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漢字LN03のLN03S-JAモードとKANJIデータ・タイプの違いは,漢字LN03のLA86モードと LA_KANJIとの違いにもあてはまります。 |
日本語DECprint製品群で提供する,Tektronix 4010/4014(TEK4014)プロトコルを PostScript に変換するトランスレータは,英語版とまったく同じです。この TEK4014 トランスレータの他に, DECprint製品群では,JIS ローマ字セットと JISカタカナ文字セットを使用する,カタカナ Tektronix トランスレータ(データ・タイプ名は TEK_KANA)を提供します。この章では TEK4014 と TEK_KANA との違いを説明します。この章で触れられていない部分については,英語版 TEK4014 トランスレータと同じなので,「 PostScript Translators Reference Manual for ReGIS and Tektronix 4010/4014 」のPART II "Tektronix 4010/4014 Translator" を参照してください。
3.1 文字セット
TEK4014トランスレータでは,使用できる文字セットはASCIIだけですが, TEK_KANAトランスレータではJISローマ字セットとJISカタカナ文字セットが表示できます。初期状態ではJISローマ字が表示されます。JISカタカナへの切り替えは,以下のコントロール・コードおよびエスケープ・シーケンスで行います。
SO
0/14 |
以降の表示文字をJISカタカナ文字セットにする | |
SI
0/15 |
以降の表示文字をJISローマ字セットにする | |
ESC
1/11 |
SO
0/14 |
以降の表示文字をJISカタカナ文字セットにする |
ESC
1/11 |
SI
0/15 |
以降の表示文字をJISローマ字セットにする |
|
3.2 既存のプリンタとの相違
トランスレータはいずれも,既存の弊社製品との互換性を保つようにしていますが,いくつかの相違点もあります。ここでは,TEK_KANAトランスレータと対応する漢字 LN03/LN05のTektronixモードとの機能の違いを述べます。TEK4014トランスレータと他の Tektronix プロトコル表示装置との違いは「 PostScript Translators Reference Manual for ReGIS and Tektronix 4010/4014 」で述べられています。
相違点 | 漢字LN03/LN05 | TEK_KANA |
---|---|---|
紙サイズ | A4 | A5,A4,A3,B5,B4,レター,リーガル, 7.5"×10.5", 11"×14",
11"×17" |
ページ・オリエンテーション | ランドスケープのみ | PRINTコマンドのパラメータに
よる |
文字サイズ | 2種
(LN03/LN05では,文字セルサイズは4種であるが, 文字サイズは2種類のみ) |
4種 |
フォント英文字 | ビットマップ | アウトライン |
フォントカタカナ | ビットマップ(OCR書体) | アウトライン(明朝体) |
ノーマル・ベクトルの太さ | 3ピクセル | 4ピクセル |
DECprint製品群で提供するReGISプロトコルをPostScriptに変換するトランスレータは,英語版とまったく同じです。この ReGIS トランスレータの他に, DECprint製品群では,DEC 漢字や JIS カタカナ文字セットを使用する,漢字 ReGIS トランスレータ(データ・タイプ名は REGIS_KANJI または REGIS_KANJI80)を提供します。この章では,英語版 ReGIS トランスレータと漢字 ReGIS トランスレータとの違いを説明します。この章で触れられていない部分については,英語版 ReGIS トランスレータと同じなので,「 PostScript Translators Reference Manual for ReGIS and Tektronix 4010/4014 」のPART I "ReGIS Translator" を参照してください。
4.1 REGIS_KANJIとREGIS_KANJI80
REGIS_KANJIとREGIS_KANJI80は,日本語グラフィック端末,VT284のREGISモードとの互換機能を提供します。REGIS_KANJIはVT284のグラフィック設定のReGIS85桁表示に, REGIS_KANJI80はReGIS80桁表示に,それぞれ対応しています。
ReGISおよび漢字ReGISトランスレータは,すでにVT端末用に作成されたReGIS 形式のファイルを印刷することを目的として提供されています。トランスレータからの出力は,VT端末のReGISよりも精度が高い等の利点がありますが,将来のバージョンアップでの互換性を維持するためには,本来のVT端末のReGISでサポートされていない機能を使用することは避けてください。また,日本語PostScriptプリンタを利用したグラフィック・アプリケーションを新たに作成する場合は,トランスレータを使用せずにPostScriptを直接使用することを強くお勧めします。 |
VT284のReGIS仕様に関しては,『 Kanji Graphic Display VT284/VT286 Programmer Reference Manual 』の第5章 "ReGIS PROGRAMMING" を参照してください。
REGIS_KANJIとREGIS_KANJI80の違いは,REGIS_KANJIが英語版VT24xとの互換性を重視して,初期画面アドレス,標準文字セルサイズを決定しているのに対して,REGIS_KANJI80 はVT284の画面の大きさ(縦720ピクセル横960ピクセル)を画面アドレスにしたときに,文字がVT284固有の大きさで表示されることを意図して,標準文字セルサイズを決定している点です。以下にREGIS_KANJI80の標準文字セルサイズを示します。
REGIS_KANJIデータ・タイプの標準文字セルサイズは,英語版REGISデータ・タイプと同じです。 |
サイズ番号 | ディスプレイセル・サイズ | ユニットセル・サイズ | 文字移動量 |
---|---|---|---|
S0 | [12,12] | [11,12] | [12,] |
S1 | [12,24] | [11,24] | [12,] |
S2 | [24,36] | [22,36] | [24,] |
S3 | [36,54] | [33,54] | [36,] |
S4 | [48,72] | [44,72] | [48,] |
S5 | [60,90] | [55,90] | [60,] |
S6 | [72,108] | [66,108] | [72,] |
S7 | [84,126] | [77,126] | [84,] |
S8 | [96,144] | [88,144] | [96,] |
S9 | [108,162] | [99,162] | [108,] |
S10 | [120,180] | [110,180] | [120,] |
S11 | [132,198] | [121,198] | [132,] |
S12 | [144,216] | [132,216] | [144,] |
S13 | [156,234] | [143,234] | [156,] |
S14 | [168,252] | [154,252] | [168,] |
S15 | [180,270] | [165,270] | [180,] |
S16 | [192,288] | [176,288] | [192,] |
表 4-1 のサイズの値は画面アドレスが960×720のときの値です。画面アドレスの初期値はREGIS_KANJIとREGIS_KANJI80で同じですが(800×480), REGIS_KANJI80では,画面アドレスを960×720に設定して使用することを強くお勧めします。 |
REGIS_KANJIおよびREGIS_KANJI80の初期設定状態を 付録 D に示します。
4.2 文字セット
ReGISトランスレータでは,使用できる文字セットはASCIIだけですが,漢字ReGISトランスレータでは DEC漢字指示セット,JISローマ字セット,JISカタカナ文字セットも指定できます。DEC漢字指示セットについては,「DEC漢字コード表」(AA-A056C-TE-JO)を参照してください。文字セットの切り替えは,テキスト・コマンドの以下の文字セットオプションを用います。
T(A0(L"<文字セット指示子>"),またはT(A0(R"<文字セット指示子>")
ダブルクオーテーションマーク(")はシングルクオーテーションマーク(')で置き換えることもできます。ここで,LはANSIデータ・タイプでのGL部分,すなわち文字コードの8ビット目(MSB)がoff(0)である文字コードを示し,RはGR部分,すなわち文字コードのMSBが on(1)である文字コードを示します。以下に各文字セットの<文字セット指示子>を示します。
文字セット指示子 | 文字セット |
---|---|
+J | JIS ローマ字セット |
+B | ASCII 文字セット |
+I | JIS カタカナ文字セット |
$+3 | DEC 漢字指示セット1983年版 |
|
4.3 文字ロード・コマンド
英語版REGISデータ・タイプの文字ロード・コマンドでは,文字サイズは横8ドット縦10ドットのビットマップ文字が文字セット1,2,または3にロードできます。漢字 ReGIS では,この文字サイズを以下の形式で横8〜11ドット,縦10〜24ドットの範囲で選択できます。
L[<横ドット数>,<縦ドット数>]
|
4.4 文字シェーディング
英語版REGISデータ・タイプでは文字シェーディングに用いられるのは,横8ドット縦10 ドットのビットマップ文字(ASCII文字セットのみ)ですが,漢字ReGISではそのときのGL文字セットがASCIIでない場合には,アウトライン文字(明朝体)を用います。
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4.5 既存の VT 端末との相違
トランスレータはいずれも,既存の弊社製品との互換性を保つようにしていますが,いくつかの相違点もあります。 表 4-2 は,漢字ReGISトランスレータと対応する漢字グラフィック端末VT284のReGISモードとの機能の違いを示しています。 REGISデータ・タイプと VT240 との違いは,英語版マニュアル「 PostScript Translators Reference Manual for ReGIS and Tektronix 4010/4014 」で述べられています。
相違点 | VT284 | トランスレータ |
---|---|---|
ReGISへの切り替え | エスケープシーケンス | データ・タイプ
(REGIS_KANJI, REGIS_KANJI80) |
初期画面アドレス | [0,0][767,479] | [0,0][799,479] |
線の太さ | 画面の1/960 | 画面の1/800 |
画面スクロール | ||
S[X,Y] | あり | なし |
S<pv> | あり | なし |
S(D<0>),S(D<1>) | あり | なし |
カーソル制御 | ||
S(C<0>),S(C<1>) | あり | なし |
印刷制御 | ||
S(H),S(H[X,Y]) | あり | なし |
S(H[X,Y][X,Y]) | あり | なし |
遅延時間指定S(W(M<n>)) | あり | なし |
ページ排出指定S(F) | なし | あり |
明度(Lightness) | 明度100%が最も明るい | 明度100%は黒で印刷 |
補色ライティングモードW(C) | あり | オーバーレイモードで
代用 |
フォアグラウンド画面制御
W(F<n>) |
あり | なし |
線幅指定 W(L<n>Y) | なし | あり |
標準文字サイズ(T(Sn))と
画面アドレスの関係 |
アドレスが変化しても
見かけの大きさは変わらない |
アドレスに対応して
大きさは変化する |
文字フォント | VT284/286 11×24
文字セット |
アウトライン
フォント (モリサワ竜明朝書体) |
80カラム/85カラム設定 | 設定画面による | データ・タイプによる |
初期GL文字セット | 設定による
(JISローマ字またはASCII) |
JIS ローマ字セット |
初期GR文字セット | 設定による
(DEC漢字またはJISカタカナ) |
DEC漢字 |
文字オートラップ | あり | なし(切り捨て) |
文字ティルト指定
T(D<A>) |
なし | あり |
文字回転時のゆがみ | 90度単位以外では大きくなる | 90度単位以外でも文字サイズは変わらないが,互換性の保持のために,文字間隔は変わる |
ロード文字セット名指定 | あり | なし |
レポート命令 | あり | なし |
DEC拡張漢字サポート | あり | なし |
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