Tru64 UNIX では,日本語ドキュメントおよびリファレンス・ページの全文検索機能として,MitakeSearch for Online Documents (midoc) と MitakeSearch for Man Pages (miman) を提供しています。これらのツールは,コンパックコンピュータが開発した日本語全文検索システム MitakeSearch (ミタケサーチ) を利用しており,任意の文字列でオンライン・ドキュメントおよび man page の全文検索を行うことができます。
midoc の検索の対象となるオンライン・ドキュメントは日本語 HTML ドキュメントです。midoc には,Web ブラウザを利用した GUI インタフェースが用意されています。
miman の検索対象は日本語 man page および英語版 man pageです。既存の apropos コマンドでは,whatis データベースに登録されたキーワードでの検索しかできませんが,miman を利用することにより man page の全文検索が可能です。miman には,コマンドライン・インタフェースと Web ブラウザを利用した GUI インタフェースが用意されています。
midoc および miman は,CGI 経由で Web ブラウザによる検索を前提としているため,使用するためには,事前にシステムへのインストレーションと HTTP サーバに対する設定が必要になります。この章では,midoc および miman のインストレーションと必要な設定について説明します。
なお,midoc および miman のキットは 「日本語追加機能」CD-ROM に含まれています。
miman および midoc の GUI インタフェースの使い方については,それぞれの検索画面のヘルプ・アイコンあるいはヘルプ・ボタンをクリックしてオンライン・ヘルプを参照してください。
miman のコマンドライン・インタフェースの使い方については,リファレンス・ページを参照してください。
6.1 midoc のインストレーション
MitakeSearch for Online Documents (midoc) のインストレーションは,setld コマンドを使用して行います。キットの展開先は,/var/opt/midoc
ディレクトリに固定されており,およそ 27 MB の空き容量を必要とします。
以下の項で,midoc のインストレーション手順を説明します。
6.1.1 キットの展開先の確保
/var/opt
ディレクトリに十分な空き容量 (27 MB 以上) があることを確認してください。もし空き容量が十分でない場合には,別のディスクまたはパーティション上に midoc 用のディレクトリを用意し,/var/opt/midoc
からシンボリックリンクを張ってください。
たとえば
/usr/local
ディレクトリに十分な空きがあるため
/usr/local/midoc
にキットを展開したい場合は,次のように行います。この操作は root ユーザとして実行してください。
/usr/local/midoc
ディレクトリを作成します。
% mkdir -p /usr/local/midoc
/usr/local/midoc
ディレクトリの所有者を root に設定します。
% chown root /usr/local/midoc
/usr/local/midoc
ディレクトリの許可モードを 755 に設定します。
% chmod 755 /usr/local/midoc
/var/opt/midoc
ディレクトリを
/usr/local/midoc
ディレクトリにリンクさせます。
% ln -s /usr/local/midoc /var/opt/midoc
なお
/var/opt
ディレクトリに十分な空き容量があり,/var/opt/midoc
に直接展開する場合には,この手続きは不要です。
6.1.2 キットからのインストール
midoc のキットは,IOSMIDOC540 サブセットとして1つにまとめられています。「日本語追加機能」CD-ROM を
/mnt
ディレクトリ にマウントしている場合,以下のコマンドで midoc をインストールできます。
% setld -l /mnt/midoc/kit IOSMIDOC540
setld
コマンドの使用方法については,
『インストレーション・ガイド』および
setld
(8)6.1.3 インストール後の設定作業
midoc は,CGI 経由で,Web ブラウザによる検索を前提としています。展開後の作業として,midoc に関する設定のほか,HTTP サーバに対する設定が必要です。
6.1.3.1 アイコン・ファイルのコピー
HTTP サーバの icons ディレクトリ (http://host-name/icons/
でアクセスされるディレクトリ) に,/var/opt/midoc/cgi-bin
ディレクトリに格納されている次のファイルをコピーしてください。
midoc-h.gif
midoc-next.gif
midoc-prev.gif
midoc-t.gif
midoc-help.gif
midoc-p.gif
midoc-search.gif
midoc-x.gif
icons ディレクトリが存在しない場合は作成してください。ファイルをコピーしたら,ファイル・プロテクションを確認して,一般ユーザがアクセスできるように設定してください。
6.1.3.2 Perl スクリプトのコピー
HTTP サーバの CGI 向けのディレクトリ (http://host-name/cgi-bin/
等でアクセスされるディレクトリ) に,/var/opt/midoc/cgi-bin
ディレクトリに格納されている以下の Perl スクリプトをコピーしてください。スクリプトをコピーしたら,一般ユーザが実行可能になるようにファイル・プロテクションを設定してください。
midoc.pl
midoc2html.pl
libjconv.pl
なお,ご使用のシステムで MitakeSearch や miman を使用している場合は,既に libjconv.pl が存在する場合があります。これらは同じものですので,共通に使用できます。
6.1.3.3 マップ・ファイルの編集
マップ・ファイル (/var/opt/midoc/etc/urlmap.cgi
)を編集して,検索結果の URL が表示可能な URL にマップされるようにします。midoc 用データベースに登録されたドキュメントの URL は,「日本語追加機能」CD-ROMを,
/usr/share/doclib/online
にマウントした状態と同じです。 ただし,ホスト名が localhost での file:// プロトコルで登録されています。したがって,全てのドキュメントは先頭に
file://localhost/usr/share/doclib/online/
を含む URL で登録されています。
以下の例を参考に,URL マップの編集を行ってください。なお,区切り文字は [TAB] 1 つとし,ブランク等は入れないでください。
− 例1 ローカルにマウントされた CD-ROM をアクセスする場合 −
たとえば 「日本語追加機能」CD-ROM をローカル・システムの
/mnt
ディレクトリにマウントし,検索実行者がローカルファイルとしてアクセスする場合は,次のように編集します。
[編集前]
file://localhost/usr/share/doclib/online/[TAB] http://hostname/path/
[編集後]
file://localhost/usr/share/doclib/online/[TAB] file:/mnt/
− 例2 Web サーバにマウントされた CD-ROM をアクセスする場合 −
「日本語追加機能」CD-ROM が Web サーバにマウントされており,http://hostname/document/ の URL でアクセスできる場合は,次のように編集します。
[編集前]
file://localhost/usr/share/doclib/online/[TAB] http://hostname/path/
[編集後]
file://localhost/usr/share/doclib/online/[TAB] http://hostname/document/
なお,CD-ROM 上のファイルを同じディレクトリ構成でディスクへコピーしている場合も,上記と同様にマップ・ファイルを編集することにより,midoc をご利用いただけます。
6.1.4 検索の実行
6.1.3.3 項 で設定した HTTPサーバーに,以下のような URL でアクセスすると検索用 CGI が実行されます。
http://host-name/cgi-bin/midoc.pl
検索結果の画面から URL をクリックしても該当するドキュメントが参照できない場合には,URL マップ・ファイル(/var/opt/midoc/etc/urlmap.cgi
) の設定を見直してください。
6.1.5 midoc のアンインストール
アンインストールは,setld
コマンドで行ないます。
% setld -d IOSMIDOC540
MitakeSearch for Man Pages (miman) のインストレーションは,setld
コマンドで行います。miman の展開先は,/var/opt/miman
ディレクトリに固定されており,およそ 105 MB の空き容量を必要とします。
以下の項で,miman のインストレーション手順を説明します。
6.2.1 キットの展開先の確保
/var/opt
ディレクトリに十分な空き容量 (105 MB 以上) があることを確認してください。もし空き容量が十分にない場合には,別のディスクまたはパーティション上に miman 用のディレクトリを確保し,/var/opt/miman
とシンボリックリンクを張ってください。
たとえば
/usr/local
ディレクトリに十分な空きがあるため
/usr/local/miman
にキットを展開したい場合は,次のように行います。この操作は root ユーザとして実行してください。
/usr/local/miman
ディレクトリを作成します。
% mkdir -p /usr/local/miman
/usr/local/miman
ディレクトリの所有者を root に設定します。
% chown root /usr/local/miman
/usr/local/miman
ディレクトリの許可モードを 755 に設定します。
% chmod 755 /usr/local/miman
/var/opt/miman
ディレクトリを
/usr/local/miman
ディレクトリにリンクします。
% ln -s /usr/local/miman /var/opt/miman
なお
/var/opt
ディレクトリに十分な空き容量があり,直接
/var/opt/miman
に展開する場合には,この手続きは不要です。
6.2.2 キットからのインストール
miman のサブセットは,IOSMIMAN540 の1つにまとめられています。CD-ROM を
/mnt
ディレクトリにマウントしている場合,次のコマンドでインストールできます。
% setld -l /mnt/miman/kit IOSMIMAN540
setld
コマンドの使用方法については,
『インストレーション・ガイド』および
setld
(8)6.2.3 キット展開後の作業
miman には,次の 2 種類のユーザ・インタフェースが用意されています
console からのコマンド形式で利用するためのコマンド行インタフェース
CGI 経由で,Web ブラウザによる検索を行うグラフィカル・ユーザ・インタフェース
検索に利用するデータベースは,予め用意されたものがキットのインストレーション時にインストールされます。データベースの内容を変更 (追加/削除)
する方法については,
mimanctl
(1)6.2.3.1 コマンド形式で利用するための設定
コマンド形式での使用に関しては,キット展開後,直ちに使用することが可能です。使用方法については,
miman
(1)6.2.3.2 CGI 経由で利用するための設定
検索 CGI クライアントおよびスケジュール管理 CGI クライアントを利用するためには,MitakeSearch for Man Pages のインストレーション終了後に以下の作業を行う必要があります。
HTTPサーバの icons ディレクトリ(http://host-name/icons/
でアクセスされるディレクトリ) に,/var/opt/miman/cgi-bin
ディレクトリに格納されている次のファイルをコピーしてください。ファイルをコピーしたら,一般ユーザがそれらのファイルをアクセスできるように,ファイル・プロテクションを設定してください。
miman-h.gif
miman-go.gif
miman-help.gif
miman-m.jpg
miman-p.gif
miman-x.gif
HTTP サーバ (フル・キットをインストールしたマシン) の CGI 向けのディレクトリ (http://host-name/cgi-bin/
等でアクセスされるディレクトリ) に,
/var/opt/miman/cgi-bin
ディレクトリに格納されている Perl スクリプト (miman.pl
,miman2html.pl
および
libjconv.pl
) をコピーしてください。スクリプトをコピーしたら,一般ユーザが実行可能になるようにファイル・プロテクションを設定してください。
検索 CGI クライアントは,WWW ブラウザで次のように URL 指定することにより利用できます。
http://host-name/cgi-bin/miman.pl
6.2.4 miman のアンインストールとその他の注意事項
アンインストールは,次のように
setld
コマンドで行ないます。なお,ユーザが作成したファイルや,一部のディレクトリが残ることがあります。それらについては,手作業で削除してください。
% setld -d IOSMIMAN540
データベースの更新中にエラーが発生すると,稀にデータベースが壊れることがあります。この場合は,キットを再度インストールしてください。再インストールの前には,必ずアンインストールを行なってください。なお,再インストールを行うと,ユーザ登録のデータは失われます。