4    デスクトップおよびアプリケーションの管理

この章では,デスクトップおよびアプリケーションの管理に関する情報について説明します。CDE デスクトップは,ファイル・マネージャ,スタイル・マネージャ,およびアプリケーション・マネージャを提供します。それぞれのマネージャを使用して,デスクトップ環境の管理とカスタマイズを行うことができます。

以降の各節では,ファイル・マネージャ,アプリケーション・マネージャ,およびスタイル・マネージャの使用方法について詳しく説明します。

4.1    ファイルおよびフォルダの管理

ファイル・マネージャは,システム上でディレクトリ (フォルダ) やファイルを管理するためのアプリケーションです。ディレクトリには,サブディレクトリ,ファイル,およびアプリケーションを入れることができ,これらがすべてファイル・マネージャ内でアイコン表示されます。ファイル・マネージャの下のディレクトリ構造は,非グラフィック環境と同じ構造になっています。実際には,ファイルは名前でだけ表示できます。

ファイル・マネージャ を起動すると,現在のディレクトリ・パス,メニュー,表示領域を含むウィンドウがオープンされ,その表示領域にディレクトリの内容がアイコン表示されます。状態表示行には,表示中のディレクトリ内のオブジェクト数が表示されます。図 4-1 に,CDE ファイル・マネージャを示します。

図 4-1:  CDE ファイル・マネージャ

ファイル・マネージャのメニューを使用して,ディレクトリおよびファイルの変更,移動,および名前の変更ができます。特定のファイルにアクションを実行したり,ファイルの表示方法を指定することもできます。以降の各項では,ファイル・マネージャのメニューで使用できるオプションについて説明します。ファイル管理のその他の方法についての詳しい説明は,『Common Desktop Environment: ユーザーズ・ガイド』 を参照してください。

この節では,次の事項について説明します。

4.1.1    ファイル・マネージャの「ファイル」メニューの使用方法

「ファイル」メニューは,ディレクトリやファイルの名前の変更,およびファイル・マネージャ内でのディレクトリやファイルの移動を行うのに使用します。表 4-1 に,ファイル・マネージャの「ファイル」メニューの選択項目を示します。

表 4-1:  ファイル・マネージャの「ファイル」メニュー

メニュー項目 用途
新規フォルダ... 新しいディレクトリを作成するためのダイアログ・ボックスをオープンします。パス名を指定しなかった場合,新しいディレクトリは現在のディレクトリに作成されます。
新規ファイル... 新しいファイルを作成するためのダイアログ・ボックスをオープンします。パスを指定しなかった場合,新しいファイルは現在のディレクトリ内に作成されます。
ホームへ ホーム・ディレクトリに移動します。表示領域には,ホーム・ディレクトリにあるすべてのファイルとディレクトリが表示されます。
上位へ 親フォルダに移動します。つまり,現在のディレクトリの上のディレクトリの内容が表示されます。
フォルダ指定... 表示したいディレクトリを指定するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
検索... 検索したいディレクトリまたはファイルを指定するためのダイアログ・ボックスをオープンします。ディレクトリやファイルの指定には,ワイルドカードを使用できます。ファイル名がわからなければ,ファイル内容でも検索できます。検索されるファイルは,名前別にリストされます。ファイルをワークスペースに配置するオプションやファイル・マネージャにあるファイルの内容を表示するためのオプションが提供されています。
端末エミュレータを開く 端末エミュレータ・ウィンドウをオープンします。このウィンドウを使用すれば,新しいファイルの作成やファイル管理に関連するその他のタスクを実行できます。
閉じる ファイル・マネージャを終了します。

4.1.2    ファイル・マネージャの「選択」メニューの使用方法

「選択」メニューは,指定したディレクトリまたはファイルに対してアクションを実行するのに使用します。アクションを実行する前に,必ずディレクトリまたはファイルを選択してください。ディレクトリまたはファイルを選択するには,ファイル・マネージャ・ウィンドウのアイコンをクリックします。表 4-2 に,ファイル・マネージャの「選択」メニューの選択項目を示します。

表 4-2:  ファイル・マネージャの「選択」メニュー

メニュー項目 用途
移動先... ディレクトリまたはファイルを新しい場所に移動するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
コピー先... ディレクトリまたはファイルを新しい場所にコピーするためのダイアログ・ボックスをオープンします。
リンクとしてコピー... ディレクトリまたはファイルを新しいデスティネーションにリンクとしてコピーするためのダイアログ・ボックスをオープンします。
ワークスペースに置く 選択したディレクトリまたはファイルをワークスペースに配置します。
ごみ箱に捨てる 選択したディレクトリまたはファイルを削除します。
名前の変更... ディレクトリまたはファイルに対して新しい名前を指定するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
アクセス権の変更... 選択したディレクトリまたはファイルに対する許可を変更するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
すべてを選択 現在のディレクトリにあるすべてのディレクトリおよびファイルが指定したアクションの対象となるようにマークをつけます。
選択をすべて解除 アクションの対象としてマークがつけられたすべてのディレクトリおよびファイルからマークを解除します。

4.1.3    ファイル・マネージャの「表示」メニューの使用方法

「表示」メニューは,ディレクトリおよびファイルの表示方法を操作するのに使用します。表 4-3 に,ファイル・マネージャの「表示」メニューの選択項目を示します。

表 4-3:  ファイル・マネージャの「表示」メニュー

メニュー項目 用途
新しいウィンドウに表示 新しいファィル・マネージャ・ウィンドウをオープンします。
表示オプションの設定... ヘッダのフォーマット,ファイルの配置,およびそれらの表示方法を指定するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
デフォルト・オプションとして保存... ファイル・マネージャの現在の設定を保存するためのダイアログ・ボックスをオープンします。
隠しオブジェクトも表示 現在のディレクトリにある隠しディレクトリおよびファイルをすべて表示します。
フィルタ・オプションの設定... 「フィルタ・オプションの設定」ダイアログ・ボックスをオープンします。ここでは,隠したいファイルをデータのタイプや名前によって指定できます。
整列 現在のディレクトリにあるオブジェクトを縦横にソートして配列します。
更新 アプリケーションを起動してから作成された新しいディレクトリまたはファイルをすべて追加して,ファイル・マネージャの表示をリフレッシュします。

4.2    アプリケーションの管理

アプリケーション・マネージャは,システム上で使用するアプリケーションおよびその他のツールを入れておく場所です。システムがインストールされるとアプリケーション・マネージャの下にアプリケーションが配置され,それらに加えてシステム管理者あるいはユーザがアプリケーションを追加することができます。図 4-2 に,CDE アプリケーション・マネージャを示します。

この節では,次の事項について説明します。

図 4-2:  CDE アプリケーション・マネージャ

4.2.1    組み込みアプリケーション・グループへのアクセス

アプリケーション・マネージャ を起動すると,いくつかのアプリケーション・グループがメイン・ウィンドウに表示されます。各アプリケーション・グループは, 1つまたは複数のコントロールやサブディレクトリを収容できるディレクトリです。

省略時のアプリケーション・グループは,次のとおりです。

4.2.2    アプリケーション・マネージャのメニューの使用方法

アプリケーション・マネージャは,実際には,システム上の特殊ディレクトリを表示するファイル・マネージャです。ファイル・マネージャと異なる点は,アプリケーション・マネージャが管理するディレクトリおよびコントロールは,関連するグループ内にグループ・アプリケーションとして表示され,このグループに含まれているすべてのファイルは,データ・ファイル,README ファイル,テンプレート,およびアクションであることです。アプリケーション・マネージャのメニューとファイル・マネージャのメニューは,密接に関連しています。アプリケーション・マネージャのメニューの使用方法についての説明は,4.1 節にあるファイル・マネージャのメニューに関する説明を参照してください。

4.2.3    アプリケーション・マネージャからのアプリケーションの実行

アプリケーション・マネージャからアプリケーションを実行するには,アプリケーション・グループのアイコンをダブルクリックしてその内容を表示してから,起動したいアプリケーションをダブルクリックします。

4.3    環境のカスタマイズ

スタイル・マネージャ は,環境をカスタマイズするためのアプリケーションです。スタイル・マネージャを起動すると,いくつかのコントロールを表示したウィンドウがオープンします。各コントロールは,アイコンで表され,それぞれ,スクリーン表示,システム特性,スタートアップおよびログアウト動作をカスタマイズするのに使用されます。各コントロールがオープンするダイアログ・ボックスには,さまざまなオプションが提供されています。図 4-3 に,CDE スタイル・マネージャを示します。

図 4-3:  CDE スタイル・マネージャ

Common Desktop Environment: ユーザーズ・ガイド』 に,スタイル・マネージャの使用方法についての詳しい説明があります。以降の項では,これらのオプションについて説明します。

この節では,次の事項について説明します。

4.3.1    スクリーン表示の変更

スタイル・マネージャには,ワークスペースの表示を変更するための 3 つのコントロールがあります。カラー,フォント,および背景コントロールです。

カラー・コントロール は,ウィンドウおよびアプリケーションの表示に使用される色を設定するのに使用します。省略時のカラー・パレット・リストが提供されていて,それぞれの色をデスクトップに適用する前に見ることができます。

カラー・コントロールを使用すると,次のことを実行できます。

フォント・コントロール は,アプリケーションおよびウィンドウで使用するフォントのサイズを変更するのに使用します。ユーザが利用できるフォントは,ユーザが使用するディスプレイのタイプによって決まります。このコントロールを使用すると,選択したすべてのフォントをデスクトップに適用する前に見ることができます。

背景コントロール は,ワークスペースの背景パターンを変更するのに使用します。 このコントロールは,ユーザが選択できるいくつかのパターンのリストを提供していて,各パターンをデスクトップに適用する前に表示領域で見ることができます。

ルート・ウィンドウの表示にしたい場合には,「NoBackdrop」オプションを選択してください。

4.3.2    システム特性の設定

スタイル・マネージャには,システム特性を設定するための 5 つのコントロールがあります。キーボード,マウス,ビープ音,画面,およびウィンドウのコントロールです。

キーボード・コントロール を使用して,キー・クリック・ボリュームおよびオートリピート機能を設定します。キー・クリック・ボリュームは,入力するときのキー・クリック音の大きさを決定します。キー・クリック音が出ないようにするには,音量を 0 にします。オートリピート機能は,キーを押している間キーがそのアクションを反復するかどうかを決定します。

マウス・コントロール を使用して,次のことを選択します。

ビープ音コントロール を使用して,ビープ音の聞こえ方,ビープ音のピッチ,および継続期間を設定します。音量を 0 にすると,ビープ音が出ないように設定できます。

注意

すべてのキーボードが,キー・クリック・ボリュームあるいはビープ音の変更をサポートしているわけではありません。

画面コントロール は,一定の時間が経過するとスクリーン・セーバがスクリーン上に配置されるかどうかを指定します。 空白のスクリーンを選択するか,または,利用可能なスクリーン・セーバをリストの中から選択できます。画面コントロールを使用すると,一定の時間間隔でスクリーンをロックするかどうかについても指定できます。

ウィンドウ・コントロール は,ウィンドウがフォーカスを取得する方法,フォーカスを受け取ったウィンドウを大きくするかどうか,アイコン・ボックスを使用するかどうかなどの特性を変更します。

4.3.3    スタートアップおよびログアウト動作の指定

スタイル・マネージャには,次の項目を実行するための起動コントロールが提供されています。

作業中のセッションが,現在のセッションになります。 省略時の設定では,デスクトップは,ログアウト時に現在のセッションを保存します。このセッションは,その次のセッションへのログイン時に再開されます。起動コントロールを使用すると,現在のセッションに戻るか,またはホーム・セッションを開始するかを選択できます。ホーム・セッションを選択すると,システムにログインするたびに同じ設定が表示されます。つまり,ホーム・セッションは,ユーザが現在のセッションで何を実行しても変わりません。

セッションの終了前に,ログアウトの確認について照会されます。確認メッセージを表示させるかどうかは,自由に指定できます。ログアウトの確認をオフに設定すると,ログアウト処理を取り消すためのオプションは与えられません。省略時の設定では,セッションを終了するかどうか確認するプロンプトが出されます。