4    日本語プリンタの設定

Tru64 UNIX では,従来から提供している lpr(1) コマンドによるプリント機能に加えて,Advanced Printing Software を利用したプリント機能を提供しています。 この章では,4.1 節4.4 節lpr コマンドのためのプリンタ設定について説明し,4.5 節 で Advanced Printing Software について説明します。

4.1    プリンタ・コード

国際化された環境では,様々な漢字コードを使用した日本語テキスト・ファイルがファイル・システム上に多数存在することになるでしょう。 ユーザが使用しているプリンタ装置が,ファイルと異なるコードセットを使用している場合,プリンタ装置に合わせて適当に文字コードを変換しなければなりません。 以後,本書ではファイルに使用されているコードセットをファイル・コード,プリンタ装置(シリアル・プリンタ装置)が処理することのできるコードセットをプリンタ・コードと呼びます。

ファイルの内容をプリンタで印字するには, lpr(1) コマンドを使用します。 lpr(1) は,出力するファイルのファイル・コードとして現在のユーザのロケールの「文字コードセット」の部分を参照します。 またプリンタ・コードとして,/etc/printcap の中から使用するプリンタ装置の ya というエントリを探し,そこで指定されているコードセットを参照します。 ここでファイル・コードと,プリンタ・コードに異なるコードセットが使用されている場合,iconv によって出力するファイルの文字がプリンタ・コードに変換され,プリンタ・スプールと呼ばれるディレクトリにファイルとして出力されます。 またプリンタ制御のための制御ファイルもプリンタ・スプールに書き込まれます。

次に lpr(1) は,プリンタ・スプール・デーモン lpd(8) にプリント要求を送ります。 lpd(8) は,プリント要求を受けるとスプール・ディレクトリに置かれた出力ファイルを出力装置に応じたプリンタ・フィルタに通してからプリンタ装置へ出力します。

4.2    日本語プリンタの設定方法

日本語プリンタの設定は,/usr/sbin/lprsetup コマンド,あるいは Printer Configuration ユーティリティを使用して行います。これらの作業にはスーパユーザ特権が必要です。

lprsetup コマンドの起動は,コマンド行から直接起動するか,あるいは SysMan Menu から「Configure line printer」を選択することにより行えます。

Printer Configuration ユーティリテを利用して日本語プリンタの設定を行う場合は,以下の手順に従ってください。

  1. CDE のアプリーション・マネージャから, 「システム管理」→「システム設定」→「プリンタ」 の順にアイコンを選択して,Printer Configuration ユーティリティを起動します。

  2. 「Available Printer Types」の中から,設定するプリンタの名前をクリックします。 日本語プリンタの名前には,最後に "ja" が付いています。

            例:DEClaser2300
     
    

  3. 「Configure...」ボタンをクリックします。

  4. Printer Aliases (プリンタの別名)や,プリンタを接続するデバイス名などを 入力します。

  5. 「Advanced...」ボタンをクリックすると,フラグページの抑制など,細かな設定を行うことができます。 Printer ODL によるユーザ定義文字の印刷機能を使用する場合には,「Advanced...」ボタンをクリックして必要な設定を行ってください。

    1. Printer ODL 機能を設定するには,「SoftODL cache size (ys):」のフィールドを選択して,256 を入力します (256 以外の値に設定することも可能です)。

    2. 「Country-specific params (ya):」のフィールドを選択して,odlstyle の設定を追加します。

      たとえば,ln05ja で,フォントサイズ 40x40 のフォントを使用する場合は,次のように設定します。

      "plocale=ja_JP.sdeckanji odlstyle=normal-40x40"
       
      

    3. 「Advanced...」画面の入力が終了したら,「OK」 ボタンをクリックします。

  6. 「Commit」 ボタンをクリックして設定内容を保存した後,「Close」 ボタンをクリックします。

  7. 以上で,プリンタの設定は終了です。設定内容は,/etc/printcap ファイルに書き込まれています。

例 4-1:  /etc/printcap の例

lp0|0|ln05:\
        :af=/usr/adm/lp0acct:\
        :br#9600:\
        :ct=dev:\
        :fc#0177777:\
        :fs#023:\
        :if=/usr/lbin/ln05jaof:\
        :lf=/usr/adm/lp0err:\
        :lp=/dev/tty01:\
        :mx#0:\
        :of=/usr/lbin/ln05jaof:\
        :pl#66:\
        :pw#80:\
        :sd=/usr/spool/lpd0:\
        :xc#0177777:\
        :xf=/usr/lbin/xf:\
        :xs#044000:\
        :ya="plocale=ja_JP.sdeckanji odlstyle=normal-40x40":\
        :ys#256:
 

Printer Configuration ユーティリティは,System Setup ユーティリティの Custom Setup サブ・ユーティリティから「Printer Configuration」を選択することによっても起動できます。

Tru64 UNIX が提供するプリンタ・サポートの国際化機能については, i18n_printing(5) を参照してください。

4.3    ESC/P プリンタを利用するための設定

Tru64 UNIX では,pcfof フィルタ用の構成ファイル escp_a4_10cpi および escp_a4_12cpi が提供されており,ESC/P プリンタを利用することができます。これらの構成ファイルは,ESC/P プリンタの初期化コードの設定と,10 または 12 CPI (characters per inch) 印刷のための設定を行います。

lprset コマンドで escp_a4_10cpi または escp_a4_12cpi を選択することにより,printcap ファイルに対して ESC/P プリンタの設定が自動的に行なわれます。

/etc/printcap を手作業で編集する場合は,if および of エントリを次のように設定してください。

:if=/usr/lbin/pcfof +Cescp_a4_10cpi -Opcode=escp:
:of=/usr/lbin/pcfof +Cescp_a4_10cpi -Opcode=escp:
 

さらに,次のように,ya エントリに対してプリンタ・ロケールとして ja_JP.eucJP を設定する必要があります。

:ya="plocale=ja_JP.eucJP":
 

4.4    ESC/Page プリンタを利用するための設定

「Tru64 UNIX V5.1B Operating System 日本語追加機能」 CD-ROM には ESC/Page プリンタ用の汎用フィルタ escpageof が提供されており,このフィルタを使用することにより Tru64 UNIX で ESC/Page プリンタを利用することができます。

本フィルタは lprset コマンド には対応していませんので /etc/printcap を手作業で編集する必要があります。

システムに escpageof をインストールしたら,/etc/printcap のエントリを次のように設定してください。

:if=/usr/lbin/escpageof:
:of=/usr/lbin/escpageof:
 

if エントリにオプションを指定することにより,デフォルトの印刷結果を自由に設定することができます。使用可能なオプションは w,l,i,K,I,O,N です。

以下に例を示します。

:if=/usr/lbin/escpageof  -N2 -K2:
 

この例の場合,デフォルトで印刷用紙の各面に 2 ページ分が印刷されます。

escpageof のインストレーション方法,設定方法,および使用方法については, 「Tru64 UNIX V5.1B Operating System 日本語追加機能」 CD-ROM の j_lprfilter ディレクトリに含まれている README ファイルをを参照してください。

4.5    Advanced Printing Software のインストレーションと設定

Advanced Printing Software は,Xerox 社の PrintXchange 技術をベースに開発された分散クライアント/サーバ型のプリンティング・システムです。Advanced Printing Software は,インバウンドおよびアウトバウンド・ゲートウェイを使用して,従来から提供している lpr/lpd プリント・サブシステムとの間でプリント・ジョブの送受信を行います。

Advanced Printing Software の英語版キットおよび日本語版キットは「Associated Products Volume 1」CD-ROM に 含まれています。Advanced Printing Software を利用して日本語プリンタにファイルを出力したい場合は,英語版および日本語版の両方のキットをシステムにインストールする必要があります。

Advanced Printing Software の日本語キットには,日本語プリンタに日本語テキスト・ファイルまたは日本語 PostScript ファイル (プリンタが日本語 PostScript 対応の場合) を出力するための環境が用意されています。

Advanced Printing Software のインストレーション,設定,および使用方法については,Advanced Printing Software の日本語ドキュメントを参照してください。 Advanced Printing Software の日本語ドキュメントは「日本語追加機能」CD-ROM に含まれています。