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輻輳によって発生するパケットの損失,20 秒未満の断続的なネットワークの中断,バックアップ・ブリッジの問題,断続的に発生するパフォーマンスの問題など,一部の障害は診断が困難です。断続的な障害を診断するには,LAN 分析ツールを使用して, 付録 F.1 節 で説明している NISCA プロトコル・レベルの切り分けとトラブルシューティングが必要です。
現在提供されているさまざまなネットワーク分析ツールを評価する場合, LAN アナライザの比較では,特定の機能が提供されるかどうか確認する必要があります。ここでは,必要な機能について説明します。
F.8.1 1 つの LAN セグメントまたは複数の LAN セグメント
1 つの LAN セグメントに関する問題のトラブルシューティングをする場合も,複数の LAN セグメントに関する問題のトラブルシューティングをする場合も,LAN アナライザは特定のデータ・パターンを切り分けるのに役立つものでなければなりません。定義した固有のパターンと一致するデータを切り分けることができる LAN アナライザを選択してください。LAN ヘッダの後に続くデータ領域のデータ・パターンを定義することができなければなりません ( 付録 F.7.2 項 を参照)。NISCA プロトコルのトラブルシューティングを正しく行うには,LAN アナライザは複数のデータ・パターンを同時に照合できなければなりません。
1 つの LAN セグメントまたは複数の LAN セグメントをトラブルシューティングするには,少なくとも TR ヘッダ内の送信データと再送データを定義し,切り分けなければなりません ( 付録 F.7.7 項 を参照)。さらに,複数の LAN セグメント間で効果的にネットワークのトラブルシューティングを行うには,LAN 分析ツールは以下の機能を備えていなければなりません。
分散イネーブル機能と分散コンビネーション・トリガ機能の目的は,パケットが複数の LAN セグメントを移動するときに,それらのパケットを取り込むことです。この後の節で説明しているこれらの機能の実装では,システム構成で拡張 LAN のすべての LAN セグメントに到達することができるように,マルチキャスト・メッセージが使用されています。分散イネーブル機能と分散コンビネーション・トリガ機能は,複数の LAN セグメント間で異なる場所にある複数の LAN アナライザの同期をとることができる機能を提供することにより,数マイル離れた複数のサイトにまたがる LAN 構成のトラブルシューティングを行うことができます。
F.8.2 複数の LAN セグメント
複数の LAN セグメントのトラブルシューティングを行うには, LAN アナライザはマルチキャスト・パケットを取り込み, LAN アナライザのトリガ機能を動的に有効に設定できなければなりません。以下の説明を参照してください。
ステップ | 操作 |
---|---|
1 | LAN アナライザ固有の規則に従って,データの取り込みを開始する。 1 つの LAN アナライザだけが LAN で分散イネーブル・マルチキャスト・パケットを送信することが望ましい。パケットはメディア・アクセス制御規則に従って送信しなければならない。 |
2 | 分散イネーブル・マルチキャスト・パケットを待機する。パケットを受信したら,分散コンビネーション・トリガ機能を有効に設定する。分散イネーブル・パケットを受信する前に,すべての LAN アナライザはトリガ条件を無視することができなければならない。この機能は,同じイベントを収集することができる複数の LAN アナライザを設定するのに必要である。分散イネーブルを送信する LAN アナライザは,その受信を待機してはならないことに注意しなければならない。 |
3 | 明示的な (ユーザ定義) トリガ・イベントまたは分散トリガ・パケットを待機する。LAN アナライザがこれらのトリガのいずれかを受信すると, LAN アナライザはデータの取り込みを停止しなければならない。
いずれかのトリガを受信する前に,LAN アナライザは要求されたデータの取り込みを続行しなければならない。この機能は,複数の LAN アナライザが同じイベントを取り込むことができるようにするのに必要である。 |
4 | トリガされた後,LAN アナライザは分散トリガ機能を完了して,他の LAN アナライザが,すでに発生したイベントに関連するデータの取り込みを停止するようにする。 |
Hewlett-Packard 社から提供されている HP 4972A LAN Protocol Analyzer は,ここで説明した必要な機能を提供するネットワーク障害分析ツールの一例です。
関連項目: HP 4972A LAN Protocol Analyzer の使用例については, 付録 F.10 節 を参照してください。
F.9 データの切り分け手法
ここでは,LAN 分析ツールを使用して,ノードと LAN アダプタ間で OpenVMS Cluster データを取り込むときに,切り分けなければならないデータの種類について説明します。
F.9.1 すべての OpenVMS Cluster トラフィック
特定の LAN セグメントですべての OpenVMS Cluster トラフィックを切り分けるには,LAN ヘッダにプロトコルの種類として 60--07 が格納されているすべてのパケットを取り込みます。
関連項目: LAN ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 も参照してください。
F.9.2 特定の OpenVMS Cluster トラフィック
特定の LAN セグメントで特定のクラスタの OpenVMS Cluster トラフィックを切り分けるには,以下のパケットを取り込みます。
関連項目: LAN および DX ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 と
付録 F.7.5 項 を参照してください。
F.9.3 仮想サーキット (ノード間)・トラフィック
特定の 1 組のノード間の仮想サーキット・トラフィックを切り分けるには,LAN ヘッダに以下の情報が格納されているパケットを取り込みます。
さらに,DX ヘッダから以下の追加情報を取り込むことにより,特定の LAN セグメントへの特定の 1 組のノード間の仮想サーキット・トラフィックを切り分けることもできます。
関連項目: LAN ヘッダと DX ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 と
付録 F.7.5 項 を参照してください。
F.9.4 チャネル (LAN アダプタ間)・トラフィック
チャネル情報を切り分けるには,LAN アダプタ間のすべてのチャネルですべてのパケット情報を取り込みます。DX ヘッダには, 1 組の LAN アダプタ間の大量の通信トラフィックを診断するのに役立つ情報が格納されています。LAN ヘッダに以下の情報が格納されているパケットを取り込みます。
ノードは複数の LAN アダプタを使用することができるため,送信元 LAN アドレスと送信先 LAN アドレスを指定しても,そのノードに対するすべてのトラフィックを取り込むことができない可能性があります。したがって,特定のチャネルでのトラフィックを切り分けるには,送信元 LAN アドレスと送信先 LAN アドレスとしてチャネルを指定しなければなりません。
関連項目: LAN ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 を参照してください。
F.9.5 チャネル制御トラフィック
チャネル制御トラフィックを切り分けるには,以下の情報が格納されているパケットを取り込みます。
関連項目: LAN ヘッダと CC ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 と
付録 F.7.6 項 を参照してください。
F.9.6 トランスポート・データ
トランスポート・データを切り分けるには,以下の情報が格納されているパケットを取り込みます。
関連項目: LAN ヘッダと TR ヘッダの詳細については, 付録 F.7.2 項 と
付録 F.7.7 項 を参照してください。
F.10 HP 4972A LAN Protocol Analyzer の設定
Hewlett-Packard 社から提供されている HP 4972A LAN Protocol Analyzer は, 付録 F.8 節 に示したすべての要件を満たすアナライザであるため,ここで特に詳しく説明します。しかし,HP 4972A LAN Protocol Analyzer は LAN ネットワークのトラブルシューティングにとって役立つ製品の一例にすぎません。
注意: この特定の製品をここでは例として採用していますが,この製品を購入しなければならないわけではなく,この製品の購入を特に推奨しているわけでもありません。
ここでは,チャネルの形成と再送の問題に関して,ローカル・エリア OpenVMS Cluster システム・プロトコルのトラブルシューティングを行うために, HP 4972A LAN Protocol Analyzer を設定する例を示します。
F.10.1 チャネルの形成に関する問題の分析
LAN プロトコル・アナライザがある場合,チャネル制御ヘッダに関連するデータを取り込むようにフィルタを設定することができます ( 付録 F.7.6 項 を参照)。
以下のデータグラム・フィールドを使用することにより, LAN アナライザを起動できます。
その後,取り込んだデータで HELLO,CCSTART,VERF, VACK データグラムを確認します。CCSTART,VERF,VACK, SOLICIT_SRV データグラムには,CC フラグ・バイトに AUTHORIZE ビット (ビット <4>) がセットされているはずです。さらに,これらのメッセージにはスクランブルされたクラスタ・パスワード (0 以外の登録フィールド) が含まれているはずです。スクランブルされたクラスタ・パスワードとクラスタ・グループ番号は, SYS$SYSTEM:CLUSTER_AUTHORIZE.DAT ファイルの最初の 4 ロングワードにあります。
関連項目: 追加データを切り分ける手法については,
付録 F.9.3 項 と 付録 F.9.5 項 を参照してください。
F.10.2 再送に関する問題の分析
LAN アナライザを使用すると,OpenVMS Cluster システムを移動するときにデータグラムを追跡できます。 表 F-12 を参照してください。
ステップ | 操作 | ||||||||||||
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1 | 以下のデータグラム・フィールドを使用してアナライザを起動する。
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2 | 分散イネーブル機能を使用して,異なる場所で複数の LAN アナライザが同じイベントを取り込むことができるようにする。LAN アナライザはデータの取り込みを開始し,分散イネーブル・メッセージを待機し,明示的なトリガ・イベントまたは分散トリガ・メッセージを待機しなければならない。起動された後,アナライザは他の LAN アナライザがデータの取り込みを停止するように,分散トリガ機能を完了しなければならない。 | ||||||||||||
3 | すべてのデータが取り込まれた後,再送されているデータグラム (REXMT フラグがセットされているデータグラム) のシーケンス番号 (NISCA プロトコル・バージョン 1.3 それ以前のバージョンを実行しているノード) または拡張シーケンス番号 (NISCA プロトコル・バージョン 1.4 またはそれ以降のバージョンを実行しているノード) を確認する。その後,前に取り込んだデータから,以下の属性を持つ別のデータグラムを同じ 2 つのノード間 (必ずしも同じ LAN アダプタである必要はない) で検索する。
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4 | 以下の手法は,問題の原因を検索する方法を示している。
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関連項目: 輻輳制御および PEDRIVER メッセージの再送の詳細については,
付録 G を参照してください。
F.11 フィルタ
F.11.1 特定の OpenVMS Cluster のすべての LAN 再送の取り込み
特定のクラスタのすべての LAN 再送に対して, LAVc_TR_ReXMT というフィルタを設定するには, 表 F-13 に示す値を使用します。LAN で特定の OpenVMS Cluster を切り分けるには,ローカル・エリア OpenVMS Cluster グループ・コード (nn--nn ) の値を指定します。
バイト番号 | フィールド | 値 |
---|---|---|
1 | DESTINATION | xx--xx--xx--xx--xx--xx |
7 | SOURCE | xx--xx--xx--xx--xx--xx |
13 | TYPE | 60--07 |
23 | LAVC_GROUP_CODE | nn--nn |
31 | TR FLAGS | 0x1xxxxx 2 |
33 | ACKING MESSAGE | xx--xx |
35 | SENDING MESSAGE | xx--xx |
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