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ディスク空間を節約するもう 1 つの方法は, SET DIRECTORY または CREATE DIRECTORY コマンドに次の形式で /VERSION_LIMIT を指定することです。これにより,ユーザがディレクトリに作成できるファイルのバージョン数を制限できます。
SET DIRECTORY /VERSION_LIMIT= n |
$ CREATE/DIRECTORY $DISK1:[JONES]/OWNER_UIC=[200,1]/VERSION_LIMIT=3 |
この例では,[JONES] というアカウントに含まれるファイルが 3 つのバージョンを超えることを禁止しています。このディレクトリのユーザが制限を超えるバージョンを作成しようとすると,システムはファイルの古いバージョンを削除し,最新の 3 つのバージョンだけ残します。
マスタ・ファイル・ディレクトリ (MFD) にバージョンの制限を設定するときには注意が必要です。システムは,MFD に対して設定されたバージョンの制限を, MFD 以下に作成されたすべてのディレクトリに適用するため,誤って重要なデータが失われる可能性があります。 |
Files--11 ディスク構造は各ファイルの満了日に基づいて,ファイルの使用状況の記録を取ります。したがって満了日は,DCL の BACKUP/DELETE コマンドで,めったに使わないファイルを廃棄するときに役立ちます。
ファイル満了は,Files--11 構造レベル 2 ディスクに対してのみ使用できるファイル・システム機能です。
ボリュームに満了日を設定すると,ファイルの保持期間は次のようになります。
頻繁にアクセスされるファイルの満了日は,現在の日付に最小期間を加えて求められる日付と最大期間を加えて求められる日付の間を行き来します。したがって,満了日を管理するときの正確さと効率性のバランスは,最小と最大保持期間を適切な間隔に設定ことによって保つことができます。満了日の設定には注意が必要です。かなり具体的にするか,最も簡単な方法で設定するかのいずれかにしてください。
DIRECTORY コマンドや BACKUP ユーティリティのように,コマンドやユーティリティの中には,満了したファイルに対して選択的に働くものがあります。たとえば,次のようにコマンドを発行したと仮定します。
$ BACKUP/DELETE PUBLIC:[*...]/BEFORE=TODAY/EXPIRED MUA0:ARCH20JUN |
この BACKUP コマンドは,満了したすべてのファイルを,テープにコピーしてから削除します。ユーザがファイル満了日を知らないこともありますから,テープはかなりの期間残しておくようにしてください。
BACKUP コマンドについては, 第 11.13.2 項 で詳しく説明します。
満了日の設定を有効にする場合は,DCL の SET VOLUME コマンドを次の形式で使用します。
SET VOLUME 装置名 [:][,...]/RETENTION=(最小 , 最大) |
最小と最大には,ボリューム上のファイルの最小および最大保持期間を示すデルタ時間値を指定します。
SET VOLUME/RETENTION コマンドに値が 1 つしか指定されなかった場合,システムはその値を最小保持期間と見なします。また最大保持期間は,最小値の2 倍,または最小値に 7 日を加えた期間のいずれか小さい方に設定します。次の例を参照してください。
$ SET VOLUME PAYVOL1:/RETENTION=(3) |
この場合,システムは 3 を最小保持期間と見なします。このとき最小の 2 倍は 6,最小に 7 を加えた値は 10 です。システムは小さい方を使用しますから,最大保持期間は 6 ということになります。
保持期間に 1 時間といった非常に小さな値を設定することにより,他のオペレーティング・システムに用意されている「アクセス日付」の管理をシミュレートすることができます。ただし,これを行うと,ファイル・システムのオーバヘッドがかなり大きくなります。
ファイル満了日管理機能によって,不要なファイルが自動的に削除されることはありません。そうではなく,システムはファイル満了日を管理することによって,ほとんど,またはまったく操作されることのないファイルを独自の方法で処理するのを手助けします。
既存のボリュームに対して満了日管理機能を有効にしたとしても,ファイルの満了日は,アクセスが行われないかぎりゼロです。満了日が 0 のファイルは満了と見なされます。 |
SET VOLUME コマンドのパラメータと修飾子については,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』で詳しく説明しています。
$ SET VOLUME DUA0:/RETENTION=(15-0:0,20-0:0) |
最小保持期間を 15 日,最大保持期間を 20 日に設定しています。
9.12 ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティによるディスクの検査と修復
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティを使用すると,紛失ファイルや削除対象のファイルを発見,削除して,ディスク空間を再生することができます。このユーティリティを定期的に使用して,矛盾やエラーの有無の検査や紛失ファイルの回復を行ってください。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは,ハードウェア・エラー,システム・エラー,またはユーザ・エラーによって引き起こされた Files--11 ディスク構造 (ODS) ディスクの問題を検出します。このユーティリティが行う処理は次のとおりです。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは,明確に 8 つの段階に分けて,ボリュームまたはボリューム・セットの検査を行い,エラーの報告や修復に使用する情報を収集します。ただし,このうちエラーの修復が行われるのは,/REPAIR 修飾子が指定された場合だけです。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは次の 2 段階に分けて実行することをおすすめします。
省略時の設定では,ANALYZE/DISK_STRUCTURE の出力はすべて使用しているターミナルで行われます。 /LIST 修飾子を使用することにより,ディスク上の各ファイルについて,次のような情報を含むファイルを作成することができます。
次に,この ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティを使って以下の作業を行う方法を説明します。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
エラーの報告 (修復なし) | 第 9.12.1 項 |
エラーの報告と修復 | 第 9.12.2 項 |
紛失ファイルの回復 | 第 9.12.3 項 |
ディスク使用ファイルの作成 | 第 9.12.5 項 |
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』でさらに詳しく解説しています。
9.12.1 エラーの報告
省略時の設定では,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティはエラーの報告をするだけで,修復は行いません。このモードでは, ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは 8 つのデータ収集段階を経た後,省略時の設定で,ターミナルにすべてのエラーと紛失ファイルのリストを出力します。
このユーティリティが発見する問題の 1 つに,ディレクトリ・バックリンク・エラーがあります。 バックリンク は,ファイルが存在するディレクトリに対するポインタであり,ディスクにディレクトリ・バックリンク・エラーをもつファイルがあった場合,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティは,エラーの発生とそれが存在するファイルを示すメッセージを表示します。
%VERIFY-I-BACKLINK, incorrect directory back link [SYSEXE]SYSBOOT.EXE;1 |
ANALYZE/DISK_STRUCTURE コマンドの形式は次のとおりです。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE 装置名:[ 修飾子 ] |
次のコマンドは,DUA1: という装置に関するすべてのディスク構造エラーを報告します。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DUA1: |
検出したエラーの修復を ANALYZE/DISK_STRUCTURE に指示する場合は,次の形式で /REPAIR 修飾子を使用します。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE 装置名 /REPAIR |
また,修復するエラーを選択したい場合は,次の形式で /REPAIR 修飾子と /CONFIRM 修飾子の両方を使用します。
ANALYZE/DISK_STRUCTURE 装置名 /REPAIR /CONFIRM |
このコマンドが入力されると,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティはエラーごとに説明文を表示し,修復を行うか確認を求めるプロンプトを表示します。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DUA1:/REPAIR |
この例では,DUA1: という装置のすべてのエラーを報告,修復させている。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE DUA1:/REPAIR/CONFIRM |
この例では,たとえば次のようなメッセージとプロンプトが表示される。
%VERIFY-I-BACKLINK, incorrect directory back link [SYS0]SYSMAINT.DIR;1 |
Repair this error? (Y or N): Y |
%VERIFY-I-BACKLINK, incorrect directory back link [SYSEXE]SYSBOOT.EXE;1] |
Repair this error? (Y or N): N |
エラーとそれに対して推奨される処置については,『OpenVMS Command Definition, Librarian, and Message Utilities Manual』を参照してください。
9.12.3 紛失ファイルの回復
紛失ファイル とは,ディレクトリにリンクされていないファイルのことです。通常,ファイルが紛失ファイルになることはありませんが,ディスクの破損やハードウェア上の問題,ユーザ・エラーなどがあると,ファイルがディレクトリ・リンクを失うことがあります。
たとえば,ファイルやディレクトリを整理するときに,まだファイルをポイントしているディレクトリを削除してしまったと仮定します。ファイル・タイプが .DIR のディレクトリ・ファイルの従属ファイルを削除する前に,ディレクトリ・ファイルを削除した場合,そのディレクトリが示すファイルは紛失ファイルになります。紛失と呼ばれるとはいえ,現実にはファイルはディスク上に残り,空間を消費しています。
定期的に ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティを使用して,紛失ファイルなどのディスク構造エラーがあるかディスクを検査してください。 /REPAIR 修飾子が指定された場合, ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティはディスク:[SYSLOST] に紛失ファイルを書き込み,各ファイルに関する(この後の例に示すようなメッセージを)表示します。詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE/REPAIR/CONFIRM DDA0: |
この例では,DDA0: という装置のすべてのエラーと紛失ファイルを解析,修復しています。
ディスクに紛失ファイルがあると,ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティから次のようなメッセージが表示されます。
%VERIFY-W-LOSTHEADER, file (16,1,1) []X.X;1 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (17,1,1) []Y.Y;1 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (18,1,1) []Z.Z;1 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (19,1,1) []X.X;2 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (20,1,1) []Y.Y;2 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (21,1,1) []Z.;1 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (22,1,1) []Z.;2 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (23,1,1) LOGIN.COM;163 not found in a directory %VERIFY-W-LOSTHEADER, file (24,1,1) MANYACL.COM;1 not found in a directory |
これらの紛失ファイルは自動的に DDA0:[SYSLOST] に移されます。
システムに紛失ファイルが存在するかどうかの検査は,バックアップ処理でも行うことができます。詳細は 第 11.13.3 項 を参照してください。
9.12.4 古いホーム・ブロックの消去
ボリュームを初期化する場合には,古い ホーム・ブロック が消去されないことがあります。これは,以前の初期化処理で作成されたブロックです。古いホーム・ブロックを含むボリュームが破損すると,そのブロックを消去しない限り,ボリュームを復元できないことがあります。
次のように,ANALYZE/DISK_STRUCTURE コマンドに /HOMEBLOCKS 修飾子を指定して,古いホーム・ブロックを手作業で消去することができます。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE/REPAIR/HOMEBLOCKS |
この作業には,最高 30 分かかることがありますので注意してください。
9.12.5 ディスク使用ファイルの作成
/USAGE 修飾子を使用して,ディスク使用ファイルを作成することができます。 このファイルのファイル・ヘッダの 識別子レコード には,ディスクとボリューム特性の要約情報が含まれ,このレコードの後に,ディスク上の各ファイルに 1 つの割合で一連の要約情報レコードが続きます。要約情報レコードに含まれる情報は,ファイルの所有者,サイズ,およびファイル名情報です。
$ ANALYZE/DISK_STRUCTURE/USAGE=[ACCOUNT]USAGE_DDA0.DAT DDA0: |
この例では,/USAGE 修飾子を使用してディスク使用ファイル USAGE_DDA0.DAT を [ACCOUNT] ディレクトリに作成しています。
9.13 マウント・チェックによるエラー回復
マウント・チェックは,ディスクやテープの操作時のエラー回復機構です。マウント・チェックが有効なときに装置がオフラインになっている場合,または装置が書き込み禁止になっている場合も,問題を解決してから,運用を継続することができます。
マウント・チェックが無効なときに書き込み禁止
またはオフラインになった場合,ボリュームはただちにディスマウントされます。したがって,保留中の入出力処理はすべて取り消され,オープンされていたファイルはすべてクローズされることになります。また,書き込み前のデータはすべて失われます。
9.13.1 マウント・チェック
装置がオフラインになった後,システムまたはユーザが装置にアクセスしようとするとマウント・チェックが始動します。通常,装置がオフラインになるのは,ハードウェア・エラーかユーザ・エラーが原因です。装置がオフラインになると,ハードウェア・システム (ディスクの場合はソフトウェアのこともある) はディスクまたはテープに "invalid " のマークを付けるため,その装置に対する入出力要求は処理されずに終わります。
マウント・チェックが有効なときに行われる処理は次のとおりです。
%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% Device <device-name> is offline. Mount verification in progress. |
装置がオフラインか書き込み禁止の場合,マウント・チェック機能は次の 2 つのメッセージを送信します。
2 つ目のメッセージは,OPCOM が使用不可能なときのいわば保険です。このメッセージがあるために,たとえば,システム・ディスクがマウント・チェックを受けていたり,OPCOM がシステムに存在しなくても,少なくとも %SYSTEM-I-MOUNTVER 接頭辞の付いたメッセージは受け取ることができます。通常,オペレータ・ターミナルは %SYSTEM-I-MOUNTVER メッセージを最初に,それから OPCOM 宛のメッセージを受信します。
これらのメッセージは問題があることを告げるものであり,このときシステム管理者またはオペレータは問題を解決して,運用を継続することができます。タイムアウトによってマウント・チェックが取り消された場合, OPCOM は次の形式のメッセージを表示します。
%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% Mount verification aborted for device <device-name>. |
マウント・チェックがタイムアウトになった場合は,保留中のものも含めてボリュームに対する入出力要求は処理されません。再度ユーザがアクセスできるようにするためには,いったんディスマウントする必要があります。
書き込み禁止が原因のマウント・チェックがタイムアウトになることはありません。 |
たとえば,書き込み禁止がオフになっている装置にボリュームがマウントされていて,WRITE LOCK スイッチをオンにしたと仮定します。このときマウント・チェックが有効な場合,ボリュームはマウント・チェックを受けますが,ボリュームに対するすべての入出力操作は,そのエラーが解決されるまで保留になります ( 第 9.13.2.4 項 参照)。
ボリュームが最後に使用されたときにキャッシュ内容が書き戻されていないことをマウント時に検出した場合,システムはボリュームの内容を読み取ることによって,ファイル情報を自動的に再構築します。ただし,誤った方法でディスマウントされたボリュームに書き出されたファイルは,その一部または全体が失われることがあります。こうした問題の解析と修復方法については, 第 9.12 節 を参照してください。
ディスクやテープの操作時にマウント・チェック機能を使用することによって,ディスクやテープがオフラインからオンラインになったり,アクセス不能な状態からアクセス可能な状態になったりしても,一般的にユーザがそれに気付くことはありません。
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