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ブート・ノードで,CLUSTER_CONFIG.COM は, DECnet データベースから最初に検出されたサーキットで DECnet MOP ダウンライン・ロード・サービスを有効にします。
DECnet for OpenVMS を実行しているシステムで,以下のコマンドを使用して,サーキットの状態とサービス (MOP ダウンライン・ロード・サービス) の状態を表示します。
$ MCR NCP SHOW CHAR KNOWN CIRCUITS |
. . . Circuit = SVA-0 State = on Service = enabled . . . |
この例では,サーキット SVA-0 が ON 状態であり, MOP ダウンライン・サービスが有効に設定されていることが示されています。これは,サテライトに対して MOP ダウンライン・ロードをサポートするための正しい状態です。
追加の LAN アダプタ (サーキット) で MOP サービスを有効に設定する操作は,手動で行わなければなりません。たとえば,以下の NCP コマンドを入力して,サーキット QNA-1 に対してサービスを有効にします。
$ MCR NCP SET CIRCUIT QNA-1 STATE OFF $ MCR NCP SET CIRCUIT QNA-1 SERVICE ENABLED STATE ON $ MCR NCP DEFINE CIRCUIT QNA-1 SERVICE ENABLED |
関連項目: 詳細については,『DECnet for OpenVMS Network Management Utilities』を参照してください。
9.4.6 サテライト・ブートの制御
サテライト・ブート処理は多くの方法で制御できます。 表 9-8 には,DECnet for OpenVMS 固有の例が示されています。DECnet-Plus の例については, DECnet-Plus のマニュアルを参照してください。
方法 | 説明 | ||||
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DECbootsync を使用する方法 | |||||
同時に起動されるワークステーションの数を制御するには, DECbootsync を使用する。これは,以下の NSIS Reusable Software ライブラリから提供される。
http://eadc.aeo.dec.com/ DECbootsync は分散ロック・マネージャを使用して,同時にスタートアップ・コマンド・プロシージャを続行できるサテライトの数を制御する。 |
DECbootsync は,OpenVMS オペレーティング・システムのブートを制御しないが,サテライトでスタートアップ・コマンド・プロシージャの実行とレイヤード製品のインストールを制御する。 | ||||
MOP サーバで一時的に MOP サービスを無効にする方法 | |||||
MOP サーバが独自のスタートアップ操作を完了できるまで,以下に示すように DECnet Ethernet サーキットを "Service Disabled" 状態に設定することにより,ブート要求を一時的に無効にできる。
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この方法では,MOP サーバがサテライトをサービスすることが禁止される。しかし,サテライトが他の MOP サーバからブートを要求することは禁止されない。
ブートを要求しているサテライトが応答を受信できない場合は,しばらくしていくつかのブート要求を行う。したがって, MOP サービスが再び有効にされた後,サテライトのブートは通常より長い時間がかかる可能性がある。
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個々のサテライトに対して MOP サービスを無効にする方法 | |||||
ノード単位で一時的に要求を無効にして, DECnet データベースからノードの情報を消去することができる。 NCP を使用して MOP サーバで DECnet データベースからノードの情報を消去した後,ブートを制御するために必要に応じてノードを再び有効にする。
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この方法では,サテライトが別の MOP サーバからブート・サービスを要求することは禁止されない。
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シャットダウン時にサテライトをコンソール・プロンプト・モードに設定する方法 | |||||
電源が復旧したときに,サテライトが (リブートされるのではなく) 停止するように設定するには,以下のいずれかの方法を使用する。
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DECnet Trigger 操作を使用する予定がある場合は,サテライトがコンソール・モードになるような HALT 命令を実行するプログラムを使用することが重要である。これは,システムがコンソール・モードの間,リモート・トリガをサポートするシステムだけがサテライトをサポートするからである。
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Trigger によってリモートからサテライトをブートする方法 | |||||
VAX 3100 や VAX 4000 などの一部のサテライトのコンソール・ファームウェアでは,DECnet Trigger 操作を使用してリモートからブートすることが可能である。この機能は, NCP コマンド TRIGGER を入力する前に,コンソール・プロンプトで有効に設定しなければならない。以下の例を参照。
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また,コマンド・プロシージャを実行し,一度に 5〜10 台のサテライトを起動して,ブート時の作業負荷を分散するように, MOP サーバを設定することができる。優先順位の高い順にサテライトをブートすることができる。たとえば,自分のサテライトを最初にブートし,次に優先順位の高いサテライトをブートすることができる。
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重要: 表 9-8 の説明に従って SET HALT コマンドを設定した場合,電源障害が発生した後,電源が復旧しても,サテライトは自動的にリブートされず,コンソール・プロンプトで停止します。大規模な電源障害の場合は,この動作が適切ですが,サテライトの電源コードに誰かがつまずいたような場合は,サテライトを使用できなくなるため不便です。
以下の操作を実行するバッチ・ジョブを定期的に実行するようにすれば,このようにしてダウン状態になっているサテライトをスキャンし,起動することができます。
9.5 システム・ディスクのスループット
十分なシステム・ディスクのスループットを達成するには,以下の手法を組み合わせて使用することが必要です。
手法 | 関連項目 |
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ブート時にディスクが再構築されるのを回避する。 | 第 9.5.1 項 |
システム・ディスクから作業負荷を軽減する。 | 第 9.5.2 項 |
複数のシステム・ディスクを構成する。 | 第 9.5.3 項 |
Volume Shadowing for OpenVMS を使用する。 | 第 6.6 節 |
OpenVMS ファイル・システムは,あらかじめ割り当てられているファイル・ヘッダとディスク・ブロックを格納したキャッシュを管理しています。システム障害が発生した場合などのように,ディスクが正しくディスマウントされていない場合,このあらかじめ割り当てられた領域が一時的に使用できなくなります。ディスクが再びマウントされると,OpenVMS はディスクをスキャンして,その領域を回復します。この処理をディスクの再構築 と呼びます。
大規模な OpenVMS Cluster システムでは,妥当な時間内にノードをブートできるように十分なキャパシティを確保しておかなければなりません。ブート時にディスクの再構築の影響をできるだけ少なくするには,以下の変更を行うことを考慮します。
操作 | 結果 |
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少なくともサテライト・ノードで,すべてのユーザ・ディスクに対して DCL コマンド MOUNT/NOREBUILD を使用する。ユーザ・ディスクをマウントするスタートアップ・プロシージャにこのコマンドを登録する。 | サテライト・ノードがディスクを再構築するように設定するのは不適切であるが,サテライトまたは別のノードで障害が発生した後,サテライトが最初にリブートされる場合は,この動作が発生する可能性がある。 |
少なくともサテライト・ノードに対して,システム・パラメータ ACP_REBLDSYSD を 0 に設定する。 | このように設定しておくと,ブート・プロセスの初期段階で OpenVMS によってシステム・ディスクが暗黙にマウントされるときに,再構築操作が実行されるのを防止できる。 |
システムの負荷がそれほど高くない時刻に, SET VOLUME/REBUILD コマンドを使用することにより,通常の勤務時間帯にディスクの再構築が実行されないようにする。コンピュータが起動された後,バッチ・ジョブまたはコマンド・プロシージャを実行して,各ディスク・ドライブに対して SET VOLUME/REBUILD コマンドを実行する。 | ディスクの再構築操作を行うと,そのディスクに対する大部分の I/O 処理がブロックされるため,ユーザの応答時間が低下する可能性がある。SET VOLUME/REBUILD コマンドは再構築が必要であるかどうか判断するので,ジョブはすべてのディスクに対してコマンドを実行できる。このジョブは作業負荷の低い時間に,できるだけ強力なノードで実行する。 |
警告:
大規模な OpenVMS Cluster システムでは,大量のディスク領域をキャッシュにあらかじめ割り当てることができます。多くのノードがクラスタから突然削除された場合 (たとえば電源障害が発生した場合),この領域は一時的に使用できなくなります。通常,ほとんどディスクが満杯の状態でシステムが稼動している場合は,ブート時にサーバ・ノードで再構築を無効にしないでください。
9.5.2 作業負荷の軽減
OpenVMS Cluster 全体のブートでは,システム・ディスクのスループットに関する問題が発生しますが,その他に安定した状態での操作 (ログイン,アプリケーションの起動,PRINT コマンドの実行など) でも,特定のシステム・ファイルへのアクセスによって応答時間に影響することがあります。
パフォーマンス・ツールや監視ツール ( 第 1.5.2 項 に示したツールなど) を使用して, ホット・システム・ファイルを特定し,以下の表に示した手法を利用して,システム・ディスクでホット・ファイルに対する I/O 操作を削減することができます。
可能性のあるホット・ファイル | 役立つ方法 |
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ページ・ファイルとスワップ・ファイル | コンピュータの追加時に CLUSTER_CONFIG_LAN.COM または CLUSTER_CONFIG.COM を実行して,ページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズと場所を指定する場合は,以下の方法でファイルを移動する。
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以下の利用頻度の高いファイルをシステム・ディスクから移動する。
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以下のいずれかの方法を使用する。
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これらのファイルをシステム・ディスクから別のディスクに移動すると,システム・ディスクに対する大部分の書き込み操作を行わないようにすることができます。その結果,読み込み/書き込み率を向上でき,Volume Shadowing for OpenVMS を使用している場合は,システム・ディスクでのシャドウイングのパフォーマンスを最大限に向上できます。
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