前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
BACKUP ユーティリティは,オープンされたファイル(会計情報ファイルやオペレータ・ログ・ファイルなど)はコピーしません。したがって,スタンドアロン BACKUP (VAX のみ)または構成が許せば,メニュー・システムを使用してシステム・ディスクのバックアップを取る必要があります。オペレーティング・システムがシャットダウン中でも,メイン・メモリにスタンドアロン BACKUP をブートし, BACKUP コマンド修飾子のサブセットを使用すれば,システム・ディスクの全 ファイルの完全なバックアップをとることができます。スタンドアロン BACKUP は,OpenVMS VAX のみを対象としています。また,インストールおよびシステム・ディスクのバックアップと復元についてサポートしています。スタンドアロン BACKUP で使用できる修飾子の一覧を 表 11-8 に示します。
タイプ | 修飾子 | 省略時の値 |
---|---|---|
コマンド修飾子 | /BRIEF | /BRIEF |
/COMPARE | なし | |
/FULL | /BRIEF | |
/IMAGE | /IMAGE | |
/[NO]INITIALIZE | 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/LIST
[=ファイル指定] |
『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/[NO]LOG | /NOLOG | |
/PHYSICAL | なし | |
/RECORD | なし | |
/[NO]TRUNCATE | /NOTRUNCATE | |
/VERIFY | なし | |
/VOLUME=n | なし | |
入力セーブ
セット修飾子 |
/[NO]CRC | /CRC |
/[NO]REWIND | /NOREWIND | |
/SAVE_SET | なし | |
出力セーブ
セット修飾子 |
/BLOCK_SIZE=n | 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 |
/BY_OWNER=uic | 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/COMMENT= 文字列 | なし | |
/[NO]CRC | /CRC | |
/DENSITY=n | 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/[NO]EXACT_ORDER | /NOEXACT_ORDER | |
/GROUP_SIZE=n | /GROUP_SIZE=10 | |
/LABEL=(文字列 [,...]) | 『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/PROTECTION
[=(コード)] |
『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照 | |
/[NO]REWIND | /NOREWIND | |
/SAVE_SET | なし | |
/TAPE_EXPIRATION | Today |
スタンドアロン BACKUP コットは OpenVMS ディストリビューション・キットに入っていますが,システム・ディスクあるいはユーザ・ディスクに作成した方がブート時間が短縮できます。各種媒体にスタンドアロン BACKUP を作成し,それらを使用する方法については,使用しているコンピュータのインストールおよびアップグレードの手引書を参照してください。
以降の項では,ディスクまたはテープにスタンドアロン BACKUP を作成し,その BACKUP を使用してシステム・ディスクのバックアップをとる方法を説明します。
11.17.2.1 ディスクへのスタンドアロン BACKUP の作成 (VAX のみ)
スタンドアロン BACKUP は,テープではなく,ディスクに置いたほうが高速に立ち上がるので,ディスクに作成することをおすすめします。
スタンドアロン BACKUP は,システム・ディスクまたはユーザ・ディスクのどちらにでも作成することができます。ユーザ・ディスクに作成した場合,ディスクの占有空間量はシステム・ディスクのときより大きくなります。これは,システムのブートに必要なファイルがユーザ・ディスクにないためです。
スタンドアロン BACKUP の作成には, SYS$UPDATE:STABACKIT.COM コマンド・プロシージャを使用します。このプロシージャは,必要ならばターゲット装置に指定されたディレクトリを新たに作成し,スタンドアロン BACKUP をブートするためのファイルをそのディレクトリにコピーします。コピー先のディレクトリは,システム・ディスクであれば [SYSE],ユーザ・ディスクであれば [SYS0] です。
ディスクにスタンドアロン BACKUP を作成する手順は次のとおりです。
$ @SYS$UPDATE:STABACKIT Enter the name of the device on which to build the kit: |
Enter the name of the device on which to build the kit: SYS$SYSDEVICE: |
The kit is complete. |
RF73 ディスク(クラスタ・サイズ4ブロックのディスク) から RF74 ディスク(クラスタ・サイズ7ブロックのディスク) へイメージ・バックアップを実行する場合, Backup ユーティリティはコピーして書き込むファイル用の領域を割り当てる際にファイル・サイズを確認しません。したがって,ファイルが初期化時に設定された CLUSTER_SIZE 属性の値よりも大きなサイズの割り当てを持っていた場合,実際のファイル・サイズがクラスタ・サイズより小さい場合にも BACKUP はクラスタ1つ分余計のブロックをファイルに割り当てます。たとえば,イメージ・バックアップ時に,実際のファイル・サイズが6ブロックであるのに, 8ブロックが割り当てられるような場合がこれに相当します (この場合,コピー終了後に DIRECTORY/SIZE=ALL コマンドを実行すると,画面には 6/8 と表示されます)。実際のサイズはクラスタ・サイズよりも小さくなります。
具体的には次のファイルは,イメージ・システム・ディスクに使用ブロック数6ブロック,割り当てブロック数14ブロック(6/14)でコピーされます。
SYS$COMMON:[SYS$LDR]LIDRIVER.EXE
SYS$COMMON:[SYS$LDR]LPDRIVER.EXE
この誤った割り当てサイズにより,スタンドアロン BACKUPはブートされたイメージ・ディスクで障害を発生します。
この問題を解決するには,上記2つのファイルをイメージ・バックアップ後に次のコマンドを使用して同じディレクトリに再びコピーします (このコマンドでは正しい割り当てサイズを指定しています):
$ COPY/ALLOCATION=7 SYS$COMMON:[SYS$LDR]LIDRIVER.EXE $ COPY/ALLOCATION=7 SYS$COMMON:[SYS$LDR]LPDRIVER.EXE |
11.17.2.2 ディスクからのスタンドアロン BACKUP のブート (VAX のみ)
ディスクからスタンドアロン BACKUP をブートする手順を,次に示します。
$ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN |
質問に答えていき,自動システム・ブートを行うか質問があったら, Return を押して NO を選択する。処理が終わると,プロシージャは次のメッセージを表示する。
SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE -- USE CONSOLE TO HALT SYSTEM |
>>> B/n0000000 device-name |
たとえば,ディスクの装置名が DKA400:,スタンドアロン BACKUP を作成したディレクトリが [SYSE] ディレクトリの場合は,次のコマンドを入力します。
>>> B/E0000000 DKA400 |
装置名については, 第 8.1 節 を参照すること。
VAX/VMS Version Vn.n Major version id = 01 Minor version id = 00 |
PLEASE ENTER DATE AND TIME (DD-MMM-YYYY HH:MM) 19-JAN-2000 15:00 |
Available device MKA500: device type TK50 Available device DKA100: device type RRD40 . . . |
一覧にローカル・デバイスがすべて列挙されているか調べ,すべて列挙されていない場合は,すべての装置がシステムに正しく接続されているか調べる。詳細は,使用しているハードウェアのマニュアルを参照すること。
%BACKUP-I-IDENT, Standalone BACKUP V7.3; the date is 19-APR-2000 15:00 $ |
システム・ディスクのバックアップ・コピーを作成したい場合は, 第 11.17.3 項 を参照すること。
システム・ディスクの復元については,
第 11.17.4 項 で説明する。
11.17.2.3 テープ・カートリッジへのスタンドアロン BACKUP の作成 (VAX のみ)
テープ・カートリッジ・ディストリビューション・キットを持つ VAX システムの場合は,ディストリビューション・キットで提供されるテープ・カートリッジにスタンドアロン BACKUP が含まれています。この後に紹介する手順は,スタンドアロン BACKUP のコピーが破損した場合,または予備のコピーを作成する必要がある場合に使用してください。
テープ・カートリッジにスタンドアロン BACKUP を作成する手順は,次のとおりです
$ @SYS$UPDATE:STABACKIT |
Enter the name of the device on which to build the kit: MUA0 |
Please place the scratch tape cartridge in drive _MUA0: This volume will receive the volume label SYSTEM. Enter "YES" when ready: |
Ending time 19-MAY-2000 16:44:29.90 Starting time 19-MAY-2000 16:30:39.05 The Kit is complete. $ |
11.17.2.4 テープ・カートリッジからのスタンドアロン BACKUP のブート (VAX のみ)
テープ・カートリッジにスタンドアロン BACKUP を作成していて,ディスク装置の故障などでスタンドアロン BACKUP の入ったディスクが使用不能になった場合は,代わりにテープ・カートリッジのスタンドアロン BACKUP を使用することができます。テープ・カートリッジからのスタンドアロン BACKUP のブートに要する時間は,約 20 分です。
テープ・カートリッジからスタンドアロン BACKUP をブートする手順は,次のとおりです。
$ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN |
質問に答えていき,自動システム・ブートを行うか質問があったら, Return を押して NO を選択する。処理が終わると,プロシージャは次のメッセージを表示する。
SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE -- USE CONSOLE TO HALT SYSTEM |
>>> BOOT MUA0 |
VAX/VMS Version V7.3 Major version id = 1 Minor version id = 0 |
PLEASE ENTER DATE AND TIME (DD-MMM-YYYY HH:MM) 19-MAY-2000 15:00 |
Available device DUA0: device type Generic_DU Available device MUA0: device type TK50 |
%BACKUP-I-IDENT, standalone BACKUP V7.3; the date is 19-MAY-2000 15:50 $ |
システム・ディスクのバックアップを行う場合には,BACKUP コマンドの /IMAGE と /PHYSICAL 修飾子の機能について理解してから,スタンドアロン BACKUP を行います。
修飾子 | 機能 |
---|---|
/IMAGE | 機能的にはシステム・ディスク全体と等価のコピーを作成する。復元すると,イメージ・バックアップのファイルがシステム・ディスクに連続して書き込まれるので,ディスクのフラグメンテーションの解消にもなる。 |
/PHYSICAL | ファイル構造を無視し,論理ブロック単位でシステム・ディスク全体をコピー,保存,復元,比較する。 |
BACKUP ユーティリティの修飾子についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
システム・ディスクをテープにイメージ・バックアップする手順は,次のとおりです。
BACKUP/IMAGE/VERIFY 入力指定: - 出力指定:セーブ・セット.BCK/REWIND/LABEL=ラベル |
こうした構文規則に従った BACKUP コマンドの例を次に示す。
$ BACKUP/IMAGE/VERIFY DUA1: MUA0:DEC_31_BACKUP.BCK/REWIND/LABEL=WKY101 |
%BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass |
%BACKUP-I-RESUME, Resuming operation on volume 2 %BACKUP-I-READYWRITE, Mount volume 2 on _MUA0: for writing Enter "YES" when ready. |
これらのメッセージが出されない場合は,ステップ 9 に進む。これらのメッセージを受け取った場合は,次の操作を行う。
%BACKUP-I-STARTVERIFY, starting verification pass |
この後,マウント要求が出されたら,その都度,a から e のステップを繰り返す。
前へ | 次へ | 目次 | 索引 |