この章では,AlphaServer 4100 で OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を構築するための要件と手順について説明します。
AlphaServer 4100 で OpenVMS Galaxy を構築するには,
構成およびハードウェアに関して,次の要件を十分理解しておく必要があります。
最大 2 つのインスタンス
AlphaServer 4100 では,OpenVMS のインスンタスを最大 2 つ実行できます。
コンソール・ファームウェア
OpenVMS バージョン 7.3 CD-ROM にある AlphaServer 4100 コンソール・ファームウェアが必要です。
コンソール・コマンド
第5章 「AlphaServer 8400 システムでの OpenVMS Galaxy の構築」に示したコンソール・ヒントの他に,次のことにも注意してください。
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コンソール・コマンドは一度に 1 つのインスタンスで入力します。
 - 
最初のコンソールで入力されたコマンドが完了するまで,
別のコンソールでコンソール・コマンドを入力しないでください。
 
 AlphaServer 4100 のクロック
AlphaServer 4100 には 1 つのクロックがあります。OpenVMS Galaxy の場合,
このことは 2 つのインスタンスを異なる時刻に実行できないことを意味します。
また,SET TIME コマンドは両方のインスタンスに影響します。しかし,
かなり時間が経過するまで,このことは明らかにならない可能性があります。
コンソール・ポート
COM1 (上) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (下) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。
AlphaServer 8400 で OpenVMS Galaxy を構築する場合と異なり,
2 つ目のコンソール用に追加ハードウェアは必要ありません。
この目的で COM2 が使用されます。
CPU
CPU0 はインスタンス 0 のプライマリでなければなりません。
CPU1 はインスタンス 1 のプライマリでなければなりません。
CPU2 と 3 はオプションのセカンダリ CPU であり,マイグレードすることができます。
I/O アダプタ
下の 4 つの PCI スロットは IOD0 に属しています。
これはインスタンス 0 用の I/O アダプタです。
上の 4 つの PCI スロットは IOD1 に属しています。
これはインスタンス 1 用の I/O アダプタです。
ストレージ・コントローラ
KZPSA などのストレージ・コントローラが 2 つ必要です。
これらのコントローラは個別の Storageworks ボックスに収納することができ,
SCSI クラスタとして稼働するために,同じボックスに収納することもできます。
各コントローラはそれぞれ IOD0 と IOD1 に接続されます。
ネットワーク・カード
各インスタンスでネットワーク・アクセスが必要な場合は,
各インスタンスに対してネットワーク・カード (DE500 など) が必要です。
カードは 1 枚ずつ,IOD0 と IOD1 に接続されます。
物理メモリ
AlphaServer 4100 の OpenVMS Galaxy では,メモリ・ホールがサポートされないため,
OpenVMS Galaxy 環境用の物理メモリは連続していなければなりません。
AlphaServer 4100 でこのことを実現するには,
次のいずれかの条件を満たさなければなりません。
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すべてのメモリ・モジュールが同じサイズでなければなりません (たとえば 1 GB)。
 - 
2 種類のサイズがある場合は,
1 つのモジュールだけを小さいサイズにすることができます。
大きいサイズのモジュールは番号の小さなスロットに挿入しなければなりません。
 
 AlphaServer 4100 システムで OpenVMS Galaxy を構築するには,
この後の節の操作を行います。
SHOW CONFIG コマンドを使用して,OpenVMS Galaxy 環境を構築するために使用する AlphaServer 4100 が,7.1 項 「はじめに」 で説明した要件を
満たしているかどうか確認します。
コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。
コンソールに次の情報が表示されます。
Console G53_75  OpenVMS PALcode V1.19-16, UNIX PALcode V1.21-24
Module                          Type     Rev    Name
System Motherboard              0        0000   mthrbrd0
Memory  512 MB EDO              0        0000   mem0
Memory  256 MB EDO              0        0000   mem1
CPU (Uncached)                  0        0000   cpu0
CPU (Uncached)                  0        0000   cpu1
Bridge (IOD0/IOD1)              600      0021   iod0/iod1
PCI Motherboard                 8        0000   saddle0
CPU (Uncached)                  0        0000   cpu2
CPU (Uncached)                  0        0001   cpu3
Bus 0  iod0 (PCI0)
Slot   Option Name              Type     Rev    Name
1      PCEB                     4828086  0005   pceb0
4      DEC KZPSA                81011    0000   pks1
5      DECchip 21040-AA         21011    0023   tulip1
Bus 1  pceb0 (EISA Bridge connected to iod0, slot 1)
Slot   Option Name              Type     Rev    Name
Bus 0  iod1 (PCI1)
Slot   Option Name              Type     Rev    Name
1      NCR 53C810               11000    0002   ncr0
2      DECchip 21040-AA         21011    0024   tulip0
3      DEC KZPSA                81011    0000   pks0
  | 
OpenVMS Galaxy ソフトウェアを実行するために,
特別なインストール手順は必要ありません。
Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており,
この章で後述するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して,
有効または無効に設定することができます。
AlphaServer 4100 が SCSI クラスタに属していない場合は,
各インスタンスに対して 1 つずつ,2 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3 をインストールしなければなりません。
AlphaServer 4100 がクラスタで共通のシステム・ディスクを持つ SCSI クラスタの一部である場合は,
1 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3 をインストールします。
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのインストールの詳細については,『OpenVMS インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。
ファームウェアをアップグレードするには,
OpenVMS バージョン 7.3 の CD-ROM パッケージに含まれている「Alpha Systems Firmware Update Version 5.4 CD-ROM」を使用します。
ファームウェアを実際にインストールする前に,
パッケージに同梱されているリリース・ノートを参照してください。
インスタンス 0 に対してプライマリ・コンソールを構成します。
CPU0 はインスタンス 0 のプライマリです。
Galaxy 環境変数を作成します。Galaxy 環境変数と各変数の一般的な値については,第5章 「AlphaServer 8400 システムでの OpenVMS Galaxy の構築」を参照してください。
次の例は CPU 3 つと 256 MB + 192 MB + 64 MB に分割された 512 MB のメモリを装備した AlphaServer 4100 の場合の例です。
P00>>> create -nv lp_count            2
P00>>> create -nv lp_cpu_mask0        1
P00>>> create -nv lp_cpu_mask1        6
P00>>> create -nv lp_io_mask0         10
P00>>> create -nv lp_io_mask1         20
P00>>> create -nv lp_mem_size0        10000000
P00>>> create -nv lp_mem_size1        c000000
P00>>> create -nv lp_shared_mem_size  4000000
P00>>> set auto_action halt
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CPU が 4 つあり,すべてのセカンダリ CPU をインスタンス 1 に割り当てる場合は,
LP_CPU_MASK1 変数が E になります。
2 つのインスタンスで CPU を分割する場合は,
CPU 0 がインスタンス 0 のプライマリ CPU になり,
CPU 1 がインスタンス 1 のプライマリ CPU にならなければなりません。
MEM_SIZE 変数は,システム構成とメモリの分割方法に応じて異なります。
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lp_io_mask0 は 10 に設定しなければなりません。
 - 
lp_io_mask1 は 20 に設定しなければなりません。
 
 コンソール環境変数 AUTO_ACTION は HALT に設定しなければなりません。
これにより,システムはブートされず,Galaxy コマンドを入力できるようになります。
- 
次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxy ファームウェアを起動します。
P00>>> init
P00>>> galaxy
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自己診断テストを完了した後,
Galaxy コマンドはインスタンス 1 でコンソールを起動します。
Galaxy が初めて起動されると,次のような複数のメッセージが表示されます。
IOD0 and IOD1 did not pass the power-up self-test
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これらのメッセージが表示されるのは,2 組の環境変数があり,
Galaxy 変数は最初にインスタンス 1 に存在しないからです。
I/O バスが 2 つの Galaxy パーティション間で分割される場合は,
装置のポート名が変化することに注意してください。
たとえば,AlphaServer 4100 がシングル・システムの場合に,
DKC300 として指定されるディスクは,
OpenVMS Galaxy のパーティション 0 として構成した場合は,DKA300 になります。
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インスタンス 1 のコンソールを構成します。
P01>>> create -nv lp_cpu_mask0        1
P01>>> create -nv lp_cpu_mask1        6
P01>>> create -nv lp_io_mask0         10
P01>>> create -nv lp_io_mask1         20
P01>>> create -nv lp_mem_size0        10000000
P01>>> create -nv lp_mem_size1        c000000
P01>>> create -nv lp_count       2
P01>>> create -nv lp_shared_mem_size  4000000
P01>>> set auto_action halt
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次のコマンドを入力して,システムを初期化し,
Galaxy ファームウェアを再起動します。
コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Y と入力します。
Do you REALLY want to reset the Galaxy (Y/N)
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システム・ルート,ブート装置,他の関連変数を構成します。
次の設定名は OpenVMS Engineering システムの場合の例です。
それぞれの環境の要件に適合するように,これらの変数は適宜変更してください。
P00>>> set boot_osflags 12,0
P00>>> set bootdef_dev dka0
P00>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!!
P00>>> set ewa0_mode twisted
P01>>> set boot_osflags 11,0
P01>>> set bootdef_dev dkb200
P01>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!!
P01>>> set ewa0_mode twisted
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次のように,インスタンス 1 をブートします。
インスタンス 1 がブートされた後,システム・アカウントにログインし,
SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を挿入します。
SCS ノードと SCS システム ID の行が正しいことを確認してください。
次のように AUTOGEN を実行して,インスタンス 1 を Galaxy メンバとして構成し,
システムを停止したままの状態にします。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
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次の手順を実行して,インスタンス 0 をブートします。
インスタンス 0 がブートされた後,システム・アカウントにログインし,
SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を追加します。
SCS ノードと SCS システム ID の行が正しいことを確認してください。
次の手順で AUTOGEN を実行して,インスタンス 0 を Galaxy メンバとして構成し,
システムを停止したままの状態にします。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
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初期化またはシステムのパワー・サイクルで自動的に起動されるように,
Galaxy を準備します。
両方のインスタンスで AUTO_ACTION 環境変数を RESTART に設定します。
P00>>> set auto_action restart
P01>>> set auto_action restart
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プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力して,Galaxy を再び初期化します。
コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Y と入力します。
Do you REALLY want to reset the Galaxy (Y/N)
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また,システムの電源をいったんオフにした後,オンにすることもできます。
このようにすると,
両方のインスタンスで Galaxy が自動的にブートストラップされます。
 
操作はこれで終了です。OpenVMS Galaxy が構築されました。