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構成 2 には,構成 1 の長所の他,以下の長所があります。
ホストがアクセスできない HSJ 上のディスクは,フル・ホスト接続できる HSJ に再割り当てできます。これはオペレータ・コマンドや DCL,またはその他,接続ロスを監視するプログラムで行います。ディスクを他のストレージ・コントローラに割り当てるには, SYS$EXAMPLES で提供される Prefer ユーティリティを使用するか,IO$_SETPRFPATH 修飾子や IO$M_FORCEPATH 修飾子とともに $QIO コールを発行するか,接続できない HSJ の電源を切ります (最後の方法はあまり望ましい方法ではありません)。
この構成で HSJ SET_PREFERRED コマンドを使用するのは望ましく ありません 。ホスト PREFER や IO$_SETPRFPATH 修飾子で無効にできないからです。デバイスを別の HSJ に割り当てる新しい SET_PREFERRED コマンドは,先の SET_PREFERRED コマンドでデバイスを割り当てた HSJ の電源をいったん切ってから入れなおすまでは有効になりません。
構成 2 には,以下のような短所があります。
ホスト CI アダプタに障害が発生しても,MSCP サービスが有効になっていれば,残った OpenVMS システムは,HSJ のディスクから,障害が発生したアダプタを持つホストまでのサービスを開始します。
構成 2 には,構成 1 の手法の他に,以下の手法が加えられています。
CI 構成では,パス A とパス B の両 CI ケーブル,およびそれぞれの接続パス・ハブを物理的に分離して可用性を高めています。これにより,機械的な事故やローカルな損傷など,両パスを損なうような事故の可能性が大幅に減りました。この構成を 図 9-3 に示します。
図 9-3 冗長コンポーネントとパス分離スター・カプラ(構成 3)
構成 3 は,電気的には構成 2 と変わりありません。ただし,パス A ケーブルとパス B ケーブルが両方の CI で分かれています。CI 1 と CI 2 に接続されている 2 本のパス A ケーブルは,どちらもスター・カプラ・キャビネットに接続されていますが,そのキャビネット内では別々の CI パス・ハブに接続されています。
同じく,両方の CI に至るパス B ケーブルは,スター・カプラ・キャビネット B の異なる CI パス・ハブに接続されています。パス固有のスター・カプラ・キャビネットと接続パス・ケーブルは,できるだけ離すようにします。たとえば,スター・カプラ・キャビネット同士をコンピュータ室の端と端に配置すれば,パス A ケーブルとパス B ケーブルが別々の経路をたどるように CI ケーブルを配線できます。
構成 3 のパスの分離方法 ( 図 9_3 ) は,構成 1 ( 図 9-1 ) にも適用できます。この場合,各スター・カプラ・キャビネットには,パス・ハブが 1 個しかありません。CI のパス A ケーブルは,スター・カプラ A のパス・ハブに接続します。同じくパス B ケーブルは,スター・カプラ B に接続します。 |
図 9-3 に示す,CI OpenVMS Cluster の構成要素は次のとおりです。
パート | 説明 |
---|---|
ホスト 1,ホスト 2 | デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。
解説: どちらかのホストに障害が発生しても,システムは処理を続行できます。正常時には,両方のホストのフル・パフォーマンスをアプリケーションに使用できます。 |
CI 1-1,CI 1-2,CI 2-1,CI 2-2 | どちらのホストもデュアル CI アダプタ。アダプタ CI 1-
n は,ホスト 1 の CI アダプタであり,CI
n に接続されている。以下同様。
解説: どちらのホストの CI アダプタに障害が発生しても,残ったホストと HSJ ストレージ・コントローラまでの CI 接続をホストは維持します。ホスト上のどちらの CI アダプタも,別々のスター・カプラに接続されています。障害がなければ,両方の CI アダプタのフル・データ帯域幅と I/O 通信速度/秒のキャパシティをホストで利用できます。 |
スター・カプラ A (パス A ハブ), スター・カプラ B (パス B Hubs) | 2 個の CI スター・カプラは,いずれも独立した 2 つのパス・ハブからなる。スター・カプラ A のパス・ハブは,両方の CI ともパス A ケーブルに接続されており,スター・カプラ B のパス・ハブは,両方の CI ともパス B ケーブルに接続されている。
解説: スター・カプラや接続ケーブルに機械的な損傷やその他のローカルな損傷が発生しても,残った CI パスに影響が出ることはまずありません。残ったパスとスター・カプラで両方の CI に対するフル接続は維持されます。パスが切断されても,障害が発生したパスに接続されているストレージ・コントローラとホスト・アダプタの帯域幅の可用性に影響があるだけです。すべてのパスを使用できれば, 両方の CI の帯域幅を組み合わせた帯域幅を利用できます。 |
パス A CI ケーブル, パス B CI ケーブル | 各パスのハブは,パス当たり 1 本の送受信ケーブル・ペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに接続されている。両方の CI のパス A ケーブルは,いっしょに配線されているが,パス B ケーブルの経路とは異なる。 |
HSJ 1, HSJ 2 | シングル StorageWorks キャビネットのデュアル HSJ ストレージ・コントローラ。
解説: どちらかのストレージ・コントローラに障害が発生しても, 2 つの HSJ 間で共用されている SCSI バスにより,障害が発生したコントローラが制御していたディスクの制御を残ったコントローラが引き受けます。両方のコントローラを使用できる場合,それぞれにディスクのサブセットのサービス担当を割り当てることができます。これにより,両方のコントローラの I/O 通信速度/秒と帯域幅とのキャパシティをクラスタで利用できます。 |
SCSI 1, SCSI 2 | HSJ ペア間に接続されている共用 SCSI バス。
解説: どちらの HSJ ストレージ・コントローラからも共用 SCSI バス上の各ディスクにアクセスを提供します。これにより当該バス上のディスクのデュアル・ポート化を実装します。 |
ディスク 1, ディスク 2,... ディスク n-1, ディスク n | 重要なディスクは共用 SCSI バスにより,HSJ ペア間でデュアル・ポート化されている。
解説: どちらかの HSJ に障害が発生しても,残った HSJ が障害の発生した HSJ が制御していたディスクの制御を引き受けます。 |
シャドウ・セット n によるシャドウ・セット 1 | 重要なディスクは,別の共用 SCSI に接続されているもう 1 つのディスクによりシャドウ化される。
解説: 接続先のディスクと SCSI バスのどちらか,または両方に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバを利用できます。両方のディスクが利用できる場合,それらを組み合わせた READ I/O キャパシティと READ データ帯域幅キャパシティをクラスタで利用できます。 |
構成 3 には,構成 2 の各構成要素の長所のほか,以下のような長所があります。
構成 3 には,以下のような短所があります。
構成 3 には,CI の物理的な分離を除き,構成 2 のすべての手法が盛り込まれています。構成 2 にない大きな長所は,パス別のスター・カプラ・キャビネットです。これにより,パス A ケーブルとパス A ハブをパス B ケーブルとパス B ハブから隔てることができます。
9.6 構成 4
CI 構成の可用性は,シャドウ・セット・メンバと,その HSJ コントローラが物理的に隔てられたことによって大幅に強化できます。その場合,シャドウ・セットのメンバを破壊してしまう機械的事故やその他のローカルな障害の発生を大幅に削減できます。この構成を 図 9-4 に示します。
図 9-4 冗長構成要素,パス分離スター・カプラ,重複 StorageWorksキャビネット (構成 4)
構成 4 は,構成 3 に似ていますが,シャドウ・セット・メンバとその HSJ コントローラが,物理的にも距離の離れた別々の StorageWorks キャビネットにマウントされている点が異なります。
StorageWorks キャビネット,パス固有のスター・カプラ・キャビネット,そして接続パス・ケーブルは,できるだけ離すようにします。たとえば, StorageWorks キャビネットとスター・カプラ・キャビネットをコンピュータ室の端と端に配置すれば,パス A ケーブルとパス B ケーブルが別々の経路をたどるように CI ケーブルを配線できます。
構成 4 ( 図 9-4 ) で説明した分離 StorageWorks キャビネット手法は,構成 1 ( 図 9_1 ) と構成 2 ( 図 9-2 ) にも適用できます。 |
図 9-4 に示す CI OpenVMS Cluster の構成要素は次のとおりです。
パート | 説明 |
---|---|
ホスト 1, ホスト 2 | デュアル CI 対応の OpenVMS Alpha ホストまたは VAX ホスト。
解説: どちらのホストに障害が発生しても,システムは処理を続行できます。正常時には,両方のホストのフル・パフォーマンスをアプリケーションに使用できます。 |
CI 1-1, CI 1-2, CI 2-1, CI 2-2 | 各ホストにデュアル CI アダプタ。アダプタ CI 1-
n は CI
n に接続されたホスト 1 の CI アダプタ。以下同様。
解説: どちらかのホストの CI アダプタに障害が発生しても,ホストは,残ったホストや HSJ ストレージ・コントローラとの CI 接続を維持します。ホスト上の各 CI アダプタは,別々のスター・カプラに接続されます。障害がなければ,両方の CI アダプタのフル・データ帯域幅のキャパシティと I/O 速度/秒のキャパシティをホストに活かすことができます。 |
スター・カプラ A (パス A ハブ),スター・カプラ B (パス B ハブ) | 2 つの CI スター・カプラ。それぞれ独立したハブ・セクションからなる。スター・カプラ A のパス・ハブは,両方の CI のパス A ケーブルに,スター・カプラ B のパス・ハブは,両方の CI のパス B ケーブルに接続される。
解説: スター・カプラや接続ケーブルに対する機械的な損傷やその他のローカルな損傷で,残った CI パスが影響を受けることはほとんどありません。残ったパスとスター・カプラで,両方の CI の接続が維持されます。パスが切断されると,障害が発生したパスに接続されているストレージ・コントローラとホスト・アダプタで利用できる帯域幅に影響が出ます。すべてのパスを使用できるときは,両方の CI を組み合わせた帯域幅を利用できます。 |
パス A CI ケーブル,パス B CI ケーブル | 各パスのハブは,パス当たり 1 本の送受信ケーブル・ペアで CI ホスト・アダプタと HSJ ストレージ・コントローラに接続されている。両方の CI のパス A ケーブルは,いっしょに配線されているが,パス B ケーブルの経路とは異なる。 |
HSJ 1,HSJ 2 | デュアル HSJ ストレージ・コントローラ。それぞれ独立した StorageWorks キャビネットに格納。Volume Shadowing for OpenVMS により, StorageWorks キャビネット間でデータのコピーを保持する。
解説: StorageWorks キャビネットが破損したり,1 つのストレージ・コントローラに障害が発生すると,残った StorageWorks キャビネットにある残ったコントローラが,すべてのディスクのシャドウ・コピーを制御します。両方のコントローラが利用できる場合は,それぞれディスクのサブセットのサービスをするように割り当てることができます。ボリューム・シャドウイングでは,HSJ 間に READ I/O を分散させることができます。こうして,両方のコントローラの I/O 速度/秒と帯域幅のキャパシティをクラスタに活かすことができます。 |
SCSI 1, SCSI 2 | プライベート SCSI バスは,HSJ に接続されます。
解説: 各シャドウ・セット・メンバにホスト・アクセスを提供します。 |
シャドウ・セット | 重要なディスクは,ボリューム・シャドウイングにより,HSJ ペア間でシャドウ化されます。各 HSJ と,そのディスクは,互いの StorageWorks キャビネットとは物理的に隔てられた StorageWorks キャビネットに設置されます。
解説: StorageWorks キャビネット全体,またはディスク, SCSI バス,あるいは接続先の HSJ に障害が発生しても,残ったシャドウ・セット・メンバは利用できます。両方のディスクを使用できる場合は,それらを組み合わせた READ I/O 速度/秒キャパシティと READ データ帯域幅のキャパシティをクラスタに活かすことができます。 |
構成 4 には,構成 3 のほとんどの各構成要素上の長所の他,以下のような長所があります。
構成 4 には,以下のような短所があります。
構成 4 ( 図 9-4
) には,構成 3 の手法がすべて盛り込まれています。物理的に隔てられた StorageWorks キャビネット間にシャドウ・セット・メンバを分散することができます。
9.7 まとめ
以上 4 つの構成では,いずれも可用性とパフォーマンスを以下の手法で実現する方法を説明してきました。
応用手法としては,CI パス A ケーブルとパス B ケーブルおよびその付属ハブを分離する方法を構成 3 と構成 4 で説明しました。この手法では,ハードウェアを追加することなく,パフォーマンスを維持しながら可用性を強化できました。構成 4 では,シャドウ・セット・メンバとその付属 HSJ コントローラを物理的に分離することで,パフォーマンスを犠牲にせずに高い可用性を実現しました。
以上の構成方法を指針として,コンピューティングのニーズに合った手法を選択し,環境の変化に応じて適用してください。以上の構成例で説明してきた手法は,CI 構成が大きくなれば,そのまま拡張できます。
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