Compaq OpenVMS
V7.3 リリース・ノート【翻訳版】


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第 7 章
OpenVMS システムでの装置のサポート

この章では,Alpha システムと VAX システムでの OpenVMS 装置のサポートに関するリリース・ノートをまとめます。必要に応じて,Alpha 固有の情報であるのか,VAX 固有の情報であるのかを見出しに示します。

7.1 OpenVMS デバイス・ドライバの再コンパイルと再リンク

ここでは,OpenVMS デバイス・ドライバの再コンパイルと再リンクに関するリリース・ノートをまとめます。

7.1.1 Alpha デバイス・ドライバに影響を与える可能性のあるスレッド単位のセキュリティ

V7.2

OpenVMS Alpha デバイス・ドライバに影響を与える可能性のあるスレッド単位のセキュリティの詳細については, 第 6.21.3 項 を参照してください。

7.1.2 Alpha および VAX の SCSI デバイス・ドライバ

V7.3

OpenVMS の以前のバージョンのすべての OpenVMS Alpha SCSI デバイス・ドライバが OpenVMS バージョン 7.3 で正しく動作するには,再コンパイルと再リンクが必要です。

OpenVMS Alpha バージョン 7.0 より前のバージョンからアップグレードしている OpenVMS Alpha SCSI ドライバがある場合は, 第 7.1.3 項 を参照してください。

OpenVMS バージョン 7.1 では,すべての OpenVMS Alpha および VAX SCSI デバイス・ドライバの再コンパイルと再リンクが必要でした。OpenVMS バージョン 7.1 で実行できるように再コンパイルと再リンクされた OpenVMS VAX デバイス・ドライバは,OpenVMS バージョン 7.3 でも正しく動作します。

7.1.3 OpenVMS Alpha デバイス・ドライバ

V7.1

OpenVMS Alpha バージョン 7.0 で実行できるように再コンパイルおよび再リンクされたデバイス・ドライバは,OpenVMS Alpha バージョン 7.1 以上で実行できるようにするためにソース・コードを変更したり,再コンパイルや再リンクしたりする必要がありません ( ただし,Alpha SCSI ドライバについては,再コンパイルと再リンクが必要です。 第 7.1.2 項 を参照してください ) 。

OpenVMS Alpha バージョン 7.0 より前のリリースのデバイス・ドライバのうち,OpenVMS Alpha バージョン 7.0 に対応するよう再コンパイルおよび再リンクされていないデバイス・ドライバを OpenVMS Alpha バージョン 7.1 以上で実行するには,再コンパイルと再リンクが必要です。

OpenVMS Alpha バージョン 7.0 では,OpenVMS Alpha 特権インタフェースと構造体が大幅に変更されました。これらの変更の結果,OpenVMS Alpha バージョン 7.0 より前のリリースのデバイス・ドライバでは,OpenVMS Alpha バージョン 7.0 およびそれ以降で正しく動作するように,ソース・コードを変更する必要があります。カスタマが作成したドライバのソースの変更が必要となる OpenVMS Alpha バージョン 7.0 の変更点の詳細については,『OpenVMS Alpha Guide to Upgrading Privileged-Code Applications』を参照してください。

7.2 制限事項: 論理ユニット番号に対するパラレル SCSI のサポート

V7.2

OpenVMS では,パラレル SCSI バスで,各ターゲット ID に対して最大 8 つの論理ユニット番号 (LUN) がサポートされます。

SCSI-2 標準では,8 つの LUN に制限されていますが,SCSI-3 標準は最近,LUN を 64 に拡大しました。HSZ80 は 8 つより多くの LUN を実装した,唯一のサポートされているデバイスです ( 各ターゲット ID に対して 32 の LUN をサポートします ) 。この機能は OpenVMS の現在のリリースでは使用できません。 OpenVMS での LUN の値は 0 〜 7 の範囲でなければなりません。

この制限事項はFibre Channel には適用されません。

7.3 一部の SCSI 構成では選択的な自動構成がサポートされない

V7.2

OpenVMS Alpha では,どのデバイスを自動構成するかをシステム管理者が指定できるように,SYSMAN コマンドを提供しています。この情報は,次の修飾子を使用して,永久的に指定できるので,システム・ブートのつど適用され,手動の自動構成コマンドを実行するときにも適用されます。


SYSMAN> IO SET/EXCLUDE=(device_name) 
SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE/EXCLUDE=(device_name) and/or /SELECT=(device_name) 

これらのコマンドを使用して,ポート割り当てクラスが含まれる SCSI デバイス名や HSZ 割り当てクラスを持つデバイス名を選択的に自動構成することはできません。また,これらのコマンドを Fibre Channel デバイスに対して使用することも,できません。この制限事項はクラス・ドライバ・デバイス (DK ,MK ,DG) にのみ適用されます。選択的な自動構成は,SCSI および Fibre Channel ポート・ドライバ・デバイス (PK ,PG ,FG) のすべてに対して使用できます。

この制限事項は,ポート割り当てクラスを使用する OpenVMS バージョン 7.1 にも適用されます。

7.4 IO$_DIAGNOSE 関数の動作の変更

ここでは,IO$_DIAGNOSE の変更点について説明します。

7.4.1 S2DGB$L_32PHSTMO および S2DGB$L_64PHSTMO の変更点

V7.3

S2DGB$L_32PHSTMO および S2DGB$L_64PHSTMO の正式な値は現在,0 〜 65,535 [約 18 時間] です。以前,この値は 0 〜 300 [5 分] でした。

7.4.2 IO$_DIAGNOSE の動作の変更

V7.3

バージョン 7.2 の『OpenVMS I/O User's Reference Manual』の付録 B では以前, S2DGB$V_TAGGED_REQ が 1 のときには,次の値は無視されると記述されていました。

S2DGV$L_32PHSTMO
S2DGV$L_64PHSTMO
S2DGV$L_32DSCTMO
S2DGV$L_64DSCTMO
S2DGB$L_DISCPRIV

当時は記述されていませんでしたが,PAD カウント S2DGV$L_32PADCNT および S2DGV$L_64PADCNT もこのグループに含まれていました。

この実装により,S2DGB$V_TAGGED_REQ を使用した場合のように,ポートのコマンド・キューの登録の処理能力が条件付けられるようになりました。

現在ではこのコードは,S2DGB$V_TAGGED_REQ の使用によって条件付けるように変更されています。PAD カウントは,まだこのグループに含まれています。

バージョン 7.2 の『OpenVMS I/O User's Reference Manual』の付録 B ではまた,タグ付きコマンド・キュー登録をサポートしていないポートは,常に S2DGB$V_TAGGED_REQ が 0 であるかのように動作すると記述されていました。これは,ポートのタグ付きキュー登録の動作に適用されるものです。S2DGB$V_TAGGED_REQ は現在でも,タグ付きコマンド・キュー登録をサポートしないポートについても,以前に指摘されたパラメータが無視されているかどうかを制御しています。

タグ付きコマンド・キュー登録が使用されている場合にこれらの値が無視されるのは,これらの値は,IO$_DIAGNOSE コマンドが完了するまでは,論理ユニットに対する他のコマンドに影響を与える可能性があるためです (タイムアウト値は,コマンドの実行中は,論理ユニットに対するすべてのコマンドのデフォルト値として使用されます)。

バージョン 7.3 の『OpenVMS I/O User's Reference Manual』は,これらの変更点および修正点を反映して更新されています。

7.5 IO$_SKIPFILE 関数の動作の変更

V7.2

OpenVMS バージョン 7.1 では,特定のSCSI テープ・ドライブについての IO$_SKIPFILE 関数の性能が大幅に向上しています。新たに実装された IO$_SKIPFILE は,テープが ANSI 標準 X3.27-1987 に従ってフォーマットされていれば,INIT ,MOUNT ,BACKUP ,COPY などすべての組み込み OpenVMS テープ関数と共に正しく機能します。これは OpenVMS のデフォルト・テープ標準規格です。

修飾子 (IO$M_ALLOWFAST) を指定すると,IO$_SKIPFILE 関数に対してより高い性能が要求されます。IO$M_ALLOWFAST 修飾子を使用すると, IO$_SKIPFILE は 2 つの連続したファイル・マークではなく,データの最後で停止します。IO$M_ALLOWFAST 修飾子の詳細については,『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。

OpenVMS バージョン 7.2 では,SKIPFILE のサポートは標準の DCL インタフェースを介して実装されており,以前の SYS$ETC:MKSET.TXT ファイルと SYS$ETC:MKSET.EXE ファイルは廃止されました。DCL インタフェースの使用の詳細については,『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。

7.6 CRCTX ルーチンの機能の強化 (Alpha のみ)

V7.1-2

Counted Resource Context Block (CRCTX) 構造体の管理に使用できるシステム・ルーチンが強化されました。次のルーチンが,CRCTX 構造体のステータス (CRCTX$V_ITEM_VALID) を設定およびチェックするようになりました。

これらのルーチンは次のように変更されました。

有効な CRCTX ステータス ( CRCTX$V_ITEM_VALID を 1 に設定) で IOC$DEALLOC_CRCTX を呼び出すと,サービスは不正なステータスを返します。SYSBOOT パラメータ SYSTEM_CHECK が設定されている場合には,システムはクラッシュします。このため,割り当てが解除されていない有効なリソースがあるときに,ユーザが CRCTX の割り当てを誤って解除することを防止できます。

IOC$ALLOC_CNT_RES は,無効な CRCTX ステータス (CRCTX$V_ITEM_VALID を 0 に設定) で呼び出さなければなりません。有効なステータスでこのルーチンを呼び出すと,OpenVMS はこの CRCTX によってマップされたリソースをユーザが手放すものと解釈します。 OpenVMS は新しいリソースを割り当てず,不正なステータスを返します。 SYSTEM_CHECK が設定されている場合には,システムはクラッシュします。 IOC$ALLOC_CNT_RES は有効ビットを設定してから戻ります。

IOC$DEALLOC_CNT_RES は,有効な CRCTX ステータス (CRCTX$V_ITEM_VALID を 1 に設定) で呼び出さなければなりません。無効な CRCTX で IOC$DEALLOC_CNT_RES を呼び出すと, OpenVMS は他のパラメータが有効でないものと解釈し,不正ステータスを返します。SYSTEM_CHECK がセットされている場合には,システムはクラッシュします。IOC$DEALLOC_CNT_RES は有効ビットをクリアしてから戻ります。

IOC$LOAD_MAP は有効な CRCTX で呼び出さなければなりません。無効な CRCTX (CRCTX$V_ITEM_VALID を 0 に設定) で呼び出すと,他のパラメータも無効であると解釈され,不正ステータスが返されます。 SYSBOOT パラメータ SYSTEM_CHECK がセットされている場合には,システムはクラッシュします。

これらの変更により,デバイス・サポート・アプリケーションや特権付きコード・アプリケーションの開発者は,OpenVMS で汎用リソースとして取り扱われる scatter gather レジスタの割り当てを解除する必要があるかどうか判断できます。 CRCTX$V_ITEM_VALID ビットがセットされている場合は, IOC$DEALLOC_CNT_RES を呼び出さなければなりません。

7.7 MON バージョンのデバイス・ドライバの処理 (Alpha のみ)

V7.3

OpenVMS V7.3 では,SYSTEM_CHECK を有効化すると,SYS$nnDRIVER_MON.EXE という形式の名前を持つデバイス・ドライバ・イメージがシステム・ローダによって自動的に読み込まれます。対応する _MON バージョンが存在しない場合は,デフォルトのイメージ名 SYS$nnDRIVER.EXE が使用されます。

7.8 システム・ルーチンでの Length パラメータの新しい値 (Alpha のみ)

V7.1-2

OpenVMS Alpha デバイス・ドライバで呼び出される次のシステム・ルーチンの length パラメータに,新しい値が追加されました。

IOC$READ_PCI_CONFIG
IOC$WRITE_PCI_CONFIG
IOC$READ_IO
IOC$WRITE_IO

2 つの新しい length 値 (IOC$K_BYTE と IOC$K_WORD) が追加されたため,バイト・データとワード・データを右桁揃えで渡すことができるようになりました。 表 7-1 に,length パラメータに指定できる値を示します。

表 7-1 Length パラメータの値
値 (16 進数) キーワード
1 IOC$K_BYTE_LANED
2 IOC$K_WORD_LANED
4 IOC$K_LONGWORD
8 IOC$K_QUADWORD
100 IOC$K_BYTE
200 IOC$K_WORD

IOC$K_BYTE_LANED と IOC$K_WORD_LANED は次のようにバイトをレーンに格納します。

IOC$K_BYTE_LANED (1) バイト・レーン・バイト

アドレスのビット <1:0> に応じて,バイトは次のレーンのいずれかにロングワードとして格納されます。


 
   +---+---+---+---+ 
   |   |   |   | X |       bits <1:0> = 0 
   +---+---+---+---+ 
 
   +---+---+---+---+ 
   |   |   | X |   |       bits <1:0> = 1 
   +---+---+---+---+ 
 
   
   +---+---+---+---+ 
   |   | X |   |   |       bits <1:0> = 2 
   +---+---+---+---+ 
 
   +---+---+---+---+ 
   | X |   |   |   |       bits <1:0> = 3 
   +---+---+---+---+ 

ドライバが正しいバイトを選択するためには,アドレスの下位 2 ビットを使用しなければなりません。

IOC$K_WORD_LANED (2) バイト・レーン・ワード

アドレスのビット <1:0> に応じて,ワードは次のレーンのいずれかにロングワードとして格納されます。


   +---+---+---+---+ 
   |   |   | XXXXX |       bits <1:0> = 0 
   +---+---+---+---+ 
 
   +---+---+---+---+ 
   |   | XXXXX |   |       bits <1:0> = 1 
   +---+---+---+---+ 
 
   +---+---+---+---+ 
   | XXXXX |   |   |       bits <1:0> = 2 
   +---+---+---+---+ 

ドライバが正しいワードを選択するためには,アドレスの下位 2 ビットを使用しなければなりません。

しかし,IOC$K_BYTE と IOC$K_WORD を使用する場合には,データは常に右桁揃えされます。

IOC$K_BYTE (hex 100) 右桁揃えバイト

バイトは常に右端のレーンに格納されます。


   +---+---+---+---+ 
   |   |   |   | X |       bits <1:0> = 0,1,2,3 
   +---+---+---+---+ 

上位バイトには予測できないデータが格納されるため,正しく動作するにはマスクしなければなりません。

IOC$K_WORD (hex 200) 右桁揃えバイト

バイトは常に右端のレーンに格納されます。


   +---+---+---+---+ 
   |   |   | XXXXX |       bits <1:0> = 0,1,2 
   +---+---+---+---+ 

上位バイトには予測できないデータが格納されるため,正しく動作するにはマスクしなければなりません。

length パラメータの新しい値を使用すれば,デバイス・ドライバを作成するプログラマは,書き込みの前と読み込みの後に,データを正しいレーンに格納する必要がなくなります。

7.9 ISA_CONFIG.DAT は将来のリリースでサポートされない (Alpha のみ)

V7.1

SYS$MANAGER:ISA_CONFIG.DAT ファイルを使用して ISA デバイスを構成する機能のサポートは,OpenVMS Alpha の将来のリリースでは提供されません。このファイルを使用する場合は,コンソールから ISACFG ユーティリティを使用し,新しいファイル・ベースの自動構成方式を使用してデバイス・ドライバをロードするように変換しなければなりません ( 『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください)。

7.10 AlphaStation 200/400 では ISA_CONFIG.DAT の変更が必要

V7.1

AlphaStation 200/400 ファミリ・システムで ISA 装置を構成する場合には,各デバイスのノード情報が各デバイス記述ブロックの最後に格納されるように, SYS$MANAGER:ISA_CONFIG.DAT ファイルを変更しなければなりません。

重要

OpenVMS バージョン 6.2 または7.0 システムからアップグレードする場合は,アップグレード手順を開始する前に,この変更を行なわなければなりません。

次の表に,デバイス記述ブロックの変更点を示します。

表 7-2 デバイス記述ブロックの変更点
バージョン 7.1 より前 バージョン 7.1 以降
[AUA0] [AUA0]
NAME=AU NAME=AU
NODE=3 DRIVE=SYS$MSBDRIVER
DRIVER=SYS$MSBDRIVER IRQ=9
IRQ=9 DMA=(0,1)
DMA=(0,1) PORT=(388:4,530:8)
PORT=(388:4.530:8) NODE=3

SYS$MANAGER:ISA_CONFIG.DAT ファイルを使用している場合には, 第 7.9 節 を参照してください。

7.11 AlphaServer 4100 システムでのメモリ・ホール

V7.1

AlphaServer 4100 システムには,物理的なメモリ・ホールが存在する可能性があります。 図 7-1 に示すように,メモリ・ドータ・カード・ペアには 512 MB,256 MB,128 MB の 3 種類のサイズがあります。AlphaServer 4100 システムの構成規則に従うと,メモリ・カード・ペアはサイズの大きい順に並べなければなりません。

AlphaServer 4100 ハードウェアは最初のメモリ・ドータ・カード・セットを読み込み,後続のメモリ・カード・ペアが同じサイズであるものと解釈します。ハードウェアが読み込んだ最初のカード・セットの後のメモリ・カード・ペアのサイズは同じでない可能性があるため,メモリ・ホールが発生します。 図 7-1 に示すように,3000.0000 にあるホールは OpenVMS で取り扱わなければなりません。4800.0000 にあるホールはアドレス空間の先頭にあり,OpenVMS で無視してもかまいません。

注意

OpenVMS Alpha の以前のバージョンでは,物理的なメモリ・ホールのあるシステムが効率的にサポートされていなかったので,システム・メモリの使い方が非効率的になっていました。OpenVMS Alpha バージョン 7.1 およびそれ以降のメモリ管理構造体は,メモリ・ホールを認識するように少し変更されています。この結果,OpenVMS Alpha オペレーティング・システムの以前のバージョンで非効率的だった部分は排除されました。

図 7-1 メモリ図の例


この構成は,ドライバがマップ・レジスタを使用しなければならないかどうかを判断するために使用されるアルゴリズムに影響を与えます。 OpenVMS Alpha バージョン 7.1 より前のリリースでは,デバイス・ドライバは次の処理を実行していました。

  1. キー IOC$K_DIRECT_DMA_SIZE を使用してIOC$NODE_DATA を呼び出し,ダイレクト DMA ウィンドウのサイズ (メガバイト単位) を取得します。これは通常,1 GB です。

  2. IOC$NODE_DATA から返されたサイズをページ数に変換し,サイズを mmg$gl_memsize と比較します。これには物理メモリのページ数が格納されています。

  3. mmg$gl_memsize の方が, IOC$NODE_DATA から返されたサイズよりも大きい場合は,マップ・レジスタを使用します。それ以外の場合は,ダイレクトDMA ウィンドウを使用します。

mmg$gl_memsize グローバル・セルには,メモリ・ホールは含まれません。このため,システムには 7/8 GB のメモリしかありませんが,OpenVMS Alpha バージョン 7.1 より前のリリースのアルゴリズムでは,装置がダイレクトDMA ウィンドウを使用できるように見えます。それでも1 GB の境界をこえて 128 MB のメモリがあるので,ドライバはマップ・レジスタを使用する必要があります。この問題を回避するために,OpenVMS Alpha バージョン 7.1 より以前のリリースのアルゴリズムを使用するドライバは,次のアルゴリズムに変更しなければなりません。

  1. キー IOC$K_DIRECT_DMA_SIZE を使用して IOC$NODE_DATA を呼び出すことで,ダイレクト DMA ウィンドウのサイズ (メガバイト単位) を取得します。これは通常,1 GB です。

  2. IOC$NODE_DATA から返されたサイズをページ数に変換します。バイト数を mmg$gl_page_size の値で除算します。次の例参照してください


    int dma_size; 
    int pages; 
     
    status = IOC$NODE_DATA (crb, IOC$K_DIRECT_DMA_SIZE, &dma_size); 
            /* dma_size contains the number of megabytes. 
             * convert number of megabytes to bytes. 
             */ 
    dma_size = dma_size * (1024 * 1024); 
            /* Convert number of bytes to number of pages by 
             *  dividing by number of bytes per page. 
             */ 
    pages = dma_size / MMG$GL_PAGE_SIZE; 
    

  3. 変換したページ数を mmg$gl_maxpfn + 1 と比較します。

  4. mmg$gl_maxpfn + 1 の方が,IOC$NODE_DATA から返されたサイズより大きい場合は,マップ・レジスタを使用します。それ以外の場合は,ダイレクト DMA ウィンドウを使用します。

7.12 SYS$MSBDRIVER は OpenVMS Alpha ディストリビューションから削除

V7.0

Microsoft Windows Sound System ISA サウンド・カード (MSB) のドライバである SYS$MSBDRIVER は,バージョン 7.0 で OpenVMS Alpha のディストリビューションから削除されました。削除されたファイルは,次のとおりです。

このドライバの強化されたバージョン MMOV$MSBDRIVER が, Multimedia Services for OpenVMS Alpha Version 2.0 に含まれています。このレイヤード・プロダクトには,ビデオ・キャプチャとプレイバック, DECsound の強化されたバージョン,その他のオーディオ・アプリケーションやビデオ・アプリケーションのサポートも含まれています。

MMOV$MSBDRIVER は,SYS$MSBDRIVER と同じ $QIO プログラミング・インタフェースを提供します。なるべく Multimedia Services for OpenVMS で提供される WAVE アプリケーション・プログラミング・インタフェースを使用するようにしてください。このインタフェースの方が柔軟で,他のプラットフォームへの移植性の点で優れているからです (Multimedia Services for OpenVMS Version 2.0 の詳細については,『SPD 64.24.00』を参照してください)。

7.13 OpenVMS Alpha ドライバのデバイス IPL の設定

V6.2

PCI ,EISA ,ISA バスをサポートする Alpha ハードウェア・プラットフォームでは,20 または 21 という異なる IPL で I/O デバイスへの割り込みが発生します。デバイスへの割り込みが発生する IPL は,デバイスをプラットフォーム間で移動したときに変わる可能性があります。ドライバがデバイス IPL を20 であると宣言した後,I/O デバイスへの割り込みが IPL 21 で発生するマシンでそのドライバを実行すると,問題が発生します。

この問題に対する最も簡単な対処法は,PCI,EISA,ISA のデバイス・ドライバで IPL 21 を使用することです。この方法は, I/O デバイスへの割り込みが IPL 20 で発生するプラットフォームでも, I/O デバイスへの割り込みが IPL 21 で発生するプラットフォームでも,正しく動作します。

OpenVMS Alpha の将来のリリースでは,ドライバがデバイス IPL を動的に判断するための,プラットフォームに依存しない機能が提供される予定です。

7.14 AlphaStation 255: PCI 構成の制限事項

V7.1

OpenVMS Alpha オペレーティング・システムでは, AlphaStation 255 シリーズ・システム上で PCI スロット 0 に構成された PCI オプション・カードは,サポートされません。

PCI スロット0 は,AlphaStation 255 シリーズ・システムで最下位の物理 PCI オプション・スロットです。このスロットの割り込みシグナルは,内蔵イーサネット・ポートと共有されます。 OpenVMS Alpha オペレーティング・システムでは現在,PCI デバイスが割り込みラインを共有できないので,スロット 0 に取り付けられた PCI デバイスが正しく動作しないか,内蔵イーサネット・ポートでエラーが発生します。この制限があるために,AlphaStation 255 シリーズ・システムはスロット 1 とスロット 2 に構成された最大 2 枚の PCI オプション・カードだけをサポートします。

7.15 RZ25M および RZ26N ディスク・ドライブに関する注意 (Alpha)

V7.1

DWZZA とロング・ディファレンシャル SCSI バスを含む構成を使用して, Compaq がサポートする SCSI ディスク・ドライブをテストしたところ, 2 台のドライブ (RZ25M と RZ26N)でバス・フェーズに関する問題が検出されました。そのため,DWZZA を接続するディファレンシャル・バスの長さが 20 メートル以上の構成では,これらのドライブを使用しないでください。

この勧告は RZ25M および RZ26N ドライブにのみ適用されます。 OpenVMS SPD に,サポートされるドライブとしてリストされている他のすべてのディスク・ドライブは,SCSI-2 仕様の上限のバスの長さまで使用できます。

7.16 AlphaServer 2100 システムでの SCSI コントローラの制限事項

V6.2

1 GB を超えるメモリを搭載した AlphaServer 2100 システムでは, Adaptec 1740/1742 SCSI コントローラ (PB2HA-SA) はサポートされません。このコントローラがそのようなシステムに接続されている場合は,次のメッセージがオペレータのコンソールに表示されます。


%PKJDRVR-E- PKX0, Port is going OFFLINE. 

7.17 OpenVMS Alpha SCSI ファームウェアのサポート

ここでは,SCSI ファームウェアのサポートについて説明します。

7.17.1 RZ26N および RZ28M ディスクに対する推奨ファームウェア・サポート

V6.2-1H3

RZ26N および RZ28M ディスクを使用する場合には,ファームウェアのリビジョン・レベルは 0568 以上をお勧めします。

これらのディスクで最新のファームウェア・リビジョン・レベルが使用されていない場合には,問題が発生する可能性があります。

7.17.2 RZ26L および RZ28 ディスクをマルチホストで使用するために必要なファームウェア

V6.2

OpenVMS Cluster のマルチホスト SCSI バスに RZ26L または RZ28 ディスクを取り付ける場合,ディスクに必要なファームウェア・リビジョンは,最低でも 442 です。

ここでは,一部の RZ26L および RZ28 ドライブでファームウェアを更新するために使用する手順について説明します。この手順を使用できるのは,ドライブがホスト・システムの SCSI アダプタに直接接続されている場合だけです。インテリジェント・コントローラ (HSZ40 や KZPSC など) を介して接続されているドライブは,この手順では更新できません。ファームウェアの別の更新手順があるかどうかについては,インテリジェント・コントローラのドキュメントを参照してください。

重要

ファームウェア・リビジョン・レベル 442 に安全にアップグレードできるのは,特定の RZ26L および RZ28 ファームウェア・リビジョンだけです。使用中のディスクをファームウェア・リビジョン・レベル 442 にアップグレードできるかどうか判断するには, 第 7.17.3 項 を参照してください。ディスクがファームウェア・リビジョン・レベル 442 をサポートできる場合は, 第 7.17.4 項 で説明している RZTOOLS ユーティリティを使用して,ディスクのファームウェアを更新します。

7.17.3 ファームウェア・リビジョン・レベル 442 の必要条件

ファームウェア・リビジョン・レベル 442 に安全にアップグレードできるのは, 表 7-3 に示したディスク・ドライブとファームウェア・リビジョン・レベルの組み合わせだけです。他の組み合わせで更新手順を実行すると,ディスクを永久に破損する可能性があります。

表 7-3 リビジョン・レベル 442 ファームウェアの互換性
ディスク・ドライブ ファームウェア・リビジョン ディスク・ファイル名
RZ26L 440C RZ26L_442D_DEC.FUP
RZ28 441C または D41C
435 または 436
RZ28_442D_DEC2104.FUP
RZ28P4_442C_DEC.FUP

7.17.4 ファームウェア・リビジョン・レベル 442 のインストール手順

使用しているディスクでリビジョン・レベル 442 ファームウェアが必要かどうか,安全にアップグレードできるかどうかを判断した後,次の手順を実行してファームウェアを更新します (アップグレードするディスクのファイル名については, 表 7-3 を参照してください)。


$ MCR SYS$ETC:RZTOOLS_ALPHA DKB500 /LOAD=SYS$ETC:filename.FUP 
  Read in 262144 bytes. 
  Current FW version - X440C 
  Upgrading to       - DEC0 
  Loading code  ...... 
  New code has been sent to the drive. 

7.18 OpenVMS Alpha SCSI ポート・ドライバとクラス・ドライバ

V6.2

ここでは,OpenVMS Alpha SCSI クラス・デバイス・ドライバおよびポート・デバイス・ドライバの制限事項について説明します。

7.18.1 アドオン SCSI アダプタ

V6.2

OpenVMS Alpha バージョン 6.2 およびそれ以降では,さまざまなアドオンSCSI アダプタがサポートされます。Compaq のAlphaGeneration プラットフォームは通常,1 つ以上の内蔵 SCSI アダプタをサポートし,さらに追加としてアドオン SCSI アダプタを増設することもできます。使用するデバイス名規則が Alpha コンソールと OpenVMS とでは異なるため,OpenVMS デバイス名はコンソールに表示される名前と一致しないことがあります。

たとえば,内蔵 SCSI アダプタでは,SCSI デバイスのコンソール名が DKA100 と表示されることがあります。ところが,2 台のアドオン SCSI アダプタを増設すると,"A" は "C" になり,OpenVMS が実行されている場合には DKA100 が DKC100 と表示されます。

コンソールと OpenVMS ではデバイス名が異なる可能性がありますが,アドオン SCSI アダプタが増設されたり,取り外されたりしない限り,コンソールに表示されるデバイス名と OpenVMS でのデバイス名の間の固有の指定は一貫しています。

7.18.2 KZMSA XMI および Adaptec 1742A アダプタでの SCSI ディスク入出力性能の低下

V6.2

OpenVMS Alpha バージョン 6.2 で SCSI-2 Tagged Command Queuing (TCQ) がサポートされるようになった結果, SCSI への KZMSA XMI アダプタや Adaptec 1742A アダプタを使用している場合, SCSI ディスクの入出力性能が 20% 低下する可能性があります。これは,これらのアダプタでは TCQ が実装されていないからです。性能が低下するのは,入出力当たりの CPU コストが増加する領域です。OpenVMS Alpha バージョン 6.1 で CPU 利用率が最大値より低い場合は,OpenVMS Alpha バージョン 6.2 で性能が低下することはありません。

DEC 7000 を使用している場合に,KZMSA アダプタを使用して DEC 8000 ファミリ・システムにアップグレードしようとするときには,この状況が大きな影響を与えるとは考えられません。これらのプロセッサの速度は非常に高速であり,性能の低下を補って余りあるからです。しかし,DEC 7000 から OpenVMS Alpha バージョン 6.2 にアップグレードする場合には,SCSI 入出力ディスクの性能は低下します。

DEC 2000 Model 300 システムで Adaptec 1742A SCSI アダプタを使用する場合には,この問題が大きな影響を与えると考えられます。

7.19 OpenVMS Alpha でのデバイス・サポートに関するドキュメント

OpenVMS バージョン 7.2 以降,マニュアル『Writing OpenVMS Alpha Device Drivers in C』は OpenVMS ドキュメンテーション・セットに添付されなくなりました。このマニュアルの最新のリビジョンは, Digital Press から入手できます。

7.20 SCSIテープ・デバイスの Mode Page 01hに関するより厳密な条件

V7.3

OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,SCSI テープ・デバイスの SCSI Mode Page 01h (Read Write Error Recovery Page) の条件がより厳密になっています。これらの条件は,回復可能なディファード・エラー処理の回復アクションを定義することにより,SCSI テープへの書き込み操作中のデータ損失を防ぐように考慮されています。 Compaqがサポートするドライブの場合,これらの変更がドライブの動作に影響することはありません。ただし,ドライブによっては,次の2通りの場合のように,これらの新しい条件が SCSI テープの動作に影響することがあります。

  1. OpenVMS Alpha V7.3では,SCSI テープ・ドライブのファームウェアで Read Write Error Recovery Page (SCSI Mode Page 01h) がサポートされないことが検出されるとエラー・ログ・エントリが作成されます。このようなエントリは,テープのマウント時にエラー・ログに作成されます。エントリは,モード・センスのコマンド Opcode (無効要求のセンス・キー ) の SCSI ステータスのチェック状態情報によって区分されます。

    このエントリは通知専用なのでドライブのエラー状態は表されません。ユーザは無視してかまいません。サービス担当者だけが使用します。この状況は,TLZ09 やサード・パーティのテープ・デバイスなどの多数の SCSI テープ・デバイスで発生します。

  2. SCSI テープ・ドライブで,回復可能なディファード・エラー処理が発生した場合, OpenVMS Alpha V7.3 では,データ損失の可能性を認識し,呼び出し側に致命的なドライブ・エラーを通知します。Compaq がサポートしている SCSI テープ・デバイスでは,デフォルトの動作により,回復可能なディファード・エラー処理が抑制されるため,この動作はほとんど発生しません。


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