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HP OpenVMS Systems
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HP DECwindows Motif for OpenVMS

HP DECwindows Motif for OpenVMS
管理ガイド


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3.1.2.2 拡張

すべての X ディスプレイ・サーバが持っている機能として,サーバ拡張のサポートがあります。拡張は,X ディスプレイ・サーバに対する追加であり,追加のプロトコル・リクエストを解釈し,新しい機能や改良された機能を実行します。

拡張の一部は組み込みで常に有効になっていますが,パラメータを定義して有効にする必要があるものもあります。 OpenVMS ディスプレイ・サーバは,動的にロードされる拡張をサポートしています。これらの拡張は独立した共有イメージに格納されており,要求に応じてアクティブ化されます。動的にロードされる拡張のメリットは,拡張を使用しないかぎり,その拡張に必要なリソースが消費されない点です。

ディスプレイ・サーバでは,サーバの初期化時に,特定の動的拡張がロードされている必要があります。ロードする拡張は,シンボル DECW$SERVER_EXTENSIONS で識別します。

DECW$SERVER_EXTENSIONS

このパラメータは,サーバの初期化時にロードする拡張の一覧を定義するために使用します。このパラメータは,動的にロード可能な拡張イメージ (組み込みの拡張に対する追加) のリストに変換されます。

表 3-2 に,利用可能なサーバ拡張の一覧を示します。このパラメータのデフォルト値は "XIE,DEC-XTRAP,MULTI-BUFFERING,SEC_XAG" です。

表 3-2 ロード可能なディスプレイ・サーバ拡張
拡張名 パラメータ値 説明
Digital 2D 拡張 D2DX 2D グラフィックス環境でのサーバの性能が向上します。
Digital Trapping 拡張 DEC-XTRAP 1 イベントのトラップとシミュレーションを行います。
Low-Bandwidth X 拡張 LBX LBX プロキシ機能を有効にします。
X Double-Buffering 拡張 DBE ちらつきのないウィンドウ表示と滑らかなアニメーションを可能にします。
X Imaging 拡張 XIE 1 イメージング操作をローカルに実行します。
X Keyboard 拡張 XKB X キーマップ,キーボード・コンパイラ,および運動障害のあるユーザ向けの AccessX キーボード機能の使用を有効にします。
X Multi-Buffering 拡張 MULTI-BUFFERING 1 滑らかなアニメーションのためのマルチ・バッファ・ウィンドウを有効にします。
X Security 拡張および Application Group 拡張 SEC_XAG 1 X Security 拡張と Application Group 拡張を有効にします。
Xinerama 拡張 XINERAMA XINERAMA プロトコルに基づいたマルチヘッド・システムの構成を可能にします。


1デフォルトで事前にロードされます。

表 3-3 に,組み込みディスプレイ・サーバ拡張の一覧を示します。

表 3-3 組み込みディスプレイ・サーバ拡張
拡張名 パラメータ値 説明
Big Requests BIG-REQUESTS プロトコル・リクエストの長さフィールドを 32 ビット値に拡張します。
Colormap Utilization Policy TOG-CUP ディスプレイ・サーバにカラーマップ管理ポリシーを提供します。
DEC-Server-Mgmt-Extension -- セッション・マネージャだけが使用するサーバ管理機能を提供します。
Extended Visual Information EVI カラーマップ情報やフレームバッファ・レベルなどのコア X ビジュアルに関する情報を,クライアントがサーバに対して照会できるようにします。
MIT Miscellaneious MIT-SUNDRY-NONSTANDARD その他のバグ互換モード制御機能を提供します。
MIT Screen Saver MIT-SCREEN-SAVER スクリーン・セーバが起動または切り替えられたときにクライアントが通知を受け取ることができるようにします。
MIT Shared Memory MIT-SHM 共用メモリ,高速な PutImage のサポートを有効にします。
Non-Rectangular Window Shape SHAPE 長方形でないウィンドウの表示を可能にします。
X Miscellaneous XC-MISC 以前使用したリソース ID の範囲をディスプレイ・サーバから取得できるようにします。
X Synchronization SYNC さまざまなオペレーティング・システム上の複数のクライアントからの要求を同期させるプリミティブ呼び出しを提供します。
X Test XTEST 単純なイベント・トラップとシミュレーション機能を提供します。

ユーザ作成や他社製などの X ウィンドウ・システム拡張のイメージがある場合は,このパラメータを使用して,これらの拡張をサーバのスタートアップ時に有効にすることもできます。グラフィックス・デバイスによっては,デバイスが使用する追加の拡張 (XFree86-DRI,GLX,および SGI-GLX など) がロードされる点に注意してください。

注意

サーバ・リソースの競合を防ぐため,同じディスプレイ・サーバ・システムにロードしてはならない拡張の組み合わせがあります。拡張の制限事項についての詳細は,『日本語 HP DECwindows Motif for OpenVMS リリース・ノート』を参照してください。

次のシンボル定義は,スタートアップ時に有効にするサーバ拡張のリストを指定します。



$ DECW$SERVER_EXTENSIONS == "XIE,DEC-XTRAP,XINERAMA,SEC_XAG,DBE"

DECW$SERVER_DISABLE_TEST

このパラメータは,テスト拡張 XTEST および DEC-XTRAP を有効にするかどうかを制御します。このパラメータに指定できる値は,T (True: 無効) または F (False: 有効) です。デフォルト値は F です。

次のシンボル定義は,すべてのテスト拡張を無効にします。



$ DECW$SERVER_DISABLE_TEST == "T"

3.1.2.3 セキュリティ

DECwindows では,X ディスプレイ・サーバへのアクセスを制御するために,以下のメカニズムがサポートされています。

これらの方法では,X ディスプレイ・サーバへの接続を許可するクライアントを定義する手段と,接続後に実行可能な操作を定義する手段が追加で提供されています。これらのメカニズムで使用するファイル (セキュリティ・ポリシー・ファイル, X authority ファイル,アクセス許可ファイル,アクセス信頼ファイル) の場所を指定するには,この項のパラメータを使用します。

ディスプレイ・サーバのアクセス制御方式の実装方法についての詳細は, 第 3.3 節 を参照してください。

DECW$SECURITY_POLICY

セキュリティ拡張を使用する場合に,このパラメータはセキュリティ・ポリシー・ファイルの名前を示します。デフォルトでは,ファイルは指定されていません。

次のシンボル定義は,セキュリティ・ポリシー・ファイル SYS$MANAGER:DECW$SECURITY_POLICY.DAT を指定します。



$ DECW$SECURITY_POLICY == "SYS$MANAGER:DECW$SECURITY_POLICY.DAT"

DECW$SERVER_XAUTHORITY

このパラメータは,ディスプレイ・サーバが参照する X authority ファイルの名前を指定します。このファイルには,クライアントからサーバへの接続を許可するために使用するレコードが格納されています。デフォルトでは,ファイルは指定されていません。これにより,ローカルの SYSTEM アカウントからサーバへのクライアント・アクセス (DECnet またはローカル・トランスポート経由) が,追加認証なしで許可されます。

ファイルが指定されていると,このファイルの値がサーバにロードされ,すべてのクライアント接続で使用されます。通常のログイン処理を行うためには, DECW$SERVER_ACCESS_TRUSTED.DAT ファイルを使用して,信頼関係によるアクセス許可を明示的に設定する必要があります。

DECW$SERVER_XAUTHORITY で指定された X authority ファイルの設定は,ユーザが DECwindows デスクトップにログインする前に確立されるサーバ接続に適用されます。ユーザがデスクトップにログインすると,ユーザの X authority 設定が適用されます。

次のシンボル定義は, X authority ファイル SYS$MANAGER:DECW$XAUTH.DAT を指定します。



$ DECW$SERVER_XAUTHORITY == "SYS$MANAGER:DECW$XAUTH.DAT"

DECW$SERVER_ACCESS_TRUSTED

このパラメータは,アクセス信頼ファイルの名前を指定します。このファイルには,信頼関係によるサーバへのアクセスが許されるクライアントの一覧を記載します。デフォルトのファイルは SYS$MANAGER:DECW$SERVER_ACCESS_TRUSTED.DAT です。

DECW$SERVER_ACCESS_TRUSTED で指定されたアクセス信頼ファイル内の設定は,ユーザが DECwindows デスクトップにログインする前のサーバ接続に適用される点に注意してください。ユーザがデスクトップにログインした後は,ユーザのアクセス設定が適用されます。

次のシンボル定義は,アクセス信頼ファイルの指定を DECW$SERVER1_ACCESS_TRUSTED.DAT に変更します。



$ DECW$SERVER_ACCESS_TRUSTED == "SYS$MANAGER:DECW$SERVER1_ACCESS_TRUSTED.DAT"

DECW$SERVER_ACCESS_ALLOWED

このパラメータは,アクセス許可ファイルの名前を指定します。このファイルには,追加の認証なしにサーバへのアクセスが自動的に許可されるクライアントの一覧を記述します。デフォルトのファイルは SYS$MANAGER:DECW$SERVER_ACCESS_ALLOWED.DAT です。

DECW$SERVER_ACCESS_ALLOWED で指定されたアクセス許可ファイル内の設定は,ユーザが DECwindows デスクトップにログインする前のサーバ接続に対して適用される点に注意してください。ユーザがデスクトップにログインした後は,ユーザのアクセス設定が適用されます。

次のシンボル定義は,アクセス許可ファイルの指定を DECW$SERVER1_ACCESS_ALLOWED.DAT に変更します。



$ DECW$SERVER_ACCESS_ALLOWED == "SYS$MANAGER:DECW$SERVER1_ACCESS_ALLOWED.DAT"

3.1.2.4 デバイス

スタートアップの際に,DECwindows のスタートアップ・プロシージャは,システムが認識しているすべてのグラフィック・デバイスを管理するために,デバイス固有のサーバ構成要素を識別して起動しようとします。ここで説明するシンボルと論理名を使用すると,ディスプレイ・サーバでどのデバイスを使用するかを制御することができます。

サーバがデバイスから取得できない情報や,ディスプレイ・デバイスに関して設定変更が必要な情報があります。たとえば,表示可能な色が限られている特別な種類のモニタに関する情報を指定しなくてはならない場合があります。また,単一の仮想ディスプレイとして機能する複数のモニタで構成される マルチヘッド・システムを構成する場合も,情報を指定する必要があります。

DECwindows では,2 種類のマルチヘッド構成がサポートされています。

XINERAMA (以前は Panoramix と呼ばれていました) を使用すると,マルチヘッド・システムの構成が可能となり,またディスプレイ内に画面を定義して有効にし,その順序を制御し,ディスプレイの境界と形状を設定するための複数のパラメータがあります。

デフォルトでは,マルチヘッド・ディスプレイのすべての画面が有効になっています。 DECW$SERVER_ONLYSCREEN および DECW$SERVER_DISABLESCREEN を使用して, 1 つ以上の画面をディスプレイから削除することができます。無効にされた画面は初期化されず,画面番号も割り当てられません。

マルチヘッド・ディスプレイの構成方法については, 第 3.4 節 を参照してください。

DECW$MULTI_HEAD

このパラメータは,システムのマルチヘッド・サポートを構成します。 DECW$MULTI_HEAD シンボルは, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.TEMPLATE ファイルで設定済みです。

このパラメータを有効にするには, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.TEMPLATE を DECW$PRIVATE_SERVER_SETUP.COM にコピーします。

DECW$PRIMARY_DEVICE

サーバは,このパラメータを使用して特定の DECW$DEVICE_xx.COM プロシージャをアクティブにすることで,デバイス名を確認します。ここで,xx はシンボルに付加される文字列です。 次のシンボル定義では,プライマリ・デバイスとして GXA0 を割り当てます。



$ DECW$PRIMARY_DEVICE == "GXA0"

DECW$DEVICE

このパラメータを使用すると,単純なマルチヘッド構成で使用するグラフィックス・デバイスを識別し,その順序を指定することができます。デフォルトでは,DECW$DEVICE の値はシステムに実装されているグラフィックス・デバイスによって決まります。

次の例では,1 台のサーバ,1 つのマウス,1 つのキーボードで制御されるグラフィックス・デバイスの並びを指定します。



$ DECW$DEVICE == "GAA0,GAB0"

DECW$DEFAULT_VISUAL_CLASS

このパラメータは,マルチヘッド・システムの各ヘッドのデフォルトのビジュアル・クラスを指定変更します。ビジュアル・クラスは数値であり,DECW$INCLUDE:X.h で以下のように定義されています。

0 = StaticGray
1 = GrayScale
2 = StaticColor
3 = PseudoColor
4 = TrueColor
5 = DirectColor

個々のデバイス・タイプでのデフォルトはハードウェアに依存し,通常,8 プレーンのカラー・ボードでは PseudoColor, 24 プレーンでは TrueColor です。モノクロ・ディスプレイを使用する場合は,デフォルトのビジュアル・クラスを GrayScale にすることで,カラーが階調表示に変換されます。 GrayScale の出力は緑のリード線です。このパラメータでは,マルチヘッド・システムの各ヘッドに対応して複数の値を割り当てることができます。

次のシンボル定義は,ヘッド 0 に対して PseudoColor,ヘッド 1 に対して TrueColor,ヘッド 2 に対して StaticGray を指定します。



$ DECW$SEVER_DEFAULT_VISUAL_CLASS == "3,4,0"

DECW$MONITOR_DENSITY

モニタ密度は,モニタのインチあたりのドット数 (dpi) を定義し, DECwindows Motif アプリケーションが画面の実際の幅を判断できるようにします。

モニタ密度のデフォルト値はサーバ密度です。実際に 75 dip や 100 dpi (フォント・サイズに関して DECW$SERVER_DENSITY で使用する値) のモニタはほとんどないため,これらの値を使用して画面上のアイテムの実際の幅と高さを正確に計算することはできません。 DECW$MONITOR_DENSITY に実際の値を設定することで,Xlib ルーチンを使用して画面の幅と高さの正しい値を得ることができます。

実際のモニタ密度を計算するには以下の方法を使用します。

  1. 画面のピクセル幅を確認します。
    一般に,システムのグラフィックス・アダプタに応じて,ピクセル数は 1024 または 1280 となります。 X Display Information ユーティリティ (xdpyinfo) を使用して現在のディスプレイのピクセルの幅と高さを得ることができます ( 第 3.1.5.2 項 を参照)。

  2. 画面の表示部分の幅を測定します (インチ単位)。

  3. ピクセル値を画面の値で割ります。
    VRT19 モニタと SPX グラフィックスを使用している場合は,次の計算を行います。


    1280 ピクセル / 13.5 インチ  = 94.81 dpi 
    

dpi 値を最も近い整数に丸め,次の例に示すように DECW$MONITOR_DENSITY に 95 を設定します。



$ DECW$MONITOR_DENSITY == "95"

注意

モニタ密度とサーバ密度に異なる値を設定すると,75 dpi および 100 dpi のフォントの縮尺を実際のモニタ密度に合わせて調整することができないため,表示上の問題が発生する場合があります。

DECW$MONITOR_DENSITY はモニタごとに設定することができます。次の例では,デュアル・ヘッド・ワークステーションのモニタ密度を設定する方法を示します。画面 0 を 95 dpi とし,画面 1 を 75 dpi としています。



$ DECW$MONITOR_DENSITY == "95,75"

DECW$SERVER_SCREENS

XINERAMA を使用したマルチヘッド・システムでは,画面は,デバイス名とその物理的な位置に応じて,アルファベット順に初期化されます。このパラメータを使用すると,画面が初期化される順序を変更することができます。

次のシンボル定義は,4 画面のマルチヘッド・ディスプレイでの初期化の順序を変更します。



$ DECW$SERVER_SCREENS == "GYB0,GYA0,GYD0,GYC0"

DECW$SERVER_ENABLESCREEN

XINERAMA を使用したマルチヘッド・システムでは,ディスプレイ中の無効になっている画面を個別に再度有効にすることができます。このパラメータを使用すると,指定した画面が有効になります。有効な値は 0 〜 15 です。15 は,拡張によってサポートされる最大画面番号です。

次の例では,4 つの画面 (0,1,2,3) で構成されるマルチヘッド・ディスプレイの 2 番目の画面 (1) を有効にします。



$ DECW$SERVER_ENABLESCREEN == "1"

DECW$SERVER_DISABLESCREEN

XINERAMA を使用したマルチヘッド・システムでは,ディスプレイ中の各画面を個別に無効にすることができます。このパラメータを使用すると,指定した画面が無効になります。有効な値は 0 〜 15 です。15 は,拡張によってサポートされる最大画面番号です。


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