2    ワールドワイド言語サポートのインストレーション手順

この章では,次の項目について説明します。

2.1    ワールドワイド言語サポートの概要

WLS ソフトウェア・サブセットは,標準でインストールされるアメリカ英語以外の,さまざまな言語および国々に対するサポートを提供します。 WLS ソフトウェア・サブセットをインストールすると,ソフトウェア開発者は,さまざまな国々で使用できる国際化されたソフトウェアを開発することができ,ユーザは母国語の環境で作業することができます。

インストレーション・ガイド』で説明しているように,フル・インストレーション中に使用言語を選択することにより,1 つ以上の言語をサポートするためのソフトウェアをインストールすることができます。 WLS ソフトウェアのインストールでは,この方法をお勧めします。 ただし,この章で説明する手順を使用すると,ベース・オペレーティング・システムのインストール後に,言語サポートを追加することもできます。

WLS ソフトウェアは,/usr/i18n ディレクトリにインストールされます。 このディレクトリは,独立したファイル・システムとして作成することも,別のファイル・システムへのシンボリック・リンクとして作成することもできます。 wwinstall コマンドを使用して WLS をインストールしているときに,/usr/i18n ディレクトリ (ファイル・システム) が存在していない場合は,このディレクトリを作成するように求められます。 なお,i18n国際化 (internationalization) の略語です。

各言語でサポートされている端末およびプリンタについての詳細は,『QuickSpecs』を参照してください。

2.2    [ステップ 1]: WLS インストレーションの準備

WLS のインストレーションを開始する前に,次の作業を実行してください。

  1. インストレーション前に行う一般的な準備作業について説明している,『インストレーション・ガイド』のインストレーションの準備作業の節を読みます。

  2. インストールしようとしている WLS と同じバージョンのベース・オペレーティング・システムがすでにシステムにインストールされていることを確認します。

  3. 現行のバージョンの Operating System Volume 1 を用意します。 システムにインストールされていないオペレーティング・システム・サブセットに WLS サブセットが依存している場合は,setld コマンドを使用して,そのオペレーティング・システム・サブセットをインストールします。 WLS のインストレーション処理の際に,ベース・オペレーティング・システム・ソフトウェア・サブセットへの依存性が調べられます。 WLS のインストレーションを中断して,依存しているサブセットをインストールしてから作業を続行します。

  4. RIS サーバから WLS ソフトウェア・サブセットをインストールしている場合は,ご使用のシステムが RIS サーバ上でクライアントとして登録されていることを確認します。 ご使用のシステムが登録されている RIS 領域には,WLS プロダクトが含まれていなければなりません。

    RIS サーバおよび RIS クライアントのセットアップ方法の詳細については,『Sharing Software on a Local Area Network』を参照してください。

2.3    [オプション]: WLS ソフトウェア用に利用可能なディスク・スペースの拡大

WLS インストレーション・プロシージャは,ほとんどの WLS ファイルを,/usr/i18n ディレクトリ下のサブディレクトリにロードします。 /usr/i18n ディレクトリが存在しない場合は,インストレーション・プロシージャがそのディレクトリを作成します。 ソフトウェアの選択処理では,すべての WLS ソフトウェア・サブセットは,/usr ファイル・システムのサイズに含めて計算されます。 /usr/i18n ディレクトリが存在する場合,インストレーション・プロシージャはこのディレクトリを使用します。

WLS ソフトウェア・サブセット用に十分なディスク・スペースがなく,システム上の別のディスクやディスク・パーティションに空きスペースがある場合は,ファイル・システムのタイプによって2.3.1 項または2.3.2 項の手順に従い,ディスク・スペースを大きくしてください。

2.3.1    UFS ファイル・システムのディスク・スペースを大きくする

インストレーション手順を開始する前に,次の手順に従い,UNIX ファイル・システム (UFS) の /usr/i18n ディレクトリのディスク・スペースを大きくします。

  1. root としてログインするか,su コマンドを使用してスーパユーザになります。

  2. /usr/i18n ディレクトリが存在しない場合は,このディレクトリを作成します。

    # mkdir /usr/i18n
    

  3. /etc/fstab ファイルに次のような行を追加して,新しく作成したディレクトリが追加スペースのあるディスク・パーティションのマウント・ポイントになるように指定します。

    /dev/disk/dsk2c   /usr/i18n   ufs,rw 0 0
    

  4. 新しいマウント・ポイント/usr/i18n へのマウントを実行します。

    # mount -a 
    

2.3.2    AdvFS ファイル・システムのディスク・スペースを大きくする

インストレーション手順を開始する前に,次の手順に従い,/usr/i18n ディレクトリ用の AdvFS ファイル・ドメインを作成します。

  1. root としてログインするか,su コマンドを使用してスーパユーザになります。

  2. /usr/i18n ディレクトリが存在しない場合は,このディレクトリを作成します。

    # mkdir /usr/i18n
    

  3. 次のコマンド構文を使用して,AdvFS ドメインを作成します。

    mkfdmn /dev/disk/dsk<disk_number>c domain_name

    たとえば,dsk2 上に i18n_domain ドメインを作成するには,次のようにします。

    # mkfdmn /dev/disk/dsk2c i18n_domain
    

  4. AdvFS ファイルセットを作成します。

    # mkfset i18n_domain i18n
    

  5. テキスト・エディタを使用して次の行を /etc/fstab ファイルに追加し,新しく作成したドメインをマウントできるようにします。

    i18n_domain#i18n      /usr/i18n        advfs   rw, 0 0
    

  6. 新しいファイル・ドメインをマウントします。

    # mount -t advfs i18n_domain#i18n /usr/i18n
    

2.4    [ステップ 2]: WLS インストレーションの開始

WLS インストレーションの開始方法は,配布メディアのソースによって少し異なります。

インストレーション・プロシージャの途中で,システムの構成に関するいくつかの質問があります。 説明が必要な場合は,疑問符 ( ? ) を入力するとオンライン・ヘルプが表示されます。

2.4.1    CD-ROM からのインストレーション

CD-ROM から wwinstall スクリプトを起動するには,次の手順を実行します。

  1. Associated Products Volume 1」CD-ROM を,CD-ROM ドライブにロードします。

  2. この CD-ROM のマウント・ポイント・ディレクトリを作成して,CD-ROM をマウントします。

    # mkdir /cdrom
    # mount /dev/disk/cdrom0c /cdrom
    # cd /cdrom/Worldwide_Language_Support/kit
    

    この例では,/dev/disk/cdrom0c が CD-ROM のデバイス名です。 CD-ROM デバイスのデバイス名が分からない場合には,次のコマンドを入力します。

    # ls /dev/disk/cdrom*c
    

  3. wwinstall スクリプトがあるディレクトリに移動します。

    # cd /cdrom/Worldwide_Language_Support/kit
    

  4. wwinstall スクリプトを起動します。

    # ./wwinstall
    

2.5 節に進んで,WLS インストレーション・プロシージャを続行します。

2.4.2    RIS サーバからのインストレーション

この項では,setld ユーティリティを使用して RIS サーバから WLS ソフトウェア・サブセットをインストールする方法について説明します。 wwinstall コマンドを使用したい場合は,ネットワーク・ファイル・システム (NFS) マウント機能を使用して,エクスポートされた RIS 領域をマウントします。 この後,マウントされた RIS 領域から wwinstall を実行できます (ここでは,この手順は説明していません)。

RIS サーバから WLS インストレーションを開始するには,次の手順を実行します。

  1. インストールするシステム上でネットワークが構成されていない場合は,クイック・セットアップ・アプリケーションを使用して,基本ネットワーク・サービスをセットアップします。 クイック・セットアップは,System セットアップ・アプリケーションから利用できます。

    # /usr/sbin/checklist
    

  2. RIS サーバ管理者に,ご使用のシステムが,現在のバージョンの WLS ソフトウェアをサービスするサーバのクライアントとして登録されているか確認します。

  3. WLS インストレーション処理を開始します。

    # setld -l ris_server_name:
    

    指定する RIS サーバの名前にコロン ( : ) を付けて指定します。 2.5 節 に進んで,WLS インストレーション・プロシージャを続行します。

2.5    [ステップ 3]: WLS インストレーション処理中のユーザ応答

以下の例では,必要なベース・オペレーティング・システム・ソフトウェア・サブセットがすべてインストールされているものとして説明します。 CD-ROM と RIS のどちらを使用する場合も,インストレーションの画面はほぼ同じです。 ただし,setld ユーティリティを使用して RIS サーバからインストールする場合は,別のパーティションへのシンボリック・リンクを作成して WLS ソフトウェアを格納することはできません。

wwinstall スクリプトを使用する場合,/usr/i18n 領域で利用可能なディスク・スペースを計算し,/usr/i18n 領域をどのように作成するかをユーザが選択できます。 /usr/i18n に必要なディスク容量は,選択した国または言語により異なります。 たとえば,日本語のサポートをインストールする場合は,イタリア語のサポートをインストールする場合に必要なディスク・スペース (約 20 MB) よりも大きなディスク・スペース (約 200 MB) を必要とします。 各言語で必要とするディスク・スペースについては,『リリース・ノート』を参照してください。

CD-ROM からインストールしている場合,あるいは wwinstall コマンドを実行して RIS サーバから WLS をインストールしている場合は,次のようなメッセージが表示されます。

Most of the subsets will be installed under the /usr/i18n directory.
Depending on the number of subsets you choose to install, you may
need more than 200 MB of free disk space for installation.
 
You have the following amount of free disk space
available in /usr:
 
$ df -k /usr/i18n
Filesystem     1024-blocks        Used   Available Capacity  Mounted on
usr_domain#usr      716800      238120      456512    35%    /usr
 
Two ways to set up the /usr/i18n directory :
 
[1] Create the /usr/i18n directory
[2] Set up a symbolic link to another partition that has enough
    free disk space for installation
 
Which way do you want ? [1] : 

次のいずれかの処理を実行します。

インストレーション・スクリプトにより,インストールできる国と言語の一覧が表示されます。

*********************************************************************
*                                                                   *
*  Tru64 UNIX WORLDWIDE LANGUAGE SUPPORT INSTALLATION PROCEDURE     *
*                                                                   *
*********************************************************************
 
Please select the countries for which you want to install support subsets:
 
   1) Belgium (French)                   2) Canada (French)
   3) China (Hong Kong)                  4) China (Simplified Chinese)
   5) China (Taiwan)                     6) Czech Republic
   7) Euro (Latin-9 & Unicode)           8) France
   9) Germany                           10) Greece
  11) Hungary                           12) Israel
  13) Italy                             14) Japan
  15) Korea                             16) Lithuania
  17) Poland                            18) Russia
  19) Slovakia                          20) Slovenia
  21) Spain (Catalan)                   22) Spain (Spanish)
  23) Sweden                            24) Switzerland (French)
  25) Switzerland (German)              26) Thailand
  27) Turkey
 
  28) All of the above
  29) None of the above
 
Choices (for example, 1 2 3) :

プロンプトに対して複数の番号を指定する場合は,番号をスペースで区切ります。 選択を行うと,次のようなメッセージが表示されます。

You are installing localized software for the following countries:
 
<list of countries>
 
Is this correct? [n]

この質問に対して次のように応答します。

選択した国によっては,次の質問が表示されることがあります。

2.5.1 項では,WLS ソフトウェアの選択処理について説明します。 2.5.2 項では,WLS ソフトウェアのロード処理について説明します。 2.5.3 項 では,WLS ソフトウェアの構成処理について説明します。

2.5.1    ワールドワイド・ソフトウェア・サブセットの選択

利用可能なソフトウェア・サブセットのメニューが表示されます。 メニューにはまず,選択した国または言語で必須のソフトウェア・サブセットがリストされます。 これらのソフトウェア・サブセットは,自動的にロードされます。 その後このメニューには,選択した国に応じて,インストール可能なオプションのソフトウェア・サブセットがリストされます。 プロンプトに対して複数の番号を指定する場合は,番号をスペースかコンマで区切ります。 範囲を指定する場合は,ハイフン ( - ) を使用します。

次の例では,Japan を選択した場合に利用できる,オプションのソフトウェアを示します。 ソフトウェア・サブセット・リストは,次のように表示されます。

*** Enter subset selections ***
 
The following subsets are mandatory and will be installed automatically
unless you choose to exit without installing any subsets:
 
      * Japanese Standard Kernel Modules
      * Japanese CDE Mail Interface
      * Japanese Base System
      * Japanese Base System Management Applications and Utilities
      * Japanese Graphical Base System Management Utilities
      * Japanese Graphical System Administration Utilities
      * Japanese Basic X Environment
      * Japanese CDE Desktop Environment
      * Japanese CDE Minimum Runtime Environment
      * Japanese DECwindows 100dpi Fonts
      * Japanese DECwindows 75dpi Fonts
      * Japanese DECwindows Fonts
      * Japanese Netscape Communicator V4.7
 
The subsets listed below are optional:
 
     There may be more optional subsets than can be presented on a single
     screen. If this is the case, you can choose subsets screen by screen
     or all at once on the last screen. All of the choices you make will
     be collected for your confirmation before any subsets are installed.
 
 - Japanese Support - General Applications :
     1) Additional Japanese Software
 
--- MORE TO FOLLOW ---
Enter your choices or press RETURN to display the next screen.
 
Estimated free diskspace(MB) in root:53.1 usr:346.7
 
Choices (for example, 1 2 4-6):
 
     2) Japanese DOS tools
     3) Wnn Input Method
 
 - Japanese Support - Reference Pages :
     4) Japanese Ref. Pages for Additional Software
     5) Japanese Reference Pages
     6) Japanese Windows Reference Pages
 
 - Japanese Support - Software Development :
     7) Japanese CDE Software Development
     8) Japanese Ladebug Debugger Version 4.0
     9) Japanese Software Development
    10) Japanese Software Development Desktop Environment
    11) Japanese X Window Software Development
    12) Wnn Software Development
 
 - Japanese Support - System Administration :
    13) Japanese Advanced File System Graphical User Interface
    14) Japanese Logical Storage Manager GUI
 
 - Japanese Support - Windowing Environment :
    15) Japanese (SJIS) CDE Online Help
    16) Japanese CDE Online Help
    17) Japanese DECwindows Additional 100dpi Fonts
    18) Japanese DECwindows Additional 75dpi Fonts
 
 - Japanese Support - Windows Applications :
    19) Japanese Additional DECwindows Applications
    20) Japanese CDE Additional Applications
 
 - Worldwide Language Support - General Applications :
    21) Worldwide MULE
 
 
 - Worldwide Language Support - Obsolete Components :
    22) Worldwide Obsolete Commands and Utilities
 
 
 - Worldwide Language Support - Operating System :
    23) Worldwide European Unicode Locales
 
    24) Worldwide Phrase Input Support
 
    25) Worldwide User Defined Character Support
 
 - Worldwide Language Support - Software Development :
    26) Worldwide SVE MNLS Migration Tools
    27) Worldwide Software Development
    28) Worldwide X Window Software Development
 
 - Worldwide Language Support - Windowing Environment :
    29) Worldwide Composite Unicode Fonts
    30) Worldwide DECwindows Additional Fonts
    31) Worldwide Two-Byte Outline Font Renderer
    32) Worldwide User Defined Character Workstation Service
    33) Worldwide X/Motif 1.1
 
--- MORE TO FOLLOW ---
Add to your choices or press RETURN to display the next screen.
 
Estimated free diskspace(MB) in root:53.1 usr:337.0
 
Choices (for example, 1 2 4-6):  3
 
The following choices override your previous selections:
 
    34) ALL mandatory and all optional subsets
    35) MANDATORY subsets only
    36) CANCEL selections and redisplay menus
    37) EXIT without installing any subsets
 
Estimated free diskspace(MB) in root:53.1 usr:337.0
 
Add to your choices, choose an overriding action or
press RETURN to confirm previous selections.
 
Choices (for example, 1 2 4-6):  3
 
 

次の例に示すように,選択内容を確認することができます。

You are installing the following mandatory subsets:
 
        Japanese Standard Kernel Modules
        Japanese CDE Mail Interface
        Japanese Base System
        Japanese Base System Management Applications and Utilities
        Japanese Graphical Base System Management Utilities
        Japanese Graphical System Administration Utilities
        Japanese Basic X Environment
        Japanese CDE Desktop Environment
        Japanese CDE Minimum Runtime Environment
        Japanese DECwindows 100dpi Fonts
        Japanese DECwindows 75dpi Fonts
        Japanese DECwindows Fonts
        Japanese Netscape Communicator V4.7
 
You are installing the following optional subsets:
 
 - Japanese Support - General Applications :
        Wnn Input Method
 
Estimated free diskspace(MB) in root:53.1 usr:337.0
 
Is this correct? (y/n): y

ソフトウェア・サブセットを選択し直したい場合は,n を入力します。 リストが正しい場合は,y を入力します。

2.5.2 項では,WLS ソフトウェアのロード処理について説明します。

2.5.2    ワールドワイド・ソフトウェア・サブセットのロード

インストレーション・プロセスは,選択されたサブセットをロードできるだけのディスク・スペースがあるか確認します。 次のようなメッセージが表示されます。

Checking file system space required to install selected subsets:
        Working....Fri Aug 24 13:47:50 EST 2001
 
File system space checked OK.

選択したすべてのソフトウェア・サブセットを格納できるだけのディスク・スペースがない場合は,前に戻って,選択するオプション・ソフトウェア・サブセットの数を減らします。

次に,インストレーション・プロセスはシステム上にソフトウェア・サブセットをインストールします。 次のようなメッセージが表示されます。

14 subsets will be installed.
 
Loading subset 1 of 14 ...
 
Japanese Base System
   Copying from system9 (inet)
        Working....Fri Aug 24 13:49:58 EST 2001
   Verifying
 
Loading subset 2 of 14 ...
 
Wnn Input Method
   Copying from system9 (inet)
        Working....Fri Aug 24 13:50:30 EST 2001
   Verifying
 
Loading subset 3 of 14 ...
 
Japanese Basic X Environment
   Copying from system9 (inet)
   Verifying

.
.
.
Loading subset 12 of 14 ...   Japanese Base System Management Applications and Utilities Copying from system9 (inet) Verifying   Loading subset 13 of 14 ...   Japanese CDE Mail Interface Copying from system9 (inet) Verifying   Loading subset 14 of 14 ...   Japanese Standard Kernel Modules Copying from system9 (inet) Verifying   14 of 14 subsets installed successfully.

2.5.3 項では,WLS ソフトウェアの構成処理について説明します。

2.5.3    ワールドワイド・ソフトウェア・サブセットの構成

次に,サブセットの構成 (オペレーティング・システム・ソフトウェアの調整) が行われます。 画面出力を十分にチェックしてください。 インストールしたソフトウェア・サブセットによっては,セットアップ・スクリプト実行の指示が表示される場合があります。 CD-ROM からインストレーションを実行した場合には,インストレーション完了後に,/var/adm/smlogs/wwinstall.log ログ・ファイルでインストレーションの記録を見直してください。 RIS によるインストレーションでは,ログ・ファイルは作成されません。

Configuring "Japanese Base System" (IOSJPBASE540)
Configuring "Wnn Input Method" (IOSJPWNN540)
Configuring "Japanese Basic X Environment" (IOSJPX11540)

.
.
.
Configuring "Japanese CDE Mail Interface" (IOSJPCDEMAIL540) Configuring "Japanese Standard Kernel Modules" (IOSJPBIN540)  

2.5.4 項では,カーネル構築処理について説明します。

2.5.4    カーネルの構築

必要であれば,ソフトウェア・サブセットの構成後,カーネルの構築が自動的に開始されます。

注意

データレス・インストレーションを行った場合,カーネルの構築は自動的には行われません。 この場合は,doconfig コマンドを使用してカーネルを構築してください。 詳細は, doconfig(8) を参照してください。

カーネルの構築時には,次のようなメッセージが表示されます。 最初のログイン画面に言語オプションを含めるためには,X サーバの再スタートが必要になることがありますので,この情報を注意深く読んでください。

*********************************************************************
 
   Reconfiguring kernel to incorporate Asian/Thai tty drivers
*********************************************************************
 
 **** Adding Worldwide Support tty Features into Kernel Configuration File ****
Loading I18N tty kernel modules ... done
 
The installation software has completed the installation process.
The log file /var/adm/smlogs/wwinstall.log contains a record of
your installation.
 
Total installation time = 23 minutes 35 seconds.
 
Do you want to start i18nconfig at this time? (y/n) [y] : y
 
 

カーネルの構築に失敗した場合は,/var/adm/smlogs/it.log のログ・ファイルを参照して,原因を調べてください。 2.5.5 項では,この時点で使用可能な国際化機能構成ユーティリティについて説明します。

2.5.5    国際化機能構成アプリケーションの使用

カーネルの構築が完了したら,i18nconfig アプリケーションを使用できます。 i18nconfig アプリケーションを使用すると,システムにインストールされているワールドワイド・サポート・オプション (ドライバ,フォント,Wnn 日本語入力システム,ユーザ・アカウントなど) をセットアップおよびメンテナンスしたり,インストールされているキーマップやロケールを参照することができます。 これらのオプションを構成すると,国際化アプリケーションの作成や使用のためのオペレーティング・システム環境が確立されます。 図 2-1 に,このアプリケーションのメイン・ウィンドウを示します。

図 2-1:  国際化機能構成アプリケーション

2.6    [ステップ 4]: インストール後のアジア言語用カーネルの構築 (オプション)

日本,中国,香港,韓国,台湾,またはタイの言語をサポートするソフトウェア・サブセットをインストールした場合,ワールドワイド・インストレーション・プロセスは,インストールされたアジア言語またはタイ語の端末をサポートするカーネルを構築します。 カーネル内のアジア言語またはタイ語の端末サポートを使用可能にするには,その後,新しいカーネルでシステムをリブートする必要があります。

カーネルでのアジア言語またはタイ語端末のサポートを有効または無効にしたい場合は,2.6.1 項のアジア言語用カーネルの再構築手順を参照してください。

2.6.1    アジア言語用のターミナル・ドライバおよびデーモンをサポートするためのカーネルの再構成

アジア言語用ターミナル・ドライバおよびデーモンをサポートするためにカーネルを再構成するには,-a オプションを指定して wwconfig スクリプトを実行します。

# /usr/sbin/wwconfig -a

詳細については, wwconfig(8) を参照してください。

IOSWWBIN540 をインストールしており,IOSWWUDCOS540 (オン・デマンド・フォント・ローディング),IOSWWPHRASE540 (ソフトウェア入力メソッド),または IOSJPBASE540 (かな漢字変換) の少なくとも 1 つのサブセットをインストールしている場合は,UTX の構成に関する次のようなメッセージが表示されます。 UTX は,アジア言語用のターミナル・ドライバとデーモンの間の通信のためのメカニズムです。

*** UTX  CONFIGURATION SELECTION ***
 
    Selection   Asian service Daemon
-------------------------------------------------------
        1       On Demand Font Loading (odld)
        2       Software Input Method  (simd)
        3       Kana-Kanji Conversion  (kkcd)
        4       All of the above
        5       None of the above
-------------------------------------------------------
 
Enter the selection number for each daemon you want.
For example, 1 2 :

番号を選択すると,選択したデーモンが確認のために表示されます。 「4 (All of the above)」を選択した場合は,次の確認メッセージが表示されます。

You specified the following daemons:
 
	   On Demand Font Loading (odld)
	   Software Input Method  (simd)
	   Kana-Kanji Conversion  (kkcd)
 
Is this correct? (y/n) [n]:

表示された内容が正しければ,y を入力します。

インストレーション・プロシージャは次に,作成する UTX デバイスの数を聞いてきます。

How many UTX devices do you want to create? [default: 32] :

入力した数値は,/var/i18n/sys/stanza.loadable ファイルに保存されます。 UTX デバイスの作成は,システムのリブート時に行われます。

UTX デバイスを 1 つ使用する utxd マスタ・デーモンが 1 つあります。 odldsimd,および kkcd のいずれかのデーモンを起動するたびに,UTX デバイスが 1 つ使用されます。 ユーザが,他の odld でまだ処理されていないデータベース上で odld をオンにすると,新しい odld プロセスが開始されます。 詳細については,リファレンス・ページの stty(1) および cedit(1) を参照してください。 ソフトウェア語句入力メソッド (Software Phrase Input Method) をオンにしている各ユーザ・セッションでは,simd が 1 つ必要になります。 ユーザが,別の kkcd でまだ処理されていないデータベース上のかな漢字変換をオンにすると (詳細については, stty(1) を参照),新しい kkcd プロセスが開始されます。 たとえば,10 人のユーザに対してそれぞれ 3 つのサービスをサポートするには,UTX デバイスが 31 個必要になります。

IOSZHBIG5540IOSZHTELEX540,および IOSZHCONV540 ソフトウェア・サブセットをインストールしている場合は,次のメニューが表示されます。

*** ADDITIONAL TERMINAL CODESETS SELECTION ***
 
    Selection   Terminal Codeset
-------------------------------------------------------------
        1       BIG-5
        2       Telecode
        3       Traditional & Simplified Chinese Conversion
        4       All of the above
        5       None of the above
-------------------------------------------------------------
 
Enter the selection number for each codeset you want.
For example, 1 2 :

このプロンプトで端末コードセットを選択すると,ターミナル・ドライバに端末コードセットのサポートが組み込まれます。 コードセット・サポートがターミナル・ドライバに組み込まれると,/usr/i18n/bin/stty コマンドを使用することにより,そのコードセットを端末コードとして選択できます。

端末コードに簡体字中国語コードセット,アプリケーション・コードに繁体字中国語コードセットが設定されているとき (または逆のとき) に,適切なコードセット変換をサポートしたい場合は,3 を選択します。

3 つのソフトウェア・サブセットのうち 2 つだけがインストールされている場合は,選択メニューは表示されますが,インストールされていない構成要素はリストされません。

サブセットのうち 1 つだけをインストールしている場合は,代りに質問が表示されます。 次の例に示すように,IOSTHBIN540 ソフトウェア・サブセットをインストールしている場合は,タイ語用ターミナル・ドライバをカーネルに追加するかどうかの質問が表示されます。

Do you want to install the Thai tty driver? (y/n) [y] :
 

タイ語用ターミナル・ドライバは,タイ語端末入力/出力 (I/O) をサポートします。 その他のアジア言語は,アジア言語用ターミナル・ドライバによってサポートされます。 IOSTHBIN540 ソフトウェア・サブセットだけをインストールして,IOSWWBIN540 ソフトウェア・サブセットをインストールしていない場合には,この質問だけが表示されます。

インストレーション・プロシージャは次に,カーネルを再構築するかどうかを質問します。

If you wish, you may use an automated kernel build procedure by
answering 'y' to the next question.
 
You will need about 10 MB available in the /sys file system
for the kernel build.  If you do not have this much space,
do not choose an automated build.
 
You have the following amount of free disk space available:
 
df -k /sys
Filesystem   kbytes      used     avail capacity  Mounted on
/dev/disk/dsk3g    825507    670890     72066    90%    /ufs/dsk3g
 
Do you want this procedure to rebuild your kernel? (y/n):

y を入力するとカーネルの構築が開始され,次のようなメッセージが表示されます。

Starting kernel rebuild...
 
*** KERNEL CONFIGURATION AND BUILD PROCEDURE ***
 
Saving /sys/conf/SYSTEM9 as /sys/conf/SYSTEM9.bck
 
Do you want to edit the configuration file? (y/n) [n]: n
 
 
*** PERFORMING KERNEL BUILD ***
       Working....Fri Aug 24 13:54:25 EST 2001
       Working....Fri Aug 24 13:56:25 EST 2001
       Working....Fri Aug 24 13:58:25 EST 2001
 
The new kernel is /sys/SYSTEM9/vmunix
 
Saving /vmunix as /vmunix.IOS540.3
Copying /sys/SYSTEM9/vmunix to /vmunix

この例の SYSTEM9 は,システム名です。

注意

-s フラグを指定して wwconfig を起動すると,静的にリンクされたカーネルが構築されます。 この場合,wwconfig コマンドの出力は,この項で示した内容とは異なります。

有効または無効にしたい端末オプションがある場合には,次のコマンドを使用して,カーネルの再構成および再構築が必要です。

# /usr/sbin/wwconfig -a

2.7    WLS インストレーションで作成されるバックアップ・ファイル

ワールドワイド・サポート・ソフトウェア・サブセットのインストレーション中に,インストレーション・プロシージャが置き換えるファイルのオリジナルの内容を保存するために,バックアップ・ファイルが作成されます。 表 2-1 に,インストレーション・プロシージャが置き換えるファイルをリストします。

バックアップ・ファイルには,.IOS540_sav.* ( * は整数) または .IOS540_sav (整数は付かない) という拡張子が付けられます。

表 2-1:  WLS インストレーションで作成されるバックアップ・ファイル

拡張子付きで保存されるファイル ファイル名
.<file>.IOS540_sav /usr/bin/X11/dxkeycaps

IOS540_sav という拡張子のバックアップ・ファイルは,システム管理者が変更することがないデータ・ファイルまたはバイナリ・ファイルのバックアップです。 これらのファイルは,ワールドワイド・サポート・ソフトウェア・サブセットを削除する際にリストアされます。

注意

IOS540_sav という拡張子の付いたファイルは削除しないでください。 これらのファイルを削除すると,WLS ソフトウェアを削除する際に,対応するデータ・ファイルおよびバイナリ・ファイルをリストアすることができなくなります。

.IOS540_sav.* という拡張子の付いたファイルは,システムの構成によってはシステム管理者が変更することがあるデータ・ファイルのバックアップです。 空きスペースを確保するために .IOS540_sav.* を削除しても構いません。 これらのファイルは,サブセットを削除する際にオリジナルをリストアするために使用されることはありません。

2.8    [ステップ 5]: 環境変数の設定

ある言語 (Euro Latin-9 および Unicode を除く) を WLS キットから初めてインストールしたときには,省略時の設定では CDE デスクトップがその言語で開始されます。 ただし,初めてのインストレーションで複数の言語を選択した場合は,CDE デスクトップは英語のままです。 CDE デスクトップが別の言語に切り替えられている場合は,後で他の言語をインストールしても,省略時の CDE 言語には影響しません。

次のコマンドを使用すると,省略時の CDE 言語を英語に戻すことができます。

# rm -f /etc/dt/config/Xconfig

複数の言語のサポートをインストールした場合は,LANG 環境変数または LC_ALL 環境変数を定義して,ロケールを設定します。

CDE ログイン・ウィンドウでログインするときに共通デスクトップ環境 (CDE) の言語を設定するには,[オプション]メニューから,[言語] をクリックして,使用したい言語を選択します。

2.9    関連ドキュメント

Tru64 UNIX の国際化機能についての詳細は,次のドキュメントを参照してください。