Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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9.4.5 MOP サービスの構成

ブート・ノードで,CLUSTER_CONFIG.COM は, DECnet データベースから最初に検出されたサーキットで DECnet MOP ダウンライン・ロード・サービスを有効にします。

DECnet for OpenVMS を実行しているシステムで,以下のコマンドを使用して,サーキットの状態とサービス (MOP ダウンライン・ロード・サービス) の状態を表示します。


$ MCR NCP SHOW CHAR KNOWN CIRCUITS


           . 
           . 
           . 
   Circuit = SVA-0 
 
   State                    = on 
   Service                  = enabled  
           . 
           . 
           . 

この例では,サーキット SVA-0 が ON 状態であり, MOP ダウンライン・サービスが有効に設定されていることが示されています。これは,サテライトに対して MOP ダウンライン・ロードをサポートするための正しい状態です。

追加の LAN アダプタ (サーキット) で MOP サービスを有効に設定する操作は,手動で行わなければなりません。たとえば,以下の NCP コマンドを入力して,サーキット QNA-1 に対してサービスを有効にします。


$ MCR NCP SET CIRCUIT QNA-1 STATE OFF
$ MCR NCP SET CIRCUIT QNA-1 SERVICE ENABLED STATE ON
$ MCR NCP DEFINE CIRCUIT QNA-1 SERVICE ENABLED

関連項目: 詳細については,『DECnet for OpenVMS Network Management Utilities』を参照してください。

9.4.6 サテライト・ブートの制御

サテライト・ブート処理は多くの方法で制御できます。 表 9-8 には,DECnet for OpenVMS 固有の例が示されています。DECnet-Plus の例については, DECnet-Plus のマニュアルを参照してください。

表 9-8 サテライト・ブートの制御
方法 説明
DECbootsync を使用する方法
同時に起動されるワークステーションの数を制御するには, DECbootsync を使用する。これは,以下の NSIS Reusable Software ライブラリから提供される。

http://eadc.aeo.dec.com/

DECbootsync は分散ロック・マネージャを使用して,同時にスタートアップ・コマンド・プロシージャを続行できるサテライトの数を制御する。

DECbootsync は,OpenVMS オペレーティング・システムのブートを制御しないが,サテライトでスタートアップ・コマンド・プロシージャの実行とレイヤード製品のインストールを制御する。
MOP サーバで一時的に MOP サービスを無効にする方法
MOP サーバが独自のスタートアップ操作を完了できるまで,以下に示すように DECnet Ethernet サーキットを "Service Disabled" 状態に設定することにより,ブート要求を一時的に無効にできる。

1 MOP サーバのスタートアップ時に MOP サービスを無効にするには,以下のコマンドを入力する。
$ MCR NCP DEFINE CIRCUIT MNA-1 -

_$ SERVICE DISABLED
$ @SYS$MANAGER:STARTNET
$ MCR NCP DEFINE CIRCUIT MNA-1 -
_$ SERVICE ENABLED
2 後で MOP サービスを再び有効にするには,コマンド・プロシージャに以下のコマンドを入力して,コマンドが迅速に実行されるようにし,ユーザに対する DECnet サービスが中断されないようにする。
$ MCR NCP

NCP> SET CIRCUIT MNA-1 STATE OFF
NCP> SET CIRCUIT MNA-1 SERVICE ENABLED
NCP> SET CIRCUIT MNA-1 STATE ON

この方法では,MOP サーバがサテライトをサービスすることが禁止される。しかし,サテライトが他の MOP サーバからブートを要求することは禁止されない。

ブートを要求しているサテライトが応答を受信できない場合は,しばらくしていくつかのブート要求を行う。したがって, MOP サービスが再び有効にされた後,サテライトのブートは通常より長い時間がかかる可能性がある。

  1. MNA-1 は MOP サービス・サーキットを表す。

    これらのコマンドを入力した後,運用時データベースでサービスが無効に設定される。サービスを永久に無効に設定してはならない。

  2. 左記の方法でサービスを再び有効にする。

個々のサテライトに対して MOP サービスを無効にする方法
ノード単位で一時的に要求を無効にして, DECnet データベースからノードの情報を消去することができる。 NCP を使用して MOP サーバで DECnet データベースからノードの情報を消去した後,ブートを制御するために必要に応じてノードを再び有効にする。

1 特定のノードに対して MOP サービスを無効にするには,以下のコマンドを入力する。
$ MCR NCP

NCP> CLEAR NODE satellite HARDWARE ADDRESS
2 そのノードに対して MOP サービスを再び有効にするには,以下のコマンドを入力する。
$ MCR NCP

NCP> SET NODE satellite ALL

この方法では,サテライトが別の MOP サーバからブート・サービスを要求することは禁止されない。

  1. コマンドを入力した後,サービスは運用時データベースで無効に設定される。サービスを永久に無効設定にしてはならない。

  2. 左記に示す方法でサービスを再び有効にする。

シャットダウン時にサテライトをコンソール・プロンプト・モードに設定する方法
電源が復旧したときに,サテライトが (リブートされるのではなく) 停止するように設定するには,以下のいずれかの方法を使用する。

1 VAXcluster Console System (VCS) を使用する。
2 Halt または電源投入時にコンソール・モードで停止する。

Alpha コンピュータの場合:

>>> SET AUTO_ACTION HALT

VAX 3100 または VAX 4000 シリーズ・コンピュータの場合:

>>> SET HALT 3

VAX 2000 シリーズ・コンピュータの場合:

>>> TEST 53

2 ? >>> 3
3 以下の一覧の指示に従って,HALT 命令が実行されるときに,コンソール・モードで停止するようにサテライトを設定する。

  1. リブート時に HALT 命令を実行するイメージがロードされるように,以下の NCP コマンドを入力する。
    $ MCR NCP
    
    NCP> CLEAR NODE node LOAD ASSIST PARAMETER
    NCP> CLEAR NODE node LOAD ASSIST AGENT
    NCP> SET NODE node LOAD FILE -
    _ MOM$LOAD:READ_ADDR.SYS

  2. 以下の SYSMAN コマンドを使用してサテライトをシャットダウンし,即時リブートを指定する。
    $ MCR SYSMAN
    
    SYSMAN> SET ENVIRONMENT/NODE= satellite
    SYSMAN> DO @SYS$UPDATE:AUTOGEN REBOOT

  3. サテライトを通常の方法でブートするように設定する場合は,以下の NCP コマンドを入力して,OpenVMS が後でロードされるようにする。
    $ MCR NCP
    
    NCP> SET NODE satellite ALL

DECnet Trigger 操作を使用する予定がある場合は,サテライトがコンソール・モードになるような HALT 命令を実行するプログラムを使用することが重要である。これは,システムがコンソール・モードの間,リモート・トリガをサポートするシステムだけがサテライトをサポートするからである。

  1. 電源が復旧したときや HALT 命令が実行されたときに,自動的にリブートされるのではなく,停止するように,一部の (全部ではない) サテライトを設定することができる。

    注意: 設定は不揮発性 RAM に保存されるため,SET コマンドは各システムで 1 回入力するだけでよい。

  2. サテライト・ノードの Ethernet アドレスを検出するために通常使用される READ_ADDR.SYS プログラムも,終了時に HALT 命令を実行する。

Trigger によってリモートからサテライトをブートする方法
VAX 3100 や VAX 4000 などの一部のサテライトのコンソール・ファームウェアでは,DECnet Trigger 操作を使用してリモートからブートすることが可能である。この機能は, NCP コマンド TRIGGER を入力する前に,コンソール・プロンプトで有効に設定しなければならない。以下の例を参照。

1 DECnet Trigger 機能を使用して VAX サテライトをブートするには,コンソール・プロンプトに対して以下のコマンドを入力する。
>>> SET MOP 1

>>> SET TRIGGER 1
>>> SET PSWD
2 サテライト・ブートをリモートから起動するには,NCP プロンプトに対して以下のコマンドを入力する。
$ MCR NCP

NCP> TRIGGER NODE satellite -
_ VIA MNA-1 SERVICE PASSWORD password

また,コマンド・プロシージャを実行し,一度に 5〜10 台のサテライトを起動して,ブート時の作業負荷を分散するように, MOP サーバを設定することができる。優先順位の高い順にサテライトをブートすることができる。たとえば,自分のサテライトを最初にブートし,次に優先順位の高いサテライトをブートすることができる。

  1. SET TRIGGER 1 コマンドは DECnet MOP リスナを有効にし,SET PSWD コマンドはリモート・トリガを有効にする。 SET PSWD コマンドは,リモート・トリガ要求の認証で使用される 16 桁の 16 進パスワード文字列を 2 回入力するように要求する。

    注意: 設定は不揮発性 RAM に保存されるため,SET コマンドは各システムで 1 回だけ入力すればよい。

  2. MNA-1 は MOP サービス・サーキットを表し, password は SET PSWD コマンドのステップ 1 で指定した 16 進数である。

重要: 表 9-8 の説明に従って SET HALT コマンドを設定した場合,電源障害が発生した後,電源が復旧しても,サテライトは自動的にリブートされず,コンソール・プロンプトで停止します。大規模な電源障害の場合は,この動作が適切ですが,サテライトの電源コードに誰かがつまずいたような場合は,サテライトを使用できなくなるため不便です。

以下の操作を実行するバッチ・ジョブを定期的に実行するようにすれば,このようにしてダウン状態になっているサテライトをスキャンし,起動することができます。

  1. DCL レキシカル関数 F$GETSYI を使用して,クラスタ内の各ノードが正常に動作しているかどうか確認します。

  2. CLUSTER_MEMBER レキシカル・アイテムを確認します。

  3. 現在,クラスタのメンバでないサテライトに対して, NCP TRIGGER コマンドを実行します。

9.5 システム・ディスクのスループット

十分なシステム・ディスクのスループットを達成するには,以下の手法を組み合わせて使用することが必要です。

手法 関連項目
ブート時にディスクが再構築されるのを回避する。 第 9.5.1 項
システム・ディスクから作業負荷を軽減する。 第 9.5.2 項
複数のシステム・ディスクを構成する。 第 9.5.3 項
Volume Shadowing for OpenVMS を使用する。 第 6.6 節

9.5.1 ディスクの再構築の回避

OpenVMS ファイル・システムは,あらかじめ割り当てられているファイル・ヘッダとディスク・ブロックを格納したキャッシュを管理しています。システム障害が発生した場合などのように,ディスクが正しくディスマウントされていない場合,このあらかじめ割り当てられた領域が一時的に使用できなくなります。ディスクが再びマウントされると,OpenVMS はディスクをスキャンして,その領域を回復します。この処理をディスクの再構築 と呼びます。

大規模な OpenVMS Cluster システムでは,妥当な時間内にノードをブートできるように十分なキャパシティを確保しておかなければなりません。ブート時にディスクの再構築の影響をできるだけ少なくするには,以下の変更を行うことを考慮します。

操作 結果
少なくともサテライト・ノードで,すべてのユーザ・ディスクに対して DCL コマンド MOUNT/NOREBUILD を使用する。ユーザ・ディスクをマウントするスタートアップ・プロシージャにこのコマンドを登録する。 サテライト・ノードがディスクを再構築するように設定するのは不適切であるが,サテライトまたは別のノードで障害が発生した後,サテライトが最初にリブートされる場合は,この動作が発生する可能性がある。
少なくともサテライト・ノードに対して,システム・パラメータ ACP_REBLDSYSD を 0 に設定する。 このように設定しておくと,ブート・プロセスの初期段階で OpenVMS によってシステム・ディスクが暗黙にマウントされるときに,再構築操作が実行されるのを防止できる。
システムの負荷がそれほど高くない時刻に, SET VOLUME/REBUILD コマンドを使用することにより,通常の勤務時間帯にディスクの再構築が実行されないようにする。コンピュータが起動された後,バッチ・ジョブまたはコマンド・プロシージャを実行して,各ディスク・ドライブに対して SET VOLUME/REBUILD コマンドを実行する。 ディスクの再構築操作を行うと,そのディスクに対する大部分の I/O 処理がブロックされるため,ユーザの応答時間が低下する可能性がある。SET VOLUME/REBUILD コマンドは再構築が必要であるかどうか判断するので,ジョブはすべてのディスクに対してコマンドを実行できる。このジョブは作業負荷の低い時間に,できるだけ強力なノードで実行する。

警告: 大規模な OpenVMS Cluster システムでは,大量のディスク領域をキャッシュにあらかじめ割り当てることができます。多くのノードがクラスタから突然削除された場合 (たとえば電源障害が発生した場合),この領域は一時的に使用できなくなります。通常,ほとんどディスクが満杯の状態でシステムが稼動している場合は,ブート時にサーバ・ノードで再構築を無効にしないでください。

9.5.2 作業負荷の軽減

OpenVMS Cluster 全体のブートでは,システム・ディスクのスループットに関する問題が発生しますが,その他に安定した状態での操作 (ログイン,アプリケーションの起動,PRINT コマンドの実行など) でも,特定のシステム・ファイルへのアクセスによって応答時間に影響することがあります。

パフォーマンス・ツールや監視ツール ( 第 1.5.2 項 に示したツールなど) を使用して, ホット・システム・ファイルを特定し,以下の表に示した手法を利用して,システム・ディスクでホット・ファイルに対する I/O 操作を削減することができます。

可能性のあるホット・ファイル 役立つ方法
ページ・ファイルとスワップ・ファイル コンピュータの追加時に CLUSTER_CONFIG_LAN.COM または CLUSTER_CONFIG.COM を実行して,ページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズと場所を指定する場合は,以下の方法でファイルを移動する。

  • コンピュータのページ・ファイルとスワップ・ファイルをシステム・ディスクから移動する。

  • サテライトにローカル・ディスクがある場合,そのディスクにサテライトのページ・ファイルとスワップ・ファイルを設定する。

以下の利用頻度の高いファイルをシステム・ディスクから移動する。

  • SYSUAF.DAT

  • NETPROXY.DAT

  • RIGHTSLIST.DAT

  • ACCOUNTNG.DAT

  • VMSMAIL_PROFILE.DATA

  • QMAN$MASTER.DAT

  • +VMS$OBJECTS.DAT

  • レイヤード製品および他のアプリケーション・ファイル

以下のいずれかの方法を使用する。

  • 第 5 章 の説明に従って,ファイルの新しい場所を指定する。

  • HSC サブシステムまたは RF/RZ ディスクでキャッシュを使用して,実際のシステム・ディスク・スループットを改善する。

  • ソリッドステート・ディスクを構成に追加する。これらのデバイスは待ち時間が短く,通常の磁気ディスクより多くの要求を処理することができる。ソリッドステート・ディスクはシステム・ディスクとして利用でき,またシステム・ファイルを格納するためにも使用できる。

  • DECram ソフトウェアを使用して,MOP サーバに RAMdisk を作成し,選択した読み取り専用のホット・ファイルのコピーを格納して,ロード時間を短縮する。RAMdisk はシステム内のメイン・メモリの領域であり,データを格納するように設定されているが,ディスクであるかのようにアクセスされる。


+VAX 固有

これらのファイルをシステム・ディスクから別のディスクに移動すると,システム・ディスクに対する大部分の書き込み操作を行わないようにすることができます。その結果,読み込み/書き込み率を向上でき,Volume Shadowing for OpenVMS を使用している場合は,システム・ディスクでのシャドウイングのパフォーマンスを最大限に向上できます。


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