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ノードは,外部からの接続だけ,外部への接続だけ,またはその両方が可能になるように設定することができます。ターミナル・サーバなどのノード (外部からの接続だけが可能なノードは除く) は,サービス・ノードの位置を特定して,接続を設定することができます。利用可能なノードとサービスに関する情報を格納したデータベースは, LAT 補助制御プロセス (LATACP) によって保守されます。 LATACP データベースの管理についての詳細は, 第 26.7 節 を参照してください。
外部への LAT 接続が可能になるように設定されたノード上では,ユーザは SET HOST/LAT コマンドを入力することによって LAT ネットワーク上の他のノードに接続することができます。詳細は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』の SET HOST/LAT コマンドの定義を参照してください。
26.2.4 LAT ネットワークのコンポーネント
図 26-1 は, LAT ネットワークのコンポーネントを示しています。ネットワークは,サービス・ノード,ターミナル・サーバ・ノード,およびそれらを接続するイーサネット・ケーブルから構成されます。
図 26-1 にある NOE ,LARRY, ALEXIS は,ネットワーク上のターミナル・サーバ・ノードにそれぞれのサービスを提供するノードです。
サービス・ノードのうちの NOE と LARRY は,コンピュータ・インタコネクト (CI) とスター・カプラによってクラスタ OFFICE を形成しています。クラスタ化されているこの 2 つのノードのサービス名はクラスタ名と同じになっています。この 2 つのサービス・ノードはともに OFFICE サービスを提供するため,ターミナル・サーバ・ノードは両方の OFFICE ノード上の作業負荷を調べ,利用量が少ない方のサービスを提供するノードに対して接続を確立します。
もう 1 つのサービス・ノード ALEXIS は LAT ネットワーク上の独立ノードのため,サービス名はノード名と同じになっています。
ノード NOE は一次的な OFFICE サービスに加えて NEWS と呼ばれるアプリケーション・サービスを提供します。この特殊化されたサービスを利用すれば,ユーザ・ターミナルはそのサービス・ノードにログインしたり,そのノードの汎用コンピュータ資源に通常のアクセスをしなくても,オンライン・ニュース・サービスに直接接続を行うことができます。
図 26-1 のノード FINANCE はターミナル・サーバ・ノードです。このノードは多数の会話型ターミナル,モデム,およびプリンタをサポートします。ノード PROCESSING は,外部への接続が可能なノードです。このノードはいくつかの会話型ターミナルをサポートします。ノード FINANCE は 3 つのサービス・ノードのいずれからもプリント要求を受け付けることができます。ただし,各サービス・ノードでターミナル・サーバ上の遠隔プリンタをサポートするようにプリント・キューが設定されていることが必要です。
ノード PROCESSING はサービス・ノードとしても機能し,サービス COMPUTE を提供します。
図 26-1 LAT ネットワークの構成例
LAT システムを構成する際には,システムが効率的に機能するように構成するために, LATソフトウェアとネットワークの関係を十分に理解しておく必要があります。以降の各項では,次のことを理解する上で役立つ情報を提供します。
26.3.1 OpenVMS Cluster および DECnet と LAT との関係
LAT プロトコルは OpenVMS Cluster ソフトウェアとは独立して機能しますが,サービス・ノードは OpenVMS Cluster の概念を補うように構成します。そのために,OpenVMS Cluster 内の各ノード上にサービスを用意し,そのサービスにクラスタ名を割り当てます。ターミナル・サーバはクラスタ・サービスの可用性を調べて,利用量が最も少ないノードに対して接続を確立します。このように, LAT プロトコルはクラスタの負荷を分散する役割を果たします。クラスタ内のノードの 1 つに障害が発生した場合,ターミナル・サーバは障害があった接続をクラスタ内の別のサービス・ノードに転送することができます。
LAT ソフトウェアはメッセージ伝送ファシリティとして DECnet を使用せず,代わりに独自の仮想サーキット層を使用して伝送メカニズムをインプリメントします。 LAT と DECnet ソフトウェアは共通の LAN 環境でそれぞれから独立して機能します。サービス・ノードを DECnet ノードとしても使用する場合は,互換性のためにサービス・ノード名は DECnet ノード名と同じにしてください。
26.3.1.1 同じコントローラ上で実行する LAT と DECnet
イーサネット・ポートが DECnet と LAT の両方を実行している場合には, LAT ソフトウェアを起動する 前に
DECnet ソフトウェアを起動しなければなりません。最初に DECnet ソフトウェアを起動しなければ,存在するすべての LAN 接続が終了し,LAT を介したシステムへの再接続が不可能になることがあります。
26.3.1.2 異なるコントローラ上で実行する LAT と DECnet
DECnet がシステム上に構成されている場合 (あるいはシステムがクラスタに組み込まれている場合),SCSSYSTEMID システム・パラメータはゼロ以外の値を含むことがあります。同じ論理 LAN に接続された LAN コントローラがシステムに複数台ある場合を除いて,通常これは問題になりません。
たとえば,システムに FDDI コントローラとイーサネット・コントローラがある場合には,FDDI コントローラに接続された FDDI リングとイーサネット・コントローラに接続されたイーサネット・セグメントが, 10/100 LAN ブリッジ(FDDI からイーサネット) でブリッジされるように構成することができます。
このような構成では,SCSSYSTEMID が 0 でない場合,同じコントローラ上で LAT とDECnet とを実行 しなければなりません 。同じコントローラ上で実行しなければ,DECnet が最初に起動するため,他のコントローラで起動する LAN が異常終了します。これは,LAT が起動時に AA-00-04-00-xx-xx アドレス (DECnet LAN アドレス) を使用しようとしても, DECnet がすでに別のコントローラでこのアドレスを使用しているため,データ・リンク層が,そのアドレスを使用した LAT の起動を妨げるためです (単一の論理 LAN においては,すべてのデータ・リンク・アドレスは固有のものでなければなりません。両方のコントローラが同じアドレスの使用を試みるため,固有ではなくなります)。
次のコマンドで LAT リンクを作成しても, LAN ドライバが SCSSYSTEMID に基づいたアドレスを使用しようとするため,失敗します。
LATCP> CREATE LINK LAT$LINK_2 /NODECNET |
SCSSYSTEMID を 0 に設定すると,異なるコントローラ上で LAT と DECnet を構成することが可能になります。ただし,クラスタ環境では SCSSYSTEMID を 0 に設定することはできません。
26.3.2 複数のLANアダプタの使用
1つのLATノードに複数のLANアドレスを使用すれば,同じ論理LANに接続された複数のLANアダプタを持つシステムを構成できます。 LATソフトウェアは各アダプタで同時に実行でき,接続も良好に維持されます。たとえば,仮想サーキットで1次パスを選び,すべてのLATメッセージ転送に使用した場合には,もとのパスが遮断されても, LATソフトウェアは,別のアダプタまたは論理パスを介して通信を継続できます。
LATプロトコルのバージョン5.3 (バージョン7.0以降のOpenVMSオペレーティング・システムに含まれる)より前の LATソフトウェアのバージョンを実行しているノードの動作は少し異なります。したがって,システム構成に,バージョン 5.1やバージョン5.2などのLATソフトウェアの初期のバージョンが含まれている場合には,本章で説明している相違点や考慮事項について注意してください。 |
複数のLANアダプタでLATを実行することはできますが,1つの論理LANから別の論理LAN にLATを経路指定することはできません。次に示すのは, LATプロトコル・バージョン5.3 を実行しているノード (バージョン5.2および5.1を実行しているノードも含む)のためのサポートされているLAT構成の例です。
この広く使用されている構成では,LAT バージョン 5.3 ソフトウェアを実行している OpenVMS システムが,同じ物理 LAN に接続されている 2 つのイーサネット・アダプタ (図のラベルA および B)を介して DECserver 200 に接続されています。
図 26-2 複数アドレスのLAT構成: 1つのLANにバージョンが混在するLATノードがある場合
DECserver 200とOpenVMSシステムの間でLAT接続が開始されると, LATソフトウェアは,AとBの両方のアダプタがLAT仮想サーキットに使用できると判断します。一方のアダプタは1次通信パスとして選択され,もう一方は 1次通信パスに障害が起こった場合に備えておきます。
たとえば,ユーザがDECserver 200からOpenVMSシステムに接続すると, OpenVMSシステムは,パスが2つあるが,そのうちアダプタBを1次通信パスとして使用することを決定します。ユーザが,OpenVMSシステムから大量の出力を生成するプログラムを実行しているとき,出力中にアダプタB が何らかの理由で障害を起こした場合には,LATソフトウェアは,アダプタAを介して, OpenVMSシステムからDECserverへの通信を続行しようとします。
図 26_3 に,ブリッジされた2つのLANを示します。ただし,この構成は, 図 26-2 に示した構成と同じ特徴を示しています。
図 26-3 複数アドレスのLAT構成: 2つのLANにバージョンが混在するLATノードがある場合
図 26_3 のイーサネット2は,FDDIネットワークであると考えられます。 LATソフトウェアは,各アダプタを同じコストがかかる 2地点間通信とみなし,FDDIコントローラをまったく同様に扱います。ただし,大容量のバッファのサポートについての詳細は, 第 26.3.3 項 を参照してください。 |
図 26-4 の構成の例では,2つのOpenVMSシステム間で作成された仮想サーキットには,2つのパスがあります。コントローラBとC,およびAとDを介するパスです。1つのパスで障害が起こった場合,仮想サーキットはもう一方のパスを介して続行されます。両方のパスに障害が起こった場合には,仮想サーキットは結果として時間切れになります。
図 26-4 複数アドレスのLAT構成: 2つのLANにバージョン5.3のLATノードがある場合
26.3.2.2 サポートされない構成
バージョン5.3のLATソフトウェアを実行するOpenVMSシステムを使用するために,ネットワークを構成する場合には, 図 26-5
に示すような構成は避けて
ください。
図 26-5 サポートされない複数アドレスのLAT構成
この図に示したような構成は,予期しない結果となり機能しなくなります。ネットワーク環境では,LATのバージョン5.1および5.2のノードは,1つの論理LANアドレスだけしか持つことができません。
図 26_5 の構成はこの規約に違反します。 図 26-4 に示す構成は有効です。
26.3.2.3 論理LATリンクの作成
LATソフトウェアはすべてのパスを同じコストがかかる, 2地点間通信とみなします。 LATソフトウェアは最高で8個のLANアダプタを同時にサポートできます (さらに,すべてのコントローラを同じ論理LANに接続することもできます)。パス障害に備えて,最大数のアダプタを用意するためには,各論理リンクを作成してから,LATノード状態をSYS$MANAGER:LAT$SYSTARTUP.COMで ONに設定してください。
たとえば,システムに2つのFDDIアダプタ(FCA0とFCB0)を持つイーサネット・アダプタ(装置ESA0)が1つあり,システム管理者がすべてのアダプタを介してLATを実行することを選択した場合,LAT$SYSTARTUP.COMファイルには,次のコマンドが含まれます。
$! $! Create each logical LAT link with a unique name and $! unique LAN address (forced with /NODECNET). $! $ LCP CREATE LINK ETHERNET /DEVICE=ESA0 /NODECNET $ LCP CREATE LINK FDDI_1 /DEVICE=FCA0 /NODECNET $ LCP CREATE LINK FDDI_2 /DEVICE=FCB0 /NODECNET $! $! Turn on the LAT protocol. $! $ LCP SET NODE /STATE=ON |
リンクが作成される前にLATCPコマンドSET NODE /STATE=ON が入力されると,ランダムなLAT$LINK または省略時の設定のLAT$LINKが,一方のLANアダプタ上に作成されます。どちらのLANアダプタが選択されるかを予期する方法はありません(システム構成に依存します)。したがって,LATを起動する前にすべてのLATリンクを作成してください。 各論理リンクは,必ず /NODECNET 修飾子を使用して作成してください。この方法で作成すれば,複数のアダプタがDECnetスタイルのアドレスを使用しようとした際に,リンク作成障害を回避できます。同じアドレスを持つ同じ論理LANに複数のLANアダプタを接続することは LAN規約に違反し,LATや他のプロトコルの障害の原因となります。 |
LATプロトコルの開始後,論理LATデータリンクを作成することができます。既存の仮想サーキットは,新しく作成された論理リンクが使用できるようになると,これを使用して,新しいパスを探そうとします。ただし,この時点ではリンクを作成しないでください。この間,LATプロトコルは既存の仮想サーキットを使用し,この新しく作成されたデータリンクを介して,新しいパスを見つけようとするため,新しいパスが見つかる前に仮想サーキットに障害が起こる可能性があります。
26.3.2.4 パスの発見
OpenVMS LATソフトウェアはディレクトリ・サービスと送信請求を組み合わせて使用して,各仮想サーキットのパスを取得します。仮想サーキットの開始時にパスの発見を早めるには, LATサービスおよびノード・データベースを保守するために複数のLANアダプタを持つシステムを,次のように構成してください。
外部への接続を無効にして,サービスおよびノード・データベースなしで実行されているOpenVMSシステムは,各仮想サーキットに複数のパスがあっても実行できます。これらのパスは,LAT送信請求プロセスで発見されますが,長い時間がかかるでしょう(すべてのパスが発見される前に,仮想サーキットで障害が起こる可能性があります)。
26.3.2.5 LATパラメータの変更
万一,パスに障害が起こった場合は,OpenVMS LATソフトウェアが別の有効なパスを見つけるのに時間がかかります(時間は遠隔ノードがアクセスしているアダプタの数によって異なります)。したがって,有効になる可能性のあるLATマスタ・ノード上の次のLATパラメータを変更してください。
複数のアダプタを介すことにより,LATバージョン5.1またはLATバージョン5.2のマスタ・ノードに仮想サーキットの実行を続けさせることはできますが,これらのノードへの接続が失敗することもあります。
LAT バージョン5.2およびLATバージョン5.1のマスタ・ノードは,サービスを提供するLATノードへの複数のパスを識別することができません。これらのマスタ・ノードは,一度に1つの遠隔アドレスを介してだけ,そのようなノードと通信できます。したがって,LATバージョン5.1またはバージョン5.2を実行しているLATマスタ・ノードが,サービスを提供しているLATバージョン5.3の遠隔ノードに接続しようとした時に LAN パスに障害が起こった場合には,LATバージョン5.3のノードは時間内にこの障害を見つけ出すことができず,LATマスタ・ノードは時間切れで接続を切断する可能性があります。再伝送制限をできるだけ高く設定することによって,この障害を部分的には解決することができます。
また,1次パスに障害が起きたとき,サービスを提供しているLATバージョン5.3のノードが,仮想サーキットが完全にアイドル状態であると判断した場合には,代替パスのいずれかを使用しようとする試みは行われません(前述の LATバージョン5.2および5.1の制約を参照)。したがって,複数のLAN アダプタが古いLATのインプリメンテーションで動作していても, OpenVMSオペレーティング・システムのバージョン7.0以降にアップグレードして, LATバージョン5.3プロトコルを取得する必要があります。これにより,このタイプの問題が解決されます。このタイプの問題は,アイドル状態にある接続だけに影響します。このような状況の例としては,昼休みや終業時刻にすべてのユーザが同時にシステムを離れた場合などがあります。
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