クラスタで単一システムの場合と同様に LSM を使用できます。クラスタ構成とスタンドアロン構成で同じ LSM ソフトウェア・サブセットが使用されます。
LSM についての詳しい説明は,Tru64 UNIX 『Logical Storage Manager』を参照してください。また,LSM ソフトウェアのインストールについては,Tru64 UNIX 『インストレーション・ガイド』を参照してください。
クラスタでは,LSM は次のような特長を備えています。
高可用性
クラスタ・メンバに障害が発生しても,クラスタ自体が継続的に動作してストレージへの物理パスが利用できる限り,LSM の動作は継続します。
性能
クラスタ環境における入出力では,LSM ボリュームにさらに LSM 入出力オーバヘッドが生じることはありません。
LSM は完全対称の共用入出力モデルに従っています。このモデルではすべてのメンバが LSM 構成を共用し,各メンバにはプライベートなダーティ・リージョン・ロギング機能が設定されます。
ディスク・グループは,すべてのクラスタ・メンバが同時に使用できます。
1 つの共用ディスク・グループ
rootdg
があります。
どのメンバも LSM 入出力をすべて直接処理できるので,別のクラスタ・メンバに入出力を渡して処理してもらう必要がありません。
管理の容易さ
LSM 構成は,どのメンバからでも管理できます。
10.1 クラスタとスタンドアロン・システムにおける LSM の管理の違い
LSM ボリュームは,個々のメンバのブート・パーティションには使用できません。
LSM を使用してクォーラム・ディスクまたはそのディスク上のパーティションをミラー化することはできません。
LSM Redundant Array of Independent Disks (RAID) 5 ボリュームは,クラスタではサポートされません。
cluster_root
,cluster_usr
,または
cluster_var
ドメインを LSM 制御下に配置するには,volmigrate
コマンドを使用しなければなりません。
クラスタにおける次の LSM の動作は,単一システム・イメージ・モデルと異なります。
volstat
コマンドの返す統計情報は,コマンドの実行対象のメンバのみが該当します。
LSM の一部でないディスク (つまり,autoconfig
ディスク) に対して
voldisk list
コマンドを実行する場合は,メンバによっては結果が異なる可能性があります。
このような結果の違いは,多くの場合,使用不能ディスク・グループに限定されます。
たとえば,あるメンバは使用不能ディスク・グループを示すが,別のメンバは同じディスク・グループをまったく示さないという場合があります。また,クラスタでは,voldisk list
コマンドはコマンドを実行したメンバに直接接続された非 LSM ディスクのみを表示します。