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HP OpenVMS: システム管理者マニュアル (上巻)

第3章 ソフトウェアのインストール,アップグレード,アップデート

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OpenVMSドキュメント・ライブラリ

目次
まえがき
第1章:本書の概要
第2章:管理ユーティリティとツール
第3章:インストールとアップグレード
第4章:システムの起動と停止
第5章:オペレーティング・システムのカスタマイズ
第6章:システム時刻の設定
第7章:ユーザアカウントの管理
第8章:周辺デバイスの管理
第9章:記憶媒体の管理
第10章:ファイルとディレクトリの操作
第11章:BACKUPの使用方法
第12章:機密保護
第13章:キュー・マネージャとキュー・データベースの管理
第14章:キューの設定と保守
索引
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目次

3.1 レイヤード製品のインストール,アップグレード
3.2 VMSINSTAL.COM 実行にあたってのシステムの準備
3.2.1 使用準備の実行
3.2.2 ライセンスの登録とロード
3.2.3 ノードによる PAK 共用の防止
3.3 VMSINSTAL.COM の実行
3.3.1 製品リストの選択
3.3.2 ソースの選択
3.3.3 オプションの選択
3.3.4 出力先の選択
3.3.5 操作のチェック,ログ表示,確認
3.3.6 インストール終了時の処理
3.4 システム障害からの回復
3.5 VMSINSTAL.COM のオプションの選択の詳細
3.5.1 Autoanswer (A) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)
3.5.2 Alternate Working Device (AWD=) オプションの使い方
3.5.3 Get Save Set (G) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)
3.5.4 File Log (L) オプションの使い方
3.5.5 Release Notes (N) オプションの使い方
3.5.6 Alternate Root (R) オプションの使い方
3.6 POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用
3.6.1 プロダクト・ファイルとデータベース
3.6.2 ソフトウェア製品キットの形式
3.6.3 ソフトウェア製品の命名規則
3.6.4 製品構成ファイル (PCF) の作成
3.6.5 製品データベースの使用
3.6.6 回復データ・セットについて
3.7 POLYCENTER Software Installation ユーティリティ でのインストール
3.7.1 準備作業の実行
3.7.2 製品のリリース・ノートの抜き出し
3.7.3 製品のインストール
3.7.4 インストールの質問に対する応答
3.7.5 応答の確認
3.7.6 バッチ・ジョブとしてのインストールの実行
3.7.7 削除可能な状態でのパッチ・キットのインストール
3.8 POLYCENTER Software Installation ユーティリティによる,インストールしたソフトウェア製品に対する他の操作の実行
3.8.1 インストールした製品の再構成
3.8.2 製品データベース内のボリューム・ラベルの変更の記録
3.8.3 新しい位置へのソフトウェア・キットのコピー
3.8.4 ソフトウェア・キットの形式の変換
3.8.5 製品情報の検索
3.8.6 パッチ回復情報の取り出し
3.8.7 パッチ回復データの削除
3.8.8 インストールしたソフトウェア製品とキットの削除
3.8.9 パッチ・キットのアンインストール

この章では,OpenVMS レイヤード製品のインストールとアップグレード,アップデートに関連する事項について説明します。

注記: OpenVMS オペレーティング・システム・ソフトウェアのインストール,アップグレード,およびアップデートの手順は,VAX システム用,Alpha システム用,または I64 システム用の,最新の『OpenVMS インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。

レイヤード製品ソフトウェアのインストールやアップグレードには,次の 2 つの方法が利用できます。

  • VMSINSTAL.COM コマンド・プロシージャ

  • POLYCENTER Software Installation ユーティリティ

レイヤード製品は,使用する方法ごとに別々にパッケージングされています。 どちらの方法を使用するかは,レイヤード製品のドキュメントを参照してください。

この章の内容

この章では,次の作業について説明します。

作業

参照箇所

レイヤード製品ソフトウェアのインストール

3.1 項 「レイヤード製品のインストール,アップグレード」

VMSINSTAL.COM を使用したレイヤード製品ソフトウェアのインストール

3.2 項 「VMSINSTAL.COM 実行にあたってのシステムの準備」 から 3.5 項 「VMSINSTAL.COM のオプションの選択の詳細」

POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用したレイヤード製品のインストール

3.6 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用」 から 3.8.8 項 「インストールしたソフトウェア製品とキットの削除」

さらに,次の項目について説明します。

項目

参照箇所

VMSINSTAL.COM コマンド・プロシージャ

3.2 項 「VMSINSTAL.COM 実行にあたってのシステムの準備」

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ

3.6 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用」

3.1 レイヤード製品のインストール,アップグレード

VMSINSTAL.COM を使用してレイヤード製品をインストールまたはアップグレードする場合は,以降の説明を参照してください。

作業

参照箇所

VMSINSTAL.COM コマンド・プロシージャ実行にあたってのシステムの準備

3.2 項 「VMSINSTAL.COM 実行にあたってのシステムの準備」

レイヤード製品をインストールするための,VMSINSTAL.COM の実行

3.3 項 「VMSINSTAL.COM の実行」

システム障害からの復旧

3.4 項 「システム障害からの回復」

VMSINSTAL.COM のオプションの選択

3.5 項 「VMSINSTAL.COM のオプションの選択の詳細」

これらの節で,具体的に VMSINSTAL.COM の使用手順を説明することはない。 紹介している例は,説明のためだけのものである。 個々の製品のインストール手順については,それぞれの製品のインストレーション・マニュアルを参照。

POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用してレイヤード製品をインストールまたはアップグレードする場合は,3.6 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用」 およびレイヤード製品のインストレーション・マニュアル) を参照。

作業

参照箇所

POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用したレイヤード製品のインストール

3.6 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用」

レイヤード製品のインストール

3.7 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ でのインストール」

インストールされたレイヤード製品ソフトウェアに対する操作の実行

3.8 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティによる,インストールしたソフトウェア製品に対する他の操作の実行」

インストールしたレイヤード製品ソフトウェアの削除

3.8.8 項 「インストールしたソフトウェア製品とキットの削除」

3.2 VMSINSTAL.COM 実行にあたってのシステムの準備

この節では,VMSINSTAL.COM を使用するにあたってシステムで準備すべきガイドラインを提供します。 すべてのソフトウェア製品が,次に挙げるガイドラインのすべてを満たさなければならないというわけではありません。

3.2.1 使用準備の実行

VMSINSTAL.COM を使用するためには, 次の処理を行っておく必要があります (任意の順序で構いません)。

  • オリジナルのシステム・ディスクのバックアップ (11.17 項 「システム・ディスクのバックアップと復元」 参照)。 インストールには,作業用としてバックアップ・コピーの方を使用する。

    VMSINSTAL.COM は製品の古いバージョンを削除してから, 新しいバージョンをインストールする。 インストール中にシステム障害が発生した場合は, システム・ディスクの作業用コピーを新たに作成して, プロシージャを再起動しなければならないことがある。

  • コンソール・ターミナルから SYSTEM アカウントへログイン

  • すべてのユーザのログアウトとすべてのバッチ・ジョブの終了の確認。 それぞれ SHOW USERS コマンドと SHOW SYSTEM コマンドを使って確認する。 次のコマンドを使用して,VMSINSTAL.COM が終了するまで, ユーザにシステムを使用させないようにする。

    $ SET LOGINS/INTERACTIVE=0
    
    注意:

    DCL ヘルプ・ライブラリをアップデートするレイヤード製品のインストール時に, (すべてのユーザをログオフせず,) あるユーザが DCL ヘルプにアクセスしていると, そのレイヤード製品用のヘルプ・ファイルはインストールされないので注意してください。 この場合,インストレーション・プロシージャが警告メッセージを作成し, そのヘルプ・ファイルを作業ディレクトリに格納します。

  • DECnet for OpenVMS のシャットダウン。

  • システム・パラメータのチェック (GBLPAGES,GBLSECTIONS,NPAGEYN などのパラメータは, しばしば調整する必要がある)。 インストールするレイヤード製品に添付されている資料を読んで, 具体的な資源要件があるか確認する。

    パラメータ値を変更する必要がある場合は, MODPARAMS.DAT に "ADD_パラメータ名" シンボルを書き加え, パラメータ値を増やす (『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』参照)。

    AUTOGEN にフィードバック指定して,正しい大きさにシステム資源を設定する (『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』参照)。

  • SYSTEM アカウントのユーザ登録ファイルの上限値が推奨上限値に等しいか大きいことの確認。

    上限値を調べるためには,AUTHORIZE ユーティリティを使用して,SYSTEM アカウントのユーザ登録ファイルの現在の上限値を表示する。

    次のコマンドを入力して,まず AUTHORIZE ユーティリティを実行する。

    $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
    $ RUN AUTHORIZE
    

    そして,UAF プロンプト (UAF>) に対して,次のコマンドを入力する。

    UAF> SHOW SYSTEM
    

    詳細は7.1.2 項 「制限とクォータ」 を参照。

  • AUTHORIZE ユーティリティによる SYSTEM アカウント上限値の変更 (必要な場合のみ)。 いったんログアウトするまで,変更は有効にはならない。

    たとえば,DIOLM 上限値を 100 に増やす場合は,次のコマンドを入力する。

    UAF> MODIFY SYSTEM/DIOLM=100
    

    詳細は7.1.2 項 「制限とクォータ」 を参照。

  • ソフトウェア製品ディストリビューション・メディアの物理的なマウント。 詳細は9.5 項 「ボリュームのマウント」 を参照。

  • ライセンスの登録とロード (3.2.2 項 「ライセンスの登録とロード」 を参照)。

3.2.2 ライセンスの登録とロード

ライセンス とは,製品に必要な使用権を意味します。 ライセンス管理機能 (LMF) を使用すると, ソフトウェア・ライセンスオンラインで登録,管理,および記録することができます。

PAK (製品登録キー) は, 多くの弊社製品に関する情報が含まれているキーです。 PAK に提供されているデータを使い, システムのライセンス・データベースにソフトウェア・ライセンスを登録することができます。

OpenVMS オペレーティング・システムのインストール中にオペレーティング・システムのライセンスを登録もロードもしなかった場合は, ソフトウェア製品をインストールする前に,この作業を行う必要があります。 また,必要であれば別のライセンスの登録も行います。

  1. システム管理者の SYSTEM アカウントにログインする。

  2. 次のいずれかの方法でライセンスを登録する。

    • SYS$UPDATE:VMSLICENSE.COM プロシージャを起動する。 情報の入力を求めるプロンプトが表示されるので, PAK のデータを入力する。 このとき別のソフトウェア製品のライセンスを登録できる。

    • DCL プロンプトに対して,ライセンス PAK 情報に対応する修飾子を指定した LICENSE REGISTER コマンドを入力する。

  3. 次のいずれかのユーティリティを使用してライセンスをロードする。

    • ライセンス管理機能 (LMF)

      ローカル・ノードにのみ PAK をロードする。

    • SYSMAN ユーティリティ

      クラスタ全体に PAK をロードする (SYSMAN LICENSE コマンドは LMF コマンドのサブセットである)。

    VMSINSTAL.COM を使用するには, ローカル・ノードにのみライセンスをロードする必要がある。

ライセンスのロード方法については, 『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。

3.2.3 ノードによる PAK 共用の防止

LICENSE MODIFY コマンドに /NO_SHARE 修飾子を指定すると, ライセンス・データベース (LDB) に登録されている PAK に NO_SHARE オプションを追加することができます。 NO_SHARE の PAK は, OpenVMS Cluster システム内の単一ノードに割り当てられます。 NO_SHARE PAK を他の OpenVMS Cluster のノードと共用することはできません。

この修飾子を使用すると,LDB 内に他の PAK が既に存在するソフトウェア製品で,この PAK を使用しようとするときに生じる問題を回避できます。 PAK は,同じソフトウェア製品の他の PAK とは結合しないため, LICENSE-W-NOCOMB 警告メッセージが表示されます。 ほとんどの場合,ライセンスは,ロードしたいノードにはロードされません。

この問題を回避するためには,次の操作を行います。

  1. NOCOMB 警告メッセージが表示された PAK に NO_SHARE オプションを追加する。

  2. 各 PAK を特定の OpenVMS Cluster ノードに割り当てる。

3.3 VMSINSTAL.COM の実行

VMSINSTAL.COM を実行するにあたっては,次の事項に注意してください。

  • 必ず該当する製品のアップデートまたはインストール手順をお読みください。 インストール中に分からないことがあれば,疑問符 (?) を入力すると,入力可能な応答についての説明が表示されます。

  • VMSINSTAL.COM を起動すると,インストールを指示または説明するプロンプトとメッセージが表示されます。 これらのプロンプトとメッセージは,インストールするソフトウェア製品によって異なります。

  • システム・ディスクのバックアップを行ったかどうか尋ねられます。 バックアップを行っていない場合は, システム・ディスクのバックアップを行ってから, インストールを続けてください。

  • VMSINSTAL.COM の起動に必要な条件が完全に満たされていない場合, プロシージャは問題点を指摘する警告メッセージを表示して,操作を継続するか問い合わせます。 条件を完全に満たしてから,再度 VMSINSTAL.COM を起動することをお勧めします。

    重要:

    求められた処置を行わずにプロシージャを継続した場合,インストール結果は保証されません。

VMSINSTAL.COM の起動方法

VMSINSTAL.COM を実行するには,次の形式でコマンドを入力します。

@SYS$UPDATE:VMSINSTAL product-list source: [OPTIONS option-list] [destination] [qualifiers]

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL CALENDAR020 MUA0:

この例は MUA0: ドライブの磁気テープに入っている CALENDAR020 という名のセーブ・セット製品 CALENDAR をインストールしている例です。 オプションなし,修飾子なしの最も単純なコマンドの例です。

以降の項では,VMSINSTAL.COM コマンド行で使用できる必須およびオプションのパラメータについて説明します。

インストールの終了方法については, 3.3.6 項 「インストール終了時の処理」 で説明します。

3.3.1 製品リストの選択

製品は,セーブ・セット という,複数のファイルを格納するため特別にフォーマットされたファイルに格納されています。 インストールやアップグレードでは,セーブ・セットに含まれるファイルがシステム・ディスクに移動されます。

製品リスト・パラメータは,これからインストールする製品のリストです。 このパラメータは,レイヤード製品をインストールしたり, オペレーティング・システムをアップデートしたりするときに使用します (アップグレード・プロシージャを実行する場合, 製品 VMSnnn は 1 つしかリストできません)。

注意:

レイヤード製品のインストールとオペレーティング・システムのアップデートを同時に行おうとする場合, ワイルドカード文字を使用しないでください。 この場合は,システムのアップデートを最初に行う必要があります。 ワイルドカード文字を使用すると,VMSINSTAL が製品リストをアルファベット順にソートし,その結果,オペレーティング・システムが最初にインストールされなくなります。

製品リスト・パラメータに複数の項目を指定する場合は, それぞれの項目をコンマで区切ります。 その際,スペースを間にいれないでください。 製品リストを指定するには,次のフォーマットを使用します。

facvvu

表 3-1 「facvvu セーブ・セット・ファイル名の形式」 に,この facvvu の形式の意味を示します。 この形式を使用すると,複数のバージョンとアップデートが入ったディストリビューション・メディアから, その製品の特定のバージョンとアップデートをインストールすることができます。 バージョンやアップデート番号を指定しない場合は, 指定された製品のすべてのバージョンとアップデートがアルファベット順にインストールされます。

表 3-1 facvvu セーブ・セット・ファイル名の形式

fac

製品名コード (1 文字から 36 文字の英数字)

vv

メジャー・バージョン番号 (2 桁)

u

マイナー・バージョン番号 (アップデート番号とも呼ばれる) (1 桁)

 

ディストリビューション・キットからインストールを行う場合は, ディストリビューション・メディアに入っている製品リストはキット内容表に記述されています。 製品リストがない場合は,DIRECTORY コマンドで確認してください。 DIRECTORY コマンドを入力すると, ディストリビューション・メディアに入っている製品が表示されます。

製品リストの表示方法

製品リストを表示する場合は,次の形式でコマンドを入力します。

MOUNT/OVERRIDE=ID デバイス:

DIRECTORY デバイス:[0,0]

ただし,デバイスはディストリビューション・メディアが装着されているドライブです。

ディスク・ディレクトリからインストールを行う場合は, 次の形式の DIRECTORY コマンドでディスク・ディレクトリを指定することによって,製品リストを表示することができます。

DIRECTORY node::device:[directory]

  1. $ MOUNT/OVERRIDE=ID MUA0:
    %MOUNT-I-MOUNTED, VMS071       mounted on _MUA0:
    $ DIRECTORY MUA0:[0,0]
    

    MUA0: ドライブに入っている製品を表示する DIRECTORY コマンドの例です。 表示例を次に示します。

    Directory MUA0:[000,000]
    
    000000.DIR;1        BACKUP.SYS;1        BADBLK.SYS;1        BADLOG.SYS;1
    BITMAP.SYS;1        CONTIN.SYS;1        CORIMG.SYS;1        DECW071.C;1
    DECW071.D;1         DECW071.E;1         DECW071.F;1         INDEXF.SYS;1
    ISL_SCRIPT.ESS;1    SECURITY.SYS;1      SYS0.DIR;1          VMS071.A;1
    VMS071.B;1          VMS071.C;1          VMS071.D;1          VMS071.E;1
    VMS071.F;1          VOLSET.SYS;1
    
    Total of 22 files.
    
  2. $ DIRECTORY BRAVO::DUA1:[0,0]
    

    この DIRECTORY コマンドは, ノード BRAVO の DUA1: ドライブに存在する製品を表示します。

注意:

遠隔ノードにアクセスする場合は,ディレクトリに対する読み込みと実行のアクセス権 (R,E) が必要です。

3.3.2 ソースの選択

ソース・パラメータはインストールするソフトウェア製品のソースを示し,次のうちのいずれか 1 つを指定することができます。

  • ディストリビューション・メディアが装着されているドライブ

    たとえば, TK50 ドライブを MUA0: ドライブとして指定することができる。

  • 後でインストールするために前もってディストリビューション・メディアから転送された製品セーブ・セットが入ったディスク・ディレクトリ

    Get Save Set オプションを選択した場合は, ソースとしてディスク・ディレクトリを指定する。 このオプションについては, 3.5.3 項 「Get Save Set (G) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)」 で詳しく説明する。

  • 別のノードのディスク・ディレクトリ

ソースとして論理名を指定することもできます。 ソースが省略された場合, VMSINSTAL.COM は次のプロンプトを出して,指定を求めます。

* Where will the distribution volumes be mounted:

3.3.3 オプションの選択

VMSINSTAL.COM には,6 つのオプションを使用することができます。 表 3-2 「VMSINSTAL.COM のオプション」 に,この 6 つのオプションを示します。 各オプションについては,3.5 項 「VMSINSTAL.COM のオプションの選択の詳細」 でさらに詳しく説明します。

表 3-2 VMSINSTAL.COM のオプション

オプション文字

オプション名

説明

A

Autoanswer

アップグレード後の製品の再インストールを簡略化するオプション。 再インストール中の問い合わせとプロンプトに対して応答する。 レイヤード製品のインストールにのみ使用。

AWD=

Alternate Working Device

一時作業ディレクトリの代替作業ディレクトリの指定。 レイヤード製品のインストールまたはアップデートの実行にのみ使用。

G

Get Save Set

磁気テープまたはディスク・ディレクトリへの一時的な製品セーブ・セットの格納。 時間の節約になる。 レイヤード製品のインストールにのみ使用。

L

File Log

インストール中のファイルの動作をターミナルに記録する。

N

Release Notes

レイヤード製品に含まれるオンライン・リリース・ノート・ファイルの表示またはプリント。

R

Alternate Root

使用中のシステム以外のシステム・ディスクへの製品のインストール。

 

各オプションは,VMSINSTAL.COM コマンドにおいて OPTIONS キーワードの後に指定します。 OPTIONS キーワードは省略することができます。 しかし,リスト形式でオプションを指定する場合は,リストの前に必ず OPTIONS を入力する必要があります。 OPTIONS キーワードを入力せずにリスト形式を指定すると,VMSINSTAL.COM はエラー・メッセージを表示してインストールを中止します。 オプション・リスト・パラメータとは,必要なオプションのリストのことです。

作業方法

次に,各オプションを指定する手順を示します。

  1. キーワード OPTIONS の後にオプションを入力して, VMSINSTAL.COM プロシージャを起動する。

  2. Return を押す。

複数のオプションを指定する場合は,それぞれのオプションをコンマで区切ります。 スペースを間に入れないでください。

$ @VMSINSTAL.COM NEWAID021 MTA0: OPTIONS A,N

3.3.4 出力先の選択

出力先パラメータは省略することができます。 省略時の設定では,システム・ディスクのシステム共通ディレクトリ SYS$COMMON と見なされます。 ただし,次の 2 つの場合,出力先パラメータは必ず指定する必要があります。

  • 代替ルートに製品をインストールする場合。

    製品は,ターゲット・システムが動作しているディスク以外のシステム・ディスクにインストールされる。 代替システム・ルートは,次の形式で指定する。

    デバイス: [SYSn.]

    デバイス

    代替ルートが存在するデバイス

    SYSn.

    代替システム・ルートのトップ・レベルのディレクトリ

    定義済み論理名を代替ルートに使用することもできる。

  • いったん製品キット・セーブ・セットを保管用ディレクトリにコピーしておき, 後でインストールする場合。

    出力先ディレクトリは,次の形式で指定する。

    デバイス:[ ディレクトリ ]

    デバイス

    出力先のディスク・ドライブ

    ディレクトリ

    通常は,指定したディスク上の製品セーブ・セットの保管専用ディレクトリ

3.3.5 操作のチェック,ログ表示,確認

VMSINSTAL.COM コマンド・プロシージャには,セーブ・セットを出力先ディレクトリにコピーする BACKUP コマンドが含まれています。 このため,VMSINSTAL.COM の Get Save Set オプションに BACKUP 修飾子を指定すると,コピー操作のチェック,ログ表示,確認を行うことができます。 詳細は 3.5.3 項 「Get Save Set (G) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)」 を参照してください。

3.3.6 インストール終了時の処理

インストールが終了すると,VMSINSTAL.COM は,インストールした製品の要求に従って,次のいずれかの処理を行います。

  • システムの自動停止。 リブートの指示が表示されることもある。

  • システム・プロンプトへの復帰

製品のインストール終了後,アップデートしたシステム・ディスクのバックアップを取ってください。 バックアップの方法については,11.17 項 「システム・ディスクのバックアップと復元」 で詳しく説明します。

3.4 システム障害からの回復

アップデートまたはオプションのソフトウェア製品のインストール中にシステム障害が発生した場合,VMSINSTAL.COM は, システムのリブートを行ってインストールを続行しようとします。 システム障害の発生時期によって,次のいずれかの操作を行います。

  • システム・ディスクを変更する前に,システム障害が発生した場合。

    VMSINSTAL.COM は,インストールをやり直すように指示する。

  • インストールで使用されるシステム・ディスクまたはライブラリが破損した場合。

    VMSINSTAL.COM は,システム・ディスクまたは破損したライブラリをバックアップ・コピーから復元して,インストールをやり直すように指示する。

  • VMSINSTAL.COM がインストールを続行する場合。

    プロシージャがインストール処理の大部分を実行する。 さらに,ユーザが行うべき作業が存在する場合は,VMSINSTAL.COM が指示を出す。

3.5 VMSINSTAL.COM のオプションの選択の詳細

コマンド・プロシージャ VMSINSTAL.COM は,表 3-2 「VMSINSTAL.COM のオプション」 で簡単に説明した 6 つのオプションを選択するかどうか尋ねます。 以降の節では,それら 6 つのオプションについて詳しく説明します。

3.5.1 Autoanswer (A) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)

Autoanswer オプションは,再インストール中, VMSINSTAL.COM の問い合わせとプロンプトに対して応答し, アップグレード後の再インストールを簡略化します。 アップグレード後,製品を再インストールする場合には, このオプションを利用してください。

初めて製品をインストールするときに Autoanswer オプションを使用すると,SYS$UPDATE ディレクトリに product.ANS の形式で 応答ファイル が作成されます。 ここでの product とは,VMSINSTAL.COM の起動時に指定する製品名パラメータです。

応答ファイルには,VMSINSTAL.COM からの問い合わせとプロンプトに対する応答が記録されます。 たとえば,Autoanswer オプションを選択して,NEWAID010 という製品をインストールしたときの応答ファイル名は NEWAID010.ANS です。

製品を再インストールするときに Autoanswer オプションを選択すると, VMSINSTAL.COM は問い合わせをせずに応答ファイルを読み込みます。 Autoanswer オプションは,一般的に, オペレーティング・システムのアップグレード後に使用します。

製品を再インストールするときに新しい応答ファイルを作成する場合は,すでにある応答ファイルを削除します。

Autoanswer オプションを使用するには,次のコマンドを指定します。

$ SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEW$PRODUCT010 CSA1: OPTIONS A

その後,次のコマンドを実行すると,ファイルの内容を確認することができます。

$ TYPE SYS$COMMON:[SYSUPD]NEW$PRODUCT010.ANS;1
* Do you want to install the entire kit [Y]? \
* Are these selections correct [Y]? \
* Does this product have an authorization key registered and loaded? \Y
* Will you allow a system shutdown after this product is installed [YES]? \
* How many minutes for system shutdown [0]: \
* Do you want to do an automatic system reboot [YES]? \
$

3.5.2 Alternate Working Device (AWD=) オプションの使い方

制限事項:

このオプションは,製品のインストレーション・ガイドをチェックして, その製品でサポートされていることを確認してから使用してください。

Alternate Working Device オプションを使用すると, 一時作業ディレクトリ用の代替作業ディレクトリ (論理名:VMI$KWD) を指定することができます。 代替作業ディレクトリが存在すると, 通常システム・ディスクに必要とされる未使用ブロック数より少ないブロック数でも, インストールを行うことができます。

このオプションが指定されなかった場合,VMSINSTAL.COM は次の場所に一時作業ディレクトリを作成します。

SYS$SPECIFIC:[SYSUPD.facvvu]

facvvuitalic については, 表 3-1 「facvvu セーブ・セット・ファイル名の形式」 を参照してください。

作業方法

Alternate Working Device オプションは,次の形式で指定します。

AWD= デバイス: [ ディレクトリ ]

デバイス

代替作業デバイス

ディレクトリ

facvvuitalic を作成するディレクトリ

ディレクトリは省略することができます。 ディレクトリを省略した場合は,指定したデバイス上の [000000.facvvuitalic] というディレクトリ指定に作業ディレクトリが作成されます。 ディレクトリを指定した場合は, 指定したディレクトリ内のサブディレクトリとして作業ディレクトリが作成されます (たとえば,WORK.facvvuitalic)。 指定したディレクトリが存在しない場合は,ディレクトリは作成されません。

次の例では,代替デバイス DUA2 に [INSTALL] という作業ディレクトリを作成しています。

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS AWD=DUA2:[INSTALL]

3.5.3 Get Save Set (G) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)

注意:

オペレーティング・システムのコピーに Get Save Set オプションを使用することはできません。

ディストリビューション・テープからインストールしても, コンソール・メディアからインストールしても, 製品を直接システムへインストールするのは時間がかかります。 Get Save Set オプションを使用すれば,ユーザが別の作業をしている間に製品セーブ・セットのコピーを一時的に格納するので,時間の節約になります。 つまり,アップデートなどの作業を,都合のいい時間に,しかも短時間で行うことができます。

どこかのノードに,製品のライセンスを受けたユーザしかアクセスできないディスクを用意しておきます。 このような専用のディスクに製品セーブ・セットを格納しておけば,ライセンスを受けたユーザは, その製品セーブ・セットに高速にアクセスできます。

3.5.3.1 製品セーブ・セットを保管する

Get Save Set オプションを使ってディスク・ディレクトリに製品セーブ・セットを保管する場合は, 次のコマンド構文で VMSINSTAL.COM を使用します。

@SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM 製品リスト ソース OPTIONS G デバイス:[ディレクトリ]

ディレクトリは既存のものであり,デバイスはマウントされている必要があります。

Get Save Set オプションしか使用しない場合は, OPTIONS G パラメータの直後にディスク・ディレクトリ名を入力します。 G とディスク・ディレクトリ名の間にはスペースを 1 つ入れてください。 たとえば,コンソール・ドライブにある NEWAID010 という製品のセーブ・セットをディスク・ディレクトリの USER1:[PRODUCTS] に保管する場合は,次のコマンドを入力します。

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS G USER1:[PRODUCTS]

Get Save Set オプション以外のオプションも使用する場合は,最後のオプションの後にディスク・ディレクトリ名を入力します。 この場合も,最後のオプションとディスク・ディレクトリ名の間にはスペースを 1 つ入れます。 たとえば,次のようなコマンドを入力します。

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS G,N USER1:[PRODUCTS]

VMSINSTAL.COM は, 製品セーブ・セットを保管するためのファイルを指定されたディスク・ディレクトリに作成します。 次に,セーブ・セットのファイル名の形式を示します。

facvvu.x

facvvu の意味については,表 3-1 「facvvu セーブ・セット・ファイル名の形式」 を参照してください。 ファイル名拡張子 (x) は次の意味を持ちます。

x

セーブ・セット・ファイルを特定するための文字型ファイル・タイプ。 A が最初のセーブ・セット,B が 2 番目,C が 3 番目など。

3.5.3.2 製品をインストールする

システムに製品をインストールするためには,次のコマンド形式で VMSINSTAL.COM を起動します。

@SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM 製品リスト デバイス: [ ディレクトリ ]

次の例では,NEWAID010 という製品をインストールしています。

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL NEWAID010 USER1:[PRODUCTS]

VMSINSTAL.COM が,システム・ディスクに NEWAID 製品をインストールします。

3.5.3.3 バックアップ修飾子の指定

Get Save Set オプションを使用すると,/VERIFY, /LOG, /CONFIRM という 3 つの BACKUP コマンド修飾子を指定することができます。 修飾子は,Get Save Set オプション (G) のパラメータとして渡されるので, 二重引用符で囲みます。 VMSINSTAL は,このパラメータを VMSINSTAL 内の BACKUP コマンドに渡します。 次の例には,Get Save Set オプションと BACKUP 修飾子が含まれています。

$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL TEST042 DUA0:[KITS] OPTIONS G DUB0:[KITS] -
_$ "VERIFY/LOG/CONFIRM"

この例に示した修飾子について,次の表で説明します。

修飾子

説明

/VERIFY

保存,復元,またはコピーの処理が終了した後, 出力指定子の内容を入力指定子の内容と比較する。 ファイルが正しく比較できなければ,そのことを通知するエラー・メッセージが表示される。

/LOG

処理された各ファイルのファイル指定を,操作中にターミナルに表示する。 省略時の設定は /NOLOG。

/CONFIRM

各ファイルを処理する前に,ターミナルにプロンプトを表示する。 ファイルを処理する場合には Y または YES を入力して Return キーを押す。 Return キーを押すだけというように,他の応答をすると,NO と解釈される。

BACKUP コマンドとその修飾子についての詳細は, 『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

3.5.4 File Log (L) オプションの使い方

File Log オプションは,インストール中のファイルのすべての動作をターミナルに記録します。 ファイル関連の活動状況とは,新規ファイルの作成,ライブラリの更新, ファイルの削除などのファイルの処理に関係する動作のことです。

3.5.5 Release Notes (N) オプションの使い方

Release Notes オプションは,レイヤード製品と OpenVMS アップデート・プロシージャに添付されているオンライン・リリース・ノート・ファイルの内容を表示またはプリントします。

注意:

レイヤード製品にはオンライン・リリース・ノートが用意されていないものもあります。

リリース・ノート・ファイルで使用できる形式は, facvvu.release_notes です。 ここで,facvvu は製品名コード,バージョン,そしてアップデート番号を表します (表 3-1 「facvvu セーブ・セット・ファイル名の形式」 を参照)。 たとえば,NEWAID010.RELEASE_NOTES という形式を使用します。

リリース・ノートの表示またはプリント方法

リリース・ノートが用意されていて,N オプションが指定された場合, VMSINSTAL.COM は次の問い合わせを行います (大括弧内は省略時の応答です)。

Release notes included with this kit are always copied to SYS$HELP.

Additional Release Notes Options:
    1. Display release notes
    2. Print release notes
    3. Both 1 and 2
    4. None of the above.

1 *Select option [2]:
2 *Queue name [SYS$PRINT]:
3 *Do you want to continue the installation [N]:

次に,上記の例の番号の付いたプロンプトについて説明します。

1

1 から 4 までのオプションのいずれかを選択する。

2

このプロンプトは,オプション 2 か 3 が選択された場合だけ表示される。 プリント・キューの名を入力すると,リリース・ノートがプリンタ・キューに正しく登録されたという意味のメッセージが表示される。 プリント・キューが指定されなかった場合,リリース・ノートは省略時の SYS$PRINT に送られる。

3

インストールを継続するか, 終了するか指示することができる。 省略時の応答では終了。

製品にリリース・ノートが用意されていない場合,VMSINSTAL.COM は 2 つのエラー・メッセージを出し,インストールを継続するか, 終了するか問い合わせる。

%VMSINSTAL.COM-W-NOFILE, New File facvvu.RELEASE_NOTES does not exist.
%VMSINSTAL.COM-W-NORELNOTE, unable to locate release notes.

*Do you want to continue the installation [N]:

リリース・ノートの有無に関係なく,インストールを継続したい場合は,Y (YES) を入力して Return を押す。

3.5.6 Alternate Root (R) オプションの使い方

Alternate Root オプションを使用すれば,使用中のシステム以外のシステム・ディスクに製品をインストールすることができます。 これは,システムの現在の動作を中断せずにレイヤード製品をテストしたい場合などに有用です。

代替ルート (Alternate Root) の VMS オペレーティング・システムが完全なものである必要があります。 また動作中のシステムと同じバージョンまたはアップデート・レベルであることが必要です。 製品のインストールで参照されるすべてのファイルとソフトウェア製品が代替ルートに存在する必要があります。

注意:

オプションのソフトウェア製品の中には,代替ルートにインストールできないものがあります。 代替ルートにインストールできるかどうかについては,個々の製品の資料をお読みください。

既存のシステム・ディスクの代替ルートに製品をインストールすることはできません。

R オプションを指定すると,代替ルートに製品がインストールされます。 しかし,代替ルートにアカウントを作成したり,代替ルートからシステムをリブートしたりすることはできません。

3.6 POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の使用

VAX,Alpha,または I64 オペレーティング・システム上で, レイヤード・ソフトウェア製品のインストール,削除,および管理を行うために, POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用します。 システム要件,インストール・オプション, およびインストール中の製品からの問い合わせに対する応答のような, ソフトウェア製品に関する情報も保存できます。

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ の操作は,DCL プロンプトから実行します。 次のコマンド形式で各操作を実行します。

$ PRODUCT サブコマンド 製品名[/修飾子 1,...]

たとえば,COBOL のバージョン 2.2 や FORTRAN の最新バージョンをインストールするには,次のコマンドを入力します。

$ PRODUCT INSTALL COBOL/VERSION=2.2,FORTRAN 

The following products have been selected:
    DEC AXPVMS COBOL V2.2           Layered Product
    DEC AXPVMS FORTRAN V7.0         Layered Product

Do you want to continue? [YES]  

インストールについては,3.7 項 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティ でのインストール」 で説明します。

PRODUCT コマンドは,DCL プロンプト($) からでも, DCL コマンド・プロシージャでも入力できます。 サブコマンドの構文については, 『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻) 』を参照してください。

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ をバッチ・ジョブとして実行する方法については, 3.7.6 項 「バッチ・ジョブとしてのインストールの実行」 を参照してください。

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ で実行可能な DCL コマンドとその説明を,表 3-3 「DCL コマンドとその説明」 に示します。

表 3-3 DCL コマンドとその説明

DCL コマンド

説明

PRODUCT CONFIGURE

製品構成ファイル (PCF) を作成する。

PRODUCT COPY

ソフトウェア製品キットをコピーする,または他の形式に変換する。

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA

パッチ回復データ・セットを 1 個以上削除する。

PRODUCT EXTRACT FILE

ソフトウェア製品キットからファイルを取り出す。

PRODUCT EXTRACT PDF

ソフトウェア製品キットから, 製品記述ファイル (PDF) を取り出す。

PRODUCT EXTRACT PTF

ソフトウェア製品キットから, 製品テキスト・ファイル (PTF) を取り出す。

PRODUCT EXTRACT RELEASE_NOTES

ソフトウェア製品キットからリリース・ノートを取り出す。

PRODUCT FIND

指定したディレクトリ内で検出された製品キットの名前を表示する。

PRODUCT INSTALL

ソフトウェア製品をインストールし,製品データベースをアップデートする。

PRODUCT LIST

順次形式で記録された,指定したソフトウェア製品キットに含まれるファイルをリストする。

PRODUCT PACKAGE

順次形式または参照形式のソフトウェア製品キットを作成する。

PRODUCT RECONFIGURE

インストールされた製品の構成を変更し, 製品データベースをアップデートする。

PRODUCT REGISTER PRODUCT

データベースにまだ登録されていない 1 つ以上のインストール済み製品についての情報を,製品データベースに記録する。

PRODUCT REGISTER VOLUME

ボリューム・ラベルの変更を,製品データベースに記録する。

PRODUCT REMOVE

1 つ以上のソフトウェア製品をアンインストールし,製品データベースをアップデートする。

PRODUCT SHOW HISTORY

ソフトウェア製品上で実行された操作について,実行された時間順に表示する。

PRODUCT SHOW OBJECT

ソフトウェア製品のインストール時に作成されたオブジェクトに関する情報を表示する。

PRODUCT SHOW PRODUCT

インストールされた製品に関する情報を表示する。

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA

パッチ回復データ・セットを,時間順に表示する。

PRODUCT SHOW UTILITY

POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティに関する情報を表示する。

PRODUCT UNDO PATCH

回復データが保存されたパッチを 1 個以上アンインストールする。

 

必要な特権

POLYCENTER Software Installation ユーティリティで実行する操作の中には, 表 3-4 「POLYCENTER Software Installation ユーティリティで必要となる特権」に示すように特定の特権が必要となるものがあります。

表 3-4 POLYCENTER Software Installation ユーティリティで必要となる特権

操作

必要な特権

COPY,DELETE,EXTRACT,FIND,LIST,PACKAGE

なし

CONFIGURE,SHOW

SYSLCK

REGISTER

SYSLCK および SYSPRV (またはシステム UIC)

INSTALL,RECONFIGURE,REMOVE,UNDO

SYSLCK,SYSPRV (またはシステム UIC),TMPMBX,および CMKRNL

 

一部のコマンドでは,BYPASS 特権や NETMBX 特権も必要なことがあります。

実際にインストールしているキットから実行するコマンド・プロシージャについては,さらに別の特権が必要となる場合があります。 その特権については,製品キットに付属のインストレーション・ガイドで確認してください。

3.6.1 プロダクト・ファイルとデータベース

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ では,次のファイルを使用します。

  • 製品記述ファイル (PDF)

    このファイルは,ソフトウェア・メーカから提供される。 これには,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ が 1 つまたは複数のソフトウェア製品をインストールするのに必要な情報がすべて含まれている。 PDF には,製品が提供する構成の選択肢,省略時の選択, 製品の要件 (最小のハードウェア構成やシステム・パラメータ値など) のリストが含まれる。

  • 製品テキスト・ファイル (PTF)

    このファイルは,ソフトウェア・メーカからオプションとして提供される。 このファイルには,製品名, 製作者 (producer),構成の選択肢の記述,製品のインストール中に使用されるメッセージ・テキストなどの,製品に関する情報が含まれる。

  • 製品構成ファイル (PCF)

    オプションのファイル。 ソフトウェア・メーカから提供されることもあれば,CONFIGURE 操作で作成することもできる。 PCF には,製品に対するインストールの問い合わせの一部または全部に対する応答が含まれる。 省略時の選択や必要な選択を提供することもでき,これは,PDF の省略時の選択肢と異なることがある。

  • 製品データベース (PDB)

    このファイルは,POLYCENTER Software Installation ユーティリティで自動的に作成される。 製品がインストールされると,ディレクトリやアカウントのような, 製品を構成するファイルやその他のオブジェクトが,PDB に記録される。 インストール中に行った構成の選択も記録される。

    PDB にアクセスして,インストールされている製品や,製品間の依存状態を表示することができる。 各製品を構成するファイルやその他のオブジェクト,あるいはインストールやアップグレードの履歴をリストすることもできる。

  • パッチ回復データ・セットは,POLYCENTER Software Installation ユーティリティが自動的に作成します。 回復モードで製品がインストールされた場合,または回復データを保存する要求でパッチ・キットがインストールされた場合,将来使用するために,現在のインストールで置き換えられるファイルおよび他のオブジェクトが,専用のディレクトリ・ツリーに保存されます。

    SHOW RECOVERY_DATA 操作を使用して,回復データ・セットの情報を表示し,どのパッチ・キットをアンインストールできるかを調べることができます。

3.6.2 ソフトウェア製品キットの形式

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ に準拠したソフトウェア製品は, 次のいずれかの形式で提供されます。

  • 圧縮形式

    この形式では,データ圧縮技法が,順次形式キットに適用されている。 圧縮形式キットのファイル・タイプは,.PCSI$COMPRESSED である。

  • 順次形式

    この形式では,PDF,PTF,および製品を構成するすべてのファイルは, 1 つのコンテナ・ファイルにパッケージングされる。 このコンテナ・ファイルは,コンパクト・ディスクのようなランダム・アクセス・デバイスに入れることも,磁気テープのような順次アクセスデバイスに入れることもできる。 ほとんどのレイヤード製品は,順次形式で提供される。

  • 参照形式

    この形式では,製品記述ファイルと,製品を構成する全ファイルが,ランダム・アクセス・デバイスのディレクトリ・ツリーに格納されている。 OpenVMS は CD-ROM 上の参照コピー形式で提供される。

3.6.3 ソフトウェア製品の命名規則

順次コピー形式でパッケージングされたソフトウェア製品キットには,次の形式で命名されたコンテナ・ファイルがあります。

producer-base-product-version-kit_type.PCSI

参照コピー形式でパッケージングされたソフトウェア製品キットには,ルート・ディレクトリに次の形式で命名された製品記述ファイルがあります。

producer-base-product-version-kit_type.PCSI$DESCRIPTION

各サブフィールドはハイフンで区切られ,次のように定義されます。

  • producer は,ソフトウェア製品の法律上の所有者 (たとえば,DEC)。

  • base は,製品を実行するハードウェアおよびソフトウェアのプラットフォームを指定する基本システム (たとえば AXPVMS,VAXVMS,または I64VMS)。

  • product は,ソフトウェアの製品名。

  • version は,tmmnn-ue 形式に従ってバージョンを識別する (3.6.3.1 項 「バージョン識別形式」 を参照)。

  • kit_type は,1 から 7 の値で指定されたキット・タイプを識別する (表 3-5 「PDF キットのタイプと値」 を参照)。

表 3-5 PDF キットのタイプと値

タイプ

説明

1

フル

レイヤード製品 (アプリケーション) ソフトウェア。

2

オペレーティング・システム

オペレーティング・システム・ソフトウェア。

3

一部

置き換えまたは新しいファイルの提供による,現在インストールされているソフトウェアへのアップグレード。 このキットのインストールによって製品のバージョンが変わる。

4

パッチ

置き換えまたは新しいファイルの提供による,現在インストールされているソフトウェアへの修正。 このキットをインストールしても製品のバージョンは変わらない。

5

プラットフォーム

ソフトウェア製品 (製品群) の統合された集合。

6

遷移

VMSINSTAL または他のメカニズムによってすでにインストールされている製品を (POLYCENTER Software Installation データベースに) 登録するために使用する製品情報。 このキットには,PDF と (オプションの) PTF だけが含まれる。 製品のそれ以外の部分は提供しない。

7

必須アップデート

置き換えまたは新しいファイルの提供による,現在インストールされているソフトウェアへの必須修正。 このキットをインストールしても製品のバージョンは変わらない。 機能的にはパッチ・キットと同一。

 

3.6.3.1 バージョン識別形式

ソフトウェア製品キットのバージョンはtmmnn-ue 形式です。 この形式について,表 3-6 「tmmnn-ue バージョン識別形式」 で説明します。

表 3-6 tmmnn-ue バージョン識別形式

t

バージョンのタイプ (アルファベットの大文字 1 文字)。

mm

メジャー・バージョン番号 (01 から 99 までの 10 進整数)。

nn

マイナー・バージョン番号 (00 から 99 までの 10 進整数)。

-

ハイフンは必ず必要。 アップデート・レベル (u) と保守編集レベル (e) の両方を省略する場合,バージョンはハイフンで終わり, ファイル名には,キット・タイプの前にハイフンを 2 つ (- -) 付ける。

u

アップデート・レベル (1 から 999 までの 10 進整数)。 このレベルはオプション。

e

保守編集レベル (アルファベットで始まる 1 文字以上の英数字)。 このレベルはオプション。

 

次の表に,この形式の使用例を示します。

説明

V6.1

この例の意味は次のとおり。

  • バージョンのタイプ: V

  • メジャー・バージョン番号: 06

  • マイナー・バージョン番号: 01

  • アップデート・レベル: 0 (暗黙に指定)

  • 保守編集レベルなし

V6.1-1H2

この例の意味は次のとおり。

  • バージョンのタイプ: V

  • メジャー・バージョン番号: 06

  • マイナー・バージョン番号: 01

  • アップデート・レベル: 1

  • 保守編集レベル: H2

T6.2-FT2

この例の意味は次のとおり。

  • バージョンのタイプ: T

  • メジャー・バージョン番号: 06

  • マイナー・バージョン番号: 02

  • アップデート・レベル: 0 (暗黙に指定)

  • 保守編集レベル: FT2

3.6.3.2 ソフトウェア製品名の例

次の例は,1 つの順次形式キット と 2 つの参照コピー形式キットの命名方法を示しています。

  • DEC Softwindows for OpenVMS VAX 用のダブル・ハイフンが必要な順次形式キットの形式

    DEC-VAXVMS-SOFTWIN-V0101--1.PCSI
    

    この形式は,producer が DEC (Digital), base が VAXVMS (OpenVMS VAX), product が SOFTWIN, version が V1.1 であることを示している。 バージョンのタイプは V であり,メジャー・バージョン番号およびマイナー・バージョン番号はそれぞれ 1。 アップデート・レベルおよび保守編集レベルはない。 kit_type は 1 (フル)。

  • OpenVMS Alpha の参照形式キットに入っている製品記述ファイルの形式

    DEC-AXPVMS-VMS-V0601-1H2-2.PCSI$DESCRIPTION
    

    この形式は,producer が DEC (Digital), base が AXPVMS (OpenVMS Alpha),product が OpenVMS,version が V6.1-1H2 であることを示している。 バージョンのタイプは V であり,メジャー・バージョン番号は 6, マイナー・バージョン番号は 1,アップデート・レベルは 1,保守編集レベルは H2。 kit_type は 2 (オペレーティング・システム)。

  • HP Kerberos 用圧縮形式キットの形式

    HP-AXPVMS-KERBEROS-V0200-6-1.PCSI$COMPRESSED
    

    この形式は,producer が HP,base が AXPVMS (OpenVMS Alpha),product が KERBEROS,version が V2.0-6 であることを示している。 バージョンのタイプは V であり,メジャー・バージョン番号は 2,マイナー・バージョン番号は 0,アップデート・レベルは 6。 保守編集レベルはない。 kit_type は 1 (フル)。

3.6.4 製品構成ファイル (PCF) の作成

PCF は,インストール前,またはインストール中に作成することができます。 製品ごとに複数の PCF を作成すると, ハードウェアの構成が独特であったり, 同一グループ内で使用パターンが異なる場合に,それぞれに応じてソフトウェアのインストールをカスタマイズすることができます。

PCF が存在し,PCF に構成の選択に対する応答が含まれている場合には, その選択に対する省略時の値は PCF で設定されます。 PCF は,選択を変更できるかどうかや,その選択が必須かどうかを指定します。

PCF が存在しない,または PCF に構成の選択に対する応答が含まれていない場合には, 省略時の選択は次のいずれかで設定されます。

  • 製品データベース (PDB) に,以前のインストール時の選択に関するエントリが含まれていれば,この PDB のエントリが,省略時の構成の選択になる。 これは変更可能。

  • 製品が以前にインストールされたことがないか,あるいは選択が新しいために,PDB に選択に関するエントリがない場合,省略時の構成の選択は PDF で設定される。 これは変更可能。

3.6.4.1 構成のオプション

PCF をカスタマイズするには,次のオプションを使用できます。

  • 応答を保存する (Write)。

    (現在の省略時の値ではなく) 問い合わせに対する応答を PCF に保存するよう指定することができる。

  • 応答を保存しない (NoWrite)。

    インストール中に PCF を作成する場合,問い合わせに応答しても, その応答を PCF に記録しないように指定することができる。 これは,単一のシステムまたは 1 回のインストールだけに限られた問い合わせに応答する場合に役立つ。

  • 将来のインストール時に再度問い合わせるよう,質問を据え置く (Defer)。

    たとえば,インストールするシステムごとに,そのシステムに関して特定の応答が有効かどうか,インストールする人に確認してほしい場合がある。

  • 問い合わせを繰り返さないようにする (NoDefer)。

    PCF の作成時に問い合わせを据え置かなければ,PCF に記録された応答は,その後のインストール時にも使用される。 インストールする人に情報を入力するよう求めない。 これによって,実際のインストール手順が短くなり,複雑さが解消される。

3.6.4.2 構成コマンド

PCF を作成するには,次のように,PRODUCT CONFIGURE コマンドを使用します。

$ PRODUCT CONFIGURE CHESSMASTER

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は,ユーザの現在の省略時のディレクトリに PCF を作成します。 省略時の PCF は,DEFAULT.PCSI$CONFIGURATION という名前になります。 省略時のファイル名またはディレクトリを変更する場合には, /CONFIGURATION=OUTPUT 修飾子を使用します。 次の節の例を参照してください。

3.6.4.3 構成の選択の記録

PCF を定義すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ から製品に関する問い合わせがあります。 問い合わせに応答し,2 つの定義済みファンクション・キーを使用することにより,PCF に応答を記録するかどうかと, 記録する場合には,その記録方法を決定します。 次の表は,応答による PCF の構成方法を示しています。

キー

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ による動作

Return

省略時の値,または現在の操作や PCF のエントリに対して明示的に入力された選択を受け付けた後,次の選択に進む。

Defer オプションが有効であれば,将来のインストールまたはアップグレードで PCF が使用されるとき,このエントリを変更することができる。

Defer オプションが無効なら,将来のインストールまたはアップグレードで PCF が使用されるとき,このエントリを変更することはできない。

Write オプションが有効であれば,将来のインストールまたはアップグレードで PCF が使用されるとき,Defer オプションを含めてこのエントリが PCF に書き込まれて使用される。

Write オプションが無効なら,将来のインストールまたはアップグレードで PCF が使用されるとき,Defer オプションを含めてこのエントリは PCF に書き込まれず,使用されない。 この場合,将来のインストールまたはアップグレードのための省略時の設定は,PDF または PDB で設定される。

F17

Defer オプションを切り換える。 省略時には,Defer オプションは無効。

F18

Write オプションを切り換える。 省略時には,Write オプションは有効。

応答するたびに,Return キーを押してください。

例 3-1 「PCF 作成プロシージャのサンプル」 は,PCF における F17 キーと F18 キーの使用方法を示しています。 ただし,これは単なる例であり,必ずしも製品の実際の PCF を表しているわけではありません。

例 3-1 PCF 作成プロシージャのサンプル


$ PRODUCT CONFIGURE VMS/SOURCE=SYS$SYSDEVICE:[VMS$COMMON]/LOG -
_$ /CONFIGURATION=(OUTPUT=MYPCF) 

The following product has been selected:
DEC AXPVMS VMS V7.2 [Available]

Do you want to continue [YES] 
Configuration phase starting ...

You will be asked to choose options, if any, for each selected product 
and for
any products that may be installed to satisfy software dependency requirements.

*** DEC AXPVMS VMS V7.2: OpenVMS Operating System

Copyright © 1998 Compaq Computer Corporation

    Compaq Computer Corporation

    Do you want the defaults for all options? [YES] N  1

    Accounting Log Report Generator Utility [YES] F17  2
%PCSIUI-I-DEFER, that item has been deferred; please set the default value

    Accounting Log Report Generator Utility [YES] F17  3
%PCSIUI-I-UNDEFER, that item is no longer deferred; please set the value

    Accounting Log Report Generator Utility [YES] F17  4
%PCSIUI-I-DEFER, that item has been deferred; please set the default value.

    Accounting Log Report Generator Utility [YES] 5

    Access Control List Utilities [YES] F18  6
%PCSIUI-I-UNWRITE, that item will not be written to configuration file;
please set the value.

    Access Control List Utilities [YES]   7

    Print and Batch Queue Utilities [YES] NO 8

    DECdtm Distributed Transaction Manager [YES]   9

    Do you want the defaults for all suboptions? [YES] NO
.
.
.
    Programming Support [YES]  

    Do you want the defaults for all suboptions? [YES] NO

.
.
.
    Do you want to review the options ?[NO]   10

%PCSI-I-WRICON, writing configuration file 
    SYS$SYSDEVICE:[VMS$COMMON]MYPCF.PCSI$CONFIGURATION;1 11
%PCSIUI-I-SUCCONFIG, CONFIGURE operation completed successfully
$

上記の例中の数字の箇所では,それぞれ次の操作が行われます。

1

すべてのオプションについて,省略時の値を使用するのではなく, 個々のオプションの値を選ぶことを選択する。

2

インストールする人が (Defer (据置き) キー F17 を使用して),オプションのサンプル・ファイルをインストールするかしないかを選択できるように要求する。

3 4

Defer オプションを切り換える (2 回)。

5

省略時の応答 (Yes) を PCF に記録する。 Defer オプションが有効だったため,将来のインストールで PCF が使用されるときには,インストールする人が, 省略時の設定により Accounting Log Report Generator ユーティリティを選択するか,あるいはこのユーティリティを選択しないようにすることができる。

6

この選択が PCF に書き込まれないよう,F18 キーで NoWrite オプションを要求する。

7

Access Control List ユーティリティをインストールしないことを選択する。 NoWrite オプションが有効であるため,この選択は PCF に書き込まれない。

8

Print ユーティリティと Batch Queue ユーティリティをインストールしないことを選択する。 NoWrite オプションが (省略時の設定により) 無効であり, Defer オプションが (省略時の設定により) 有効であるため,この選択は PCF に書き込まれ,その後のインストールで PCF が使用されるとき,この問い合わせを繰り返すことはない。

9

省略時の設定を使用して,DECdtm Distributed Transaction マネージャをインストールする。 NoWrite オプションが (省略時の設定により) 無効であり,Defer オプションが (省略時の設定により) 有効であるため, この選択は PCF に書き込まれ,この問い合わせを繰り返すことはない。

10

構成オプションの表示を要求する。

11

作成された PCF の名前である MYPCF.PCSI$CONFIGURATION を表示する。 PRODUCT CONFIGURE コマンドに /LOG 修飾子を指定して, メッセージのログを許可している場合に限り, POLYCENTER Software Installation ユーティリティ はこのメッセージを表示する。

1 つの DCL コマンドを使用して複数の製品をインストールまたは構成し, 応答を PCF に書き込んだ場合には,インストールまたは構成された全製品の情報が 1 つの PCF に格納されます。 各製品の構成値を別々の PCF に格納するには,それぞれの製品グループのインストールまたは構成を別々の操作として行ってください。

3.6.4.4 既存の PCF の変更

DCL を使用して既存のファイルを変更できます。 変更する PCF の名前と,作成する PCF の名前を指定します。 PRODUCT CONFIGURE コマンド行の /CONFIGURATION 修飾子に,INPUT キーワードと OUTPUT キーワードの両方を指定します。 たとえば,PRODUCTA_REV1.DAT ファイルの省略時の値を読み込み,このファイルに変更を加え,変更したファイルを PRODUCTA_REV2.DAT に保存すると,出力ファイルは次のようになります。

$ PRODUCT CONFIGURE -
_$ /CONFIGURATION=(INPUT=PRODUCTA_REV1.DAT,OUTPUT=PRODUCTA_REV2.DAT) -
_$ PRODUCTA

3.6.5 製品データベースの使用

POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,製品のインストール,構成の選択, 製品データベース内で製品を構成するファイルやディレクトリなどのオブジェクトに関する情報を自動的に格納します。 製品データベースは,システムにインストールした製品の情報を確認するときや,製品の依存状態を検出して追跡したいときに役立ちます。

3.6.5.1 データベースへの情報の追加

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は自動的に製品情報を格納しますが, システム管理者が独自の情報を追加することもできます。 作業を実行したとき,その作業に関する情報と一緒に,注釈,つまり製品データベースに記録するコメントを含めることができます。

製品データベースに注釈を追加するには,次のいずれかの DCL コマンドに /REMARK 修飾子を指定します。

  • PRODUCT RECONFIGURE

  • PRODUCT INSTALL

  • PRODUCT REMOVE

  • PRODUCT REGISTER PRODUCT

これらのコマンドと /REMARK 修飾子については, 『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻) 』を参照してください。

3.6.5.2 非準拠製品の登録

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ 以外のツールでインストールされた製品を登録するには,PRODUCT REGISTER PRODUCT コマンドを入力します。 このコマンドは,PDF で提供された情報を記録します。 次のように入力してください。

$ PRODUCT REGISTER PRODUCT TOOLCHEST

登録したい製品の PDF がない場合は,次のコマンドを入力します。

$ @SYS$UPDATE:PCSI$REGISTER_PRODUCT.COM

このコマンドを入力すると,製品名,バージョン,製作者 (producer) の入力を要求されます。 たとえば,弊社の製品の“製作者”は “DEC”です。 プロシージャは,この情報を使用して一時的な最小限の PDF を作成します。 次に,PRODUCT REGISTER PRODUCT コマンドを実行して製品を登録し,一時 PDF を削除します。

PCSI$REGISTER_PRODUCT.COM は最小限の PDF だけを作成するため, POLYCENTER Software Installation ユーティリティ のデータベースに製品の全情報を登録することはできません。 このため,製品の PDF が使用できる場合は,それを使用してください。

“遷移”PDF は,PRODUCT REGISTER PRODUCT コマンド専用に作成されていますが,“完全”PDF や “オペレーティング・システム”PDF も登録できます。

3.6.5.3 ソフトウェアの依存状態の検出と追跡

他のソフトウェア製品に依存しなければ,正常に動作しないソフトウェア製品もあります。 たとえば,ある製品は,別の製品の特定のバージョンがシステムにインストールされている場合にかぎり動作します。 POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,インストールした製品のこのような依存状態を検出して追跡します。 POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,複数の製品の要件を満たそうとすることもあります。 場合によって,POLYCENTER Software Installation ユーティリティが製品の依存問題を解決できないことがあります。 そのような場合には,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ が矛盾点をフィードバックをして,処理の進め方の決定をシステム管理者に依頼します。

3.6.6 回復データ・セットについて

次の状況では,回復データ・セットを使用できます。

  • パッチ・キットのインストールが失敗した場合。

  • POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用してインストールした 1 つ以上のパッチ・キットを取り消す (アンインストールする) 場合。

回復データ・セットは,ある意味では,POLYCENTER Software Installation ユーティリティの製品データベースの拡張です。 回復データ・セットは,次の種類のファイルからなっています。

  • 保存製品ファイル

  • パッチ・キットのインストールの効果を元に戻すアクションをカタログした補助データ・ファイル

  • パッチ・キットのインストールが始まった時点のデータベース・ファイル

回復データ・セットは,言い換えれば,パッチ・キットのインストール時に新しいものと置き換えられるディレクトリとファイルの組み合わせです。 回復データ・セット・ファイルは,将来使用できるように,専用のディレクトリに保存されます。 置き換えられるファイルおよびディレクトリを示すデータ・ファイルとそのコンテキストも保存されます。

回復データ・セットは,製品データベースファイルと同じシステム・ディスク上の,次のディレクトリ・ツリーに格納されます (nnn は,回復データ・セット番号です)。

 [PCSI$UNDO_nnn]

回復データ・セットの主な 2 種類の用途を,以下の 2 つの項で説明します。

3.6.6.1 パッチ・キットのインストール失敗からの回復

パッチ・キットのインストール失敗から完全に回復できるようにするには,次のコマンドを使用してキットをインストールしなければなりません。

$ PRODUCT INSTALL/RECOVERY_MODE 

このコマンドを入力すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,回復モードでパッチ・キットをインストールします。 回復モードでキットをインストールすると,インストールで変更または置き換えられたファイルは保存されます。 それらのファイルで,回復データ・セットが構成されます。 エラーによりインストールが中断した場合,またはインストールを故意に終了した場合,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは回復データ・セットを使用して,オリジナルのファイルにロール・バックすることができます。 このアクションにより,中断されたインストールよりも前の状態に製品環境が戻ります。

ロールバックが完了すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは回復データ・セットを破棄します。 このユーティリティは,製品のインストールや再構成が成功して終了しても,回復データ・セットを破棄します。 ただし,PRODUCT INSTALL コマンドに /SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子を指定することで,回復データ・セットの削除を避けることができます。 このようにする方法については,次の項で説明します。

3.6.6.2 1 つ以上のパッチ・キットのインストールの取り消し

回復データ・セットは,パッチ・キットをインストールする際に,POLYCENTER Software Installation ユーティリティに明示的に回復データを保存するように要求することで,作成できます。 この操作は,次のコマンドを入力すると実行できます。

$ PRODUCT INSTALL/SAVE_RECOVERY_DATA

このコマンドを入力すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,パッチのインストールにより削除されるファイルを永続的に保存します。 回復データ・セットを使用すると,後でパッチ製品をアンインストールできます。 アンインストールするには,PRODUCT UNDO PATCH コマンドを入力します。 ただし,回復データ・セットを使用してパッチ製品のアンインストールを行うと,POLYCENTER Software Installation ユーティリティはこのデータ・セットを削除するため,回復データ・セット・ファイルを再度使用することはできません。

次の DCL コマンドのいずれを入力しても,POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,回復データ・セットを破棄します。


$ PRODUCT INSTALL (without the /SAVE_RECOVERY_DATA qualifier)
$ PRODUCT RECONFIGURE
$ PRODUCT REGISTER PRODUCT
$ PRODUCT REMOVE

3.6.6.2.1 他の回復データ・セット・コマンドの使用

次の PRODUCT コマンドを使用して,回復データ・セットの表示と削除を行うことができます。

  • 回復データ・セット内の情報を表示するには,次のコマンドを入力します。

    $ PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA
    
  • 指定した回復セットを削除するには (回復データがスペースを専有しすぎていると思われる場合),次のコマンドを入力します。

    $ PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA
    

    1 つ以上の回復データ・セットを削除することで,現在の製品環境を阻害することはなくなります。 ただし,削除した回復データに対応するパッチ製品をアンインストールすることはできません。

3.7 POLYCENTER Software Installation ユーティリティ でのインストール

ソフトウェア製品の基本的なインストール手順は,次のとおりです。

  1. 準備作業を実行する。

  2. 製品のリリース・ノートとインストール情報を確認する。

  3. インストールを開始する。

  4. 製品のオプションに関するインストールの質問に応答する。 システム管理者が選択事項を確認するまで,システムに製品はインストールされない。

  5. 選択事項を確認して,製品をインストールする。

3.7.1 準備作業の実行

ソフトウェアをインストールする前に,次の作業を行います。

  1. システム・ディスクのバックアップをとる。

  2. ソースとデスティネーションの位置を指定する (必須ではない)。

  3. 必要なソフトウェアをインストールする。

    なお,キットが使用可能な場合は,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ がこの作業を自動的に行う。

  4. インストール後のプロシージャを指定する。

3.7.1.1 位置の指定

多くの操作で,ソフトウェア・キットの存在する位置とソフトウェアをインストールする位置を指定する必要があります。 この位置を指定するには,次の 2 つの方法があります。

  • 論理名を定義する。

  • コマンド行で/SOURCE 修飾子と /DESTINATION 修飾子を指定する。

論理名を定義してから,/SOURCE 修飾子と /DESTINATION 修飾子を使って, これを上書きすることもできます。

注意:

論理名を使用した後に,その割当てを解除しておかないと, その後で POLYCENTER Software Installation ユーティリティ を実行するときに, 予期しない結果を生じることがあります。 できるだけ/SOURCE 修飾子と /DESTINATION 修飾子を使用するようにしてください。

論理名 PCSI$SOURCE は,インストールするソフトウェア・キットの位置を定義します。 論理名 PCSI$DESTINATION は,ソフトウェアをインストールする位置を定義します。 たとえば,DISK1:[KITS] に置かれているソフトウェアを DISK2:[APPLICATIONS] にインストールする場合は,次のコマンドを使用します。

$ DEFINE PCSI$SOURCE DISK1:[KITS]
$ DEFINE PCSI$DESTINATION DISK2:[APPLICATIONS]

別のソースやインストール先を指定するには, /SOURCE 修飾子および /DESTINATION 修飾子を使用すれば論理名定義を上書きできます。

PCSI$DESTINATION が定義されていない場合,ソフトウェア製品は SYS$COMMON:[VMS$COMMON] とその下のディレクトリにインストールされます。

3.7.1.2 必要なソフトウェアのインストール

必要なソフトウェアがあればインストールし,必要な作業があれば実行します。 この情報は,ソフトウェア製品のインストレーション・ガイドやリリース・ノートに記載されています。

なお,キットが使用可能な場合は,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ がこの作業を自動的に行います。

3.7.1.3 インストール後の手順の確認

インストール後の手順があるかどうか確認してください。 この情報もソフトウェア製品のインストレーション・ガイドやリリース・ノートに記載されています。

3.7.2 製品のリリース・ノートの抜き出し

製品のリリース・ノートを読むには,リリース・ノートをファイルとして抜き出します。 たとえば,CMS 製品のリリース・ノートをテキスト・ファイルにコピーするには, 次のコマンドのいずれかを使用します。

$ PRODUCT EXTRACT RELEASE_NOTES CMS/FILE=CMS_RELNOTES.TXT
$ PRODUCT EXTRACT RELEASE_NOTES CMS/SOURCE=WORK_DISK:[KITS]/FILE=CMS_RELNOTES.TXT

ファイル名を指定しなければ,リリース・ノートは,現在のディレクトリにファイルとして書き込まれます。 キットで指定した名前が使用されます。 POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用してソフトウェア製品のリリース・ノートを抜き出す前に, そのソフトウェア製品をインストールする必要はありません。

3.7.3 製品のインストール

インストールを開始するには,次のように,PRODUCT INSTALL コマンドを入力します。

$  PRODUCT INSTALL CMS

一度に複数の製品をインストールする場合には,製品名をコンマで区切って入力します。 製品名には,次のように,アスタリスク(*) のワイルドカード文字を使用することができます。

$  PRODUCT INSTALL CMS/VERSION=3.4,LSE,COB*/VERSION=5.0

表 3-7 「インストール中に要求できる機能」 に,コマンド修飾子で制御できる機能をいくつか示します。 完全なリストについては『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』とオンライン・ヘルプを参照してください。

表 3-7 インストール中に要求できる機能

機能

修飾子

PCF で応答を入力する

/CONFIGURATION=INPUT=pcf 名

新しい PCF を作成する

/CONFIGURATION=OUTPUT=pcf 名[1]

ファイルのインストール位置を指定する

/DESTINATION=位置

製品の全インストール・オプションに関する完全な説明と情報を表示する

/HELP

ターミナルにログ・メッセージを表示する

/LOG

回復モードでインストールを実行する

/RECOVERY_MODE

製品データベースに注釈を含める

/REMARK

パッチの削除ができるように,回復データの保存を要求する/SAVE RECOVERY_DATA

ディストリビューション・キットの位置を指定する

/SOURCE

構成変数を指定する

/CONFIGURATION=キーワード[2]

一時ファイルの作業領域を指定する

/WORK=デバイス

[1] PRODUCT INSTALL コマンドを使用する場合, F17 (defer) キーと F18 (write) キーは全く効果がない。

[2] currentproducer のいずれかである。 詳細は『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (下巻) 』を参照。

 

3.7.3.1 既存の PCF

3.6.4 項 「製品構成ファイル (PCF) の作成」 で, 製品のインストール前に PCF を作成する方法について説明しています。 インストール中にこの既存の PCF を使用するには,PRODUCT INSTALL コマンド行に /CONFIGURATION=INPUT 修飾子を指定します。 たとえば,CMS をインストールして, DEC-VAXVMS-CMS.PCSI$CONFIGURATION という名前の PCF に記録されている構成の選択を使用するには,次のように入力します。

$ PRODUCT INSTALL/CONFIGURATION=INPUT=DEC-VAXVMS-CMS.PCSI$CONFIGURATION -
_$ CMS/VERSION=3.4

3.7.3.2 インストール中の新しい PCF の作成

インストール前に PCF を作成していない場合には,インストール中に作成します。 次のように,PRODUCT INSTALL コマンド行に /CONFIGURATION=OUTPUT=pcf 名 修飾子を指定します。

$ PRODUCT INSTALL/CONFIGURATION=OUTPUT=CMSV3.DAT CMS/VERSION=3.0

CMS バージョン 3.0 のオプションに関する問い合わせに応答すると, その応答は,現在の省略時ディレクトリで,CMSV3.DAT という名前の PCF に記録されます。

製品構成ファイルについての詳細は, 3.6.1 項 「プロダクト・ファイルとデータベース」 および 3.6.4 項 「製品構成ファイル (PCF) の作成」 を参照してください。

3.7.4 インストールの質問に対する応答

インストール中に,製品のオプションに関する完全な説明や, 任意の個々の質問に対する説明を要求することができます。 1 つの質問または質問のサブセット全体に対して,省略時の値を使用することもできます。

3.7.4.1 質問に対する説明の要求

製品の全オプションに関する完全な説明と情報を要求するには, PRODUCT INSTALL コマンドに /HELP 修飾子を指定します。 個々の質問についてのヘルプを要求するには,質問に対する応答として Help キー または PF2 を押します。 POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は, (ある場合には) 説明を表示し,そのオプションに必要なディスクとメモリ要件の要約を表示します。

次は Help キーを使用した例です。

$ PRODUCT INSTALL UCXOptional example files may be installed... [YES] Help

The example files include client server programming examples.

Block Size -      Total:    507  Optional:      0  Required:    507
Global Pages -    Total:      0  Optional:      0  Required:    0
Global Sections - Total:      0  Optional:      0  Required:    0

Optional example files may be installed... [YES] 

情報量は製品によって異なり,情報が提供されない製品もあります。

3.7.4.2 省略時の応答の受け付け

省略時の応答は,次の 3 つのいずれかから設定されます。

  • 製品構成ファイル (PDF) (提供されている場合)

  • 製品データベース (PDB) (以前にインストールした製品をアップグレードする場合)

  • 製品記述ファイル (PDF)

入力 PCF を指定し,それにオプションに対する応答が含まれている場合は, その PCF からの省略時の応答が使用されます。 PCF のエントリによっては,省略時の応答を変更できるものとできないものがあります。

入力 PCF がないか,あるいは入力 PCF にオプションに対する応答が含まれて いない場合には,PDB または PDF から省略時の応答が設定されます。 PDB が存在し,オプションを含んでいる場合は,その PDB から省略時の応答が設定されます。 PDB が存在しない (新しいインストール) か,オプションを含んでいない (新しいオプション) 場合には,PDF から省略時の応答が設定されます。 省略時の応答は,PDB からのものでも PDF からのものでも変更できます。

オプションに応答するには,Return キーを押して省略時の応答を使用するか,あるいは自分の応答を入力してから Return キーを押します。

質問またはオプションのサブセットを含む製品もあります。 インストレーション・プロシージャで,サブセット全体に対する省略時の値を 使用するか, あるいはサブセットの各オプションに応答するかを選択することができます。

サブオプションのあるオプションを選択すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は次のように聞いてきます。

Do you want the defaults for all options? [YES]

YES と応答すると,それより下位の項目については聞いてきません。 代わりにユーティリティが,その下位項目に対して省略時の値を使用します。 NO と答えると,ユーティリティは下位の各項目について聞いてきます。

3.7.5 応答の確認

製品のオプションに関する質問に応答した後, POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は応答の要約を表示することができます。 次に例を示します。

Do you want to review the options? [YES]
DEC TCP/IP Services for OpenVMS
    Optional example files may be installed...: NO
    Optional NFS files may be installed...: NO
    Optional applications may be installed...: YES

その後,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ は,次プロンプトを表示します。

Are you satisfied with these options? [YES]

応答が意図したものと異なる場合は No と答えてください。 その場合には,応答を入力し直すか,インストール・プロシージャを終了させます。

Do you want to change any options? [YES] NO 
%PCSIUI-I-USERABORT, operation terminated by user

この質問に No と答えると,インストール・プロシージャは終了します。 製品はインストールされず,システムは変更されません。

3.7.5.1 DCL ヘルプ・テキストのアップデート

DCL ヘルプ・テキストをアップデートするレイヤード製品をインストールする場合, PRODUCT INSTALL コマンドは,DCL ヘルプ・ライブラリ・ファイル SYS$HELP:HELPLIB.HLB に排他的にアクセスする必要があります。 たとえば,インストール作業によってヘルプ・ライブラリのアップデードが行われている最中にユーザが HELP にアクセスした場合, メッセージがいくつか表示されて,いくつかの質問に回答するよう要求されます。 そのメッセージと質問は,次の順序で表示されます。

  1. 2 分間の待機時間を置いて PRODUCT INSTALL コマンドがヘルプ・ライブラリへの排他的アクセスに失敗した場合, システムによって次のメッセージが表示される。

    %PCSI-I-PRCOUTPUT, output from subprocess follows ...
    %LIBRAR-F-OPENIN, error opening disk:[SYS0.SYSCOMMON.]
       [SYSHLP]HELPLIB.HLB;1 as input
    -RMS-E-FLK, file currently locked by another user
    
    %PCSI-E-MODREPLFLK1, error replacing module module-name in
       library disk:[SYS0.SYSCOMMON.][SYSHLP]HELPLIB.HLB
    -PCSI-E-MODREPLFLK2, library update failed because it is
       currently accessed by one or more users
    -PCSI-E-MODREPLFLK3, after the file is closed, answer YES
       at the prompt to retry the update
    
    
  2. ライブラリのアップデート操作を再試行するか,インストール作業を終了する。

    • ライブラリのアップデートを再試行するには,ユーザに対して HELP の終了を要求する。 その後,次の質問に対して YES と応答する。

      Do you want to take this action? [YES] YES
      

      ユーザが 2 分以内に HELP を終了しない場合は,同じ質問が繰り返される。

    • インストール作業を終了するには,次の 2 つの質問に対して NO と応答する。

      Do you want to take this action? [YES] NO
      Do you want to continue? [YES] NO
      %PCSI-E-CANCEL_WIP, termination resulted in an incomplete
         modification to the system
      

      最後に表示されるメッセージは,いくつかのファイルがインストール対象のディレクトリに移動された可能性はあるが, 製品のインストールは完了していないということを示している。 後で同じ製品を再度インストールする際には,この強制終了されたインストールによるファイルは削除され,改めて製品全体のインストールが実行される。

3.7.6 バッチ・ジョブとしてのインストールの実行

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ をバッチ・ジョブとして実行するには,コマンド・プロシージャ・ファイルに PRODUCT コマンドを入力してから,そのファイルをバッチ・キューに登録します。 コマンド・プロシージャでは,製品のオプションや構成の選択についての質問にPOLYCENTER Software Installation ユーティリティ が応答できるよう,/CONFIGURATION 修飾子を使用して既存の PCF を指定します。 /CONFIGURATION を指定しない場合には,省略時の値が使用されます。

例 3-2 「製品をインストールするためのコマンド・プロシージャの例」 は,コマンド・プロシージャを使用して製品をインストールする方法を示しています。 この例では VERIFY を設定して元に戻し,インストールの時間を記録します。

例 3-2 製品をインストールするためのコマンド・プロシージャの例

$ SAVE_PROC_VERIFY = F$ENVIRONMENT("VERIFY_PROCEDURE")
$ SAVE_IMAGE_VERIFY = F$ENVIRONMENT("VERIFY_IMAGE")
$ SET VERIFY
$ ON ERROR THEN GOTO ERROR_EXIT
$ START_TIME = F$TIME()
$ WRITE SYS$OUTPUT "START TIME -- ''START_TIME'"
$ PRODUCT INSTALL CHESSMASTER -
    /CONFIGURATION=PRODUCER -
    /HELP -
    /LOG
$ERROR_EXIT:
$ END_TIME = F$TIME()
$ TEMP = F$VERIFY(SAVE_PROC_VERIFY,SAVE_IMAGE_VERIFY)
$ WRITE SYS$OUTPUT "  --------------------------------"
$ WRITE SYS$OUTPUT "  END TIME -- ''END_TIME'"
$ WRITE SYS$OUTPUT "  START TIME -- ''START_TIME'"
$ WRITE SYS$OUTPUT "  --------------------------------"
$ EXIT

3.7.7 削除可能な状態でのパッチ・キットのインストール

パッチ・キットは,製品のインストール後 PRODUCT REMOVE コマンドを使用してシステムから簡単に削除できる通常のソフトウェア製品とは異なります。 多くの場合,パッチ・キットは完全な製品に適用するための単なるサブセットであり,通常,製品のバージョン番号は変わりません。

このような特徴があるため,POLYCENTER Software Installation ユーティリティはパッチ・キットを特別な方法で扱います。 たとえば,不具合があると分かったパッチ・キットをアンインストールできるようにしたい場合は,始めに /SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子を指定してパッチ・キットをインストールしなければなりません。 この修飾子を指定すると,インストールで変更または置き換えられるすべてのファイルとモジュールが,システム・ディスク上の専用の領域に保存されます。 これらのファイルには,ユーティリティの製品データベースや,保存された環境を示す特殊データ・ファイルが含まれます。 これらのファイルがまとまって,回復データ・セットを形成します。

その後,PRODUCT UNDO PATCH コマンドを使用してパッチ・キットをアンインストールすると,パッチ・キット・オブジェクトは削除されます。 そして,保存された回復データ・セットを使用して,置き換えられたファイルが,データベースとともに回復されます。

3.8 POLYCENTER Software Installation ユーティリティによる,インストールしたソフトウェア製品に対する他の操作の実行

インストールしたソフトウェア製品に対して他の操作を実行できます (たとえば,インストール中に設定した選択の再構成, ボリューム・ラベルの変更の記録,ソフトウェアを新しい場所または異なる媒体にコピーする操作などを実行できます)。 また,キットを新しい形式に変換したり,製品情報を表示したり,どのパッチ・キットをアンインストールできるか調べるために回復の詳細を表示したり,ディスク・スペースを節約するために回復データ・セットを削除したり,順次パッケージされている製品キットの内容を表示したり,順次パッケージされているキットからファイルを取り出さなければならないこともあります。

3.8.1 インストールした製品の再構成

インストール時に設定した構成の選択を,製品のインストール後に変更することができます。 これを,再構成 と呼びます。 新しいオプションを選択すると,POLYCENTER Software Installation ユーティリティ が,必要な変更をすべて行います。

インストールされている製品について構成の選択を変更するには, PRODUCT RECONFIGURE コマンドを使用します。 製品キットは,ユーザの省略時のディレクトリ上に置かれているか, /SOURCE 修飾子または PCSI$SOURCE 論理名で指定されている必要があります。

3.8.2 製品データベース内のボリューム・ラベルの変更の記録

変更したボリューム・ラベルを製品データベースに記録するには, PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドを入力します。 古いボリューム・ラベルと,ボリュームをマウントするデバイス名を入力するよう求められます。

このコマンドは,古いボリューム・ラベルをすべて,新しいボリューム・ラベルに置き換えます (POLYCENTER Software Installation ユーティリティは,ディスクから新しいラベルを読み込みます)。

PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドは,製品データベースの情報だけを変更し,ボリュームのラベルは変更しません。 ボリューム名を変更するには,DCL コマンドの SET VOLUME を使用します。 その後,PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドで新しい名前を記録します。

PRODUCT REGISTER VOLUME コマンドで,物理デバイス名または論理デバイス名の変更を記録することもできます。

3.8.3 新しい位置へのソフトウェア・キットのコピー

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ で, ある位置から別の位置に製品のディストリビューション・キットをコピーすることができます。 キットをテープからディスクに転送すると, 順次コピー形式から 参照コピー形式に変更することができます。

ある位置から別の位置にソフトウェア・キットをコピーするには, PRODUCT COPY コマンドを使用します。 次の例のように,/SOURCE 修飾子で現在の位置を指定し, /DESTINATION 修飾子で新しい位置を指定します。

$ PRODUCT COPY/SOURCE=WORK_DISK:[KITS]/DESTINATION=LOCAL_DISK:[KIT_INSTALL] CMS

3.8.4 ソフトウェア・キットの形式の変換

PRODUCT COPY コマンドに /FORMAT 修飾子を指定すると,ソフトウェア・キットを (ディスクまたは CD-ROM 上の) 参照形式から順次形式へ,順次形式から参照形式へ,または順次形式から圧縮形式へ変換することができます。

たとえば,CMS を順次形式から参照形式に変換するには,次のコマンドを入力します。

$ PRODUCT COPY/FORMAT=REFERENCE/SOURCE=MUA1:/DESTINATION=LOCAL_DISK:[KIT_INSTALL] -
_$ CMS

3.8.5 製品情報の検索

製品データベース (PDB) に格納されている情報はすべて,SHOW OBJECT, SHOW PRODUCT, SHOW HISTORY の各コマンドを使用してアクセスできます。 この項では,これらのコマンドを使用して PDB から情報を検索する方法について説明します。

3.8.5.1 オブジェクトに関する情報の表示

システムにインストールした製品に関連する管理オブジェクト (ファイル,アカウント,ディレクトリなど) についての情報を表示するには,SHOW OBJECT コマンドを使用します。 表 3-8 「SHOW OBJECT コマンド: 管理オブジェクト情報の表示」 に,SHOW OBJECT コマンドで解決できる質問を示します。

表 3-8 SHOW OBJECT コマンド: 管理オブジェクト情報の表示

質問

コマンド

この製品が作成したファイルまたはその他のオブジェクトは何か ?

PRODUCT SHOW OBJECT * /PRODUCT=製品名

このファイルまたはその他のオブジェクトを作成したのはどの製品か ?

PRODUCT SHOW OBJECT オブジェクト名/FULL

 

3.8.5.2 製品についての情報の表示

SHOW PRODUCT コマンドと SHOW HISTORY コマンドを使用すると, システムにインストールした製品についての情報が得られます。 表 3-9 「SHOW PRODUCT コマンドと SHOW HISTORY コマンド」 に,このようなコマンド解決できる質問をいくつか示します。

表 3-9 SHOW PRODUCT コマンドと SHOW HISTORY コマンド

質問

コマンド

インストールされている製品は何か ?

PRODUCT SHOW HISTORY * /OPERATION=INSTALL

PRODUCT SHOW PRODUCT *

製品の相互依存: 製品 A は製品 B によって参照されているか ?

PRODUCT SHOW PRODUCT A /FULL

PRODUCT SHOW PRODUCT * /REFERENCED_BY=B

製品をインストールしたのはどのユーザか ?

PRODUCT SHOW HISTORY 製品名/FULL

2000 年 3 月 31 日より前にインストールされたのは,どの製品か ?

PRODUCT SHOW HISTORY * /BEFORE=31-MAR-2000

製品に適用されるソフトウェア・パッチはあるか ?

PRODUCT SHOW PRODUCT 製品名 /FULL

 

3.8.6 パッチ回復情報の取り出し

SHOW RECOVERY_DATA コマンドを使用すると,パッチ回復データ・セット内の情報を表示できます。 表 3-10 「SHOW RECOVERY_DATA コマンド: パッチ回復情報の表示」 に,このコマンドで応えることができる質問を示します。

表 3-10 SHOW RECOVERY_DATA コマンド: パッチ回復情報の表示

質問

コマンド

回復データ・セットはいくつ保存されているか ? どのパッチ・キットをアンインストールできるか ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA

回復データ・セットに保存されているオブジェクトの合計サイズは ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA /FULL

「新しいものから 3 個」としてアンインストールできるパッチは ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA /NEWEST=3

「古いものから 2 個」として削除できる回復データ・セットは ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA /OLDEST=2

2002 年 12 月 12 日よりも後にインストールされたパッチで,アンインストール可能なものは ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA /SINCE=13-DEC-2002

2002 年 12 月 1 日よりも前に保存された回復データ・セットがあるか ?

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA /BEFORE=01-DEC-2002

 

3.8.7 パッチ回復データの削除

多数のパッチをインストールした後,ソフトウェア製品環境が安定していて,システム・ディスク・スペースの空きが少ない状態になっていることに気付くことがあります。 空きディスク・スペースのサイズを大きくするには,使用する可能性のないパッチ回復データを削除する方法が考えられます。 PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA コマンドを使用することで,この処理を実行することができます。 表 3-11 「DELETE RECOVERY_DATA コマンド: 削除オプションの表示」 に,このコマンドで利用できるオプションを示します。

表 3-11 DELETE RECOVERY_DATA コマンド: 削除オプションの表示

オプション

コマンド

すべての回復データ・セットを削除する。

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA /ALL

古いものから 3 個,回復データ・セットを削除する。

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA /OLDEST=3

2002 年 12 月 1 日よりも前に保存された回復データ・セットをすべて削除する。

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA /BEFORE=01-DEC-2002

 

3.8.8 インストールしたソフトウェア製品とキットの削除

POLYCENTER Software Installation ユーティリティ を使用して,インストールした製品を削除すると, 製品をインストールしたときに作成されたファイルやアカウント, その他のオブジェクトがすべて,システムと製品データベースから削除されます。

インストールした製品を削除するには,次のように, PRODUCT REMOVE コマンドを入力します。

$ PRODUCT REMOVE CMS

3.8.9 パッチ・キットのアンインストール

パッチ・キットをアンインストールするには,PRODUCT UNDO PATCH コマンドを使用します。 ただし,このコマンドは,/SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子を指定してキットをインストールした場合にのみ動作します。 また,保存された回復データが,システム上で利用可能でなければなりません。 そのためには,パッチ・キットのインストール後に,パッチ回復データを削除するような操作を実行していてはなりません。 回復データ・セットを自動的に破棄する操作を,次に示します。

PRODUCT DELETE RECOVERY_DATA
PRODUCT INSTALL (/SAVE_RECOVERY_DATA 修飾子なし)
PRODUCT RECONFIGURE
PRODUCT REMOVE
PRODUCT REGISTER PRODUCT

PRODUCT SHOW RECOVERY_DATA コマンドを使用してパッチ回復データが利用可能であることを確認した後,PRODUCT UNDO PATCH コマンドを使用してアンインストール操作を実行できます。 このコマンドには,柔軟性があります。

  • 省略時の設定では,修飾子を指定しないとインストールされている最新のパッチ・キットだけが削除されます。

  • 回復データが許す範囲ですべてのパッチ・キットをアンインストールするには,/ALL 修飾子を使用します。

  • アンインストールするパッチ・キットの数を制限するには,/NEWEST=n 修飾子を指定します。 n は,最新の回復セットの数です。

  • 特定の日より後にインストールされたパッチ・キットをアンインストールするには,/SINCE=date 修飾子を使用します。

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