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サーバ・システムに接続されているキーボードのデフォルト属性のいくつかを変更することができます。これには,キークリック音やベルの音量,オートリピートなどのキーボード動作に加えて,キーボードの各キーを,クライアント・アプリケーションが使用する,キーボードに依存しないシンボルにマッピングする方法も含まれます。
また,X Keyboard 拡張 (XKB) では,キーボード・レイアウトと音響フィードバックを定義するための高度な機能が提供されます。 XKB を使用して X キーボード・レイアウト・ファイルの設定を指定するには,ここで示すパラメータを使用します。カスタム・キーマップ・ファイルおよびキーボード・レイアウト・ファイルをロードする方法については, 第 3.5 節 を参照してください。
ここに示すキーボード設定のいくつかは,セッション・マネージャで設定変更することができます。これらのシンボルの定義は,ユーザがログインする前または DECwindows セッション・マネージャを使用していない場合に有効になります。
DECW$KEYMAP パラメータは,キーボード・マッピング・ファイルがあるディレクトリの指定です。これは参照のためだけにあります。この値は変更しないでください。
キーボードの言語を指定することができます。 DECW$DEFAULT_KEYBOARD_MAP に指定できる値は, SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.DECW.SYSTEM] ディレクトリおよび SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.DECW.USER] ディレクトリ内のファイル名 (ファイル・タイプを除く) です。
有効なキーマップ名の一覧については, 付録 B を参照してください。
次のシンボル定義は,キーボード・レイアウトをオランダ語のタイプライタ・レイアウトに変更します。
$ DECW$DEFAULT_KEYBOARD_MAP == "DUTCH_LK201LH_TW" |
このパラメータは,キーボードのベル音の音量を決定します。値は 0 〜 100 で,100 が最大の音量になります。デフォルトの音量は 50 です。
次の論理名定義は,ボリュームを最大音量の 1/4 にします。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_BELL_BASE_VOLUME 25 |
このパラメータは,スティッキー・キーやスロー・キーなど,障害を持ったユーザ向けの AccessX キーボード機能を有効にします。指定可能な値は 0 (無効) または 1 (有効) です。デフォルトは 0 です。
次の例では,AccessX 機能を有効にしています。
$ DECW$SERVER_ENABLE_ACCESSX == "1" |
DECW$SERVER_ENABLE_KB_AUTOREPEAT
キーボードのオートリピートは,キーを押している間は文字が自動的に繰り返されるようにするためのオプションです。このパラメータに True を指定することでこのオプションを有効にすることができます。
次の論理名定義は,キーボードから入力した文字のオートリピートを有効にします。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_ENABLE_KB_AUTOREPEAT T |
このパラメータは,キーボードのクリック音の音量を決定します。値は 0 〜 100 で,100 が最も大きな音量になります。デフォルトは 0 です。
次のシンボル定義は,ボリュームを最大音量の 1/4 にします。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_KEYCLICK_VOLUME 25 |
XKB を使用する場合,このパラメータはキーストロークのリピートを開始するまでの時間をミリ秒単位で指定します。このパラメータで有効な値は 0 〜 1000 です。デフォルトは 660 です。
次のシンボル定義は,キーストロークのリピートを開始するまでの遅延を指定します。
$ DECW$SERVER_KEY_REPEAT_DELAY == "800" |
DECW$SERVER_KEY_REPEAT_INTERVAL
XKB を使用する場合,このパラメータは,リピートされるキーストローク間の時間をミリ秒単位で指定します。このパラメータで有効な値は 0 〜 1000 です。デフォルトは 40 です。
次のシンボル定義は,キーストロークのリピート間隔を指定します。
$ DECW$SERVER_KEY_REPEAT_INTERVAL == "20" |
DECW$SERVER_XKEYBOARD_COMPILED_DIR
XKB を使用する場合,このパラメータは,すべてのコンパイル済み X キーボード・ファイルのデフォルト・ディレクトリを指定します。このディレクトリには,サーバが必要に応じてコンパイルするキーマップ・ファイルも格納されます。デフォルトは SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.XKB.COMPILED] です。
次のシンボル定義は,ルート・ディレクトリを
SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.XKB.SERVER1] に変更します。
$ DECW$SERVER_XKEYBOARD_COMPILED_DIR == "SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.XKB.SERVER1]" |
DECW$SERVER_XKEYBOARD_DIRECTORY
XKB を使用する場合,このパラメータは,すべての X キーボード・ファイルのデフォルト・ルート・ディレクトリを指定します。構成要素となるすべてのソース X キーボード・ファイルは,このルート・ディレクトリの下のサブディレクトリに格納されます。デフォルトは DECW$SYSCOMMON:[SYS$KEYMAP.XKB] です。
次のシンボル定義は,ルート・ディレクトリを
SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.XKB] に変更します。
$ DECW$SERVER_XKEYBOARD_DIRECTORY == "SYS$COMMON:[SYS$KEYMAP.XKB]" |
DECW$SERVER_XKEYBOARD_LOAD_MAP
XKB を使用する場合,このパラメータを設定すると, DECW$SERVER_XKEYBOARD_MAP で指定されるすべての X キーボード・レイアウトがロードされます。このパラメータに指定できる値は 0 (無効) または 1 (有効) です。デフォルトは 0 です。このパラメータを無効にすると,DECwindows のキーボード・マップが使用されます。
次のシンボル定義は,デフォルトの DECwindows キーボード・マップ・ファイルをロードします。
$ DECW$SERVER_XKEYBOARD_LOAD_MAP == "1" |
XKB を使用する場合,このパラメータには,使用しているキーボード用のデフォルトの X キーボード・レイアウト・ファイルを指定します。デフォルトは DIGITAL_US_LK201 です。コンパイル済みのレイアウト・ファイルが DECW$SERVER_XKEYBOARD_COMPILED_DIR で指定された場所にない場合は,ディスプレイ・サーバは X キーボード・コンポーネント・データベース内のデータに基づいてオンデマンドでファイルをコンパイルします。
次のシンボル定義は,X キーボード・レイアウトを別のキーボード・レイアウトに変更します。
$ DECW$SERVER_XKEYBOARD_MAP == "DIGITAL_US_LK401" |
マウス・ポインタ属性を変更するには,ここに示すシンボルを使用します。 ここに示すマウス・ポインタ設定よりも,セッション・マネージャでの設定の方が優先されます。これらのシンボルの設定は,ユーザがログインする前,または DECwindows セッション・マネージャを使用していない場合に有効です。
DECW$SERVER_MOUSE_ACCELERATION
このパラメータは,マウスの移動とポインタの移動の間の関係を定義します。以下の値を指定することができます。
2 (高速)
1 (標準)
0 (低速)
次の論理名を定義すると,マウスの移動と比べて高速にポインタが移動するようになります。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_MOUSE_ACCELERATION 2 |
このパラメータは,DECwindows サーバが移動の通知を受け取るマウスの最小移動量 (ピクセル単位) を定義します。デフォルトは 4 ピクセルです。
次の論理名を定義すると,マウスの移動の感度が非常に高くなり,マウスの移動が DECwindows サーバに頻繁に通知されるようになります。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_MOUSE_THRESHOLD 1 |
ディスプレイ・サーバは,カラー・データベース・ファイルを使用してクライアント・アプリケーションからサーバに渡された色の名前を RGB 値に変換します。カラー・データベースの属性を変更するには,ここで説明するシンボルを使用します。
このパラメータは,ディスプレイ・サーバが使用する RGB データベースのファイル名を定義します。デフォルトの名前は SYS$MANAGER:DECW$RGB.DAT です。
次のシンボル定義は,ファイル名の値を DECW$RGBPATH.DAT に変更します。
$ DECW$RGBPATH == "SYS$MANAGER:DECW$RGBPATH.DAT" |
スクリーン・セーバを有効にした場合,指定した時間 (デフォルトでは 10 分間) ユーザからの入力がないと,モニタの表示が消えます。実際の値は秒単位で指定します。
また,スクリーン・セーバのタイムアウト時間が経過したときに,サーバが黒または白の X というイメージを画面上にランダムなサイズと位置で表示するようにすることもできます。 2 番目のパラメータには,スクリーン・セーバ・パターンの再描画間隔を指定します。
画面の背景が表示されたままになるため,通常の使用ではこのスクリーン・セーバはお勧めできません。 |
DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_PREFER_BLANKING
このパラメータは,スクリーン・セーバの実行方法を決定します。この値が True (デフォルト) の場合,DECwindows サーバは,スクリーン・セーバタイムアウト時間が経過すると,ビデオ・デバイス・ドライバのビデオ信号をオフにします。この値が False の場合,DECwindows サーバは,タイムアウト時間が経過すると,画面を見えなくします。
次の論理名を定義すると,スクリーン・セーバ・タイムアウト時間が経過したときに,画面が消去されます。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_PREFER_BLANKING F |
DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_TIMEOUT
このパラメータは,スクリーン・セーバが起動されるまでの時間 (初期時間,分単位) を定義します。その後,スクリーン・セーバ間隔が有効になります。デフォルトは 600 秒 (10 分) です。
次の論理名を定義すると,スクリーン・セーバの初期時間が 5 分になります。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_TIMEOUT 5 |
DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_INTERVAL
このパラメータは,サーバが画面の背景を再描画するまでの時間 (分単位) を定義します。スクリーン・セーバは,画面の蛍光体が焼き付かないように,画面のピクセルの配置を変更します。サーバによっては,泳いでいる魚やロゴなど,無表示状態にしないスクリーン・セーバを使用します。デフォルトは 600 秒 (10 分) です。
次の論理名を定義すると,背景画面が 7 分おきに再描画されます。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_SCREEN_SAVER_INTERVAL 7 |
一般に,画面の隠れた領域が表示されたときにその表示を復元するのはクライアント・アプリケーションの責任です。ただし,ディスプレイ・サーバでは,クライアントに代わってこの操作を実行するためのいくつかの手法が利用できます。そのためにあるのがバッキング・ストア・オプションとセーブ・アンダ・オプションです。
バッキング・ストアでは,ウィンドウの各部分が隠れる直前に,その内容がサーバのメモリに保存されます。後でその部分が表示されたときに,クライアントとは無関係にサーバが再描画することができます。これにより,特に複雑なグラフィックスを含むウィンドウや,クライアント/サーバ間のリンクが低速な環境で,再描画に要する時間が大幅に短縮されます。
セーブ・アンダは同様のメカニズムの 1 つで,ウィンドウを表示する前に,それによって隠れる画面の部分がサーバによって保存されます。
これらのメカニズムは,どちらもデフォルトで利用可能で,ウィンドウごとにオンにすることができます。これらのメカニズムを頻繁に使用すると,サーバのメモリ使用量が増加します。クライアント・アプリケーションのデバッグ時に,アプリケーションがすべてのエクスポーズ・イベントを正しく処理することを確認する場合には,これらの機能を無効にすることをお勧めします。
バッキング・ストアとセーブ・アンダでは,どちらも DECwindows サーバに非常に高い負荷がかかるため,性能の低下を招くおそれがあります。 |
DECW$SERVER_DEFAULT_BACKING_STORE
3 種類のウィンドウ状態でこのオプションを有効にすることができます。次の表に,シンボルに指定できる値とその意味を示します。
値 | 意味 |
---|---|
2 | 常にバッキング・ストアを有効にする。 |
1 | ウィンドウがマップされているときだけバッキング・ストアを有効にする。 |
0 | 不定。使用するサーバとデバイスに依存する。 |
DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE に値 True を設定すると,バッキング・ストア・オプションが使用されなくなります。 DECW$SERVER_DEFAULT_BACKING_STORE の値は,アプリケーション内でウィンドウごとに設定変更することができます。
次の論理名を定義すると,ウィンドウが画面にマップされているときにサーバがウィンドウの保存および復元を行うようになります。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_DEFAULT_BACKING_STORE 1 |
DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE
バッキング・ストア機能を無効にする場合はこのパラメータを使用します。デフォルト値は False で,バッキング・ストアは有効です。
DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE に True (バッキング・ストアを無効にする) を設定してサーバを再起動すると,バッキング・ストア・オプションが無効になります。その後,バッキング・ストアを再度有効にするには, DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE の割り当てを解除するか再定義してサーバを再起動します。
アプリケーション・ウィンドウが空白で表示される場合は,アプリケーションのバッキング・ストアの要求が正しくなく,エクスポーズ・イベントの処理が開始されるのを待っています。アプリケーションを修正してバッキング・ストアを要求しないようにするか, DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE に True を設定して, DECwindows ディスプレイ・サーバを再起動します。
次のシンボルを定義すると,バッキング・ストアが無効になります。
$ DECW$SERVER_DISABLE_BACKING_STORE == "T" |
DECW$SERVER_DISABLE_SAVE_UNDER
セーブ・アンダ・オプションを有効にすると,別のウィンドウがその上に表示されたときに隠れる可能性があるウィンドウの情報が記録されます。このパラメータに True を指定すると,このオプションを無効にすることができます。
セーブ・アンダ・オプションは,バッキング・ストア・オプションに似ていますが,ウィンドウの隠れた部分だけがサーバによって保存されるため,ウィンドウのその部分が見えるようになると,サーバはウィンドウのその部分を再描画します。
次のようにシンボルを定義すると,サーバのセーブ・アンダ・オプションが無効になります。
$ DEFINE/SYSTEM DECW$SERVER_DISABLE_SAVE_UNDER T |
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