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HP OpenVMS Systems
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メニューとメニュー項目の設計

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2 メニューとメニュー項目の設計

本章では,メニューの設計について説明します。本章は『OSF/Motifスタイル・ ガイド』の内容を補うものであり, 次の内容について説明します。

本章ではOSF/Motifの「ファイル」,「選択」,「編集」,「表示」, 「オプション」,「ヘルプ」等のメニュー,およびメニューへ追加するのが望ましいメニュー項目についても説明します。 さらに,「ウィンドウ」メニューとそれぞれの使用アプリケーション固有のメニューを含めることも可能です。

2.1 メニュー名とメニュー項目名の命名

「ファイル」,「選択」,「編集」,「オプション」のような共通のメニューには, 標準の用語を使用してください。左から右への言語環境の場合, 「ファイル」を一番左に,続いて,「選択」,「編集」のガイドラインに従った順序でメニューを配置してください。 アプリケーション固有のメニューは「編集」の後にきます。 「表示」,「オプション」, 「ヘルプ」メニューはアプリケーション固有のメニューの右側に配置します。 「オプション」と「ヘルプ」メニューは一番右に配置してください。 「ウィンドウ」メニューを含める場合は,「オプション」と「ヘルプ」メニューの間に配置してください。 例として図 2-1を参照してください。


プログラミングのヒント

「ヘルプ」メニューをメニュー・ バーの一番右に配置するには, XmNmenuHelpWidgetを「ヘルプ」カスケード・ボタン名に設定します。


図 2-1 メニュー・バー内のメニューの順序

追加のメニュー・バー項目は,「編集」の後,「ヘルプ」の前に配置してください。 「表示」メニュー・バーの項目がある場合は,追加項目の大部分を「編集」と「表示」の間に配置してください。 このようにすると,左側に現われる「ファイル」, 「選択」,「編集」メニュー,右側に現われる「表示」, 「オプション」,「ヘルプ」のメニューに慣れるようになります。 図 2-2にアプリケーション固有のメニュー・ バー項目2つを示します。

図 2-2 アプリケーション固有の項目をもつメニュー・バーの例

メニューとメニュー項目を作成する場合,メニュー項目と同じ名前をメニュー名に使用することは避けてください。 たとえば,「貼付け」は「編集」メニュー内のメニュー項目名なので, メニュー・バーの中に「貼付け」メニューを作成してはいけません。

テキストの表現方法(大文字の使用と句読点など)については,第1.6節のガイドラインに従ってください。

メニュー名およびメニュー項目名にはユーザがよく知っている用語を使用してください。 たとえば,簡単な作図ツールを設計する場合には chamber bevel といった用語は避けてください。ただし, グラフィック・アーティスト用の作図ツールを設計する場合には, これらの用語を使用しても構いません。どの用語を使用する場合も,各メニュー名およびメニュー項目名は, それぞれ区別できるものを使用します。 選択したメニュー名とメニュー項目名を実際に使用するユーザに検討してもらい, それらが明瞭ではっきり区別できるものであることを確認してください。

それぞれのメニューとメニュー項目にはニーモニックを与えてください。 また,よく使用されるメニュー項目にはアクセレレータを与えてください。


プログラミングのヒント

ニーモニックとアクセレレータを作成する際には, 次のコード例を使用してください。


         object copy_button : XmPushButton

             {

                 arguments

                     {

                         XmNlabelString      = "Copy";

                         XmNaccelerator      = "Ctrl<Key>Insert";

                         XmNacceleratorText  = "Ctrl+Ins";

                         XmNmnemonic         = keysym("C");

                     };

             };


2.2 メニューとメニュー項目の編成

メニューとメニュー項目の編成方法は,アプリケーションによって異なります。 次のガイドラインを参考に編成を行ってください。

オンラインまたはハードコピーの形でメニュー・マップを提供するのもよいでしょう。 製品のなかにはすべてのメニューとメニュー項目を1 つのマップとして提供するものや,各メニューとそれに関連するサブメニューごとに個別の図を提供するものがあります。 図 2-3は1つのメニューとそれに関連するサブメニューのマップの例です。

図 2-3 メニュー・マップ

2.3 メニュー項目における反復記号

水平反復記号(...)を付け、ボタンを押すとユーザ側である操作を行う必要があるダイアログ・ ボックスまたはウィンドウを起動できることを示します。 たとえば、印刷を行う際に,まずメニュー項目を選択してダイアログ・ ボックスを起動し,次にプリンタ情報を入力してファイルを印刷する場合は, 「印刷...」メニュー項目を使用します。

「ヘルプ」では操作が要求されませんので,「ヘルプ」プッシュ・ボタンまたは「ヘルプ」メニュー項目には反復記号は使用しないでください。 オンライン・ ヘルプの設計についての詳しい説明は,第5章を参照してください。

カスケード・ボタンで反復記号を設定する場合,常にカスケード・メニュー項目で反復記号を使用します。 図 2-4にカスケード・ ボタンに反復記号を使用した適切な方法を示します。

図 2-4 カスケード・ボタンに使用した反復記号

2.4 使用できないメニュー項目の表示

一定の間,あるメニュー項目をユーザが使用できないように設定することができます。 つまり,メニュー項目を無効にすることができます。ユーザは使用できないように設定したメニュー項目を選択することはできません。 図 2-5は使用できないメニュー項目の例です。

図 2-5 使用できないメニュー項目をもつメニュー


プログラミングのヒント

メニュー項目を使用できないように設定するには,XtSetSensitive をウィジェットID で呼び出してください。


アプリケーションに含まれる機能をユーザが見ることができるように,すべての項目が使用できなくても, メニューまたはサブメニューはすべて表示するように設定してください。 ただし,このガイドラインは,ポップアップ・ メニューに対しては必ずしも適用されません。ポップアップ・メニューについてのガイドラインは, 第2.5節を参照してください。

アプリケーションが標準メニュー項目をサポートしない場合,そのメニュー項目は表示しないでください。 たとえば,あるアプリケーションで「すべて選択」メニュー項目をサポートしない場合は, メニューの中に「すべて選択」を入れてはいけません。

メニュー項目を使用できないように設定するかどうかについては,次のガイドラインを参考にしてください。

メニュー項目の中にはダイアログ・ボックスを起動するものがあります。 このようなメニュー項目を使用できないように設定するかどうかは,起動されるダイアログ・ ボックスがモード付きであるかモードなしであるかによって決定します。

2.5 ポップアップ・メニューの設計

ポップアップ・メニューは,プルダウン・メニュー項目へアクセスするためのショートカットを提供します。

MB3を押すとポップアップ・メニューが現在のポインタ位置に表示されます。 このため,ユーザはマウスを遠くまで動かす必要がありません。ポップアップ・ メニューを使用することによって,処理中の作業を中断せずにメニューを選択することができます。 プルダウン・メニューやダイアログ・ ボックスを使用するにはマウスを頻繁に移動させる必要があり,生産性が低下します。

2.5.1 ポップアップ・メニューに設定する機能

ポップアップ・メニューが次の機能をもつように設計してください。

図 2-6 ポップアップ・メニュー

ポップアップ・メニュー内の項目は,次のいずれかの方法で並べてください。

アプリケーションのうち最もよく使うメニュー項目をポップアップ・メニューに入れてください。 ポップアップ・メニューには異質の機能のグループが含まれていても構いません。 ポップアップ・メニューは操作を素早く行うためのものなので, プルダウン・メニューほど厳密な編成は必要ありません。

ポップアップ・メニューは次のどちらかの形態にしてください。

2.5.2 ポップアップ・メニューの動作

オブジェクトが選択されている場合は次のガイドラインに従ってください。

オブジェクトが選択されていない場合は,次のいずれかの方法をとってください。

2.5.3 ポップアップ・メニューとコントロール・ パネル

ポップアップ・メニューを使用することによってユーザはアプリケーションの機能に速く, 簡単にアクセスすることができます。また,モードなしダイアログ・ ボックスやプッシュ・ボタンをもつコントロール・パネルも同様の役割をはたします。 コントロール・パネルと作業領域の間でマウスを移動することが望ましくない場合は, ポップアップ・メニューを使用してください。 制御ボタン類を常に表示しておくのが望ましい場合は,コントロール・ パネルまたはモードなしのダイアログ・ボックスを使用してください。 また,ティア・オフ・メニューを使用して,ユーザに制御ボタン類を常に表示状態にしておく選択の余地を与えることも可能です。 ティア・ オフ・メニューについては第2.6節を参照してください。

2.5.4 サブメニューを含むポップアップ・メニューの設計

ポップアップ・メニューにサブメニューを組み合わせる場合は,次のガイドラインに従ってください。

図 2-7はサブメニューを含むポップアップ・ メニューの例です。

図 2-7 サブメニューを含むポップアップ・メニュー

2.6 ティア・オフ・メニューの設計

ティア・オフ・メニューは,切り取って2次ウィンドウにできるものです。 メニューがティア・オフされた後に,ダイアログ・ボックスと同じようにユーザはそれを動かし, 使用することができます。

メニューがティア・オフされた場合,直接アクセスが可能な別々のウィンドウに表示されます。 ティア・オフ・メニューは,メニューの構成要素が何回も連続して起動できる場合に使用します。 プルダウン,オプション, カスケード,ポップアップのすべてのメニューがティア・オフ・メニューになりえます。

たとえば,「オープン」と「クローズ」の項目や,異なる表示を含められる「表示」プルダウン・ メニューは,ティア・オフ・メニューに適している例と言えます。 それほど頻繁には使用されない「オプション」プルダウン・ メニューの大部分はこのティア・オフ・メニューには向かないでしょう。 ただし,デスクトップ・パブリッシング・アプリケーション用のフォント・ ファミリとサイズを設定する「オプション」メニューは,ティア・ オフ・メニューの使用に適する例です。

コンテキスト依存で,ポインタの位置によって変わる項目が含まれているポップアップ・ メニューからティア・オフ・メニューを作成することは避けてください。


プログラミングのヒント

メニューのティア・ オフ属性を設定するために,プルダウン・メニューに対するXmNtearoffModel リソースを設定してください。


         XmPulldownMenu

             {

                 arguments

                     {

                         XmNtearoffModel = XmTEAR_OFF_ENABLED;

                     };

             };


2.7 「ファイル」メニューの項目

「ファイル」メニューはファイルを管理するコマンドを提供します。「ファイル」メニューはメニュー・ バーの一番左に配置し,(F)というニーモニックをつけてください。 このニーモニックの使用により,ユーザはキーボードでキー1 文字を押してメニュー項目を選択することが可能になります。 ニーモニックには下線をつけてください。

Motifでは「ファイル」メニューに次のメニュー項目を使用することを推奨します。

次の項目を加えると「ファイル」メニューがさらに使いやすくなります。

図 2-8は,DECの提供する追加メニューを加え, 推奨する順序でメニュー項目を並べた「ファイル」メニューの例です。

図 2-8 「ファイル」メニューとメニュー項目

次の操作内容に従ってメニュー項目をグループ化してください。

各「ファイル」メニュー項目の機能は次のとおりです。

新規(N)
「新規」メニュー項目は現在表示中のウィンドウに新しいファイルをオープンする場合に使用します。 この際クライアント・エリアから既存のデータを消去し, 現在のファイル名を更新しなければなりません。ユーザが新しいファイル名を指定した場合は, そのファイル名をタイトル領域またはパス名全体が付いた状態領域に表示できるようにすることが可能です。 ユーザがファイル名を指定しない場合は,タイトル領域に「タイトルなし」と表示してください。 「新規」メニュー項目のアクセレレータにはCtrl+N を使用してください。

「新規」メニュー項目を選択するときにすでにファイルをオープンしている場合は, 質問メッセージ・ボックスを表示して,すでにオープンしているファイルを保管するかどうか質問してください。 図 2-9はこのような質問メッセージ・ ボックスの例です。

オープン(O)...
「オープン...」メニュー項目は既存のファイルをオープンする場合に使用します。 ユーザがこの項目をクリックするとダイアログ・ボックスが表示され, ユーザにファイル名を入力するよう促します。「オープン」のアクセレレータにはCtrl+O を使用します。

「オープン...」メニュー項目を選択した際にすでに他のファイルをオープンしている場合には次の2 つの処理のいずれかを行うことができます。

図 2-10 ファイル選択ダイアログ・ボックスのチェック・ボタン

取込み(I)...
「取込み...」メニュー項目を使用して,現在オープンしているファイルに特定のファイルの内容を追加できるようにしてください。 ユーザが「取込み... 」を選択すると,ファイル選択のダイアログ・ボックスを表示させ, 取り込んだ内容を現在の挿入点に追加します。

インポート(m)...
「インポート」メニュー項目は,指定したファイルのフォーマットをアプリケーション固有のフォーマットへ変換する点を除くと, 「オープン」と同じです。 ユーザはインポートするファイルの名前とそのファイルの現在フォーマットの両方を指定する必要があります。

保管(S)
「保管」メニュー項目は,現在オープンしているファイルをクライアント・ エリアから消去せずに保管する場合に使用します。現在オープンしているファイルにまだ命名していない場合は, 「別名保管...」ダイアログ・ ボックスを表示して,ユーザにファイル名の入力を促します。 「保管」のアクセレレータにはCtrl+Sを使用してください。

別名保管(A)...
「別名保管...」メニュー項目は,現在オープンしているファイルをクライアント・ エリアから消去せずに,新しい名前で保管する場合に使用します。 さらにタイトル・バーまたは状態領域のファイル名も更新しなければなりません。 「別名保管.. .」を選択した場合はファイル名の入力を促すダイアログ・ ボックスを必ず表示させます。図 2-11 は「別名保管...」ダイアログ・ボックスの例です。この例では「選択」フィールドに直接名前をタイプしてファイルを保管できるだけでなく, 別のフォーマットでファイルを保管することもできます。

複数のバージョンのファイルを保管しないオペレーティング・システム( たとえば,UNIXやWindows NTオペレーション・システム)でアプリケーションを実行する場合は, 指定した名前でファイルを保管すると常に既存ファイルが上書きされてしまうことを警告するメッセージ・ ボックスを表示することができます。 アプリケーションを様々なプラットフォームで実行する場合は, この警告メッセージの表示の有無を設定できます。

ユーザは「別名保管...」を選択すると,通常現在のファイルと同じディレクトリに新規に名前を付けたファイルの保存を希望します。 「別名保管... 」操作でファイル選択ボックスを使用する場合は,初めにディレクトリを設定してオープンしたファイルのディレクトリに一致させてください。 ユーザが「別名保管...」操作を前に実行している場合は,ディレクトリはその前の状態のままにしてください。

図 2-11 異なるファイル・フォーマットで保管できる「別名保管...」ダイアログ・ボックス

復帰(R)
「復帰」メニュー項目を使用して,現在オープンしているファイルと同じファイル名を持つ, 最新のバージョンのファイルを表示させてください。 このメニュー項目の場合,ファイルを最後に保管した後にユーザが行った作業はすべて無効になります。OpenVMS オペレーティング・システムのように複数バージョンをサポートする場合は, ユーザが複数のバージョンに対する復帰操作を実行できるようにしてください。 アプリケーションに復帰するものがなにもない場合は, この「復帰」メニュー項目は使用できないようにしてください。

図 2-12は,復帰メニュー項目を起動して表示したダイアログ・ ボックスの例です。

図 2-12 「復帰」ダイアログ・ボックス

エクスポート(E)
「エクスポート」メニュー項目の機能は,「別名保管...」と同じですが, ファイルのフォーマットがアプリケーション固有のフォーマットから別なものへ変換されます。 ユーザはエクスポートするファイルの名前とファイルを変換する新しいフォーマットの両方を指定する必要があります。

印刷(P)
「印刷」メニュー項目は,「印刷」ダイアログ・ボックスの現在の設定値を使用して現在オープンしているファイルを印刷する場合に使用します。 ダイアログ・ボックスは表示されません。
印刷(t)...
「印刷...」メニュー項目を使用して,「印刷...」ダイアログ・ボックスが生成できるようにしてください。 「印刷...」ダイアログ・ボックスについての詳しい説明は, 第6.1節を参照してください。 「印刷...」のアクセレレータにはCtrl+Pを使用してください。

クローズ(C)
「クローズ」メニュー項目は,現在の1次ウィンドウとその2次ウィンドウ, つまりウィンドウ・ファミリだけをクローズする場合に使用します。1 次ウィンドウが2つ以上あるアプリケーションにはこのメニュー項目を使用するのがよいでしょう。 このメニュー項目を使用することによって, 枠上のウィンドウ・メニューやMotifウィンドウ・マネージャを使用せずに, ウィンドウを削除することができます。この「クローズ」メニュー項目はウィンドウ・ メニューの「クローズ」メニュー項目と同じ処理ができるように設定してください。 「クローズ」のアクセレレータにはCtrl+C を使用してください。

最後に残った1次ウィンドウをクローズすることは,アプリケーションを終了することと同じです。 最後の1次ウィンドウの設定については次のガイドラインを参考にしてください。

ユーザが最後のウィンドウをクローズするとデータを消失するおそれがある場合は, 変更を保管するように促すメッセージ・ボックスを表示してください。

終了(x)
「終了」メニュー項目は,現在のセッションを終了させ,そのアプリケーションに関連するすべてのウィンドウを消去する場合に使用します。 「終了」メニュー項目は,アプリケーションの最後の1次ウィンドウをクローズすることと同じです。 現在のファイルの内容を保管していない場合は, 変更の保管を促すメッセージ・ボックスを表示します。

2.8 「選択」メニューの項目

「選択」メニューはオプションです。これにはウィンドウで選択したオブジェクトを参照する項目が含まれます。 たとえば,電子メールのアプリケーションでは, 選択済みのオブジェクトには,ドロア,フォルダ,あるいはメッセージを含めることができます。 ユーザは一連の電子メールのフォルダを選択してから, 「選択」メニューを表示することになります。このメニュー項目は選択済みのフォルダに適用されます。

図 2-13に7つのメニュー項目をもつ「選択」メニューを含んだ標準メニュー・ バーの例を示します。使用アプリケーションに適切な異なるメニュー項目を使用することができます。

図 2-13 「選択」メニューとメニュー項目

「ファイル」メニューは,「選択」メニューと異なっている点に注意してください。 「ファイル」メニューでは,これと似たような操作と同様,アプリケーション全体に適用されます。 一方,「選択」メニュー項目は,ユーザが単に選択したオブジェトだけに適用されます。

いくつかの表示の中の1つでオブジェクトがオープンできる場合は,「選択」メニュー項目にカスケード・ メニューを使用するとよいでしょう。たとえば, ユーザがアイコンまたは階層構造表示のいずれかでディレクトリをオープンできる方がよいと考える場合は, 一般的な「オープン」メニュー項目の代わりに, カスケード・メニューを使用してください。


    Open-> Icon View

           Tree View

2.9 「編集」メニューの項目

「編集」メニューは,ユーザがファイル内,または複数のファイル間でテキストやグラフィックを操作できるコマンドを提供するメニューです。 「編集」メニューは「ファイル」メニュー,または設定されている場合は, 「選択」メニューのの右に配置して,(E)というニーモニックをつけてください。

Motifでは「編集」メニューに次のメニュー項目を使用することを推奨します。

次の項目を加えるとさらに使いやすくなります。

図 2-14は追加メニュー項目をつけた「編集」メニューの例です。

図 2-14 「編集」メニューとメニュー項目

次のようにメニュー項目をグループ化してください。

「編集」メニュー項目の機能は,次のとおりです。

取消(U) Alt+Delete,再実行(R)
「取消」メニュー項目は,前の操作を無効にする場合に,「再実行」メニュー項目は, 「取消」操作を無効にする場合に使用します。

「取消」メニュー項目にはシングル・レベルとマルチレベルの2つの形があります。

「取消」処理を実行できないような状況の場合には,「取消」メニュー項目を使用できないように設定します。 たとえば,ユーザがファイルをオープンした場合, ユーザがそのファイルに対して変更を行うまで「取消」メニュー項目を使用できないように設定しておきます。 また,アプリケーションが「取消」機能をサポートしない場合は, 「編集」メニューは「取消」メニュー項目を表示しないでください。

「取消」メニュー項目の機能が変わるたびに次のようなラベルを使用すると, よりその場の状況にあったラベルにすることができます。たとえば, メニュー項目のラベルを必要に応じて以下のいずれかに変更してください。

ユーザが操作を取り消した場合に,その操作を再実行できるようにサポートしてください。 たとえば,メニュー項目のラベルを必要に応じて以下のいずれかに変更してください。

切抜き(t) Remove
「切抜き」メニュー項目は,選択したデータをクリップボードに転送し, そのデータをアプリケーションから削除する場合に使用します。削除したデータが占めていた領域を空白のまま残すか, あるいは残りのデータでその領域を埋めるかを決めてください。 通常,グラフィック・アプリケーションでは領域を空白のまま残し, テキスト・アプリケーションでは領域を残りのテキストで埋めます。

複写(C) Shift+Remove
「複写」メニュー項目は,クライアント・エリアから元のデータを削除せずに選択したデータをクリップボードに転送する場合に使用します。 この操作によってデータが変更されてはいけません。

貼付け(P) Insert Here
「貼付け」メニュー項目は,クリップボードからアプリケーションにデータを複写する場合に使用します。 貼付け先が2つ以上の可能性がある場合には, 次のガイドラインに従ってください。

貼り付けたデータがクライアント・エリアに収まるように再フォーマットするかどうか決めてください。 通常,テキスト・アプリケーションでは, テキスト・フィールドのマージンに適合するように貼り付けたデータを再フォーマットしますが, グラフィック・アプリケーションでは行いません。

「貼付け」によってクリップボードの内容が変わってはいけません。

「編集」メニュー項目に追加して,Motifのドラッグおよびドロップ機能も加えるようにしてください。

消去(e)
「消去」メニュー項目は,選択をクリップボードに複写せずに削除する場合に使用します。 「消去」メニュー項目は残りのデータを圧縮したり、 消去したデータが占めていた領域を埋めたりすることはありません。 ユーザは消去操作を取り消すこともできます。

削除(D)
「削除」メニュー項目は,現在の選択をクリップボードに複写せずに削除する場合に使用します。 また,残りのデータは圧縮され,消去したデータが占めていた領域を埋めてしまいます。 ユーザは削除操作を取り消すこともできます。

検索(F)
「検索」メニュー項目を使用すると,ユーザが指定したオブジェクトの検索ができます。 「検索」メニュー項目が選択されると,検索ダイアログ・ ボックスが表示されるようにしてください。

すべて選択(A)
「すべて選択」メニュー項目を使用して,現在選択しているているデータだけでなく, ファイル内のすべてのデータを選択できるようにしてください。

2.10 「表示」メニューの項目

「表示」メニューはオプションです。これには,ユーザの表示は変更するが, 実際のデータは変更しない項目が含まれます。

たとえば,図 2-15のように, 最初のグループは階層構造の表示または外枠のみの表示を表示することにより全体の表示を変更しますが, 二番目のグループは表示の項目を開くか閉じるだけです。

「開く」メニュー項目は現在選択済みの項目を一段低いレベルまで開きます。 「完全に開く」は選択済みの項目を一番下のレベルまで開きます。 「すべて開く」はすべての項目を一番下のレベルまで開きます。

「閉じる」は選択済みの項目を縮小して閉じます。「すべて閉じる」はすべての項目を縮小して閉じます。

図 2-15 「表示」メニューとメニュー項目

2.11 「オプション」メニューの項目

「オプション」メニューには,アプリケーションをカスタマイズするためのコマンドを提供してください。 「オプション」メニューのメニュー項目はアプリケーションによって異なります。 「オプション」メニューのニーモニックは(O) を使用してください。「オプション」メニューの詳しい説明と例については, 第3.1節図 3-1 を参照してください。

2.12 「ヘルプ」メニューの項目

「ヘルプ」プルダウン・メニューには,図 2-16 にあるどの項目でも入れることができます。

しかし,アプリケーションの「ヘルプ」メニューにこれらの項目のいずれかを入れなければならないわけではありません。 ただし,アプリケーションにこれらの項目のいずれかを入れる場合は,OSF/Motif の仕様に一致していなければなりません。

「ヘルプ」メニューにはアプリケーションがサポートしている「ヘルプ」メニュー項目だけを入れてください。

図 2-16 「ヘルプ」メニューとメニュー項目

次のリストはメニュー項目とユーザが選択したときの結果を示します。

状況依存ヘルプ(C)
このメニュー項目を選択するとポインタの形が疑問符に変わります。 ヘルプを必要とする領域または項目にポインタを移動させてMB1を押すことによって, 必要なヘルプ情報が表示されます。選択が終了するとポインタは前の形に戻ります。

概要(O)
現在のウィンドウに関する簡単な説明が提供します。この説明にはウィンドウの機能とユーザがそのウィンドウを使用して実行できるタスクについての情報が含まれます。

索引(I)
アプリケーションのあらゆるヘルプ情報の索引となります。

キーボード(K)
使用アプリケーションによって割り当てた機能,とくにファンクション・ キーについての表示を行います。「キーボード」メニュー項目の代わりにショートカット・ メニュー(Shortcuts)を使用して, キーとボタンの割り当ての両方の機能を表示することもできます。

学習(T)
アプリケーションに関するオンライン学習ヘルプにアクセスします。

用語(G)
オンライン・ヘルプで使用される用語をアルファベット順に表示します。

ヘルプの使用(H)
ヘルプ機能の使用方法に関する情報を提供します。

製品情報(P)
使用アプリケーションのバージョンに関する情報を提供します。名前, バージョン,日付,著作権のデータが表示されます。

追加のメニュー項目は「索引」と「ヘルプの使用」の間に配置してください。

オンライン・ヘルプの設計と作成についての詳しい説明は,第5章を参照してください。

2.13 「ウィンドウ」メニューの項目

「ウィンドウ」メニューはオプションです。アプリケーションで複数のメイン・ ウィンドウを使用している場合は,現在使用中の1次ウィンドウのタイトルを「ウィンドウ」メニューに入れてください。 ユーザがタイトルを「ウィンドウ」メニューから選択したときに, そのウィンドウが表示されます。 「ウィンドウ」メニューを使用すると,画面上のウィンドウすべてを前後に移動させる必要がなく, ユーザに使用中のどの1次ウィンドウにも直接のアクセスを提供することができます。 2,3の例では,「ウィンドウ」メニューに現在使用中の2次ウィンドウの名前を入れることを希望する場合もあります。

図 2-17に「ウィンドウ」メニューの例を示します。

図 2-17 「ウィンドウ」メニュー


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