OpenVMS マニュアル

まえがき

対象読者

本書は，アプリケーション・コードの移植を担当するソフトウェア・エンジニアを対象に，以下の移植について説明しています。

• VAX MACRO から OpenVMS Alpha システム上の OpenVMS MACRO へ

• VAX MACRO から OpenVMS I64 システム上の OpenVMS MACRO へ

• OpenVMS Alpha システム上の OpenVMS MACRO から OpenVMS I64 システム上の OpenVMS MACRO へ

読者は，プログラミングの技術を持ち，関係するオペレーティング・システムについて理解している必要があります。

本書の構成

本書は 2 つの部に分かれています。

第 1 部, 概念と方法 は，以下の章で構成されます。

• 第 1 章, Macro-32 コードの移植の準備 では， VAX MACRO コードを OpenVMS Alpha または OpenVMS I64 システムに移植する方法について説明します。

• 第 2 章, MACRO コンパイラのプラットフォームごとの動作 では，特別な指示文やマクロを含め，コンパイラの機能をいつどのように使用するかを説明します。

• 第 3 章, ソースに対する推奨される変更と必要な変更 では， MACRO コンパイラでコンパイルできないコーディング構造を変更する方法について説明します。

• 第 4 章, 移植したコードの性能改善 では，移植したコードの性能を向上させるために利用できるコンパイラの機能について説明します。

• 第 5 章, MACRO の 64 ビット・アドレッシングのサポート では， MACRO コンパイラと関連する構成要素で提供される 64 ビット・アドレシングのサポートについて説明します。

第 2 部, リファレンス は，以下の付録で構成されます。

• 付録 A, MACRO コンパイラの修飾子

• 付録 B, 専用の指示文

• 付録 C, MACRO コンパイラ・ビルトイン

• 付録 D, VAX から Alpha または I64 への移植用のマクロ

• 付録 E, 64 ビット・アドレッシング用のマクロ

関連資料

本書では，一部の項目に関する追加情報として，以下のマニュアルを参照しています。

• OpenVMS Alpha から OpenVMS I64 へのアプリケーション・ポーティング・ガイドでは， OpenVMS Alpha システムから OpenVMS I64 システムにアプリケーションを移植する方法を説明しています。

• Migrating an Environment from OpenVMS VAX to OpenVMS Alpha ¹ には，VAX から Alpha への移行手順と，移行に役立つ情報が記載されています。移行を計画する際に決定しなければならない事柄や，これらの判断を行うにあたって必要な情報を取得する方法について説明しています。また，移行の方法について説明し，それぞれの方法で必要な作業量を見積もり，アプリケーションにとって最適な方法を選択するために使用可能なツールについても説明しています。

• Migrating an Application from OpenVMS VAX to OpenVMS Alpha では，再コンパイルと再リンクによって OpenVMS VAX アプリケーションの OpenVMS Alpha 版を構築する方法について説明しています。アプリケーションのネイティブ OpenVMS Alpha 版を作成するにあたって変更が必要な， VAX アーキテクチャの機能 (ページ・サイズの想定，同期処理，条件処理など) への依存についての説明があります。また，アプリケーションの中で，ネイティブ OpenVMS Alpha コンポーネントと変換された OpenVMS VAX コンポーネントの間でやり取りする方法についても説明しています。

• OpenVMS Calling Standard では， OpenVMS VAX，OpenVMS Alpha，および OpenVMS I64 システムでプロシージャ呼び出しを可能とするメカニズムについて説明しています。

• VAX MACRO and Instruction Set Reference Manual ¹では， VAX 命令と標準の VAX MACRO アセンブリ言語の指示文について説明しています。

• OpenVMS System Messages: Companion Guide for Help Message Users では， Help Message ユーティリティを使用して， MACRO アセンブラ・メッセージと MACRO コンパイラ・メッセージの情報を取得する方法について説明しています。