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OpenVMS Cluster でシステムを実行するには,スタンドアロンの場合より約 5% 多いメモリが必要になります。この追加メモリは,共用クラスタ・リソース・ベースのサポートに充てられます。共用クラスタ・リソース・ベースは,スタンドアロン構成よりも大きくなります。
メモリを追加すれば,OpenVMS Cluster のノードで,スタンドアロン・システムの場合と同数のユーザーやアプリケーションをサポートできます。クラスタ構成の拡張とともに,ノードごとにシステム作業に必要なメモリ容量も増えます。ノードごとのメモリ容量の増加は,クラスタ内で共用されるデータ・レベルとリソース管理の分散状態によって異なるので一定のルールを適用することはできません。ノードが使用頻度の高いリソースのリソース・マネージャの場合,メモリを追加すれば,そのリソースのクラスタ・ユーザのパフォーマンスを強化できます。
関連項目: 追加メモリによるパフォーマンス強化については,『OpenVMS Performance Management』マニュアルを参照してください。
2.2.2 プロセッサ・リソース,メモリ・リソース,I/O リソースの分散
アプリケーションのパフォーマンスは,プロセッサ・リソース,メモリ・リソース, I/O リソースをいかにうまくバランスさせるかによって異なります。アプリケーションによって,これらのリソースの優先順位も異なります。アプリケーション要件をよく検討し,その要件に合わせてこれらのリソースのバランスを図ってください。 表 2-3 は,アプリケーション・タイプ別のリソース要件をまとめたものです。
アプリケーション・タイプ | 例 | 必要要件 |
---|---|---|
一般タイムシェアリング | プログラム開発,ドキュメント作成,オフィス・オートメーション | プロセッサと I/O に集中 |
データベースの検索と更新およびレポートの表示 | トランザクション処理,資金移動,オンライン発注エントリまたは予約システム | I/O とメモリの集約型 |
シミュレーション,モデリング,計算 | コンピュータ支援設計,製造,イメージ処理,グラフィックス・アプリケーション | プロセッサとメモリの集約型 |
OpenVMS オペレーティング・システムは,OpenVMS Cluster 構成におけるビジネス要件とアプリケーション要件の決定に必要な多くのユーティリティやツールをサポートしています。 表 2-4 は,これらの製品の内容をまとめたものです。あわせて,OpenVMS オペレーティング・システムに組み込まれているか,オプション製品であるかも示しました。
ツール | 組み込みとオプションの別 | 機能 |
---|---|---|
Accounting ユーティリティ | 組み込み | リソースの使用状況を追跡します。 |
AUTOGEN コマンド・プロシージャ | 組み込み | 使用状況に応じてシステム・パラメータの設定を最適化します。 |
DECamds (Digital Availability Manager for Distributed Systems) | 組み込み | 複数のノードからデータを同時に収集,解析し,すべての出力を DECwindows に集中させます。解析では,リソース可用性の問題を検出し,対応動作を提案します。 |
Availability Manager | 組み込み | 機能としては DECamds とほぼ同じですが, Windows ベースのシステムおよび OpenVMS Alpha 上で動作します。 |
Monitor ユーティリティ | 組み込み | 基本パフォーマンス・データを提供します。 |
POLYCENTER Capacity Planner | オプション | 構成の変化がユーザ・パフォーマンスにどのような影響を与えるかを解析するキャパシティ計画機能を提供します。 |
Show Cluster ユーティリティ | 組み込み | OpenVMS Cluster 構成における処理とパフォーマンスを監視します。 |
DECevent | 組み込み | システムとデバイスの状態を監視し,障害を予測します。 |
OpenVMS Management Station | 組み込み | ユーザ・アカウント,印刷キュー,複数の OpenVMS Clusters と OpenVMS ノードにまたがるストレージを構成するためにシステム・マネージャを有効にします。OpenVMS Management Station は Microsoft Windows と Windows NT ベースの管理ツールです。 |
Web-Based Enterprise Services (WEBES) | 組み込み | WEBES には, Compaq Analyze,Compaq Crash Analysis Tool (CCAT),DECevent,および Revision and Configuration Management (RCM) ツールが含まれています。これらのツールは,OpenVMS を実行しているすべての AlphaServer DS,ES,およびGS システムでサポートされますが,DECevent を継続して使用する必要がある AlphaServer GS60 および GS140 ではサポートされません。 |
OpenVMS パートナは, 表 2-5 に示すように,多様なシステム管理のニーズを満たす幅広いツールを提供しています。ツールのタイプについて,以下のリストで説明します。
夜間バックアップなどの繰り返し定期的に実行する処理を含む特定の処理を指定した時間に起動できます。
システムを監視して,何らかの対処が要求される出来事やイベント,またはメモリの減少やセキュリティへの侵入などの,危機的で警告が必要な状況を示す出来事やイベントをレポートします。
システム・コンソールへのリモート接続およびシステム・コンソールのエミュレーションを有効にして,システム・メッセージの表示とコマンドの実行ができるようにします。
データを収集および分析してシステムのパフォーマンスを監視し,システム・リソースを適切に調整および構成できるようにします。パフォーマンス・マネージャは,キャパシティの計画のための履歴データも収集します。
ビジネス・パートナ | 製品 | タイプまたは機能 |
---|---|---|
BMS | Best/1 | パフォーマンス・マネージャ |
Patrol | イベント・マネージャ | |
Enterprise ControlStation | コンソール・マネージャ | |
Computer Associates | Advise IT | パフォーマンス・マネージャ |
Command IT | コンソール・マネージャ | |
Schedule IT | スケジュール・マネージャ | |
Watch IT | イベント・マネージャ | |
Unicenter TNG | さまざまな製品のパッケージ | |
Fortel | ViewPoint | パフォーマンス・マネージャ |
Global Maintech | VCC | コンソール・マネージャ |
Heroix | RoboMon | イベント・マネージャ |
RoboCentral | コンソール・マネージャ | |
ISE | Schedule | スケジュール・マネージャ |
Ki NETWORKS | CLIM | コンソール・マネージャ |
XL Software | Dollar Universe | スケジュール・マネージャ |
RAXCO | Perfect Cache | ストレージ・パフォーマンス |
Perfect Disk | ストレージ管理 | |
TDI | Console Works | コンソール・マネージャ |
OpenVMS パートナおよびそれらが提供するツールについての最新情報は,OpenVMS のウェブ・サイト
http://www.openvms.compaq.com/にアクセスしてください。
2.2.5 その他の構成支援
上記のユーティリティおよびパートナ製品以外に,いくつかのコマンドを利用できます。これらのコマンドにより,システム管理者が HSC,HSJ,HSD,HSZ,HSG,および RF サブシステムにパラメータを設定してシステムを構成するのに役立てることができます。詳細は,使用しているハードウェアのマニュアルを参照してください。
この章では,ビジネスやアプリケーションの要件に対応できる OpenVMS Cluster 用のシステムの選択について説明します。
3.1 Alpha アーキテクチャと VAX アーキテクチャ
OpenVMS Cluster には,OpenVMS Alpha か OpenVMS VAX のどちらか,またはその両方を実行するシステムがあります。弊社では,Alpha アーキテクチャと VAX アーキテクチャ両方に対応できるフル・レンジ・システムを提供します。
64 ビット RISC (縮小命令セット・コンピューティング) アーキテクチャの OpenVMS Alpha は,柔軟性と拡張性のための標準 I/O サブシステムにより,価格およびパフォーマンス面で業界をリードしています。
32 ビット CISC (複雑命令セット・コンピューティング) アーキテクチャの OpenVMS VAX は,高度な CISC パフォーマンスと多くの強力な命令セットを備えています。OpenVMS VAX は,幅広い標準 I/O サブシステムもサポートしています。
Alpha システムと VAX システムは,以下のようなコンピューティング環境に対応します。
選択するシステムは,ビジネスやアプリケーションのニーズと予算によって異なります。適切な選択のためには,システムとその特性をよく理解する必要があります。
表 3-1 は,最近出荷された OpenVMS Cluster システムを比較したものです。ラップトップ・コンピュータやパーソナル・コンピュータはクライアントサテライトとして OpenVMS Cluster に構成できますが,本書では,その詳細には触れません。PC やラップトップの構成の詳細については,『Advanced Server for OpenVMS Concepts and Planning Guide 』を参照してください。
システムのタイプ | 適性 | 例 |
---|---|---|
ワークステーション | 高いプロセッサ・パフォーマンスの個人専用システムを必要とするユーザ向け。例としては,CAD アプリケーション,科学解析アプリケーション,データ整理/表示アプリケーションがあります。ワークステーションには,以下のような特徴があります。
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AlphaStation DS10/XP900
AlphaStation DS20E AlphaStation ES40 |
部門システム | 中規模オフィス・コンピューティング。部門システムには以下のような特徴があります。
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AlphaServer DS10
AlphaServer DS10L AlphaServer DS20E AlphaServer ES40 |
データ・センター・システム | 大規模の構成であり,可用性の高い技術アプリケーションや商用アプリケーション向けです。データ・センター・システムは高度な拡張性と柔軟性を備え,以下のような特徴があります。
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AlphaServer GS60,GS80
AlphaServer GS140 AlphaServer GS160,GS320 |
スケーラビリティを基準にしてシステムを選択するときは,以下の点に注意してください。
OpenVMS 環境では,データ・センターの処理能力の伸びと拡大に対応するため,以下のような対策を提供します。
関連項目: ストレージ・デバイスの詳細については, 第 5 章 を参照してください。
関連項目: スケーラビリティの詳細については, 第 10 章 を参照してください。
3.5 可用性について
OpenVMS Cluster システムは,高度に統合された環境であり,複数のシステムがリソースのアクセスを共用します。このリソース共用により,サービスとデータの可用性を強化できます。OpenVMS Cluster システムには透過的かつ自動的なフェールオーバ機能があり,システム・マネージャやユーザはほとんど手を下す必要がありません。
関連項目: このフェールオーバ機能と可用性の詳細については, 第 8 章 と 第 9 章 を参照してください。
3.6 パフォーマンスについて
以下の要素は,システム・パフォーマンスに影響を与えます。
これらの要件を念頭に置いて,Alpha 仕様と VAX 仕様におけるプロセッサ・パフォーマンス,I/O スループット,メモリ容量,ディスク容量を後で比較します。
3.7 システム仕様
Alpha,Intel のワークステーションとサーバの発注および構成については, Compaq World Wide Web (WWW) サイトを参照してください。また,ストレージ・デバイス,プリンタ,ネットワーク・アプリケーションについての詳細なサポート情報もあります。
Compaq World Wide Web (WWW) サイトには,以下の URL にてアクセスしてください。
http://www.compaq.com/ |
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