HP OpenVMS Systems Documentation  | 
    
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DCPS には,一般的に使用される特定の PostScript 装置制御モジュールの検索を最適化する装置制御ライブラリのキャッシュ機能が含まれています。
キャッシュ機能は LPS$$ で始まる名前を持つモジュールを,最初に要求された場合だけ読み込まれるようにします。このモジュールはシンビオントのキャッシュに置かれます。キューをリセットするかシステムを再起動するまでは,以降のジョブはこのモジュールに迅速にアクセスすることができます。これにより主要な装置制御ライブラリへのアクセスを最小にし, CPU 時間を節約し,ディスクの動作を軽減させることができます。
省略時の設定では,装置制御ライブラリのキャッシュ機能は無効となっています。特定のキューに対して装置制御ライブラリのキャッシュ機能を有効とするには,そのプリント・キューを起動する前に次のコマンドを実行してください。
$ DEFINE /SYSTEM /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$queuename_DEVCTL_CACHE 1  | 
装置制御ライブラリ・モジュールをキャッシングすることにより,シンビオントが消費する CPU 時間を 17% 軽減することができます。シンビオントでの I/O 処理も,50% 軽減されます。
システム論理名 DCPS$DEVCTL_CACHE (キュー名指定なし) を定義することで,そのシステム上のすべての DCPS プリント実行キューに対して装置制御ライブラリのキャッシュ機能を有効とすることができます。
7.12 識別されないプリンタへの印刷
DCPS ソフトウェアは,ジョブを印刷する前にプリンタの製品名を取得します。 DCPS ソフトウェアはこの製品名を使用して,特定のプリンタに固有の装置制御モジュールを選択してダウンロードします。
DCPS ソフトウェアが識別できない製品名を持つプリンタを DCPS ソフトウェアで使用している場合,製品名は省略時の "HPGENERIC" (HP プリンタのとき) または "UNRECOGNIZED" (その他のプリンタのとき) となります。 DCPS ソフトウェアはその名前に対応した装置制御モジュールをダウンロードします。この構成はサポートされていませんが,プリンタに単純な印刷を行うだけであれば "UNRECOGNIZED" のプリンタに対応したモジュールで十分な場合があります。 "HPGENERIC" と識別されたプリンタでは,大半の HP プリンタに共通のコマンドが使用されます。また,トレイ選択や,プリンタ固有の PCL インタプリタの使用などの追加機能が利用できます。
プリンタが "HPGENERIC" プリンタとして扱われるときには,次のような OPCOM メッセージが出力されます。
%%%%%%%%%%% OPCOM 14-NOV-2002 16:25:43.37 %%%%%%%%%%% Message from user SYSTEM on FUNYET Queue MY_NEW_PRINTER: %DCPS-W-HPGENERIC, Product name hp LaserJet 9999 not recognized; assuming HP Generic  | 
プリンタが "UNRECOGNIZED" プリンタとして扱われるときには,次のような OPCOM メッセージが出力されます。
%%%%%%%%%%% OPCOM 20-MAY-2003 16:54:05.25 %%%%%%%%%%% Message from user SYSTEM on FUNYET Queue YOUR_NEW_PRINTER: %DCPS-W-UNRECOGNIZED, Product name Foo Bar 1234 not recognized; assuming Unrecognized  | 
必要に応じてシステム管理者は,サポートされていないプリンタの特性に影響を与えることなく,対応する装置制御モジュールを修正することができます。 LPS$$UNRECOGNIZED モジュール内のコメントの記述に従い, PostScript についての知識およびプリンタの仕様を使用し,類似したプリンタがある場合はその装置制御モジュールを調べることにより,システム管理者はそのプリンタの給紙および用紙サイズ選択を動作させることができます。
識別されないプリンタの DCPS での使用,および LPS$$UNRECOGNIZED 装置制御モジュールの使用あるいは修正については,弊社のサポート対象外となっています。また弊社は,DCPS の異なるバージョンについても,そのモジュールの内容およびインタフェースが同一であることを保証しておりません。  | 
装置制御モジュールは,次の装置制御ライブラリに置かれています。
SYS$COMMON:[SYSLIB]DCPS$DEVCTL.TLB  | 
識別されないプリンタに対応した装置制御モジュールは次のとおりです。
LPS$$UNRECOGNIZED_INITPSDEVICE LPS$$UNRECOGNIZED_SETCONTEXT LPS$$UNRECOGNIZED_SETINPUTTRAY LPS$$UNRECOGNIZED_SETOUTPUTTRAY  | 
特定のプリンタ用にこれらのモジュールを修正した場合は,常にユーザ固有の装置制御ライブラリに修正したモジュールを登録しなければなりません ( 第 7.4 節 を参照)。
管理者はフォーム定義を作成することができます。一般ユーザはこのフォーム定義を PRINT コマンドに含めることにより,ファイルの印刷の外観を修正することができます。フォーム定義では,プリント・ジョブを印刷する用紙のタイプ,幅,長さ,マージン,および長いテキスト行を途中で切り詰めるか改行するかどうか,および暗黙にプリンタに送信するセットアップ・モジュールなど,プリント・ジョブについてのいくつかの属性を指定することができます。
PRINT コマンドで不明なフォーム名を指定した場合, DECprint Supervisor は直ちにそれを通知します。逆に,PRINT コマンドで不明なセットアップ・モジュールを指定した場合, DECprint Supervisor はそのジョブの印刷を開始し,そのセットアップ・モジュールにアクセスする必要が発生するまで,その問題を通知することはありません。
フォームの作成,保守,削除を行うコマンドを実行するにはオペレータ特権が必要です。
8.1 セットアップ・モジュールとフォームとの対応
セットアップ・モジュールをフォームと対応させるには, DEFINE /FORM コマンドで /SETUP 修飾子を指定します。
例 8-1 では, PRIVATE と呼ばれるセットアップ・モジュールを使用する CONFIDENTIAL と呼ばれるフォームを定義しています。
| 例 8-1 フォーム定義の例,CONFIDENTIAL | 
|---|
    $ DEFINE /FORM CONFIDENTIAL 101 -
    _$ /DESCRIPTION="prints the word CONFIDENTIAL on each page" -
    _$ /STOCK=DEFAULT -
    _$ /SETUP=PRIVATE
 | 
フォームを定義する場合は,次の修飾子と情報を指定してください。
セットアップ・モジュールが存在しているかどうかは,そのフォームが実際に使用されるまでチェックされません。  | 
一般ユーザが特定のセットアップ・モジュールを頻繁に起動する場合は,そのセットアップ・モジュールをフォームに対応させ,そのフォームをキューに対応させることができます。この方法により,そのキューに登録されたプリント・ジョブは,自動的に対応するセットアップ・モジュールを使用することができます。フォームをキューに対応するには,次の手順に従ってください。
次は,CONFIDENTIAL と呼ばれるフォームを XLR8 と呼ばれる実行キューに対応させる例です。
$ @SYS$STARTUP:EXECUTION_QUEUE.COM - 
  XLR8-                    !P1 - Execution queue name 
  "DECNET/XLR8" -          !P2 - Device name 
  DCPS_LIB -               !P3 - Logical name for /LIBRARY 
  "" -                     !P4 - Not used 
  "/FORM_MOUNTED=CONFIDENTIAL/DEFAULT=(FORM=CONFIDENTIAL,NOFEED)" 
                           !P5 - Queue default qualifiers 
 | 
ANSI ファイル用のフォームを定義する場合は,ページ・レイアウトに影響を与える各種の修飾子を使用することができます。たとえば,次のコマンドは,トップ・マージンが 6 で左マージンが 10 である CENTER というフォームを定義します。
$ DEFINE /FORM /MARGIN=(TOP=6,LEFT=10) CENTER 3  | 
ANSI ファイル用のフォーム定義にかぎり, 表 8-1 の修飾子を使用することができます。
| 修飾子 | 機能 | 
|---|---|
| /LENGTH= n | 各ページの長さを行数で指定します。 | 
| /MARGIN= keyword= n | マージンを設定します。
 次のキーワードのいずれかあるいは複数を指定することができます。 
 
  複数のマージン・キーワードを指定する場合は,次のようにそれぞれを括弧で囲みます。
  | 
| /PAGE_SETUP= module | ジョブの各ページにページ・セットアップ・モジュールを指定します。 | 
| /[NO]TRUNCATE | ページ幅に適合しない長い行を途中で切り詰めます。 | 
| /WIDTH= n | ページ幅を文字数で指定します。 | 
| /[NO]WRAP | ページ幅よりも長い行を次の行に改行します。 | 
注意:
次のコマンドを使用すると,システムにすでに存在しているフォームを表示することができます。
$ SHOW QUEUE /FORM  | 
次のようにフォーム定義が表示されます。
Form name                            Number   Description 
---------                            ------   ----------- 
A4_12 (stock=PLAIN_PAPER)              1129   A4 12-Pitch with margins 
A4_LPT_GRAY (stock=PLAIN_PAPER)        1118   A4 DP line printer with gray bars 
A4_LPT_PLAIN (stock=PLAIN_PAPER) 
                                       1119   A4 Plain DP line printer format 
BOOT_CHART (stock=DEFAULT)               37   BOOT_CHART 
BSS$LANDSCAPE (stock=DEFAULT)          3301   BSS Specific Landscape 
BSS$PORTRAIT (stock=DEFAULT)           3302   BSS Specific Portrait 
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SHOW QUEUE /FORM /FULL コマンドを使用することで,フォームの属性を表示することができます。たとえば,次のコマンドは DCPS$DEFAULT の属性を表示します。
$ SHOW QUEUE /FORM /FULL DCPS$DEFAULT  | 
Form name                            Number   Description 
---------                            ------   ----------- 
DCPS$DEFAULT (stock=DEFAULT)           1115   DCPS default 
    /LENGTH=66 /STOCK=DEFAULT /TRUNCATE /WIDTH=80 
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フォーム定義をシステムのフォーム・テーブルから削除するには, DELETE /FORMコマンドを使用します。このコマンドの形式は次のとおりです。
$ DELETE /FORM form-name  | 
このコマンドには form-name を指定してください。これは,使用中のフォームに割り当てた名前です。
DELETE /FORMコマンドを使用する前に, SHOW QUEUE /FULL /ALLコマンドを実行してください。フォームに対する参照は動作中のプリント・キューの属性として存在するか,またはプリント要求に対する修飾子として存在します。まだ参照されているフォームを削除しようとした場合には,そのことが通知され,フォームは削除されません ( 付録 A を参照してください)。
8.6 省略時の ANSI フォーム定義の使用
PRINT コマンドでフォーム定義を省略し,次の修飾子のいずれかを指定した場合,日本語DECprint Supervisor は ANSI ファイルを省略時のフォーム定義である DCPS$DEFAULT とリンクします。
/HEADER
/SPACE
/PARAMETERS=[NO]TAB
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