前へ | 次へ | 目次 | 索引 |
DECevent を使用すると,システム・ユーザは,システム・イベント・エントリから派生する ASCII レポートを作成することができます。ASCII レポートの形式は,最大 255 文字までのコマンド言語インタプリタ (CLI) に入力したコマンドによって異なります。
他の入力ファイルを指定していなければ, DECevent は,省略時の入力ファイルとしてエラー・ログ・ファイル SYS$ERRORLOG:ERRLOG.SYS を使用します。
イベント・レポートは,潜在的に障害の原因となるシステム領域を識別するので,どのような予防保守を行うかを決定するのに便利です。また,イベント・レポートは,障害の原因となったイベントを文書化するので,診断の補助にもなります。
イベント・レポートの内容は,弊社のサポート担当者にとって最も重要なものです。一方,ユーザもこのレポートをシステム信頼性の重要な尺度として使用することができます。たとえば,DCL の SHOW ERROR コマンドを使用して,特定の装置が通常より多くのイベントを生成していることを見つけたとします。ここで,DECevent を使用すれば,さまざまな詳細レポートを入手し,弊社のサポート担当者に問い合わせる必要があるかどうかも決定できます。
システム・コンポーネントの障害の場合,弊社のサポート担当者は,イベント・レポートを使って,障害の直前から障害までのイベントの履歴を作成することができます。
診断プログラムを組み合わせて使用することで,システム・ダウンの時間を大幅に短縮することができます。
DECevent は 5 つのタイプのレポートを作成します。
レポート・タイプ | 説明 |
---|---|
詳細 (省略時の設定) | イベント・ログ中のすべてのエントリの中から,利用できるすべての情報を変換する。 |
簡略 | イベント・ログ中のすべてのエントリの中から,重要な情報だけを変換する。 |
簡潔 | バイナリ・イベント情報を提供し,レジスタ値および他の ASCII メッセージを凝縮した形式で表示する。 |
要約 | イベント・ログ中のイベント・エントリを統計的に要約する。 |
高速エラー (FSTERR) | さまざまなディスクおよびテープ装置のユーザ・イベント・ログを,エントリごとに 1 行ずつ簡潔に報告する。 |
上記のレポート・タイプは相互に排他的です。つまり,1 つのコマンドの中では,1 つのレポート・タイプしか選択できません。
レポート・タイプの例については, 第 20.5.5 項 を参照してください。 DECevent が作成するその他のレポート・タイプについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
以降の項では,DECevent の使用方法について説明します。
作業 | 参照項目 |
---|---|
DECevent の起動と終了 | 第 20.5.2 項 |
DECevent 修飾子の使用方法 | 第 20.5.3 項 |
その他の DECevent コマンドの使用方法 | 第 20.5.4 項 |
DECevent レポートの作成方法 | 第 20.5.5 項 |
また,制約については 第 20.5.6 項 で説明します。
20.5.2 DECevent の起動と終了
DECevent を起動するには,次の DCL コマンドを入力します。
DIAGNOSE [/1 次修飾子][/2 次修飾子[,...][ファイル指定][,..] |
/TRANSLATE 修飾子は省略時の修飾子なので,コマンド行に入力しなくてもかまいません。
有効な修飾子,使用方法,および順序については,次の節で簡単に説明します。詳細については,『DECevent User's Guide』 を参照してください。このドキュメントは,次の Web サイトにあります。
http://www.support.compaq.com/svctools |
"support tools","DECevent", "documentation" の順に選択してください。 『DECevent User's Guide』 はいくつかの形式で用意されています。
DECevent を終了するときは,Ctrl/C と Return キーを押します (このようにしないと,プロンプトが表示されません)。
DECevent を実行するには,SYSPRV 特権が必要です。ただし,ERRLOG.SYS ファイルにアクセスするには,読み込みアクセスのみが必要です。 /CONTINUOUS 1 次修飾子を動作させて,端末画面上にイベントを連続表示するには, DIAGNOSE 特権が必要です。
20.5.3 DECevent 修飾子の使用方法
表 20_5 および 表 20-6 に,DECevent 修飾子の一覧を示します。 DECevent の修飾子は, DECevent が作成するレポートの形式を変更するものです。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/ANALYZE | イベント・ログの解析,またはイベント・ログ・ユーティリティのリアルタイム解析を出力する。 |
/BINARY | バイナリ・エラー・ログ・レコードを ASCII テキストに変換するか,指定した出力ファイルにコピーするかを制御する。この修飾子は,レポート・タイプ修飾子 (/FULL,/BRIEF,/TERSE,/SUMMARY,および/FSTERR) または /OUTPUT 修飾子とは同時に使用しないこと。 |
/CONTINUOUS | オペレーティング・システムのイベント・ロガーがイベントを記録するときに,リアル・タイムでイベントを書式化するかどうかを指定する。 |
/DUMP | 簡略レポートの後に入力イベント・ログ・ファイルの情報のダンプを出力するかどうかを指定する。 |
/INTERACTIVE | コマンド行インタフェースを終了し, DECevent 会話式コマンド・シェルに入る。 |
/TRANSLATE (省略時の設定) | イベント・ログ・ファイルをレポートに変換する。 |
修飾子 | 説明 |
---|---|
/BEFORE | 指定した日付および時間より前のエントリだけを選択してイベント・レポートを作成する。 |
/BRIEF | 簡略レポートを作成する。 |
/ENTRY | 指定した範囲の,または指定した番号以降のエントリのレポートを作成する。 |
/EXCLUDE | 指定した装置クラス,装置名,エラー・ログ・エントリ・タイプ以外のイベントのレポートを作成する。 |
/FSTERR | ディスクおよびテープのイベント・ログ・エントリについて,エントリごとに 1 行ずつ簡潔に報告する。 |
/FULL (省略時の設定) | 詳細レポートを作成する。このレポートでは,イベント・ログ・エントリについて,使用できるすべての情報が報告される。 |
/INCLUDE | 指定した装置クラス,装置名,エラー・ログ・エントリ・タイプのイベントを含んだレポートを作成する。 |
/LOG | 各入力ファイルに対して,選択したエントリ数および拒否したエントリ数を指定する情報メッセージを, SYS$OUTPUT に送信するかどうかを制御する。 |
/NODE | OpenVMS クラスタ内の特定のノードのイベント・エントリからなるレポートを作成する。 |
/OUTPUT | レポートの出力ファイルを指定する。 |
/REJECTED | 拒否するエントリのバイナリ・レコードが格納されるファイル名を指定する。 |
/SINCE | 指定した日付および時刻より後のエントリを選択してレポートを作成する。 |
/SUMMARY | 統計的に要約したイベント・レポートを作成する。 |
/TERSE | バイナリ・イベント情報,凝縮された形式のレジスタ値,および ASCII メッセージからなるイベント・レポートを作成する。 |
/TERSE | バイナリ・イベント情報,レジスタ値,圧縮形式のASCII メッセージを含むイベント・レポートを生成する。 |
/BINARY 修飾子は,レポート・タイプ修飾子 (/FULL,/BRIEF,/TERSE,/SUMMARY,/FSTERR) または /OUTPUT 修飾子とともに使用しないでください。
20.5.4 その他の DECevent コマンドの使用方法
表 20_5 および 表 20-6 にリストした修飾子の他に, DECevent には一連の DIRECTORY コマンド・セット,および SHOW コマンド・セットがあります。
この項では,DECevent コマンドおよびレポートの例を示します。
20.5.5.1 詳細レポートの作成
詳細レポートを作成するには,/FULL 修飾子を指定します。詳細レポート形式では,イベント・ログ中のすべてのエントリの,使用できるすべての情報が変換されます。詳細レポートは,コマンド行でレポート・タイプを指定しなかった場合の省略時のレポート・タイプです。
次のコマンドは,両方とも詳細形式のレポートを作成します。
$ DIAGNOSE/FULL $ DIAGNOSE |
(/FULL は省略時の値です。)
例 20-1 に,詳細レポートの形式を示します。
例 20-1 詳細レポート形式 |
---|
******************************** ENTRY 1 ******************************** Logging OS 1. OpenVMS System Architecture 2. Alpha OS version V7.3 Event sequence number 1583. Timestamp of occurrence 18-APR-2000 09:21:18 System uptime in seconds 58004. Error mask x00000000 Flags x0001 Dynamic Device Recognition present Host name COGENT Alpha HW model DEC 3000 Model 400 System type register x00000004 DEC 3000 Unique CPU ID x00000002 mpnum x000000FF mperr x000000FF Event validity -1. Unknown validity code Event severity -1. Unknown severity code Entry type 100. Major Event class 3. IO Subsystem IO Minor Class 1. MSCP IO Minor Sub Class 5. Logged Message ---- Device Profile ---- Vendor Product Name RAID 0 - Host Based Unit Name COGENT$DPA Unit Number 10. Device Class x0001 Disk ---- IO SW Profile ---- VMS DC$_CLASS 1. VMS DT$_TYPE 175. ---- MSCP Logged Msg ---- Logged Message Type Code 22. RAID Message RAID Event Type 8. Remove Member Distinguished Member 0. Member Index 1. RAID Urgency 4. Global Disk Error RAID Status x00180009 Bit 00 - Reduced Bit 03 - Striped Bit 19 - FE Dis FE Bit 20 - BC Buff Copy Off RAIDset Name KGB **************************************************************************** |
簡略レポートを作成するには,/BRIEF 修飾子を指定します。簡略レポート形式では,イベント・ログ中のすべてのエントリの重要な情報だけが変換されます。次に例を示します。
$ DIAGNOSE/BRIEF |
例 20-2 に,簡略レポートの形式を示します。
例 20-2 簡略レポート形式 |
---|
******************************** ENTRY 1 ******************************** Logging OS 1. OpenVMS System Architecture 2. Alpha OS version V7.3 Event sequence number 1583. Timestamp of occurrence 18-APR-2000 09:21:18 System uptime in seconds 58004. Error mask x00000000 Host name COGENT Alpha HW model DEC 3000 Model 400 System type register x00000004 DEC 3000 Unique CPU ID x00000002 mpnum x000000FF mperr x000000FF Event validity -1. Unknown validity code Event severity -1. Unknown severity code Major Event class 3. IO Subsystem IO Minor Class 1. MSCP IO Minor Sub Class 5. Logged Message ---- Device Profile ---- Vendor Product Name RAID 0 - Host Based Unit Name COGENT$DPA Unit Number 10. Device Class x0001 Disk Logged Message Type Code 22. RAID Message RAID Event Type 8. Remove Member Distinguished Member 0. Member Index 1. RAID Urgency 4. Global Disk Error RAID Status x00180009 Bit 00 - Reduced Bit 03 - Striped Bit 19 - FE Dis FE Bit 20 - BC Buff Copy Off RAIDset Name KGB ***************************************************************************** |
簡潔レポートを作成するには, /TERSE 修飾子を指定します。簡潔レポート形式では,バイナリ・イベント情報が提供され,凝縮された形式のレジスタ値および他の ASCII メッセージが表示されます。次に例を示します。
$ DIAGNOSE/TERSE |
例 20-3 に,簡潔レポートの形式を示します。
例 20-3 簡潔レポート形式 |
---|
******************************** ENTRY 1 ******************************** Logging OS 1. System Architecture 2. OS version V7.3 Event sequence number 1583. Timestamp of occurrence 2000041809211800 System uptime in seconds 58004. Error mask x00000000 Flags x0001 Host name COGENT Alpha HW model DEC 3000 Model 400 System type register x00000004 Unique CPU ID x00000002 mpnum x000000FF mperr x000000FF Event validity -1. Event severity -1. Entry type 100. Major Event class 3. IO Minor Class 1. IO Minor Sub Class 5. ---- Device Profile ---- Vendor Product Name RAID 0 - Host Based Unit Name COGENT$DPA Unit Number 10. Device Class x0001 ---- IO SW Profile ---- VMS DC$_CLASS 1. VMS DT$_TYPE 175. ---- MSCP Logged Msg ---- Logged Message Type Code 22. RAID Event Type 8. Distinguished Member 0. Member Index 1. RAID Urgency 4. RAID Status x00180009 RAIDset Name KGB ********************************************************************** |
要約レポートを作成するには,/SUMMARY 修飾子を指定します。要約レポート形式では,イベント・ログ中のイベント・エントリが統計的に要約されます。次に例を示します。
$ DIAGNOSE/SUMMARY |
例 20-4 に,要約レポートの形式を示します。
例 20-4 要約レポート形式 |
---|
SUMMARY OF ALL ENTRIES LOGGED ON NODE COGENT IO Subsystem MSCP 9. Host Based RAID 3. DATE OF EARLIEST ENTRY 18-APR-2000 09:21:18 DATE OF LATEST ENTRY 12-MAY-2000 10:44:54 |
前へ | 次へ | 目次 | 索引 |