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システムをインストールまたはアップグレードすると,システム・パラメータの値はコンパックの提供するコマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN) によって自動的に設定されます。定期的に AUTOGEN を使用し,ハードウェア構成とシステムの作業負荷に合わせて,システム・パラメータの値を調整してください。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
AUTOGEN で使用するためのカスタマイズ済みパラメータ設定の変換 | 第 15.3 節 |
AUTOGEN によるシステム・パラメータ値の変更 (標準的な方法) | 第 15.5 節 |
MODPARAMS.DAT による AUTOGEN パラメータ設定の制御 | 第 15.5.1 項 |
AUTOGEN レポートの自動化 | 第 15.6 節 |
SYSMAN によるシステム・パラメータの管理 | 第 15.7 節 |
SYSGEN によるシステム・パラメータの管理 | 第 15.8 節 |
会話型ブートによるシステム・パラメータの管理 | 第 15.9 節 |
さらに,次の項目について説明します。
項目 | 参照箇所 |
---|---|
システム・パラメータ | 第 15.1 節 |
システム・パラメータの省略時の値,現在値,アクティブ値 | 第 15.1.1 項 |
ページとページレット | 第 15.1.2 項 |
システム・パラメータ値の標準的な変更方法 | 第 15.2 節 |
AUTOGEN.COM コマンド・プロシージャ | 第 15.4 節 |
AUTOGEN フィードバック | 第 15.4.1 項 |
AUTOGEN フィードバック・レポート (AGEN$PARAMS.REPORT) | 第 15.4.2 項 |
AUTOGEN のフェーズ | 第 15.4.3 項 |
AUTOGEN パラメータ・ファイル (MODPARAMS.DAT) | 第 15.4.4 項 |
15.1 システム・パラメータについて
システムがどのように機能するかは,システム・パラメータ
の値によって制御されます。システム・パラメータは,広範囲のシステム機能を制御します。次に,システム・パラメータで制御できる機能の一部を紹介します。
『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』では,システム・パラメータの一覧を示し,各パラメータについて説明しています。
ディストリビューション・キットで提供されるシステム・パラメータの 省略時の値 は,どんな構成でもブートするように設定されています。システムをインストールまたはアップグレードすると, SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM コマンド・プロシージャが実行され,システム構成の評価と主な作業負荷の予想を行い,必要に応じてシステム・パラメータの値を調整します。
各システム・パラメータには,許容値の範囲を定義する最大値と最小値が設定されています。
各システム・パラメータのタイプは,次の 1 つまたは複数になります。
タイプ | 説明 |
---|---|
ダイナミック | ダイナミック・システム・パラメータの値は,メモリ内のアクティブ値を変更することによりシステムの稼働中に変更できる。これに対してダイナミック・パラメータ以外のパラメータの値を変更する場合,パラメータ・ファイルに格納されている現在値を変更した後,システムを再ブートして変更した値を有効にしなければならない。アクティブ値と現在値についての詳細は, 第 15.1.1 項 を参照。 |
汎用 | 汎用パラメータの値は,ブート時におけるデータ構造の作成と初期化に影響する。 |
メジャー | メジャー・パラメータは変更する必要性が最も高い。 |
特殊 | 特殊パラメータは,コンパックで使用するためだけに用意される。これらのパラメータは,コンパックのエンジニアから指示があった場合,またはコンパック製品のインストレーション・ガイドまたはリリース・ノートに示されている場合にのみ変更する。 |
システム・パラメータは,その機能別に次のカテゴリに分けることができます。
カテゴリ | 機能 |
---|---|
ACP | ファイル・システム・キャッシュおよび Files-11 XQP (拡張 QIO プロシージャ),すなわち補助制御プロセス (ACP) に関連するパラメータ。 1 |
クラスタ | VAXcluster または OpenVMS Cluster 操作を制御するパラメータ。 |
ジョブ | ジョブを制御するパラメータ。 |
LGI | ログイン・セキュリティを制御するパラメータ。 |
マルチプロセッシング | 対称型マルチプロセッシングに関連するパラメータ。 |
PQL | プロセス作成上の制限とクォータに関連するパラメータ。 |
RMS | OpenVMS レコード管理サービス (RMS) に関連するパラメータ。 |
SCS | システム通信サービス (SCS) とポート・ドライバの操作を制御するパラメータ。 SCS 操作に影響するパラメータの先頭には SCS という文字列が付けられる。 |
SYS | システム操作全体に影響するパラメータ。 |
TTY | ターミナルの動作に関連するパラメータ。 |
ユーザ定義 | 次のパラメータはユーザが定義できる。
USERD1 (ダイナミック・パラメータ) |
システムの各システム・パラメータは,次の 4 種類の値をとります。
値の種類 | 説明 |
---|---|
省略時の値 | システムにあらかじめ設定されている値で,サポートされるどの構成でもブートできるように設定されている。 |
現在値 | ディスク上の省略時のパラメータ・ファイルに格納され,システムのブート時に使用される値。
VAX システムの省略時のパラメータ・ファイルは
Alpha システムの省略時のパラメータ・ファイルは ALPHAVMSSYS.PAR。 |
アクティブ値 | メモリに格納され,システムの稼働中に使用される値。システムの稼働中に変更できるアクティブ値は,カテゴリがダイナミック・システム・パラメータであるシステム・パラメータの値に限られる。 |
他のパラメータ・ファイルに格納されている値 | 現在値を格納する省略時のパラメータ・ファイル以外にも,特別な目的のパラメータ・ファイルを作成できる。 |
ブート時,システムは現在値をメモリに読み込み,アクティブ値を作成します。変更がない限り,アクティブ値と現在値は同じです。
AUTOGEN コマンド・プロシージャの SETPARAM フェーズを実行すると,現在値が変更されます。
SYSMAN ユーティリティと SYSGEN ユーティリティにより, 現在値とアクティブ値の両方を表示または変更できます。表示したり変更したい値を指定するには, USE コマンドおよび WRITE コマンドを使用します。
SYSMAN によるパラメータの管理についての詳細は,
第 15.7 節 を参照してください。 SYSGEN によるパラメータの管理についての詳細は,
第 15.8 節 を参照してください。
15.1.2 ページとページレット
VAX システムでは,オペレーティング・システムは ページ と呼ばれる単位を使って,プロセスに対するメモリの割り当てや割り当て解除を行います。 VAX システムのページ・サイズは 512 バイトです。システム・パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられます。
Alpha システムでは,システム・パラメータのいくつかはページ単位で割り当てられますが, ページレット単位で割り当てられるシステム・パラメータもあります。
Alpha システムのページ・サイズは,8 K バイト (KB) (8192 バイト), 16 KB,32KB,64KB のいずれかです。ページレットとは,512 バイトのメモリ単位です。 Alpha システムの 1 ページレットは VAX の 1 ページと同じサイズです。また,ページ・サイズが 8 KB の Alpha コンピュータでは, 16 Alpha ページレットが 1 Alpha ページと等しくなります。
パラメータ値,特にメモリ管理に関連するパラメータを調べる場合には,各パラメータに必要な割り当て単位に注意してください。 第 15.7.2 項
と 第 15.8.2 項
では,パラメータ値とその割り当て単位を表示する方法が説明されています。
15.2 パラメータ値の標準的な変更方法
システム・パラメータの多くは,他のパラメータやシステムの性能に影響します。したがって,システム・パラメータを管理するときにはコマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:AUTOGEN.COM (AUTOGEN) を使用してください。 AUTOGEN については, 第 15.4 節 を参照してください。
またシステム・パラメータの管理は,SYSMAN ユーティリティや SYSGEN ユーティリティを使って行うこともできます。パラメータ値の変更にこれらのユーティリティを使用するのは一般的ではありません。しかし,次の場合には使用できます。
SYSMAN または SYSGEN を使ってパラメータ値を変更すると, AUTOGEN の実行時に,値が省略時の値に変更されたり再設定されることがあります。 AUTOGEN を実行してもパラメータの変更内容が保持されるようにするためには,変更した値を AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に追加します。詳細は 第 15.5.1 項 を参照してください。 カスタマイズ済みのパラメータ設定を MODPARAMS.DAT に追加してなく, SYSMAN または SYSGEN を使用してパラメータを変更しようとする場合は, AUTOGEN を実行する前に 第 15.3 節 の指示にしたがってください。 |
システムのチューニングには,できるだけ AUTOGEN コマンド・プロシージャを使用するようにしてください。システム管理ユーティリティ (SYSMAN) またはシステム生成ユーティリティ (SYSGEN) を使用してシステム・パラメータ値を変更し,その変更内容を AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に保存しなかった場合,これらの変更内容は次に AUTOGEN を実行したときに上書きされます。
以前に,SYSMAN または SYSGEN を使ってパラメータ値を変更した場合は, AUTOGEN で使用できるように,次の手順でパラメータ設定を変更します。この手順に従うと,AUTOGEN を実行してもその設定が維持されるように,カスタマイズ済みパラメータ設定を MODPARAMS.DAT に追加することができます。
この作業を行う場合は,その前に 第 15.4 節 を参照して, AUTOGEN,フィードバック, AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT について理解しておいてください。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN SYSMAN> PARAMETERS USE ACTIVE SYSMAN> PARAMETERS WRITE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR |
SYSMAN> PARAMETERS SHOW/ALL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.OLD SYSMAN> PARAMETERS SHOW/SPECIAL/OUTPUT=ノード名_PARAMS_SPECIAL.OLD SYSMAN> EXIT $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.OLD ノード名_PARAMS.OLD |
このファイルは,ステップ 6 で使用する。
値の指定は,明示的に行うのではなく,MIN_パラメータ名,MAX_パラメータ名, ADD_パラメータ名のいずれかの形式を使用してシンボルを定義する。次に例を示す。
$ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT |
SCSNODE = "MYNODE" ! Not calculated by AUTOGEN SCSSYSTEMID = 10001 ! Not calculated by AUTOGEN MIN_GBLPAGES = 10000 ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA MIN_GBLSECTIONS = 600 ! Needed for MCS, BLISS32, and ADA |
MODPARAMS.DAT に加えた変更内容を分かりやすく示すために,各行にコメントを追加する。コメントの先頭には感嘆符(!) を付ける。 MODPARAMS.DAT にシンボルを定義する方法については,
第 15.5.1 項 を参照。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS SETPARAMS FEEDBACK |
SAVPARAMS フェーズでは,稼働中のシステムに対する資源使用量についてのフィードバック情報を収集する。この情報は AUTOGEN が使用する。このコマンドにより作成される SYS$SYSTEM:AGEN$PARAMS.REPORT というフィードバック・レポートからピーク時の資源使用量を知ることができる。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SETPARAMS FEEDBACK |
GETDATA フェーズから起動すると,AUTOGEN は現在のフィードバックを収集しない。
$@SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SETPARAMS CHECK_FEEDBACK |
フィードバックが有効かどうかを AUTOGEN に判断させるには, CHECK_FEEDBACK を使用する。
SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT SYSMAN> PARAMETERS SHOW /ALL /OUTPUT=ノード名_PARAMS.NEW SYSMAN> PARAMETERS SHOW /SPECIAL /OUTPUT=ノード名_PARAMS_SPECIAL.NEW SYSMAN> EXIT $ APPEND ノード名_PARAMS_SPECIAL.NEW; ノード名_PARAMS.NEW |
$ DIFFERENCES/PARALLEL/OUTPUT=ノード名_PARAMS.DIF/MATCH=5 - _$ ノード名_PARAMS.OLD ノード名_PARAMS.NEW |
図 15-1 パラメータの古い値と新しい値
MIN_GBLPAGES = 10000 |
ステップ 3 で MODPARAMS.DAT にパラメータ値を指定したのに,そのパラメータが変更されていない場合は,次の事柄をチェックする。
ほとんどのパラメータは,新しい値の方が古い値よりも大きければ, AUTOGEN による設定を受け入れる。新しい値の方が古い値よりも小さい場合は,AUTOGEN の実行時にその資源を使用できなかったため,古い値を残しておくようにする。
たとえば,SYSMAN を使って,レイヤード製品に合うように GBLPAGES を 10,000 に増やしたのに,その変更内容を MODPARAMS.DAT に保存しなかった場合,AUTOGEN はシステムが必要とするのは 5,000 グローバル・ページだけであると算出する。この場合,AUTOGEN の実行後再ブートすると,レイヤード製品の一部がインストールされずに,システム・メッセージ GPTFULL (global page table full) が表示されて,さらに GBLPAGES が必要であることが示される。
SYSBOOT> USE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR SYSBOOT> CONTINUE |
CONTINUE コマンドを入力すると,AUTOGEN の実行前に保存したパラメータ値でシステムがブートされる。
システムのブート後,古いパラメータ値が必要になった場合は,次のコマンドを使用する。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN SYSMAN> PARAMETERS USE SYS$SYSTEM:ノード名_PARAMS_CURRENT.PAR SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT SYSMAN> EXIT |
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