COPY/RECORDABLE_MEDIA (CDDVD) ユーティリティを使用すると,オプションの光ディスク・ドライブを使用して OpenVMS システム上で CD および DVD メディアを作成することができます。
CDDVD は,ISO/IEC 10149 Mode 1 (2048バイト・ブロック, データ) で記録されたシングルセッションの光ディスク・メディアを作成します。 CDDVD は,CD-R (CD Recordable),CD-RW (CD Rewritable),DVD+R (DVD Recordable) および DVD+RW (DVD Rewritable) などのメディア・フォーマットをサポートします。正しく記録するためには,使用する光ディスク・ドライブが上記のいずれかのフォーマットに対応している必要があります。また,対応する記録メディアがドライブにロードされている必要があります。
COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドは,入力として指定されたディスク・イメージ・ファイルあるいはマスターデバイスをオープンし,その内容を指定された CD-R,CD-RW,DVD+R あるいは DVD+RW のいずれかのメディア・フォーマットで記録します。
ソース・デバイス名
コピーする元データのパスを指定します。
記録先メディアにコピーするディスク・イメージを含むディスク・ファイルの名前,あるいは記録するディスク・ボリューム・マスターを含む入力デバイスのデバイス名を指定します。
OpenVMS システムでは,通常は Logical Disk (LD) Utility LDAu: デバイスとなります。
ターゲット・デバイス名
記録先メディアがロードされているデバイスのデバイス名を指定します。
通常は,ATAPI (DQcu:),SCSI (DKcu:),あるいは USB (DNcu:) の名前の CD-R/RW あるいは DVD+R/RW ドライブです。
COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドは,指定された入力ディスク・イメージ・ファイルあるいは入力デバイスの内容全体を,指定された CD あるいは DVD ドライブにロードされたメディアに記録します。
出力メディア・フォーマットは自動的に識別され,ユーティリティは,特定のターゲット・デバイスとロードされている出力メディアに適した記録設定を自動的に構成します。
メディアの容量を超えて記録することはできません。このため,対象メディアの容量に適したサイズの入力ディスク・イメージあるいはマスターを選択する必要があります。入力データ・ソースは,光メディアのセクターサイズの倍数に等しくなければなりません。つまり,入力データのサイズは 4 ブロック (2048バイト) 単位にそろえる必要があります。
記録処理は,入力ボリュームの構造あるいはマスターに使用される入力ファイル・データには依存せず,指定された入力マスターのブロック・レベルの内容に基づいて行なわれます。
/BELL
要求された記録操作が正常に完了したらシグナルを鳴らします。
/FORMAT[=keyword]
/NOFORMAT (省略時の修飾子)
/FORMAT 修飾子は, RW (書き換え可能) メディアのフォーマットあるいは再フォーマットを要求します。この修飾子は,書き換え可能ブランク・メディアへの書き込み,あるいは記録済みの書き換え可能メディアの書き換えの際に必要になります。
ターゲット・メディアのフォーマットができない場合,このコマンド修飾子は無視されます。
特に指定がない場合,記録先のメディアで利用できる最も速いフォーマット方式に対応するキーワードが自動的に選択されます。
/FORMAT 修飾子に使用できるキーワードは下記のとおりです。
WAIT
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DVD+RW に対して使用します。 /FORMAT 修飾子のデフォルトの動作ではフォーマット処理の完了を待ちません。これは,通常は完了を待つ必要はなく,処理も遅くなるためです。
WAIT を選択すると,全体のフォーマットが同期的に実行され,完了してから書き込み処理が始まります。
省略時の動作は下記のとおりです。
- 非同期的な処理
- バックグラウンドでフォーマット処理
- メディアのフォーマットと記録処理を同時に実行
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ERASE
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CD-RW に対して使用します。
/FORMAT 修飾子のデフォルト動作では,クイック消去を実行します。完全消去は通常は必要なく,また処理に時間がかかります。
ERASE を選択すると, CD-RW 書き換え可能ディスク全体がフォーマット処理の一部として消去されます。この消去処理は,書き込み処理が始まる前に完了します。
省略時の動作はクイック消去です。
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/LOG (省略時の修飾子)
/NOLOG
/LOG 修飾子は,基本的なデバイス情報と記録操作の進捗を示します。ユーティリティからの通常出力を無効にするには /NOLOG を使用してください。
/SPEED
低速度あるいは低品質の CD 記録メディアを使用する場合,書き込みを正常終了させるためには /SPEED 修飾子が必要になる場合があります。たとえば,CD ドライブ自身の定格速度よりも低い記録速度を選択しなければならない可能性があります。
厳密には,CD ドライブとそのドライブにロードする CD 記録メディアの両方が対応している記録速度を選択する必要があります。
デバイス速度を指定するために /SPEED 修飾子で使用可能なキーワードは下記のとおりです。
- 1X
- 2X
- 4X
- 8X
- 16X
- 32X
- MAXIMUM
CDDVD ユーティリティは,要求された速度を元に,デバイスがサポートする速度から適当な値を選択します (最小速度,1X,あるいは最大速度を含め,すべてのデバイスがすべての速度をサポートする訳ではありません)。省略時の速度は,そのデバイスがサポートする最大速度です。 DVD+R/RW ドライブは,メディア上に符号化されている情報をもとに最大記録速度を選択します。
この修飾子は,以下のような状況に該当する場合にのみ必要となります。
- 書き込み中にに互換性の問題あるいは記録エラーが報告されて記録処理が失敗した場合
- 使用する CD メディアの定格記録速度が,ドライブの省略時の書き込み設定よりも低い場合
- CDDVD アプリケーション,プロセッサ,あるいはシステム I/O の性能上の制約がある場合
CD ドライブは,ドライブにロードされたメディアでサポートされる速度よりも速い速度を選択することができます。しかし,そのドライブの記録能力に適したメディアを選択することをお勧めします。つまり,CD メディアの記録速度の制限は越えないように速度を指定してください。ドライブがサポートする速度よりも速いメディアを選択してもドライブの処理が早くなる訳ではなく,遅いメディアに対して速い速度を選択すると記録エラーやメディアのデータ破損の原因になります。
書き込み中に処理が失敗した場合,追記型(write-once)メディアの場合は破棄し,より遅い記録速度で試してください (書き換え可能メディアの場合は,再フォーマットして使用することができます)。
/VERIFY
記録操作の後に出力メディアの内容と入力ソースの内容を比較することを指定します。データの不一致を検出した場合,エラーが表示されます。
/WRITE (省略時の修飾子)
/NOWRITE
対象メディアに記録することなく,システムおよびデバイスの I/O スループットとコマンド構文をテストすることができます。
対象デバイスがハードウェア機能として書き込みテストをサポートする場合, /NOWRITE でメディアへの書き込みを無効にしてもすべての I/O 操作が通常どおり実行されます。
/WRITE が省略時の値であるため, /NOWRITE 修飾子を指定しないと対象となる光ディスク・メディアへの書き込みが発生する点にご注意ください。