4    UltraSCSI ハードウェアを使用する TruCluster Server システムの構成

この章では,UltraSCSI ハードウェアとその標準の方法である放射状構成を使用する TruCluster Server クラスタのシステムを準備する方法について説明します。各デバイスを TruCluster Server 製品として共用 SCSI バスに接続する方法についても説明します。この章で説明するのは,デバイスの詳細なインストール方法ではなく,TruCluster Server 製品としてのハードウェアのセットアップ方法だけです。したがって,個々の具体的なハードウェアのインストール方法については,それぞれのハードウェアに添付されているマニュアルを参照してください。

この章で説明している項目は次のとおりです。

クラスタ内のすべてのシステムは,クラスタ・インターコネクト (Memory Channel またはプライベート LAN ) 経由で接続する必要があります。すべてのメンバを共用 SCSI バスに接続する必要はありません。

次の目的のために,ディスク,仮想ディスク,またはストレージセット・パーティションを割り当てる必要があります。

本書で説明する構成はすべて,共用 SCSI バスの使用を前提にしています。

注意

Fibre Channel ストレージを使用する場合は,第 7 章を参照してください。

共用 SCSI バスにデバイスを接続する前に,以下の作業を行う必要があります。

必要なクラスタ・ハードウェアをすべてインストールし,共用 SCSI バスを接続した後,各システムからすべての共用ディスクを認識およびアクセスできることを確認してください (4.3.2 項を参照)。その後,『クラスタ・インストレーション・ガイド』に従って TruCluster Server ソフトウェアをインストールすることができます。

4.1    TruCluster Server ハードウェア構成のプランニング

TruCluster Server ハードウェア構成をセットアップする前に,性能および可用性のニーズを満たす構成をプランニングする必要があります。目的の構成の以下の要素について決定してください。

表 4-1 に,TruCluster Server ハードウェア構成の性能,可用性,および記憶容量を最大化する方法を示します。たとえば,I/O 性能を低下させることなく,アプリケーション性能を向上させたい場合は,メンバ・システムの数を増やすか,追加の共用ストレージをセットアップすることができます。

表 4-1:  構成のプランニング

向上対象 対応策
アプリケーション性能 メンバ・システムの数を増やす。
I/O 性能 共用バスの数を増やす。
メンバ・システムの可用性 メンバ・システムの数を増やす。
クラスタ・インターコネクトの可用性 冗長クラスタ・インターコネクトを使用する。
ディスクの可用性 共用バス間でディスクをミラー化する。
  RAID アレイ・コントローラを使用する。
共用ストレージ容量 共用バスの数を増やす。
  RAID アレイ・コントローラを使用する。
  ディスク・サイズを大きくする。

4.2    ファームウェアのリリース・ノートの取得

TruCluster Server のインストール中に,システムまたは SCSI コントローラのファームウェアのアップデートが要求され,ファームウェアのリリース・ノートが必要になる場合があります。

ファームウェアのリリース・ノートは,次のところから取得できます。

4.3    TruCluster Server ハードウェアのインストール

メンバ・システムは,PCI (Peripheral Component Interconnect) SCSI アダプタを使用して共用 SCSI バスに接続することができます。メンバ・システムの PCI スロットに PCI SCSI アダプタをインストールする前に,モジュールのハードウェア・リビジョンが正しいことを確認してください。

DS-DWZZH シリーズの UltraSCSI ハブの能力と TruCluster Server クラスタでの使用により,PCI ホスト・バス・アダプタは次の 2 通りの方法でクラスタにケーブル接続することができます。

以降の各項では,KZPBA PCI-to-UltraSCSI ディファレンシャル・ホスト・アダプタを設定し,推奨方法である内部終端による放射状接続を使用して TruCluster Server クラスタを構成する方法について説明します。

注意

KZPSA-BB は,任意の構成で KZPBA の代わりに使用できます。KZPSA-BB は UltraSCSI ハードウェアではなく,UltraSCSI 速度で動作できないため,この章では KZPSA-BB の使用については言及していません。

外部終端を使った KZPSA-BB および KZPBA の使用については,第 10 章を参照してください。

ここでの説明は,TruCluster Server 構成の作成に必要なハードウェアのインストールを開始する時点で,TruCluster Server ソフトウェアをインストールできる十分なストレージがあり,すべての RAID ストレージセットのセットアップが完了していることを前提にしています。

TruCluster Server ハードウェアのインストール作業は,表 4-2 に示す手順に従って行ってください。クラスタ・インターコネクトの Memory Channel アダプタまたはイーサネット・アダプタ,冗長ネットワーク・アダプタ (使用できる場合),および KZPBA SCSI アダプタをすべて同時にインストールすると,作業時間を短縮できます。

参照先のマニュアルの指示や参照先の表の手順に従い,参照先の表での手順が完了したら,表 4-2 に戻って作業を続行してください。

警告

静電気により,モジュールや電子部品が損傷することがあります。モジュールを取り扱う際は,接地された静電気防止用リスト・ストラップを使用し,接地された床面で作業することをお勧めします。

表 4-2:  TruCluster Server ハードウェアの構成

手順 作業 参照先
1 次のクラスタ・インターコネクト・ハードウェアをインストールします。 --
  Memory Channel モジュール,ケーブル,およびハブ (ハブが必要な場合) をインストールします。 第 5 章 [脚注 26]
  プライベート LAN のイーサネット・アダプタとハブ,またはスイッチをインストールします。 第 6 章
2 イーサネットまたは FDDI のネットワーク・アダプタをインストールします。 該当するイーサネットまたは FDDI アダプタのユーザ・ガイド,および該当するシステムのユーザ・ガイド
  ATM を使用する場合は,ATM アダプタをインストールします。 ATM アダプタの付属マニュアル
3 各メンバ・システムから放射状接続される共用 SCSI バスごとに,KZPBA UltraSCSI アダプタをインストールします。 4.3.1 項および 表 4-3
4 最新の「Alpha Systems Firmware Update」CD-ROM から,システムの SRM コンソール・ファームウェアをアップデートします。 ファームウェア・アップデートのリリース・ノート (4.2 節)

注意

SRM コンソール・ファームウェアには,ISP1020/1040 ベースの PCI オプション・ファームウェアが含まれており,このオプション・ファームウェアに KZPBA が含まれています。SRM コンソール・ファームウェアをアップデートすると,KZPBA ファームウェアのアップデートが可能になります。電源投入時のリセットにより,SRM コンソールが,KZPBA アダプタ・ファームウェアをコンソールのシステム・フラッシュ ROM から NVRAM にロードし,KZPBA PCI-to-UltraSCSI アダプタを含むすべての Qlogic ISP1020/1040 ベースの PCI オプションが設定されます。

ご使用のシステムに Fibre Channel アダプタがある場合,ファームウェア・イメージは CD-ROM から Fibre Channel アダプタ・ファームウェアの NVRAM に直接コピーされます。

4.3.1    放射状構成用の内部終端を使用する KZPBA のインストール

DWZZH UltraSCSI ハブを使用する場合は,TruCluster Server クラスタのメンバ・システムと共用ストレージをこの方法でケーブル接続してください。少なくとも 1 つのハブ・ポートを共用ストレージ用に予約しておく必要があります。

DWZZH シリーズ UltraSCSI ハブは,メンバ・システムと共用ストレージの間の距離をさらに延ばせるように設計されています。この UltraSCSI ハブを使用すると,ケーブル・フォールトの検出の信頼性を高めることもできます。

この他にも,メンバ・システムの SCSI アダプタを外部終端なしで直接ハブ・ポートに接続できるという利点があります。これにより,ケーブル接続の数を減らして構成を単純化できます。

DWZZH UltraSCSI ハブは以下の場所にインストールできます。

UltraSCSI ハブは,ストレージ・シェルフから必要な電源と筐体を得ます。SCSI バスは,DWZZH とストレージ・シェルフ間では繋がっていません。

DWZZH は,ハブ・ポートごとにディファレンシャル・シングルエンド・シグナル変換器を備えています。これは,オン・チップ DWZZA,または DOC チップと呼ばれることもあります。このチップのシングルエンド側がまとめて接続されて,内部シングルエンド SCSI バス・セグメントを形成します。各ディファレンシャル SCSI バス・ポートは,無効にすることも,取り外すこともできないターミネータによって DWZZH 内部で終端が設定されます。

DWZZH の終端電源 ( termpwr) は,DWZZH ポートに接続されたホスト SCSI バス・アダプタまたは RAID アレイ・コントローラから供給されます。そのメンバ・システムまたは RAID アレイ・コントローラの電源を切断したり,ケーブルを KZPBA,RAID アレイ・コントローラ,またはハブ・ポートから引き抜くと, termpwr を消失した当該ハブ・ポートだけが無効になり,残りのハブ・ポートおよび SCSI バス・セグメントは影響を受けません。外部終端を利用している構成で Y ケーブルを取り外した場合も同じような結果になります。

注意

UltraSCSI BA356 DS-BA35X-DA パーソナリティ・モジュールは, termpwr を生成しません。したがって,UltraSCSI BA356 を DWZZH ハブに直接接続することはできません。TruCluster Server クラスタでの UltraSCSI BA356 の使用については,第 11 章を参照してください。

SCSI バス・セグメントのもう一方の端では,KZPBA オンボード終端抵抗 SIP,または RAID アレイ・コントローラにインストールされたトライリンク・コネクタ/ターミネータの組み合わせによって終端が設定されます。

KZPBA UltraSCSI ホスト・アダプタには,次のような特徴があります。

注意

KZPBA は UltraSCSI デバイスですが,HD68 コネクタを持っています。

インストール作業のこの部分を完了する前に,使用するストレージ・シェルフまたは RAID アレイ・サブシステムをセットアップしてください。

KZPBA を,DWZZH UltraSCSI ハブへの放射状接続を使用する TruCluster Server クラスタ用にセットアップするには,表 4-3 に示す手順に従います。

表 4-3:  DWZZH UltraSCSI ハブへの放射状接続で使用する KZPBA のインストール

手順 作業 参照先
1 KZPBA の 8 個の内部終端抵抗 SIP,RM1〜RM8 がインストールされていることを確認します。 4.3.3.3 項図 4-1,および『KZPBA-CB PCI-to-Ultra SCSI Differential Host Adapter User's Guide
2 システムの電源を切断します。共用 SCSI バスとして使用される論理バスに対応する PCI スロットに,KZPBA PCI-to-UltraSCSI ディファレンシャル・ホスト・アダプタをインストールします。アダプタの数がシステムの制限内で,インストール場所が適切であることを確認してください。 TruCluster Server の『クラスタ管理ガイド』の 2.3.3 項,および『KZPBA-CB PCI-to-Ultra SCSI Differential Host Adapter User's Guide
3 KZPBA UltraSCSI ホスト・アダプタと DWZZH ポートとの間に BN38C ケーブルをインストールします。 --

注意

SCSI バス・セグメントの最大長は,アダプタおよびストレージ・デバイス群への内部バス長を含めて 25 m (82 フィート) です。

BN38C ケーブルの一方の端は 68 ピン高密度コネクタです。他方の端は 68 ピン VHDCI コネクタです。DWZZH には 68 ピン VHDCI コネクタ側を接続します。

クラスタのメンバ・システムの最大数は,DWZZH ポートの数より 1 少ない数になります。

4 システムの電源を投入し,show config および show device コンソール・コマンドを使用して,インストール済みのデバイス,および AlphaServer システム上の KZPBA についての情報を表示します。show config の出力から「 QLogic ISP10x0」を,show device の出力から「pkx」または「isp」を探し,どのデバイスが KZPBA かを調べます。 4.3.2 項,および例 4-1例 4-4
5 show pk* または show isp* コンソール・コマンドを使用して KZPBA の SCSI バス ID を調べてから,set コンソール・コマンドを使ってその SCSI バス ID を設定します。 4.3.3 項,および例 4-5例 4-7

注意

使用する SCSI ID が,同じ共用 SCSI バス上の他のすべての SCSI ID と異なっていることを確認してください。他の SCSI ID を覚えていない,あるいは記録していない場合は,それらの SCSI ID を調べる必要があります。

DS-DWZZH-05 を使用する場合,KZPBA UltraSCSI アダプタに SCSI ID 7 を割り当てることはできません。SCSI ID 7 は DS-DWZZH-05 で使用するために予約されているからです (3.6.1.2 項を参照)。

DS-DWZZH-05 を使用し,フェア・アービトレーションを有効にする場合,アダプタが接続されるハブ・ポートに割り当てられた SCSI ID を使用する必要があります。

1 つの SCSI バス上に同じ SCSI ID を持つ複数の SCSI アダプタがあると,問題が発生します。

6 他のメンバ・システム上にあって,同じ共用 SCSI バスにインストールされる残りのすべての KZPBA について,手順 1〜5 を繰り返します。 --
7 DS-DWZZH-03 または DS-DWZZH-05 UltraSCSI ハブを次の場所に接続します: 3.6 節
  透過フェイルオーバ・モードの HSZ80 3.7.1.3 項
  多重バス・フェイルオーバ・モードの HSZ80 3.7.1.4 項
  RAID アレイ 3000 3.7.1.5 項

4.3.2    show コンソール・コマンドによる KZPBA アダプタの表示

show config および show device コンソール・コマンドを使用してシステム構成を表示します。これらのコマンドの出力から,KZPBA デバイスとその SCSI バス ID を識別できます。

例 4-1 に,AlphaServer DS20 システムの show config コンソール・コマンドの出力例を示します。

例 4-1:  AlphaServer DS20 の構成表示

P00>>> show config
                        AlphaServer DS20 500 MHz
 
SRM Console:    V6.1-2
PALcode:        OpenVMS PALcode V1.93-75, Tru64 UNIX PALcode V1.88-70
 
Processors
CPU 0           Alpha EV6 pass 2.3 500 MHz      SROM Revision: V1.82
                Bcache size: 4 MB
 
CPU 1           Alpha EV6 pass 2.3 500 MHz      SROM Revision: V1.82
                Bcache size: 4 MB
 
Core Logic
Cchip           DECchip 21272-CA Rev 2.1
Dchip           DECchip 21272-DA Rev 2.0
Pchip 0         DECchip 21272-EA Rev 2.2
Pchip 1         DECchip 21272-EA Rev 2.2
 
TIG             Rev 4.14
Arbiter         Rev 2.10 (0x1)
 
MEMORY
 
Array #       Size     Base Addr
-------    ----------  ---------
   0         512 MB    000000000
   1         512 MB    020000000
 
Total Bad Pages = 0
Total Good Memory = 1024 MBytes
 
 
PCI Hose 00
     Bus 00  Slot 05/0: Cypress 82C693
                                                         Bridge to Bus 1, ISA
     Bus 00  Slot 05/1: Cypress 82C693 IDE
                                   dqa.0.0.105.0                             
     Bus 00  Slot 05/2: Cypress 82C693 IDE
                                   dqb.0.1.205.0                             
     Bus 00  Slot 05/3: Cypress 82C693 USB
 
     Bus 00  Slot 07: KGPSA-C
                                   pga0.0.0.7.0          WWN 2000-0000-c928-2
     Bus 00  Slot 08: DECchip 21152-AA
                                                         Bridge to Bus 2, PCI
     Bus 00  Slot 09: QLogic ISP10x0
                                   pkd0.15.0.9.0         SCSI Bus ID 15      
                                   dkd0.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd1.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd100.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd101.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd102.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd103.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd104.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd105.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd106.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd107.1.0.9.0         HSZ22               
                                   dkd2.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd3.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd4.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd5.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd6.0.0.9.0           HSZ22               
                                   dkd7.0.0.9.0           HSZ22               
     Bus 02  Slot 00: DE500-BA Network Controller
                                   ewb0.0.0.2000.0       00-06-2B-00-83-C9   
     Bus 02  Slot 01: DE500-BA Network Controller
                                   ewc0.0.0.2001.0       00-06-2B-00-83-CA   
     Bus 02  Slot 02: DE500-BA Network Controller
                                   ewd0.0.0.2002.0       00-06-2B-00-83-CB   
     Bus 02  Slot 03: DE500-BA Network Controller
                                   ewe0.0.0.2003.0       00-06-2B-00-83-CC   
 
PCI Hose 01
     Bus 00  Slot 07: DECchip 21152-AA
                                                         Bridge to Bus 2, PCI
     Bus 00  Slot 08: QLogic ISP10x0
                                   pkc0.6.0.8.1          SCSI Bus ID 6       
                                   dkc100.1.0.8.1         HSZ80CCL            
                                   dkc101.1.0.8.1         HSZ80               
                                   dkc102.1.0.8.1         HSZ80               
                                   dkc103.1.0.8.1         HSZ80               
                                   dkc104.1.0.8.1         HSZ80               
                                   dkc105.1.0.8.1         HSZ80               
                                   dkc106.1.0.8.1         HSZ80               
     Bus 00  Slot 09: DEC PCI MC
                                   mca0.0.0.9.1          Rev: 22, mca0       
     Bus 02  Slot 00: NCR 53C875
                                   pka0.6.0.2000.1       SCSI Bus ID 6       
                                   dka500.5.0.2000.1      RRD47               
     Bus 02  Slot 01: NCR 53C875
                                   pkb0.6.0.2001.1       SCSI Bus ID 6       
                                   dkb0.0.0.2001.1        RZ1CD-CS            
                                   dkb100.1.0.2001.1      RZ1CD-CS            
                                   dkb200.2.0.2001.1      RZ1CD-CS            
     Bus 02  Slot 02: DE500-AA Network Controller
                                   ewa0.0.0.2002.1       00-06-2B-00-A3-AA   
 
 
ISA
Slot    Device  Name            Type         Enabled  BaseAddr  IRQ     DMA
0
        0       MOUSE           Embedded        Yes     60       12     
        1       KBD             Embedded        Yes     60       1
        2       COM1            Embedded        Yes     3f8      4
        3       COM2            Embedded        Yes     2f8      3
        4       LPT1            Embedded        Yes     3bc      7
        5       FLOPPY          Embedded        Yes     3f0      6      2
 

例 4-2 に,AlphaServer DS20 システムの show device コンソール・コマンドの出力例を示します。

例 4-2:  AlphaServer DS20 のデバイス表示

P00>>> show device
dka500.5.0.2000.1          DKA500                        RRD47  1206
dkb0.0.0.2001.1            DKB0                       RZ1CD-CS  0306
dkb100.1.0.2001.1          DKB100                     RZ1CD-CS  0306
dkb200.2.0.2001.1          DKB200                     RZ1CD-CS  0306
dkc100.1.0.8.1             DKC100                     HSZ80CCL  V83Z
dkc101.1.0.8.1             DKC101                        HSZ80  V83Z
dkc102.1.0.8.1             DKC102                        HSZ80  V83Z
dkc103.1.0.8.1             DKC103                        HSZ80  V83Z
dkc104.1.0.8.1             DKC104                        HSZ80  V83Z
dkc105.1.0.8.1             DKC105                        HSZ80  V83Z
dkc106.1.0.8.1             DKC106                        HSZ80  V83Z
dkd0.0.0.9.0               DKD0                          HSZ22  D11O
dkd1.0.0.9.0               DKD1                          HSZ22  D11O
dkd100.1.0.9.0             DKD100                        HSZ22  D11O
dkd101.1.0.9.0             DKD101                        HSZ22  D11O
dkd102.1.0.9.0             DKD102                        HSZ22  D11O
dkd103.1.0.9.0             DKD103                        HSZ22  D11O
dkd104.1.0.9.0             DKD104                        HSZ22  D11O
dkd105.1.0.9.0             DKD105                        HSZ22  D11O
dkd106.1.0.9.0             DKD106                        HSZ22  D11O
dkd107.1.0.9.0             DKD107                        HSZ22  D11O
dkd2.0.0.9.0               DKD2                          HSZ22  D11O
dkd3.0.0.9.0               DKD3                          HSZ22  D11O
dkd4.0.0.9.0               DKD4                          HSZ22  D11O
dkd5.0.0.9.0               DKD5                          HSZ22  D11O
dkd6.0.0.9.0               DKD6                          HSZ22  D11O
dkd7.0.0.9.0               DKD7                          HSZ22  D11O
dva0.0.0.0.0               DVA0                               
ewa0.0.0.2002.1            EWA0              00-06-2B-00-A3-AA
ewb0.0.0.2000.0            EWB0              00-06-2B-00-83-C9
ewc0.0.0.2001.0            EWC0              00-06-2B-00-83-CA
ewd0.0.0.2002.0            EWD0              00-06-2B-00-83-CB
ewe0.0.0.2003.0            EWE0              00-06-2B-00-83-CC
pga0.0.0.7.0               PGA0        WWN 2000-0000-c928-2c95
pka0.6.0.2000.1            PKA0                  SCSI Bus ID 6
pkb0.6.0.2001.1            PKB0                  SCSI Bus ID 6
pkc0.6.0.8.1               PKC0                  SCSI Bus ID 6  5.57
pkd0.15.0.9.0              PKD0                 SCSI Bus ID 15  5.57
 

例 4-3 に,AlphaServer 8200 システムの show config コンソール・コマンドの出力例を示します。

例 4-3:  AlphaServer 8200 の構成表示

>>> show config
        Name            Type    Rev    Mnemonic
TLSB
 4++    KN7CC-AB        8014    0000    kn7cc-ab0
 5+     MS7CC           5000    0000    ms7cc0
 8+     KFTIA           2020    0000    kftia0
 
 C0  Internal PCI connected to kftia0   pci0
 0+  QLogic ISP1020 10201077    0001    isp0
 1+  QLogic ISP1020 10201077    0001    isp1
 2+  DECchip 21040-AA  21011    0023  tulip0
 4+  QLogic ISP1020 10201077    0001    isp2
 5+  QLogic ISP1020 10201077    0001    isp3
 6+  DECchip 21040-AA  21011    0023  tulip1
 
 C1  PCI connected to kftia0
 0+  KZPAA             11000    0001  kzpaa0
 1+  QLogic ISP1020 10201077    0005    isp4
 2+  KZPSA             81011    0000  kzpsa0
 3+  KZPSA             81011    0000  kzpsa1
 4+  KZPSA             81011    0000  kzpsa2
 7+  DEC PCI MC       181011    000B     mc0
 

例 4-4 に,AlphaServer 8200 システムの show device コンソール・コマンドの出力例を示します。

例 4-4:  AlphaServer 8200 のデバイス表示

>>> show device
polling for units on isp0, slot0, bus0, hose0...
polling for units on isp1, slot1, bus0, hose0...
polling for units on isp2, slot4, bus0, hose0...
polling for units on isp3, slot5, bus0, hose0...
polling for units kzpaa0, slot0, bus0, hose1...
pke0.7.0.0.1      kzpaa4        SCSI Bus ID 7
dke0.0.0.0.1      DKE0                RZ28    442D
dke200.2.0.0.1    DKE200              RZ28    442D
dke400.4.0.0.1    DKE400              RRD43   0064
 
polling for units isp4, slot1, bus0, hose1...
dkf0.0.0.1.1      DKF0               HSZ80    V83Z
dkf1.0.0.1.1      DKF1               HSZ80    V83Z
dkf2.0.0.1.1      DKF2               HSZ80    V83Z
dkf3.0.0.1.1      DKF3               HSZ80    V83Z
dkf4.0.0.1.1      DKF4               HSZ80    V83Z
dkf5.0.0.1.1      DKF5               HSZ80    V83Z
dkf6.0.0.1.1      DKF6               HSZ80    V83Z
dkf100.1.0.1.1    DKF100             RZ28M    0568
dkf200.2.0.1.1    DKF200             RZ28M    0568
dkf300.3.0.1.1    DKF300             RZ28     442D
 
polling for units on kzpsa0, slot 2, bus 0, hose1...
kzpsa0.4.0.2.1    dkg     TPwr 1 Fast 1 Bus ID 7   L01 A11
dkg0.0.0.2.1      DKG0               HSZ80    V83Z
dkg1.0.0.2.1      DKG1               HSZ80    V83Z
dkg2.0.0.2.1      DKG2               HSZ80    V83Z
dkg100.1.0.2.1    DKG100             RZ26N    0568
dkg200.2.0.2.1    DKG200             RZ28     392A
dkg300.3.0.2.1    DKG300             RZ26N    0568
 
polling for units on kzpsa1, slot 3, bus 0, hose1...
kzpsa1.4.0.3.1    dkh     TPwr 1 Fast 1 Bus ID 7   L01 A11
dkh100.1.0.3.1    DKH100             RZ28     442D
dkh200.2.0.3.1    DKH200             RZ26     392A
dkh300.3.0.3.1    DKH300            RZ26L     442D
 
polling for units on kzpsa2, slot 4, bus 0, hose1...
kzpsa2.4.0.4.1    dki     TPwr 1 Fast 1 Bus ID 7   L01 A10
dki100.1.0.3.1    DKI100             RZ26     392A
dki200.2.0.3.1    DKI200             RZ28     442C
dki300.3.0.3.1    DKI300             RZ26     392A
 

4.3.3    コンソール環境変数の表示および KZPBA の SCSI ID の設定

ここでは,show コンソール・コマンドを使って pk* および isp* コンソール環境変数を表示し,各 AlphaServer システムで KZPBA の SCSI ID を設定する方法について説明します。以下の例は,実際のシステムのガイダンスとして利用してください。

SCSI オプションとして使用されるコンソール環境変数は,システムによってさまざまに異なります。また,環境変数のクラス ( pk*isp*など) には,内部オプションと外部オプションの両方が表示される場合があります。

以下の例を,show config および show dev の例に示されたデバイス群と比較して,共用 SCSI バス上の KZPSA-BB デバイスまたは KZPBA デバイスを識別してください。

4.3.3.1    KZPBA の pk* および isp* コンソール環境変数の表示

使用するコンソール環境変数を調べるには,show pk* および show isp* コンソール・コマンドを実行します。

例 4-5 に,AlphaServer DS20 の pk コンソール環境変数を示します。

例 4-5:  AlphaServer DS20 システムの pk* コンソール環境変数の表示

P00>>>show pk*
pka0_disconnect         1
pka0_fast               1
pka0_host_id            6
 
pkb0_disconnect         1
pkb0_fast               1
pkb0_host_id            6
 
pkc0_host_id            6
pkc0_soft_term          on
 
pkd0_host_id            15
pkd0_soft_term          on
 

例 4-5show pk* コマンドの出力を例 4-1show config コマンドの出力と比較してください。例 4-5 の最初の 2 つのデバイス,pkaopkb0 が NCR 53C875 SCSI コントローラに接続されていることがわかります。続く 2 つのデバイス,pkc0pkd0 は,例 4-1 では Qlogic ISP10x0 デバイスとして表示されていますが,KZPBA デバイスです。これらはコンソールの表示内容にかかわらず,実際には Qlogic ISP1040 デバイスです。

pkc0pkd0 について調べてみましょう。

例 4-5 には,2 つの pk*0_soft_term 環境変数, pkc0_soft_termpkd0_soft_term が示され,両方とも「on」になっています。

pk*0_soft_term 環境変数は,16 ビット Wide SCSI バスを実装し,動的終端を使用する QLogic ISP1020 SCSI コントローラを使用しているシステムに適用されます。

QLogic ISP1020 モジュールには 2 つのターミネータがあり,1 つは下位 8 ビット用,もう 1 つは上位 8 ビット用です。 pk*0_soft_term は次の 5 つの値をとります。

KZPBA は Qlogic ISP1040 モジュールであり,その終端設定は内部終端抵抗 SIP の RM1〜RM8 があるかどうかによって決まります。この場合, pk*0_soft_term 環境変数は無意味であり,無視してかまいません。

例 4-6 に,show isp コンソール・コマンドで表示した,AlphaServer 8x00 上の KZPBA に適用されるコンソール環境変数を示します。

例 4-6:  AlphaServer 8x00 システムの KZPBA に適用されるコンソール変数の表示

P00>>>show isp*
isp0_host_id      7
isp0_soft_term    on
 
isp1_host_id      7
isp1_soft_term    on
 
isp2_host_id      7
isp2_soft_term    on
 
isp3_host_id      7
isp3_soft_term    on
 
isp5_host_id      7
isp5_soft_term    diff
 

例 4-3 および例 4-4 には,5 つの isp デバイス, isp0isp1isp2isp3,および isp4 が示されています。例 4-6 では,show isp* コンソール・コマンドにより, isp0isp1isp2isp3,および isp4 が表示されています。

コンソール環境変数を割り当てるコンソール・コードは,KZPAA を含むすべての I/O アダプタをカウントします。KZPAA は isp3 より後のデバイスなので,論理上 isp4 がナンバリングに組み込まれます。これに対し,show isp コンソール・コマンドは,KZPAA が QLogic 1020/1040 クラスのモジュールではないので, isp4 をスキップします。

例 4-3 および例 4-4 は, isp0isp1isp2,および isp3 が内部 KFTIA PCI バス上のデバイスで,共用 SCSI バス上にはないことを示しています。ここでは isp4 (show isp コンソール・コマンドでは isp5) だけが KZPBA で,共用 SCSI バス上にあります。その他の 3 つの共用 SCSI バスでは KZPSA-BB を使用しています。KZPSA コンソール環境変数を表示するには,show pk* コンソール・コマンドを使用します。

4.3.3.2    KZPBA の SCSI ID の設定

共用 SCSI バス上の KZPBA のコンソール環境変数がわかったら,set コンソール・コマンドを使用して SCSI ID を設定します。TruCluster Server クラスタでは,通常,1 つを除くすべての KZPBA UltraSCSI アダプタに SCSI ID を設定する必要があります。DS-DWZZH-05 を使用する場合は,すべての KZPBA UltraSCSI アダプタに SCSI ID を設定する必要があります。

警告

1 つの SCSI バス上に同じ SCSI ID を持つ複数の SCSI アダプタがあると,ストレージのアクセスに問題が発生します。

DS-DWZZH-05 を使用する場合,KZPBA UltraSCSI アダプタに SCSI ID 7 を割り当てることはできません。SCSI ID 7 は DS-DWZZH-05 で使用するために予約されているからです。

DS-DWZZH-05 のフェア・アービトレーションを有効にする場合は,ホスト・アダプタの SCSI ID とハブ・ポートに割り当てられた SCSI ID が一致する必要があります。SCSI ID の不一致または重複は,ハブがハングする原因になります (3.6.1.2 項を参照)。

SCSI ID 7 は,フェア・アービトレーションの有効/無効にかかわらず,DS-DWZZH-05 用に予約されています。

例 4-7 に示すように,set コンソール・コマンドを使って SCSI ID を設定します。この例では,例 4-5 に示されている AlphaServer DS20 上の KZPBA pkc の SCSI ID を設定しています。

例 4-7:  KZPBA SCSI バス ID の設定

P00>>> show pkc0_host_id
6
P00>>> set pkc0_host_id 7
P00>>> show pkc0_host_id
7
 

4.3.3.3    KZPBA の終端抵抗

図 4-1 に示すように,終端抵抗 RM1〜RM8 を取り外すと,KZPBA の内部終端は無効になります。

図 4-1:  KZPBA の終端抵抗