まえがき

HP Tru64 UNIX では,国際化機能として,さまざまな国で使用できるプログラムを作成するためのツールとルーチン群を提供します。 これらのツールやルーチンを使用することにより,次の特徴を持ったプログラムを作成することができます。

対象読者

本書は,多国語環境あるいは英語以外の言語環境で使用されるプログラムの作成に経験のあるアプリケーション開発者を対象としています。 また本書は,国際化プログラムで表示されるプログラム・メッセージを翻訳する方にも有用です。

新規機能と変更事項

本書は,Tru64 UNIX バージョン 5.1B 用に作成し直されました。 Tru64 UNIX 『国際化ソフトウェア・プログラミング・ガイド』 には,国際化アプリケーションのプログラミングに特有の情報が含まれるようになりました。 Tru64 UNIX の国際化機能の使用についての情報は,姉妹編の『国際化機能ユーザーズ・ガイド』に移されました。 本書には,次の事項に関連した変更も盛り込まれています。

本書の構成

本書は,以下のように構成されています。

第 1 章

各国のユーザのニーズに合ったプログラムを作成するための基本概念と手順について説明します。

第 2 章

国際化アプリケーションで,文字セット,文化的データ,および言語を扱うための手法について説明します。

第 3 章

メッセージを抽出して翻訳する方法と,メッセージ・カタログの作成およびアクセス方法について説明します。

第 4 章

ワイド文字データの書き込み,削除,および読み取りを行うための curses ライブラリ・ルーチンについて説明します。

第 5 章

国際化プログラムを作成する際に,GUI プログラミング・ライブラリ (X,OSF/Motif,および OSF/Motif に対する DECwindows 拡張機能) をどのように使用するかについて説明します。

第 6 章

ロケールのソース・ファイルと,ライブラリ・メソッドの作成方法,ロケールの構築およびテスト方法について説明します。

第 7 章

国際化アプリケーションの作成に関連する,プログラミング上のさまざまなトピックについて説明します。 ここには,入力メソッド,ユーザ定義文字,ソート,リファレンス・ページの作成,データ・ファイルのコードセット変換,およびフォント・レンダラについての説明があります。

付録 A

ロケールの初期化,文字の分類,大文字と小文字の変換,文字の照合,日付と時刻の表記,テキスト文字列,数値の変換,マルチバイト文字,および文字列操作を実行する国際化関数とその要約を示します。

付録 B

中国語,日本語,韓国語のユーザ定義文字 (UDC) のサポートについて説明します (cedit と UDC フォントの情報を含む)。

付録 C

DECterm のプログラミング機能と制限事項について説明します。

付録 D

第 6 章で説明しているサンプル・ロケールの全ソース・ファイルを示します。

用語集

本書で使用される用語と省略語を明確にします。

関連ドキュメントおよび標準

本書は,アプリケーション・プログラマから見た国際化に焦点を置いて説明します。 姉妹編の『国際化機能ユーザーズ・ガイド』は,国際化アプリケーションのユーザに焦点を置いています。 このマニュアルは,オペレーティング・システムのドキュメンテーション・セットに含まれています。 このマニュアルでは,さまざまな言語環境でアプリケーションを使用するための設定条件や,多国語作業環境でオペレーティング・システム・コマンドを使用する方法について説明しています。

Tru64 UNIX ドキュメント・セットに含まれる以下のマニュアルは,Tru64 UNIX システムで C コンパイラやその他のプログラム開発ツールを使用するための情報を提供します。 国際化アプリケーションを開発するときは,これらのマニュアルを参照し,プログラミングに関する一般的な情報を入手してください。

Tru64 UNIX の『ドキュメント概要』には,このオペレーティング・システムに用意されているすべてのドキュメントについての情報があります。

Tru64 UNIX のドキュメントは次の URL でアクセスできます:

http://h50146.www5.hp.com/products/software/oe/tru64unix/manual/

次のマニュアルが,O'Reilly and Associates, Inc. から出版されています。

次の書籍が,共立出版より出版されています。

本書で説明するソフトウェア・コンポーネントは,以下の規格や規格案に準拠しています。 本書では,これらの規格のいくつかを参照します。

Programming for the World: A Guide to Internationalization』(O'Donnell, Sandra Martin, Prentice-Hall, Inc., Englewood Cliffs, New Jersey, 1994) では,世界中の文化および言語が持つ特性について紹介し,これらの特性をコンピュータ・システムで扱うために必要となる変更について説明しています。

Digital Technical Journal』の Volume 5 Number 3 (1993 年夏発行) には,DEC 製品の国際化に関する記事が掲載されています。

表記法

本書では以下の表記法を使用しています。

%

パーセント記号は,C シェルのシステム・プロンプトを表します。

$

ドル記号は,Bourne シェルと Korn シェルのシステム・プロンプトを表します。

#

番号記号は,スーパユーザのプロンプトを表します。

% cat

対話型の例で使用されるボールド体は,ユーザ入力を示します。

file

イタリック体 (斜体) は,変数値,プレースホルダ,および関数の引数名を表します。

[ | ]

構文中の大カッコはオプションの項目を表します。 大カッコ内の項目を区切る縦線は,リストから 1 つの項目を選択することを示します。

{ | }

構文中の中カッコは必須項目を表します。 中カッコ内の項目を区切る縦線は,リストから 1 つの項目を選択することを示します。

. . .

構文中の水平の反復記号は,先行する項目を 1 回以上繰り返して使用できることを示します。


.
.
.

垂直の反復記号は,例の一部が省略されていることを示します。

cat(1)

リファレンス・ページのクロス・リファレンスには,カッコで囲まれたセクション番号が含まれています。 たとえば cat(1) は,cat コマンドの情報がリファレンス・ページのセクション 1 に記載されていることを示します。

[Ctrl/x]

この記号は,スラッシュの前のキーを押したまま,スラッシュの後のキーまたはマウス・ボタンを押すことを示します。 このキーの組み合せは,[Ctrl/C] のようにボックスで囲まれています。

Alt x

スペースで区切られた複数のキーまたはマウス・ボタンは,それぞれのキーを順に押すことを示します。 例で使用されるときは,各キーはボックスで囲まれています。 たとえば,[Alt] [Q]