HP OpenVMS Systems Documentation |
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本章では,色に関する次の内容について説明します。
色を使用する第一の理由は,表示をわかりやすくするためです。色を使用することは次の点でユーザの助けとなります。
たとえばスプレッドシートでは,すべての負数,または負数を含むセルを赤色で表示します。
関連する項目ごとに色分けします。たとえば,スプレッドシートでは,1 つのソースからの入力はすべて同一の色に統一し,別のソースからの入力は別の色に統一します。
インターフェイスの様々な特徴のなかで,色は点滅の次にユーザの注意を引きつけます。 エラー・メッセージなどの重要部分には色を使用してください。
たとえばMotif環境では,同時に複数のウィンドウをオープンすることができます。 特定の色のボーダーを使用して入力フォーカスを表示すると, キーボード・フォーカスのあるウィンドウを確実に見つけることができます。
たとえば,地図や建築物などの設計者用アプリケーションであれば, 紙上のレンダリングに使用する色と画面上の色とを一致させ,色の持つ意味に一貫性を保つようにすることは重要です。 地図作成者が画面上で測量のアプリケーションを使用して地図を設計する場合には, 海の色は青であることを期待するでしょう。
色を使用するのは,あくまでもユーザが操作をしやすくするためです。色が必ずしも必要ではない場合や, 使用できない場合もあります。モノクロ・ インターフェイスでは無効になってしまうようなカラー専用機能をアプリケーションに使用してはいけません。 そのため,最初はモノクロ表示用にアプリケーションを設計してください。 最初に白黒で設計する理由は, 次のとおりです。
アプリケーションの色を選択する前に,次の点を考慮してください。
使用する色をいくつか選択した後は,次のガイドラインに従ってください。
色の使用についての詳しい説明は,付録 C の文献を参照してください。
ダイアログ・ボックス,メニュー,ポインタに使用する色に関するいくつかのガイドラインを示します。
ダイアログ・ボックスは,モノクロ表示用に設計します。作図または描画用のアプリケーションなどのカラー選択用ダイアログ・ ボックス以外は, ダイアログ・ボックスに色を使用する必要はほとんどありません。
ダイアログ・ボックス同様,メニューもモノクロ表示用に設計します。 メニューで色を使用する必要があるのは,主に色を選択するメニューを作成する場合です。 ただし,「重要」などと表示されるメニュー項目に赤文字を使用する場合など, メニューでも色を使用した方が良い場合もあります。
ポインタは画面のどこにあっても目につきやすいように設計してください。 カラー表示の場合でも,黒を使用して枠を白くするのが最も安全な選択でしょう。
DECの提供するColor Mixingウィジェットを使用すると,アプリケーションで使用している色をユーザが変更できるようになります。 たとえば,アプリケーションに円グラフなどの図形が含まれている場合, 変更メニューの項目を選択してColor Mixing ウィジェットにアクセスすることによって円グラフの色を定義することができます。
Color Mixingウィジェットを使用すると設定した色がすぐに表示されます。 また,使用したい色の保管や色の比較ができるようなスクラッチ・パッド( 色保管)機能もあります。
省略時の設定では,Color Mixingウィジェットは5種類のカラー・モデルをサポートします。Color Mixing ウィジェットをカスタマイズして,その他のカラー・ モデルをサポートすることもできます。
カラー・モデルとは,ユーザが特定の色を選択するために抽象化した概念です。Color Mixing ウィジェットは,次のようなカラー・モデルをサポートします。
色選択カラー・モデルは,カラー・システムにおけるColor Mixingウィジェットの省略時のカラー・ モデルです。非カラー・システムまたはリソースの極めて少ないシステムでは, 色選択カラー・モデルは表示されません。 色選択カラー・モデルを使用して,静的カラー・スペクトル( または別のカラー・モデル)から色を取り出し,その色をそのまま使用したり, 希望の色に塗り変えたりすることができます。また, スペクトルから複数の色を取り出し,それらを互いに混ぜ合わせて希望する色を作成することもできます。
図 4-1は,色選択カラー・ モデルを使用したColor Mixing ウィジェットの構成要素を示したものです。
HLS配合カラー・モデルでは,色調,明度,彩度の3種類の特性によって色を指定します。 色調とは色あいのことです。明度とは色の強さ, すなわち色の量を表すものです。彩度とは色の純度,すなわちその色がどの程度白で薄められているかを表すものです。
HLS配合カラー・モデルでは,円形パターンで配列した連続スペクトルの値として色調を表します。 すなわち,赤色は0度(あるいは360度), 赤紫色(マゼンタ)は60度,青色は120度,青緑色(シアン)は180度,緑色は240 度,黄色は300度で表します。HLS配合カラー・モデルでは色の明度を0 から100パーセントまでの割合で表します。明度が100パーセントになると白,0 パーセントでは黒になります。
RGB配合カラー・モデルとは,モノクロ・システムにおけるColor Mixingウィジェットの省略時のカラー・モデルです。
RGB配合カラー・モデルでは,強さの異なる赤,緑,および青の混合として色を指定します。 赤,緑,青の強さは,0から65,535までの値で指定することができます。 最低の強さは0です。3つの色の強さをすべて0 に指定すると黒になり,すべて100パーセント指定すると白になります。
色名指定カラー・モデルは,X11で命名した色のリストを表示するウィンドウです。 ウィンドウ内の各ボタンは,X11の色の名前を表示します。 リソースが十分に利用できる場合は,背景がその色に設定されます。 ユーザはこのカラー・リストをスクロールすることができます。 MB1でこのカラー・リストをクリックすると,カラー表示サブ・ウィジェットがその色になります。
グレー・スケール・ミキサを使用すると,黒から白までの範囲で灰色の濃淡を指定することができます。 グレー・スケール・ミキサを選択すると, 現在の新しい色は適当なグレーの色調に変換され,これをスケールを使って調整することができます。
Color Mixingウィジェットについての詳しい説明は,『日本語VMS DECwindows Motifアプリケーション開発の手引き』(日本語),『VMS DECwindows Motif Guide to Application Programming』(英語)および『日本語DECwindows Motif for OpenVMS拡張機能説明書』(日本語),『DECwindows Extensions to Motif』(英語)を参照してください。