本書は,Extended File Specifications の概説書です。システム管理者,アプリケーション開発者,一般ユーザに, Extended File Specifications と従来の OpenVMS 環境との相違点,影響について説明します。
改訂/更新情報: | 本書は『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』 V7.2 の改訂版です。 |
ソフトウェア・バージョン: |
OpenVMS Alpha バージョン 7.3
OpenVMS VAX バージョン 7.3 |
(C) 2001 Compaq Computer Corporation
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以下は,米国 Compaq Computer Corporation の商標です。
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原典:OpenVMS Guide to Extended File Specifications
(C) 2001 Compaq Computer Corporation
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本書は,システム管理者,アプリケーション開発者,Extended File Specifications を OpenVMS 環境で使用する利用者を対象としています。
本書は,次の章から構成されています。
Extended File Specifications の関連資料については次のドキュメントを参照してください。
OpenVMS 製品とサービスについての詳細情報は,次の Compaq ウェブ・サイトをご覧ください。
http://www.openvms.compaq.com |
本書では,次の表記法を使用しています。
表記法 | 意味 |
---|---|
Ctrl/x | Ctrl/x という表記は, Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
PF1 x | PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
[Return] |
例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。
HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。 |
... | 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。
|
.
. . |
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。 |
( ) | コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。 |
[ ] | コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか1つを選択しても,あるいは1つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。 |
[|] | コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。 |
{ } | コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか 1 つのオプションを指定しなければなりません。 |
太字 | 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。 |
italic text | イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ (たとえば内部エラー number),コマンド・ライン(たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ(たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。 |
UPPERCASE TEXT | 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。 |
Monospace type | モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。
C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。 |
- | コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。 |
数字 | 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。 |
Alpha で実行される OpenVMS バージョン 7.2 により,次の 2 つの構成要素から成る Extended File Specifications がインプリメントされます。
これらの構成要素を利用することによって,OpenVMS Alpha システムは (以前 PATHWORKS for OpenVMS と呼ばれていた Advanced Server for OpenVMS 7.2 を使用して), Windows 95/98 または Windows NT 環境で使用するファイルと似た名前を持つファイルの格納,管理,サービスの提供,およびアクセスを,これまでよりもはるかに柔軟に行うことができます。
この章では,Extended File Specifications の利点,機能,およびサポートの他, Extended File Specifications 環境における OpenVMS の動作の違いの概要を簡単に説明します。
1.1 Extended File Specifications の利点
Extended File Specifications がサポートする深いディレクトリおよび拡張ファイル名には,次の利点があります。
これらの利点は, 第 1.2 節 で説明する機能によるものです。
1.2 Extended File Specifications の機能
Extended File Specifications は,ODS-5 ボリューム構造と深いディレクトリのサポートという主要な 2 つの機能から構成されています。次の項では,これらの機能について説明します。
1.2.1 ODS-5 ボリューム構造
OpenVMS バージョン 7.2 は, On-Disk Structure Level 5 (ODS-5) をインプリメントしています。この構造は,拡張ファイル名を持つファイルを作成し,格納するための基礎となります。OpenVMS Alpha システム上でボリュームを ODS-5 に変換するかどうかは,選択することができます。
ODS-5 ボリューム構造には,次の機能があります。
次の項では,これらの機能について説明します。
1.2.1.1 長いファイル名
ODS-5 ボリューム上のファイル名の長さ (バージョン番号を除く) の上限は, 8 ビット文字では 236,16 ビット文字では 118です。 255 バイトよりも長い完全なファイル指定は,ODS-5 用に変更されていないアプリケーションで処理するときに,RMS によって自動的に短縮されます。
拡張ファイル名の詳細については, 第 3.1.2 項 を参照してください。
1.2.1.2 ファイル名の中で使用できる文字の種類の拡大
OpenVMS 上のファイル名には,これまでよりも広範囲の文字を使用できます。 ODS-5 は,8 ビットの ISO Latin-1 文字セットと 16 ビットの Unicode (UCS-2) 文字セットをサポートしています。
ISO LATIN-1 および Unicode (UCS-2) 文字セット
ISO Latin-1 Multinational 文字セットは,OpenVMS バージョン 7.2 以前のバージョンで使用していた従来の ASCII 文字セット のスーパーセットです。拡張ファイルの指定では, 8 ビットの ISO Latin-1 Multinational 文字セットにあるすべての文字をファイル指定の中で使用することができます。
ただし,次の文字は使用できません。
C0 制御コード (0x00 以上,0x1F 以下)
二重引用符 (")
アスタリスク (*)
バックスラッシュ (\)
コロン (:)
左および右の山括弧 (< >)
スラッシュ (/)
疑問符 (?)
縦線 (|)
ODS-5 準拠のファイル指定で,スペースなどの特定の特殊文字をあいまいでない形で入力または表示するには,文字の前に サーカンフレックス (^) を付ける必要があります。
ファイル名の中でのこれらの文字セットの使用方法の詳細については, 第 3.1.2 項 を参照してください。
1.2.1.3 大文字と小文字の区別の保存
以前のバージョンの OpenVMS では,DCL,RMS,およびファイル・システムは,すべてのファイル指定を大文字に変換していました。 ODS-5 は,ファイル指定の大文字と小文字の区別を保存します。次に例を示します。
$ CREATE x.Y [Ctrl/Z] $DIRECTORY Directory DISK1:[USER1] x.Y;1 $ |
ここで示されているように,ファイル名の大文字と小文字の区別は保存されています。
大文字と小文字の区別の詳細については,
第 3.1.2.6 項 を参照してください。
1.2.2 深いディレクトリ構造
ODS-2 および ODS-5 ボリューム構造はどちらも,ディレクトリの深いネスティングをサポートしています。ただし,次の制限があります。
たとえば,ユーザは次のように深くネストされたディレクトリを作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY [.a.b.c.d.e.f.g.h.i.j.k.l.m] |
ユーザは,次のように長い名前を持つディレクトリを,ODS-5 ボリューム上に作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY [.AVeryLongDirectoryNameWhichHasNothingToDoWithAnythingInParticular] |
255 バイトよりも長い完全なファイル指定は,ODS-5 用に変更されていないアプリケーションで処理するときに,RMS によって自動的に短縮されます。
1.2.2.1 ディレクトリの命名構文
On an ODS-5 ボリュームでは,ディレクトリ名は, ISO Latin-1 文字セットを使用した場合のファイル名と同じ規則に準拠します。ピリオドと特殊文字は,ディレクトリ名の中で使用することができますが,リテラル文字として認識されるためには, サーカンフレックス (^) を前に付けなければならない場合もあります。
第 3.2 節
には,深いディレクトリに関する詳しい情報があります。 第 3.6.1 項
には,長いディレクトリ名の表示に関する情報があります。
1.3 ODS-5 ボリュームを有効にする場合の注意事項
ODS-5 は, Advanced Server for OpenVMS 7.2 (以前の PATHWORKS for OpenVMS) のユーザだけでなく, DCOM および JAVA アプリケーションのユーザにも拡張ファイル共用機能を提供することを主要な目的としています。
ODS-5 ボリュームが有効になると,一部の新しい機能は,特定のアプリケーションまたはレイヤード・プロダクトだけでなく,システム管理の一部の分野にも影響を与える可能性があります。 ODS-5 ボリュームで使用できるファイル名の新しい構文でも, ODS-2 ボリュームでは完全に活用することができません。バージョン 7.2 以前の Alpha システムは ODS-5 ボリュームにアクセスすることができず, OpenVMS バージョン 7.2 VAX システムの持つ ODS-5 機能は限られているため,バージョンが混在する複合アーキテクチャ OpenVMS クラスタで ODS-5 ボリュームを有効にする場所とその方法については,十分注意しなければなりません。
次の項では,ODS-5 ボリュームを有効にすることによってシステム管理,ユーザ,およびアプリケーションが受ける影響の要約を示します。
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