HSC の BACKUP と RESTORE 機能をシャドウセット・メンバの内容を保存したり復元するために使うことは,お勧めできません。
これらの HSC ユーティリティはディスクを物理的に扱うだけなので,OpenVMS ファイル・システムを扱うことはできません。
HSC の BACKUP と RESTORE 機能でも,
(そのボリュームのファイル・システムで使われていないブロックを含め)
ディスク・ボリューム全体の内容の保存や復元を行いますが,特定のファイル,
ファイルのグループ,ディレクトリ,およびサブディレクトリなどの保存や復元は行いません。
また,これらのユーティリティは,ディスクの断片化の整理も行いません。
また,このユーティリティでは,シャドウセット仮想ユニットのコンテキストを復元することができません。
9.3.2 コピー操作を使ってバックアップを作成する |
 |
この例では,ボリューム・シャドウイングのコピー操作を使って,
シャドウセットのバックアップに利用できる,同じ内容でオフラインのディスク・ボリュームを作成する方法を説明します。
次のコマンドで,1 つのシャドウセット・メンバからなるシャドウセットを作成します。
$ MOUNT DSA0:/SHADOW=$1$DUA10: SHADOWFACTS
%MOUNT-I-MOUNTED, SHADOWFACTS mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA10: (DISK01) is now a
valid member of the shadow set
|
以下のコマンドで,シャドウセットに 2 番目のメンバ $1$DUA11 を追加します。
$ MOUNT DSA0:/SHADOW=$1$DUA11: SHADOWFACTS
%MOUNT-I-SHDWMEMCOPY, _$1$DUA11: (DISK02) added to the shadow
set with a copy operation
|
この時点で,シャドウセットをディスマウントする前に,
コピー操作が完了するのを待つ必要があります。コピー操作が完了すると,
システム・コンソールとメッセージを受け取るようになっているオペレータにメッセージが送られます。
以下のコマンドを実行すると,シャドウセットがディスマウントされ,
$1$DUA10 と $1$DUA11 が論理的に同値なボリュームになります。
この時点で,いずれかのボリュームを使ってシャドウセットを再作成し,
残りをバックアップとして取っておくか,
バックアップ操作のソースとして使うことができます。
9.3.3 OpenVMS のバックアップ・ユーティリティを使う |
 |
通常,OpenVMS のバックアップ・ユーティリティ (BACKUP) は,
普通のボリュームの場合と同様に,シャドウセットに対しても使うことができます。
ボリュームのバックアップ方法については,『HP OpenVMS System Manager’s Manual』を参照してください。
入力指定子として,
物理デバイス名の代わりに,シャドウセット仮想ユニット名を使うことによって,
シャドウセットの BACKUP セーブ・セット,
あるいはコピーを作成することができます。
ただし,出力指定子として仮想ユニット名を指定することで,シャドウセットを復元できるとは限りません。
バックアップを復元する際の主な制限は,
/FOREIGN 修飾子を指定してターゲット・ボリュームをマウントできないことです。
BACKUP/IMAGE による正しい復元の手順は,
9.3.4 項 「シャドウセットで BACKUP/IMAGE を使う」 で説明しています。
BACKUP コマンドの形式は次のとおりです。
BACKUP input-specifier output-specifier
この形式は,他の BACKUP 操作と同じです。
たとえば,次のコマンドでは仮想ユニットを入力指定子として指定しています。
$ BACKUP/RECORD DSA2:[*...]/SINCE=BACKUP MTA0:23DEC.BCK
|
このコマンドは,最後にバックアップを行った後に作成もしくは変更されたシャドウセット DSA2 上のすべてのファイルを保存し,
現在の日時をバックアップの日付として記録します。
9.3.4 シャドウセットで BACKUP/IMAGE を使う |
 |
BACKUP/IMAGE セーブ・セットからシャドウセットを復元する際には,
特別な注意が必要です。
物理ボリュームによる BACKUP/IMAGE 操作については,『HP OpenVMS System Manager’s Manual』と『HP OpenVMS System Management Utilities Reference Manual』を参照してください。
BACKUP/IMAGE 操作は,ターゲット・ボリュームを他のシャドウセット・メンバより新しいものとしてマークします。
これは,このボリュームを使ってシャドウセットを再作成しようとすると,
このボリュームがコピー操作のソースになることを意味します。
BACKUP のセーブ・セットやコピーをシャドウセットの仮想ユニットから作成することはできますが,BACKUP/IMAGE 復元を行うために /FOREIGN 修飾子を使ってシャドウセットをマウントすることはできません。
物理ディスクへ復元して,復元したディスクをシャドウセット・メンバとしてシャドウセットを作成し直す (例 2) か,保存操作が互換ディスクへのコピーだった場合は,そのディスクをメンバとしてシャドウセットを作成し直す (例 3) かの,いずれかが可能です。
BACKUP/IMAGE 操作のターゲットは,
それを使ってシャドウセットを作成し直す場合は,コピー操作のソースになります。
例 1
この例ではシャドウセットの再構築が終わった後で,
以前のシャドウセット・メンバでバックアップを行う方法を示しています。
$ MOUNT DSA0:/SHADOW=($1$DUA10:, $1$DUA11:) GHOSTVOL
%MOUNT-I-MOUNTED, GHOSTVOL mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA10: (DISK01) is now a valid
member of the shadow set
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA11: (DISK02) is now a valid
member of the shadow set
|
上記のコマンドではシャドウセット DSA0 をマウントしています。
次のコマンドを使ってシャドウセットをディスマウントする前に,
すべてのコピー操作が完了していることを確認してください。
このコマンドでシャドウセットをディスマウントします。
$ MOUNT/SYSTEM DSA0/SHADOW=$1$DUA10: GHOSTVOL
%MOUNT-I-MOUNTED, GHOSTVOL mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA10: (DISK01) is now a valid
member of the shadow set
|
このコマンドは $1$DUA11 無しでシャドウセットをオンラインに戻します。
シャドウセットがオンラインであれば,テープへのバックアップが可能です。
$ MOUNT $1$DUA11: GHOSTVOL
%MOUNT-W-VOLSHDWMEM, mounting a shadow set member volume
volume write locked
%MOUNT-I-MOUNTED, GHOSTVOL mounted on _$1$DUA11:
$ MOUNT/FOREIGN MTA0:
%MOUNT-I-MOUNTED, ...
|
これらの 2 つのコマンドは,BACKUP コマンドの準備のために以前のシャドウセット・メンバと磁気テープをマウントします。
$ BACKUP/IMAGE $1$DUA11: MTA0:SAVESET.BCK
|
このコマンドは,$1$DUA10 をメンバするシャドウセットをオンラインで使っている間に $1$DUA11 から BACKUP/IMAGE セーブ・セットを作成します。
例 2
この例は,イメージ・セーブ・セットからシャドウセットを復元する方法を示します。
イメージ・セーブ・セットをシャドウセットに直接復元することはできません。
これは,BACKUP 出力メディア (シャドウセット) をフォーリン・ボリュームとしてマウントする必要があるためです。
$ DISMOUNT DSA0:
$ MOUNT/FOREIGN MTA0:
%MOUNT-I-MOUNTED, ...
$ MOUNT/FOREIGN/OVERRIDE=SHADOW_MEMBERSHIP $1$DUA10:
%MOUNT-I-MOUNTED, ...
|
これらの 2 つのコマンドは,復元操作のためにセーブ・セットの磁気テープを入力指定子として指定し,以前のシャドウセット・メンバを出力指定子として指定して,マウントします。
$ BACKUP/IMAGE MTA0:SAVESET.BCK $1$DUA10:
|
このコマンドは,セーブ・セットから $1$DUA10 を復元します。
$ DISMOUNT/NOUNLOAD $1$DUA10:
|
このコマンドは,シャドウセットにマウントする準備のため,
復元したボリュームをディスマウントします。
$ MOUNT/SYSTEM DSA0/SHADOW=($1$DUA10:, $1$DUA11:) GHOSTVOL
%MOUNT-I-MOUNTED, GHOSTVOL mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA10: (DISK01) is now a valid member of
the shadow set
%MOUNT-I-SHDWMEMCOPY, _$1$DUA11: (DISK02) added to the shadow set
with a copy operation
|
このコマンドは,復元したシャドウセット・メンバをシャドウセットに
マウントします。イメージ・バックアップ操作の出力は,
シャドウセットの以前のメンバより新しい世代番号を持っています。
したがって,シャドウセットを構成しようとすると,
$1$DUA10 (復元されたボリューム) がコピー操作のソースになります。
例 3
この例は,シャドウセットの BACKUP/IMAGE コピー操作を示しています。
イメージのバックアップ操作では,出力ファイルが連続的に格納され,
ディスクの断片化がなくなります。この操作の出力デバイスは,
/FOREIGN 修飾子を指定してマウントする必要があるため,
以下のコマンドで示すような特別なステップを実行する必要があります。
$ MOUNT DSA0:/SHADOW=($1$DUA10:,$1$DUA11:) MEANDMY
%MOUNT-I-MOUNTED, MEANDMY mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA10: (DISK03) is now a valid
member of the shadow set
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA11: (DISK04) is now a valid
member of the shadow set
$ MOUNT/FOREIGN $1$DUA20:
%MOUNT-I-MOUNTED, ...
|
最初のコマンドはシャドウセット DSA0 をマウントします。2 番目のコマンドは,
ボリューム $1$DUA20 を BACKUP/IMAGE 操作の出力としてマウントします。
/FOREIGN 修飾子が必要です。
$ BACKUP/IMAGE/IGNORE=INTERLOCK DSA0: $1$DUA20:
|
このコマンドは,仮想ユニット名を入力指定子として指定して,
イメージ・バックアップを行います。
シャドウセットのイメージ・バックアップ・コピーは,
シャドウセットの既存メンバより新しいバックアップ・リビジョン番号を持ちます。
$ DISMOUNT $1$DUA20:
$ DISMOUNT DSA0:
|
これらのコマンドは,シャドウセットを作成し直す準備として,
イメージ・バックアップのターゲットとシャドウセットをディスマウントします。
$ MOUNT/SYSTEM DSA0/SHADOW=($1$DUA10:,$1$DUA11:,$1$DUA20:) MEANDMY
%MOUNT-I-MOUNTED, MEANDMY mounted on _DSA0:
%MOUNT-I-SHDWMEMSUCC, _$1$DUA20: (DISK05) is now a valid
member of the shadow set
%MOUNT-I-SHDWMEMCOPY, _$1$DUA10: (DISK03) added to the shadow
set with a copy operation
%MOUNT-I-SHDWMEMCOPY, _$1$DUA11: (DISK04) added to the shadow
set with a copy operation
|
このコマンドは,イメージ・バックアップ・ディスクをシャドウセット・メンバの 1 つとしてシャドウセットを再構築します。
その他の以前のシャドウセット・メンバは,コピー操作の対象になります。