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ACME サーバを制御します。

SYSPRV 特権が必要です。


形式

SET SERVER ACME_SERVER


説明

SET SERVER ACME_SERVER コマンドは,システム管理者に ACME (Authentication and Credential Management Extension) サーバ・プロセス ACME_SERVER を管理するための手段を提供します。このコマンドを指定することによって, ACME サーバの起動,停止,および再起動を行うことができます。

ACME_SERVER プロセスは,独立したカーネル・スレッド・サーバ・プロセスであり,ユーザ認証要求を処理します。これらの要求は,SYS$ACM システム・サービスを使用しているクライアント・プロセスから送られます。 1 つ以上の ACME エージェントが,これらの要求の処理を支援します。 ACME エージェントは, ACME_SERVER プロセス内で動的に起動される共有イメージです。

ACME_SERVER プロセスは,システム起動時に自動的に作成され, VMS ACME エージェントが構成され,有効になります。

省略時には, ACME_SERVER プロセスは SYSTEM アカウント・プロファイル ([1,4]) の下で実行され, IMPERSONATE,SYSNAM,PSWAPM,SHARE,TMPMBX, EXQUOTA,AUDIT,CMKRNL,WORLD,および SETPRV 特権を持ちます。

ACME_SERVER プロセスの作成時には,以下のクォータが割り当てられます。

ASTLM     = 200 
BIOLM     = 200 
BYTLM     = 100000 
DIOLM     = 200 
ENQLM     = 1000 
FILLM     = 64 
JTQUOTA   = 4096 
PGFLQUOTA = 200000 (Alpha) 
PGFLQUOTA = 300000 (I64) 
PRCLM     = 4 
TQELM     = 64 
WSQUOTA   = 2048 
WSDEFAULT = 1024 
WSEXTENT  = 4096 

省略時の UIC,特権,およびクォータは,サーバの起動時に変更することができます。

プロセスが異常終了すると,サーバは自動的に再起動して, SYS$MANAGER:ACME$START.COM コマンド・プロシージャを実行します。このファイルは,エグゼクティブ・モードの論理名 ACME$START を使って検索されます。

次のいずれかのコマンドの結果として,SYS$MANAGER:ACME$START.COM も実行されます。

  • SET SERVER ACME/START=AUTO コマンドが実行された。

  • SET SERVER ACME/RESTART コマンドが実行された。

SYS$MANAGER:ACME$START.LOG ファイルには,障害時の再起動中に生成された情報が記録されています。

ユーザは,SYS$MANAGER:ACME$START.COM ファイルを変更して,再起動中に構成するエージェントや,その他のサーバ構成オプションを定義することができます。このファイルは,システムのアップグレードの際には置き換えられません。弊社が用意したファイルは, SYS$MANAGER:ACME$START.TEMPLATE というファイルに入っています。

ACME_SERVER プロセスは, SYS$ERROR 出力を SYS$MANAGER:ACME_SERVER_ERROR.LOG ファイルに転送します。このファイルは,操作中に予期しないエラーが発生した場合にだけ作成されます。

サーバと ACME エージェントによって生成されたログ・ファイル・エントリは,特に指定しないと SYS$MANAGER:ACME$SERVER.LOG ファイルに書き込まれます。

SET SERVER ACME コマンドは,以下の操作を実行するために使用されます。

  • ACME_SERVER プロセスの起動と停止

  • ACME エージェントの構成 (動的なロード)

  • ACME エージェントの (構成後の) 有効化と無効化

  • 要求処理の一時中止と再開。(システム・バックアップ操作など,システム管理上の理由による場合, ACME エージェントは再び "initial" 状態になる。)

  • ロギングとトレーシングの制御

SHOW SERVER ACM コマンドは,サーバおよびエージェント情報を表示するために使用されます。

以下のコマンド・シーケンスは,サーバを作成し,要求処理を可能にするために使用されます。

  1. SET SERVER ACME/START
    このコマンドは,サーバ・プロセスを作成します。

  2. SET SERVER ACME/CONFIGURE
    このコマンドは,1 つ以上の ACME エージェントを構成します。

  3. SET SERVER ACME/ENABLE
    このコマンドは,ACME エージェントによる要求処理を可能にします。

詳細については,SHOW SERVER ACME コマンドと『Guide to VMS System Security』を参照してください。

SYS$ACM システム・サービスの詳細については,『OpenVMS System Services Reference Manual』を参照してください。


修飾子



/ABORT

ACME_SERVER プロセスを強制終了します。 ACME エージェントのグレースフル・シャットダウンは行いません。保留中の要求はキャンセルされます。

このコマンドは,ACME エージェントの誤動作によってグレースフル・シャットダウンができない場合に使用できます。

/CANCEL

保留中のダイアログ要求をキャンセルします。保留中のダイアログ要求とは, SYS$ACM 呼び出し側に対するダイアログ応答データの提供を求める未処理の要求です。 ACME_SERVER プロセスによって処理されているアクティブ要求は,正常に完了することができます。

修飾子 /EXIT または /DISABLE と同時に指定した場合にだけ使用できます。

/CLUSTER

クラスタ内の各 ACME サーバに対して SET コマンドを発行します。

/CONFIGURE=(NAME=name [,CREDENTIALS=credentials] [,FACILITY=facility] [,FILE=file] [,THREAD_MAX=n][,...])

ACME エージェントを動的にロードします。ACME エージェントは, ACME エージェント・プラグイン・インタフェース仕様に準拠した共有イメージです。

省略時には,ACME サーバは prefix$name_ACMESHR.EXE という名前の ACME エージェント・ファイルを探します。 prefix は省略時には VMS であり, name は NAME キーワードによって指定された,大文字と小文字が区別されない文字列です。prefix は, FACILITY キーワードによって上書きすることができます。そうでない場合は, FILE キーワードで完全なファイル指定を指定することができます。

ACME エージェントが DOI (Domain-of-interpretation) エージェントであり,ユーザの認証と証明書の発行を行える場合は, CREDENTIALS キーワードを指定する必要があります。 CREDENTIALS キーワードでは,ACME エージェントに対応するペルソナ・エクステンションの名前を指定します (システム・サービス $PERSONA_EXTENSION_LOOKUP を参照)。証明書名は,ペルソナ・エクステンションを実装する実行可能なローダブル・イメージが登録した名前に一致する必要があります。 "VMS" 以外の証明書については,ACME エージェントと特定のペルソナ・エクステンションのドキュメントを参照してください。

最大 8 つの ACME エージェントを構成することができます。

THREAD_MAX キーワードの使用上の留意点

ACME サーバのワーカースレッドは,認証要求を処理するスレッドです。ワーカースレッドの数により,ACME サーバが同時に処理できる認証要求の数が決まります。

ACME サーバは,進行中の各認証要求に対し,要求スロットを割り当てます。要求スロットの合計数により,ACME サーバに保留可能な要求の最大数が制限されます。

ACME サーバは,特権を持たない認証要求の処理数を要求スロットの合計数の半分までに制限します。

プロセスが $ACM を呼び出した時に要求スロットが空いていないと,要求スロットが空くまで,プロセスはリソース待ち状態のままになります。

ACME サーバのワーカースレッドの数は,1 〜 32 の範囲です。ほとんどのオペレーティング環境では,認証処理の時間の多くが入出力待ちに費やされるため,省略時の設定である 4 で充分です。しかし,たとえば通常より多くの CPU 時間を必要とする独自の ACME エージェントを使用する場合などは,ワーカースレッドの数を増やすことで,スループットを向上させることができます。

サーバを起動または再起動する前に,システム単位の論理名テーブルに内部モードの論理名 ACME$THREAD_MAXIMUM を定義することで, ACME サーバのワーカースレッドの最大数を設定することができます。以下に例を示します。

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE ACME$THREAD_MAXIMUM 8 

CONFIGURE 修飾子を指定して,ACME サーバを有効にする前に,サーバのワーカースレッドの最大数を設定することもできます。

$ SET SERVER ACME /CONFIGURE=THREAD_MAX=6 

CONFIGURE 修飾子は,論理名 ACME$THREAD_MAXIMUM の値より優先されます。

ほとんどの認証処理は入出力に制約されるため,要求スロットの数の約 1/4 より多くのスレッドを定義しても,スループットは向上しません。

ACME サーバは,MAXPROCESSCNT の値と使用可能な CPU の数から,要求スロットの省略時の数を計算します。 ACME サーバを起動または再起動する前に,システム単位の論理名テーブルに内部モードの論理名 ACME$REQUEST_MAXIMUM を定義することで,計算された値より優先して使用させることができます。以下に例を示します。

$ DEFINE /SYSTEM /EXECUTIVE_MODE ACME$REQUEST_MAXIMUM 64 
$ SET SERVER ACME /RESTART 



/DISABLE

すべての ACME エージェントを無効にします (シャットダウンします)。追加の ACME エージェントを構成することができます。

/ENABLE[=NAME=(name[,...])]

1 つ以上の ACME エージェントを指定された順序で有効にします。 ACME_SERVER は指定された順序で認証要求を処理するので, ACME エージェントの順序が重要です。 name 変数は,大文字小文字が区別されない文字列引数です。

NAME キーワードを指定しなかった場合は,前に /ENABLE コマンドによって有効にされた ACME エージェントのリストが有効になります。以前に/ENABLE コマンドが発行されていなかった場合は,構成済みのすべての ACME エージェントが有効になります。

/EXIT

ACME エージェントのグレースフル・シャットダウンを要求します。 ACME_SERVER プロセスは,保留中の要求が完了した後,シャットダウンされます。

/LOG

/NOLOG (省略時の設定)

新しいログ・ファイルを作成して,オープンします。ログ・ファイル名は,SYS$MANAGER:ACME$SERVER.LOG です。システム論理名 ACME$SERVER を定義することによってリダイレクトできます。

/NODE=(ノード名[,...])

指定されたノード上の ACME サーバに対して,入力された順序で SET コマンドを発行します。ノード名は,現在のクラスタ内になければなりません。

/RESTART

ACME エージェントのグレースフル・シャットダウンを要求します。 ACME_SERVER プロセスは,保留中の要求が完了した後,シャットダウンされます。

ACME_SERVER が再起動され, SYS$MANAGER:ACME$START.COM スタートアップ・プロシージャが実行されます。

/RESUME

/SUSPEND 修飾子の使用後に,通常操作を再開します。

/START[=AUTO]

/START は,/ABORT,/EXIT,または /RESTART 修飾子とともに指定することはできません。

サーバ・プロセスを起動します。

オプションのキーワード AUTO を指定すると, SYS$MANAGER:ACME$START.COM プロシージャを使用して,サーバが自分自身を起動して構成します。省略時の設定では,サーバは, OpenVMS ACME エージェントが構成されている場合だけ起動されます。以下のオプションが使用可能です。

省略時の特権を変更する:

/PRIVILEGES=(privilege[,...]) 

省略時の UIC を変更する:

/UIC=uic

省略時のクォータを変更する:

/AST_LIMIT=n
/BUFFER_LIMIT=n
/ENQUEUE_LIMIT=n
/EXTENT=n
/FILE_LIMIT=n
/IO_BUFFERED=n
/IO_DIRECT=n
/JOB_TABLE_QUOTA=n
/MAXIMUM_WORKING_SET=n
/PAGE_FILE=n
/QUEUE_LIMIT=n
/SUBPROCESS_LIMIT=n
/WORKING_SET=n

次の代替構文を使用してクォータとそれらの値のリストを指定することができます。

/QUOTAS=(quota=n[,...]) 

quota は,PQL 形式のクォータ名です (ASTLM,BIOLM など)。

PQL 形式のクォータ名と説明のリストについては,『OpenVMS System Services Reference Manual』の「$CREPRC システム・サービス」を参照してください。

イメージ・ダンプの設定を変更するには,次の修飾子を使用します。

/DUMP (省略時の設定) 
/NODUMP 

プロセスの異常終了の際に強制的にプロセス・ダンプを行います。ダンプは,イメージ・ファイル名と .DMP 拡張子を使用して, SYS$MANAGER: に書き込まれます。

/SUSPEND

保留中の要求がすべて完了した後,操作を中断します。

ACME エージェントは,初期状態に戻ります (たとえば,オープンしているファイルはクローズされます)。これにより,ファイル・オープン時のコンフリクトを起こすことなく,システム・バックアップなどの管理機能を実行することができます。

/RESUME 修飾子も参照してください。

/TRACE=n

/NOTRACE

ACME$SERVER ログ・ファイルのトレース・モードを有効にします。ログ・ファイルがまだオープンされていない場合は,オープンします。

n はビットマスクであり,以下のビットが割り当てられています。

0   agent             エージェント・トレーシングを有効にする 
1   general           一般 (固有でない) トレーシング 
2   vm                VM 操作 
3   ast               AST 処理 
4   wqe               WQE パラメータ値 
5   report            エージェント・ステータス/属性操作 
6   message           メッセージング操作 
7   dialogue          ダイアログ操作 
8   resource          エージェント・リソース操作 
9   callout           エージェント・コールアウト・ルーチン 
10  callout_status    エージェント・コールアウト戻り状態 

/NOTRACE を指定した場合は,トレース・モードは無効になり,ログ・ファイルはオープンしたままです。

/WAIT

/NOWAIT (省略時の値)

サーバが ACME$_BUSY 以外の状態を戻したときに呼び出し側に戻します。

/EXIT,/DISABLE,および/SUSPEND 修飾子とともに使用することができます。


#1
$ SET SERVER ACME_SERVER/START/LOG

このコマンドは ACME サーバを開始し,新しいログ・ファイルを作成してオープンします。

#2
$ SET SERVER ACME_SERVER/DISABLE/WAIT/CANCEL

このコマンドは,構成済みの ACME エージェントをすべて無効にし,進行中のすべての要求を取り消します。 ACME サーバが取り消し処理を完了するまでは,制御は DCL コマンドに戻りません。

#3
$ SET SERVER ACME_SERVER/CONFIGURE=(NAME=VMS,CREDENTIALS=VMS)

このコマンドは VMS ACME エージェントをロードし,その証明書が VMS であることを確認します。


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