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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMSマニュアル
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タイトルページ
目次
まえがき
第1部:新機能
第1章:V8.4の新機能概要
第2章:一般ユーザ機能
第3章:仮想化機能
第4章:性能の強化
第5章:耐障害性およびクラスタ機能
第6章:ストレージ・デバイスとI/Oのサポート
第7章:セキュリティ機能
第8章:システム管理機能
第9章:プログラミング機能
第10章:関連製品の新機能
第2部:英文ドキュメント
第11章:ドキュメントの概要
第12章:ドキュメントの提供形態
第13章:マニュアルの説明
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HP OpenVMS
V8.4 新機能説明書


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第 4 章
性能の強化

この章では,本バージョンにおける性能の強化に関する新機能について説明します。

4.1 RAD サポート (Integrity のみ)

OpenVMS Version 8.4 では,セルベースの Integrity サーバで RAD をサポートしています。この機能により,セル・ローカル・メモリ(CLM)が構成されたセルベース・システムの利点を OpenVMS で利用することができます。 CLM とインターリーブ・メモリ (ILM) の両方が構成されたシステムでは, OpenVMS はセル内の CLM からプロセス・メモリを割り当て,同じセル内の CPU 上でプロセスを実行するようにスケジューリングします。あるセルの CPU が別のセルのメモリを参照する頻度が少なくなるため,そのプロセスに対する全体的なメモリ・レイテンシと帯域幅は改善されます。

前提条件

RAD サポート機能を使用するためには, Partition Manager ソフトウェアを使用してオペレーティング・システム上で CLM が構成されていなければなりません。 Partition Manager により,システム管理者は GUI を使用して HP のサーバ・システムで nPartition を構成および管理することができます。 Partition Manager は,HP-UX,Microsoft Windows, Red Hat Enterprise Linux,および SUSE Linux Enterprise Server でサポートされます。このソフトウェアは,クライアント・システムの Web ブラウザを通してユーザとやりとりします。クライアント・システムは,サーバ・システムと同じでも別のワークステーションや PC でも構いません。 Partition Manager は OpenVMS 上では動作しません。詳細およびソフトウェアのダウンロードについては,次のURLを参照してください。 http://docs.hp.com/en/PARMGR2/

推奨事項

OpenVMS では CLM と ILM の両方を組み合わせてシステムを構成することをお勧めします。最初は,各セルで 50% のメモリを CLM として構成してください。最適な性能を引き出すためには,ハードウェアのガイドラインに従って CLM と ILM の組み合わせでシステムを構成してください。セルベース・システムでは,セルの数と ILM の量は 2 の累乗でなければなりません。

CLM が構成されたシステムのデフォルト設定では, RAD サポートが有効な状態で OpenVMS がブートします。 RAD_SUPPORT システム・パラメータを 0 に設定することにより RAD サポートを無効にすることができます。 RAD サポートを無効にするお勧めの方法は,システム上のすべてのメモリを ILM として構成することです。

Integrity システム上に ILM と CLM の両方が存在する場合, ILM は追加 RAD として認識されます。システム上のすべての CPU は,メモリにアクセスする際の平均的なメモリ・レイテンシーはどれも同じようなものなので,すべての CPU がこの RAD に関連付けられます。 RAD と ILM の両方を持つ Alpha ハードウエアは存在しないため,この追加的な RAD は Alpha では認識されません。

たとえば,セル毎に 16 GB のメモリを持ち,セル毎に 8 つのコアを持つ 2 セルの rx7640 システムを例に考えてみます。このシステムでセル毎に 50% の CLM を構成した場合,システムをブートすると OpenVMS は 3 つの RAD でシステムを構成します。 RAD 0 には最初のセルの CLM とコアが含まれます。 RAD 1 には 2 番目のセルとコアが含まれます。 3 つ目の RAD (RAD 2) には ILM とすべてのコアが含まれます。

3 つの RAD が存在しますが,プロセスはホーム RAD として最初の 2 つの RAD のみに割り当てられます。コアが最初に現れる RAD が,そのコアにとって最善のメモリ・アクセスを行なう RAD です。 $GETSYI システム・サービスと F$GETSYI レキシカル関数は, RAD_CPUS 項目コードに対してこれを列挙します。

オペレーティング・システムはシステム・ブート時に,共有されオペレーティング・システム・データが割り当てられている RAD からベース RAD を割り当てます。オペレーティング・システムが割り当てるベース RAD は ILM を持つ RAD です。これは,すべての CPU がこのメモリに同じようにアクセスするためです。非ページング・プールはベース RAD から割り当てられます。デフォルトでは,RAD ごとの非ページング・プールは無効になっています。

デフォルトでは,グローバル・ページ・フォルトは,フォルトが発生した CPU の RAD ではなくベース RAD からのページで満足します。グローバル・セクションはすべての RAD で実行しているプロセスからアクセスできるため,ページは ILM を持つ RAD からアロケートされます。

RAD サポートについての詳細は,『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』を参照してください。

4.1.1 RAD ベース・システムのためのページのゼロ化 (Integrity および Alpha)

アイドル・ループ内では,将来必要となるゼロ・ページ・フォルトを満たすために CPU は削除されたメモリ・ページをゼロ化することができます。 ZERO_LIST_HI システム・パラメータは,オペレーティング・システムがゼロの状態で維持しなければならないゼロ・ページの最大数を指示します。複数の RAD を持つシステムでは,ZERO_LIST_HI は RAD ごとのゼロ・ページの最大数を指定します。

4.1.2 SYS$EXAMPLES:RAD.COM (Integrity および Alpha)

SYS$EXAMPLES:RAD.COM コマンド・プロシージャは, F$GETSYI 項目コードの RAD_CPUS および RAD_MEMORY に関する RAD の使用例を示します。このプロシージャは,Integrity サーバおよび Alpha システムのための RAD 構成をより簡潔に表示するようにアップデートされています。

$ @SYS$EXAMPLES:RAD 
 
Node: SYS123 Version: V8.4  System: HP rx7640  (1.60GHz/12.0MB) 
 
RAD   Memory (GB)   CPUs 
===   ===========   =============== 
  0        3.99     0-7 
  1        3.99     8-15 
  2        7.99     0-15 

上記の例では,各セルが 50% の CLM を持つように構成された 16 GB メモリ搭載の rx7640 システムでプロシージャが実行されています。各セルからの CLM の一部と ILM メモリはコンソールに割り当てられるため,オペレーティング・システムが使用することはできません。結果として,最初の 2 つの RAD は 4 GB に満たず, ILM を持つ RAD は 8 GB に達しません。

4.1.3 RAD メモリの使用量 (Integrity および Alpha)

SDA コマンド SHOW PFN/RAD を使用すると,RAD ごとのメモリ使用量を確認することができます。このコマンドは,RAD ごとの空きページ数およびゼロページ数を報告します。 SHOW PFN/RAD コマンドを実行すると CPU が大々的に使用されます。このため,SHOW PFN/RAD コマンドは,RAD ごとのメモリ使用量を確認したい場合のみに使用してください。


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