本書は,日本語 Compaq OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型テキスト・エディタである日本語 EVE の初期化の方法や拡張方法,コマンドについて詳しく説明します。また,DECwindows 版日本語 EVE についても説明しています。
改訂/更新情報: | 本書は,日本語 OpenVMS V6.2『日本語 EVE リファレンス・マニュアル』の改訂版です。 |
オペレーティング・システム: | 日本語 Compaq OpenVMS Alpha V 7.3 日本語 Compaq OpenVMS VAX V 7.3 |
ソフトウェア・バージョン: | 日本語 EVE V3.4 |
(C) 2001 Compaq Computer Corporation
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本書は,日本語 Compaq OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型テキスト・エディタである日本語 EVE の初期化の方法や拡張方法, DECwindows 版日本語 EVE などについて説明した解説書です。日本語 EVE のすべてのコマンドについての詳細は, 第 4 章 "コマンド・ディクショナリ"としてアルファベット順にまとめられています。特定コマンドについての詳しい情報は,こちらをご覧ください。
本書は,日本語 EVE エディタを使用したことのあるユーザを対象としたリファレンス・マニュアルです。日本語 EVE を初めて使うユーザは,本書の前に日本語EVE ユーザーズ・ガイドをお読みになり,日本語 EVE を使った基本的な編集操作を習得されることをお勧めします。
第 1 章 | 日本語EVEの概要および日本語独特の機能について説明します。 |
第 2 章 | 日本語EVEの拡張について説明します。 |
第 3 章 | DECwindows版日本語EVEについて説明します。 |
第 4 章 | 日本語EVEコマンド・ディクショナリです。 |
付録 A | 定義済みキーの一覧表です。 |
本書に関連した資料にはつぎのものがあります。
日本語EVE を使用して簡単な文書編集ができるようになることを目的としたマニュアルです。日本語EVE を初めて使用するユーザのための入門書です。
日本語EVE を使った基本的な編集操作を習得することを目的としたマニュアルです。
日本語EVE は,DEC XTPU を用いて作成されています。 DEC XTPU (DEC eXtendec Text Processing Utility) とは,標準版 DECTPU (DEC Text Processing Utility) を拡張したプログラミング可能なテキスト処理ユーティリティです。『DEC XTPU リファレンス・マニュアル』は DEC XTPU についての解説書であり,システム・プログラマを対象読者としています。
本書では,つぎの表記法を使用しています。
表記法 | 意味 |
---|---|
$ | システム・プロンプト。ドル記号($)は,システムのコマンド・レベルのプロンプトを示します。実際のプロンプトは,画面の左に表示されます。 |
[KP0] 〜 [KP9] | 補助キーパッドの数字を指します。 |
[Enter] | 補助キーパッドの右下にある [Enter]キーを指します。 |
[PF1] 〜 [PF4] | 補助キーパッドの1番上に並んでいるキーを指します。 |
[F6] 〜 [F20] | キーボードの上部にあるファンクション・キーを指します。 |
[Ctrl/A] | [Ctrl]キーと文字キーのAを同時に押します。大文字と |
[Ctrl-A] | 小文字の区別はなく,また,かなシフトキーが押され |
[Ctrl_A] | ていても関係ありません。 |
[GOLD/A] | GOLDキーとして定義されたキーに続けて,文字キーの |
[GOLD-A] | Aを押します。大文字と小文字の区別はありませんが, |
[GOLD_A] | かなシフトキーが押されていると異なるキーとして扱われます。 |
太字 | 入力画面の太字は,ユーザの入力文字列を示します。文中の太字のコマンド名は,日本語EVEコマンドを示します。 |
この章では,日本語EVEの概要について説明します。
1.1 日本語 EVE とは
日本語 EVE ( Extensible Versatile Editor ) は,日本語 Compaq OpenVMS オペレーティング・システム上で動く対話型のテキスト・エディタです。日本語 EVE は,手紙やレポートなど,いろいろな種類のファイルを編集できるだけでなく,プログラミング言語の編集などにも使えます。
日本語 EVE を使えば,新しいテキスト・ファイルの作成や,すでに存在するテキスト・ファイルの編集などを簡単に行うことができます。また,日本語 EVE は対話型エディタですから,テキスト・ファイルの内容を画面で見ながら編集できます。
1.2 日本語 EVE の特徴
日本語 EVE は,ユーザが簡単に効率よくテキストの編集を行えるように,いろいろな機能を備えています。
テキスト入力モードには,挿入モードと重ね書きモードの2種類があります。入力モードは編集セッション中に自由に切り替えることができます。
オンライン・ヘルプ機能が提供されていますので,作業を中断せずに,オンラインで編集コマンドに関する情報を表示できます。
必要に応じて,複数のファイルを同時に編集できます。
画面を分割することにより,2 つ以上のウィンドウを1画面に表示できるので,同一ファイルの異なる場所を同時に表示したり,または複数のファイルを同時に表示し,編集することができます。
DCL バッファを使用して,サブプロセスで DCL コマンドを実行し,その結果をバッファに得ることができます。
キーを定義することにより,日本語 EVE コマンドの入力を省略したり,学習シーケンスと呼ばれる一連のキーストロークを入力できます。 LEARNコマンドを使用すれば,1 つのキーを押すだけで,同じ一連のキーストローク(学習シーケンス)をバッファに何回でも入力できます。
独自に拡張したインタフェースをセクション・ファイルとして保存することで再利用できます。
DECwindows の環境で日本語 EVE を使用することができます ( 第 3 章 を参照)。
日本語 EVE は,漢字を入力するための変換キーパッドとして,EVEJ,JVMS,JEDI, LEIA,TARO の5種類のキーパッドを提供しています。これらは,SET KEYPAD コマンドで切り替えることができます。
TARO キーパッドは,"一太郎 Ver.3" ( 注:一太郎は,株式会社ジャストシステムの商標です ) の漢字変換キーパッドのエミュレーション・モードです。このキーパッドを選択すると,[ Ctrl ] キーを使わずに,スペース・バーで漢字変換を行うことができます。
変換キーを2度以上続けて押すと,自動的に変換候補が表示され,候補を数字キーによって選択することができます。
ENTER TANGOコマンドを使用して,個人辞書に単語とその読みを登録することができます。個人名や地名などを変換したいときに便利です。登録した単語を辞書から削除するには, DELETE TANGOコマンドを使います。
記号の入力には,KIGOUコマンドを使います。 TARO キーパッドの場合は,[ F10 ]キーで記号モードにはいれます。
DRAW KEISENコマンドを実行すると,罫線モードにはいります。
SET CONVERSION DYNAMICコマンドを実行すると,変換キーの定義が動的になり,変換キーは変換対象があるときのみ有効になります。
たとえば,EVEJ キーパッドの場合,[ Ctrl/H ]キーは,変換対象領域がある場合はひらがな変換,ない場合はSTART OF LINEコマンドになります。
SET CONVERSION NNコマンドを実行すると, " nn " と2つ続く n を "ん" と解釈します。
HENKAN MODE [ON|OFF|TOGGLE|ROTATE] コマンドによって,変換モードを切り替えることができます。 TARO キーパッドの [ F10 ] キーには, HENKAN MODE ROTATE コマンドが定義してあります。
入力途中の変換対象文字列を,[→] キーおよび[←] キー, <X |キーで編集することができます。また,エコーモードと同じ変換操作をしたあと (たとえば,ASCII エコーのときに半角変換を行った後) でも編集できます。ただし,この機能は SET CONVERSION DYNAMIC コマンドを実行したときのみ有効です。
日本語と ASCII 文字が混在しているときに,フリーカーソルモードで上下移動しても,カラム位置をできるだけ保持するように動きます。
日本語EVEでは,次の5つのコードセットをサポートしています。
この章では,日本語EVEの拡張機能について説明します。
2.1 DEC XTPU プロシージャの実行
日本語 EVE のXTPUコマンドを使用すると, 1行のコマンド・ラインにDEC XTPU ステートメントを入力することができます。
XTPU コマンドを入力するには,XTPU コマンドに続けて,実行したい DEC XTPU ステートメントを入力します。たとえば,DEC XTPU の APPEND_LINE ステートメント (現在の行を前の行の最後に続けるステートメント) を実行するには,次のコマンドを入力します。
Command : XTPU APPEND_LINE |
XTPU
コマンドについての詳細は,HELP XTPU
とタイプしてオンライン・ヘルプを参照してください。 DEC XTPU ステートメントとプロシージャのリストについては,『Guide to the DEC Text Processing Utility』,『DEC Text Processing Utility Reference Manual』および『 DEC XTPU リファレンス・マニュアル』を参照してください。
2.2 日本語 EVE のカスタマイズ
日本語 EVE では,編集操作に応じて,次に示す方法で標準エディタを変更することができます。
編集コマンドを1つのキーに割り当てることにより,コマンドを簡単に入力することができます。たとえば,日本語 EVE の ERASE WORD コマンドを [ Ctrl/D ] というキーシーケンスに割り当てることができます。
一連のコマンドまたはキーストロークを,学習シーケンスとして 1 つのキーに割り当てることにより,簡単に再実行することができます。たとえば,1 つのキーを押すと,新しい電話番号が電話番号簿に挿入されるような学習シーケンスを作成することができます。
日本語 EVE は強力でプログラミング可能なテキスト処理ユーティリティ DEC XTPU を基礎に構築されているため,DEC XTPU プロシージャを使用すると,日本語 EVE の標準的なコマンドだけでなく,エディタをさらに拡張することができます。また,DEC XTPU 言語ステートメントを使用して,日本語 EVE より拡張したプロシージャを開発することができます。たとえば,2 つの文字を入れ替えるプロシージャを作成し,このプロシージャを 1 つのキーに割り当てることができます。
この節では,標準的な日本語 EVE エディタを変更するために,スタートアップ・ファイルを使用する方法について説明します。スタートアップ・ファイルは,編集環境の属性を設定するキー定義と編集コマンド,標準的な日本語 EVE エディタの編集機能を拡張するためのDEC XTPU プロシージャも格納できます。
定義とプロシージャをスタートアップ・ファイルに格納すれば,日本語 EVE 起動時に,作業で必要な編集環境を自動的に設定できます。各編集セッションでその都度,日本語 EVE を変更する必要はありません。
日本語 EVE には,次に示す3種類のスタートアップ・ファイルがあります。
セクション・ファイルには,次の機能がバイナリ形式で格納されます。
セクション・ファイルはバイナリ形式であるため,編集環境を非常に迅速に設定できますが,バイナリ・ファイルを表示したり,変更することはできません。したがって,各編集セッションで変更される可能性のほとんどない編集機能を実現する場合は,セクション・ファイルを使用します。
たとえば,通常同じ方法で使用するキーはセクション・ファイルに定義します。
イニシャライゼーション・ファイルは,標準的な日本語 EVE コマンドを格納した ASCII ファイルです。このイニシャライゼーション・ファイルは簡単に表示したり,変更することができます。
イニシャライゼーション・ファイルは,日本語 EVE を起動するときに /INITIALIZATION 修飾子を使用して,または編集セッションの途中で@ コマンドを使用して実行できます。イニシャライゼーション・ファイルは,セクション・ファイルやコマンド・ファイルより,編集環境を設定するのに時間がかかります。イニシャライゼーション・ファイルにはキー定義が登録されますが,学習シーケンスは登録できません。
コマンド・ファイルは,DEC XTPU ステートメントとプロシージャを格納した DEC XTPU ソース・ファイルです。コマンド・ファイルは2種類の方法で使用できます。まず,コマンド・ファイルは日本語 EVE セクション・ファイルを作成するために使用できます。また,日本語 EVE が編集環境を作成するために実行するコマンド・ファイルとしても使用できます。たとえば,バッファの表示方法やエディタのスタートアップ・モードを制御するために,コマンド・ファイルを使用できます。コマンド・ファイルの実行速度はセクション・ファイルより劣りますが,ASCII ファイルであるため,表示したり,変更することができます。
コマンド・ファイルとイニシャライゼーション・ファイルは多くの同じ作業のために使用できますが,コマンド・ファイルのほうがイニシャライゼーション・ファイルより速く実行でき,より高度な編集ツールを備えています。
この後の節では,各スタートアップ・ファイルについて詳しく説明します。
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