6    分散型アプリケーションの TruCluster Server への移行

分散型アプリケーションは,クラスタ内で使用するように修正されているアプリケーションです。クラスタに対応している,つまり,クラスタ内で動作することを意識しているアプリケーションです。アプリケーションをクラスタ内で実行しただけでは,アプリケーションはクラスタ対応にはなりません。分散型アプリケーションの構成要素は,しばしば,TruCluster Server 製品にバンドルされているアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) ライブラリを使い,メンバ・システム間で情報を交換し,協調して共用データにアクセスします。

次のサブシステム API は,TruCluster の以前の製品で提供されていた API と完全に互換性があります。

クラスタ別名,DLM,および Memory Channel の各 API の使用方法についての詳細は,それぞれ第 8 章第 9 章,および第 10 章を参照してください。

この章では,次の項目について説明します。

6.1    分散型アプリケーションの TruCluster Server への移行の準備

分散型アプリケーションを TruCluster Server に移行する準備をする際には,次の点に注意します。

6.2    TruCluster Server 上での Oracle Parallel Server の実行

この節では,Oracle 8i リリース 3 (8.1.7) の OPS (Oracle Parallel Server) オプションを立ち上げて TruCluster Server バージョン 5.1 以降のクラスタで動作させる方法について説明します。Oracle8i 8.1.7 は TruCluster Server バージョン 5.1B 以降で実現されたダイレクト入出力機能を利用しているので,TruCluster Server バージョン 5.1B 以降のクラスタ・ファイル・システム上に OPS を構成することができます。Oracle の以前のバージョンでは,クラスタ内にある raw ディスクのパーティションまたはボリュームを使う必要がありました。クラスタにおけるダイレクト入出力についての説明は,TruCluster Server 『クラスタ管理ガイド』 を参照してください。

注意

Tru64 UNIX および TruCluster Server バージョン 5.1B 上で Oracle9i Real Application Cluster (RAC) を実行するには,次のサイトで提供されている『Installation Guide』を参照してください。 http://otn.oracle.com/products/oracle9i/pdf/Oracle_9i_on_Tru64_UNIX.pdf

このドキュメントでは Oracle9i RAC について説明するとともに,クラスタ環境で Tru64 UNIX,TruCluster Server,および Oracle をインストールして構成する方法について説明しています。

OPS を TruCluster Server 上で実行するためには,次の手順に従います。

  1. Oracle8i リリース 3 (8.1.7) のドキュメントに記載されている指示に従って,Oracle8i リリース 3 (8.1.7) をインストールして構成します。Oracle8i は 1 つのクラスタ・メンバにインストールするだけで十分です。

    Oracle には特別な要件があります。この要件には,特定のカーネル属性に特定の値を設定していること,特定の UNIX グループ (dba, oinstall) を作成していること,特別な環境変数を初期化していることなどがあります。

    Oracle8i リリース 3 (8.1.7) のドキュメントに記載されている指示に従って,Oracle Parallel Server オプションを構成します。

  2. クライアント要求の負荷を分散するためにクラスタ別名を使用するよう,Net8 リスナを構成します。また,OPS の MTS (Multi-Threaded Server) 機能を使用することでも,クライアント要求の負荷を分散することができます。Oracle8i のドキュメントを参照してください。

    クラスタ別名を使う場合は,次の行を /etc/clua_services ファイルに追加して,Oracle8i リスナの使用するポートの特性を設定します。

    listener            1521/tcp            in_multi
     
    

    ポート 1521 に in_multi 属性を設定すると,クラスタ別名サブシステムはそのクラスタ別名宛の接続要求を,その別名のすべてのメンバに分散させるようになります。

  3. 各クラスタ・メンバで次のコマンドを実行し,クラスタ別名のサービス定義を再ロードします。

    # cluamgr -f
     
    

  4. OPS をクラスタにセットアップし,ローカルからもリモートからもアクセスできることを確認したら,各メンバがブート時にそれぞれのデータベース・インスタンスを起動し,シャットダウン時にそのデータベース・インスタンスを停止することを確認する必要があります。このために,スクリプトを /sbin/init.d に置く方法をお勧めします。

    CAA (Cluster Application Availability) の処理スクリプトを作成して,データベース・インスタンスを自動的に起動し停止させることも可能です。ただし,その場合は OPS を 1 つのクラスタ・メンバに制限する必要があります。OPS の起動と停止についての詳細は,Oracle8i リリース 3 (8.1.7) のドキュメントを参照してください。

6.3    Oracle Parallel Server の TruCluster Server への移行

OPS を TruCluster Server に移行する際には次の点に注意してください。