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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第1章:New Desktopの概要
第2章:New Desktopの使用方法
第3章:New Desktopの管理
第4章:アプリケーションの統合
第5章: プログラミング・リソース
付録A :New DesktopとCDEとの違い
付録B :複数画面のサポート
付録C :CDEのAPIルーチン
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New Desktop 使用概説書

New Desktop 使用概説書


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第 5 章
New Desktop のプログラミング・リソース

DECwindows Motif for OpenVMS Alphaでは, DECwindows Motif for OpenVMS VAX のプログラミング・リソースに加えて, New Desktop のプログラミング・リソースが用意されています。これらのリソースには, CDE APIおよび統合サービスのサブセット,追加のCDEリソースが含まれます。

本章では,次の事項について説明します。



5.1 New Desktop がサポートする標準

New Desktop は次の標準をサポートします。

  • CDE Motif 1.0ツールキット(OSF/Motif リリース 1.2.5)
    New Desktop では, CDE Motif 1.0,OSF/Motifバージョン 1.1.3, XUI 用の各ツールキットの実行時サポートを提供します。以上のツールキットで構築されたDECwindowsアプリケーションは, New Desktop 環境で稼動します。

  • X11 R5

  • UILコンパイラ
    UIL コンパイラはサポートされていますが, CDEアプリケーションは UIL を使用しません。したがって, .uid ファイルは CDEアプリケーションのどれとも関連性がありません。

  • Motifのリソース・マネージャ (Mrm)

  • ICCCM (Inter-Cliebt Communication Convention Manual)

  • CDEプログラミング・ライブラリ (本書の 第 5.2 節 を参照)



5.2 APIサービスおよびアプリケーション統合サービス

表 5-1 は, New Desktop で利用できる CDEアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API) およびCDEアプリケーション統合サービスのサブセットをまとめたものです。これらは,次の共有可能ライブラリ(論理名 SYS$LIBRARY で定義される)に含まれています。

  • CDE$LIBDTSVC.EXE

  • CDE$LIBDTHELP.EXE

  • CDE$LIBDTWIDGET.EXE

また,対応するヘッダ・ファイルについても 表 5-1 で説明しています。 CDE APIの全ルーチンについては, 付録 C を参照してください。 New Desktop ではほとんどのCDE APIルーチンをサポートしていますが,いくつかのものはサポートしていません。サポートされていないものについては注意書きがあります。

これらの新規APIサービスおよびアプリケーション統合サービスに加え, DECwindows Motif の全APIサービスと全アプリケーション統合サービスも New Desktop で利用できます。

表 5-1 New DesktopのCDE APIサービスおよびアプリケーション統合サービス
サービスの種類 説明
CDE$LIBDTSVC.EXE デスクトップ・サービス
便利なドラッグ・ドロップ形式のAPI OSF/Motif R1.2のドラッグ・ドロップ・サービスの上位にある便利な機能。これらの機能は OSF/Motif R1.2のドラッグ・ドロップ・サービスを簡素化したもので,内容には変更ありません。
アクション刷新 API アクションデータベースおよびデータ型定義データベースの初期化とロード,アクション・データベースの問い合わせ,アクションの起動,アクションのステータス情報を受け取って引数を返すためのコールバックの登録に利用します。
セッション・マネージャAPI(dtsession) このサービスには保存および復元機能が含まれます。
ワークスペース・マネージャAPI (dtwm) 1 ワークスペース情報の取得,現在のワークスペースの設定など。
ヘッダ・ファイル 2 Action.h ,Dnd.h,Dts.h,Dt.h,Saver.h,Session.h,Wsm.h
詳細は,『共通デスクトップ環境: プログラマーズ・ガイド』を参照してください。
CDE$LIBDTHELP.EXE ヘルプ・ウィジェットのサポート
DtHelpDialog メニュー・バー,トピック・ツリー,ヘルプ・トピック表示領域を含む一般ヘルプ・ダイアログ。
DtHelpQuickDialog トピック表示領域および1つ以上のダイアログ・ボタンを最下部に持つクイック・ヘルプ・ダイアログ。
ヘッダ・ファイル 2 Help.h,HelpQuickD.h,HelpDialog.h
詳細は,『共通デスクトップ環境: プログラマーズ・ガイド(ヘルプ・システム編)』を参照してください。
CDE$LIBDTWIDGET.EXE カスタム・ウィジェット
DtSpinBox 数値またはテキスト値を増減できるコントロール内の矢印ボタンとテキスト・フィールドとを結合します。
DtComboBox テキスト・フィールド用の1つ以上の有効な選択肢を表示するコントロール内のリスト・ボックスとテキスト・フィールドとを結合します。
DtMenuButton メニュー・バーの外にメニューのカスケード化を行う機能です。
DtEditor シンプルなテキスト・エディタの機能を組み込みます。
ヘッダ・ファイル 2 Spinbox.h,ComboBox.h,MenuButton.H,Editor.h
詳細は,『共通デスクトップ環境: プログラマーズ・ガイド』を参照してください。

1 一部の機能はサポートされていません。
2 DECW$INCLUDE:にあります。

表 5-2 は, New Desktop に組み込まれていないCDE APIサービス,アプリケーション統合サービス,ツールをまとめたものです。

表 5-2 組み込まれていないCDE API,アプリケーション統合サービス
CDE構成要素 名称
アプリケーション・ビルダ dtappbuilder
カレンダ・マネージャAPI libcsa
メッセージ交換サービス (ToolTalk) libtt
多目的インターネットメール拡張機能 (MIME) サポート libdtmail
漢字端末エミュレータAPI libdtterm
ウィンドウ対応 Korn シェル dtksh

以上の各ルーチンのアプリケーションでの使用例については, 第 5.10 節 に説明のサンプル・プログラムを参照してください。

5.3 保存および復元機能

New Desktop には,セッションの保存および復元ユーティリティ機能が備わっています。この機能がご利用のアプリケーションに組み込まれている場合は,アプリケーションの状態がセッション・マネージャ終了時に保存され,セッションの再起動時に復元されます。

XmAddWMProtocol() 関数を使用して,アプリケーションの最上位用WM_PROTOCOLS 特性に WM_SAVE_YOURSELF アトムを設定してください。 DECW$UTILSディレクトリにあるxpropユーティリティ・プログラムを使用して,ウィンドウの特性を表示することができます。

XmAddWMProtocolCallback() 関数を使用して,アプリケーションが WM_SAVE_YOURSELF クライアント・メッセージを受信したときのコールバック・プロシージャを宣言します。セッション・マネージャがクライアントの WM_SAVE_YOURSELF メッセージをアプリケーションに送ると,このコールバック関数が呼び出されます。

アプリケーションは,保存および復元処理中はユーザと対話するべきではありません。たとえば,保存および復元処理中は,ダイアログ・ボックスは表示するべきではありません。

SESSION.Cサンプル・プログラムが目安として提供されています。このサンプル・プログラムは,切り替えボタン付きのメイン・ウィンドウを作成し,保存および復元ルーチンの実行中にボタンの状態を保存します。

サンプル・プログラムは次のディレクトリにあります。

CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[EXAMPLES.DTSESSION] 

サンプル・プログラムが入ったディレクトリに関する一般的な説明は, 第 5.10 節 を参照してください。

5.4 アクション作成アプリケーション

アプリケーションを New Desktop から起動するためには,アプリケーション構成ファイルをいくつか作成してインストールしておかなければなりません。ほとんどのアプリケーションの構成ファイルは,アクション作成アプリケーションで作成およびインストールすることができます。アクション作成アプリケーションはこれらのファイルの作成処理を自動化するもので,アプリケーション・マネージャ内の [デスクトップツール] アプリケーション・グループから起動することができます。

アクション作成についての詳細は,本書の 第 4.1 節 を参照してください。

5.5 サポートされているファイル型

New Desktop には,事前に構成されたアイコンと関連アクションが付いたファイル型のセットが用意されています。これらのアイコンとアクションは,アクション作成,アクション・データベース,実行管理ツールを使用して変更することができます。

ファイル型の例として,実行可能ファイル(拡張子.EXE付き)あるいはデータ・ファイル(拡張子.TXT付き)があります。アクションの例としては,ファイルが実行可能型の場合,ファイルの実行や,ファイルがデータ・ファイルの場合の 印刷 または編集するための開くがあります。

5.6 CDE標準フォント

CDEは,アプリケーション用とインタフェース用の 2種類の標準フォントを定義します。アプリケーション・データにはアプリケーション用フォントを, Motifウィジェットにはインタフェース用フォントを使用します。

New Desktop に組み込まれているCDE標準アプリケーション用フォントは,あらゆるCDEプラットフォームで使用できる汎用フォントです。これらのフォントは,ふつうX フォント別名メカニズムによって,各CDEプラットフォーム上で別々のフォントにマッピングされます。これらのリソース用のフォントはAPP-DEFAULTSファイルに指定します。

CDE標準インタフェース用フォントは, Motifウィジェットでアプリケーション開発がしやすいように,アプリケーションのウィンドウが他のCDEデスクトップのクライアント・ウィンドウと同様の外観で,ユーザがスタイル・マネージャを利用してこれらのフォントのサイズを自由に変更できるようになっています。 Motifフォント・リストのリソース仕様を変更することによって,組み込まれているフォントを無効にする場合は,ユーザがそのアプリケーションのフォントをカスタマイズできるような追加機能を用意する必要があります。

以上のガイドラインを守ることによって,アプリケーションはあらゆるCDE プラットフォームに適切なフォントを提供します。詳細は,『共通デスクトップ環境: プログラマ概要』および『共通デスクトップ環境: プログラマーズ・ガイド』を参照してください。

5.7 ヘルプのプログラミング

New Desktop のヘルプ・システムは,アプリケーションのオンライン・ヘルプの開発および表示を実現する完全なシステムです。本節では,ヘルプ開発用に用意されているプロセスやツールについて簡単に説明しています。 OpenVMS独特の特徴については,この節で完全に説明しています。ヘルプ開発プロセス,SGML マークアップ言語,ヘルプ記述タスク,プログラミング・タスクについての詳細は,『共通デスクトップ環境: プログラマーズ・ガイド(ヘルプ・システム編)』を参照してください。

次の New Desktop プログラミング構成要素が,ヘルプの開発用に用意されています。

  • ヘルプ・コンパイラ・インタフェース (DTHELPTAG.COM)

  • ヘルプ・ユーティリティ機能 (CDE$LIBDTHELP.EXE)

  • ヘルプ・タグの使用例



5.7.1 ヘルプ開発用プロセス

オンライン・ヘルプはファイル拡張子 .HTG 付きのテキスト・ファイルに記述されます。 HelpTag という名前のSGMLマークアップ言語を使用して,テキストの各要素のフォーマット方法を指定します。

HelpTagは,見出し,段落,リストなどの要素のフォーマットを指定するタグ集です。ヘルプ・テキストを作成し,そのテキストの要素に適切なタグでラベルを付けた後, DTHELPTAG.COMコマンド・プロシージャでこれらのタグ付きファイルを処理します。 DTHELPTAG.COMコマンド・プロシージャはヘルプ・ビューアで表示させることができる実行時ヘルプ・ファイル(拡張子 .SDL)を生成します。

略式 SGML と正式SGMLの2種類のスタイルのSGMLが用意されており,どちらもHelpTag マークアップ言語と共に使用できます。略式スタイルの方が簡単かつ迅速にコード化できます。

5.7.2 ヘルプ・コンパイラ・インタフェース

ヘルプ・コンパイラ・インタフェースは, DTHELPTAG.COMから起動する3つの実行可能ファイルで構成されます。これらの実行可能ファイルについては 表 5-3 で説明していますが, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[BIN] ディレクトリに入っており,このディレクトリはCDE$PATH 論理名で参照されます。

表 5-3 DTHELPTAG.COM 実行可能ファイル
ファイル名 用途
DTHELP_CTAG1.EXE 正式SGMLによるヘルプ・トピック用のパーサ
DTHELP_HTAG1.EXE 略式SGMLによるヘルプ・トピック用のパーサ
DTHELP_HTAG2.EXE 上記のどちらか1方のパーサ実行後に分散ファイル拡張のために実行します。

DTHELPTAG.COMの主な機能は,ヘルプのソース・ファイルをコンパイルすることです。 DTHELPTAG.COM は次のタスクにも使用できます。

  • DTHELPTAG.COMが生成する全中間ファイルの削除。

  • ヘルプ・ボリュームに関連する全ファイルのリストアップ。

DTHELPTAG.COMはUNIX版dthelptag シェル・スクリプトから移植されたものです。 DTHELPTAG.COMは,そのUNIX版に組み込まれているファイル圧縮・解凍以外の全機能をサポートします。

5.7.3 DTHELPTAG.COM のフォーマットとオプション

DTHELPTAG.COMのフォーマットは次のとおりです。

  @CDE$PATH:DTHELPTAG [option] filename

ここで filenameには,入力するヘルプのソース・ファイル名を指定します。

DTHELPTAG.COMオプションは先頭にハイフン (-) を付ける必要がありますが,各オプションについては 表 5-4 で説明しています。

表 5-4 DTHELPTAG.COMのオプション
オプション 用途
-formal 正式SGMLによるヘルプ・トピックに使用するパーサを指定します。 -formal を指定しない場合,略式 SGMLのヘルプ・トピック用のパーサが使用されます。
-nooptimize HelpTagマークアップの実行時フォーマットへの変換中に通常発生する,一部の最適化をオフにします。このオプションを使用すると変換プロセスの時間が短縮されます。
-memo ヘルプ・ファイルの作者のメモ書きをメモ・タグ (<memo>) を付けてファイルに挿入します。
-debug 中間ファイルを保存します。保存しない場合は削除されます。
-clean 特定のヘルプ・ボリューム用にDTHELPTAG.COMにより生成されたファイルをすべて削除します。
-files 特定のヘルプ・ファイルに関連するすべてのファイルを一覧表示します。表示されるファイルには, DTHELPTAG.COMコマンド・プロシージャ実行中に生成された中間ファイルと,ヘルプ・ファイルに組み込まれるグラフィック・ファイルも含まれます。
-help DTHELPTAG.COM用のコマンド行ヘルプを呼び出します。


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