HP OpenVMS Systems Documentation |
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本章ではリンクワークスについて説明し,ハイパー・アプリケーション(リンクワークス環境に関連するアプリケーション) の作成に関するユーザ・ インターフェイスの問題について説明します。ハイパー・アプリケーションの設計と実行についての詳しい説明は, 『LinkWorks Developer's Guide』を参照してください。リンクスワークは,OpneVMSとDEC UNIXシステムでは利用できますが, Windows NT システムでは使用できないことに注意が必要です。
リンクワークスは,情報がどこに格納されているかに関わらず,関連する情報を結び付ける機能を提供します。 設計中のアプリケーションでリンクワークスをサポートするためには一連のルーチンを使用します。 これらのルーチンの呼び出しを取り込むことによって, ユーザが情報間のリンクを確立し, そのリンクをたどれるようになりますが,リンクされる情報はアプリケーション内にあっても, リンクワークスをサポートする他のアプリケーション内にあっても構いません。 これらのルーチンの呼び出しをアプリケーションに取り込む場合, そのアプリケーションはハイパー・ アプリケーションと呼ばれます。
たとえば,メール・メッセージとカレンダのタイム・スロットの間にリンクを確立したユーザは, リンクワークスを使用してタイム・スロットからメール・ メッセージに直接移動できます。
多数のアプリケーションがリンクワークスをサポートしています。設計中のアプリケーションをハイパー・ インフォメーション環境にするためには, 次のことを行なう必要があります。
リンクワークスはオンライン・クリップボードに似ています。次のような類似点があります。
リンクワークスとクリップボードの大きな相違点は,リンクワークスの目的は情報間にリンクを確立することにあり, クリップボードの目的はアプリケーション間のデータ移動であるという点です。
アプリケーション開発者として,アプリケーションでどんなオブジェクトをリンク可能オブジェクトとしてサポートするかを決定しなければなりません。 そのために,ユーザがどのような種類の情報をリンクしたいのかを判断しなければなりません。 アプリケーション内のすべてのオブジェクトをリンク可能オブジェクトとしてサポートすることもできますが, それは現実的でなく, ユーザにとっても必ずしも有用なことではありません。最も重要と思われるオブジェクトのみをリンク可能に設定してください。
次の項目を考慮してリンク可能オブジェクトを決定します。
たとえばブックリーダでは,次の情報をリンクワークスのリンク可能オブジェクトとして設定しています。
リンク可能オブジェクトとして何をサポートするかを決める際には,アプリケーション内だけでなく, 他のアプリケーション間ともリンクの確立が可能であることを忘れないでください。
アプリケーションがリンクワークスをサポートしていることをユーザに知らせるために, リンク可能オブジェクトを表示する各ウィンドウのメニュー・ バーに「リンク」メニューを追加します。図 7-1 に例を示します。
リンクワークス開発者ツールを購入すると,リンクワークス・サービスが提供されます。 このサービスには,「リンク」メニューとそれに関連するダイアログ・ ボックスが用意されています。開発者がしなければならないことは, このメニューをメニュー・バーの「編集」メニューのすぐ右に入れることだけです。 「編集」メニューがない場合は,「リンク」メニューを「ファイル」メニューの右, 「表示」または「オプション」メニューの左に入れてください。
標準「リンク」メニューを使用して,確立されたリンクをたどったり, 新しいリンクを確立したりできます。図 7-2 ではリンクワークス・メニューで行なう操作を,次のように分類しています。
「リンク」メニューをカスタマイズする方法として次の2つがあります。
どのオブジェクトがリンクされたのかを明らかにするために,リンクしたオブジェクトを強調表示するように設定できます。 アプリケーション開発者は, どのように強調表示するのが最も効果的であるかを検討する必要があります。 表示する情報のタイプを考慮し,使用するテクニックを決めてください。
強調表示使用のガイドラインを次に示します。これらのガイドラインには従わない場合であっても, ユーザの操作に破壊的な結果がともなわないようにしてください。
ウィンドウのレイアウトに影響しない強調表示を使用してください。 レイアウトを変更すると視覚的に混乱を招き,また,強調表示のオン・ オフを切り換える時間が増加します。
たとえば,階層リストや定型化されているテキストなどのように,同じような形態で情報を表示する場合はアプリケーション間で統一した強調表示テクニックを使用してください。 他のハイパー・アプリケーションでどのように強調表示が使用されているかを確認してください。
リンク・アイコンをホットスポットに設定すると,アイコンをダブル・ クリックすることによって必要な情報が獲得できます。アプリケーション固有の機能を実行するときは, リンク・アイコン以外の部分をダブル・ クリックするようにします。
図 7-3は,ホットスポットに設定したリンク・ アイコンと,ホットスポットに設定しないリンク・アイコンの例です。 リンク・アイコンがホットスポットであることをユーザに示すには, 電球を点灯させます(点灯しているように見せます)。ホットスポットとしない場合には電球を点灯させません。 「リンクワークス開発者用ツール」にいろいろなサイズの電球のサンプルが含まれています。
強調表示のためのテクニックをいくつか示します。
体裁が整えられているディスプレイでは,アイコンの使用が特に効果的です。 アプリケーションで,アイコンとある情報の関連づけができる場合, アイコンの使用はリンクを示すのに良い方法です。たとえばDECwindows カレンダでは,ミーティング,ランチなどの情報を示すためにそれぞれに関連づけられたアイコンが使用されています。
太字にするなどのその他の表現テクニックは,テキストやグラフィック表示で既に何らかの意味を持っている場合があります。
テキストやグラフィックの表現を変更するには,次の方法があります。
カラー表示の利用は次の理由であまり良い選択ではありません。
アプリケーションを有効なハイパー・アプリケーションにするために,次のようにウィンドウを使用してください。
DECでは,「訪問」メニュー項目の機能を考慮して,マルチ・ウィンドウ表示のサポートをお勧めします。
「リンク」メニューの「訪問」メニュー項目は,リンクしたものを表示するために新しいウィンドウをオープンし, もとのウィンドウもオープンしたままにします。 アプリケーションがマルチ・ウィンドウ表示をサポートしていない場合, 「訪問」メニュー項目を選択すると, 既に情報が表示されているウィンドウ内に新しい情報が表示されます。 このため,ユーザはリンクしている2つの情報を比較することができなくなります。 結果として,実際には「訪問」操作の使用ができないことになります。
画面が繁雑になりユーザが混乱するを避けるため,アプリケーションはユーザのナビゲーションで要求されているリンク・ オブジェクトのみを表示するように設定します。 たとえば,ユーザがブックリーダのトピックへのリンクをたどる場合には, トピックのみが表示されるようにし, ライブラリや索引のウィンドウが自動的に表示されないようにしてください。