TruCluster Server クラスタでは,共用 SCSI バス,外部ストレージ・シェルフまたは RAID (redundant array of independent disks) コントローラを使用して,ディスクのミラー化およびファイル・システムの高速回復をサポートすることにより,データの高い可用性と信頼性を実現しています。
この章で説明している項目は次のとおりです。
共用 SCSI バスの構成要件 (3.1 節)
SCSI バスの性能 (3.2 節)
SCSI バス・デバイスの識別番号 (3.3 節)
SCSI バス長 (3.4 節)
SCSI バスの終端 (3.5 節)
UltraSCSI ハブ (3.6 節)
RAID アレイ・コントローラを使用する UltraSCSI ハブの構成 (3.7 節)
この章では,次のような事項について説明します。
SCSI バス構成の概念を概説します。
共用 SCSI バスの要件について説明します。
TruCluster Server の放射状構成を UltraSCSI ハブと以下のデバイスを組み合わせたケーブル接続で構築する手順を説明します。
透過フェイルオーバ機能のあるデュアル冗長 HSZ80 RAID アレイ・コントローラ
多重バス・フェイルオーバ機能のあるデュアル冗長 HSZ80 RAID アレイ・コントローラ
アクティブ/アクティブ・モードまたはアクティブ/パッシブ・モードに構成された HSZ22 コントローラ付き RAID アレイ 3000 (RA3000)
放射状接続用に構成された UltraSCSI ハードウェアを使用する,TruCluster Server ストレージ構成のダイアグラムを示します。
注意
この章で,UltraSCSI BA356 が他の UltraSCSI デバイスとともに記述されていることがあっても,実際には別種のデバイスです。UltraSCSI BA356 については,外部終端を使用する構成とともに第 11 章で説明します。UltraSCSI BA356 には SCSI バス終端電源 (
termpwr
) がないため,UltraSCSI ハブに直接ケーブル接続することはできません。
サポートされているハードウェアのみを使用することに加えて,この章で説明されている要件に従うなら,クラスタは確実に正常動作します。
第 11 章には,SCSI バス・シグナル変換器の使用に関する詳細な説明,および UltraSCSI/非 UltraSCSI のストレージ・シェルフと RAID アレイ・コントローラを使用する TruCluster Server 構成のダイアグラムがあります。さらに第 11 章では,外部終端の従来の使用方法,および DWZZH UltraSCSI ハブと非 UltraSCSI RAID アレイ・コントローラを使用する放射状の構成についても説明しています。
第 7 章では,ストレージ用 Fibre Channel デバイスの使用について説明します。
3.1 共用 SCSI バスの構成要件
共用 SCSI バスとして使用できるのは外部バスだけです。
SCSI バスの仕様では,8 ビット (Narrow) SCSI バスに接続できるデバイスの数は最大 8 個です。16 ビット SCSI バス (Wide) には最大 16 個のデバイスを配置できます。詳細については,3.3 節を参照してください。
各物理バスの長さは厳密に制限されています。詳細については,3.4 節を参照してください。
デバイスどうしを直接接続できるのは,それらの伝送モード (ディファレンシャルまたはシングルエンド),およびデータ・パス (Narrow または Wide) が同じ場合だけです。伝送モードの異なるデバイス間は,SCSI シグナル変換器を使用して接続します。DWZZA (BA350),DWZZB (BA356) シグナル変換器,および UltraSCSI BA356 用のディファレンシャル・シングルエンド・シグナル変換器として機能する DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュールについては,11.1 節を参照してください。
各 SCSI バス・セグメントには,ターミネータをその両端に 1 つずつ,つまり 2 つだけ接続できます。1 つの物理 SCSI バスを複数の SCSI バス・セグメントで構成することもできます。
UltraSCSI ハブを使用しない場合は,バスの終端に影響を与えずにデバイスを切断できるように,トライリンク・コネクタと Y ケーブルを使用してデバイスを共用バスに接続する必要があります。詳細については,11.2 節を参照してください。
共用バスでは定常的に処理データが伝送されているので,共用バスに接続されているデバイスの保守を行うときには注意が必要です。通常,クラスタをシャットダウンせずにデバイスの保守を行うには,バスの終端に影響を与えることなく,共用バスから目的のデバイスを孤立化できるようにする必要があります。
サポートされるすべての UltraSCSI ホスト・バス・アダプタは,UltraSCSI BA356 シェルフ,RA8000/ESA12000 ストレージ・アレイ (HSZ80),または RAID アレイ 3000 (HSZ22 コントローラ付き RA3000) において,UltraSCSI 速度で UltraSCSI ディスクをサポートします。以前の非 UltraSCSI BA356 シェルフは,UltraSCSI ホスト・アダプタおよびホスト RAID コントローラを使用すればサポートされます。ただし,UltraSCSI ディスクが格納されていない場合に限ります。
注意
RA3000 を使用する場合は KZPBA UltraSCSI ホスト・バス・アダプタが必要です。
UltraSCSI BA356 シェルフには,UltraSCSI ドライブと Fast-Wide ドライブを混在させることができます (第 11 章を参照)。
ディファレンシャル UltraSCSI アダプタは,同じ共用 SCSI バス上にある,非 UltraSCSI BA356 シェルフ (DWZZB-VW 経由),UltraSCSI BA356 シェルフ (DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュール経由) のいずれかまたは両方に接続できます。この UltraSCSI アダプタは,各 SCSI デバイスとネゴシエートして最大伝送速度を決定します (第 11 章を参照)。
HSZ80 UltraSCSI RAID コントローラには,VHDCI (Very High Density Cable Interconnect) コネクタを持つ,Wide ディファレンシャル UltraSCSI ホスト・バスがあります。HSZ80 コントローラは,KZPSA-BB または KZPBA などの Fast-Wide ディファレンシャル SCSI アダプタにより,Fast SCSI 速度で動作します。
Fast-Wide SCSI ドライブ (緑の StorageWorks ビルディング・ブロック (SBB) で注文番号の末尾が "-VW") を UltraSCSI BA356 シェルフで使用できます。
Fast-Narrow SCSI ドライブ (緑の SBB で注文番号の末尾が "-VA") をそのドライブに 8 以上の SCSI ID を割り当てることが可能なシェルフで使用しないでください。ドライブが動作しなくなります。
UltraSCSI BA356 には 180W 電源装置 (BA35X-HH) が必要です。以前の型でワット数の低い BA35X-HF ユニバーサル 150W 電源装置では正常に機能しません (第 11 章を参照)。
BA35X-HH 180W 電源装置と DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュールを装備するように改装された旧型の BA356 は,Fast 10 構成に関しては,まだ FCC による認定しかありません (第 11 章を参照)。
SCSI バスをセットアップする前に,バスの能力に影響するいくつかの事項と,バスに接続されるデバイスがどのように動作するかを理解しておく必要があります。バス性能は特に次の要素の影響を受けます。
UltraSCSI バスは,複数の UltraSCSI バス・セグメントから構成することができます。各 UltraSCSI バス・セグメントは,ケーブルまたはバックプレーンに収納された電気伝導体,およびケーブルまたはバックプレーンのコネクタから構成されます。UltraSCSI バス・セグメントの両端にはターミネータが必要です。
最大 2 つの UltraSCSI バス・セグメントを UltraSCSI ハブまたはシグナル変換器を使って連結し,UltraSCSI バス全体を長くすることができます。
3.2.2 伝送方法
シングルエンド -- シングルエンド SCSI バスでは,1 本のデータ・リード線と 1 本の接地リード線を使ってデータ伝送を行います。シングルエンド・レシーバは,信号線のみを入力データとして認識します。伝送されたシグナルは,シグナルの反射のために,信号線上でいくぶん歪んでバスの受信終端に達します。この歪みの大きさは,バスの長さおよび負荷によって決まります。この伝送方法は経済的ですが,ディファレンシャル伝送法よりもノイズの影響を受けやすいので,ケーブル長が短く制限されます。シングルエンド SCSI デバイスのあるデバイスは次のとおりです。
BA350,BA356,および UltraSCSI BA356 ストレージ・シェルフ
SCSI シグナル変換器またはパーソナリティ・モジュールのシングルエンド側
RAID アレイ非 Fibre Channel ディスク・ストレージ・シェルフ
ディファレンシャル -- ディファレンシャル・シグナル伝送では,2 本のワイヤを使ってシグナルを伝送します。この 2 本のワイヤは,1 本のワイヤでシグナル (+SIGNAL) を送り,もう 1 本のワイヤでそのシグナルと 180 度フェーズがずれたシグナル (-SIGNAL) を送る,ディファレンシャル・ドライバによって制御されます。ディファレンシャル・レシーバは,これら 2 つの入力が異なるときのみシグナル出力を生成します。2 本のワイヤで生じるシグナルの反射は事実上同じなので,それらはレシーバに感知されません。レシーバは 2 本のワイヤ間の相違だけを感知するからです。
この伝送方法はシングルエンド SCSI よりもノイズの影響を受けにくく,ケーブル長の制限も長くなります。ディファレンシャル SCSI インタフェースのあるデバイスは次のとおりです。
KZPBA
KZPSA-BB
HSZ80 コントローラおよび RA3000 RAID アレイ (HSZ22)
SCSI シグナル変換器またはパーソナリティ・モジュールのディファレンシャル側
1 つの SCSI バス・セグメントに 2 つの伝送方法を混在させることはできません。たとえば,ディファレンシャル SCSI インタフェースのあるデバイスは,ディファレンシャル SCSI インタフェースのある他のデバイスに接続する必要があります。伝送方法の異なる 2 つのデバイスを接続する場合は,それらのデバイスの間で SCSI シグナル変換器を使用します。DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュールについては,11.1.2.2 項を参照してください。DWZZ* シリーズ SCSI シグナル変換器の使用については,11.1 節を参照してください。
バス上に UltraSCSI ディスクがある場合,TruCluster Server では,DWZZA または DWZZB シグナル変換器を UltraSCSI 速度では使えません。DWZZA または DWZZB が UltraSCSI 速度では正しく動作しないからです。DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュールには,UltraSCSI BA356 用のシグナル変換器が搭載されています。これは,共用ディファレンシャル UltraSCSI バスと UltraSCSI BA356 の内部シングルエンド SCSI バスとのインタフェースになります。
RAID アレイ・コントローラ・サブシステムにはシグナル変換器の機能があり,ディファレンシャル入力を受け付けて,シングルエンド・デバイス・バスを制御することができます。
3.2.3 データ・パス
SCSI デバイスには,次の 2 種類のデータ・パスがあります。
Wide -- SCSI-2 または UltraSCSI の 16 ビット・データ・パスのことです。このモードでは,データをバス上で並列に転送するため,転送速度が向上します。
表 3-1
に示すように,バス速度は,バス・クロッキング速度とバス幅によってさまざまに異なります。
表 3-1: SCSI バス速度
SCSI バス | 転送速度 (MHz) | バス幅 (バイト) | バス帯域幅 (速度) MB/秒 |
SCSI | 5 | 1 | 5 |
Fast SCSI (Fast-10) | 10 | 1 | 10 |
Fast-Wide (Fast-10) | 10 | 2 | 20 |
UltraSCSI (Fast-20) | 20 | 2 | 40 |
UltraSCSI-II (Fast-40) | 40 | 2 | 80 |
UltraSCSI-III (Ultra160 または Fast-80) | 80 | 2 | 160 |
共用 SCSI バスでは,各 SCSI デバイスでデバイス・アドレスを使用するため,一意の SCSI ID (0〜15) を割り当てる必要があります。たとえば,各 SCSI バス・アダプタおよびシングルエンド・ストレージ・シェルフ内の各ディスクでデバイス・アドレスが使用されます。
SCSI バス・アダプタには省略時の SCSI ID があります。省略時の SCSI ID はコンソール・コマンドまたはユーティリティで変更できます。たとえば,KZPSA アダプタの初期 SCSI ID は 7 です。
注意
フェア・アービトレーション機能のある DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使用する場合,SCSI ID のナンバリングは変化します (3.6.1.2 項を参照)。
共用 SCSI バスに接続する SCSI バス・アダプタには,次の優先順位で SCSI ID を割り当てます。
7-6-5-4-3-2-1-0-15-14-13-12-11-10-9-8
これは,7 が優先順位が最も高く,8 が最も低いことを表します。SCSI ID の割り当てにあたっては,メンバ・システム用に 7 から始まる優先順位の最も高い ID を使用し,ディスク用にはそれより低い順位の ID を使用してください。
フェア・アービトレーション機能のある DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使用する場合は,この通常の SCSI 優先順位は適用されません。DS-DWZZH-05 が SCSI バスを次に使うデバイスの SCSI ID を決定するからです。
BA350 ストレージ・シェルフ内のディスクの SCSI ID は,そのスロットの位置に対応します。BA356 または UltraSCSI BA356 内のディスクの SCSI ID は,そのスロットの位置,およびパーソナリティ・モジュールの SCSI バス・アドレス・スイッチの設定によって決まります。
3.4 SCSI バス長
共用 SCSI バスのケーブル長には制限があります。SCSI バス・セグメントの総ケーブル長は,終端から終端までで計算します。
伝送方法およびデータ・パスが同じデバイス (たとえば,Wide ディファレンシャル) を使用する場合,共用バスは 1 つのバス・セグメントのみで構成されます。異なる伝送方法のデバイスを使用する場合は,シングルエンド・バス・セグメントとディファレンシャル・バス・セグメントの両方が存在します。各セグメントでは,その両端のみに終端を設定し,バス長の制限に従う必要があります。
表 3-2
に,物理 SCSI バス・セグメントの最大ケーブル長を示します。
表 3-2: SCSI バス・セグメント長
SCSI バス | バス速度 (MB/秒) | 最大ケーブル長 |
Narrow,シングルエンド | 5 | 6 m (19.7 フィート) |
Narrow,シングルエンド,Fast | 10 | 3 m (9.8 フィート) |
Wide ディファレンシャル,Fast | 20 | 25 m (82 フィート) |
ディファレンシャル UltraSCSI | 40 | 25 m (82 フィート) [脚注 11] |
ディファレンシャル UltraSCSI-II | 80 | 25 [脚注 11] |
ディファレンシャル UltraSCSI-III | 160 | 25 [脚注 11] |
ケーブル長の制限があるので,ハードウェア構成のプランニングを注意深く行い,すべての SCSI バスがケーブルに関する制限のガイドラインを確実に満たすようにする必要があります。通常は,各システムとストレージ・シェルフをできるだけ近くに配置し,共用バスのケーブルを可能な限り短くする必要があります。
3.5 UltraSCSI ハブ使用時の共用 SCSI バスの終端設定
デバイスは共用 SCSI バスに正しく接続する必要があります。また,シングルエンドか,ディファレンシャルかにかかわらず,終端を設定できるのは各バス・セグメントの始点と終点だけです。
SCSI バスの終端には次の 2 つの規則が適用されます。
各 SCSI バス・セグメントにはターミネータが 2 つだけ存在します。 UltraSCSI ハブを使用する場合は,インストールする必要があるターミネータは 1 つだけです。
UltraSCSI ハブを使用しない場合,バスの終端は外部で行う必要があります。外部終端については 11.2 節で説明しています。
注意
TL890,TL891,および TL892 を除いて,テープ・デバイスは共用 SCSI バスの端にしかインストールできません。これらのテープ・デバイスだけで外部終端の使用がサポートされています。
テープ・ローダのない共用 SCSI バスで標準の終端設定ができるように,テープ・ローダは別の共用 SCSI バスにまとめて接続することをお勧めします。
デバイスは可能な限り,バスから孤立化できるように共用バスに接続してください。これにより,保守作業時にバスの終端およびクラスタの動作に影響を与えることなく,デバイスをバスから切断することができます。バスの終端に影響を与えることなく,後日デバイスを追加接続できるように共用 SCSI バスをセットアップすることもできます。
ほとんどのデバイスには内部終端があります。たとえば,UltraSCSI KZPBA および Fast-Wide KZPSA-BB ホスト・バス・アダプタは内部終端を備えています。KZPBA または KZPSA-BB を UltraSCSI ハブと組み合わせる場合は,オンボード終端抵抗 SIP が取り外されていないことを確認してください。
1 つの SCSI バス・セグメントのストレージ側の端に終端を設定することが必要になります。バスの端で,HSZ80 に H8861-AA トライリンク・コネクタをインストールします。このトライリンク・コネクタに H8863-AA ターミネータを接続して,バスの終端を設定します。
図 3-1
に,HSZ80 に取り付け可能な VHDCI トライリンク・コネクタ (UltraSCSI) を示します。
図 3-1: VHDCI トライリンク・コネクタ (H8861-AA)
DS-DWZZH シリーズ UltraSCSI ハブは,ディファレンシャル SCSI バス・アダプタおよび RAID アレイ・コントローラの放射状接続が可能な UltraSCSI シグナル変換器です。それぞれの接続が SCSI バス・アダプタまたはストレージによる SCSI バス・セグメントを形成します。これらのハブは,バス・セグメントの一方の終端になります。バス・セグメントのもう一方の終端は次のいずれかになります。
インストールされた KZPBA (または KZPSA-BB) の終端抵抗 SIP。
HSZ80 に接続されたトライリンク・コネクタによる外部終端。
RA3000 ホスト I/O モジュールの終端
注意
DS-DWZZH-03/05 UltraSCSI ハブは StorageWorks BA35X ストレージ・シェルフに接続できません。このストレージ・シェルフにはハブに対する終端電源がないからです。
3.6.1 クラスタ構成での DWZZH UltraSCSI ハブの使用
TruCluster Server クラスタでは,DS-DWZZH-03 および DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブがサポートされています。これらのハブでは,クラスタ・メンバ・システムとストレージの放射状接続が可能です。DS-DWZZH-03 と DS-DWZZH-05 は,次のような点で似ています。
各ポートに内部終端を備えているため,各 SCSI バス・セグメントのハブ側の端が終端される。
注意
DWZZH の内部終端を取り外すことはできないので,DWZZH UltraSCSI ハブにはトライリンクを接続しないでください。
各 SCSI バス・セグメント上の SCSI バス・ホスト・バス・アダプタから終端電源 (
termpwr
) を供給することが必要。
注意
UltraSCSI ハブは,終端電源の消失 (ケーブルの抜け,ホスト・アダプタで
termpwr
が有効になっていないなど) を検出し,対象となるポートをシャットダウンして,破損したシグナルが残りの SCSI バス・セグメントで生じるのを防止するように設計されています。
DS-DWZZH-03 には以下の特徴があります。
以下の場所にインストールできます。
RA8000 または ESA 12000 RAID アレイ・サブシステム内の BA370 シェルフにある右下のデバイス・スロット。これが,ケーブル長およびディスクへの干渉を最小限にできる位置です。
DS-BA35X-HH オプションによって 180W 電源装置にアップグレード済みの非 UltraSCSI BA356。
必要な電源と筐体を得るためにのみストレージ・シェルフを使用します。シェルフの内部 SCSI バスには接続されません。
3 つの VHDCI (Very High Density Cable Interconnect) ディファレンシャル SCSI バス・コネクタを備えています。
SCSI ID を使用しません。
DS-DWZZH-03 および DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブは,同じストレージ・シェルフ内にディスク・ドライブとともに格納できます。表 3-3 に,サポートされる構成を示します。
図 3-2
は,DS-DWZZH-03 UltraSCSI ハブの前面図です。
図 3-2: DS-DWZZH-03 前面図
ディファレンシャル記号 (およびシングルエンド記号がないこと) は,3 つのコネクタがすべてディファレンシャルであることを示します。
3.6.1.2 DS-DWZZH-05 の説明
5 つの VHDCI (Very High Density Cable Interconnect) ディファレンシャル SCSI バス・コネクタを備えています。
フェア・アービトレーション・モードが有効かどうかにかかわらず,SCSI ID 7 を使用します。したがって,メンバ・システムの SCSI バス・アダプタに SCSI ID 7 は使えません。
以降の各項では,共用 SCSI バスで DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使用するための準備について詳細に説明します。
3.6.1.2.1 DS-DWZZH-05 の構成ガイドライン
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブは以下の場所にインストールできます。
必要な 180W 電源装置を備えた StorageWorks UltraSCSI BA356 シェルフ。
DS-BA35X-HH オプションによって 180W 電源装置にアップグレード済みの非 UltraSCSI BA356。
注意
クラスタ・メンバ・システムとストレージ間の可用性のレベルを高めるため,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを格納するすべての BA356 シェルフでデュアル電源装置を使用することをお勧めします。
RA8000 または ESA 12000 RAID アレイ・サブシステム内の BA370 シェルフにある右下のデバイス・スロット。これが,ケーブル長およびディスクへの干渉を最小限にできる位置です。
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブは,必要な電源と筐体を得るためにのみ,ストレージ・シェルフを使用します。シェルフの内部 SCSI バスには接続されません。
注意
表 3-3 に,DS-DWZZH-03 と DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブ,およびディスクを,デュアル 180W 電源装置を備えた 1 つのストレージ・シェルフ内で組み合わせる場合の最大構成を示します。
注意
デュアル 180W 電源装置がインストールされている場合,8.9 cm (3.5 インチ) SBB 6 個,または 13.33 cm (5.25 インチ) SBB 2 個分のスロットを利用できます。
表 3-3: DS-DWZZH UltraSCSI ハブの最大構成
DS-DWZZH-03 | DS-DWZZH-05 | ディスク・ドライブ [脚注 12] | パーソナリティ・モジュール [脚注 13] [脚注 14] |
5 | 0 | 0 | インストールなし |
4 | 0 | 0 | インストールあり |
3 | 0 | 3 | インストールあり |
2 | 0 | 4 | インストールあり |
1 | 0 | 5 | インストールあり |
0 | 2 | 0 | インストールなし |
3 | 1 | 0 | インストールなし |
2 | 1 | 1 | インストールあり |
1 | 1 | 2 | インストールあり |
0 | 1 | 3 | インストールあり |
3.6.1.2.2 DS-DWZZH-05 のフェア・アービトレーション
1 つの UltraSCSI ハブに接続された各クラスタ・メンバ・システムとストレージ制御装置が別々の SCSI バス・セグメント上に配置されていても,すべてのシステムおよびデバイスは共通の SCSI バスとその帯域幅を分け合います。ストレージ制御装置にアクセスするシステムの数が増加するにつれ,最高の優先順位の SCSI ID を割り当てられたアダプタが,他のデバイスよりも UltraSCSI の帯域幅を多く取得する可能性は高くなります。
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブのフェア・アービトレーション機能は,従来の SCSI バス優先順位を無効にします。フェア・アービトレーションはメンバ・システムにのみ適用され,ストレージ制御装置には適用されません。これらにはメンバ・システムのホスト・アダプタよりも高い優先順位が割り当てられます。
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブの前面にあるスイッチを
Fair
の位置にセットすると,フェア・アービトレーションが有効になります (図 3-4
を参照)。
フェア・アービトレーションは次のように機能します。DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブに最高優先順位の SCSI ID である 7 が割り当てられます。ホスト・バス・アダプタの SCSI ID は,ハブ・ポートに割り当てられた SCSI ID と一致しなければなりません。このハブは最高の優先順位を持っているので,SCSI アービトレーション・フェーズ中に,バスのアービトレーションを行うすべてのホスト・アダプタの SCSI ID を獲得します。ハブは,SCSI バスの使用を要求するホスト・アダプタの SCSI ID を比較し,最も優先順位の高い SCSI ID を持つデバイスに SCSI バスの制御を渡します。その SCSI ID は,次の比較操作を行う前に獲得された SCSI ID のグループから削除されます。
最優先のホスト・アダプタがサービスを受けた後,前のアービトレーション・サイクルにまだ SCSI ID が保持されている場合は,次に優先順位の高い SCSI ID がサービスを受けます。
グループ内のすべてのデバイスがサービスを受けたら,DS-DWZZH-05 は次のアービトレーション・サイクルで同じ手順を繰り返します。
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブの前面にあるスイッチを
Disable
の位置にセットすると,フェア・アービトレーションが無効になります (図 3-4
を参照)。フェア・アービトレーションを無効にすると,SCSI 要求は,アービトレーション・サイクル中に要求を行った最も優先順位の高い SCSI ID が SCSI バスの使用権を獲得するという従来の方法によってサービスを受けます。
注意
フェア・アービトレーションを無効にすると,ホスト・ポートの SCSI ID の割り当ては物理ポートにリンクされません。
SCSI ID 7 は,フェア・アービトレーションの有効/無効にかかわらず,DS-DWZZH-05 用に予約されています。
DS-DWZZH-05 には 2 つのアドレッシング・モード,つまり Wide アドレッシング・モードと Narrow アドレッシング・モードがあります。フェア・アービトレーションが有効になっている場合,どちらのアドレッシング・モードを使っても,各ハブ・ポートには特定の SCSI ID が割り当てられます。これにより,フェア・アービトレーション・サイクルのアービトレーション・フェーズに参加しているデバイスの SCSI ID をハブのフェア・アービトレーション・ロジックで識別できるようになります。
警告
フェア・アービトレーションを有効にする場合は,ホスト・アダプタの SCSI ID とハブ・ポートに割り当てられた SCSI ID が一致する必要があります。SCSI ID の不一致または重複は,ハブがハングする原因になります。
SCSI ID 7 は,フェア・アービトレーションの有効/無効にかかわらず,DS-DWZZH-05 用に予約されています。
使用されるアドレッシング・モードは,DS-DWZZH-05 の背面にあるジャンパ W1 (図 3-3) で設定します。ジャンパをインストールすると Narrow アドレッシング・モードが選択されます。フェア・アービトレーションが有効な場合,ホスト・アダプタの SCSI ID は 0,1,2,および 3 になります (図 3-4 でカッコの付いていないポート番号を参照)。コントローラ・ポートには SCSI ID 4〜6 が割り当てられ,ハブ自体は SCSI ID 7 を使用します。
ジャンパ W1 を取り外すと,ホスト・アダプタ・ポートは SCSI ID 12,13,14,および 15 になります。コントローラには SCSI ID 0〜6 が割り当てられ,DS-DWZZH-05 は SCSI ID 7 を保持します。
図 3-3: DS-DWZZH-05 背面図
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブ・ポートに接続される各ホスト・アダプタには,SCSI バス・セグメントの両端に終端抵抗を設定するための終端電源 (
termpwr
) が必要です。ホスト・アダプタをハブから切断すると,そのポートは無効になり,終端電源を失う UltraSCSI バス・セグメントだけが影響を受けます。SCSI バスの残りの部分は正常に機能し続けます。
3.6.1.2.5 DS-DWZZH-05 のインディケータ
DS-DWZZH-05 の前面には 2 つのインディケータがあります (図 3-4
を参照)。緑の LED はハブの電源が投入されていることを示し,黄の LED は SCSI バスがビジーであることを示します。
3.6.1.3 DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブのインストール
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブをインストールするには,次の手順に従います。
W1 ジャンパを取り外して,Wide アドレッシング・モードを有効にします (図 3-3 を参照)。
フェア・アービトレーションを使用する場合は,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブの前面にあるスイッチが
Fair
の位置にセットされていることを確認します。
DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを UltraSCSI BA356,非 UltraSCSI BA356 (ただし,必要な 180W 電源装置を備えている場合),または BA370 ストレージ・シェルフにインストールします。
TruCluster Server クラスタでは,クラスタ・ファイル・システム (CFS),デバイス要求ディスパッチャ,CAA (Cluster Application Availability) サブシステムによるサービスのフェイルオーバ,ディスクのミラー化,およびファイル・システムの高速回復の各機能を使用して,高いデータ可用性を実現します。TruCluster Server では,メンバ固有のブート・ディスク,およびクラスタ・クォーラム・ディスクの,ハードウェア RAID のみを使用するミラー化をサポートします。クラスタ単位のルート (/),/usr
,/var
ファイル・システム,データ・ディスク,およびスワップ・ディスクは,LSM (Logical Storage Manager) テクノロジを使ってミラー化できます。ストレージ構成は実際のニーズに合わせて決定する必要があります。2 つの共用バス間でディスクのミラー化を行うと,データの可用性は最も高くなります。
サポートされるストレージ・シェルフ,ディスク装置,および RAID アレイ・コントローラについては,以下の URL でお客様のシステムの AlphaServer オプション・リストを確認してください。 http://www.compaq.com/alphaserver/products/options.html 共用バス上で使用するディスク装置は,サポートされるストレージ・シェルフ内,または RAID アレイ・コントローラの背後にインストールする必要があります。ユニットへのディスクのインストールは,ストレージ・シェルフを共用 SCSI バスに接続する前に行う必要があります。RAID アレイ・コントローラを共用 SCSI バスに接続する前に,ディスクのインストールとストレージセットの構成を行ってください。インストールおよび構成の詳細については,ご使用のストレージ・シェルフまたは RAID アレイ・コントローラのマニュアルを参照してください。
注意
UltraSCSI 構成で UltraSCSI 速度を実現するには,KZPBA UltraSCSI ホスト・バス・アダプタが必要なため,以降の各項では,このアダプタのみに言及しています。メンバ・システムとストレージ・デバイスでサポートされている任意の構成で,ケーブルをまったく変更することなく,KZPBA の代わりに KZPSA-BB ホスト・バス・アダプタを使用することができます。ただし,KZPSA-BB は UltraSCSI デバイスではないので,Fast-Wide 速度 (20 MB/秒) でしか動作しません。
以降の各項では,UltraSCSI ハブと HSZ80 RAID アレイ・コントローラか RAID アレイ 3000 を使用する共用 SCSI バスのストレージ構成用のケーブルを準備,インストールする手順について説明します。
3.7.1 UltraSCSI ハードウェアによる TruCluster Server 放射状接続クラスタの構成
RAID アレイ・コントローラを使用した放射状の構成にすると,ハードウェアによるミラー化の利点を活用でき,単一機器の障害によるシステムダウンを回避できる NSPOF クラスタを構築できます。TruCluster Server クラスタ構成で使用される一般的な RAID アレイ・ストレージ・サブシステムは次のとおりです。
HSZ80 コントローラ付き RA8000 または ESA12000
HSZ22 コントローラ付き RA3000
注意
RA3000 では NSPOF 構成にはできません。
TruCluster Server で RAID アレイ・コントローラを使用する利点の 1 つは,クラスタ単位のルート (/
)・ファイル・システム,メンバ・システムのブート・ディスク,スワップ・ディスク,およびクォーラム・ディスクをハードウェアでミラー化できることです。
3.7.1.1 HSZ80
これをデュアル冗長構成で使用すると,Tru64 UNIX バージョン 5.1B は,ホストの介入なしで自動的に実行される透過フェイルオーバと,一部の障害でホストの介入を必要とする多重バス・フェイルオーバの両方をサポートします。
注意
さらに,未書き込みキャッシュ・データの可用性を高めるには,デュアル冗長構成用にミラー化されたキャッシュを有効にする必要があります。
共用 SCSI バスが 1 つしかない場合は,透過フェイルオーバを使用します。両方のコントローラが同じホストおよびデバイス・バスに接続され,どちらのコントローラも,もう一方のコントローラの障害時にすべての装置を制御できます。
透過フェイルオーバは,コントローラの障害のみを補償し,SCSI バスおよびホスト・アダプタの障害は補償しないので,これは NSPOF 構成ではありません。
注意
デバイスを構成する前に,各コントローラを透過フェイルオーバ・モードに設定してください (
SET FAILOVER COPY = THIS_CONTROLLER
)。
NSPOF 構成にするには,多重バス・フェイルオーバ,および 2 つの共用 SCSI バスが必要です。
各ホストにアレイ・コントローラに接続された共用 SCSI バスが 2 つある場合,多重バス・フェイルオーバ (SET MULTIBUS_FAILOVER COPY = THIS_CONTROLLER
) を使用して,NSPOF 構成を実現することができます。SCSI バスの 1 つをいずれかのコントローラに接続し,もう一方の SCSI バスを残りのコントローラに接続します。各メンバ・システムには,それぞれの共用 SCSI バス用のホスト・バス・アダプタがあり,負荷を 2 つのコントローラ間で分散できます。ホスト・アダプタまたは SCSI バスに障害が発生すると,ホストは正常な方のコントローラに負荷を分配し直します。コントローラ自体の障害の場合は,正常な方のコントローラがすべての装置を制御します。
注意
多重バス・フェイルオーバは,HSZ80 ではデバイスのパーティショニングをサポートしません。
パーティション化されたストレージセットおよびパーティション化されたシングル・ディスク・ユニットは,多重バス・フェイルオーバ・デュアル冗長構成では動作しません。この場合,HSZ80 コントローラを多重バス・フェイルオーバ用に構成する前にパーティションを削除する必要があります。
デバイスのパーティショニングは,ACS バージョン 8.5 以降では HSG60 および HSG80 アレイ・コントローラでサポートされています。
多重バス・フェイルオーバは,テープ・ドライブまたは CD-ROM ドライブではサポートされていません。
RA3000 はアクティブ/アクティブ・モードかアクティブ/パッシブ・モードのいずれかを使用します。透過フェイルオーバ・モードや多重バス・フェイルオーバ・モードはサポートしていません。
アクティブ/アクティブ・モードの場合,上部コントローラは一方のホスト・ポートをアクティブであると見なし,もう一方のコントローラはもう一方のホスト・ポートをアクティブであると見なします。どちらのコントローラも自分側の非アクティブなホスト・ポートをパッシブであると見なします。どちらか一方のコントローラに障害が発生すると,正常なコントローラの方はどちらのホスト・ポートもアクティブであると見なします。
アクティブ/パッシブ・モードの場合,一次コントローラはどちらのホスト・ポートもアクティブであると見なします。もう一方のコントローラはどちらのホスト・ポートもパッシブであると見なします。一次コントローラに障害が発生すると,もう一方のコントローラが一次コントローラに取って代わり,どちらのホスト・ポートもアクティブであると見なします。
以下では,TruCluster Server 構成での UltraSCSI ハブを使った HSZ80 または RA3000 のケーブル接続について説明します。外部終端を使用する構成についての詳細は,第 10 章および第 11 章を参照してください。Fibre Channel ストレージについての情報は,第 7 章を参照してください。
3.7.1.3 透過フェイルオーバ・モードを使用する共用 SCSI バス用の HSZ80 の準備
HSZ80 で透過フェイルオーバ・モードを使用する場合は,次のようになります。
コントローラ A のポート 1 とコントローラ B のポート 1 が同じ SCSI バスに接続されます。
コントローラ A のポート 2 とコントローラ B のポート 2 が同じ SCSI バスに接続されます (使用する場合)。
ポート 1 に割り当てられた HSZ80 ターゲットはポート 2 からは見えません。
DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使用して,TruCluster Server 構成の透過フェイルオーバ用にデュアル冗長 HSZ80 をケーブル接続するには,次の手順に従ってください (図 3-5 を参照)。
H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタが 2 つ必要です。いずれかのトライリンクに H8863-AA VHDCI ターミネータをインストールします。
ターミネータの付いた方のトライリンクを共用 SCSI バスの端に配置するコントローラに接続します。H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタを,HSZ80 コントローラ A のポート 1 (2),およびコントローラ B のポート 1 (2) に接続します。
注意
各 HSZ80 コントローラの同じポートを使用する必要があります。
HSZ80 コントローラ A のポート 1 (2) およびコントローラ B のポート 1 (2) のトライリンク間を BN37A ケーブルで接続します。
BN37A-0C は 30 cm (11.8 インチ) ケーブル,BN37A-0E は 50 cm (19.7 インチ) ケーブルです。
DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを UltraSCSI BA356,非 UltraSCSI BA356 (ただし,必要な 180W 電源装置を備えている場合),または BA370 ストレージ・シェルフにインストールします (3.6.1.1 項または3.6.1.2 項を参照)。
以下のいずれかを行います。
DWZZH-03 を使用する場合: HSZ80 コントローラ A のポート 1 (2) またはコントローラ B のポート 1 (2) に取り付けられた空いているトライリンク・コネクタと,任意の DWZZH-03 ポートとの間に BN37A ケーブルを接続します。
DWZZH-05 を使用する場合:
フェア・アービトレーション・スイッチが
Fair
の位置にあり,フェア・アービトレーションが有効になっていることを確認します (3.6.1.2.2 項を参照)。
W1 ジャンパが取り外され,Wide アドレッシング・モードが選択されていることを確認します (3.6.1.2.3 項を参照)。
DWZZH-05 コントローラ・ポートと,HSZ80 コントローラ A のポート 1 (2) またはコントローラ B のポート 1 (2) に取り付けられた空いているトライリンク・コネクタとの間に BN37A ケーブルを接続します。
各メンバ・システムの KZPBA ホスト・バス・アダプタがインストールされている場合,それらの KZPBA を BN38C (または BN38D) HD68-to-VHDCI ケーブルを使って DWZZH ポートに接続します。KZPBA の SCSI ID が,ケーブル接続先の DWZZH-05 ポートに割り当てられた SCSI ID (12,13,14,および 15) と合致することを確認してください。
図 3-5
に,デュアル冗長 HSZ80 RAID アレイ・コントローラの放射状接続を使用し,透過フェイルオーバ用に構成された 2 メンバ TruCluster Server 構成を示します。
図 3-5: HSZ80 を使用し,透過フェイルオーバ用に構成された共用 SCSI バス
表 3-4
に,図 3-5
のクラスタ作成に使用する構成要素を示します。
表 3-4: 図 3-5 に示されているハードウェア構成要素
図中の丸で囲んだ番号 | 説明 |
1 | BN38C ケーブル [脚注 15] |
2 | BN37A ケーブル [脚注 16] |
3 | H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ |
4 | H8863-AA VHDCI ターミネータ |
3.7.1.4 多重バス・フェイルオーバを使用する共用 SCSI バス用のデュアル冗長 HSZ80 の準備
多重バス・フェイルオーバは,各ホストがアレイ・コントローラ・サブシステムへの 2 つのパス (2 つの共用 SCSI バス) を持つ,デュアル冗長コントローラ構成になります。これらのホストには,LUN を 1 つのコントローラ (共用 SCSI バス) から他のコントローラに移動する機能があります。あるホスト・アダプタまたは SCSI バスに障害が発生した場合,ホストはすべてのストレージをもう一方のパスに移動できます。両方のコントローラともすべての装置を制御でき,どちらのコントローラも,もう一方のコントローラの障害時に,すべての装置を引き続き制御することができます。したがって,多重バス・フェイルオーバは,ホスト・バス・アダプタ,SCSI バス,および RAID アレイ・コントローラの障害を補償でき,必要なハードウェアがクラスタの残りの部分にあれば,NSPOF 構成を実現できます。
注意
各ホスト (クラスタ・メンバ・システム) には,少なくとも 2 つの KZPBA ホスト・バス・アダプタが必要です。
多重バス・フェイルオーバを使用すると,2 台の HSZ80 コントローラが同時にアクティブになれます。ホストが,ホスト・バス・アダプタまたは SCSI バスの問題を検出すると,そのホストがもう一方のコントローラへのフェイルオーバを開始します。コントローラが問題を検出すると,それに割り当てられたすべての装置がもう一方のコントローラにフェイルオーバされます。
加えて,HSZ80 の各コントローラ上には 2 つのポートがあります。多重バス・フェイルオーバ・モードを有効にすると,装置へのアクセスが特定のポートに (装置ごとに) 制限されていない限り,任意の 1 ポートに割り当てたターゲットがすべてのポートから見えます。
DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使用して (ハブは 2 つ必要),TruCluster Server 構成の多重バス・フェイルオーバ用に HSZ80 をケーブル接続するには,次の手順に従います (図 3-6 を参照)。
2 つの H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタのそれぞれに H8863-AA VHDCI ターミネータをインストールします。
ターミネータの付いた 2 つの H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタを,HSZ80コントローラ A のポート 1 (2),およびコントローラ B のポート 1 (2) にインストールします。
注意
各 HSZ80 コントローラの同じポートを使用する必要があります。
DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを DS-BA356,BA356 (ただし,必要な 180W 電源装置を備えている場合),または BA370 ストレージ・シェルフにインストールします (3.6.1.1 項または3.6.1.2 項を参照)。
以下のいずれかを行います。
DS-DWZZH-03 を使用する場合: コントローラ A のポート 1 (2) に取り付けられているトライリンク・コネクタと,任意の DS-DWZZH-03 ポートとの間を BN37A VHDCI-to-VHDCI ケーブルで接続します。コントローラ B のポート 1 (2) に取り付けられているトライリンクと,2 つ目の DS-DWZZH-03 上の任意のポートとの間を 2 本目の BN37A ケーブルで接続します。
DS-DWZZH-05 を使用する場合:
フェア・アービトレーション・スイッチが
Fair
の位置にあり,フェア・アービトレーションが有効になっていることを確認します (3.6.1.2.2 項を参照)。
W1 ジャンパが取り外され,Wide アドレッシング・モードが選択されていることを確認します (3.6.1.2.3 項を参照)。
DWZZH-05 コントローラ・ポートと,HSZ80 コントローラ A のポート 1 (2) に取り付けられ空いているトライリンク・コネクタとの間を BN37A ケーブルで接続します。
2 つ目の DWZZH-05 コントローラ・ポートと,HSZ80 コントローラ B のポート 1 (2) に取り付けられた空いているトライリンク・コネクタとの間を 2 本目の BN37A ケーブルで接続します。
KZPBA がインストールされている場合,BN38C (または BN38D) HD68-to-VHDCI ケーブルを使って,各システムの最初の KZPBA を最初の DWZZH ハブ上のポートに接続します。KZPBA の SCSI ID が,ケーブル接続先の DWZZH-05 ポートに割り当てられた SCSI ID (12,13,14,および 15) と合致することを確認してください。
BN38C (または BN38D) HD68-to-VHDCI ケーブルを使用して,各システムの 2 つ目の KZPBA を 2 台目の DWZZH ハブ上のポートに接続します。KZPBA の SCSI ID が,ケーブル接続先の DWZZH-05 ポートに割り当てられた SCSI ID (12,13,14,および 15) と合致することを確認してください。
図 3-6
に,デュアル冗長 HSZ80 の放射状接続を使用し,多重バス・フェイルオーバ用に構成された 2 メンバ TruCluster Server 構成を示します。
図 3-6: HSZ80 を使用した多重バス・フェイルオーバ・モードの TruCluster Server 構成
表 3-5
に,図 3-6
のクラスタの作成に使用する構成要素を示します。
表 3-5: 図 3-6 に示されるハードウェア構成要素
丸で囲んだ数字 | 説明 |
1 | BN38C または BN38D ケーブル [脚注 17] |
2 | BN37A ケーブル [脚注 18] |
3 | H8861-AA VHDCI トライリンク・コネクタ |
4 | H8863-AA VHDCI ターミネータ |
3.7.1.5 共用 SCSI バスで RA3000 を UltraSCSI ハブで使用するための準備
RAID アレイ 3000 (RA3000) は,低価格のスタンドアロン型 UltraSCSI RAID サブシステムです。このサブシステムは RAID レベル 0,1,0+1,4,5 および JBOD (just a bunch of disks) ディスクをサポートしています。
RA3000 ストレージ・サブシステムには,単一障害によるシステムダウンを完全に回避するための冗長構成要素が組み込まれています。無停電電源装置 (UPS) が標準で付いており,停電時にキャッシュ・データを保護します。
RA3000 はデュアル・ポートの HSZ22 コントローラを使用します。オプションとして,ミラー化ライトバック・キャッシュを備えたデュアル冗長コントローラを使用すれば,データの一貫性を最大にすることができます。
V2.2 以上の SWCC (StorageWorks Command Console) のクライアント GUI は,シリアル回線で RA3000 に直接接続した Microsoft Windows NT V4.0 Service Pack 4 以降または Windows 2000 の動作する PC で使用することができます。
Tru64 UNIX メンバ・システムに V2.2 以上の SWCC エージェントがインストールされていれば,仮想ディスクをインストールした後,TCP/IP 経由で RAID アレイ 3000 と通信することもできます。
RA3000 には,次のモデルがあります。
DS-SWXRA-GH -- ラックマウント型のサブシステム (標準の RETMA またはメートル式キャビネット) で,HSZ22 コントローラが 1 台組み込まれたコントローラ・シェルフ 1 個,UPS 1 台,ホスト I/O モジュール 2 個,デバイス I/O モジュール 1 個,および 6 スロット・デバイス拡張シェルフ 1 個で構成されています。拡張シェルフ (DS-SWXRA-GN) を最大 3 個追加することにより,ストレージ・デバイスを最大 24 個収容することができます。
DS-SWXRA-GA -- デスクサイド・ペデスタル型のサブシステムで,HSZ22 コントローラが 1 台組み込まれています。基本ペデスタルにはストレージ・デバイスを 7 台まで収容できます。バッテリ・バックアップ・サブシステムには独立型の UPS が使われています。拡張ペデスタル・オプション (DS-SWXRA-GD) を使うと,サブシステムに収容できるストレージ・デバイスの数を最大 14 台に拡張できます。
いずれのモデルの RA3000 にも,HSZ22 コントローラ・オプション (DS-HSZ22-AA) を 1 台追加できます。
TruCluster Server 構成の中で DS-DWZZH-03 や DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを使って RA3000 をケーブル接続する場合は,表 3-6 に示されている手順に従ってください。
注意
どの構成例でも,アクティブ/アクティブ・フェイルオーバまたはアクティブ/パッシブ・フェイルオーバを実現するために,2 台目の HSZ22 コントローラがインストールされていることを仮定しています。
ストレージ・デバイスの構成方法についての詳細は,RA3000 のマニュアルを参照してください。
表 3-6: DWZZH UltraSCSI を使用して RA3000 を放射状に構成するためのケーブル接続
接続方法 | 参考図 |
各 KZPBA UltraSCSI ホスト・アダプタと DWZZH ポートを BN38C または BN38D HD68-to-VHDCI ケーブルで接続します。DWZZH には VHDCI コネクタを接続できます。BN38C ケーブルの代わりに,BN37A ケーブルと BN38E-0B アダプタ・ケーブルを組み合わせて使用することもできます。 [脚注 19] [脚注 20] | 図 3-7〜図 3-10 |
BN37A ケーブルのインストール [脚注 21] | -- |
アクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフ: 任意の DWZZH-03 ポートまたは DWZZH-05 コントローラ・ポートと,RA3000 コントローラ・シェルフにある Host 0 I/O モジュールの Host In ポートとの間を,BN37A ケーブルで接続します。 | 図 3-7 |
アクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタル: 任意の DWZZH-03 ポートまたは DWZZH-05 コントローラ・ポートと,RA3000 ペデスタルの Host 0 ポートとの間を,BN37A ケーブルで接続します。 | 図 3-8 |
アクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードまたはアクティブ/アクティブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタル: DWZZH-05 コントローラ・ポートと,RA3000 ペデスタルの Host 0 ポートとの間を,BN37A ケーブルで接続します。また,DWZZH-05 ホスト・ポートと RA3000 ペデスタルの Host 1 ポートとの間を,別の BN37A ケーブルで接続します。 | 図 3-9 |
アクティブ/アクティブ・フェイルオーバ・モードまたはアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフ: 任意の DWZZH-03 ポートまたは DWZZH-05 コントローラ・ポートと,RA3000 コントローラ・シェルフにある Host 0 I/O モジュールの Host In ポートとの間を,BN37A ケーブルで接続します。また,Host 0 I/O モジュールの Host Out ポートと Host 1 I/O モジュールの Host In ポートとの間を,BN37A-0E 50 cm ケーブルで接続します。 | 図 3-10 |
|
図 3-7〜図 3-10に示す構成では,RA3000 に 2 台の HSZ22 コントローラがあることを仮定しています。
図 3-7
は,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブに 4 メンバを放射状に接続した TruCluster Server 構成とアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフとを組み合わせた例を示しています。丸で囲んだ番号の意味は,表 3-7
で説明しています。
図 3-7: TruCluster Server とアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフを組み合わせた構成
図 3-8
は,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブに 4 メンバを放射状に接続した TruCluster Server 構成とアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタルとを組み合わせた例を示しています。丸で囲んだ番号の意味は,表 3-7
で説明しています。
図 3-8: TruCluster Server,アクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタル,および DWZZH-05 UltraSCSI ハブを組み合わせた構成
図 3-9 は,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブに 2 メンバを放射状に接続した TruCluster Server 構成とアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタルとを組み合わせた例を示しています。この構成では,RA3000 コントローラとの間の帯域幅を拡げるために,ペデスタルの独立した 2 個のホスト・ポートに接続を張っています。丸で囲んだ番号の意味は,表 3-7 で説明しています。
注意
アクティブ/アクティブ・フェイルオーバを有効にするために DWZZH-05 ホスト・ポートを RA3000 ペデスタルのホスト・ポートに接続する場合は,DWZZH-05 のフェア・アービトレーション・スイッチを
DISABLE
にして,フェア・アービトレーションを無効にする必要があります。
図 3-9: TruCluster Server とアクティブ/アクティブ・フェイルオーバ・モードまたはアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 ペデスタルとを組み合わせた構成
図 3-10
は,DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブに 4 メンバを放射状に接続した TruCluster Server 構成とアクティブ/アクティブ・フェイルオーバ・モードまたはアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフとを組み合わせた例を示しています。丸で囲んだ番号の意味は,表 3-7
で説明しています。
図 3-10: TruCluster Server とアクティブ/アクティブ・フェイルオーバ・モードまたはアクティブ/パッシブ・フェイルオーバ・モードの RA3000 コントローラ・シェルフとを組み合わせた構成
表 3-7: 図 3-7 〜 図 3-10 の構成で使用されるハードウェア構成要素
丸で囲んだ数字 | 説明 |
1 | BN38C HD68-to-VHDCI ケーブル。 [脚注 22] BN38E-0B アダプタ・ケーブルと BN37A ケーブルを組み合わせて BN38C ケーブルの代わりに使用することもできます。 [脚注 23] |
2 | BN37A VHDCI ケーブル [脚注 24] |
3 | BN37A-0E 50 cm VHDCI ケーブル [脚注 25] |