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HP OpenVMS: システム管理者マニュアル (上巻)

第5章 オペレーティング・システムのカスタマイズ

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OpenVMSドキュメント・ライブラリ

目次
まえがき
第1章:本書の概要
第2章:管理ユーティリティとツール
第3章:インストールとアップグレード
第4章:システムの起動と停止
第5章:オペレーティング・システムのカスタマイズ
第6章:システム時刻の設定
第7章:ユーザアカウントの管理
第8章:周辺デバイスの管理
第9章:記憶媒体の管理
第10章:ファイルとディレクトリの操作
第11章:BACKUPの使用方法
第12章:機密保護
第13章:キュー・マネージャとキュー・データベースの管理
第14章:キューの設定と保守
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目次

5.1 オプション・ファイルの追加と削除
5.2 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャの変更
5.2.1 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ
5.2.2 スタートアップ・イベントの順序
5.2.3 ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールするための SYPAGSWPFILES.COM の変更
5.2.4 デバイスの構成のための SYCONFIG.COM の変更
5.2.5 システム単位の論理名を定義するための SYLOGICALS.COM の変更
5.2.6 機密保護監査機能を設定するための SYSECURITY.COM の変更
5.2.7 通常の操作を行うための SYSTARTUP_VMS.COM の変更
5.3 ログイン・コマンド・プロシージャによるユーザ環境のカスタマイズ
5.4 SYSMAN ユーティリティによるスタートアップ・データベースのカスタマイズ
5.4.1 スタートアップ・データベース
5.4.2 レイヤード製品のスタートアップ・データベース
5.4.3 現在のスタートアップ・データベースの指定
5.4.4 ターゲット・スタートアップ・データベース名の確認
5.4.5 スタートアップ・データベースの内容の表示
5.4.6 スタートアップ・データベースへのスタートアップ・ファイルの登録
5.4.7 スタートアップ・ファイルに関する情報の変更
5.4.8 スタートアップ・データベースのレコードの削除
5.4.9 スタートアップ・ファイルの実行の禁止
5.4.10 禁止したスタートアップ・ファイルの実行
5.5 システム・バージョン依存イメージの登録
5.5.1 システム・バージョン依存とイメージ登録 (VAX のみ)
5.5.2 イメージ登録機能の使い方 (VAX のみ)
5.6 ヘルプ・メッセージ・データベースのカスタマイズ
5.6.1 インストールされなかったメッセージ用の $STATUS 値へのアクセス
5.6.2 システム・レベルのデータベース検索パスの定義
5.6.3 弊社が提供するメッセージの削除
5.6.4 弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加
5.6.5 弊社が提供するデータの変更
5.6.6 弊社が提供するデータベース・ファイルへのメッセージの追加
5.7 MAIL のカスタマイズ
5.8 MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) ユーティリティの 設定
5.8.1 フォーリン・コマンドの定義
5.9 カスタマイズ内容の保存

インストールしたオペレーティング・システムは,ユーザの必要に応じてカスタマイズすることができます。

この章の内容

この章では次の作業について説明します。

作業

参照箇所

オプション・ファイルの追加と削除

5.1 項 「オプション・ファイルの追加と削除」

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャの変更

5.2 項 「サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャの変更」

ログイン・コマンド・プロシージャの変更

5.3 項 「ログイン・コマンド・プロシージャによるユーザ環境のカスタマイズ」

スタートアップ・データベースのカスタマイズ

5.4 項 「SYSMAN ユーティリティによるスタートアップ・データベースのカスタマイズ」

システム・バージョン依存イメージの登録[9]

5.5 項 「システム・バージョン依存イメージの登録」

ヘルプ・メッセージ・データベースのカスタマイズ

5.6 項 「ヘルプ・メッセージ・データベースのカスタマイズ」

MAIL のカスタマイズ

5.7 項 「MAIL のカスタマイズ」

MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) ユーティリティの設定

5.8 項 「MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) ユーティリティの 設定」

カスタマイズの保存

5.9 項 「カスタマイズ内容の保存」

[9] VAX および I64 のみ

さらに,次の項目について説明します。

項目

参照箇所

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ

5.2.1 項 「サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ」

スタートアップ・イベントの順序

5.2.2 項 「スタートアップ・イベントの順序」

スタートアップ・データベース

5.4.1 項 「スタートアップ・データベース」

レイヤード製品のスタートアップ・データベース

5.4.2 項 「レイヤード製品のスタートアップ・データベース」

5.1 オプション・ファイルの追加と削除

OpenVMS では,DECwindow のサポートも含め, オプションのシステム・ファイルを追加,削除することによって, オペレーティング・システムの大きさを変更することができます。 これは,小規模なシステムやディスク空間が限られているシステムで特に有用です。

たとえば,システム・ディスクが RD54 の MicroVAX II コンピュータで,Delta/XDelta デバッガ (DELTA/XDELTA) やシステム・ダンプ解析ユーティリティ (SDA) などのシステム・プログラミング機能を使用しない場合は,システム・ディスクからそうしたファイルを削除することができます。

使用するシステムによっては,ファイルの追加および削除の方法には次の 2 種類を使用できます。

  • VAX システムの場合,OpenVMS テーラリング・ユーティリティ,VMSTAILOR および DECW$TAILOR を使用できる

    • VMSTAILOR - オプションのシステム・ファイルに使用する。

    • DECW$TAILOR - DECwindows のサポートに使用する。

    システム・ディスクに対するファイルの追加または削除は, その対象のオペレーティング・システム・ファイルのクラスとサブクラスを特定することによって行う。 クラス全体のファイル,あるいは 1 つのクラスの特定のサブクラスのファイルを追加または削除することができる。

    削除したオプション・ファイルは,後で VMSTAILOR または DECW$TAILOR, およびユーザのオペレーティング・システム・ディストリビューション媒体を用いて,もう一度追加することができる。

    VMSTAILOR および DECW$TAILOR についての詳細は,『インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照。

  • Alpha システムおよび I64 システムでは,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ を使用して,オプションのシステム・ファイルの追加と削除ができる。 追加または削除は,オプションおよびサブオプションを選択または選択解除することで行う。

    追加または削除のために POLYCENTER Software Installation ユーティリティ を起動するには, 次のいずれかの方法を使用する。

    • DCL コマンド PRODUCT RECONFIGURE を使用する。

    • POLYCENTER Software Installation ユーティリティ から DECwindows Motif インタフェースを使用して, Mode メニューの Reconfigure オプションを選択する。

    POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用方法についての詳細は,3.6 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用」 を参照。

5.2 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャの変更

システムのカスタマイズで大切な作業の 1 つは, サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャの作成または変更です。 スタートアップ・コマンド・プロシージャにコマンドを登録しておくと,システムをブートするたびに, 必ずそれらのコマンドが実行されることになります。

5.2.1 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ

次の用語を覚えてください。

用語

定義

スタートアップ・コマンド・プロシージャ

システム・スタートアップ時に実行されるコマンド・プロシージャ。

汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャ

すべての OpenVMS システムに提供され,OpenVMS に必須のスタートアップ・コマンド・プロシージャ(各サイトに固有の要件とは関係のない部分)。 このプロシージャの名前は SYS$SYSTEM:STARTUP.COM。 このプロシージャは変更してはいけない

システムをブートすると,自動的に STARTUP.COM が実行される。 詳細は4.1.4 項 「システム・スタートアップと STARTUP.COM」 を参照。

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ

ユーザのサイトに合わせて実行する操作を変更できるスタートアップ・コマンド・プロシージャ。 このプロシージャは,任意のテキスト・エディタで編集できる。

STARTUP.COM は,弊社が提供するサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャをいくつか実行する。 これらのプロシージャは,表 5-1 「サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ」 にリストされている。

また,独自のプロシージャを作成して,SYSTARTUP_VMS.COM から実行することもできる。

弊社が提供するサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャを, 実行される順に 表 5-1 「サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ」 に示します。 これらのプロシージャは,論理名 SYS$STARTUP のシステム・ディレクトリにあります。

表 5-1 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ

順番

コマンド・プロシージャ

機能

1

SYCONFIG.COM

サイト別デバイス構成用のコマンドを追加するファイル。 詳細は5.2.4 項 「デバイスの構成のための SYCONFIG.COM の変更」 を参照。

2

SYLOGICALS.COM

ユーザのサイト別システム論理名を定義するコマンドを追加するファイル。 詳細は5.2.5 項 「システム単位の論理名を定義するための SYLOGICALS.COM の変更」 を参照。

3

SYPAGSWPFILES.COM

ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールするコマンドを追加するファイルただし,SYS$SYSTEM 中の 1 次ページ・ファイルと 1 次スワップ・ファイルを除く。 これらは自動的にインストールされる。 詳細は5.2.3 項 「ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールするための SYPAGSWPFILES.COM の変更」 を参照。

4

SYSECURITY.COM

機密保護監査サーバを起動する前に, 機密保護監査と機密保護保管ファイルの位置を定義するコマンドを追加するファイル。 詳細は5.2.6 項 「機密保護監査機能を設定するための SYSECURITY.COM の変更」 を参照。

5

SYSTARTUP_VMS.COM

ユーザのサイトをセットアップするさまざまな操作を実行するコマンドを追加する汎用コマンド・プロシージャ。 たとえば,SYSTARTUP_VMS.COM 中で公用ディスクをマウントする。 詳細は5.2.7 項 「通常の操作を行うための SYSTARTUP_VMS.COM の変更」 を参照。

 

5.2.1.1 テンプレート・ファイル

サイト別コマンド・プロシージャは,プロシージャごとに次の 2 つのバージョンが用意されており,ディストリビューション・キットの SYS$MANAGER ディレクトリに格納されています。

  • ファイル・タイプが .COM の実行形式バージョン (たとえば, SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM)。 システムはファイル・タイプが .COM のファイルを実行する。 STARTUP.COM 以外の .COM ファイルはユーザの必要に応じて変更することができる。

  • ファイル・タイプが .TEMPLATE のバックアップ・バージョン (たとえば,SYS$MANAGER:SYCONFIG.TEMPLATE)。

注意:

弊社が提供するファイル・タイプ .TEMPLATE のテンプレート・コマンド・ファイルを変更したり,削除したりしないでください。 VMSKITBLD.COM プロシージャはテンプレート・コマンド・ファイルを使用して, 新しいシステム・ディスクを作成します。 .COM バージョンが壊れて .TEMPLATE バージョンを使用しなければならない場合には, .TEMPLATE ファイルをファイル・タイプを .COM としてコピーし, そのコピーを編集します。

5.2.1.2 スタートアップ・コマンド・プロシージャの変更規則

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャを変更する場合, 次の規則に従ってください。

  • コマンド・プロシージャの規則を守る (『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』参照)。

  • ファイルは SYS$MANAGER ディレクトリに保管する。

  • コマンド・プロシージャのファイル名を変更しない。

  • 変更はファイル・タイプが .COM の実行形式バージョンのみとし, .TEMPLATE タイプの非実行形式バージョンは変更しない。

  • 汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャ STARTUP.COM は変更しない。

  • コマンド・プロシージャを変更するときは, スタートアップ・イベントの順番を理解しておく。 詳細は5.2.2 項 「スタートアップ・イベントの順序」 を参照。

重要:

弊社が提供するスタートアップ・プロシージャは, 必ず正常に稼働します。 しかし,スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャの変更によってエラーが生じ,システムにログインできなくなる場合もあります。 このような緊急時のブート手順については, 4.4.2 項 「スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用しないブート」 を参照してください。

5.2.2 スタートアップ・イベントの順序

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャを変更するにあたっては, システムのスタートアップ・イベントの順序を理解しておく必要があります。

スタートアップ・プロシージャの各フェーズの順序は, VMS$PHASES.DAT というデータベース・ファイルによって決まります。 このファイルは,STARTUP.COM が起動するフェーズを順番に並べたものです。 このファイルには,オペレーティング・システムを起動する 4 つの基本的なフェーズ (INITAIL,CONFIGURE,DEVICE,BASEENVIRON) が入っていて,さらに,レイヤード製品用のフェーズが続きます。

重要:

VMS$PHASES.DAT を変更しないでください。 システムは,このファイルの内容を使って,正しくスタートアップを行います。

起動時に,システムは次の順序で作業を行います。

  1. CLUSTER_SERVER プロセスの開始

  2. 基本処理に必要な論理名を定義し, SYS$MANAGER:VMSIMAGES.DAT に登録されているイメージをインストールする。

  3. SYSCONFIG.COM を実行する。

  4. 次のコマンドを実行し,新しいドライバを追加する。

    • VAX システムの場合,SYSGEN の AUTOCONFIGURE ALL コマンドを実行する。 このコマンドは自動的にデバイス・ドライバ・データベースを構築する。 また,システムに接続されているすべての標準デバイスを配置し,関連するデバイス・ドライバをロードし接続する。

    • Alpha システムおよび I64 システムの場合,SYSMAN の IO AUTOCONFIGURE コマンドを実行する。 このコマンドは自動的にデバイス・ドライバ・データベースを構築する。 また,システムに接続されているすべての標準デバイスを配置し, 関連するデバイス・ドライバをロードし接続する。

    SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM で STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL が 0 または FALSE と定義されている場合,このステップは実行されない。

  5. 1 次スワップ・ファイルをインストールする (ファイルが存在する場合のみ)。

  6. スワップ可能な CONFIGURE プロセスを起動する。 システム・パラメータの NOAUTOCONFIG が 1 の場合, CONFIGURE プロセスは起動されない。 また,SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM によって STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL が 0 または FALSE と定義されている場合,このステップは実行されない。

  7. SYLOGICALS.COM を実行する。 この時点で,すべてのデバイスが STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL コマンド (ステップ 4), または CONFIGURE プロセス (ステップ 6 以降) で使用できる状態になっている。

  8. システムが VAXcluseter または OpenVMS Cluster 環境のサテライト・ノードの場合は,SATELLITE_PAGE.COM を実行し, ローカル・ディスクにページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールする。 SATELLITE_PAGE.COM は, CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャを実行したときに作成されるファイルである。

  9. SYPAGSWPFILES.COM を実行する。

  10. 次のステップを実行する。 ただし,実行する順序は決まっていない。

    • 必要なイメージをインストールする。

    • いろいろなオペレーティング・システム・プロセス (OPCOM,CACHE_SERVER,ERRFMT,JOBCTL) を実行する。

    • SYSECURITY.COM を実行し,AUDIT_SERVER プロセスを起動する。

    • VAX システムの場合,機密保護サーバ SECURITY_SERVER を起動する。 このサーバは代理データベースおよび侵入データベースを管理する。

    • LMF (ライセンス管理機能) を起動し,LMF データベースから適切な製品登録キー (PAK) をすべてロードする。

  11. 次のステップを実行する。 ただし,実行する順序は決まっていない。

    • オペレータ・コンソールとオペレータ・ログ・ファイルを使用できる状態にする。

    • SMISERVER プロセスを起動する。

注意:

システム・スタートアップ中のイベントの順序は,オペレーティング・システムの将来のリリースで変わることがあります。

5.2.3 ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールするための SYPAGSWPFILES.COM の変更

ブート時,システムは自動的に SYS$SYSTEM ディレクトリの 1 次ページ・ファイルおよび 1 次スワップ・ファイルをインストールします。 これらの 1 次ページ・ファイルおよび 1 次スワップ・ファイルが SYS$SYSTEM ディレクトリに存在しない場合,または 2 次ページ・ファイルおよび 2 次スワップ・ファイルをシステム・ディスク以外のディスクに登録している場合,これらのファイルをシステム・ブートのたびにインストールする必要があります。 ページ・ファイルおよびスワップ・ファイルを適切にインストールするためには,SYPAGSWPFILES.COM にコマンドを登録します。

作業を行うにあたっては,ページ・ファイルとスワップ・ファイルの働きを理解し, それらのファイルを別のディレクトリに移さなければならない理由を認識しておいてください。 詳細は『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

また,SYPAGSWPFILES.COM ファイルには, SYSGEN の CREATE コマンドや DCL の INITIALIZE や MOUNT コマンドなど, INSTALL コマンド以外のページ・ファイルとスワップ・ファイルを設定するためのコマンドを登録することができます。 STARTUP.COM が SYPAGSWPFILES.COM を起動した時点では, システム・ディスクしかマウントされません。 ページ・ファイルやスワップ・ファイルが存在するディスクをマウントするためには, SYPAGSWPFILES.COM に MOUNT コマンドを登録する必要があります。

SYPAGSWPFILES.COM を使用するためには, ページ・ファイルが少なくとも 1 つインストールされている必要があります。 ページ・ファイルがない場合,STARTUP.COM は次のエラー・メッセージを表示します。

%STARTUP-E-NOPAGFIL, no page files have been successfully installed.
重要:

SYSDUMP.DMP という名前のシステム・ダンプ・ファイルがディレクトリ SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] に存在しない場合は, クラッシュ・ダンプの書き込みのために, 1 次ページ・ファイル PAGEFILE.SYS が ディレクトリ SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] の中に存在しなければなりません。 SYSDUMP.DMP も PAGEFILE.SYS も SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] にない場合は, クラッシュ・ダンプ・ファイルは生成されません。

SATELLIGE_PAGE.COM を使用して,サテライト・ノードのローカル・ディスクにページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールすることもできます。 SATELLITE_PAGE.COM は,CLUSTER_CONFIG.COM の実行時に作成されます。 サテライト・ノードのローカル・ディスクのページ・ファイルとスワップ・ファイルのインストール方法については,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

作業方法

  1. SYSGEN CREATE コマンドを次の形式で入力して,目的の場所に 2 次システム・ファイルを作成する。

    CREATE ファイル指定/SIZE=ブロック数

    たとえば,次のように入力する。

    SYSGEN> CREATE DUA2:[PAGE_SWAP]PAGEFILE_1.SYS/SIZE=100000
    SYSGEN> CREATE DUA2:[PAGE_SWAP]SWAPFILE_1.SYS/SIZE=100000
    

    CREATE コマンドは,ページ・ファイル,スワップ・ファイル, およびダンプ・ファイルとして使用可能なファイルを作成または拡張する。 これらのファイルを作成するのは一度だけである。

    ページ・ファイルとスワップ・ファイルの作成方法についての詳細は, 『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照。 SYSGEN の CREATE コマンドについては, 『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の部分に詳しい説明がある。

  2. エディタを起動して,SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COM を編集する。

  3. 必要ならば,2 次ページ・ファイルと 2 次スワップ・ファイルを格納するディスクをマウントするための MOUNT コマンドを登録する。 SYPAGSWPFILES.COM を起動した時点では,システム・ディスク以外のディスクはマウントされていない。 MOUNT コマンドについては,『OpenVMS DCL ディクショナリ』の MOUNT の部分で詳しく説明している。

  4. SYSGEN の起動を簡単にするために,次のコマンドを入力する。

    $ SYSGEN := $SYSGEN
    
  5. システムのブート時に,2 次ファイルをインストールするためのコマンドを SYPAGSWPFILES.COM に登録する。

    ページ・ファイルに対しては,次の形式のコマンドを使用する。

    SYSGEN INSTALL ファイル指定 /PAGEFILE

    スワップ・ファイルに対しては,次の形式のコマンドを使用する。

    SYSGEN INSTALL ファイル指定 /SWAPFILE

    INSTALL コマンドは,2 次ページ・ファイルと 2 次スワップ・ファイルを使用可能な状態にする。 SYS$SYSTEM 以外のディレクトリに存在するページ・ファイルとスワップ・ファイルは,システムのブートのたびにインストールする必要がある。

次の例は,SYPAGSWPFILES.COM に登録したコマンドの例です。 これらのコマンドは,PAGE_SWAP という論理名のデバイス DUA10: に存在する 2 次ページ・ファイルと 2 次スワップ・ファイルをインストールします。

$ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST DUA10: SYS2 PAGE_SWAP
$ SYSGEN := $SYSGEN
$ SYSGEN INSTALL PAGE_SWAP:[SYSTEM]PAGEFILE1.SYS/PAGEFILE
$ if $status then write sys$output "Installed page file PAGEFILE1.SYS"
$ SYSGEN INSTALL PAGE_SWAP:[SYSTEM]SWAPFILE1.SYS/SWAPFILE
$ if $status then write sys$output "Installed swap file swapfile1.sys"

5.2.4 デバイスの構成のための SYCONFIG.COM の変更

非標準デバイスの接続や自動構成の抑制などのサイト別デバイス構成を実行するよう SYCONFIG.COM コマンドを追加することもできます。

5.2.4.1 非標準デバイスの接続

標準デバイスは,システムのブートのたびに STARTUP.COM によって, 自動的に接続および構成されます。 非標準デバイス (弊社が提供しないデバイス) は自動的には接続および構成されません。 これらのデバイスは,該当するコマンドを入力することによって手動で接続および構成しなければなりません。 このようなコマンドをシステムのスタートアップごとに実行するには, コマンドを SYCONFIG.COM に追加します。

VAX システムの場合,SYSGEN の CONNECT コマンドを追加します。 デバイスの接続については, 8.5 項 「デバイスの接続とデバイス・ドライバのロード」 を参照してください。 SYSGEN の CONNECT コマンドについては, 『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の部分を参照してください。

Alpha システムおよび I64 システムの場合,SYSMAN の IO CONNECT コマンドを追加します。 デバイスの接続については, 8.5 項 「デバイスの接続とデバイス・ドライバのロード」 を参照してください。 SYSMAN の IO CONNECT コマンドについては, 『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSMAN の部分を参照してください。

QQ という非標準デバイスを接続する場合は, SYCONFIG.COM に次のコマンドを登録します。

$ SYSGEN := $SYSGEN
$ SYSGEN CONNECT QQA0

5.2.4.2 デバイスの自動構成の抑制

システムのブート中に自動構成を行いたくない場合もあります。 たとえば,次のような場合です。

  • 独自の順序でデバイスを構成したい。

  • ブート中に問題が発生し,その原因を究明したい。

  • ブート中の衝突が起きないように, SCSI (スモール・コンピュータ・システム・インタフェース) ベースのワークステーションが別のワークステーションの SCSI バスのデバイスを使えるようにしたい。

このような場合は,SYCONFIG.COM にシンボルを定義することによって, 自動構成を禁止することができます。 詳細は 8.5.3 項 「デバイスの自動構成の禁止」 を参照してください。

5.2.5 システム単位の論理名を定義するための SYLOGICALS.COM の変更

システム単位の論理名は,システム全体に適用されます。 この論理名は,システム 論理名テーブル に定義され, そのシステム内にある任意のプロセスが使用できます。 クラスタ単位のシステム論理名は,クラスタ内にあるすべてのノードに対して,システム・レベルで適用されます。 この論理名は,各ノードにあるクラスタ全体用のシステム論理名テーブルに定義され,そのシステム内にある任意のプロセスが使用できます。

一般に,システム管理者はスタートアップ時に定義するシステム固有の論理名を SYLOGICALS.COM 内で定義します。 しかし,クラスタ単位の論理名の定義にはこのコマンド・プロシージャは適当ではありません。 この場合には,SYSTARTUP_VMS.COM を使用します。 詳細については,『OpenVMS Cluster システム』の「共用環境の準備」を参照してください。

弊社が提供する SYLOGICALS.COM には, OpenVMS Cluster 環境ではない MicroVAX システム上でシステム単位の論理名を割り当てるコマンドが入っています。 ユーザのシステムがスタンドアロンの MicroVAX システムでない場合は,テンプレート・ファイルの先頭にあるプロシージャを無視し,ファイルの最後にシステム単位の論理名割り当てを追加することができます。

SYLOGICALS.COM には,独自のサイト別システム単位の論理名を作成するコマンドを登録することができます。 また,SYLOGICALS.COM にシステム論理名の新しい定義を登録することによって,それら論理名の省略時の定義を変更することもできます。 表 5-2 「よく定義されるシステム論理名」 は,よく定義される論理名の一部です。 ) ) ) )

表 5-2 よく定義されるシステム論理名

論理名

参照箇所

CLUE$DOCD_DEVICE[1]

OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)

LMF$LICENSE

OpenVMS License Management Utility Manual

MAIL$SYSTEM_FLAGS

5.7 項 「MAIL のカスタマイズ」

NETNODE_REMOTE

DECnet for OpenVMS Networking Manual

NETPROXY

OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド

NET$PROXY

OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド

QMAN$MASTER

13.3 項 「キュー・データベースの格納場所の指定」

RIGHTSLIST

OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド

SYS$ERRORLOG

OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)

SYS$MONITOR

OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)

SYSUAF

OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド

VMSMAIL_PROFILE

OpenVMS ユーザーズ・マニュアル

[1] Alpha および I64 のみ

 

システム要素 (たとえば,公用のディスクやディレクトリ) に対する論理名を定義する場合には,ASSIGN または DEFINE コマンドに /EXECUTIVE_MODE 修飾子を指定します。 エグゼクティブ・モードで定義することによって,特権モードのイメージ (LOGINOUT, Mail など) の起動など,システム操作において,その論理名を使用できるからです。 システム・コンポーネント(たとえば,公用ディスクやディレクトリ) に論理名を定義する場合,DEFINE または ASSIGN コマンドに /EXECUTIVE_MODE 修飾子を使用して エグゼクティブ・モードで定義することをお勧めします。

このタイプの論理名は,信頼できる論理名と呼ばれますが, (LOGINOUT, Mailなどの)特権モード・イメージの起動のようなシステム操作で使用することができます。

論理名と特権モード (エグゼグティブ,カーネル, スーパバイザ,ユーザ)についての詳細は, 『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』 を参照してください。

作業方法

  1. エディタを起動して,SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM ファイルを編集する。

  2. ファイルの最後の EXIT コマンドの直前に,次の形式で論理名の定義を追加する。

    DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG 論理名 等価名

    たとえば,次のように追加する。

    $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG FINANCE_DISK DRAC$DRA2:
    

    DEFINE コマンドについての詳細は, 『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照。

  3. 編集したファイルを保存して,エディタを終了する。

    この操作によって,ファイルのバージョンが更新される。 システムがブートされると,STARTUP.COM は自動的に最も高いバージョンを起動する。

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG FINANCE_DISK DRAC$DRA2:
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE/NOLOG SYSDSK SYS$SYSDEVICE:

この例では,システムのすべてのユーザ,またはシステムで動作するすべてのプログラムが,物理デバイス名の DRAC$DRA2: の代わりに論理名の FINANCE_DISK を使用できるようにしています。 同様に,システム・ディスク (SYS$SYSDEVICE:) は SYSDSK で参照することができます。

5.2.6 機密保護監査機能を設定するための SYSECURITY.COM の変更

SYSECURITY.COM は,機密保護監査サーバ・プロセスを起動する前に実行されます。 このファイルには,機密保護監査ログ・ファイルやローカルの機密保護アーカイブ・ファイルを保持するディスクをマウントまたは定義するためのコマンドを追加できます。 機密保護監査についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

通常,システムは,SYSTARTUP_VMS.COM を実行する直前に,VMS$LPBEGIN の監査を開始します。 ただし,この動作は,論理名 SYS$AUDIT_SERVER_INHIBIT を再定義することによって変更することができます。

機密保護監査の自動起動を禁止する場合は,SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に次の行を 追加します。

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE SYS$AUDIT_SERVER_INHIBIT YES

コマンド・ファイルに次の行を追加することによって,システム起動の他のフェーズ (ほとんどは SYSTARTUP_VMS.COM の最後のフェーズ) で監査を開始することができます。

$ SET AUDIT/SERVER=INITIATE

SYSTARTUP_VMS.COM の編集方法については, 次の 5.2.7 項 「通常の操作を行うための SYSTARTUP_VMS.COM の変更」 を参照してください。

5.2.7 通常の操作を行うための SYSTARTUP_VMS.COM の変更

特定のサイトだけでコマンドを実行する場合は, サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャSYSTARTUP_VMS.COM にコマンドを追加または変更します。

次のような作業を行う場合は, SYSTARTUP_VMS.COM を編集して, コマンドの追加または変更を行うことをお勧めします。

作業

参照箇所

公用ディスクのマウント

5.2.7.1 項 「公用ディスクのマウント」

ターミナルおよびプリンタデバイスの特性の設定

5.2.7.3 項 「ターミナルとプリンタの特性設定」

キューの起動とキュー用自動起動の許可

5.2.7.4 項 「キューの起動とキューの自動起動」

既知イメージのインストール

5.2.7.5 項 「既知イメージのインストール」

常駐イメージのインストール[10]

5.2.7.6 項 「常駐イメージのインストール (Alpha および I64)」

OpenVMS InfoServer Client ソフトウェアのセットアップ

5.2.7.7 項 「OpenVMS InfoServer Client ソフトウェアの設定」

システム・ダンプ・アナライザの実行

5.2.7.8 項 「システム・ダンプ・アナライザの実行」

オペレータ・ログ・ファイルのパージ

5.2.7.9 項 「オペレータ・ログ・ファイルのパージ」

システム・スタートアップ時に実行されるバッチ・ジョブのキューへの登録

5.2.7.10 項 「起動時に実行するバッチ・ジョブのキュー登録」

システム全体への通知の作成

5.2.7.11 項 「システム単位の通知の作成」

LAT プロトコル・ソフトウェアのスタートアップ

5.2.7.12 項 「LAT プロトコル・ソフトウェアの起動とカスタマイズ」

DECnet または TCP/IP ネットワークの起動

5.2.7.13 項 「DECnet または TCP/IP ネットワークの起動」

DIBOL メッセージ・マネージャのスタートアップ

5.2.7.14 項 「DIBOL メッセージ・マネージャの起動 (VAX および Alpha)」

会話型ユーザ数の定義

5.2.7.15 項 「会話型ユーザ数の定義」

[10] Alpha および I64 のみ

作業方法

SYSTARTUP_VMS.COM を変更するには,次の手順に従ってください。

  1. エディタを起動して,SYSTARTUP_VMS.COM ファイルを編集する。

  2. エラーが起きてもコマンド・プロシージャを終了させないように, ファイルの先頭に DCL の SET NOON コマンドを指定する。 このコマンドは,プロシージャの各コマンドの実行後のエラー検査を無効にする。 エラー・チェックについての詳細は,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照。

  3. サイト別の処理を行うためのコマンドを登録する。 このコマンド・プロシージャで一般的に行う処理については,この後の 5.2.7.1 項 「公用ディスクのマウント」 から 5.2.7.15 項 「会話型ユーザ数の定義」 にかけて説明する。

  4. 編集したファイルを保存して,エディタを終了する。 この操作によって,ファイルのバージョンが更新される。 システムのブート時, STARTUP.COM は自動的に最も高いバージョンを起動する。

5.2.7.1 公用ディスクのマウント

公用ボリューム(公用ディスク) とは, システムで動作するすべてのプロセスがアクセス可能なディスクです。 ディスクを共用できるようにするためには, 次のことを行う必要があります。

  • ディスクを物理的にロードし,起動する。

  • 新しいディスクの場合は,初期化する。

  • DCL の MOUNT コマンドを使用して,システム全体でアクセスできるようディスクをマウントする。 システム・ディスクはシステムの起動時に自動的にマウントされるため,システム・ディスクに MOUNT コマンドを使用する必要はない。

作業方法

公用ディスクをマウントするためには, 汎用サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャに,次の形式で MOUNT コマンドを登録します。

MOUNT/SYSTEM デバイス名: ボリューム・ラベル 論理名

  • デバイス名:

    物理デバイス名。 最後のコロンは省略してはならない。 物理デバイス名については, 8.1 項 「デバイス名」 を参照。

  • ボリューム・ラベル:

    INITIALIZE コマンドで割り当てた英数字からなるディスクの識別名である。

  • 論理名:

    デバイスに割り当てる論理名である。 論理ボリューム名を物理デバイス名の代わりに使用できるという利点がある。 一貫して論理ボリューム名を使用するようにすれば,ボリュームがどの物理ドライブにマウントされているのか覚えている必要はない。 また,プログラムやコマンド・プロシージャで物理デバイス名を使用する必要がなくなる。

/SYSTEM を指定すると,システム全体でそのディスクが使用可能になります。

省略時の設定では,ユーザが MOUNT コマンドを使用すると, システムは次の論理名を作成することに注意してください。

DISK$ボリューム・ラベル

多くの場合,省略時の論理名でユーザの要件は満たされます。

スタートアップ・コマンド・プロシージャ中でディスクをマウントするとき, VAXcluster 環境 または OpenVMS Cluster 環境においても /CLUSTER 修飾子は指定しないでください。 各ノードは自分自身のディスクをマウントするように, それぞれ独自のスタートアップ・コマンド・プロシージャを実行します。

注意:

SYSTARTUP_VMS.COM を起動したとき,そのときだけですが, MOUNT コマンドには省略時の設定で /NOASSIST 修飾子が付きます。 この修飾子の働きは,オペレータ支援マウントを無効にすることです。 SYSTARTUP_VMS.COM の実行中にこの機能を有効にしたい場合は, すべての MOUNT コマンドに /ASSIST を指定します。

また,DSA ディスクの場合は,最初の MOUNT 文の前に WAIT 文を挿入する必要があります。 待ち時間はコントローラによって異なりますが,この待ち時間を入れないと,MOUNT 要求はそうしたデバイスは存在しないという理由で処理されないことがあります。 詳細は『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。

公用ボリュームについての詳細は,9.1.4 項 「公用ディスク・ボリュームと私用ディスク・ボリューム」 および 9.5 項 「ボリュームのマウント」 を参照してください。 MOUNT コマンドについては, 『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

5.2.7.2 起動時から使用するディスクのマウント

システムの起動時からマウントする必要があるディスクがある場合は, SYCONFIG.COM に MOUNT コマンドを登録します。 たとえば,SYSTARTUP_VMS.COM を実行する前に使用したいファイルが存在するサイトでは操作が必要です。 SYCONFIG.COM については, 5.2.4 項 「デバイスの構成のための SYCONFIG.COM の変更」 を参照してください。

5.2.7.3 ターミナルとプリンタの特性設定

システムに接続されているターミナルとプリンタのデバイス特性を設定する場合は, SYSTARTUP_VMS.COM に SET コマンドを登録します。 デバイスの設定用のコマンドについては, 8.7.1 項 「ターミナル特性の設定」 および 8.9.1 項 「プリンタ特性の設定」 を参照してください。

システム構成が単純な場合は,SYSTARTUP_VMS.COM にそのまま SET コマンドを登録してください。 システム構成上,大量の SET コマンドが必要な場合は, 別のコマンド・プロシージャ(たとえば DEVICE_SETUP.COM)にコマンドを登録しておき, SYSTARTUP_VMS.COM からそのコマンド・プロシージャを実行します。 デバイス設定コマンド・プロシージャが終了したら, SYSTARTUP_VMS.COM に制御が戻るようにします。

5.2.7.4 キューの起動とキューの自動起動

SYSTARTUP_VMS.COM に次の作業を行うためのコマンドを登録してください。

  • キューの自動起動

  • 非自動起動型の実行キューの起動

システム構成が単純な場合は, SYSTARTUP_VMS.COM にこれらのコマンドを登録してください。 大量のキューがあるシステムでは,たとえば STARTQ.COM といった別のコマンド・プロシージャ・ファイルにコマンドを登録し, SYSTARTUP_VMS.COM プロシージャからそのプロシージャを実行します。 自動起動機能はキューの起動を簡略化し,より少ないコマンドでキューを起動できるようにします。 したがって,可能な場合はいつでも自動起動キューを利用して,キューの起動を簡略化することをお勧めします。 自動起動キューについては, 14.1.3 項 「自動起動キュー」 を参照してください。

システム起動時におけるキューの起動とキュー用自動起動の許可についての詳細は, 14.4.1 項 「自動起動実行キューの作成と起動」 を参照してください。

5.2.7.5 既知イメージのインストール

よく使われるプログラムを既知イメージとしてインストールすると, イメージを起動するときの入出力オーバヘッドを抑えたり, イメージに属性や特権を割り当てたりできます。 INSTALL ユーティリティは,既知イメージのインストールに使用するユーティリティです。 既知イメージは,システムをブートするたびに,インストールする必要があります。

STARTUP.COM には,システム・プログラムを既知イメージとしてインストールする INSTALL コマンドが登録されています。 システム管理者は, SYSTARTUP_VMS.COM にサイト固有の INSTALL コマンドを登録して,システムのブートのたびに既知イメージをインストールするようにしてください。

既知イメージのインストールについての詳細は, 『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

次の例は既知イメージを追加インストールする INSTALL コマンドの例です。 SYSTARTUP_VMS.COM で使用することができます。

$ INSTALL
  ADD/OPEN/SHARED/HEADER_RESIDENT BASIC
  ADD/OPEN/SHARED/HEADER_RESIDENT FORTRAN
  EXIT

5.2.7.6 常駐イメージのインストール (Alpha および I64)

常駐イメージはシステム・ブートのたびにインストールされなければなりません。 SYSTARTUP_VMS.COM にコマンドを追加することによって, システム・ブートのたびにこの作業を自動的に実行することができます。 『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』に,インストール・ユーティリティ (INSTALL) を使った Alpha システムおよび I64 システムへの常駐イメージのインストール方法を説明します。

5.2.7.7 OpenVMS InfoServer Client ソフトウェアの設定

InfoServer システムを使用すれば, SYSTARTUP_VMS.COM 中でいくつかのセットアップ作業を行えます。 たとえば,SYSTARTUP_VMS.COM にコマンドを追加して次のようなことが行えます。

  • InfoServer Client for OpenVMS ソフトウェアの起動

  • システム・ブートのたびに, 遠隔のコンパクト・ディスクをユーザのシステム上で利用可能にする

OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』に,InfoServer システムとその使用法について説明しています。

5.2.7.8 システム・ダンプ・アナライザの実行

システムをブートするたびに, SDA ユーティリティを実行して, 前回システムの動作に失敗したときのシステム・クラッシュ・ダンプの内容を解析することができます。 これを行う場合は,SYSTARTUP_VMS.COM にコマンドを追加します。

システム・ダンプ・アナライザについての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』,『OpenVMS VAX System Dump Analyzer Utility Manual』および『OpenVMS Programming Environment』を参照してください。

重要:

ページ・ファイルをクラッシュ・ダンプ・ファイル用に使用している場合は, システムをリブートしたときに SDA の COPY コマンドを入力して, ページ・ファイルのダンプ内容を解析に適した別のファイルにコピーする必要があります。

このコピーに失敗すると,クラッシュ・ダンプ情報の保存に使用されていたページが解放されず,ページング空間が不足するので,システムがハングすることがあります。 詳細は『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

次の例は, SYSTARTUP_VMS.COM から SDA を起動し, クラッシュ・ダンプを保存,解析して,リスト・ファイルを表示している例です。

$ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP
    COPY SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP        ! Save dump file
    SET OUTPUT DISK1:SYSDUMP.LIS        ! Create listing file
    READ/EXECUTIVE                      ! Read in symbols for kernel
    SHOW CRASH                          ! Display crash information
    SHOW STACK                          ! Show current stack
    SHOW SUMMARY                        ! List all active processes
    SHOW PROCESS/PCB/PHD/REGISTERS      ! Display current process
    EXIT

5.2.7.9 オペレータ・ログ・ファイルのパージ

システムをブートするたびに,OPERATOR.LOG の新しいバージョンが作成されます。 このファイルを定期的に管理する方法を計画しておく必要があります。 次のコマンドを,ユーザのSYSTARTUP_VMS.COM コマンド・プロシージャに追加すれば, ブート時にオペレータ・ログ・ファイルの最新の 2 つのバージョン以外のバージョンがパージされます。

$ PURGE/KEEP=2 SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG

オペレータ・ログ・ファイルについての詳細は, 『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

5.2.7.10 起動時に実行するバッチ・ジョブのキュー登録

システムの起動時にバッチ・ジョブをキューに登録する場合は, SYSTARTUP_VMS.COM に,次の形式で SUBMIT コマンドを登録します。

SUBMIT [/ 修飾子 ,...] SYS$MANAGER: ファイル指定

次の例は,システムのブートのたびにコマンド・プロシージャを実行するバッチ・ジョブを登録するコマンドの例です。 このジョブには高い優先順位が与えられ, ユーザが登録するどのバッチ・ジョブよりも前に実行されるようになっています。 できれば,バッチ・キューを起動する前に,このように高い優先順位で起動時バッチ・ジョブを登録してください。

たとえば,次のように登録します。

$ SUBMIT/PRIORITY=255 SYS$MANAGER:SYSDISK_REBUILD

ジョブのスケジューリングについては,14.6.5.2 項 「ジョブのスケジューリング優先順位の変更」 を参照してください。 SUBMIT コマンドについては, 『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

5.2.7.11 システム単位の通知の作成

通常,SYSTARTUP_VMS.COM の最後には,次のようなコマンドが入っていて, システムが立ち上り,動作していることをすべてのターミナルに通知します。

$ REPLY/ALL/BELL "OpenVMS Operating System at ANDROMEDA, INC. ready for use."

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャが終了する前に, 論理名 SYS$ANNOUNCE か SYS$WELCOM,またはその両方に対して, サイト別の定義を入れておくことができます。 すると,ユーザがログインするたびに,SYS$ANNOUNCE または SYS$WELCOM に登録しておいたメッセージがユーザのターミナルの画面に表示されます。

SYS$ANNOUNCE の定義

SYS$ANNOUNCE を定義すれば, ユーザがログイン・プロシージャを開始したときに通知メッセージを表示することができます。 メッセージが表示されるのは,ダイアルインに成功した直後か, Ctrl/Y またはキャリッジ・リターンを入力した直後です。 また LAT ターミナルから CONNECT コマンドを使ってサービスに接続したときにも通知メッセージが表示されます。 メッセージの長さは最高 63 文字です。 63 文字より多い通知メッセージを表示したい場合は,通知メッセージをファイルに入れ, そのファイルの名前を通知メッセージの代わりに指定します。 このとき,ファイル名の前にはアット・マーク (@) を付けます。

たとえば,次のコマンドを,ユーザの SYSTARTUP_VMS.COM に登録することもできます。

$ DEFINE/SYSTEM SYS$ANNOUNCE "SIRIUS OPENVMS CLUSTER AT ANDROMEDA, INC."

次のコマンドは,ファイルの内容を表示する例です。

$ DEFINE/SYSTEM SYS$ANNOUNCE "@SYS$MANAGER:ANNOUNCE.TXT"

SYS$ANNOUNCE が定義されていない場合,通知メッセージは表示されません。

重要:

機密保護が重要なサイトでは, システム通知で表示する情報量を制限することをお勧めします。

SYS$WELCOME の定義

SYS$WELCOME を定義すれば,ユーザがログインしたときにウェルカム・メッセージを表示することができます。 ウェルカム・メッセージが表示されるのは,ユーザから正しいパスワードが入力された直後です。 メッセージの長さは最高 63 文字です。 63 文字より多いウェルカム・メッセージを表示したい場合は, ウェルカム・メッセージをファイルに入れ,そのファイルの名前をウェルカム・メッセージの代わりに指定します。 このとき,ファイル名の前にはアット・マーク (@) を付けます。

たとえば,次のコマンドを,ユーザの SYSTARTUP_VMS.COM に登録することもできます。

$ DEFINE/SYSTEM SYS$WELCOME "Welcome to Node RANDOM"

次のコマンドは,ファイルの内容を表示する例です。

$ DEFINE/SYSTEM SYS$WELCOME "@SYS$MANAGER:WELCOME.TXT"

SYS$WELCOME が定義されていない場合,次のような標準のウェルカム・メッセージがターミナルに表示されます。

Welcome to OpenVMS Version n.n

論理名 SYS$NODE の変換を含めることにより,このメッセージに DECnet ノード名を追加できます。 DECnet が起動すると,DECnet によって SYS$NODE に論理名が割り当てられます。

ディストリビューション・キットにテンプレートとして提供されている SYSTARTUP_VMS.COM には, SYS$ANNOUNCE と SYS$WELCOME のその他のコマンド例が入っています。

5.2.7.12 LAT プロトコル・ソフトウェアの起動とカスタマイズ

システム・ブートのたびに,ユーザのノードを LAT サービス・ノードとしてセットアップし,ユーザのシステム上で LAT プロトコル・ソフトウェアを起動するには, 次の行を SYSTARTUP_VMS.COM に追加してください。

$ @SYS$STARTUP:LAT$STARTUP.COM

このコマンドが実行されると,LAT$STARTUP.COM が起動します。 その後,LAT$STARTUP.COM は,LAT$CONFIG と LAT$SYSTARTUP コマンド・プロシージャをこの順番で起動します。 詳細は『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

5.2.7.13 DECnet または TCP/IP ネットワークの起動

ネットワークを起動する前に,DECnet ライセンスを登録し, ネットワークを構成しておく必要があります。 DECnet ネットワークのセットアップについては, 『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

使用しているシステムが DECnet ネットワークに属している場合, システムをブートするたびに DECnet ソフトウェアの起動が必要となる場合があります。

  • DECnet for OpenVMS を実行している場合は, SYSTARTUP_VMS.COM を編集し, 次のコマンド行の先頭の感嘆符 (!) を削除する。

    $ @SYS$MANAGER:STARTNET.COM
    
  • システム上で DECnet-Plus を実行している場合は, システムをブートするたびに,DECnet が自動的に起動します。

異なるネットワークを実行している場合は, そのネットワーク・プロトコルに対して適切なスタートアップ・ファイルを実行する必要があります。 たとえば,一般的なネット・スタック・スタートアップには, 次のようなものがあります。

@SYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP

! TCP/IP SERVICES

@SYS$STARTUP:NET$STARTUP

! DECnet-Plus

@SYS$STARTUP:STARTNET

! DECnet Phase IV

5.2.7.14 DIBOL メッセージ・マネージャの起動 (VAX および Alpha)

DIBOL プログラムを実行するノードでは,それぞれの SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM の中に SYS$STARTUP:DBLSTRTUP.COM を実行する行がなければなりません。 このコマンド・プロシージャは, DIBOL プログラムがメッセージの送信の媒介として使用する DIBOL メッセージ・マネージャを起動します。

SYSTARTUP_VMS.COM は,次のような行を含んでいなければなりません。

$ @SYS$STARTUP:DBLSTRTUP.COM

5.2.7.15 会話型ユーザ数の定義

省略時の設定では,システムのブート時に, ログインできる会話型ユーザ数は,64 人に制限されています。

一度にシステムにログインできる会話型ユーザ数の省略時の値を変更したい場合は,SYSTARTUP_VMS.COM に,次の形式で STARTUP$INTERACTIVE_LOGINS シンボルを定義します。

STARTUP$INTERACTIVE_LOGINS == n

n は,一度にログインできる会話型ユーザの最大数です。

注意:

会話型ユーザの人数は, VAX,Alpha,または I64 コンピュータのライセンスが許可している値で決まります。 したがって,ライセンスが許可している値より大きな値を設定しても無効です。

会話型ユーザの最大数は,LAT ソフトウェアが OpenVMS サービス・ノードに割り当てるサービス率に影響します。 LAT ソフトウェアは,最大ユーザ数に対する現在のユーザの率を使用して,サービス率を求めるからです。 最大ユーザ数を大きくしすぎると,サービス率が高くなってしまいます。 その結果,まるで,OpenVMS ノードのサービスに余裕があるように錯覚してしまいます。 LAT ソフトウェアについては,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

$ STARTUP$INTERACTIVE_LOGINS == 200

5.3 ログイン・コマンド・プロシージャによるユーザ環境のカスタマイズ

ユーザ環境のカスタマイズには, サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャを変更する以外の方法もあります。 それは,ログイン・コマンド・プロシージャ にコマンドを登録して, ユーザがログインするたびに,必要な処理を行う方法です。

このセクションの例は DCL (.COM) コマンド・プロシージャ用ですが, 拡張子を置き換えれば POSIX などの他のインタフェースにも使用できます。

コマンド・プロシージャ

説明

SYS$MANAGER:SYLOGIN.COM

個々のユーザに関係なく,ユーザのログインのたびに必ず実行されるコマンドを登録するファイル。 SYS$MANAGER:SYLOGIN.COM ファイルが存在し,かつ論理名 SYS$SYLOGIN にそのファイルが定義されている場合は,ユーザのログインがあったとき自動的に SYLOGIN.COM が実行される。

SYS$LOGIN:LOGIN.COM

個々のユーザが自分のアカウントにログインしたときにのみ実行されるコマンドを登録するファイル。 ユーザの SYS$LOGIN ディレクトリに LOGIN.COM というファイルが存在し,そのユーザがログインすると, LOGIN.COM が自動的に実行される。

重要:

ログイン・プロシージャにエラーがあると,システムから絞め出されることがあります。 そうした緊急時に使用するブート・プロシージャについては,4.4.2 項 「スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用しないブート」 を参照してください。

SYLOGIN.COM プロシージャ

SYLOGIN.COM は,システム管理者が作成し保守するファイルです。 ディストリビューション・キットに, このファイルのテンプレートが提供されています。 システム管理者は,サイトの状況に応じて,テンプレートのコマンドを修正または新しいコマンドを追加することができます。

SYSTARTUP_VMS.COM のテンプレートには,論理名 SYS$SYLOGIN に対して SYLOGIN.COM を割り当てるコマンド行が入っています。

$ DEFINE/SYSTEM/EXEC/NOLOG SYS$SYLOGIN SYS$MANAGER:SYLOGIN.COM
注意:

SYLOGIN.COM にエラーがある場合,ユーザのログイン・コマンド・プロシージャは実行されません。 ユーザがキャプティブ・アカウントにログインしている際にこの状況が起こった場合は,システム環境が適切に設定されなかった可能性があるため,プロセスは終了します。

SYLOGIN.COM でエラーが生じる可能性が考えられる場合には,SET NOON または ON ERROR コマンドを使用して,明示的にそのコマンド・プロシージャを正常に終了し,ユーザのログイン・コマンド・プロシージャが実行されるようにする必要があります。

LOGIN.COM プロシージャ

LOGIN.COM は,各ユーザが作成し保守するファイルです。 このファイルは,ユーザのアカウントの最上位ディレクトリに存在する必要があります。 システム管理者は,LOGIN.COM を各ユーザにコピーして,ユーザが LOGIN.COM を設定するのを助けてあげてください。

SYLOGIN コマンド・ファイルについては,7.3.1 項 「会話型アカウント用コマンド・プロシージャの使用法」 を参照してください。 LOGIN.COM プロシージャについては, 『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

5.4 SYSMAN ユーティリティによるスタートアップ・データベースのカスタマイズ

スタートアップ・データベース には,システム・ソフトウェアが起動するときに使用する情報が入っています。 たとえば,STARTUP.COM は STARTUP$STARTUP_VMS という名前のスタートアップ・データベースの情報を使って, OpenVMS オペレーティング・システムを起動します。 また,STARTUP.COM は,STARTUP$STARTUP_LAYERED という名前のスタートアップ・データベースを使って,レイヤード製品を起動します。 スタートアップ・データベースについての詳細は, 5.4.1 項 「スタートアップ・データベース」 を参照してください。

SYSMAN ユーティリティの STARTUP コマンドを使用して, スタートアップ・データベースを次のようにカスタマイズすることもできます。

  • スタートアップ・データベースの情報の表示

  • サイト別スタートアップ・データベースの作成

  • レイヤード製品データベースやサイト別データベースに対する要素の追加と変更,削除 (OpenVMS スタートアップ・データベースは変更しないようにする)

次に,これらの作業について説明します。

これらの作業を行う前に,SYSMAN を理解しておく必要があります。 SYSMAN についての詳細は,2.3.1 項 「SYSMAN」 を参照してください。 また,スタートアップ・データベース,特に,レイヤード製品のスタートアップ・データベースを理解しておく必要があります。 詳細は, 5.4.1 項 「スタートアップ・データベース」 および 5.4.2 項 「レイヤード製品のスタートアップ・データベース」 を参照してください。

5.4.1 スタートアップ・データベース

OpenVMS オペレーティング・システムには,SYS$STARTUP 論理名に定義されている場所に,3 つのスタートアップ・データベースが用意されています。

ファイル

説明

VMS$PHASES.DAT

このファイルには,STARTUP.COM が起動するフェーズが順番に並んでいる。 オペレーティング・システムの基本的な作業環境を実現するための 4 つの基本的なフェーズ (INITIAL,CONFIGURE,DEVICE,BASEENVIRON),続いて,レイヤード製品用のフェーズが登録されている。 STARTUP.COM は,このフェーズ・リストをスタートアップのために使用する (このファイルを変更してはならない)。

VMS$VMS.DAT

論理名 STARTUP$STARTUP_VMS と等価。 このファイルには,システムのスタートアップ時, オペレーティング・システムの基本環境を起動するために使用されるファイルについての情報が入っている (このファイルを変更してはならない)。

STARTUP$STARTUP_VMS はユーザの情報しか提供しない。 このファイルの情報を表示するためには SYSMAN を使用する。 詳細は5.4.5 項 「スタートアップ・データベースの内容の表示」 を参照。

VMS$LAYERED.DAT

論理名 STARTUP$STARTUP_LAYERED と等価。 このファイルには, サイト別製品およびレイヤード製品を起動するファイルについての情報が入っている。 システムの起動時,システムはこのファイルの情報を使って,レイヤード製品を起動する。 このファイルについての詳細は,5.4.2 項 「レイヤード製品のスタートアップ・データベース」 を参照。 SYSMAN を使ってこのファイルを編集すれば,ユーザが起動したいレイヤード製品を登録できる。

ユーザのレイヤード製品とは異なるサイト別ソフトウェアを管理したい場合は,SYSMAN を使用して,追加のスタートアップ・データベースを作成することができます。

5.4.2 レイヤード製品のスタートアップ・データベース

レイヤード製品のスタートアップ・データベース・ファイル (STARTUP$STARTUP_LAYERED で参照されるファイル) には,サイト別製品およびレイヤード製品を起動するファイルとコマンド・プロシージャのリストが入っています。 このファイルは,各スタートアップ・ファイルについて,次の特性を持っています。

  • 実行するコンポーネント・ファイルの名前。 ファイル・タイプは .EXE または .COM でなければならない。

  • コンポーネント・ファイルを実行するフェーズ。 各フェーズは,スタートアップ・プロセスにおけるその時点で最低限実現されている環境を表す。

    1. BASEENVIRON -- スタートアップ作業はここで行われる。 サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャSYSTARTUP_VMS.COM が実行される前に行わなければならない。

    2. LPBEGIN -- サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM はここで実行される。 同時に,レイヤード製品に必要な環境を準備する他のすべてのファイルも実行される。

    3. LPMAIN -- レイヤード製品の大部分が実行されるフェーズ (省略時の値)。

    4. LPBETA -- すでにインストールされている製品に依存するレイヤード製品が実行されるフェーズ。

    5. END -- レイヤード製品に依存する製品が実行されるフェーズ。

    各フェーズは,その次のフェーズの前提条件を満たしていなければならない。 つまり,フェーズの順序はきわめて重要である。 あるフェーズで発生するコンポーネントが,それ以降のフェーズのコンポーネントに依存しないようにする。 SYSMAN を用いたレイヤード製品のインストールでは, 必要なすべてのコンポーネントがそのフェーズまでに必ず出るようにする。

  • コンポーネント・ファイルを実行するモード (方法)。 次のいずれかのモードを選択する。

    • DIRECT (省略時の値。 コマンド・プロシージャやイメージがただちに実行される。)

    • BATCH (コマンド・プロシージャにのみ有効。)

    • SPAWN

  • コンポーネントに対するノード制限。

    コンポーネント・ファイルを実行するノードか,または実行しない ノードかを表す。

  • コンポーネント・ファイルに渡すパラメータ。 次の形式でパラメータを 6 つまで渡すことができる。

    (P1: 引数 ,P2: 引数 ,...)
    

パラメータを 1 つしか指定しない場合は,括弧を省略することができます。

5.4.3 現在のスタートアップ・データベースの指定

SYSMAN において,現在のデータベースというのは, SYSMAN コマンドが処理するデータベースのことを指します。

STARTUP$STARTUP_LAYERED またはユーザが作成したデータベース・ファイルは,表示することも変更することも可能です。 STARTUP$STARTUP_VMS は,表示することは可能ですが, 変更はしないでください。

省略時の設定では,現在のデータベースはレイヤード製品データベースです。 別のデータベースに対してコマンドを実行したい場合は, STARTUP SET DATABASE コマンドに,次の形式で目的のデータベースを指定します。

STARTUP SET DATABASE データベース

データベースは,現在のデータベースにするデータベース名です。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SET DATABASE STARTUP$STARTUP_LOCAL
%SYSMAN-I-NEWCOMPFIL, current component file is now STARTUP$STARTUP_LOCAL

5.4.4 ターゲット・スタートアップ・データベース名の確認

ターゲット・データベースがどのデータベースであるか確認する場合は, 次のように STARTUP SHOW DATABASE コマンドを使用します。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SHOW DATABASE

5.4.5 スタートアップ・データベースの内容の表示

現在のデータベースの内容を表示したい場合は,STARTUP SHOW FILE コマンドを使用します。 STARTUP SHOW FILE コマンドには,いろいろな修飾子を指定して, 表示する情報量を制御することができます。 詳細は『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

$  RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SHOW FILE/FULL

5.4.6 スタートアップ・データベースへのスタートアップ・ファイルの登録

レイヤード製品のスタートアップ・データベースにファイルを追加するためには,STARTUP ADD コマンドを使用します。 /MODE 修飾子は,ファイルの実行モードを指定します。 /PHASE 修飾子は,システムのスタートアップ・コマンド・プロシージャのどのフェーズでファイルが実行されるかを指定します。 レイヤード製品のスタートアップ・フェーズについては, 5.4.2 項 「レイヤード製品のスタートアップ・データベース」 を参照してください。

STARTUP MODIFY コマンドを使って STARTUP$STARTUP_VMS を変更しないでください。 このコマンド・プロシージャはオペレーティング・システムを起動するプロシージャだからです。 STARTUP MODIFY コマンドを使用するためには, スタートアップ・データベースへの読み込みアクセスおよび書き込みアクセスが必要です。

SYSMAN を使用してレイヤード製品のスタートアップ・ファイルを登録する場合には, 必要なすべての要素が前のフェーズで必ず発生するようにしてください。

STARTUP ADD コマンドに適切な修飾子を指定して実行します。 STARTUP ADD コマンドの修飾子については, 『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻) 』の SYSMAN の説明を参照してください。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SHOW DATABASE
%SYSMAN-I-DATANAME, STARTUP database is STARTUP$STARTUP_LAYERED
SYSMAN> STARTUP ADD FILE/MODE=DIRECT/PHASE=LPMAIN FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM

5.4.7 スタートアップ・ファイルに関する情報の変更

レイヤード・プロダクト・スタートアップ・データベースに追加したファイルの情報を変更するためには,STARTUP MODIFY コマンドを入力します (STARTUP MODIFY コマンドを実行するためには, スタートアップ・ファイルへの読み込みおよび書き込みアクセスが必要です)。

注意:

STARTUP MODIFY コマンドを使用して, STARTUP$STARTUP_VMS を変更しないでください。

次の修飾子を使って,変更する情報を指定します。

  • /MODE

  • /NAME= ファイル指定

  • /PARAMETER=(P1: 引数 1, P2: 引数 2,...)

  • /PHASE

STARTUP MODIFY コマンドの修飾子についての詳細は, 『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻) 』を参照してください。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP ADD/MODE=DIRECT/PHASE=LPMAIN FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM
SYSMAN> STARTUP SHOW FILE/NODE
SYSMAN> STARTUP MODIFY FILE FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM/NODE=ZNODE

5.4.8 スタートアップ・データベースのレコードの削除

スタートアップ・データベースからレコードを削除すると, 該当する製品が起動されなくなります。 レコードを削除するためには, STARTUP REMOVE FILE コマンドを使用します。 このコマンドによってスタートアップ・ファイルが削除されることはありません。 しかし,そのファイルはシステム起動時に使用されなくなります (STARTUP REMOVE FILE コマンドを実行するためには, スタートアップ・データベースへの読み込みおよび書き込みアクセスが必要です)。

注意:

STARTUP REMOVE FILE コマンドを使用して, STARTUP$STARTUP_VMS を変更しないでください。

スタートアップ・データベース・ファイルからレコードを削除するためには, STARTUP REMOVE FILE コマンドを,次の形式で入力します。

STARTUP REMOVE FILE ファイル名

ファイル名には,削除するスタートアップ・ファイルの名前を指定します。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SHOW FILE/FULL
SYSMAN> STARTUP REMOVE FILE FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM
SYSMAN> STARTUP SHOW FILE/FULL
SYSMAN> EXIT

5.4.9 スタートアップ・ファイルの実行の禁止

一時的にスタートアップ・ファイルの実行を禁止する場合は, STARTUP DISABLE コマンドを使用します。 /NODE 修飾子を指定すると,特定のノードについてのみスタートアップ・ファイルを無効にすることもできます。

STARTUP DISABLE コマンドを使用するためには, スタートアップ・データベースに対する読み込みアクセス権および書き込みアクセス権が必要です。 このコマンドを使って STARTUP$STARTUP_VMS を変更しないでください。

スタートアップ・データベース・ファイルからレコードを削除するためには, STARTUP DISABLE コマンドを次の形式で入力します。

STARTUP DISABLE FILE ファイル名

ファイル名には,無効にするスタートアップ・ファイルの名前を指定します。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP SHOW FILE
SYSMAN> STARTUP DISABLE FILE FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM/NODE=ZURICH

5.4.10 禁止したスタートアップ・ファイルの実行

STARTUP ENABLE コマンドを使用すると,実行を一時的に禁止していたスタートアップ・ファイルを,再度実行可能にすることができます。 /NODE 修飾子を指定すると,特定のノードについてのみスタートアップ・ファイルを実行可能にすることもできます。

STARTUP ENABLE コマンドを使用するためには, スタートアップ・データベースに対する読み込みアクセスおよび書き込みアクセス権が必要です。 このコマンドを使って STARTUP$STARTUP_VMS を変更しないでください。

一度禁止したスタートアップ・ファイルを実行可能にするためには, 削除するためには, STARTUP ENABLE コマンドを,次の形式で入力します。

STARTUP ENABLE FILE ファイル名

ファイル名には,実行可能にするスタートアップ・ファイルの名前を指定します。

$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> STARTUP ENABLE FILE FOR$LPMAIN_043_STARTUP.COM/NODE=ZURICH

5.5 システム・バージョン依存イメージの登録

OpenVMS オペレーティング・システム上で稼働するアプリケーションは, 旧バージョンのオペレーティング・システムの内部インタフェースに依存している場合があります。 たとえば,アプリケーションはシステム・ルーチンを呼び出したり, システム・データ・セルやシステム・データ構造を参照する場合があります。 オペレーティング・システムの新しいバージョンでは,これらのインタフェースに変更が加えられていて,これらのインタフェースに依存するアプリケーションを壊す可能性があります。

ファイル内のイメージに関するイメージ・レコード情報を登録することは, イメージ登録 と呼ばれています。 イメージ・アクティベータ INSTALL および SYSGEN は,イメージ登録で記録されたイメージのバージョンを調べません。

イメージ登録を使用すると,オペレーティング・システムの以前のバージョンでリンクされたアプリケーション・イメージ (メイン・イメージ,共有ライブラリ,デバイス・ドライバを含む) を今後も実行できます。 この機能は,十分に注意して使用してください。 フォーマットが変更されたデータ構造体を使用する必要があるイメージの場合,このイメージを実行すると予期しない結果となり,システムがクラッシュすることがあります。 参照されているシステム・ルーチン,データ・セル,およびデータ構造体が変更されていない場合にだけ,イメージを登録してください。

イメージ登録機能を使用すると, バージョンが異なるイメージを個々に登録することができます。 また,登録解除,解析,イメージ登録されているイメージの表示なども実行できます。

5.5.1 システム・バージョン依存とイメージ登録 (VAX のみ)

オペレーティング・システムの内部インタフェースに依存するアプリケーションは, そのアプリケーション・イメージがリンクされている場合, 通常,特定のオペレーティング・システムだけでしか動作しません。 バージョンに依存するイメージは,次の両方を参照します。

  • オペレーティング・システムのメジャー・バージョン番号

  • コンポーネント・バージョン番号のセット (ロード可能実行イメージのバージョン番号)

イメージを実行させようとすると,システムは,そのイメージがオペレーティング・システムやシステム・コンポーネントの特定のバージョンに依存するかどうかを調べます。 実行するシステムのバージョンが,そのイメージの要求するバージョンと一致しない場合,そのイメージは実行できません。

システムはまた,ユーザが INSTALL ユーティリティを使ってイメージをインストールしようとしたときも,SYSGEN ユーティリティを使ってデバイス・ドライバを接続しようとしたときも,バージョン番号をチェックします。

ユーザのシステムを新しいオペレーティング・システムのバージョンにアップグレードすると,新しいオペレーティング・システムのバージョンはイメージのバージョン要求事項には一致しないので, イメージは失敗することがあります。 しかし,バージョン・チェックに失敗しても,新しいオペレーティング・システムのバージョンでも動作し続けるイメージもあります。

注意:

OpenVMS VAX バージョン 6.0 では,メジャー・バージョン番号は変更されていません。 次のコンポーネントのバージョン番号だけがその領域で変更があったことを示すため増加されました。

  • FILES_VOLUMES

  • MEMORY_MANAGEMENT

  • SECURITY

この結果,VMS VAX バージョン 5.x システムで構築されたバージョン依存イメージのほとんどが (つまり,FILES_VOLUMES,MEMORY_MANAGEMENT,SECURITY のいずれも参照しないもの), 変更なしに OpenVMS VAX バージョン 6.0 で動作します。 ただし,これらのコンポーネントを参照するバージョン依存イメージは, この節で説明するように,イメージ登録を使って登録しなければなりません。

OpenVMS VAX バージョン 6.1 では,バージョン番号は変更されていません。 ただし,VMS VAX バージョン 5.x システム上で構成されたイメージは, FILES_VOLUMES,MEMORY_MANAGEMENT,SECURITY のいずれかを参照している場合, 登録する必要があります。

互換イメージを継続して実行するには,イメージ登録機能を使って, そのイメージを登録します。 インストールの一部としてリンクされたイメージを登録する必要はありません。 なぜなら,これらは現在のオペレーティング・システムのバージョンと一致するからです。 しかし,インストール中のイメージのリンクは, システム・バージョン依存が存在しないということを確認できません。 イメージを再コンパイルしたり,ソース・コードを変更したりする必要があるかなど,現在のオペレーティング・システムのバージョンにおける変更情報については,リリース・ノートを参照してください。

重要:

OpenVMS VAX システムでは, システム・クラッシュやデータの破損を防ぐため, 十分注意してイメージをテストしてください。 イメージの登録は必ずしもイメージを動作させるというわけではありません。 登録は,単にバージョン・チェックをしないだけです。

5.5.2 イメージ登録機能の使い方 (VAX のみ)

イメージ登録機能でイメージを登録するには,コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:REGISTER_PRIVILEGED_IMAGE.COM を次の形式で実行します。

$ @SYS$UPDATE:REGISTER_PRIVILEGED_IMAGE キーワードファイル名

パラメータは次のとおりです。

キーワード

表 5-3 「REGISTER_PRIVILEGED_IMAGE.COM キーワード」の 1 つまたは複数のキーワードを指定する。 複数のキーワードを指定する場合は,各キーワードをコンマで区切る。

ファイル名

登録したいイメージの名前と位置を指定する。 ファイル名 パラメータにはワイルドカード文字を使用できる。

表 5-3 REGISTER_PRIVILEGED_IMAGE.COM キーワード

キーワード

アクション

ANALYZE

バージョン依存イメージの名前とサブシステム依存を表示する。

REGISTER

イメージをローカル・システムに登録する。

DEREGISTER

ローカル・システムの登録からイメージを削除する。

SHOW

登録の内容を表示する。 登録の内容を完全に表示するには,ワイルドカード (*) をファイル名として指定する。

CONFIRM

指定されたイメージが登録に追加されるのか, 削除されるのかそれぞれ確認する (REGISTER と DEREGISTER のみ)。

TRACE

確認のためイメージ・ファイルをすべてリストする (REGISTER と DEREGISTER のみ)。

HELP

サポートされているキーワードと例を示す。

 

イメージがバージョンに依存しない場合は,次のメッセージが表示されます。

REGISTER-I-SUMMARY nitalic images examined, nitalic have dependencies

このメッセージの中で,n はチェックされたイメージの数と, バージョンに依存するイメージの数を示します。

次の例は,V6USRAPP イメージを登録に追加します。

$ @SYS$UPDATE:REGISTER_PRIVILEGED_IMAGE REGISTER SYS$LIBRARY:V6USRAPP
%REGISTER-I-ADDED added V6USRAPP to registry

5.6 ヘルプ・メッセージ・データベースのカスタマイズ

MSGHLP ユーティリティは,DCL プロンプトのシステム・メッセージについての説明を,オンラインで迅速にアクセスするためのユーティリティです。 弊社が提供する .MSGHLP$DATA ファイルに書き込みアクセスを持つユーザであれば,ヘルプ・メッセージのデータベースをカスタマイズして,よりユーザに分かりやすいメッセージにすることができます。 以降の項では,カスタマイズの方法について説明します。

作業

参照箇所

インストールされなかったメッセージ用の $STATUS 値へのアクセス

5.6.1 項 「インストールされなかったメッセージ用の $STATUS 値へのアクセス」

システム・レベルのデータベース検索パスの作成

5.6.2 項 「システム・レベルのデータベース検索パスの定義」

弊社が提供するメッセージの削除

5.6.3 項 「弊社が提供するメッセージの削除」

弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加

5.6.4 項 「弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加」

弊社が提供するメッセージの変更

5.6.5 項 「弊社が提供するデータの変更」

弊社が提供するデータベース・ファイルへのメッセージの追加

5.6.6 項 「弊社が提供するデータベース・ファイルへのメッセージの追加」

これらの作業を行うにあたっては,MSGHLP ユーティリティを理解しておく必要があります。 ヘルプ・メッセージ機能,基本的な働き, HELP/MESSAGE コマンドとその修飾子については, 『OpenVMS System Messages: Companion Guide for Help Message Users』を参照してください。 またこのマニュアルでは,ヘルプ・メッセージ・データベースをカスタマイズするときに操作するファイルについても説明しています。

注意:

現在のところ,弊社が提供する .MSGHLP$DATA ファイルに追加した注釈などの情報は,アップグレードしたとき保存されません。 ただし,独自に作成した .MSGHLP$DATA は将来のリリースの影響を受けません。

将来は,独自のメッセージを弊社が提供するデータベース・ファイルに挿入するときに .MSGHLP ファイルを再利用することができます。 将来のデータベースのデータ形式にもよりますが, .MSGHLP ファイルを利用して注釈を挿入することもできる可能性があります。

5.6.1 インストールされなかったメッセージ用の $STATUS 値へのアクセス

OpenVMS オペレーティング・システムの一部としてインストールされなかったメッセージは,システムに認識されるまで, $STATUS に格納された値と同じではありません。 ヘルプ・メッセージ・ユーティリティが $STATUS に格納された値または /STATUS 修飾子で指定された値を変換しようとしても, その値がインストールしたメッセージまたは弊社でのヘルプ・メッセージ・ユーティリティ作成時にリンクされたメッセージに一致しないと,検索は失敗します。 しかし,インストールされなかったメッセージをシステムに認識させることができます。 これらのメッセージには,ユーザ提供のメッセージ,サードパーティ・メッセージ, レイヤード製品や他の OpenVMS 機能のメッセージなどが含まれます。

作業方法

  1. ヘルプ・メッセージ修飾子 /SECTION_FILE=* を使用して, メイン・ヘルプ・メッセージ・プログラム MSGHLP$MAIN.EXE にリンクされていない, OpenVMS 提供のメッセージ・セクション・ファイルをすべて取り込む。

    $ HELP/MESSAGE/SECTION_FILE=*
    

    このコマンドは,ユーザが変更可能なオブジェクト・ライブラリ SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB を生成する。 ライブラリ内の各モジュールには, メッセージ・セクションの .EXE ファイルへのポインタが含まれている。 ユーザは /SECTION_FILE 修飾子を使用して, 追加モジュールをこのライブラリに挿入できる (次の手順を参照)。

    注意:

    SET MESSAGE filespec コマンドを使用してファイルを追加することもできます。 ただし HELP/MESSAGE コマンドを実行した場合とは結果が異なります。 この 2 つのコマンドの結果は独立しており,互いに影響を与えることはありません。 つまり,Help/Message ユーティリティは, Message ユーティリティとやり取りしません。 両方のユーティリティで同一のメッセージ・セクションをトランスレートしたい場合は, それぞれのユーティリティでコーディングする必要があります。 各ユーティリティで, 異なるメッセージ・セクション・ファイルを指すよう設定することができます。

    /SECTION_FILE 修飾子を使用してオブジェクト・ライブラリを作成する, またはこのライブラリにモジュールを追加すると,必ずファイル MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.EXE も,オブジェクト・ライブラリ内の全モジュールから自動的に作成され,省略時のディレクトリに置かれる。 オブジェクト・ライブラリの変更が終了したら,最終の .EXE ファイルを SYS$COMMON:[SYSLIB] (論理名 SYS$LIBRARY) にコピーする必要がある。

    これ以降,Help Message ユーティリティが状態コードを変換できないときに SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTION.EXE イメージが存在すると, Help Message ユーティリティはこのイメージを起動し, イメージが指しているすべてのメッセージ・セクション・ファイルを検索する。 ヘルプ・メッセージの検索時間は検索するファイル数に依存する。

  2. 次のコマンドを何度でも自由に使用して, MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.EXE および SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB に特定のメッセージ・セクション・ファイル用のポインタ・モジュールを追加する。

    HELP/MESSAGE/SECTION_FILE=ファイル名.EXE

    省略時のファイル指定は SYS$MESSAGE:.EXE である。

  3. SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB ファイルの内容で結果を確認する。

    $ LIBRARY/LIST MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB
    

    .OLB ファイル内のモジュールの名前は, /SECTION_FILE 修飾子に指定した文字列から付けられる。

    Help Message ユーティリティは最大 42 個のメッセージ・セクション・ファイルを検索できる。 ファイルの検索順序は次のとおりである。

    • SET MESSAGE コマンドで最後に起動したファイル (存在する場合)

    • 出荷前に Help Message ユーティリティにリンクされているメッセージ・セクション

      • SYSMSG.EXE

      • SYSMGTMSG.EXE

      • CLIUTLMSG.EXE

      • PRGMSG.EXE

    • MSGHLP$MAIN.EXE またはこのプログラムが参照する共有可能なイメージに対して, 明示的にリンクされているメッセージ・セクション・ファイル

    • SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.EXE にリンクされている非重複メッセージ・セクション・ファイル

      メッセージ・セクション・ファイルは .OLB ファイルにリストされている順序で検索される (アルファベット順)。 メッセージ・セクション・ファイルの総数が 42 を超えると,.OLB ファイルの終わりの方のファイルは検索されない。

  4. 必要であれば,.OLB ファイル内のメッセージ・セクション・ファイルへの参照を適当に削除して,Help Message ユーティリティで検索される 42 個のファイルを選択できる。 アルファベット順で先の方のほどんど使用しないファイルを削除して, アルファベット順で後の方のファイルを 42 個の検索対象ファイルに含めることができる。 たとえば,.OLB ファイルからネットワーク制御プログラム (NCP) メッセージを削除するには,次のコマンドを使用する。

    $ LIBRARY/DELETE=NETWRKMSG SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB
    

    モジュールを .OLB ファイルから削除するには, HELP/MESSAGE コマンドに /SECTION_FILE 修飾子を指定して実行し, .EXE ファイルを更新する必要がある。 修飾子の引数には,新規ファイルまたは .OLB ファイルにリスト済みのファイルを指定できる。

  5. ユーザの .OLB ファイルが, Help Message ユーティリティで検索したいメッセージ・セクション・ファイルを反映していれば, ユーザのアカウントから目的の .EXE ファイルを SYS$LIBRARY: にコピーする。

この例は次のイベントを実行します。

  1. すべての OpenVMS 提供メッセージ・セクション・ファイルをリンクする。

  2. 作成される .OLB ファイルを調べる。

  3. .OLB ファイルから VVIEFMSG モジュールを削除する。

  4. .OLB ファイルのリストに USERS:[TOOLS]NEW_MSGS.EXE を追加する。

  5. 変更された .OLB ファイルの内容を調べる。

  6. 目的の .EXE ファイルをローカル・アカウントから SYS$LIBRARY に追加する。

LIBRARY/LIST コマンドの出力は,例からは省略されていますので注意してください。

$ HELP/MESSAGE/SECTION_FILE=*
$ LIBRARY/LIST SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB
$ LIBRARY/DELETE=VVIEFMSG SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB 
$ HELP/MESSAGE/SECTION_FILE=NEW_MSGS.EXE
$ LIBRARY/LIST SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.OLB
$ COPY MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.EXE SYS$LIBRARY:MSGHLP$MESSAGE_SECTIONS.EXE

5.6.2 システム・レベルのデータベース検索パスの定義

ヘルプ・メッセージ・データベース・ファイルは, システム・ディスクに存在しなくても構いません。 システム論理名を作成して,ヘルプ・メッセージ検索パスを定義すれば, システム・ディスク以外の場所にある複数の .MSGHLP$DATA ファイルにアクセスすることができます。

ヘルプ・メッセージをインストールした場合,省略時の設定では, OpenVMS メッセージ・データベース・ファイルは SYS$COMMON:[SYSHLP]MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA にインストールされます。 ただし,このファイルがインストールされていなくても問題になりません。 また,別のディスクにインストールすることもできます。 移動先は,論理名 MSGHLP$LIBRARY に定義する必要があります。 この論理名の定義に使用するコマンドは次のとおりです。

DEFINE/SYSTEM MSGHLP$LIBRARY ディスク:[ ディレクトリ ]MSGHLP$LIBRARY

論理名 MSGHLP$LIBRARY が定義されていなければ, ヘルプ・メッセージは省略時の格納場所にメッセージがあるものとして検索を行います。 省略時のデータベース格納場所を使用しない場合は, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に論理名を定義するコマンドを入れて, システムのブートのたびにデータベースを定義するようにしてください。

注意:

インストール後に MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA を別の場所に移動した場合は,誤ってデータベースが削除されたり,変更されたりすることのないように,移動先のファイルとディレクトリに正しい保護を設定してください。 インストール時の保護は, ディレクトリに対して (RWE,RWE,RE,RE),ファイルに対して (RWE,RWE,RWE,RE) です。

システム管理者もシステム・ユーザも,別の .MSGHLP$DATA ファイルを作成することができます。 詳細は『OpenVMS System Messages: Companion Guide for Help Message Users』を参照してください。 どの .MSGHLP$DATA ファイルも,システム・ディスク上に存在する必要はありません。 新しいファイルに対しては,MSGHLP$LIBRARY でシステム単位の省略時のデータベース検索パスを定義すれば, その .MSGHLP$DATA ファイルにアクセスすることができます。 また,.MSGHLP$DATA ファイルごとに特別な検索パスを作成しても, その .MSGHLP$DATA ファイルにアクセスすることができます。

検索パス定義には,個々のファイル名または 1 つ以上のディレクトリを指定できます。 ディレクトリを指定してファイルを指定しないと, Help Message ユーティリティは,このディレクトリ内のすべての .MSGHLP$DATA ファイルを検索します。 .MSGHLP$DATA ファイルを追加または削除した場合,ファイルではなくディレクトリを指定すると, 保守作業を最小限に抑えることができます。

必要な .MSGHLP$DATA ファイルごとに異なる検索パスを作成すれば, システム資源を有効に利用することができます。 異なる種類のメッセージまたは異なるユーザ・グループごとにディレクトリを作成することもできます。 たとえば,次の例のように,異なるユーザ・グループに対して,3 つの異なる専用の検索パスを指定することもできます。

DEFINE/SYSTEM 論理名 1 ファイル a, ファイル b, ファイル c

DEFINE/SYSTEM 論理名 2 ファイル a, ファイル z

DEFINE/SYSTEM 論理名 3 ファイル x, ファイル a, ディレクトリ y

注意:

/INSERT と /DELETE 処理では,検索パスに最初に指定されたファイルが省略時のデータベースになります。 その他の処理では, 省略時の設定で検索パスのすべてのファイルがアクセスされます。 検索パスに最初にディレクトリを指定した場合, そのディレクトリにファイルを追加または削除すると, /INSERT と /DELETE 処理用の省略時の移動先が設定される可能性があります。

システム管理者は,HELP/MESSAGE コマンドに /LIBRARY 修飾子を指定することによって,システムの省略時のデータベースに代わるデータベースを選択することができます。 システム・ユーザは,独自の論理名検索パスを定義することもできます。

次の例では,3 つの場所に分かれて存在する .MSGHLP$DATA データベース・ファイルにアクセスするヘルプ・メッセージ検索パスを定義しています。 弊社が提供する OpenVMS メッセージは USERS:[TOOLS] に, ユーザが提供するファイル USERS:[NEW_PROJ]OUR_MESSAGES.MSGHLP$DATA およびすべての .MSGHLP$DATA ファイルは,ディレクトリ TEST:[TRY_ME] にあります。

$ DEFINE/SYSTEM MSGHLP$LIBRARY USERS:[TOOLS]MSGHLP$LIBRARY,-
_$ USERS:[NEW_PROJ]OUR_MESSAGES.MSGHLP$DATA,TEST:[TRY_ME]

5.6.3 弊社が提供するメッセージの削除

ヘルプ・メッセージ・データベースから弊社が提供するメッセージを削除して, システム資源を節約したり,応答時間を改善することができます。

作業方法

  1. /EXTRACT 修飾子を使用して,データベースから削除するメッセージを含む .MSGHLP ファイルを作成する。 .MSGHLP ファイルの内容の選択方法については『OpenVMS System Messages: Companion Guide for Help Message Users』を参照。 次に,例を挙げて説明する。

    特定の機能に関するすべてのメッセージを抽出する場合は,次の構文を使用する。

    HELP/MESSAGE/FACILITY= 機能名 /EXTRACT= ファイル名.MSGHLP

    検索文字列が示すメッセージを抽出する場合は,次の構文を使用する。

    HELP/MESSAGE/EXTRACT= ファイル名.MSGHLP 検索文字列

  2. 作成された .MSGHLP ファイルの内容を調べ,削除しなくてもよいメッセージが入っているかどうかチェックする。 削除しなくてもよいメッセージが入っていれば, エディタを使って,そのメッセージを .MSGHLP ファイルから削除する。

  3. /DELETE 修飾子を使って,データベースから .MSGHLP ファイルの内容を削除する。 MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA ファイルが省略時のデータベースでない場合,あるいは論理名 MSGHLP$LIBRARY に定義された検索パスの最初のファイルが MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA ファイルでない場合は,/LIBRARY も指定する。

    HELP/MESSAGE/DELETE= ファイル名.MSGHLP

    HELP/MESSAGE/DELETE= ファイル名.MSGHLP - /LIBRARY= ディスク :[ ディレクトリ ] ファイル名.MSGHLP$DATA

    次のアップグレードの前に,削除したメッセージをデータベースに戻す予定がある場合は,.MSGHLP ファイルをセーブしておくこと。 テープに保管しておくことによって,ディスク空間を節約することができる。 いったん削除して,後でデータベースに戻したメッセージは,ユーザが提供したメッセージのように扱われ,変更バー付きになる。

    削除した弊社が提供するメッセージは,次のアップグレードでデータベースに自動的に挿入される。 保存された .MSGHLP ファイルを使用したり,新しい .MSGHLP ファイルを作成して,メッセージを削除することができる。 将来,メッセージを削除する場合のためだけに .MSGHLP ファイルを残す場合は,1 と 2 が先頭についた行だけを保存する。

  4. ディスク空間を節約したい場合は,.MSGHLP$DATA ファイルを圧縮して, 削除で生じたディスク空間を詰める。 .MSGHLP$DATA ファイルは,次のコマンド・シーケンスを使って圧縮することができる。

    CONVERT ディスク:[ ディレクトリ ] ファイル名.MSGHLP$DATA ディスク:[ ディレクトリ ] ファイル名.MSGHLP$DATA

    PURGE ディスク:[ ディレクトリ ] ファイル名.MSGHLP$DATA

次の例では,省略時のデータベースから DDTM (DECdtm サービス) 機能のすべてのメッセージを抽出し,その後で削除しています。 最後の 2 つのコマンドは弊社が提供するデータベース・ファイルを圧縮して, 削除後のディスク空間を節約するためのものです。

$ HELP/MESSAGE/FACILITY=DDTM/EXTRACT=DDTM.MSGHLP
$ HELP/MESSAGE/DELETE=DDTM.MSGHLP
$ CONVERT SYS$COMMON:[SYSHLP]MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA -
_$ SYS$COMMON:[SYSHLP]MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA
$ PURGE SYS$COMMON:[SYSHLP]MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA

5.6.4 弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加

弊社が提供するメッセージに注釈を追加することができます。 追加した注釈は, 弊社が提供する説明の直後に変更バー付きで表示されます。 この機能は,サイトでよく起こる問題に対する解決策を通知するときに便利です。

注意:

現在,ユーザが弊社提供の .MSGHLP$DATA ファイルに追加したコメントは次回のアップグレード時には保存されません。 ただし,アップグレード中に弊社提供のメッセージを変更しなかった場合は, アップグレード終了後も .MSGHLP ファイルにコメントを追加して使用できます。

作業方法

  1. 注釈を追加したいメッセージをデータベースから抽出する。 次の例ではメッセージを NOSNO と仮定して抽出を行う。

    $ HELP/MESSAGE/EXTRACT=NOSNO.MSGHLP NOSNO
    
  2. .MSGHLP ファイルをオープンして,注釈を追加する。 .MSGHLP ファイルでは,一意の数値接頭辞を使って,説明を構成するメッセージ,機能,解説,およびユーザの処置を区別している。 次に示すように,"5" という接頭辞を付けて説明の最後に追加する。

    1NOSNO, can't ski; no snow
    2XCSKI, XCSKI Program
    3Your attempt to ski failed because there is no snow.
    4Wait until there is snow and attempt the operation again.
    5If you don't want to wait, go to a location where there is
    5snow and ski there.
    5
    5Or, try ice skating instead!
    

    ファイルの変更にあたっては,次のことに留意する。

    • ターミナルの表示幅を超えることのないように, 注釈は 1 行あたり 60 文字までとする。

    • 空白行にも接頭辞 "5" を使用する。

    • 弊社が提供するデータを編集しない。

      データベースへの注釈の追加では, このような編集内容は無視される。 弊社が提供するデータの変更方法については, 5.6.5 項 「弊社が提供するデータの変更」 を参照。

  3. 注釈を追加したメッセージを挿入し,データベースを更新する。

    $ HELP/MESSAGE/INSERT=NOSNO.MSGHLP
    

    これにより,弊社が提供するヘルプ・メッセージの説明の後に注釈が表示されるようになる。

$ HELP/MESSAGE/EXTRACT=ACCVIO.MSGHLP ACCVIO

[ACCVIO.MSGHLP を編集し,注釈を追加します。]

$ HELP/MESSAGE/INSERT=ACCVIO.MSGHLP

5.6.5 弊社が提供するデータの変更

5.6.4 項 「弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加」 に示した手順を使用して,弊社が提供する情報を変更することはできません。 弊社が提供する情報を完全に変更する場合には,弊社のサポート担当者にご連絡ください。

この項では,弊社が提供するデータの変更手順を説明します。 この手順を用いた場合は,次の結果を伴いますので注意してください。

  • 弊社が提供するメッセージはデータベースから削除され, ユーザ・バージョンのメッセージが挿入される。

  • 以降変更されたメッセージは,未対応のユーザ提供データであることを示す変更バーが付く。

    注意:

    現在,弊社が提供するメッセージは次のアップグレード時にデータベースに再挿入され,ユーザが提供するメッセージは上書きされます。

作業方法

  1. 変更したいメッセージを抽出する。

    HELP/MESSAGE/EXTRACT= ファイル名.MSGHLP 検索文字列

  2. 作成された .MSGHLP ファイルの内容を調べ,変更しなくてもよいメッセージが入っているかどうかチェックする。 変更しなくてもよいメッセージが入っていれば,エディタを使って, そのメッセージを .MSGHLP ファイルから削除する。

  3. 入力に .MSGHLP ファイルを指定し, ヘルプ・メッセージ・データベースから弊社が提供するメッセージを削除する。 次のコマンドは,.MSGHLP ファイルに含まれるすべてのメッセージを省略時の .MSGHLP$DATA ファイルから削除する。

    HELP/MESSAGE/DELETE= ファイル名.MSGHLP

  4. .MSGHLP ファイルを編集し変更を加える。

  5. 変更後のメッセージをヘルプ・メッセージ・データベースに挿入する。

    HELP/MESSAGE/INSERT= ファイル名.MSGHLP

    これでデータベースには, 弊社が提供するメッセージではないことを示す変更バー付きでメッセージが挿入される。

$ HELP/MESSAGE/EXTRACT=NOFILES.MSGHLP NOFILES
$ HELP/MESSAGE/DELETE=NOFILES.MSGHLP

[NOFILES.MSGHLP を編集し,メッセージを変更します。]

$ HELP/MESSAGE/INSERT=NOFILES.MSGHLP

5.6.6 弊社が提供するデータベース・ファイルへのメッセージの追加

独自の .MSGHLP$DATA ファイルを作成して, ヘルプ・メッセージ・データベースに新しいメッセージを追加することができます。 具体的な方法については,『OpenVMS System Messages: Companion Guide for Help Message Users』を参照してください。 別のファイルにメッセージを保管しておくことにより, メッセージの管理が簡単になり,将来アップグレードしたときにも自分のメッセージを残すことができます。

弊社が提供する .MSGHLP$DATA ファイルに対する書き込みアクセスがある場合は,もう 1 つの方法として,弊社が提供する MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA ファイルに独自のメッセージを挿入することもできます。 現在のところ,この方法で挿入したメッセージは次のアップグレードで書き換えられます。 しかし,入力として使用した .MSGHLP ファイルを保管しておけば,そのときに再び挿入することができます。

作業方法

  1. 独自のメッセージの入った .MSGHLP ファイルを作成する (5.6.4 項 「弊社が提供するメッセージに対する注釈の追加」 の .MSGHLP ファイル・タイプ例を参照)。

  2. 作成した .MSGHLP ファイルを入力に指定して,弊社が提供する MSGHLP$DATA ファイルを更新する。 省略時のデータベース・ファイルを MSGHLP$LIBRARY.MSGHLP$DATA とした場合,入力するコマンドは次のようになる。

    HELP/MESSAGE/INSERT= ファイル名.MSGHLP

$ HELP/MESSAGE/INSERT=MYMESSAGES.MSGHLP

5.7 MAIL のカスタマイズ

OpenVMS には,2 つの論理名があり,システムで MAIL 機能をカスタマイズできます。 これにより,送信者と受信者が同じノードにいる場合には,使用するネットワーク・アドレス形式を確認したり,メールを (ネットワーク経由ではなく) OpenVMS Cluster 上のユーザに直接送信したりすることが可能です。

MAIL$SYSTEM_FLAGS

MAIL のカスタマイズは,論理名 MAIL$SYSTEM_FLAGS をシステムおよびエグゼクティブ・モードの論理名として定義することで行います。 次に例を示します。

$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE MAIL$SYSTEM_FLAGS 1

論理名 MAIL$SYSTEM_FLAGS の値は,次のように解釈されます。

意味

1

このノードが同質 OpenVMS Cluster システムの一部であることを示す。 つまり,すべてのディスクが OpenVMS Cluster システムにアクセス可能であり, OpenVMS Cluster システムに対して共通の SYSUAF ファイルと共通の MAIL ファイルが存在する。

このビットが設定されると,システムはユーザがメールを送っているノードを調べて,それが現在 OpenVMS Cluster システム内に存在するかどうか確認する。 ノードが OpenVMS Cluster システム内にあれば,システムは DECnet をバイパスし, メッセージは受信者のメール・ファイルに直接書き込まれる (OpenVMS Cluster システムの一部かどうか決定するために,ノードの準備は整っている必要がある)。

2

$BRKTHRU サービスを実行して受信者にメールの到着を通知するとき, OpenVMS Cluster ブレークスルー・フラグを設定するよう MAIL に指示する。 このフラグは OpenVMS Cluster システムだけで使用する。 通常は同質 OpenVMS Cluster システム (フラグ 1 も設定されている) だけで使用する。

4

メール到着時刻を,受信者のターミナルに表示される通知メッセージに含めるよう MAIL に指示する。

8

システムが DECnet-Plus を実行している場合, DECnet VAX アドレス構文を使用するよう MAIL に指示する。

16

DECnet-Plus アドレス構文を使用するよう MAIL に指示する。

32

他のユーザがレコードをロックしていたときに,UAF レコードの読み取りを無限にリトライする。 省略時 (ビットが設定されていない) の動作では,UAFGETERR を返し,リトライしません。

たとえば,MAIL$SYSTEM_FLAGS が 7 に変換されると,システムは最初の 3 つのフラグを選択します。 論理名が変換されないとフラグは設定されません。 省略時の値は 0 です。

VAX システムでは,MAIL$SYSTEM_FLAGS の値に 8 と 16 のどちらも含まれていない場合は, システムによって DECnet for OpenVMS または DECnet-Plus がシステム上で稼働しているかどうかのチェックが行われ,適切なビットが設定されているかのように操作されます。 MAIL$SYSTEM_FLAGS が,誤って DECnet と DECnet-Plus の両方を指定してしまった場合,Mail ユーティリティの省略時の設定は DECnet-Plus になります。

MAIL$INTERNET_MODE

ネットワーク・アドレスの中には,Mail ユーティリティが,DECnet-Plus 名にも SMTP 名にも解釈できるアドレスがあります。 このようなあいまいなネットワーク名には,次の特徴があります。

  • アドレスの中に,二重引用符 (") がない。

  • アドレスの中に,アットマーク (@) がある。

  • アットマークの右側には,ピリオドがない。

これらの名前をシステムが省略時にどのように解釈するかは, MAIL$INTERNET_MODE 論理名で制御できます。

メール・アドレス・モードを指定するには, 論理名 MAIL$INTERNET_MODE を次のように定義します。

$ DEFINE/SYSTEM MAIL$INTERNET_MODE address_mode

システム論理名テーブルにアクセスするためには,SYSNAM 特権または書き込み (W) アクセスが必要です。 次の表に,address_mode の値と,MAIL$INTERNET_MODE のそれぞれの値が持つ効果について説明します。

アドレス・モード

効果

HYBRID (省略時の設定)

アドレスのノード・コンポーネントに,ピリオド (.) が入っている場合,MAIL は SMTP アドレス・モードを使用する。 ピリオドがない場合,MAIL は,DECnet アドレス・モードを使用する。

DECNET

MAIL は,アドレスのノード・コンポーネントを常に DECnet ノード指定として解釈する。

SMTP

MAIL は,アドレスのノード・コンポーネントを常にインターネット・アドレス指定として解釈する。 省略時のアドレス・モードは,論理名 MAIL$INTERNET_TRANSPORT を使用して異なるトランスポートを (したがって,異なるアドレス・モードを) 定義していない限り,SMTP である。

論理名を使用して,Mail ユーティリティで使用するインターネット・アドレス・モードを制御する方法の詳細については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

5.8 MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) ユーティリティの 設定

MIME は,テキスト以外のファイルをメール・メッセージに添付してインターネット上に送信するために使われる規格です。 MIME ユーティリティによって,MIME によってエンコードされたメール・メッセージを OpenVMS システム上で読み込み,構築することができます。

MIME ユーティリティの説明

MIME によって,ユーザは, グラフィックス・ファイルやオーディオ・ファイルなど, 普通テキストとしてエンコードされるテキスト以外のファイルをエンコードして送信することができます。 ただし,多くの場合,これらのファイルは読むことができません。 MIME ユーティリティは,インターネット経由で送信された MIME ファイルをオリジナルの形式にデコードします。 また,MIME ユーティリティで, ユーザは MIME でエンコードしたファイルを作成することができます。 このファイルは,OpenVMS Mail ユーティリティを使ってメール・メッセージとして送信できます。

ユーザが MIME ユーティリティをどのように使用できるかの詳細については, 『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

5.8.1 フォーリン・コマンドの定義

MIME ユーティリティの唯一のインストール作業は, このユーティリティを実行させるために次のようなフォーリン・コマンドを定義することです。

MIME:== $SYS$SYSTEM:MIME.EXE

MIME$MAILCAP.DAT と MIME$FILETYPES.DAT の 2 つのファイルを作成することで,システム全体に有効な省略時の値を設定して, MIME でエンコードしたメッセージを表示することができます。

MIME$MAILCAP.DAT は,MIME でエンコードした着信ファイルのローカルに認識されるコンテンツ・タイプを,どのアプリケーションで表示するかを識別します。 MIME$FILETYPES.DAT は,コンテンツ・タイプを発信ファイルのファイル拡張子に関連付けます。

ユーザは,SYS$LOGIN でこれらのファイルを作成することにより, その省略時の設定を上書きすることができます。 これらのファイルの詳細については,『OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

5.9 カスタマイズ内容の保存

システムをインストールし,カスタマイズした場合は,システム・ディスクのバックアップを作成することをお勧めします。 11.17 項 「システム・ディスクのバックアップと復元」 を参照してください。

VAX システムの場合,コンソール・ボリュームのバックアップを取ってください。 コンピュータにコンソール記憶デバイスがある場合は, オリジナルが壊れた場合のためにコンソール・ボリュームのバックアップ・コピーを取ってください。 OpenVMS オペレーティング・システムの SYS$UPDATE ディレクトリには,コンソール・ボリュームを空きボリュームにコピーする CONSCOPY.COM というコマンド・プロシージャが用意されています。

コンソール・ボリュームのバックアップ手順は,コンピュータによって異なります。 バックアップの具体的な方法については, 使用している VAX コンピュータのアップグレードとインストレーションに関するマニュアルを参照してください。

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