Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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第 4 章
OpenVMS Cluster インターコネクトの選択

インターコネクトは,コンピュータ同士,およびコンピュータとストレージ・サブシステムを接続する物理パスです。 OpenVMS Cluster システムは,最も適切で効率的な方法を使用して,メンバが相互におよびストレージと通信できるように,多様なインターコネクト (バスとも呼ぶ) をサポートしています。

OpenVMS Cluster システムでインターコネクト経由の通信を行うためのソフトウェアを SCS (System Communications Services) と呼びます。ノード間 SCS 通信をサポートするインターコネクトを クラスタ・インターコネクト と呼びます。1 つのクラスタ内でのノードとストレージ間の接続を可能にするインターコネクトを 共有ストレージ・インターコネクト と呼びます。CI および DSSI などの一部のインターコネクトは,クラスタ・インターコネクトとストレージ・インターコネクトの両方の役割を果たすことができます。

OpenVMS は,以下のタイプのインターコネクトをサポートします。

4.1 特徴

この章で説明するインターコネクトにはいくつか共通の特徴があります。 表 4-1 に,これらの特徴をまとめました。

表 4-1 インターコネクトの特徴
特徴 説明
スループット インターコネクトを経由して転送されるデータ量。

インターコネクトによっては,より多くのプロセッサ・オーバヘッドが必要になります。たとえば,Ethernet インターコネクトと FDDI インターコネクトには, CI や DSSI よりも多くのプロセッサ・オーバヘッドが必要です。

パケット・サイズが大きければ,小さい場合よりも高いデータ転送速度 (スループット) が可能になります。

ケーブル範囲 3 m から 40 km の範囲で相互接続します。
最大ノード数 1 つのインターコネクトに接続できるノード数は,インターコネクトのタイプによって異なります。OpenVMS Cluster システムの設定時には,このことを忘れないでください。
サポートされるシステムとストレージ 各 OpenVMS Cluster ノードとストレージのサブシステムごとに,内部システム・バスとインターコネクトを結ぶアダプタが必要です。インターコネクト・タイプの選択時には,まずストレージとプロセッサの I/O パフォーマンスを考え,次にアダプタ・パフォーマンスを考えてください。

4.2 インターコネクト・タイプの比較

表 4-2 は,各種インターコネクトの主な仕様です。

表 4-2 クラスタ・インターコネクト・タイプの比較
インターコネクト 最大スループット (Mb/s) ハードウェア支援データ・リンク1 ストレージへの接続 トポロジ クラスタあたりの最大ノード数 最大
汎用
ATM 155/622 No MSCP 対応 スイッチに対しラジアル 96 2 2 km 3/300 m 3
Ethernet/
Fast/
Gigabit
10/100/1000 No MSCP 対応 ハブやスイッチに対しリニアまたはラジアル 96 2 100 m 4/100 m 4/550 m 3
FDDI 100 No MSCP 対応 ツリーに対しデュアル・リング,ハブやスイッチに対しラジアル 96 2 40 km 5
CI 140 Yes 直結と MSCP 対応 ハブに対しラジアル 32 6 45 m
DSSI 32 Yes 直結と MSCP 対応 バス 8 7 6 m 8
共有ストレージ専用
Fibre Channel 1000 No 直結 9 スイッチに対しラジアル 96 2 10 km 10
/100 km 11
SCSI 160 No 直結 9 バスまたはハブに対しラジアル 8-16 12 25 m
ノード間 (SCS トラフィック専用)
MEMORY CHANNEL 800 No MSCP 対応 ラジアル 4 3 m


1ハードウェア支援データ・リンクを利用すればプロセッサ・オーバヘッドを節約できます。
2OpenVMS Cluster コンピュータ。
3 マルチモード・ファイバ (MMF) を基準とします。ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,このインターコネクトと WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
4 シールドなしツイスト・ペア・ケーブル (UTP) を基準とします。 ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,このインターコネクトと WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
5 シングル・モード・ファイバ,ポイント・ツー・ポイント・リンクを基準とします。 ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,FDDI と WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
6最大 16 台の OpenVMS Cluster コンピュータ; 最大 31 台の HSJ コントローラ。
7最大 4 台の OpenVMS Cluster コンピュータ; 最大 7 台のストレージ・デバイス。
8DSSI ケーブル長は,キャビネット・ケーブルによって異なります。
9直接接続されている SCSI および Fibre Channel ストレージは,汎用のクラスタ・インターコネクトのいずれかを介して MSCP に対応させることができます。
10シングル・モード・ファイバ,ポイント・ツー・ポイント・リンクを基準とします。
11 シングル・モード・ファイバを使用した,インタースイッチ・リンク (ISL) を基準とする長距離 (最大 100 km) のサポートです。さらに,DRM 構成では,Open Systems Gateway および Wave Division Multiplexor を使用した長距離 ISL を提供します。
12最大 3 台の OpenVMS Cluster コンピュータ。DWZZH-05 および適切なアービトレーションにより最大 4 台,最大 15 台のストレージ・デバイス。

4.3 複数インターコネクト

複数のインターコネクトを使用すると,以下の利点があります。

4.4 複合インターコネクト

複合インターコネクトは,1 つの OpenVMS Cluster システムに 2 種類以上のタイプのインターコネクトを組み合わせたものです。複合インターコネクトでは,それぞれのタイプの利点を組み合わせて OpenVMS Cluster システムを拡張します。たとえば,Fibre Channel,SCSI,または CI 接続を追加することにより,Ethernet クラスタでさらに多くのストレージが必要になっても拡張が可能です。

4.5 Alpha システムと VAX システムがサポートするインターコネクト

表 4-3 は,Alpha システムと VAX システムがサポートする OpenVMS Cluster インターコネクトを示したものです。

インターコネクトのサポートについては,最新の OpenVMS Cluster SPD (ソフトウェア仕様書) も参照してください。

表 4-3 クラスタ・インターコネクトのシステム・サポート
システム CI DSSI FDDI Ethernet ATM MEMORY
CHANNEL
SCSI Fibre
Channel
AlphaServer GS160, GS320  
AlphaServer GS60, GS80, GS140   1
AlphaServer ES40  
AlphaServer DS20E, DS10L, DS10  
AlphaStation ES40 2  
AlphaStation DS20E    
AlphaStation DS10/XP900      
AlphaStation XP1000        
AlphaServer 8400, 8200 1
AlphaServer 4100, 2100, 2000 1 1 3
AlphaServer 1000   1  
AlphaServer 400   1      
DEC 7000/10000 1        
DEC 4000   1        
DEC 3000     1 1      
DEC 2000     1        
VAX 6000/7000/10000        
VAX 4000, MicroVAX 3100   1        
VAXstation 4000     1        


1サテライト・ノードとしてインターコネクト経由でブート可能。
2MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハードウェアのサポートのみ。
3AlphaServer 4100 のみサポート。

表 4_3 にあるように,OpenVMS Clusters は,広範囲なインターコネクトをサポートしています。 第 2 章 で説明しましたが,注意すべきことは,どれだけの I/O が必要かということです。

ほとんどの場合,I/O 要件がどれか 1 つの OpenVMS Cluster インターコネクトの能力を上回ることはありません。I/O キャパシティに十分な余裕があることを確認し,その他の必須機能に基づいてインターコネクトを選択してください。

関連項目: 各 AlphaServer システムでサポートされるインターコネクトとアダプタについての詳細は,次の Compaq ウェブ・サイトを参照してください。


http://www.compaq.com 

「Products」の下の「Servers」を選択した後,「AlphaServers」,サーバ・ファミリ (DS,ES,または GS など),サーバ・モデルの順に選択します。サポートされているすべてのオプションの中から選択できます。

次の「Alpha Systems Technology Technical Information」の Web ページを選択することもできます。このページから,各 Alpha システム・モデルのドキュメント,サポートされているオプション,ファームウェアのアップデート版,およびソフトウェア・パッチ・サービスにアクセスできます。


http://www5.compaq.com/alphaserver/technology/index.html 

4.6 Fibre Channel インターコネクト

Fibre Channel は,PCI ベースの Alpha システム用の高性能 ANSI 標準ネットワーク・ストレージ・インターコネクトです。全二重シリアル・インターコネクトとして,毎秒 100 MB で送受信できます。初期リリースでは, Fibre Channel は,Fibre Channel スイッチへの複数ノード接続により SCSI ストレージの同時アクセスをサポートします。ノード間通信には, 2 番めのタイプのインターコネクトが必要です。Fibre Channel 経由のノード間通信は,将来リリースされる予定です。

Fibre Channel ストレージに対するマルチホスト・アクセスには,以下のコンポーネントが必要です。

4.6.1 利点

Fibre Channel インターコネクトには,以下の利点があります。


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