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AUTOGEN のフィードバックを使用すれば,パラメータ値やシステム・ファイル・サイズを手作業で変更する必要がほとんどありません。実際の作業負荷に基づいて,AUTOGEN がオペレーティング・システムを自動的にサイジングしてくれます。サイジングとは,システム資源であるメモリとディスク空間を作業負荷条件に合わせて割り当てる処理です。フィードバックとは,システムの作業負荷によってさまざまな資源がどのように使用されるかについての情報です。この情報はオペレーティング・システム・エグゼクティブによって継続的に収集されます。例外イベントが発生すると,システムはフィードバックを収集します。したがって,フィードバックの収集によってシステムの性能が低下することはありません。
AUTOGENがフィードバックを使用する方法は,AUTOGENを起動するときに実行モードを指定することにより制御できます。フィードバック・モードで実行すると,AUTOGENはこの情報を分析し,関連するパラメータ値を調整します。 AUTOGENでのフィードバックの使い方の制御についての詳しい説明は, 第 6.5 節 を参照してください。
AUTOGENはSYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.EXEイメージを実行することにより, SAVPARAMSフェーズでフィードバックを収集します。フィードバック情報は SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DATファイルに書き込まれます。このファイルは GETDATAフェーズで読み込まれます。 AUTOGENフェーズについての詳しい説明は, 第 6.4 節 を参照してください。
表 6-2 は,AUTOGEN のフィードバックで処理するシステム・パラメータの一覧です。フィードバックでは,ページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズも処理します。
ACP_DINDXCACHE | ACP_DIRCACHE | ACP_EXTCACHE |
ACP_FIDCACHE | ACP_HDRCACHE | ACP_MAPCACHE |
ACP_QUOCACHE | GBLPAGES | GBLSECTIONS |
++GH_EXEC_CODE | ++GH_EXEC_DATA | ++GH_RES_CODE |
++GH_RES_DATA | ++GH_RSRVPGCNT | LNMSHASHTBL |
LOCKIDTBL | MAXPROCESSCNT | MSCP_BUFFER |
NPAGEDYN | PAGEDYN | RESHASHTBL |
SCSBUFFCNT | SCSCONNCNT | SCSRESPCNT |
AUTOGEN は,フェーズ単位で実行します。AUTOGEN で行う作業の種類は,AUTOGEN 始動時に開始フェーズ と終了フェーズ を指定することによって制御します。 表 6-3 は,AUTOGEN が実行できるフェーズを,実行シーケンスに従って示しています。
フェーズ | 説明 |
---|---|
SAVPARAMS | 実行中システムからの動的なフィードバックをセーブする。 |
GETDATA | AUTOGEN の計算に使用するすべてのデータを収集する。 |
GENPARAMS | 新しいシステム・パラメータを生成し,インストール済みイメージ・リストを作成する。 |
TESTFILES | AUTOGEN が計算したページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを表示する。開始フェーズとしては使用できない。 |
GENFILES | 適宜,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルを作成する。開始フェーズとしては使用できない。 |
SETPARAMS | SYSMAN を実行して新しいシステム・パラメータを省略時のパラメータ・ファイルに設定し,オリジナル・パラメータをセーブし,新しいパラメータ・ファイル AUTOGEN.PAR を作成する。 |
SHUTDOWN | 手作業でシステムを再ブートできるようにする。 |
REBOOT | システムを自動的にシャットダウンし,再ブートする。 |
HELP | ヘルプ情報を画面に表示する。 |
次に,各フェーズについて,詳しく説明していきます。
6.4.1 SAVPARAMS
SAVPARAMS フェーズは,以降の AUTOGEN のフェーズで使用する
AGEN$FEEDBACK.DAT ファイルにフィードバックを記録します。
実行モード・パラメータとして NOFEEDBACK を指定した場合,収集した情報は使用されません。
SAVPARAMS フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 SAVPARAMS では,SYSPRV と CMKRNL の特権が必要です。
SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM を使用して会話形式で通常のシャットダウンを行う場合,SAVE_FEEDBACK オプションを指定することができます。 "Shutdown options:" のプロンプトに対してこのオプションを入力すると,システムを最後にブートしてから収集されたフィードバックが記録されます。この結果,新しいバージョンの SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DAT が作成されます。この新しいバージョンのフィードバックを使用するには,システムを再ブートしたときに GETDATA フェーズから AUTOGEN を始動します。 |
GETDATA フェーズは,AUTOGEN による計算に必要な次の情報を収集し,PARAMS.DAT ファイルに格納します。
さらに,GETDATA フェーズでは,次のファイルを実行することによって,各種装置をシステムに設定します。
GETDATA フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 GETDATA では,SYSPRV と CMKRNL の特権が必要です。
6.4.3 GENPARAMS
GENPARAMS フェーズの AUTOGEN は,PARAMS.DAT に格納されているデータをもとにパラメータ値を計算し,SETPARAMS.DAT を出力します。 AUTOGEN は,フィードバックが含まれているかどうかをチェックし,含まれていれば,計算に利用します。だたし,AUTOGEN を起動したときに, NOFEEDBACK 実行モードを指定した場合は,この処理を実行しません。 さらに,既知イメージ・ファイル・リスト VMSIMAGES.DAT も作成します。
GENPARAMS フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 GENPARAMS では,SYSPRV と OPER の特権が必要です。
6.4.4 TESTFILES
TESTFILES フェーズは,AUTOGEN が出力したシステム・ページ・ファイル,システム・スワップ・ファイル,システム・ダンプ・ファイルのサイズを表示します。このフェーズでは,ファイル・サイズの変更は行いません。
現在インストールされている一次と二次のページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズを表示します。省略時の設定では,ファイル・サイズ情報は SYS$OUTPUT と AGEN$PARAMS.REPORT ファイルに出力されます。 TESTFILES は,終了フェーズとしてだけ使用することができます。
TESTFILES フェーズを指定した場合,AUTOGEN のファイル・サイズ計算値が表示されます。新しいサイズのファイルを作成するには, GENFILES フェーズを指定してください。この 2 つのフェーズの両方を AUTOGEN 始動時に指定することはできません。まず TESTFILES でファイル・サイズの変更内容を表示し,次に新しいサイズのファイルを作成してください。
TESTFILES フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 TESTFILES では,SYSPRV 特権が必要です。
6.4.5 GENFILES
GENFILESフェーズでは,新しいページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンブ・ファイルがシステムに作成されます。このフェーズでは,AUTOGENの処理に従ってファイル・サイズを変更します。
サイズの変更量が既存ファイル・サイズの 10 パーセント以内である場合, GENFILES はファイルに変更を施しません。 GENFILES の処理対象ファイルは,PAGEFILE.SYS,SWAPFILE.SYS, SYSDUMP.DMP をはじめ,現在インストールされているすべてのページ・ファイルとスワップ・ファイルです。詳細については,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』のページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの管理に関する説明を参照してください。
GENFILES は,終了フェーズとしてだけ使用することができます。 GENFILES では,SYSPRV 特権が必要です。
6.4.6 SETPARAMS
SETPARAMS フェーズは,GENPARAMS フェーズで作成された SETPARAMS.DAT ファイルを入力として使用します。このフェーズの AUTOGEN は SYSMAN を実行し,省略時のパラメータ・ファイルに格納されているシステム・パラメータ値を更新します。
VAX システムの省略時のパラメータ・ファイルは,
SYS$SYSTEM:VAXVMSSYS.PAR です。SYS$SYSTEM:VAXVMSSYS.PAR に格納されている値は,現在のシステム・パラメータを
SYS$SYSTEM:VAXVMSSYS.OLD ファイルに格納した後で更新されます。新しいパラメータ値は,SYS$SYSTEM:AUTOGEN.PAR にもセーブされます。
Alpha システムの省略時のパラメータ・ファイルは,
SYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.PAR です。SYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.PAR に格納されている値は,現在のシステム・パラメータを
SYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.OLD ファイルに格納した後で更新されます。新しいパラメータ値は,SYS$SYSTEM:AUTOGEN.PAR にもセーブされます。
SETPARAMS フェーズは,開始フェーズとしても終了フェーズとしても使用できます。 SETPARAMS では,SYSPRV と OPER の特権が必要です。
6.4.7 SHUTDOWN
SHUTDOWN は,システムをシャットダウンし,手作業による再ブートを待機します。SETPARAMS フェーズで出力された新しいシステム・パラメータ値を使用するには,SHUTDOWN または REBOOT を終了フェーズとして指定します。 DCL の DEFINE コマンドを実行して論理名 AGEN$SHUTDOWN_TIME を定義すれば,シャットダウンするまでの時間を分単位で指定することができます。
SHUTDOWN では,SETPRV 特権が必要です。
6.4.8 REBOOT
REBOOT は,システムを自動的にシャットダウンし再ブートすることによって,新しいパラメータ値をインストールします。 SETPARAMS フェーズで出力された新しいシステム・パラメータ値をインストールするには,SHUTDOWN または REBOOT を終了フェーズとして指定します。DCL の DEFINE コマンドを実行して論理名 AGEN$SHUTDOWN_TIME を定義すれば,シャットダウンするまでの時間を分単位で指定することができます。
REBOOTを実行するには,SETPRV特権が必要です。
6.4.9 HELP
HELPはAUTOGENに関するヘルプ情報を画面に表示します。HELPフェーズは監視フェーズ・コマンド行パラメータとしてのみ使用できます。監視フェーズに対して HELPを指定した場合には,終了フェーズと実行モード・パラメータは無視されます。
6.5 実行モード
実行モードは,AUTOGENがフィードバックを使用する方法を制御するために, AUTOGENの起動時に指定します。 表 6-4 は実行モード・オプションの一覧を示しています。
オプション | 説明 |
---|---|
FEEDBACK | AUTOGEN をフィードバック・モードで実行し,SAVPARAMS フェーズで収集された動的なフィードバックをもとに計算を行うことを指定する。 |
NOFEEDBACK | フィードバックを使用しないで計算することを指定する。SAVPARAMS フェーズからのフィードバックは無視される。 NOFEEDBACK モードは,システムのインストール時やアップグレード時に使用する。オペレーティング・システムの以前のバージョンにおける実行モード・オプション INITIAL に相当する。 |
CHECK_FEEDBACK | フィードバックが正しい内容である場合,フィードバックをもとに計算することを指定する。フィードバックの内容がまちがっている恐れがある場合,フィードバックは使用しないが, AUTOGEN は終了フェーズまで動作を続ける。 |
ブランク | 実行モードを指定しない場合,フィードバックをもとに計算する。ただし,GENFILES,SETPARAMS, SHUTDOWN,REBOOT のいずれかを終了フェーズとして指定している場合でも,フィードバックの内容がまちがっている恐れがあれば,計算を行ってフィードバック・レポートを出力した後,パラメータやシステム・ファイルを変更しないまま AUTOGEN は終了する。 |
6.6 AUTOGEN で使用するファイル
表 6-5 は,AUTOGEN が各フェーズで使用するファイルの一覧です。
AUTOGEN フェーズ | 入力ファイル1 | 出力ファイル1 |
---|---|---|
SAVPARAMS | なし | AGEN$FEEDBACK.DAT |
GETDATA | NEWPARAMS.DAT
2
CLU$PARAMS.DAT |
CLU$PARAMS.DAT |
AGEN$FEEDBACK.DAT
CLU$PARAMS.DAT MODPARAMS.DAT |
PARAMS.DAT 3 | |
GENPARAMS | PARAMS.DAT | SETPARAMS.DAT
VMSIMAGES.DAT AGEN$PARAMS.REPORT |
TESTFILES | PARAMS.DAT | SYS$OUTPUT |
GENFILES | PARAMS.DAT | PAGEFILE.SYS
SWAPFILE.SYS (および二次ページ・ファイルと 二次スワップ・ファイル) SYSDUMP.DMP AGEN$PARAMS.REPORT |
SETPARAMS | SETPARAMS.DAT | +VAXVMSSYS.PAR
++ALPHAVMSSYS.PAR AUTOGEN.PAR +VAXVMSSYS.OLD ++ALPHAVMSSYS.OLD |
SHUTDOWN | なし | なし |
REBOOT | なし | なし |
AUTOGEN コマンド・プロシージャは,システムをインストールしたりアップグレードしたりするときに自動的に実行し,システム・パラメータの値とシステム・ページ・ファイル,システム・スワップ・ファイル,システム・ダンプ・ファイルのサイズを設定します。AUTOGEN を実行すると,システム・パラメータ値とシステム・ファイル・サイズが再設定されます。新しいパラメータ値とファイル・サイズは,次回システムをブートしたときに有効となります。
@SYS$UPDATE:AUTOGEN [開始フェーズ] [終了フェーズ] [実行モード]
開始フェーズ
AUTOGEN が実行を開始するフェーズを指定します。終了フェーズ パラメータのオプションは, 表 6-3 に一覧してあります。開始フェーズに指定するフェーズのシーケンスは,終了フェーズと同じであるかそれより前でなければなりません。フェーズのシーケンスは, 表 6_3 に一覧してあります。開始フェーズ パラメータにオプションを指定しない場合,ヌルの引数 ("") を入力してください。省略時の開始フェーズは,GENPARAMS です。
終了フェーズ
AUTOGEN が実行を終了するフェーズを指定します。終了フェーズ パラメータのオプションは, 表 6-3 に一覧してあります。終了フェーズを指定しない場合,開始フェーズと同じ値が終了フェーズとして使用されます。実行モード
次のいずれかの実行モード・オプションを指定し,AUTOGEN によるフィードバックの利用方式を制御します。
- FEEDBACK
- NOFEEDBACK
- CHECK_FEEDBACK
- ブランク
それぞれの実行モード・オプションについては, 表 6-4 で説明してあります。
AUTOGEN を起動するには,DCL コマンド・プロンプトに対して,次の構文を使用してコマンドを入力します。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN [start-phase] [end-phase] [execution-mode]
終了フェーズ・パラメータとして SHUTDOWN または REBOOT を指定した場合を除き,コマンドの処理が終了すると,DCL レベルに戻ります。
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