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深いディレクトリと拡張ファイル名への RMS によるアクセスは, OpenVMS Alpha V7.2 システムにマウントされている ODS-5 ボリュームでのみ可能です。 ODS-5 ボリュームを有効にするのは, OpenVMS Alpha V7.2 の共通環境クラスタに限ることをお勧めします。
バージョンが混在する複合アーキテクチャ OpenVMS クラスタで ODS-5 を有効にする場合は,システム管理者は次のような特別な手順に従って,複合アーキテクチャ OpenVMS クラスタで生じる固有の制限事項に注意しなければなりません。
第 1.3.2 項 では,バージョンが混在する OpenVMS クラスタまたは複合アーキテクチャによる OpenVMS クラスタでの,ユーザのための ODS-5 サポートの制限事項について,より詳細に説明しています。
ほとんどの通常のアプリケーションでは拡張ファイル名を使用することができますが,すべての拡張ファイル名を使用できるようにするために変更が必要な場合もあります。特別なアプリケーションがディスクへの物理入出力および論理入出力を使用している場合や,アプリケーションが特に ODS-5 ファイル名または ODS-5 ボリュームにアクセスする必要がある場合は,変更が必要になることがあるため,解析が必要です。完全にサポートされている OpenVMS アプリケーションのリストについては,ウェブ・サイト www.openvms.compaq.com を参照してください。 第 1.3.3 項 では, ODS-5 が OpenVMS アプリケーションに与える影響について,より詳細に説明しています。
第 2 章
には, Extended File Specifications のサポートのレベルを判断するための詳細情報と, ODS-5 ボリュームが有効になっているシステムを管理するためのガイドラインが示されています。
1.3.2 ユーザに関する注意事項
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システムを使用している場合は,OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システムにマウントされている ODS-5 ボリューム上で,Extended File Specifications のすべての機能を利用することができます。
バージョンが混在する OpenVMS クラスタ,または複合アーキテクチャによる OpenVMS クラスタを使用している場合は,ODS-5 の機能が制限されることがあります。 第 1.3.2.1 項
には,バージョンが混在する OpenVMS クラスタでの制限事項のリストが示されています。 第 1.3.2.2 項
には,複合アーキテクチャによる OpenVMS クラスタでの制限事項のリストが示されています。
1.3.2.1 バージョンの混在に対するサポート
OpenVMS の以前のバージョンを実行しているシステムでは, ODS-5 ボリュームをマウントしたり,拡張ファイル名を正しく処理できないだけでなく,そもそも拡張ファイル名を表示することができません。
この後の項では,バージョンが混在しているクラスタでの,OpenVMS バージョン 7.2 およびそれ以前のバージョンの OpenVMS のサポートについて説明します。
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システム上のユーザ
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 システム上のユーザは,バージョン 7.2 以前のファイルとディレクトリに,これまでと同じようにアクセスすることができます。たとえば,次のような操作はすべて可能です。
バージョンが混在しているクラスタでは,いくつかの制限があります。バージョン 7.2 以前の OpenVMS 上のユーザには,次の制限があります。
現在の ODS-2 ボリュームおよびファイル管理機能は,VAX システムでも Alpha バージョン 7.2 システムでも同じです。ただし,VAX システム上では,拡張ファイルの命名と解析はサポートされません。
この後の項では,複合アーキテクチャによるクラスタでの OpenVMS VAX システムおよび Alpha システムのサポートについて説明します。
VAX システム上での Extended File Specifications 機能の制限
複合アーキテクチャによる OpenVMS バージョン 7.2 クラスタでは, OpenVMS バージョン 7.2 VAX システム上での Extended File Specifications 機能は,以下の機能に限定されています。
ユーザは VAX システムから,ODS-5 のイメージ・セーブセットを正常に作成したり,リストアしたりできません。ただし, ODS-5 セーブセットから ODS-2 準拠のファイル名を正しくリストアすることはできます。
1.3.3 アプリケーションに関する注意事項
ODS-5 の機能は,ボリューム単位で選択することができます。 ODS-5 ボリュームがシステムで有効にされていない場合には,すべての既存のアプリケーションは,これまでと同じように動作します。 ODS-5 ボリュームが有効とされている場合には,次の変更点に注意する必要があります。
ODS-5 ボリューム上では,ドキュメントが作成されているインタフェースにコーディングされている既存のアプリケーションおよびレイヤード・プロダクトは,ほとんどの DCL コマンド・プロシージャと同じように,変更なしで動作します。
ただし,ドキュメントが作成されていないインタフェースにコーディングされているアプリケーションや,次のような内容が含まれている場合には,ODS-5 ボリューム上でも同じように動作するために,変更が必要なことがあります。
ディスク上のデータのレイアウト
ファイル・ヘッダの内容
ディレクトリ・ファイルの内容
OpenVMS VAX または Alpha システム上で実行され,ODS-5 ボリュームにアクセスするすべての未変更の XQP アプリケーションに対しては,ODS-2 準拠でない Unicode または ISO Latin-1 による名前の代わりに,疑似名が返されます。このため,アプリケーションが予期しない動作をする可能性があります。 ODS-5 ディスクを使用し,XQP インタフェースを経由してファイル名を指定または取得するアプリケーションは,拡張名を持つファイルにアクセスできるように変更する必要があります。 |
OpenVMS アプリケーションのサポート状態の詳細ついては, 第 4 章 を参照してください。
1.4 OpenVMS アプリケーションで Extended File Specifications を使用する際の推奨事項
システム管理者は,ODS-5 を有効にする前に次の手順を実行しておくことが必要です。
ODS-5 ディスクを有効にするのは,OpenVMS バージョン 7.2 Alpha の共通環境クラスタに限ることをお勧めします。 |
Extended File Specifications を使用した OpenVMS システムを管理するには,さまざまに異なる OpenVMS アプリケーションによって提供されているサポートについて理解し,新しい環境を有効にする方法や制御する方法,OpenVMS システム管理ユーティリティへの変更点についても,理解しておく必要があります。この章では,次のトピックを扱います。
2.1 Extended File Specifications のサポート・レベル
ODS-5 に対応する OpenVMS ユーティリティおよびコマンドの予想される動作を判断するために,以下に示すサポート・レベルが設定されています。それぞれのサポートレベルは,拡張 (ODS-5 準拠) ファイル指定を処理する際のユーティリティまたはコマンドの共用可能な動作の概略を示しています。
2.1.1
から 2.1.4
までの項では,完全サポートから非サポートまでの,ODS-5 に対するサポート・レベルの定義が示されています。
2.1.1 完全サポート
ODS-5 を完全にサポートする OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,特に拡張ファイル命名機能のすべての特徴を活用できるように変更されています。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定をエラーなしに,また,大文字と小文字の区別を変更せずに受け付け,処理することができます。 1
1 新しいファイルの最初のバージョンを作成するとき,新しいファイルの大文字と小文字の区別は,ユーザが指定したものと一致します。既存のファイルのそれ以降のバージョンを作成するときにも,大文字と小文字の区別は元のバージョンと同じまま残されます。 |
さらに,Extended File Specifications を完全にサポートする OpenVMS コマンドおよびユーティリティは,ディレクトリ ID (DID) またはファイル ID (FID) 形式に短縮せずに,従来課せられていた 255 バイトの制限を超える長いファイル指定を受け付け,また生成することができます。 Extended File Specifications を完全にサポートする OpenVMS コンポーネントのリストについては,
第 3.4 節 を参照してください。
2.1.2 省略時のサポート
省略時サポート・レベルの OpenVMS ユーティリティおよびコマンドには, Extended File Specifications を活用するための変更がほとんど,またはまったく加えられていません。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定のほとんどの属性 (新しい文字や深いディレクトリ構造など) を正しく処理します。ただし,ファイル名を作成したり表示するときに,大文字と小文字の区別に誤りが生じる可能性があります。
完全サポート・レベルのユーティリティとは異なり,省略時サポート・レベルのユーティリティは,RMS が提供する DID および FID の短縮機能に依存しています。このため,これらのユーティリティには,DID および FID の短縮に関連した次の制約があります。
$ DIRECTORY a[1,2,3]*.txt $ COPY a[1,2,3].txt *.txt2 |
FID の短縮形は 1 つのファイルの一意の数値表現であるため,これを使って他のファイルを表現したり,マッチングを実行することはできません。
DID 短縮形の詳細については, 付録 B.2.2.7 項
を参照してください。 FID 短縮形の詳細については, 付録 B.2.2.8 項
を参照してください。
2.1.3 拡張ファイル名非サポート
拡張ファイル名非サポート・レベルでは,OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは, OSD-5 ボリューム上で機能することができるものの,処理できる対象が従来のファイル指定に限られます。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定を処理するときに正しく動作することが保証されていないため,ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。
表 2-1
には,拡張ファイル名または ODS-5 構造の処理に制限があるために,Extended File Specifications をサポートしていない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドが示されています。
2.1.4 ODS-5 非サポート
ODS-5 非サポート・レベルでは,OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル名を処理することができません。これらのユーティリティおよびコマンドは,従来のファイル指定を処理するときでも正しく動作することが保証されていないため, ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。
表 2-1 には,拡張ファイル名または ODS-5 構造の処理に制限があるため,Extended File Specifications をサポートしていない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドが示されています。
コンポーネント | 注意事項 |
---|---|
ODS-5 非サポート | |
ディスク・デフラグメンタ | 特定のデフラグメンテーション・ツールが ODS-5 ボリュームをサポートするように更新されたという記述がある場合を除き,サポートされない。 1 |
システム・ディスク | ODS-5 ボリュームとして設定したり初期化してはならない。 |
拡張ファイル名非サポート | |
コード・コンパイラ | 拡張ファイル名 をオブジェクト・ファイル名として使用することはできない。ただし,コード・コンパイラが,拡張ファイル名をサポートするアプリケーションを作成することはできる。 |
INSTALL 既知イメージ | 拡張ファイル名を持つイメージを,既知イメージとしてインストールしてはならない。 |
LINK | 拡張ファイル名を持つイメージを出力することはできない。 |
MONITOR | 拡張ファイル名を信頼の置ける形で処理することができない。 |
ネットワーク・ファイル(NET*.DAT) | 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。 |
オブジェクト・モジュール (.OBJ) | 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。 |
ページ・ファイルと スワップ・ファイル | 拡張ファイル名を使用してはならない。 |
SYSGEN | 拡張ファイル名を使ってパラメータ・ファイルを作成してはならない。 |
システム・スタートアップ・ファイル | 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。 |
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