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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第 1 章:日本語入力プロセス (FIP) 概要
第 2 章:FIPの起動と終了
第 3 章:かな漢字変換入力
第 4 章:PROFILE の設定
第 5 章:FIP/SUB 概要
第 6 章:FIP/SUBの起動と終了
第 7 章:FIP/SUBのかな漢字変換
第 8 章:FIP/SUBの制限事項
第 9 章:FIP/SUBの使用例
第 10 章:IMCP の概要(VAX のみ)
付録 A :FIPがサポートするPROFILEのINDEX
付録 B :FIPのメッセージ
付録 C :制限事項
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日本語入力プロセス 利用者の手引き


目次 索引

第 10 章
IMCP の概要(VAX のみ)

この章は,日本語 OpenVMS VAX のシステム管理者を対象に書かれています。次のことを説明します。

  • 変換情報サーバ・コントロール・プログラム (IMCP) の概略

  • IMCP の使用方法について

  • IMCP のコマンドについて



10.1 IMCP とは

変換情報サーバ・コントロール・プログラム (IMCP) は,日本語 OpenVMS VAX 上で変換情報サーバ(CIserver) を設定したり,コントロールするためのプログラムです。CIserverは,かな漢字変換に必要な情報を FIP (Front-end Input Process) や,その他の変換情報サーバ・クライアントを使用するアプリケーションに提供するサーバです。CIserver はネットワークを経由して,FIP やその他の変換情報サーバ・クライアント・アプリケーションと接続し,かな漢字変換の情報を交換することができます。現在サポートされるトランスポートは,ローカル・トランスポートと DECnetトランスポートの2つです。

図 10-1 に,CIserverの概略図を示します。

図 10-1 CIserver 概略図


IMCP を使用すると次のことができます。

  • クライアントのノード,ユーザ,トランスポートに応じて, CIserver プロキシ・アカウントを指定できる。また,登録されていないユーザに対して,省略時の CIserver プロキシ・アカウントを設定することができる。
    これらの情報は,CIserver プロキシ・データベースで管理されています。

  • CIserverのステータスや,CIserver プロキシ・データベースの内容を見る。

  • CIserverをシャットダウンする。



10.2 IMCP の起動と終了

IMCPを起動するには, まず DCLコマンドで以下のように入力します。

$ RUN SYS$SYSTEM:IM$CONTROL 

IMCP> というプロンプトが表示されますので, IMCP> プロンプトに続けて,IMCP のコマンドを入力します。 IMCP のコマンドについては, 第 10.3 節 で説明します。

IMCPを終了するには,IMCP>プロンプトに対して "EXIT" とタイプするか [Ctrl/Z] を押してください。

IMCP は,DCL シンボルにコマンドとして定義しておくことにより, 1 行で IMCP コマンドを実行することができます。

たとえば CIserver を停止するには,次のようにします。

$ IMCP :== $IM$CONTROL 
$ IMCP STOP SERVER 

  注意
IMCPを使用するためにはBYPASS,OPERの特権が必要です。



この説では,IMCP で使用できるコマンドについて説明します。 表 10-1 にIMCPコマンドの一覧を示します。

IMCP のコマンドは,IMCP> プロンプトに続けて入力することできます。

表 10-1 IMCPコマンド一覧
コマンド 説明
CREATE/PROXY CIserver プロキシ・データベースを作成します。
SET PROXY ユーザが CIserver を利用してアクセスする辞書を設定します。
SET PROXY/DEFAULT 登録されていないユーザの辞書アクセスを認めるか,あるいは拒否するかを決めます。
REMOVE PROXY CIserver プロキシ・エントリを削除します。
SHOW PROXY CIserver プロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。
SHOW SERVER CIserver のステータスを表示します。
SHOW CONNECTION CIserver に接続されているクライアントの情報を表示します。
STOP SERVER CIserver を停止します。
EXIT IMCP を終了します。
HELP IMCP サブコマンドに関する説明を表示します。

次に各コマンドについて詳しく説明します。




辞書アクセスを制御するための CIserver プロキシ・データベースを作成します。

形式

CREATE/PROXY


コマンド修飾子



なし


パラメータ



なし


説明

ユーザが CIserver を利用して,ローカルの辞書にアクセスするには,あらかじめアクセスするための権限 ( CIserver プロキシ ) をデータベースに登録しておく必要があります。この CREATE/PROXY コマンドは,アクセス権の情報を管理する CIserver プロキシ・データベース(SYS$SYSTEM:IM$CIS_PROXY_DB.DAT)を作成します。新規に CIserver プロキシを設定・登録するには,まずこのコマンドを用いてデータベースを作成します。

IMCP> CREATE/PROXY 
 

この例で,CREATE/PROXYコマンドは,ユーザの辞書アクセス権を登録,管理するための CIserver プロキシ・データベースを作成します。




IMCPサブコマンドに関する情報を表示します。

形式

HELP [help-topic [subtopic [...]]]


コマンド修飾子



なし


パラメータ



help-topic

知りたいIMCPのコマンド名を指定します。アスタリスク・ワイルドカード(*)をコマンド名の中あるいは,それのみで使用できます。

subtopic

サブトピック(コマンド修飾子あるいはコマンド・パラメータ)を指定します。
アスタリスク・ワイルドカード(*)をサブトピック名の中,あるいはそれのみで使用できます。

説明

HELP コマンドは,IMCPサブコマンドに関する情報を例を挙げて説明します。次の例は SET PROXY の HELP の実行例です。

IMCP> HELP SET PROXY 
 
SET 
 PROXY 
 
   SET PROXY コマンドは変換情報サーバ・クライアントを 
   ローカルのユーザにマップします。 
 
      形式 
 
         SET PROXY remote-user local 
 
   次の情報検索が可能です。 
 
   Parameter /DEFAULT 
 

この例は,Help-topic として SET コマンド,subtopic として PROXY コマンドの HELP 情報を示しています。




CIserver プロキシ・エントリを削除します。

形式

REMOVE PROXY user


コマンド修飾子



/LOG
/NOLOG

コマンドの実行結果を表示するかどうかを指定します。省略時設定は /NOLOG です。

パラメータ



user

ユーザ名を指定します。ユーザ名はnode::userの形で表され, nodeはノード名,userはそのノード上のユーザ名を示します。ノード名は 1 文字から 20 文字までの ASCII 文字,ユーザ名は 1 文字から 30 文字までの ASCII 文字で表すことができます。

  注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず1つ以上の英字を含む文字列で表されます。


説明

CIserver プロキシ・データベースから指定された CIserver プロキシ・エントリを削除します。このコマンドで,省略時の CIserver プロキシ・エントリを削除することはできません。省略時の CIserver プロキシ・エントリの削除に関しては, SET PROXY/DEFAULT を参照してください。

IMCP> REMOVE PROXY TOKYO::JIM 
   
 

ノード"TOKYO"の,ユーザ"JIM"の CIserver プロキシ・エントリが削除されます。この後,このユーザからの辞書へのアクセスは,省略時の CIserver プロキシ・アカウントが使用されます。また,SET PROXY/NODEFAULTにより省略時の CIserver プロキシ・アカウントが登録されていない場合は,エラーとなり接続できません。




ユーザが CIserver を利用してアクセスする辞書を設定します。

形式

SET PROXY user local


コマンド修飾子



/LOG
/NOLOG

コマンドの実行結果を表示するかどうかを指定します。省略時設定は /LOG です。

パラメータ



user

ユーザ名を指定します。リモートのユーザ名はnode::userの形で表され, nodeはノード名,userはそのノード上のユーザ名を示します。ノード名は 1 文字から 20 文字までの ASCII 文字,ユーザ名は 1 文字から 30 文字までの ASCII 文字で表すことができます。

  注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず1つ以上の英字を含む文字列で表されます。



local

パラメータ user で示されるユーザが使用できる CIserver プロキシ・アカウントを示します。ローカル・ノード上のユーザ名を指定します。

説明

ユーザが CIserver を利用してアクセスする辞書を設定することができます。この設定を行うと,ユーザはローカルにある他のユーザと同じ権限で日本語変換するための辞書をアクセスすることができるようになります。ユーザとは,そのユーザのノード名,トランスポート・デリミタ, ユーザ名から構成されます。トランスポート・デリミタには,ローカル・トランスポートを表す "0:" と DECnet トランスポートを表す "::" の 2 種類があります。 DECnet のトランスポート・デリミタ "::" を使用する場合は,その前にノード名をつけなければなりませんが,ローカルのトランスポート・デリミタ "0:" を使用する場合は,ノード名は必要ありません。

  1. IMCP> SET PROXY TOKYO::JACK JACK_S 
     
     
    


    DECnet ノード "TOKYO" のユーザ JACK が,ローカルのユーザ JACK_S の権限で辞書アクセスができるように設定します。

  2. IMCP> SET PROXY 0:JACK JACK_S 
     
     
    


    ローカル・ノードのユーザ JACK が,同じローカルのユーザ JACK_S の権限で辞書アクセスができるように設定します。




登録されていないユーザが,ローカルのどのユーザの権限で CIserver を利用して辞書にアクセスするかを設定します。

形式

SET PROXY/[NO]DEFAULT [local]


コマンド修飾子



/DEFAULT
/NODEFAULT

修飾子 /DEFAULT により,登録されていないユーザの辞書へのアクセスに対し,ローカルのユーザの設定を行います。また,修飾子 /NODEFAULT により,そのローカルのユーザの指定を解除します。

パラメータ



local

ローカル・ノード上のユーザ名を指定してください。 CIserver プロキシ・データベースに登録されていないユーザが,このローカルのユーザの権限で辞書をアクセスします。

説明

登録されていないユーザの辞書アクセスの権限を設定します。その権限は,設定したローカルのユーザがすでに持っている辞書アクセスの権限と同等になります。この場合,登録されていないユーザからの接続要求は設定したローカルのユーザの権限で実行されます。 /NODEFAULTが指定された場合,このコマンドはパラメータをとらず,登録されていないユーザからの接続要求は拒否されます。

IMCP> SET PROXY/DEFAULT CIS$DEFAULT 
 
 

この例では,登録されていないユーザの辞書アクセス権は,ローカルのユーザ "CIS$DEFAULT" と同じになります。




CIserverに接続されているクライアントの情報を表示します。

形式

SHOW CONNECTION


コマンド修飾子



なし


パラメータ



なし


説明

現在サーバに接続されているコネクションのID番号,クライアントのトランスポート名,ノード名,ユーザ名が表示されます。
トランスポートがローカル・トランスポートの場合,クライアントのノード名は "LOCAL"となります。

IMCP> SHOW CONNECTION 
Conn. ID Trans.   Remote   User 
0000DAA0 LOCAL    LOCAL    JIM    
 
 

ユーザJIMがローカル・トランスポートを使用して,CIserverを利用しています。このコネクションの ID 番号は,0000DAA0 です。




CIserver プロキシ・データベースに登録されたエントリを表示します。

形式

SHOW PROXY [user]


コマンド修飾子



/ALL

すべてのエントリを表示します。省略時設定は/ALLです。

/NODE=node-name

node-nameで示されるノードに合致する,すべてのエントリを表示します。

/TRANSPORT=transport-name

transport-nameで示されるトランスポートに合致する,すべてのエントリを表示します。

/USER=user-name

user-nameで示される名前に合致する,すべてのエントリを表示します。

パラメータ



user

参照するユーザの名前を指定します。ユーザ名はnode::userの形で表され,nodeはノード名,userはそのノード上のユーザ名を示します。ノード名は 1 文字から 20 文字までの ASCII 文字,ユーザ名は 1 文字から 30 文字までの ASCII 文字で表すことができます。

このパラメータを省略した場合,CIserver プロキシ・データベースに登録されたすべての CIserver のプロキシ・エントリを表示します。

ワイルドカード文字の使用はできません。

  注意
DECnetのノード名は1〜6文字の英数字で,必ず1つ以上の英字を含む文字列で表されます。


説明

CIserver プロキシ・データベースに登録された CIserver プロキシ・エントリを参照することができます。表示される情報は,リモート・ノードのユーザ名,ノード名,トランスポート名とそれに対応するローカル・ノードの CIserver プロキシ・アカウントです。 SET PROXY/DEFAULT コマンドで指定された省略時の CIserver プロキシ・アカウントは,ユーザ名,ノード名,トランスポート名がアスタリスクで表示されます。

なお,ユーザがローカル・トランスポートを使うような CIserver プロキシ・エントリは,ノード名がすべて"LOCAL"と表示されます。

パラメータ user が指定されなかった場合,/ALLが省略時設定となり, CIserver プロキシ・データベースに登録されたすべての CIserver プロキシ・エントリが表示されます。そのほかのコマンド修飾子として /NODE,/USER,/TRANSPORTがあります。これらの修飾子が複数指定された場合は,そのすべての修飾子に与えられた値に合致する CIserver プロキシ・エントリを表示します。


#1
 
IMCP> SHOW PROXY
                                         
  Transp.   User      Node      Mapped  
  ********  ********  ********  JIM     (1)
  DECNET    JOHN      PQRST     JIM     (2)
  LOCAL     KATHY     LOCAL     JIM     (3)
 
 
 

CIserver プロキシ・データベースに登録されたすべての CIserver プロキシ・エントリを表示します。 (1) では,省略時の CIserver プロキシとしてローカルのユーザ "JIM" の辞書アクセス権を利用して辞書が利用できることを表しています。 (2) では,ノード名 "PQRST" のユーザ "JOHN" がローカルのユーザ "JIM" の辞書アクセス権を利用して DECnet トランスポート経由で辞書が使えることを表しています。 (3) では,ローカルのユーザ "KATHY" が同じローカルのユーザ "JIM" の辞書アクセス権を利用してローカル・トランスポート経由で辞書が使えることを表しています。

#2
IMCP> SHOW PROXY TOKYO::JIM
                                        
  Transp.   User      Node      Mapped  
  DECNET    JIM       TOKYO     KEN     
 

ノード "TOKYO" のユーザ "JIM" が DECnet を通してアクセスするときに使用される CIserver プロキシ・エントリを表示します。この例では,ノード "TOKYO" のユーザ "JIM" がローカルのユーザ "KEN" の辞書アクセス権を利用して DECnet 経由で辞書が使用できることを表しています。

#3
IMCP> SHOW PROXY /USER=PAUL/NODE=ABC
                                        
  Transp.   User      Node      Mapped  
  DECNET    PAUL      ABC       KATHY   
 

ノード "ABC" のユーザ "PAUL" にかかわるCIserver プロキシ・エントリを表示します。この例ではノード "ABC" のユーザ "PAUL" がローカルのユーザ "KATHY" の辞書アクセス権を利用して DECnet トランスポート経由で辞書が使用できることを表しています。


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