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システム・ダンプには,物理ダンプと選択型ダンプの 2 種類があります。 表 16-1 に,それらの比較を示します。また, 表 16-3 に,物理システム・ダンプ・ファイルと選択型システム・ダンプ・ファイルで使用できる情報の比較を示します。
ダンプの種類 | 説明 |
---|---|
物理ダンプ | 物理メモリのすべての内容をシステム・ダンプ・ファイルに書き込む。物理ダンプを確実に有効にするため,システム・ダンプ・ファイルには,物理メモリのすべての内容を含むのに十分なサイズが必要である。 |
選択型ダンプ | メモリのクラッシュ・ダンプの分析に役立つと考えられる部分を保存する。選択型システム・ダンプは,物理メモリ全体を保持できるだけのディスク空間がない場合に有効。 |
オペレーティング・システムにとって有効となるシステム・ダンプ・ファイルを保存するためには,次の条件が満たされている必要があります。
システム・ダンプ・ファイルには,NOBACKUP 属性が設定されています。したがって,ダンプ・ファイルをコピーする場合には, BACKUP の起動時に /IGNORE=NOBACKUP 修飾子を使用する必要があります。 SDA の COPY コマンドを使用してシステム・ダンプ・ファイルをコピーする場合,コピー先のファイルに NOBACKUP 属性は設定されません。コピーに NOBACKUP 属性を設定したい場合には, SET FILE コマンドに /NOBACKUP 修飾子を指定します (詳細は『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください)。
省略時の設定では SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP は,一般ユーザがアクセスできないようになっています。システム・ダンプ・ファイルには特権情報が入っている可能性があるため,システム・ダンプ・ファイルのこの保護レベルはそのままにしておいてください。同様に,
第 16.11 節
および 第 16.13 節
で説明するように,システム・ダンプ・アナライザ・ユーティリティ (SDA) を使って,システム・ダンプ・ファイルをコピーする場合は,このコピーに必ず保護を設定して,一般ユーザがアクセスできないようにしてください。ファイル保護についての詳細は,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。
16.2 ページ・ファイルおよびスワップ・ファイルについて
メモリを有効に使用するため,オペレーティング・システムは,物理メモリからディスクへ,またはディスクから物理メモリへ,情報を移動します。このようなメモリ管理は 2 種類あり,ページングとスワッピングと呼ばれます。 表 16-2 に,ページングとスワッピングに関連する用語を示します。
用語 | 定義 |
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ページング | プロセス に割り当てられた物理メモリを効率よく利用するためのメモリ管理操作。ページングによって,プロセス作業領域の使用頻度の低い部分が,物理メモリからファイルに移動する。ページングについての詳細は,『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照。 |
ページ・ファイル | ページングされたメモリの部分が書き込まれるファイル。 OpenVMS のインストール・プロセスによって, SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS という名前のページ・ファイルができる。必要であれば,SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS をシステム・クラッシュ・ダンプ・ファイルの代わりに使用できる。詳細は 第 16.1.1 項 を参照。 |
スワップ | システム全体 で使用できる物理メモリを効率よく利用するためのメモリ管理機能。スワップによって,活動頻度の低いプロセスの作業領域全体が,物理メモリからファイルに移動する。スワッピングについての詳細は,『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照。 |
スワップ・ファイル | スワッピングされたメモリの部分が書き込まれるファイル。 OpenVMS のインストール・プロシージャによって, SYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYS という名前のスワップ・ファイルができる。 |
1次ページ・ファイルと
1次スワップ・ファイル |
OpenVMS のインストール中にできる省略時のページ・ファイル (SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS)とスワップ・ファイル (SYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYS)。 |
2次ページ・ファイルと
2次スワップ・ファイル |
性能とディスク空間の理由により,ユーザによって作成される付加的なページ・ファイルとスワップ・ファイル。 1次ページ・ファイルと1次スワップ・ファイルをシステム・ディスク上に保持している場合,システムは,1次ページ・ファイルと1次スワップ・ファイルの空間に加え,ページングとスワッピングのための2次ファイルの空間を使用する。 2次ページ・ファイルと2次スワップ・ファイルの作成法については, 第 16.16 節 を参照。 |
ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールしてからでないと,システムはそれらのファイルを使用することはできません。スタートアップ時にシステムは自動的に, SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS と SWAPFILE.SYS の最新バージョンをインストールします。 2次ページ・ファイルと2次スワップ・ファイルを作成する場合は,スタートアップ時にシステムがそれらを確実にインストールするようにしなければなりません。ページ・ファイルとスワップ・ファイルのインストールについての詳細は, 第 16.14 節 を参照してください。
AUTOGEN は,実際のハードウェア構成とシステム・パラメータに従い,これらのファイルの適切なサイズを決定します。しかし,特殊な構成のシステム,あるいは作業負荷の変化が大きいシステムでは,ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルのサイズを変更しなければならないことがあります。詳細は 第 16.16.1 項 を参照してください。
システムにシステム・クラッシュ・ダンプを格納するためのページ・ファイルが必要ない場合は,システム・ディスクからページ・ファイルを削除することができます。ただし,できればシステム・ディスクにページ・ファイルを 1 つ残しておいて,ページ・ファイルを保持している別のディスクが使用できない場合に,システムをブートできるようにしておいた方がよいでしょう。また,スワップ・ファイルもシステム・ディスクから削除することができます。
16.3 ページ・ファイルとスワップ・ファイルに関する情報の表示
DCL の SHOW MEMORY/FILES コマンドにより,システムに存在しているページ・ファイルとスワップ・ファイルに関して,ファイル名,サイズ,使用している空間の量などの情報が表示できます。次に例を示します。
$ SHOW MEMORY/FILES System Memory Resources on 19-JAN-2001 13:35:26.58 Swap File Usage (8KB pages): Index Free Size DISK$PAGE_DUMPS:[SYS0.SYSEXE]SWAPFILE.SYS;2 1 7992 8248 Paging File Usage (8KB pages): Index Free Size DISK$PAGE_DUMPS:[SYS0.SYSEXE]PAGEFILE.SYS;1 254 13722 16496 Total committed paging file usage: 4870 |
コミットされたページングファイルの合計使用量は,ページングに必要なページ・ファイル領域を必要とするシステムでのページ数です。この値は,使用可能なページファイルの合計ページ数より大きくなってもかまいません。すべての必要な領域がページングで一度に使用されるようなことが起こる可能性は低いためです。
16.4 ダンプ・ファイル,ページ・ファイル,スワップ・ファイルのサイズの机上計算
ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズは,オペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード時に,AUTOGEN によって自動的に計算されます。しかし,必要に応じて,これらのファイルのサイズを机上で計算することもできます。次に,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの適切なサイズを決定する方法を説明します。
16.4.1 システム・ダンプ・ファイルのサイズの計算
完全なクラッシュ・ダンプを保存するために,システム・ダンプ・ファイルのサイズが十分であることを確認してください。ダンプ・ファイルの適切なサイズは, AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。ただし,ダンプ・ファイル・サイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用してください。この公式により,物理ダンプに保持する必要のあるサイズが計算できます。
ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP) = 物理メモリのページ数 + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数) + 1 |
Alpha システムの場合には,次の公式を使用します。
ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP) = 物理メモリのページ数 * ページあたりのブロック数 + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数) + 10 |
ページ数 | 物理メモリのサイズ (ページ単位)。システムの物理メモリ全体のサイズを決めるには DCL の SHOW MEMORY コマンドを使用する。 |
ページあたりのブロック数 | メモリのページあたりのブロック数。
Alpha システムの場合,メモリの各ページのブロック数は,システムのページ・サイズを 512 (ブロック・サイズ) で割ることによって求める。次のコマンドを使用する。
|
エラー・ログ・バッファの数 | システム・パラメータ ERRORLOGBUFFERS の値。このパラメータにより,エラー・ログ・バッファの数が設定され,メモリ内で永久的に割り当てられる。 |
バッファあたりのブロック数 | システム・パラメータ ERLBUFFERPAGES の値。このパラメータにより,各バッファ内のメモリのページレット (ブロック) 数が設定される。 |
メモリ・サイズが大きなシステム,あるいはディスク容量の小さなシステムでは,完全メモリ・ダンプを行うのに十分な空間がとれないことがあります。 そのような環境では,特定の情報だけをダンプするように,システム・パラメータ DUMPSTYLE の値を設定します。詳細は 第 16.5 節 を参照してください。
SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP がない場合,クラッシュ・ダンプは, 1次ページ・ファイル SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS に書き込まれます。ページ・ファイルの適切なサイズは, AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。ただし,クラッシュ・ダンプを保持するために必要なページ・ファイルの最小サイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用します。
VAX システムの場合には,次の公式を使用します。
ファイルのブロック数 (SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS) = 物理メモリのページ数 + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数) + 1 + 1000 |
Alpha システムの場合には,次の公式を使用します。
ファイルのブロック数 (SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS) = 物理メモリのページ数 * ページあたりのブロック数 + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数) + 物理メモリのページ数 / 512 +10 + システム・パラメータ RSRVPAGCNT の値 |
ページ数 | 物理メモリのサイズ (ページ単位)。システムの物理メモリ全体のサイズを決めるには DCL の SHOW MEMORY コマンドを使用する。 |
ページあたりのブロック数 | メモリのページあたりのブロック数。
Alpha システムの場合,メモリの各ページのブロック数は,システムのページ・サイズを 512 (ブロック・サイズ) で割ることによって求める。次のコマンドを使用する。
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エラー・ログ・バッファの数 | システム・パラメータ ERRORLOGBUFFERS の値。このパラメータにより,エラー・ログ・バッファの数が設定され,メモリ内で永久的に割り当てられる。 |
バッファあたりのブロック数 | システム・パラメータ ERLBUFFERPAGES の値。このパラメータにより,各バッファ内のメモリのページレット (ブロック) 数が設定される。 |
RSRVPAGCNT | RSRVPAGCNT 特殊システム・パラメータの値。 |
この公式では,ダンプを保存するための1次ページ・ファイルの最低限のサイズだけが求められます。ほとんどのシステムでは,システムがハングしないようにページ・ファイルのサイズをこの値より大きくする必要があります。ページ・ファイル・サイズの計算についての詳細は, 第 16.4.3 項 を参照してください。 |
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