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この章では,次のトピックについて説明します。
ここでは,OpenVMS リリースの違いについて説明します。ユーザ・モード・コードについては,すべての OpenVMS リリースで完全な上位互換性が維持されます。
1.1.1 OpenVMS のメジャー・リリース
メジャー・リリースの目的は,お客様およびアプリケーション・プロバイダに対して,重要な新機能の提供,およびカーネル・インタフェースとカーネル・モード・データ構造の変更を通知することです。このような変更により,これらの特権モード・インタフェースを使用するアプリケーションの再コーディングや再コンパイルが必要になることがあります。ユーザ・モード・コードは原則的に,完全に上位互換性を維持します。
たとえば,OpenVMS Alpha バージョン 6.0 や OpenVMS バージョン 7.0 はメジャー・リリースです。メジャー・リリースのことを ポイント・ゼロ・リリース と呼ぶこともあります。
メジャー・リリースは,該当するソフトウェア・サービス契約を結んでいるすべてのお客様に出荷されます。
1.1.2 OpenVMS の新機能リリース
新機能リリースの目的は,新機能の提供をはじめ,既存の機能の強化やメンテナンス更新を提供することです。このような変更では一般に,特権モード・アプリケーションの再コーディングや再コンパイルは必要ありません。ユーザ・モード・コードは原則的に,完全に上位互換性を維持します。
たとえば,OpenVMS VAX バージョン 6.2 や OpenVMS Alpha バージョン 7.3 は新機能リリースです。新機能リリースのことを ポイント・リリース と呼ぶこともあります。
新機能リリースは,該当するソフトウェア・サービス契約を結んでいるすべてのお客様に出荷されます。
1.1.3 OpenVMS のマイナー・リリース
マイナー・リリースの目的は,既存の機能に対して新機能,拡張機能,新しいハードウェア,オプションのサポートを提供することと,以前のリリースのメンテナンスを行うことです。マイナー・リリースは,原則的にアプリケーションに影響を与えません。また,ユーザ・モード・コードは原則的に,完全に上位互換性を維持します。
たとえば,OpenVMS Alpha バージョン 7.2-1 や OpenVMS VAX バージョン 5.5-2 は,マイナー・リリースです。マイナー・リリースのことを ダッシュ・リリース と呼ぶこともあります。
マイナー・リリースは,該当するソフトウェア・サービス契約を結んでいるすべてのお客様に出荷されます。
1.1.4 OpenVMS の限定ハードウェア・リリース
限定ハードウェア・リリースは,新しいシステム,新しいオプションのサポート,新しいハードウェア構成だけを対象にしたものであり,該当するハードウェアに関してだけテストが行われます。
限定ハードウェア・リリースには,新しいハードウェアをサポートするのに必要な修正が含まれることがありますが,拡張機能や一般的なメンテナンスは含まれません。原則的にアプリケーションに影響を与えません。また,ユーザ・モード・コードは原則的に,完全に上位互換性を維持します。
限定ハードウェア・リリースは,お客様の注文によって出荷されるものであり,ソフトウェア・サービス契約を結んでいるお客様に自動的に出荷されるものではありません。新しいシステム,新しいオプション,または新しい構成を取得された場合に,限定ハードウェア・リリースが出荷されます。
たとえば,OpenVMS Alpha バージョン 7.2-1H1 や OpenVMS VAX バージョン 5.5-2H4 は,限定ハードウェア・リリースです。
1.2 アップグレード・パス
次の図は,OpenVMS Alpha とOpenVMS VAX のアップグレードおよびローリング・アップグレードのパスを示しています。
クラスタのローリング・アップグレードでは,システム・ディスクを個別にアップグレードし,新旧両方のバージョンのオペレーティング・システムが同じクラスタで共に実行できるようにします。システム・ディスクは 2 つ以上なければなりません。アップグレードされないシステムも,引き続き使用可能です。
並列アップグレードでは,クラスタ全体をシャットダウンし,システム・ディスクをそれぞれアップグレードしなければなりません。それぞれのコンピュータをアップグレードし,リブートした後でなければ,クラスタを使用することはできません。リブートを実行すると,それぞれのコンピュータでは,アップグレードされたバージョンのオペレーティング・システムが実行されます。
図 1_1 と 図 1-2 の太線は,バージョン7.3へ直接アップグレードできるパスです。他の線は,以前のバージョンへのアップグレード・パスを表します。 Alpha と VAX の両方に対して,バージョン 7.1 と 7.2 からバージョン 7.3 へのクラスタのローリング・アップグレード・パスがサポートされます。
OpenVMS Alpha
図 1-1 は,OpenVMS Alpha のアップグレード・パスを表したものです。
図 1-1 OpenVMS Alphaのアップグレード・パス
OpenVMS Alpha の場合には,バージョン 6.2x ,バージョン 7.0,バージョン 7.1x ,7.2x からバージョン 7.3 に直接アップグレードできます。クラスタのローリング・アップグレードは,バージョン 7.1 およびバージョン 7.2 からサポートされています。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3 のインストレーションまたはアップグレードの手順の詳細については,『OpenVMS Alpha Version 7.3 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。
OpenVMS VAX
図 1-2 は,OpenVMS VAX のアップグレード・パスを表したものです。
図 1-2 OpenVMS VAX のアップグレード・パス
OpenVMS VAX の場合,バージョン 6.1,バージョン 6.2,バージョン 7.0,バージョン 7.1,およびバージョン 7.2 からバージョン 7.3 に直接アップグレードできます。
バージョン 5.5-2 を実行している場合には,バージョン 6.1 にいったんアップグレードした後,バージョン 7.3 にアップグレードできます。
バージョン 6.1 からバージョン 7.3 にアップグレードする前に,次の修正キットをインストールしてください。
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修正キットは,次の World Wide Web (WWW) アドレスからダウンロードできます。
ソフトウェア・サービス契約を結んでいるにもかかわらず,インターネットを使用して修正をダウンロードできない場合には,システムに対応した修正キット(媒体)を入手するために,Compaq のサポート担当者にお問い合わせください。
クラスタのローリング・アップグレードは,バージョン 7.1 およびバージョン 7.2 からサポートされています。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3 のインストレーションまたはアップグレードの手順の詳細については,『OpenVMS Alpha Version 7.3 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。
1.3 Compaq のサポート・ポリシー
Compaq は,OpenVMS オペレーティング・システムの現在のバージョンおよび直前のバージョンに対するサポートを (最長 12 か月間) 提供します。それ以前のソフトウェアのバージョンについては,Prior Version Support 契約を利用することができます。
ソフトウェア・リリースとは,最新のリリースであって,それ以降のバージョンのリリース後 12 か月以内のものです。それ以降のバージョンは,メジャー・リリースまたは新機能リリースと定義されます。メジャー・リリースには,多くの新機能が含まれます。また,バージョン番号は,整数部が (たとえば 6.2 が 7.0 に) 増加します。新機能リリースには,追加機能がいくつか含まれます。バージョン番号は,小数部が (たとえば 7.2 が 7.3 に) 増加します。その後は,Prior Version Support を利用することができます。
すべてのサポートの詳細については,Compaq のサポート担当者にお問い合わせいただくか,次の Compaq の Web サイトにアクセスしてください。
Prior Version Support サービスの詳細については,次の Compaq の Web サイトにアクセスしてください。
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