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ディスク・ボリューム・セットを作成する場合は, MOUNT コマンドに /BIND 修飾子を使用します。次の形式で使用します。
MOUNT/BIND= ボリューム・セット名 |
ただしボリューム・セット名には,ボリューム・セットを識別する 1 から 12 文字までの英数字の名前を指定します。
ボリューム・セットの名前には,セット内のすべてのボリューム・ラベルと異なる名前を指定する必要があります。また,ボリューム・セット内のラベルは一意でなければなりません。
/BIND が使用されると,MOUNT コマンドは,ボリューム・セットを構成するすべてのボリュームに適用される名前をボリューム・セットに割り当てることによって,そのボリューム・セットを識別します。 またこの修飾子によって,ルート・ボリュームが識別され,ボリュームのディレクトリ構造が作成されます。
ボリューム・セットに新たにファイルが作成された場合,ファイル・システムはセットの最も多くの未使用空間がある場所にファイル用の空間を確保します。ボリューム・セットを構成する任意のボリュームのファイルが拡張された場合は,物理的に空きがあるかぎり,同じボリューム上で拡張を行います。
さらに空間が必要な場合は,ボリューム・セットに新しいボリュームを追加することができます。 たとえば,マウントされるすべてのディスク・ボリュームを毎日ボリューム・セットに組み入れていくといったことも行うことができます。ボリューム・セットには,すべてのユーザ・ファイル・ディレクトリが含まれるため,セットを構成するボリュームのファイルにアクセスするとき,ユーザがファイル指定に装置名を指定する必要はありません。つまり,ユーザはファイルの物理的な位置を意識する必要はありません。
ソフトウェアのアップデートやオプション製品のインストールにおいて,システムがボリューム・セットをサポートすることはありません。したがって,システム・ディスクをボリューム・セットに含めないでください。システム・ファイルが移動していたり,他のボリュームにバインドしていたりすると,システムをブートできないことがあります。 |
ボリューム・セットを使用するときには,特別な特権は必要ありません。ただし,バインドするためには,対象となるすべてのボリュームの索引ファイルに対する書き込みアクセス権を持っている必要があります。つまり,通常は,システム UIC か SYSPRV 特権を持っているか,あるいはボリュームの所有者である必要があります。
この後の節では,これらの作業方法について説明します。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
新規ボリュームからディスク・ボリューム・セットを作成する | 第 9.6.2 項 |
シャドウ・ディスク・ボリューム・セットを作成する | 第 9.6.3 項 |
既存のボリュームと新しいボリュームからディスク・ボリューム・セットを作成する | 第 9.6.4 項 |
既存のディスク・ボリューム・セットにボリュームを追加する | 第 9.6.5 項 |
9.6.2 新規ディスク・ボリュームからのボリューム・セットの作成
新しいディスク・ボリュームからディスク・ボリューム・セットを作成する手順は次のとおりです。
$ INITIALIZE DUA1: PAYVOL1 $ INITIALIZE DUA2: PAYVOL2 $ INITIALIZE DUA3: PAYVOL3 $ MOUNT/BIND=MASTER_PAY DUA1:, DUA2:, DUA3: PAYVOL1,PAYVOL2,PAYVOL3 |
この例では,最初に INITIALIZE コマンドでボリューム・セットに含めるボリュームを初期化している。MOUNT/BIND コマンドはボリューム・セットに MASTER_PAY という名前を設定し,PAYVOL1, PAYVOL2,PAYVOL3 の 3 つのボリュームに相対ボリューム番号を割り当てる。
装置名とボリューム・ラベルは対応するため, PAYVOL1 が DUA1:, PAYVOL2 が DUA2:,PAYVOL3 が DUA3: に物理的にロードされている必要がある。
ボリューム・セットのルート・ボリュームになるのは,ラベル・リストの最初に指定されている PAYVOL1 である。PAYVOL1 のマスタ・ファイル・ディレクトリ (MFD) には,ボリューム・セット全体のディレクトリ構造が含まれる。
$ MOUNT DUA1:,DUA2:,DUA3: PAYVOL1,PAYVOL2,PAYVOL3 |
MOUNT コマンドを使って,上記のボリューム・セットをマウントしている例。
次の例は,シャドウ・ディスク・ボリューム・セットを作成する方法の1つです。
$ MOUNT/BIND=TEST3013 DSA3011/SHADOW=($1$DUA402:,$1$DUA403:), DSA3012/SHADOW=($1$DUA404:,$1$DUA405:) TEST3011,TEST3012 TEST3013 |
上記のコマンドでは,TEST3013論理名のボリューム・セットが作成されます。ボリューム・セットTEST3013 はシャドウで,シャドウセット(TEST3011およびTEST3012)の各要素もボリューム・セットです。
9.6.4 既存ディスク・ボリュームからのボリューム・セットの作成
既存のボリュームおよび新規のボリュームからディスク・ボリューム・セットを作成するには,次の手順で行います。
次の例は,既存のボリュームからのディスク・ボリューム・セット (USERS) の作成方法を示しています。この例では,ボリューム USERFILES がすでにディレクトリ構造とファイルを持ち,そのボリュームが現在 DUA1: 装置上にあると仮定しています。
$ DISMOUNT/NOUNLOAD DUA1: $ INITIALIZE DUA2: USERFILES2 $ MOUNT/BIND=USERS DUA1:, DUA2: USERFILES, USERFILES2 |
MOUNT/BIND コマンドでは,ボリューム・ラベル USERFILES2 より前に既存のボリューム・ラベル USERFILES を指定しなければなりません。 USERFILES は,このセットのルート・ボリュームになります。
すでにファイルとデータを含んでいる複数のボリュームをバインドをして,ボリューム・セットを作成しようとしても,ファイル・システムからエラー・メッセージが出されることはありません。ただし,ディレクトリ構造が正しくバインドされていないので,それらボリュームをボリューム・セットとして使用することはできません。 |
既存のボリューム・セットへのボリュームの追加はいつでも行うことができます。ボリューム・セットに含むことができるボリューム数は最高で 255 個です。
この後の例では,既存のボリューム・セットへのボリュームの追加例を紹介します。
$ INITIALIZE DUA4: PAYVOL4 $ MOUNT/BIND=MASTER_PAY DUA4: PAYVOL4 |
この例では,MASTER_PAY というボリューム・セットがオンラインでマウントされていること,また,そのボリューム・セットが PAYVOL1, PAYVOL2,PAYVOL3 という 3 つのボリュームから構成されていることを前提にしている。
MOUNT/BIND コマンドは PAYVOL4 というボリュームをこのボリューム・セットにバインドし,使用可能な状態にする。 MASTER_PAY ボリューム・セットを /SYSTEM,/GROUP,または /SHARE 修飾子付きでマウントしている場合は,MOUNT/BIND コマンドには,それに合わせて修飾子を指定する必要がある。
既存のボリューム・セットへのボリュームの追加でマウントする必要があるのは,相対ボリューム番号が 1 のルート・ボリューム (この例では DUA4:) だけである。他のボリュームをマウントする必要はない。
$ INITIALIZE DUA4: PAYVOL4 $ MOUNT/BIND=MASTER_PAY DUA1:, DUA2:, DUA3:, DUA4: - _$ PAYVOL1, PAYVOL2, PAYVOL3, PAYVOL4/SYSTEM |
この例では,MASTER_PAY というボリューム・セットがすでに存在していて, PAYVOL1,PAYVOL2,PAYVOL3 という 3 つのボリュームから構成されていることを前提にしている。
この例に見られるように,ボリュームの追加とボリューム・セットのマウントは同時に行うことができる。ルート・ディレクトリになるのは, MOUNT/BIND コマンドに最初に指定されているボリュームの DUA1: である。ボリューム・セットをマウントしながら,ボリュームを追加しようとする場合は,ルート・ボリュームにするボリュームを最初に指定する必要がある。
9.7 ISO 9660 ボリューム・セットとグループのマウント
ISO 9660 形式の CD-ROM にアクセスするためには,次の 2 つのいずれかの方法でボリュームをマウントします。
MOUNT ユーティリティは, ISO 9660 ディレクトリとファイルにアクセスするのに必要な入出力データベース構造を構築します。また,MOUNT は, ISO 9660 に固有の $QIO 機能を実行するための適切な ACP が存在するか検証します。現在,ISO9660 媒体をシステム・ディスクとしてマウントすることはできません。詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。 CD-
ROM 媒体の ISO 9660 ボリューム構造についての詳細は,『Guide to OpenVMS File Applications』を参照してください。
9.7.1 ISO 9660 ボリューム・セットのマウント
ISO 9660 は,65,535 ボリューム・セット・メンバまでのボリューム・セットをサポートします。どのような時でも,ユーザは一度に 65,535 の総計ボリューム・セットの 255 のメンバ・サブセットをマウントできます。
ユーザのボリューム・セットが,ユーザが使用できる CD-
ROM リーダの数より大きい場合は,ボリューム・セット・メンバをスワップできます。たとえば,複数のボリューム・セット・メンバで1つのリーダを使用する場合などです。
9.7.2 ISO 9660 ボリューム・グループのマウント
ボリューム・グループは,ボリューム・セット内の連続した番号を持つボリュームから構成されます。ボリューム・グループのメンバ間の関係は,そのボリュームがいっしょに記録されていて,同じ最大ボリューム・セット・サイズ ・パラメータの影響を受けることによって確立されます。
ボリューム・グループ内の各ボリュームには,ボリューム・セット中のすべてのボリューム (他のボリューム・グループのメンバも含む) に記録されたすべてのファイルとディレクトリについての情報が入っています。たとえば,あるボリューム・セットに 2 つのボリューム・グループがあると仮定します。
ボリューム・セットをマウントするには,まず,一番大きい番号を持つボリューム・グループ (一番最後に記録されたグループのことで前の例では,3,4,5) をマウントしなければなりません。なぜなら,一番大きい番号を持つグループだけが,ボリューム・セットのすべてのメンバをマウントするのに必要な情報を持っているからです。
このように行わない場合は,すべてのボリュームをディスマウントし,一番大きい番号を持つボリューム・グループのメンバを一番最初にマウントするボリュームとして指定し,再起動しなければなりません。
9.7.3 部分マウントされた ISO 9660 ボリューム・セットの処理
OpenVMS システムは,部分マウントされた ISO 9660 ボリューム・セットをサポートします。データは通常どおりすべてのマウントされたボリュームから,ユーザ・プログラムに透過的な方法で読み込むことができます。
ボリューム・セットが部分マウントされているためにボリューム・セット・メンバがマウントされなかった場合は, OPCOM は OPERATOR クラス DISK に,アンマウントされたボリュームをマウントするようメッセージを送信します。指定された時間内に要求を満たされない,または直接ボリュームをマウントするためのオプションを有効にできない場合は,入出力プロセスが失敗しエラー・メッセージが発行されます。
9.7.4 SVD の使用による ISO 9660 ボリュームのマウント
ISO 9660 ボリュームにはすべて,一次ボリューム記述子(PVD) が格納されており,文字セットとして ASCII (ISO 646-IRV) を使用します。 ISO 9660 と OpenVMS のファイル命名規約はどちらも,ボリュームのディレクトリ名とファイル名を表示したときに,同じ ASCII 文字セットを使用します。
省略時の PVD を使用して ISO 9660 ボリュームをマウントする他に,補助ボリューム記述子(SVD) を使用して ISO 9660 ボリュームをマウントすることもできます。
この機能を使用すると,ISO 9660 の限定された文字セット以外の文字セットの文字を含むディレクトリ名とファイル名を使用している ISO 9660 ボリュームにアクセスできます。限定された文字セットには A 〜 Z,アンダースコア (_),ピリオド (.),セミコロン (;) だけしか含まれていません。
ISO 9660 ボリューム・セットの作成者は,ボリュームを記録するときに必須の PVD も記録しなければならず,また,オプションとして 1 つ以上の SVD も記録できます。各 SVD には固有のボリューム・ラベルとエスケープ・シーケンスを含まなければなりません。
SVD を使用して ISO 9660 装置をマウントするには,次のコマンド構文を使用します。
MOUNT 装置名 ボリュームラベル /UCS_SEQUENCE=エスケープ・シーケンス |
装置名 | ISO 9660 ボリュームがマウントされる装置の物理装置名または論理装置名を指定する。 |
ボリューム・ラベル | CD-ROM の作成者のラベルから取得した SVD ボリューム・ラベルを指定する。 |
エスケープ・シーケンス | CD-ROM の作成者のラベルから取得したエスケープ・シーケンスを指定する。 |
ISO 9660 ボリュームの SVD にエスケープ・シーケンスが指定されていない場合には,省略時の文字セットが ISO 646 (ASCII) であるものと解釈されます。この省略時の文字セットを使用すると,OpenVMS でサポートされるファイル指定文字セットを使用できます。この文字セットには,追加文字としてドル記号 ($) とダッシュ (-) も含まれています。
エスケープ・シーケンスが指定されていないときに,SVD ボリューム・ラベルを使用してボリュームをマウントするには,次のコマンド構文を使用します。
MOUNT 装置名ボリューム・ラベル /UCS_SEQUENCE="" |
ISO 9660 ボリュームの SVD に,ISO 646,ISO 2022,ISO 13646 (CD 上のフォーマット) 以外のエスケープ・シーケンスが含まれている場合には,その文字セットは OpenVMS ファイル指定の構文と連携動作できません。 |
CD-ROM 媒体上の ISO 9660 ボリューム構造についての詳細は,『Guide to OpenVMS File Applications』を参照してください。
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