この付録では,インストレーション中に問題が発生した場合に表示されるエラー・メッセージと,対処方法を示します。 できる限り多くのエラーを網羅していますが,ここに記載されていないエラーが発生する可能性もあります。
この付録はエラー・メッセージ別ではなく,トピック別に構成されています。
フル・インストレーションのエラー・メッセージ (G.1 節)
ディスク・ラベル,ファイル・システム,および LSM の構成のエラー・メッセージ (G.1.1 項)
LSM 構成エラー (G.1.1.1 項)
既存の LSM 構成での多重
hostid
エラー (G.1.1.2 項)
システムのリブート時に LSM の再スタートに失敗した場合の,LSM の再スタート (G.1.1.3 項)
構成記述ファイル (CDF) のチェック・エラー (G.1.2 項)
ソフトウェア・サブセットのロード・エラー (G.1.3 項)
アップデート・インストレーションのエラー・メッセージ (G.2 節)
スタートアップのエラー・メッセージ (G.2.1 項)
CD-ROM のエラー・メッセージ (G.2.1.1 項)
RIS のエラー・メッセージ (G.2.1.2 項)
分析フェーズのエラー・メッセージ (G.2.2 項)
ソフトウェア構成のエラー・メッセージ (G.3 節)
インストレーション後処理のエラー・メッセージ (G.4 節)
フル・インストレーションの際に発生する一般的なエラー・メッセージについて,次に説明します。
このメッセージは,ソフトウェアのロード時や構成時に誤って表示されることがあります。 このメッセージは無視して構いません。
一部のタイプのプロセッサでは,現在インストールされているファームウェア・レベルが,フル・インストレーションの手法では検出できません。 推奨するリビジョン番号と,システムのファームウェアをアップデートする方法については,『Alpha AXP Systems Firmware Update Release Notes Overview』を参照してください。
フル・インストレーションでテキスト・ベース・インタフェースを使用しているときに,ping
コマンドを入力して入出力ライトを点滅させて,デバイス名と物理ディスクの対応を調べようとしました。
何らかの原因により,この
ping
コマンドが失敗しました。
このディスクが使用できないために
ping
が失敗したわけではありません。
単に,この方法でのディスクの識別ができないだけです。
フル・インストレーション中に,未使用の空きディスク・パーティションがなくなりました。
ハードディスクのディスク・ラベルが,パーティション
a
だけでディスク全体を占めるようになっていて,他に利用可能なディスクがないことが考えられます。
この場合,ディスクを再分割してセグメントのサイズを正しくしなければなりません。
グラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用している場合は,ディスク構成ユーティリティを呼び出して,この作業を行います。
テキスト・ベース・インタフェースを使用している場合は,終了して
UNIX シェルへ戻り,disklabel
コマンドを使用してディスクを再分割します。
ただし,もっと難しい修正が必要になるケースもあります。
たとえば,システムに RZ25 ディスク (推奨のディスク・ラベルを使用するには小さすぎる) が 2 つあり,両方とも CD タイプのラベルを持ち (つまり,パーティション
a
とパーティション
c
が同じ大きさのパーティションで,他のパーティションが割り当てられていない),1 つのディスクを
/
ファイル・システムに,もう一方を
/usr
に使用し,他には利用できる領域がないとします。
このような場合には,ディスク・ラベルを編集しなければなりません。
LSM (Logical Storage Manage) のインストレーションと構成が選択されています。 各ディスクに LSM プライベート・リージョン用のパーティションが必要ですが,このディスクには空きがありません。 このディスクを再分割して,LSM プライベート・リージョン用に最低 2 MB のサイズのパーティションを用意しなければなりません。 再分割できない場合は,他のディスクを選択してください。
配布メディアが壊れている場合に,このメッセージが表示されることがあります。 弊社の各支店/営業所に連絡して,新しいオペレーティング・システム CD-ROM セットを入手してください。 RIS サーバからインストレーションを行っている場合は,RIS 環境を再構築しなければならない可能性があります。 RIS 管理者にこの問題について連絡してください。
配布メディアが壊れている場合に,このメッセージが表示されることがあります。 弊社の各支店/営業所に連絡して,新しいオペレーティング・システム CD-ROM セットを入手してください。 RIS サーバからインストレーションを行っている場合は,RIS 環境を再構築しなければならない可能性があります。 RIS 管理者に連絡して,この問題について報告してください。
G.1.1 ディスク・ラベル,ファイル・システム,および LSM の構成のエラー・メッセージ
フル・インストレーション時のディスク・ラベル,ファイル・システム,または LSM (Logical Storage Manager) の構成でエラーが発生した場合は,次の指示が表示されます。
Please inspect the file /var/tmp/install.FS.log to identify the source of the failure
/var/tmp/install.FS.log
ファイルは
/var
メモリ・ファイル・システム (MFS) に書き込まれるため,システムのリブート時に削除されます。
次のコマンドを使用して,このファイルの内容を参照してください。
# more /var/tmp/install.FS.log
対処方法は,失敗したコマンドから返されたエラー・メッセージによって異なります。 一般的な手順として,インストレーションのターゲット・ディスクが接続され,正しく動作していることを確認します。 正しく動作している場合は,インストレーション・プロシージャを再スタートし,可能であれば別のディスクを選択します。 弊社の各支店/営業所に連絡して,ディスク障害の原因を究明してください。
LSM 構成フェーズ中のエラーは,既存の LSM 構成の問題によって発生することもあります。 可能であれば,失敗したコマンドから返されたエラー・メッセージを分析し,既存の構成を確認,修正してから,インストレーションを再スタートします。 LSM の問題の修正方法についての詳細は,『Logical Storage Manager』,または関連する LSM コマンドのリファレンス・ページを参照してください。
この項では,次のトピックについて説明します。
システムのリブート時に LSM の再スタートに失敗した場合の,LSM の再スタート
LSM
インストレーション・エラーの詳細 (実際のエラー・メッセージを含む) は,/var/tmp/install.FS.log
ファイルに記録されます。
このファイルは
/var
メモリ・ファイル・システム内に置かれるため,システムをリブートするまでの間だけ利用できます。
通常,ログの最後のエントリがエラーの原因です。
LSM 構成の現在の状態の詳細は,表 G-1
に示すコマンドを使用して表示できます。
表 G-1: LSM 表示コマンド
表示コマンド | 表示される LSM の構成要素 |
voldisk list
|
ディスク,ディスク・メディア |
voldisk -s list
|
拡張 voldisk リスト出力 |
volprint |
ボリューム,プレックス,サブディスク,プライベート・リージョン |
volprint -t |
拡張 volprint 出力 |
voldg list rootdg |
ディスク・グループ,プライベート・リージョン |
disklabel -r
name |
パーティション fstype |
問題の原因が特定できたら,LSM 構成の構成要素を手作業で削除することができます。
LSM の構成要素を削除するコマンドを,表 G-2
に示します。
表 G-2: LSM の削除コマンド
削除コマンド | 削除される LSM 構成要素 |
voldisk rm
name |
ディスク |
voldg rmdisk
name |
ディスク・メディア,プライベート・リージョン |
voledit -rf rm
name |
ボリューム,プレックス,サブディスク |
voldisk rm
コマンドは,LSM ディスクを削除し,ディスク・ラベル上のパーティション fstype を,unused
に変更します。
何らかの原因で,このコマンドの実行後にディスク・ラベルが変更されていない場合は,次のコマンドを入力して,手作業で fstype を
unused
に変更します。
# disklabel -s unused /dev/disk/dsk0
問題の原因を取り除いたら,restart
コマンドを入力するかインストレーション・メディアからリブートして,インストレーションを再スタートすることができます。
既存の LSM 情報を維持する必要がない場合は,インストレーション・プロシージャを開始する前に,システム上の各ディスクに対して
disklabel -z
コマンドを実行して,LSM を完全に削除することもできます。
この方法は,既存の LSM 構成が正しいかどうか分からない場合にお勧めします。
注意
既存のディスク・ラベルを削除すると,元の構成に戻すことはできません。 システム上にある既存のデータは,すべて失われます。
ここに記載している情報は,LSM のフル・インストレーションに固有のものであり,一般的な LSM の概要を説明しているわけではありません。
詳細については,『Logical Storage Manager』または関連する LSM リファレンス・ページを参照してください。
G.1.1.2 既存の LSM 構成での多重 hostid エラーの修正
LSM
では,rootdg
ディスク・グループに
hostid
を 1 つだけ定義する必要があります。
さまざまな原因 (オリジナルのシステムから正しくエクスポートして新しいシステムにインポートするという手順を踏まずに,LSM システム間でディスクを交換するなど) で,既存の LSM 構成は,rootdg
ディスク・グループに対して複数の
hostid
が存在する状態になっていることがあります。
hostid
が複数ある LSM 構成のシステムに LSM をインストールしようとすると,フル・インストレーション時に次のメッセージが表示されます。
LSM could not be initialized on this system due to the following error: lsm:voldctl: ERROR: enable failed: Multiple hostid's found for rootdg o Choose "Continue" if you want the install process to create all file systems without LSM. Refer to the Logical Storage Manager documentation for instructions on how to configure LSM after the installation. o Choose "Exit Installation" if you would like to attempt recovery from the LSM failure. You will be placed in single-user mode at the UNIX shell with superuser privileges. Refer to the Logical Storage Manager documentation for any additional information regarding the error. 1) Continue 2) Exit Installation Enter your choice:
rootdg
ディスク・グループに対して
hostid
が複数検出されたシステムでは,フル・インストレーション中に LSM を選択することはできません。
この問題はインストレーション環境に固有ではないため,フル・インストレーション処理が自動的に解決することはできません。
LSM をインストールしたい場合は,手作業で問題を解決してからフル・インストレーションを再スタートします。
この問題を解決するには,以下の方法を試さなければなりません。
この問題を解決する最初の方法は,既存のシステムをブートして,LSM の現在の状態を調べ,不正な
hostid
を削除することです。
hostid
が複数存在するシステムではシステムのブート中に LSM が初期化されるときに,次のメッセージが表示されます。
starting LSM in boot mode lsm:vold: WARNING: Disk dsk1d names group rootdg, but group ID differs lsm:vold: WARNING: Disk dsk2d names group rootdg, but group ID differs lsm:vold: WARNING: Disk dsk4h names group rootdg, but group ID differs lsm:vold: WARNING: Disk dsk5h names group rootdg, but group ID differs lsm:vold: WARNING: Disk dsk6h names group rootdg, but group ID differs
この例では,5 つの LSM プライベート・リージョンが,パーティション
dsk1d
,dsk2d
,dsk4h
,dsk5h
,および
dsk6h
に置かれています。
システムの動作中は,voldisk -s list
コマンドを使用して,LSM
制御下の各ディスクの詳細を表示します。
この情報には,各プライベート・リージョンの
hostid
がリストされます。
誤っている
hostid
が特定できたら,その
hostid
を含むプライベート・リージョンを削除し,フル・インストレーション処理を再スタートします。
既存の LSM 構成を調べるために使用するコマンドや,問題の原因を手作業で取り除く方法についての詳細は,G.1.1.1 項を参照してください。
注意
LSM プライベート・リージョンには,既存の LSM 構成にとって重要な情報が入っています。 LSM プライベート・リージョンの削除は慎重に行わなければなりません。 また,LSM と既存の構成の詳細を理解している人だけが行ってください。 この作業を実行する上で不明な点がある場合は,システム管理者の助けを借りるか,『Logical Storage Manager』を参照してください。
システムがブートできない状態か,システムはブートするものの既存の LSM 構成が壊れていて LSM を使用可能にできない場合は,エラーとなっているプライベート・リージョンが置かれているディスクを物理的に取り除いて,この問題を修復しなければなりません。 この場合,システム自体に関する知識や,システムに対して最近何を行ったかという情報が役立ちます。 エラーになっているプライベート・リージョンは,別のシステムから当該システムへ最近追加されたディスク上にあることが多いためです。 たとえば,システム管理者が,以前のシステムの LSM 情報がディスク上に残ったままになっていることに気付かないで,システム間でディスクを入れ換えた場合が考えられます。
疑わしいディスクを削除しても,正しいディスクが特定できず,問題が解決しない場合は,既存の LSM 構成をシステムから完全に削除した後,フル・インストレーションを再スタートしなければなりません。
この作業を実行するには,配布メディアからブートし,UNIX シェルへ抜けます。
そして,disklabel -z
コマンドを使用して,LSM プライベート・リージョンがあるすべてのディスクについて,ディスク・ラベルを消します。
どのディスクに
LSM プライベート・リージョンがあるか調べるには,各ディスクのディスク・ラベルのパーティション fstype 値を分析します。
LSM fstype
値の詳細については,
disklabel
(8)disklabel -z
コマンドを使用して既存の LSM 構成を削除する方法の詳細は,G.1.1.1 項を参照してください。
システムのリブート時に LSM デーモン
vold
および
voliod
が再スタートできないか,LSM 構成データベースが壊れている場合は,/
(ルート) ファイル・システムが存在する LSM ボリュームにはアクセスできません。
このような状況では,システムをマルチユーザ・モードで起動することはできません。
/etc/vol/volboot
ディスク・グループや
rootdg
ディスク・グループで考えられる原因を取り除くには,LSM コマンドを使用して問題を修正します。
システムのブート中に LSM がスタートできない場合は,以下の手順を使用して LSM を再スタートします。
LSM デバイス特殊ファイルを作成します。
# volinstall
LSM 構成デーモンを,disable
モードでスタートします。
# vold -k -r reset -m disable -x nohostid
/etc/vol/volboot
ファイルを初期化します。
# voldctl init
vold
を
enabled
モードにし,すべての LSM ディスク・グループをインポートします。
# voldctl enable
LSM が認識しているすべてのディスクのリストを取得します。
# voldisk list
/dev/disk
に,すべてのディスクのデバイス特殊ファイルがあることを確認してください。
volprint
コマンドを実行して,LSM 構成についての情報を取得します。
# volprint -htA
LSM ボリュームをスタートします。
# volume -g diskgroup start volume_name
diskgroup
パラメータの値は,システム・ディスクを表す
rootdg
が一般的です。
ファイル内の問題を修正するには,ボリュームをマウントする必要があります。
たとえば,/etc/vol/volboot
ファイルや
/etc/inittab
ファイルを修正するには,/
ファイル・システムをマウントしなければなりません。
/
ファイル・システムのファイル・システム・タイプが
AdvFS
の場合は,このファイル・システムをマウントするために,次のようなコマンドを入力します。
# mkdir -p /etc/fdmns/root_domain # cd /etc/fdmns/root_domain # ln -s /dev/vol/rootdg/rootvol rootvol # mount root_domain#root /mnt
/
ファイル・システムのファイル・システム・タイプが UFS の場合,LSM ボリューム
rootvol
は,次のようにマウントします。
# fsck /dev/rvol/rootdg/rootvol # mount /dev/vol/rootdg/rootvol /mnt
LSM を使用可能にする際や,LSM ボリュームを開始する際に発生した問題を解決する方法については,『Logical Storage Manager』を参照してください。
G.1.2 構成記述ファイル (CDF) のチェック・エラー
クローン・インストレーションを開始する前に,インストレーション・プロシージャが
install.cdf
のチェックでエラーを検出すると,次のメッセージが表示されます。
このエラーが発生すると,フル・インストレーションが停止します。 CDF チェック・エラーのリストには,CDF で検出されたエラーについて説明するメッセージが 1 つ以上含まれています。
修正作業は,インストレーション・プロシージャから返されたチェック・エラーにより異なります。 RIS サーバからのインストレーションを行っている場合は,インストール中のシステムが適切な CDF で登録されていることを,RIS サーバ管理者に確認しなければなりません。 クローン・インストレーションを続行するには,RIS サーバの管理者は,正しい CDF でシステムを再登録するか,チェックのエラー・メッセージを基にして現在の CDF を修正しなければなりません。
問題点を修正したら,次のいずれかを行って,フル・インストレーションを再スタートします。
ルート・ディレクトリで
restart
と入力する。
システムをリブートする。
エラー・メッセージは,システムをリブートするまで,ユーザが参照できるように,/var/tmp/install.log
に保存されます。
ソフトウェアのロード・プロシージャは,いろいろな原因で失敗することがあります。 この原因には,配布メディアが壊れていることによるソフトウェア・インベントリの不整合の問題や,RIS インストレーション中のネットワーク・エラー,CD-ROM インストール中の CD-ROM 読み取りエラーなどがあります。 発生した問題が一時的なものである可能性があるため,ソフトウェア・ロード・プロシージャは,ソフトウェアのロードを 2 回試みます。 1 回目のロードが失敗した場合,1 回目にロードできなかったソフトウェア・サブセットをロードするために 2 回目のロードが行われます。
このメッセージは,1 回目のロード中に,1 つ以上のサブセットのロードに失敗した場合に表示されます。
サブセット・ロード・プロシージャは,失敗したサブセットを再度ロードしようとします。
詳細については,/var/adm/smlogs/install.log
ファイルを調べてください。
このメッセージは,2 回ロードを行ってもオプション・サブセットがロードできなかった場合に表示されます。
修正作業は,インストレーション・プロシージャから返されるソフトウェア・ロード・エラーにより異なります。
インストレーションの完了後,この問題の詳細を参照することができます。
more
コマンドを使用して,/var/adm/smlogs/fverify.log
ログ・ファイルと
/var/adm/smlogs/setld.log
ログ・ファイルの内容を表示し,ソフトウェア・ロード・エラーの原因を調べます。
問題が解決したら,setld
ユーティリティを使用して,ロードに失敗したサブセットをロードします。
インストレーション後のオプション・サブセットのインストレーションについては,第 9 章を参照してください。
このメッセージは,必須サブセットのロードが 2 回とも失敗した場合に表示されます。
必須サブセットのロードの失敗は致命的なエラーなので,この問題が解決するまでインストレーション処理は続行できません。
more
コマンドを使用して,/var/tmp/install.log
ログ・ファイルと
/var/tmp/fverify.log
ログ・ファイルの内容を表示し,ソフトウェア・ロード・エラーの詳細を参照します。
これらのファイルは,/var
メモリ・ファイル・システムに書き込まれるため,インストレーションを再スタートするかシステムをリブートすると参照できなくなります。
G.2 アップデート・インストレーションのエラー・メッセージ
以降の項では,アップデート・インストレーション中に発生する可能性があるエラー・メッセージについて説明します。
G.2.1 アップデート・インストレーションのスタートアップ
次のエラー・メッセージは,installupdate
コマンドの呼び出し後,アップデート・インストレーション・インタフェース (グラフィカルまたはテキスト・ベース) の表示前に,表示されることがあります。
/sbin/installupdate
コマンドは,シングルユーザ・モードで
root
ユーザとして実行しなければなりません。
第 3 章で説明している手順でシャットダウンしてシングルユーザ・モードにし,アップデート・インストレーションを再スタートします。
アップデートを実行するには,システムがシングルユーザ・モードでなければなりません。
shutdown
コマンドを使用すると,シングルユーザ・モードに移行できます。
詳細については,第 3 章と
shutdown
(8)
G.2.1.1 CD-ROM からのアップデート・インストレーション
この項で説明するエラーは,CD-ROM からのアップデート・インストレーションの際に発生する可能性があります。
installupdate
コマンドの引数は,ブロック型特殊ファイルでなければなりません。
Version 5.1Bより前のバージョンのオペレーティング・システムを実行しているシステムでは,ブロック型特殊ファイルの名前は
rz
で始まります。
アップデート・インストレーション・プロシージャは,指定された位置でインストレーション情報を見つけることができませんでした。 位置が誤っているか,その位置にあるメディアがオペレーティング・システムのメディアではありません。
アップデート・インストレーション・スクリプトが,省略時の位置
/updmnt
に見つかりませんでした。
メディアまたはメディアの位置が,無効か誤っています。
アップデート・インストレーション・プロシージャが,アップデート・インストレーションのマウント・ポイントにすでに何かがマウントされていることを検出しました。 次のコマンドを入力してください。
# cd / # umount /updmnt
installupdate
コマンドを再入力します。
何らかの理由でアップデート・インストレーションの完了前に終了すると,アップデート・インストレーション・プロシージャは配布メディアを正しくアンマウントできないことがあります。 次のコマンドを入力してください。
# cd / # umount /updmnt
installupdate
の引数で指定された配布メディアの位置が誤っています。
位置を確認して,installupdate を再実行してください。
G.2.1.2 リモート・インストレーション・サービス (RIS) からのアップデート・インストレーション
この項では,RIS サーバからのアップデート・インストレーションの際に発生する可能性のあるエラーについて説明します。
クライアント・システムが,RIS サーバ上に登録されていません。 RIS サーバ上にクライアント・マシンを登録してから,アップデート・インストレーションを再スタートしてください。
アップデート・インストレーション・プロシージャがネットワークをスタートできなかったか,RIS サーバの RIS 領域にアクセスできなくなっています。 前者の場合は,クライアント・マシンのネットワーク設定を確認してください。 後者の場合は,RIS 管理者に相談してください。
ネットワーク・デーモンをスタートできませんでしたが,ネットワーク・ファイル・システム (NFS) または RIS が配布メディアとして指定されました。 アップデートするシステムからネットワークにアクセスできることを確認してから,アップデート・インストレーションを再スタートしてください。
アップデート・インストレーションの分析フェーズの実行中に,以下のメッセージが表示されることがあります。
アップデート・インストレーション・プロシージャは,性能を向上するために,サブセット・インベントリ・ファイルのローカル・コピーを
/var/tmp/update/risupdinfo
ディレクトリに作成します。
このエラーは,ファイル・システムの領域の 99 パーセント以上が使用されているために,アップデート処理がディレクトリを作成できないことを示します。
core
ファイル,余分なカーネル・ファイル,その他の不要なファイルの削除などのディスク・スペースの回復手順を行って,ディスクに空きスペースを確保してください。
rp_mapping
ファイルは,プロダクト名をマウント・ポイントに対応付けます。
このファイルがないと,アップデート・インストレーション・プロシージャは登録されているプロダクトを見つけることができません。
このメッセージは通常,RIS
領域が壊れていることを示します。
このメッセージは,システムにすでにインストールされているオペレーティング・システムと同じバージョンのオペレーティング・システムにアップデートしようとしたことを示します。 このメッセージが表示されたら,アップデートを続けるか,終了するかを選択してください。
アップデート・インストレーション・プロシージャは,現在のバージョンのオペレーティング・システムを,新しいバージョンのオペレーティング・システムにアップデートできません。 新しいバージョンにアップデートするには,必要なアップデートを繰り返すか,フル・インストレーションを行わなければなりません。
アップデート・インストレーション・プロシージャは,配布メディア上に,インストール可能なソフトウェア・サブセットを見つけることができませんでした。 メディアが壊れている可能性があります。 CD-ROM を使用している場合は,弊社の各支店/営業所に連絡して,新しい CD-ROM を入手してださい。 RIS サーバを使用している場合は,管理者に連絡して,インストールしたいプロダクトの RIS 環境を新たに構築してもらってください。
このファイルには,インストレーション・スクリプトで使用されるデータが含まれています。 システムをマルチユーザ・モードに戻して,アップデート・インストレーションを再スタートしてください。
update_preinstall
ファイルまたは
update_postload
ファイルでスクリプトを指定した場合,このメッセージはスクリプトが 0 (ゼロ) 以外の値を返して失敗したことを示します。
スクリプトを確認して,アップデート・インストレーションを再スタートしてください。
updpblock.dat
ファイルには,支障のあったレイヤード・プロダクトの 3 文字のプレフィックスが含まれています。
このエラーは,配布メディアが壊れているために発生しました。
CD-ROM を使用している場合は,弊社の各支店/営業所に連絡して,新しいメディアを入手してください。
RIS サーバを使用している場合は,管理者に連絡して,インストールするプロダクトの RIS 環境を新たに構築してもらってください。
次のエラーは,十分なディスク・スペースがないためにアップデート・インストレーションを完了できない場合に発生することがあります。
オプションのカーネル構成要素の選択内容を保存するスペースが足りませんでした。
インストレーションの完了後に
doconfig
コマンドを使用して,オプション構成要素をカーネルに組み込んでください。
core
ファイル,余分なカーネル・ファイル,その他の不要なファイルが
/
(ルート) ファイル・システムのディスク・スペースを占めていないか調べ,空きスペースを確保するために削除してください。
その他にも,サイトで実行可能なディスク・スペース回復手順を実行してください。
空きスペースを十分確保したら,アップデート・インストレーションを再スタートしてください。
このエラー・メッセージは,テキスト・ベース・インタフェースでのみ表示されます。 このメッセージは,入力ファイル (利用可能な選択肢リスト),または出力ファイル (ユーザの選択内容のリスト) がオープンできなかったことを示します。
ソフトウェア構成はシステムのリブート後に実行される,フル・インストレーションとアップデート・インストレーションの両方に共通の処理です。 ソフトウェア構成フェーズでは,以下のエラー・メッセージが表示されることがあります。
構成対象となるインストール済みソフトウェア・サブセットのリストが格納されているデータ・ファイルが見つかりません。
このファイルは
setld
ユーティリティが作成し,setld
ユーティリティの破損や,ソフトウェアがインストールされたシステム・ディスクの破損,システム・ディスクのスペース不足を示します。
このエラーは致命的です。
古いスタイルのデバイス名 (rz* など) と新しいスタイルのデバイス名
(dsk* など) の対応などのハードウェア・デバイス属性が格納されるデバイス・ファイル・ステータス [クラスタ,ローカル]
ファイルが見つかりません。
これらのファイルは
dsfmgr
プログラムが動的に作成し,dsfmgr
プログラムの破損や,ソフトウェアがインストールされたシステム・ディスクの破損,システム・ディスクのスペース不足を示します。
dn_fix
プログラムは,このファイル内のデバイスの新旧デバイス名変換を実行する前に,このファイルのバックアップ・コピーを作成できませんでした。
システム・ディスクが壊れているか,システム・ディスクのスペース不足が考えられます。
dn_fix
プログラムは,このディレクトリ内のデバイスの新旧デバイス名変換を実行する前に,このディレクトリのバックアップ・コピーを作成できませんでした。
システム・ディスクが壊れているか,システム・ディスクのスペース不足が考えられます。
dn_fix
プログラムは,このファイル中のすべての古いデバイス名を新しいデバイス名に変換することはできませんでした。
このエラーは,参考のために表示されます。
このエラーは致命的ではないために,古いデバイス名が継続して使用されます。
インストレーション処理の完了後,失敗したファイルの変換を手作業で再実行してください。
dn_fix
プログラムは,このディレクトリ中の古いデバイス名を,新しいデバイス名に変換できませんでした。
このエラーは,参考のために表示されます。
このエラーは致命的ではないため,このディレクトリ内の古いデバイス名が継続して使用されます。
インストレーション処理の完了後,失敗したディレクトリの変換を手作業で再実行してください。
このメッセージは,古いデバイス名を新しいデバイス名に更新する変換スクリプトが失敗したときに表示されます。
失敗した変換スクリプトのリストが
/var/adm/smlogs/dnconvert.FailCNVT
ファイルに入っていますので,インストレーション・プロシージャの完了後,失敗の原因が特定できたら,手作業で再実行してください。
新しくインストールされたオペレーティング・システムのバージョン識別子を設定する
/usr/sbin/versw -switch
コマンドが,失敗しました。
失敗のメッセージ・テキストも表示されます。
インストレーションの完了後,失敗の原因が特定できたら,このコマンドを手作業で再実行してください。
このメッセージは,POP 固有ファイルおよび IMAP 固有ファイルのモード・エントリ,許可エントリ,およびインベントリ・エントリの更新に失敗したことを示します。
これらのファイルは,オプションの追加ネットワーク・サービス (OSFINET540
) サブセットで出荷されています。
このエラーは致命的ではありません。
インストレーション処理完了後,初めてログインするときに,次のコマンドを再実行してください。
setld -c OSFINET540 MAILSERVERSETUP
以下の項では,インストレーション後のソフトウェアのロードまたは削除操作中に発生する可能性のあるエラーについて説明します。
G.4.1 setld によるソフトウェアのロードおよび削除の失敗からの回復
ソフトウェアのロードおよび削除の失敗からの回復手順は,問題となっているソフトウェア・サブセットの現在のステータスにより異なります。 回復手順を,次の表に示します。
ソフトウェア・サブセットの状態については,
setld
(8)
一部の回復手順では,setld
コマンドがまだ動作しているかどうかを調べてから回復処理を開始するように求めています。
すべてのクラスタ・メンバで,setld
コマンドが動作していないことを確認しなければなりません。
注意
表 G-3 の一部の回復手順では,回復処理の一部で
setld
ユーティリティの -f (強制) フラグを使用するように勧めています。 -f フラグを指定すると,削除操作中のサブセットの SCP フェーズで生成されるエラーが無視されるため,このフラグは最後の手段として使用してください。 SCP フェーズでエラーが報告された場合,このエラーを解決してからsetld -d
操作を再度実行する必要があります。 サブセットをシステムから削除しなければならないが,エラーを解決できない場合にだけ,-f フラグを使用してください。
サブセットの状態 | ロードの回復手順 |
not installed |
setld -l
コマンドを実行して,ソフトウェア・サブセットをロードします。 |
deleting |
削除コマンド ( ソフトウェアの削除が完了したら (つまり,
クラスタ上で
|
pre-load failed |
SCP の PRE_L フェーズで生成されたエラー・メッセージを調べ,エラーを解決してから
setld -l
コマンドでソフトウェアをロードします。 |
pre-load complete |
setld -l
コマンドが動作していないことを確認します。
まだ動作している場合は,終了させます。
動作していない場合は,setld -l
コマンドをもう一度実行してロードを再度開始します。 |
load failed |
/var/adm/smlogs/fverify.log
ファイルに記録されているエラーや画面上に表示されたエラー・メッセージを解決してから,setld -l
コマンドでロードをもう一度実行します。 |
load completed |
setld -l
コマンドが動作していないことを確認します。
まだ動作している場合は,終了させます。
動作していない場合は,setld -l
コマンドをもう一度実行してロードを再度開始します。 |
post-load failed |
エラー・メッセージを調べて問題を解決してから,setld -l
コマンドでサブセットのロードを再度開始します。 |
post-load completed |
クラスタでは,ソフトウェアが
|
c-install failed |
エラー・メッセージを調べて問題を解決してから, クラスタでは,ソフトウェアが
|
installed |
操作は必要ありません。 ソフトウェア・サブセットはインストールされています。 |
member load failed |
この状態にあるすべてのクラスタ・メンバで,各メンバのエラー・メッセージを調べ,問題を解決します。
メンバのエラーが解決したら,setld -u
コマンドを実行して,クラスタ・メンバへのロードを再度開始します。
この際,-m
フラグでクラスタ・メンバ ID を指定します。 |
member loaded |
クラスタでは,ソフトウェアが
|
unknown |
ソフトウェア・サブセットの状態は,全く不明です。
システムにそのソフトウェアをロードするには,まず
削除操作が失敗したら,エラーを解決します。 エラーを解決してもサブセットが削除できない場合は, クラスタ上で
|
表 G-4
では,サブセットの状態ごとに,サブセット削除の失敗からの回復方法を示します。
明記されている場合以外は,どの状態でも削除処理は同じです。
表 G-4: ソフトウェア削除の回復手順
G.4.2 クラスタ・メンバ上でのサブセットのロードまたは削除の失敗からの回復
サブセットのロードまたは削除に失敗したクラスタ・メンバが存在する場合,そのサブセットのインストレーション状態は,クラスタ全体で整合性がとれていない状態になります。
いずれかのクラスタ・メンバでロード操作や削除操作が失敗した場合は,操作を開始したメンバに失敗が表示されます。
失敗からの回復を行った後で,表 G-5
に示す適切な回復オプションを指定して
setld
ユーティリティを起動し,クラスタ内のすべてのメンバのクラスタ・インストレーション状態を整合させます。
クラスタ上で
setld -d -f
を実行すると,ダウンしているメンバ以外のすべてのメンバから,ソフトウェアが削除されます。
ダウンしている各クラスタ・メンバに対しては,復帰後
setld -Z
コマンドを実行してください。
setld -Z
コマンドが失敗した場合,必要であれば
setld -Z -f
を実行してください。
表 G-5
に,個々のクラスタ・メンバ上でのロード失敗または削除失敗からの回復に使用する
setld
のフラグを示します。
表 G-5: setld ユーティリティの,クラスタでのロードおよび削除の回復オプション
オプション | 説明 |
-m |
クラスタ内の 1 つ以上のメンバでロードまたは削除操作が失敗した場合に,回復するクラスタ・メンバ ID を指定します。 このフラグは,-C フラグや -Z フラグとともに使用します。
|
-C |
指定したクラスタ・メンバ上の,指定したソフトウェア・サブセットの SCP の構成インストール・フェーズを実行します。 たとえば,3 つのクラスタ・メンバのうちの
# setld -m member1 -C OSFDCMT540
|
-Z |
指定したクラスタ・メンバ上の,指定したソフトウェア・サブセットの SCP の構成削除フェーズを実行します。 たとえば,3 つのクラスタ・メンバのうちの
# setld -m member1 -Z OSFDCMT540
|
ソフトウェア・サブセットのロード回復操作の場合,コマンドの構文は次のとおりです。
setld
[-m member-ID
]
-C
[subset-id [
subset-id
... ] ]
ソフトウェア・サブセットの削除回復操作の場合,コマンドの構文は次のとおりです。
setld
[-m member-ID
]
-Z
[subset-id [
subset-id
... ] ]
ソフトウェア・サブセット制御プログラム (SCP) についての詳細や
setld
ユーティリティのフェーズについての詳細は,『Guide to Preparing Product Kits』を参照してください。