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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第1章:New Desktopの概要
第2章:New Desktopの使用方法
第3章:New Desktopの管理
第4章:アプリケーションの統合
第5章: プログラミング・リソース
付録A :New DesktopとCDEとの違い
付録B :複数画面のサポート
付録C :CDEのAPIルーチン
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New Desktop 使用概説書

New Desktop 使用概説書


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第 4 章
New Desktop のアプリケーションの統合

本章では次の事項について説明します。

  • CDE ドキュメントで定義されている,次の3つの統合レベル

  • 新規アプリケーション・グループの作成 ( 第 4.4 節 )

  • 他社のアプリケーションの登録 ( 第 4.5 節 )

  • New Desktop へのUNIX のリファレンス・ページ (マニュアル・ページ)の移植( 第 4.6 節 )

  • アプリケーションの統合関連のCDE ドキュメント ( 第 4.7 節 )

      注意
    アプリケーションの統合は必ずしも必要ありません。 New Desktop の既存のDECwindowsアプリケーションは,まったく変更を加えずに実行することができます。



4.1 最小限の統合

最小限の統合を行うと,アプリケーションを1つ以上の対応するアクションを用いて CDEデスクトップから起動することができるようになります。これには特定のアプリケーション構成ファイルが必要です。 [アクション作成] アプリケーションを使用して,各アプリケーションごとに次の構成ファイルを作成すれば,ほとんどのアプリケーションに対して最小限の統合を実現することができます。

  • アイコン・ファイル

  • アクションおよびデータ型の定義ファイル

  • アクション(stub)・ファイル

アプリケーションのなかにはアクション作成では最小限の統合を完了できないものがあります。たとえば,コマンド行にパラメータなどのファイル名ではない引数が必要な場合, [アクション作成] を使用してアプリケーション用のアクションを作成することはできません。また,そのデータ型が [開く],[印刷] 以外のアクションを持っている場合も,アプリケーションに [アクション作成] を使用することはできません。一般的に, [アクション作成] は最小限の統合に必要なファイルの作成に使用することができ,そのファイルを編集して [アクション作成] では指定できない追加情報を指定するようにします。エディタで新規ファイルを作成しなければならない場合もあります。

4.1.1 CDE アクション関連用語

アプリケーションの統合用に構成ファイルを作成するプロセスを理解するために, CDEインタフェースとCDEドキュメントで次の用語がどのように使用されているかを理解することが重要です。

  • アクション
    アクションとは,アプリケーション・マネージャあるいはファイル・マネージャのアイコンのダブルクリックにより,アプリケーションに対して発生する処理のことです。アプリケーションの構成ファイルをアプリケーション・ファイルに対応付けることにより,このアクションが起動できるようになります。 [アクション作成] の [アクション名] フィールドは,アプリケーション用に選択するアイコンとともに表示されるアイコン名のことです。

  • アクション定義ファイル
    このファイルにはアクションの定義,さらにオプションとしてアプリケーションと対応付けしたいデータ型の定義が入っています。このファイルにデータ型定義が入っている場合は,アクションおよびデータ型定義ファイルと呼ばれることがあります。
    次は,[マニュアル・ページ・ビューア] のアクション定義ファイル DTHELP.DT の例です。

    ACTION dtmanpageview 
    { 
    LABEL           Man Page Viewer 
    ARG_COUNT       0 
    ICON            Dthover 
    TYPE            COMMAND 
    WINDOW_TYPE     NO_STDIO 
    EXEC_STRING     cde$system_defaults:[bin]dthelpview -man \
                    -xrm "Dthelpview*manBox*columns: 100" 
    DESCRIPTION     The Man Page Viewer (Dtmanpageview) action \                   
                    displays a man page in a Quick Help viewer window. 
    } 
    

  • アクション(stub)・ファイル
    アクション(stub)・ファイルは, CDE 上で各アクション定義ファイルに対して必要とされるファイルです。アクション・ファイルは,アクション定義ファイルをアイコン・ファイルと対応付けして,アイコンがファイル・マネージャあるいはアプリケーション・マネージャに表示されるようにします。アクション・ファイルはアクション定義ファイルと同じファイル名ですが,拡張子DTが付いていません。たとえば, DTPAD.は DTPAD.DTアクション定義ファイルのアクション・ファイルです。



4.1.2 OpenVMS Alpha上でのアクション定義ファイルの作成

[アクション作成] アプリケーションを使用して,または直接エディタで編集して,アプリケーション統合用にアクション定義ファイルを作成する場合は, OpenVMS Alpha上では次の必要条件に従ってください。

  • アイコン名
    アプリケーション用に指定したアクションが,アプリケーション・マネージャのアプリケーション・グループにアイコンとして表示される場合は,アクション名はOpenVMSファイル名として有効な文字のみで構成され,すべて小文字にする必要があります。 [アクション作成] はアクション名を自動的に小文字に変更します。

  • アプリケーションを実行するためのコマンド行
    [アクション作成] アプリケーションの [アクションを開いた(ダブルクリックした)場合のコマンド:]フィールドには,アクション定義ファイルのEXEC_STRING が入ります。このフィールドには,有効なOpenVMSコマンド行を入力する必要があります。コマンド行が$,RUN,MCRのいずれかで始まり,その次に空白が来るか @で始まる場合は,そのコマンドは変換されずDCLコマンドとして処理されます。コマンド行が有効なOpenVMSまたは UNIX のファイル名で始まる場合は,外部コマンドが自動的に生成されます。また,コマンド行の全オプションは大文字あるいは小文字を入力時のままとするために,暗黙のうちに引用符が付けられます。
    コマンド行が,デバイス名もディレクトリ名もないファイル名だけで始まる場合は,次のデフォルトの実行ディレクトリ内のファイルとして処理されます。
    CDE$USER_DEFAULTS:[BIN]
    CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[BIN]

    論理名CDE$PATH が,これらのディレクトリを指す検索リストとして定義されます。ファイルが存在しない場合は,そのコマンドは変換されずDCLコマンドとして処理されます。

  • コマンド行の引数
    コマンド行のファイル引数は [アクション作成] で指定することができます。 [アクション作成] で引数を入力する場合, [アクションを開いた(ダブルクリック)した場合のコマンド:]フィールドに, $n という構文で指定します。たとえば,第 1 引数を $1,第 2 引数を $2 と指定します。残りの引数はすべて$*で表します。引数の指定方法についての詳細は,『共通デスクトップ環境: 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド』の第9章および第10章を参照してください。

[アクション作成]には,引数指定に関して次のような制約があります。

  • 対応する引数を指定しないとプロンプト用文字列がサポートされません。

  • [拡張機能]オプションの[アクションを開く時にユーザに尋ねる内容] フィールドを使用すれば,一番目の引数にだけプロンプト用文字列を入力することができます。

  • 引数のデータ型を指定する方法はありません。

  • アクションにCWDキーワードを組み込んで,デフォルトのディレクトリを設定することはできません。

引数を指定する場合は,必ず正しい引数型を使用してください。デフォルトではプロンプト用引数 (構文: %"prompt string"%)の型は String で,明示的に指定した引数 (構文: %Arg_n["optional prompt string"]%) の型はFileです。デフォルトの引数の型を使用したくない場合は,次のように指定して別の型を指定することもできます。

%(File)"prompt string"% 
%(String)Arg_1% 

%Args% キーワードは%Arg_n% キーワードに類似していますが,全引数を空白で区切ったリストがアクションに渡される点が異なります。いずれのキーワードが適切であるかは,各自のDCLコマンドに応じて異なります。

4.1.3 アクション作成の概要

『共通デスクトップ環境: 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド』の第9章の説明のように,アクション作成は次の処理を実行します。

  • コマンドを実行するアクション定義の作成。

  • disk$:([user.DT.TYPES]action-name.DT ファイルの作成。このファイルには,アプリケーション用に作成されたアクションおよびデータ型の定義が格納されます。

  • ユーザのホーム・ディレクトリにアクション・ファイルを作成します。アクション・ファイルはアクションと同名の実行可能ファイルです。
    ファイル・マネージャでは,アクション・ファイルはアプリケーションのアイコンとして表されます。このアプリケーションのアイコンをダブルクリックすると,アプリケーションが起動します。
    アクションを作成する際は,そのアイコンにドロップできるデータ型を指定することによって,アクションのアイコンのドロップ・ゾーンを作成することができます(オプション)。

  • アプリケーションのデータ・ファイル用に1つ以上のデータ型を作成 (オプション)。

  • データ型ごとに[開く]アクションを作成。

  • データ型ごとに[印刷]アクションを作成(オプション)。

  • アクションのデータベースとデータ型のロード。これによりアクションとデータ型が直ちに有効になります。



4.1.4 アクション作成を使用したアプリケーションの統合

アプリケーション・マネージャの [デスクトップツール]アプリケーション・グループから, [アクション作成]アプリケーションを起動することができます。 図 4-1 は,アクション作成アプリケーションのメイン・ウィンドウです。

図 4-1 アクション作成のメイン・ウィンドウ


アクション作成のメイン・ウィンドウの左下にある [拡張機能]オプションを選択すると,追加のフィールドが表示されます。これらの追加フィールドは, 図 4-2 に示されています。 表 4-1 に,アクション作成のメイン・ウィンドウと [拡張機能] ウィンドウの各フィールドについての説明をまとめています。

表 4-1 アクション作成フィールド
フィールド名 用途
基本機能のフィールド
アクション名(アイコン・ラベル): これは,アプリケーションのアイコンの隣に表示されるアイコン名です。
アクション・アイコン: このアイコンでアプリケーションを表します。 [アイコンセット検索] を使用すると, New Desktop に組み込まれているアイコン集からアイコンを選択することができます。また,[アイコン編集]を使用すれば,既存のアイコンを変更したり,アイコンを新規作成することができます。
アイコンを開いた(ダブルクリックした)場合のコマンド: アクセスしたいアプリケーション名で,これには1つ以上のファイル引数を演算子として指定することができます。引数は $ filename という形式で指定しなければなりません。例: DIFF $1 $2
アクション・アイコンのヘルプ・テキスト: このヘルプがアクション・アイコンのアイテムヘルプになります。テキストは,テキスト・フィールドで自動的に改行されます。行を空白,バックスラッシュ(\), [Return]キーで終了すると行が続くことを特に指定できます。バックスラッシュがない場合は次行以降の行は表示されません。
ウィンドウタイプ: ここでは,アプリケーションが必要とするウィンドウ関連のサポートを選択します。 3つのウィンドウ・タイプまたはウィンドウなしのいずれかを選択することができます。
拡張機能 アプリケーションがデータ・ファイルを使用し,データ・ファイル用に1つ以上のデータ型を作成したい場合は,このフィールドを選択します。アクション作成ウィンドウが拡大して,拡張機能フィールドが追加されて表示されます。
拡張機能フィールド
アクションを開く時にユーザに尋ねる内容: アプリケーションのコマンド行が必要なファイル引数,あるいは任意のファイル引数を持つ場合に,プロンプトを表示します。持たない場合は空白のままとなります。
このアクションに使用するデータ型: アクションに任意のデータ型を使用できる場合は, [すべてのデータ型] を選択します。既存のデータ型を変更したり,データ型を新規作成したい場合は, [上記リストのみ]を選択してから [追加] を選択します。 (最初,[このアクションに使用するデータ型:]のボックス内は空白です。) [追加]を選択すると, [データ型を追加] ダイアログ・ボックスが表示されます。

図 4-2 アクション作成の拡張機能を表示したメイン・ウィンドウ




アクション作成アプリケーションには,既存のデータ型の変更や新規作成のための [データ型の追加] ダイアログ・ボックスがあります。 図 4-3 は [データ型の追加] ダイアログ・ボックスで,各フィールドの説明は 表 4-2 にまとめてあります。

図 4-3 「データ型の追加」ダイアログ・ボックス


表 4-2 アクション作成の [データ型の追加]ダイアログ・ボックス
フィールド 用途
データ型ファミリ名: 既存のデータ型を同じ名前のまま変更したい場合は,このフィールドを空欄にします。新しいデータ型を作成したい場合は,データ型名を入力します。 (名前には空白を挿入しないようにしてください。名前はアプリケーションのユーザには見えず,アクションとデータ型のデータベースで,データ型定義の識別に使用されます。)
識別する特性: [識別する特性]ダイアログ・ボックスを表示させるには, [アイコン編集]ボタンをクリックします。
データ型アイコンのヘルプテキスト: このヘルプがアクション・アイコンのアイテムヘルプになります。
データ型アイコン: [アイコンセット検索...]で, New Desktop に組み込まれているアイコン集からアイコンを選択することができます。また [アイコン編集] を使用すれば,既存のアイコンを変更したり,アイコンを新規作成することができます。
データ型を開くコマンド: このコマンドは,[アイコンを開いた(ダブルクリックした)場合のコマンド]と同じもので,このフィールドに表示されます。
データ型を印刷するコマンド: アプリケーションのデータ型に合った [印刷ダイアログ] のコマンド行を入力してください。

2つ目のプロンプト [識別する特性]に[アイコンの編集...]ボタンをクリックすると, 図 4-4 のような [識別する特性]ダイアログ・ボックスが現れます。 表 4-3 は,このダイアログ・ボックスの各フィールドについての説明をまとめたものです。

[データ型の追加] ダイアログ・ボックスの[識別する特性]フィールドに,データ型の特性が次のコードで表示されます。

  • d --- ディレクトリ

  • r --- 読み取り可

  • w --- 書き込み可

  • ! --- 論理演算子NOT

  • & --- 論理演算子 AND

図 4-4 [識別する特性]ダイアログ・ボックス


表 4-3 アクション作成: [識別する特性]ダイアログ・ボックス
フィールド 用途
ファイル,フォルダ: このデータ型は,ファイルやフォルダのどちらか一方にしか適用できません。
ファイル名のパターン: ファイル名に基づいたデータ型。
アクセス権のパターン: アクセス権の読み込み,書き込み,実行または削除。これらのアクセス権の[どちらでも可]オプションは,アクセス権があってもなくても無関係ということです。アクセス権のテストはOpenVMSアクセス制御リスト(ACL) を認識しません。
内容: 検索パターン,内容の型やファイル中のオプションの開始点。表示を変更または更新すると,この機能によって性能が大幅に劣化することがありますので注意してください。


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