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プリント・フォームは,特定のページ書式設定属性 (マージン,ページ長,行の折り返しなど) を指定します。また,フォーム定義に指定された用紙ストックは,ジョブが印刷に適しているかどうかを判断するときに使用されます。
OpenVMS では,次のいずれかを使用できます。
フォームのストックは,ジョブが印刷に適しているかどうかに影響します。ストックはキューの マウントされたフォームと一致しなければなりません。マウントされたフォームとは,現在のジョブのフォーム,またはジョブが処理中でないときは,キューで最後に印刷されたジョブのフォームです。
ジョブのフォームのストックが,キューにマウントされているフォームのストックと一致する場合には,そのジョブはジョブのフォームのオプションを使用して処理されます。マウントされたフォームは,キューで処理されているジョブのフォームに自動的に変化します。ストックがマウントされたフォームのストックと一致しない場合には,管理者が特別な処理を実行するまで,ジョブは保留状態になります ( 第 14.6.7.6 項 を参照)。
コマンド | 説明 |
---|---|
DEFINE/FORM | フォームを作成して,名前と番号を割り当てる。 |
SHOW QUEUE/FORM/FULL | システムに定義されているフォームの情報を表示する。 |
DELETE/FORM | フォームを削除する。 |
INITIALIZE/QUEUE/DEFAULT=FORM
START/QUEUE/DEFAULT=FORM SET QUEUE/DEFAULT=FORM |
出力実行キューの省略時のフォームの名前か番号を指定する。 |
PRINT/FORM
SET ENTRY/FORM |
プリント・ジョブに割り当てる省略時のフォームの名前か番号を指定する。 |
INITIALIZE/QUEUE/FORM_MOUNTED
START/QUEUE/FORM_MOUNTED SET QUEUE/FORM_MOUNTED |
出力実行キューのマウント・フォームの名前か番号を指定する。 |
SHOW QUEUE/FULL | キューの省略時のフォームやマウント・フォームなどのキュー情報を表示する。 |
システム単位の省略時の設定のフォームまたはカスタマイズされたフォーム
システム単位の省略時のフォームをまったく変更せずに使用する場合は,特別な処理は何も必要ありません。システムはすべてのキューに対して,システム単位の省略時のフォームである DEFAULT を自動的に使用します。
しかし,省略時のフォームを変更する場合には,そのフォームを参照するキューを作成する 前に変更しなければなりません。変更方法については, 第 14.6.7.3 項 を参照してください。
カスタマイズしたフォームを作成するには, 第 14.6.7.4 項 で説明している手順を実行します。
この後の節では,すべてのフォーム,システム単位の省略時のフォーム,カスタマイズしたフォームに対して,これらの作業を実行する場合のガイドラインを示します。
作業 | フォームの種類 | 参照箇所 |
---|---|---|
システムで定義されているフォームの表示 | すべてのフォーム | 第 14.6.7.1 項 |
キューに割り当てられているフォームの表示 | すべてのフォーム | 第 14.6.7.2 項 |
システム単位の省略時のフォームの変更 | 省略時のフォーム | 第 14.6.7.3 項 |
フォームの作成 | カスタマイズされたフォーム | 第 14.6.7.4 項 |
キューの省略時のフォームの割り当て | カスタマイズされたフォーム | 第 14.6.7.5 項 |
キューでのフォームのマウント | カスタマイズされたフォーム | 第 14.6.7.6 項 |
フォームの削除 | カスタマイズされたフォーム | 第 14.6.7.7 項 |
行とページのあふれの制御 | すべてのフォーム | 第 14.6.7.8 項 |
初期改ページの禁止 | すべてのフォーム | 第 14.6.7.9 項 |
システムに定義されているフォームの情報を表示したい場合は, SHOW QUEUE/FORM/FULL コマンドを使用します。フォーム名が分かっている場合は,次の例に示すようにそのフォーム名を指定してください。
$ SHOW QUEUE/FORM/FULL MEMO Form name Number Description --------- ------ ----------- MEMO (stock=DEFAULT) 110 LN03 indented memo format /LENGTH=66 /MARGIN=(TOP=2,BOTTOM=2,LEFT=5) /STOCK=DEFAULT /TRUNCATE /WIDTH=80 |
キューの省略時のフォームを表示するには,SHOW QUEUE/FULL コマンドを入力します。
次の例では,省略時のフォームは REPORT であり,そのストックは 8_5x11 です。このキューで処理されるジョブのうち,PRINT コマンドでフォーム定義が指定されていないジョブはすべて,省略時のフォーム REPORT を使用します。マウントされたフォームのストックが省略時のフォームのストックと一致する場合には,フォーム定義を指定せずにこのキューに登録されたすべてのジョブは,スケジューリングされて印刷されます。
$ SHOW QUEUE/FULL JEAN_PRINT Printer queue JEAN_PRINT, idle, on BAY::TTA3:, mounted form 8_5x11 <Queue for printer in Jean's office> /BASE_PRIORITY=4 /DEFAULT=(FEED,FORM=REPORT (stock=8_5X11)) /OWNER=[SYSTEM] /PROTECTION=(S:M,O:D,G:R,W:R) |
/DEFAULT=FORM 修飾子を使用せずに初期化したキューでは,フォーム定義が指定されていないプリント・ジョブを処理するために,システム単位の省略時のフォームが使用されます。システム単位の省略時のフォームはフォーム番号 0 に対応し,次のオプションを使用します。
/MARGIN=(BOTTOM=6)
/STOCK=DEFAULT
/TRUNCATE
/WIDTH=132
/LENGTH=66
これらのオプションについては 表 14-3 を参照してください。
システム単位の省略時のフォームを変更するには,次の形式で DEFINE/FORM コマンドを使用します。
DEFINE/FORM DEFAULT 0 /修飾子 |
省略時の下マージンを 6 から 4 に変更し,ページ長を 66 から 55 に変更するには,次のコマンドを入力します。
$ DEFINE/FORM DEFAULT 0/MARGIN=(BOTTOM=4)/LENGTH=55 |
キューまたはジョブでフォームを参照した後,そのフォームのストックを変更することはできません。省略時のフォームのストックを変更するときは,キューを作成する前に変更してください。 |
カスタマイズしたフォームを作成するには,次の操作を実行します。
DEFINE/FORM フォーム名 フォーム番号 [/修飾子] |
$ PRINT_REPORT :== PRINT/FORM=REPORT |
フォームを作成する場合には, 表 14-3 に示した修飾子を指定できます。
修飾子 | 働き |
---|---|
/WIDTH= n | 用紙の物理的な幅を示す文字数を指定する。 |
/LENGTH= n | 用紙の物理的な長さを示す文字数を指定する。 |
/[NO]TRUNCATE | /WIDTH と /MARGIN 値で決まる行幅を超えた文字を廃棄するよう指定する ( 第 14.6.7.8 項 を参照)。 |
/[NO]WRAP | /WIDTH と /MARGIN 値で決まる行幅を超えた文字を次行送りするよう指定する ( 第 14.6.7.8 項 を参照)。 |
/MARGIN=
( オプション= n[,...]) |
マージンの空白スペース数を指定する。マージンは BOTTOM,LEFT,RIGHT,TOP の 4 つ。 |
/[NO]PAGE_SETUP=
( モジュール[,...]) |
各ページの始まりで装置を設定する装置制御モジュールを指定する ( 第 14.6.8.4 項 を参照)。 |
/SETUP=( モジュール[,...]) | 各ファイルの始まりで装置を設定する装置制御モジュールを指定する ( 第 14.6.8.4 項 を参照)。 |
/[NO]SHEET_FEED | 新しい用紙を挿入できるよう,各物理ページの終わりでのプリント・ジョブの一時停止を指定する。 |
/STOCK= 文字列 | フォームに対応付ける用紙ストックのタイプを指定する。 |
/DESCRIPTION= 文字列 | フォームに関する情報を提供する文字列を指定する。 |
用紙ストックを変更せずに,書式オプションを変更するだけの目的でフォームを作成する場合は,個々のフォームについて同じストック・タイプを指定してください。そのように指定しておけば,それらのフォームのどれをジョブが必要としても,キューを変更するためのコマンドを入力する必要がなくなり,同じキューでプリントが行われます。
/STOCK 修飾子を使用しないかぎり,フォームのストックはフォーム名と同じです。
論理名でもあるフォーム名を定義するときは,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』の論理名に関する記述を参照してください。 |
次は,フォーム名を MEMO,フォーム番号を 3,でフォームを定義している例です。フォームの書式オプションも定義しています。
$ DEFINE/FORM MEMO 3/STOCK=DEFAULT - _$ /MARGIN=(TOP=2,BOTTOM=2,LEFT=6)/WIDTH=80/LENGTH=66/TRUNCATE - _$ /DESCRIPTION="LN03 indented memo format" |
PRINT コマンドによるキュー登録時に /FORM 修飾子が指定されなかった場合,ジョブは,それが置かれている実行キューの省略時のフォームを使用します。
出力実行キューに省略時のフォームを割り当てる場合は, INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE,SET QUEUE のいずれかのコマンドに,次の形式で /DEFAULT 修飾子を使用します。
キュー登録時に特定のフォームの要求がないかぎり,プリント・ジョブへのキューの省略時のフォームの割り当ては,ジョブの処理時に行われます。したがって,/FORM 修飾子を指定せずに汎用キューにジョブが登録された場合は,実行キューに転送されるまで,ジョブにフォームが割り当てられることはありません。 |
省略時のフォームが設定されていない場合,キューはシステム単位の省略時のフォームの DEFAULT を使用します。
次の例では,SET QUEUE コマンドは LN03_PRINT キューの省略時のフォームを LN03_PORTRAIT に変更します。
$ SET QUEUE/DEFAULT=FORM=LN03_PROTRAIT LN03_PRINT |
キューへのフォームのマウントは,INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE, SET QUEUE のいずれかのコマンドに,次の形式で /FORM_MOUNTED 修飾子を使用することによって行います。
INITIALIZE/QUEUE/FORM_MOUNTED= タイプ |
タイプはDEFINE/FORM コマンドで定義されるフォーム名または番号です。
ストックが一致しないためにプリント・ジョブが保留状態になっている場合には,プリンタのストックを要求されたストックに変更し,要求されたストックに関連付けられたフォームをキューにマウントするか,または 第 14.8.2.1 項
で説明している他のいずれかの処理を実行します。
14.6.7.7 フォームの削除
定義済みのフォームを削除する場合は,次の例に示すように DCL の DELETE/FORM コマンドを使用します。
$ DELETE/FORM MEMO |
DELETE/FORM コマンドには,フォーム番号ではなく,フォーム名を指定する必要があります。フォーム番号は分かっているが,フォーム名が分からないという場合は, SHOW QUEUE/FORM コマンドを使用して,システムに定義されているフォーム名とフォーム番号を調べることができます。
キューまたはジョブがフォームを参照している場合,システムからは次のメッセージが返されます。
%DELETE-E-NOTDELETED, error deleting form-name -JBC-E-REFERENCED, existing references prevent deletion |
フォームを削除するためには,フォームに対する参照をすべて削除しておく必要があります。フォームに対する参照の削除については, 第 14.8.5 項
を参照してください。
14.6.7.8 ページあふれ制御オプションと行あふれ制御
プリント・シンビオントが整形しても,行やページの長さがプリンタの行幅やページ長を超えることがあります。そうした場合は,キュー・オプションを使用して,行あふれやページあふれを制御することができます。
行あふれは,フォーム定義で制御することをおすすめします。このためには,物理的な装置幅の限界に達する前に行送りや行切り詰めを行わないよう,ターミナルとプリンタを設定する必要があります。
プリント・シンビオントはフォームに基づいて行幅を決定します。プリント・シンビオントがデータの書式整形を終えた後,行幅が装置の/WIDTH 設定より広い場合は, /TRUNCATE か /WRAP オプションが設定されていればその設定を使用して,デバイス・ドライバは行の切り詰めか行送りを行います。 |
左右と上下マージンの設定は,フォームごとに変えることができます。そしてユーザは,フォームを使ってページあふれと行あふれを制御することにより,別のフォームに切り換えることができます。このときオペレータがキューを停止させて,装置の設定を変更し,再度キューを起動させるという必要はありません。キュー・マネージャは,現在マウントされているフォームと同じストックを使って自動的に任意のフォームをマウントします。オペレータ支援が必要になるのは,現在マウントされているフォームのストックと,異なるストックのフォームをマウントする場合だけです。詳細は 第 14.8.2.1 項 を参照してください。
行あふれを制御したい場合は,DCL の DEFINE/FORM コマンドでフォームを作成するときに, 表 14-3 で説明されている /[NO]TRUNCATE と /[NO]WRAP の修飾子を指定します。
ページあふれを制御する場合は,INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE,または SET QUEUE コマンドで /DEFAULT=[NO]FEED 修飾子を使用します。この修飾子は,シンビオントがデータの下マージン部分へのあふれを検出したときに,改ページ文字を自動的に挿入するかどうかを制御します。ユーザは,PRINT/FEED または PRINT/NOFEED コマンドを使用して,キューに指定された改ページ・オプションの省略時の設定を変更できます。
ユーザはまた,PRINT コマンドに /PASSALL 修飾子を指定して,プリント・シンビオントが行うあらゆるフォーマッティング処理(改行を含む)をバイパスできます。省略時の設定は /NOPASSALL です。 /PASSALL 修飾子は,プリント・シンビオントによるフォーマッティングが希望するフォーマッティングと異なる場合に使用してください。 /PASSALL 修飾子を使用すると,すべてのフォーマッティングを上書きして,プリント・シンビオントはデバイス・ドライバに入出力を送ります。
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