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HP OpenVMS: システム管理者マニュアル (下巻)

第11章 InfoServer システムの管理

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OpenVMSドキュメント・ライブラリ

目次
まえがき
第1章:システムパラメータの管理
第2章:ページファイル/スワップファイル/ダンプファイルの管理
第3章:性能の管理
第4章:ファイルシステムのデータキャッシュの管理
第5章:UETPによるシステムのテスト
第6章:システムに関する情報の入手
第7章:リソース使用状況の調査
第8章:クラスタの管理
第9章:ネットワーク
第10章:LANの管理
第11章:InfoServerの管理
第12章:LATの管理
第13章:特殊処理環境の管理
第14章:DECdtmサービスの管理
付録A:Files-11ディスク構造
付録B:時差係数表
付録C:タイムゾーン
用語集
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この章では,InfoServer の機能とInfoServer Client for OpenVMS ソフトウェアについて説明します。 このソフトウェアは OpenVMS システムが InfoServer デバイス・サービスを利用できるようにするためのものです。 また,この章では,システム上でこのクライアント・ソフトウェアを起動し,InfoServer を公用デバイスとして使用するための作業についても説明します。

この章では次の作業について説明します。

作業

参照箇所

サーバ管理セッションの開始

11.3 項 「サーバ管理セッションの開始」

InfoServer Client for OpenVMS の自動起動

11.5.3 項 「InfoServer Client for OpenVMS の自動起動」

InfoServer デバイスを自動的に使用可能にする方法

11.6.3 項 「InfoServer デバイスを自動的に使用可能にする方法」

さらに,次の項目について説明します。

11.1 InfoServer の機能について

InfoServer システムは仮想デバイス・サーバです。 ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) 上のクライアント・システムは,これにより,コンパクト・ディスク,読み書き可能ディスク,光磁気 (MO) デバイス,およびテープを利用することができます。 InfoServer クライアント・ソフトウェアを実行しているシステムであれば,InfoServer システムが提供する仮想デバイスに接続して,ローカルに接続されたデバイスであるかのようにそれらを使用することができます。

ファイル・サーバと異なり,InfoServer システムは,仮想デバイス上のファイル・システムを意識しません。 つまり,InfoServer システムでは,どのようなオンディスク構造を持つディスクでも利用できるということです。 クライアント・システム自体がオンディスク構造を解釈し,各クライアントは独自のファイル・システムを使用してデータにアクセスすることができます。 1 つの InfoServer システムで,複数のオンディスク構造を同時にサポートし,同時にアクセスすることができます。

InfoServer システムの機能を次に示します。

  • コンパクト・ディスクを使用できるようにする

    InfoServer システムでは,サーバのブート時,またはコンパクト・ディスクが InfoServer のドライブに挿入されたときに,自動的にコンパクト・ディスクが使用できるようになる。 このとき,そのボリューム・ラベルをサービス名として使用する。 システム管理者が特別な処置を行う必要はない。 クライアント・システムがコンパクト・ディスクにバインドし,それをボリューム・ラベルのもとでマウントする。

    InfoServer システムでは,OpenVMS クライアントは ODS-2 形式のコンパクト・ディスクを自動的に使用できるようになっている。 High Sierra および ISO-9660 形式のコンパクト・ディスク,およびその他のタイプの媒体は,InfoServer の管理インタフェースを使って手動で認識させることができる。

  • SCSI テープを使用できるようにする

    InfoServer システムでは,サービス名を使用して,ネットワークで SCSI テープ・デバイスを使用することができる。 クライアント・システムはこれらのテープ・デバイスに接続し,ローカルにデバイスとして使用することができる。

  • 読み書き可能ディスク・パーティションを提供する

    パーティションとは,InfoServer 読み書き可能ディスクの論理サブセットである。 1 つのディスクをいくつかのパーティションに分割し,それぞれを個別にネットワークで使用することができる。 リモート・クライアント・システム側からは,各パーティションが1 つのディスクとみなされる。 たとえば,InfoServer Client for OpenVMS を使用しているクライアント・システムは,ローカル・ハード・ディスクと同様にパーティションにアクセスし使用することができる。

  • OpenVMS システムの初期ロード・システムとして機能する

    InfoServer システムは,保守操作プロトコル (MOP) 要求に応答することにより,1 次ブートストラップ・プログラムを OpenVMS システムにダウンライン・ロードすることができる。 サーバは,MOP ダウンライン・ロード・ファイルを OpenVMS ソフトウェア・ディストリビューション・コンパクト・ディスク上で探すことができ,InfoServer 形式でフォーマットされた読み書き可能ディスク上の一時 MOP パーティションにコピーする。

    初期システム・ロード (ISL) ブートストラップ・プログラムは,ソフトウェア・ディストリビューション・コンパクト・ディスクに接続し,スタンドアロン BACKUP をブートする。 次に BACKUP ユーティリティにより,OpenVMS オペレーティング・システムのセーブ・セットがコンパクト・ディスクからシステムに接続されている読み書き可能ディスクにコピーされる。 以降の OpenVMS のブートはすべてこのローカルの読み書き可能ディスクから行われる。

    初期システム・ロード (ISL) は,I64 システムではサポートされていない。 I64 コンソールは,保守操作プロトコル (MOP) をサポートしていない。 ISL をサポートする代替の手段が,将来のリリースの OpenVMS に追加される。 I64 での初期ロードは,既存の InfoServer ハードウェアからはサポートされない。

  • その他の製品のダウンライン・ロード

    InfoServer システムを使用して,任意のイーサネット製品をファイル名でロードすることができる。 すなわち,サーバは必要なファイルを見つけるために,ネットワーク制御プログラム (NCP) データベース・エントリを必要としない。 たとえば,X ターミナル・クライアントは,InfoServer システムを使用して,システム・ソフトウェアをダウンライン・ロードする。 特殊な MOP パーティションを作成し,必要なファイルをそのパーティションにコピーすることができる。 また,サーバは,イーサネット・アドレスによるサービスのダウンライン・ロードをサポートする。 各 InfoServer システムは,それぞれ最高 100 種類のダウンライン・ロードを同時に処理することができる。 これは,ロードする時にプロセスを起動しなければならないホスト・ベースのダウンライン・ローダよりも効率的である。

図 11-1 「InfoServer システムによるクライアントへのサービスの提供」 に,InfoServer システムとクライアント・システムとの関係を示します。 この図では,サーバに接続されている 2 つのコンパクト・ディスクと 2 つのハード・ディスクがクライアント・システムからはローカル・デバイスとして認識されています。 VAX システムと RISC ワークステーションは,ソフトウェアの配布とオンライン・ドキュメンテーション用に 1 つまたは 2 つのコンパクト・ディスクを使用し,一方 PC は,InfoServer システム上のディスク・パーティションを参照することができます。 また,X ターミナルは InfoServer システムからブートし,ページ・ファイル,フォント・ファイル,カスタマイズ・ファイル用に InfoServer ディスクを使用します。

図 11-1 InfoServer システムによるクライアントへのサービスの提供

InfoServer システムによるクライアントへのサービスの提供

InfoServer システムは,イーサネット LAN に接続してシステムをオンにすれば使用することができます。 サーバが初期化 (ブートストラップ) されると,サーバ・ソフトウェアにより,クライアント・システムは接続されたデバイス媒体を自動的に使用できるようになります。 このことをサーバ・ソフトウェアによる サーブといいます。 サーバのドライブにコンパクト・ディスクを挿入すると,サーバが新しいデバイスを検出して,ボリューム・ラベルをサービス名として使用することにより,クライアント・システムにこの新しいデバイスを自動的にサーブします。

サーバは,あらかじめ InfoServer ソフトウェアがインストールされている内部読み書き可能デバイスからブートストラップします。 InfoServer ソフトウェアの更新内容は,コンパクト・ディスクで配布されます。 更新用コンパクト・ディスクを入手したら,以降のブート用に新しいソフトウェアを内部デバイスにインストールします。 InfoServer ソフトウェアをコンパクト・ディスクから更新するには,次の手順に従います。

  1. InfoServer に接続されたコンパクト・ディスク・ドライブにディスクを挿入する。

  2. InfoServer ソフトウェアを内部読み書き可能デバイスに移す。 InfoServer プロンプトに対して,次の形式でコマンドを入力する。 ただし n はドライブ番号である。

    InfoServer 100 または InfoServer 150 システムの場合。

    InfoServer> UPDATE SYSTEM DKn:
    

    InfoServer 1000 システムの場合。

    InfoServer> UPDATE SYSTEM DKn: FLASH
    

    次に InfoServer システムをブートするときには,更新されたソフトウェアが実行されます。

InfoServer ソフトウェアを更新するには,Software Products Library (以前は ConDIST と呼んでいました) を使用します。 InfoServer システムにログインした後,次の手順を実行してください。

  1. [INFOSERVxxx] ディレクトリ構造を格納したディスクを,InfoServer システムに接続されたコンパクト・ディスク・ドライブに挿入する。

  2. InfoServer> プロンプトに対して,次の形式でコマンドを入力する。 ただし,n はドライブ番号である。

    • InfoServer 100 または InfoServer 150 システムの場合は,次の形式でコマンドを入力する。

      UPDATE SYSTEM DKn:

    • InfoServer 1000 システムの場合は,次の形式でコマンドを入力する。

      UPDATE SYSTEM DKn: FLASH

    これらのコマンドは,InfoServer ソフトウェアを内蔵の読み込み/書き込みデバイスに移動させる。 次回 InfoServer システムをブートすると,更新されたソフトウェアが実行される。 また,Software Products Library ディスクからサーバをブートすることもできる。

サーバの機能をカスタマイズしたい場合は,サーバにログインし,サーバの各種コマンドを入力することにより,InfoServer の機能を制御することができます。 詳細は『InfoServer System Operations Guide』を参照してください。

11.1.1 複数のサーバの自動サービスについて

InfoServer システムは,サーバの電源が最初に投入されたとき,あるいは取り外し可能デバイス (コンパクト・ディスクなど) がドライブに挿入されたときに,ローカルに接続されたデバイスをクライアントに自動的にサーブします。 サーバは各デバイスのボリューム・ラベルを読み取って,そのラベルをクライアントに提供するサービスの名前として使用します。

注意:

自動サービス機能は,InfoServer コマンド SET SERVER AUTOMOUNT を使用して使用禁止にすることができます。

複数のサーバが同じサービスを提供している場合,クライアントはレーティング方式に従って適切なサービスを選択します。 詳細は『InfoServer System Operations Guide』のCREATE SERVICE コマンドの説明を参照してください。

コンパクト・ディスクをサーバのディスク・ドライブから取り出すと,InfoServer システムは,クライアントから関連するサービスへのすべての接続を切断します。 また,クライアント・システムへの関連するサービスの提供も停止します。

11.1.2 サービスの中断を少なくする高可用性機能

InfoServer システムには,OpenVMS クライアントに特に有用な可用性の高い機能があります。 サーバが何らかの理由で (サーバがリブートされた場合やユーザがコンパクト・ディスクを取り出した場合など) サービス接続を切断した場合,OpenVMS クライアントは,そのボリュームに対してマウント・チェックを行います。 同じサービスが LAN 上の別の InfoServer システムで提供されている場合,そのクライアントは自動的にそのサービスに接続します。

たとえば,2 つのサーバ上のそれぞれのドライブに同じ OpenVMS オンライン・ドキュメンテーションが格納されたコンパクト・ディスクが装着されている場合を考えてください。 1 つのサーバまたはドライブが故障した場合は,もう 1 つのサーバ上のディスクへの接続が新たに確立されます。 これにより,ファイル操作は正常に続けられ,ユーザはサービスの中断をほとんど意識しないですみます。

11.1.3 X ターミナル・クライアントのサポート

X ターミナル・クライアントは,InfoServer システムを使用して,システム・ソフトウェアのダウンロード,フォント・サービスの準備,構成情報の保存,InfoServer ディスクとの間でのメモリのページ処理を行います。 たとえば,弊社の VXT 2000 ウィンドウ・ターミナル用システム・ファイルは,InfoServer システム上のコンパクト・ディスクからインストールすることができます。 これらのファイルをインストールしておくと,各ターミナルに電源が投入されたとき,要求があるとすぐにダウンライン・ロードされます。

このターミナルでは必要に応じて,InfoServer ディスク上に動的にパーティションを割り当てることができます。 たとえば,ユーザがターミナルのカスタマイズ情報を保存するよう要求すると,InfoServer システムにより自動的にディスク・パーティションが作成され,その情報を格納し,さらにそのパーティションにネットワーク・サービス名が付けられます。 カスタマイズ情報が保存されると,ユーザはいつでもその情報を呼び出すことができます。

InfoServer クライアントである VXT 2000 ターミナルは,仮想メモリ・マシンとして機能することもできます。 このようなターミナルでは,必要に応じてメイン・メモリのセクションを InfoServer ディスクとの間でページングすることができます。 VXT クライアントにはローカル・ディスクがないため,InfoServer ディスクがページ・ディスクとして使用されます。 メイン・メモリがディスクにページ・アウトされると,VXT クライアントはパーティションを作成するよう InfoServer システムに要求します。 このパーティションは必要に応じて自動的に拡張されます。 パーティションとそのネットワーク・サービス名は動的に作成されます。 このとき,ユーザによる処置は必要ありません。

省略時の設定では,InfoServer ディスク DK1 (各 InfoServer 150 システムとともに出荷される内部ディスク) に対して,VXT 2000 クライアントがパーティションを遠隔割り当てできるようになっています。 InfoServer のコマンドを使用すれば,他のディスクも使用することができます。

11.2 LASTport プロトコルについて

InfoServer システムは,LASTport トランスポート・プロトコルと LASTport/Disk および LASTport/Tape というシステム・アプリケーション・プロトコルを使用して,LAN 上で仮想デバイスを利用できるようにします。 これらのプロトコルにより,ディスクやテープ・デバイスへの高性能のアクセスを行うことができます。 InfoServer システムは,このプロトコルのサーバ部分を実装し,InfoServer の記憶デバイスにアクセスするクライアント・システムがクライアント部分を実装します。

LASTport トランスポートを実行する OpenVMS システムでは,イーサネット・デバイスはすべて,デバイスをアクティブなネットワークに接続するか,または適切なターミネータを使ってターミネートさせる必要があります。 デバイスが適切にターミネートされていないと,システムがクラッシュします。

11.2.1 LASTport トランスポート・プロトコル

LASTport プロトコルは,多くのクライアントが InfoServer システムにアクセスし,信頼のおけるトランザクションを実行できるようにする,特殊な LAN トランスポート・プロトコルです。 InfoServer システムの場合,トランザクションとはデバイスの読み込み操作または書き込み操作を意味します。 LASTport プロトコルにより,多くのクライアント・システムは,同時に InfoServer の記憶デバイスとの間で情報の読み込みと書き込みを行うことができます。

LASTport プロトコルは,タイマ・ベースのプロトコルではなく,トランザクション指向のプロトコルです。 通常,クライアントがトランザクションを開始しない限り,クライアントと InfoServer システムとの間で情報の受け渡しは行われません。 クライアント・システムはトランザクションの起動と同時にタイマを実行します。 通常,2 秒から 5 秒たつと,そのトランザクションが失われたとみなし,トランザクションを再度実行します。

LASTport プロトコルにはルーティング機能はなく,LAN 内でのみ実行されます。 LASTport プロトコルのタイプは 80–41 です。 拡張 LAN が何らかのフィルタリング・デバイスを使用する場合は,このプロトコル・タイプにフィルタリングを行わないようにして,クライアントがフィルタリング・デバイスを通して InfoServer にアクセスできるようにする必要があります。

InfoServer システムは,LASTport プロトコルのマルチキャスト・アドレス機能を使用してデバイスとの接続を確立します。 マルチキャスト・アドレスの形式は 09–00–2B–04–nn–nn (nn は使用可能になっている作業グループによって決まる) です (『InfoServer System Operations Guide』を参照)。

11.2.2 LASTport/Disk プロトコル

LASTport/Disk プロトコルは,LASTport トランスポートを使用する特別なデバイス・プロトコルです。 すなわち,LASTport/Disk メッセージは LASTport メッセージ内に表示されます。 LASTport/Disk プロトコルには,基礎となるどのファイル・システムからも独立して論理ブロックの読み込みと書き込みを行うためのメカニズムがあります。 LASTport/Disk プロトコルを実装したクライアントは,ローカルでファイル・システムを解釈します。 LASTport/Disk プロトコルを使用してコンパクト・ディスクと読み書き可能ディスクへアクセスすると,InfoServer システムは複数のクライアントのオペレーティング・システムとオンディスク構造を同時にサポートすることができます。

LASTport/Disk プロトコルには,コンパクト・ディスクと読み書き可能ディスクにアクセスするための命名機能もあります。 InfoServer システムは,各仮想ディスクにサービス名を割り当て,クライアントがそれらの名前で LAN を照会できるようにするします。 要求されたサービスが見つかると,クライアントはそのサービスに接続し,デバイス・アクセスを開始します。 同じサービス名で同じ仮想ディスクを使用できる場合に,使用可能なデバイス間で負荷分散を行う機能もあります。

11.2.3 LASTport/Tape プロトコル

LASTport/Disk プロトコルと同様,LASTport/Tape プロトコルも LASTport トランスポートを使用します。 すなわち,LASTport/Tape メッセージは LASTport メッセージ内に表示されます。 LASTport/Tape プロトコルには,テープ・レコードの読み込みと書き込みを行うメカニズムがあります。 InfoServer システムに接続されたテープ・デバイスは,テープ・クライアントではローカルに接続されているデバイスとして認識されます。

LASTport/Tape プロトコルには,テープにアクセスするための命名機能もあります。 InfoServer システムは各テープ・デバイスにサービス名を割り当て,クライアントがその名前で LAN を照会できるようにします。 要求されたサービスが見つかると,クライアントはそのサービスに接続し,テープ・アクセスを開始します。

11.3 サーバ管理セッションの開始

サーバ管理セッションは,次のように,ローカル・コンソール・ターミナルからでもリモート・コンソール・ターミナルからでも開始することができます。

  • ローカル・セッションの場合は, VT100 ANSI のエスケープ・シーケンスを解釈できるターミナルを InfoServer システム・ユニットの裏側のシリアル・ポート (InfoServer 150 ユニット上の MMJ1) に接続する。 ターミナルの設定は,9600 ボー,8 ビット,パリティなし。

  • 遠隔セッションの場合は,ローカル・エリア・ターミナル (LAT) サーバを介して,InfoServer システムに接続する。

    多くのネットワーク・サーバと同様,InfoServer システムは,LAT サービスをその管理インタフェースに対して宣言し,ターミナル・サーバに接続されている遠隔ターミナルからの接続を受け入れる。 したがって,拡張 LAN 上のターミナル・サーバに接続されているすべてのターミナルは,InfoServer システムのコンソール・ターミナルとして動作することができる (ただし,ユーザが InfoServer 管理パスワードを知っている場合)。

サーバの省略時のサービス名の決定

初めて InfoServer システムへの遠隔接続を確立する場合は,サーバの省略時の名前を決定する必要があります。 この名前は,InfoServer システムのキャビネット上の 16 進のイーサネット・データリンク・アドレスに,LAD_ という 4 文字の接頭辞を付加することにより決定します。 この省略時の名前は,InfoServer の SET SERVER NAME コマンドを使って変更することができます。

サーバの名前は,接続先の LAT サービス名です。 たとえば,省略時のサーバ名は,LAD_08002B15009F です。 InfoServer システムを管理する場合は,ターミナル・サーバのプロンプトに次のコマンドを入力します。

Local> CONNECT LAD_08002B15009F

LAT サービスの接続の開始についての詳細は,使用しているターミナル・サーバのユーザ・ガイドを参照してください。

InfoServer パスワードの入力

InfoServer システムに接続した後,管理セッションを開始するには,InfoServer パスワードが必要です。 省略時のサーバ・パスワードは ESS です。 このパスワードは,InfoServer の SET SERVER PASSWORD を使用して変更することができます。

次の例では,DECserver 500 ターミナル・サーバを使用して,セッションを開始しています。

Local> CONNECT LAD_08002B133C1C
Password: ESS (not echoed)
Local -010- Session 1 to LAD_08002B133C1C established


DEC InfoServer V3.1

InfoServer> SHOW SERVER

この例において,ターミナル・サーバのプロンプトは Local> です。 ここからサービス名が LAD_08002B133C1C の InfoServer システムへの LAT セッションを開始しています。 次に,InfoServer システムからサーバ・パスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。 正しいパスワードを入力すると,InfoServer> プロンプトが表示されて,InfoServer のコマンドを入力することができるようになります。

セッションの終了

管理セッションを終了するには,InfoServer> プロンプトに対して EXIT コマンドを入力します。 LAT 接続を介して管理セッションが行われている場合は,EXIT コマンドを実行するとターミナル・サーバの Local> プロンプトに戻ります。

11.3.1 サーバ管理コマンド

表 11-1 「InfoServer コマンド」 に,InfoServer コマンドについてまとめます。

表 11-1 InfoServer コマンド

コマンド

機能

BACKUP

InfoServer 形式のディスクを保存する。

BIND

指定した ODS-2 サービスへの接続を確立し,そのサービス用に仮想デバイス VDK1 を作成する。

CLEAR

コンソール・ターミナルの画面を消去する。

COPY

1 つのディスクまたはパーティションから,別のディスクまたはパーティションへデータをコピーする。

CRASH

サーバ・ソフトウェアに認識可能なバグチェックを行わせ,クラッシュダンプ処理が可能であればダンプを作成する。

CREATE

新しいパーティションを作成する。 あるいは新しいサービスを作成する。

DELETE

以前に作成されたパーティションまたはサービスを削除する。

DISCONNECT

LASTport または LAT ターミナル・サーバ・セッションを終了する。

ERASE

指定したディスクまたはパーティションを消去する。 FUNCTIONS または SERVICES データを,不揮発性ランダム・アクセス・メモリ (NVRAM) から消去する。

EXIT

管理セッションを終了する。

HELP

InfoServer コマンドのヘルプ・テキストを表示する。

INITIALIZE

読み書き可能ディスクを InfoServer ディスク用にフォーマッティングする。

LOOP

有効な任意の InfoServer のコマンドを自動的に繰り返させる。

MONITOR

有効な InfoServer のコマンドを 3 秒毎に繰り返させ,画面をクリアしてカーソルをホーム・ポジションに置く。

PURGE

VXT ソフトウェアの古いバージョンをパージする。

REBOOT

サーバをシャットダウンし,リブートする。

RECORD

InfoServer ディスクまたはパーティションのデータをコンパクト・ディスクに記録する。

RESTORE

サーバを以前に保存したシステム構成の状態にリセットする。

RETRIEVE

BACKUP コマンドにより保存した InfoServer 形式のディスクをリストアする。

REWIND

InfoServer テープを巻戻す。

SAVE

後でサーバをリブートするとき回復できるように,構成とサービスのデータを保存する。

SET

パーティション,サービス,またはサーバのパラメータを設定する。

SHOW

サーバのパラメータおよびカウンタを表示する。

UNBIND

VDK1 仮想デバイスを削除し,リモート・サービスへの接続を終了する。

UNLOAD

InfoServer テープを巻戻しアンロードする。

UPDATE

1 つまたは複数の新しいソフトウェア製品あるいは機能をインストールする。

VERIFY

INITIALIZE コマンドでフォーマッティングしたデバイスのオンディスク構造の妥当性を検査する。

ZERO

内部サーバ・カウンタを 0 に設定する。

 

InfoServer システムにはヘルプ機能があり,パラメータ,修飾子,使用法の例など,サーバの各コマンドに関する情報を表示することができます。 InfoServer コマンドについての詳細は,『InfoServer System Operations Guide』を参照してください。

11.4 InfoServer Client for OpenVMS 機能について

InfoServer Client for OpenVMS により,OpenVMS オペレーティング・システムを実行しているクライアントは,InfoServer システムが LAN 上で提供している仮想デバイスにアクセスすることができます。 ソフトウェア・コンポーネントには,次のものがあります。

  • LASTport ドライバ

    LASTport ドライバにより,クライアントは信頼性の高いデータ転送サービスを得ることができる。 このドライバは,仮想デバイス・サービス用の効率的なトランスポートとして,データ・リンク・ドライバおよび LASTport/Disk ドライバと会話する。 また,LASTport ドライバは,プリミティブ・データ・キュー登録サービスなどの他のアプリケーションをサポートすることもできる。

  • LASTport/Disk クライアント・ドライバ

    LASTport/Disk クライアント・ドライバは,システムへの標準のブロック・デバイス・インタフェースを提供する。 OpenVMS ファイル・システムは,LASTport/Disk クライアントがローカル・ディスク・ドライバであるかのようにLASTport/Disk クライアントと会話する。 LASTport/Disk クライアント・ドライバは未処理インタフェースとバッファード・インタフェースの両方をサポートする。

  • LASTport/Tape クライアント・ドライバ

    LASTport/Tape クライアント・ドライバにより,OpenVMS クライアントは,InfoServer システムに接続されている SCSI テープにローカル・デバイスとしてアクセスし,これを使用することができる。

  • LASTCP ユーティリティと LADCP ユーティリティ

    この 2 つのユーティリティにより,使用しているシステムで InfoServer Client ソフトウェアを起動し,トランスポートの状態を監視し,InfoServer デバイス・サービスの構成と保守を行うことができる。 11.5 項 「LASTCP ユーティリティの機能について」11.6 項 「LADCP ユーティリティの機能について」でこれらのユーティリティについて説明するが,詳細は『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照。

11.5 LASTCP ユーティリティの機能について

InfoServer Client for OpenVMS は,LASTport プロトコルを使用して拡張 LAN 上の InfoServer システムと通信します。 このプロトコルは,OpenVMS デバイス・ドライバ ESS$LASTDRIVER でインプリメントされます。

LASTport 制御プログラム (LASTCP) ユーティリティは,ESS$LASTDRIVER の制御と診断を行うための管理インタフェースです。 LASTCP を使用して次の作業を行うことができます。

  • ESS$LASTDRIVER の起動と停止

  • サーキット,回線,ノード,および ESS$LASTDRIVER のカウンタの表示

  • ノード特性の表示

  • 既知のクライアントおよびサーバの表示

  • LASTport の状態の表示

  • カウンタのリセット

LASTCP ユーティリティの説明では次の項目を取り上げます。

  • LASTCP ユーティリティの起動と終了

  • LASTCP のコマンドの要約

  • InfoServer Client for OpenVMS の自動起動

11.5.1 LASTCP ユーティリティの起動と終了

LASTCP を使用するためには,特別な場合を除き,通常の特権が必要です。 LASTCP を起動するには,次のコマンドを入力します。

$ RUN SYS$SYSTEM:ESS$LASTCP
%LASTCP-I-VERSION, ESS$LASTDRIVER V1.5 is running
LASTCP> 

LASTCP コマンドは LASTCP> プロンプトに対して入力します。 LASTCP ユーティリティを終了するには,LASTCP> プロンプトの後に EXIT を入力するか,または Ctrl/Z を押します。

次の例に示すように,DCL の文字列代入文を使用して,単一の LASTCP コマンドを実行することもできます。

$ LASTCP :== $ESS$LASTCP
$ LASTCP SHOW CLIENTS

LASTCP は SHOW CLIENTS コマンドを実行してから,制御を DCL のコマンド・レベルに戻します。

11.5.2 LASTCP コマンドの要約

表 11-2 「LASTCP コマンド」 に,LASTCP コマンドについてまとめます。

表 11-2 LASTCP コマンド

コマンド

機能

EXIT

ユーザを DCL のコマンド・レベルに戻す。

HELP

LASTCP コマンドのヘルプ・テキストを表示する。

SHOW CIRCUIT COUNTERS

サーキット・カウンタを表示する。

SHOW CLIENTS

既知のクライアントを表示する。

SHOW LINE COUNTERS

回線カウンタを表示する。

SHOW NODE CHARACTERISTICS

ノード特性を表示する。

SHOW NODE COUNTERS

ノード・カウンタを表示する。

SHOW SERVERS

既知のサーバを表示する。

SHOW STATUS

ローカルの状態を表示する。

SHOW TRANSPORT COUNTERS

トランスポート・カウンタを表示する。

START TRANSPORT

LASTDRIVER を起動する。

STOP TRANSPORT

LASTDRIVER を停止する。

ZERO COUNTERS

カウンタをリセットする。

 

一意に認識できれば,LASTCP コマンドを短縮することができます。 たとえば,SHOW SERVERS コマンドは SH SE と指定することができます。

LASTCP にはヘルプ機能があり,各コマンドとそのパラメータ,修飾子に関する情報と使用法の例を表示することができます。 LASTCP コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。

11.5.3 InfoServer Client for OpenVMS の自動起動

InfoServer Client for OpenVMS は,ESS$STARTUP コマンド・プロシージャを使って起動する必要があります。 システムのリブート時にこのソフトウェアが必ず自動起動するようにするには,SYSTARTUP_VMS.COM 内部からこのスタートアップ・プロシージャを実行します。

作業方法

  1. SCSNODE (使用しているシステムのノード名パラメータ) の値を決定する。 このパラメータが空文字列 (省略時の値) として定義されていると,InfoServer Client for OpenVMS は起動しない。

    DECnet for OpenVMS を実行している場合,または実行を予定している場合,SCSNODE はシステムの DECnet ノード名として定義しなければならない。 DECnet を実行しない場合で,かつ,システムが OpenVMS Cluster のメンバである場合,SCSNODE は SCS システム名 (クラスタ内で一意の 1 文字から 6 文字のノード名) として定義しなければならない。

    SCSNODE の値を決定するには,次のコマンドを入力して SYSMAN を起動し,パラメータを表示する。

    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
    SYSMAN> PARAMETERS SHOW SCSNODE
    
  2. SCSNODE が空文字列として定義されている場合は次の手順に従う。

    1. 次の形式でコマンドを入力する。 ここで,ノード名はシステムの DECnet ノード名,あるいは DECnet for OpenVMS を実行する予定のない場合は SCS システム名。

      PARAMETERS SET SCSNODE " ノード名 "

      次に例を示す。

      SYSMAN> PARAMETERS SET SCSNODE "MYNODE"
      
    2. 次のコマンドを入力して,新しい値をパラメータ・ファイルに書き込み,SYSMAN を終了する。

      SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
      SYSMAN> EXIT
      
    3. 次の形式の行を AUTOGEN パラメータ・ファイル SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT に追加し,SCSNODE パラメータを定義する。

      SCSNODE = " ノード名 "

      次に例を示す。

      SCSNODE = "MYNODE"
      注記: SCSNODE の最大サイズ 6 文字は,厳密に制限されます。 このサイズとして 6 文字を超える値がシステム・パラメータ・ファイル内で設定されていた場合,SCSNODE の値は SYSBOOT によって短縮されます。
  3. 任意のエディタを起動し,SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM を編集して,InfoServer Client ソフトウェアを起動するコマンドを見つける。 次に例を示す。

    $ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK
    

    なお,CLIENT と DISK というパラメータは同じものである。 コマンドの先頭に DCL コマンドの区切り文字 (!) がある場合はこれを削除する。 テープ機能を使用できるようにしたい場合は,次のようにコマンド行に TAPE パラメータを追加する。

    $ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK TAPE
    
  4. SYSTARTUP_VMS.COM により DECnet for OpenVMS のスタートアップ・プロシージャ (SYS$MANAGER:STARTNET.COM) が起動される場合は,SYSTARTUP_VMS.COM が,STARTNET.COM を起動してから,InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップ・プロシージャが起動されるようにする。

    次に,ネットワークのスタートアップ・コマンド行の後に,InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップ・コマンド行が続いている例を示す。 なお,TAPE パラメータを指定しなかった場合は,ディスク機能しか起動されない。

    $ @SYS$MANAGER:STARTNET
    	⋮
    $ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK TAPE
    
  5. また,ファイル SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT を編集して,LASTport トランスポート用にスタートアップ修飾子を指定することもできる。 『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照。

11.5.4 DECnet の起動または停止による InfoServer クライアントの起動失敗

DECnet を起動して停止した後,そのシステムで InfoServer クライアント ソフトウェアを起動使用とすると失敗します。 ファイル SYS$MANAGER:ESS$STARTUP.LOG に,次のメッセージが出力されます。

%ESS-I-NONET ESS started before DECnet.  4-MAR-2000 16:36:39.29

このとき,InfoServer クライアントを起動する必要がある場合には,次のコマンドを実行すると,LAST 制御プログラムで LASTport トランスポートを起動できます。

$ MCR ESS$LASTCP
LASTCP> START

このコマンドは,トランスポートを起動します。 トランスポートが起動されると,InfoServer クライアントを起動できるようになります。

$ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK

トランスポートがすでに起動されているため,InfoServer クライアントの起動が成功します。

11.5.5 構成済みであるが媒体に接続されていない複数コントローラ (Alpha および I64)

OpenVMS Alpha システムまたは I64 システムに,イーサネット・コントローラと FDDI コントローラが複数構成されている場合,次のどちらかの状況で InfoServer クライアント・トランスポート (LASTport) に問題が発生する可能性があります。

  • ネットワーク・ケーブルに,イーサネット・コントローラと FDDI コントローラが接続されていない。

  • FDDI コントローラはネットワーク・ケーブルに接続されているが,FDDI のリングが機能していない。 たとえば,FDDI ハードウェアにの電源がオフになっている,または壊れている場合など。

ネットワークで利用できるすべてのサービスにアクセスできなくなったり,4 つ以上のコントローラが構成されている場合にはシステムがクラッシュしたりするなどの問題が発生します。

これらの問題を回避するためには,媒体に接続されているコントローラだけを指定します。 最初に SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT データ・ファイルを編集して,接続されているコントローラだけを指定してから,システムを再起動することをお勧めします。

特定のコントローラ構成では,接続されていないコントローラを指定すると,次のコマンド・シーケンスを実行した場合にシステムがクラッシュする可能性があります。

$ MCR ESS$LASTCP
LASTCP> STOP

次の例では,SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルの編集方法を説明します。 最初に編集前のファイルを示し,次に編集後のファイルを示します。

!++
! This file will be used to set the appropriate LASTCP qualifiers. The following
! LASTCP qualifiers: ALL_CONTROLLERS, CHECKSUM, TRANSMIT_QUOTA, or SLOW_MODE
! can be set by using the following statement format:
! LASTCP qualifier = 1 to enable   e.g. SLOW_MODE = 1 enables  SLOW_MODE
! LASTCP qualifier = 0 to disable  e.g. SLOW_MODE = 0 disables SLOW_MODE
! The remaining LASTCP qualifiers will require the appropriate value settings.
! DEVICE          = (list-of-devices)
! TIMEOUT         = n                           minimum interval in seconds
! CIRCUIT_MAXIMUM = n                           maximum number of nodes
! GROUP           = n                           Group number
! NODE_NAME       = name                        Node name
! CONTROLLERS     = ([{controller letter,}...]) Controller list
! TRANSMIT_QUOTA  = n                           Number of transmit buffers
!--
ALL_CONTROLLERS = ON

次に,編集済みの SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルを示します。 この例では,システムに ESA,ETA,EXA,EZA の各コントローラが構成され,ESA コントローラだけがイーサネット・ケーブルに接続されている場合を想定しています。


!++
! This file will be used to set the appropriate LASTCP qualifiers. The following
! LASTCP qualifiers: ALL_CONTROLLERS, CHECKSUM, TRANSMIT_QUOTA, or SLOW_MODE
! can be set by using the following statement format:
! LASTCP qualifier = 1 to enable   e.g. SLOW_MODE = 1 enables  SLOW_MODE
! LASTCP qualifier = 0 to disable  e.g. SLOW_MODE = 0 disables SLOW_MODE
! The remaining LASTCP qualifiers will require the appropriate value settings.
! DEVICE          = (list-of-devices)
! TIMEOUT         = n                           minimum interval in seconds
! CIRCUIT_MAXIMUM = n                           maximum number of nodes
! GROUP           = n                           Group number
! NODE_NAME       = name                        Node name
! CONTROLLERS     = ([{controller letter,}...]) Controller list
! TRANSMIT_QUOTA  = n                           Number of transmit buffers
!--
ALL_CONTROLLERS = OFF
DEVICE = (ESA)
注意:

ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルは,省略時には SYS$COMMON:[SYS$STARTUP] に格納されています。 その他のシステム・ルートに影響しないように,編集済みファイルを SYS$SPECIFIC:[SYS$STARTUP] に置くことができます。

11.5.6 スタートアップの制限事項: PATHWORKS と RSM

PATHWORKS またはリモート・システム・マネージャ (RSM),あるいはこの両方がインストールされている場合,InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップを実行してからでないと,PATHWORKS または RSM,あるいはこの両方のスタートアップを行うことはできません。

$ @SYS$MANAGER:STARTNET$ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK TAPE
$ @SYS$STARTUP:PCFS_STARTUP
$ @SYS$STARTUP:RSM$SERVER_STARTUP

InfoServer Client for OpenVMS には,PATHWORKS と RSM の両製品で共用するデバイス・ドライバと制御プログラムがあります。 InfoServer Client for OpenVMS の全コンポーネントの先頭には,ESS$ という接頭辞が付いています。 InfoServer Client for OpenVMS のドライバと制御プログラムは,InfoServer Client サポートの他に,PATHWORKS と RSM の両方のために必要なすべてのサポートを提供します。 InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップは,PATHWORKS あるいは RSM のスタートアップ・プロシージャを実行する前に,サイト別スタートアップで実行する必要があります。

11.5.7 スタートアップの制限事項: SYSMAN

サブプロセスから InfoServer Client for OpenVMS を起動することはできません。 これは,OpenVMS のシステム管理ユーティリティ (SYSMAN) は,サブプロセスを使用して,遠隔ノード上のタスクを完了するので,SYS$STARTUP:ESS$STARTUP プロシージャを実行するために SYSMAN を使用することはできないためです。

11.5.8 ユーザ・アカウントの必要条件

InfoServer Client for OpenVMS を使用して作業する場合,使用しているシステムのユーザ・アカウントには,次の特権とクォータが必要です。

  • LADCP BIND コマンドに /GROUP 修飾子を指定する場合は GRPNAM 特権,LADCP BIND コマンドに /SYSTEM 修飾子を指定する場合は SYSNAM 特権が必要。

  • 少なくとも,省略時の UAF アカウント・クォータが必要。

アカウントの特権およびクォータのチェックと変更の方法については,『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTHORIZE の節を参照してください。

11.5.9 システム・パラメータ MAXBUF の必要条件

LASTCP ユーティリティの SHOW の全機能を使用する場合は,システム・パラメータ MAXBUF の値を 32,000 以上に設定する必要があります。

11.6 LADCP ユーティリティの機能について

OpenVMS システムの LASTport/Disk プロトコルおよび LASTport/Tape プロトコルの構成と制御は,LAD 制御プログラム (LADCP)を使用して行います。 LASTport/Disk サービスと LASTport/Tape サービスを使用する OpenVMS システムを,クライアント・システムといいます。 LADCP を使用して,次の作業を行うことができます。

  • サービスへの バインドの確立。 バインドにより,ローカルの OpenVMS システム上に新しい DADn: 仮想ディスク・ユニット,または MADn: 仮想テープ・ユニットが作成される。

  • サービスへのバインドの削除。

サービス・アクセス・パスワードを使って,サービス・アクセスを制御することができます。 また,サービスの書き込み保護も行うことができます。 この場合,DADn: あるいは MADn: デバイス・ユニットのローカルの OpenVMS ユーザがそのユニットに書き込み操作を行おうとすると,エラー・メッセージが表示されます。

これらのプロトコルにより,InfoServer システム上の記憶デバイスが,OpenVMS システムにローカルで接続されているかのようにアクセスすることができます。 このように,複数の OpenVMS クライアント・システムで 1 つの読み込み専用媒体を共用することができるので,同じデバイスと媒体を用意する必要がなくなります。

DADn: および MADn: デバイス・ユニットを,仮想デバイス・ユニットともいいます。 これらは,遠隔サーバ上のボリュームに対して,ローカルの OpenVMS のコンテキストを表現します。 DADn: ユニットを制御する OpenVMS ドライバ を ESS$DADDRIVER,MADn: ユニットを制御する OpenVMS ドライバを ESS$MADDRIVER といいます。

LASTport/Disk プロトコルと LASTport/Tape プロトコルは,LASTport トランスポートに依存しています。 SYS$STARTUP 内の ESS$STARTUP.COM コマンド・プロシージャは,LASTport トランスポート・ドライバ ESS$LASTDRIVER,および ESS$DADDRIVER と ESS$MADDRIVER を自動的にロードします。

注意:

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャには,ESS$STARTUP.COM への呼び出しが必要です。 DECnet を使用している場合は,その呼び出しを DECnet を起動する SYS$MANAGER:STARTNET.COM コマンドの 後に置く必要があります。 11.5.3 項 「InfoServer Client for OpenVMS の自動起動」を参照してください。

11.6.1 LADCP ユーティリティの起動と終了

LADCP を起動するには,次のコマンドを使用します。

$ RUN SYS$SYSTEM:ESS$LADCP
LADCP> 

LADCP コマンドは,LADCP> プロンプトに入力することができます。

また,次の例に示すように,DCL の文字列代入文を使用することにより,単一の LADCP コマンドを実行することもできます。

$ LADCP :== $ESS$LADCP
$ LADCP BIND CD_DOC_00661 /NOWRITE

LADCP は,BIND コマンドを実行してから DCL のコマンド・レベルに制御を戻します。

LADCP を終了するには,LADCP> プロンプトの後に EXIT を入力するか,あるいは Ctrl/Z を押します。

11.6.2 LADCP コマンドの要約

表 11-3 「LADCP コマンド」 に,LADCP コマンドについてまとめます。

表 11-3 LADCP コマンド

コマンド

機能

BIND

サービスのバインドを確立し,デバイス・ユニットを作成する。

DEALLOCATE

ユニット制御ブロック (UCB) を削除せずにサービスへのアクティブな接続を終了する。

EXIT

ユーザを DCL のコマンド・レベルに戻す。

HELP

LADCP コマンドのヘルプ・テキストを表示する。

SHOW SERVICES

LAN 上で使用できる InfoServer システムが提供するサービスを表示する。

UNBIND

確立した LAD サービスのバインドを終了する。

 

LADCP にはヘルプ機能があり,LADCP の各コマンドのパラメータ,修飾子,および使用法の例に関する情報を表示することができます。 LADCP コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。

11.6.3 InfoServer デバイスを自動的に使用可能にする方法

一連の LADCP の BIND コマンドを SYSTARTUP_VMS.COM に追加すると,システムがブートするたびに,遠隔 InfoServer デバイスを使用可能にするよう設定できます。 BIND コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。

作業方法

  1. SYSTARTUP_VMS.COM を編集し,InfoServer Client ソフトウェアを起動するコマンドを見つける。 次に例を示す。

    @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK TAPE
    

    このコマンドにより,ディスク機能とテープ機能を持つソフトウェアが起動される。

  2. 次のコマンドを追加して,LADCP を起動する。

    $ RUN SYS$SYSTEM:ESS$LADCP
    
  3. このコマンドの直後に,次の形式で BIND コマンドを追加し,InfoServer の任意のコンパクト・ディスクあるいはハード・ディスクを仮想デバイス・ユニットとして使用できるようにする。

    BIND [/修飾子,...] サービス名

    テープ・デバイスを使用できるようにするためには,その他の修飾子に加えて,/TAPE 修飾子も指定する必要がある。

    BIND/TAPE [/修飾子,...] サービス名

    サービス名には,InfoServer のデバイス・サービスの名前を指定する。 通常,サービス名は InfoServer システムによるアクセス先のボリュームのラベルである。 BIND コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照。

  4. EXIT コマンドを追加して,LADCP を終了する。

  5. MOUNT コマンドを次の形式で追加し,作成した仮想デバイス・ユニットを公用デバイスとして使用できるようにする。

    MOUNT/SYSTEM/NOASSIST デバイス名 ボリューム・ラベル

    デバイス名には,デバイスの名前,ボリューム・ラベルには,デバイスに割り当てるボリューム・ラベルを指定する。 MOUNT コマンドについての詳細は,『OpenVMS DCL ディクショナリ』の MOUNT の節を参照。

次のコマンドを SYSTARTUP_VMS.COM で実行すると,InfoServer Client ソフトウェアが起動され,InfoServer デバイス DAD$OPENVMSV72 が使用可能になります。

⋮
$ @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK
$ RUN SYS$SYSTEM:ESS$LADCP
  BIND OPENVMSV72
  EXIT
$ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST DAD$VMS055 VMS055
⋮

この例では,InfoServer システムに接続されているコンパクト・ディスク・ドライブにロードされた,OpenVMS バージョン 7.2 の統合ディストリビューション (CONdisk) コンパクト・ディスクが,サーバ上で仮想デバイス・ユニットとして使用可能になり,公用デバイスとしてマウントされます。

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