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OpenVMS マニュアル


日本語トランスレータリファレンス・マニュアル

日本語トランスレータ リファレンス・マニュアル


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漢字縦書き指定命令,DECKVPM(Kanji Vertical Printing Mode)を用いて,DEC 漢字(2バイト文字)を縦書きにすることができます。この命令を生成した次のページから縦書きになります。縦書きの解除は,縦書き解除命令によって行います。縦書きの解除も,命令を生成した次のページから有効になります。

この命令では,印字方向と印字開始位置の両方が変更されるので,ページのオリエンテーションは変化しません。 図 2-1 を参照してください。

CSI
9/11
?
3/15
7
3/7
5
3/5
h
6/8
縦書き指定
CSI
9/11
?
3/15
7
3/7
5
3/5
1
6/12
縦書き解除

図 2-1 DECKVPMによる縦書き(1)


  注意

  1. 縦書き指定によって,ページの上下マージンと左右マージンは入れ替わります。縦書きが解除された時は元に戻ります。

  2. 文字属性指定(SGR)によって斜字体が指定されているとき,縦書きされた2バイト文字 は,右下がりの字体になります。この機能は将来変更される可能性があります。

  3. 文字サイズ変更(GSM)によるいわゆる横倍角は,縦書きのときには縦倍角になります。 同様に縦倍角は横倍角になります。この機能は将来変更される可能性があります。




フォーム・オーバーレイとは,あらかじめ見出しや罫線などのフォーム・データをトランスレータに登録し,後で入力したデータを重ねて印刷する機能です。フォームの登録および設定は,以下のシーケンスを使用します。

  • フォーム・データ登録(DECLKF)

  • フォーム・オーバーレイ設定(DECKSPP)

フォーム・データには,見出しなどに使用する文字の他,直線(DECVEC)や印刷位置設定(VPAなど)のシーケンスを含めることができます。ただし,フォームに重ねて印刷するデータと区別するために,フォーム・データはシクセル形式で登録します。フォーム・データは,ジョブごとに最高16ページまで登録して使用することができます。 DECLKFおよび,DECKSPPのシーケンスを以下に示します。

  • フォーム・データの登録(DECLKF)
    DCS Pn1;Pn2;Pn3"p D....D ST

        Pn1: ページ番号(省略時0)

      0 = ページ番号1
      1-16 = ページ番号1-16


        Pn2: フォーム・データ削除(省略時0)

      0 = 登録済みのフォーム・データを全て削除
      1 = 登録するページのフォーム・データのみ削除
      (ロックされているデータは,削除することができない)


        Pn3: フォーム・データ ロック(省略時0)

      0 = ロックする(以後発行するDECLKFを無視する)
      1 = ロックしない


        D....D: フォーム・データ(シクセル形式)

  • フォーム・オーバーレイ設定(DECKSPP)
    CSI Ps'v

        Ps: 設定パラメータ(省略時0)

      0 = フォーム・オーバーレイを解除
      1-16 = ページ番号Psのフォーム・データを使用してオーバーレイ
       を行う

  注意

  1. フォーム・データ中に,DECLKFとDECKSPPのシーケンスを指定することはできません。

  2. フォーム・データ中にリセットシーケンス(DECSTR,RIS)を指定すると,正常に動作しません。

  3. 漢字LN05プリンタのフォーム・オーバーレイ機能と,以下の点で異なります。

    • 漢字LN05では,一度登録されたフォーム・データはジョブにまたがって使用することができます。トランスレータによるフォーム・オーバーレイでは,各ファイルごとにフォーム・データ,およびロック機能をリセットします。よって,フォーム・オーバーレイを使用する場合は,各ファイルごとにDECLKFシーケンスでフォーム・データを登録する必要があります。複数のファイルで共通なフォーム・データは,SETUP モジュールに登録して使用することをお勧めします。




DECの他の漢字プリンタと同様に,ユーザ定義文字を印字することができます。以下に, VMSとULTRIXでのユーザ定義文字の利用方法を示します。

  注意

  1. トランスレータの行うユーザ定義文字のローディングは,PostScriptのフォント定義によって実現されています。このことは,ユーザ定義文字の使用によって印字性能が低下することを意味します。同じ文字が何度も現れる場合は,この制限は緩和されますが,具体的な性能は文字の現れる頻度や分布の仕方によって変化します。

  2. ユーザ定義文字のプリロード機能は,トランスレータではサポートされません。

  3. 漢字LN03/DEClaser2300と異なり,トランスレータのユーザ定義文字は,プリント・ジョブごとにリセット(削除)されます。

2.2.1.8.1 VMS


日本語VMSではユーザ定義文字の作成,管理のために,FEDITユーティリティを提供していますが,日本語VMS V5.5ではさらにCHARACTER_MANAGERユーティリティV2.0 (以下 CMGRユーティリティと記述します)も提供されるようになりました。このため,テキスト・トランスレータは,DEC拡張漢字領域の文字コードに遭遇した場合,そのときのシステム環境によって,以下のような動作を行います。

  1. CMGRユーティリティが設定されているシステム上では,CMGRデータベースに登録されているユーザ定義文字を使用します。

  2. CMGRユーティリティが設定されていないシステム上では,その時の漢字フォントに対応した,以下のフォント・ファイルを使用します。
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT
    明朝体40×40ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO32.DAT
    明朝体32×32ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_GOTHIC40.DAT
    ゴシック体40×40ドット

  注意

  1. 日本語VMS V5.4で堤供されているCMGR V1.0は,テキスト・トランスレータからは利用できません。

  2. JSY$SYSTEMは,日本語VMSのシステム・ディレクトリの一つを指すシステム論理名です。もしも旧システムの論理名SYS$KANJIを使用している場合には,JSY$SYSTEMが SYS$KANJIも参照するように定義してください。

テキスト・トランスレータが遭遇したユーザ定義文字の文字コードに対応する字形が登録されていれば,その文字が印字されます。該当する文字が登録されていないか,該当するフォント・ファイルが存在しない場合,逆クエスチョンマークが印字されます。

ユーザ定義文字の作成は,CMGRユーティリティか,またはFEDITユーティリティを使用します。CMGRユーティリティの使用方法に関しては,『フォント管理ユーティリティ利用者の手引き』第5章および付録Aを参照してください。また,FEDITユーティリティの使用方法に関しては,『日本語VMS 漢字フォント・ユーティリティ利用者の手引き』第9章または,『フォント管理ユーティリティ利用者の手引き』付録Cを参照してください。

1. CMGRユーティリティによるユーザ定義文字の使用方法

CMGRユーティリティでは,システム・フォント・データベースとして CMGR_DEFAULTとGOTHICの2つが提供されます。テキスト・トランスレータは,明朝体としてCMGR_DEFAULTデータベース(40×40ドット,32×32ドット)を,またゴシック体としてGOTHICデータベース(40×40ドット)を使用します。これ以外のデータベース名およびサイズで登録されているユーザ定義文字を使用することはできません。

2. FEDITユーティリティによるユーザ定義文字の使用方法

FEDITユーティリティで作成したフォント・ファイルはシーケンシャル・ファイルですが,テキスト・トランスレータで利用するためには,CONVERTユーティリティで漢字コードをキーとしたインデクス・ファイルに変換する必要があります。日本語DECprintプリンティング・サービスでは,この変換のための FDLファイルを提供します。ファイル名は
SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT.FDL
です。以下に,ユーザ定義文字を使用できるようにするまでの流れを,例をとって説明します。

  1. FEDITユーティリティを用いて,ユーザ定義可能領域の文字コードの中から適当な文字コードを割り当ててユーザ定義文字を作成します。ここでは,40×40ドットの明朝体文字を作り,出力ファイルをKANJI_FILE.TMPとします。

  2. CONVERTユーティリティで,KANJI_FILE.TMPをインデクス・ファイルに変換し, JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DATを作成します。

    $ CONVERT/FDL=SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT - 
      KANJI_FILE.TMP JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT 
    


    これだけで,定義した文字が使えるようになります。

  3. さらに文字を追加したいときは,KANJI_FILE.TMPをFEDITユーティリティの入力ファイルとして , を繰り返してください。

つぎに,FEDITユーティリティによる外字機能から,CMGRユーティリティによる外字機能への移行方法について説明します。

  1. JSY$SYSTEMディレクトリにある以下のフォント・ファイルを,インデクス・ファイルからシーケンシャル・ファイルに変換します。
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT
    明朝体40×40ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO32.DAT
    明朝体32×32ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_GOTHIC40.DAT
    ゴシック体40×40ドット
    日本語DECprintプリンティング・サービスでは,この変換のためのFDLファイルを堤供します。ファイル名は,
    SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$CMGR_CONVERT.FDL
    です。この例では,明朝体40×40ドットのフォント・ファイルをシーケンシャル・ファイルに変換し, KANJI_FILE.TMPに出力します。

    $ CONVERT/FDL=SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT.FDL - 
      JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT KANJI_FILE.TMP 
    

      注意
    FEDITユーティリティの出力であるシーケンシャル・ファイルを保存してある場合は,この操作は必要ありません。

  2. CMGR ユーティリティの CONVERT FONT_FILE コマンドを使用して,フォント・ファイルをプリロード・ファイルに変換します。この例では,KANJI_FILE.TMPをフォント・ファイルとし,プリロード・ファイルとしてKANJI_FILE.PREを作成します。

    $ CHARACTER_MANAGER CONVERT FONT_FILE KANJI_FILE.TMP KANJI_FILE.PRE 
    

  3. CMGRデータベースとして,CMGR_DEFAULTを指定します。

    $ CHARACTER_MANAGER SET DATABASE CMGR_DEFAULT 
    

  4. CMGRデータベースのアップデートを行います。

    $ CHARACTER_MANAGER UPDATE/SIZE=40 KANJI_FILE.PRE 
    

2.2.1.8.2 ULTRIX


日本語ULTRIX/UWSでは,テキスト・トランスレータはDEC拡張漢字領域の文字コードに遭遇すると,そのときの漢字フォントに対応して,以下のフォント・ファイルを探します。

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho40.{dir,pag}
明朝体40×40ドット

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho32.{dir,pag}
明朝体32×32ドット

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_gothic40.{dir,pag}
ゴシック体40×40ドット

このファイルの中に,該当する文字コードの字形が登録されていればその文字を印字します。該当する文字が登録されていないか,該当するフォント・ファイルが存在しない場合,逆クエスチョンマークが印字されます。

ユーザ定義文字の作成は日本語ULTRIXでサポートされているfeditユーティリティを用います。feditユーティリティの使用方法に関しては,『日本語ULTRIX リファレンス・マニュアル』fedit(1)を参照してください。feditユーティリティで作成したフォント・ファイルはシーケンシャル・ファイルですが,テキスト・トランスレータで利用するためには,lpsfgen(8)ユーティリティで漢字コードをキーとしてハッシュをかける必要があります。以下に,ユーザ定義文字を使用できるようにするまでの流れを,例をとって説明します。

  1. fedit(1)ユーティリティを用いて,ユーザ定義可能領域の文字コードの中から適当な文字コードを割り当ててユーザ定義文字を作成します。ここでは40×40ドットの明朝体文字を作り,出力ファイルをkanji_file.tmpとします。

  2. lpsfgen(8)ユーティリティで,kanji_file.tmpから /usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho40.{dir,pag}を作成します。

    # /usr/jsy/etc/lpsfgen kanji_file.tmp mincho40 
    

  3. これだけで,定義した文字が使えるようになります。文字をさらに追加したいときは,kanji_file.tmpをfedit(1)ユーティリティの入力ファイルとして , を繰り返してください。




既存の日本語プリンタとの互換性のために,sixelモードのマクロパラメータ (Ps1)として,グリッド・サイズ 0.0056, 0.0167, 0.0111が追加されています。

DCS  Ps1 ; Ps2 ; Ps3 q picture_definition ST 

9/0     3/11        7/1                  9/12 

表 2-3 sixelのマクロパラメータ
Ps1 水平グリッド・サイズ 解像度
縦:横
垂直グリッド・サイズ
0 0.0067インチ 200:100 0.0133インチ
1 0.0067インチ 200:100 0.0133インチ
2 0.003 インチ 450:100 0.0133インチ
3 0.0045インチ 300:100 0.0133インチ
4 0.0053インチ 250:100 0.0133インチ
5 0.0075インチ 183:100 0.0133インチ
6 0.009 インチ 150:100 0.0133インチ
7 0.0105インチ 130:100 0.0133インチ
8 0.0120インチ 112:100 0.0133インチ
9 0.0153インチ 100:100 0.0133インチ
10 0.0056インチ 100:100 0.0056インチ
11 0.0167インチ 100:100 0.0167インチ
12 0.0111インチ 150:100 0.0167インチ



2.2.2 KANJIデータ・タイプ

KANJIデータ・タイプは,DEClaser2300レーザ・プリンタの基本モードであるLN05モードとの互換性を保つように,日本語拡張版ANSIトランスレータの初期状態を変更したものです。使用できる命令(コントロール・コード,コントロール・シーケンス,エスケープ・シーケンス)およびその機能においては,拡張ANSIデータ・タイプとの違いはありません。

  注意
テキスト・トランスレータのリセット命令(DECSTR,RIS)は,トランスレータを,そのデータ・タイプ固有の初期状態に復帰させます。これに対して命令表示モード,CRM (Control Rendition Mode)をセットした場合,および適合レベル選択命令,DECSCL (Select Conformance Level)を使用すると,ANSIデータ・タイプで,紙サイズをレターサイズ,ポートレート・オリエンテーションで指定した場合と同じ初期状態にリセットされます。

表 2-4 に初期状態での主な相違点を示します。詳しくは, 付録 C "テキスト・トランスレータの初期設定値" を参照してください。

表 2-4 拡張ANSIとKANJIの違い
  ANSI KANJI
文字セット    
    GL, ASCII JISローマ字
    GR, DECサプリメンタル DEC漢字指示
    G0, ASCII JISローマ字
    G1, ASCII VT100ラインドローディング
    G2, DECサプリメンタル JISカタカナ
    G3, DECサプリメンタル
(厳密には,DECサプリメンタルは User Preference セットとして指定されている)
DEC漢字指示
フォント SGR 10 =DEC BUILTIN 1 SGR 10 =DEC BUILTIN 1
(同じタイプ・ファミリだが,初期文字ピッチが異なるので使用されるフォントも異なる。実際はANSIではクーリエ書体になり,KANJIでは明朝体になる)
SGR17 DEC BUILTIN 1 ファミリ 明朝体10ポイント
SGR18 DEC BUILTIN 1 ファミリ 明朝体8ポイント
(パラメータ17,18以外のフォント割当ての初期設定値は同じ)
ポートレートでの
文字ピッチ
10 cpi(フォントの値) 12.77 cpi(固定)
DECSHORP 11 17.1 cpi 6.38 cpi


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