファイルセットを書き込み可能にする必要があります。
ただし,/etc/fstab
ファイル内のエントリが正しくないと,ルート・ファイルセットを書き込み可能でマウントすることはできません。
/etc/fdmns
ディレクトリに作成します。
renamefset
コマンドでルート・ファイルセット名を変更します。
/etc/fstab
ファイルをアップデートするために,名前を変更したルート・ファイルセットを適当なディレクトリに一時的にマウントします。
fstab
エントリを変更して,新しいルート・ファイルセット名を反映させます。
root_fs
から
new_root
に変更しています。
ルート・ファイルセットは,/dev/disk/dsk2a
の
root_domain
ドメインにあるものとします。
tmp_root_domain
のエントリを
/etc/fdmns
ディレクトリに作成します。
#mkdir /etc/fdmns/tmp_root_domain
tmp_root_domain
に対するシンボリック・リンクを作成します。
# cd /etc/fdmns/tmp_root_domain
# ln -s /dev/disk/dsk2a
root_fs
から
new_root
に変更します。
# renamefset tmp_root_domain root_fs new_root
/etc/fstab
ファイルをアップデートします。
#mount tmp_root_domain#new_root /mnt
/mnt/etc/fstab
内のtmp_root_domain
のエントリを vi エディタを使って編集します。
# cd /mnt/etc
# vi fstab
/etc/fstab
ファイルで,次の行を探します。
root_domain#root_fs / advfs rw,userquota,groupquota 0 2
root_domain#new_root / advfs rw,userquota,groupquota 0 2
# shutdown -h now
注意
/etc/fstab
ファイルのエントリの変更を忘れると,ブート時にマルチユーザ・モードに入れなくなります。
この場合,シングルユーザ・モードで
/etc/fstab
ファイルを編集してください。
mv
コマンドで元のディレクトリに戻すことができます。
rmfset
コマンドを使用してファイルセット全体を削除した場合には,そのファイルセットに含まれるファイルはゴミ箱に移動されず,ゴミ箱も削除されます。
表 2-1: ゴミ箱関連コマンド
コマンド
説明
mktrashcan
ゴミ箱を作成する。
shtrashcan
ゴミ箱の内容を表示する。
rmtrashcan
ゴミ箱ディレクトリを削除する。
booklist
ディレクトリにゴミ箱ディレクトリ
keeper
を設定するには,次のコマンドを実行します。
# mkdir keeper
# mktrashcan keeper /booklist
'keeper' attached to '/booklist'
# rm old_titles
# shtrashcan /booklist
'//keeper' attached to '/booklist'
# cd keeper
# ls
old_titles
# rmtrashcan /booklist
'/booklist' detached