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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第 1 章:OpenVMS オペレーティング・システムの概要
第 2 章:DCL を使用したシステムとの会話
第 3 章:ファイル情報の格納
第 4 章:ディレクトリ・ファイルの編成
第 5 章:拡張ファイル指定
第 6 章:ディスクとテープ・ドライブの使用方法
第 7 章:Mail を使用して他のユーザと通信する
第 8 章:EVE エディタによるテキスト・ファイルの編集
第 9 章:ファイルのソートとマージ
第 10 章:資源へのアクセスの制御
第 11 章:デバイスとファイルの論理名定義
第 12 章:シンボル,コマンド,式の定義
第 13 章:コマンド・プロシージャの概要
第 14 章:DCL での拡張プログラミング
第 15 章:レキシカル関数を使用しての情報の取得と処理
第 16 章:プロセスとバッチ・ジョブ
付録 A :文字セット
付録 B :コマンド・プロシージャの例
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ユーザーズ・マニュアル


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第 3 章
ファイル情報の格納

ファイル は,情報を含むシステム・オブジェクトです。この情報は,コンピュータが理解できる機械可読 データ のこともあれば,ユーザが入力して操作するテキストのこともあります。ファイルの内容には,ドキュメント,プログラム,アドレス・リストなどがあります。テキスト・ファイルの内容は,オンラインで表示したり,印刷することによって調べることができます。

プログラムは, イメージ または 実行可能イメージ とも呼ばれ,命令やデータを機械が読み取り可能な形式で含んでいるファイルのことです。一部のプログラムは,DCL コマンドに関連付けられています。たとえば,DCL の COPY コマンドを入力すると,システムは SYS$SYSTEM:COPY.EXE というプログラムを実行します。また, DCL の RUN コマンドの後にプログラム名を入力して起動するプログラムもあります。

イメージ・ファイルには,オペレーティング・システムが提供するものと,ユーザが作成するものがあり,通常,イメージ・ファイルのファイル・タイプは .EXE です。イメージ・ファイルは ASCII 文字では構成されていないので, DCL コマンドの TYPE,PRINT,または EDIT によって内容を見ることはできません。 ( 一方,テキスト・ファイルは,英字,句読点,数字などの特殊記号を表す標準的な方式である ASCII 文字で構成されています。)

本章では,ファイルを作成したり,処理する方法について,ローカルで作業する場合と,TCP/IP または DECnet for OpenVMS ネットワークを介して作業する場合について説明します。特に,次のことについて説明します。

  • ファイル名とファイル指定

  • ファイル名でのワイルドカードの使用方法

  • その他のファイル名

  • ファイルの作成と変更

  • ファイルの内容の表示

  • ファイルの削除

  • 他のユーザからのファイルの保護

  • ファイルの印刷

詳細は,以下のマニュアルを参照してください。

  • extended file specifications 環境でのファイル名については, 第 5 章

  • 本章で説明しているコマンドについては,『OpenVMS DCL ディクショナリ』およびオンライン・ヘルプ

  • リモート・ノードへのアクセスについては,『OpenVMS システム管理者マニュアル』

  • TCP/IP ユーザ・ユーティリティおよびコマンドの使用については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS User's Guide 』

  • DECnet ネットワークについては,『DECnet for OpenVMS Networking Manual』

  • DECnet Phase V ネットワークについては,『 DECnet-Plus for OpenVMS Introduction and User's Guide 』



3.1 ファイル名とファイル指定

ファイルとは,人間と機械の双方が扱えるデータを格納するために, OpenVMS オペレーティング・システムが使用する単位のことです。ファイルに名前を付ける場合には,システムがそのファイルの格納場所や内容を使用できる情報を指定する。

ファイル名は, ファイルの名前ファイル・タイプ で構成されます。名前とファイル・タイプはピリオド (.) で区切られます。また,ファイルには バージョン番号 が設けられ,複数のファイル・バージョンのファイルを扱うことができます。バージョン番号を指定しなければ,既存のファイル番号で最も大きな値のバージョン番号が使用されます。ファイルを編集すると,元のバージョンは変更されず,新しい 出力ファイル が作成されます。省略時の設定では,出力ファイルの名前とファイル・タイプは元のファイルと同じものが使用されますが,バージョン番号は同じ名前の既存のファイルより 1 つ大きな値になります。

ファイルの名前,ファイル・タイプ,およびバージョン番号を合わせて ファイル指定 と呼びます。

3.1.1 完全なファイル指定

ファイルは,ネットワーク上の特定のコンピュータ ( すなわちノード ),そのコンピュータに接続されている特定のデバイスまたはデバイスのセット ( ボリュームと呼ばれます ),そのボリューム上の特定のディレクトリにあります。完全なファイル指定とは,次のとおりです。

  • システムがファイルを配置したり識別したりするためのアクセス・パスをもらさず記述している。

  • ファイル名に加えてファイルが格納されているディレクトリと,ファイルが存在するネットワーク・ノードを指定する。

  • 完全なファイル指定のことを,ネットワーク・ファイル指定と呼ぶこともある。

完全なファイル指定を指定する必要はありませんが,システムとユーザの両方が識別できるようなファイル名あるいはファイル・タイプを指定しなければなりません。ただし,省略時の構成要素と組み合わせる場合,システムがファイルの位置付けや識別をするためのファイル指定をする必要があります。 1

システムの省略時の設定を無効にする場合,またはネットワークを介してファイル操作を行う場合には,完全なファイル指定が必要です。完全なファイル指定とは,次の形式のファイル指定のことです。

ノード::デバイス:[ルート.][ディレクトリ]ファイル名.ファイル・タイプ;バージョン 

次に,各構成要素について説明します。

ノード ネットワーク・ノードまたはホスト名。 TCP/IP または DECnet をサポートするシステムのみに適用。磁気テープに保存するファイルには適用しない。ログインしたシステムと同じシステム上のファイルの指定には使用しない。
デバイス OpenVMS オペレーティング・システムを実行しているコンピュータに接続されたディスク・ドライブ,テープ・ドライブ,またはその他の周辺機器を指す用語。各デバイスには,そのデバイスの種類と位置を示す一意の名前が付けられる。ディスクは,ODS-2 (省略時の値) またはODS-5 (OpenVMS Alphaのみ) としてフォーマットできる。
ディレクトリ ファイルが格納されるディレクトリの名前。ディレクトリは,大括弧 ([]) またはアングル括弧 (<>) で区切る。保存するファイルには適用しない。
ファイル名 ファイルの名前。
ファイル・タイプ ファイル構造やファイル・タイプの識別。
バージョン ファイルのバージョン番号。バージョンは 10 進数で表され,ファイルの新しいバージョンを作成するたびに 1 ずつ大きくなる。ユーザが指定しない場合には,システムが自動的にバージョン番号を割り当てる。



3.1.2 ファイル指定の規則

ファイル指定の各要素を指定する場合には,次の規則に従います。

  • わかりやすいファイル名を付けます。 ODS-2 ディスクを備えた OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムでは,ファイル名には A から Z( 大文字または小文字 ),数字の 0 から 9, (_),(-),チルド (~), ($) からなる 39 文字を指定できます。

  • ファイル名の先頭にハイフンは使用しないでください。 OpenVMS の一部の旧いバージョンでは,これをサポートしていない形式のファイル指定があるためです。

  • ファイル・タイプの先頭はピリオド (.) とします。 ODS-2 ディスクを備えた Alpha システムと VAX システムにおけるファイル・タイプには,文字の A から Z( 大文字と小文字のどちらでも指定可 ),数字の 0 から 9,アンダースコア (_),ハイフン (-),ドル記号 ($) から選ばれた文字を最高で 39 文字 ( ピリオドを含む ) 指定できます。

  • バージョン番号の先頭文字はセミコロン (;) またはピリオド (.) です。システムがファイル指定を表示するとき,バージョン番号にはセミコロンが表示されます。

  • 磁気テープ上のファイルの参照にディレクトリ・フィールドは使用しないでください。 ( ディレクトリを使用できるのはディスク上のファイルだけです。)

  • ノード名はシステムがネットワークの一部で,目的のファイルがログインしたノードにある場合に使用します。

  • ODS-2 ディスクの OpenVMS Alpha システムと OpenVMS VAX システムでは, UFD( ユーザ・ファイル・ディレクトリ ) 名またはサブディレクトリ名には,文字の A から Z( 大文字と小文字のどちらでも指定可 ),数字の 0 から 9,アンダースコア (_),ハイフン (-),ドル記号 ($) から選ばれた文字を最高で 39 文字指定できます。サブディレクトリ名の先頭にハイフンは使用できません。

  • OpenVMS Alpha バージョン 7.2 およびそれ以降では,ディレクトリとルート名のサブディレクトリ内の文字の合計数 ( かぎ括弧と区切り記号のピリオドを除く ) は最高で 512 文字です。また,UFD とサブディレクトリ名にもファイル名,ファイル・タイプ,バージョン番号の制限が適用され,ディレクトリは <directory-name>.DIR;1形式のファイルとして保存されます。

  • 拡張ファイル指定をサポートするシステムとサポートしないシステムが混在する環境では,制限の多いシステムからは,その能力を越える名前を持つファイルやディレクトリをアクセスできません。

詳細については『 Guide to OpenVMS File Applications 』を参照してください。

  注意
Extended File Specifications を使用する環境の場合,これらの規則は異なります。拡張ファイル名について詳しくは, 第 5 章 を参照してください。



コマンドによっては,ファイル・タイプを省略した場合に,システムが省略時の値を適用することがあります。次の表に, DCL コマンドが使用する一般的な省略時のファイル・タイプの一部を示します。

ファイル・タイプ 内容
.CLD コマンド定義ファイル
.COM コマンド・プロシージャ・ファイル
.DAT データ・ファイル
.DIF DIFFERENCES コマンドによって作成される出力ファイル
.DIR ディレクトリ・ファイル
.DIS MAIL コマンドの配布リスト・ファイル
.EXE リンカによって作成される実行可能プログラム・イメージ・ファイル
.HLB ヘルプ・テキスト・ライブラリ・ファイル
.HLP ヘルプ・ライブラリの入力ソース・ファイル
.INI 初期化ファイル
.LIS 言語コンパイラまたはアセンブラによって作成されるリスト・ファイル,または PRINT コマンドと TYPE コマンドの省略時の入力ファイル
.LOG バッチ・ジョブ出力ファイル
.MAI MAIL メッセージ・ファイル
.PS PostScript 形式のファイル
.SYS システム・イメージ
.TJL DECTPU と ACL エディタによって作成されるジャーナル・ファイル
.TLB テキスト・ライブラリ・ファイル
.TMP 一時的ファイル
.TPU EVE エディタのコマンド・ファイル
.TPU$JOURNAL EVE エディタによって作成されるジャーナル・ファイル
.TXT テキスト・ライブラリの入力ファイルまたは MAIL コマンド出力



3.1.4 言語ソース・プログラムの省略時のファイル・タイプ

次の表に,高級言語ソース・プログラムの省略時のファイル・タイプを示します。

ファイル・タイプ 内容
.ADA Compaq Ada コンパイラの入力ソース・ファイル
.BAS BASIC コンパイラの入力ソース・ファィル
.B32 VAX BLISS-32 コンパイラの入力ソース・ファイル
.C Compaq C コンパイラの入力ソース・ファイル
.COB Open VMS VAX システム上の VAX COBOL コンパイラおよび OpenVMS Alpha システム上の Compaq COBOL コンパイラの入力ソース・ファイル
.FOR Compaq Fortran (OpenVMS VAX システム用 Compaq Fortran はこれまで VAX Fortran だった ) の入力ソース・ファイル
.M64 OpenVMS Alpha MACRO-64 アセンブラの入力ソース・ファイル
.MAP リンカ・ユーティリティによって作成されるメモリ割り当てマップ
.MAR OpenVMS Alpha 用 VAX MACRO アセンブラまたは MACRO-32 コンパイラの入力ソース・ファイル
.MLB MACRO アセンブラのマクロ・ライブラリ
.MSG メッセージのテキストを指定するソース・ファイル
.OBJ 言語コンパイラまたはアセンブラによって作成されるオブジェクト・ファイル
.OLB オブジェクト・モジュール・ライブラリ
.OPT LINK コマンドへの入力用オプション・ファイル
.PAS Pascal コンパイラの入力ソース・ファイル
.PLI PL/I コンパイラの入力ソース・ファイル
.STB リンカ・ユーティリティによって作成されるシンボル・テーブル・ファイル
.UPD VAX MACRO ソース・プログラムの変更用更新ファイル (SUMSLP エディタへの入力ともなる )



3.1.5 ファイルのバージョン番号

すべてのファイルには,ファイル名とファイル・タイプに加えて,バージョン番号があります。バージョン番号は,ファイルのバージョンを表す 1 〜 32,767 の 10 進数です。ファイルを作成すると,ファイルに 1 というバージョン番号が割り当てられます。

1 つのファイルに対して複数のバージョンが存在することもあります。バージョン番号の指定がない場合には,バージョン番号の最も大きいファイルが使用されます。バージョン番号として0を指定した場合には,既存の最大バージョンが使用されます。ファイルの新しいバージョンを作成するコマンド,アプリケーション,テキスト・エディタ(EVEなど)を使用してファイルを変更した場合,ファイル名は変更されませんが,バージョン番号は1だけ大きくなります。

バージョン番号の前には,セミコロンまたはピリオドを入れます。ファイル指定を表示する場合は,ファイル・バージョン番号の前にセミコロンが表示されます。

ゼロまたは負のバージョン番号を指定すると,ファイルのバージョンを相対的に表すことができます。ゼロを指定すると,ファイルの最新 ( 最も大きい ) バージョンが使用されます。 -1 を指定すると最新バージョンの前のバージョン, -2 を指定するとその前のバージョンが使用されます。以下同様です。ファイルの最も古い ( 最も小さい ) バージョンを探す場合には,バージョン番号として -0 を指定します。バージョン番号が 32767 より大きいファイルを作成することはできません。バージョン番号が 32767 より大きい新しいファイルを作成しようとした場合には,エラー・メッセージが表示されます。

CREATE/DIRECTORY,SET DIRECTORY,または SET FILE コマンドで /VERSION_LIMIT 修飾子を指定すると,ファイルのバージョン番号を制御できます。バージョンの上限値を超えると,最も小さいバージョン番号のファイルが自動的に削除されます。たとえば,バージョンの上限値が 5 の場合には,ファイルの 6 番目のバージョン (ACCOUNTS.DAT;6) を作成すると,ファイルの最初のバージョン (ACCOUNTS.DAT;1) が削除されます。 DIRECTORY/FULL コマンドを実行すると,作成できるバージョンの制限を確認できます。作成できるバージョンの制限は, File attributes:フィールドに表示されます。

3.1.6 ネットワーク・ノード名

ノードとは,コンピュータ・ネットワークを構成する個々のシステムのことです。使用しているシステムがネットワークの一部である場合は,ログインしたときにアクセスするノードのことをローカル・ノードと呼びます。そして,ネットワークの中のこれ以外のノードをリモート・ノードと呼びます。リモート・ノードのファイルを指定する場合には,ノード名を使用します。

ノード指定の形式は,次のとおりです。

        ノード["アクセス制御文字列"]:: 

ファイル指定の一部としてノード名を入力する場合には,次の規則に従います。

  • ノード名には 1 〜 6 文字の英数字を指定できるが,少なくとも 1 文字の英字が必要である。次の例を参照。
    AFTP1
    F2OTR2
    MYNODE

  • ノード名の後には,アクセス制御文字列の有無にかかわらず必ずダブルコロンを (::) を付ける。

  • ノード名を指定する場合には,0 〜 42 文字の アクセス制御文字列 を含めることができる。アクセス制御文字列には,リモート・ノードに送信するログイン情報を含める。アクセス制御文字列については, 第 3.1.12 項 を参照すること。
    アクセス制御文字列の後に,ダブルコロンを付けること。

  • ノード名の代わりに論理ノード名を使用できる。論理ノード名については, 第 11 章 を参照。

注意

1 レコード・マネージメント・サービス (RMS) は,ファイルの処理と管理においてアプリケーション・プログラムを支援する OpenVMS の機能です。 RMS は,ファイル指定解析の規則を保持します。 RMS による部分ファイル指定への省略時の設定の適用方法については,『 Guide to OpenVMS File Applications 』を参照してください。


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