2    ハードウェア要件および制約事項

この章では,TruCluster Server クラスタのハードウェア要件および制約事項について説明します。また,サポートされるケーブル,トライリンク・コネクタ,Y ケーブル,およびターミネータの一覧も示します。

この章で説明している項目は,以下のとおりです。

サポートされるハードウェアの最新情報については,次の URL にある該当システムの AlphaServer オプション・リストを参照してください。

2.1    TruCluster Server のメンバ・システム要件

TruCluster Server クラスタのメンバ・システム要件は次のとおりです。

2.2    クラスタ・インターコネクトの要件および制約事項

クラスタには,すべてのクラスタ・メンバを接続する専用のクラスタ・インターコネクトが必要です。このインターコネクトは,クラスタ・メンバ間でプライベート通信チャネルとして動作します。クラスタ・インターコネクトには Memory Channel または プライベートのローカル・エリア・ネットワーク (LAN) のどちらか一方を使用することができますが,両方を使用することはできません。

2.2.1    LAN インターコネクト

100 Mb/秒および 1000 Mb/秒 LAN インターコネクトは,クラスタ負荷の少ないクラスタに適しています。たとえば,クラスタがフェイルオーバ可能な高可用性アプリケーションを実行するとき,クラスタ・インターコネクトのノード間で共用されるアプリケーション・データが少ない場合です。

ギガビット・イーサネットの使用にはパッチや追加コードは必要ありません。

AlphaServer DS20L は,クラスタ・インターコネクトとして LAN インターコネクトだけをサポートします。

2.2.2    Memory Channel の制約事項

Memory Channel インターコネクトは,メンバ・システム間のクラスタ通信で使用される 1 つの方法です。

Memory Channel 製品には,現在,Memory Channel 1,Memory Channel 1.5,および Memory Channel 2 の 3 つのバージョンがあります。Memory Channel 1 と Memory Channel 1.5 は,両方とも PCI アダプタが CCMAA モジュールであるという点で非常によく似た製品であり,本書では MC1 または MC1.5 と記されています。Memory Channel 2 製品 (CCMAB モジュール) は MC2 と記されます。

Memory Channel の制約事項は,次のカテゴリに分類されます。

以下のシステム固有の Memory Channel の制約事項を必ず守ってください。

次の Memory Channel ハブ・モードまたはレール数の制約事項を必ず守ってください。

次のケーブルまたは光変換器 Memory Channel の制約事項を必ず守ってください。

2.3    ホスト・バス・アダプタの制約事項

メンバ・システムを共用バスに接続するには,ホスト・バス・アダプタを I/O バス・スロットに装着する必要があります。

Tru64 UNIX オペレーティング・システムは,最大 64 個の I/O バスをサポートします。TruCluster Server は,KZPSA-BB ホスト・バス・アダプタ,KZPBA UltraSCSI ホスト・バス・アダプタ,または KGPSA Fibre Channel ホスト・バス・アダプタを使用して,合計で 32 の共用 I/O バスをサポートします。

ホスト・バス・アダプタの詳細な制約事項は以下のとおりです。

2.3.1    Fibre Channel 要件と制約事項

ここでは,Fibre Channel 要件と制約事項に関して説明します。

2.3.1.1    一般的な Fibre Channel 要件と制約事項

TruCluster Server バージョン 5.1B で Fibre Channel を使用する場合と,一般的な使用の場合についての要件と制約事項を次に示します。

2.3.1.2    HSG60 および HSG80 に固有な Fibre Channel 要件と制約事項

次の要件と制約事項は,TruCluster Server バージョン 5.1B と HSG60 または HSG80 で Fibre Channel を使用する場合に適用されます。

2.3.1.3    Enterprise Virtual Array に固有な Fibre Channel 要件と制約事項

TruCluster Server 構成で Enterprise Virtual Array を使用するための要件と制約事項は,次のとおりです。

2.3.2    KZPSA-BB SCSI アダプタの制約事項

KZPSA-BB SCSI アダプタには,次の制約事項があります。

2.3.3    KZPBA-CB および 3X-KZPBA-CC SCSI バス・アダプタの制約事項

3X-KZPBA-CC SCSI バス・アダプタは,KZPBA-CB の後継品です。これは KZPBA-CB の改良品で 5.0v のシグナリングを維持したままで 3.3v シグナリングも可能としたものです。アダプタのボード・レイアウトを変更して 3.3v シグナリングを可能にしました。これ以外にアダプタの変更はありません。3X-KZPBA-CC は,KZPBA-CB と完全に下位互換性があります。ファームウェア,ソフトウェア,またはドライバの変更は必要ありません。

KZPBA UltraSCSI アダプタには,次の制約事項があります。

2.4    ディスク装置の制約事項

ディスク装置の制約事項は以下のとおりです。

2.5    RAID アレイ・コントローラの制約事項

RAID アレイ・コントローラは,共用バス経由で,SCSI デバイスの性能,可用性,および接続性の高いアクセスを実現します。

RAID コントローラの最小限必要なアレイ・コントローラ・ソフトウェア (ACS) を,表 2-3 に示します。

表 2-3:  RAID コントローラの最小限必要なアレイ・コントローラ・ソフトウェア

RAID コントローラ 最小限必要なアレイ・コントローラ・ソフトウェア
HSZ22 (RAID アレイ 3000) D11x
HSZ80 8.5Z-4
HSG60 8.5
HSG80 8.5

RAID コントローラの構成に使用できる SCSI ID の数を表 2-4 に示します。

表 2-4:  RAID コントローラの SCSI ID

RAID コントローラ サポートされる SCSI ID の数
HSZ22 (RAID アレイ 3000) 2
HSZ80 15
HSG60 対象外
HSG80 対象外

StorageWorks RAID アレイ 3000 (RA3000) サブシステムのサポートには以下の制約事項があります。

2.6    SCSI シグナル変換器

クラスタ構成で,シングルエンド SCSI インタフェースを備えるスタンドアロン・ストレージ・シェルフを使用する場合は,それを SCSI シグナル変換器に接続する必要があります。SCSI シグナル変換器は,Wide ディファレンシャル SCSI を,Narrow または Wide のシングルエンド SCSI に変換し,その逆も行います。シグナル変換器には,スタンドアロンのデスクトップ・ユニット・タイプと,ストレージ・シェルフのディスク・スロットにインストールする StorageWorks ビルディング・ブロック (SBB)・タイプがあります。

注意

UltraSCSI ハブは,DOC (オン・チップ DWZZA) チップが搭載されている関係上,ここで説明することもできますが,2.7 節で個別に説明します。

SCSI シグナル変換器の制約事項は次のとおりです。

2.7    DS-DWZZH-03 および DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブ

DS-DWZZH-03 および DS-DWZZH-05 シリーズ UltraSCSI ハブは,TruCluster Server 構成でサポートされている唯一のハブです。これらは,SCSI-2,およびドラフト SCSI-3 準拠の SCSI 16 ビット・シグナル変換器で,最大データ転送速度 40 MB/秒の能力があります。

これらのハブは,他の SCSI バス・シグナル変換器とともに説明することもできますが,クラスタ構成での利用方法が異なるため,本書では別々に説明しています。

DS-DWZZH-03 および DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブは,以下の場所にインストールできます。

DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブには,次のような利点があります。

注意

DS-DWZZH-03/05 UltraSCSI ハブは,StorageWorks BA35X ストレージ・シェルフには接続できません。このストレージ・シェルフには,ハブ用の終端電源がないからです。

2.8    SCSI ケーブル

共用バスを使用する場合,コネクタ形状が低密度 50 ピン,高密度 50 ピン,高密度 68 ピン (HD68),VHDCI (UltraSCSI) のいずれのケーブルが必要かを調べます。UltraSCSI ハブを使用する場合は,HD68-to-VHDCI ケーブルおよび VHDCI-to-VHDCI ケーブルが必要になります。場合によっては,ストレート・コネクタ,直角コネクタのいずれかを選択することも必要です。さらに,サポートされるケーブルにはさまざまな長さがあります。SCSI バス長の制限を守るため,できるだけ短いケーブルを使用してください。

表 2-5 に,サポートされるケーブルの一覧と,そのケーブルが使用される状況を示します。6-3 形式の注文番号は一部省略されています。

表 2-5:  サポートされる SCSI ケーブル

ケーブル コネクタ密度 ピン 構成で使用される状況
BN21W-0B 高密度×3 68 ピン トライリンク・コネクタを使用できない場合に,KZPSA-BB または KZPBA に接続できる Y ケーブル。外部終端となるターミネータを使用できる。
BN21M 低密度×1,高密度×1 50 ピン LD - 68 ピン HD DWZZA-AA または DWZZB-AA のシングルエンド側の終端を TZ885 または TZ887 に接続する。 [脚注 10]
BN21K,BN21L,BN31G,または 328215-00X HD68×2 68 ピン BN21W Y ケーブル間,または Wide デバイス間を接続する。たとえば,KZPBA,KZPSA-BB 間,2 つの SCSI シグナル変換器のディファレンシャル側どうし,または DWZZB-AA を BA356 に接続する。
BN37A VHDCI×2 VHDCI - VHDCI 2 つの VHDCI トライリンク間どうし,UltraSCSI ハブと HSZ80 のトライリンクとの間,または UltraSCSI ハブと RAID アレイ 3000 との間を接続する。
BN38C または BN38D HD68×1,VHDCI×1 HD68-to-VHDCI KZPBA または KZPSA-BB を UltraSCSI ハブのポートに接続する。
BN38E-0B テクノロジ・アダプタ・ケーブル HD68 のオス・コネクタ - VHDCI のメス・コネクタ BN37A ケーブルに接続して,BN38C または BN38D の代わりに用いる。
199629-002 または 189636-002 高密度×2 50 ピン HD - 68 ピン HD 20/40 GB DLT テープ・ドライブを DWZZB-AA に接続する。
146745-003 または 146776-003 高密度×2 50 ピン HD - 50 ピン HD 2 つの 20/40 GB DLT テープ・ドライブのデイジー・チェインに使用する。
189646-001 または 189646-002 高密度×2 68 ピン HD 40/80 GB DLT テープ・ドライブを DWZZB-AA または 2 つの 40/80 GB DLT テープ・ドライブではデイジー・チェインに接続する。

SCSI ケーブルのピンが曲がったり,折れたりしていないか,必ず調べてください。ケーブルを接続したり外したりするときに,ピンが曲がったり折れたりしないように注意してください。

2.9    SCSI ターミネータおよびトライリンク・コネクタ

表 2-6 に,サポートされるトライリンク・コネクタおよび SCSI ターミネータの一覧と,それらが使用される状況を示します。

表 2-6:  サポートされる SCSI ターミネータおよびトライリンク・コネクタ

トライリンク・コネクタまたはターミネータ 密度 ピン 構成で使用される状況
H885-AA 3 68 ピン トライリンク・コネクタで,KZPSA-BB,KZPBA,SCSI シグナル変換器のディファレンシャル側などの高密度 68 ピンのケーブルまたはデバイスに接続される。H879-AA ターミネータを使用して外部で終端できる。
H879-AA または 330563-001 高密度 68 ピン H885-AA トライリンク・コネクタ,BN21W-0B Y ケーブル,または ESL9326D エンタープライズ・ライブラリ・テープ・ドライブを終端する。
H8861-AA VHDCI 68 ピン VHDCI トライリンク・コネクタで,VHDCI 68 ピン・ケーブル,UltraSCSI BA356 JA1,または HSZ80 RAID コントローラに接続される。必要なら,H8863-AA ターミネータを使って終端できる。
H8863-AA VHDCI 68 ピン VHDCI トライリンク・コネクタを終端する。
152732-001 VHDCI 68 ピン 低電圧ディファレンシャル・ターミネータ。

トライリンク・コネクタの要件は次のとおりです。