以降の各節で,Advanced Printing Software の制限事項について説明します。
3.1 複数のスプーラに接続するスーパバイザ
スーパバイザ・プロセス (pdspvr
および
pdspvlpr
) は 1 つのスプーラとだけ通信を行うことができます。スーパバイザ・プロセスでは,任意の数のスプーラ上のキューに関連付けられている物理プリンタを設定することが可能ですが,プリンタをこのように構成することはサポートされていないため,動作しません。キューが物理プリンタに関連付けられている最初のスプーラだけが通信を行うことができ,他のスプーラを参照するユーザ作成の物理プリンタは,動作しません。
プリント・システム構成を計画する際には,必ずこの制限に従うようにしてください。
3.2 ファイル名にコロンを含むファイルは印刷できない
プリンティング・システム,特に POSIX CLI インタフェースは,フィールド分離文字としてコロン (:) を使用します。ファイル名にコロンが含まれているプリンティグ・ファイルでは,プリント要求で構文解析エラーが生じます。したがって,プリント・システムでは,ファイル名にコロンが含まれているファイルの印刷をサポートしません。
そのようなファイルを印刷する必要がある場合には,まず,コロンを含まないような新しいファイル名に変更してください。
3.3 xxx-supported 属性のいくつかは GUI からは認識できない
Admin GUI には,プリンタでサポートされている属性および利用できる属性を変更するためのツールが用意されています。このツールを使用すると,プリンタ属性 (任意のプリンタでサポートされているか利用できる属性) の決められたリストから選択できるようになります。ただし,このリストには,media-supported, fonts-supported, page-select-supported を含め,いくつかの共通の属性は含まれていません。リストにない属性を設定する必要がある場合は,pdset コマンドを使用して設定しなければなりません。
3.4 イベント通知に互換性がない
バージョン 1.01 のリリースで,イベント通知メッセージの送信に使用される通信プロトコルに対して変更が行われました。バージョン 1.0 では,ToolTalk プロトコルを使用して,サーバからクライアントにイベント通知メッセージが伝達されていました。ToolTalk プロトコルに対して最近行われたセキュリティの強化により,イベント伝達の信頼性がなくなったため,このプロトコルの変更が必要になりました (ToolTalk の変更についての詳細は,http://www.service.digital.com/patches,パッチ・ファイル SSRT0617U_ttsession.tar を参照してください)。
この変更により,Advanced Printing Software V1.0 を実行するクライアントは,Advanced Printing Software V1.01 または V1.1 を実行するサーバ・システムからコンソール/GUI 通知メッセージを受け取ることができません。バージョンの組み合わせに関係なく,電子メール通知は継続して機能します。コンソール/GUI 通知を使用する際には,すべてのシステムを V1.1 にアップグレードするようにしてください。
3.5 N アップおよび印刷の向きの制限
PostScript プリンタで印刷されるシンプル・テキスト・ドキュメント以外のドキュメントでは,N アップ (用紙あたりの印刷ページ数) および印刷の向きは,サポートされていません。
3.6 インバウンド・ゲートウェイの制限事項
インバウンド・ゲートウェイをインストールして使用する際には,多数の制限事項があるため,注意が必要です。以降の各項でこれらの制限事項について説明します。
3.6.1 インバウンド・ゲートウェイおよび lpr のオプション
インバウンド・ゲートウェイですべての
lpr
オプションがサポートされているわけではありません。サポートされているオプションについては,『システム管理/操作ガイド』の 10 章「LPD インバウンド・ゲートウェイ・マッピング」の節を参照してください。
lpr
オプションの中には,対応するプリンタ・オプションが Advanced Printing Software 論理プリンタでサポートされていない場合,メッセージを表示しないでジョブを異常終了させるものがあります。
たとえば,lpr -K2 (両面印刷) を使用してジョブを実行したときに,Advanced Printing Software 論理プリンタが両面印刷をサポートするように構成されていない場合,そのジョブはスプーラにより拒否され,メッセージは何も表示されません。
3.7 pdclean および pdshutdown コマンドは非同期
pdclean
コマンドおよび
pdshutdown
コマンドは両方とも非同期です。つまり,これらのコマンドは,実行が完了する前に返ってきます。これらのコマンドは,スクリプトで他のコマンドを使用して
pdclean
または
pdshutdown
コマンドの実行状況をモニタし,それらの実行が完了するのを待機している場合を除き,スクリプト内で使用すべきではありません。