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CIPCA アダプタをクラスタにインストールするときは,以下のバージョン別の要件に従ってください。
C.4.1 BAP (Bus Addressable Pool) サイズの管理
CIPCA,CIXCD,KFMSB の各アダプタはバス・アドレス指定可能なプール (BAP) を使用します。OpenVMS バージョン 7.1 以降,AUTOGEN で BAP の割り当てを管理するようになりました。オペレーティング・システムのインストールやアップグレードをした後は, FEEDBACK 修飾子を指定して AUTOGEN を実行してください。こうして AUTOGEN を実行すると,以下の 4 つのシステム・パラメータが設定されます。
BAP の割り当てサイズは,アダプタ・タイプ,アダプタ数,オペレーティング・システムのバージョンによって異なります。 表 C-4 に示すように,物理メモリのサイズにより,BAP が独立したままになるか,標準の非ページ対応動的メモリ (NPAGEDYN) とマージされるかが決まります。
アダプタ | バージョン 7.1 | バージョン 7.2 | 独立した BAP またはマージされた BAP |
---|---|---|---|
CIPCA | 4 MB | 2 MB | 物理メモリ >1 GB の場合,独立; それ以外はマージ |
CIXCD | 4 MB | 2 MB | 物理メモリ >4 GB の場合,独立; それ以外はマージ |
KFMSB | 8 MB | 4 MB | 物理メモリ >4 GB の場合,独立; それ以外はマージ |
非ページ対応のプールにマージした BAP の場合,非ページ対応のプールの初期サイズと最大サイズ (DCL コマンド SHOW MEMORY/POOL/FULL で表示) は,SYSGEN パラメータ NPAGEDYN と NPAGEVIR の値と一致しませんが,SYSGEN パラメータ NPAG_BAP_MIN の値を NPAGEDYN に足すと,初期サイズになり,NPAG_BAP_MAX の値を NPAGEVIR に足すと,最大サイズになります。
OpenVMS システムには,これらの SYSGEN パラメータの合計値ほどのマージ・プールが不要なこともあります。システムを 2,3 日走らせた後,FEEDBACK 修飾子を指定して AUTOGEN を実行し,マージ済みの非ページ対応プールに割り当てられたメモリ・サイズを微調整してください。
C.4.2 OpenVMS バージョン 6.2-1H2 と OpenVMS バージョン 6.2-1H3 における AUTOCONFIGURE の制限事項
通常のインストール・ブートを実行すると,SYSMAN で無効になっていなければ, AUTOCONFIGURE は自動的に実行します。AUTOCONFIGURE は SYS$STARTUP: VMS$DEVICE_STARTUP.COM (SYS$SYSTEM:STARTUP.COM から呼び出し) から実行します。 OpenVMS バージョン 6.2-1H2 または OpenVMS バージョン 6.2-1H3 を実行するとき,ブート・シーケンスをカスタマイズしている場合,AUTOCONFIGURE が実行するか確認してください。実行しない場合は,SYSTARTUP_VMS.COM を終了する前にすべての CIPCA デバイスを再構成してください。
C.5 CIPCA エラー解析のための DECevent
エラー・ログ・ファイルで CIPCA エラーを調べるには,DECevent を使用します。 DCL コマンド ANALYZE/ERROR_LOG は,サポート CIPCA や他の新しいデバイスをサポートするためのアップデートがまだ済んでいません。このコマンドを使用すると,エラー・ログ・エントリが正しくフォーマットできないことがあります。
OpenVMS Alpha CD-ROM で提供される DECevent をインストールします。以下の DCL コマンドにより,DECevent を呼び出してダンプ・ファイルを解析します。
DECevent の使用方法の詳細については,DCL HELP DIAGNOSE コマンドを実行して確認してください。
C.6 パフォーマンス対策
パフォーマンスを強化するには,それぞれの構成に応じた対策を行ってください。
C.6.1 同期アービトレーション
CIPCA は,従来の非同期アービトレーション・アルゴリズムの代わりに,同期アービトレーションという最適化が強化された新しい CI アービトレーション・アルゴリズムを使用します。2 つのアルゴリズムは完全に互換性があります。CI が飽和状態の場合,新旧両方のアルゴリズムは等価であり,すべてのノードに対して構成なラウンド・ロビン方式のアクセスを提供します。ただし,トラフィックが少ない場合,新しいアルゴリズムには次のような利点があります。
同期アービトレーションのサポートは,HSJ コントローラ・ファミリでは潜在的な状態です。CIPCA コントローラと HSJ コントローラの両方を含む構成では,HSJ を有効にして同期アービトレーションを使用することをお勧めします。
上記の操作には以下の HSJ CLI コマンドを使用します。
CLI> SET THIS CI_ARB = SYNC |
このコマンドの結果は,HSJ をリブートすると有効になります。
C.6.2 HSJ50 および HSJ80 による CIPCA パフォーマンスの強化
HSJ50 または HSJ80 コントローラで CIPCA アダプタのパフォーマンスを強化するには,HSJ50 または HSJ80 で 4K CI パケットを使用可能にするのが効果的です。HSJ50 の場合は,ファームウェア・リビジョンのレベルがバージョン 5.0J-3 以降でなければなりません。HSJ80 の場合は,ファームウェア・リビジョンのレベルがバージョン ACS V8.5J 以降でなければなりません。
ご使用の HSJ50 ファームウェアのバージョンが 5.0J - 3 以降でない場合, 4K CI パケットを使用しないでください。データが壊れる可能性があります。 |
4K CI パケットの使用を有効にするには,HSJ50 または HSJ80 コンソール・プロンプトに以下のコマンドを指定します。
CLI> SET THIS_CONTROLLER CI_4K_PACKET_CAPABILITY |
このコマンドの結果は HSJ50 をリブートすると有効になります。
ここでは,マルチサイト OpenVMS Cluster 構成について説明します。ここで説明するマルチサイト OpenVMS Cluster 構成では,約 40 km から 200 km という遠距離を隔てて分散したサイトに,複数のノードが配置されています。この構成方法は, OpenVMS バージョン 6.2 から導入されたものです。一般的な構成方法とともに,複数のサイトを接続するための 3 つのテクノロジについて説明します。マルチサイト・クラスタの利点は,他の参考資料からの引用とともに参照先も紹介します。
この付録の内容は,『Multiple-Site VMScluster Systems』追補マニュアルの内容を更新したものです。
D.1 マルチサイト OpenVMS Cluster システムとは?
マルチサイト OpenVMS Cluster システムは,メンバ・ノードが物理的に分散して配置された OpenVMS Cluster システムです。使用テクノロジにより,接続距離が約 240 km を超える場合があります。
遠距離を隔てて拠点が分散した組織では,マルチサイト OpenVMS Cluster システムを利用すれば,OpenVMS Cluster システムの利点を活かすことができます (たとえば,データをサイト間で共用し,データ・センター・オペレーションは, 1 個所に一元化するなど)。
図 D-1 は,製造拠点をワシントン D.C. に持ち,本社がフィラデルフィアにあるマルチサイト OpenVMS Cluster システムの概念を表しています。この構成におけるサイト間の物理的な距離は約 210 km あります。
図 D-1 フィラデルフィアとワシントン間のサイト間リンク
以下のサイト間リンクのテクノロジは,OpenVMS VAX システムと OpenVMS Alpha システムに認定されています。
高度なパフォーマンスを実現するローカル・エリア・ネットワーク (LAN) テクノロジを ATM,DS3,FDDI の各インターコネクトと組み合わせれば,ワイド・エリア・ネットワーク (WAN) 通信サービスを OpenVMS Cluster 構成で利用できます。 GIGAswitch クロスバー・スイッチと ATM,DS3,または FDDI インターコネクトで構成した OpenVMS Cluster システムでは,ノード同士が何キロメートルも離れていても使用できます。(2 個所のサイト間の実距離は,サイト間の直線距離ではなく,サイト間のケーブル経路の長さです。) 付録 D.3 節 では,OpenVMS Cluster システムと WAN 通信サービスをさらに詳しく説明します。
マルチサイト OpenVMS Cluster でディザスタ・トレランスを利用するには, Compaq 製のシステム管理,および,ソフトウェア・パッケージである Disaster Tolerant Cluster Services for OpenVMS が必要です。 詳細については,弊社のサービス担当者にお問い合わせください。 |
マルチサイト OpenVMS Cluster システムには,次のような長所があります。
長所 | 説明 |
---|---|
リモート・サテライトとノード | 図 D-2 に示すように,二次サイトにリモート・サイトを少数配置でき,それらを一元管理できるだけでなく,一次サイトのリソースも利用できます。たとえば,サイト固有デバイスに直接関連付けられた倉庫や小規模工場に,本社のデータ・センターをリンクすることができます。あるいは,一次ビジネス・サイトから都市のビジネス街に数個のエンジニアリング・ワークステーションをインストールすることができます。 |
データ・センターの管理強化 | 1 つの管理チームで複数のサイトのデータ・センターにあるノードを管理できます。 |
リソースの物理的な共用 | 大容量のコンピュータ,テープ・ライブラリ,ディスク・アーカイブ,フォトタイプセッタなどのデバイスを,複数のサイトで簡単に共用できます。 |
リモート・アーカイブ | クラスタの任意の場所にあるアーカイバル媒体のバックアップを作成できます。たとえば,一般には,1 個所にディスクやテープを用意してマルチサイト OpenVMS Cluster 内のすべてのサイトのデータをバックアップします。リモート・サイトのデータのバックアップは透過的に処理されます (つまり,リモート・サイトで人が操作する必要はありません)。 |
強化された可用性 | 一般に,マルチサイト OpenVMS Cluster は, LAN OpenVMS Cluster の可用性の利点をすべて備えています。また,マルチサイト OpenVMS Cluster 構成では遠距離にある複数のサイトを接続して,さまざまな方法でシステムやシステム要素の可用性を強化します。
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図 D-2 は,リモート・サイトからアクセスできるサテライトを備えた OpenVMS Cluster システムです。
図 D-2 リモート・サテライトを備えたマルチサイト OpenVMS Cluster 構成
LAN の OpenVMS Cluster システムに適用されるものと同じ構成規則が,ATM,DS3,または FDDI サイト間インターコネクトを組み込んだマルチサイト OpenVMS Cluster 構成に適用されます。一般的な LAN 構成規則については,以下のマニュアルを参照してください。
マルチサイト OpenVMS Cluster に固有の構成指針もあります。これらの指針については, 付録 D.3.4 項 を参照してください。
D.2 FDDI によるマルチサイト OpenVMS Cluster システムの構成
VMS バージョン 5.4-3 以降,FDDI は,2 地点の OpenVMS Cluster サイトを遠距離接続できる最も標準的な方法でした。高速 FDDI 光ファイバ・ケーブルにより,サイト間のケーブル経路の長さが最長で(40 km) 離れたサイト間を接続できます。
サイト間はこれらの FDDI 方式で接続できます。
構成情報については,『GIGAswitch/FDDI ATM Linecard Reference Manual 』を参照してください。システム管理のその他の説明については,本書と『Compaq OpenVMS Cluster システム』の該当箇所を参照してください。これらのマニュアルの最新バージョンの入手方法については,『新機能説明書』を参照してください。
OpenVMS Cluster システム固有の柔軟性と強化された OpenVMS Cluster LAN プロでは, ATM と DS3 のどちらか一方,またはその両方の通信サービスを利用して,複数の OpenVMS Cluster サイトに接続できます。
D.3 WAN サービスによるマルチサイト OpenVMS Cluster システムの構成
ここでは,ATM と DS3 のワイド・エリア・ネットワーク (WAN) サービスの概要と, FDDI インターコネクトを ATM と DS3 のどちらか,または両方の通信サービスにブリッジする方法,そしてこれらのサービスで,マルチサイト OpenVMS Cluster システムを構成する方法を説明します。
ATM サービスと DS3 サービスでは,OpenVMS Cluster システムに構成して WAN 接続ができる長距離のポイント・ツー・ポイント通信が可能です。ATM サービスと DS3 サービスは,たいていの一般通信事業者や他のソースから利用できます。
ヨーロッパや一部の国々では DS3 を使用できません。また,ATM は新しい,進展中の標準なので,ATM サービスをすべての個所で利用できるとは限りません。 |
ATM サービスと DS3 サービスは,以下の OpenVMS バージョンで使用できます。
サービス | OpenVMS の認定バージョン |
---|---|
ATM | OpenVMS バージョン 6.2 以降 |
DS3 | OpenVMS バージョン 6.1 以降 |
以下の項では,ATM 通信サービスと DS3 通信サービスを説明し,これらのサービスをマルチサイト OpenVMS Cluster システムに構成する方法を説明します。
D.3.1 ATM 通信サービス
SONET 物理レイヤ (ATM/SONET) を使用する ATM 通信サービスは,全二重通信を提供します ( 図 D-3 に示すように,双方向にビット・レートを同時に使用できます)。ATM/SONET は,複数の標準ビット・レートと互換性があります。 FDDI の 100 Mb/s ビット・レートには,155 Mb/s 全二重レートの SONET OC-3 サービスが最適です。ATM/SONET OC-3 は,世界で最も普及している標準サービスです。ヨーロッパでは,従来の E3 標準に代わるハイ・パフォーマンス標準サービスとして ATM/SONET があります。
図 D-3 ATM/SONET OC-3 サービス
データを伝送するとき,ATM フレーム (パケット) は ATM サービスによって伝送用の セル に分割されます。各セルの大きさは 53 バイトであり,内 5 バイトがヘッダ情報用なので,データに使用できるのは 48 バイトです。伝送先で,セルは ATM フレームに組み立てられます。セルの使用により,ATM サプライヤは,複数のデータ・ストリームを異なるビット・レートで効率的に多重化,多重分離できます。このフレーム対セルの変換は,上位レイヤには透過的に処理されます。
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