Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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15.9 会話型ブートによるシステム・パラメータの変更

注意

システム・パラメータの変更は会話型ブートで行うこともできます。しかし,システム・パラメータを変更する場合にはできるだけ AUTOGEN または SYSMAN ユーティリティを使用してください。詳細は, 第 15.5 節 および 第 15.7 節 を参照してください。

会話型ブートを使用するのは,他に影響を与えないシステム・パラメータを一時的に変更する場合か,緊急の場合だけに限定してください。たとえば,システムのアップグレード時などに,会話型ブートを使用して,簡易スタートアップを使用するように STARTUP_P1 を変更します。

値を変更し,変更した値を AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に追加しない場合,AUTOGEN の次回の実行時にその値は上書きされるということを覚えておいてください。

会話型ブート操作によって,システム・ブートの前にアクティブ・パラメータを変更できます。次の方法があります。

作業内容 参照箇所
個々のパラメータのアクティブ値を変更する。 第 4.2.1 項
省略時のパラメータ・ファイル以外のパラメータ・ファイルの値を使って,アクティブ値を初期化する。 第 4.2.2 項
省略時の値を使ってアクティブ値を初期化しなおす。 第 4.4.1 項

会話型ブートの最後に,省略時のパラメータ・ファイルが変更され,各パラメータの新しいアクティブ値が格納されます。

重要

会話型ブートによって変更されたパラメータ値は, AUTOGEN コマンド・プロシージャによって上書きされます。会話型ブートによる変更内容を保持するためには, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに新しいパラメータ値を指定する必要があります ( 第 15.5.1 項 を参照)。

15.10 BAP システム・パラメータのチューニング

OpenVMS Alpha バージョン 7.1 以降には, BAP (bus-addressable pool) の操作を制御するシステム・パラメータが含まれています。 AUTOGEN は,これらのパラメータを正確に設定します。 AUTOGEN をスキップするように選択する場合には,この節の説明に従って BAP パラメータを設定します。

CIPCA,CIXCD,KFMSB,および Qlogic 1020ISP アダプタは, BAP (bus-addressable pool) を使用するアダプタの拡張リストの最初に挙げられます。BAP とは,I/O バスおよび 32 ビット・アダプタの物理アドレッシング・リミットを克服するために使用する,物理アドレス・チェック非ページング動的メモリ・プールです。

以下は,BAP の操作を制御するシステム・パラメータです。

1 つまたは複数のシステム・アダプタが BAP を使用する場合には,オペレーティング・システムをインストールまたはアップグレードした後で, BAP システム・パラメータを調整しなければなりません。これは,AUTOGEN に FEEDBACK 修飾子を付けて使用すると,自動的に実行することができます。 AUTOGEN に FEEDBACK 修飾子を付けてこれらのパラメータを設定すると,次の例のようになります。


$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS REBOOT FEEDBACK 

1 つの BAP パラメータの設定だけを調整するので,このコマンドを使用しない場合には,次の手順を使用することができます。

  1. SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.EXE を手作業で実行する。

  2. SYS$SYSTEM:AGEN$FEEDBACK.DAT で BAP_... の値を検索する。

  3. Run SYSGEN を実行し,次のシステム・パラメータを,ステップ 2 で取得した,対応する BAP_ の値を使用して設定する。

    AGEN$FEEDBACK のデータ システム・パラメータ 単位
    BAP_MIN NPAG_BAP_MIN バイト
    BAP_MAX NPAG_BAP_MAX バイト
    BAP_MIN_PA NPAG_BAP_MIN_PA Mb. PA 1
    BAP_MAX_PA NPAG_BAP_MAX_PA Mb. PA 1


    1PA は,メモリの物理アドレス値を示します。

BAP の割り当て量は,アダプタのタイプ,アダプタの数,およびオペレーティング・システムのバージョンによって異なります。物理メモリと I/O バスのサイズによって,BAP が個別に残るか,通常の非ページング動的メモリ (NPAGEDYN) にマージされるかが決まります。

BAP が個別に残るかどうかを決める原則は,次のとおりです。

BAP が非ページング・プールにマージされたシステムでは,非ページング・プールの初期量 (DCL コマンド SHOW MEMORY/POOL/FULL を実行すると表示されます) と最大量が,システム・パラメータ NPAGEDYN および NPAGEVIR の値と一致しません。代わりに,システム・パラメータ NPAG_BAP_MIN の値が NPAGEDYN に追加されて初期サイズが決まり,NPAG_BAP_MAX の値が NPAGEVIR に追加されて最大サイズが決まります。

マージされた BAP を使用している OpenVMS システムでは,システム・パラメータ NPAGEDYN... の値は,通常,増やす必要があります。これらの値は,システムを数日間運用した後で,次の 3 つの方法のうちいずれかを使用して調整することができます。


第 16 章
ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの管理

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルは,自動的に作成されます。しかし,これらのファイルがどういうものかを理解することは必要です。また,実際の環境に合わせて,これらのファイルを変更しなければならない場合があります。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
ページ・ファイルとスワップ・ファイルに関する情報の表示 第 16.3 節
各ファイルの適切なサイズの計算 第 16.4 節
ディスク空間が十分でない場合のダンプ・ファイル・サイズの最小化 第 16.5 節
複数パスまたはシャドウ・セット・メンバのあるシステム・ディスクでのダンプ・ファイルの書き込み 第 16.6 節
システム・ディスク以外へのデバイスへのダンプ・ファイルの書き込み 第 16.7 節
クラッシュ・ダンプの内容を分析するための SDA の使用方法 第 16.8 節
++クラッシュ・ダンプ要約情報の入手と分析のための SDA CLUE コマンドの使用方法 第 16.9 節
+クラッシュ・ダンプについての履歴情報の入手のための CLUE の使用方法 第 16.10 節
システム障害発生後のシステム・ダンプ・ファイルの保存 第 16.11 節
テープまたはディスクへのダンプ・ファイルのコピー 第 16.12 節
ページ・ファイルからのダンプ情報の解放 第 16.13 節
ページ・ファイルとスワップ・ファイルのインストール 第 16.14 節
ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの削除 第 16.15 節
ページ・ファイルとスワップ・ファイルの作成 第 16.16 節
プロセス・ダンプへのアクセスの制御 第 16.17.2 項


+VAX のみ
++Alpha のみ

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
ダンプ・ファイルについて 第 16.1 節
ページ・ファイルとスワップ・ファイルについて 第 16.2 節
選択型システム・ダンプ中の情報の順序について 第 16.5.1 項
++SDA CLUE について 第 16.9.1 項
+CLUE について 第 16.10.1 項
プロセス・ダンプについて 第 16.17 節


++Alpha のみ
+VAX のみ

16.1 ダンプ・ファイルについて

オペレーティング・システムは,修復不可能なエラー,あるいはシステム障害を発生させるような矛盾を内部で検出した場合,エラー・ログ・バッファ,プロセッサ,レジスタ,およびメモリの内容をシステム・ダンプ・ファイル に書き込みます。システム・ダンプ・ファイルの以前の内容は,上書きされます。

Alpha システムでは,エラー・ログ・バッファの内容も, エラー・ログ・ダンプ・ファイル に書き込まれます。作成されたもののシステム・クラッシュ時には書き込まれていなかったエラー・ログ・エントリを含めて,再ブート時にシステムを更新するために,エラー・ログ・ダンプ・ファイルは提供されます。

システム・ダンプ・ファイル

システム・ダンプ・ファイルを書き込む場合,システムは,いくつかのコンソール・メッセージとエラーまたは矛盾に関する情報を表示します。最後のメッセージは,ダンプ・ファイルが正常に書き込まれたことを示します。

重要

コンソール・ターミナルを使用してシステムを停止する前に,終了メッセージが表示されるのを確認してください。これを行わないと,完全なシステム・ダンプ・ファイルを保存できない場合があります。

コンソール・メッセージとシステム・ダンプ・ファイルは,システム障害の原因を調べるための重要な情報源です。これらの情報は,次のように使用します。

オペレーティング・システムのディストリビューション・キットで提供されるシステム・ダンプ・ファイル SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]SYSDUMP.DMP はインストール中に作成されます。オペレーティング・システムは,システム・ダンプ・ファイルがなくても稼働します。しかし,システムがクラッシュしたときは,クラッシュの原因を突き止めるために,ダンプ・ファイルが必要となります。 AUTOGEN は,実際のハードウェア構成とシステム・パラメータに従って,システム・ダンプ・ファイルの適切なサイズを自動的に決定します。ディスク空間が十分でない場合のシステム・ダンプ・ファイル・サイズの最小化については, 第 16.5 節 を参照してください。

ハードウェア構成が特殊な場合,あるいは作業負荷が変化する場合には,システム・ダンプ・ファイルのサイズを変更することができます。詳細は 第 16.16.1 項 を参照してください。システム・ディスク以外のディスクに,システム・ダンプ・ファイルを書き込むことができます。これは,Dump Off System Disk (DOSD) と呼ばれます。詳細は 第 16.7 節 を参照してください。

エラー・ログ・ダンプ・ファイル

AUTOGEN は,インストール時にエラー・ログ・ダンプ・ファイルを作成します。ファイルのサイズは,システムの構成とシステム・パラメータによってことなります。 AUTOGEN は,システム構成とシステム・パラメータに従って, Alpha システムと VAX システム上のエラー・ログ・ダンプ・ファイルの違いは次のとおりです。

16.1.1 ページ・ファイルを使ってシステム・クラッシュ・ダンプを格納する方法

オペレーティング・システムは,SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP の最新バージョンにシステム・クラッシュ・ダンプを格納します。 SYSDUMP.DMP が SYS$SYSTEM に存在した場合,オペレーティング・システムはシステム・ページング・ファイル SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS の内容を書き換えます。

システム・パラメータ SAVEDUMP が設定されている場合,クラッシュ・ダンプ・ファイルはシステムのブート時,PAGEFILE.SYS に格納されます。 SAVEDUMP がクリアされている場合,システムは,ページ・ファイルをページングに使用し,そのページング・ファイルに書き込まれていたダンプはなくなります。

SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS ファイルにシステム・クラッシュ・ダンプを格納する場合には,その後で次のいずれかの方法を使って,システムのページングでダンプが占有している空間を使用できるように解放する必要があります。

詳細は 第 16.13 節 を参照してください。

適切なコマンドを SYSTARTUP_VMS.COM スタートアップ・コマンド・プロシージャに取り込んで,システムが再ブートされるたびにページ・ファイルからダンプ情報を解放します。

重要

ページ・ファイルを選択型ダンプに使用する場合は,注意が必要です。選択型ダンプでは,利用できるすべての空間が使用されるので,ページ・ファイルが小さい場合,選択型ダンプ情報でページ・ファイルがいっぱいになってしまい,システムのブート時にページング用の空間が残されていないことになります。この結果,再ブート時にシステムがハングすることがあります。


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