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HP OpenVMS Systems
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HP DECwindows Motif for OpenVMS

HP DECwindows Motif for OpenVMS
管理ガイド


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4.1.2 TCP/IP ホスト名の変換

ホスト名の変換方法は,IPv6 と IPv4 のどちらが選択されているかによって変わります。 INET6 または TCPIP トランスポートが指定されていて,論理名 DECW$IPV6_SUPPORT が "TCP_IS_INET6" と定義されている場合は, TCP/IP Services の getaddrinfo 関数を使用して,ローカル・データベースまたはドメイン・ネーム・サーバからアドレス情報が取得されます。複数のアドレスが利用可能な場合は, IPv4 アドレスの前にすべての IPv6 アドレスが試されます。各 IP バージョン内でアドレスを試す順序は不定です。

INET トランスポートが指定されていて,論理名 DECW$IPV6_SUPPORT に "DISABLED" が定義されていない場合は, TCP/IP Services の getaddrinfo 関数を使用して,ローカル・データベースまたはドメイン・ネーム・サーバから IPv4 アドレス情報が取得されます。複数の IPv4 アドレスが利用可能な場合,アドレスが試される順序は不定です。

INET または TCPIP トランスポートが指定されていて,論理名 DECW$IPV6_SUPPORT が "DISABLED" と定義されている場合は, TCP/IP Services の gethostbyaddr 関数を使用してローカル・データベースまたはドメイン・ネーム・サーバからアドレス情報が取得されます。この方法は,以前のバージョンの DECwindows Motif との互換性のためだけに提供されています。

4.2 ログイン・プロセスの説明

ここでは,DECwindows のログイン・プロセスについて説明します。ログイン・プロセスは,「Start Session」ダイアログ・ボックスが表示されてから,セッション・マネージャが起動するまでのプロセスです。

4.2.1 New Desktop のログイン・シーケンス

「Start Session」ダイアログ・ボックに正しいユーザ名とパスワードを入力すると,以下の処理が実行されます。

  1. LOGINOUT.EXE: DECW$LOGINOUT.EXE 内のルーチンが呼び出されます。 このプログラムは,以下の機能を実行します。

    1. DW-MOTIF のライセンスを確認して,システムが,ディスプレイ・サーバとの接続をオープンするライセンスを持っていることを確認します。ライセンスがない場合,DECW$LOGINOUT.EXE は警告メッセージを表示し,自身を再起動して終了します。新しい「Start Session」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    2. 入力ポインタが時計のカーソルに変わります。

    3. 許可ユーザ・リストと信頼ユーザ・リストを変更して,ディスプレイ・サーバに接続するアプリケーションを実行できるようにし,セキュリティの設定を変更します。また,以前設定されたサーバのセキュリティ設定を削除します。

    4. サーバ・プロセスの所有者を,ログイン中のユーザに変更するようにサーバに指示します。

    5. サーバでランダムな magic cookie 値を設定し, X authority ファイル DECW$ENDSESSION.DECW$XAUTH に保存します。この cookie は,セッションを終了するためにプロセスがサーバに接続できることを保証します。

    6. DTGREET プロセスに終了するように指示します。

    7. DTHELLO.EXE を実行するプロセスを起動します。 DTHELLO.EXE は,ウェルカム画面を表示し,スタートアップ・プロセスの間,サーバとの接続を保持します。

    8. プロセス名として DTSESSION を設定します。

    9. 「Start Session」ダイアログの表示に費やした時間がユーザ・プロセスに課金されないように,Start Session プロセスの累積 CPU 時間をゼロに初期化します。

    10. DCL が実行するコマンド・プロシージャとして, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[BIN]XSESSION.COM を渡します。

    11. 終了して,プロセスの制御を DCL に渡します。

  2. XSESSION.COM: セッション・マネージャのデフォルトの DCL コマンド・プロシージャとして動作します。 このコマンド・プロシージャは,以下の機能を実行します。

    1. 論理名 DECW$SM_WSQUOTA が定義されている場合,セッション・マネージャ・プロセスのワーキング・セット制限として論理名の値を設定します。

    2. 論理名 SYS$SYLOGIN が示すシステムのログイン・コマンド・プロシージャを実行します。デフォルトでは SYLOGIN.COM です。

    3. 「Start Session」ダイアログ・ボックスで,ユーザ名の後に /NOCOMMAND を指定しなかった場合,ユーザごとの LOGIN.COM (または UAF レコードで指定されているその他のログイン・コマンド・プロシージャ) が実行されます。リソース・ファイルで使用するディレクトリを変更するには, LOGIN.COM 内で論理名 DECW$USER_DEFAULTS を再定義します。

    4. Kerberos 認証が必要な場合,Kerberos のログイン・ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログはプリンシパルとパスワードを要求し,チケットを生成します。

    5. 必要に応じて,ユーザのデフォルトの X authority ファイルへのエントリの挿入や削除を行います。

    6. SYS$MANAGER:DECW$SYLOGIN.COM があれば実行します。

    7. SYS$LOGIN:DECW$LOGIN.COM があれば実行します。

    8. CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[BIN]DTSESSION.EXE を実行してセッション・マネージャを起動します。

4.2.2 Traditional DECwindows Desktop のログイン・シーケンス

「Start Session」ダイアログ・ボックスに正しいユーザ名とパスワードを入力すると,以下の処理が実行されます。

  1. LOGINOUT.EXE: DECW$LOGINOUT.EXE 内のルーチンが呼び出されます。 このプログラムは,以下の機能を実行します。

    1. DW-MOTIF のライセンスを確認して,システムが,ディスプレイ・サーバとの接続をオープンするライセンスを持っていることを確認します。ライセンスがない場合, DECW$LOGINOUT.EXE は警告メッセージを表示して,自身を再起動して終了します。新しい「Start Session」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    2. 入力ポインタが時計のカーソルに変わります。

    3. 許可ユーザ・リストと信頼ユーザ・リストを変更して,ディスプレイ・サーバに接続するアプリケーションを実行できるようにし,セキュリティの設定を変更します。また,以前設定されたサーバのセキュリティ設定を削除します。

    4. サーバ・プロセスの所有者を,ログイン中のユーザに変更するようにサーバに指示します。

    5. サーバでランダムな magic cookie 値を設定し, X authority ファイル DECW$ENDSESSION.DECW$XAUTH に保存します。この cookie は,セッションを終了するためにプロセスがサーバに接続できることを保証します。

    6. スタートアップ・プロセスの間サーバとの接続を保持する DECW$WAITFORSM.EXE を実行するプロセスを起動します。

    7. プロセス名として DECW$SESSION を設定します。

    8. 「Start Session」ダイアログの表示に費やした時間がユーザ・プロセスに課金されないように,Start Session プロセスの累積 CPU 時間をゼロに初期化します。

    9. DCL が実行するコマンド・プロシージャとして, SYS$MANAGER:DECW$STARTSM.COM を渡します。

    10. 終了して,プロセスの制御を DCL に渡します。

  2. SYS$MANAGER:DECW$STARTSM.COM: セッション・マネージャのデフォルトの DCL コマンド・プロシージャとして動作します。 このコマンド・プロシージャは,以下の機能を実行します。

    1. 論理名 DECW$SM_WSQUOTA が定義されている場合,セッション・マネージャ・プロセスのワーキング・セット制限として論理名の値を設定します。

    2. 論理名 SYS$SYLOGIN が示すシステムのログイン・コマンド・プロシージャを実行します。デフォルトでは SYLOGIN.COM です。

    3. 「Start Session」ダイアログ・ボックスで,ユーザ名の後に /NOCOMMAND を指定しなかった場合,ユーザごとの LOGIN.COM (または UAF レコードで指定されているその他のログイン・コマンド・プロシージャ) が実行されます。リソース・ファイルで使用するディレクトリを変更するには, LOGIN.COM 内で論理名 DECW$USER_DEFAULTS を再定義します。

    4. SYS$SYSTEM:DECW$WSINIT.EXE を実行して,ユーザのワークステーション・カスタマイズ・ファイルを読み込みます。このプログラムは,ディスプレイ・サーバへの接続をオープンし, Xlib の呼び出しを行って,カスタマイズ内容を適用し,画面の背景,ポインタの形状と色,その他のワークステーションの設定を行います。また,ルート・ウィンドウ上で,後から起動した DECwindows アプリケーションにカスタマイズ内容を伝えるためのプロパティを作成します。

      注意

      XUI 版の DECwindows を使用した後で, DECwindows Motif システムに初めてログインすると, DECW$WSINIT.EXE はユーザの XUI リソース・ファイルを読み込み, DECwindows Motif 形式に変換します。

    5. Kerberos 認証が必要な場合,Kerberos のログイン・ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログはプリンシパルとパスワードを要求し,チケットを生成します

    6. 必要に応じて,ユーザのデフォルトの X authority ファイルへのエントリの挿入や削除を行います。

    7. SYS$MANAGER:DECW$SYLOGIN.COM があれば実行します。

    8. SYS$LOGIN:DECW$LOGIN.COM があれば実行します。

    9. SYS$SYSTEM:DECW$SESSION.EXE を実行してセッション・マネージャを起動します。

4.3 ログイン環境のカスタマイズ

ここでは,DECwindows のデフォルトのログイン環境を改善またはカスタマイズする方法について説明します。

4.3.1 アプリケーションのスタートアップ性能の向上

コマンド・プロシージャ SYLOGIN.COM や LOGIN.COM が大きいと,アプリケーションのスタートアップに時間がかかります。 SYLOGIN.COM や LOGIN.COM の中で行っている操作の多くは, DECwindows アプリケーションのスタートアップでは意味がありません。そこで, DECwindows アプリケーションのスタートアップ性能を向上させるために, SYLOGIN.COM ファイルや LOGIN.COM ファイルを条件付きにすることをお勧めします。

DECwindows アプリケーションの起動時には,最小限の SYLOGIN.COM コマンドおよび LOGIN.COM コマンドだけを実行します。通常,実行が必要なコマンドは, DECW$USER_DEFAULTS の再定義 (存在する場合) と, DECwindows アプリケーションのコンテキストから参照するその他論理名の定義です。

次のコード・セグメントは,SYLOGIN.COM および LOGIN.COM 内で, DECwindows に必要なコマンドの直後に挿入することができます。


$ mode = f$mode() 
$ tt_devname = f$trnlnm("TT") 
$ session_mgr_login = (mode .eqs. "INTERACTIVE") .and.  - 
      (f$locate("WSA",tt_devname) .ne. f$len(tt_devname)) 
$ session_detached_process = (mode .eqs. "INTERACTIVE") .and. - 
      (f$locate("MBA",tt_devname) .ne. f$len(tt_devname)) 
$ if session_mgr_login .or. session_detached_process then exit 

4.3.2 ログイン画面のカスタマイズ ( Traditional DECwindows Desktop のみ)

DECwindows Motif のログイン画面をカスタマイズして,別のロゴを表示したり,画面の色を変更することができます。ログイン画面をカスタマイズするには,リソース定義が格納されている SYS$MANAGER ディレクトリに, DECW$LOGIN.DAT という名前のファイルを作成します。 SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT 内のカスタム・リソース定義は, SYS$COMMON:[DECW$DEFAULTS.SYSTEM]DECW$LOGIN.DAT に格納されている弊社提供のリソース定義とマージされて,新しいログイン画面が構成されます。

カスタマイズしたリソース・ファイル DECW$LOGIN.DAT は,新しいバージョンの DECwindows Motif ソフトウェアにアップグレードしたときに上書きされないように, DECW$SYSTEM_DEFAULTS ディレクトリではなく SYS$MANAGER ディレクトリに格納してください。また,SYS$MANAGER ディレクトリにファイルを保存することで,弊社が提供しているファイルをカスタム・ファイルによって置き換えてしまうのを防ぐことができます。

4.3.2.1 ロゴおよびログイン画面の色のカスタマイズ

表 4-4 に示すリソースを定義することで,ロゴの位置と色,および「Start Session」画面の背景色を変更することができます。

表 4-4 ロゴの移動とログイン画面の色の変更
リソース 説明
rootColor 画面の背景色
logoColor ロゴの色 (デフォルトは赤紫色)
logoX ロゴの x 位置 (デフォルトは 0)
logoY ロゴの y 位置 (デフォルトは 75)
centerLogoX 論理値。true (デフォルト) の場合,ロゴは画面の左右方向の中央に配置される。

たとえば,x=100,y=600 の位置にロゴを表示するには,次のリソース定義を SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT ファイルに追加します。


decw$login.logoX: 100 
decw$login.logoY: 600 
decw$login.centerLogoX: false 

4.3.2.2 「Start Session」ダイアログ・ボックスと「Set Password」ダイアログ・ボックスの位置の変更

表 4-5 に示すリソースを定義することで,「Start Session」ダイアログ・ボックスと「Set Password」ダイアログ・ボックスの位置を変更することができます。

表 4-5 「Start Session」ダイアログ・ボックスと「Set Password」ダイアログ・ボックスの位置の変更
リソース 説明
centerStartSessionX 論理値。true (デフォルト) の場合,「Start Session」ダイアログ・ボックスは左右方向の中央に配置される。
centerStartSessionY 論理値。true (デフォルト) の場合,「Start Session」ダイアログ・ボックスは上下方向の中央に配置される。
centerSetPasswordX 論理値。true (デフォルト) の場合,パスワードの期限切れを示す「Set Password」ダイアログ・ボックスは,左右方向の中央に配置される。
centerSetPasswordY 論理値。true (デフォルト) の場合,「Set Password」ダイアログ・ボックスは上下方向の中央に配置される。

たとえば,「Set Password」ダイアログ・ボックスを x=100, y=600 の位置に表示するには,次のリソース定義を SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT ファイルに追加します。


decw$login.centerStartSessionX: false 
decw$login.centerStartSessionY: false 
decw$login.HiddenShell.x: 100 
decw$login.HiddenShell.y: 600 

「Set Password」ダイアログ・ボックスを x=30,y=100 の位置に表示するには,次のリソース定義を SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT ファイルに追加します。


decw$login.centerSetPasswordX: false 
decw$login.centerSetPasswordY: false 
decw$login.SetPasswordShell.x: 30 
decw$login.SetPasswordShell.y: 100 

4.3.2.3 「Start Session」ダイアログ・ボックスでのノード名表示を無効にする

「Start Session」ダイアログ・ボックスにノード名が表示されないようにするには,次のリソース定義を SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT ファイルに追加します。


decw$login.displayNodeName: false 

4.3.3 ログイン前にカスタム・メッセージを表示する (New Desktop のみ)

システム管理者などの特権ユーザは, New Desktop でのセッション・ログインの前に,カスタム・メッセージ (挨拶文,セキュリティ・アップデート,システム・ブロードキャストなど) を表示することができます。

DECwindows Motif は,セッションのスタートアップ時に,メッセージ・ファイル SYS$MANAGER:DECW$GREET.TXT を探します。ファイルが見つかると,メッセージ・ファイル中の文章が表示されたウィンドウが,ログイン・ダイアログ・ボックスの前に表示されます。ユーザは,Return キーを押すか [了解] をクリックして先に進み, New Desktop セッションにログインします。ファイルが見つからない場合は,このウィンドウは表示されず,ユーザは直接 New Desktop セッションにログインすることができます。

カスタム・メッセージを作成するには,以下の手順を実行します。

  1. SYSTEM (または他の特権アカウント) でログインします。

  2. 以下の場所のどちらかにファイル DECW$GREET.TXT を作成します。

  3. 表示するメッセージ・テキストを入力します。テキストは,現在 CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG]XCONFIG.DAT および CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.%L]XRESOURCES.DAT で定義されているフォント・ファミリと言語に従って表示されます。現在のフォント・ファミリと言語でサポートされているプリント可能なすべての文字を表示することができます。
    また,明確なサイズ要件がない点に注意してください。メッセージ・ウィンドウは動的にサイズが変わります。非常に長い行 (長すぎて画面自体に収まらない行) は切り捨てられます。

    注意

    テキストまたは書式制御文字を含まない行は無視されます。メッセージ・ファイルに空白行を挿入するには,行の先頭に 1 つ以上のスペース文字 <sp> を入力します。

  4. ファイルを保存してデスクトップ・セッションを再起動します。


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